JP2003040854A - クロロスルホニルイソシアナートの製造方法 - Google Patents

クロロスルホニルイソシアナートの製造方法

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JP2003040854A
JP2003040854A JP2001229825A JP2001229825A JP2003040854A JP 2003040854 A JP2003040854 A JP 2003040854A JP 2001229825 A JP2001229825 A JP 2001229825A JP 2001229825 A JP2001229825 A JP 2001229825A JP 2003040854 A JP2003040854 A JP 2003040854A
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chlorosulfonyl isocyanate
boiling point
distillation
residual liquid
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Akira Nakamura
晶 中村
Hiroshi Hasegawa
博 長谷川
Kazunari Kon
和成 近
Masaki Iwata
正樹 岩田
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 クロロスルホニルイソシアナートを、高純
度、高収率、効率的且つ安全に製造する方法を提供す
る。 【解決手段】 塩化シアンAと無水硫酸Bとを縮合反応
(第一工程)させて粗クロロスルホニルイソシアナート
を含有する反応液4を得、得られた反応液からクロロス
ルホニルイソシアナート9を蒸留分離(第二、第三工
程)する際に釜残液7の分解処理(第四工程)を行う。
それと共に、クロロスルホニルイソシアナートの蒸留分
離や釜残液の分解処理により得られる低沸点留分(5,
8,10,11)を回収し、塩化シアンと無水硫酸との
縮合反応に再利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬、農薬、甘味料等
を製造するための中間原料として、あるいは合成繊維、
合成樹脂等の改質剤として有用な化合物であるクロロス
ルホニルイソシアナートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、クロロスルホニルイソシアナート
の製造方法として、マイナス50℃以下の低温条件下
で、液体塩化シアン中に無水硫酸を添加して縮合反応さ
せる方法[Chem.Ber.,89,1071(1956); 西ドイツ特許9288
96号公報(1955)]や、無水硫酸と塩化シアンとを10
0℃以上、例えば100〜200℃の温度条件下で縮合
反応させる方法[ヨーロッパ特許294613B号公報(1988);
スイス特許680292A5号公報(1992)]が報告されている。
しかし、前者の方法の場合、無水硫酸に対して多量
(1.5〜3倍モル)の液体塩化シアンを使用しなけれ
ばならず、非経済的であり、また、塩化シアンの強毒性
のために安全上の観点からも工業的生産に適しておら
ず、しかも単離収率も60〜62%と低く、得られる最
終製品のクロロスルホニルイソシアナートの品質(特
に、純度)が市場の要求を満たしていないという問題が
あった。また、後者の方法の場合、無水硫酸及び塩化
シアンの流量の制御が容易でないだけでなく副生成物も
多く、このため得られる最終製品のクロロスルホニルイ
ソシアナートの品質が、前者の方法と同様に、市場の
要求を満たしていないという問題があった。
【0003】このため、これらの問題を解決したクロロ
スルホニルイソシアナートの製造方法として、反応系
の温度を20〜50℃に保ちつつ、液体無水硫酸中へ塩
化シアンを添加して縮合反応させる方法(特開昭63−
77855号公報)、反応系の温度を10〜50℃に
保ちつつ塩化シアンと無水硫酸とを同時に反応系に供給
して縮合反応させる方法(特開平1−228955号公
報)、塩素系炭化水素溶媒中で塩化シアンと無水硫酸
とを縮合反応させる方法(特開平4−164063号公
報)が提案されている。これらの方法〜によれば、
工業的に比較的簡単な手法でクロロスルホニルイソシア
ナートを、比較的高収率(74〜91%)、高純度(9
0〜98%)で得ることが可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
方法〜においては、副生成物について、危険で煩雑
且つ高コストの分解バッチ処理操作が必須であるという
問題があった。具体的には、塩化シアンと無水硫酸との
縮合反応液からクロロスルホニルイソシアナートを蒸留
分離した蒸留残液を、別の分解釜に移して加熱処理を施
し、分解により生じたクロロスルホニルイソシアナート
を蒸留により回収するという処理が必須であった。ここ
で、この分解バッチ処理操作の際に蒸留残液が生ずる
が、これらは廃棄処分されており、収率の向上に寄与す
るものではなかった。
【0005】また、上述の方法〜においては、縮合
反応液から目的物のクロロスルホニルイソシアナートの
蒸留分離の際及び蒸留残液の分解処理の際に、低沸点留
分が多量に生じないように反応条件を設定しているた
め、基本的に低沸点留分は廃棄の対象となっており、再
利用されることがなかった。
【0006】また、クロロスルホニルイソシアナートに
対し、市場が要求する品質(特に純度)が高レベルとな
ってきており、今まで以上に高品質のクロロスルホニル
イソシアナートを高収率で、低コストで得る方法が求め
られるようになっている。
【0007】本発明の目的は、以上の従来の技術の課題
を解決することであり、具体的にはクロロスルホニルイ
ソシアナートを、高純度、高収率、効率的且つ安全に製
造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、クロロス
ルホニルイソシアナートを蒸留分離した釜残液の分解処
理を行うと共に、クロロスルホニルイソシアナートの蒸
留分離や釜残液の分解・蒸留処理により得られる低沸点
留分を回収再利用することにより、上述の目的を達成で
きることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】即ち、本発明は、塩化シアンと無水硫酸と
からクロロスルホニルイソシアナートを製造する方法に
おいて、以下の工程: (第一工程) 塩化シアンと無水硫酸とを縮合反応さ
せ、クロロスルホニルイソシアナートを含有する縮合反
応液を得る工程; (第二工程) 第一工程で得た縮合反応液を、常圧下で
加熱処理しながら蒸留することにより、低沸点留分と、
それよりも高い沸点を有する粗クロロスルホニルイソシ
アナート含有留分と、蒸留残液とに分離する工程; (第三工程) 第二工程で得た粗クロロスルホニルイソ
シアナート含有留分を、常圧下で蒸留精製することによ
り、低沸点留分と、それよりも高い沸点を有する精製ク
ロロスルホニルイソシアナート留分と、蒸留残液とに分
離する工程;及び (第四工程) 第二工程で得た蒸留残液を、常圧下で加
熱処理しながら蒸留することにより、留出液と蒸留残廃
液とに分離する工程;を含み、第三工程で得られた精製
クロロスルホニルイソシアナート留分を目的のクロロス
ルホニルイソシアナートとして取得すると共に、第二工
程で得た低沸点留分と第三工程で得た低沸点留分及び蒸
留残液と第四工程で得た留出液とを混合した回収液を、
第一工程の塩化シアンと無水硫酸との縮合反応に投入す
ることを特徴とするクロロスルホニルイソシアナートの
製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のクロロスルホニル
イソシアナートの製造方法について、工程毎に詳細に説
明する。なお、図1に、本発明の製造方法の工程フロー
を示す。
【0011】(第一工程)第一工程は、塩化シアン(原
料A)と無水硫酸(原料B)とを混合して縮合反応さ
せ、クロロスルホニルイソシアナートを含有する縮合反
応液を得る工程である。この工程の目的は、塩化シアン
と無水硫酸との反応を選択率よくクロロスルホニルイソ
シアナートに変換し、反応後の反応液中のクロロスルホ
ニルイソシアナート濃度を少なくとも80質量%以上、
好ましくは90質量%以上にすることにある。この目的
達成のためには、主要な副生成物であるクロロピロスル
ホニルイソシアナート、2,6−ジクロロ−1,4,
3,5−オキサチアジアジン−4,4−ジオキシドの生
成比率を低く押さえることが好ましく、そのためには、
後述するように、縮合反応温度や塩化シアンと無水硫酸
との反応比率等を調整すればよい。
【0012】本発明において使用する無水硫酸として
は、工業的に製造されたものを使用することができ、反
応性に富む点からγ型の無水硫酸で99質量%以上の純
度を有しているものが特に好ましく使用できる。無水硫
酸の使用時の状態としては、気体又は液体のいずれでも
よいが、液体状態で使用することがより望ましい。
【0013】本発明において使用する塩化シアンとして
は、青酸と塩素とから工業的に製造された高純度のもの
を使用することが好ましい。塩化シアンの使用時の状態
としては、気体又は液体のいずれでもよいが、気体状態
で使用することがより望ましい。
【0014】第一工程における原料供給に関し、図1に
示すように、塩化シアン(1)と無水硫酸(2)とは、
各々別の供給口から反応系中へ供給する。それぞれの供
給は連続的であっても断続的であっても差し支えない
が、副反応を抑制するために、両者を連続的且つ同時に
反応系に供給することが好ましい。
【0015】なお、本発明においては、後述する第二工
程で得られる低沸点留分(5)、第三工程で得られる低
沸点留分(8)及び蒸留残液(10)並びに第四工程で
得られる留出液(11)を混合した回収液(3)を反応
系に予め仕込み、撹拌もしくは循環下で塩化シアン
(1)及び無水硫酸(2)の供給を開始する。但し、初
回の反応に際して、低沸点留分(5)及び(8)、蒸留
残液(10)並びに留出液(11)が回収前であれば、
回収液の仕込をすることなく、塩化シアン(1)と無水
硫酸(2)の供給を行う。
【0016】第一工程における縮合反応温度は、低すぎ
ても高すぎても、副生成物であるクロロピロスルホニル
イソシアナートや2,6−ジクロロ−1,4,3,5−
オキサチアジアジン−4,4−ジオキシドの形成比率が
高くなり、第一工程でのクロロスルホニルイソシアナー
トの選択性が低下し、第二工程以降の工程に悪影響を及
ぼすので、好ましくは10〜50℃、より好ましくは2
0〜35℃である。
【0017】第一工程の縮合反応における塩化シアン
(1)の使用量(連続供給の場合には単位時間当たりの
使用量)としては、無水硫酸(2)の使用量に対して
0.8〜1.3モル倍、好ましくは0.9〜1.1モル
倍である。この範囲を外れると、副生成物の形成比率が
大幅に増加し、第一工程でのクロロスルホニルイソシア
ナートの選択性が低下し、更に反応系に結晶析出が生
じ、液流動が困難となったり、除熱ができなるなるなど
の弊害が生じ、第一工程での反応の温度コントロールが
困難となるおそれがある。
【0018】第一工程の縮合反応時間は、上述の温度条
件及び供給モル比条件を満足させることができる範囲で
あれば、塩化シアン(1)及び無水硫酸(2)の供給開
始から完了した時点で、実質的な縮合反応は完結するの
で、特に限定する必要は生じない。反応終了後の縮合反
応液(4)は直ちに次の第二工程に移送することができ
る。
【0019】なお、縮合反応液(4)は、目的物である
クロロスルホニルイソシアナートの他に、それよりも低
沸点の原料無水硫酸及び原料塩化シアン、更に高沸点の
副生成物であるクロロピロスルホニルイソシアナート、
2,6−ジクロロ−1,4,3,5−オキサチアジアジ
ン−4,4−ジオキシド、ジ(クロロスルホニル)エー
テル、スルホニルジイソシアナートを含有する可能性が
ある。副生成物のうち、クロロピロスルホニルイソシア
ナートはクロロスルホニルイソシアナートと無水硫酸と
に熱分解させることができ、3,5−オキサチアジアジ
ン−4,4−ジオキシドはクロロスルホニルイソシアナ
ートと塩化シアンとに熱分解させることができる。しか
し、ジ(クロロスルホニル)エーテルとスルホニルジイ
ソシアナートとからは通常の熱分解条件ではクロロスル
ホニルイソシアナートを得ることができないことが知ら
れている。
【0020】(第二工程)第二工程は、第一工程で得た
縮合反応液(4)を、常圧下で加熱処理しながら蒸留す
ることにより、低沸点留分(塩化シアン、無水硫酸、二
酸化硫黄、塩化スルフリル等)(5)と、それよりも高
い沸点を有する粗クロロスルホニルイソシアナート含有
留分(6)と、上述した高沸点副生成物を含有する蒸留
残液(7)とに分離する工程である。この工程において
は、「常圧下で加熱処理しながら蒸留する」という操作
で、第一工程で得られた縮合反応液中に含まれている高
沸点副生成物の熱分解と、粗クロロスルホニルイソシア
ナートの分離とを、工業的に通常用いられる蒸留塔を備
えた加熱処理可能な反応器で行う。
【0021】第二工程における加熱処理条件は、縮合反
応液の温度が低すぎると副生成物の分解が十分でなく、
高すぎると逆に副反応が起きて高沸点物質の生成が顕著
となるので、好ましくは80℃〜130℃である。加熱
する際、低沸点留分(5)の留出に伴って80℃→13
0℃まで徐々に上昇させるように加熱する。
【0022】加熱処理時間は、所定の温度条件で、少な
くとも5時間以上、好ましくは10時間〜20時間に設
定する。
【0023】低沸点留分(5)は、好ましくは100℃
未満の沸点の留分を主体とするものであり、従って留出
温度が100℃未満、好ましくは90℃以下の留分を集
めればよい。低沸点留分(5)の留出量としては、縮合
反応液(4)の仕込量の好ましくは5〜30質量%、よ
り好ましくは5〜20質量%である。
【0024】得られた低沸点留分(5)は、後述するよ
うに、回収液(3)として次回の第一工程の反応に使用
する。
【0025】粗クロロスルホニルイソシアナート含有留
分(6)は、好ましくは沸点100〜110℃の留分で
あり、従って留出温度が100〜110℃、好ましくは
105〜108℃の留分を集めればよい。粗クロロスル
ホニルイソシアナート含有留分(6)の留出量として
は、縮合反応液(4)の仕込量の好ましくは50〜80
質量%、好ましくは60〜75質量%である。
【0026】このようにして得られた粗クロロスルホニ
ルイソシアナート含有留分(6)はこの段階で少なくと
も98%以上、通常99%以上の純度を示し、蒸留精製
するために、次の第三工程に移送される。
【0027】また、蒸留釜に残留する蒸留残液(7)の
量としては、縮合反応液(4)の仕込量の好ましくは1
0〜40質量%、より好ましくは15〜25質量%であ
る。
【0028】蒸留残液(7)は、後述する第四工程に移
送する。
【0029】(第三工程)第三工程は、第二工程で得た
粗クロロスルホニルイソシアナート含有留分(6)を、
常圧下で蒸留精製することにより、低沸点留分(8)
と、それよりも高い沸点を有する精製クロロスルホニル
イソシアナート留分(9)と、蒸留残液(10)とに分
離する工程である。この工程においては、「常圧下で蒸
留精製する」という操作で、第二工程で得られた粗クロ
ロスルホニルイソシアナート含有留分(6)から、99
%を超える目的の高純度のクロロスルホニルイソシアナ
ートとして精製クロロスルホニルイソシアナート留分
(9)と、不純物である低沸点留分(8)と高沸点副生
成物を含有する蒸留残液(10)との分離を、工業的に
通常用いられる蒸留塔を備えた加熱処理可能な反応器で
行う。
【0030】第三工程における蒸留精製時の加熱条件
は、ほぼ純粋のクロロスルホニルイソシアナートの蒸留
精製に必要な温度でよいので、常圧下で好ましくは10
0℃〜120℃、より好ましくは105〜115℃であ
る。
【0031】低沸点留分(8)は、好ましくは104℃
未満の沸点の留分を主体とするものであり、従って留出
温度が104℃未満、好ましくは106℃未満の留分を
集めればよい。低沸点留分(8)の留出量としては、粗
クロロスルホニルイソシアナート含有留分(6)の仕込
量の好ましくは5〜20質量%、より好ましくは5〜1
5質量%である。
【0032】得られた低沸点留分(8)は、後述するよ
うに、回収液(3)として次回の第一工程の反応に使用
する。
【0033】精製クロロスルホニルイソシアナート留分
(9)は、好ましくは沸点104〜110℃、より好ま
しくは106〜108℃の留分であり、従って留出温度
が104〜110℃、好ましくは106〜108℃の留
分を集めればよい。精製クロロスルホニルイソシアナー
ト留分(9)の留出量としては、粗クロロスルホニルイ
ソシアナート含有留分(6)の仕込量の好ましくは60
〜85質量%、好ましくは65〜85質量%である。得
られた精製クロロスルホニルイソシアナート留分(9)
が目的物である高純度のクロロスルホニルイソシアナー
トとなる。
【0034】また、蒸留釜に残留する蒸留残液(10)
の量としては、粗クロロスルホニルイソシアナート含有
留分(6)の仕込量の好ましくは5〜40質量%、より
好ましくは5〜25質量%である。
【0035】蒸留残液(10)は、回収液(3)として
第一工程に戻すが、必要に応じ、後述する第四工程と同
様に常圧下で加熱処理しながら蒸留してその留出液を回
収液(3)としてもよい。
【0036】(第四工程)第四工程は、第二工程で得た
蒸留残液(7)を、常圧下で加熱処理しながら蒸留する
ことにより、留出液(11)と蒸留残廃液(12)とに
分離する工程である。また、必要に応じて行う第三工程
の蒸留残液(10)の加熱処理と蒸留も、この工程に併
せて、第二工程の蒸留残液(7)と第三工程の蒸留残液
(10)との混合蒸留残液として加熱処理と蒸留を行っ
てもよい。この工程においては、「常圧下で加熱処理し
ながら蒸留する」という操作で、蒸留残液に含まれてい
る高沸点副生成物を熱分解して反応に再利用できる留出
液(11)を回収することを、工業的に通常用いられる
蒸留塔を備えた加熱処理可能な反応器で行う。
【0037】第四工程における加熱処理条件は、蒸留残
液の温度が低すぎると高沸点副生成物の熱分解が十分で
なく、高すぎると逆に副反応が起きて高沸点物質の生成
が顕著となるので、好ましくは100℃〜140℃であ
る。加熱する際、留出液(11)の留出に伴って100
℃→140℃まで徐々に上昇させるように加熱する。
【0038】加熱処理時間は、所定の温度条件で、少な
くとも10時間以上、好ましくは10時間〜30時間に
設定する。
【0039】留出液(11)は、好ましくは120℃未
満の沸点の留分を主体とするものであり、従って留出温
度が120℃未満、好ましくは110℃以下の留分を集
めればよい。留出液(11)の留出量としては、蒸留残
液の仕込量の好ましくは70〜90質量%、より好まし
くは75〜85質量%である。
【0040】得られた留出液(11)は、前述したよう
に回収液(3)として次回の第一工程の反応に使用す
る。
【0041】また、蒸留釜に残留する蒸留残廃液(1
2)の量としては、蒸留残液の仕込量の好ましくは10
〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%であ
る。
【0042】蒸留残廃液(12)は、蒸留釜にそのまま
残して置き、次回の加熱分解処理時に再度加熱分解する
か、加水分解して廃棄物とする。
【0043】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。
【0044】なお、クロロスルホニルイソシアナートの
純度は、塩化メチレン溶液としたクロロスルホニルイソ
シアナートに水を徐々に滴下して分解し、生成したスル
ファミン酸と塩酸とを水酸化ナトリウム水溶液で滴定す
る方法により求めた。
【0045】実施例1 (第一工程)第一工程の反応槽に回収液(3)1792
kgを仕込み、冷却循環下に反応系中の温度を25〜3
0℃に保持しながら、塩化シアンガス(1)1260k
gとγ型の無水硫酸(2)1640kgを、各々7時間
かけて、反応系中に同時に導入した。終了後、得られた
縮合反応液(4)4692kgを第二工程の反応槽に移
送した。
【0046】(第二工程)縮合反応液(4)4692k
gを、液温80〜120℃の範囲で加熱し、1時間かけ
て留出温度100℃未満の留分を、ガラスラシヒリング
(直径10mm)を充填した直径38cm、高さ4.6
7mの充填塔を用いて分離し、低沸点留分(5)326
kgを得た。その後、同様に液温80〜120℃での範
囲で加熱し、10時間かけて留出温度100〜110℃
の留分を分離し、得られた粗クロロスルホニルイソシア
ナート含有留分(6)3428kgを第三工程の反応槽
に移送した。低沸点留分(5)326kgは反応回収用
貯槽に移送した。
【0047】釜に残留した蒸留残液(7)938kgは
第四工程の反応槽に移送した。
【0048】(第三工程)粗クロロスルホニルイソシア
ナート含有留分(6)3428kgを液温100〜12
0℃の範囲で加熱し、5時間かけて留出温度106℃未
満の低沸分を、ガラスラシヒリング(直径10mm)を
充填した直径38cm、高さ4.67mの充填塔を用い
て分離し、低沸点留分(8)356kgを得た。その
後、同様に液温105〜115℃の範囲で加熱し、24
時間かけて留出温度106〜108℃の留分を分離し、
精製クロロスルホニルイソシアナート留分(9)272
9kg(純度99.8%)を製品として得た。収率は9
4.8%(使用した塩化シアン基準)であった。
【0049】低沸点留分(8)356kgは反応回収用
貯槽に移送した。釜に残留した蒸留残液(10)343
kgも反応回収用貯槽に移送した。
【0050】(第四工程)第二工程の釜に残留した蒸留
残液(7)938kgを、液温100〜130℃の範囲
で加熱し、12時間かけて留出温度110℃未満の留分
を、ガラスラシヒリング(直径l0mm)を充填した直
径38cm、高さ4.67mの充填塔を用いて分離し、
留出液(11)767kgを得た。釜に残留した蒸留残
廃液(12)171kgは、廃棄処分とした。
【0051】留出液(11)767kgは反応回収用貯
槽に移送し、反応回収用貯槽の回収液(3)の合計量1
792kg(内訳:低沸点留分(5)326kg+低沸
点留物(8)356kg+蒸留残液(10)343kg
+留出液(11)767kg)を確認後、第一工程の反
応槽に移送した。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、塩化シアンと無水硫酸
とを出発原料として、クロロスルホニルイソシアナート
の生産性を大幅に向上させることができ、高純度、高収
率で、しかも工業的に極めて簡単な方法でクロロスルホ
ニルイソシアナートを得ることができる。
【0053】また、第一工程〜第四工程までの一連の工
程をクローズサイクル化すれば、製造方法の安全性と利
便性とを更に高めることができ、第四工程における加熱
分解またはその蒸留残液を蓄積させての繰り返し加熱分
解により、高濃度に毒性化合物を含む廃棄液の量が大幅
に減少する。
【0054】更に、廃棄液の量が減少するので、分解を
完全にする必要から煩雑で、かつ漏洩やシアンガス発生
の危険を伴う廃棄液の加水分解処理操作を軽減させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工程フロー図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近 和成 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2番28号 株 式会社クラレ内 (72)発明者 岩田 正樹 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2番28号 株 式会社クラレ内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AD11 BC51 BD40 BD52 BD60 BD84 BE43 BE90

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化シアンと無水硫酸とからクロロスル
    ホニルイソシアナートを製造する方法において、以下の
    工程: (第一工程) 塩化シアンと無水硫酸とを縮合反応さ
    せ、クロロスルホニルイソシアナートを含有する縮合反
    応液を得る工程; (第二工程) 第一工程で得た縮合反応液を、常圧下で
    加熱処理しながら蒸留することにより、低沸点留分と、
    それよりも高い沸点を有する粗クロロスルホニルイソシ
    アナート含有留分と、蒸留残液とに分離する工程; (第三工程) 第二工程で得た粗クロロスルホニルイソ
    シアナート含有留分を、常圧下で蒸留精製することによ
    り、低沸点留分と、それよりも高い沸点を有する精製ク
    ロロスルホニルイソシアナート留分と、蒸留残液とに分
    離する工程;及び (第四工程) 第二工程で得た蒸留残液を、常圧下で加
    熱処理しながら蒸留することにより、留出液と蒸留残廃
    液とに分離する工程;を含み、第三工程で得られた精製
    クロロスルホニルイソシアナート留分を目的のクロロス
    ルホニルイソシアナートとして取得すると共に、第二工
    程で得た低沸点留分と第三工程で得た低沸点留分及び蒸
    留残液と第四工程で得た留出液とを混合した回収液を、
    第一工程の塩化シアンと無水硫酸との縮合反応に投入す
    ることを特徴とするクロロスルホニルイソシアナートの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 第二工程において、その加熱処理が縮合
    反応液を80〜130℃に加熱することであり、低沸点
    留分が沸点100℃未満の留分を主体とするものであ
    り、粗クロロスルホニルイソシアナート含有留分が沸点
    100〜110℃の留分を主体とするものである請求項
    1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 第三工程において、低沸点留分が沸点1
    04℃未満の留分を主体とするものであり、精製クロロ
    スルホニルイソシアナート留分が沸点104〜110℃
    の留分を主体とするものである請求項1又は2記載の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 第四工程において、その加熱処理が混合
    蒸留残液を100〜140℃に加熱することである請求
    項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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