JP2003059808A - 露光方法及びデバイス製造方法 - Google Patents

露光方法及びデバイス製造方法

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JP2003059808A
JP2003059808A JP2001248581A JP2001248581A JP2003059808A JP 2003059808 A JP2003059808 A JP 2003059808A JP 2001248581 A JP2001248581 A JP 2001248581A JP 2001248581 A JP2001248581 A JP 2001248581A JP 2003059808 A JP2003059808 A JP 2003059808A
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JP2001248581A
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Inventor
Shoji Kawakubo
昌治 川久保
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Nikon Corp
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Nikon Corp
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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板の線形伸縮や残留回転誤差等に依存しな
い転写誤差成分があっても、パターンを精度良く重ね合
わせることができる露光方法を提供する。 【解決手段】 基板上の所定の領域を目標領域として、
マスク(R)上の第1領域(RPA1)内のパターン
を基板上に転写し、該パターンが転写された基板上での
転写領域と目標領域との関係に基づいて、転写誤差の情
報を求める。さらに、マスク上の第1領域とは中心位置
が異なる第2領域(RPA2)内のパターンを基板上に
転写する際の位置補正値を、第1領域と第2領域の各中
心位置の情報と転写誤差の情報とを用いて算出する。そ
して、その位置補正値に基づいて基板の位置を制御し、
第2領域内のパターンを基板上に転写する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、露光方法及びデバ
イス製造方法に係り、更に詳しくは、複数のパターンを
ウエハ上の複数の層(レイヤ)に重ね合わせて露光を行
う露光方法、及び該露光方法を利用したデバイスの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、半導体素子(CPU、DRA
M等)、撮像素子(CCD等)及び液晶表示素子、薄膜
磁気ヘッド等を製造するためのリソグラフィ工程では、
マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)
に形成されたパターンを投影光学系を介して、レジスト
等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以
下、適宜「ウエハ」ともいう)上に転写する種々の露光
装置が用いられている。近年においては、半導体素子等
の高集積化に伴い、高いスループットで微細パターンを
精度良くウエハ上に転写可能なステップ・アンド・リピ
ート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、
このステッパを改良したステップ・アンド・スキャン方
式の走査型露光装置(いわゆるスキャニング・ステッ
パ)などの投影露光装置が比較的多く用いられている。
【0003】ところで、半導体素子等を製造する際の露
光工程では、ウエハ上に多層の回路パターンを重ね合わ
せて転写するが、各層間での重ね合わせ精度が悪いと、
半導体素子等は所定の回路特性を発揮することができ
ず、不良品となり製品歩留まりの低下を招くことがあ
る。そこで、回路パターンが描画されたレチクルと、ウ
エハ上に既に形成されたパターンとを正確に重ね合わせ
ることが重要である。
【0004】このため、通常、露光工程では、ウエハ上
の複数のショット領域の各々に予めアライメントマーク
を付設しておき、ステージ座標系上におけるそのマーク
位置(座標値)を検出する。しかる後、このマーク位置
情報と既知のレチクルパターンの位置情報(これは事前
測定される)とに基づいてウエハ上の1つのショット領
域をレチクルパターンに対して位置合わせ(位置決め)
するウエハアライメントが行われる。
【0005】投影露光装置では、ウエハアライメント方
式として、スループットとの兼ね合いから、ウエハ上の
いくつかのショット領域のみのアライメントマークを検
出してショット領域の配列の規則性を求めることで、各
ショット領域を位置合わせするグローバル・アライメン
ト方式が主に使用されている。特に現在では、例えば特
開昭61─44429号公報、特開昭62─84516
号公報などに開示されるように、ウエハ上のショット領
域の配列の規則性を統計的手法によって精密に特定する
エンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)方
式が主流となっている。
【0006】EGA方式とは、1枚のウエハにおいて予
め特定ショット領域として選択された複数個(3個以上
必要であり、通常7〜15個程度)のショット領域のみ
の位置座標を計測し、これらの計測値から統計演算処理
(最小二乗法等)を用いてウエハ上の全てのショット領
域の位置座標(ショット領域の配列)を算出した後、こ
の算出したショット領域の配列に従ってウエハステージ
をステッピングさせていくものである。このEGA方式
は計測時間が短くて済み、ランダムな計測誤差に対して
平均化効果が期待できるという長所がある。
【0007】ここで、EGA方式で行われている統計処
理方法について簡単に説明する。ウエハ上のm(m≧3
なる整数)個の特定ショット領域(「サンプルショット
領域」又は「アライメントショット領域」とも呼ばれ
る)の設計上の配列座標を(X n、Yn)(n=1、2、
……、m)とし、設計上の配列座標からのずれ(Δ
n、ΔYn)について次式(1)で示されるような線形
モデルを仮定する。
【0008】
【数1】
【0009】さらに、m個のサンプルショット領域の各
々の実際の配列座標の設計上の配列座標からのずれ(計
測値)を(Δxn 、Δyn )としたとき、このずれと上
記線形モデルで仮定される設計上の配列座標からのずれ
との残差の二乗和Eは次式(2)で表される。
【0010】
【数2】
【0011】そこで、この式を最小にするようなパラメ
ータa、b、c、d、e、fを求めれば良い。EGA方
式では、上記の如くして算出されたパラメータa〜fと
設計上の配列座標とに基づいて、ウエハ上の全てのショ
ット領域の配列座標が算出されることになる。
【0012】ところで、上述の説明では、説明の簡略化
のため、パラ−メータa〜fを用いて説明したが、これ
らのパラメータのそれぞれは、次の6つのウエハに関す
る誤差パラメータ(以下、「ウエハパラメータ」と呼
ぶ)、すなわちウエハ上の各ショット領域の配列に関す
るローテーションθ(ウエハの回転誤差)、X,Y方向
のスケーリング(ウエハの線形伸縮)Sx,Sy、直交
度Ort、X,Y方向のオフセットOx、Oyの6つのパ
ラメータの所定の組み合わせ、あるいは置き換えに相当
するものである。換言すれば、パラメータa〜fを求め
ることにより、上記6つのウエハパラメータが得られる
こととなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例え
ば、同一レチクル上の異なる領域に形成された第1パタ
ーンと第2パターンとをウエハ上の異なるレイヤにそれ
ぞれ転写する場合などに、先のレイヤでウエハ上に転写
された第1パターンに付設されたアライメントマークの
計測結果に基づいて、上述のEGA方式などのウエハア
ライメントを行い、そのアライメント結果に基づいて第
2パターンを後のレイヤでウエハ上に転写した場合に、
第2パターンの転写位置が所望の位置から位置ずれする
ことがある。この場合において、上述の第1パターンと
第2パターンとを重ね焼きする場合などには、重ね合わ
せ誤差が発生することとなる。いわゆるTEGパターン
の転写などの際に、このような現象が生じている。
【0014】しかるに、上述の説明から明らかなよう
に、EGA方式のウエハアライメントによると、ウエハ
の回転誤差、ウエハの線形伸縮などに起因するショット
領域の配列誤差は精度良く補正される。このことから、
上述の重ね合わせ誤差などは、ウエハの回転誤差、ウエ
ハの線形伸縮などの要因以外の要因で生じるものと考え
られる。
【0015】レチクルの大型化に伴ってレチクルの有効
利用の要求が高まっている現状にあっては、上述したよ
うな同一レチクル上の異なる領域にウエハ上の異なるレ
イヤに転写するための種々のパターンを形成するという
運用が行われる可能性が高く、上記の重ね合わせ誤差な
どを抑制できる新技術の開発が期待されている。
【0016】本発明は、かかる事情の下になされたもの
で、その第1の目的は、同一マスク上の異なる領域に形
成されたパターンを基板上の異なるレイヤにそれぞれ転
写する際に発生する位置ずれ誤差(重ね合わせ誤差を含
む)を抑制することができる露光方法を提供することに
ある。
【0017】また、本発明の第2の目的は、高集積度の
デバイスの生産性を向上させることができるデバイス製
造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】発明者は、前述した基板
の線形伸縮や回転誤差等に依存しない転写誤差の発生原
因について鋭意研究した結果、マスク上のパターンが配
置されている領域の中心位置の違いによって、設計上の
転写領域(目標領域)と実際の転写領域との位置ずれ量
が異なるという知見を得た。本発明は、かかる発明者の
得た新規知見に基づいてなされたもので、以下のような
構成を採用する。
【0019】請求項1に記載の発明は、マスク(R)上
に形成されたパターンを基板(W)上に転写する露光方
法であって、前記基板上の所定の領域を目標領域(WP
A)として、前記マスク上の第1領域(RPA1)内の
パターンを前記基板上に転写する第1工程と;前記第1
工程で前記パターンが転写された前記基板上の転写領域
と前記目標領域との関係に基づいて、転写誤差の情報を
求める第2工程と;前記マスク上の前記第1領域とは中
心位置が異なる第2領域(RPA2)内のパターンを前
記基板上に転写する際の位置補正値を、前記第1領域と
前記第2領域との各中心位置の情報と前記転写誤差の情
報とを用いて算出する第3工程と;前記位置補正値に基
づいて前記基板の位置を制御し、前記第2領域のパター
ンを前記基板上に転写する第4工程と;を含む露光方法
である。
【0020】ここで、転写誤差とは、「基板の線形伸縮
や回転誤差等に依存しない転写誤差」を意味し、転写誤
差の情報とは、そのような転写誤差、あるいはその転写
誤差の程度を示す誤差パラメータなどを含む。
【0021】これによれば、先ずマスク上の第1領域内
のパターンが基板上の所定の領域を目標領域として転写
され(第1工程)、そのパターンの実際の転写領域と目
標領域との関係に基づいて、転写誤差の誤差の情報が求
められる(第2工程)。ここでは、実際の転写領域と目
標領域との不一致の状況から転写誤差の情報が求められ
る。
【0022】次に、第1領域と第2領域の各中心位置と
転写誤差の情報とを用いて、第2領域内のパターンを転
写する際の位置補正値が算出される(第3工程)。ここ
で、上記の転写誤差がある場合には、目標領域に対する
転写領域の位置ずれの程度は、マスク上のパターンが配
置されている領域の中心位置によって異なっている。す
なわち、第1領域の中心位置と第2領域の中心位置とが
異なっているために、目標領域に対する転写領域のずれ
の程度は、第1領域のパターンを転写する際と、第2領
域のパターンを転写する際とでは同一ではない。従っ
て、例えば第1領域内のパターンと第2領域内のパター
ンを基板上の異なる層にそれぞれ転写する場合には、ず
れの程度の違いを考慮して基板の位置を制御しないと、
第1領域内のパターンと第2領域内のパターンとの基板
上での位置関係が所望の位置関係からずれることとな
る。特に、両者を基板上の同一の領域に重ね合わせて転
写する場合には、重ね合わせ誤差が発生することとな
る。そこで、第1領域内のパターンを転写した際の転写
誤差の情報と、マスク上での第1領域と第2領域の各中
心位置の違いとに基づいて、第2領域内のパターンを基
板上に転写する際に生じる第1領域内のパターンと第2
領域内のパターンとの基板上での所望の位置関係からの
ずれ情報(ずれ量、ずれ方向)を算出し、それを位置補
正値とする。
【0023】そして、位置補正値に基づいて基板の位置
を制御し、第2領域内のパターンを基板上に転写する
(第4工程)。ここでは、第2領域内のパターンを転写
した際の転写領域と第1領域内のパターンを転写した際
の転写領域との所望の位置関係からのずれを予め考慮し
て基板位置が制御されているため、第1領域内のパター
ンが転写されている基板上に、第2領域内のパターンを
所望の位置関係で精度良く転写することが可能となる。
【0024】従って、請求項1に記載の発明によれば、
同一マスク上の異なる領域に形成されたパターンを基板
上の異なるレイヤにそれぞれ転写する際に発生する位置
ずれ誤差(重ね合わせ誤差を含む)を抑制することが可
能となる。
【0025】この場合において、請求項2に記載の露光
方法の如く、前記第3工程では、前記第1領域と前記第
2領域の各中心間距離の情報と前記転写誤差の情報とに
基づいて前記位置補正値が算出されることとすることが
できる。
【0026】上記請求項1及び2に記載の各露光方法に
おいて、前記転写誤差としては、種々のものが考えら
れ、例えば請求項3に記載の露光方法の如く、前記転写
誤差は、前記目標領域に対して前記転写領域が拡大関係
及び縮小関係のいずれかにある前記基板の線形伸縮に依
存しない倍率誤差であることとすることができる。
【0027】本明細書では、「倍率誤差」とは、基板上
にある目標領域を設定し、該目標領域とマスクパターン
の転写領域とが一致するように転写した際に、目標領域
と実際の転写領域とが一致せず、目標領域及び転写領域
を含む面内に設定された所定の直交座標系(例えば、一
般に、基板ステージの位置を計測するレーザ干渉計の測
長軸で規定される静止座標系)の少なくとも一方の座標
軸方向に転写領域が目標領域に対して伸縮している場合
を含み、必ずしも目標領域と転写領域とが相似形でなく
とも良い。
【0028】この場合において、請求項4に記載の露光
方法の如く、前記第2工程では、前記基板の線形伸縮が
無視できる場合には、前記第1領域内に形成された少な
くとも1対のマークパターンの各像間の距離と対応する
設計上の距離との関係に基づいて前記倍率誤差が算出さ
れ、前記基板の線形伸縮が無視できない場合には、前記
各像間の距離と対応する設計上の距離との関係と予め求
めた前記基板の線形伸縮に起因する倍率誤差成分とに基
づいて前記倍率誤差が算出されることとすることができ
る。後者の場合、例えば前述したEGA方式で求められ
るXY方向のスケーリングSx,Syを、基板の線形伸
縮に起因する倍率誤差成分の情報として用いることがで
きる。
【0029】上記請求項3に記載の露光方法において、
請求項5に記載の露光方法の如く、前記第2工程では、
前記転写領域と前記目標領域との位置関係に加え、前記
マスクの中心と前記第1領域の中心との距離をも考慮し
て、前記転写誤差の情報として倍率誤差の誤差パラメー
タが算出されることとすることができる。
【0030】上記請求項1及び2に記載の各露光方法に
おいて、請求項6に記載の露光方法の如く、前記転写誤
差は、前記目標領域に対して前記転写領域が回転関係に
ある前記基板の回転に依存しない回転誤差であることと
することができる。
【0031】この場合において、請求項7に記載の露光
方法の如く、前記転写誤差の情報は、前記回転誤差の誤
差パラメータとしての回転角であることとすることがで
きる。
【0032】上記請求項1及び2に記載の各露光方法に
おいて、請求項8に記載の露光方法の如く、前記転写誤
差は、前記目標領域の形状に対して前記転写領域の形状
が変形関係にある前記基板の線形変形に依存しない変形
誤差であることとすることができる。
【0033】本明細書では、「変形誤差」とは、基板上
にある目標領域を設定し、該目標領域とマスクパターン
の転写領域とが一致するように転写した際に、目標領域
と実際の転写領域とが一致せず、その不一致の状態が前
記倍率誤差及び回転誤差のいずれにも該当しない誤差を
意味する。
【0034】請求項9に記載の発明は、リソグラフィ工
程を含むデバイス製造方法であって、前記リソグラフィ
工程では、請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光方
法を用いることを特徴とするデバイス製造方法である。
【0035】これによれば、リソグラフィ工程で、請求
項1〜8に記載の各露光方法により、基板の線形伸縮や
回転誤差等に依存しない転写誤差成分があっても、パタ
ーンを精度良く基板上に重ね合わせて転写することがで
きるので、結果的に高集積度のデバイスの生産性(歩留
まりを含む)を向上させることが可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】《第1の実施形態》以下、本発明
の第1の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。
【0037】図1には、本発明に係る露光方法の実施に
好適な第1の実施形態に係る露光装置100が示されて
いる。この露光装置100は、ステップ・アンド・リピ
ート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)であ
る。
【0038】この露光装置100は、照明系IOP、マ
スクとしてのレチクルRを保持するレチクルステージR
ST、レチクルRに形成されたパターンの像を感光剤
(フォトレジスト)が塗布された基板としてのウエハW
上に投影する投影光学系PL、ウエハWを保持して2次
元平面(XY平面内)を移動するXYステージ20、X
Yステージ20を駆動する駆動系22、及びこれらの制
御系等を備えている。この制御系は、装置全体を統括制
御する主制御装置28を中心として構成されている。
【0039】前記照明系IOPは、KrFエキシマレー
ザやArFエキシマレーザなどから成る光源と、オプテ
ィカルインテグレータ(フライアイレンズ、内面反射型
インテグレータ、又は回折光学素子など)を含む照度均
一化光学系、照明視野絞り系、リレーレンズ系及びコン
デンサレンズ系等(いずれも図1では図示省略)を含む
照明光学系とから構成されている。
【0040】前記照明視野絞り系は、レチクルブライン
ド8(図1では図示省略、図4参照)を備えており、レ
チクルブラインド8は、レチクルRのパターン面に対す
る共役面に配置され、例えば2枚のL字型の可動ブレー
ド、あるいは4枚の可動ブレードから成り、可動ブレー
ド同士で囲まれて形成される開口がレチクルR上の照明
領域を規定する。各可動ブレードは、例えばレチクルR
におけるパターン領域の位置及び形状に併せて不図示の
ブラインド駆動装置を介して主制御装置28によって駆
動制御されるようになっている。
【0041】照明系IOPによると、光源で発生した露
光光としての照明光(以下、「照明光IL」と呼ぶ)
は、照度均一化光学系により照度分布がほぼ均一な光束
に変換される。照度均一化光学系から射出された照明光
ILは、リレーレンズ系を介して前記レチクルブライン
ド8に達する。このレチクルブラインド8の開口を通過
した光束は、リレーレンズ系、コンデンサレンズ系を通
過してレチクルRの下面(パターン形成面)のパターン
を均一な照度分布で照明する。
【0042】前記レチクルステージRSTは、照明系I
OPの図1における下方に配置されている。このレチク
ルステージRST上には不図示のバキュームチャック等
を介してレチクルRが吸着保持されている。このレチク
ルステージRSTは、不図示の駆動系によってX軸方向
(図1における紙面直交方向)、Y軸方向(図1におけ
る紙面左右方向)及びθz方向(XY面に直交するZ軸
回りの回転方向)に微小駆動可能とされている。これに
より、このレチクルステージRSTは、レチクルRのパ
ターンの中心(レチクルセンタ)が投影光学系PLの光
軸AXpとほぼ一致する状態でレチクルRを位置決め
(レチクルアライメント)できるようになっている。図
1では、このレチクルアライメントが行われた状態が示
されている。
【0043】前記投影光学系PLは、レチクルステージ
RSTの図1における下方に、その光軸AXpの方向が
XY面に直交するZ軸方向となるように配置されてい
る。この投影光学系PLとしては、ここでは両側テレセ
ントリックな縮小系であって、Z軸方向の共通の光軸A
Xpを有する複数枚のレンズエレメントから成る屈折光
学系が用いられている。レンズエレメントのうちの特定
の複数枚は微動可能となっており、主制御装置28から
の指令に基づいて、図示しない結像特性補正コントロー
ラによってその移動が制御され、投影光学系PLの光学
特性(結像特性を含む)、例えば倍率、ディストーショ
ン、コマ収差、及び像面湾曲などを調整できるようにな
っている。さらに結像特性補正コントローラは、光源の
制御パラメータ(印加電圧など)を調整して、光源から
発振される露光光ILの波長を所定範囲内でシフトさせ
ることで、投影光学系PLの結像特性を調整可能となっ
ている。
【0044】この投影光学系PLの投影倍率は、例えば
1/5(あるいは1/4)などとされている。このた
め、レチクルRのパターンとウエハW上の目標領域(又
はショット領域)との重ね合わせ(アライメント)が行
われた状態で、照明光ILによりレチクルRが均一な照
度で照明されると、パターン形成面のパターンが投影光
学系PLにより縮小されて、フォトレジストが塗布され
たウエハW上に投影され、ウエハW上にパターンの縮小
像が形成される。
【0045】前記XYステージ20は、実際には不図示
のベース上をY軸方向に移動するYステージと、このY
ステージ上をX軸方向に移動するXステージとで構成さ
れているが、図1ではこれらがXYステージ20として
示されている。このXYステージ20上にウエハテーブ
ル18が搭載され、このウエハテーブル18上に不図示
のウエハホルダを介してウエハWが真空吸着等によって
保持されている。
【0046】前記ウエハテーブル18は、ウエハWを保
持するウエハホルダをZ軸方向及びXY面に対する傾斜
方向に微小駆動するものである。このウエハテーブル1
8の上面には、移動鏡24が設けられており、この移動
鏡24にレーザビームを投射して、その反射光を受光す
ることにより、ウエハテーブル18のXY面内の位置を
計測するレーザ干渉計26が移動鏡24の反射面に対向
して設けられている。なお、実際には、移動鏡はX軸に
直交する反射面を有するX移動鏡と、Y軸に直交する反
射面を有するY移動鏡とが設けられ、これに対応してレ
ーザ干渉計もX方向位置計測用のXレーザ干渉計とY方
向位置計測用のYレーザ干渉計とが設けられているが、
図1ではこれらが代表して移動鏡24、レーザ干渉計2
6として図示されている。なお、例えば、ウエハテーブ
ル18の端面を鏡面加工して前述の反射面を形成しても
良い。また、Xレーザ干渉計及びYレーザ干渉計は測長
軸を複数有する多軸干渉計であり、ウエハテーブル18
のX、Y位置の他、回転(ヨーイング(Z軸回りの回転
であるθz回転)、ピッチング(X軸回りの回転である
θx回転)、ローリング(Y軸回りの回転であるθy回
転))も計測可能となっている。従って、以下の説明で
はレーザ干渉計26によって、ウエハテーブル18の
X、Y、θz、θy、θxの5自由度方向の位置が計測
されるものとする。なお、このようにして計測されるX
座標及びY座標よりなる座標系(X,Y)を、以下では
「ステージ座標系」とも呼ぶ。
【0047】レーザ干渉計26の計測値は主制御装置2
8に供給され、主制御装置28はこのレーザ干渉計26
の計測値をモニタしつつ、駆動系22を介してXYステ
ージ20を駆動することにより、ウエハテーブル18の
位置制御が行われる。
【0048】ウエハW表面のZ方向位置及び傾斜量は、
例えば特開平6−283403号公報などに開示される
送光系50a及び受光系50bを有する斜入射方式の多
点焦点位置検出系から成るフォーカスセンサAFSによ
って計測されるようになっている。このフォーカスセン
サAFSの計測値も主制御装置28に供給されており、
主制御装置28では、フォーカスセンサAFSの計測値
に基づいて駆動系22を介してウエハテーブル18を微
少駆動して、投影光学系PLの光軸方向に関するウエハ
Wの位置及び傾きを制御するようになっている。
【0049】すなわち、このようにしてウエハテーブル
18を介してウエハWがX、Y、Z、θx、θyの5自
由度方向の位置及び姿勢制御がなされるようになってい
る。なお、残りのθz(ヨーイング)の誤差について
は、レーザ干渉計26で計測されたウエハテーブル18
のヨーイング情報に基づいてレチクルステージRSTと
ウエハテーブル18との少なくとも一方を回転させるこ
とによって補正される。
【0050】また、ウエハテーブル18上には、その表
面がウエハWの表面と同じ高さになるような基準板FP
が固定されている。この基準板FPの表面には、後述す
るレチクルアライメント用の1対の基準マークを含む各
種の基準マークが形成されている。
【0051】更に、本実施形態では、投影光学系PLの
側面に、ウエハWに形成されたアライメントマークを検
出するマーク検出系としてのオフ・アクシス方式のアラ
イメント検出系ASが設けられている。このアライメン
ト検出系ASは、FIA(Field Image Alignment)系と
呼ばれるアライメントセンサを有しており、基準板FP
上の基準マーク及びウエハ上のアライメントマークの
X、Y2次元方向の位置計測を行なうことが可能であ
る。ここで、FIA系は、ブロードバンド(広帯域)光
でマークを照明し、このマーク画像を画像処理すること
によってマーク位置を計測するセンサである。
【0052】アライメント制御装置16は、アライメン
ト検出系ASからの情報DSをA/D変換するととも
に、レーザ干渉計26の計測値を参照して、マーク位置
を検出する。この検出結果は、アライメント制御装置1
6から主制御装置28に供給されるようになっている。
【0053】さらに、本実施形態の露光装置100で
は、図示が省略されているが、レチクルRの上方に、例
えば特開平7−176468号公報等に開示される、投
影光学系PLを介してレチクルR上のレチクルマーク
(図示省略)と基準板FP上のマークとを同時に観察す
るための露光波長を用いたTTR(Through The Reticl
e)アライメント系から成る一対のレチクルアライメン
ト顕微鏡が設けられている。これらのレチクルアライメ
ント顕微鏡の検出信号は、アライメント制御装置16を
介して主制御装置28に供給されるようになっている。
【0054】次に、本発明に係る露光方法の実施に用い
られるレチクルの一例について説明する。
【0055】図2には、本第1の実施形態で用いられる
レチクルRTの一例が示されている。この図2は、レチ
クルRTを、パターン面側(図1における下面側)から
見た平面図である。このレチクルRTは、ほぼ正方形の
マスク基板としてのガラス基板42の中央に、パターン
領域PAが設けられ、そのパターン領域PA内に、後述
するパターンが配置されている。また、パターン領域P
Aの中心、すなわちレチクルRTの中心(レチクルセン
タ)を通るパターン領域PAのX軸方向の両側には、一
対のレチクルアライメントマークRM1,RM2が形成
されている。
【0056】ここで、本第1の実施形態において、前記
レチクルRのパターン領域PA内に配置されるパター
ンについて説明する。
【0057】前記パターン領域PA内には、例えば、図
2に示されるように、例えば第1層目用のパターンが配
置されている第1領域RPA1と、例えば第2層目用の
パターンが配置されている第2領域RPA2とが存在す
る。そして、第1領域RPA1の中心は、パターン領域
PAの中心とY軸方向に関して距離D1だけ離れてお
り、第2領域RPA2の中心は、パターン領域PAの中
心とY軸方向に関して距離D2だけ離れている。また、
X軸方向に関しては、第1領域RPA1の中心と第2領
域RPA2の中心はパターン領域PAの中心と一致して
いる。なお、便宜上、第1領域RPA1の形状と第2領
域RPA2の形状は、同一であるものとする。
【0058】また、第1領域RPA1内には、図3に拡
大して示されるように、4個のマークパターンPM1〜
PM4が四隅に配置されている。ここで、マークパター
ンPM1とPM2、及びマークパターンPM3とPM4
は、それぞれY軸方向に距離DM1だけ離れて配置され
ている。また、マークパターンPM1とPM4、及びマ
ークパターンPM2とPM3は、それぞれX軸方向に距
離DM2だけ離れて配置されている。なお、重ね合わせ
誤差を検出するために、第2領域RPA2内にも同様な
マークパターンを配置しても良い。
【0059】なお、第1層目用のパターン(以下、適宜
「第1パターン」という)及び第2層目用のパターン
(以下、適宜「第2パターン」という)は、特に限定さ
れるものではなく、実際の回路パターン等であっても良
い。従って、ここでは特に明示はしないが、何らかのパ
ターンが配置されているものとする。
【0060】次に、本実施形態の露光装置100によ
り、第1パターンに重ねて、第2パターンを転写する動
作の流れについて説明する。ここでは、ウエハW上にマ
トリックス状に配置された複数の仮想長方形領域を目標
領域として第1パターンをそれぞれ転写し、続いて第1
パターンが実際に転写された各領域に第2パターンをそ
れぞれ重ねて転写する場合を採りあげて説明する。
【0061】まず、ウエハWが不図示のウエハローダに
よりウエハテーブル18上にロードされるとともに、レ
チクルRが不図示のレチクルローダによりレチクルス
テージRST上にロードされる。
【0062】主制御装置28は、ウエハテーブル18上
に設けられた基準板FPの表面にレチクルアライメント
マークRM1,RM2と対応して形成されている一対の
基準マーク(不図示)の中点が投影光学系PLの光軸と
ほぼ一致するように、基準板FPを移動する。この移動
は、主制御装置28によりレーザ干渉計26の計測値を
モニタしつつ駆動系22を介してXYステージ20を移
動することにより行われる。次に、主制御装置28は、
レチクルRの中心(レチクルセンタ)が投影光学系P
Lの光軸とほぼ一致するように、レチクルステージRS
Tの位置を調整する。このとき、例えば、前述のレチク
ルアライメント顕微鏡(不図示)により投影光学系PL
を介してレチクルアライメントマークRM1,RM2と
前記基準マークとの相対位置が検出される。
【0063】そして、主制御装置28は、レチクルアラ
イメント顕微鏡によって検出された相対位置の検出結果
に基づいてレチクルアライメントマークRM1,RM2
と前記基準マークとの相対位置誤差がともに最小となる
ように不図示の駆動系を介してレチクルステージRST
のXY面内の位置を調整する。これにより、レチクルR
の中心(レチクルセンタ)が投影光学系PLの光軸と
正確にほぼ一致するとともにレチクルRの回転角もス
テージ座標系の座標軸に正確に一致する。すなわち、レ
チクルアライメントが完了する。
【0064】そして、主制御装置28は、図4(A)に
示されるように、照明光ILの照射領域がレチクルR
の第1領域RPA1と一致するように、照明系IOPの
レチクルブラインド8の開口の大きさ及び位置を調整す
る。
【0065】次いで、主制御装置28は、ウエハW上の
最初の目標領域が露光されるように、レーザ干渉計26
の計測値をモニタしつつ駆動系22を介してXYステー
ジ20を移動する。この状態で露光を行い、ウエハW上
に第1パターンを投影光学系PLを介して転写する。
【0066】ウエハW上の最初の目標領域への露光が終
了すると、主制御装置28は、ウエハW上の2番目の目
標領域が露光されるように、レーザ干渉計26の計測値
をモニタしつつ駆動系22を介してXYステージ20を
移動する。そして、この状態で露光を行い、ウエハW上
に第1パターンを投影光学系PLを介して転写する。
【0067】このようにして、ウエハW上の露光対象と
なる目標領域の全てに第1パターンを順次転写する。
【0068】ウエハW上の露光対象となる全ての目標領
域への第1パターンの転写が終了すると、主制御装置2
8の指示に応じて、不図示のウエハローダによって、ウ
エハWは、ウエハテーブル18上からアンロードされた
後、不図示のウエハ搬送系により、露光装置100にイ
ンラインにて接続されている不図示のコータ・デベロッ
パに搬送される。
【0069】ウエハWは、このコータ・デベロッパ内で
現像される。この現像の終了により、ウエハW上の各転
写領域には、第1パターンの像とともに、マークPM1
〜PM4の像(マーク像)WM1〜WM4が形成される
(図7参照)。
【0070】現像が終了すると、ウエハWに対して第2
パターンを転写するための処理(レジストコーティング
など)が行われる。そして、主制御装置28は、不図示
のウエハ搬送系に指示して露光装置内にウエハWを搬送
し、この搬送されたウエハWをウエハローダにより再度
ウエハテーブル18上にロードする。
【0071】そして、主制御装置28により、不図示の
レチクルアライメント顕微鏡、基準板FP、及びアライ
メント検出系AS等などを用いて所定の手順により、ア
ライメント検出系ASのベースライン計測等が行われ
る。その後、アライメント検出系ASを用いたウエハW
のアライメントが次のようにして実行される。
【0072】まず、主制御装置28により、予め定めた
特定の複数(少なくとも3つ)の転写領域(以下、適宜
「特定転写領域」という)について、マーク像WM1〜
WM4のうちの所定の少なくとも2つのマーク像のステ
ージ座標系における位置(各マーク像の中心の位置)
が、XYステージ20を順次位置決めしつつ、アライメ
ント検出系ASを用いて順次検出される。そして、主制
御装置28により、それらのマーク像の全てあるいはそ
の一部(少なくとも3つ)の検出結果に基づいて、前述
したEGA方式における最小自乗法を用いた統計演算が
行なわれ、パラメータa〜fが求められ、このパラメー
タa〜fに基づいて所定の演算により、前述した6つの
ウエハパラメータ、すなわちウエハ上の各転写領域の配
列に関するローテーションθ(ウエハの回転誤差)、
X,Y方向のスケーリング(ウエハの線形伸縮)Sx,
Sy、直交度Ort、X,Y方向のオフセットOx、Oy
の6つのパラメータが求められる。勿論、上記の統計演
算に際し、モデル式として例えば特開昭61−4442
9号公報などに開示される上記6つのウエハパラメータ
を含むモデル式を用いれば、6つのウエハパラメータが
直接求められる。
【0073】いずれにしても、主制御装置28は、算出
したパラメータと、各転写領域の設計上の座標位置とを
モデル式に代入することにより、各転写領域の配列座標
を算出する。
【0074】次に、主制御装置28は、検出された各マ
ーク像の座標値に基づいて、転写誤差を検出する。
【0075】ここでは、転写誤差として、目標領域の大
きさと実際の転写領域の大きさとに差、すなわち、倍率
誤差がある場合について説明する。なお、倍率誤差の程
度は、X軸方向及びY軸方向における転写領域の目標領
域に対する各伸縮率で示すものとする。そして、一例と
して、X軸方向の伸縮率とY軸方向の伸縮率とが等し
い、すなわち、目標領域の形状と転写領域の形状とが相
似の関係にあるものとする。さらに、その伸縮率は1よ
りも大きい、すなわち、転写領域の大きさが目標領域の
大きさよりも大きいものとする。また、以下において
は、説明を簡単にするため、上で求めたスケーリングS
x,Sy(ウエハWの線形伸縮量)は極めて小さく、そ
の補正は不要であった(無視できる程度に小さかった)
ものとする。
【0076】ここで、倍率誤差(ウエハWの線形伸縮に
依存しない倍率誤差)に起因する位置ずれ、一例として
重ね合わせ誤差を補正するための位置補正値を算出する
方法を説明するに先立って、上記倍率誤差によって重ね
合わせ誤差が生じる理由について、図5及び図6を用い
て簡単に説明する。なお、図5及び図6では便宜上、倍
率誤差が誇張して示されている。
【0077】先ず、図5に示されるように、仮想的にレ
チクルRのパターン領域PA全面を1回の露光でウエ
ハW上に転写する場合を考える。なお、図5中の点線は
倍率誤差がない場合を示し、実線は伸縮率が1より大き
い倍率誤差がある場合を示す。そして、倍率誤差がある
場合の第1パターンが転写される領域WPA1bの中心
CW1bは、倍率誤差がない場合の第1パターンが転写
される領域WPA1aの中心CW1aよりも紙面右側
(+Y側)にE1だけずれている。また、倍率誤差があ
る場合の第2パターンが転写される領域WPA2bの中
心CW2bも、倍率誤差がない場合の第2パターンが転
写される領域WPA2aの中心CW2aよりも紙面右側
(+Y側)にE2だけずれている。但し、それらのずれ
量は、同じではなく、領域WPA1bのずれ量E1の方
が領域WPA2bのずれ量E2よりも大きい。すなわ
ち、パターン領域PAの中心からの距離が大きい程、ず
れ量が大きくなっていることがわかる。
【0078】次に、第1パターンと第2パターンをそれ
ぞれウエハW上の目標領域WPAに転写する場合につい
て考えると、倍率誤差がある場合に、図6に示されるよ
うに、倍率誤差を考慮しないで、ウエハW上の目標領域
WPAに第1パターンを転写しようとしても、上述した
ようにその中心CW1cが目標領域WPAの中心CWか
らE1だけ+Y方向にずれた領域WPA1cに転写され
てしまう。また、同様に倍率誤差を考慮しないで、目標
領域WPAに第2パターンを転写しようとしても、図6
に示されるように、その中心CW2cが目標領域WPA
の中心CWからE2(<E1)だけ+Y方向にずれた領
域WPA2cに転写されてしまう。すなわち、第1パタ
ーンが転写される領域WPA1cと第2パターンが転写
される領域WPA2cとは、Y軸方向に(E1−E2)
だけ位置がずれている。
【0079】次に、以上のことを踏まえて、第1パター
ンに重ねて第2パターンを転写する際の、倍率誤差によ
る重ね合わせ誤差を補正するための位置補正値を算出す
る方法について説明する。
【0080】先ず、主制御装置28は、最初の特定転写
領域において、図7に示されるマーク像WM1及びWM
4の各座標値に基づいて、X軸方向に関するマーク像W
M1とWM4との距離WDを次の(3)式から算出す
る。なお、X軸方向に関するマーク像WM2とWM3と
の距離をWDとしても良いし、あるいは、両方の距離
の平均値をWDとしても良い。
【0081】WD=|x1-x4| ……(3)
【0082】ここで、xはマーク像WM1のX座標値
であり、xはマーク像WM4のX座標値である。
【0083】同様にして、主制御装置28は、残りの特
定転写領域についても、WDを求めるとともに、全て
の特定転写領域で得られたWDの平均を求め、その平
均値をWDAxとする。
【0084】さらに、主制御装置28は、次の(4)式
を用いて、第1パターンを転写した際の各転写領域の伸
縮率M1を算出する。
【0085】M1= WDAx/(DM2・β) ……(4)
【0086】ここで、βは投影光学系PLの設計上の投
影倍率である。
【0087】そして、主制御装置28は、転写誤差の情
報として、倍率の誤差Mを次の(5)式を用いて算出す
る。本第1の実施形態では、伸縮率M1は1より大きい
ので、倍率の誤差Mは正の値となる。
【0088】M= M1-1 ……(5)
【0089】続いて、主制御装置28は、図2に示され
るように、第1領域RPA1と第2領域RPA2の中心
間距離(D1−D2)と上記(5)式から求めた倍率の
誤差Mとを用いて、第1パターンに重ねて第2パターン
を転写する際の位置補正値ΔEを、次の(6)式を用い
て算出する。
【0090】ΔE=-(D1-D2)・M ……(6)
【0091】次に、主制御装置28は、図4(B)に示
されるように、照明光ILの照射領域がレチクルR
第2領域RPA2と一致するように、照明系IOPのレ
チクルブラインド8の開口の大きさ及び位置を調整す
る。
【0092】そして、主制御装置28は、投影倍率が
(M1・β)となるように結像特性補正コントローラを
制御するとともに、前述したEGAアライメント結果に
基づいてレーザ干渉計26の計測値をモニタしつつ駆動
系22を介してXYステージ20を移動して、ウエハW
上の最初の転写領域を露光位置(第2領域RPA2のパ
ターン(第2パターン)の投影位置)に位置決めする
が、その際に、位置補正値ΔEだけY軸方向へシフトし
た位置を目標位置としてXYステージ20を移動する。
【0093】そして、この状態で露光を行い、ウエハW
上に第2パターンを投影光学系PLを介して転写する。
これにより、ウエハW上の最初の転写領域に第2パター
ンが重ねて転写される。
【0094】ウエハW上の最初の転写領域への露光が終
了すると、主制御装置28は、ウエハW上の2番目の転
写領域を前述と同様にして第2パターンの投影位置に位
置決めする。
【0095】そして、この状態で露光を行い、ウエハW
上に第2パターンを投影光学系PLを介して転写する。
これにより、ウエハW上の2番目の転写領域に第2パタ
ーンが重ねて転写される。
【0096】このようにして、ウエハW上の露光対象と
なる転写領域の全てに第2パターンが順次重ねて転写さ
れる。
【0097】なお、上記の第2パターンの転写に際し
て、予め先に求めたXYオフセットのパラメータを位置
補正値ΔEを用いて補正した新たなオフセットを用い
て、各転写領域の配列座標を計算し直しておいても良
く、かかる場合には、新たに算出された配列座標を目標
位置として前述した各転写領域の露光の際のXYステー
ジの位置決めを行えば良い。
【0098】以上説明したように、本第1の実施形態で
は、第1領域RPA1と第2領域RPA2との中心間距
離と、倍率の誤差Mとに基づいて、ウエハWの線形伸縮
に依存しない倍率誤差成分に起因して発生するものと予
測できる転写領域のずれ情報(位置ずれ量及び位置ずれ
方向)を算出し、その算出したずれ情報を補正値として
第2パターンを転写する際にウエハWの位置を補正して
いる。従って、第1パターンに第2パターンを精度良く
重ねて転写することが可能となる。
【0099】また、上記第1の実施形態では、所定のマ
ーク像間の距離の測定値と設計値とから伸縮率M1及び
倍率の誤差Mを求めているが、第1パターンが転写され
た転写領域の中心のY座標値P1と目標領域の中心のY
座標値P0とのずれ量を用いて、次の(7)式から倍率
の誤差Mを求めることも可能である。
【0100】M=(P1-P0)/D1 ……(7)
【0101】また、上記第1の実施形態では、2つの領
域ともに、パターン領域PAの中心に対して−Y側に存
在している場合について説明したが、例えば、図8に示
されるように、第1領域RPA1aがパターン領域PA
の中心に対して−Y側に、第2領域RPA2aがパター
ン領域PAの中心に対して+Y側に存在しても良い。但
し、この場合の位置補正値ΔEは、前述した(6)式で
はなく、次の(8)式から求められる。
【0102】ΔE=(D2a+D1a)・M ……(8)
【0103】ここで、D1aは第1領域RPA1aの中
心とパターン領域PAの中心とのY軸方向に関する距離
であり、D2aは第2領域RPA2aの中心とパターン
領域PAの中心とのY軸方向に関する距離である。
【0104】そこで、パターン領域PAの中心位置をX
Y座標系の原点とすると、位置補正値ΔEを求める式
は、次の(9)式で一般化することができる。
【0105】ΔE=(D2y−D1y)・M ……(9)
【0106】ここで、D1yは第1領域の中心のY座標
値であり、D2yは第2領域の中心のY座標値である。
【0107】また、上記第1の実施形態では、第1領域
の中心と第2領域の中心は、X軸方向に関しては同じ位
置であるとしているが、これに限定されることはなく、
例えば、図9に示されるように、各領域の中心位置が、
X軸方向及びY軸方向に関して異なっていても良い。こ
の場合、パターン領域PAの中心CPAの位置をXY座
標系の原点とし、第1領域の中心CRPA1の座標値を
(D1x,D1y)、第2領域の中心CRPA2の座標
値を(D2x,D2y)とすると、X軸方向の位置補正
値ΔExは、次の(10)式で求めることができる。
【0108】ΔEx=(D2x-D1x)・M ……(10)
【0109】また、Y軸方向の位置補正値ΔEyは、次
の(11)式で求めることができる。
【0110】ΔEy=(D2y-D1y)・M ……(11)
【0111】従って、この場合は、X軸方向及びY軸方
向に関してそれぞれウエハWの位置補正が必要となる。
【0112】さらに、上記第1の実施形態では、X軸方
向の伸縮率とY軸方向の伸縮率とが等しいとして説明し
たが、X軸方向の伸縮率とY軸方向の伸縮率とが異なっ
ていても良い。すなわち、転写領域の形状と目標領域の
形状とが非相似の関係にあっても良い。この場合、前述
した(4)式から算出される伸縮率は、X軸方向の伸縮
率M1xに相当し、Y軸方向の伸縮率M1yは、次の
(12)式から算出される。
【0113】M1y= WDAy/(DM1・β) ……(12)
【0114】ここで、WDAyは、図7に示されるよう
に、各転写領域毎に求められるY軸方向に関するマーク
像WM1とWM2(又はマーク像WM3とWM4)との
距離WDの全特定転写領域の平均値である。
【0115】その場合、倍率の誤差もX軸方向とY軸方
向とで異なる値を有することとなる。X軸方向の倍率の
誤差Mxは、次の(13)式で求められる。
【0116】Mx= M1x-1 ……(13)
【0117】また、Y軸方向の倍率の誤差Myは、次の
(14)式で求められる。
【0118】My= M1y-1 ……(14)
【0119】従って、第1領域と第2領域が図9に示さ
れるような位置関係にある場合には、X軸方向の位置補
正値ΔExは、前述した(10)式のかわりに、次の
(15)式で求められる。
【0120】ΔEx=(D2x-D1x)・Mx ……(15)
【0121】同様に、Y軸方向の位置補正値ΔEyは、
前述した(11)式のかわりに、次の(16)式で求め
られる。
【0122】ΔEy=(D2y-D1y)・My ……(16)
【0123】また、上記第1の実施形態では、転写領域
の伸縮率が1より大きい場合について説明しているが、
伸縮率が1より小さくても良い。この場合について、以
下に簡単に説明する。
【0124】先ず、図10に示されるように、仮想的に
レチクルRのパターン領域PA全面を1回の露光でウ
エハW上に転写する場合を考えてみる。なお、図10中
の点線は倍率誤差がない場合を示し、実線は伸縮率が1
より小さい倍率誤差がある場合を示す。倍率誤差がある
場合には、第1パターンが転写される領域WPA1nの
中心CW1nは、倍率誤差がない場合の第1パターンが
転写される領域WPA1mの中心CW1mよりも紙面左
側(−Y側)にE4だけずれている。また、倍率誤差が
ある場合の第2パターンが転写される領域WPA2nの
中心CW2nも、倍率誤差がない場合の第2パターンが
転写される領域WPA2mの中心CW2mよりも紙面左
側(−Y側)にE5だけずれている。但し、それらのず
れ量は同じではなく、領域WPA1nのずれ量E4の方
が領域WPA2nのずれ量E5よりも大きい。すなわ
ち、伸縮率が1より大きい場合と同様に、パターン領域
PAの中心からの距離が大きい程、ずれ量が大きくなっ
ていることがわかる。
【0125】次に、第1パターンと第2パターンをそれ
ぞれウエハW上の目標領域に転写する場合について考え
ると、倍率誤差がある場合に、倍率誤差を考慮しない
で、ウエハW上の目標領域に第1パターンを転写しよう
としても、上述したようにその中心が目標領域の中心か
らE4だけ−Y方向にずれた領域に転写されてしまう。
また、同様に倍率誤差を考慮しないで、目標領域に第2
パターンを転写しようとしても、その中心が目標領域の
中心からE5(<E4)だけ−Y方向にずれた領域に転
写されてしまう。すなわち、伸縮率が1より大きい場合
とは逆方向にずれが生じる。
【0126】このように、転写領域の伸縮率が1より小
さい場合でも、伸縮率が1より大きい場合と同じ理由で
位置ずれが生じるため、伸縮率が1より大きい場合と同
様にして位置補正値を求めることができる。
【0127】なお、上記第1の実施形態では、ウエハの
線形伸縮が極めて小さいとして説明しているが、これが
無視できない場合でも、本発明を適用することができ
る。すなわち、転写領域の伸縮率を算出する際にウエハ
の線形伸縮に起因する倍率誤差成分、例えば前述したE
GAアライメントの過程で求められるXYスケーリング
Sx,Syを用いて、伸縮率を補正し、その補正後の伸
縮率に基づいて前述と同様にして倍率の誤差M(又M
x、My)を求め、この倍率の誤差を用いて同様の手順で
位置補正値を求めれば良い。
【0128】また、上記第1の実施形態では、前述した
EGA方式を用いてウエハWのアライメントを行なって
いるが、例えば特開平6−349705号公報等に開示
されるように、アライメントショット領域(前述した特
定転写領域に相当)毎に複数のアライメントマークを検
出してX、Y座標をそれぞれ複数個ずつ得るようにし、
EGA方式で用いられるウエハの伸縮、回転等に対応す
るウエハパラメータの他に、ショット領域(転写領域)
の回転誤差、直交度、及びスケーリングに対応するショ
ットパラメータ(チップパラメータ)の少なくとも1つ
をパラメータとして含むモデル関数を用いて各ショット
領域の位置情報、例えば座標値を算出するいわゆるショ
ット内多点EGA方式を用いても良い。
【0129】このショット内多点EGA方式は、ウエハ
上に配列された各ショット領域内の基準位置に対してそ
れぞれ設計上一定の相対位置関係で配置された複数個の
アライメントマーク(1次元マーク、2次元マークのい
ずれでも良い)がそれぞれ形成され、これらウエハ上に
存在するアライメントマークの中から所定数のアライメ
ントマークであって、X位置情報の数とY位置情報の数
との和が上記モデル関数に含まれるウエハパラメータ及
びショットパラメータの総数より多く、かつ少なくとも
同一のアライメントショット領域について同一方向に複
数の位置情報が得られる所定数のアライメントマークの
位置情報を計測する。そして、これらの位置情報を、上
記モデル関数に代入し、最小自乗法等を用いて統計処理
することにより、そのモデル関数に含まれるパラメータ
を算出し、このパラメータと、各ショット領域内の基準
位置の設計上の位置情報及び基準位置に対するアライメ
ントマークの設計上の相対位置情報から、各ショット領
域の位置情報を算出するものである。
【0130】従って、このショット内多点EGA方式を
採用する場合には、ショットパラメータであるショット
のXYスケーリングとウエハパラメータであるXYスケ
ーリングSx,Syとの差により前述した転写領域の伸
縮率を算出することができるので、上記実施形態と同様
に、位置補正値の算出が可能である。
【0131】《第2の実施形態》以下、本発明の第2の
実施形態を図11〜図13に基づいて説明する。
【0132】図11には、本第2の実施形態に係る露光
方法で用いられるレチクルR’が示されている。この
レチクルR’は、遮光帯で囲まれた矩形のパターン領
域PA内に、例えば第1層目用のパターンが形成された
第1領域RPA1’と、例えば第2層目用のパターンが
形成された第2領域RPA2’とがY軸方向に並んで配
置されている。
【0133】ここで、第1領域RPA1’は、パターン
領域の紙面左側(−Y側)に形成され、第2領域RPA
2’は、パターン領域の紙面右側(+Y側)に形成され
ている。そして、第1領域RPA1’の中心位置は、パ
ターン領域の中心位置からY軸方向に関してD1bだけ
離れており、第2領域RPA2’の中心位置は、パター
ン領域の中心位置からY軸方向に関してD2bだけ離れ
ている。すなわち、両領域の中心位置は(D1b+D2
b)だけ離れている。また、X軸方向に関しては、第1
領域RPA1’の中心と第2領域RPA2’の中心はパ
ターン領域の中心と一致している。なお、便宜上、第1
領域RPA1’の形状と第2領域RPA2’の形状は、
同一であるものとする。さらに、第1領域RPA1’内
には4個のマークパターンPM5〜PM8が四隅に配置
されている。ここで、マークパターンPM5とPM6、
及びマークパターンPM7とPM8は、それぞれY軸方
向に距離DM3だけ離れて配置されている。そして、マ
ークパターンPM5とPM8、及びマークパターンPM
6とPM7は、それぞれX軸方向に距離DM4だけ離れ
て配置されている。
【0134】次に、前述した露光装置100を用いて、
レチクルR’上の第1領域RPA1’内のパターン
(以下、適宜「第1パターン」という)と第2領域RP
A2’内のパターン(以下、適宜「第2パターン」とい
う)とを重ねてウエハW上に転写する、露光方法につい
て説明する。
【0135】前提として、前述した第1の実施形態と同
様にして、既に第1パターンがウエハW上の複数の転写
領域に転写され、現像、レジスト塗布などの処理が終了
し、そのウエハWがウエハテーブル18上にロードさ
れ、その後に特定転写領域について各マークパターンP
M5〜PM8のマーク像WM5〜WM8(図12参照)
のステージ座標系における座標位置が検出され、ウエハ
Wに対する前述したEGA方式のアライメントが終了し
ているものとする。
【0136】以下においては、説明を簡単にするため、
EGA方式のアライメントの過程で求められたローテー
ションθは、極めて小さく、その補正は不要であった
(無視できる程度に小さかった)ものとする。すなわ
ち、転写誤差として、実際の転写領域が目標領域に対し
てZ軸回りの回転関係、すなわち、回転誤差(ウエハW
の回転に依存しない回転誤差)がある場合について、一
例として、図12及び図13に示されるように各転写領
域は紙面内で反時計回りに角度θだけ回転している場
合を採りあげて以下説明する。なお、図12及び図13
では便宜上、回転誤差が誇張して示されている。
【0137】次に、回転誤差に起因する重ね合わせ誤差
を補正するための位置補正値を算出する方法の説明に先
立って、回転誤差によって重ね合わせ誤差が生じる理由
について簡単に説明する。
【0138】先ず、図12に示されるように、仮想的に
レチクルR’のパターン領域全面を1回の露光でウエ
ハW上に転写する場合を考えてみる。なお、図12中の
点線は回転誤差がない場合を示し、実線は回転誤差があ
る場合を示す。ここで、第1パターンが転写される第1
転写領域WPA1dの中心CW1dと第2パターンが転
写される第2転写領域WPA2dの中心CW2dは、も
し回転誤差がなければ、Y軸方向の同一線上に位置する
はずであるが、回転誤差が生じているために、図12に
示されるように、Y軸方向に対して反時計回りに角度θ
をなす線上に位置する。そして、中心CW1dと中心
CW2dとの距離ΔDWは、次の(17)式から求める
ことができる。
【0139】ΔDW=(D1b+D2b)・β ……(17)
【0140】また、中心CW1dと中心CW2dとのX
軸方向に関する距離ΔDWXは、次の(18)式から求
めることができる。
【0141】ΔDWX=ΔDW・sinθ ……(18)
【0142】さらに、中心CW1dと中心CW2dとの
Y軸方向に関する距離ΔDWYは、次の(19)式から
求めることができる。
【0143】ΔDWY=ΔDW・cosθ1 ……(19)
【0144】次に、第1パターンが転写された領域に第
2パターンを重ねて転写する場合について考える。第1
パターンを転写した際のウエハWの位置に対して、ΔD
W分だけウエハWを−Y方向に移動して第2パターンを
転写すると、回転誤差がなければ、第1パターンが転写
された領域に第2パターンを重ねて転写することができ
る。しかしながら、回転誤差があれば、図13に示され
るように、第1パターンが転写された領域WPA1eと
第2パターンの転写領域WPA2eとは一致せずに、Y
軸方向に(ΔDW−ΔDWY)の位置ずれが、X軸方向
にΔDWXの位置ずれが生じる。
【0145】以上のことを踏まえて、第1パターンに重
ねて第2パターンを転写する際の、回転誤差に起因する
重ね合わせ誤差を補正するための位置補正値を算出する
方法について説明する。
【0146】先ず、主制御装置28は、特定転写領域毎
に、マーク像WM5とWM6の座標値から、次の(2
0)式を用いて誤差パラメータである回転角度θを算
出する。なお、マーク像WM7とWM8の座標値から算
出しても良い。また、両方の平均値を用いても良い。こ
こでは、マーク像WM5の座標値が(x,y)、マ
ーク像WM6の座標値が(x,y)であるものとす
る。
【0147】 θ1=tan -1{(x6-x5)/(y6-y5)} ……(20)
【0148】次に、主制御装置28は、特定転写領域毎
に、X軸方向の位置ずれ量ΔDWXを前記(20)式か
ら算出し、Y軸方向の位置ずれ量(ΔDW−ΔDWY)
を次の(21)式から算出する。
【0149】 (ΔDW-ΔDWY)=ΔDW・(1-cosθ) ……(21)
【0150】そして、主制御装置28は、全ての特定転
写領域で得られたX軸方向の位置ずれ量ΔDWXの平均
を求める。この平均値がX軸方向の位置補正値ΔExで
ある。また、全ての特定転写領域で得られたY軸方向の
位置ずれ量(ΔDW−ΔDWY)の平均を求める。この
平均値がY軸方向の位置補正値ΔEyである。
【0151】次に、主制御装置28は、照明光ILの照
射領域がレチクルR’の第2領域RPA2’と一致す
るように、照明系IOPのレチクルブラインド8の開口
の大きさ及び位置を調整する。
【0152】そして、主制御装置28は、前述したEG
Aアライメント結果に基づいてレーザ干渉計26の計測
値をモニタしつつ駆動系22を介してXYステージ20
を移動して、ウエハW上の最初の転写領域を露光位置
(第2領域RPA2’のパターン(第2パターン)の投
影位置)に位置決めするが、その際に、位置補正値ΔE
xだけX軸方向へ、位置補正値ΔEyだけY軸方向へそ
れぞれシフトした位置にXYステージ20を移動する。
【0153】そして、この状態で露光を行い、ウエハW
上に第2パターンを投影光学系PLを介して転写する。
これにより、ウエハW上の最初の転写領域に第2パター
ンが重ねて転写される。
【0154】ウエハW上の最初の転写領域への露光が終
了すると、主制御装置28は、ウエハW上の2番目の転
写領域を前述と同様にして第2パターンの投影位置に位
置決めする。
【0155】そして、この状態で露光を行い、ウエハW
上に第2パターンを投影光学系PLを介して転写する。
これにより、ウエハW上の2番目の転写領域に第2パタ
ーンが重ねて転写される。
【0156】このようにして、ウエハW上の露光対象と
なる転写領域の全てに第2パターンが重ねて順次転写さ
れる。
【0157】なお、上記の第2パターンの転写に際し
て、予め先に求めたXYオフセットのパラメータを位置
補正値ΔEx、ΔEyを用いて補正した新たなオフセッ
トを用いて、各転写領域の配列座標を計算し直しておい
ても良く、かかる場合には、新たに算出された配列座標
を目標位置として前述した各転写領域の露光の際のXY
ステージの位置決めを行えば良い。
【0158】以上説明したように、本第2の実施形態で
は、第1領域RPA1’と第2領域RPA2’との中心
間距離と、回転誤差の回転角とから、ウエハWの回転誤
差(ローテーション)に依存しない回転誤差に起因して
発生すると予測できる転写領域のずれ情報(位置ずれ量
及び位置ずれ方向)を算出し、その算出したずれ情報を
補正値として第2パターンを転写する際にウエハWの位
置を補正している。従って、第1パターンに第2パター
ンを精度良く重ねて転写することが可能となる。
【0159】なお、上記第2の実施形態では、図11に
示されるように、第1領域はパターン領域の中心に対し
て−Y側に、第2領域はパターン領域の中心に対して+
Y側に形成された場合について説明したが、これに限定
されるものではない。さらに、両領域の中心がX軸方向
に関して一致していなくても良い。第1領域の中心位置
と第2領域の中心位置との差を用いて位置補正値を求め
ているからである。
【0160】また、上記第2の実施形態では、ウエハW
の回転誤差(ローテーションθ)が極めて小さいとして
説明しているが、これが無視できない場合でも、本発明
を適用することができる。すなわち、ウエハの回転誤
差、例えば前述したEGAアライメントの過程で求めら
れるパラメータθを用いて、前記(20)式から得られ
た回転角度θを補正し、その補正後の回転角度に基づ
いて前述と同様にして位置補正値を求めれば良い。
【0161】さらに、上記第2の実施形態では、前述し
た第1の実施形態と同様に、ショット内多点EGA方式
を用いてウエハWのアライメントを行い、その際に算出
されたショットパラメータであるショット回転とウエハ
パラメータであるローテーションθとの差を、前述した
θ1としてより前述と同様に位置補正値を算出すること
が可能である。
【0162】また、転写誤差として、倍率誤差と回転誤
差とが同時に生じていても、それぞれの誤差成分を抽出
し、上記各実施形態と同様にして、それぞれ個別に位置
補正値を求めることができる。そして、この場合は、各
位置補正値を考慮して、最も重ね合わせ誤差が小さくな
るようにウエハWの位置決めがなされることとなる。
【0163】なお、上記各実施形態では、本発明がステ
ップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置に適用
された場合について説明したが、本発明の適用範囲がこ
れに限定されないのは勿論である。すなわち、ステップ
・アンド・スキャン方式、ステップ・アンド・スティッ
チ方式、ミラープロジェクション・アライナー、及びフ
ォトリピータなどにも好適に適用することができる。さ
らに、投影光学系PLは、屈折系、反射屈折系、及び反
射系のいずれでも良いし、縮小系、等倍系、及び拡大系
のいずれでも良い。
【0164】特に、ステップ・アンド・スキャン方式の
露光装置などの走査型露光装置の場合には、非走査方向
に関してはレチクル上の照明領域は上記実施形態と同様
に可動レチクルブラインドで設定されるが、走査方向に
ついては、例えば予め設定された加速度、走査速度を考
慮して加速開始位置を適宜設定することにより、レチク
ル上の所望の一部領域のみの照明が可能となる。従っ
て、この設定されたレチクル(レチクルステージ)の加
速開始位置に対応するウエハ(XYステージ)の走査方
向の加速開始位置を、前述した位置補正値分だけずらす
ことにより、前述と同様の倍率誤差、回転誤差などの転
写誤差に起因する転写領域のずれ、すなわち重ね合わせ
誤差の補正が可能となる。
【0165】また、走査型露光装置では、レチクル(レ
チクルステージ)の走査方向の移動軸(通常、レーザ干
渉計の測長軸で規定される)と、ウエハ(ウエハステー
ジ)の移動を規定するステージ座標系の座標軸との角度
誤差に起因して、ショット(転写領域)の形状が平行四
辺形となる転写誤差が発生する場合がある。このような
転写誤差(以下、「直交度誤差」と呼ぶ)がある場合
に、レチクル上での中心位置が異なる領域のパターンを
重ね合わせて転写すると、重ね合わせ誤差を生じること
がある。そのような場合でも、前述した各実施形態と同
様な考え方で、その重ね合わせ誤差を補正するための位
置補正値を求めることができる。このことについて、第
3の実施形態として以下に説明する。
【0166】《第3の実施形態》以下、本発明の第3の
実施形態を図14及び図15に基づいて簡単に説明す
る。
【0167】ここでは、一例として、前述した第2の実
施形態の場合と同じレチクルR’(図11参照)を用
いて、第1領域RPA1’内のパターン(第1パター
ン)と第2領域RPA2’内のパターン(第2パター
ン)とを重ねてウエハ上に転写する露光方法について図
14及び図15を用いて説明する。なお、本実施形態の
露光方法は、通常のステップ・アンド・スキャン方式の
露光装置(スキャニング・ステッパ)を用いて実施する
ことができるが、その装置の説明は省略する。
【0168】なお、前提として、通常のスキャニング・
ステッパを用いて、既に第1パターンがウエハW上の複
数の転写領域に転写され、現像、レジスト塗布などの処
理が終了し、そのウエハWがウエハステージ上にロード
され、その後に特定転写領域について各マークパターン
PM5〜PM8のマーク像WM5〜WM8(図12参
照)のステージ座標系における座標位置が検出され、ウ
エハWに対する前述したEGA方式のアライメントが終
了しているものとする。
【0169】以下においては、説明を簡単にするため、
EGA方式のアライメントの過程で求められたウエハパ
ラメータの1つである直交度Ortは極めて小さく、その
補正は不要であった(無視できる程度に小さかった)も
のとする。すなわち、レチクルステージの移動を規定す
るレチクルステージ座標系の走査方向の座標軸とウエハ
ステージの移動を規定する走査方向の座標軸との間に角
度誤差があり、転写誤差として、実際の転写領域の形状
が平行四辺形となる転写誤差(ウエハ上の転写領域の配
列の直交度誤差に依存しない)がある場合について、一
例として、図14及び図15に示されるようにレチクル
ステージ座標系の走査方向の座標軸がウエハステージ座
標系のY軸に対して紙面内で反時計回りに角度θの直
交度誤差を有する場合を採りあげて以下説明する。な
お、図14及び図15では便宜上、直行度誤差が誇張し
て示されている。この場合、レチクルステージ座標系の
非走査方向の座標軸とウエハステージ座標系の非走査方
向の座標軸とは一致しているものとする。
【0170】次に、直交度誤差に起因する重ね合わせ誤
差を補正するための位置補正値を算出する方法の説明に
先立って、直交度誤差によって重ね合わせ誤差が生じる
理由について簡単に説明する。
【0171】先ず、図14に示されるように、仮想的に
レチクルR’のパターン領域全面を1回の露光でウエ
ハ上に転写する場合を考えてみる。なお、図14中の点
線は直交度誤差がない場合を示し、実線は直交度誤差が
ある場合を示す。
【0172】ここで、第1パターンが転写される領域W
PA1gの中心CW1gと第2パターンが転写される領
域WPA2gの中心CW2gは、もし直交度誤差がなけ
れば、Y軸方向の同一線上にΔDWだけ離れて位置する
はずであるが、直交度誤差が生じているために、図14
に示されるように、Y軸方向に対して反時計回りに角度
θをなす線上に位置する。なお、中心CW1gと中心
CW2gとのX軸方向に関する距離をΔDWX1とす
る。
【0173】次に、第1パターンが転写された領域に第
2パターンを重ねて転写する場合について考える。第1
パターンを転写した際のウエハの加速開始位置に対し
て、ΔDW分だけウエハの加速開始位置を−Y方向にシ
フトして第2パターンを転写すると、直交度誤差がなけ
れば、第1パターンが転写された領域に第2パターンを
重ねて転写することができる。しかしながら、直交度誤
差があれば、図15に示されるように、第1パターンが
転写された領域WPA1hと第2パターンの転写領域W
PA2hとは一致せずに、X軸方向にΔDWX1の位置
ずれが生じる。
【0174】以上のことを踏まえて、第1パターンに重
ねて第2パターンを転写する際の、直交度誤差に起因す
る重ね合わせ誤差を補正するための位置補正値を算出す
る方法を説明する。
【0175】先ず、特定転写領域毎に、マーク像WM5
とWM6の座標値から、次の(22)式を用いて誤差パ
ラメータである角度θを算出する。ここでは、マーク
像WM5の座標値が(x,y)、マーク像WM6の
座標値が(x,y)であるものとする。なお、マー
ク像WM7とWM8の座標値から算出しても良い。ま
た、両方の平均値を用いても良い。
【0176】 θ2=tan -1{(x6-x5)/(y6-y5)} ……(22)
【0177】次に、他の特定転写領域についても特定転
写領域毎に、X軸方向の位置ずれ量ΔDWX1を次の
(23)式から算出する。
【0178】ΔDWX1=ΔDW・tanθ ……(23)
【0179】そして、全ての特定転写領域で得られたX
軸方向の位置ずれ量ΔDWX1の平均を求める。この平
均値がX軸方向の位置補正値ΔExである。
【0180】次に、最初の転写領域の露光に先立って、
前述したEGA方式のアライメント結果に基づいて算出
されるウエハの加速位置のX軸方向の位置を位置補正値
ΔExだけ補正した位置を新たな加速開始位置として、
走査露光を行い。これにより、最初の転写領域に第2パ
ターンが重ねて転写される。
【0181】他の全ての転写領域についても、同様に、
ウエハの加速開始位置のX軸方向の位置を位置補正値Δ
Exだけ補正して、走査露光を行うことにより、各転写
領域に第2パターンが重ねて転写される。
【0182】なお、上記の第2パターンの転写に際し
て、予め先に求めたXオフセットのパラメータを位置補
正値ΔExを用いて補正した新たなオフセットを用い
て、各転写領域の配列座標を計算し直しておいても良
く、かかる場合には、新たに算出された配列座標を目標
位置として前述した各転写領域の露光の際のウエハステ
ージの加速開始位置とすれば良い。
【0183】以上説明したように、本第3の実施形態で
は、第1領域RPA1’と第2領域RPA2’との中心
間距離と、直交度誤差の角度とから、第1パターンに第
2パターンを重ねて転写する際に生じる直交度誤差に起
因する重ね合わせ誤差情報(ずれ量及びずれ方向)を算
出し、その算出結果に基づいて、第2パターンを転写す
る際にウエハの加速開始位置を補正している。従って、
第1パターンに第2パターンを精度良く重ねて転写する
ことが可能となる。なお、上述の説明では、ウエハの加
速開始位置を補正するものとしたが、この代わりにウエ
ハの加速度を変更することも可能である。また、レチク
ルの走査速度を併せて変更する場合には、ウエハの走査
速度を変更することにより、直交度誤差に起因する重ね
合わせ誤差を補正することも可能である。
【0184】なお、上記各実施形態において、予め定め
られた特定転写領域でマーク像のステージ座標系におけ
る位置を検出し、それらの検出結果に基づいて位置補正
値を求めているが、これに限定されるものではない。例
えば、1つの転写領域に着目してマーク像の位置の検出
結果に基づいて位置補正値を求めても良いし、全ての転
写領域におけるマーク像の位置の検出結果に基づいて位
置補正値を求めても良い。あるいは、各転写領域毎にそ
れぞれ位置補正値を求めても良い。また、前述したショ
ット内多点EGA方式を行う場合には、特定転写領域の
うちの少なくとも1つで複数のマーク像のステージ座標
系における位置を検出すれば良い。
【0185】また、上記各実施形態では、パターンの重
ね合わせが2層の場合について説明しているが、3層以
上の場合についても前述と同様にして各層毎に位置補正
値を求め、ウエハ位置を補正することにより、重ね合わ
せ精度を向上させることができる。
【0186】さらに、上記各実施形態において、第2パ
ターンを転写した後に、重ね合わせ精度を調べ、その結
果、所定の精度範囲を超える重ね合わせ誤差が発生して
いる場合には、例えば主制御装置28はディスプレイ
(モニター)への警告表示、あるいはインターネット
(電子メール等)又は携帯電話などによって、オペレー
タなどにアシストの必要性を通知しても良い。さらに、
この場合に、各駆動系やセンサ類の調整に必要な情報を
一緒に通知しても良い。これにより、各種データの計測
などの作業時間だけでなく、その準備期間も短縮でき、
露光装置の停止期間の短縮、すなわち稼働率の向上を図
ることが可能となる。
【0187】さらに、上記各実施形態では、得られた位
置補正値は、図示しない記憶装置に他の関連するデータ
とともにデータベースとして保存される。そして、図示
しないネットワーク(例えば、イントラネット)を介し
て、ファイル転送などにより管理者等に通知することが
可能である。
【0188】なお、上記各実施形態では、第1領域内の
四隅にマークパターンを配置しているが、これに限定さ
れるものではなく、一対のマークパターン、例えば、図
3に示される第1領域RPA1ではPM1とPM3の2
つであっても良い。また、必ずしも、X軸に平行な直線
上あるいはY軸に平行な直線上に複数のマークパターン
が配置されていなくとも良い。第1領域内のパターン
が、ウエハ上に転写された際の転写誤差を検出できれば
良いからである。そこで、更に多くのマークパターンを
配置し、各マーク像のステージ座標系における位置の検
出結果から複数の誤差パラメータを求め、それらの平均
値を誤差パラメータとして用いても良い。これによっ
て、更に重ね合わせ精度を向上させることができる。ま
た、マークパターンの形状についても、転写領域の転写
誤差が検出できるものであれば良い。
【0189】また、上記各実施形態では、第1領域と第
2領域は同一形状であるとして説明したが、これに限定
されないのは勿論である。各領域の形状に関係なく、各
領域の中心間距離を用いて位置補正値を求めているから
である。
【0190】さらに、上記各実施形態では、第1パター
ンと第2パターンとが、ウエハ上の異なるレイヤで重ね
合わせて転写される場合について説明したが、本発明の
露光方法の適用範囲がこれに限定されるものではない。
すなわち、同一マスク(又はレチクル)上の異なる第1
領域内と第2領域内にそれぞれ形成されたパターンを、
同一ウエハ上の異なるレイヤで所定の位置関係で並べて
転写したい場合も考えらる。かかる場合であっても、本
発明に係る露光方法では、後のレイヤの露光の際に、前
述した位置補正値を求めてその位置補正値を考慮してウ
エハ(基板)の位置を制御して、その後のレイヤの露光
を行うことにより、第1領域内のパターンが転写されて
いる基板上に、第2領域内のパターンを所望の位置関係
で精度良く転写することが可能となる。
【0191】また、上記各実施形態で用いるアライメン
ト方式は、前述のEGA方式やショット内多点EGA方
式に限定されるものではなく、例えば特開平5−304
077号公報に開示されているように、ウエハ上のショ
ット領域毎に、該ショット領域と各アライメントショッ
ト領域との距離に応じた重みを上記(2)式の残差の二
乗値に与える、いわゆる重み付けEGA方式などでも良
い。
【0192】さらに、上記各実施形態では、ウエハWの
アライメントの際にアライメントショット領域のアライ
メントマークの座標値を用いるものとしたが、これに限
定されるものではない。例えばアライメントショット領
域毎にその設計上の座標値に従ってウエハWを移動し
て、レチクルR上のマーク、又はアライメント検出系A
Sの指標マークとの位置ずれ量を検出し、この位置ずれ
量を用いて統計演算によってショット領域毎に設計上の
座標値からの位置ずれ量を算出しても良いし、あるいは
ショット領域間のステップピッチの補正量を算出しても
良い。すなわち、EGA(ショット内多点EGA、重み
付けEGA等を含む)方式では、アライメントショット
領域の座標値に限らず、アライメントショット領域に関
する位置情報であって、統計処理に適切な情報であれ
ば、如何なる情報を用いて統計演算を行っても良いし、
各ショット領域の座標値に限らず、各ショット領域の位
置に関する情報であれば、如何なる情報を算出しても良
い。
【0193】さらに、本発明が適用される露光装置の光
源は、KrFエキシマレーザやArFエキシマレーザに
限らず、F2レーザ(波長157nm)、あるいは他の
真空紫外域のパルスレーザ光源であっても良い。この
他、露光用照明光として、例えば、DFB半導体レーザ
又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視
域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエル
ビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイ
バーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に
波長変換した高調波を用いても良い。
【0194】また、本発明は、半導体素子の製造に用い
られる露光装置だけでなく、液晶表示素子、プラズマデ
ィスプレイなどを含むディスプレイの製造に用いられ
る、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露
光装置、薄膜磁気へッドの製造に用いられる、デバイス
パターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、撮
像素子(CCDなど)、マイクロマシン、及びDNAチ
ップなどの製造、さらにはマスク又はレチクルの製造に
用いられる露光装置などにも適用することができる。
【0195】《デバイス製造方法》次に、上で説明した
露光装置及び露光方法を使用したデバイスの製造方法の
実施形態を説明する。
【0196】図16には、デバイス(ICやLSI等の
半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、
DNAチップ、マイクロマシン等)の製造例のフローチ
ャートが示されている。図16に示されるように、ま
ず、ステップ301(設計ステップ)において、デバイ
スの機能・性能設計(例えば、半導体デバイスの回路設
計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計
を行う。引き続き、ステップ302(マスク製作ステッ
プ)において、設計した回路パターンを形成したマスク
を製作する。一方、ステップ303(ウエハ製造ステッ
プ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造
する。
【0197】次に、ステップ304(ウエハ処理ステッ
プ)において、ステップ301〜ステップ303で用意
したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソ
グラフィ技術によってウエハ上に実際の回路等を形成す
る。次いで、ステップ305(デバイス組立ステップ)
において、ステップ304で処理されたウエハを用いて
デバイス組立を行う。このステップ305には、ダイシ
ング工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程
(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0198】最後に、ステップ306(検査ステップ)
において、ステップ305で作製されたデバイスの動作
確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工
程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
【0199】図17には、半導体デバイスの場合におけ
る、上記ステップ304の詳細なフロー例が示されてい
る。図17において、ステップ311(酸化ステップ)
においてはウエハの表面を酸化させる。ステップ312
(CVDステップ)においてはウエハ表面に絶縁膜を形
成する。ステップ313(電極形成ステップ)において
はウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ3
14(イオン打込みステップ)においてはウエハにイオ
ンを打ち込む。以上のステップ311〜ステップ314
それぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程を構成し
ており、各段階において必要な処理に応じて選択されて
実行される。
【0200】ウエハプロセスの各段階において、上述の
前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程
が実行される。この後処理工程では、まず、ステップ3
15(レジスト形成ステップ)において、ウエハに感光
剤を塗布する。引き続き、ステップ316(露光ステッ
プ)において、上記実施形態の露光装置及び露光方法に
よってマスクの回路パターンをウエハに転写する。次
に、ステップ317(現像ステップ)においては露光さ
れたウエハを現像し、ステップ318(エッチングステ
ップ)において、レジストが残留している部分以外の部
分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、ス
テップ319(レジスト除去ステップ)において、エッ
チングが済んで不要となったレジストを取り除く。
【0201】これらの前処理工程と後処理工程とを繰り
返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターン
が形成される。
【0202】以上のような、本実施形態のデバイス製造
方法を用いれば、露光ステップで、上記各実施形態の露
光装置及び露光方法が用いられ、ウエハの線形伸縮や残
留回転誤差等に依存しない転写誤差があっても、パター
ンの重ね合わせ誤差を補正することができるため、高精
度な露光が行われ、高集積度のデバイスを生産性良く製
造することが可能となる。
【0203】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
る露光方法によれば、同一マスク上の異なる領域に形成
されたパターンを基板上の異なるレイヤにそれぞれ転写
する際に発生する位置ずれ誤差(重ね合わせ誤差を含
む)を抑制することができるという優れた効果がある。
【0204】また、本発明に係るデバイス製造方法によ
れば、高集積度のデバイスの生産性を向上させることが
できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る露光装置の構成を概略的
に示す図である。
【図2】第1の実施形態に用いられるレチクルの一例を
示す図である。
【図3】図3に示される第1領域を拡大した図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、レチクルブライ
ンドでレチクル上の照明領域が規定されることを説明す
るための図である。
【図5】伸縮率が1より大きい場合の倍率誤差による位
置ずれを説明するための図である。
【図6】倍率誤差による位置ずれを補正するための位置
補正値を算出する方法を説明するための図である。
【図7】第1パターンが転写された領域を説明するため
の図である。
【図8】図2とは異なるレチクルの一例を示す図であ
る。
【図9】図2及び図8とは異なるレチクルの一例を示す
図である。
【図10】伸縮率が1より小さい場合の倍率誤差による
位置ずれを説明するための図である。
【図11】第2の実施形態に係る露光方法に用いられる
レチクルの一例を示す図である。
【図12】回転誤差による位置ずれを説明するための図
である。
【図13】回転誤差による位置ずれを補正するための位
置補正値を算出する方法を説明するための図である。
【図14】第3の実施形態に係る露光方法を説明するた
めの図であって、直交度誤差による位置ずれを説明する
ための図である。
【図15】直交度誤差による位置ずれを補正するための
位置補正値を算出する方法を説明するための図である。
【図16】本発明に係るデバイス製造方法の実施形態を
説明するためのフローチャートである。
【図17】図16のステップ304における処理のフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
PL…投影光学系、R…レチクル(マスク)、RPA1
…第1領域、RPA1a…第1領域、RPA1b…第1
領域、RPA2…第2領域、RPA2a…第2領域、R
PA2b…第2領域、W…ウエハ(基板)、WPA…目
標領域。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マスク上に形成されたパターンを基板上
    に転写する露光方法であって、 前記基板上の所定の領域を目標領域として、前記マスク
    上の第1領域内のパターンを前記基板上に転写する第1
    工程と;前記第1工程で前記パターンが転写された前記
    基板上での転写領域と前記目標領域との関係に基づい
    て、転写誤差の情報を求める第2工程と;前記マスク上
    の前記第1領域とは中心位置が異なる第2領域内のパタ
    ーンを前記基板上に転写する際の位置補正値を、前記第
    1領域と前記第2領域との各中心位置の情報と前記転写
    誤差の情報とを用いて算出する第3工程と;前記位置補
    正値に基づいて前記基板の位置を制御し、前記第2領域
    のパターンを前記基板上に転写する第4工程と;を含む
    露光方法。
  2. 【請求項2】 前記第3工程では、前記第1領域と前記
    第2領域の各中心間距離の情報と前記転写誤差の情報と
    に基づいて前記位置補正値が算出されることを特徴とす
    る請求項1に記載の露光方法。
  3. 【請求項3】 前記転写誤差は、前記目標領域に対して
    前記転写領域が拡大関係及び縮小関係のいずれかにある
    前記基板の線形伸縮に依存しない倍率誤差であることを
    特徴とする請求項1又は2に記載の露光方法。
  4. 【請求項4】 前記第2工程では、前記基板の線形伸縮
    が無視できる場合には、前記第1領域内に形成された少
    なくとも1対のマークパターンの各像間の距離と対応す
    る設計上の距離との関係に基づいて前記倍率誤差が算出
    され、 前記基板の線形伸縮が無視できない場合には、前記各像
    間の距離と対応する設計上の距離との関係と予め求めた
    前記基板の線形伸縮に起因する倍率誤差成分とに基づい
    て前記倍率誤差が算出されることを特徴とする請求項3
    に記載の露光方法。
  5. 【請求項5】 前記第2工程では、前記転写領域と前記
    目標領域との位置関係に加え、前記マスクの中心と前記
    第1領域の中心との距離をも考慮して、前記転写誤差の
    情報として倍率誤差の誤差パラメータが算出されること
    を特徴とする請求項3に記載の露光方法。
  6. 【請求項6】 前記転写誤差は、前記目標領域に対して
    前記転写領域が回転関係にある前記基板の回転に依存し
    ない回転誤差であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の露光方法。
  7. 【請求項7】 前記転写誤差の情報は、前記回転誤差の
    誤差パラメータとしての回転角であることを特徴とする
    請求項6に記載の露光方法。
  8. 【請求項8】 前記転写誤差は、前記目標領域の形状に
    対して前記転写領域の形状が変形関係にある前記基板の
    線形変形に依存しない変形誤差であることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の露光方法。
  9. 【請求項9】 リソグラフィ工程を含むデバイス製造方
    法であって、 前記リソグラフィ工程では、請求項1〜8のいずれか一
    項に記載の露光方法を用いることを特徴とするデバイス
    製造方法。
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