JP2003037288A - 半導体結晶膜の成長方法 - Google Patents
半導体結晶膜の成長方法Info
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Abstract
その結晶構造を改善し、成長速度を高め、格子欠陥を低
減してその品質を高めることができる半導体結晶膜の成
長方法を提供する。 【解決手段】 サファイヤ基板上にバッファ層を介して
GaN層を成長させ、次いで、その上にInGaN層又
はInN層を成長させる半導体結晶膜の成長方法におい
て、GaN層の成長を約820℃以下,約500℃以上
で行い、InGaN層又はInN層の成長を約800℃
以下で行う。
Description
晶膜を成長させる半導体結晶膜の成長方法に関する。
接合型青色LEDの断面構造図である。この図に示すよ
うに、サファイア基板の表面にAlNバッファ層を介し
てGaN層を成長させ、さらにその上にInGaNの半
導体被膜を成長させることにより青(B)を発光する青
色LEDを形成することができる。また、この図におい
て、InGaN中のInNの成分比率を変えることによ
り、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色を発光させ
ることができ、そのうち緑(G)、青(B)の2原色の
LEDは既に実現している。すなわち、一般にInGa
NはGaNとのダブルヘテロ構造あるいはInGaN/
GaNのマルチ量子井戸構造によりレーザや発光ダイオ
ード素子が作製される。
子定数の関係図である。この図において、バンドギャッ
プ(eV)と波長(μm)が対応しており、赤(R)、
緑(G)、青(B)の順で波長が短くなり、かつInG
aN中のInNの成分比率が低くなる。すなわち、既に
実現している緑(G)、青(B)の2原色のLEDに比
較して、約650μmの波長の赤(R)を発光する赤色
LEDでは、InGaN中のInNのモル分率を約0.
7以上に高める必要がある。
yと平衡温度との関係図である。この図に示すように、
約650μmの波長の赤(R)を発光する赤色LEDを
形成するために、InGaN中のInNのモル分率yを
約0.7以上に高めると、その平衡温度は約500℃以
下となる。そのため、GaN層の表面にInGaNの半
導体被膜を成長させる過程で、GaN層や形成されたI
nGaNを約500℃以上に加熱すると、InGaNが
熱分解してしまう問題点があった。なお、図6は原料分
圧が低い真空中で加熱した場合の関係であり、気相成長
の場合にはこの図に従わない。例えば、日亜化学では約
750℃から約800℃でInが0.2程度のInGa
Nを成長している。
体被膜を成長させる手段として、「半導体結晶膜の成長
方法」が開示されている(特開平04−164895
号)。この方法は、図7に模式的に示す装置を用い、M
OVPE法(有機金属化合物気相成長法)で基板1の上
面に半導体被膜を成長させるものである。すなわち、こ
の方法は、サファイア基板1をサセプター4の上に載
せ、反応容器6内をH2で置換し、基板1の温度を約5
50℃に保持し、副噴射管3から水素と窒素を、反応ガ
ス噴射管2からアンモニアガスと水素とTMG(トリメ
チルガリウム)ガスとTMI(トリメチルインジウム)
ガスを供給して、サファイア基板1の表面にInGaN
の半導体被膜を成長させるものである。なお、この図に
おいて、5はシャフト、7はヒータ、8は排気口、9は
放射温度計である。また、MOVPE(有機金属化合物
気相成長法)の代わりに、MOMBE法(有機金属分子
ビームエピタキシー法)を適用することもできる。
導体被膜を2インチ基板全面にわたって、膜厚2μmで
均一に成長させることに成功している。しかし、この方
法では、成長させたInGaN中のInNのモル分率y
が低く(0.06)、赤(R)を発光する赤色LEDを
形成することができない欠点があった。すなわち、この
例では窒素の前駆体としてアンモニアを用いているが、
アンモニアはN−Hの結合エネルギーが大きいため、基
板上で反応させるためには、基板温度をできるだけ上げ
る必要がある。ところが、赤を発光させるInGaN
は、InNの組成が高く、上述したように、InNのモ
ル分率yが高くなると、分解温度が約500℃程度まで
下がっているため、この方法では、基板温度が高すぎ、
赤発光のInGaNは成長させることができなかった。
しかし、例えば、日亜化学、その他では0.2〜0.3
のIn組成のInGaNが成長している。
VPE(有機金属化合物気相成長法)の基板温度プログ
ラムの概略図である。この図に示すように、従来、サフ
ァイヤ基板上にAlN(又はGaN)のバッファ層は約
500℃で形成され、次いでGaNが約1100℃で形
成されている。更にその上のInGaN層は、上述した
例では約750℃で成長させている。
供給過剰で成長が行われていると仮定したときの、2元
化合物InN,GaM,AlNの成長速度の基板温度依
存性の概略を示す。成長速度一定の温度領域があり、そ
れより高温でも低温でも成長速度は減少する。低温で成
長速度が減少するのは、原料ガスの分解効率が低下する
ためである。また、高温で成長速度が減少するのは、昇
華が多くなるためである。高温では、水素のエッチング
反応も顕著になるので、成長速度の低下はより低い温度
で生じる。
来、pn接合型のLEDは、サファイヤ基板上にバッフ
ァ層を介して約1000℃でGaN層を成長させ、次い
で、その上にInGaN層を約750℃で成長させてい
た。しかし、この方法によるLED構造は、InGaN
層の結晶成長速度が遅く、格子欠陥が発生しやすく、そ
の品質が低い問題点があった。
案されたものである。すなわち、本発明の目的は、従来
と同様のpn接合型のLEDにおいて、その結晶構造を
改善し、成長速度を高め、格子欠陥を低減してその品質
を高めることができる半導体結晶膜の成長方法を提供す
ることにある。
めに、本発明の発明者等は、ウルツ鉱型構造のGaNの
格子極性に着目し、その分解速度と成長速度に及ぼす温
度の影響を鋭意研究した。その結果、従来の約1000
℃におけるGaN層の成長極性は、(0001)面(G
a極)が支配的であり、その上のInGaN層の成長
も、極性が同じ(0001)面となる。一方、約820
℃以下の低温における成長では、この(0001)面の
成長は、逆の(000−1)面(N極)の成長に比べ成
長速度が遅く、分解速度が速くなるため、格子欠陥が発
生しやすく、その品質が低下するものとの知見を得た。
本発明はかかる新規の知見に基ずくものである。
板上にバッファ層を介してGaN層を成長させ、次い
で、その上にInGaN層又はInN層を成長させる半
導体結晶膜の成長方法において、GaN層の成長を約8
20℃以下,約500℃以上で行い、InGaN層又は
InN層の成長を約800℃以下で行う、ことを特徴と
する半導体結晶膜の成長方法が提供される。
り低温の約820℃以下、約500℃以上で行うので、
この温度領域では、GaN層の成長極性は、(000−
1)面(N極)が支配的となる。次いで、GaN層の上
のInGaN層又はInN層は、約800℃以下で行う
ため、InNのモル分率yを高め(例えば約0.7以
上)、InGaNの熱分解を防止することができる。ま
た、このInGaN層又はInN層は、その下地となる
GaN層が(000−1)面に成長しているので、In
GaN層又はInN層の成長極性も、下地層と同じ(0
00−1)面となる。
低温領域では、InGaN層又はInN層の(000−
1)面の成長は、上述の研究の結果から、従来の(00
01)面の成長に比べ成長速度が速く、分解速度が遅
く、さらに、エネルギー的に安定な成長方向であること
から結晶原子配置のズレが起こりにくいことから、高品
質のInGaN層又はInN層が得られることが確認さ
れた。従って、成長極性が(000−1)面となるIn
GaN層又はInN層は、(0001)面の成長の場合
に比較して、格子欠陥が低減されるため、その品質は従
来より優れたものとなる。
各層の成長は、MOVPE(有機金属化合物気相成長
法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)又はMOM
BE法(有機金属分子ビームエピタキシー法)による。
これらの成長法により、基板温度を所定の温度に設定し
ながら、効率よく各層を成長させることができる。
(CH3)3又はGa(C2H5)3であり、Inの前駆体
はIn(CH3)3又はIn(C2H5)3であり、Nの前
駆体はアンモニア、MNH2(メチルアミン)、DMN
H(ジメチルアミン)、TMN(トリメチルアミン)、
N2H2(ヒドラジン)、(CH3)NH-NH2(モノメ
チルヒドラジン)、又は(CH3)2N-NH2(ジメチル
ヒドラジン)である。これらの前駆体を励起・分解する
ことにより、GaN層、InGaN層およびInN層の
成長を効率よく行うことができる。
を図面を参照して説明する。なお、各図において共通す
る部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略す
る。
体クラスタ(B)の模式図である。GaN、InGaN
およびInN等のIII族窒化物結晶は通常、ウルツ鉱型
結晶構造かジンクブレンド型構造となるが、ここではウ
ルツ鉱型結晶構造の場合を説明する。ウルツ鉱型結晶構
造は、対称中心をもたず、(0001)面(Ga極)と
(000−1)面(N極)を持つ。図1から明らかなよ
うに、III族原子(Ga,In等)とV族原子(N)と
を入れ替えた構造は、元の結晶の向きを反転させたもの
である。この2種類の方向では最外表面に出ている原子
種やまわりの原子との結合配置が異なり、従って表面再
構成構造が違ってくる。III族窒化物結晶では、どちら
の極性の向きに成長するかは、基板の種類、その他の成
長条件に依存する。極性によって表面構造が異なるので
結晶成長過程にも差が出てくる。その結果、得られるエ
ピタキシャル層の微細組織や成長面形状にも大きな差が
現れる。
層の分解速度と温度の関係図である。この図において、
横軸は温度(上軸)とその逆数(下軸)、縦軸はGaN
層の分解速度、図中の●は(0001)面(Ga極)、
○は(000−1)面(N極)である。この図から、約
820℃において、(0001)面と(000−1)面
の分解速度が逆転しており、高温側では(000−1)
面の分解速度が大きく、低温側では(0001)面の分
解速度が大きいことがわかる。なお、図中の縦軸は対数
表示(指数関数表示)であるため、実際の差は、2倍以
上あることに留意する必要がある。
GaN層の成長速度と温度の関係図である。この図にお
いて、横軸は温度、縦軸はGaN層の成長速度、図中の
●は(0001)面(Ga極)、○は(000−1)面
(N極)である。この図から、成長速度も約820℃に
おいて、(0001)面と(000−1)面が逆転して
おり、高温側では(0001)面の成長速度が大きく、
低温側では(000−1)面の成長速度が大きいことが
わかる。
それより低い約750℃までの温度範囲において、(0
001)面の成長速度が低く、かつその分解速度が大き
いことがわかる。すなわち、この温度領域では、Ga極
のエッチングが激しく行われており、一方で成長速度も
遅いため、結果として品質の劣るGaN層が成長するも
のと考えられる。なお、InNおよびInGaNの成長
においても、InNおよびInGaNがGaNと同じ結
晶構造を持つIII-V族化合物半導体であることから、G
aNの成長と同様に約820℃付近に安定な表面の境が
あると類推される。しかし、InGaNおよびInNの
場合は約820℃以上の高温では分解蒸気圧が高く、通
常のMOVPE、MOMBEの成長条件では成長ができ
ない。従って、本来のInGaNおよびInNの安定な
成長方向は(000−1)方向であり、現在、通常行わ
れているInGaNおよびInNの成長方向(000
1)は安定な成長方向とはいえない。
法では、図4に示したサファイヤ基板上にバッファ層を
介してGaN層を成長させる温度を、従来の約1000
℃から大幅に低温化して、その成長を約800℃以下で
行う。この結果、図2と図3から、この温度領域では、
GaN層の成長極性は(000−1)面が支配的とな
る。また、本発明では、その上のInGaN層の成長
は、約500℃以下,約400℃以上で行う。これによ
り、InGaN層の成長極性も同じ(000−1)面と
なる。
20℃以下、約500℃以上で行い、GaN層を(00
0−1)面に成長させ、次いで、GaN層の上のInG
aN層又はInN層は、約800℃以下で行う。これに
より、InGaN層又はInN層の成長の際に、その下
地となるGaN層が(000−1)面に形成されている
ので、InGaN層又はInN層の成長極性は、下地層
と同じ(000−1)面となる。また、約800℃以下
の温度範囲では、(000−1)面の成長は、従来の
(0001)面の成長に比べ成長速度が速く、分解速度
が遅いため、その品質は従来より優れたものとなる。
VPE(ハイドライド気相成長法)、MOVPE(有機
金属化合物気相成長法)、又はMOMBE(有機金属分
子ビームエピキタシー法)による。すなわち、例えば、
サファイア基板を反応容器内で温度調節手段(例えばヒ
ータ)により調節し、GaN層の成長を約820℃以
下、約500℃以上で行う。また、InGaN層および
InN層は、InGaNが熱分解しない温度(例えば約
800℃以下)で行う。
体をガス導入部より順次又は同時に供給する。Gaの前
駆体はGaClであり、Nの前駆体はアンモニア、MN
H2(メチルアミン)、DMNH(ジメチルアミン)、
TMN(トリメチルアミン)、N2H2(ヒドラジン)、
(CH3)NH-NH2(モノメチルヒドラジン)、又は
(CH3)2N-NH2(ジメチルヒドラジン)であるのが
よい。
型構造のGaNは、そのc軸方向に沿った極性、すなわ
ち(0001)面(Ga極)と(000−1)面(N
極)を有する。それゆえ、クリーニング又はエッチング
面に対するGaNの分解メカニズムを研究することは非
常に重要である。この実施例では、その場重力測定モニ
ター法(GM法)を用いてサファイア基板(0001)
面上のGaN単結晶の面極性に対する分解速度を試験し
た。
置とからなる。この微少重量記録装置は、0.004μ
g(2.0cm2の面積のGaNの3.3×10-6μm
にほぼ相当する)の感度を有する。キャリアガスはH2
とイナートガスを用い、イナートガスとしてHeを用い
た。キャリアガス中の水素分圧(PH2)はH2+Heに
対するH2の比率の変化により変化する。鏡面仕上げし
たGaN基板(0001)の片面を1000Å厚のSi
O2層で覆い、シリカ繊維でマイクロバランスから吊り
下げた。これにより、GaN基板(0001)表面の極
性依存性を計測することができる。
解速度と温度の関係図である。この図から明らかなよう
に、H2キャリアガス環境(PH2=1)における分解速
度は、650℃から950℃の温度範囲において、面極
性にかかわらず、温度の上昇により指数関数的に増加す
る。また、分解速度自体は格子極性に依存して相違する
ことが明らかになった。820℃以下の低温範囲におい
て、GaNの(0001)面の分解速度は(000−
1)面よりも速い。反対に、850℃から950℃まで
の高温領域では、GaNの(000−1)面の分解速度
が(0001)面より速い。この結果の理由は、GaN
の(0001)面と(000−1)面の分解プロセスに
おける活性化エネルギーの相違による。
0−1)面の分解速度と水素分圧の関係を600℃から
950℃まで調べた。その結果、850℃以下の低温領
域ではGaNの分解速度は面極性に関係なく水素分圧の
3/2乗に比例することが明らかになった。一方、85
0℃以上の高温領域では、やはり、分解速度は両極性に
関係なく水素分圧の1/2乗に比例することが明らかに
なった。このことは、低温領域と高温領域で分解速度を
制御する律速反応が異なることを意味している。一方、
GaN(s)とH2(g)との反応の熱力学解析から、
この反応で生じる主な気相分子種はNH3およびGaH
であることが明らかになっており、低温領域と高温領域
の水素との反応による律速反応は各々式(1)および式
(2)で示されることが明らかである。 GaN(表面)+3/2H2(g)→Ga(表面)+NH3(g)・・・(1)( 低温領域) GaN(表面)+1/2H2(g)→N(表面)+GaH(g)・・・(2)( 高温領域)
ガスとして水素ガスが用いられていること、さらにGa
Nの成長反応により水素が生成されることから、GaN
表面と水素との反応が同時に起こっていると考える必要
がある。さらに、実際に得られる成長速度は析出反応と
分解反応との差と考えられる。このことは図3の成長と
温度の関係からも明らかである。
て、低温領域ではGaN(000−1)面が支配的にな
り、高温領域ではGaN(0001)面が支配的になる
ことが明らかである。
が明らかになるとともに、InGaNおよびInNの高
品質結晶が得られる成長条件が明らかになった。
晶を用いた成長では、特に、成長温度によりサファイヤ
上に成長するGaNの成長面方位が決定される。温度と
成長面方位の関係は、低温領域では(000−1)面、
高温領域では(0001)面である。一般にGaNは1
000℃付近の高温領域が用いられており、(000
1)面成長が支配的になることが予想され、事実、(0
001)Ga終端面が成長面であることが明らかにされ
ている。
晶に用いた場合、GaAs(111)A面はGaN(0
001)面と、GaAs(111)B面は(Gan(0
00−1)面とIII族およびV族およびV族原子の結合
状態が等価である。このために、GaAs(111)A
面を用いた場合、約500℃でのバッファー層成長後の
1000℃以上の成長により良好なGaN成長が可能で
あるとともに、表面が(0001)面である事実と一致
する。一方、GaAs(111)B面を用いて、約50
0℃でのバッファー層成長後の850℃以上の成長にお
いては、良好なGaN成長が得られなく、さらに、1ミ
クロン以上の成長表面は(0001)となっており、成
長の初期に成長方向が反転していることが明らかであ
る。
は、Y.Kumagai et al. Jpn.J.
Appl.Phys.,39(2000)L149およ
びY.Kumagai et al. Jpn.J.A
ppl.Phys.,39(2000)L703.から
明らかです。
サンプルを用いた、下記の発表から明らかです。200
1年春季 応用物理学関係連合講演会29a-L-2 小
川他(名古屋大学工学部秋本先生のグループ) (内容:GaAs(111)AおよびGaAs(11
1)B面上へのGaN成長において、100nm以下の
GaNバッファー層の表面は各々(0001)および
(000−1)面であるが、その上に920から100
0℃でGaNを1ミクロン以上成長後の表面はどちらも
(0001)面であった。)
用いた成長実験により得られた表面はGaN(000
1)面およびGaN(000−1)面上には各々GaN
(0001)面およびGaN(000−1)面が成長膜
厚に関係なく得られた。
ファイヤ基板結晶上に約500℃でバッファー層を成長
後、約1000℃程度で成長させたGaN結晶上に、8
00℃以下の低温領域で成長がされている。このため
に、(0001)成長面上に(000−1)成長面が安
定なInGaNあるいはInNを(0001)成長面で
成長することになり、原子配置の不安定性にともなう欠
陥やその欠陥に誘発された組成分離が起こる。このた
め、高品質の結晶成長が難しく、特にIn組成が大きな
InGaNあるいはInNは光学特性が得られる結晶が
得られていない。
GaNあるいはInNの成長において、高圧法や昇華法
により作成したGaN単結晶基板あるいはサファイヤ基
板又はGaAs基板などを用いた厚膜成長で製造したG
aN単結晶基板が用いられている。この場合も、初期に
GaNやAINの成長が約1000℃付近で成長させら
れるために、GaN(0001)面が成長面に用いられ
ており、上記の事実4と同様な現象が出ている。
ファー層を約500℃で成長後、1000℃で約2ミク
ロンのGaNを成長後、780℃で0.5ミクロンのI
n0.2Ga0.8Nの成長を行った。一方、(2)同
様にサファイヤ基板を用いてMOVPE成長で、バッフ
ァー層を約500℃で成長後、800℃で約2ミクロン
のGaNを成長後、780℃で0.5ミクロンのIn
0.2Ga0.8Nの成長を行った。成長表面の面分析
により、(1)で得られた表面は(0001)面で、
(2)は(000−1)面であった。室温でのPL(フ
ォトルミネッセンス)測定の結果、高温GaN成長の試
料の半値幅が165meVであったのに対して、低温G
aN成長の試料では77meVと半減し結晶品質が向上
した。
結晶に用いて、MOVPE成長によりバッファー層を約
500℃で成長後、780℃でGaNを1.5ミクロン
成長し、その上に、780℃で0.6ミクロンのIn
0.3Ga0.7Nの成長をした。成長表面は(000−1)
面であることを確認した。また、成長したInGaN混
晶中には、(0001)成長面の場合に良くみられるI
n組成が大きなクラスターも見られず均一な混晶が得ら
れることが明らかになった。
結晶に用いて、MOVPE成長によりバッファー層を約
500℃で成長後、780℃でGaNを1.5ミクロン
成長し、その上に、650℃で0.2ミクロンのIn
0.6Ga0.4Nの成長をした。成長表面は(000−1)
面であることが確認された。また、成長したInGaN
混晶は相分離も見られず、均一な混晶が得られることが
明らかになった。X線回折の結果、約2.1minの半
値幅のIN0.6Ga0.4Nが得られたことが分かった。一
方、サファイヤ基板またはGaAs(111)A面基板
を用いてMOVPE成長で約500℃でバッファー層を
成長後、約950℃でGaNを成長後、650℃でIn
0.6Ga0.4Nの成長を試みたが、相分離を起こし均一な
InGaN混晶が得られなかった。
1)面を基板に用いて、750℃でGaNを2ミクロン
成長後、In0.2Ga0.8N混晶を0.15ミクロン成長
した。InGaN混晶中の組成の不安定性もなく均一な
組成が得られている。一方GaN(0001)面を基盤
にした成長では、混晶中にIn組成が大きなクラスター
の存在が明らかになった。また、フォトルミネッセンス
測定によりGaN(000−1)面成長の半値幅が小さ
く品質が良いことが分かった。
結晶に用いて、MOVPE成長により780℃でGaN
を1.5ミクロン成長し、その上に、650℃で0.2
ミクロンのInGaNの成長をした。成長表面(000
−1)面であることが確認された。また、成長したIn
GaN混晶は相分離も見られず、均一な混晶が得られる
ことが明らかになった。X線回折およびフォトルミネッ
センスから確認した。
を従来より低温の約820℃以下、約500℃以上で行
うので、この温度領域では、GaN層の成長極性は、
(000−1)面(N極)が支配的となる。次いで、G
aN層の上のInGaN層又はInN層は、約800℃
以下で行うため、InNのモル分率yを高め(例えば約
0.7以上)、InGaNの熱分解を防止することがで
きる。また、このInGaN層又はInN層は、その下
地となるGaN層が(000−1)面に成長しているの
で、InGaN層又はInN層の成長極性も、下地層と
同じ(000−1)面となる。更に、約800℃以下,
約400℃以上の低温領域では、InGaN層又はIn
N層の(000−1)面の成長は、上述の研究の結果か
ら、従来の(0001)面の成長に比べ成長速度が速
く、分解速度が遅いことが確認された。従って、成長極
性が(000−1)面となるInGaN層又はInN層
は、(0001)面の成長の場合に比較して、格子欠陥
が低減されるため、その品質は従来より優れたものとな
る。
形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種
々変更できることは勿論である。
の成長方法は、従来と同様のpn接合型のLEDにおい
て、その結晶構造を改善し、成長速度を高め、格子欠陥
を低減してその品質を高めることができる等の優れた効
果を有する。
(B)の模式図である。
ある。
図である。
との関係図である。
る。
金属化合物気相成長法)の基板温度プログラムの概略図
である。
の基板温度依存性の概略図である。
管、4 サセプター、5 シャフト、6 反応容器、7
ヒータ、8 排気口、9 放射温度計
Claims (3)
- 【請求項1】 サファイヤ基板上にバッファ層を介して
GaN層を成長させ、次いで、その上にInGaN層又
はInN層を成長させる半導体結晶膜の成長方法におい
て、 GaN層の成長を約820℃以下,約500℃以上で行
い、InGaN層又はInN層の成長を約800℃以下
で行う、ことを特徴とする半導体結晶膜の成長方法。 - 【請求項2】 前記各層の成長は、MOVPE(有機金
属化合物気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成
長法)又はMOMBE法(有機金属分子ビームエピタキ
シー法)による、ことを特徴とする請求項1に記載の半
導体結晶膜の成長方法。 - 【請求項3】 前記Gaの前駆体はGaCl、Ga(C
H3)3又はGa(C 2H5)3であり、Inの前駆体はI
n(CH3)3又はIn(C2H5)3であり、Nの前駆体
はアンモニア、MNH2(メチルアミン)、DMNH
(ジメチルアミン)、TMN(トリメチルアミン)、N
2H2(ヒドラジン)、(CH3)NH-NH 2(モノメチ
ルヒドラジン)、又は(CH3)2N-NH2(ジメチルヒ
ドラジン)である、ことを特徴とする請求項1に記載の
半導体結晶膜の成長方法。
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