JP2003055087A - 低圧誘導結合プラズマを用いたダイヤモンド微粒子の合成方法 - Google Patents

低圧誘導結合プラズマを用いたダイヤモンド微粒子の合成方法

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JP2003055087A
JP2003055087A JP2001247995A JP2001247995A JP2003055087A JP 2003055087 A JP2003055087 A JP 2003055087A JP 2001247995 A JP2001247995 A JP 2001247995A JP 2001247995 A JP2001247995 A JP 2001247995A JP 2003055087 A JP2003055087 A JP 2003055087A
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gas
diamond
low pressure
chamber
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Katsuyuki Okada
勝行 岡田
Masajiro Komatsu
正次郎 小松
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National Institute for Materials Science
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】低圧誘導結合プラズマを用いることによって、
低圧プラズマCVD法によりダイヤモンドを合成する方
法、あるいはダイヤモンドの成膜方法を提供しようとす
るものである。 【解決手段】プラズマ発生アンテナAの内側にファラデ
ーシールドFを装着し、原料ガスにはCOガスを所定量
添加し、所定の内径を有するノゾルを介して原料ガスを
プラズマ発生空間中心部に直接導入し、これによって、
加熱基板上に不純物のないサブミクロン単位の大きさの
ダイヤモンド微粒結晶を成長堆積させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低圧誘導結合型プ
ラズマ(低圧Inductively Coupled
plasma;以下、低圧ICPという)反応装置、
すなわち、原料ガス供給口と排出口とを備えてなる真空
引きチャンバー構造を有し、該供給口と排出口との間の
チャンバー内ガス流路には、プラズマ発生アンテナによ
ってプラズマが発生するプラズマ発生空間領域を有し、
さらにこのプラズマ発生空間領域に隣接して反応物堆積
用加熱基板が設けられている低圧ICP反応装置を用い
たダイヤモンド微粒子の合成方法に関する。特に、0.
1Torr以下の低圧ICPを用いることによりサブミ
クロンサイズ、高純度のダイヤモンド粒子の合成方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドを気相反応により合成する
方法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、イオン
ビーム蒸着法、スパッタリング法等知られている。その
うちプラズマCVD法によるダイヤモンドの合成法に関
しては、これまでに報告された研究は、マイクロ波プラ
ズマ及び直流プラズマジェットによる数十Torrから
大気圧の範囲のプラズマに基づいた研究がほとんどで、
いわゆる0.1Torr以下の低圧プラズマによるダイ
ヤモンド合成法については、後述する特許文献に示唆さ
れているぐらいで、報告例は多くはない。
【0003】すなわち、プラズマCVD法によるダイヤ
モンド微粒子の合成方法において、一般的に採用されて
いる方法は、大気圧近くの圧力でプラズマを発生し、ダ
イヤモンド合成する方法については報告も多数あり、そ
れ自体、ダイヤモンド微粒子の合成方法として技術的に
確立している方法である、と言うことができるが、この
方法は、使用する装置が比較的に大がかりで高価なプラ
ズマ発生装置に基づいているものであること、また、装
置の運転費用の点でもコストのかかるものであること、
さらにまた、その合成条件は大気圧に近いため、生成し
たダイヤモンド微粒子には不純物が混入し易くなるこ
と、等の点でなお、検討すべき課題が残され、問題があ
るものであった。
【0004】一方、前記したように、低圧プラズマ法に
よりダイヤモンドを合成、製造する試みもなされてはい
る。すなわち、特開平6−116733号公報には低圧
ICP発生装置を用いたプラズマCVD法が記載され、
その実施態様例として、ダイヤモンド合成を試みたこと
が開示されている。この特許公開公報には、低圧ICP
発生装置により、10Torr〜10-4Torrの中真
空領域でプラズマを発生させ、適当なガス源を用い、基
板を加熱しつつ基板のバイアス電位を制御して、基板上
にダイヤモンドを析出させようとすることが示唆されて
いる。
【0005】すなわち、この公開公報に開示されたダイ
ヤモンド合成条件は、低圧ICPによること、使用する
ガス組成は、メタンガスと水素ガスよりなるガスを使用
すること、このガスを、水素50cc、メタン0.4c
cの流量割合でプラズマ反応室に導き、10-1Torr
圧力条件下で該反応室にプラズマを発生させ、700℃
に加熱したSi(100)基板に生成物を析出させた結
果、自形を有するダイヤモンドを析出したとの記載があ
る。しかしながら、そこには、生成したダイヤモンドに
ついて具体的に粒子のサイズまで確認したとの記載も、
示唆もない。したがって、この公報に開示されたことを
以て、再現性を以てダイヤモンドを製造しうる、充分に
確立した技術であるとすることは出来ない。さらに、そ
の開示してなる生成したとする条件について検討して
も、確証に欠けているのみならず、仮に、ダイヤモンド
が得られているとしても、その開示されたところは、加
熱基板の温度条件だけをみても極めて狭いところで成立
しているにすぎない。すなわち、基板加熱温度が600
℃では堆積物がほとんど認められず、750℃に挙げる
と自形がはっきりせず、800℃以上では不定形炭素が
堆積したとの記述があることより、ダイヤモンド析出領
域は極めて狭く、この点からもその開示されたダイヤモ
ンド合成条件は極めて不安定な条件において開示されて
いるにすぎない。
【0006】すなわち、上記開示された記載自体から伺
えるところは、そこには低圧ICP法によりダイヤモン
ド合成をしようとすることについては確かに一定の示唆
はあるにしても、その域を出るものではなく、この文献
に記載されているところを要約するに、低圧ICP法に
よるダイヤモンドの合成法は、極めて限定された狭い条
件範囲においてしか生成し得ず、この条件をすこしでも
外れると、ダイヤモンドは生成することができないこと
が記載されているにすぎず、ダイヤモンド合成法として
は、極めて不安定であり、まだ実用的レベルには達して
いるとはいえない。
【0007】本発明は、以上の従来技術を前提技術とし
て考慮に入れ、また、これら従来技術における如上の問
題点を充分念頭に入れて、低圧ICPを用いたダイヤモ
ンド合成法を更に一歩実用的レベルにまで進めようとす
るものであり、鋭意検討した結果、低圧ICPを用い、
100nm〜1000nmサイズの、均一で不純物のな
いダイヤモンド粒子を再現性良く安定して得る合成方法
を見いだしたものである。
【0008】すなわち、本発明者らは、原料ガス供給口
と排出口とを備えてなる真空引きチャンバー構造を有
し、該供給口と排出口との間のチャンバー内ガス流路に
は、プラズマ発生アンテナによってプラズマが発生する
プラズマ発生空間領域を有し、さらにこのプラズマ発生
空間領域近傍に隣接して反応物堆積用加熱基板が設けら
れている低圧ICP反応装置を用いる低圧ICPによる
ダイヤモンドのCVD合成方法自体は従来技術ではある
こと、ただし、この従来技術は、ダイヤモンド製造方法
としては、まだ完成された域には達していないと云う点
で基本的に問題があることから、この点を解消した、低
圧ICP法に基づいた完成度の高いダイヤモンド製造方
法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのため、本発明者等に
おいては、低圧ICP法によるダイヤモンドの気相成長
法においては、完成度の低かった原因は、使用するガス
組成、あるいは該ガスの反応チャンバー内への導入の仕
方、さらに、プラズマを発生、維持させる機構そのもの
に、さらにはまた、プラズマ発生領域において使用され
ているチャンバー内の材質とプラズマとの相互作用、等
が複雑に関係しているとの知見を得、この知見に基づき
鋭意研究した結果、これらの事項について、一定の配慮
をすることにより、0.1Torr以下の低圧下におい
ても、確実に高純度のダイヤモンドを再現性を以て製造
することができ、しかも基板の加熱温度条件も広い加熱
領域において実施可能である、との知見を得、この知見
に基づき本発明はなされたものである。
【0010】すなわち、本発明は、低圧ICP法により
ダイヤモンドを気相成長させるダイヤモンドの製造方法
において、プラズマ発生領域を画定するアンテナの内側
すなわち、石英管で構成されたチャンバー壁の外側には
ファラデーシールドを装着、アースすること、原料ガス
は、これをプラズマ反応チャンバー内に導入するにおい
ては、ただチャンバー内に流すだけではなく、プラズマ
が安定に且つ持続的に得られるとともに、プラズマ反応
の結果得られるダイヤモンド成長の前駆体ラジカルが基
板に効率的に到達しうるに充分なガス速度が得られるよ
う、原料ガス供給ノズルの設定位置、及び内径を選定
し、このノズルを介して原料ガスをプラズマ中心部に直
接供給すること、さらに原料ガスにはメタンを含むガス
に一酸化炭素又は二酸化炭素を添加すること、以上の技
術手段を講ずることによって、0.1Torr以下の低
圧においても、確実に高純度のダイヤモンドを再現性を
以て製造するための要件事項、すなわち前示問題解決の
ための手段とするものである。
【0011】すなわち、本発明の第1番目の解決手段
は、原料ガス供給口と排出口とを備えてなる真空引きチ
ャンバー構造を有し、該供給口と排出口との間のチャン
バー内ガス流路には、プラズマ発生アンテナによってプ
ラズマが発生するプラズマ発生空間領域を有し、さらに
このプラズマ発生空間領域に隣接して反応物堆積用加熱
基板が設けられている低圧ICP反応装置を使用する、
0.1Torr以下の低圧プラズマCVDによるダイヤ
モンド合成方法において、該プラズマ反応装置には、そ
のプラズマ発生アンテナの内側にファラデーシールドを
アースして装着し、原料ガスは、プラズマアンテナによ
って囲まれたプラズマ発生空間中心部に臨ませて配置し
たガス供給ノズルを介してチャンバー内に導入するとと
もに、ノズル内径を選択し、これによって反応室に与え
られた原料ガス供給量に対する反応室内ガス速度を安定
プラズマが確保されるガス速度とするとともに、ダイヤ
モンド成長の前駆体ラジカルが基板に到達しうるに充分
なガス速度を確保し、加熱基板上に100nm〜100
0nmの高純度ダイヤモンド微粒子を析出させることを
特徴とするものである。
【0012】本発明の第2番目の解決手段は、原料ガス
としてメタンを含むガスに一酸化炭素又は二酸化炭素を
添加してなるガスを用いることを特徴とするものであ
り、第3番目の解決手段は、原料ガス組成は、メタン、
一酸化炭素、水素よりなる組成ガスであることを特徴と
するものである。
【0013】さらに、本発明の第4番目の解決手段は、
ガス供給ノズルとして、ノズル内径が1mmのものを選
定したことを特徴とするものである。
【0014】第5番目の解決手段は、加熱基板温度を7
00℃〜1000℃に設定したことを特徴とするもので
ある。そして、第6番目の解決手段は、プラズマ発生周
波数を1MHz〜100MHz、プラズマ入力パワーを
500W〜3kWに設定したことを特徴とするものであ
る。
【0015】ここに、ファラデーシールドの装着がない
場合、発生するプラズマとプラズマ発生用アンテナとの
間には、静電容量的結合に基づく相互作用が生じ、プラ
ズマ中の正イオンが加速されて反応チャンバー(石英
管)内壁に対して激しく衝突し、石英管を激しくエッチ
ングする。これによって、SiO2の蒸発が生じ、これ
が基板上に搬送されて、凝縮し、基板上にはSiO2
堆積物が優勢に進行する結果となる。すなわち、ファラ
デーシールドを付設しないで実施する場合、ダイヤモン
ドの生成反応以外に、SiO2の析出反応が専ら生じ、
あるいは、ダイヤモンド生成反応に優勢して生ずる結
果、高純度ダイヤモンド結晶を得ることが出来ない。
【0016】ファラデーシールドは、これをアンテナの
内側、すなわち反応チャンバーを形成する石英管と後述
するようにその外側のテフロン(登録商標)管との間に
装着する。これによって、プラズマ正イオン粒子が石英
管に衝突し、SiO2の発生等を生じる不都合な現象が
抑制される。この点のファラデーシールドの作用効果に
ついては、モリブデン(Mo)を反応物堆積用加熱基板
とする図1に示す実験データからも明らかとなった。
【0017】図1は、Moを基板として場合における堆
積物と基板の元素分析であり、(a)はファラデーシ−
ルドを装着しなかった場合、(b)はファラデーシール
ドを装着した場合の比較データである。この図からは、
ファラデーシールドを装着した場合(b)は、ファラデ
ーシールドを装着しなかった場合(a)に比し、Si、
Oが激減し、Cすなわちダイヤモンドの析出が優勢とな
っていることが分かる。すなわち、ファラデーシールド
は、プラズマ粒子の衝突に起因するSiO2の発生を防
ぎ、基板上にダイヤモンド粒子を堆積させるという、反
応目的に対し、優位な作用効果を示していることが明ら
かである。
【0018】提示した先行文献においては、この点の解
決手段として、石英管の内面にBN焼結体で出来た管を
取り付けているが、石英管に併せて、BN焼結体を製作
し、取り付けることは容易ではないし、コストのかかる
解決手段である。また、その効果も、エッチングそのも
のを抑制するものではないので、これによって不純物問
題が基本的解決するには遠く、ますます、その管理が煩
雑且つ実効性に乏しい。 すなわち、石英管のエッチン
グを防ぐことは出来たとしても、BN焼結体がエッチン
グされてしまう。BNを堆積させるのであれば問題はな
いかもしれないが、ダイヤモンドを堆積させる場合には
BNが不純物として混入してしまう。これに対して、本
件発明において講じたファラデーシールドは、プラズマ
とアンテナ間の静電容量的結合を除去することにより、
エッチングそのものを抑制し、不純物の発生を抑えるも
のであり、その製作も取り付けも極めて簡単であり優れ
ている。
【0019】また、本発明において、反応チャンバーへ
の原料ガスの供給に際し、原料ガスを、プラズマ中心部
に臨ませて配置したノズルを介してプラズマ中心部に直
接導入する点は、単に原料ガスをチャンバー内に導入し
ただけでは、原料ガスのプラズマ中心部以外への拡散が
激しく、これによって、発生するプラズマ密度も低くな
り、ダイヤモンド前駆体ラジカル生成量が堆積するに足
る密度で確保することが極めて困難になり、基板上にダ
イヤモンドを堆積させるという目的を達成することが出
来ない。すなわち、原料ガスの単なる導入では、基板に
は何も堆積しない。
【0020】加えて、ノズルの内径について選定、配慮
する点は、与えられた一様な条件、すなわち、反応装
置、圧力条件、ガス組成とその供給量、等の諸条件が一
様な条件として与えられている場合、そのプラズマ発生
空間内におけるガス速度は、専らノズル径によって左右
されることは、自明の理である。すなわち、ノズル径を
小に設定すると、プラズマ空間内におけるガスの速度
は、相対的に速く、逆にノズル径を大にした場合、ガス
速度は、遅くなる。このガス速度の遅速は、プラズマの
発生、状態に直接関わり、ガス速度が速くなりすぎると
ガスが一定の密度にプラズマ化されることなく、すなわ
ち、充分に励起される前に系外に排出され、これによっ
て安定なプラズマを得ることが出来ない。逆に、ノズル
内径を大にし、プラズマ発生空間におけるガス速度を相
対的に遅くすると、これはノズルのない場合に等しくな
り、ガスが速く拡散し、これによってプラズマ密度を上
げることが出来ず、その結果として、ダイヤモンド前駆
体ラジカルが得られないか、得られたとしても基板に到
達するまでには至らない。
【0021】すなわち、ノズルの径(内径)は、以上述
べたように、プラズマの発生維持、あるいは、ダイヤモ
ンド前駆体ラジカルの生成、そして基板への到達、堆積
等に深く関係し、そこに格別の配慮を要するものであ
る。このような理由により、その内径を最適の範囲に設
定すべきであり、これを技術的要件事項とすることは重
要である。実験によると、メタン/一酸化炭素/水素=
4.5/10/75cc/分の場合に1mmのノズル内
径が最適の結果を示した。(或いは逆に、ノズル内径を
1mmとした場合、これに見合った原料ガスの供給量
は、上記供給割合が、最適ということになる。)
【0022】また、本件発明は、原料ガスの含有成分に
ついても重要であることを知見し、この知見に基づいて
いるものである。すなわち、一酸化炭素又は二酸化炭素
を添加すると、添加しない場合に比し、ダイヤモンド以
外の反応物が抑制され、純度の高い且つ反応速度の向上
が期待できるものである。ちなみに、一酸化炭素又は二
酸化炭素を添加しない場合には、ダイヤモンド以外にも
sp2結合優勢の板状のグラファイト状炭素膜が生成す
るものであるに対して、一酸化炭素又は二酸化炭素を添
加すると、プラズマ中に酸素含有ラジカル(原子状酸
素、OHラジカル等)の生成を促し、この酸素含有ラジ
カルの作用によって、sp2結合の非ダイヤモンド成分
の生成反応が抑制され、ダイヤモンド微粒子の成長を促
進することが確かめられた。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施の態様を図面に基づ
いて説明する。図2は、プラズマ反応室を備えてなる低
圧誘導結合型プラズマCVD反応装置の全体概要図であ
る。すなわち、この反応装置Rは、ステンレス製の上部
反応管Ruと、石英管5とテフロン管6とから構成され
る二重円筒管型下部反応管Rdとが、フランジ部9、
9’フランジ部10、10’を介して一体に結合され、
さらにはフランジ11、11’、11”を介してシース
熱電対Tが取り付けられ、これによって、ガス供給源、
真空ポンプに連結しているところを除くと独立した密閉
反応空間が形成されている。
【0024】反応装置Rは、原料ガス供給源(図示外)
に接続しているガス供給口1と真空ポンプ(図示外)に
接続したガス排出口2とを備えてなる真空引きチャンバ
ー構造Cを有し、該供給口1と排出口2との間のチャン
バー内ガス流路には、ダイヤモンド微粒子を堆積させる
加熱基板3が、ホルダー4に装着されている。基板3の
温度は、ヒータ8によって抵抗加熱され、シース熱電対
Tによって温度が制御されている。
【0025】下部反応管Rd内のチャンバーは、内側が
石英管5によって構成され、この石英管5は、その外側
の水冷構造を有するテフロン製外套管6によって保護さ
れ、二重円筒型反応管に形成されていることは前述した
とおりである。テフロン管6の外周には、螺旋状に3回
巻いたプラズマ発生用アンテナAが付設されている。石
英管5とテフロン管6との通水路をなしている間隙Gに
は、5mm間隔で短冊状に成型した、接地した銅板から
なるファラデーシールドFが配置され、このファラデー
シールドFは、間隙Gを通る冷却水に曝されている状態
にある。
【0026】これに対して、上部反応管Ruは、ステン
レスで出来ており、その上部フランジ部11、11’、
11”を介して、加熱ホルダー4、基板3、ヒーター8
が管内反応チャンバーに挿入、取り付けられている。反
応チャンバーは真空ポンプに接続しているガス排出口2
へと続いている。
【0027】先ず、ダイヤモンド微粒子を堆積させる基
板3を基板ホルダー4にセットし、チャンバー上部フラ
ンジ11、11’、11”よりチャンバー内ガス流路に
挿入し、所定の位置に取り付ける。ガス供給口1よりチ
ャンバー内Cにガスを放出するガスノズル7は、予め実
験によって最適な内径のものを選定し、これをアンテナ
によって囲まれたプラズマ発生中心部に対し、ガスが直
接導入されるようノズルの位置を設定する。原料ガスを
流しながら、反応装置のチャンバー内の圧力を真空ポン
プ(ターボ分子ポンプ)によって、所定の圧力(0.1
Torr以下の圧力)に達するまで真空引きする。な
お、その際、チャンバー内に、適宜原料ガス或いはAr
ガス等のキャリャーガスを流しておき、装置内の不純物
を追い出し、ダイヤモンド以外の反応生成物が生じない
よう、予めクリーニングしておくことが望ましい。
【0028】プラズマ反応開始時点、すなわち、チャン
バー内が真空ポンプ(ターボ分子ポンプ)により所定の
圧力にまで低下し、あるいは基板がヒーター(タングス
テンフィラメント)によって予め所定温度に達する等一
連の準備操作が完了したところで、プラズマ発生アンテ
ナに高周波電源から発した高周波を印加し、チャンバー
内プラズマ発生空間にプラズマを発生させ、これを所定
時間継続する。基板上にダイヤモンド粒子が充分に膜状
に生成したところで終了する。
【0029】本発明を実施例に基づいて説明する。 使
用したプラズマ発生装置は、励起周波数:13.56M
Hz、最大出力3kWの高周波電源を有してなる装置を
用いた。この装置を用いて、(1)プラズマ入力パワ
ー、(2)反応チャンバー内の圧力条件、(3)ガス組
成、(4)基板温度について、ダイヤモンドを合成する
ための最適条件を特定するための実験をした。圧力は、
100mTorr以下の低圧下で実施した。すなわち、
低圧ICPを用いたダイヤモンドの合成実験を行った。
【0030】
【実施例1】上記高周波電源を用い、励起周波数13.
56MHz、プラズマパワー1kW、圧力50mTor
r、メタン/一酸化炭素/水素よりなるガスを、毎分
4.5/10/75cc分の割合で、内径1mmのノズ
ルよりプラズマチャンバーのプラズマ中心部に導入し、
シリコン{100}基板を用い、900℃に加熱して、
2時間反応を続けた。その結果、シリコン基板上には直
径500〜700nmのダイヤモンド微粒子が堆積した
ことが確かめられた。すなわち、この結果は、図3に示
されている走査型電子顕微鏡写真によって、確認され
た。
【0031】上記実施例は当然のことながら、あくまで
も本発明の一例を示したものにすぎない。すなわち、本
発明は、この実施例に限定されるものではない。本件発
明は、特許請求の範囲に記載するとおりの要件事項を講
ずることによって、ダイヤモンドを合成しうる範囲は、
ガス組成、圧力条件、基板温度、入力パワー等の諸条件
が、多少変動したとしても、実施可能であることが確認
された。ちなみに、ダイヤモンド微粒子の合成を確認し
ている条件は、以下の通りであった。 (1)励起周波数;13.56MHz (2)プラズマ入力パワー;500〜3kW(500、
1000、1500、2000、2500、3000
W) (3)圧力;10mTorr〜100mTorr(1
0、20、30、40、50、100mTorr) (4)ガス組成; 水素=75cc/分一定として、 メタン=1〜10cc/分(1、2、4.5、6、8、
10cc/分) 一酸化炭素=1〜10cc(1、2、5、10cc/
分) (5)基板温度=700〜1000℃(700、80
0、900、950、1000℃)
【0032】以上述べたとおり、本件発明は、低圧誘導
結合プラズマ法によって、実際にサブミクロン単位の微
粒子状高純度ダイヤモンド結晶を製造するのに成功した
だけではなく、本発明は、特許請求の範囲に記載する特
有な要件事項を講ずることにより、基板の加熱温度条
件、ガス組成、入力パワー等の条件は、極めて広い範囲
においてもダイヤモンドが生成すること、これによっ
て、再現性に富んだ、安定性のある製造方法であること
を見出したものであり、すなわち、実用的な製造方法を
提供しているものであり、その技術的意義は極めて大き
い。
【0033】すなわち、本件発明は、低圧ICPを用い
た気相成長法によって比較的簡単な操作、プロセスによ
り、ダイヤモンド微粒子を製造する方法を提供したもの
であり、その意義は大きい。ダイヤモンド微粒子は、既
に、工業用として供せられていることが確立している
が、本件発明の意義は、単にこのような材料の製造技術
にとどまるものではない。すなわち、後述するようにサ
ブミクロンのダイヤモンド微粒子には、特性に対して関
心が高まりつつあり、その利用範囲が次第に広がりを見
せ始めている。そういう意味でも、安定且つ再現性のあ
る製造方法を提供した意義は大きいと言える。さらに
は、例えば半導体特性等を利用したダイヤモンド素子、
薄膜技術への利用も当然に考えられ、これらの技術分野
に大いに寄与するものと期待される。また、本件発明に
おいて開発されたファラデーシールドが付設された、或
いはチャンバー内へのガスの導入要領はじめとするいく
つかの要件事項に係る特有な技術手段が講じられたプラ
ズマ反応装置を他の反応、例えば、ニューセラッミクス
の製造開発、あるいは類する技術開発に利用、転用、適
用も考えられ、何らこれを制限するべき事情はなく、む
しろ自然と言うべきであり、すなわち、他に与える影響
は大きいし、その点でも意義は大きい。
【0034】
【発明の効果】本件発明の低圧ICPを用いたプラズマ
CVD法によるダイヤモンド微粒子の合成は、これまで
の大気圧近傍における大電流プラズマCVD法に比し、
装置自体及び装置の運転コストも安く、また、得られた
ダイヤモンド微粒子は、純度の高いものを得ることが出
来る。特に、最近、ダイヤモンドの特性、特にその半導
体特性、或いは、紫外光発光材料としての開発等、その
性質を利用した技術が俄に注目され、関心が集まり出し
ている。本発明で得られるようなサブミクロンサイズの
いわゆる微結晶ダイヤモンドは極めて優れた電子放出特
性を有しており、有望な電子放出材料として期待が大き
い。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】は、ファラデーシールドの作用効果を説明する
ための図。
【図2】は、低圧誘導結合型プラズマ反応装置の概要
図。
【図3】は、本件発明によって得られたサブミクロン単
位の合成ダイヤモンド微粒子の走査型電子顕微鏡写真。
【符号の説明】
R;低圧ICP反応装置 Ru;上部反応管 Rd;下部反応管 T;基板温度を制御するシース熱電対 C;チャンバー A;アンテナ F;ファラデーシールド G;通水路間隙 1;ガス供給口 2;ガス排出口 3;基板 4;基板ホルダ 5;石英管 6;テフロン管 7;ノズル 8;ヒータ 9、9’;フランジ 10、10’;フランジ 11、11’、11”;フランジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G046 GA01 4G077 AA03 BA03 DB03 DB07 DB18 EA02 EA05 EG23 TB07 TC01 TC03 TC06 4K030 AA10 AA14 AA17 BA28 EA05 EA06 FA04 JA01 JA10 JA16 JA18 KA30 KA46

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料ガス供給口と排出口とを備えてなる真
    空引きチャンバー構造を有し、該供給口と排出口との間
    のチャンバー内ガス流路に、プラズマ発生アンテナによ
    ってプラズマが発生するプラズマ発生空間領域を有し、
    さらにこのプラズマ発生空間領域に隣接して反応物堆積
    用加熱基板が設けられている低圧誘導結合型プラズマ反
    応装置を使用する、0.1Torr以下の低圧誘導結合
    プラズマCVDによるダイヤモンド合成方法において、
    該プラズマ反応装置には、そのプラズマ発生アンテナの
    内側にファラデーシールドをアースして装着し、原料ガ
    スは、プラズマアンテナによって囲まれたプラズマ発生
    空間中心部に臨ませて配置したガス供給ノズルを介して
    チャンバー内に導入するとともに、ノズル内径を選択
    し、これによって反応室に与えられた原料ガス供給量に
    対する反応室内ガス速度を安定プラズマが確保されるガ
    ス速度とするとともに、ダイヤモンド成長の前駆体ラジ
    カルが基板に到達しうるに充分なガス速度を確保し、加
    熱基板上に100nm〜1000nmの高純度ダイヤモ
    ンド微粒子を析出させることを特徴とするダイヤモンド
    の合成方法。
  2. 【請求項2】原料ガスとしてメタンを含むガスに一酸化
    炭素又は二酸化炭素を添加してなるガスを用いることを
    特徴とする請求項1記載のダイヤモンドの合成方法。
  3. 【請求項3】原料ガスがメタン、一酸化炭素、水素より
    なる組成ガスであることを特徴とする請求項1ないし2
    の何れか1項記載の記載のダイヤモンドの合成方法。
  4. 【請求項4】ガス供給ノズルとして、ノズル内径が1m
    mのものを選定したことを特徴とする請求項1ないし3
    の何れか1項記載のダイヤモンドの合成方法。
  5. 【請求項5】加熱基板温度を700℃〜1000℃に設
    定したことを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項
    記載のダイヤモンドの合成方法。
  6. 【請求項6】プラズマ発生周波数を1MHz〜100M
    Hz、プラズマ入力パワーを500W〜3kWに設定し
    たことを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項記載
    のダイヤモンドの合成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006312577A (ja) * 2005-04-05 2006-11-16 Kyoto Institute Of Technology カーボンナノ構造体の形成方法及び装置

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