JP2003070424A - タンパク質安定化剤 - Google Patents
タンパク質安定化剤Info
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Abstract
凝集を有意に防止できるタンパク質安定化剤の提供。上
記弱酸性領域においてタンパク質の凝集を有意に防止す
ることによって安定化されたタンパク質含有組成物の提
供。 【解決手段】コンドロイチン硫酸またはその塩をタンパ
ク質安定化剤として使用する。特にpH4.5〜6.3の弱酸
性域にあるタンパク質含有組成物に対してコンドロイチ
ン硫酸またはその塩をタンパク質安定化剤として用い
る。
Description
るタンパク質凝集を有意に防止することのできるタンパ
ク質安定化剤に関する。さらに本発明は、このタンパク
質安定化剤を含むことによりタンパク質の凝集が有意に
防止され安定性に優れたタンパク質含有組成物に関す
る。
でタンパク質を凝集から有意に防止し良好に安定化する
素材がなかったため、このpH領域でタンパク質を原料
として用いた食品はほとんど存在しなかった。例えば、
乳由来のタンパク質を含有するイチゴ乳飲料などでは、
イチゴ果汁などを添加した後、pH調整剤を用いて、弱
酸性領域に調整して製造した方がミルク感と果汁感とを
兼ね備えた良好な風味を付与できることが以前よりわか
っていたものの、このpH領域で乳を配合すると乳タン
パク質が凝集するといった問題が生じるため、従来この
ようなミルク感と果汁感とを併せ持つ良好な風味を有す
る乳飲料製品は得られていない。
料)の調製にあたって、乳由来のタンパク質の凝集を防
止する方法として、従来は、乳に配合する果汁(酸成
分)の添加量を低く抑えたり、重曹等を用いてpH 6.3よ
り高いpHに調製する等の方法が採られている。しかし
ながら、これらの方法ではミルク感はあるものの、充分
に果汁由来の風味・酸味を乳飲料に付与することができ
なかった。
カゼイン粉末について酸性水溶液中での凝集沈殿を防止
する方法として、カゼインナトリウムに環状リン酸類と
コンドロイチン硫酸を配合して液状媒体に溶解し、噴霧
乾燥法によって粉末化する方法が記載されている。しか
し、この方法では、カゼイン粉末を一旦所定の化合物と
一緒に溶解して再度乾燥するなど、煩雑な処理が必要で
手間がかかるという問題がある。
しては、ペクチン、大豆多糖類、カルボキシメチルセル
ロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエ
ステル等があるが、これら安定剤がタンパク質を安定化
できる領域は、pH3〜4といった領域であり、これよ
り高いpH領域では充分にタンパク質を安定化させる方
法はなかった。このため、従来の酸乳飲料は、その殆ど
が乳分を抑え、pHを低くしたものであり、その結果、
ミルク感が充分発揮できていないものである。乳分をた
くさん入れる場合は、pHを低くする必要があり、この
ため酸味が強く発現して、強い酸味を好まない消費者、
例えば小さな子供等には敬遠されがちであった。
を含有する組成物に適用することによってタンパク質の
弱酸性領域での凝集を有意に抑制することのできるタン
パク質安定化剤を提供することを目的とする。より詳細
には、本発明は、例えば乳製品などのタンパク質含有組
成物を弱酸性領域に調整した場合でも、タンパク質の凝
集を抑制し、タンパク質を分散安定化することのできる
タンパク質安定化剤を提供することを目的とする。さら
に本発明は、かかるタンパク質安定化剤を含有すること
によって、弱酸性領域でもタンパク質の凝集が有意に抑
制され、優れた安定性を有したタンパク質含有組成物を
提供することを目的とする。
の課題を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、コン
ドロイチン硫酸またはその塩を用いることによってpH
4.5〜6.3の弱酸性領域のタンパク質凝集が有意に抑制で
き、タンパク質を良好に分散安定化できることを見出し
た。また、コンドロイチン硫酸を高濃度に含有している
フカヒレエキスでも同様の効果が認められた。このよう
に、コンドロイチン硫酸またはその塩、並びにこれらを
含むフカヒレエキスを使用することによって弱酸性領域
においてタンパク質を良好に分散安定化できることか
ら、本発明者らは、従来の安定化剤では困難であったか
かる弱酸性領域におけるタンパク含有酸性製品の開発が
可能であること、さらに食品に応用した場合に特に嗜好
性に優れた食品が調製できることを確認した。本発明
は、かかる知見に基づいて開発されたものである。
るタンパク質安定化剤である: 項1.コンドロイチン硫酸またはその塩を含むことを特
徴とするタンパク質安定化剤。
成分が実質的にコンドロイチン硫酸またはその塩からな
るものである。すなわち、本発明のタンパク質安定化剤
はタンパク質を安定化する主要機能成分としてコンドロ
イチン硫酸またはその塩を含むものであり、その意味で
コンドロイチン硫酸またはその塩がタンパク質の安定化
に補助的に用いられてなるタンパク質安定化剤とは区別
することができる。よって上記項1.記載の本発明は下
記のように言い換えることもできる。 項1-1.実質的にコンドロイチン硫酸またはその塩から
なるタンパク質安定化剤。 項1-2.主要機能成分がコンドロイチン硫酸またはその
塩であるタンパク質安定化剤。
るタンパク質含有組成物である: 項2. 項1.記載のタンパク質安定化剤を含むことを
特徴とするタンパク質含有組成物。 項3. pH4.5〜6.3の弱酸性域においてタンパク質凝
集が抑制されてなることを特徴とする項2記載のタンパ
ク質含有組成物。
の安定化剤では解決が困難であったpH4.5〜6.3の領域
におけるタンパク質の凝集がコンドロイチン硫酸または
その塩を用いることによって有意に抑制でき、これによ
り該pH領域において安定性に優れたタンパク質含有組
成物が得られるという知見にもとづくものである。
塩としては、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロ
イチン硫酸カリウムなどのコンドロイチン硫酸のアルカ
リ金属塩を挙げることができる。
の塩は、サメ(フカヒレ)、クジラ、ウシ、ブタ、鳥等
の動物軟骨等から、中性塩法、アルカリ法、酵素法、オ
ートクレーブ法等の従来公知の方法により精製・調製す
ることができる。また、フカヒレを抽出して得られるフ
カヒレエキス等のようにコンドロイチン含量の高いもの
を用いることもできる。かかるコンドロイチン含有物の
一例として挙げることのできるフカヒレエキスまたはそ
の乾燥物は、たとえば三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
からそれぞれフカヒレエキスCまたはフカヒレエキスパ
ウダーという商品名で入手可能である。
領域で凝集する性質を有するタンパク質である。なお、
ここで本発明が対象とするタンパク質は弱酸性の全領域
で凝集する必要はなく、その一領域で凝集するものであ
ればよい。またこの範囲外のpH領域における凝集の有
無を特に制限するものではない。
特に制限されないが、例えば乳タンパク、乳清タンパ
ク、卵白アルブミン、その他魚介類や鳥獣肉等由来の動
物性タンパク;大豆タンパク、小麦タンパク等の植物性
タンパクを挙げることができるが、その効果の点から、
好ましくは、乳タンパク質、乳清タンパク質、大豆タン
パク質である。
分はコンドロイチン硫酸もしくはその塩である。ゆえに
本発明のタンパク質安定化剤は有効成分としてコンドロ
イチン硫酸もしくはその塩を含むものであればよく、コ
ンドロイチン硫酸もしくはその塩からなるものであって
も、またそれらを高濃度に含有するコンドロイチン含有
物、例えばフカヒレエキス等のまたはその乾燥物からな
るものであってもよい。
らにこれらの成分に食品衛生上許容される賦形剤、担体
または添加物が配合されてなるものであってもよい。か
かるタンパク質安定化剤は、通常タンパク質を0.05〜10
重量%濃度で含有する弱酸性領域の組成物に対して、最
終組成物100重量%中にコンドロイチン硫酸もしくはそ
の塩が0.1重量%以上含まれるような割合で使用するこ
とができる。好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは
0.3〜3重量%の割合である。
化剤によれば、乳タンパクであればpH4.5〜6.3、好ま
しくはpH5〜6の範囲、乳清タンパクであればpH4.5
〜6.3、好ましくはpH5〜6の範囲、卵白アルブミンで
あればpH4〜5、好ましくはpH4.5〜4.8の範囲、大豆
タンパクであればpH4.8〜6.3、好ましくはpH5〜6の
範囲でより好適にタンパク質の凝集を防止し、分散安定
性を高めることができる。
範囲で特異的に乳タンパク質の清澄化がみられる。
とは、タンパク質を含有する製品一般を示すが、本発明
のタンパク質安定化剤の作用効果に鑑みれば、弱酸性領
域にあるタンパク質を含有する製品を好適に例示するこ
とができる。
含有する弱酸性飲食物、医薬品または医薬部外品等の各
種製品が挙げられる。具体的には、乳酸菌飲料、発酵
乳、乳製品を酸性にした酸性乳飲料、タンパク質強化弱
酸性飲料、弱酸性冷菓、弱酸性デザート、及び牛乳や豆
乳などのタンパク飲料に果汁や果物、野菜又は有機酸若
しくは無機酸を添加して調製される弱酸性飲料等が挙げ
られる。特に、酸性乳飲料、弱酸性飲料等の液状の製品
において、その効果の点から好ましい。
述するタンパク質(乳タンパク質、動物性タンパク質、
植物性タンパク質)に加えてタンパク質安定化剤の機能
成分であるコンドロイチン硫酸またはその塩が含有され
ていれば良いが、さらに他成分として、本発明のタンパ
ク質安定化剤の効果を妨げない範囲において、上記の各
種製品(飲食物、医薬品、医薬部外品)の種類に応じて
ショ糖、果糖、液糖、ブドウ糖、オリゴ糖等の糖類、ア
スパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、ソー
マチン、ステビア、アリテーム、ネオテーム等の高甘度
甘味料:マグネシウム、カルシウム等のミネラル類:ビ
タミンA、ビタミンC、ビタミンK等のビタミン類:キ
サンタンガム、ジェランガム、カラギナン(κ、λ、
ι)等の増粘多糖類:グリセリン脂肪酸エステル、ショ
糖脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤:イチゴ、メロ
ン、ピーチ、パイナップル、ブドウ、リンゴ等の果汁・
果実:香料:色素などが配合されていてもよい。
コンドロイチン硫酸もしくはその塩の配合割合は、実質
的にコンドロイチン硫酸もしくはその塩の作用によって
弱酸性領域内で生じ得るタンパク質の凝集が抑制できる
配合割合であれば特に制限されない。具体的には、タン
パク質を0.05〜10重量%濃度の割合で含有する組成物の
場合、コンドロイチン硫酸もしくはその塩の配合割合と
して0.1重量%以上、好ましくは0.1〜5重量%、より好
ましくは0.3〜3重量%を例示することができる。
ロイチン硫酸またはその塩を用いて組成物中のタンパク
質を組成物によく分散させる工程を有する以外は、本発
明を適用する各種製品の製造方法に従って常法により製
造することができる。例えばコンドロイチン硫酸または
その塩を室温下又は加熱下で水溶液に溶解したものに、
タンパク質を添加して、公知の方法で攪拌し、必要に応
じ、クエン酸や重曹等でpHを調整し、ホモゲナイザー
等を用いて均質化し、従来公知の方法で殺菌することに
より製造する方法が例示できる。
例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれら
に限定されるものではない。なお、下記に記載する処方
の単位は特に言及しない限り、部は重量部を意味するも
のとする。また、実験例および実施例においてはコンド
ロイチン硫酸塩としてフカヒレエキス(商品名:フカヒ
レエキスC、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を用
いた。
ク質凝集防止効果(1) (1)タンパク質安定化剤としてコンドロイチン硫酸
塩、またはそれと各種の公知安定化剤(水溶性大豆ヘミ
セルロース(SSHC)、ペクチン、カルボキシメチルセル
ロース(CMC))との混合物を用い、またタンパク質素材
として脱脂粉乳を用いて、各種のpH(4.8、5、5.5)
を有する酸性乳飲料を調製して、コンドロイチン硫酸塩
のタンパク質凝集防止効果を評価した。
イチン硫酸塩(最終濃度:0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、
0.8、または1重量%)又はそれと各種の公知安定化剤
(最終濃度:コンドロイチン硫酸塩0.4重量%+公知安
定化剤0.4重量%)を80℃で10分間加熱して溶解し、こ
れを水にて溶解した脱脂粉乳(最終濃度:3重量%)と
混合し、クエン酸及び重曹を用いてpHを調整した。次
いで、これを80℃まで加熱し、ホモゲナイザーにて1470
0kPa(150kgf/cm2)の圧力で均質化を行い、再度93℃まで
加熱した後、ホットパック充填を行うことにより、酸性
乳飲料を調製した。なお、コントロール用試料として、
安定化剤を配合しない以外は上記と同様にして酸性乳飲
料を調製した。これらを24時間保存して、保存後のタ
ンパク質凝集の有無について評価を行った。
ラーによる外観観察、並びに沈殿率を測定することによ
り行った。沈殿率は、50ml容量の遠心管に上記で調製
した酸性乳飲料を45gいれて、4℃で1日保存後、遠心分
離機で遠心(3000rpm、20min)して、遠心管の底にたま
った沈殿物の量を測定することで求めた。(沈殿率
(%)=[沈殿物の重量g/45g] × 100) 結果を表1に示す。
硫酸塩を0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、よ
り好ましくは0.3重量%以上使用することによって、少
なくともpH5.5、好ましくはpH5〜pH5.5、より好ましく
はpH4.8〜pH5.5の領域で乳タンパク質の凝集を防止でき
ることが判明した。また、pH5.5付近で乳タンパク質が
可溶清澄化されるのが観察された。
飲料の安定化剤として知られている水溶性大豆ヘミセル
ロース、ペクチンまたはカルボキシメチルセルロースと
併用すると、若干、乳タンパク質の安定性が低下するこ
とが判明した。なお、水溶性大豆ヘミセルロースは単独
でpH3.3〜4.3、ペクチンは単独でpH3.7〜4.4、カルボキ
シメチルセルロースは単独でpH4〜4.8の範囲で乳タンパ
ク質の凝集を防止し、安定化することが知られている。 (2)上記の結果を踏まえて、タンパク質安定化剤とし
てコンドロイチン硫酸塩を1重量%用い、またタンパク
質素材として脱脂粉乳を用いて、各種のpH(4.5、4.
8、5、5.5、6、6.3)を有する酸性乳飲料を調製し、上
記と同様にしてコンドロイチン硫酸塩のタンパク質凝集
防止効果を評価した。結果を表2に示す。
て、pH4.5〜6.3、好ましくはpH4.8〜6.3の領域で乳タン
パク質の凝集を抑制・防止できることが判明した。また
pH5.5〜6の領域で乳タンパク質が可溶清澄化された。
チン硫酸塩は、pH4.5〜6.3の領域にある酸性乳飲料のタ
ンパク質安定化剤として有用であり、さらに大豆多糖
類、ペクチンまたはCMCと実質的に併用しないで用いる
ことが好ましいことが示唆された。
ク質凝集防止効果(2) コンドロイチン硫酸塩と環状リン酸塩であるヘキサメタ
リン酸ナトリウムとを併用した場合における、タンパク
質凝集防止効果を調べた。
ンドロイチン硫酸塩単独(最終濃度:1重量%)、また
はそれとヘキサメタリン酸ナトリウムとの混合物(最終
濃度:コンドロイチン硫酸塩1重量%+ヘキサメタリン
酸Na 0.03重量%)を用い、またタンパク質素材として
脱脂粉乳(最終濃度:3重量%)を用いて、各種のpH
(4.5, 4.8, 5, 5.5, 6)を有する酸性乳飲料を調製し
て、上記タンパク質安定化剤のタンパク質凝集防止効果
を評価した。また、コントロール試料としてタンパク質
安定化剤を用いない以外は、上記と同様にして酸性乳飲
料を調製し、同様にタンパク質の凝集を調べた。
1と同様に24時間保存後の状態の外観観察、並びに沈殿
率を測定することにより行った。
にヘキサメタリン酸Naを併用した場合も、コンドロイチ
ン硫酸塩単独の場合とほぼ同様のタンパク凝集防止効果
を示した。しかし、若干ヘキサメタリン酸Naを併用した
系における安定性はコンドロイチン硫酸塩単独の場合に
比して若干劣る傾向があった。
ク質凝集防止効果(3) タンパク質素材として脱脂粉乳(乳タンパク)に代えて
他のタンパク質を用いた場合におけるコンドロイチン硫
酸塩の凝集防止効果を評価した。 具体的には、タンパ
ク質安定化剤としてコンドロイチン硫酸塩(最終濃度:
1重量%)を用い、またタンパク質素材として乳清タン
パク(商品名:ミルプロ L-1 (三栄源エフ・エフ・アイ
(株)製))、大豆タンパク(商品名:ニューフジプロ
V (不二製油(株)製))、または卵白アルブミン(商品
名:Non Whipping Spray DriedEgg White(GF Ovodry S.
r.l.社製)をそれぞれ最終濃度が1重量%となるように
用いて、各種のpH(4.5, 4.8, 5, 5.5, 6,6.3)を有
するタンパク質含有組成物を調製して、上記タンパク質
安定化剤のタンパク質凝集防止効果を評価した。また、
コントロール試料としてタンパク質安定化剤を用いない
以外は、上記と同様にしてタンパク含有組成物を調製
し、同様にタンパク質の凝集を調べた。タンパク質凝集
防止効果は、24時間保存後の状態の外観観察、並びに沈
殿率を測定することにより行った。結果を表4に示す。
結果から、乳清タンパクに対しては、コンドロイチン硫
酸塩の添加により少なくともpH4.5〜6.3の領域で良好に
タンパク質の凝集を防止することが可能であった。大豆
タンパクは、コンドロイチン硫酸塩を添加することによ
り少なくともpH4.8〜6.3の領域で良好にタンパク質の
凝集を防止することが可能であった。卵白アルブミン
は、コンドロイチン硫酸塩を添加することによりpH4.8
以下、特に少なくともpH4.5〜4.8において良好にタンパ
ク質の凝集を防止することが可能であった。しかし、い
ずれのタンパク質も、脱脂粉乳で認められたようなタン
パク質の可溶化は、どのpH領域でも認められなかった。
比較例1〜3)を調製した。
チン硫酸塩)を粉体混合したものを投入し、80℃で10分
間攪拌溶解後、常温まで冷却した。 (2)これに牛乳とイチゴピューレを加え、クエン酸又
は重曹でpH調整し、清水で全量が100mlとなるように調
整した。 (3)これを70℃まで加熱し、ホモゲナイザーにて1470
0kPa(150kgf/cm2 )の圧力で均質化を行った。 (4)93℃まで加熱後、ホットパック充填して、イチゴ
乳飲料を得た。 (評価)上記で得られた各種のイチゴ乳飲料について、
安定性評価と官能評価を行なった。なお、安定性評価
は、24時間保存後の状態を熟練したパネラーによって外
観観察した結果と顕微鏡観察した結果に基づいて行い、
官能評価は各飲料を12名のパネラーに飲んでもらっ
て、味(酸味、飲み易さ等)についてアンケートに回答
してもらうことで行なった。結果を表6に示す。
(pH6.4)は果汁を少量にして作成した中性のミルク乳
飲料であり、安定性は良好であった。しかし、酸味も全
く感じられず、イチゴ本来の風味にかけていた。果汁感
と酸味がほしいという意見が多くあった。比較例2の飲
料(pH4)は、安定剤として従来のペクチンを使用した
酸乳飲料である。安定性は良好なものの6割のパネラー
により酸味が強いもしくは若干強いという評価がなされ
た。比較例3の飲料(pH5.5)は、安定剤として従来の
ペクチンを使用してpH5.5に調整した酸乳飲料である。
タンパク質の凝集が生じ、安定性が非常に悪く、商品と
しての価値が著しく悪かった。
を使用して調製した酸乳飲料(実施例1)はpH5でタ
ンパク質の凝集が認められず、安定性が非常に良好であ
った。しかもイチゴ本来の風味と酸味があり、分散安定
性と風味においていままでなかった良好なイチゴ乳飲料
(酸性乳飲料)が調製できた。評価として果汁感もあ
り、ミルク感も充分あり、丁度良い酸味を備えており、
飲みやすいというパネラーが約75%で半数を超してい
た。この結果から、コンドロイチン硫酸塩をタンパク質
安定化剤として使用することによって今までの酸乳飲料
では満足できていなかった方にも受け入れられる酸性乳
飲料が製造可能であることが示唆された。
た。
たものを投入し、80℃で10分間撹拌溶解した後、常温ま
で冷却した。 (2)これに1/5濃縮メロン果汁を加え、50w/v%クエン
酸溶液でpHを5.5に調整した。 (3)これを70℃まで加熱し、ホモゲナイザーにて1470
0kPa(150kgf/cm2)の圧力で均質化を行った。 (4)93℃まで加熱後、ホットパック充填して、メロン
乳飲料を得た。 (評価)調製したメロン乳飲料はタンパク質の凝集も認
められず、安定性が非常に良好であった。また、果汁
感、ミルク感、丁度良い酸味を兼ね備えており、分散安
定性及び風味に関して今までにはなかった良好なメロン
乳飲料であった。
キス)を粉体混合したものを投入し、80℃で10分間撹拌
溶解した後、常温まで冷却した。 (2)これに牛乳と1/5濃縮ピーチ果汁を加え、50w/v%
クエン酸溶液でpHを5に調整し、水で全量を100mLに
調整した。 (3)これを70℃まで加熱し、ホモゲナイザーにて1470
0kPa(150kgf/cm2)の圧力で均質化を行った。 (4)93℃まで加熱後、ホットパック充填し、ピーチ乳
飲料を得た。 (評価)安定剤としてコンドロイチン硫酸塩を使用して
調製したピーチ乳飲料はpH5の酸性領域でもタンパク
質の凝集も認められず、安定性が非常に良好であった。
また、果汁感、ミルク感、丁度良い酸味を兼ね備えてお
り、分散安定性及び風味の点から今までにはなかった良
好なピーチ乳飲料であった。
要機能成分として用いるコンドロイチン酸またはその塩
は、酸性、特に従来タンパク質凝集防止が困難であった
pH4.5〜6.3において、タンパク質の凝集を有意に防止
することができる。このため、本発明のタンパク質安定
化剤は、かかる酸性領域におけるタンパク質の分散安定
化剤として極めて有用なものである。特に、上記するよ
うに従来pH4.5〜6.3、特にpH5〜6領域でタンパク質
を安定化する素材がなかったことから、本発明のタンパ
ク質安定化剤によれば、かかるpH領域において広くタ
ンパク質を適用することが可能となり、安定性に優れた
タンパク質含有組成物(飲食物、医薬品、医薬部外品な
ど)を調製することができる。本発明はまたかかる酸性
領域、pH4.5〜6.3、特にpH5〜6領域でタンパク質を
安定的に含んでなる組成物を提供するものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 コンドロイチン硫酸またはその塩を含む
ことを特徴とするタンパク質安定化剤。 - 【請求項2】 請求項1記載のタンパク質安定化剤を含
むことを特徴とするタンパク質含有組成物。 - 【請求項3】 pH4.5〜6.3の弱酸性域においてタンパ
ク質凝集が抑制されてなることを特徴とする請求項2記
載のタンパク質含有組成物。
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