JP2003049189A - 新規な高分岐環状デキストリンを含有する粉末状油脂及びその製造方法及びそれを利用した飲食物 - Google Patents

新規な高分岐環状デキストリンを含有する粉末状油脂及びその製造方法及びそれを利用した飲食物

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JP2003049189A
JP2003049189A JP2001235629A JP2001235629A JP2003049189A JP 2003049189 A JP2003049189 A JP 2003049189A JP 2001235629 A JP2001235629 A JP 2001235629A JP 2001235629 A JP2001235629 A JP 2001235629A JP 2003049189 A JP2003049189 A JP 2003049189A
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俊 米谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動性が良好でかつ水への分散性に優れた粉
末状油脂を提供すること、および酸化安定性および風味
の維持に優れた粉末状油脂を提供すること。 【解決手段】 脂肪酸エステル、高分岐環状デキストリ
ンおよび水を混合して粉末状油脂用液体組成物を得る工
程、および該液体組成物を乾燥する工程を包含する、粉
末状油脂の製造方法。脂肪酸エステルおよび高分岐環状
デキストリンを含有する粉末状油脂および粉末状油脂用
組成物、ならびにこの油脂を含有する飲食物もまた提供
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉末状油脂および
その製造方法、粉末状油脂用組成物、粉末状油脂を含む
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】油脂は、一般に、動植物から搾取される
成分であり、食品の風味向上、食感改良のために用いら
れる。最近、油脂は、栄養素として重要な機能を有する
ことが認められた。そのため、油脂は、各種食品の原料
として重要である。
【0003】近年の健康志向に伴い、さまざまな油脂が
開発され、食品に利用されている。例えば、エイコサペ
ンタエン酸(EPAともいう)、ドコサヘキサエン酸
(DHA)などの高度不飽和脂肪酸は、心血管系疾患の
予防作用、脳の発達促進作用、記憶学習機能の維持向上
作用、抗炎症作用、抗腫瘍作用などの機能を有すること
が明らかにされた。そのため、油脂にこのような機能を
付与するために、これらの高度不飽和脂肪酸を添加した
油脂の開発が試みられている。
【0004】しかしながら、高度不飽和脂肪酸およびこ
れを含む油脂は酸化されやすく、安定性に欠けるという
欠点がある。また、魚油はこれらの高度不飽和脂肪酸を
多量に含むが独特の魚臭を除去しづらいので、食品とし
て使用しにくいことが問題となっている。
【0005】通常、油脂は、天ぷら油などの液体油、マ
ーガリン、ショートニングなどの可塑性油脂の状態で利
用されている。しかし、用途によっては、油脂が粉末の
状態である方が利用し易い場合がある。油脂は、通常、
下記の(1)〜(4)の様な方法で粉末化され得る。
【0006】(1)油脂と、カゼインソーダ、ホエイタ
ンパク質、卵白などのタンパク質、ショ糖、乳糖などの
少糖類と、澱粉もしくはその分解物またはセルロースな
どの水溶液と、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン、
ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなど
の乳化剤とを原料としてエマルジョンを調製し、このエ
マルジョンを噴霧乾燥する方法(スプレードライ法:特
公昭41−1415); (2)油脂を澱粉加工品などに吸着させる方法; (3)固形油脂を溶融状態で低温雰囲気に噴霧し、凝結
させて粉末化する方法(スプレークール法);および (4)前記(1)と同様にして、エマルジョンを調製し
た後、真空凍結乾燥装置ベルト式連続真空乾燥装置また
はドラム式真空乾燥装置などを用いて乾燥させる方法。
【0007】以上述べた方法のうち、(1)のスプレー
ドライ法は、粉末油脂の表面に賦形剤の被膜が形成され
ている為、他の方法で製造された粉末油脂と比較して油
脂の品質安定性がよく、製造コストも低く抑えることが
出来るので、一般によく用いられる方法である。
【0008】スプレードライ法で粉末状の油脂を得るた
めには、通常、油脂をコーティングする賦形剤として、
グルコース、乳糖、ショ糖、デキストリン、化工澱粉な
どの糖類または/およびカゼインソーダ、ゼラチン、乳
類などのタンパク質が用いられる。
【0009】しかし、スプレードライ法では、噴霧乾燥
時に過酸化物が生じるため、得られる粉末状油脂は、過
酸化物を含んでおり、食品原料として適当ではない。過
酸化物の生成は特に、高度不飽和脂肪酸を多量に含む油
脂を用いた場合に著しい。
【0010】油脂を噴霧乾燥する時の酸化を抑制するた
めに、通常油脂に使用される酸化防止剤を添加すること
が考えられる。しかし、高度不飽和脂肪酸を多量に含む
油脂に対して優れた酸化防止作用を発揮できる酸化防止
剤は未だ得られていない。
【0011】また、粉末状油脂に求められる主な粉体特
性として ・サラサラとした感触で流動性がよいこと ・水への分散性 が挙げられる。
【0012】しかしながら、上記2つの特性は実質的に
は相反するものである。良好な流動性を得るためには、
油脂の浸み出しを防ぐべくタンパク質で油脂を強固に被
膜する必要がある。しかし、油脂を強固に被膜すると、
粉末状油脂の水への分散性が悪くなる。
【0013】一方、水への分散性を得るためには、被膜
として用いるタンパク質を出来るだけ少量にする必要が
ある。しかし、タンパク質の量が少なすぎると、脂質が
浸み出すおそれがある。また、水への親和力を高めると
いうことは、保存中に吸湿しやすくなるということであ
り、ブロッキングを起こすことも十分考えられる。
【0014】このように、粉末状油脂中に含有する油脂
の融点、種類に関わらず、良好な流動性と水への良好な
分散性とを併せ持つ粉末状油脂を提供することが望まれ
ている。従来のスプレードライ法によって得られる粉末
状油脂と比較して、噴霧乾燥時において生成する過酸化
物が少なく、酸化安定性および風味の維持に優れた粉末
状油脂、特に高度不飽和脂肪酸を多量に含む粉末状油脂
を得ることもまた望まれている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
の解決を意図するものであり、流動性が良好でかつ水へ
の分散性に優れた粉末状油脂を提供すること、および酸
化安定性および風味の維持に優れた粉末状油脂を提供す
ること、ならびにこれらの粉末状油脂の製造方法を提供
することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために前記の好ましい性質を有する粉末状油
脂を開発すべく鋭意研究した結果、高分岐環状デキスト
リンを油脂に配合することにより、流動性が良好で取り
扱いしやすく、しかも低温から高温まで広い温度範囲に
おける水への分散性が優れた粉末状油脂が得られること
を見いだし、これに基づいて本発明を完成した。
【0017】高分岐環状デキストリンを用いてスプレー
ドライ装置などで粉末油脂を調製したところ、魚油のよ
うに常温で液体である油脂を使用しても、非常にさらさ
らとした粉末油脂ができることがわかった。また高分岐
環状デキストリンを用いない場合に魚臭がスプレードラ
イ装置に強く残ってしまい洗浄しないと次の生産に利用
できないのに対して、高分岐環状デキストリンを用いる
場合には装置に臭いがほとんど残らないこと、がわかっ
た。
【0018】また、高分岐環状デキストリンを油脂に配
合することにより、高度不飽和脂肪酸を多量に含む油脂
が効果的に表面処理されるため、熱履歴による過酸化物
の生成が抑制され、しかも保存状態においても酸化防止
機能が働いて、酸化安定性および風味の維持が優れた粉
末状油脂が得られることも見いだされた。
【0019】本発明の粉末状油脂は、脂肪酸エステルお
よび高分岐環状デキストリンを含有し、該脂肪酸エステ
ルを構成する脂肪酸は、高度不飽和脂肪酸を含む。
【0020】1つの実施態様では、上記高度不飽和脂肪
酸は、1分子中に3個以上の二重結合を含み得る。
【0021】1つの実施態様では、上記高度不飽和脂肪
酸は、長鎖脂肪酸であり得、そしてジホモ−γ−リノレ
ン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸およ
びアラキドン酸からなる群より選択され得る。
【0022】本発明の粉末状油脂は、さらに乳化剤を含
有し得る。
【0023】本発明の粉末状油脂は、さらに賦形剤を含
有し得る。
【0024】本発明の粉末状油脂の製造方法は、脂肪酸
エステル、高分岐環状デキストリンおよび水を混合して
粉末状油脂用液体組成物を得る工程、および該液体組成
物を乾燥する工程を包含し、該脂肪酸エステルを構成す
る脂肪酸は、高度不飽和脂肪酸を含む。
【0025】1つの実施態様では、上記粉末状油脂用液
体組成物は、さらに乳化剤を含有し得る。
【0026】1つの実施態様では、上記乾燥工程は、ス
プレードライによって行われ得る。
【0027】本発明の粉末状油脂用組成物は、脂肪酸エ
ステルおよび高分岐環状デキストリンを含有し、該脂肪
酸エステルを構成する脂肪酸は、高度不飽和脂肪酸を含
む。
【0028】本発明の飲食物は、上記のいずれかの油脂
を含有する。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】<粉末状油脂の材料>本発明の粉末状油脂
は、脂肪酸エステルおよび高分岐環状デキストリンを含
有する。
【0031】本明細書中で「粉末状油脂」とは、脂肪酸
エステルを含有する粉末をいう。粉末油脂は、通常、粉
末状油脂全体の重量を基準として約10重量%以上の脂
肪酸エステルを含有し、好ましくは約20重量%以上、
より好ましくは約50重量%以上、さらにより好ましく
は約70重量%以上の脂肪酸エステルを含有する。粉末
状油脂は通常、小さい固体粒子の集合体である。「粉末
状」とは、小さい固体の集合であって、各固体同士の間
に強い接着力が存在しない状態にあることをいう。粉末
状油脂の固体粒子の平均直径は、代表的には1cm以
下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以
下、さらに好ましくは1000μm以下、特に好ましく
は500μm以下である。粉末状油脂の固体粒子の直径
は、必ずしも均一である必要はないが、比較的狭い範囲
にあることが好ましい。固体粒子の最大直径に対する最
小直径の比は、好ましくは100以下、より好ましくは
50以下、さらにより好ましくは10以下である。
【0032】本発明の粉末状油脂は、粉末状油脂用組成
物から製造される。
【0033】(1)脂肪酸エステル:粉末状油脂用組成
物は、第1の成分として、「脂肪酸エステル」を含む。
「脂肪酸エステル」とは、脂肪酸とアルコールとがエス
テル結合したものであって、乳化作用を有さないものを
いう。
【0034】脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、脂肪
族モノカルボン酸であっても脂肪族ジカルボン酸であっ
てもよい。好ましくは、脂肪族モノカルボン酸である。
【0035】脂肪酸は、飽和脂肪酸であっても不飽和脂
肪酸であってもよい。二重結合を含まない脂肪酸を飽和
脂肪酸という。飽和脂肪酸の例としては、酪酸(C4:
0)、カプロン酸(C6:0)、カプリル酸(C8:
0)、カプリン酸(C10:0)、ラウリン酸(C1
2:0)、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸
(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、アラキ
ジン酸(C20:0)、ベヘン酸(C22:0)、リグ
ノセリン酸(C24:0)、セロチン酸(C26:
0)、モンタン酸(C28:0)、メリシン酸(C3
0:0)などが挙げられる。
【0036】二重結合を含む脂肪酸を不飽和脂肪酸とい
う。不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸(C
14:1)、パルミトオレイン酸(C16:1)、オレ
イン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リ
ノレン酸(C18:3)、γ−リノレン酸(C18:
3)、エイコセン酸(C20:1)、ジホモ−γ−リノ
レン酸(C20:3)、アラキドン酸(C20:4)、
エイコサペンタエン酸(C20:5)、エルカ酸(C2
2:1)、ドコサペンタエン酸(C22:5)、ドコサ
ヘキサエン酸(C22:6)などが挙げられる。
【0037】1分子中に二重結合を2個以上含む脂肪酸
を高度不飽和脂肪酸という。高度不飽和脂肪酸の例とし
ては、リノール酸(C18:2)、リノレン酸(C1
8:3)、γ−リノレン酸(C18:3)、ジホモ−γ
−リノレン酸(C20:3)、アラキドン酸(C20:
4)、エイコサペンタエン酸(C20:5)、ドコサペ
ンタエン酸(C22:5)、ドコサヘキサエン酸(C2
2:6)などが挙げられる。好ましくは、高度不飽和脂
肪酸は、二重結合を3個以上含む。二重結合を3個以上
含む高度不飽和脂肪酸の例としては、γ−リノレン酸
(C18:3)、ジホモ−γ−リノレン酸(C20:
3)、アラキドン酸(C20:4)、エイコサペンタエ
ン酸(C20:5)、ドコサペンタエン酸(C22:
5)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)などが挙げら
れる。より好ましくは、高度不飽和脂肪酸は、二重結合
を4個以上含む。二重結合を4個以上含む高度不飽和脂
肪酸の例としては、アラキドン酸(C20:4)、エイ
コサペンタエン酸(C20:5)、ドコサペンタエン酸
(C22:5)、ドコサヘキサエン酸(C22:6)な
どが挙げられる。
【0038】脂肪酸エステル中の高度不飽和脂肪酸の量
は、脂肪酸エステル中に存在する脂肪酸の総量に対し
て、好ましくは1〜90モル%、より好ましくは10〜
80モル%、さらにより好ましくは20〜70モル%で
ある。
【0039】脂肪酸は、任意の鎖長であり得る。炭素数
が6以下の脂肪酸を短鎖脂肪酸といい、炭素数が7〜1
3の脂肪酸を中鎖脂肪酸といい、そして炭素数が14以
上の脂肪酸を長鎖脂肪酸という。脂肪酸は、好ましくは
中鎖脂肪酸および長鎖脂肪酸であり、より好ましくは長
鎖脂肪酸である。鎖長の上限は特にないが、好ましくは
炭素数50以下、より好ましくは炭素数40以下、さら
に好ましくは炭素数30以下である。長鎖脂肪酸の例と
しては、ミリスチン酸(C14:0)、パルミチン酸
(C16:0)、ステアリン酸(C18:0)、オレイ
ン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リノ
レン酸(C18:3)、γ−リノレン酸(C18:
3)、ジホモ−γ−リノレン酸(C20:3)、アラキ
ドン酸(C20:4)、エイコサペンタエン酸(C2
0:5)、ベヘン酸(C22:0)、エルカ酸(C2
2:1)、ドコサペンタエン酸(C22:5)、ドコサ
ヘキサエン酸(C22:6)などが挙げられる。
【0040】脂肪酸エステルを構成するアルコールは、
任意のアルコールであり得る。アルコールの例として
は、グリセロール、メタノール、エタノール、1−プロ
パノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブ
タノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタ
ノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘ
キサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、炭
素数14以上の高級アルコール、プロピレングリコー
ル、ソルビトールなどが挙げられる。アルコールは、好
ましくは、グリセロールである。
【0041】アルコールが多価アルコールである場合、
脂肪酸エステルは1分子の多価アルコールと1分子以上
の脂肪酸とのエステルであり得る。例えば、アルコール
がグリセロールである場合、グリセロールは三価のアル
コールであるので、1分子、2分子または3分子の脂肪
酸とのエステルを形成し得る。1分子の脂肪酸とのエス
テルをモノアシルグリセロール、2分子の脂肪酸とのエ
ステルをジアシルグリセロール、3分子の脂肪酸とのエ
ステルをトリアシルグリセロールという。
【0042】脂肪酸エステルは、好ましくは油脂であ
る。「油脂」とは、トリアシルグリセロールをいう。1
分子のトリアシルグリセロールにおいては、グリセリン
に3分子の脂肪酸が結合しているが、この3分子の脂肪
酸は全て同種であっても各々異なっていてもよい。油脂
は、純粋な1種のトリアシルグリセロールであってもよ
いし、複数種の異なるトリアシルグリセロールの混合物
であってもよい。一般に、天然物から抽出される油脂
は、異なるトリアシルグリセロールの混合物である。
【0043】脂肪酸エステルは、天然のソースから抽出
され得る。天然ソースは、植物、動物または微生物であ
り得る。脂肪酸エステルは、植物、動物または微生物由
来であり得る。動物は、魚類、鳥類、および哺乳動物か
らなる群より選択され得る。魚類は、好ましくは、ニシ
ン、イワシ(カタクチイワシ、マイワシ、ハダカイワ
シ、サンゴイワシなど)、マグロ、カツオ、タラ(マダ
ラ、ソコダラ、チゴダラなど)、サンマ、マサバ、マア
ジおよびサケからなる群より選択され得る。魚類は、よ
り好ましくは、ニシン、イワシ(カタクチイワシ、マイ
ワシ、ハダカイワシ、サンゴイワシなど)、マグロ、カ
ツオ、タラ(マダラ、ソコダラ、チゴダラなど)および
サケからなる群より選択される。鳥類は、好ましくは、
ニワトリ、ガチョウ、シチメンチョウ、アヒル、および
ウズラからなる群より選択され得る。哺乳動物は、好ま
しくは、ウシ、ブタ、ウマ、およびクジラからなる群よ
り選択され得る。植物は、好ましくは、ココヤシ、アブ
ラヤシ、ダイズ、ナタネ、ゴマ、ワタ、オリーブ、ベニ
バナ、ヒマワリ、イネ、トウモロコシ、およびアマから
なる群より選択され得る。
【0044】脂肪酸エステルは、好ましくは、魚油、牛
脂、豚脂(ラード)、鶏脂、大豆油、ヤシ油、パーム
油、パーム核油、アマニ油、綿実油、ナタネ油、米脂、
コーン油、オリーブ油、および紅花油のような混合物ま
たはその加工品であり得る。1つの実施態様では、魚由
来の脂肪酸エステルであることがより好ましい。
【0045】脂肪酸エステルはまた、必要に応じて当業
者に公知の方法を用いて加工され得る。脂肪酸エステル
の加工方法としては、例えば、エステル交換、水素付
加、分別が挙げられる。
【0046】脂肪酸エステルは、室温において固形、半
固形および液体のいずれの形態であってもよい。ここ
で、室温とは、約20〜25℃をいう。
【0047】(2)高分岐環状デキストリン:粉末状油
脂用組成物は、第2の成分として、「高分岐環状デキス
トリン」を含む。高分岐環状デキストリンとは、内分岐
環状構造部分と外分岐構造部分とを有する、重合度が5
0以上であるグルカンをいう。「グルカン」とは、D−
グルコースから構成される多糖をいう。ここで、グルカ
ンという用語には、グルカンの誘導体が含まれる。内分
岐環状構造部分とは、本願明細書においては、α−1,
4−グルコシド結合とα−1,6−グルコシド結合とで
形成される環状構造部分をいう。外分岐構造部分とは、
本願明細書においては、上記内分岐環状構造に結合した
非環状構造部分をいう。高分岐環状デキストリンおよび
その製造方法は、特許第3107358号に詳細に記載
される。
【0048】本発明の粉末状油脂に含まれる高分岐環状
デキストリンは、分子全体として少なくとも1つの分岐
を有すればよい。
【0049】本発明の粉末状油脂に含まれる高分岐環状
デキストリンは、重合度が50以上であれば、任意の重
合度のものを用い得るが、好ましくは、重合度は、約5
0〜約10,000、より好ましくは約50〜約7,0
00、最も好ましくは、約50〜約5,000である。
【0050】高分岐環状デキストリンに存在する、内分
岐環状構造における重合度は、好ましくは、約10〜約
500、さらに好ましくは、約10〜約100である。
【0051】高分岐環状デキストリンに存在する、外分
岐環状構造における重合度は、好ましくは約40以上で
あり、より好ましくは約100以上、さらに好ましくは
約300以上、さらにより好ましくは約500以上であ
る。
【0052】本願発明の方法により製造されるグルカン
に存在する、内分岐環状構造部分のα−1,6−グルコ
シド結合は少なくとも1個あればよく、通常1個〜約2
00、好ましくは、約1〜約50個である。
【0053】高分岐環状デキストリンは、1種類の重合
度のものを単独で用いてもよいし、種々の重合度のもの
の混合物として用いてもよい。好ましくは、高分岐環状
デキストリンの重合度は、最大の重合度のものと最小の
重合度のものとの重合度の比が約100以下、より好ま
しくは約50以下、さらにより好ましくは約10以下で
ある。
【0054】高分岐環状デキストリンの製造方法の概略
を以下に記載する。高分岐環状デキストリンの製造方法
においては、原料という用語には誘導体化された原料が
含まれる。高分岐環状デキストリンは、α−1,4−グ
ルコシド結合および少なくとも1個のα−1,6−グル
コシド結合を有する糖類と、この糖類に作用して環状構
造を形成し得る酵素とを反応させることによって製造さ
れ得る。
【0055】高分岐環状デキストリンの製造に使用し得
る酵素としては、α−1,4−グルコシド結合および少
なくとも1個のα−1,6−グルコシド結合を有する糖
類に作用して、重合度が50以上であって、環状構造を
有するグルカンを形成し得る酵素であれば、いずれをも
使用し得る。使用し得る酵素としては、枝作り酵素
(1,4−α−グルカン分岐酵素、枝付け酵素、ブラン
チングエンザイム、Q酵素とも呼ばれる)、D酵素(4
−α−グルカノトランスフェラーゼ、不均化酵素、アミ
ロマルターゼとも呼ばれる)、CGTase(サイクロ
デキストリングルカノトランスフェラーゼとも呼ばれ
る)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】枝作り酵素(EC 2.4.1.18)
は、澱粉系の糖類のα−1、4−グルカン鎖の一部を6
位に転移して分枝を作る酵素である。
【0057】D酵素(EC 2.4.1.25)は、デ
ィスプロポーショネーティングエンザイムとも呼ばれ、
マルトオリゴ糖の糖転移反応(不均一化反応)を触媒す
る酵素である。D酵素は、供与体分子の非還元末端から
グルコシル基あるいは、マルトシルもしくはマルトオリ
ゴシルユニットを受容体分子の非還元末端に転移する酵
素である。従って、酵素反応は、最初に与えられたマル
トオリゴ糖の重合度の不均一化をもたらす。
【0058】枝作り酵素は、種々の植物、動物、細菌な
どの微生物に存在しており、その起源は問わない。反応
最適温度が高い点から、好熱性細菌由来の枝作り酵素遺
伝子をクローン化した大腸菌から精製された枝作り酵素
が、あるいは、大量の酵素が得易い点から、馬鈴薯由来
の枝作り酵素が好ましい。
【0059】D酵素としては、種々の植物、あるいは微
生物に由来するものが使用され得、市販の酵素も使用さ
れ得る。D酵素は最初、馬鈴薯から発見されたが、馬鈴
薯以外にも、種々の植物および大腸菌などの微生物に存
在することが知られている。この酵素は、植物に由来す
る場合にはD酵素、微生物に由来する場合にはアミロマ
ルターゼと呼ばれている。従って、D酵素はその起源は
問わず、植物由来の酵素をコードする遺伝子を大腸菌な
どの宿主を用いて発現させたものであっても使用し得
る。
【0060】CGTase(EC 2.4.1.19)
としては、周知の微生物由来のCGTase、あるいは
市販のCGTaseが用いられ得る。微生物由来のCG
Taseとしては、好適には、市販のBacillus
stearothrmophilus 由来のCGT
ase(株式会社林原生物化学研究所、岡山)、Bac
illus macerans由来のCGTase(商
品名:コンチザイム、天野製薬株式会社、名古屋)、あ
るいはAlkalophilic Bacillus
sp.A2−5a由来のCGTaseが用いられ得る。
より好適には、Alkalophilic Bacil
lus sp.A2−5a由来のCGTaseが用いら
れ得る。Alkalophilic Bacillus
sp.A2−5aは、特開平7−107972号に開
示されているアルカリ域で高い活性を有するCGTas
eを産生する株であり、出願人によって、工業技術院生
命工学工業技術研究所に受託番号(FERM P−13
864)として寄託されている。
【0061】上記枝作り酵素、D酵素、あるいはCGT
aseは、澱粉分子内のα−1,4−またはα−1,6
グルコシド−結合を加水分解するエンド型のアミラーゼ
類の酵素活性が検出されなければもしくは非常に弱けれ
ば、精製段階の粗酵素であっても、高分岐環状デキスト
リンの製造に使用し得る。
【0062】高分岐環状デキストリンの製造に用いる酵
素は、精製酵素、粗酵素を問わず、固定化されたもので
もよい。反応の形式は、バッチ式でも連続式でもよい。
固定化の方法としては、担体結合法、(たとえば、共有
結合法、イオン結合法、あるいは物理的吸着法)、架橋
法あるいは包括法(格子型あるいはマイクロカプセル
型)など、当業者に周知の方法が使用され得る。
【0063】高分岐環状デキストリンの製造に使用する
原料としては、α−1,4−グルコシド結合および少な
くとも1個のα−1,6−グルコシド結合を有する糖類
が用いられ得る。このような糖類としては、澱粉、澱粉
の部分分解物、アミロペクチン、グリコーゲン、ワキシ
ー澱粉、ハイアミロース澱粉、可溶性澱粉、デキストリ
ン、澱粉加水分解物、ホスホリラーゼによる酵素合成ア
ミロペクチンなどが挙げられる。
【0064】澱粉としては、通常市販されている澱粉で
あればどのような澱粉でも用いられ得る。例えば、馬鈴
薯澱粉、甘藷澱粉、くず澱粉、タピオカ澱粉などの地下
澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉などの地上澱
粉が用いられ得る。
【0065】澱粉の部分分解物としては、上記澱粉を酵
素や酸などで部分的に加水分解したもの、澱粉の枝切り
物が挙げられる。
【0066】アミロペクチンとしては、特にアミロペク
チン100%からなるワキシーコーンスターチが、製造
されるグルカンの分子量分布がより均一となるため、好
適に用いられ得る。例えば、重合度が約600程度以上
のアミロペクチンが原料として用いられ得る。
【0067】また、枝作り酵素を用いる場合には、α−
1,4−結合のみを有するグルカンも原料として用いら
れ得る。α−1,4−グルコシド結合のみを有する糖類
としては、アミロース、澱粉の部分分解物、澱粉枝切り
物、ホスホリラーゼによる酵素合成アミロース、マルト
オリゴ糖などが挙げられる。重合度が約400以上のア
ミロースが好適に用いられ得る。
【0068】また、原料としては、上記澱粉あるいは澱
粉の部分分解物などの誘導体も用いられ得る。例えば、
上記澱粉のアルコール性の水酸基の少なくとも1つが、
グリコシル化、ヒドロキシアルキル化、アルキル化、ア
セチル化、カルボキシメチル化、硫酸化、あるいはリン
酸化された誘導体なども用いられ得る。さらに、これら
の2種以上の混合物も原料として用いられ得る。
【0069】高分岐環状デキストリンの製造方法におけ
る、上記原料と上記酵素とを反応させる工程は、高分岐
環状デキストリンが生成するpH、温度などの反応条件
であれば、いずれもが用いられ得る。上記原料の濃度
(基質濃度)も、反応条件などを考慮して決定され得
る。
【0070】酵素が枝作り酵素である場合には、反応の
pHは、通常約3から約11である。反応速度、効率、
および酵素の安定性などの点から、好ましくは約4から
約10、さらに好ましくは約7から約9である。温度
は、約10℃から約110℃、反応速度、効率、および
酵素の安定性などの点から、好ましくは約20℃から約
90℃である。基質濃度は、通常約0.05%から約6
0%程度、反応速度、効率、および基質溶液の取り扱い
易さなどの点から、好ましくは約0.1%から約30%
程度である。使用する酵素量は、基質1gあたり、通常
約50〜10,000単位である。
【0071】酵素がD酵素である場合には、反応のpH
は、通常、約3から約10、反応速度、反応効率、およ
び酵素の安定性などの点から、好ましくは約4から約
9、さらに好ましくは、約6から約8である。温度は、
約10℃から約90℃、反応速度、反応効率、および酵
素の安定性などの点から、好ましくは約20℃から約6
0℃、さらに好ましくは、約30℃から約40℃の範囲
である。耐熱性の微生物などから得られる酵素を用いる
場合は、約50℃から約110℃の高温で使用し得る。
原料の濃度(基質濃度)も、反応条件などを考慮して決
定し得る。通常、約0.1%から約50%程度、反応速
度、効率、基質溶液の取リ扱い易さなどの点から、好ま
しくは約0.1%から約30%、溶解度などを考慮する
と、さらに好ましくは、約0.1%から約20%であ
る。使用する酵素の量は、反応時間、基質の濃度との関
係で決定され、通常は、約1時間から約48時間で反応
が終了するように酵素量を選ぶのが好ましい。基質1g
あたり、通常約500〜約100,000単位、好まし
くは約700〜約25,000単位、より好ましくは約
2,000〜約20,000単位である。
【0072】酵素がCGTaseである場合、反応時の
pHは、通常約4から約11である。反応速度、効率、
酵素の安定性などの点から、好ましくは約4.5から約
10、さらに好ましくは約5から約8である。反応温度
は、約20℃から約110℃、反応速度、効率、酵素の
安定性などの点から、好ましくは約40℃から約90℃
である。基質濃度は、通常約0.1%から約50%程
度、反応速度、効率、基質溶液の取り扱い易さなどの点
から、好ましくは、約0.1%から約30%程度であ
る。使用する酵素量は、基質1gあたり、通常約1から
約10、000単位、好ましくは約1から約1、000
単位、より好ましくは約1から約500単位である。
【0073】上記反応で得られた種々の環状構造を有す
る高分岐環状デキストリンは、当業者に周知の分離方
法、例えば、クロマト分離(例えば、ゲル濾過クロマト
グラフィー、HPLC)膜分離などで分離され、溶媒
(例えば、メタノール、エタノール)を用いる沈澱など
の方法を、単独で、あるいは組み合わせて用いて精製さ
れ得る。
【0074】上記の方法では、原料の澱粉からの高分岐
環状デキストリンの収率は非常に高く、特に、枝作り酵
素を用いた場合にはほぼ100%の収率で得られ得る。
D酵素、あるいはCGTaseを用いる場合には、環状
構造のみを有するグルカンも生産されるが、これらは、
例えば、セファデックスを用いるゲル濾過により、容易
に、目的の分岐構造を有する環状グルカンから分離され
得る。また、分離された高分岐環状デキストリンは、H
PLCなどのゲル濾過で分子量に応じて分離され得る。
【0075】反応生成物の重合度は、ゲル濾過によっ
て、重合度既知のアミロースの溶出位置から示差屈折計
を用いて測定され得る。さらに、示差屈折計と低角度レ
ーザー光散乱光度計を併用して、次の原理により重合度
が決定され得る。示差屈折計の出力はグルカンの濃度に
比例し、低角度レーザー光散乱計の出力はグルカンの重
合度と濃度の積に比例する。従って、両検出器の出力の
比を測定することにより、グルカンの重合度が決定され
得る。
【0076】高分岐環状デキストリンの重合度は容易に
適宜調整され得る。例えば、得られたグルカンにエキソ
型のアミラーゼ、例えばグルコアミラーゼを作用させ
て、外分岐構造部分の糖鎖を切断すれば、重合度がより
低いグルカンが容易に得られる。
【0077】本発明の粉末状油脂用組成物に含まれる高
分岐環状デキストリンの重量は、脂肪酸エステル100
重量部に対して、代表的には約7重量部〜約500重量
部であり、好ましくは約7重量部〜約300重量部であ
り、より好ましくは約9重量部〜約150重量部、さら
に好ましくは約10重量部〜約150重量部である。高
分岐環状デキストリンの重量が多すぎると、相対的に油
脂含量が低下して油脂として使用する際に油脂としての
性能が十分に得られない場合がある。使用量が少なすぎ
ると、高分岐環状デキストリンの効果が少なくなり易
い。例えば、粉末の流動性および水への溶解性の改善効
果、ならびに酸化安定性の効果および油脂粉末製造段階
での乾燥時に魚臭を抑える効果が得られにくい場合があ
る。
【0078】(3)水:粉末状油脂用組成物は、必要に
応じて第3の成分として水を含有し得る。水は、軟水、
中間水および硬水のいずれであってもよい。軟水とは、
硬度20°以上の水をいい、中間水とは、硬度10°以
上20°未満の水をいい、硬水とは、硬度10°未満の
水をいう。水は、好ましくは軟水または中間水であり、
より好ましくは軟水である。
【0079】粉末状油脂用組成物に含まれる水の重量
は、当該組成物が流動性を呈する範囲で任意であるが、
好ましくは粉末状油脂用組成物中の固形物100重量部
に対して、約100重量部〜約300重量部である。水
の重量が多すぎると、粉末状油脂用液体組成物を乾燥す
る際に多量のエネルギーが必要となり、コストが過大に
なる場合がある。使用量が少なすぎると、粉末状油脂用
液体組成物が不均質になりやすく、添加の効果が得られ
にくい場合がある。
【0080】(4)乳化剤:粉末状油脂用組成物は、第
4の成分としてさらに乳化剤を含有し得る。「乳化剤」
とは、分子内に親水基および親油基の両方を含み、従っ
て水と油との界面に吸着層を作りやすい物質をいう。例
えば、公知の各種界面活性剤が挙げられる。乳化剤は、
乳化作用を有する。「乳化作用を有する」とは、単に混
合するだけでは互いに混合しない2種の液体(例えば、
水と、水に混ざらない油などの有機液体と)が、その物
質を加えて混合することによって安定なエマルジョンを
形成させることでできることをいう。「エマルジョン」
とは、一方の液体が、他方の液体(外相)中に微細球
(内相)の形で分散している状態の混合物をいう。エマ
ルジョンには、乳化剤の種類に応じて油が水中に分散す
る場合(O/Wエマルジョン)と、水が油中に分散する
場合(W/Oエマルジョン)とがある。乳化剤は、一般
に、分子内に親水基と親油基との両方を含む。親水基は
水に吸着しやすく、親油基は油に吸着しやすい。それゆ
え、乳化剤は、水と油との界面に吸着層を形成する。一
般に、O/Wエマルジョンを形成するためには、親水性
の強い乳化剤(すなわち、水溶性の乳化剤)が適してい
る。一般に、W/Oエマルジョンを形成するためには、
親油性の強い乳化剤(すなわち、油溶性の乳化剤)が適
している。
【0081】乳化剤は、一般に食品に使用され得る乳化
剤であればいずれの乳化剤を用いてもよい。乳化剤の例
としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコ
ール脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤;レシチ
ンが挙げられる。
【0082】グリセリン脂肪酸エステルの例としては、
グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸
エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセ
リンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンアセチル酒石
酸脂肪酸エステル、グリセリン酢酸エステル、ポリグリ
セリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイ
ン酸エステルプロピレングリコール脂肪酸エステルなど
が挙げられる。
【0083】ソルビタン脂肪酸エステルの例としては、
ソルビタンモノオレイン酸エステル(スパン80)、ソ
ルビタンモノラウリン酸エステル(スパン20)などが
挙げられる。
【0084】ショ糖脂肪酸エステルの例としては、パル
ミチン酸またはステアリン酸を脂肪酸として含むショ糖
脂肪酸エステルが挙げられる。
【0085】レシチンとしては、大豆レシチンまたは卵
黄レシチンなどが挙げられる。レシチンは、酵素分解レ
シチンであってもよい。
【0086】乳化剤は単独で用いてもよいし、2種類以
上を組み合わせて用いてもよい。
【0087】本発明の粉末状油脂用組成物に含まれる乳
化剤の重量は、エマルジョン形成の目的を達し、且つ呈
味的に好ましい範囲であれば良く、脂肪酸エステル10
0重量部に対して、代表的には約0.001重量部〜約
50重量部であり、好ましくは約0.01重量部〜約1
0重量部であり、より好ましくは約0.1重量部〜約5
重量部である。乳化剤の重量が多すぎると、乳化剤の味
が強く出やすく食味が低下しやすく、また乳化剤の種類
によっては乳化機能が低下することがある。使用量が少
なすぎると、粉末状油脂における乳化が不均質になりや
すい場合がある。
【0088】(5)賦形剤:粉末状油脂用組成物は、賦
形剤を含有し得る。「賦形剤」とは、通常、粉末状油脂
を製造する際に、芯物質である油脂の外側をコーティン
グする物質の総称である。賦形剤は、高分岐環状デキス
トリンの添加の効果を実質的に損なわず、油脂に悪影響
を及ぼさない任意の物質である。賦形剤の例としては、
カゼインおよびその塩(例えば、カゼインソーダ)、ゼ
ラチン、ホエイタンパク質、卵白などのタンパク質;シ
ョ糖、乳糖、ブドウ糖などの少糖類;ソルビトール、マ
ンニトールなどの糖アルコール;澱粉またはその分解物
などが挙げられる。賦形剤は、好ましくは、カゼインソ
ーダ、ゼラチン、ホエイタンパク質、卵白、ショ糖、乳
糖、澱粉またはその分解物である。本発明の粉末状油脂
は、これらの賦形剤を単独種または複数種含み得る。
【0089】本発明の粉末状油脂用組成物に含まれる賦
形剤の重量は、脂肪酸エステル100重量部に対して、
代表的には約5重量部〜約500重量部であり、好まし
くは約10重量部〜約300重量部であり、より好まし
くは約20重量部〜約150重量部である。賦形剤の重
量が多すぎると、相対的に油脂の濃度が低くなるので、
油脂供給原料としての粉末油脂として好ましい品質が得
られにくくなる場合がある。使用量が少なすぎると、油
の滲みだしが起こって添加の効果が得られにくい場合が
ある。
【0090】(6)他の成分:粉末状油脂は、油脂の性
能および高分岐環状デキストリンの添加の効果を実質的
に損なわない限り、必要に応じて他の添加物または食品
材料を含むことができる。他の添加物または食品材料と
しては、一般の食品製造に用いられる、酸化防止剤(例
えば、トコフェロール)、香料、着色料、呈味料(食
塩、甘味料、クエン酸ナトリウムなど)、ミネラル、ビ
タミン、pH調整剤、穀物粉末(例えば、スイートコー
ンパウダー)などが挙げられる。
【0091】<粉末状油脂の製造>本発明の粉末状油脂
は、粉末状油脂用組成物から任意の方法で得られ得る。
例えば、脂肪酸エステル、高分岐環状デキストリンおよ
び水を混合して粉末状油脂用液体組成物を得、次いでこ
の液体組成物を乾燥することにより、製造される。
【0092】この方法では、具体的にはまず、脂肪酸エ
ステル、高分岐環状デキストリンおよび水、必要に応じ
て乳化剤などの他の成分を、パステライザー、ケーキミ
キサー、ホリゾンタルミキサーなどによって混合して粉
末状油脂用液体組成物を得る。混合方法としては、得ら
れる粉末状油脂用液体組成物が均一に混合されていれば
混合時間および混合方法は特に問わない。例えば、水
は、油性の原料と水性の原料とを混合した後に加えて混
合してもよい。しかし、油性の原料(例えば、脂肪酸エ
ステル、乳化剤、および酸化防止剤)と水性の原料(例
えば、高分岐環状デキストリン、賦形剤および水)とを
予め別々に混合した後に油性の原料と水性の原料とを混
合することが好ましい。
【0093】次に粉末状油脂用液体組成物をホモゲナイ
ザーなどを用いて乳化する。乳化型は水中油型の乳化で
ある。乳化状態が得られる限り、粒子径は大きくとも小
さくともよい。分散粒子径が20ミクロン以下であるこ
とが好ましく、10ミクロン以下であることがより好ま
しい。乳化において使用する機種は、乳化を行い得る機
種であれば特に問わない。例えば、ホモゲナイザー、ホ
モミキサー、マイコロイダーなどを用い得る。
【0094】次に乳化した粉末状油脂用液体組成物を乾
燥して、粉末状油脂を得る。乾燥方法は、乳化した状態
が乾燥終了直前まで維持されるような乾燥方法であるこ
とが好ましい。また、粉末状油脂用液体組成物を大量に
処理し得る乾燥方法であることも工業的生産の観点から
好ましい。このような乾燥方法の例として、スプレード
ライ(噴霧乾燥ともいう)、フリーズドライなどが挙げ
られる。好ましくは、乾燥は、スプレードライによって
行われる。
【0095】このようにして得られた粉末状油脂中の脂
肪酸エステルは、通常、高分岐環状デキストリンによっ
て表面処理される。「表面処理」とは、脂肪酸エステル
と高分岐環状デキストリンとの間で、単独で乾燥した脂
肪酸エステル場合と比較して、流動性、水への分散性、
酸化安定性、および風味維持性のいずれかの改良が得ら
れる程度の相互作用が得られる程度に、脂肪酸エステル
の表面に対して高分岐環状デキストリンが何らかの作用
を施していることをいう。脂肪酸エステルの表面は、お
そらく、高分岐環状デキストリンにより覆われていると
推定されるが、高分岐環状デキストリンの添加効果が得
られる限り、現実に高分岐環状デキストリンが脂肪酸エ
ステルに付着したか否かは問題ではない。
【0096】得られる粉末状油脂は、粉末状油脂の重量
に対して、脂肪酸エステルを、好ましくは約10重量%
〜80重量%、より好ましくは約20重量%〜75重量
%、さらにより好ましくは30重量%〜75重量%含有
する。
【0097】得られる粉末状油脂は、粉末状油脂の重量
に対して、高分岐環状デキストリンを、好ましくは約1
重量%〜90重量%、より好ましくは2.5重量%〜8
0重量%、さらにより好ましくは5重量%〜70重量%
含有する。
【0098】得られる粉末状油脂は、粉末状油脂の重量
に対して、乳化剤を、好ましくは0.01重量%〜10
重量%、より好ましくは0.1重量%〜5重量%、さら
により好ましくは0.5重量%〜1.5重量%含有す
る。
【0099】<粉末状油脂を含む飲食物の製造>本発明
の粉末状油脂を、種々の食品または飼料もしくは餌料に
添加することにより、あるいは粉末状油脂の製造時に他
の食品または飼料もしくは餌料を添加することにより、
油脂含有飲食物などが提供される。
【0100】上記の飲食物の例としては、栄養補助食
品、健康食品、機能性食品、老人用食品などが挙げられ
る。本明細書中では、飲食物は、固体、流動体および液
体ならびにそれらの混合物であって、摂食可能なものの
総称である。
【0101】栄養補助食品とは、特定の栄養成分が強化
されている食品をいう。健康食品とは、健康的な、また
は健康によいとされる食品をいい、栄養補助食品、自然
食品、ダイエット食品などを含む。機能性食品とは、体
の調節機能を果たす栄養成分を補給するための食品をい
い、特定保健用途食品と同義である。老人用食品とは、
無処理の食品と比較して消化および吸収が容易であるよ
うに処理された食品をいう。
【0102】これらの飲食物の形態の例としては、肉、
魚、ナッツなどの天然食品(油脂で処理したもの);中
華料理、ラーメン、スープなどの調理時に油脂を加える
食品;天ぷら、フライ、油揚げ、チャーハン、ドーナッ
ツ、かりん糖など、熱媒体として油脂を用いた食品;コ
ーヒークリームパウダー、クリームスープパウダー、バ
ター、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、チョコ
レート、即席ラーメン、キャラメル、ビスケット、クッ
キー、ケーキ、アイスクリームなどの油脂食品または加
工時に油脂を加えた加工食品;おかき、ハードビスケッ
ト、あんパンなどの加工仕上げ時に油脂を噴霧または塗
布した食品などを挙げることができる。もっとも、本発
明の食品は、本来油脂を含んでいる食品に限定されるわ
けではなく、例えば、パン、めん類、ごはん、菓子類
(キャンデー、チューインガム、グミ、錠菓、和菓
子)、豆腐およびその加工品などの農産食品;清酒、薬
用酒、みりん、食酢、醤油、味噌などの発酵食品;ヨー
グルト、ハム、ベーコン、ソーセージなどの畜産食品;
かまぼこ、揚げ天、はんぺんなどの水産食品;果汁飲
料、育児用粉乳、清涼飲料、スポーツ飲料、アルコール
飲料、茶などの飲料などであってもよい。
【0103】本発明の飲食物はまた、医薬製剤の形態、
またはタンパク質(タンパク質源としては、アミノ酸バ
ランスが良くかつ栄養価の高い乳タンパク質、大豆タン
パク質、卵アルブミンなどのタンパク質が最も広く使用
されるが、これらの分解物、卵白のオリゴペプチド、大
豆加水分解物、各種アミノ酸の混合物などが使用され得
る)、糖類、脂肪、微量元素、ビタミン類、乳化剤、香
料などに本発明の油脂が配合された自然流動食、半消化
態栄養食および成分栄養食、ドリンク剤、経腸栄養剤な
どの加工形態であってもよい。本発明の飲食物が医薬製
剤の形態である場合、本発明の飲食物は、散剤、顆粒
剤、錠剤、カプセル剤、トローチ、内用液剤、懸濁剤、
乳剤、シロップ剤、ドリンク剤、自然流動食、半消化態
栄養食、成分栄養食、経腸栄養剤などの形態であり得
る。
【0104】例えば、魚油などの高度不飽和脂肪酸エス
テルを多量に含む油脂を用いて本発明の粉末状油脂を製
造すれば、特に健康食品などに有用である。
【0105】これらの飲食物は、公知の方法によって製
造し得る。本発明の粉末状油脂は、脂肪酸エステルを実
質的に変性または分解させない限り、任意の段階におい
て添加される。粉末状油脂の添加量は特に限定されず、
目的とする脂肪酸エステルが所望の含有量となるように
適宜設定される。
【0106】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
【0107】<製造例1:高分岐環状デキストリンの調
製>Takata,H.ら,Carbohydr.Re
s.,295(1996)91−101に記載の方法を
スケールアップして行うことによって、高分岐環状デキ
ストリンを合成した。詳細には、まず、ワキシーコーン
スターチ(平均重合度30,000以上)20kgを1
60リットルの5mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH
7.5)に懸濁し、100℃の湯浴中で充分に攪拌しな
がら加熱することにより糊化させた。50℃程度まで放
冷した後、pHが7付近であることを確認した。次い
で、8,000,000単位の枝作り酵素を添加した
後、50℃で18時間、保温しながら攪拌することによ
り、反応産物を得た。次いで、反応産物を脱イオン処理
した後、噴霧乾燥機により乾燥することにより、高分枝
環状デキストリンの白色粉末を得た。得られた高分岐環
状デキストリンの内分枝環状構造部分の重量平均分子量
は50であり、分子全体としての重量平均重合度は1,
800であった。
【0108】<実施例1〜4:粉末状油脂の調製>表1
の油相部の欄に示した原材料を同欄に示した配合割合
(重量部)で混合して油相部を調製した。表1に示す水
相部の欄の原材料を同欄に示した配合割合で50℃の温
水200重量部に溶解して、水相部を調製した。
【0109】次いで、上記油相部と水相部とを混合して
予備的に乳化し、さらにホモゲナイザー(イズミフード
マシナリー社製)を150kg/cm2で用いて均質に
乳化させて、乳化物を得た。この乳化物を、スプレード
ライヤー(大川原加工機社製)を用いて150℃の温度
条件で噴霧乾燥し、粉末状油脂を得た。この粉末状油脂
は、表面に賦形剤および高分岐環状デキストリンの被膜
が形成されていると推定される。
【0110】
【表1】 得られた粉末状油脂の溶解性(または分散性)を調べる
ため、3種の水温で以下のように溶解試験を行った。ま
ず、70℃、25℃、または5℃の蒸留水を各200m
lずつ500mlビーカーに入れた。次いで、それぞれ
のビーカーにいずれかの粉末状油脂を4g入れた。プロ
ペラ翼を備えた卓上攪拌機により400rpmの回転数
でこの混合物を3分間攪拌した。この後、肉眼で溶解
(分解)状態を調べた。溶解状態は、以下の4段階に評
価した:1分以内に全て溶解(◎印)、1分〜5分で全
て溶解(○印)、僅かに溶解(△印)、および溶解せず
(×印)。結果を表1に示す。
【0111】表1の結果から明らかなように、高分岐環
状デキストリンを10〜150重量部配合した場合(実
施例1〜4)は、5〜70℃の広い温度で被膜が容易に
水に溶解して、優れた分散性を示した。得られた粉末状
油脂は、サラサラとした感触でかつ流動性が極めて良好
な粉体であった。高分岐環状デキストリンを5部配合し
た場合(実施例5)においても流動性の改善が確認され
た。
【0112】<比較例1>高分岐環状デキストリンの代
わりにDE値3のデキストリンを用いた(表1の比較例
1)以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の粉末状
油脂を得た。
【0113】得られた粉末状油脂を、実施例1〜5の粉
末状油脂と同様に評価した。結果を表1に示す。比較例
1の粉末状油脂は、水温が低くなるにつれて溶解性が悪
くなり、期待した効果を満足しないものであった。
【0114】<実施例6〜9>大豆白絞油の代わりに精
製魚油を用い、高分岐環状デキストリンを10、150
または100重量部で用いた(表2)以外は、実施例1
と同様の方法で粉末状油脂を得た。精製魚油は、全脂肪
酸中にEPAを6モル%、そしてDHAを17モル%含
有するもの(植田製油社製;商品名:DHAオイル)を
使用した。
【0115】
【表2】 得られた粉末状油脂の保存性を調べるため、粉末状油脂
を30℃で30日間インキュベートした場合の過酸化物
価(POV:meq/Kg)を常法(基準油脂分析試験
法)に従って0日目から10日毎に調べた。結果を表3
および図1に示す。
【0116】表3の結果から明らかなように、実施例6
〜8の粉末状油脂の過酸化物価は、30日経過時で試験
開始目のPOVの3倍程度に抑えられており、ほとんど
増加しなかった。実施例6〜8においては、酸化変敗の
速度が極めて遅く、表3からもわかるように風味の維持
にも優れたものであることが判明した。実施例9におい
ても酸化がかなり抑制できることが確認された。
【0117】
【表3】 得られた粉末状油脂の臭いについて、官能評価によって
調べた。得られた粉末状油脂の臭いを嗅ぐことにより、
以下の3段階で評価した:魚臭および酸敗臭全くなし
(◎印)、魚臭および酸敗臭ほとんどなし(○印)、な
らびに魚臭および酸敗臭がひどい(×印)。結果を表4
に示す。
【0118】
【表4】 表4の結果からわかるように、高分岐環状デキストリン
を配合して得られた粉末状油脂は、魚臭および酸敗臭の
発生はほとんどなく、配合量が低いもの(実施例1にお
いても魚臭および酸敗臭の発生は抑制されていた。
【0119】<比較例2および3>高分岐環状デキスト
リンの代わりにDE値3のデキストリンを用いた(表2
の比較例3および4)以外は、実施例5および6と同様
の方法で比較例3および4の粉末状油脂を得た。
【0120】得られた粉末状油脂を、実施例6〜9の粉
末状油脂と同様に評価した。結果を表3および表4に示
す。
【0121】表3の結果から明らかなように、比較例2
および3の粉末状油脂の過酸化物価は、20日経過時で
試験開始日のPOVの50倍に増大した。
【0122】比較例2および3の10日、20目経過時
のPOVは、実施例の同日過日のPOVに比較して約1
5倍〜30倍の高い値であり、酸化が著しく進んでいる
ことが確かめられた。この結果は官能評価の結果と良く
一致した。
【0123】表4の結果からわかるように、高分岐環状
デキストリンを使用しないで得られた粉末油脂は、30
℃で保存すると、魚臭の発生が極めて速く、保存日数を
経る毎に酸敗臭が強くなった。
【0124】<実施例10:栄養補助食品の調製>表5
の油相部の欄に示した原材料を同欄に示した配合割合
(重量部)で混合して油相部を調製し、表5に示す水相
部の欄の原材料を同欄に示した配合割合で65℃の温水
200重量部に溶解して、水相部を調製した以外は、実
施例1と同様の方法で栄養補助食品を得た。
【0125】
【表5】 得られた栄養補助食品はサラサラとした感触で極めて流
動性が良好な粉体であった。得られた栄養補助食品5g
を常法により30℃の湯40ccにて希釈した結果、こ
の粉乳は容易に水に溶解して優れた分散性を示した。
【0126】<実施例11:栄養補助食品の調製>表6
の油相部の欄に示した原材料を同欄に示した配合割合
(重量部)で混合して油相部を調製し、表6に示す水相
部の欄の原材料を同欄に示した配合割合で65℃の温水
200重量部に溶解して、水相部を調製した以外は、実
施例1と同様の方法で栄養補助食品を得た。
【0127】
【表6】 得られた栄養補助食品はサラサラとした感触で極めて流
動性が良好な粉体であった。
【0128】得られた栄養補助食品を30日間、30℃
開放系にてインキュベートした。インキュベート後の栄
養補助食品5gを常法により30℃の湯40ccにて希
釈した結果、この栄養補助食品は、容易に水に溶解して
優れた分散性を示した。水に溶解した栄養補助食品を食
した結果、魚臭がなく飲みやすかった。このことから、
高分岐環状デキストリンを用いて得られた栄養補助食品
が酸化安定性が良く保存性が高いことが示された。
【0129】<実施例12:コーヒークリームパウダー
の調製>表7の油相部の欄に示した原材料を同欄に示し
た配合割合(重量部)で混合して油相部を調製し、表7
に示す水相部の欄の原材料を同欄に示した配合割合で6
5℃の温水200重量部に溶解して、水相部を調製した
以外は、実施例1と同様の方法でコーヒークリームパウ
ダーを得た。
【0130】
【表7】 得られたコーヒークリームパウダーはサラサラとした感
触で極めて流動性が良好な粉体であった。得られたコー
ヒークリームパウダー15gをコーヒー180gに添加
した結果、このコーヒークリームパウダーは容易にコー
ヒーに溶解して優れた分散性を示した。
【0131】<実施例13>表8の油相部の欄に示した
原材料を同欄に示した配合割合(重量部)で混合して油
相部を調製し、表8に示す水相部の欄の原材料を同欄に
示した配合割合で65℃の温水200重量部に溶解し
て、水相部を調製した以外は、実施例1と同様の方法で
コーヒークリームパウダーを得た。
【0132】
【表8】 得られたコーヒークリームパウダーはサラサラとした感
触で極めて流動性が良好な粉体であった。
【0133】得られたコーヒークリームパウダーを30
日間、30℃開放系にてインキュベートした。インキュ
ベート後のコーヒークリームパウダー15gをコーヒー
180gに添加した結果、このコーヒークリームパウダ
ーは容易にコーヒーに溶解して優れた分散性を示した。
コーヒークリームパウダーを添加したコーヒーを飲んだ
結果、魚臭がなく飲みやすかった。このことから、高分
岐環状デキストリンを用いて得られたコーヒークリーム
パウダーが酸化安定性が良く保存性が高いことが示され
た。
【0134】<実施例14:コーンスープパウダーの調
製>表9の油相部の欄に示した原材料を同欄に示した配
合割合(重量部)で混合して油相部を調製し、表9に示
す水相部の欄の原材料を同欄に示した配合割合で65℃
の温水200重量部に溶解して、水相部を調製した以外
は、実施例1と同様の方法でコーンスープパウダーを得
た。
【0135】
【表9】 得られたコーンスープパウダーはサラサラとした感触で
極めて流動性が良好な粉体であった。得られたコーンス
ープパウダー20gを常法により50℃の湯120cc
にて希釈した結果、このコーンスープパウダーは容易に
お湯に溶解して優れた分散性を示した。
【0136】<実施例15:コーンスープパウダーの調
製>表10の油相部の欄に示した原材料を同欄に示した
配合割合(重量部)で混合して油相部を調製し、表10
に示す水相部の欄の原材料を同欄に示した配合割合で6
5℃の温水200重量部に溶解して、水相部を調製した
以外は、実施例1と同様の方法でコーンスープパウダー
を得た。
【0137】
【表10】 得られたコーンスープパウダーはサラサラとした感触で
極めて流動性が良好な粉体であった。
【0138】得られたコーンスープパウダーを30日
間、30℃開放系にてインキュベートした。インキュベ
ート後のコーンスープパウダー20gを常法により50
℃のお湯120ccにて希釈した結果、このコーンスー
プパウダーは、容易にお湯に溶解して優れた分散性を示
した。お湯に溶解したコーンスープパウダーを食した結
果、魚臭がなく飲みやすかった。このことから、高分岐
環状デキストリンを用いて得られたコーンスープパウダ
ーが酸化安定性が良く保存性が高いことが示された。
【0139】
【発明の効果】本発明によれば、脂肪酸エステルおよび
高分岐環状デキストリンを含有する粉末状油脂が製造さ
れ得る。本発明によれば、得られる粉末状油脂の流動性
が良好で取り扱い易くなり、しかも低温から高温まで広
い温度範囲で水への分散性に優れたものとなる。
【0140】本発明によれば、得られる粉末状油脂の熱
履歴による過酸化物の発生が抑制され、しかも保存状態
においても酸化防止機能が働いて、酸化安定性および風
味の維持に優れた粉末状油脂となる。従って、脂肪酸エ
ステルとして高度不飽和脂肪酸を多量に含む油脂を用い
た場合でも、過酸化物の発生が少なく、酸化安定性およ
び風味の維持に優れた粉末状油脂が得られる。
【0141】本発明により得られる粉末状油脂は、各種
の飲食品、化粧品、医薬品などに好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、高分岐環状デキストリンを用いた粉末
油脂の抗酸化性を示すグラフである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C11C 3/00 A23D 9/00 518 516 (72)発明者 井上 浩一 大阪府大阪市天王寺国分町2−2 Fターム(参考) 4B001 AC03 AC05 AC15 AC40 BC04 EC09 4B018 LE03 MD11 MD12 MD13 MD17 MD27 ME13 MF06 4B026 DC04 DL03 DX08 4B036 LC03 LE01 LF01 LH11 LH13 LP09 4H059 BA17 BA30 BA33 BB05 BB06 BB15 BB22 BB44 BB45 BB51 BC03 BC13 BC43 BC45 DA16 EA11

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪酸エステルおよび高度分岐環状デキ
    ストリンを含有する、粉末状油脂であって、該脂肪酸エ
    ステルを構成する脂肪酸が、高度不飽和脂肪酸を含む、
    油脂。
  2. 【請求項2】 前記高度不飽和脂肪酸が、1分子中に3
    個以上の二重結合を含む、請求項1に記載の油脂。
  3. 【請求項3】 前記高度不飽和脂肪酸が長鎖脂肪酸であ
    る、請求項1に記載の油脂。
  4. 【請求項4】 前記高度不飽和脂肪酸が、ジホモ−γ−
    リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン
    酸およびアラキドン酸からなる群より選択される、請求
    項3に記載の油脂。
  5. 【請求項5】 さらに乳化剤を含有する、請求項1に記
    載の油脂。
  6. 【請求項6】 さらに賦形剤を含有する、請求項1に記
    載の油脂。
  7. 【請求項7】 脂肪酸エステル、高分岐環状デキストリ
    ンおよび水を混合して粉末状油脂用液体組成物を得る工
    程、および該液体組成物を乾燥する工程を包含する、粉
    末状油脂の製造方法であって、該脂肪酸エステルを構成
    する脂肪酸が、高度不飽和脂肪酸を含む、方法。。
  8. 【請求項8】 前記粉末状油脂用液体組成物がさらに乳
    化剤を含有する、請求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記乾燥工程が、スプレードライによっ
    て行われる、請求項7に記載の方法。
  10. 【請求項10】 脂肪酸エステルおよび高分岐環状デキ
    ストリンを含有する、粉末状油脂用組成物であって、該
    脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が、高度不飽和脂肪酸
    を含む、組成物。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の
    油脂を含有する、飲食物。
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