JP2003086415A - モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子、モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子の製造方法、モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体、モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体の製造方法 - Google Patents

モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子、モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子の製造方法、モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体、モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体の製造方法

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JP2003086415A
JP2003086415A JP2001276946A JP2001276946A JP2003086415A JP 2003086415 A JP2003086415 A JP 2003086415A JP 2001276946 A JP2001276946 A JP 2001276946A JP 2001276946 A JP2001276946 A JP 2001276946A JP 2003086415 A JP2003086415 A JP 2003086415A
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electromagnetic actuator
iron
iron powder
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JP2001276946A
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English (en)
Inventor
Kota Maruyama
宏太 丸山
Wataru Yagi
渉 八木
Yoshiharu Iyoda
義治 伊豫田
Ichiro Arita
一郎 有田
Toshiya Kojima
敏也 小島
Makoto Okabayashi
真 岡林
Naoki Kamiya
直樹 神谷
Masanori Abe
正紀 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rikogaku Shinkokai
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Rikogaku Shinkokai
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透磁率を高くつつ、比抵抗を高めるのに有利な
モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子、モータ又
は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子の製造方法、モータ
又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体、モータ又は電
磁アクチュエータ用軟磁性成形体の製造方法を提供す
る。 【解決手段】軟磁性粒子では、鉄を主要成分とする鉄粉
粒子に表面にソフトフェライト層が被覆されている。必
要に応じて、鉄粉粒子に対して結晶粒数・低減工程を実
施できる。この製造方法では、上記したモータ又は電磁
アクチュエータ用軟磁性粒子を主要素とする粉末集合体
を用意する工程と、その粉末集合体を加圧成形して互い
に結合することにより軟磁性成形体を得る結合工程とを
実施する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、交流駆動されるモ
ータ又は電磁アクチュエータに装備される軟磁性コアに
使用される軟磁性粒子の製造方法、軟磁性成形体及び軟
磁性成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の産業機器等の進歩に伴い、軟磁性
材料は、従来よりも更に高い透磁率を有することが要望
されている。更に、高い透磁率の他に、鉄損等の低減を
図るため、高い比抵抗を有することが求められている。
これらの要求に対し、これまでに種々の研究が進めら
れ、種々の軟磁性成形体に係る技術が提案されてきた。
【0003】特開平5−326289号公報には、Fe
−Al系の鉄系粉末を大気中で熱処理することにより粉
末粒子の表面を選択的に酸化し、粉末粒子の表面に比抵
抗の高いアルミ酸化物、鉄酸化物の膜を形成した軟磁性
粒子を形成し、その軟磁性粒子の粉末集合体を高温高圧
下で成形して高密度の磁芯を製造する技術が開示されて
いる。
【0004】特開平5−47541号公報には、ドラム
内に軟磁性金属粒子とソフトフェライトとを装入した状
態で機械的に攪拌させてメカノフュージョンを実施する
ことにより、軟磁性金属粒子の表面にソフトフェライト
層を機械的に被覆し、その軟磁性金属粒子の粉末集合体
をプラズマ活性化焼結することにより磁性コアを製造す
る技術が開示されている。
【0005】特開平8−167519号公報には、軟磁
性の金属粉末粒子の表面に、高い比抵抗をもつガラス状
の酸化物を被覆し、その軟磁性金属粉末粒子の粉末集合
体を高温・高圧焼結することにより、軟磁性成形体を製
造する技術が開示されている。
【0006】特開平9−180924号公報には、Si
2からなる酸化物微粒子を含む絶縁層によって金属粉
末粒子を覆い、この絶縁層を介して金属粉末粒子同士を
接合して軟磁性成形体を製造する技術が開示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記した各従来技術に
よれば、軟磁性成形体の比抵抗を高め得るため、交流磁
場で使用される場合であっても、軟磁性成形体に発生す
る渦電流を抑えることができ、ひいては渦電流により損
失を抑えることができる。しかしながら、上記した各従
来技術には比抵抗の値は満足いくものの、軟磁性成形体
の透磁率の値について必ずしも満足できるものではなか
った。殊に、モータ等に装備される固定子コアや回転子
コアに使用される軟磁性粒子、軟磁性成形体としては、
透磁率の値については必ずしも充分ではなかった。
【0008】上記した特開平5−47541号公報に係
る技術によれば、ドラム内に軟磁性金属粒子とソフトフ
ェライトとを装入した状態で機械的に攪拌させてメカノ
フュージョンを実施することにより、軟磁性金属粒子の
表面にソフトフェライト層を機械的に被覆することにし
ているが、この場合には、機械的な攪拌に起因して軟磁
性金属粒子に応力歪みが生じ、期待する磁気特性を得る
には不利である。更にメカノフュージョンにより軟磁性
金属粒子の表面にソフトフェライト層を被覆した場合に
は、軟磁性金属粒子とソフトフェライト層との境界に微
小な隙間が生成することが多くあり、この隙間が磁気ギ
ャップの要因となり、透磁率を低下させるおそれがあ
る。
【0009】本発明は上記した実情に鑑みてなされたも
のであり、比抵抗を高くしつつ、透磁率を高くするのに
有利なモータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子、モ
ータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子の製造方法、
モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体、モータ
又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体の製造方法を提
供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者はモータや電磁
アクチュエータに使用される軟磁性粒子、軟磁性成形体
に関する技術について鋭意開発を進めている。そして、
鉄を主要成分とする鉄粉粒子に表面に、フェライトメッ
キによりソフトフェライト層を被覆すれば、比抵抗を高
めつつ透磁率を高めることができ、しかも鉄粉粒子の表
面とソフトフェライト層との間の磁気ギャップの主因と
なる隙間を低減又は解消することができ、これにより交
流磁場が作用する用途に使用したとき、渦電流を低減で
き、ひいては渦電流による損失を低減するのに有利であ
ることを知見し、試験で確認し、本発明を完成した。
【0011】即ち、本発明に係るモータ又は電磁アクチ
ュエータ用軟磁性粒子は、鉄を主要成分とする鉄粉粒子
に表面に、フェライトメッキによりソフトフェライト層
が被覆されていることを特徴とするものである。
【0012】本発明に係るモータ又は電磁アクチュエー
タ用軟磁性粒子の製造方法は、鉄を主要成分とする鉄粉
粒子を用意する工程と、フェライトメッキにより前記鉄
粉粒子に表面にソフトフェライト層を被覆する被覆工程
とを含むことを特徴とするものである。
【0013】本発明に係るモータ又は電磁アクチュエー
タ用軟磁性成形体は、請求項1〜7のいずれか一項に係
る軟磁性粒子を主要素とする粉末集合体が互いに接合さ
れていることを特徴とするものである。
【0014】本発明に係るモータ又は電磁アクチュエー
タ用軟磁性成形体の製造方法は、請求項1〜7のいずれ
か一項に係る軟磁性粒子を主要素とする粉末集合体を用
意する工程と、軟磁性粒子の粉末集合体を加圧成形して
互いに結合することにより軟磁性成形体を得る結合工程
とを実施することを特徴とするものである。
【0015】ソフトフェライト層は、基本的には、鉄酸
化物を主要成分とする高絶縁性をもつ複合酸化物層であ
り、高い比抵抗、高い透磁率を有する。故に、鉄を主要
成分とする鉄粉粒子の表面にソフトフェライト層が被覆
されていれば、高い比抵抗、高い透磁率を発現させるの
に有利となる。従って、高周波交流磁場等の交流磁場が
作用する用途で使用されるときにおいて、渦電流が小さ
くなり、渦電流で生じる損失が低減される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係る鉄粉粒子としては、
純鉄(Fe)、鉄−アルミニウム系(Fe−Al系)、
鉄−シリコン系(Fe−Si系)、鉄−ニッケル系(F
e−Ni系)、鉄−シリコン−アルミニウム(Fe−S
i−Al系)、鉄−クロム系(Fe−Cr系)、鉄−コ
バルト系(Fe−Co系)の少なくとも1種を採用で
き、場合によってはアモルファスであっても良い。鉄粉
粒子においては、重量比でCは0.1%以下、殊に0.
01%以下とすることができ、Oは0.5%以下、殊に
0.1%以下とすることができる。鉄粉粒子としては、
水アトマイズ法で製造したものでも良いし、ガスアトマ
イズ法で製造したものでも良いし、場合によっては、機
械的破砕法で製造したものでも良い。
【0017】鉄粉粒子の粒径が過剰に小さいと、満足す
る磁気時性が得られにくい。鉄粉粒子の粒径が過剰に大
きいと、軟磁性成形体を圧縮成形する際に圧縮成形性が
低下する。従って、鉄粉粒子の粒径としては10μm〜
2000μm、10μm〜1000μm、好ましくは5
0〜250μm、更に好ましくは100μm〜200μ
mを採用することができる。粒径を揃えた鉄粉粒子を用
いることができる。また、軟磁性成形体の密度を高める
ためには、粒径を揃えた鉄粉粒子を用いるよりも、大き
い粒径をもつ鉄粉粒子と小さい粒径をもつ鉄粉粒子とを
併せて用いることもできる。
【0018】ソフトフェライト層としては一般的にスピ
ネル型構造を採用できる。スピネル型構造は結晶磁気異
方性が比較的小さいため、透磁率、飽和磁束密度が高
い。この場合ソフトフェライト層としては、(Fe,
M)34の組成式をもつ形態を採用できる。Mは鉄(F
e)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン
(Mn)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、アルミニウ
ム(Al)、チタン(Ti)の少なくとも1種とするこ
とができる。上記したMがNi、Znのときには、Ni
Znソフトフェライトとも呼ばれる。ソフトフェライト
層の厚みは、メッキ粒子の大きさ、ソフトフェライト層
の組成、鉄粉粒子の粒子径等にもよるが、0.01μm
〜10μm、殊に0.01μm〜2μm、0.2μm〜
1μmとすることができる。ソフトフェライト層の厚み
が過剰であると、ソフトフェライト層を生成する時間が
長くなり、工業的生産の面では好ましくない。ソフトフ
ェライト層の厚みが過小であると、軟磁性粒子及び軟磁
性成形体の所望の比抵抗が得られにくくなり、交流磁場
で使用したとき、渦電流で生じる損失が増加するおそれ
がある。
【0019】ソフトフェライト層はフェライトメッキに
より鉄粉粒子に被覆されている。この場合、ソフトフェ
ライト層は、鉄粉粒子の全表面または実質的に全表面に
被覆されていても良いし、場合によっては、鉄粉同士の
結合性を考慮すれば、鉄粉粒子の表面に部分的に被覆さ
れている形態でも良い。フェライトメッキは、低温(一
般的には20〜120℃)で水溶液等の溶液から、強磁
性及び絶縁性を有する鉄酸化物を主要成分とするソフト
フェライト層を生成するメッキ法であり、メッキ液と鉄
粉粒子とを接触させることによりソフトフェライト層を
鉄粉粒子に被覆することができる。
【0020】メッキ液としては、一般的には、鉄イオン
(Fe2+)と他の金属イオン(Mn+)とを含む水溶液を
採用できる。他の金属イオンとしては、コバルトイオ
ン、ニッケルイオン、マンガンイオン、亜鉛イオン、ク
ロムイオン、アルミニウムイオン、チタンイオンの少な
くとも1種を例示できる。鉄イオン(Fe2+)、他の金
属イオン(Mn+)が、粉粒体の表面のOH基を介して吸
着される。亜硝酸イオン(NO2 -)、空気等の酸化剤を
メッキ液に導入することにより、Fe2+→Fe3+の酸化
反応を伴いつつ、鉄粉粒子の表面にソフトフェライト層
が生成すると推察されている。このように形成したソフ
トフェライト層は一般的にはスピネル型構造を有すると
されている。
【0021】本発明に係るソフトフェライト層を鉄粉粒
子の表面に被覆する被覆工程に先だって、鉄粉粒子を加
熱雰囲気で高温に加熱することにより、一個の鉄粉粒子
における結晶粒の数を加熱前に比較して低減させる結晶
粒数・低減工程を行う形態を採用することができる。こ
の場合、切断面でみたとき一個の鉄粉粒子における結晶
粒の数が平均で10個以内又は5個以内に設定されてい
ることが好ましい。これにより鉄粉粒子における結晶粒
のサイズが大きくなり、鉄粉粒子の透磁率が高くなる。
上記した結晶粒数・低減工程により鉄粉粒子の単結晶化
を促進させることもできる。単結晶化すれば、軟磁性粒
子の透磁率を高めるのに有利となる。
【0022】上記した結晶粒数・低減工程において鉄粉
粒子を加熱する加熱雰囲気としては、非酸化性雰囲気が
好ましい。非酸化性雰囲気としては還元性雰囲気(例え
ば水素ガス雰囲気、水素ガス含有雰囲気)、真空雰囲
気、アルゴンガス雰囲気が例示される。還元性雰囲気の
場合には、鉄粉粒子の表面の還元を図ることができるた
め、鉄粉粒子の主成分である鉄が本来もつ透磁率を確保
するのに有利である。結晶粒数・低減工程における加熱
温度が高ければ、一個の鉄粉粒子における結晶粒の数の
低減を図り、高い透磁率を得るのに有利であるが、消費
熱エネルギが大きくなり、製造コスト的に不利となる。
従って結晶粒数・低減工程における加熱温度としては、
粒子の材質、要請される透磁率、コスト等の要因を考慮
して選択され、一般的には750〜1350℃を採用で
きる。従って上記要因の重視度合に応じて、加熱温度の
上限値としては1320℃、1280℃、1250℃等
を例示できる。加熱温度の下限値としては780℃、8
20℃、860℃等を例示できる。一個の鉄粉粒子にお
ける結晶粒の数の低減、製造コスト等の両立を考慮すれ
ば、加熱温度としては800〜1320℃の範囲、82
0〜1280℃の範囲、850〜1220℃の範囲、9
00〜1100℃の範囲が好ましい。但しこれらに限定
されるものではない。加熱時間としては、要請される透
磁率、加熱温度にもよるが、一般的には20分間〜2時
間、30〜90分間を採用することができるが、10分
間以上が好ましい。なお、粒子の粉末集合体は、同一重
量、同一組成の金属塊体に比較して比表面積が大きいた
め、内部への伝熱が速やかに行われ、結晶粒を低減させ
るための加熱時間は、同一材質の金属塊体を加熱する場
合に比較して短時間で済む。
【0023】鉄粉粒子に酸化膜が生成されている場合で
あっても、結晶粒数・低減工程における加熱雰囲気が還
元性雰囲気であるときには、鉄粉粒子に生成されている
酸化膜の除去、低減を期待することができ、フェライト
メッキの均一化に貢献できる。結晶粒数・低減工程にお
ける加熱方式としては特に限定されず、加熱炉内で伝熱
加熱、輻射加熱することにしても良いし、誘導加熱する
ことにしても良い。
【0024】軟磁性粒子の粉末集合体の全体を100重
量%としたとき、あるいは、軟磁性成形体の全体を10
0重量%とした場合、切断面でみたとき、一個の鉄粉粒
子における結晶粒の数が平均でn個以内(n=10)に
設定されている鉄粉粒子が80重量%以上、殊に90重
量%以上を占めることが好ましい。なおn=7とするこ
とができる。あるいはn=5又はn=3とすることもでき
る。
【0025】また、軟磁性粒子の粉末集合体の全体を1
00重量%としたとき、あるいは、軟磁性成形体の全体
を100重量%とした場合、切断面でみたとき、単結晶
化された鉄粉粒子が80重量%以上、殊に90重量%以
上を占める形態を採用することもできる。
【0026】また、上記した結晶粒数・低減工程を鉄粉
粒子に対して行えば、鉄粉粒子内の結晶粒のサイズが大
きくなり、鉄粉粒子の硬度低下を期待できるため、加圧
成形する際の圧縮が容易となり、軟磁性成形体の密度を
高めるのに有利である。この場合、軟磁性成形体の透磁
率の向上、機械的強度の向上を図るのに有利である。
【0027】本発明によれば、上記した被覆工程に先だ
って、鉄粉粒子と酸とを接触させる酸接触工程を実施す
ることができる。この場合、鉄粉粒子を酸又は酸水溶液
に浸漬させることが好ましい。鉄粉粒子の表面に生成し
ている自然酸化膜が酸接触工程により除去され、鉄粉粒
子の表面に新生面を露出させることができ、ソフトフェ
ライトを生成するフェライトメッキのムラを低減させる
のに有利である。従ってソフトフェライト層の被覆の均
一化を図り、ソフトフェライト層のムラを低減できる。
酸接触工程で使用する酸として、塩酸、硝酸、硫酸等を
例示することができる。酸の濃度が過剰であると、鉄粉
粒子が溶けて鉄粉粒子の径が予想外に変わってしまう
し、反応が早すぎて鉄粉粒子の径を制御しにくい。酸の
濃度が過小であると、酸接触工程に時間を要し、工業生
産の面では好ましくない。従って酸の濃度としては、酸
の種類、鉄粉粒子の組成にもよるが、vol%で、0.
01〜10%を採用でき、好ましく0.1〜1%、0.
5〜0.8%(0.7%)が良いが、これらに限定され
るものではない。酸接触工程の時間としては、酸の種
類、鉄粉粒子の組成にもよるが、5秒〜10分、殊に3
0秒〜3分を例示できるが、これに限定されるものでは
ない。なお、結晶粒数・低減工程と酸接触工程との双方
を実施する場合には、結晶粒数・低減工程の後で酸接触
工程を実施することができる。
【0028】還元性雰囲気において結晶粒数・低減工程
を実施した後に、酸接触工程を実施する場合には、結晶
粒数・低減工程において結晶粒数の低減を図り得るばか
りか、鉄粉粒子の表面に生成している酸化膜の低減また
は解消も図り得る。このため、結晶粒数・低減工程後に
実施する酸接触工程における酸接触時間の短縮化、酸濃
度の低減に有利である。
【0029】本発明に係るモータ又は電磁アクチュエー
タ用軟磁性成形体は、上記したように製造した軟磁性粒
子の粉末集合体が互いに接合されて構成されている。モ
ータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体を製造する
にあたり、上記した軟磁性粒子を主要素とする粉末集合
体を用意する工程と、その軟磁性粒子の粉末集合体を加
圧成形して互いに結合することにより軟磁性成形体を得
る結合工程とを実施することができる。加圧成形として
は、成形型加圧方式、静水圧加圧方式(CIP)などを
例示できる。加圧力としては鉄粉粒子の種類、加圧成形
の温度などによって相違するものの、2.0〜10to
nf/cm2(≒196〜980MPa)、殊に4.5
〜7tonf/cm2(≒441〜686MPa)を例
示することができるが、これらに限定されるものではな
い。加圧時間としては鉄粉粒子の種類、加圧成形の温度
などによって相違するものの、5〜120秒、殊に10
〜60秒を例示することができるが、これらに限定され
るものではない。加圧成形の雰囲気としては、大気雰囲
気、非酸化性雰囲気(アルゴンガス雰囲気、真空雰囲気
等)を例示することができる。
【0030】軟磁性成形体としては、モータの固定子コ
ア、モータの回転子コア、電磁アクチュエータの軟磁性
コアの少なくとも一方に適用することができる。従っ
て、モータの固定子コアに適用しても良いし、モータの
回転子コアに適用しても良いし、電磁アクチュエータの
軟磁性コアに適用しても良い。モータとしては、公知の
モータで有れば良く、回転式モータ、リニア式モータを
含む。電磁アクチュエータは、コイルに通電することに
よって、磁力または電磁力により操作子を作動させるも
のを意味し、プランジャ型のソレノイド装置、油圧回路
または空圧回路といった流体回路等に使用される電磁弁
を含む。
【0031】
【実施例】本発明の実施例を具体的に説明する。(第1
実施例) (1)下記の軟磁性をもつ鉄粉粒子の粉末集合体を用意
した。
【0032】組成:重量比で、Fe−0.004%C−
0.25%O−0.01%Si−0.01Mn−0.0
01%P 製法:ガスアトマイズ法 粒子粒径:50〜150μm 上記したように粒子粒径を50〜150μmと広く分散
させたのは、軟磁性成形体の高密度化のためには、粒径
を揃えた鉄粉粒子だけを用いるよりも、大きい粒径をも
つ鉄粉粒子と小さい粒径をもつ鉄粉粒子とを併用するこ
とが好ましいからである。また製造コスト面からも不利
である。図1、図2は、ガスアトマイズ法で製造された
出発原料としての鉄粉粒子の電子顕微鏡写真(TEM)
を示す。
【0033】(2)次に鉄粉粒子の粉末集合体を還元性
雰囲気(水素雰囲気)において高温(1000℃×1時
間)に加熱することにより、鉄粉粒子の結晶粒数・低減
工程を行った。一個の鉄粉粒子の切断面における結晶粒
の数は、加熱前において平均で15個以上であったが、
加熱後には平均で8個以下に低減されていた。これに伴
い一個の鉄粉粒子において結晶粒のサイズが増大化して
いた。
【0034】(3)次に上記した結晶粒数・低減工程を
行った鉄粉粒子と酸とを接触させる酸接触工程を常温領
域において実施した。この場合、塩酸水溶液(vol%
で約0.7%)に鉄粉粒子を約10分間浸漬させた。酸
接触工程の目的は、鉄粉粒子の表面に生成していた酸化
膜を除去することである。なお上記した塩酸水溶液の濃
度は上記に限定されるものでなく、適宜変更できるもの
であり、鉄粉粒子の表面に生成している酸化膜を除去で
きればよい。
【0035】(4)上記した酸接触工程を経た鉄粉粒子
の粉末集合体に対してフェライトメッキ処理を行った。
図7に示すように、酸化剤供給槽10、処理槽12、メ
ッキ液供給槽14、アンモニア容器16を用意した。メ
ッキ液供給槽14に、塩化鉄水溶液(3g/300m
l)、塩化ニッケル水溶液(0.717g/300m
l)、塩化亜鉛水溶液(0.081g/300ml)を
投入した。酸化剤供給槽10には亜硝酸ソーダ水溶液
(1.0g/500ml)を投入した。なお、塩化鉄水
溶液、塩化ニッケル水溶液、塩化亜鉛水溶液、亜硝酸ソ
ーダ水溶液の濃度は上記に限定されるものではなく、適
宜変更できる。
【0036】そして、酸接触工程を経た鉄粉粒子を処理
槽12内に装入すると共に、第1定量ポンプ10aのホ
ース10c、第2定量ポンプ14aのホース14c、超
超音波振動子20、PH電極22を処理槽12内に装入
した。超音波振動子20の振動作用により処理槽12内
の鉄粉粒子が分散していることを確認した後に、第1定
量ポンプ10aにより酸化剤供給槽10内の酸化剤水溶
液を処理槽12内に供給すると共に、第2定量ポンプ1
4aによりメッキ液供給槽14内のメッキ液を処理槽1
2に供給し、フェライトメッキ処理を鉄粉粒子に実施し
た。
【0037】フェライトメッキ処理を実施するにあた
り、滴定ポンプ16aによりアンモニア水を処理槽12
に適宜滴下した。単位時間当たりの供給量としては、メ
ッキ液が3.0ml/分、酸化剤が2.0ml/分、ア
ンモニア水が4.3ml/分とした。但しこれに限定さ
れるものではない。フェライトメッキ処理では、処理槽
12内が酸性となるため、pHモニタでpH6.0に保
持した。フェライトメッキ処理の進行に伴い、処理槽1
2内のメッキ液は青緑→茶色→黒色化した。
【0038】フェライトメッキ処理により、鉄粉粒子の
表面にソフトフェライト層が被覆された。フェライトメ
ッキ処理の終了後、処理槽12内の鉄粉粒子を磁石によ
り吸着させて処理槽12から取り出した。取り出した鉄
粉粒子をろ紙の上に移し、純水を用いて鉄粉粒子を濾過
洗浄した。更にエタノールを用いて鉄粉粒子を濾過洗浄
した。
【0039】図8(A)はこのように形成した軟磁性粒
子の概念図を模式的に示す。図8(A)に示すように、
結晶粒が大きくされた鉄粉粒子100の表面の全域には
ソフトフェライト層200が被覆されている。また図8
(B)は上記した結晶粒数・低減工程を行なわずに形成
した軟磁性粒子の概念図を模式的に示す。図8(B)に
示すように、結晶粒数・低減工程を経ていない鉄粉粒子
100Aでは、一個の鉄粉粒子において多くの結晶粒が
生成している。鉄粉粒子100Aの表面にはソフトフェ
ライト層200が被覆されている。
【0040】図3、図4は、上記したように酸接触工程
の後でフェライトメッキ処理を実施した後の鉄粉粒子の
電子顕微鏡写真(TEM)を示す。図3、図4から理解
できるように、酸接触工程を経た場合には、フェライト
層は均一に生成していた。また図5は、上記した酸接触
工程を実施することなくフェライトメッキ処理を実施し
た後の鉄粉粒子の電子顕微鏡写真(TEM)を示す。図
5に示すように、上記した酸接触工程を実施することな
くフェライトメッキ処理を実施した場合には、鉄粉粒子
の表面にソフトフェライト層が被覆されるものの、鉄粉
粒子の表面の一部にソフトフェライト層が被覆されてい
ない未生成部分も存在していた。従ってソフトフェライ
ト層の均一被覆性を考慮すれば、フェライトメッキ処理
に先だって、鉄粉粒子に対して酸接触工程を実施するこ
とが好ましい。但し、酸化膜が実用上支障がないときに
は、酸接触工程を実施せずとも良い。
【0041】(5)このようにして製造された軟磁性粒
子の粉末集合体を図略の成形型のキャビティに装填した
後に加圧成形し、軟磁性粒子を互いに結合させる結合工
程を実施した。これにより軟磁性成形体(直径:30m
m,高さ10mmの円柱)を形成した。加圧成形の条件
としては、温間成形(大気中で450℃)であり、面圧
は7.0tonf/cm2 (≒686MPa)とした。
図6は、上記したように加圧成形した軟磁性成形体の光
学顕微鏡写真(ナイタールエッチ後)を示す。図6に示
すように、軟磁性粒子が互いに接合しており、軟磁性粒
子の周囲にはソフトフェライト層が積層されている。そ
してソフトフェライト層が3次元ネットワーク状に形成
されていることがわかる。なお、この軟磁性成形体の密
度は7.4〜7.7であった。
【0042】(6)上記したように形成した軟磁性成形
体について、比抵抗、透磁率を測定し、その関係を求め
た。比抵抗については、軟磁性成形体(直径:30m
m,高さ10mmの円柱)を用い、室温にて4端子法で
測定した。透磁率については、軟磁性成形体(直径:3
0mm,高さ10mmの円柱)から、試験片(外径12
mm×内径8mm×高さ2mm)を取り出し、試験片に
ついて初期透磁率μiを測定した。測定結果を図9に示
す。図9において、△印は開発材1に相当する。○印は
開発材2に相当する。
【0043】開発材1においては、鉄粉粒子の材質は純
鉄(平均粒径:100μm)、ソフトフェライト層はN
iZnソフトフェライト(厚み:約200nm=約0.
2μm)とした。開発材2においては、鉄粉粒子の材質
は純鉄(平均粒径:100〜250μm)、ソフトフェ
ライト層はNiZnソフトフェライト(厚み:約200
nm=約0.2μm)とした。比較材1は、従来技術で
述べた従来文献1(特開平5−326289号公報)に
準じる技術であり、選択酸化により鉄粉粒子の表面に鉄
酸化物の絶縁膜を被覆したものである。比較材1におい
ては、鉄粉粒子の材質はFe−3wt%Si(平均粒
径:100μm)、絶縁層はSiO2(厚み:約150
nm)とした。比較材2は、従来技術で述べた従来文献
2(特開平5−47541号公報)に準じる技術であ
り、メカノフュージョンにより鉄粉粒子の表面にソフト
フェライト層を被覆したものである。比較材2において
は、鉄粉粒子の材質は純鉄(平均粒径:100μm)、
絶縁層はMnZnソフトフェライト(厚み:約2μm)
とした。比較材3は、従来技術で述べた従来文献3(特
開平8−167519号公報)に準じる技術であり、ガ
ラスコートにより鉄粉粒子の表面に絶縁膜を被覆したも
のである。比較材3においては、鉄粉粒子の材質は純鉄
(平均粒径:100μm)、絶縁層はリン酸系ガラス
(厚み:約40nμm)とした。
【0044】図9から理解できるように、開発材1、開
発材2によれば、高い比抵抗を実現しつつも高い透磁率
を得ることができた。これに対して比較材1〜比較材3
は、透磁率は充分ではなかった。
【0045】(第2実施例)第2実施例は第1実施例と
基本的には同様の構成であり、第1実施例と同様の作用
効果を奏する。第2実施例では軟磁性成形体の成形条件
は第1実施例に基づいた。第2実施例においては、鉄粉
粒子には結晶粒数・低減工程は実施されていないもの
の、酸接触処理を実施した鉄粉粒子について、フェライ
トメッキ処理が実施されている。第2実施例で製造され
た軟磁性粒子を加圧成形して形成した軟磁性成形体によ
れば、高い比抵抗を実現しつつも、高い透磁率を得るこ
とができる。
【0046】(第3実施例)第3実施例は第1実施例と
基本的には同様の構成であり、第1実施例と同様の作用
効果を奏する。第3実施例では軟磁性成形体の成形条件
は第1実施例に基づいた。第3実施例によれば、鉄粉粒
子には結晶粒数・低減工程は実施されているものの、酸
接触工程は実施されていない。従って、結晶粒数・低減
工程を経ているものの、酸接触工程を経ていない鉄粉粒
子について、フェライトメッキ処理を実施した。第3実
施例で製造された軟磁性粒子を加圧成形して形成した軟
磁性成形体によれば、高い比抵抗を実現しつつも、高い
透磁率を得ることができる。但し、酸接触工程が実施さ
れていないため、鉄粉粒子に被覆されたソフトフェライ
ト層には多少ムラがあった。
【0047】(予備試験)上記した軟磁性成形体を製造
するに先だって、鉄粉粒子の粒径の最適サイズを選択す
る予備試験を行った。この予備試験では、鉄粉粒子とし
て純鉄粉を用い、温間成形により圧粉体を形成し、粉末
粒度の影響を調べた。この場合には、予備試験であるた
め、純鉄粉にはフェライトメッキを施していない。予備
試験の結果を図10〜図12に示す。図10に示すよう
に、ふるい分け前の最大透磁率は1000程度あった。
図10に示すように、粒径が45μm以下の場合には、
最大透磁率は650程度であった。粒径が100〜25
0μmの範囲の場合、粒径が160〜250μmの場
合、粒径が250越〜430μmの場合には、共に最大
透磁率は1100を越えていた。
【0048】更に、鉄粉粒子の粉末粒度と軟磁性成形体
の密度との関係を測定し、同様に、粉末粒度と軟磁性成
形体の磁束密度との関係を測定した。測定結果を図11
に示す。この場合には、予備試験であるため、フェライ
トメッキを施さない鉄粉粒子を用いた。軟磁性成形体の
成形条件としては、温度が450℃、加圧力が7ton
f/cm2(≒686MPa)とした。図11において
○印は軟磁性成形体の密度を示す。△は軟磁性成形体の
磁束密度を示す。図12から理解できるように、粒径が
45μm以下と小さな場合には、軟磁性成形体の密度は
急激に低下しており、強度確保の面で好まくない。但し
粒径が45μm以下の場合でも、軟磁性成形体の磁束密
度の低下は少なかった。
【0049】更に、鉄粉粒子の粉末粒度と軟磁性成形体
の比抵抗との関係を測定し、同様に、粉末粒度と軟磁性
成形体の抗折強度との関係を測定した。測定結果を図1
2に示す。この場合には、予備試験であるため、フェラ
イトメッキを施さない鉄粉粒子を用いた。図12におい
て○印は比抵抗(ρ:μΩcm)を示す。△は抗折強度
(Rtr:kgf/mm2)を示す。図12から理解で
きるように、鉄粉粒子の粒度が大きいと、比抵抗が小さ
くなる傾向がみられた。抗折強度については、鉄粉粒子
の粒度の変化は抗折強度にあまり影響しなかった。
【0050】(適用例)図13は、車両等に搭載される
スイッチトリラクタンスモータ(SRM:Switched Rel
uctance Motor)に適用した適用例を模式的に示す。スイ
ッチトリラクタンスモータは、固定子コア600と、固
定子コア600内に回転可能に配置された回転子コア7
00とを有する。固定子コア600は、大きい径を有す
る第1リング体610と、第1リング体610の径内方
向に突出した複数個の内向き突起620とを有する。回
転子コア700は、軸孔711を有すると共に第1リン
グ体610よりも径が小さい第2リング体710と、第
2リング体710の径外方向に突出した複数個の外向き
突起720とを有する。軸孔711には回転軸712が
嵌着されている。固定子コア600の各内向き突起62
0には、回転磁界を得るための巻線コイル650が装備
されている。回転子コア700には巻線コイルが装備さ
れていないため、構造の簡素化を図り得る。回転子コア
700及び固定子コア600の一方又は双方を、本発明
に係る軟磁性成形体で形成することができる。
【0051】具体的には、回転子コア700の第2リン
グ体710及び外向き突起720を、本発明に係る軟磁
性成形体で形成することができる。また固定子コア60
0の第1リング体610及び内向き突起620を、本発
明に係る軟磁性成形体で形成することができる。
【0052】このようにすれば、透磁率を高めつつ、比
抵抗を高め得るため、交流磁場の周波数が高いときであ
っても、渦電流を抑えることができ、ひいては渦電流に
起因する損失を低減させることができる。スイッチトリ
ラクタンスモータによれば、トルク/イナーシャ比が高
いので、反転可能であり、高速で、しかも大トルクで可
変速駆動することができる。
【0053】図14は上記したスイッチトリラクタンス
モータに使用される回転子の一例を示す。図14に示す
例によれば、回転子コア700Bは、軸孔711Bを有
する第2リング体710Bと、第2リング体710Bの
径外方向に突出した複数個の外向き突起720Bとを有
する。回転子コア700Bは本発明に係る軟磁性成形体
で形成されている。回転子コア700Bの軸孔711B
には、回転軸712B(材質:SCM20)が嵌着され
ている。
【0054】図15は電磁アクチュエータの一例である
プランジャ型のソレノイド装置800を示す。ソレノイ
ド装置800は、室811を有する有底筒形状の軟磁性
コア810と、軟磁性コア810の室811内に保持さ
れた励磁コイル820と、室811に挿入された操作子
としての可動プランジャ830と、可動プランジャ83
0に繋がる復帰バネ840とを有する。励磁コイル82
0への通電に伴い、プランジャ830は移動する。励磁
コイル820の非通電時には、復帰バネ840のバネ力
によりプランジャ830を元の位置に復帰させる。
【0055】(その他)なお、本発明に係る軟磁性成形
体は上記したスイッチトリラクタンスモータ(SRM)
に限らず、DCモータ、誘導モータ、同期モータの固定
子コアや回転子コア等にも適用することができ、またソ
レノイド装置800に限らず電磁アクチュエータとして
の電磁弁の軟磁性コアにも適用することができる。鉄粉
粒子の材質、粒径は第1実施例で使用したものに限定さ
れるものではなく、適宜変更することができる。第1実
施例ではフェライトメッキ処理は図7に示す装置で実施
されるが、この装置に限定されるものではない。本発明
は上記し且つ図面に示した実施例、適用例のみに限定さ
れるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更
して実施できるものである。
【0056】
【発明の効果】本発明に係るモータ又は電磁アクチュエ
ータ用軟磁性粒子、その製造方法によれば、透磁率を高
めつつ、比抵抗を高めるのに有利である。
【0057】本発明に係るモータ又は電磁アクチュエー
タ用軟磁性成形体、その製造方法によれば、透磁率を高
めつつ、比抵抗を高めるのに有利である。本発明に係る
モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体によれ
ば、多数枚のケイ素鋼板を厚み方向に積層して軟磁性成
形体を形成する場合に比較して、形状の自由度を拡大す
るのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例で用いたる鉄粉粒子の電子顕微鏡写
真(倍率:1000倍)である。
【図2】第1実施例で用いた鉄粉粒子の電子顕微鏡写真
(倍率:5000倍)である。
【図3】第1実施例で用いた鉄粉粒子の表面にフェライ
ト層を被覆した状態を示す電子顕微鏡写真(倍率:50
0倍)である。
【図4】第1実施例で用いた鉄粉粒子の表面にフェライ
ト層を被覆した状態を示す電子顕微鏡写真(倍率:50
0倍)である。
【図5】酸接触工程を経ていない鉄粉粒子の表面にフェ
ライト層を被覆した状態を示す電子顕微鏡写真(倍率:
500倍)である。
【図6】第1実施例で用いた鉄粉粒子の表面にフェライ
ト層を被覆した軟磁性粒子の集合体を加圧成形して形成
した軟磁性成形体の光学顕微鏡写真である。
【図7】フェライトメッキ処理を鉄粉粒子に対して行う
装置の概略図である。
【図8】(A)は第1実施例で用いた鉄粉粒子の表面に
フェライト層を被覆した状態の軟磁性粒子を模式的に示
す概念図であり、(B)は結晶粒数・低減工程を経てい
ない鉄粉粒子の表面にフェライト層を被覆した状態の軟
磁性粒子を模式的に示す概念図である。
【図9】軟磁成形体の比抵抗と初期透磁率との関係を示
すグラフである。
【図10】予備試験の結果を示すものであり、鉄粉粒子
の粒度と透磁率との関係を示すグラフである。
【図11】予備試験の結果を示すものであり、鉄粉粒子
の粒度と軟磁性成形体の密度との関係を示すグラフであ
る。
【図12】予備試験の結果を示すものであり、鉄粉粒子
の粒度と軟磁性成形体の比抵抗、抗折強度との関係を示
すグラフである。
【図13】適用例を示し、スイッチトリラクタンスモー
タ(SRM)の概略を示す構成図である。
【図14】適用例を示し、スイッチトリラクタンスモー
タ(SRM)の回転子コアの概略を示す構成図である。
【図15】電磁アクチュエータの一例であるプランジャ
型のソレノイド装置を示す構成図である。
【符号の説明】
図中、600は固定子コア、650は巻線コイル、70
0は回転子コアを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八木 渉 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 伊豫田 義治 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 有田 一郎 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 小島 敏也 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 岡林 真 愛知県刈谷市朝日町2丁目1番地 アイシ ン精機株式会社内 (72)発明者 神谷 直樹 愛知県刈谷市八軒町5丁目50番地 株式会 社イムラ材料開発研究所内 (72)発明者 阿部 正紀 東京都大田区北嶺町5−8−502 Fターム(参考) 4K018 BA14 BC22 5E041 AA01 AA02 AA03 AA04 AA05 AA07 BC01 CA04 CA10 HB05 HB14 HB17 NN01 NN05 NN06 (54)【発明の名称】 モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子、モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子の製 造方法、モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体、モータ又は電磁アクチュエータ用軟磁 性成形体の製造方法

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄を主要成分とする鉄粉粒子に表面に、フ
    ェライトメッキによりソフトフェライト層が被覆されて
    いることを特徴とするモータ又は電磁アクチュエータ用
    軟磁性粒子。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記ソフトフェライト
    層は、スピネル構造を有し、(Fe,M)34の組成式
    をもち、Mは鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル
    (Ni)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、クロム
    (Cr)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)の少
    なくとも1種からなることを特徴とするモータ又は電磁
    アクチュエータ用軟磁性粒子。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、前記ソフトフェ
    ライト層の厚みは0.01μm〜10μmであることを
    特徴とするモータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒
    子。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか一項において、前
    記鉄粉粒子は純鉄(Fe)、鉄−アルミニウム系(Fe
    −Al系)、鉄−シリコン系(Fe−Si系)、鉄−ニ
    ッケル系(Fe−Ni系)、鉄−シリコン−アルミニウ
    ム(Fe−Si−Al系)、鉄−クロム系(Fe−Cr
    系)、鉄−コバルト系(Fe−Co系)の少なくとも1
    種であることを特徴とするモータ又は電磁アクチュエー
    タ用軟磁性粒子。
  5. 【請求項5】モータ又は電磁アクチュエータに使用され
    る軟磁性粒子の製造方法であって、 鉄を主要成分とする鉄粉粒子を用意する工程と、フェラ
    イトメッキにより前記鉄粉粒子に表面にソフトフェライ
    ト層を被覆する被覆工程とを含むことを特徴とするモー
    タ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記被覆工程に先だっ
    て、前記軟磁性の粒子を加熱雰囲気で高温に加熱するこ
    とにより、一個の鉄粉粒子における結晶粒の数を加熱前
    に比較して低減させる結晶粒数・低減工程を行うことを
    特徴とするモータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子
    の製造方法。
  7. 【請求項7】請求項5又は請求項6のいずれかにおい
    て、前記被覆工程に先だって、前記鉄粉粒子と酸とを接
    触させる酸接触工程を実施することを特徴とするモータ
    又は電磁アクチュエータ用軟磁性粒子の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか一項に係る軟磁性
    粒子を主要素とする粉末集合体の粒子が互いに接合され
    ていることを特徴とするモータ又は電磁アクチュエータ
    用軟磁性成形体。
  9. 【請求項9】請求項8において、モータの固定子コア、
    モータの回転子コア、電磁アクチュエータの軟磁性コア
    うちの少なくとも一方に用いられることを特徴とするモ
    ータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体。
  10. 【請求項10】請求項1〜7のいずれか一項に係る軟磁
    性粒子を主要素とする粉末集合体を用意する工程と、 前記粉末集合体を加圧成形して互いに結合することによ
    り軟磁性成形体を得る結合工程とを実施することを特徴
    とするモータ又は電磁アクチュエータ用軟磁性成形体の
    製造方法。
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