JP2003033597A - 噴射式洗濯方法及び噴射式洗濯方法を使用した全自動洗濯システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】汚れた洗濯する物を一端セットしたら,少量の
洗濯物でも個々の洗濯物の状態に応じて効率良く洗浄,
濯ぎ,乾燥ができ洗浄中に個々の洗濯物に防虫,防臭等の
後処理もでき,アイロン架け,畳む等の手間の掛かる後処
理が不用でそのまま保管まで全自動でできないか。 【解決手段】従来のような洗浄液の中で洗濯する物を強
く動かす方法から,洗濯する物を固定し洗浄液を移動さ
せながら噴射することで従来よりも強い水流で生地が傷
めにくく高い洗浄,濯ぎ効果のある洗濯方法を可能にし
た。また洗濯する物を保管する状態のまま洗濯すること
で洗濯するものをハンガーに掛けた後は洗浄、濯ぎ,乾
燥,皺伸ばし防水加工等の後処理から保管まで一連の作
業を自動化することが可能になる。大きな重量を高速で
回転させる従来の方法に比べ洗濯中の振動,騒音は小さ
くなり振動騒音の低減効果,家事労働の軽減,省エネ効果
が期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、洗濯方法に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】現在一般的な洗濯機の洗浄方法は,大き
な洗濯漕の中に洗浄液を満たし洗濯物を投入,容器の下
に取付けたプロペラを回転させて洗浄液の回転水流をつ
くり,回転水流の中を流れる洗濯物の速度と回転水流の
速度差で洗浄する方法が多い。洗濯機の仕様には洗濯物
の投入可能な重量等が明記されているが使用者が事前に
計量することは殆どなく洗濯開始するまで適量が見極め
にくい。この結果として洗濯物は入れ過ぎ傾向になり濡
れた洗濯物の量を調節することはしないので,水流が洗
濯物の間を十分に流れず一塊となって回転するだけで十
分に洗浄されないことが多い。また投入したものの重量
差が大きいと洗濯漕を回転するときに振動が大きくなる
等の問題も発生する。

【０００３】濯ぎの方法も同様で洗浄した洗濯物が入っ
た洗濯漕の中に大量の清水を満たし,清水を注水しなが
ら回転させ洗濯物の速度と回転水流の速度差で水流を繊
維間に通し洗浄水を希釈しながら濯ぐ。この場合も投入
された洗濯物の量が問題になる。脱水方法は遠心力を利
用する方法が多く洗浄水を抜いた洗濯物が入った洗濯漕
の中に注水しながら高速で回転させ遠心力で脱水と濯ぎ
を同時にする方法等がある。

【０００４】乾燥方法は回転ドラムのなかに洗濯物を投
入し容器を回転させ回転ドラムのなかに電気やガス等で
加熱した空気を適時入れ換えながら高温空気と洗濯物を
接触させることにより洗濯物に含まれる水分を熱して蒸
発させる方法等がある。

【０００５】従来の洗浄方法では洗濯物の量がある程度
溜まらないと無駄な水や洗剤,動力（電気量）が多くな
り不経済になる。洗濯物をまとめて洗濯すると機械的に
も大掛かりになること,また振動や騒音の面でも大きく
なり夜間の洗濯や狭い住宅や集合住宅等では問題になる
ことがある。

【０００６】また洗濯物を１つの洗濯漕で洗濯するので
殆ど汚れていない洗濯物もひどい汚れの洗濯物も汚れの
程度に関係無く同じ作業をする為無駄なことも多い。ま
た洗浄力に大きな影響を持つ洗濯漕の水流の回転速度も
それぞれの洗濯物の材質に合わせることはできないので
平均的な洗浄加減になる。

【０００７】洗浄水流の方向を一定にしてしまうと洗濯
物と洗浄水流の回転が同じになってしまい一緒に回転し
てしまうので繊維間に水流が通らない。洗浄水流は回転
方向を頻繁に変えて乱流にする必要があるが繊維を繰返
し曲げたり捻ったりするため繊維を傷める原因である。
大きな重量の洗濯漕の回転方向を振動,騒音を押さえて
頻繁に変えることは機械的にも難しく寸法的にもコスト
的にも洗濯機の性能は制約される。

【０００８】濯ぎに使用する清水は再利用せず廃棄して
しまうので大量の水で希釈する方法は経済的でない。ま
た洗濯物を脱水する作業は遠心力で脱水する時に折り曲
げられて重なったままドラム内側に強く押付けられるの
で皺になり易くまた繊維が傷み易い。脱水後にドラムを
回転させながら高温の空気で乾燥するときも洗濯物は曲
げられて重なったまま皺がついたまま絡まったりしなが
ら回転ドラムの上から下に繰返し落とされながら乾燥さ
れる。このため乾燥後にアイロン掛け等で皺を伸ばす作
業が必要になるものが出てくる。

【０００９】また洗濯したものを乾燥後に保存するまで
の工程には従来はアイロンで皺を伸ばす等の処理が必要
でその後に畳んで保存するということが多く使用する前
に再度皺伸ばし等の処理をすることが多かった。最近で
は吊り下げたままの状態で保存できる納戸を備えている
家も多くなったが,出し入れが簡単で衣類の型崩れを防
止できることや管理のし易さ等の理由で吊り下げ保存方
法が今後の主流になると思われる。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】現在の洗濯方法よりも
効率的な,個々の洗濯物の汚れ,質に合わせて少量の洗濯
物でも効率よく洗濯でき洗濯後の保管方法も考慮した手
間の掛からない方法を提供する。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は、洗濯後の保存
方法まで考慮して洗濯物を吊り下げたまま洗濯物の汚れ
や材質に合わせて適当な圧力,温度の洗浄水や蒸気を洗
濯する物に吹き付ける洗浄方法と,吊り下げたまま適当
な圧力,温度の気体や蒸気等を洗濯した物に吹き付け脱
水,乾燥させる方法により乾燥後に吊り下げた状態のま
ま保存できることを最も主要な特徴とする。

【００１２】

【発明の実施の形態】洗濯する物をハンガーに個々に吊
り下げ使用するときに近い形状で洗濯物を個別に洗浄,
乾燥,保存することで,少量の洗濯時の非効率の改善や生
地の損傷を押さえ,且つ保管するための作業が多い従来
の方法に代わる洗濯方法を提案する。

【００１３】

【実施例】洗濯物の全体の生地が伸ばされた状態で,例
えば上着等の服の場合袖の先端からハンガーの棒の部分
が出るような形でハンガーに掛け,タオル等の平たいも
のは広げて吊り下げる等の方法でハンガーに掛け噴射式
洗濯機の中に入れる。噴射式洗濯機の中ではハンガーは
しっかり固定され掛けられた洗濯物は厚さが一番薄い横
から見て前後方向に洗濯する物を挟むような形で洗浄用
ノズル,濯ぎ用ノズル,乾燥用ノズル等の洗濯作業に必要
なものが取付けられたノズルユニットに前後に挟まれ
る。

【００１４】ノズルユニットには洗濯物が噴射流によっ
て暴れないようにガイドを取付ける。またノズルユニッ
トに取付けられるノズル類は最適な洗浄が得られるよう
に噴射角度を選定する。噴射流が洗濯物全体に届くよう
に洗濯物の幅方向には同種のノズルが複数個取付けら
れ,ノズルユニットは上から下に向かって噴射しながら
移動する。ノズルユニットには移動方向と反対側にロー
ラーを取付け洗濯する物に染込んだ洗浄後の余分な洗浄
水等を軽く絞り生地を伸ばしながら洗濯する物を安定さ
せノズルユニットと共に上から下に向かって移動する。

【００１５】複数のノズルユニットを進行方向に連結し
て使用することもでき,洗浄用のノズルユニットに濯ぎ
用や乾燥用のノズルユニットを連結して移動させること
もできる。また洗濯機の中に複数の洗濯物をハンガーに
吊り下げ,複数のノズルユニットで一遍に大量に洗濯す
ることも可能である。

【００１６】洗浄方法は洗濯物の汚れ具合により,汗や
タバコ等の匂いや軽度の汚れを落としたい場合には蒸気
洗浄、汚れのひどい物は洗浄液を使用して洗浄する等の
方法を単独もしくは組合せを任意に選択することができ
る。また噴射圧力や噴射量,洗浄速度,洗浄回数等は洗濯
物の汚れ具合や生地の材質に応じて設定する。

【００１７】洗濯物の洗浄が完了したらノズルユニット
を洗濯物から離して噴射式洗濯機の上方に移動する。洗
浄作業と同様に洗濯物をノズルユニットで挟み下方に向
かって濯ぎ用のノズルから清水,蒸気等選択したものを
噴射しながら移動し濯ぎ作業を必要な回数繰返す。濯ぎ
作業では噴射後の洗濯機の下に落ちた濯ぎ液の汚れ具合
を適度な測定レベルで光センサー等により濁りとして検
出して濯ぎ液の液温,噴射量,噴射圧力,濯ぎ時間等を制
御する。

【００１８】濯ぎ作業が完了したらノズルユニットを洗
濯物から離して噴射式洗濯機の上方に移動する。乾燥用
のノズルから適度な温度の空気や蒸気を噴射し洗浄,濯
ぎ作業と同様必要な回数の乾燥作業を繰返す。乾燥作業
では洗濯機の中の空気を適当に換気しながらノズルユニ
ットに取付けられた温度センサーによりハンガーに掛け
られた洗濯物の温度分布を適当なレベルで計り,乾燥手
段の噴射温度,噴射量,噴射圧を制御し乾燥作業の完了を
判断する。また乾燥作業後に防水,防虫等の薬品液を噴
霧することにより洗濯後は長期保存も可能にすることも
できる。

【００１９】洗濯が完了したものはハンガーに掛けて置
くことにより常に自重で生地が伸ばされた状態で保存す
ることができるので皺伸ばしや型崩れの修正等の必要が
無い。

【００２０】これらの一連の作業は配置の形は制約が無
くハンガーを円形の１本の連続したレールに吊下げるこ
とにより洗濯する物をハンガーに掛ける作業と洗濯した
ものをハンガーから外す作業に人手を掛ける以外は保存
までハンガーも循環させすべて自動化することができ
る。

【発明の効果】本発明による洗濯方法では一枚から洗濯
が可能なこと,従来の揉み洗いのように繊維を曲げたり
捻ったりしないので繊維を傷めにくく洗浄液を高圧で噴
射させることにより強い浸透効果と機械的な汚れ落しの
効果は従来の洗剤液の中で回転させる洗浄方法よりもは
るかに強い洗浄効果が短期間で得られる。軽微な汚れの
ものならば蒸気洗浄だけで十分なものもあるが,現在の
洗濯方法では汚れの程度に係らず１つの洗濯槽で一緒に
洗濯する場合が多いので水や洗剤等の無駄が多い。個々
の洗濯物に合わせて前処理や洗淨する本発明の洗濯方法
は従来に比べてより節水効果,洗剤の節約,洗濯時間の短
縮等が期待できる。環境問題から見ても水や洗剤を多量
に使う現在の洗濯方法は河川を汚染し回収できない洗剤
を海に垂れ流しており問題が大きい。また本発明の洗濯
方法は１度ハンガーに掛けた洗濯物は自重で皺伸ばしを
するので,洗濯後のアイロン掛けが不用で折畳み保存等
の後処理が不要で洗濯完了後は使用したハンガーに掛け
たまま保存する。必要に応じて乾燥作業の後に防虫,防
カビ,防臭,防水等の処理ができ,また洗濯から保存まで
自動化することも可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】洗濯機の概略構造の例を示した説明図である。

【図２】ノズルユニットの例を示した説明図である。

【図３】自動化した洗濯システムの例を示した説明図で
ある。

【符号の説明】

１ ネジ棒 ２ エアー配管 ３ 洗浄液配管 ４ 濯ぎ液配管 ５ スイングアーム ６ 洗浄ノズル ７ 濯ぎノズル ８ エアーノズル ９ ガイドローラー １０ 洗濯する物の位置 １１ ノズル移動用電動機 １２ ハンガー １３ 排気孔 １４ 蒸気発生器 １５ 加熱器 １６ 切換バルブ １７ 洗浄・濯ぎ用ポンプ １８ 乾燥用送風ポンプ １９ 動力分配装置 ２０ 主電動機 ２１ フィルター付洗浄液タンク ２２ 水道水等の供給 ２３ 排水孔へ接続 ２４ 移動装置 ２５ 循環レール ２６ 洗濯機 ２７ 電動カーテン ２８ 洗濯するもの ２９ 洗濯した物

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗濯する物をハンガーに吊り下げ洗浄液
   若しくは蒸気等の洗浄方法を単独若しくは適当に組合
   せ,適当な温度,圧力で洗濯する物に連続的もしくは断続
   的に噴射して対象物の汚れや匂いを洗浄,濯ぐことを特
   徴とする洗浄方法。
2. 【請求項２】 洗淨した物をハンガーに掛け適当な温度
   の空気や蒸気を連続的もしくは断続的に噴射して対象物
   を乾燥させる方法。
3. 【請求項３】 洗濯する物をハンガーに掛けて置く場
   所,請求項１,請求項２の方法で洗濯する噴射式洗濯機,
   洗濯したものを保管しておく場所の各々の上部を貫通し
   て循環する移動用レールを取付けこれに移動装置を取付
   ける。洗濯する物を手でハンガーに掛け,移動装置で移
   動させ噴射式洗濯機の所定の位置に固定して洗浄,濯ぎ,
   乾燥の作業を行い,洗濯完了後移動装置で洗濯機から保
   管場所まで移動させる。人が保管場所にある洗濯済の物
   をハンガーから外したら移動装置が保管場所から洗濯す
   る物をハンガーに掛けて置く場所まで移動する。洗濯す
   るものをハンガーに掛けること及び洗濯したものをハン
   ガーから外すこと以外の上記の作業を自動で行うことを
   特徴とする全自動洗濯システム。
4. 【請求項４】 洗浄液をフィルターを通して洗浄効果が
   低下するまで循環使用することを特徴とする請求項１の
   洗浄方法。
5. 【請求項５】 濯ぎに使用した溶液の汚れを計り濯ぎ方
   法を最適に制御することを特徴とする濯ぎ方法。
6. 【請求項６】 ハンガーに吊り下げられた乾燥させよう
   とする物の温度分布を計り乾燥方法を最適に制御するこ
   とを特徴とする乾燥方法。
7. 【請求項７】 請求項４,請求項５及び請求項６の方法
   を使用することを特徴とする請求項３の全自動洗濯シス
   テム。