JP2003045430A - 2次電池正極材料の製造方法、および2次電池 - Google Patents

2次電池正極材料の製造方法、および2次電池

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JP2003045430A JP2001231533A JP2001231533A JP2003045430A JP 2003045430 A JP2003045430 A JP 2003045430A JP 2001231533 A JP2001231533 A JP 2001231533A JP 2001231533 A JP2001231533 A JP 2001231533A JP 2003045430 A JP2003045430 A JP 2003045430A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 焼成により目的の正極材料を原料から確実に
合成し、しかも該正極材料の1次粒子の結晶成長を抑制
して細粒化することが可能な2次電池用正極材料の製造
方法を提供すること。 【解決手段】 結晶成長抑制剤を添加して原料を焼成す
ることを特徴とする、2次電池正極材料の製造方法。こ
の方法により得られる2次電池は、結晶が細粒化されて
いるため、正極材料粒子内部と電解質との間でリチウム
を初めとするアルカリ金属イオンの出入りを促進させて
電極反応分極を抑制するとともに、正極材料と導電性付
与材との接触面積を増大させて導電性を改善し、電圧効
率と実効電池容量の向上が図られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2次電池正極材料
の製造方法及びその正極材料を有する2次電池に関し、
より詳しくは、例えば、リチウム、ナトリウム等のアル
カリ金属や、これらの化合物を活性物質とする、金属リ
チウム電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電
池等に代表される2次電池に用いる正極材料の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】金属リチウム電池、リチウムイオン電
池、リチウムポリマー電池等の2次電池に用いられる金
属酸化物、及びこれらにおいて金属原子が部分置換され
た酸化物や、LiFePO、LiCoPO等のリン
酸塩、Fe(SO等の硫酸塩などの正極材料
は、放電あるいは充電の過程で、リチウム等のアルカリ
金属イオンのドープ/脱ドープを伴う形で電極酸化還元
反応が進行する。こうした2次電池は、大容量電池とし
て近年脚光を浴びている。しかし、これらの電池の正極
においては、固相拡散によって電極材料内部を移動する
アルカリ金属イオンの速度が電極反応速度を制限するた
めに、充放電時の電極反応分極が一般に大きく、比較的
大きな電流密度での充放電が困難である。また、この分
極が特に大きい場合には、通常の電圧・電流密度条件で
は充放電が十分進行せず、理論容量よりはるかに小さい
容量しか利用できなくなってしまう。また、これら正極
材料に用いられることが多い金属酸化物、燐酸塩、硫酸
塩、金属オキソ酸塩等は一般に導電率が小さく、この点
も電極反応の分極を増大させる要因となる。
【0003】上記の諸問題を改善するには、正極材料の
結晶粒子を細粒化し、アルカリ金属イオンを粒子内部へ
出入りし易くさせることが有効である。また、結晶粒子
を細粒化すれば、通例正極材料と混合して用いられるカ
ーボンブラックなどの導電性付与材と正極材料との接触
面積が増大するため導電性が改善され、その結果、正極
反応分極の低減とともに電圧効率と実効電池容量の向上
を図ることができる。
【0004】この目的のため、焼成による正極材料の合
成に際し、近年、反応性の高い原料を用いて焼成温度を
下げ、さらに焼成時間を制限することによって正極材料
の結晶成長を押さえ、粒径の小さい正極材料を得る試み
が報告されている。例えば、リチウム2次電池用正極材
料であるLiFePOの製造に際しては、リチウム原
料として反応性の高いLiOH・HOを用い、焼成温
度を従来(通常800〜900℃程度)より低い675
℃に下げて、アルゴン中で比較的短時間(24時間程
度)焼成を行うことにより、正極材料粉末の焼結(粒径
増大)を抑え、大きな放電容量を得たという報告[第4
0回 電池討論会 発表3C14(同予稿集、p34
9、1999)]がなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記第40回電池討論
会発表3C14(同予稿集p349、1999)の方法
のように、焼成による正極材料の合成に際し、温度を下
げたり、焼成時間を短くしたりする方法では、焼成が不
十分となって最終製品にまで化学変化しなかったり、中
間生成物が残留したりする恐れがあるため、細粒化の方
法としては限界がある。
【0006】本発明の課題は、焼成により目的の正極材
料を原料から確実に合成し、しかも該正極材料の1次粒
子の結晶成長を抑制して細粒化することが可能な2次電
池用正極材料の新規な製造方法を提供することにあり、
さらには、細粒化によって正極材料粒子内部と電解質と
の間でリチウムを初めとするアルカリ金属イオンの出入
りを促進させて電極反応分極を抑制するとともに、正極
材料と導電性付与材との接触面積を増大させて導電性を
改善し、電圧効率と実効電池容量を向上させた高性能2
次電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項1に記載の2次電池正極材料の製造方法の発
明は、結晶成長抑制剤を添加して原料を焼成することを
特徴とする。これにより、正極材料の1次粒子の結晶成
長を抑制して、得られる正極材料の結晶粒子を細粒化す
ることができる。また、本発明方法によれば、原料の焼
成が不十分で最終製品にまで化学変化しなかったり、中
間生成物が残留したりする恐れはなく、焼成によって目
的の正極材料を原料から確実に合成できる。なお、本発
明において、「結晶成長抑制剤を添加する」ことには、
例えば結晶成長抑制剤が水素のような気体の場合に、添
加した水素等のガスの存在下(つまり、水素雰囲気下
等)で原料の焼成を行うことが含まれる。
【0008】請求項2に記載の2次電池正極材料の製造
方法の発明によれば、請求項1において、前記結晶成長
抑制剤が次の(a)、(b)(c)および(d);
(a):水素;(b):加熱分解により水素を放出する
物質;(c):水または水蒸気、(d)加熱分解により
水蒸気を放出する物質;から選ばれる1種または2種以
上であることを特徴とする。この特徴によれば、正極材
料の原料を、水素および/または水分を供給しながら焼
成することにより、生じる正極材料の1次粒子をより細
粒化させることができる。
【0009】請求項3に記載の2次電池正極材料の製造
方法の発明によれば、請求項2において、前記(b)の
加熱分解により水素を放出する物質が、アンモニア、尿
素、アンモニウム塩、多環芳香族化合物およびアミノ基
を有する有機化合物から選ばれる1種または2種以上で
あることを特徴とする。この特徴によれば、アンモニア
等の物質は、焼成温度において熱分解して水素を放出し
やすいので、正極材料の結晶成長を抑制して1次粒子径
の細粒化を図る等、上記請求項2に記載の作用効果を得
ることができる。
【0010】請求項4に記載の2次電池正極材料の製造
方法の発明によれば、請求項1において、前記正極材料
が、アルカリ金属、遷移金属及び酸素を含み、酸素ガス
不存在下において前記原料を焼成して合成し得る化合物
(以下、「遷移金属化合物」と記すことがある)であ
り、かつ前記結晶成長抑制剤が、還元性を併せ持つもの
であることを特徴とする。ここで、還元性を併せ持つ結
晶成長抑制剤としては、前記(a)水素、(b)加熱分
解により水素を放出する物質を例示することができる。
【0011】この特徴によれば、酸素ガス不存在下で還
元性を併せ持つ結晶成長抑制剤を添加して原料を焼成す
ると、得られる正極材料の結晶粒子がより細粒化され
る。また、酸素ガス不存在下での焼成においても避けが
たい残存酸素による酸化で生成したり、あるいは原料中
に元々存在していた酸化態不純物(例えば、正極材料L
iFe2+PO中におけるリチウム欠損酸化態不純物
Fe3+POや酸化態酸化物Fe等;これらの
混在は、一般に電池の放電容量の低下を招く)は、還元
性を有する結晶成長抑制剤の作用により還元されて目的
の正極材料に変化するので、酸化態不純物が正極材料に
混入することを防ぐこともできる。
【0012】また、原料の選定の仕方によっては、原料
中の前記遷移金属元素が正極材料中の遷移金属元素より
高い価数を有しており、酸素ガス不存在下で焼成される
過程だけでは、目的の正極材料中の遷移金属元素と同一
の価数を持つには至らないような場合もあり得る。この
ような場合でも、原料に対して必要かつ十分な還元性を
併せ持つ結晶成長抑制剤を添加することによって、生じ
る正極材料を必要十分なだけ還元することが可能とな
り、目的とする正極材料を得ることができる。さらに
は、原料中の前記遷移金属元素が正極材料中の遷移金属
元素より高い価数を有しており、酸素ガス不存在下で焼
成するだけでは目的の正極材料中の遷移金属元素と同一
の価数を持つには至らないような場合にも、例えば水素
の存在下で焼成することによって必要十分なだけ還元を
行い、目的の正極材料を得ることができる場合がある。
【0013】請求項5に記載の2次電池正極材料の製造
方法の発明は、請求項4において、前記正極材料が、M
(1)a(2)x[ここで、M(1)はLiま
たはNaを示し、M(2)はFe(II)、Co(II)、
Mn(II)、Ni(II)、V(II)、Cu(II)を示
し、AはP、Sを示し、aは0〜3の数、xは1〜2の
数、yは1〜3の数、zは4〜12の数、をそれぞれ示
す]の一般式で示される物質またはこれらの複合体であ
ることを特徴とする。
【0014】請求項6に記載の2次電池正極材料の製造
方法の発明は、請求項4において、前記正極材料が、L
FePO、LiCoPO、LiMnPO
(ここで、qは0〜1の数を示す)の一般式で示される
物質またはこれらの複合体であることを特徴とする。
【0015】請求項5および請求項6に記載の正極材料
については、目的の正極材料中と同一価数の遷移元素を
有する化合物をその原料として採用でき、該原料から、
酸素不存在条件(例えば不活性ガス中)における焼成に
よって目的の正極材料を合成することが可能である。こ
のため、還元性を有する水素ガス等の結晶成長抑制剤を
焼成中に添加しても、それが燃焼・消費されてしまうこ
とを避けることができ、また局所温度の著しい上昇を起
こすこともなく焼成を安定して制御できる。その上、特
にこれらの正極材料系の場合には、水素等の結晶成長抑
制剤の還元力によって中心金属元素[Fe、Co、M
n、Ni、V、Cu]の価数がさらに低下して正極材料
中に不純物(例えば金属状態)を生じたりすることも起
こりにくい。
【0016】請求項7に記載の2次電池の発明は、請求
項1から請求項6のいずれかに記載の方法により製造さ
れた正極材料を構成要素に持つことを特徴とする。本発
明方法によって製造された正極材料を用いた2次電池
は、正極材料の結晶粒子が細粒化されているので、正極
材料と電解質との界面においてリチウムイオンを初めと
するアルカリ金属イオンの脱ドープ/ドープを伴う電気
化学的酸化/還元を該正極材料が受ける際の表面積が大
きく、正極材料の粒子内部と電解質との界面でアルカリ
金属イオンが容易に出入りできるため、電極反応分極が
抑制される。さらに、正極材料に通例混合されるカーボ
ンブラック等の導電性付与材と正極材料との接触面積も
大きくなるため、導電性が改善されており、電圧効率と
有効電池放電容量が著しく向上した2次電池である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の2次電池正極材料の製造
方法は、結晶成長抑制剤を添加して原料を焼成すること
により実施される。
【0018】本発明における正極材料としては、例え
ば、アルカリ金属、遷移金属及び酸素を含み、酸素ガス
不存在下において原料を焼成して合成し得る化合物が好
ましい。より具体的には、正極材料としては、例えば、
(1)a(2)x[ここで、M(1)はLi
またはNaを示し、M(2)はFe(II)、Co(I
I)、Mn(II)、Ni(II)、V(II)、Cu(II)
を示し、AはP、Sを示し、aは0〜3の数、xは1〜
2の数、yは1〜3の数、zは4〜12の数、をそれぞ
れ示す]の一般式で示される物質またはこれらの複合体
を挙げることができる。ここで、(II)、(III)等は
遷移金属元素M(2)の価数を示し、x、y、zは、該
材料の化学量論的(電気的)な中性条件を満たす値をと
る。また、M(2 としては、上記で例示されている遷
移金属元素のうち、同一価数のものの複数の組合せも含
むものとする[例えば、M(2)がFe(II)Co(I
I)あるいはFe(II)Mn(II)である場合などが該
当する。この時、Fe(II)とCo(II)、あるいはF
e(II)とMn(II)の合計含有モル数が、Li 1モ
ルに対しxモルの比率となる]。
【0019】これらの物質は、一般に酸素ガス不存在下
(すなわち、例えばアルゴン、窒素、ヘリウム等の不活
性ガス雰囲気中)における焼成によってその原料から合
成され得るもので、その結晶骨格構造(スピネル型、オ
リビン型、ナシコン型等を一般にとる)が電気化学的酸
化還元によってほとんど変化しない場合、繰返し充放電
が可能なアルカリ金属系2次電池用の正極材料として用
いることができる。正極材料としては、これらの物質の
そのままの状態は放電状態に相当し、電解質との界面で
の電気化学的酸化によって、アルカリ金属M(1)の脱
ドープを伴いながら中心金属元素M(2)が酸化され、
充電状態になる。充電状態から電気化学的還元を受ける
と、アルカリ金属M(1)の再ドープを伴いながら中心
金属元素M(2)が還元され、元の放電状態に戻る。
【0020】好ましい正極材料としては、LiFeP
、LiCoPOまたはLi MnPO(ここ
で、qは0〜1の数を示す)の一般式で示される物質ま
たはこれらの複合体を例示することができ、特に、Li
FePO(ここで、qは前記と同じ意味を有する)
の一般式で示される物質が好ましい。これらの物質は、
酸素ガス不存在下における約900℃以下の温度での焼
成によりその原料から合成され得るもので、例えばリチ
ウム電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池
等のリチウム系2次電池の正極材料として好適に使用で
きる。
【0021】正極材料の原料としては、例えば、アルカ
リ金属、前記遷移金属および酸素を少なくとも含む化合
物(遷移金属化合物)または該遷移金属化合物を複数組
合せて用いることができる。通例は、原料中の遷移金属
元素は正極材料中の遷移金属元素と同一の価数を元々有
しているか、あるいは所定の焼成温度および焼成時間に
おいて酸素ガス不存在下にて焼成される過程で還元さ
れ、正極材料中の遷移金属元素と同一の価数を持つに至
る。この時、還元性を併せ持つ結晶成長抑制剤を添加し
て原料を焼成すると、得られる正極材料の結晶粒子がよ
り細粒化される。
【0022】より具体的には、正極材料の原料物質とし
ては、例えば、アルカリ金属導入用の原料として、Li
OH、NaOH等の水酸化物、LiCO、Na
、NaHCO等の炭素塩や炭酸水素塩、LiNO
、NaNO等の硝酸塩等、その他、アルカリ金属の
み目的の正極材料中に残留するような分解揮発性化合
物、(例えば有機酸塩等)が用いられる。また、目的の
正極材料が燐酸塩の場合には、LiPO、Li
PO、LiHPO、NaPO、NaHPO
、NaHPO等の燐酸塩や硫酸水素塩、さらに、
目的の正極材料が硫酸塩の場合には、LiSO、L
iHSO、NaSO、NaHSO等の硫酸塩や
燐酸水素塩を用いることもできる。
【0023】また、Fe、Co、Mn、V等の遷移金属
導入用の原料としては、例えば水酸化物、炭酸塩や炭酸
水素塩、硝酸塩、その他、該遷移金属のみが目的の正極
材料中に残留するような分解揮発性化合物(例えば、シ
ュウ酸塩や酢酸塩等の有機酸塩、アセチルアセトン錯体
類や、メタロセン錯体等の有機錯体など)が用いられ
る。また、目的の正極材料が燐酸塩の場合には、燐酸塩
や燐酸水素塩、さらに目的の正極材料が硫酸塩の場合に
は、硫酸塩や硫酸水素塩、およびこれら遷移金属オキソ
酸塩とアンモニウム等との複塩を用いることもできる。
【0024】また、目的の正極材料が燐酸塩の場合に
は、無水燐酸P、燐酸HPO 、および燐酸イ
オンのみ目的の正極材料中に残留するような分解揮発性
燐酸塩や燐酸水素塩(例えば、(NHHPO
NHPO、(NH PO等のアンモニウ
ム塩)、さらに目的の正極材料が硫酸塩の場合には、硫
酸HSO、および硫酸イオンのみ目的正極材料中に
残留するような分解揮発性硫酸塩や硫酸水素塩(例え
ば、NHHSO、(NHSO等のアンモニ
ウム塩)を用いることもできる。
【0025】これらの原料において、目的の正極材料中
に残存した場合に好ましくない元素や物質を含む場合に
は、これらが焼成中に分解・揮発することが必要であ
る。また、目的生成物が例えば燐酸塩の場合、原料には
燐酸イオン以外の不揮発性オキソ酸塩等を用いるべきで
ないことは言うまでもない。なお、これらにおいては、
その水和物を用いる場合もあるが(例えば、LiOH・
O、Fe(PO・8HO等)、上記にお
いては水和物としての表記は全て省略している。
【0026】以上の原料を、還元性を有する結晶成長抑
制剤を共存させて焼成するに際し、通例は特に問題が生
じることはないが焼成の早期に両者が急激な反応を起こ
して目的の正極材料が得られなくなったり、不純物が生
じたりすることがないよう、両者の選定および組み合わ
せには留意する必要がある。
【0027】本発明における結晶成長抑制剤としては、
例えば、次の(a)、(b)、(c)および(d);
(a):水素、(b):加熱分解により水素を放出する
物質、(c):水または水蒸気、(d):加水分解によ
り水蒸気を放出する物質、から選ばれる1種または2種
以上を使用できる。この中でも、還元性を併せ持つもの
として、特に(a)、(b)が好ましい。
【0028】前記(b)の加熱分解により水素を放出す
る物質としては、例えば、アンモニア、尿素、アンモニ
ウム塩、多環芳香族化合物、アミノ基を有する有機化合
物等を挙げることができる。
【0029】ここで、アンモニウム塩、多環芳香族化合
物、アミノ基を有する有機化合物としては、目的正極材
料中で不純物を生じることのないものであることが必要
である。その一例を挙げれば、アンモニウム塩として
は、塩化アンモニウム[NHCl]、臭化アンモニウ
ム[NHBr]や、シュウ酸[HOOC−COOH]
および酢酸[CHCOOH]等の有機酸のアンモニウ
ム塩等が好ましい。多環芳香族化合物としては、分子量
180以上、好ましくは280以上の多環芳香族系炭化
水素を用いることができ、これらは部分的に水素が付加
された脂環部分を有していてもよい。アミノ基を有する
有機化合物としては、これらの多環芳香族化合物にアミ
ノ基が1つ以上置換されたものや、アミノ基を有するイ
オン交換樹脂(高分子骨格として、スチレン−ジビニル
ベンゼン共重合体などを有するもの)等が例示される。
【0030】気体である(a)水素を結晶成長抑制剤と
して用いる場合、対象となる正極材料にもよるが、一般
に採用されるような300〜900℃に至る焼成過程に
おいて、適切な温度範囲及び時間を選んで必要十分な量
の水素を供給でき、正極材料表面の酸素原子への付加や
脱酸素、正極材料の還元等を効果的に起こすことが可能
となるので好ましい。さらに、水素を結晶成長抑制剤と
して単独で用いる場合、得られる正極材料中に副生成物
を生じることが少ないので、正極材料の純度を保つ上で
好ましい。一方、可燃性気体である水素そのものに替え
て、より発火性が小さいものとして、(b)加熱分解に
より水素を放出する物質を用いることにより、安全管理
をより確実にすることができる。
【0031】本発明方法では、結晶成長抑制剤としての
水素は、焼成時の、低くとも300℃以上の温度範囲に
おいて添加することが好ましい。例えば焼成時の約30
0℃から約400℃まで、またはそれ以上の温度範囲に
わたって添加することが好ましく、約200℃から約5
00℃まで、またはそれ以上の範囲にわたって添加する
ことがより好ましい。この範囲においては、前記遷移金
属化合物の表面酸素原子への水素付加や水酸基形成が良
好に起こりやすく、結晶成長の抑制に対して効果が高く
なる。上記温度範囲における雰囲気中の水素の体積濃度
は、およそ0.1%以上20%以下とすることができ、
1%以上10%以下とすることが好ましい。これによっ
て、前記遷移金属化合物からなる正極材料の結晶成長が
好適に抑制される。
【0032】結晶成長抑制剤として(b)加熱分解によ
り水素を放出する物質を原料系に混合して使用する場合
は、これらの物質からの水素発生が上記の温度範囲にわ
たって上記体積濃度となるように添加することが好まし
い。そのためには、これらの物質(b)からの水素放出
量の温度依存性を予め調べておき、焼成中に供給する不
活性ガス量と発生水素量の和に対する該発生水素量の割
合が上記濃度範囲になるように調整することが好まし
い。仮に焼成途中で水素が不足する場合は、さらに水素
を外部から供給して上記濃度範囲を保持することも有効
である。
【0033】上記(c)の水は、水素と同様に結晶成長
抑制効果を有する。その理由は未だ明らかではないが、
水素ガス添加時と同様に、正極原料および正極活物質の
表面に水酸基を生じさせ、これが結晶成長を遅らせるた
めではないかと推定される。
【0034】水分の供給方法としては、炉内に噴霧する
か、好ましくは予気化して水蒸気の形で供給する。供給
温度範囲および供給量は水素の場合と同様にすることが
できる。すなわち、水は、焼成時の、低くとも300℃
以上の温度範囲において添加することが好ましい。例え
ば焼成時の約300℃から約400℃まで、またはそれ
以上の温度範囲にわたって添加することが好ましく、約
200℃から約500℃まで、またはそれ以上の範囲に
わたって添加することがより好ましい。この範囲におい
ては、前記遷移金属化合物の表面酸素原子への水素付加
や水酸基形成が良好に起こりやすく、結晶成長の抑制に
対して効果が高くなる。上記温度範囲における雰囲気中
の水蒸気の体積濃度は、およそ0.1%以上20%以下
とすることができ、1%以上10%以下とすることが好
ましい。これによって、正極材料の結晶成長が好適に抑
制される。
【0035】上記(d)の加熱分解により水蒸気を生じ
る物質としては、例えば水酸基を有する有機化合物が挙
げられ、より具体的には、各種金属水酸化物(例えば水
酸化鉄等)のほか、多価アルコール類(分子量200以
上が好ましい)、多価フェノール類(分子量200以上
が好ましい)等が例示される。仮に焼成途中で水蒸気が
不足する場合は、さらに水分を外部から供給して好適な
濃度範囲を保持することも有効である。
【0036】結晶成長抑制剤が固体の場合は、十分に粉
砕し、正極材料の原料に予め加えてよく混合しておくこ
とが好ましい。結晶成長抑制剤が液体または気体の場合
は、焼成過程の全時間に渡って、あるいは約300℃以
上の焼成温度において所定量を継続的に炉内に不活性ガ
スとともに供給しながら原料を焼成することが好まし
い。必要があれば、焼成中に、または焼成を一時中断し
て攪拌を行う。
【0037】なお、結晶成長抑制剤が、例えば尿素、ア
ンモニウム塩、アミン錯体等の気化しやすい低分子量化
合物や低分子量塩類である場合には、一般に350℃以
下の温度で分解が起こるために高温側で水素が不足しや
すくなる場合があるので、別途(a)の水素を組合せて
添加することが好ましい。この点で、縮合多環芳香族化
合物を用いると、単独でも高温域(〜約500℃)まで
安定して水素を供給できるので好ましい。
【0038】焼成は、対象となる正極材料にもよるが、
一般に採用されるような300〜900℃に至る焼成過
程において、適切な温度範囲及び時間を選んで実施する
ことができる。また、焼成は、酸化態不純物の生成防止
や、残存する酸化態不純物の還元を促すため、酸素ガス
不存在下で行うことが好ましい。
【0039】以上のようにして得られる本発明の正極材
料を使用した2次電池としては、例えば、金属リチウム
電池、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等を
挙げることができる。
【0040】以下、アルカリ金属がリチウムの場合を例
として、アルカリイオン電池の基本構成を説明する。リ
チウムイオン電池は、俗にロッキングチェア型とか、シ
ャトルコック(バトミントンの羽根)型などと言われる
ように、充放電に伴い、負極、正極活物質の間をLi
イオンが往復することを特徴とする2次電池である(図
1参照)。充電時には負極(現行系は黒鉛などのカーボ
ンが用いられる)の内部にLiイオンが挿入されて層
間化合物を形成し(この時、負極カーボンが還元され、
Liの抜けた正極が酸化される)、放電時には、正極
(現行の主流は酸化コバルト系であるが図1ではリン酸
鉄リチウムなど、鉄(II)/(III)の酸化還元系を例
に挙げている)の内部にLiイオンが挿入されて鉄化
合物−リチウムの複合体を形成する(この時、正極の鉄
が還元され、Liの抜けた負極は酸化されて黒鉛等に
戻る)。Liイオンは充放電の間、電解質中を往復
し、同時に電荷を運ぶ。電解質としては、エチレンカー
ボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクト
ンなどの環状有機溶媒と、ジメチルカーボネート、エチ
ルメチルカーボネート等の鎖状有機溶媒との混合溶液
に、LiPF、LiCF、LiClO等の電
解質塩類を溶解させた液状電解質、これらの液状電解質
を高分子ゲル状物質に含浸させたゲル電解質、部分架橋
ポリエチレンオキシドに前記電解質を含浸させたもの等
の固体ポリマー電解質等が用いられる。液状電解質を用
いる場合には、正極と負極が電池内で短絡しないように
ポリオレフィン製等の多孔質隔膜(セパレータ)をそれ
らの間に挟んで絶縁させる。正極および負極は、正極お
よび負極材料にカーボンブラック等の導電性付与剤を所
定量加え、ポリ4弗化エチレンやポリ弗化ビニリデン、
フッ素樹脂等の合成樹脂、エチレンプロピレンゴムなど
の合成ゴム等の結着剤および必要な場合は極性有機溶媒
を加えて混練、薄膜化させたものを用い、金属箔や金属
網等で集電して電池が構成される。一方、負極に金属リ
チウムを用いた場合、負極ではLi(O)/Liの変
化が充放電とともに起こり、電池が形成される。
【0041】
【作用】本発明者による研究では、アルカリ金属、遷移
金属、及び酸素を含む正極材料の原料を、酸素ガス不存
在下で水素および/または水分を供給しながら焼成する
と、生じる正極材料の粒子の結晶性にわずかな乱れが生
じ、生成する1次粒子がより細粒化されることが判明し
た。すなわち、水素および水分は有力な結晶成長抑制剤
となることが実証された。このメカニズムは未だ明らか
ではないが、焼成中に原料から合成され成長する正極材
料の結晶粒子の成長面において、表面酸素原子に水素が
結合したり、表面の金属−酸素間の結合を水分子が切
断、付加するなどの現象によって水酸基を生じたり、あ
るいは、その水酸基から生成した水分子が再脱離したり
することにより、結晶表面構造に乱れや不整合が生じる
結果、粒子の成長が抑制されるものと考えられる。
【0042】
【実施例】次に、実施例等により、本発明を更に詳細に
説明するが、本発明はこれらによって制約されるもので
はない。 実施例1 (1)正極材料の調製:正極材料LiFePOを、以
下の手順で合成した。5.0532gのFeC
2HO、3.7094gの(NHHPO、及
び1.1784gのLiOH・HOを夫々めのう乳鉢
にて粉砕混合してアルミナ製るつぼに入れ、5体積%水
素(H)/95体積%アルゴン(Ar)の混合ガスを
200ml/分の流量で通気しながら、まず350℃に
て5時間仮焼成した。得られた仮焼成物を取出して、め
のう乳鉢にて粉砕後、さらに同雰囲気で675℃にて2
4h焼成した(混合ガスは、昇温開始前から焼成中、さ
らに放冷後まで流通しつづけた)。これにより合成され
た正極材料は、粉末X線回折によりオリビン型結晶構造
を有するLiFePOであると同定された。この正極
材料に関する粉末X線回折の解析結果から、粒径既知の
ケイ素粉末を標準としてシェラーの式に従って求めた結
晶子サイズ及び走査型電子顕微鏡観察によって求めた正
極材料の1次粒子径は後記表1に示すとおりである。
【0043】(2)2次電池の調製:この正極材料と、
アセチレンブラック[デンカブラック(登録商標);デ
ンカ社製、50%プレス品]と、PTFE(ポリテトラ
フルオロエチレン)製結着材とを重量比で70/25/
5となるように混合・混練して、厚さ0.7mmのシー
ト状に圧延し、これを直径1.0cmに打抜いたペレッ
トを正極とした。
【0044】その後、ステンレス製コイン電池ケース
(型番CR2032)に金属チタン網、金属ニッケル網
をそれぞれ正負極集電体としてスポット溶接し、前記正
極及び金属リチウム箔負極を多孔質ポリエチレン製隔膜
を介して組入れ、電解液として1MのLiPFを溶解
したジメチルカーボネート/エチレンカーボネートの1
/1混合溶液を満たして封入し、コイン型リチウム2次
電池を作製した。正負極、隔膜、電解液等の一連の電池
組立ては、アルゴン置換されたグローブボックス内で行
った。
【0045】以上のようにして得られた本発明2次電池
に対して、正極ペレットの見かけ面積当たりの電流密度
0.5mA/cmにて、3.0V〜4.0Vの作動電圧
範囲で充放電を繰り返したところ、1〜20サイクルの
平均初期放電容量は表1に示すとおりであった。
【0046】比較例1 実施例1に対し、焼成時の流通ガスを水素を含まない1
00体積%アルゴンガスとした以外、全く同様の合成方
法によって正極材料としてオリビン型LiFePO
得た[本方法は、第40回電流討論会発表3C14(同
予稿集p349、1999)の方法に基本的に従ってい
る]。これに対する粉末X線回折解析結果及び走査型電
子顕微鏡観察によって求めた生成物の1次粒子径を表1
に記した。また、実施例1と同様に構成したコイン型リ
チウム2次電池を作製し、実施例1と同様にして充放電
サイクル試験を実施した。この1〜20サイクルの平均
初期放電容量も表1に示した。
【0047】実施例2 実施例1に対し、焼成時の流通ガスを8体積%の水(予
気化水蒸気)/92体積%アルゴンガスの混合ガスとし
た以外、全く同様の合成方法によって正極材料としてオ
リビン型LiFePOを得た。これに対する粉末X線
回折解析結果及び走査型電子顕微鏡観察によって求めた
生成物の1次粒子径を表1に記した。また、実施例1と
同様に構成したコイン型リチウム2次電池を作製し、実
施例1と同様にして充放電サイクル試験を実施した。こ
の1〜20サイクルの平均初期放電容量も表1に示し
た。
【0048】
【表1】
【0049】表1のX線回折解析結果からは、いずれも
ほぼ全体がオリビン型LiFePO であることが確認
されたが、比較例1のX線回折解析結果では、わずかに
α−Feと考えられる酸化態不純物の回折ピーク
が認められたのに対し、実施例1および実施例2では不
純物の回折ピークは認められなかった。
【0050】表1より、比較例1の結晶子サイズは実施
例1および実施例2に比べて約3割近く大きいことが判
る。一方、走査型電子顕微鏡観察によって求めた生成物
の1次粒子径も、前記結晶子サイズと同様、実施例1お
よび実施例2より比較例1の方が大きいことが判る。さ
らに比較例1では、初期放電容量が、実施例1および実
施例2に比べ小さくなった。また充放電の際の電池内部
抵抗は、比較例1の方が実施例1および実施例2より明
らかに大きかった。
【0051】以上の結果から、実施例1のように還元性
結晶成長抑制剤である水素を添加して焼成することによ
って、あるいは実施例2のように結晶成長抑制剤である
水分(水蒸気)を添加して焼成することによって、これ
らを添加しない比較例1に比べて、正極材料LiFeP
の結晶の1次粒子径が細粒化され、またそれを用い
た2次電池の初期放電容量は増加し、高性能化されたこ
とが示された。
【0052】実施例3 実施例1で用いたものと同一の正極材料に、同一のアセ
チレンブラック、及びPVDF(ポリ弗化ビニリデン)
を重量比で80/15/5となるように加え、それらに
対しN−メチルピロリドンを50重量%添加して混練
し、アルミ箔に厚み0.15mmとなるように塗布して
乾燥したものを正極シートとした。一方、負極材料とし
て天然黒鉛を用い、PVDF(ポリ弗化ビニリデン)を
重量比で90/10となるように加え、それらに対し同
重量のN−メチルピロリドンを添加して混練、銅箔に厚
み0.15mmとなるように塗布して乾燥したものを負
極シートとした。これらを直径1.0cmに打ちぬき、
ねじ込み式ステンレス製セルに実施例1と同一の多孔質
ポリエチレン製隔膜を介し、同一の電解液を満たして組
み入れ、リチウムイオン電池を作成した。この電池を見
かけ面積あたりの電流密度0.5mA/cmにて、2.
8〜4.0Vの作動電圧範囲で充放電を繰り返した。1
〜20サイクルの平均初期放電容量は表2に示すとおり
であった。
【0053】比較例2 比較例1で用いたものと同一の正極材料を採用した以
外、実施例3と同一の構成でリチウムイオン電池を作成
した。この電池を見かけ面積あたりの電流密度0.5m
A/cmにて、2.8〜4.0Vの作動電圧範囲で充放
電を繰り返したところ、1〜20サイクルの平均初期放
電容量は表2に示すとおりであった。
【0054】
【表2】
【0055】表2から、水素を添加せずに製造した正極
材料を用いた比較例2のリチウムイオン電池に比べ、水
素を添加して製造した正極材料を用いた実施例3のリチ
ウムイオン電池は大きな放電容量を示し、高性能化され
たことが明らかに示された。
【0056】実施例4 実施例1において、仮焼成後の水素雰囲気下での焼成温
度を675℃から750℃に変える以外は実施例1と同
様にして正極材料を調製した。この正極材料から実施例
1と同じ方法でリチウム電池を作成した。この電池を見
かけ面積あたりの電流密度0.5mA/cmにて3.0
〜4.0Vの作動電圧範囲で充放電を繰り返した。この
正極材料の結晶子サイズおよびリチウム電池の1〜20
サイクルの平均初期放電容量を表3に示す。
【0057】比較例3 実施例4において、水素を添加しない以外は同様にして
正極材料およびリチウム電池を作成し、実施例4と同様
の条件で充放電を繰り返した。この正極材料の結晶子サ
イズおよびリチウム電池の1〜20サイクルの平均初期
放電容量を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】表3から明らかなように、実施例4のリチ
ウム電池の放電容量は、水素を添加しない比較例3に比
べ結晶が細粒化され、大きな放電容量を持ち、高性能化
されたことが示された。また、実施例4のリチウム電池
の放電容量は、比較例1の水素不存在条件での低温焼成
(675℃)の場合よりも高い性能を示すことが判明し
た。
【0060】
【発明の効果】本発明方法によれば、結晶成長抑制剤が
正極材料の1次粒子の結晶成長を抑制することにより、
結晶粒子が細粒化された正極材料を得ることができる。
また、本発明方法では、焼成不十分で原料が最終製品に
まで化学変化しなかったり、中間生成物が残留したりす
る恐れはなく、焼成によって目的の正極材料を原料から
確実に合成できる。
【0061】また、上記方法によって製造された正極材
料を用いた本発明の2次電池は、正極材料の結晶粒子が
細粒化されているので、正極材料と電解質との界面にお
いてアルカリ金属イオンの脱ドープ/ドープを伴う電気
化学的酸化/還元を該正極材料が受ける際の表面積が大
きく形成されており、正極材料の粒子内部と電解質との
界面でアルカリ金属イオンが容易に出入りできるため、
電極反応分極が低減される。さらに、本発明の2次電池
は、正極材料に通例混合されるカーボンブラック等の導
電性付与材と正極材料との接触面積も大きくなるため、
導電性が改善され、電圧効率と有効電池放電容量が著し
く向上したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】2次電池の充放電挙動の説明に供する模式図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 八田 直樹 千葉県市原市八幡海岸通1番地 三井造船 株式会社千葉事業所内 (72)発明者 岡田 重人 福岡県福岡市中央区薬院4−1−18−151 (72)発明者 山木 準一 福岡県春日市春日公園4−1−2春日公園 住宅103 Fターム(参考) 5H029 AJ02 AJ03 AK03 AL07 AL12 AM03 AM05 AM07 5H050 AA02 AA08 BA16 BA17 CA07 CB08 CB12 DA02 EA10 GA02 GA27 HA02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶成長抑制剤を添加して原料を焼成す
    ることを特徴とする、2次電池正極材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記結晶成長抑制剤
    が次の(a)、(b)、(c)および(d); (a):水素; (b):加熱分解により水素を放出する物質; (c):水または水蒸気; (d):加熱分解により水蒸気を放出する物質;から選
    ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、2
    次電池正極材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記(b)の加熱分
    解により水素を放出する物質が、アンモニア、尿素、ア
    ンモニウム塩、多環芳香族化合物およびアミノ基を有す
    る有機化合物から選ばれる1種または2種以上であるこ
    とを特徴とする、2次電池正極材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記正極材料が、ア
    ルカリ金属、遷移金属及び酸素を含み、酸素ガス不存在
    下において前記原料を焼成して合成し得る化合物であ
    り、かつ前記結晶成長抑制剤が、還元性を併せ持つもの
    であることを特徴とする、2次電池正極材料の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記正極材料が、M
    (1)a(2)x [ここで、M(1)はLiま
    たはNaを示し、M(2)はFe(II)、Co(II)、
    Mn(II)、Ni(II)、V(II)、Cu(II)を示
    し、AはP、Sを示し、aは0〜3の数、xは1〜2の
    数、yは1〜3の数、zは4〜12の数、をそれぞれ示
    す]の一般式で示される物質またはこれらの複合体であ
    ることを特徴とする、2次電池正極材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4において、前記正極材料が、L
    FePO、LiCoPO、LiMnPO
    (ここで、qは0〜1の数を示す)の一般式で示される
    物質またはこれらの複合体であることを特徴とする、2
    次電池正極材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6のいずれか1項に
    記載の方法により製造された正極材料を構成要素に持つ
    ことを特徴とする2次電池。
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