JP2003069344A - 周波数逓倍回路および高周波通信装置 - Google Patents

周波数逓倍回路および高周波通信装置

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JP2003069344A
JP2003069344A JP2001257766A JP2001257766A JP2003069344A JP 2003069344 A JP2003069344 A JP 2003069344A JP 2001257766 A JP2001257766 A JP 2001257766A JP 2001257766 A JP2001257766 A JP 2001257766A JP 2003069344 A JP2003069344 A JP 2003069344A
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multiplier
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Yoshihisa Amano
義久 天野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成で特に3次以上の高次の周波数変
換効率を向上できる周波数逓倍回路を提供すると共に、
その周波数逓倍回路を用いた高周波通信装置を提供す
る。 【解決手段】 周波数f1の入力信号が入力される非線
形特性を有する半導体素子3の出力側から入力信号の周
波数f1の3倍の周波数f3の出力信号を出力する周波
数逓倍回路において、非線形素子3から出力された高調
波成分のうちの入力信号の周波数f1の2倍の周波数f
2の信号を非線形素子3の入力側に正帰還させる帰還回
路9を設ける。上記帰還回路9に周波数f2の信号のみ
を通過させるバンドパスフィルタ回路10を設けて、半
導体素子3の2次歪みによって出力側に生じた2倍波で
ある周波数f2の信号のみを選択的に正帰還させて、周
波数f1の基本波と帰還された2倍波で半導体素子3に
より3倍波を生成する。これにより、変換効率の高い2
次歪み成分によって周波数変換を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、周波数逓倍回路
および高周波通信装置に関し、特に3倍以上の高次の逓
倍動作時にも高い周波数変換効率を得ることができる周
波数逓倍回路および高周波通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周波数逓倍回路とは、入力された電気信
号の周波数f1に対して、整数n倍の周波数fn(=f
1×n)の信号を出力する回路のことである。ただし、
整数nは、n≧2であり、n=2の場合は2逓倍器、n
=3の場合は3逓倍器と呼ぶ。上記周波数逓倍回路は、
非線形特性を有する半導体素子を利用して周波数変換を
行い、非線形特性を有する半導体素子として、ダイオー
ドのような2端子素子よりもゲインを有する3端子素子
の方が周波数の変換効率が高くなるため、トランジスタ
やFET等の3端子素子が使われることが多い。ここ
で、周波数の変換効率とは、周波数f1の入力信号の電
力に対する周波数fnの出力信号の電力の比率であり、
周波数逓倍回路の性能の良否を判断する重要な指標であ
る。
【0003】図10は従来の周波数逓倍回路としての2
逓倍器のブロック図を示しており、この2逓倍器は2倍
の周波数変換を行う。このような2逓倍器の技術は、特
開平10−93349号公報や電子情報通信学会「モノ
リシックマイクロ波集積同路(MMIC)」(p125〜
p127)に開示されている。
【0004】図10において、1は入力信号(周波数f
1)が入力される入力端子、2は出力信号(周波数f2=
f1×2)が出力される出力端子、3はFET等の3端
子能動素子である半導体素子、4は上記入力信号(周波
数f1)に対する整合回路、32は上記出力信号(周波数
f2)に対する整合回路である。また、31は上記半導
体素子3と整合回路32との間に配置された入力信号
(周波数f1)に対するトラップ回路であり、オープンス
タブやLC共振回路によって、周波数f1の信号を選択
的に全反射するように設計されている。上記トラップ回
路31の具体的な設計法は、上記文献(特開平10−9
3349号公報や電子情報通信学会「モノリシックマイ
クロ波集積同路(MMIC)」)等で開示されている。な
お、図10では、位相調整のための伝送線路を省略した
が、トラップ回路31の直前には、特開2000−15
6611号公報において議論されているように、位相調
整のための伝送線路が設けられるのが普通である。
【0005】図10に示す2逓倍器は、線形増幅器に近
い回路構成になっているが、次の〜の幾つかを用い
て非線形特性を強めることによって、高調波を強く発生
させている。 バイアス点を調整して、例えばC級増幅器の動作を
させることによって、非線形歪みを発生させる。 入力信号の電力を大きくすることによって、わざと
出力を飽和状態にして、非線形歪みを発生させる。 トラップ回路31と能動素子である半導体素子3と
の間に基本波成分(周波数f1)を閉じ込めることによっ
て、半導体素子3の出力端で飽和を起こす等して、非線
形歪みを発生させる。
【0006】以上のようにして、2逓倍器の中では非線
形歪みによって様々な高調波が発生するが、出力側のト
ラップ回路31や整合回路32等によって、不要な高調
波成分を抑圧し、必要な高調波成分のみを効率良く取り
出し、この2逓倍器では2次高調波を取り出す。
【0007】図10に示す回路構成において、2次高調
波ではなく3次高調波を取り出すことにより3逓倍器が
得られる。ただし、3倍以上の高次逓倍器においては、
不要な高調波成分を抑圧して必要な高調波成分のみを取
り出すために、図10よりも複雑な構造を用いるのが普
通である。
【0008】また、従来の他の周波数逓倍回路として
は、特開2000−156611号公報に開示された3
逓倍器がある。図11は上記3逓倍器のブロック図を示
しており、この3逓倍器は、トラップ回路と出力側の整
合回路を除いて図10の2逓倍器と同一の構成をしてい
る。図11において、8は出力信号(周波数f3)に対す
る整合回路、33は基本波(周波数f1)と2倍波(周波
数f2)に対するトラップ回路である。このような3逓
倍器の基本的な動作原理は、図10の2逓倍器と全く同
じである。
【0009】また、4逓倍器以上の高次の逓倍器になっ
ても動作原理は同じであり、不要や高調波成分を抑圧す
るためのトラップの数や複雑さが増し、必要な高調波成
分は整合回路を通して効率良く取り出される。図12に
4逓倍器のブロック図を示しており、図12において、
14は出力信号(周波数f4)に対する整合回路、34は
基本波(周波数f1)と2倍波(周波数f2)および3倍波
(周波数f3)に対するトラップ回路である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記周
波数逓倍回路では、高次の逓倍器になるほど周波数の変
換効率が悪くなるという問題がある。一般的には、3逓
倍器以上になると、変換効率は0dBを下回ってマイナ
スになり、変換損失が急激に大きくなることが経験的に
知られている。そのため、実際に使用される逓倍器は、
せいぜい2〜4逓倍器に限られている。
【0011】まず、ミリ波帯の無線通信装置において、
このように高効率の高次逓倍器が作れない制約がシステ
ム設計にどのような影響を与えているかを説明する。
【0012】図13は、上記周波数逓倍回路を用いた送
信側の無線通信装置のブロック図である。ここでは説明
を簡略化するため、単純なアップコンバータ回路を取り
上げる。図13に示すように、IF(中間周波数)信号が
入力される入力端子1から入力された低周波信号は、ミ
キサ35においてローカル発振器39の出力信号と掛け
合わされた結果、高周波信号に変換され、フィルタ36
や増幅器(以下、アンプという)37を通った後にアンテ
ナ38から送信される。ところで、ミリ波帯の無線通信
装置の場合には、入力端子1から入力される低周波信号
は1〜3GHz程度の周波数であるのに対し、アンテナ
38から放射される送信信号の周波数は60〜80GH
zもの超高周波になることが多い。そのため、ローカル
発振周波数としても、やはり60〜80GHzもの超高
周波が必要になる。この場合、ローカル発振器39のみ
で直接このような超高周波の安定した発振信号を得るこ
とは難しいため、周波数逓倍回路と組み合わせて使われ
る。すなわち、上記ローカル発振器39は、数GHz程
度の比較的低い周波数帯で安定した発振信号を出力し、
その信号の周波数が、周波数逓倍回路によって数倍〜数
十倍もの高い周波数に変換される。
【0013】図13に示す無線通信装置では、ローカル
発振器39の出力信号の周波数を12逓倍している。図
13において、43は発振ブロック、44は上記発信ブ
ロック43からの出力信号の周波数を3逓倍する3逓倍
ブロック、45は上記3逓倍ブロック44からの3逓倍
された信号の周波数をさらに4逓倍する4逓倍ブロック
である。以下、上記発振ブロック43,3逓倍ブロック
44および4逓倍ブロック45の順に説明をする。
【0014】まず、上記発振ブロック43は、発振器3
9と、その発振器39の出力信号を増幅するアンプ40
を有している。なぜならば、次段の3逓倍器41が図1
1に示す3逓倍器の場合には、周波数変換効率の低さを
補う目的で、5〜10dBmもの高い入力電力を必要と
するためである。
【0015】次に、上記3逓倍ブロック44は、3逓倍
器41と、その3逓倍器41の出力信号を増幅するアン
プ40とを有している。なぜならば、3逓倍器41の周
波数変換効率が低いために、そのままでは次段の4逓倍
ブロック45に対して十分な電力を供給できないためで
ある。
【0016】最後に、上記4逓倍ブロック45は、2つ
の直列接続された2逓倍器42と、2逓倍器42により
4逓倍された信号を増幅するアンプ40とを有してい
る。この4逓倍ブロック45では、図12に示す4逓倍
器では周波数変換効率が低過ぎるために、1個の4逓倍
器では十分な電力が得られないために、2逓倍器42を
2個つないで4逓倍器を代用している。
【0017】このように、上記無線通信装置では、12
逓倍動作を実現するためには、図13に示すような複雑
な構成を採らざるを得ないので、回路規模の増大、装置
全体の大型化、コストの増加、消費電力の増大という問
題がある。
【0018】次に、従来の周波数逓倍回路において、3
倍以上の高次の周波数変換時に変換損失が生じる原因を
説明する。
【0019】能動素子の非線形応答を調べるためには、
厳密には、ハーモニックバランス等の非線形の回路シミ
ュレーションが必要である。しかし、直感的に現象を把
握する上では、次のような多項式を用いた単純化モデル
でも十分なことが知られている。
【0020】上記能動素子の非線形応答の特徴は、入力
電力に対して出力電力が飽和特性を示すことである。図
14は上記能動素子の飽和の様子を示した模式的なグラ
フを示している。図14において、グラフ横軸xが入力
電圧振幅を表し、グラフ縦軸yが出力電圧振幅を表して
いる。図14のグラフの直線は、線形応答(y=a1
x)の場合の入出力特性を示し、曲線は、非線形応答の
場合の入出力特性を示している。図14のグラフの曲線
は、例えば次のような多項式で近似することができる。 y = a1・x+a2・x2+a3・x3+a4・x4 ……… (式1) 上記(式1)において、係数a1,a2,a3,a4は実数であ
る。上記(式1)は4次の多項式であるが、多項式の次数
は必要に応じて任意の次数にすれば良い。一般的に、高
次の多項式を用いるほど近似の精度が高くなる。このこ
とからも推測できるが、4つの係数a1〜a4の間には、 a1>a2>a3>a4 という大小関係があることが、経験的にも知られてい
る。特に線形性が良い半導体デバイスの場合では、 a1≫a2≫a3≫a4 という極端な大小関係になることも珍しくない。
【0021】上記(式1)において、入力電圧振幅xは、 x=cos(ωt) で表される正弦波とする。ここで、tは時間、ωは角周
波数であり、角周波数ωと周波数fとの間には、 ω=2πf の関係がある。ここで入力電圧振幅xの最大振幅は、説
明を簡単にするために1にする。そして、 x=cos(ωt) を(式1)に代入し、三角関数の公式を用いて整理する
と、次の(式2)が得られる。 y = ((a2/2)+(3・a4/8)) +(a1+(3・a3/4))・cos(ωt) +((a2/2)+(a4/2))・cos(2ωt) +(a3/4)・cos(3ωt) +(a4/8)・cos(4ωt) ………………… (式2) 上記(式2)において、cos(ωt)の項は、周波数変換
を伴わない基本波出力を表しており、線形アンプにおい
て重要な成分である。それに対して、cos(2ωt)の
項は2次の高調波出力、cos(3ωt)の項は3次の高
調波出力、cos(4ωt)の項は4次の高調波出力を表
しており、周波数逓倍回路において重要な成分である。
【0022】このような理解の上に立って、次に重要な
のは、2〜4次の高調波出力それぞれの振幅係数であ
る。簡単に要約すれば、2次高調波の振幅は多項式の2
次係数であるa2、3次高調波の振幅は多項式の3次係
数であるa3、4次高調波の振幅は多項式の4次係数で
あるa4で決まることが分かる。
【0023】ところで、前述のように、4つの係数a1
〜a4の間には、 a1>a2>a3>a4 という大小関係がある。すなわち、(式2)が意味するこ
とは、2〜4次の高調波の出力振幅の間にも、 2次>3次>4次 という大小関係があることである。すなわち、逓倍器に
使われている半導体素子の内部では、もともと高次の周
波数成分ほど発生する電力は小さく、それを如何に整合
回路で効率良く取り出したとしても限界があるというこ
とである。これが、3倍以上の高次逓倍器において変換
損失が大きくなってしまう根本的な原因である。
【0024】従来の周波数逓倍回路においても、更なる
回路上の工夫によって、3倍以上の高次の変換効率を高
めようという試みはあった。
【0025】そのような3倍以上の高次の変換効率を高
める第1の試みは、特開昭63−149908号公報に
記載された高次逓倍器である。この高次逓倍器は、図1
5のブロック図に示すように、入力端子1に一端が接続
された整合回路(周波数f1)4と、上記整合回路(周波
数f1)4の他端に入力側が接続された半導体素子3
と、上記半導体素子3の出力側に一端が接続された整合
回路(周波数fn)48と、上記整合回路(周波数fn)4
8の他端に一端が接続され、他端が出力端子2に接続さ
れたトラップ(周波数f1)31と、上記半導体素子3の
入出力間に接続された帰還回路49とを有している。
【0026】上記高次逓倍器では、帰還回路49を設け
ることによって、3倍以上の高次の周波数帯におけるゲ
インを高めている。上記高次逓倍器は、入力信号の周波
数f1に対して出力信号の周波数がn倍のfn(=f1
×n)であり、帰還回路49にこの出力信号と同じ周波
数fnの信号が流れる構造になっている。これによっ
て、帰還回路49は周波数fnにおけるアンプと同様の
効果をもたらすため、図15の回路は等価的には図16
の回路で表すことができる。すなわち、図16に示す高
次逓倍器は、入力端子1に一端が接続された整合回路
(周波数f1)4と、上記整合回路(周波数f1)4の他端
に入力端子が接続されたn逓倍器50と、上記n逓倍器
50の出力端子に入力端子が接続されたアンプ51と、
上記アンプ51の出力端子に一端が接続された整合回路
(周波数fn)48とを有している。
【0027】しかし、この高次逓倍器の欠点は、図16
から明らかなように、もともとn逓倍器50の中で発生
する歪みのメカニズムについては何も改善されていない
ことである。もともと上記n逓倍器50の中で発生する
n次高調波成分自体が小さければ、その後にアンプ51
で増幅しようとしても限界がある。その理由は、帰還回
路49の効果で生まれる程度のアンプ効果では、高次高
調波における変換損失を十分に埋め合わせられるほどの
大きなゲインは期待できないためである。また、別な問
題として、この高次逓倍器では、帰還回路49によって
任意の周波数で発振が起こりやすくなるが、発振を防ぐ
ための具体的な回路上の施策が明らかにされていないと
いう問題もある。
【0028】また、3倍以上の高次の変換効率を高める
第2の試みは、特開昭55−110434号公報に記載
された注入同期型発振器である。これは、もはや逓倍器
技術からは逸脱するために詳細は省略するが、回路構成
としては図15の高次逓倍器と概ね同じであり、図15
における帰還回路を極端にして積極的に発振条件に設計
したものとして理解できる。また、発振を起こすことに
よって、図16におけるアンプ51のゲインを極限まで
高めているという理解の仕方もできる。ただし、入力が
ない場合でも、自励発振によって出力が出ている。この
ような発振器では、逓倍器としての出力周波数と無関係
な周波数でも同時に発振が起こってしまう危険がある
が、このような問題を注入同期という手法で解決してい
る。しかし、通常、逓倍器と注入同期発振器は、要求安
定度や要求帯域幅等の条件に応じて使い分けされるのが
普通である。そのため、この明細書では、この発明と上
記注入同期発振器とを直接比較することは避けておく。
【0029】この発明の目的は、簡単な構成で特に3次
以上の高次の周波数変換効率を向上できる周波数逓倍回
路を提供すると共に、その周波数逓倍回路を用いて、大
幅な回路の簡略化、部品数の削減、装置の小型化、消費
電力の低減、価格の低減ができる高周波通信装置を提供
することにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の周波数逓倍回路は、周波数f1の入力信
号が入力される非線形特性を有する半導体素子を備え、
上記非線形特性を有する半導体素子の出力側から上記入
力信号の周波数f1のn倍(nは自然数)の周波数fnの
出力信号を出力する周波数逓倍回路において、上記非線
形特性を有する半導体素子から出力された高調波成分の
うちの上記入力信号の周波数f1のm倍(mは自然数)の
周波数fmの信号を上記非線形特性を有する半導体素子
の入力側に正帰還させる帰還回路を設け、上記入力信号
と上記周波数fmの信号および上記出力信号の各周波数
f1,fn,fmが、 f1<fm<fn の条件を満足することを特徴としている。
【0031】従来の周波数逓倍回路では、例えば3次高
調波を生成するために上記(式1)の中の3次の係数であ
るa3を用い、4次高調波を生成するためには(式1)の
中の4次の係数であるa4を用いているため、係数a3
4自体がもともと小さい値であるために、得られる高
調波の電力も小さかった。
【0032】これに対して、上記構成の周波数逓倍回路
によれば、例えば周波数fnの出力信号として3次高調
波を生成するためには(式1)の中の2次の係数であるa
2を用い、また、周波数fnの出力信号として4次高調
波を生成するためにも(式1)の中の2次の係数であるa
2を用いる。これら係数の間には、 a2>a3>a4 または a2≫a3≫a4 という関係があるため、従来技術よりも変換効率が高く
なる。
【0033】すなわち、この発明の周波数逓倍回路は、
非線形特性を有する半導体素子から出力される高調波成
分のうち可能な限り低次の歪み成分を使って、可能な限
り高次の歪み成分を作ることを特徴としており、そのた
めの手段として、低次の歪み成分を帰還回路を通じて非
線形特性を有する半導体素子の入力側に戻してやり、再
び非線形特性を有する半導体素子を通って歪ませること
によって、多段階のステップを踏んで高次の歪み成分を
得ている。したがって、簡単な構成で特に3次以上の高
次の周波数変換効率を向上できる。
【0034】また、一実施形態の周波数逓倍回路は、請
求項1の周波数逓倍回路において、上記帰還回路に、上
記周波数fmの信号のみを通過させるバンドパスフィル
タ機能を有する回路を設けたことを特徴としている。
【0035】上記実施形態の周波数逓倍回路によれば、
上記周波数fmの信号のみを通過させるバンドパスフィ
ルタ機能を有する回路を上記帰還回路に設けることによ
って、上記帰還回路を通る信号が容易に選択されると共
に、回路発振を起こさず安定に動作するようにできる。
【0036】また、一実施形態の周波数逓倍回路は、請
求項1または2の周波数逓倍回路において、上記周波数
fmの信号が上記入力信号の周波数f1の2倍であっ
て、上記出力信号の周波数fnが上記入力信号の周波数
f1の3倍または4倍であることを特徴としている。
【0037】上記実施形態の周波数逓倍回路によれば、
上記周波数fmの信号が入力信号の周波数f1の2倍に
すると共、上記出力信号の周波数fnが入力信号の周波
数f1の3倍とすることによって、低次(2次)の係数の
大きい歪成分を用いて高変換効率の3逓倍器を簡単な構
成で実現することができる。また、上記周波数fmの信
号が入力信号の周波数f1の2倍にすると共、上記出力
信号の周波数fnが入力信号の周波数f1の4倍とする
ことによって、低次(2次)の係数の大きい歪成分を用い
て高変換効率の4逓倍器を簡単な構成で実現することが
できる。
【0038】また、一実施形態の周波数逓倍回路は、請
求項1乃至3のいずれか1つの周波数逓倍回路におい
て、上記非線形特性を有する半導体素子の出力側に、上
記非線形特性を有する半導体素子から出力された基本波
成分を除去する基本波成分除去回路を備えたことを特徴
としている。
【0039】上記実施形態の周波数逓倍回路によれば、
上記非線形特性を有する半導体素子の出力側に備えた基
本波成分除去回路によって、上記非線形特性を有する半
導体素子から出力された基本波成分を除去するので、上
記帰還回路に不要な基本波成分(周波数f1)が正帰還せ
ず、回路発振を確実に防止できる。
【0040】また、この発明の高周波通信装置は、請求
項1乃至4のいずれか1つの周波数逓倍回路を用いたロ
ーカル発振部を備えたことを特徴としている。
【0041】上記構成の高周波通信装置によれば、上記
周波数逓倍回路をローカル発振部に用いることによっ
て、大幅な回路の簡略化、部品数の削減、装置の小型
化、消費電力の低減、価格の低減ができる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、この発明の周波数逓倍回路
および高周波通信装置を図示の実施の形態により詳細に
説明する。
【0043】(第1実施形態)図1は、この発明の第1実
施形態の周波数逓倍回路としての3逓倍器の原理を表す
ブロック図である。この3逓倍器は、図1に示すよう
に、入力端子1に一端が接続された整合回路(周波数f
1)4と、上記整合回路(周波数f1)4の他端に一端が
接続されたトラップ回路(周波数f2)5と、上記トラッ
プ回路(周波数f2)5の他端に入力側が接続された半導
体素子3と、上記半導体素子3の出力側に一端が接続さ
れたトラップ回路(周波数f1)6と、上記トラップ回路
(周波数f1)6の他端に一端が接続されたトラップ回路
(周波数f2)7と、上記トラップ回路(周波数f2)7の
他端に一端が接続され、他端が出力端子2に接続された
整合回路(周波数f3)8とを備えている。また、上記ト
ラップ回路(周波数f1)6の他端と半導体素子3の入力
側とを帰還回路9により接続し、その帰還回路9にバン
ドパスフィルタ機能を有するBPF回路(周波数f2)1
0を設けている。
【0044】上記構成の3逓倍器において、入力端子1
から整合回路(周波数f1)4を介して入力された信号
(周波数f1)が、半導体素子3の内部で2次の歪み係数
2によって周波数変換された結果、周波数f2(=f1
×2)の信号になる。この周波数f2の成分が、帰還回
路9を通って半導体素子3の入力側に再度戻される。こ
の周波数f2の信号と、もともと存在する周波数f1の
信号が、半導体素子3で2次の歪み係数a2によって周
波数変換された結果、周波数f3(=f1+f2)の成分
を生み出す。また、このような信号の流れをコントロー
ルするためにトラップ回路5,6,7を設けている。な
お、図1では、トラップ回路6はトラップ回路7や帰還
回路9の前に置かれているが、トラップ回路6の位置
は、この発明の趣旨である信号の流れを妨げない限り、
ある程度の自由度が許される。また、整合回路4やトラ
ップ回路5の位置についても、同様にある程度の自由度
がある。また、整合回路4,8により信号の入力と取り
出しが効率良く行われる。また、上記帰還回路9を設け
たことによって回路全体が著しく発振しやすくなってし
まうため、帰還回路9に挿入されたBPF回路10によ
って安定化のために最低限必要な周波数f2の信号のみ
を通す。このBPF回路10は、回路が発振を起こす心
配が何らかの他の理由によって払拭されている場合に
は、必ずしも必要なものではない。
【0045】最後の周波数f3に至る周波数変換は、数
式の上では次のように説明される。上記(式1)に2つの
周波数からなる入力信号振幅xを、 x = cos(ωt)+cos(2ωt) とする。簡単のため、振幅は1、位相差は零に式を単純
化したが、ここで説明しようとする周波数変換の原理に
対しては影響はない。この入力信号振幅xの式を(式1)
に代入し、三角関数の公式を用いて整理すると、次の
(式3)が得られる。 y = (a2+(3・a3/4)) +(a1+a2+(9・a3/4))・cos(ωt) +(a1+(a2/2)+(9・a3/4))・cos(2ωt) +(a2+a3)・cos(3ωt) +((a2/2)+(3・a3/4))・cos(4ωt) +(3・a3/4)・cos(5ωt) +(a3/4)・cos(6ωt) ………………… (式3) 上記(式3)の結果で重要な点が2つある。第1に、周波
数変換の結果として、3逓倍成分であるcos(3ωt)
が新たに発生したことである。このように2つの信号
(基本波と2逓倍成分)が2次歪みa2を使って周波数変
換される場合は、半導体素子3がミキサとして動作して
いると考えれば良い。第2に、その3逓倍成分cos
(3ωt)の振幅係数として、従来の小さな係数a3だけ
でなく、新たに大きな係数であるa2が加わったことで
ある。
【0046】以上述べてきた原理に注目すれば、図1の
3逓倍器の回路は図2の等価回路で表すことができる。
この図2に示す3逓倍器は、入力端子1に一端が接続さ
れた整合回路(周波数f1)4と、上記整合回路(周波数
f1)4の他端に一端が接続された2逓倍器11と、上
記2逓倍器11の他端に一端が接続されたBPF回路
(周波数f2)10と、上記BPF回路(周波数f2)10
の他端に一方の入力端子が接続され、整合回路(周波数
f1)4の他端に他方の入力端子が接続されたミキサ1
2と、上記ミキサ12の出力端子に一端が接続され、他
端が出力端子2に接続された整合回路(周波数f3)8と
を備えている。
【0047】図2に示す3逓倍器では、入力された周波
数f1の信号の一部が、2逓倍器11によって周波数f
2の信号に変換される。この2逓倍器11は、図1にお
ける半導体素子3の2次歪みa2成分によって実現され
ている。そして、周波数f1と周波数f2の2つの信号
は、ミキサ12によって周波数f3の信号に変換され
る。上記ミキサ12は、図1における半導体素子3の2
次歪みa2成分によって実現されている。この図2の回
路は、このまま作成すれば、半導体素子2個を使った大
規模な回路になり、消費電力も大きくなる。そこで、図
2の回路を「帰還回路」というテクニックを用いて折り
畳んで1個の半導体素子で実現したのが、図1の回路で
ある。
【0048】また、図3は図1に示す3逓倍器のブロッ
ク図を実際の電子回路で具体化した回路図である。図3
に示すように、この3逓倍器は、入力端子1から入力さ
れる信号の周波数(f1)に対する整合回路18と、上記
整合回路18の出力側に一端が接続された2次の高調波
(周波数f2)に対するトラップ回路19と、上記トラッ
プ回路19の他端に入力側が接続された非線形ブロック
17と、上記非線形ブロック17の出力端子に一端が接
続された基本波(周波数f1)に対するトラップ回路20
と、上記トラップ回路20の他端に一端が接続された2
次高調波(周波数f2)に対するトラップ回路21と、上
記トラップ回路21の他端に一端が接続され、他端が出
力端子に接続され、出力信号の周波数(f3)に対する整
合回路22と、上記トラップ回路20の他端と非線形ブ
ロック17の入力端子との間に接続された帰還回路23
とを備えている。
【0049】上記整合回路18は、入力端子1に一端が
接続されたコイルL1と、そのコイルL1の他端とグラン
ドGNDとの間に接続されたコンデンサC1とを有して
いる。
【0050】また、上記トラップ回路19は、整合回路
18のコイルL1の他端に一端が接続されたコイルL2
と、そのコイルL2に並列接続されたコンデンサC2とを
有し、周波数f2においてコイルL2とコンデンサC2が
並列共振を起こすように設計されている。
【0051】また、上記非線形ブロック17は、トラッ
プ回路19のコイルL2の他端に一端が接続されたDC
カットコンデンサC20と、そのDCカットコンデンサC
20の他端とバイアス端子との間に接続された抵抗R1
と、上記DCカットコンデンサC20の他端とグランドG
NDとの間に接続された抵抗R2と、上記DCカットコ
ンデンサC20の他端にベース端子が接続され、エミッタ
端子がグランドGNDに接続された非線形特性を有する
半導体素子としてのトランジスタQと、上記トランジス
タQのコレクタ端子に一端が接続されたコイルL3と、
上記トランジスタQのコレクタ端子に一端が接続された
コンデンサC3とを有し、抵抗R1,R2でバイアス回路を
構成している。
【0052】また、上記トラップ回路20は、非線形ブ
ロック17のコンデンサC3の他端に一端が接続された
位相調整のための伝送線路TL1と、その伝送線路TL1
の他端に一端が接続されたコイルL4と、上記コイルL4
の他端とグランドGNDとの間に接続されたコンデンサ
C4とを有し、周波数f1においてコイルL4とコンデン
サC4が直列共振を起こすように設計してある。なお、
位相調整のために設けた伝送線路TL1の働きは、例え
ば特開2000−156611号公報において説明され
ている。
【0053】また、上記トラップ回路21は、トラップ
回路20の伝送線路TL1の他端に一端が接続された位
相調整のための伝送線路TL2と、その伝送線路TL2の
他端に一端が接続されたコイルL5と、上記コイルL5に
並列接続されたコンデンサC5とを有している。
【0054】また、上記整合回路22は、トラップ回路
21のコイルL5の他端とグランドGNDとの間に接続
されたコンデンサC6と、そのコンデンサC6の一端に一
端が接続され、他端が出力端子2に接続されたコイルL
6とを有している。
【0055】さらに、上記帰還回路23は、トラップ回
路20の伝送線路TL1の他端に一端が接続された位相
調整のための伝送線路TL3と、上記伝送線路TL3の他
端に一端が接続された周波数f2における整合回路25
と、上記整合回路25の他端に一端が接続された2次高
調波(周波数f2)に対するバンドパスフィルタ24と、
上記バンドパスフィルタ24の他端に一端が接続された
位相調整のための伝送線路TL4と、上記伝送線路TL4
の他端に一端が接続され、非線形ブロック17のDCカ
ットコンデンサC20の一端に他端が接続された帰還量を
調整するための抵抗R3とを有している。上記整合回路
25は、伝送線路TL3の他端とグランドGNDとの間
に接続されたコンデンサC7と、そのコンデンサC7の一
端に一端が接続されたコイルL7とを有している。ま
た、上記バンドパスフィルタ24は、整合回路25のコ
イルL7の他端に一端が接続されたコンデンサC8と、そ
のコンデンサC8の他端に一端が接続され、他端が伝送
線路TL4の一端に接続されたコイルL8と、上記コンデ
ンサC8の一端とグランドGNDとの間に接続されたコ
ンデンサC9と、そのコンデンサC9に並列接続されたコ
イルL9と、上記コイルL8の他端とグランドGNDとの
間に接続されたコンデンサC10と、そのコンデンサC10
に並列接続されたコイルL10とを有している。
【0056】図4は図3に示す3逓倍器の入出力特性の
グラフを示しており。図4において、横軸は入力電力P
inを表し、縦軸は出力電力Poutを表している。図3の
3逓倍器において、1GHzの入力信号を3GHzの出力
信号に周波数変換するように、整合回路18,22,25
やトラップ回路19,20,21やバンドパスフィルタ2
4や位相線路26,27等の素子定数をチューニングし
ている。上記非線形ブロック17では、非線形特性を有
する半導体素子としては、fmax=160GHz程度のH
BT(Heterojunction Bipolar Transistor:ヘテロ接合
バイポーラトランジスタ)を用いている。このエミッタ
接地されたHBTにおいて、コレクタ端子に供給される
電源電圧を3Vとしたところ、この電源条件下では、H
BTの1〜4GHz帯の飽和出力電力は、概ね13dB
m程度であった。図4の入出力特性に示すように、この
3逓倍器では、入力電力Pin=0dBmに対して出力電
力Pout=10dBm強が得られており、周波数の変換
効率で言えば+10dB強という結果が得られた。従来
の3逓倍器では、周波数の変換効率はマイナスになり、
すなわち変換損失が生じることが一般的であるのに対し
て、この第1実施形態の3逓倍器では、変換効率を著し
く改善することができた。
【0057】(第2実施形態)図5は、この発明の第2実
施形態の周波数逓倍回路としての4逓倍器の原理を表す
ブロック図である。この4逓倍器は、図5に示すよう
に、整合回路(周波数f4)14を除き第1実施形態の3
逓倍器と同一の構成をしており、同一構成部は同一参照
番号を付して説明を省略する。
【0058】上記構成の4逓倍器において、入力された
信号(周波数f1)が、半導体素子3の内部で2次の歪み
係数a2によって周波数変換された結果、周波数f2(=
f1×2)の信号になる。この周波数f2の成分が、帰
還回路9を通って半導体素子3の入力側に再度戻され
る。この周波数f2の信号が、再度、半導体素子3の内
部で2次の歪み係数a2によって周波数変換された結
果、周波数f4(=f2+f2)の成分を生み出す。ま
た、このような信号の流れをコントロールするためにト
ラップ回路5,7,13を設けている。なお、図5ではト
ラップ回路13はトラップ回路7や帰還回路9の前に置
かれているが、このような位置は、この発明の趣旨であ
る信号の流れを妨げない限り、ある程度の自由度が許さ
れる。また、整合回路4やトラップ回路5の位置につい
ても、同様にある程度の自由度がある。また、整合回路
4,14により信号の入力と取り出しが効率良く行われ
る。また、帰還回路9による発振を防ぐために、バンド
パスフィルタ機能を有するBPF回路10を挿入してい
る。このBPF回路10は、回路が発振を起こす心配が
何らかの他の理由によって払拭されている場合には、必
ずしも必要なものではない。
【0059】以上述べてきた原理に注目すれば、図5の
回路は等価的に図6の回路で表すことができる。この図
6に示す4逓倍器は、入力端子1に一端が接続された整
合回路(周波数f1)4と、上記整合回路(周波数f1)4
の他端に一端が接続された2逓倍器15と、上記2逓倍
器11の他端に一端が接続されたBPF回路(周波数f
2)10と、上記BPF回路(周波数f2)10の他端に
一端が接続された2逓倍器16と、上記2逓倍器16の
他端に一端が接続され、他端が出力端子2に接続された
整合回路(周波数f4)14とを備えている。
【0060】図6に示す4逓倍器では、入力された周波
数f1の信号の一部が、2逓倍器15によって周波数f
2の信号に変換される。この2逓倍器15は、図5にお
ける半導体素子3の2次歪みa2成分によって実現され
ている。この周波数f2の信号は、再度、2逓倍器16
によって周波数f4の信号に変換される。上記2逓倍器
16は、図5における半導体素子3の2次歪みa2成分
によって実現されている。この図6の回路は、このまま
作成すれば、半導体素子2個を使った大規模な回路にな
り、消費電力も大きくなる。そこで、図6の回路を「帰
還回路」というテクニックを用いて折り畳んで1個の半
導体素子で実現したのが、図5の回路である。
【0061】図7は図5に示す4逓倍器のブロック図を
実際の電子回路で具体化した回路図である。この図7に
示す4逓倍器は、トラップ回路29と整合回路30を除
き第1実施形態の図3に示す3逓倍器と同一の構成をし
ており、同一構成部は同一参照番号を付して説明を省略
する。
【0062】図7に示すように、トラップ回路29は、
非線形ブロック17のコンデンサC3の他端に一端が接
続された位相調整のための伝送線路TL1と、その伝送
線路TL1の他端に一端が接続されたコイルL4と、上記
コイルL4の他端に一端が接続され、他端がグランドG
NDに接続されたコンデンサC4と、上記伝送線路TL1
の他端に一端が接続されたコイルL11と、上記コイルL
11の他端に一端が接続され、他端がグランドGNDに接
続されたコンデンサC11とを有している。このトラップ
回路29では、周波数f1においてコイルL4とコンデ
ンサC4が直列共振を起こすように設計すると共に、周
波数f3においてコイルL11とコンデンサC11が直列共
振を起こすように設計している。
【0063】また、整合回路30は、トラップ回路21
のコイルL5の他端とグランドGNDとの間に接続され
たコンデンサC12と、そのコンデンサC12の一端に一端
が接続され、他端が出力端子2に接続されたコイルL12
とを有している。
【0064】図8は、図7の4逓倍器の入出力特性のグ
ラフである。図8において、横軸は入力電力Pinを表
し、縦軸は出力電力Poutを表している。なお、ここで
は図7の回路を、1GHzの入力信号を4GHzの出力信
号へ周波数変換するようにチューニングしている。ま
た、半導体素子や電源電圧等の条件は、図4において説
明した条件と同じである。図8の入出力特性に示すよう
に、この4逓倍器では、入力電力Pinが0dBmのとき
に出力電力Poutが9dBm強であり、周波数の変換効
率で言えば+9dB強という結果が得られた。従来技術
の4逓倍器では、周波数の変換効率はマイナスになり、
すなわち変換損失が生じることが一般的であるのに対し
て、この第2実施形態の4逓倍器では、変換効率を著し
く改善することができた。
【0065】(第3実施形態)図9はこの発明の第3実施
形態の3逓倍器を用いたミリ波帯の無線通信装置の送信
側のブロック図である。このミリ波帯の無線通信装置
は、図13に示す従来の無線通信装置にこの発明の周波
数逓倍回路を適用したもので、図13に示す無線通信装
置とローカル発振部が異なり、ミキサ35〜アンテナ3
8および発振器39は同一の構成である。図9におい
て、46は発振器39の出力信号の周波数を3逓倍する
3逓倍器、47は上記3逓倍器46により3逓倍された
信号の周波数をさらに4逓倍する4逓倍器である。
【0066】以下、図13の無線通信装置と対比させな
がら図9の無線通信装置について説明する。
【0067】まず、図13のアンプ40を有する発振ブ
ロック43に対して、この無線通信装置では、アンプを
省いた発振器39だけで良くなる。なぜならば、図4や
図8から分かるように、この発明による周波数逓倍回路
は、周波数変換効率が非常に高いために、例えば0dB
m程度の比較的低い入力電力でも十分に動作するためで
ある。
【0068】次に、図13のアンプ40を有する3逓倍
器ブロック44に対して、この無線通信装置では、アン
プを省いた3逓倍器46だけで良くなる。なぜならば、
図4から分かるように、この発明による3逓倍器46
は、それ単体でも例えば10dB程度の高い周波数変換
効率を持つためである。
【0069】最後に、図13のアンプ40を有する4逓
倍器ブロック45に対して、この無線通信装置では、ア
ンプを省き、また2個あった逓倍器の数を減らし、1個
の4逓倍器47だけで良くなる。なぜならば、図8から
分かるように、この発明による4逓倍器47は、それ単
体でも例えば9dB程度の高い周波数変換効率を持つた
めである。
【0070】以上、図9と図13を比較すれば明らかな
ように、この発明による3逓倍器を高周波通信装置のロ
ーカル発振部に用いることによって、ミリ波帯などの無
線通信装置において、大幅な回路の簡略化、部品数の削
減、装置の小型化、消費電力の低減、価格の低減が可能
になる。
【0071】上記第1,第2実施形態では、周波数逓倍
回路としての3逓倍器と4逓倍器について説明したが、
2逓倍器または5倍以上の高次の周波数変換を行う周波
数逓倍回路にこの発明を適用してもよい。
【0072】また、上記第3実施形態では、この発明の
周波数逓倍回路を用いた高周波通信装置について説明し
たが、高周波通信装置に限らず、他の装置にこの発明の
周波数逓倍回路を適用してもよい。
【0073】
【発明の効果】以上より明らかなように、この発明の周
波数逓倍回路によれば、特に3倍以上の高次の周波数変
換を行う逓倍器において、周波数の変換効率を大幅に高
めることができる。例えば、3逓倍器や4逓倍器におい
ても、変換損失がなく、高い変換ゲインを得ることがで
きる。また、帰還回路を用いているにも関わらず、発振
が起こりにくく安定な回路動作が実現できる。
【0074】また、この発明のこの発明の高周波通信装
置によれば、上記周波数逓倍回路をローカル発振部に用
いることによって、大幅な回路の簡略化、部品数の削
減、装置の小型化、消費電力の低減、価格の低減ができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明の第1実施形態の周波数逓倍
回路としての3逓倍器のブロック図である。
【図2】 図2は上記3逓倍器の等価ブロック図であ
る。
【図3】 図3は上記3逓倍器の回路図である。
【図4】 図4は上記3逓倍器の入出力特性を示す図で
ある。
【図5】 図5はこの発明の第2実施形態の周波数逓倍
回路としての4逓倍器のブロック図である。
【図6】 図6は上記4逓倍器の等価ブロック図であ
る。
【図7】 図7は上記4逓倍器の回路図である。
【図8】 図8は上記4逓倍器の入出力特性を示す図で
ある。
【図9】 図9はこの発明の第3実施形態の周波数逓倍
回路としての3逓倍器を用いたミリ波帯の無線通信装置
の送信側のブロック図である
【図10】 図10は従来の2逓倍器のブロック図であ
る。
【図11】 図11は従来の3逓倍器のブロック図であ
る。
【図12】 図12は従来の4逓倍器のブロック図であ
る。
【図13】 図13は従来の無線通信装置のブロック図
である。
【図14】 図14は能動素子の非線形応答のモデルを
表すグラフである。
【図15】 図15は従来の高次逓倍器のブロック図で
ある。
【図16】 図16は上記高次逓倍器の等価ブロック図
である。
【符号の説明】
1…入力端子、 2…出力端子、 3…半導体素子、 4…整合回路(周波数f1)、 5…トラップ回路(周波数f2)、 6…トラップ回路(周波数f1)、 7…トラップ回路(周波数f2)、 8…整合回路(周波数f3)、 9…帰還回路、 10…バンドパスフィルタ回路(周波数f2)、 11…2逓倍器、 12…ミキサ、 13…トラップ回路(周波数f1,f3)、 14…整合回路(周波数f4)、 15…2逓倍器、 16…2逓倍器、 17…非線形ブロック、 18…整合回路(周波数f1)、 19…トラップ回路(周波数f2)、 20…トラップ回路(周波数f1)、 21…トラップ回路(周波数f2)、 22…整合回路(周波数f3)、 23…帰還回路、 24…バンドパスフィルタ(周波数f2)、 25…整合回路、 29…トラップ回路(周波数f1,f3)、 30…整合回路(周波数f4)、 31…トラップ回路(周波数f1)、 32…整合回路(周波数f2)、 33…トラップ回路(周波数f1,f2)、 34…トラップ回路(周波数f1,f2,f3)、 35…ミキサ、 36…BPF回路、 37…アンプ、 38…アンテナ、 39…発振器、 40…アンプ、 41…3逓倍器、 42…2逓倍器、 43…発振ブロック、 44…3逓倍ブロック、 45…4逓倍ブロック、 46…3逓倍器、 47…4逓倍器、 48…整合回路(周波数fn)、 49…帰還回路(周波数fn)、 50…n逓倍器、 51…アンプ、 C1〜C12…コンデンサ、 C20…DCカットコンデンサ、 L1〜L12…コイル、 Q…トランジスタ、 TL1〜TL4…位相線路、 R1〜R3…抵抗。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周波数f1の入力信号が入力される非線
    形特性を有する半導体素子を備え、上記非線形特性を有
    する半導体素子の出力側から上記入力信号の周波数f1
    のn倍(nは自然数)の周波数fnの出力信号を出力する
    周波数逓倍回路において、 上記非線形特性を有する半導体素子から出力された高調
    波成分のうちの上記入力信号の周波数f1のm倍(mは
    自然数)の周波数fmの信号を上記非線形特性を有する
    半導体素子の入力側に正帰還させる帰還回路を設け、 上記入力信号と上記周波数fmの信号および上記出力信
    号の各周波数f1,fn,fmが、 f1<fm<fn の条件を満足することを特徴とする周波数逓倍回路。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の周波数逓倍回路におい
    て、 上記帰還回路に、上記周波数fmの信号のみを通過させ
    るバンドパスフィルタ機能を有する回路を設けたことを
    特徴とする周波数逓倍回路。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の周波数逓倍回
    路において、 上記周波数fmの信号が上記入力信号の周波数f1の2
    倍であって、 上記出力信号の周波数fnが上記入力信号の周波数f1
    の3倍または4倍であることを特徴とする周波数逓倍回
    路。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の
    周波数逓倍回路において、 上記非線形特性を有する半導体素子の出力側に、上記非
    線形特性を有する半導体素子から出力された基本波成分
    を除去する基本波成分除去回路を備えたことを特徴とす
    る周波数逓倍回路。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の
    周波数逓倍回路を用いたローカル発振部を備えたことを
    特徴とする高周波通信装置。
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