JP2003028976A - 溶融塩原子炉燃料 - Google Patents

溶融塩原子炉燃料

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JP2003028976A
JP2003028976A JP2001214159A JP2001214159A JP2003028976A JP 2003028976 A JP2003028976 A JP 2003028976A JP 2001214159 A JP2001214159 A JP 2001214159A JP 2001214159 A JP2001214159 A JP 2001214159A JP 2003028976 A JP2003028976 A JP 2003028976A
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fission
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solvent
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Yasuo Hirose
保男 廣瀬
Yoichi Takashima
洋一 高島
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Institute of Research and Innovation
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Abstract

(57)【要約】 【課題】 中性子の吸収が少なく、超ウラン元素3弗化
物の溶解度が高い弗化物溶融塩炉燃料を提供する。 【解決手段】 質量数が7の同位元素を濃縮したリチウ
ムの弗化物(LiF)とベリリウムの2弗化物(Be
)の混合物からなる溶融塩を溶媒とし、溶媒にジル
コニウムの4弗化物(ZrF)を添加し、LiF−B
eF−ZrF三成分系の相状態図上において溶媒の
組成がそれぞれ77−3−20mole%、75−5−
20mole%、69−31−0mole%、及び71
−29−0mole%の点を順次に結ぶ4角形の範囲内
とすることにより、550℃以下の液相温度において超
ウラン元素3弗化物の溶解度が高く、中性子吸収の少な
い溶融塩原子炉燃料を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、黒鉛製の減速材で
構成される炉心に質量数が7の同位元素を濃縮したリチ
ウムの弗化物(LiF)とベリリウムの2弗化物(B
eF)との混合物からなる溶融塩を溶媒とし、超ウラ
ン元素の3弗化物と核***生成物元素の3弗化物とを溶
質とする溶融塩原子炉燃料を循環して核***断面積が比
較的低い超ウラン元素を効果的に核***させる原子炉の
ために好適な溶融塩原子炉燃料の組成に係わり、溶媒中
における超ウラン元素の3弗化物と核***生成物元素の
3弗化物との溶解度を高くし、従って溶媒中に溶解でき
るこれらの溶質の濃度を高めて核的反応性と燃焼率の高
い原子炉の運転を容易にし、さらに運転中にかかる溶質
の析出・沈殿の可能性を低減して安全性を高め、また、
核***生成物の存在を許容して溶融塩原子炉燃料の化学
処理の必要性を軽減して経済性を高めることができる溶
融塩原子炉燃料に関する。
【0002】
【従来の技術】溶融塩原子炉は、寄生的な中性子捕獲断
面積が小さい元素及び必要に応じて核***性元素を増殖
する元素からなり、化学的に安定な塩の混合物であり、
原子炉の最低運転温度より少なくとも50℃低い温度で
溶融し、溶融状態で蒸気圧が低く、粘度や比熱などの熱
媒体として適当な物理的性質を有する物質を溶媒とし、
核***性元素と核***生成物元素の同種塩を溶質として
溶解して溶融状態にある燃料塩を、必要に応じて中性子
減速材を置いた炉心内に満たし、炉心内で核***を進行
せしめ、温度が高くなった溶融燃料塩を炉心外の熱交換
器に導いて二次冷却材に熱を伝達し、温度が低下した溶
融燃料塩を炉心内に戻して循環する。
【0003】最初の溶融塩原子炉は、核***性物質とし
て質量数233のウラン(233U)を炉心で核***さ
せ、増殖物質としてトリウム(232Th)が中性子を
吸収して生成する質量数233のプロトアクチニウム(
233Pa)が崩壊して23 Uを核***した量以上に
増殖させる目的で、米国のオークリッジ国立研究所で開
発された。
【0004】溶融塩原子炉は、燃料が溶融状態であるた
め、燃料塩の出し入れが自由であり、燃料塩から連続的
233Paを分離して233Uに転換させたり、中性
子を吸収する核***生成物を除去することが可能であっ
て増殖炉の成立に有利であった。この開発の経緯及び技
術内容はNuclear Applications & Technology, Vol.8,
February 1970に8編の報告書として公刊されている。
【0005】溶融塩原子炉の研究のために建設され、運
転された7.3MW(t)の溶融塩実験炉で使用された
燃料塩は、中性子捕獲断面積が小さく、融点の低い化合
物を与える成分である質量数7のリチウム、ベリリウ
ム、及びジルコニウムの混合弗化物(LiF−BeF
−ZrF)を溶媒としており、その組成は、低い液
相温度(すなわち、冷却した時に最初に固相が析出する
温度)と粘度を与える条件である65−30−5mol
e%であり、燃料物質は4弗化ウラン(UF)0.9
mole%(233UFは0.3mole%)であ
り、液相温度は434℃であった。平均運転温度である
645℃における235Uの核***断面積は329×1
−24cmである。炉心の核的反応度を支配する巨
視的核***断面積は、単位体積中の溶媒分子密度3.3
×1022atoms/cmから求めた235U原子
密度0.99×1020atoms/cmを微視的核
***断面積に乗じて求められ、0.033cm−1であ
る。
【0006】また、1000 MW(e)の溶融塩増殖
炉の燃料として提案された代表的な燃料塩における溶融
塩溶媒の組成は、上記の必要性を満足するために質量数
7のリチウム、ベリリウム、及びトリウムの混合弗化物
LiF−BeF−ThF)を溶媒としており、
その組成は72−16−12mole%であり、燃料物
質は4弗化ウラン(233UF)0.4mole%で
あり、液相温度は500℃であった。平均運転温度であ
る637℃における233Uの核***断面積は308×
10−24cmである。炉心の核的反応度を支配する
巨視的核***断面積は、単位体積中の溶媒分子密度3.
2×1022atoms/cmから求めた233U原
子密度1.28×1020atoms/cmを微視的
核***断面積に乗じて求められ、0.039cm−1
ある。
【0007】溶融塩原子炉燃料から中性子捕獲断面積の
大きい希土類核***生成物を除去する方法として、希土
類3弗化物が固溶体として析出する現象を利用するため
に、希土類3弗化物の溶解度測定が行われた。また、溶
融塩増殖炉で233Uの濃度が高まるまでに使用済軽水
炉燃料から分離されたプルトニウムを燃料として運転す
る可能性を追求する開発において、LiF−BeF
ThF系溶媒における3弗化プルトニウム(Pu
)の溶解度測定が行われた。固溶体を形成する可能
性があるプルトニウムと希土類元素の3弗化物は溶解挙
動が類似し、陽イオンの径が小さいほど弗化物の溶解度
が高く、3弗化物の混合物においてそれぞれの3弗化物
の溶解度は単独の3弗化物の溶解度に濃度分率を乗じた
数値になり、超ウラン元素類3弗化物の溶解度は互いに
等しいなどの規則性が見出されている。また、3弗化物
の溶解度に及ぼす溶媒の組成や温度の影響が研究され、
LiF−BeF系溶媒において溶解度は67−33m
ole%の組成付近で極小となり、温度とともに増加す
ることが示された。
【0008】使用済軽水炉燃料から分離されたプルトニ
ウムのうち、核***性の239Puは58.8%、
241Puは12.1%であるとすれば、溶融塩増殖炉
の平均運転温度637℃において、プルトニウムの実効
核***断面積は317×10−2 cmであり、
233Uで運転される場合と巨視的断面積を等しくする
ためにPuFの濃度は0.39mole%あればよい
ことになる。溶融塩増殖炉の燃料塩温度は炉心への入り
口で最低である566℃となるため、余裕をみて516
℃におけるPuFの溶解度が0.39mole%以上
であればPuFを溶融塩増殖炉の初期運転燃料として
使用できる成立性があるものと考えられた。実際に、溶
融塩増殖炉燃料塩の溶媒であるLiF−BeF−Th
(72−16−12mole%)におけるPuF
の溶解度は516℃において0.68mole%であっ
た。
【0009】最近になって、溶融塩原子炉は燃料の出し
入れが自由であることから、V. Prusakov, P. Aledsee
v, A. Dudnikov, S. Subbotin, R. Zakirov, V. Lelek,
andI. Peka, “Concept of the Demonstration Molten
Salt Unit for the Transuranium Elements Transmuta
tions,” ADTTA’99, June 6 - 11, 1999, Praha, Czec
h Republic, We-I-14に公刊されるように、Np、P
u、Am、Cmなどの熱中性子スペクトル中では核***
断面積が小さい核種を含む超ウラン元素を核***により
燃やしきる用途としての価値が認識されている。この場
合、核***断面積の大きい核種が優先的に核***するた
め、燃焼の進行につれて実効的な核***断面積が小さく
なり、炉心を臨界に保持するために必要な巨視的核***
断面積を与えるために燃料塩中の超ウラン元素3弗化物
濃度を高くする必要がある。また、燃料塩中に核***生
成物を含んだまま運転できれば化学処理コストを節約で
きるが、希土類核***生成物3弗化物の存在は超ウラン
元素3弗化物の許容濃度を低下させるため、超ウラン元
素3弗化物と希土類核***生成物3弗化物を総合して溶
解度を評価する必要があり、従来の溶融塩増殖炉におけ
る3弗化物の溶解度と比較して、さらに高い3弗化物の
溶解度が要求される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、
iFとBeFの混合物からなる溶融塩溶媒に第3の成
分を添加し、かつ溶融塩溶媒の組成を望ましい液相温度
を与えるように調節することにより、溶融塩溶媒中の超
ウラン元素3弗化物及び核***生成物3弗化物の、一定
の温度における溶解度を高め、超ウラン元素の3弗化物
及び核***生成物の3弗化物を溶融塩原子炉の運転に必
要である適切な濃度で含む溶融塩原子炉燃料を提供する
ことにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】原子炉が核的に成立する
ためには、核***によって炉心で発生する中性子数が炉
心から吸収及び漏洩で失われる中性子の数より多くなけ
ればならない。中性子の発生数は核***密度(fiss
ions/cm−s)と核***当たりの中性子発生数
の積で与えられ、核***密度は核***断面積と核***核
種密度の積である巨視的核***断面積に比例する。
【0012】溶融塩原子炉の炉心における中性子の吸収
は、核***性核種の核***反応と捕獲反応、核***生成
物原子の捕獲反応、燃料塩溶媒の構成原子による捕獲反
応、及び黒鉛減速材原子による捕獲反応による吸収があ
る。これらは、いずれも核***或いは捕獲断面積と構成
原子密度の積である巨視的断面積に比例する。中性子の
反応断面積は絶対温度の平方根に反比例して減少し、例
えば650℃における反応断面積は熱中性子(293
K)反応断面積に(293/923)1/2を乗じて求
められ、必要に応じて熱外中性子による共鳴吸収断面積
の5%を追加する。
【0013】中性子発生割合と中性子吸収割合の比は中
性子増倍係数であり、1より大きければ臨界となり原子
炉が成立する。中性子の漏洩は炉心の体系が大きければ
少ないが、4%を見込み、中性子増倍係数が1.04と
なることで原子炉が成立するものとする。
【0014】通常の原子炉で使用される核***性物質の
650℃における核***断面積(共鳴吸収の5%を含む
場合)は、235U;342×10−24cm
233U;337×10−24cm239Pu;4
33×10−24cmなどであるが、本発明で核***
する対象はNp、Pu、Am、Cmなどの超ウラン元素
の同位元素の混合物であり、核***断面積の大きい同位
体は優先的に核***して失われる。このため、実効的な
核***断面積は同位体組成に依存して120×10
−24cm乃至13×10−24cmである。この
ように核***断面積の小さな物質の核***で臨界を保持
するためには核***性物質の高い濃度が必要である。
【0015】弗化物溶融塩中でウランは4価の原子価状
態が安定であり、UFとして存在し、溶解度の問題は
ないが、Np、Pu、Am、Cmなどの超ウラン元素は
3価の原子価状態が安定であり、中性子捕獲断面積が小
さいために弗化物溶融塩原子炉燃料の溶媒として重要な
LiF−BeF二成分系混合弗化物溶媒中において3
弗化物の溶解度は特に限定されている。
【0016】LiF−BeF二成分系混合弗化物溶媒
中における超ウラン元素3弗化物と希土類元素3弗化物
の溶解挙動には以下のような規則性が知られている。 (1)結晶形が同じ3弗化物は固溶体を形成し、溶解挙
動が類似する。超ウラン元素3弗化物と希土類元素3弗
化物はともに六方晶系に属する結晶を与える。 (2)固溶体を形成する3弗化物の混合物において、特
定の3弗化物の溶解度は当該3弗化物が単独で存在する
場合の溶解度に固溶体中の組成分率を乗じて求められ
る。 (3)陽イオンの径が小さいほど3弗化物の溶解度は大
きい。3価の原子価状態にある希土類元素のイオン径は
3価の原子価状態にある超ウラン元素のイオン径より小
さいので、希土類元素3弗化物の溶解度は超ウラン元素
3弗化物の溶解度と等しいものとすれば控えめである。 (4)超ウラン元素類3弗化物の溶解度はそれぞれ殆ど
等しい。 (5)PuFやCeFの溶解度はLiF−BeF
(63−37mole%)の組成において極小となり、
LiFが67mole%以上に増えると急に増加する
が、BeFが37mole%以上に増えても増加は少
ない。
【0017】請求項1の発明は上記(1)乃至(5)の
規則性に加えて以下の規則性に由来する。 (6)LiF−BeF系混合物のBeFをZrF
で置換すると3弗化物の溶解度が増加する。LiF−B
eF系混合物中のBe2+のイオンポテンシャル(原
子価/イオン半径)である6よりは、Zr4+のイオン
ポテンシャルである4がPu3+やCe3+のイオンポ
テンシャルである3に近いためであると考えられる。 (7)LiF−BeF−ZrF系混合物中で2Li
F−BeF錯体及びLiZrF錯体が存在すると
想定した場合の遊離弗素イオン(F)量に依存して3
弗化物の溶解度が増加する。
【0018】請求項1の発明に係る溶融塩原子炉燃料
は、LiFとBeFからなる溶融塩溶媒にZrF
を添加し、溶媒の液相温度が500℃より低くなるよう
に3成分の組成を調節することにより、溶媒の液相温度
より低くない500℃において超ウラン元素3弗化物と
核***生成物3弗化物の溶解度の高い溶融塩溶媒からな
るものであり、溶媒の組成がLiF−BeF−Zr
三成分系の相状態図上において75−5−20mo
le%、61−11−20mole%、67−33−0
mole%、及び69−31−0mole%の点を順次
に結ぶ4角形の範囲内であり、液相温度が500℃より
低く、使用温度が500℃より高いことを特徴とするも
のである。
【0019】図1のLiF−BeF−ZrF三成分
系の相状態図で示されるようにLiF組成が増加すると
液相温度が高くなるため、LiF組成の上限は原子炉の
運転条件で許される燃料塩の液相最高温度で定まる。炉
心を循環する燃料塩の最低運転温度が550℃である場
合に、許容される燃料塩の液相最高温度は500℃であ
るため、LiF組成の上限は500℃より低い液相温度
を与えるものでなければならない。具体的に、LiF組
成の上限はZrFの組成に依存して異なり、69mo
le%からZrF組成の1mole%の増加当たりに
0.33mole%ずつ増加する。LiF組成の下限は
特に限定すべき理由はなく、LiF組成が約50mol
e%程度に低下すればLiF−BeF系混合物の液相
温度は400℃以下に低下するが、BeF組成の増加
に伴い溶融塩の粘度が増加するため、LiF組成として
67mole%を下限とする。
【0020】また、図1に示されるようにZrF組成
がある程度以上に増加すると液相温度が高くなり、Li
F組成の上限と同じように500℃より低い液相温度を
与えるものでなければならない。具体的には、ZrF
組成の上限は20mole%である。ZrFの下限は
LiF組成に対応して500℃より低い液相温度を与え
るものでなければならない。具体的には、LiF組成が
69mole%から1mole%の増加当たりにZrF
組成の下限は3mole%ずつ増加する。
【0021】BeFを置換するZrFの熱中性子捕
獲断面積(0.18×10−24cm)がBeF
熱中性子捕獲断面積(0.01×10−24cm)に
比較して18倍と高く、標準的なLiF−BeF
(67−33mole%)の熱中性子捕獲断面積
(0.025×10−24cm)に対して、全てのB
eFをZrFで置換したとすれば熱中性子捕獲断面
積(0.082×10−24cm)は3.32倍に増
加する。このため溶融塩原子炉燃料の溶媒として許容さ
れる熱中性子捕獲断面積の点からZrF組成の上限が
定められる。さらに、BeFの分子容積(23.67
cm/mole)と比較してZrFの分子容積(3
7.75cm/mole)は1.6倍と大きく、標準
的なLiF−BeF(67−33mole%)の分
子容積(14.41cm/mole)に対して、全て
のBeFをZrFで置換したとすれば分子容積(1
9.05cm/mole)は1.3倍に大きく、単位
体積の燃料塩溶媒に含まれる分子数は0.76倍に低下
する。これは、LiF−BeF(67−33mol
e%)溶媒中と同じmole濃度においても、単位体積
LiF−ZrF(67−33mole%)溶媒中
の溶質分子数は0.67倍に少ないことを意味する。
【0022】溶融塩原子炉燃料と原子炉構成材料の共存
性に関わる制限から、燃料塩の許容最高温度は約700
℃である。燃料塩溶媒の最低液相温度及び超ウラン元素
3弗化物の溶解度評価温度が500℃であることは、燃
料塩の最低温度が余裕をみて550℃まで許容され、熱
交換器の高温側と低温側で150℃の温度を与えること
ができ、発電設備としての熱効率は44.4%に達する
ことができる。
【0023】請求項2の発明は上記(1)乃至(7)の
規則性に加えて以下の規則性に由来する。 (8)LiF−BeF(67−33mole%)の組
成において超ウラン元素3弗化物の溶解熱は14.2k
cal/moleであり、温度が500℃から550℃
に上昇すると超ウラン元素3弗化物の溶解度は1.5倍
に増加する。
【0024】請求項2の発明に係る溶融塩原子炉燃料
は、LiFとBeFからなる溶融塩溶媒にZrF
を添加し、溶媒の液相温度が550℃より低くなるよう
に3成分の組成を調節することにより、溶媒の液相温度
より低くない550℃において超ウラン元素3弗化物と
核***生成物3弗化物の溶解度の高い溶融塩溶媒からな
るものであり、溶媒の組成がLiF−BeF−Zr
三成分系の相状態図上において77−3−20mo
le%、61−11−20mole%、67−33−0
mole%、及び71−29−0mole%の点を順次
に結ぶ4角形の範囲内であり、液相温度が550℃より
低く、使用温度が550℃より高いことを特徴とするも
のである。
【0025】図2のLiF−BeF−ZrF三成分
系の相状態図で示されるようにLiF組成が増加すると
液相温度が高くなるため、LiF組成の上限は原子炉の
運転条件で許される燃料塩の許容液相最高温度で定ま
る。炉心を循環する燃料塩の最低運転温度が600℃で
ある場合に、燃料塩の液相最高温度は550℃まで許さ
れ、LiF組成の上限は550℃までの液相温度を与え
るものであってよい。具体的には、請求項1の発明と比
較して、LiF組成の上限は約2mole%高くなる。
LiF組成の下限は特に限定すべき理由はないが、請求
項1の発明と同様に67mole%を下限とする。
【0026】また、図1に示されるようにZrF組成
がある程度以上に増加すると液相温度が高くなるが、L
iF組成が67乃至69mole%であれば550℃ま
での液相温度を与えるためにZrF組成の上限は25
mole%まで許される。しかし、請求項1の発明と同
様の理由によってZrF組成の上限が制限される。ま
た、請求項1の発明と同様の理由によってLiF組成の
上限においてZrF組成の下限は550℃より低い液
相温度を与えるものでなければならない。
【0027】溶融塩原子炉燃料と原子炉構成材料の共存
性に関わる制限から、燃料塩の許容最高温度は約700
℃である。燃料塩溶媒の最低液相温度及び超ウラン元素
3弗化物の溶解度評価温度が550℃であることは、燃
料塩の最低温度が余裕をみて600℃まで許容され、熱
交換器の高温側と低温側で100℃の温度を与えること
ができ、発電設備としての熱効率は42%に達すること
ができる。
【0028】請求項3の発明は、上記(1)乃至(5)
及び(8)の規則性に加えて以下の規則性に由来する。 (9)LiF−BeF二成分系混合物のBeFをT
hFで置換すると3弗化物の溶解度が増加する。Li
F−BeF二成分系混合物中のBe2+のイオンポテ
ンシャル(原子価/イオン半径)である6よりは、Th
4+のイオンポテンシャルである4がPu3+やCe
3+のイオンポテンシャルである3に近いためであると
考えられる。 (10)LiF−BeF−ThF三成分系混合物中
で2LiF−BeF錯体及びLiThF錯体が存在
すると想定した場合の遊離弗素イオン(F)量に依存
して3弗化物の溶解度が増加する。
【0029】請求項3の発明に係る溶融塩原子炉燃料
は、LiFとBeFからなる溶融塩溶媒にThF
を添加し、溶媒の液相温度が550℃と500℃の範囲
になるように3成分の組成を調節することにより、溶媒
の液相温度より低くない550℃において超ウラン元素
3弗化物と核***生成物3弗化物の溶解度が高く、23
Uを核***性物質として継続的に補充できる溶融塩溶
媒からなるものであり、溶媒の組成がLiF−BeF
−ThF三成分系の相状態図上において76−6−
18mole%、69−31−0mole%、及び71
−29−0mole%の点を順次に結ぶ3角形の範囲内
であり、液相温度が500℃と550℃の範囲内であ
り、使用温度が550℃より高いことを特徴とするもの
である。
【0030】図3のLiF−BeF−ThF三成分
系の相状態図で示されるようにLiF組成が増加すると
液相温度が高くなるため、LiF組成の上限は原子炉の
運転条件で許される燃料塩の液相最高温度で定まる。炉
心を循環する燃料塩の最低運転温度が600℃である場
合に、燃料塩の液相最高温度は550℃まで許され、L
iF組成の上限は550℃までの液相温度を与えるもの
であってよい。具体的には、LiF組成の上限はThF
の組成に依存して異なり、71mole%からThF
組成の1mole%の増加当たりに0.22mole
%ずつ増加する。請求項3の発明においてLiF−Be
−ThF三成分系混合物の液相温度は550℃と
500℃の間の範囲に限定しているのでLiF組成の下
限は69mole%に限定される。
【0031】また、図3に示されるようにThF組成
がある程度以上に増加すると液相温度が高くなるが、L
iF組成が69乃至75mole%であれば550℃ま
での液相温度を与えるためにThF組成の上限は18
mole%まで許される。ThFの下限はLiF組成
に対応して550℃より低い液相温度を与えるものでな
ければならない。具体的には、LiF組成が71mol
e%から1mole%の増加当たりにThF組成の下
限は4.5mole%ずつ増加する。
【0032】ThFは単にBeFを置換して3弗化
物の溶解度を高めるだけでなく、 32Thは熱中性子
を捕獲(熱中性子捕獲断面積7.4×10−24 cm
)して233Paを生成し、233Paはβ崩壊して
233Uとなり核***するために増殖物質である。
233UはUFとして溶媒に溶解するが、3弗化物の
溶解度に影響を与えることはない。溶融塩増殖炉燃料と
してはThF組成として12mole%が提案されて
いたが、増殖を目的とせず232Thから生成する
233Uを過不足なく燃焼する原子炉としてはThF
組成は10%であればよい。この条件においては、生成
する233U量は原子炉内で燃焼する233U量と釣り
合い、本発明の利用分野である超ウラン元素を効率よく
核***させる原子炉の燃料塩としては不都合になる。し
かし、核***断面積が大きく、核***し易い超ウラン核
種が先行して核***し、吸収断面積に占める核***断面
積の比率が小さくなった超ウラン核種を核***させて低
い濃度にまで減量する原子炉においては232Thから
生成した233Uの核***によって発生する中性子を有
効に利用できる。
【0033】BeFを置換するThFの熱中性子捕
獲断面積(7.4×10−24cm )がBeFの熱
中性子捕獲断面積(0.01×10−24cm)に比
較して740倍と高く、標準的なLiF−BeF
(67−33mole%)の熱中性子捕獲断面積
(0.025×10−24cm)に対して、10%の
BeF をZrFで置換したとして熱中性子捕獲断面
積(0.76×10−24cm )は約30倍に増加す
る。高い中性子捕獲断面積は高い233U収率を意味
し、平衡233U濃度の下で超ウラン元素の燃焼が行え
なくなる。一方、平衡23 U濃度に達するまでは、炉
心の寄生的中性子捕獲を補償するために3弗化物を構成
する超ウラン元素の負荷濃度をさらに高めなければなら
ない。従って、溶融塩原子炉燃料の溶媒として許容され
る熱中性子捕獲断面積の点からThF組成の上限が制
限される。さらに、BeFの分子容積(23.67c
/mole)と比較してThFの分子容積(4
4.27cm/mole)は1.87倍と大きく、標
準的なLiF−BeF(67−33mole%)の
分子容積(14.41cm/mole)に対して10
mole%のBeFをThFで置換したとすれば分
子容積(16.47cm/mole)は1.14倍に
大きく、単位体積の燃料塩溶媒に含まれる分子数は0.
875倍に低下する。これは、LiF−BeF(6
7−33mole%)溶媒中と同じmole濃度におい
ても、単位体積のLiF−BeF−ThF(67
−23−10mole%)溶媒中の溶質分子数は0.8
75倍に少ないことを意味する。
【0034】溶融塩原子炉燃料と原子炉構成材料の共存
性に関わる制限から、燃料塩の許容最高温度は約700
℃である。燃料塩溶媒の最低液相温度及び超ウラン元素
3弗化物の溶解度評価温度が550℃であることは、燃
料塩の最低温度が余裕をみて600℃まで許容され、熱
交換器の高温側と低温側で100℃の温度を与えること
ができ、発電設備としての熱効率は42%に達すること
ができる。
【0035】請求項4の発明に係る溶融塩原子炉燃料
は、請求項3の発明に係る溶融塩原子炉燃料において、
超ウラン元素を効果的に燃焼するために適当な量にTh
の添加加量を低減したときに超ウラン元素3弗化物
の溶解度を大きくするために必要なThFの添加量に
達しないという点に鑑みてなされ、請求項3の発明に係
る溶融塩原子炉燃料におけるThFの一部をZrF
で置換することにより、溶媒の液相温度より低くない5
50℃において超ウラン元素3弗化物の溶解度を高く保
ちながら、ThF量を低減し、233Uの補充量を制
限して超ウラン元素の燃焼率を高めることができる溶融
塩溶媒からなるものである。
【0036】これによって、燃料塩内の超ウラン元素濃
度を高めて233Uの核***に対する超ウラン元素の核
***割合を高めることができる。また、過剰のThF
をZrFで置換することにより、溶媒の捕獲断面積が
低下して中性子増倍係数が高くなり、燃料塩中に核***
生成物を含めることが可能になる。
【0037】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本発明の実施の形
態1による溶融塩原子炉燃料は、図1に示すLiF−B
eF −ZrF三成分系の組成と液相温度と等高線を
示す部分的な相状態図上での液相温度が500℃より低
く、450℃より高い組成範囲で示される。その組成範
囲から採取した標本についての各成分のmole%組
成、溶媒の熱中性子捕獲断面積、LiBeFとLi
ZrFが生成するとして求めた遊離弗素イオン数、
1グラム分子の溶媒が500℃において占める分子容積
値、溶液中のPu濃度比[Pu]/[Li+Be+Zr
+Pu]mole%と定義される500℃におけるPu
の溶解度、単位容積の溶媒中のPuグラム分子量と
定義される500℃におけるPuFの溶解度をそれぞ
れ表1に示す。表1の各組成に相当する標本番号を図1
に示す。
【0038】
【表1】
【0039】以下、各条件下での計算結果について説明
する。
【0040】条件1−1 黒鉛減速材と炉心容積比が10%である平均温度650
℃の燃料塩(溶媒塩の巨視的捕獲断面積[0.0141
×10−24cm][3.66×1022atom/
cm][0.1]=0.000052cm−1)で構
成される溶融塩原子炉において、実効核***断面積が1
19×10−24cm、実効捕獲断面積が169×1
−24cmであり、中性子収率が2.96である超
ウラン元素が核***する場合に、核***生成物が常時除
去されていて存在しなければ、超ウラン元素濃度が0.
6×1020atoms/cm(1.00×10−4
mole/cm)において炉心の巨視的核***断面積
が0.00071cm−1、巨視的捕獲断面積が0.0
0101cm−1であり、中性子増倍係数が1.04と
なり臨界に達する。
【0041】この超ウラン元素3弗化物濃度は標本番号
1の67%LiF−33%BeF−0%ZrFの溶
解度1.15×10−4mole/cm(0.69×
10 20atoms/cm)によって満足できる。
【0042】条件1−2 黒鉛減速材と炉心容積比が10%である平均温度650
℃の燃料塩(溶媒塩の巨視的捕獲断面積[0.0248
×10−24cm][3.22×1022atom/
cm][0.1]=0.000080cm−1)で構
成される溶融塩原子炉において、実効核***断面積が1
19×10−24cm、実効捕獲断面積が169×1
−24cmであり、中性子収率が2.96である超
ウラン元素が核***する場合に、実効捕獲断面積6×1
−24cmの核***生成物が炉心熱出力密度19.
5W/cm(5.93×1011fissions/
cm−s)で1.0×10sの運転によって蓄積し
て燃料塩(炉心外を含む)中濃度が2.51×1020
atoms/cmであれば炉心巨視的捕獲断面積は
0.000151cm−1であり、超ウラン元素濃度が
0.95×1020atoms/cm(1.58×1
−4mole/cm)において炉心の巨視的核***
断面積が0.00113cm−1、巨視的捕獲断面積が
0.00161cm−1であり、中性子増倍係数が1.
04となり臨界に達する。
【0043】核***生成物には7.53×1019at
oms/cm(1.25×10 mole/c
)の希土類元素3弗化物を含んでおり、超ウラン元
素3弗化物と合計して1.70×1020atoms/
cm(2.83×10−4mole/cm)の3弗
化物を含むことになる。この3弗化物濃度は標本番号7
のLiF−BeF−ZrF(72−18−10mo
le%)の溶解度3.05×10−4mole/cm
によって満足できる。
【0044】条件1−3 黒鉛減速材と炉心容積比が10%である平均温度650
℃の燃料塩(溶媒塩の巨視的捕獲断面積[0.0344
×10−24cm][3.02×1022atom/
cm][0.1]=0.000104cm−1)で構
成される溶融塩原子炉において、実効核***断面積が1
19×10−24cm、実効捕獲断面積が169×1
−24cmであり、中性子収率が2.96である超
ウラン元素が核***する場合に、実効捕獲断面積6×1
−24cmの核***生成物が炉心熱出力密度19.
5W/cm(5.93×1011fissions/
cm−s)で1.5×10sの運転によって蓄積し
て燃料塩(炉心外を含む)中濃度が3.76×1020
atoms/cmであれば炉心巨視的捕獲断面積は
0.000226cm−1であり、超ウラン元素濃度が
1.15×1020atoms/cm(1.91×1
−4mole/cm)において炉心の巨視的核***
断面積が0.00137cm−1、巨視的捕獲断面積が
0.00194cm−1であり、中性子増倍係数が1.
04となり臨界に達する。
【0045】核***生成物には1.13×1020at
oms/cm(1.87×10 mole/c
)の希土類元素3弗化物を含んでおり、超ウラン元
素3弗化物と合計して2.28×1020atoms/
cm(3.78×10−4mole/cm)の3弗
化物を含むことになる。この3弗化物濃度は標本番号8
のLiF−BeF−ZrF(75−5−20mol
e%)の溶解度3.11×10−4mole/cm
よっても満足できない。
【0046】実施の形態1によれば、以下の効果を得る
ことができる。 (1)原子炉の最低運転温度が550℃程度であり、燃
料塩の最高許容液相温度が500℃である場合に、燃料
塩溶媒にZrFを添加して、500℃における超ウラ
ン元素3弗化物の溶解度が高い燃料塩を提供し、燃料塩
中の超ウラン元素濃度を高めることにより、ある程度低
い核***断面積を有する超ウラン元素で構成され、ある
程度の核***生成物を含む原子炉を臨界に達せしめ、あ
るいは反応度を高めることができる。 (2)ZrFの添加による熱中性子捕獲断面積の増加
の影響が小さい燃料塩を選択することができる。
【0047】実施の形態2.本発明の実施の形態2によ
る溶融塩原子炉燃料は、図2に示すLiF−BeF
ZrF三成分系の組成と液相温度と等高線を示す部分
的な相状態図上での液相温度が550℃より低く、45
0℃より高い組成範囲で示される。その組成範囲から採
取した標本についての各成分のmole%組成、溶媒の
熱中性子捕獲断面積、LiBeFとLiZrF
が生成するとして求めた遊離弗素イオン数、1グラム分
子の溶媒が550℃において占める分子容積値、溶液中
のPu濃度比[Pu]/[Li+Be+Zr+Pu]m
ole%と定義される550℃における超ウラン元素3
弗化物の溶解度、単位容積の溶媒中のPuグラム分子量
と定義される550℃における超ウラン元素3弗化物の
溶解度をそれぞれ表2に示す。表2の各組成に相当する
標本番号を図2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】以下、各条件下での計算結果について説明
する。
【0050】条件2−1 黒鉛減速材と炉心容積比が10%である平均温度650
℃の燃料塩(溶媒塩の巨視的捕獲断面積[0.0192
×10−24cm][3.54×1022atom/
cm][0.1]=0.000068cm−1)で構
成される溶融塩原子炉において、実効核***断面積が1
19×10−24cm、実効捕獲断面積が169×1
−24cmであり、中性子収率が2.96である超
ウラン元素が核***する場合に、実効捕獲断面積6×1
−24cmの核***生成物が炉心熱出力密度19.
5W/cm(5.93×1011fissions/
cm−s)で1.5×10sの運転によって蓄積し
て燃料塩(炉心外を含む)中濃度が3.76×1020
atoms/cmであれば炉心巨視的捕獲断面積は
0.000226cm−1であり、超ウラン元素濃度が
1.10×1020atoms/cm(1.83×1
−4mole/cm)において炉心の巨視的核***
断面積が0.00131cm−1、巨視的捕獲断面積が
0.00186cm−1であり、中性子増倍係数が1.
04となり臨界に達する。
【0051】核***生成物には1.13×1020at
oms/cm(1.87×10 mole/c
)の希土類元素3弗化物を含んでおり、超ウラン元
素3弗化物と合計して2.23×1020atoms/
cm(3.70×10−4mole/cm)の3弗
化物を含むことになる。この3弗化物濃度は標本番号1
2のLiF−BeF−ZrF(67−28−5mo
le%)の溶解度4.70×10−4mole/cm
によって満足できる。
【0052】条件2−2 黒鉛減速材と炉心容積比が10%である平均温度650
℃の燃料塩(溶媒塩の巨視的捕獲断面積[0.0146
×10−24cm][3.58×1022atom/
cm][0.1]=0.000052cm−1)で構
成される溶融塩原子炉において、実効核***断面積が7
6.4×10−24cm、実効捕獲断面積が111.
6×10−24cmであり、中性子収率が2.96で
ある超ウラン元素が核***する場合に、核***生成物が
存在していなければ、超ウラン元素濃度が1.10×1
20atoms/cm(1.83×10−4mol
e/cm)において炉心の巨視的核***断面積が0.
00084cm−1、巨視的捕獲断面積が0.0012
3cm−1であり、中性子増倍係数が1.04となり臨
界に達する。
【0053】この超ウラン元素濃度は標本番号11のL
iF−BeF−ZrF(71−29−0mole
%)の溶解度3.33×10−4mole/cmによ
って満足できる。
【0054】条件2−3 黒鉛減速材と炉心容積比が10%である平均温度650
℃の燃料塩(溶媒塩の巨視的捕獲断面積[0.0197
×10−24cm][3.55×1022atom/
cm][0.1]=0.000070cm−1)で構
成される溶融塩原子炉において、実効核***断面積が7
6.4×10−24cm、実効捕獲断面積が111.
6×10−24cmであり、中性子収率が2.96で
ある超ウラン元素が核***する場合に、実効捕獲断面積
6×10−24cmの核***生成物が炉心熱出力密度
19.5W/cm(5.93×1011fissio
ns/cm−s)で1.5×10−s(4.76
年)の運転によって蓄積して燃料塩(炉心外を含む)中
濃度が3.76×1020atoms/cmであれば
炉心巨視的捕獲断面積は0.000226cm−1であ
り、超ウラン元素濃度が1.85×1020atoms
/cm(3.07×10−4mole/cm )にお
いて炉心の巨視的核***断面積が0.00141、巨視
的捕獲断面積が0.00206であり、中性子増倍係数
が1.04となり臨界に達する。
【0055】核***生成物には1.13×1020at
oms/cm(1.87×10 mole/c
)の希土類元素3弗化物を含んでおり、超ウラン元
素3弗化物と合計して2.98×1020atoms/
cm(4.95×10−4mole/cm)の3弗
化物を含むことになる。この3弗化物濃度は標本番号1
5のLiF−BeF−ZrF(70−25−5mo
le%)の溶解度5.90×10−4mole/cm
によって満足できる。
【0056】条件2−4 黒鉛減速材と炉心容積比が10%である平均温度650
℃の燃料塩(溶媒塩の巨視的捕獲断面積[0.0349
×10−24cm][3.37×1022atom/
cm][0.1]=0.000118cm−1)で構
成される溶融塩原子炉において、実効核***断面積が1
3.1×10−24cm、実効捕獲断面積が27.9
×10−24cmであり、中性子収率が3.42であ
る超ウラン元素が核***し、核***生成物が常時除去さ
れていて存在しなければ、超ウラン元素濃度が1.60
×1021atoms/cm(2.66×10−3
ole/cm)において炉心の巨視的核***断面積が
0.00210cm−1、巨視的捕獲断面積が0.00
446cm−1であり、中性子増倍係数が1.04とな
り臨界に達する。
【0057】この超ウラン元素3弗化物濃度は、標本番
号20のLiF−BeF−ZrF (71−29−0
mole%)の溶解度1.12×10−3mole/c
によっても満足しない。
【0058】実施の形態2によれば、以下の効果を得る
ことができる。 (1)原子炉の最低運転温度が600℃程度であり、燃
料塩の最高許容液相温度が550℃である場合に、燃料
塩溶媒にZrFを添加して、550℃における超ウラ
ン元素3弗化物の溶解度が高い燃料塩を提供し、燃料塩
中の超ウラン元素濃度を高めることにより、かなり低い
核***断面積を有する超ウラン元素で構成され、かなり
の程度の核***生成物を含む原子炉を臨界に達せしめ、
あるいは反応度を高めることができる。 (2)ZrFの添加による熱中性子捕獲断面積の増加
の影響が小さい燃料塩を選択することができる。
【0059】実施の形態3.本発明の実施の形態3によ
る溶融塩原子炉燃料は、図3に示すLiF−BeF
ThF三成分系の組成と液相温度と等高線を示す部分
的な相状態図上に与えられる液相温度が550℃より低
く、500℃より高い組成範囲で示される。その組成範
囲から採取した標本についての各成分のmole%組
成、LiBeFとLiThFが生成するとして求
めた遊離弗素イオン数、1グラム分子の溶媒が550℃
において占める分子容積値、溶液中のPu濃度比[P
u]/[Li+Be+Th+Pu]mole%と定義さ
れる550℃における超ウラン元素3弗化物の溶解度、
単位容積の溶媒中のPuグラム分子量と定義される55
0℃における超ウラン元素3弗化物の溶解度をそれぞれ
表3に示す。表3中の特定の組成に相当する標本番号を
図3に示す。標本番号21から29は比較標本であり、
実施の形態3の範囲外である。
【0060】以下、各条件下での計算結果について説明
する。
【0061】
【表3】
【0062】条件3−1 黒鉛減速材と容積比が10%であり6mole%のTh
を添加した溶融塩原子炉燃料(650℃において
232Th共鳴積分断面積の5%を含む中性子捕獲断面
積=0.580×10−24cm、炉心の巨視的捕獲
断面積=0.00190cm−1)で構成される原子炉
において、232Thが中性子を捕獲して生成する
233UFの平衡濃度は約0.3mole%である。
平均運転温度である650℃における233Uの核***
断面積は299×10−24cmであり、中性子捕獲
断面積は56.5×10−24cmである。単位体積
中の溶媒分子密度が3.28×1022atoms/c
から求めた233U原子密度9.83×1019
toms/cm(1.63×10−4mole/cm
)を微視的断面積に乗じて求められ炉心の巨視的核分
裂断面積は0.00294cm−1であり、炉心の巨視
的中性子捕獲断面積は0.000555cm−1であ
る。233Uの核***による中性子収率は2.49であ
るため、中性子増倍係数は1.297である。
【0063】実効核***断面積が13.1×10−24
cm、実効捕獲断面積が27.9×10−24cm
であり、中性子収率が3.42である超ウラン元素が標
本番号33のLiF−BeF−ThF(73−21
−6mole%)の超ウラン元素3弗化物溶解度である
5.93×10−4mole/cm(3.57×10
20atoms/cm)に相当する濃度以下で存在す
ると、炉心の巨視的核***断面積は0.000468c
−1、炉心の巨視的捕獲断面積は0.000996c
−1であり、中性子増倍率は1.255以上となり臨
界となる。
【0064】炉心の233Uの巨視的核***断面積0.
00294cm−1と超ウラン元素の巨視的核***断面
積0.000468cm−1は86.3%と13.7%
に相当する。1GWt−yの核***熱出力は約300k
gの核***性物質によって発生するが、この場合には、
259kgの233Uの消費に伴って41kgの超ウラ
ン元素が消費される。
【0065】条件3−2 黒鉛減速材と容積比が10%であり3mole%のTh
を添加した溶融塩原子炉燃料(650℃において共
鳴積分断面積の5%を含む中性子捕獲断面積=0.26
7×10−24cm、炉心における巨視的捕獲断面積
=0.000945cm−1)で構成される原子炉にお
いて、232Thが中性子を捕獲して生成する233
の平衡濃度は約0.15mole%(5.31×1
19atoms/cm)である。平均運転温度であ
る650℃における233Uの核***断面積は299×
10−24cmであり、中性子捕獲断面積は56.5
×10−24cmである。炉心における233Uの巨
視的核***断面積は0.00159cm−1であり、巨
視的中性子捕獲断面積は0.00030cm−1であ
る。233Uの核***による中性子収率は2.49であ
るため、中性子増倍係数は1.283である。実効核分
裂断面積が13.1×10−24cm、実効捕獲断面
積が27.9×10−24cmであり、中性子収率が
3.42である超ウラン元素が標本番号33のLiF−
BeF−ThF(73−21−6mole%)の超
ウラン元素3弗化物溶解度である3.57×1020
toms/cmの濃度以下で存在すれば、炉心の巨視
的核***断面積は0.000468cm−1、炉心の巨
視的捕獲断面積は0.000996cm−1であり、中
性子増倍率は1.222以上となり臨界となる。
【0066】炉心の233Uの巨視的核***断面積0.
00159と超ウラン元素の巨視的核***断面積0.0
00468は77.3%と26.7%に相当する。1G
Wt−yの核***熱出力は約300kgの核***性物質
によって発生するが、この場合には、232kgの
233Uの消費に伴って68kgの超ウラン元素が消費
される。ここで、溶媒であるLiF−BeF−ThF
(72−25−3mole%)の550℃における3
弗化物の溶解度は3.0×1020atoms/cm
(5×10−4mole/cm)と推定され、実際に
溶融塩炉燃料中に負荷できる超ウラン元素濃度は核***
生成物を含まない場合の84%に低下する。従って、超
ウラン元素の燃焼比率は22.4%に低下する。
【0067】条件3−3 黒鉛減速材と容積比が10%であり2mole%のTh
を添加した溶融塩原子炉燃料(650℃において共
鳴積分断面積の5%を含む中性子捕獲断面積=0.24
4×10−24cm、炉心における巨視的捕獲断面積
=0.000644cm−1)で構成される原子炉にお
いて、232Thが中性子を捕獲して生成する233
の平衡濃度は約0.1mole%(3.54×10
19atoms/cm)である。平均運転温度である
650℃における233Uの核***断面積は299×1
−24cmであり、中性子捕獲断面積は56.5×
10−24cmである。炉心における233Uの巨視
的核***断面積は0.001058cm−1であり、巨
視的中性子捕獲断面積は0.000200cm−1であ
る。233Uの核***による中性子収率は2.49であ
るため、中性子増倍係数は1.224である。実効核分
裂断面積が13.1×10−24cm、実効捕獲断面
積が27.9×10−24cmであり、中性子収率が
3.42である超ウラン元素が標本番号33のLiF−
BeF−ThF(73−21−6mole%)の超
ウラン元素3弗化物溶解度である3.57×1020
toms/cmの濃度以下で存在すれば、炉心の巨視
的核***断面積は0.000468cm−1、炉心の巨
視的捕獲断面積は0.000996cm−1であり、中
性子増倍率は1.171以上となり臨界となる。
【0068】炉心の233Uの巨視的核***断面積0.
001058cm−1と超ウラン元素の巨視的核***断
面積0.000468cm−1は69.3%と31.7
%に相当する。1GWt−yの核***熱出力は約300
kgの核***性物質によって発生するが、この場合に
は、208kgの233Uの消費に伴って92kgの超
ウラン元素が消費される。ここで、溶媒であるLiF−
BeF−ThF(71.5−25.5−2mole
%)の550℃における3弗化物の溶解度は2.4×1
20atoms/cm(4×10−4mole/c
)と推定され、実際に溶融塩炉燃料中に負荷できる
超ウラン元素濃度は核***生成物を含まない場合の67
%に低下する。従って、超ウラン元素の燃焼比率は2
1.3%に低下する。
【0069】条件3−4 条件3−3において、溶融塩炉燃料中に核***生成物を
含まなかった。核***断面積が299×10−24cm
であり、中性子捕獲断面積は56.5×10 −24
であり、中性子収率が2.49である233Uが
233UFとして0.1mole%(3.54×10
19atoms/cm)の濃度で存在し、実効核***
断面積が13.1×10−24cm、実効捕獲断面積
が27.9×10−24cmであり、中性子収率が
3.42である超ウラン元素3弗化物が3.57×10
20atoms/cmの濃度で存在して中性子増倍係
数は1.171であった。さらに、実効中性子捕獲断面
積が6×10−24cmの核***生成物が溶融塩炉燃
料中に7.60×1020atoms/cmの濃度で
存在しても中性子増倍率は1.04であり臨界は保持で
きる。この核***生成物量は炉心出力密度19.5W/
cm(燃料塩核***密度5.93×1012fiss
ion/cm−s)において1.50×10−s
(4.76年)運転して蓄積するものに相当する。ここ
で、核***生成物は希土類元素3弗化物を2.28×1
20atoms/cm含むため、溶融塩炉燃料の溶
媒は全3弗化物として少なくとも5.85×1020
toms/cm(9.71×10 mole/cm
)の溶解度を有する必要がある。ここで、溶媒である
LiF−BeF−ThF(72−26−2mole
%)の550℃における3弗化物の溶解度は2.4×1
20atoms/cm(4×10−4mole/c
)と推定され、実際に溶融塩炉燃料中に負荷できる
超ウラン元素濃度は核***生成物を含まない場合の41
%に低下する。従って、超ウラン元素の燃焼比率は13
%に低下する。
【0070】実施の形態3によれば、以下の効果を得る
ことができる。 (1)原子炉の最低運転温度が600℃程度であり、燃
料塩の最高許容液相温度が550℃である場合に、燃料
塩溶媒に増殖材であるThFを添加して、550℃に
おける超ウラン元素3弗化物の溶解度が高い燃料塩を提
供すると同時に、生成する233Uの核***で発生する
中性子を利用して核***断面積の著しく低い超ウラン元
素を高い効率で燃焼することができる。 (2)核***断面積の小さい超ウラン元素を燃焼するこ
とができる超ウラン元素3弗化物の溶解度の高い溶融塩
原子炉燃料を提供することができる。
【0071】実施の形態4.各条件下での計算結果につ
いて説明する。
【0072】条件4−1 黒鉛減速材と容積比が10%であり、標本番号33のL
iF−BeF−ThF(73−21−6mole
%)溶媒のThFのうち4mole%をZrF で置
換し、2mole%のThFを含む溶融塩原子炉燃料
(650℃において共鳴積分断面積の5%を含む中性子
捕獲断面積=0.187×10−24cm 、炉心にお
ける巨視的捕獲断面積=0.000663cm−1)で
構成される原子炉において、232Thが中性子を捕獲
して生成する233UFの平衡濃度は約0.1mol
e%(3.54×1019atoms/cm)であ
る。平均運転温度である650℃における233Uの核
***断面積は299×10−2 cmであり、中性子
捕獲断面積は56.5×10−24cmである。炉心
における233Uの巨視的核***断面積は0.0010
58cm−1であり、巨視的中性子捕獲断面積は0.0
00200cm−1である。233Uの核***による中
性子収率は2.49であるため、中性子増倍係数は1.
224である。実効核***断面積が13.1×10
−24cm、実効捕獲断面積が27.9×10−24
cmであり、中性子収率が3.42である超ウラン元
素が3.57×1020atoms/cmの濃度以下
で存在すれば、炉心の巨視的核***断面積は0.000
468cm−1、炉心の巨視的捕獲断面積は0.000
996cm−1であり、中性子増倍率は1.165以上
となり臨界となる。
【0073】炉心の233Uの巨視的核***断面積0.
001058cm−1と超ウラン元素の巨視的核***断
面積0.000468cm−1は69.3%と31.7
%に相当する。1GWt−yの核***熱出力は約300
kgの核***性物質によって発生するが、この場合に
は、208kgの233Uの消費に伴って92kgの超
ウラン元素が消費される。ここで、溶媒であるLiF−
BeF−ThF−ZrF(73−21−2−4m
ole%)の550℃における3弗化物の溶解度は3.
57×1020atoms/cm(5.93×10
−4mole/cm )であり、実際に溶融塩炉燃料中
に3.57×1020atoms/cmの超ウラン元
素を負荷できるので、超ウラン元素の燃焼比率は31.
7%となる。
【0074】条件4−2 黒鉛減速材と容積比が10%であり、標本番号36のL
iF−BeF−ThF(77−5−18mole
%)溶媒のThFのうち16mole%をZrF
置換し、2mole%のThFを含む溶融塩原子炉燃
料(650℃において共鳴積分断面積の5%を含む中性
子捕獲断面積=0.220×10−24cm、炉心に
おける巨視的捕獲断面積=0.000736cm−1
で構成される原子炉において、232Thが中性子を捕
獲して生成する233UFの平衡濃度は約0.1mo
le%(3.54×1019atoms/cm)であ
る。平均運転温度である650℃における233Uの核
***断面積は299×10 24cmであり、中性子
捕獲断面積は56.5×10−24cmである。炉心
における233Uの巨視的核***断面積は0.0010
58cm−1であり、巨視的中性子捕獲断面積は0.0
00200cm−1である。233Uの核***による中
性子収率は2.49であるため、中性子増倍係数は1.
173である。実効核***断面積が13.1×10
−24cm、実効捕獲断面積が27.9×10−24
cmであり、中性子収率が3.42である超ウラン元
素が3.57×1020atoms/cmの濃度以下
で存在すれば、炉心の巨視的核***断面積は0.000
468cm−1、炉心の巨視的捕獲断面積は0.000
996cm−1であり、中性子増倍率は1.142以上
となり臨界となる。
【0075】さらに、実効中性子捕獲断面積が6×10
−24cmの核***生成物が溶融塩炉燃料中に6.3
0×1020atoms/cmの濃度で存在しても中
性子増倍率は1.04であり臨界は保持できる。この核
***生成物量は炉心出力密度19.5W/cm(燃料
塩核***密度5.93×1012 fissions/
cm−s)において1.25×10−s(3.95
年)運転して蓄積するものに相当する。ここで、核***
生成物は希土類元素3弗化物を1.89×10 20
toms/cm含むため、溶融塩炉燃料の溶媒は全3
弗化物として少なくとも5.46×1020atoms
/cm(9.07×10−4mole/cm)の溶
解度を有する必要がある。ここで、溶媒としてLiF−
BeF−ThF(77−5−18mole%)のT
hFの一部をZrFで置換したLiF−BeF
ThF−ZrF(77−5−2−16mole%)
の550℃における3弗化物の溶解度はLiF−BeF
−ThF(77−5−18mole%)と同じく
6.63×1020atoms/cm(11.0×1
−4mole/cm)と推定され、実際に溶融塩炉
燃料中に負荷できる超ウラン元素濃度が満足される。
【0076】炉心の233Uの巨視的核***断面積0.
001058と超ウラン元素の巨視的核***断面積0.
000468は69.3%と31.7%に相当する。1
GWt−yの核***熱出力は約300kgの核***性物
質によって発生するが、この場合には、208kgの
233Uの消費に伴って92kgの超ウラン元素が燃焼
される。
【0077】実施の形態4によれば、以下の効果を得る
ことができる。 (1)原子炉の最低運転温度が600℃程度であり、燃
料塩の最高許容液相温度が550℃である場合に、燃料
塩溶媒にThFとZrFを添加して、550℃にお
ける超ウラン元素3弗化物の溶解度を高めると同時に、
生成する233Uの核***で発生する中性子を利用して
核***断面積の著しく低い超ウラン元素を高い効率で燃
焼するために必要にして十分な増殖材であるThF
存在せしめることができる。 (2)核***断面積の小さい超ウラン元素を効果的に燃
焼することができる超ウラン元素3弗化物と希土類元素
3弗化物の溶解度が高い溶融塩原子炉燃料を提供するこ
とができる。
【0078】なお、図1及び図2の相状態図は、R.E. T
homa, H. Insley, H.A. Friedman and G.M. Hebert,
“Equilibrium Phase Diagram of the Lithium Fluorid
e-Beryllium Fluoride-Zirconium Fluoride Systems”,
Journal of Nuclear Materials Vol. 27(1968), p.16
6-180から引用したものであり、図3の相状態図は、W.
R. Grimes, “Molten-Salt Reactor Chemistry”, Nucl
ear Applications and Technology Vol.8, February 19
70, pp.137-155から引用したものである。
【0079】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、500℃にお
いて溶融塩原子炉燃料中に高い濃度で超ウラン元素3弗
化物を溶解せしめ、かなり低い核***断面積(約120
×10 −24cm)を有する超ウラン元素で構成され
る溶融塩原子炉燃料中に希土類元素を含む核***生成物
の存在を許さない原子炉に対して十分な核的反応度を与
え、50℃の裕度をもって550℃の最低運転温度が許
され、熱効率に優れた運転に適した溶融塩原子炉燃料を
提供することができる。
【0080】請求項2の発明によれば、550℃におい
て溶融塩原子炉燃料中に高い濃度で超ウラン元素3弗化
物を溶解せしめ、さらに低い核***断面積(約76×1
24cm)を有する超ウラン元素で構成される溶
融塩原子炉燃料中に希土類元素を含む核***生成物の存
在を許す原子炉に対して十分な核的反応度を与え、請求
項1の発明より熱効率は劣るが、50℃の裕度をもって
600℃の最低運転温度が許される運転に適した溶融塩
原子炉燃料を提供することができる。
【0081】請求項3の発明によれば、550℃におい
て溶融塩原子炉燃料中に高い濃度で超ウラン元素3弗化
物を溶解せしめ、請求項2の発明によって得られる効果
を生じると共に、添加したThFの中性子捕獲によっ
て生成する233UFの高い核***断面積に由来し
て、著しく低い核***断面積(約13×10−24cm
)を有する超ウラン元素で構成される溶融塩原子炉燃
料中に希土類元素を含む核***生成物の存在を許さない
原子炉に対して十分な核的反応度を与え、233Uが燃
焼する分は原子炉の熱出力当たりに超ウラン元素の燃焼
量は少なくなるが、50℃の裕度をもって600℃の最
低運転温度が許される運転に適した溶融塩原子炉燃料を
提供することができる。
【0082】請求項4の発明によれば、550℃におい
て溶融塩原子炉燃料中に高い濃度で超ウラン元素3弗化
物を溶解せしめ、請求項3の発明によって得られる効果
を生じると共に、添加されるThFの一部をZrF
で置換することにより、超ウラン元素3弗化物の溶解度
を高く保ちながら増殖材としてのThFの存在量を制
限して233Uの燃焼分を少なくし、核***生成物の存
在を許しても超ウラン元素の燃焼率を31.7%の理論
値にまで高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な一実施例である溶媒塩組成を示
すLiF−BeF−ZrF三成分系相状態図であ
る。
【図2】本発明の他の実施例である溶媒塩組成を示すL
iF−BeF−ZrF三成分系相状態図である。
【図3】本発明の他の実施例である溶媒塩組成を示すL
iF−BeF−ThF三成分系相状態図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量数が7の同位元素を濃縮したリチウ
    ムの弗化物(LiF)とベリリウムの2弗化物(Be
    )とジルコニウムの4弗化物(ZrF)との混合
    物からなる溶融塩の溶媒に、超ウラン元素の3弗化物と
    核***生成物元素の3弗化物とを溶質として含み、溶媒
    の組成がLiF−BeF−ZrF 三成分系の相状
    態図上において75−5−20mole%、61−11
    −20mole%、67−33−0mole%、及び6
    9−31−0mole%の点を順次に結ぶ4角形の範囲
    内であり、初めて固相が析出する温度である液相温度が
    500℃より低く、使用温度が500℃より高いことを
    特徴とする溶融塩原子炉燃料。
  2. 【請求項2】 質量数が7の同位元素を濃縮したリチウ
    ムの弗化物(LiF)とベリリウムの2弗化物(Be
    )とジルコニウムの4弗化物(ZrF)との混合
    物からなる溶融塩の溶媒に、超ウラン元素の3弗化物と
    核***生成物元素の3弗化物とを溶質として含み、溶媒
    の組成がLiF−BeF−ZrF 三成分系の相状
    態図上において77−3−20mole%、61−11
    −20mole%、67−33−0mole%、及び7
    1−29−0mole%の点を順次に結ぶ4角形の範囲
    内であり、初めて固相が析出する温度である液相温度が
    550℃より低く、使用温度が550℃より高いことを
    特徴とする溶融塩原子炉燃料。
  3. 【請求項3】 質量数が7の同位元素を濃縮したリチウ
    ムの弗化物(LiF)とベリリウムの2弗化物(Be
    )とトリウムの4弗化物(ThF)との混合物か
    らなる溶融塩の溶媒に、超ウラン元素の3弗化物と核分
    裂生成物元素の3弗化物とを溶質として含み、溶媒の組
    成がLiF−BeF−ThF三成分系の相状態図
    上において76−6−18mole%、69−31−0
    mole%、及び71−29−0mole%の点を順次
    に結ぶ3角形の範囲内であり、初めて固相が析出する温
    度である液相温度が500℃と550℃の範囲内であ
    り、使用温度が550℃より高いことを特徴とする溶融
    塩原子炉燃料。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の溶融塩原子炉燃料におけ
    るトリウムの4弗化物(ThF)の一部をジルコニウ
    ムの4弗化物(ZrF)で置換して溶媒中でのThF
    含有量を低減したことを特徴とする溶融塩原子炉燃
    料。
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