JP2003084202A - 紫外領域蛍光顕微鏡、蛍光物質同定方法および洗浄度評価方法 - Google Patents

紫外領域蛍光顕微鏡、蛍光物質同定方法および洗浄度評価方法

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JP2003084202A
JP2003084202A JP2001275788A JP2001275788A JP2003084202A JP 2003084202 A JP2003084202 A JP 2003084202A JP 2001275788 A JP2001275788 A JP 2001275788A JP 2001275788 A JP2001275788 A JP 2001275788A JP 2003084202 A JP2003084202 A JP 2003084202A
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ultraviolet
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light
fluorescent
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Asao Nakatsuka
朝夫 中塚
Tatsuya Miyamoto
達也 宮本
Nobuhiro Ito
伸広 伊藤
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Miyagi Prefectural Government.
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Abstract

(57)【要約】 【課題】短波長の紫外線励起によって生じる紫外部の蛍
光を直接検出し、紫外領域の像を形成することのでき
る、簡単な構造を持つ紫外領域対応の蛍光顕微鏡を提供
する。 【解決手段】短波長の紫外光を放射する光源1と、この
中から適当な波長を選択するフィルターと、この出力さ
れた紫外光を試料3に照射する照射系と、試料3から発
せられた紫外領域の蛍光を検出器に導くための対物レン
ズとしてカセグレン鏡を有した光学系と、励起光をカッ
トし、また試料から発せられる蛍光の波長を識別するた
めのフィルター6と、紫外領域の蛍光を検出し、その蛍
光像を得るために、紫外部に充分な感度を有したCCD
カメラ7を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紫外線励起による
紫外領域の蛍光を観察することができる紫外領域蛍光顕
微鏡、蛍光物質同定方法および洗浄度評価方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】生物学的観察あるいは医学的診断の分野
などにおいては、蛍光顕微鏡は重要な役割を担ってお
り、一般的に試料は360nm近辺の近紫外光で励起
(U励起)するか、或いは450nm近辺の青色光で励
起(B励起)するか、540nm近辺の緑色光で励起
(G励起)され、励起光より波長の長い領域で発せられ
る蛍光を観察する。この場合、試料(対象物)が直接可
視部の蛍光を発することは希であり、一般的には蛍光色
素などで人工的に処理したものを試料とする。蛍光色素
の例としては、アクリジンオレンジが有り、毒性も弱く
乾燥した試料や湿った試料などの生体蛍光処理に多用さ
れており、細菌、原生動物、寄生虫、血液細胞、染色
体、RNAなどの観察に用いられる。
【0003】また、生理学的な分野においては、カルシ
ウムなどのイオンが細胞内の生理活性機能と深く結びつ
いていることが知られており、これらのイオンの生体内
における挙動を調べるために蛍光色素を添加して細胞内
のイオンと結合したものの蛍光を測定することが行われ
ている(特開平7−270307号公報参照)。この場
合、蛍光色素としてインド−1を用いたとき、350n
m励起による蛍光の波長は405nmと485nmであ
る。
【0004】また、蛍光顕微鏡は生物学的な利用の他
に、工業的な応用も可能であり、多くの特許出願が出さ
れている。内容としては、微小欠陥あるいは異物の検出
に係るものが大半を占めている。この場合も生物学的利
用と同様に、異物などからの可視部の蛍光を直接観察す
る例は特開昭56−134736号公報に記載の「レジ
ストパターン欠陥の検出」が有る程度で極めて希であ
り、特開昭62−209344号公報に記載されている
ように、蛍光物質を添加あるいは塗布して、欠陥部に補
足された蛍光物質の発する可視部の蛍光を観察する例が
ほとんどである。蛍光物質としては、ペリレン、フルオ
レセイン、エオシン、エスクリンなどがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来か
ら使用されている蛍光顕微鏡は近紫外部あるいは可視部
の励起光による可視部の蛍光を観察しているため、直接
蛍光を観察できる対象物はほとんどなく、蛍光色素など
を添加あるいは塗布して用いなければならない。そのた
め、従来型の蛍光顕微鏡の用途は極めて限定されたもの
となる。
【0006】生体試料や工業的に用いられる化学物質に
は、紫外部の光を吸収して紫外部の蛍光を発するものが
多数ある。例えばDNAの構成分子であるアデニン、チ
ミン、シトシン、グアニンなどの塩基類は紫外部の光を
吸収し、エネルギー移動により他の分子の蛍光を誘発す
るし、また、その他のヘテロ環を含む芳香性化合物、た
とえばトコフェロール類も300〜350nmに強い蛍
光を示す。
【0007】更に工業的用途に使用される多くの化合物
では、紫外部に蛍光を発するものが多い。高分子材料の
内、構成要素としてベンゼン環などの芳香環を持つもの
は、紫外部に強い吸収を持ち、紫外部に蛍光を発するも
のがある。また、高分子用の多数の添加剤にもDOP
(ジオクチルフタレート)やDBP(ジブチルフタレー
ト)に代表されるように芳香環を含むものが多く、これ
らの添加剤の一部は紫外部に強い蛍光を示す。また、そ
の他の工業材料、例えばプリント基板の実装に用いられ
るハンダフラックスの成分や、各種加工油中の添加剤に
も紫外部に強い蛍光を示す物質が含まれることがわかっ
ている。
【0008】これらの物質の顕微鏡による検出が可能に
なれば、種々の製品開発のプロセスが改善されるだけで
なく、工程管理への応用により製品不良率の著しい改善
が可能となる。例えば、洗浄工程後の洗浄度の評価には
赤外分光光度計、X線光電子分光光度計など分析機器が
利用されているが、極めて高価であるため、製造現場で
用いられることは少ない。また、濡れ現象を利用した現
場的な洗浄度評価方法も数多く提唱されているが、複雑
な形状をもった被洗浄物に部分的に汚染が付着したよう
な場合は適用できない。紫外部の蛍光を利用した被洗浄
物の細部に至るまでの洗浄評価が可能になれば、現場で
の高度な品質管理が可能になると考えられる。
【0009】本発明は、このような従来の課題に着目し
てなされたもので、短波長の紫外線励起によって生じる
紫外部の蛍光を直接検出し、紫外領域の像を形成するこ
とのできる、簡単な構造を持つ紫外領域蛍光顕微鏡、蛍
光物質同定方法および洗浄度評価方法を提供することを
目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る紫外領域蛍
光顕微鏡は、所定の波長の紫外線を対象物に照射し、対
象物から発せられる蛍光を対物レンズを介して紫外線検
出器で検出する蛍光顕微鏡であって、前記対物レンズは
カセグレン鏡から成ることを特徴とする。
【0011】本発明に係る紫外領域蛍光顕微鏡は、短波
長の紫外線を含む光源から放射される所定の波長の紫外
線を試料(対象物)に照射し、試料から発せられる蛍光
を検出する蛍光顕微鏡であって、その蛍光の波長が20
0nmから1000nmのものを検出することが可能で
あり、対物レンズとしてカセグレン鏡を用いるものであ
ることが好ましい。
【0012】本発明に係る紫外領域蛍光顕微鏡で、前記
紫外線検出器はCCDセンサーを備えたカメラから成る
ことが好ましい。特に、本発明に係る紫外領域蛍光顕微
鏡は、前記紫外線検出器として200nmから400n
mの波長範囲の紫外線に対して、可視部と同等の感度を
有するCCDセンサーを用いたカメラを使用することが
好ましい。
【0013】本発明に係る紫外領域蛍光顕微鏡は、より
具体的な構成として、短波長の紫外光を放射する光源
と、この中から適当な波長を選択するフィルターと、こ
の出力された紫外光を試料に照射する照射系と、試料か
ら発せられた紫外領域の蛍光を検出器に導くための対物
レンズとしてカセグレン鏡を有した光学系と、励起光を
カットし、また試料から発せられる蛍光の波長を識別す
るためのフィルターと、紫外領域の蛍光を検出し、その
蛍光像を得るために、紫外部に充分な感度を有したCC
Dカメラとを備えることが好ましい。
【0014】本発明に係る蛍光物質同定方法は、一定波
長の励起光を対象物に照射し、照射された対象物から発
せられる蛍光をフィルターによって波長で選別し、選別
された蛍光の蛍光強度を検出して、検出された蛍光強度
から対象物の同定を行うことを特徴とする。
【0015】この本発明に係る蛍光物質同定方法は、一
定波長の励起光を用い、対象物(試料)から発せられる
蛍光の波長をフィルターによって選別し、その波長を連
続的に変化させて蛍光強度を検出することにより、観察
視野における対象物の蛍光スペクトルを測定し、観察対
象物の同定を行うことが好ましい。
【0016】本発明に係る他の蛍光物質同定方法は、波
長を変化させて励起光を対象物に照射し、照射された対
象物から発せられる所定の波長の蛍光をフィルターによ
って選別し、選別された蛍光の蛍光強度を検出して、検
出された蛍光強度から対象物の同定を行うことを特徴と
する。
【0017】この本発明に係る他の蛍光物質同定方法
は、対象物(試料)から発せられる蛍光の特定波長をフ
ィルターによって選別し、励起光の波長を変化させて蛍
光強度を検出することにより、観察視野における対象物
の励起スペクトルを測定し、観察対象物の同定を行うこ
とが好ましい。
【0018】本発明に係る洗浄度評価方法は、254n
mの水銀発振線を励起光として対象物に照射し、照射さ
れた対象物から発せられる蛍光から広帯域バンドパスフ
ィルターによって励起光を遮断し、前記広帯域バンドパ
スフィルターを経た蛍光像により対象物の洗浄度を評価
することを特徴とする。
【0019】本発明に係る洗浄度評価方法は、励起光と
して254nmの水銀発振線を用い、広帯域バンドパス
フィルターによって励起光を遮断し、洗浄前後の紫外蛍
光像を観察することによって洗浄度の評価を行うことが
好ましい。
【0020】本発明に係る蛍光物質同定方法および洗浄
度評価方法は、前述の本発明に係る紫外領域蛍光顕微鏡
を用いて蛍光を検出することにより行うことが好まし
い。
【0021】レンズやダイクロイックミラーなどの光学
系を総て紫外線を透過する光学材料を利用することによ
る紫外蛍光顕微鏡の実現は、容易に考えられることであ
る。この紫外領域に透明な光学材料としては、一般的に
は溶融石英(SiO2)あるいはホタル石(CaF2)
が挙げられる。可視部から近紫外部の限定された領域
(330〜600nm)に渡る波長の光を透過可能な通
常の光学材料から形成される近紫外顕微鏡の例としては
特開平5−127096号公報の記載例が挙げられる。
【0022】しかし、紫外部の全領域に対応させるため
には、透過光学系においては、色収差が補正された紫外
部全領域に対して透明な光学レンズ系を使用しなくては
ならず、実現された紫外領域対応の蛍光顕微鏡は高価な
ものとなる。これを解決する手段として、本発明者ら
は、対物レンズとしてカセグレン鏡を用いることを試み
た。
【0023】カセグレン鏡は反射望遠鏡において一般的
に用いられる反射鏡であり、回転放物面を持つガラスの
表面にアルミニウムなどを蒸着した主反射鏡の中央に小
穴をあけ、この正面に凸面鏡を配置して、主反射鏡の背
後に焦点を結ばせるものである。カセグレン鏡は、反射
系であるので、色収差がなく、又紫外部から赤外部の広
い範囲にわたって高い反射率を有するものである。この
カセグレン鏡は天体望遠鏡の他に、その特性を利用して
顕微赤外線吸収スペクトルを測定する機構にも組み込ま
れている。カセグレン鏡を蛍光顕微鏡の対物レンズとし
て使用することにより、紫外部の励起光を広い波長範囲
にわたって照射できると共に、発生する蛍光も同様に紫
外部の広い波長範囲に渡ってその強度を減じることな
く、検出器へ導く事ができる。
【0024】蛍光像を得るための検出手段としては、紫
外領域の光に対して有効な感度を有する写真フィルムを
用いる方法と、紫外領域の光に対して有効な感度を有す
るCCDセンサーを利用したカメラの使用がある。
【0025】本発明において、蛍光像を得る場合には、
励起光源をカットした総ての蛍光を検出器に導いても良
いし、また、光路の途中に任意の波長領域の蛍光を選択
的に取り出すためのフィルターを挿入しても良い。フィ
ルターを選択して蛍光像を得ることにより、蛍光を発す
る化学種を推定することが可能である。
【0026】本発明において、フィルターとしては、紫
外領域の蛍光を選択的に分離して検出するフィルター、
例えば、金属干渉フィルターあるいプラズマイオンコー
トバンドパスフィルターを用いることができる。蛍光の
分光により観察すべき化学種の構造を推定する場合は、
金属干渉フィルターとして、石英上に半透明金属膜・透
明誘電体膜・半透明金属膜の3層構造を形成させたもの
で、最大透過率が15%以上、半値幅が15nm以下の
ものを使用するのが良い。分光と共にある程度の光量が
必要とされる場合には、半値幅は20nm以下で最大透
過率が40%以上のプラズマコートバンドパスフィルタ
ーの使用が好ましい。また、非常に弱い蛍光の検出が必
要な場合は、広域バンドパスフィルターを用いて、励起
光源より長波長の蛍光を総て検出するのが良い。
【0027】紫外領域蛍光顕微鏡の励起光源としては低
圧水銀灯、キセノンランプ、重水素放電管及び紫外部に
発振線を有するレーザーを利用することができる。低圧
水銀灯は254nmに主発振線を持ち、又容易に入手で
きるため、紫外部の励起光源としては最も使い易いもの
である。キセノンランプ及び重水素放電管は紫外部から
近紫外部にかけて連続的な光を発するので、分光フィル
ターあるいは分光器を経由することにより、任意の励起
波長を選択することができる。また波長249nmの光
を出すKrFエキシマレーザーやYAGレーザーの4倍
波(266nm)など、紫外部に発振線を持つレーザー
を利用することも可能である。
【0028】これらの光源を対象物(試料)に照射する
には、種々の方式が可能である。最も容易に実現できる
方法は、顕微鏡本体の光学系を通過しない、別個の照射
方式の採用であり、これには、ペンシル型の水銀ラン
プ、例えばエドモンド社のミニチュアUVペンシルラン
プ等を利用することができる。また、光ファイバーを用
いた光源、例えば、紫外ファイバー光源(浜松フォトニ
クス社製)を用いることもできる。また、カセグレン鏡
を用いた場合は、紫外光が吸収されないため、通常の蛍
光顕微鏡と同じ光学系で、紫外領域の励起光を対象物
(試料)に照射することができる。但し、この場合は水
晶あるいはホタル石等の紫外部に吸収を持たない光学材
料によって作製されたハーフミラーにより、励起光及び
蛍光の通過する光学系を構築することが必要である。
【0029】CCDカメラは紫外部に良好な感度を持つ
ものを使用することが好ましい。このため、CCDセン
サーとしては背面照射型のもの(例えば、MARCON
I社製のCCD47−10型センサー)を使用すること
が好ましい。一般に使用されているCCDセンサーは前
面入射型であり、これはCCDセンサーの光電変換部に
光が到達する前にCCDの駆動電極により紫外部の入射
光が吸収されてしまうため、紫外光に対する感度が非常
に低い。背面照射型のCCDセンサーはまず光が背面か
ら光電変換部に入射し、その後、その効果が駆動電極部
へ伝達されるため、広い紫外領域にわたり感度が高い。
【0030】検出する蛍光の波長が近紫外部(350n
m付近)であるときは、前面入射型のCCDセンサーで
も広波長域対応型(例えば、浜松フォトニクス社製のC
7500型)で、近紫外部に若干の感度がある場合は、
この使用も可能である。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の第1
乃至第3の実施の形態について説明する。 (1)以下、本発明の第1の実施の形態について図面に
従い説明する。 図1は、本発明の第1の実施の形態の紫外領域の蛍光顕
微鏡の概略構成を示すものである。図1に示すように、
紫外領域蛍光顕微鏡は、短波長の紫外光を対象物(試
料)3に照射する光源1と、カバー2と、干渉フィルタ
ー4と、試料3から発せられた紫外領域の蛍光を検出器
に導くための対物レンズとしてカセグレン鏡を有した光
学系5と、励起光をカットし、また試料から発せられる
蛍光の波長を識別するためのフィルター6と、紫外領域
の蛍光を検出し、その蛍光像を得るために、紫外部に充
分な感度を有したCCDカメラ(紫外線検出器)7とを
備える。この構成により、紫外領域蛍光顕微鏡は、所定
の波長の紫外線を対象物3に照射し、対象物3から発せ
られる蛍光を対物レンズを介してCCDカメラ7で検出
するようになっている。
【0032】ここで紫外蛍光用励起光源1は直径5mm
長さ50mmの円筒状であり、更に出射強度をカバー2
により調節できる構造を持つものであり、蛍光を観察す
べき試料3を近傍から直接照射することができるように
なっている。励起光としては低圧水銀灯の254nmを
用い、蛍光を観察する上で支障となる313nm、36
5nm等の副発振線は狭帯域金属干渉フィルター4によ
って取り除かれる。254nmの紫外光で励起されたサ
ンプルは長波長の蛍光を発し、これはカセグレン反射鏡
により集光され、CCDカメラ7のセンサー部に像を結
ぶ。
【0033】励起光源として外部照射系を採用する場合
は、カセグレン反射鏡の焦点距離は10〜20mmの範
囲が好ましく、紫外領域顕微鏡の光学的鏡筒長さが20
0〜250mmの場合は、結像される倍率は10から2
5倍となる。これは、CCDカメラで増幅される倍率を
考えると、通常の光学顕微鏡と同等の倍率となり、付着
物などの紫外部の蛍光像を観察する上で、充分なもので
ある。
【0034】カセグレン反射鏡とCCDカメラの間に
は、励起光をカットするためのフィルター5を挿入しな
ければならない。このフィルターは、観察すべき化学種
が既に判明しており、その付着量に対する感度が要求さ
れるときは、蛍光の全波長領域の光を検出する必要があ
り、そのような場合には、図2に示す特性を持つ広帯域
のバンドパスフィルターを使用することができる。
【0035】この光学系を用い、観察すべき対象物とし
て、潤滑油中に不純物として含まれ、非常に強い蛍光を
発する物質として知られている多環芳香族炭化水素化合
物であるピレン(C16H10)を選択したところ、明
瞭な蛍光像が観察された。ピレンの吸収極大波長は23
9および269nmであり、低圧水銀灯の254nmの
発振線で充分励起されるものである。また、蛍光の極大
波長は382および392nmであるので、広域バンド
パスフィルターの使用により、充分な蛍光強度を得るこ
とができる。
【0036】(2)次に本発明の第2の実施の形態につ
いて、図3に従い説明する。 前述の第1の実施の形態では、励起光源として低圧水銀
灯の254nmの発振線を用い、検出される蛍光は波長
を限定せず、最大の感度を得るために蛍光スペクトルの
全波長領域の光を検出できるよう、励起光のみ遮断する
広域バンドパスフィルターを使用したが、この第2の実
施形態においては、励起光及び蛍光の波長をフィルター
によって限定し、蛍光を発する化学種の推定が可能であ
る光学系を採用している。
【0037】図3は、本発明の第2の実施の形態の紫外
領域の蛍光顕微鏡の概略構成を示すものである。図3に
示すように、紫外領域蛍光顕微鏡は、短波長の紫外光を
放射する光源11と、集光レンズと、適当な波長を選択
する励起フィルター12と、この出力された紫外光を対
象物(試料)13に照射するハーフミラー(照射系)1
4と、試料13から発せられた紫外領域の蛍光を検出器
に導くための対物レンズとしてカセグレン鏡を有した光
学系15と、励起光をカットし、また試料から発せられ
る蛍光の波長を識別するための吸収フィルター16と、
紫外領域の蛍光を検出し、その蛍光像を得るために、紫
外部に充分な感度を有したCCDカメラ17とを備え
る。この構成により、紫外領域蛍光顕微鏡は、所定の波
長の紫外線を対象物に照射し、対象物から発せられる蛍
光を対物レンズを介して紫外線検出器で検出するように
なっている。
【0038】励起光源11としてはファイバー型の重水
素放電管を用い、紫外部の連続的な発光を干渉フィルタ
ーによって選別した。また、蛍光も同様に干渉フィルタ
ーによって分光し、紫外領域の顕微鏡によって捕らえら
れた蛍光像の発光強度をCCDセンサーによって数値化
し、各波長における強度から、観察された部分の物質の
蛍光をスペクトル測定することができる形になってい
る。この際、蛍光強度は、CCDセンサー感度の波長依
存性、並びに各フィルターの光透過特性を補正する必要
がある。
【0039】観察すべき対象として、タンパク質を構成
するアミノ酸の一つであるトリプトファンを選び、その
紫外吸収極大値287nm近傍の光を干渉フィルターに
よって取り出した。この際使用した干渉フィルターは中
心波長が289nmであり、半値幅が10nm、ピーク
透過率が15%のものである。また、発せられた蛍光は
300nmから380nmの領域の中心波長を持つ干渉
フィルター12枚を取り替えることにより測定し、最大
の蛍光強度を示す波長を求めた。その結果、中心波長3
50nm、半値幅10nm、ピーク透過率25%の干渉
フィルターを用いた際に最大の蛍光強度を示し、これ
は、溶液中で測定したトリプトファンの蛍光極大波長3
48nmと一致した。
【0040】(3)次に本発明の第3の実施の形態につ
いて説明する。 洗浄工程後の洗浄度の評価に、近紫外部の励起光(36
5nm)を用い、発せられる可視部の蛍光を観察する従
来タイプの蛍光顕微鏡を用いている例はあるが、可視部
の蛍光を観察しているため、測定すべき対象となる汚染
物の種類が非常に限定されている。
【0041】この第3の実施の形態においては、励起光
源として低圧水銀灯の254nmを用いた。低圧水銀灯
から発せられる紫外線は干渉フィルターにより254n
mの主発振線のみ選別され、ハーフミラー及びカセグレ
ン鏡により清浄度を評価するための洗浄後の試料へ照射
される。試料から発せられた蛍光はカセグレン鏡及びハ
ーフミラーを通過した後、広域バンドパスフィルターに
より励起光がカットされ、紫外領域に高い感度を有する
CCDセンサーにより画像化される。
【0042】本実施例においては、被洗浄物としてアビ
エチン酸系のフラックスを含む汚染物を選定し、洗浄条
件による洗浄度の変化を調べた。市販のアルカリ系の洗
浄剤を5%の濃度で用い、液温は50℃、被洗浄物を揺
動させながら38kHzの超音波を照射した。被洗浄物
近傍での超音波強度が0.2V以下の場合、部分的に汚
染物が残存していることによる紫外蛍光像は明確に観察
され、洗浄条件は適切ではないことが判った。これに対
して、被洗浄物近傍での超音波強度を0.3V以上にし
た場合は、汚染物による紫外部の蛍光は被洗浄物の全面
にわたって観察されなくなり、洗浄により充分な清浄度
が得られることが判った。
【0043】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、こ
れまで観察が困難であった紫外部の蛍光像を広い波長範
囲にわたって簡単に観察することが可能であり、また、
励起光の波長及び観察すべき蛍光の波長も任意に選択で
きるため、観察視野内の蛍光物質の推定が可能であると
同時に、工業洗浄における洗浄度の評価等、これまでの
蛍光顕微鏡では不可能であった多種の用途への応用が可
能である。
【0044】また、本発明に係る紫外領域蛍光顕微鏡
は、励起光の波長と同じ波長の光を観察する場合には、
紫外領域の蛍光顕微鏡としてではなく、紫外顕微鏡とし
て使用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の紫外領域蛍光顕微
鏡を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の紫外領域蛍光顕微
鏡で用いられる広帯域バンドパスフィルターの光透過特
性を示すグラフである。
【図3】本発明の第2の実施の形態の紫外領域蛍光顕微
鏡を示す構成図である。
【符号の説明】
1 光源ランプ 2 カバー 3 試料 4 干渉フィルター 5 対物レンズ(カセグレン鏡) 6 吸収フィルター 7 CCDカメラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 伸広 宮城県仙台市泉区明通2丁目2番地 宮城 県産業技術総合センター内 Fターム(参考) 2G043 AA01 AA03 BA16 BA17 CA03 EA01 GA04 GB01 HA03 HA09 JA03 KA03 LA03 2H052 AA09 AC04 AC12 AC27 AC30 AD34 AF14 2H087 KA09 TA04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の波長の紫外線を対象物に照射し、対
    象物から発せられる蛍光を対物レンズを介して紫外線検
    出器で検出する蛍光顕微鏡であって、前記対物レンズは
    カセグレン鏡から成ることを特徴とする紫外領域蛍光顕
    微鏡。
  2. 【請求項2】前記紫外線検出器はCCDセンサーを備え
    たカメラから成ることを特徴とする請求項1記載の紫外
    領域蛍光顕微鏡。
  3. 【請求項3】一定波長の励起光を対象物に照射し、照射
    された対象物から発せられる蛍光をフィルターによって
    波長で選別し、選別された蛍光の蛍光強度を検出して、
    検出された蛍光強度から対象物の同定を行うことを特徴
    とする蛍光物質同定方法。
  4. 【請求項4】波長を変化させて励起光を対象物に照射
    し、照射された対象物から発せられる所定の波長の蛍光
    をフィルターによって選別し、選別された蛍光の蛍光強
    度を検出して、検出された蛍光強度から対象物の同定を
    行うことを特徴とする蛍光物質同定方法。
  5. 【請求項5】254nmの水銀発振線を励起光として対
    象物に照射し、照射された対象物から発せられる蛍光か
    ら広帯域バンドパスフィルターによって励起光を遮断
    し、前記広帯域バンドパスフィルターを経た蛍光像によ
    り対象物の洗浄度を評価することを特徴とする洗浄度評
    価方法。
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