JP2003065133A - ディーゼル機関の制御装置 - Google Patents

ディーゼル機関の制御装置

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JP2003065133A
JP2003065133A JP2001255155A JP2001255155A JP2003065133A JP 2003065133 A JP2003065133 A JP 2003065133A JP 2001255155 A JP2001255155 A JP 2001255155A JP 2001255155 A JP2001255155 A JP 2001255155A JP 2003065133 A JP2003065133 A JP 2003065133A
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fuel
injection
combustion
injection rate
diesel engine
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JP2001255155A
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Takashi Shinjo
崇 新城
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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  • Fuel-Injection Apparatus (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】低温予混合燃焼による運転に際し、着火遅れ期
間の長期化に伴う着火性の悪化を防ぎ、燃焼安定性を維
持する。 【解決手段】低温予混合燃焼が不安定であるときは、噴
射率波形を通常時から変更し、噴射期間後期に多量の燃
料を噴射することにより、噴霧中に燃料のリッチ領域を
形成する。噴射率は、(a)及び(b)のように単位時
間当たりの噴射量を変化させるほか、(c)のように分
割噴射の場合の通電パルス幅又は間隔を変化させること
で制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼル機関の
制御装置に関し、詳細には、低温予混合燃焼による運転
に際し、着火遅れ期間が長くなり過ぎたときの着火性を
向上し、燃焼安定性を維持するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ディーゼル機関から排出され
る窒素酸化物(NOx)とスモーク(粒子状物質;P
M)とをともに減少させる技術として、特開平7−42
87号公報に示されたものがある。この技術では、排気
還流(EGR)等により吸気の酸素濃度を低下させて燃
焼温度を低下させるとともに、熱発生パターンが単段燃
焼の形態となるように着火遅れ期間を長期化する。これ
により、低温燃焼によりNOxの発生が抑制された状態
で、燃焼状態の予混合化によりPM排出量が低減され
る。なお、本明細書では、このように燃焼温度を低く抑
えて行われる予混合燃焼主体の燃焼を「低温予混合燃
焼」と言う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、低温予
混合燃焼によれば、着火遅れ期間の長期化によりPM排
出量を低減できる。しかし、着火遅れ期間は、燃料噴射
時期やそのときの運転条件に依存してほぼ決定される。
このため、条件によっては、この期間が長くなり過ぎる
こともありえ、その場合は、翻って、次に述べる問題が
起こる。すなわち、着火遅れ期間が長くなり過ぎると、
筒内温度が過度に低い状態で燃焼が開始されることとな
るので、燃料の着火性が悪化して燃焼が不安定となり、
未燃燃料(HC)の排出量が増大するのである。
【0004】これを、具体的に説明する。図10は、着
火遅れ期間の長期化に応じたPM排出量の変化を、図1
1は、同じくHC排出量の変化を示している。両図と
も、横軸に燃料噴射期間と着火遅れ期間との差ΔTを、
縦軸に空気過剰率λをとっている。図10を見ると、噴
射期間が着火遅れ期間よりも短い場合(ΔT<0)、す
なわち、燃焼状態が予混合化されている場合に、PM排
出量が少なくなることが分かる。しかし、着火遅れ期間
が更に長期化され、ある限界を超えると、図11に示す
ようにHC排出量が急増してしまう。
【0005】図12は、噴射期間を一定とした場合の燃
料噴射時期Tiと熱発生率との関係を示している。
(a)及び(b)とも低温予混合燃焼による。(a)で
は、適度の着火遅れ期間Aが形成され、良好な温度上昇
率による熱発生を生じている。このため、ここでは、H
Cの排出が抑制される。一方、(b)では、(a)の場
合と比較して、噴射時期TiをTidlt(クランク角
で1〜3°程度)遅らせている。噴射期間は同一なが
ら、着火遅れ期間Bが長くなり過ぎているため、熱発生
のピーク値が低く、図11に示すように、HCが急増し
てしまう。
【0006】特開平11−153056号公報開示の技
術は、噴射期間が着火遅れ期間よりも長くなった場合、
すなわち、着火遅れ期間が短い場合の問題を、燃料噴射
弁のリフト量増大により解決している。しかし、これと
は逆に、着火遅れ期間が長い場合の問題についての対策
は講じられていない。本発明は、このような実情に鑑み
てなされたものであり、その目的は、低温予混合燃焼に
よる運転に際し、特に着火遅れ期間の長期化に伴う着火
性の悪化を燃料噴射制御により補い、燃焼安定性を維持
する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1に記
載の発明では、吸気の酸素濃度を低下させて燃焼温度を
低下させる燃焼温度制御手段と、着火遅れ期間内に機関
出力のための全燃料を噴射させて予混合燃焼を行わせる
燃焼状態制御手段とを備えるディーゼル機関の制御装置
において、次の構成要素を設けた。
【0008】すなわち、(A)予混合燃焼の安定度を検
出する燃焼安定度検出手段、及び(B)燃焼安定度検出
手段により検出された燃焼安定度に基づいて機関出力の
ための主噴射の燃料噴射率波形を制御する噴射率制御手
段である。噴射率波形は、予混合燃焼が不安定なとき
に、噴射期間前期に対する同後期の噴射率を大きくする
とよい(請求項2)。
【0009】請求項3に記載の発明では、噴射率波形の
制御において単位時間当たりの燃料噴射量を変化させる
こととした。この場合は、燃料噴射弁のリフト量を制御
するか(請求項4)又は、燃料ポンプから圧送された高
圧燃料を蓄える燃料畜圧室を備える場合は、この畜圧室
内圧力を制御するとよい(請求項5)。請求項6に記載
の発明では、噴射率波形の制御においてこの波形を分割
することとした。
【0010】請求項7に記載の発明では、更に、次の構
成要素を設けた。すなわち、(C)運転条件に基づいて
着火安定域外にあることを判定する着火性判定手段、及
び(D)着火性判定手段により着火安定域外にあると判
定されたときに、前記主噴射前に少量の燃料を予行噴射
させるパイロット噴射手段である。上記判定は、冷却水
温、吸気温及び過給圧のうち少なくとも1つに基づいて
行うとよい(請求項8)。
【0011】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、予混合燃
焼時に燃焼安定度に応じた最適な噴霧状態を形成でき
る。特に、請求項2に係る発明によれば、予混合燃焼が
不安定なときに、噴射期間後期により多量の燃料が噴射
され、噴霧において、噴射期間後期に噴射された燃料に
よるリッチ領域が形成される。このリッチ領域が形成さ
れることで着火性が向上するため、燃焼安定性を維持で
きる。
【0012】請求項3に係る発明によれば、単位時間当
たりの噴射量を変化させて多様な噴射率波形に対応でき
る。ここで、請求項4に係る発明によれば、燃料噴射弁
のリフト量制御により高い応答性が得られ、また、請求
項5に係る発明によれば、燃料畜圧室の圧力制御によ
り、リフト量が一定であるタイプの噴射弁によっても対
応可能となる。
【0013】請求項6に係る発明によれば、噴射率波形
を分割することで、単位時間当たりの噴射量が一定であ
っても噴射率を制御できる。請求項7に係る発明によれ
ば、極低温時や、ターボチャージャ等を備える場合は、
過給の過渡時等に、少量の予行噴射により筒内を加熱し
て着火性を確保できるので、予混合燃焼を安定して行え
る。ここで、請求項8に係る発明によれば、着火安定域
外にあることを簡単に判定できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明
の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実
施形態に係る制御装置を備えるディーゼル機関(エンジ
ン)1の構成図である。吸気通路2には、導入部にエア
フィルタ(図示せず)が取り付けられており、ここで、
吸入空気中に浮遊する粉塵等が除去される。エンジン1
は、可変ノズル型ターボチャージャ3を備えており、エ
アフィルタを介した吸入空気は、コンプレッサ部3aに
より圧縮されて送り出される。吸気通路2には、ターボ
チャージャ3とともにインタークーラ4が併設されてお
り、コンプレッサ部3aから圧送された吸入空気は、こ
こで冷却される。その後、吸入空気は、マニホールド部
において各気筒に分配される。
【0015】インジェクタ5は、シリンダヘッドにおい
て、各燃焼室の上部略中央に臨んで設置されている。イ
ンジェクタ5へは、コモンレール6を含んで構成した燃
料系統より燃料が供給される。燃料系統については、後
述する。インジェクタ5は、ECU31からの制御信号
に応じて作動し、所定時期において所定量の燃料を筒内
に直接噴射する。
【0016】排気通路7には、ターボチャージャのター
ビン部3bが設置されている。タービン3bのベーン角
は、ECU31により運転状態に応じて制御される。ま
た、排気通路7とサージタンク8とがEGR通路9を介
して連通され、この通路に制御弁(EGR弁)10が設
置されている。EGR弁10は、ECU31からの制御
信号を受ける駆動装置11により駆動され、開弁時にお
いて、開度に応じて適量に流量制御された排気ガスが吸
気系統に還流される。EGRにより燃焼温度が低下し、
NOxの発生が抑制される。
【0017】図2は、エンジン1の燃料系統の構成図で
ある。燃料は、フィードポンプ41によりタンク42か
らフィルタ43を介して送り出される。送出された燃料
は、高圧燃料ポンプ44により所定圧にまで圧縮され
る。高圧燃焼ポンプ44は、エンジン1に同期して回転
するドライブシャフトを備える。高圧燃料は、チェック
弁45を介してコモンレール6に送り込まれ、コモンレ
ール6から各インジェクタ5に供給される。
【0018】コモンレール6には、内部の燃料圧力(コ
モンレール圧)を検出する燃圧センサ21が設置されて
おり、その検出信号がECU31に出力される。ECU
31は、この信号に基づいて高圧燃料ポンプ44に設置
されたプレッシャレギュレータ46を制御し、コモンレ
ール圧が運転状態に応じた最適値となるように、ポンプ
44からタンク42に戻される燃料の流量を制御する。
なお、コモンレール6は、本発明に係る「燃料畜圧室」
を構成する。
【0019】エンジン1に設けられるセンサ類には、以
上の他に、単位クランク角信号及び基準クランク角信号
を出力するクランク角センサ22、運転者のアクセル操
作量を検出するアクセルセンサ23、冷却水温を検出す
る水温センサ24、及び筒内圧を検出する圧力センサ2
5等がある。これらの検出信号は、いずれもECU31
に入力される。
【0020】図3は、本実施形態において設けられるイ
ンジェクタ5の断面図である。このインジェクタ5は、
駆動部に圧電素子を備えており、素子への印加電圧の制
御により弁のリフト量が可変とされるため、噴射時期ば
かりでなく、単位時間当たりの噴射量も所望に制御でき
る。以下に、インジェクタ5の構造を詳述する。インジ
ェクタ5は、大別すると、ノズル部N、ホルダー部H及
び駆動部Dから構成されている。ノズル部Nとホルダー
部Hとは、リテーニングナット101により、ホルダー
部Hと駆動部Dとは、ロックナット102により締結さ
れる。この際に、ピン103が、ノズル部Nとホルダー
部Hとの相対位置を決定する。
【0021】ノズル部Nには、針弁摺動孔104及び燃
料溜まり室105が形成されるとともに、先端に、噴孔
106が形成されている。噴孔106は、針弁摺動孔1
04を介して燃料溜まり室105と連通する。針弁10
7には、大径部107a及び小径部107bが設けら
れ、小径部先端に弁体部107cが形成されている。こ
のような針弁107が、針弁摺動孔104に往復自在に
挿入されており、弁体部107cにより噴孔106が開
閉され、燃料噴射がオン・オフされる。
【0022】また、針弁の大径部107aに連結部10
7dが設けられ、この連結部とプッシュロッド108と
が当接する。連結部107dは、バネ109の力を受
け、針弁107を閉弁方向に付勢する。プッシュロッド
108は、ホルダー部H内に設けられたシリンダ110
に往復自在に挿入されている。ホルダー部上端に結合す
る駆動部Dにより、プッシュロッド108を介して針弁
107が駆動される。
【0023】駆動部D内には、圧電素子111が積層し
て設置されており、コネクタ部112を介して電源と接
続される。圧電素子111は、印加電圧に応じて伸縮す
る。プッシャー113が、一方で圧電素子111に、他
方でプッシュロッド108に当接している。印加電圧の
減少により圧電素子111が収縮すると、プッシャー1
13がバネ114により引き上げられる。
【0024】通常、針弁107は、プッシャー113及
びプッシュロッド108により閉弁されているが、圧電
素子111への印加電圧を制御することで、リフト量を
可変に制御できる。すなわち、印加電圧を減少し、圧電
素子111を収縮させると、プッシャー113がバネ1
14により戻される。これに伴いプッシュロッド108
に背部から加わる押圧力が減少するため、燃料溜まり室
105の燃料圧力により針弁107がリフトして開弁す
る。このときの最大リフト量は、圧電素子111への印
加電圧の大きさで決定され、印加電圧が低いほど大きく
なる。
【0025】このとき、燃料は、ホルダー部Hに固定さ
れたインレット115を介してコモンレール6から供給
される。そして、ホルダー部H内に設けられた供給孔1
16を通り、ノズル部Nの燃料溜まり室105に導かれ
る。そして、噴射を停止するときは、印加電圧を増大
し、圧電素子を伸長させることで、プッシャー113及
びプッシュロッド108を押圧し、針弁107を閉弁さ
せる。なお、インジェクタ5からのリーク燃料は、逃が
し孔117を介してタンク42に戻される。
【0026】次に、ECU31による制御内容につい
て、フローチャートを参照して説明する。図4は、低温
予混合燃焼時にECU31により実行される燃料噴射制
御ルーチンのフロチャートである。ここで、ECU31
は、別に設けられるEGR制御ルーチンにおいてEGR
弁10を制御し、部分負荷域でEGR量を大きくすると
ともに、高負荷側ほどEGR量を少なく(停止を含む)
する。従って、低温予混合燃焼時には、大量の排気ガス
が還流される状態にある。このルーチンは、本発明に係
る「燃焼温度制御手段」を構成する。EGR率は、燃料
噴射量とエンジン回転数とに応じてマップの検索等によ
り決定するとよい。
【0027】S(ステップ)1では、運転状態としてエ
ンジン回転数NE(クランク角センサ22の検出信号に
基づいて算出する)、アクセル開度APO及び冷却水温
TWを読み込む。S2では、運転状態に基づいて目標噴
射量Qf、噴射時期Ti及びコモンレール圧Prを算出
する。目標噴射量Qfは、エンジン回転数NE及びアク
セル開度APOに対応させて各値を割り付けたマップか
ら読み込む。また、噴射時期Ti及びコモンレール圧P
rは、エンジン回転数NE及び目標噴射量Qfに対応さ
せて割り付けたマップから読み込む。本ステップ(噴射
時期の設定)は、本発明に係る「燃焼状態制御手段」を
構成する。
【0028】S3では、後述する燃焼安定判定ルーチン
において0又は1に設定されるフラグFが、0であるか
否かを判定する。フラグFが0であると判定した場合
(燃焼状態が安定していると判断できる場合)は、S4
へ進む。一方、フラグFが1であると判定した場合(燃
焼状態が不安定であると判断できる場合)は、S5へ進
む。
【0029】S4では、通常の矩形状噴射率波形により
燃料を噴射させる。この場合は、ECU31からの制御
信号に基づいてインジェクタ5が駆動され、噴射期間に
おいて噴射率が一定となる燃料噴射が行われる。S5で
は、噴射率波形を制御(変更)し、着火性を向上させ
る。すなわち、噴射期間終期において高い噴射率による
燃料噴射を行い、噴霧中に燃料のリッチ領域を形成する
のである。このときの噴射率波形のパターン(以下、
「噴射率パターン」と言う)は、噴射系統の構成に依存
するが、本実施形態では、インジェクタ5として針弁1
07のリフト量が可変なものを採用しているので、多様
なパターンを実現できる。その代表的な幾つかを、図5
に示す。いずれも、噴射期間の前期に比して後期の噴射
率を大きくすることにより、上記リッチ領域を形成して
いる。また、噴射時期Tiは、いずれも圧縮上死点後に
設定され、噴射期間は、着火(圧縮上死点後クランク角
で5〜20°の範囲内)前に終了する。なお、同図にお
いて、縦軸に噴射率をとっているが、この噴射率の変化
は、リフト量の変化と概ね一致する。
【0030】図5(a)及び(b)は、単位時間当たり
の噴射量を変化させることにより噴射率を制御する場合
である。このような制御は、インジェクタ5の圧電素子
111への印加電圧を調整することで、容易に達成でき
る。同図(a)では、この印加電圧を段階的に切り換
え、噴射期間のうち前期の噴射率を低く抑える一方、後
期に噴射率を増加させている。このため、噴射期間前期
に噴射された燃料の噴霧中に、後期に噴射された燃料に
よるリッチ領域が形成される。このリッチ領域が形成さ
れてることで着火性が向上し、予混合燃焼が安定化され
るので、通常波形による噴射では予混合燃焼が安定しな
かった領域においても、安定した予混合燃焼を行える。
【0031】図5(b)は、圧電素子111への印加電
圧を連続的に変化させる場合の例である。このように、
噴射率を噴射期間において噴射開始Tiより徐々に増加
することによっても、燃料のリッチ領域を形成して燃焼
安定化を図れる。なお、噴射開始Tiからある時期まで
は噴射率を比較的低い所定噴射率に抑えておき、その後
噴射率を連続的に増加させても良い。
【0032】図5(c)は、燃料を分割噴射して噴射率
を制御する場合の例である。分割噴射によれば、単位時
間当たりの噴射量が一定であっても噴射率を制御でき
る。例えば、各信号のパルス幅(W)を調整し、噴射期
間後期にパルス幅の長い信号を発生させることで、燃料
のリッチ領域を形成できる。また、噴射期間中に燃料を
3回以上に分けて噴射する場合は、パルス幅が一定であ
っても、各信号間の間隔(I)を調整し、後期ほどこの
間隔を狭くすることで、同様な効果を得ることが可能で
ある。図には、パルス幅及び間隔の双方を変化させて噴
射率を制御する例を示している。なお、分割噴射と併せ
て、単位時間当たりの噴射量を増減させても良い。
【0033】なお、S5は、本発明に係る「噴射率制御
手段」を構成する。次に、燃焼安定判定ルーチンについ
て説明する。図6は、同ルーチンのフロチャートであ
る。本出願人は、特願2000−364642号におい
て、燃焼状態の簡易な判定方法として、筒内圧2回微分
値(筒内圧Pのクランク角θによる2回微分値)d2
/dθ2 の使用を提案した。本実施形態では、このパラ
メータを、低温予混合燃焼時の安定判定に適用する。
【0034】まず、S11で、クランク角θ及び筒内圧
Pを読み込み、S12で、筒内圧2回微分値d2 P/d
θ2 を算出し、S13で、d2 P/dθ2 が所定値(例
えば、0)を超えているクランク角期間Δθを算出する
(図7参照)。そして、S14で、算出したΔθが安定
限界を示す所定値ΔθSL以下であるか否かを判定す
る。これがΔθSL以下であると判定した場合は、低温
予混合燃焼が安定しているものと判断し、S15へ進ん
でフラグFを0に設定する。一方、ΔθSLを超えてい
ると判定した場合は、同燃焼が不安定であると判断し、
S16へ進んでフラグFを1に設定する。なお、S11
〜13は、本発明に係る「燃焼安定度検出手段」を構成
する。
【0035】 安定判定としては、このような筒内圧Pに
基づく方法の他に、次のようなより簡易な方法を採用し
てもよい。第1に、回転変動に基づく方法がある。すな
わち、エンジン回転数NEの変化割合を算出し、この変
化割合が所定値を超える場合に、回転変動が許容範囲を
逸脱したものとして燃焼が不安定であると判定する。第
2に、水温TWに基づく方法がある。すなわち、水温T
Wが所定値よりも低い場合に燃焼が不安定であると判定
する。第3に、過給圧に基づく方法がある。すなわち、
実際の過給圧を推定又は検出し、この過給圧が目標値よ
りも低い場合に燃焼が不安定であると判定する。過給圧
が低いときは、吸入空気量が少なく、充分な圧縮温度が
得られないからである。
【0036】以上のように、本実施形態に係るディーゼ
ルエンジンの制御装置によれば、燃焼状態の予混合化に
より、NOxの発生を抑制した状態でPM排出量を低減
できる。そして、上記のように筒内圧Pに基づいて燃焼
安定判定を行い、燃焼が不安定な場合は、噴射率制御に
より着火性を向上し、これを安定化できる。ところが、
エンジン1が極低温状態や過給の過渡状態にあると、筒
内温度が低下し、予混合燃焼の着火安定域を逸脱する場
合がある。この場合は、もはや噴射率制御によっても着
火性を確保できず、燃焼が不安定となってしまう。そこ
で、水温、吸気温又は過給圧等に基づいてその条件を判
定(着火性判定手段)し、パイロット噴射を行わせると
よい(パイロット噴射手段)。
【0037】これについて説明すると、例えば、水温T
Wが、極低温に相当する所定温度TWSL以上であるか
否かを判定し、これがTWSL以上であれば、安定化可
能と判断し、噴射率を制御する。一方、TWSL未満で
あれば、パイロット噴射により主噴射前に筒内温度を適
正域にまで予め高めておくこで、着火性を確保する。こ
のとき、主噴射の噴射率パターンは、図5(a)〜
(c)のいずれであってもよいが、少量の燃料を圧縮上
死点前に予行噴射する。図9は、主噴射の噴射率を連続
的に変化させた図5(b)のパターンにおいてパイロッ
ト噴射を行う場合の噴射率波形を示している。図中Aが
パイロット噴射の噴射率波形であり、Bが主噴射の噴射
率波形である。
【0038】なお、パイロット噴射は、水温TWに応じ
て行うばかりでなく、吸気温が極低温に相当する所定温
度未満であるか、又は過給圧が過渡状態を示す所定圧未
満であるときに行うこととしてもよい。図9は、本発明
の他の実施形態において設けられるインジェクタ51の
断面図である。先のインジェクタ5と同じ部品及びその
部分は、同一符号を付し、説明を省略する。インジェク
タ51は、駆動部Dにソレノイドを備えている。このソ
レノイドへの通電時期を制御して、分割噴射により噴射
率を制御できる。インジェクタ51の作動原理について
説明すると、次の通りである。
【0039】ホルダー部Hの上端部に、プッシュロッド
108及び針弁107を駆動する駆動部Dが固定されて
いる。駆動部D内には、電磁弁121が設置され、コネ
クタ部112を介して励磁電流が供給される。電磁弁1
21は、ソレノイドの励磁及び消磁に応じて弁体121
aが変位し、プッシュロッド108の背圧室122を逃
がし孔117側の低圧室123と連通する連通孔124
を開閉する。通常(非通電)時には、弁体121aがバ
ネ114により押し下げられ、連通孔124が閉塞され
る。このとき、プッシュロッド108の背圧室122
に、インレット115を介して燃料が送り込まれる。こ
のため、非通電時は、プッシュロッド108が燃料圧力
を受けて押し下げられ、針弁107が閉弁する。
【0040】一方、通電時には、バネ114に抗して弁
体121aが引き上げられ、連通孔124が開放され
る。これに伴い、背圧室122内の燃料が連通孔124
を介してタンク42に戻され、プッシュロッド108が
受ける押圧力が低下するため、燃料溜まり室105内の
燃料圧力により針弁107がリフトされ、燃料が噴射さ
れる。
【0041】その後、通電を遮断すると、弁体121a
により連通孔124が再び閉塞されるので、背圧室12
2の燃料圧力の回復に伴ってプッシュロッド108が押
し下げられ、針弁107が閉弁する。このようにソレノ
イドで針弁107を駆動するタイプのインジェクタ51
によれば、リフト量は一定であるが、通電間隔及び時期
の設定が任意であるので、図5(c)に示す分割噴射に
より噴射率を制御できる。
【0042】また、噴射期間中にコモンレール圧Prを
制御できる噴射系統を採用した場合は、インジェクタ5
1であっても単位時間当たりの噴射量を制御できるの
で、図5(a)又は(b)に示す段階的又は連続的な噴
射率パターンに対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るディーゼル機関の制
御装置を備えるエンジンの構成図
【図2】同上エンジンの燃料系統の構成図
【図3】同上エンジンが備えるインジェクタの断面図
【図4】燃料噴射制御ルーチンのフローチャート
【図5】噴射率パターンの典型例を示す図
【図6】燃焼安定判定ルーチンのフローチャート
【図7】低温予混合燃焼時の筒内圧2回微分値の変化を
示す図
【図8】パイロット噴射を行う場合の噴射率パターンを
示す図
【図9】本発明の他の実施形態に係るインジェクタの断
面図
【図10】着火遅れ期間とPM排出量との関係図
【図11】着火遅れ期間とHC排出量との関係図
【図12】燃料噴射時期と熱発生率との関係図
【符号の説明】
1…ディーゼル機関 2…吸気通路 3…ターボチャージャ 4…インタークーラ 5…インジェクタ 6…コモンレール 7…排気通路 9…EGR通路 10…EGR弁 21…コモンレール圧センサ 22…クランク角センサ 23…アクセルセンサ 24…水温センサ 25…筒内圧センサ 31…電子制御ユニット
フロントページの続き Fターム(参考) 3G060 AA03 BA19 BA20 BA23 CA03 CB01 CB02 FA06 FA07 GA03 GA04 GA07 GA14 3G066 AA07 AA11 AB02 AC01 AC09 AD12 AD14 BA01 BA02 BA13 BA14 BA51 CA21 CA38 CB12 CC01 CC05T CC05U CC14 CC17 CD29 DA08 DA09 DA11 DB01 DB04 DB08 DC04 DC09 DC14 3G301 HA02 HA05 KA01 KA02 KA05 KA07 KA08 KA24 LB11 LC01 LC06 LC10 MA27 ND01 PA11Z PE01Z PE08Z PF03Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸気の酸素濃度を低下させて燃焼温度を低
    下させる燃焼温度制御手段と、 着火遅れ期間内に機関出力のための全燃料を噴射させて
    予混合燃焼を行わせる燃焼状態制御手段と、を備えるデ
    ィーゼル機関の制御装置において、 予混合燃焼の安定度を検出する燃焼安定度検出手段と、 該手段により検出された燃焼安定度に基づいて機関出力
    のための主噴射の燃料噴射率波形を制御する噴射率制御
    手段と、 を設けたことを特徴とするディーゼル機関の制御装置。
  2. 【請求項2】噴射率制御手段が、予混合燃焼が不安定な
    ときに、燃料噴射期間の前期に比して後期の燃料噴射率
    を大きくすることを特徴とする請求項1に記載のディー
    ゼル機関の制御装置。
  3. 【請求項3】噴射率制御手段が、燃料噴射率波形の制御
    において単位時間当たりの燃料噴射量を変化させること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のディーゼル機関の
    制御装置。
  4. 【請求項4】噴射率制御手段が、燃料噴射弁のリフト量
    を制御することを特徴とする請求項3に記載のディーゼ
    ル機関の制御装置。
  5. 【請求項5】燃料ポンプから圧送された高圧燃料を蓄え
    る燃料畜圧室を備える場合に、噴射率制御手段が、該畜
    圧室内圧力を制御することを特徴とする請求項3又は4
    に記載のディーゼル機関の制御装置。
  6. 【請求項6】噴射率制御手段が、燃料噴射率波形の制御
    において該波形を分割することを特徴とする請求項1〜
    5のいずれか1つに記載のディーゼル機関の制御装置。
  7. 【請求項7】運転条件に基づいて着火安定域外にあるこ
    とを判定する着火性判定手段と、該手段により着火安定
    域外にあると判定されたときに、前記主噴射前に少量の
    燃料を予行噴射させるパイロット噴射手段と、を更に備
    える請求項1〜6のいずれか1つに記載のディーゼル機
    関の制御装置。
  8. 【請求項8】着火性判定手段が、冷却水温、吸気温及び
    過給圧のうち少なくとも1つが所定値よりも低い場合に
    着火安定域外にあると判定することを特徴とする請求項
    7に記載のディーゼル機関の制御装置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009085117A (ja) * 2007-10-01 2009-04-23 Mazda Motor Corp ディーゼルエンジンの制御装置
JP2012041895A (ja) * 2010-08-20 2012-03-01 Mazda Motor Corp 圧縮自着火エンジンの制御装置
JP2012092779A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Isuzu Motors Ltd ディーゼルエンジンの始動制御装置
JP2013127211A (ja) * 2011-12-18 2013-06-27 Kanazawa Engineering Systems:Kk ディーゼルエンジンの燃料供給制御装置、ディーゼルエンジン及び燃料供給制御方法
JP2016135993A (ja) * 2015-01-23 2016-07-28 マツダ株式会社 直噴エンジンの燃料噴射制御装置

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