JP2003041020A - ポリエステルフィルムおよびハードコートフィルム - Google Patents

ポリエステルフィルムおよびハードコートフィルム

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JP2003041020A
JP2003041020A JP2001225751A JP2001225751A JP2003041020A JP 2003041020 A JP2003041020 A JP 2003041020A JP 2001225751 A JP2001225751 A JP 2001225751A JP 2001225751 A JP2001225751 A JP 2001225751A JP 2003041020 A JP2003041020 A JP 2003041020A
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hard coat
heat
polyester
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JP2001225751A
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English (en)
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Masayuki Yamagishi
正幸 山岸
Takashi Ueda
隆司 上田
Masaaki Sudo
正昭 須藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、熱加工時に生ずるハードコー
トフィルムの熱カールを防ぎ、該ハードコートフィルム
の貼り付け易さを良好なものとし、ハードコートフィル
ムを使用する際の生産ロスを押さえること。 【解決手段】ハードコートフィルムの熱カールの抑制
は、150℃で30分間熱処理したときの幅方向におけ
る熱収縮率が0.2〜0.8%であることを特徴とする
ポリエステルフィルム、により達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、片面にハードコー
ト層を有した積層フィルムに用いられるポリエステルフ
ィルムに関する。
【0002】詳しくは、ハードコート層を有した積層フ
ィルムを熱加工する際、ハードコート層とポリエステル
フィルムの幅方向の熱挙動の違いによるカールを防ぐこ
とのできるポリエステルフィルムに関するものである。
【0003】
【従来の技術】ポリエステルフィルムの表面にハードコ
ート層を付与し高硬度化させることは様々な用途で一般
的に有用である。表面を高硬度化することによって、爪
などの接触や拭き掃除等の擦過に対して表面を保護する
ことができる。特に、ディスプレイや窓に貼り付けるフ
ィルムはキズ等による外観の劣化が問題となる場合には
フィルムのハードコート加工が必須である。
【0004】かかるハードコートフィルムにおいては、
ハードコート層の上からさらに加工を行うことでフィル
ムを高機能化させることも行われている。例えば、反射
防止機能を付与してディスプレイに貼り付けたり、透明
電極を設けてタッチキーとしたり、紫外線や赤外線を吸
収する機能や撥水性を付与して家や車の窓に貼り付けた
り、帯電防止機能を付与したりと、様々な用途に用いら
れている。
【0005】これらのハードコートフィルムに高機能性
を付与する際に、熱加工を必要とするものも多い。しか
し、この熱加工時に、積層フィルム全体が湾曲してしま
う熱カールという現象が起こる場合がある。この熱カー
ルにより、フィルムの加工性が悪くなり、例えば、フィ
ルムを何かに貼り付ける際に、大きな問題となる。具体
的な問題としては、ハードコートフィルムに撥水加工を
施す際に150℃で1分間加熱したところ熱カールが生
じ、ハードフィルムの貼り付け易さが低下することが挙
げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、熱加
工時に生ずるハードコートフィルムの熱カールを防ぎ、
該ハードコートフィルムの貼り付け易さを良好なものと
し、ハードコートフィルムを使用する際の生産ロスを押
さえることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】ハードコートフィルムの
熱カールを防止するため鋭意検討した結果、ポリエステ
ルフィルムの幅方向の熱挙動をハードコート層に合わせ
ることが重要であることを見出し本発明に到達した。す
なわちハードコートフィルムの熱カールの抑制は、15
0℃で30分間熱処理したときの幅方向における熱収縮
率が0.2〜0.8%であることを特徴とするポリエス
テルフィルム、により達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、熱加工時に生ずるハー
ドコートフィルムの熱カールを防ぐことを目的とする。
【0009】熱カールの原因の一つは、ポリエステルフ
ィルムとハードコート層の熱挙動が異なることである。
ポリエステルフィルムとハードコート層の熱挙動に着目
し、150℃におけるポリエステルの熱的物性を鋭意検
討した結果、熱カールを抑制する為の条件を見出し、1
50℃における熱挙動がハードコート層と最適に合致す
るポリエステルフィルムを作り出すことに成功した。
【0010】以下、その詳細について述べる。
【0011】ポリエステルフィルムの150℃における
熱挙動がハードコート層と最適に合致するためには、1
50℃で30分間熱処理したとき、該フィルムの幅方向
の熱収縮率が0.2〜0.8%であることが必要であ
り、0.4〜0.6%がより好ましい。
【0012】0.2%未満だと、ハードコート層の方が
収縮が大きくなり、ハードコート層がポリエステルフィ
ルムの端部を引っ張り、ハードコート層を内側にハード
コートフィルムは湾曲(カール)しやすくなる。0.8
%を超えると、ポリエステルフィルムの方が収縮が大き
くなり、ポリエステルフィルムがハードコート層の端部
を引っ張り、ポリエステルフィルムを内側にハードコー
トフィルムは湾曲(カール)しやすくなる。
【0013】熱収縮率は、ある寸法のフィルム片を一定
温度で指定時間荷重をかけずに加熱して、その後常温ま
で冷却して取り出したフィルム片の寸法変化を測定する
ことで得られる。熱収縮率測定における設定温度は、ハ
ードコートフィルムが加熱される条件に合わせて設定す
べきものである。熱収縮率測定における設定時間は、3
0分に限られず、20〜40分でもよい。20分以下で
は時間が足りずに熱収縮しきれないまま測定するおそれ
がある。
【0014】より好適なポリエステルフィルムを得るた
めには、幅方向に5.0 g/mm2の荷重をかけて、10℃
/分の加熱速度で150℃に到達した時の伸び率が−
0.5〜0.5%であることが好ましく、より好ましく
は−0.2〜0.2である。
【0015】この範囲を外れると、ハードコート層とポ
リエステルフィルムのカール方向の熱収縮率の差が大き
くなり、ハードコートフィルムは湾曲(カール)しやす
くなる。
【0016】上述の伸び率は、TMA測定による。TM
A測定は、フィルム片の測定したい方向に一定圧力で荷
重をかけ、昇温速度一定で加熱し該方向の伸び率を温度
変化に対して連続で測定するものである。TMA測定に
おける加重圧力は5.0g/mm2に限られず、任意に設定
できるが、重すぎると熱収縮率の差を伸び率に鋭敏に反
映できなくなるので、10.0g/mm 2 以下の圧力が好ま
しい。
【0017】ハードコートフィルムを熱処理したものは
実際には常温で使用されることが多く、また熱処理は一
定温度下で施されることが多いので、カールを防ぐため
にはTMA測定の伸び率よりも熱収縮率で管理する方が
好ましい。しかしTMA測定は熱収縮性の温度に対する
連続的な変化を見ることができるので、傾向がつかめる
し、ハードコートフィルムの最適熱加工温度を調べるに
は最適である。
【0018】ハードコートフィルムはポリエステルフィ
ルムの長手方向がそのまま走行方向になってロールに巻
き取られるので、このハードコートフィルムを走行させ
て熱加工を施すと、長手方向には常に張力が掛かった状
態で熱処理していることになる。そのため幅方向に比べ
ると長手方向の熱カールの程度は小さいが、熱収縮率が
大きく異なると幅方向と同様に熱カールは起こりうる。
また長手方向の熱収縮性は幅方向の熱収縮性に分子配向
の点で影響をおよぼすこともある。より好適なハードコ
ートフィルムを得るためには、150℃で30分間熱処
理したとき、該フィルムの長手方向の熱収縮率が0.6
〜1.2%であることが好ましく、より好ましくは0.
8〜1.0である。
【0019】この範囲を外れると、ハードコート層とポ
リエステルフィルムのカール方向の熱収縮率の差が大き
くなり、ハードコートフィルムは湾曲(カール)しやす
くなる。
【0020】熱収縮率測定における設定温度は、ハード
コートフィルムが加熱される条件に合わせて設定すべき
ものである。熱収縮率測定における設定時間は、30分
に限られず、20〜40分でもよい。20分以下では時
間が足りずに熱収縮しきれないまま測定するおそれがあ
る。
【0021】次に、本発明に係るポリエステルフィルム
の製法等を詳述するが、これに限られるものではない。
【0022】本発明におけるポリエステルフィルムに用
いられるポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸または
脂肪族ジカルボン酸とジオールを主たる構成成分とする
ポリエステルである。ここで、芳香族ジカルボン酸とし
て、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレン
ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,
4′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニル
エーテルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルスルホン
ジカルボン酸等を挙げることができる。また、脂肪族ジ
カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、スベリン
酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を挙げることがで
きる。中でも、好ましくはテレフタル酸とイソフタル酸
を挙げることができる。これらの酸成分は1種のみ用い
てもよく、2種以上併用してもよく、さらには、ヒドロ
キシ安息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコ
ール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジ
オール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキ
サンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレン
グリコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフ
ェニル)プロパン等を挙げることができる。中でも、エ
チレングリコールが好ましく用いられる。これらのジオ
ール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上併用しても
よい。
【0023】本発明のポリエステルフィルムに用いられ
るポリエステルとして好ましくは、ポリエチレンテレフ
タレート、エチレンテレフタレートとエチレンイソフタ
レートとの共重合体、ポリブチレンテレフタレートおよ
びその共重合体、ポリブチレンナフタレートおよびその
共重合体、さらにはポリヘキサメチレンテレフタレート
およびその共重合体、ポリヘキサメチレンナフタレート
およびその共重合体等を挙げることができ、特に耐熱性
と透明性および機械強度のバランスの点からポリエチレ
ンテレフタレートが好ましく用いられる。
【0024】本発明におけるポリエステルは、従来公知
の方法で製造することができる。例えば、酸成分をジオ
ール成分と直接エステル化反応させた後、この反応の生
成物を減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去しつ
つ重縮合させることによって製造する方法や、酸成分と
してジアルキルエステルを用い、これとジオール成分と
でエステル交換反応させた後、上記と同様に重縮合させ
ることによって製造する方法等がある。この際、必要に
応じて、反応触媒として従来公知のアルカリ金属、アル
カリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモ
ン、ゲルマニウムおよびチタン化合物を用いることがで
きる。
【0025】本発明に於けるポリエステルには、必要に
応じてさらに難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、帯電防止剤、顔料、脂肪酸エステル、ワックス等
の有機滑剤あるいはシロキサン等の消泡剤等を配合する
ことができる。
【0026】本発明のポリエステルフィルムは、上述の
ポリエステルを必要に応じて乾燥し、公知の溶融押出し
機に供給し、スリット状のダイから単層または複合層の
シート状に押出し、静電印加などの方式によりキャステ
ィングドラムに密着、冷却固化して未延伸シートとした
後、2方向に延伸、そして熱処理して得られる。延伸方
向の2軸は直交していることが好ましく、その2軸は幅
方向と長手方向に明確に区別できることが好ましい。延
伸方法は、長手方向に延伸した後幅方向に延伸する逐次
二軸延伸方法や、長手方向と幅方向をほぼ同時に延伸す
る同時二軸延伸方法などの公知技術が用いられる。
【0027】本発明のポリエステルフィルムを製膜する
にあたっては、幅方向の延伸条件が重要である。幅方向
の熱収縮率に大きく関わってくるのは、延伸倍率、延伸
温度、延伸後の熱処理温度、延伸後の熱処理時の弛緩収
縮率(以後リラックス率と呼ぶ)の4種のパラメータで
ある。ポリエステルフィルムを製膜する際、一般的には
延伸倍率は2.0〜5.0倍、延伸温度は80℃〜13
0℃(ポリエステルのガラス転移点以上〜結晶化温度未
満)、延伸後の熱処理温度は140〜240℃(ポリエ
ステルの結晶化温度以上〜融点未満)であるのが好まし
いが、最適な熱収縮率を実現するためには4種のパラメ
ータのバランスが重要である。4種のうち他の3種を固
定して、延伸倍率のみを上げると熱収縮率は上がり、延
伸温度を上げると熱収縮率は下がり、延伸後の熱処理温
度のみを上げると熱収縮率は下がり、リラックス率のみ
を上げると熱収縮率は下がる。一例として、幅方向の倍
率が3.7倍の時は、延伸温度を120℃、熱処理温度
を220℃、リラックス率を4.0%なる条件にするの
が好ましいが、もちろんこの限りではない。
【0028】上述の逐次二軸延伸で製膜する場合には、
長手方向の後で幅方向に延伸することになるので、長手
方向延伸の直後に熱処理を施すのは好ましくない。結晶
化を促進してしまって、次の幅方向の延伸時に結晶の自
由度を奪ってしまうからである。また上述の同時二軸延
伸で製膜する場合には、長手方向と幅方向の熱処理を同
時に行うことになるが、優先度の高い幅方向に熱処理の
条件を合わせるべきである。どちらの延伸方法でも、長
手方向の熱収縮率に大きく関わってくるのは延伸倍率と
延伸温度であり、延伸後の熱処理を考慮する必要性はな
い(もしくは低い)。長手方向でも同様に延伸倍率が高
い程熱収縮率は大きくなり、逆に延伸温度が高い程熱収
縮率は小さくなる。一例として、長手方向の倍率が3.
0倍の時は延伸温度は90℃にするのが好ましいが、こ
の限りではない。
【0029】本発明のポリエステルフィルムは、後加工
での接着性や機械走行性(易滑性)等を付与するため
に、少なくとも片面にコーティング膜を有することが好
ましい。特にハードコート層を付与する方の面には、ポ
リエステルフィルムとハードコート層を接着するための
コーティング膜が必須である。またもう片方の面にも、
ディスプレイや窓等に貼り付けるときに必要な粘着剤を
付与しやすいように、接着性の高いコーティング膜を有
することが好ましい。
【0030】このコーティング膜を構成する成分として
は、少なくともハードコート層との接着性を有するもの
であれば特に限定されるものではないが、さらに上記粘
着剤との接着性を有するものが好ましい。またディスプ
レイや窓に貼り付ける用途に用いる際には、ポリエステ
ルフィルムの屈折率にでき得るだけ近い屈折率を有する
成分を主成分にするのが好ましい。接着性と屈折率を考
慮すると、コーテイング膜の主成分にはポリエステル樹
脂、アクリル樹脂あるいはウレタン樹脂を用いることが
好ましく、また耐熱接着性や耐湿接着性を向上させるた
めに、メラミン系架橋剤やオキサゾリン系架橋剤を併用
することが好ましいが、コーティング膜の構成成分とし
てはこの限りではない。またコーティング膜中には各種
の添加剤や微粒子が配合されていてもよく、特に、無機
粒子をコーティング膜中に添加したものは易滑性や耐ブ
ロッキング性が向上するので更に好ましい。
【0031】ポリエステルフィルムの製造に際して、コ
ーティング膜を設けるのに好ましい方法としては、製造
工程中にフィルム上に設け、フィルムと共に延伸する方
法が好適であり、中でも、生産性を考慮すると、製膜工
程中に、塗布方法で設ける方法が最も好適であるが、こ
れに限定されるものではない。ポリエステルフィルム上
への塗布の方法は各種の塗布方法、例えば、リバースコ
ート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコー
ト法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレー
コート法などを用いることができる。またコーティング
膜の塗布の均一性や接着性を考慮して、表面にコロナ放
電を施しても構わない。
【0032】本発明のポリエステルフィルムの厚みは、
ハードコート層の付与やさらなる高次加工に耐えられる
耐熱性や機械強度、寸法安定性を満たすものが望まし
い。厚みが50μm以上であると熱的及び機械的安定性
がよく、また、250μm以下であると剛性が高すぎず
取り扱い性が良くなり、ロール長尺化が容易になり生産
性がよくなるので、50〜250μmが好ましく、より
好ましくは100〜200μmである。
【0033】本発明のポリエステルフィルムは、片面に
ハードコート層を設けたハードコートフィルムに用いら
れる。ハードコートフィルムは更なる加工によって高機
能性積層フィルムとして様々な用途に用いられる。例え
ば、反射防止膜を蒸着し撥水加工した反射防止フィル
ム、紫外線吸収機能を施して撥水加工した窓貼り用フィ
ルム、透明電極を付与したタッチキー、等である。
【0034】ハードコート層は、鉛筆やボールペンの先
端、爪などの接触や、表面を拭いて清浄化する際の擦過
によるキズの発生を押さえるためのものである。この厚
さは、1μm以下では十分な表面硬度が得られず、ま
た、20μm以上ではフィルム全体としての柔軟性がな
くなりクラック、カール等の問題が生じることがあるの
で、1〜20μmであることが好ましく、5〜15μm
がより好ましい。
【0035】ハードコート層の構成成分としては、ポリ
有機シロキサン、シリカ、アルミナなどの無機酸化物系
あるいは有機アクリル系など公知物質のいずれでもよ
い。形成方法としては、真空蒸着方式、溶液の塗布・乾
燥によるウェットコーティング方式など、公知技術のい
ずれを用いてもよい。
【0036】なお、本発明における評価基準は次の通り
である。
【0037】(1)熱収縮率 ASTM法に基づいて測定した。
【0038】(2)TMAの伸び率 フィルム片を、真空理工社製、TM−9300型熱機械
試験器にセットし、測定方向に一定圧力の荷重をかけた
状態で、常温から昇温速度一定で測定した。
【0039】(3)ハードコートフィルムの熱カール評
価 ハードコートフィルムをA4サイズに裁断して、平らな
ガラス板上に置き(カールの内側の面を上にして)、1
時間放置後、各頂点のガラス板からの浮き上がり高さを
測定し、最大高さを3段階評価(○:最大高さが5mm
以下、△:最大高さが5mmを越え10mm以下、×:
最大高さが10mmを越える)した。(○)、(△)が
カールせず良好、(×)がカール異常の水準である。
【0040】
【実施例】以下に示す実施例は一例であり、本発明はこ
れに限定されるものではない。 [実施例1]ポリエチレンテレフタレートを十分に真空
乾燥した後、280℃で溶融押出し、静電印加された2
0℃のキャスティングドラム上にて冷却し無延伸シート
を得た。このシートを80℃の予備加熱後、90℃の温
度で長手方向に3.0倍延伸した。この後フィルムの両
面にコーティング膜を塗布方式で付与してから、120
℃で幅方向に3.7倍延伸した後、リラックス率(弛緩
収縮率)を4.0%に設定して220℃で熱処理した。
これにより、188μmの厚さのポリエチレンテレフタ
レートフィルムを得た。
【0041】このフィルムに対して幅方向の熱収縮率
(150℃で30分加熱)を測定すると0.5%であっ
た。また幅方向のTMA測定(荷重5.0g/mm2
加熱速度10℃/分)における150℃での伸び率は0
%であった。また長手方向の熱収縮率(150℃で30
分加熱)は1.0%であった。
【0042】このフィルムの片面にハードコートを付与
した後、150℃加熱1分間の撥水加工を施したとこ
ろ、ハードコート側の面を上にしたカール性評価は
(○)であった。
【0043】この撥水加工したハードコートフィルムを
反射防止フィルムとして平面ディスプレイに貼り付けた
時の、貼り付け合格率は98%であった。 [実施例2]長手方向の延伸倍率を3.3倍、幅方向延
伸後の熱処理温度を200℃に変更し、他は実施例1と
同様にして製膜したところ、188μmの厚さのポリエ
チレンテレフタレートフィルムを得た。
【0044】このフィルムの幅方向の熱収縮率(150
℃で30分加熱)は0.7%であった。また幅方向のT
MA測定(荷重5.0g/mm2、加熱速度10℃/
分)における150℃での伸び率は-0.4%であった。ま
た長手方向の熱収縮率(150℃で30分加熱)は1.
5%であった。
【0045】このフィルムの片面にハードコートを付与
した後、150℃加熱1分間の撥水加工を施したとこ
ろ、ハードコートと逆側の面を上にしたカール性評価は
(△)であった。
【0046】この撥水加工したハードコートフィルムを
反射防止フィルムとして平面ディスプレイに貼り付けた
時の、貼り付け合格率は93%であった。 [実施例3]長手方向の延伸温度を80℃、幅方向の延
伸倍率を3.3倍に変更し、他は実施例1と同様にして
製膜したところ、188μmの厚さのポリエチレンテレ
フタレートフィルムを得た。
【0047】このフィルムの幅方向の熱収縮率(150
℃で30分加熱)は0.2%であった。また幅方向のT
MA測定(荷重5.0g/mm2、加熱速度10℃/
分)における150℃での伸び率は0.7%であった。
また長手方向の熱収縮率(150℃で30分加熱)は
1.3%であった。
【0048】このフィルムの片面にハードコートを付与
した後、150℃加熱1分間の撥水加工を施したとこ
ろ、ハードコート側の面を上にしたカール性評価は
(△)であった。
【0049】この撥水加工したハードコートフィルムを
反射防止フィルムとして平面ディスプレイに貼り付けた
時の、貼り付け合格率は91%であった。 [比較例1]幅方向のリラックス率(弛緩収縮率)を
6.0%に変更し、他は実施例1と同様にして製膜した
ところ、188μmの厚さのポリエチレンテレフタレー
トフィルムを得た。
【0050】このフィルムの幅方向の熱収縮率(150
℃で30分加熱)は−0.1%であった。また幅方向の
TMA測定(荷重5.0g/mm2、加熱速度10℃/
分)における150℃での伸び率は0.9%であった。
また長手方向の熱収縮率(150℃で30分加熱)は
1.0%であった。
【0051】このフィルムの片面にハードコートを付与
した後、150℃加熱1分間の撥水加工を施したとこ
ろ、ハードコート側の面を上にしたカール性評価は
(×)であった。
【0052】この撥水加工したハードコートフィルムを
反射防止フィルムとして平面ディスプレイに貼り付けた
時の、貼り付け合格率は64%であった。 [比較例2]幅方向のリラックス率(弛緩収縮率)を
2.0%に変更し、他は実施例1と同様にして製膜した
ところ、188μmの厚さのポリエチレンテレフタレー
トフィルムを得た。
【0053】このフィルムの幅方向の熱収縮率(150
℃で30分加熱)は1.0%であった。また幅方向のT
MA測定(荷重5.0g/mm2、加熱速度10℃/
分)における150℃での伸び率は−0.8%であっ
た。また長手方向の熱収縮率(150℃で30分加熱)
は1.0%であった。
【0054】このフィルムの片面にハードコートを付与
した後、150℃加熱1分間の撥水加工を施したとこ
ろ、ハードコートの逆側の面を上にしたカール性評価は
(×)であった。
【0055】この撥水加工したハードコートフィルムを
反射防止フィルムとして平面ディスプレイに貼り付けた
時の、貼り付け合格率は69%であった。
【0056】実施例1〜3および比較例1、2の特性結
果を表1にまとめた。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】ポリエステルフィルムの熱挙動を管理す
ることによって、ハードコートフィルムの熱加工時のカ
ールを抑制することができ、ハードコートフィルムの貼
り付け易さが良化して、生産性が向上した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F006 AA35 AB39 BA02 CA05 4F071 AA46 AF21 AF21Y AF61 AF61Y AH16 BA01 BB06 BB08 BC01 BC02 4F100 AK01A AK41B AT00B BA02 CC00A GB41 JA03B JK12A JL04 YY00B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】片面にハードコート層を有する積層フィル
    ムに用いられるポリエステルフィルムであって、該フィ
    ルムを150℃で30分間熱処理したときの幅方向の熱
    収縮率が0.2〜0.8%であることを特徴とするポリ
    エステルフィルム。
  2. 【請求項2】幅方向に5.0 g/mm2の荷重をかけて、1
    0℃/分の加熱速度で150℃に到達した時の伸び率が
    −0.5〜0.5%であることを特徴とする、請求項1
    に記載のポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】150℃で30分間熱処理したときの長手
    方向の熱収縮率が0.6〜1.2%であることを特徴と
    する、請求項1または2に記載のポリエステルフィル
    ム。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載のポリエス
    テルフィルムを用いることを特徴とするハードコートフ
    ィルム。
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