JP2003022919A - 磁気素子 - Google Patents

磁気素子

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JP2003022919A
JP2003022919A JP2001208122A JP2001208122A JP2003022919A JP 2003022919 A JP2003022919 A JP 2003022919A JP 2001208122 A JP2001208122 A JP 2001208122A JP 2001208122 A JP2001208122 A JP 2001208122A JP 2003022919 A JP2003022919 A JP 2003022919A
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Japan
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magnetic field
magnetic
coil
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JP2001208122A
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English (en)
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Satoshi Takemoto
聡 武本
Takanobu Saitou
貴伸 斉藤
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】コイルに通電する電流に応じてコアに印加する
磁界を強くしても、透磁率が低下しにくく且つ高い直流
重畳特性を有する磁気素子を提供する。 【解決手段】リング形状を有するコア2と、係るコア2
の周囲に巻き付けられ且つ当該コア2の内部を貫通する
磁束を含む内部磁界Φ1を励磁するコイル4と、上記内
部磁界Φ1の磁束とほぼ直交する磁束を含む外部磁界Φ
2を印加する永久磁石(外部磁界印加手段)6,6と、を
含む、磁気素子1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばスイッチン
グ電源のチョークコイルなどに使用される磁気素子に関
し、特に高い直流重畳特性および低コアロスの磁気素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、スイチッング電源のチョークコ
イルまたはノイズフィルタなどにおいて、インダクタン
スを活用する磁気素子には、金属粉末をプレス成形した
圧粉磁芯、フェライトを成形したフェライトコア、また
はリボン状のアモルファス金属材料を成形したアモルフ
ァスコアなどが用いられている。以上のような磁芯また
はコアは、その周りに導線を巻き付けたコイルと共に用
いられる。即ち、係るコイルに電流を流し、その周囲に
励磁される磁界の磁束を磁芯またはコアに貫通させると
共に、励磁された係る磁界におけるインダクタンスを利
用している。
【0003】上記磁芯やコアは、磁界を印加するに従っ
て、インダクタンス、即ち透磁率が低下する、という磁
気特性を有する。このため、周囲に巻き付けたコイルに
通電すると、透磁率が低下するため、インダクタンスが
確保できなくなる。特に、スタート時にはコイルに大電
流を流してコアなどに強い磁界を印加すると共に、定常
時には小電流で弱い磁界を印加する回路の場合、定常時
では透磁率があまり低下しないが、スタート時には透磁
率が著しく低下する、という問題があった。
【0004】
【発明が解決すべき課題】本発明は、以上に説明した従
来の技術における問題点を解決し、コイルに通電する電
流に応じてコアに印加する磁界を強くしても、透磁率が
低下しにくい、即ち高い直流重畳特性を有する磁気素子
を提供する、ことを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、発明者らの研究の結果、内部磁界およびこ
れとほぼ直交する外部磁界を併用することに着想して成
されたものである。即ち、本発明の磁気素子(請求項1)
は、所要の形状を有するコアと、係るコアの周囲に巻き
付けられ且つ当該コアの内部を貫通する磁束を含む内部
磁界を励磁するコイルと、上記磁束とほぼ直交する磁束
を含む外部磁界を印加する外部磁界印加手段と、を含
む、ことを特徴とする。
【0006】これによれば、予め印加したコアの内部磁
界に直交する方向を含む外部磁界により、内部磁界の方
向におけるコアの反磁界係数が増加する。この結果、コ
アの初透磁率を低下させることができるため、印加磁界
の増加に伴う透磁率の低下を抑制できる。従って、例え
ばスタート時にコイルに大電流を流してコアなどに強い
磁界を印加し且つ定常時に小電流で弱い磁界を印加する
回路において、スタート時における透磁率を抑制できる
ため、優れた電気的特性および磁気的特性を得ることが
可能となる。尚、本明細書において「ほぼ直交する」と
は、一方の磁界における磁束の向きに対し、他方の磁界
における磁束の向きが90度傾くと共に、係る角度に対
し±45度以内に含まれる方向を指す。
【0007】また、本発明には、前記コアがリング形状
を呈し且つ係るコアの周囲に沿って前記コイルが巻き付
けられると共に、上記コアの外周側または内周側の位置
で且つ該コアの半径方向に沿って、あるいは上記コアの
外側の位置で且つ該コアの軸心方向に沿って、前記外部
磁界印加手段が配置されている、磁気素子(請求項2)も
含まれる。これによれば、コイルの内部でその円周方向
に沿って形成される内部磁界に対し、ほぼ直角方向の磁
束成分を含む外部磁界が印加されるため、内部磁界方向
のコアの反磁界係数が増加する。従って、初透磁率を低
下させれることができるため、内部印加磁界の増加に伴
う透磁率の低下を抑制できる。尚、上記「コアの外周側
や内周側」とは、当該コアの外円周面または内円周面に
近接する位置を指す。また、上記「コアの外側」とは、当
該コアの外円周面の外側および内円周面の内側(貫通孔)
を除いた位置を指す。
【0008】更に、本発明には、前記コアが棒形状を呈
し且つ係るコアの周囲の長手方向に沿って前記コイルが
巻き付けられると共に、上記コアにおける長手方向とほ
ぼ直交する方向に沿って、前記外部磁界印加手段が配置
されている、磁気素子(請求項3)も含まれる。これによ
れば、コアの内部で当該コアの長手方向に沿って形成さ
れる内部磁界に対し、ほぼ直角方向の磁束成分を含む外
部磁界が印加されるため、内部磁界方向のコアの反磁界
係数が増加する。この結果、コアの初透磁率を低下させ
れることができるため、内部印加磁界の増加に伴う透磁
率の低下を抑制することが可能となる。
【0009】また、本発明には、前記外部磁界印加手段
は、外部コイル、電磁石、または永久磁石である、磁気
素子(請求項4)も含まれる。これによれば、内部磁界が
通過する前記コアに対し、係る内部磁界の磁束とほぼ直
交する磁束成分を含む外部磁界を印加する外部磁界印加
手段を、上記コアの形状やサイズに応じて外部コイル、
電磁石、または永久磁石の何れかで且つ任意の形状や形
態にして容易に選択することが可能となる。
【0010】加えて、本発明には、前記外部磁界印加手
段は、前記コアとの距離を変更可能に制御しているか、
あるいは、上記外部磁界印加手段における外部コイルま
たは電磁石の励磁コイルへの通電量を変更可能に制御し
ている、磁気素子(請求項5)も含まれる。これによれ
ば、内部磁界に対する外部磁界の強度を任意に調整でき
るため、コア内における内部磁界方向の反磁界係数が増
加するパターンを適宜選択して、直流重畳特性(透磁率
の低下具合)を、使用目的に応じて自在に設定すること
が可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下において本発明の実施に好適
な形態を図面と共に説明する。図1(A)は、本発明の磁
気素子の1形態である磁気素子1の斜視図を示す。磁気
素子1は、図1(A)に示すように、円形の貫通孔3を有
するリング形状のコア2、係るコア2の周囲で且つその
円周方向に沿って巻き付けたコイル4、および上記コア
2の外側で且つ当該コア2の軸心方向に沿って配置され
た上下一対の永久磁石(外部磁界印加手段)6,6を備え
ている。コア2は、Fe,Ni,またはCo、あるいは
これらの何れかをベースとする合金からなる軟磁性の金
属粉末をプレスによりリング形状に成形した圧粉磁芯、
あるいは上記金属または合金をリング形状に鋳造したも
のである。
【0012】また、永久磁石6,6は、例えばフェライ
トまたはSm−Coを棒形状に成形したもので、図1
(A)に示すように、コア2を挟んで互いの軸心が一致す
るように配置されている。尚、永久磁石6,6は、図示
しない公知のスライド機構により、コア2に対し、それ
ぞれ接近または離脱可能に支持され、係るコア2との距
離を変更可能に制御することもできる。図1(B),(C)
に示すように、コア2の外側に永久磁石(外部磁界印加
手段)6,6をその長手方向をコア2の軸心と平行に配
置すると、図1(B),(C)中の破線の矢印で示す外部磁
界Φ2が、磁石6、コア2、および磁石6の順で貫通す
る。この結果、永久磁石6,6に接近したコア2の内部
では、図1(C)中において多数の矢印で示すように、磁
化の方向は外部磁界Φ2の方向に沿うになる。尚、図1
(C)中の符号gは磁区を示す。
【0013】次に、コイル4に通電すると、図1(B),
(C)に示すように、コア2の内部にはその円周方向に沿
った内部磁界Φ1が印加される。係る内部磁界Φ1は、
上記外部磁界Φ2とほぼ直交する向きの磁束からなる。
この際、内部磁界Φ1が外部磁界Φ2よりもかなり強い
と、図1(D)に示すように、コア2内の各磁区gの磁化
容易軸は、内部磁界Φ1の磁束と平行になる。尚、内部
磁界Φ1と外部磁界Φ2とがほぼ同じ強さであると、図
1(E)に示すように、コア2内の各磁区gの磁化容易軸
は、内部磁界Φ1と外部磁界Φ2との合成ベクトルの向
きに沿ったほぼ斜め45度に沿った状態となる。
【0014】以上の何れの場合においても、外部磁界Φ
2により内部磁界Φ1の方向におけるコア2の反磁界係
数が増加し、内部磁界Φ1の方向の磁化は抑制される。
この結果、コア2の初透磁率(μ)を低下させることがで
きるため、外部磁界Φ2の増加に伴う透磁率(μ)の低下
を抑制することができる。従って、以上のような磁気素
子1を、スタート時にコイルに大電流を流してコアなど
に強い磁界を印加し且つ定常時に小電流で弱い磁界を印
加する回路に用いた場合、スタート時における初透磁率
(μ)を低下させることができる。このため、内部印加磁
界Φ1の増加に伴う透磁率(μ)の低下を抑制できるの
で、優れた電気的特性および磁気的特性を発揮させるこ
とが可能となる。尚、図1(A)において、永久磁石6
は、左右の何れか1カ所に1個のみ配置した形態にして
も良い。また、永久磁石6の磁極N,Sの向きは、図1
(A)と逆向きでも良く、個別の磁石6間で異なっていて
も良い。
【0015】図2(A)は、前記コイル4を巻き付けたリ
ング形状のコア2と、係るコア2の外側で且つ当該コア
2の軸心方向に沿って配置された上下一対の外部コイル
(外部磁界印加手段)7,7と、を備えた磁気素子1aを
示す。外部コイル7,7に通電すると、図2(A)中の破
線の矢印で示す外部磁界Φ2が外部コイル7,7の内側
を通り且つコア2を貫通する。この状態で、コイル4に
通電して、図2(A)に示すように、コア2内に内部磁界
Φ1を励磁する。このため、コア2中では、予め外部磁
界Φ2により、コア2の初透磁率(μ)を低下させること
ができるので、内部印加磁界Φ1の増加に伴う透磁率
(μ)の低下を抑制できる。尚、図2(A)で、外部コイル
7は、上下一対のうち何れか一方のみにした形態にして
も良い。
【0016】また、図2(B)は、コイル4を巻き付けた
リング形状のコア2と、係るコア2の外側で且つ当該コ
ア2の軸心方向に沿って配置された上下一対の電磁石
(外部磁界印加手段)M,Mと、を備えた磁気素子1bを
示す。電磁石Mは、棒状の磁芯8の周囲に励磁コイル9
を巻き付けたもので、係るコイル9に通電すると磁芯8
を長手方向に沿って貫通する外部磁界Φ2が励磁され
る。このため、コイル4に通電し、図2(B)に示すよう
に、コア2内に内部磁界Φ1を励磁すると、コア2中で
は、予め外部磁界Φ2により、上記磁気素子1aと同様
に、コア2の初透磁率(μ)を低下させることができるた
め、内部印加磁界Φ1の増加に伴う透磁率(μ)の低下を
抑制できる。尚、図2(B)で、電磁石Mは、上下一対の
うち何れか一方のみにした形態にしても良い。
【0017】更に、図2(C)は、コイル4を巻き付けた
リング形状のコア2と、係るコア2の外周側および内周
側で且つ当該コア2の半径方向に沿った一対の永久磁石
(外部磁界印加手段)6,6と、を備えた磁気素子1cを
示す。磁気素子1cでも、永久磁石6,6をその長手方
向に沿って通過し且つコア2を貫通する外部磁界Φ2
は、コア2中をその円周方向に沿って印加される内部磁
界Φ1ととほぼ直交する。このため、前記磁気素子1と
同様に、コア2の初透磁率(μ)を低下させることができ
るので、内部印加磁界Φ1の増加に伴う透磁率(μ)の低
下を抑制できる。尚、図2(C)で、永久磁石6は、内外
一対のうち何れか一方のみにした形態にしても良い。ま
た、永久磁石6に替えて、前記外部コイル7または電磁
石Mを一対またはコア2の内外何れか一方のみに配置し
も良い。更に、永久磁石6の磁極N,Sの向きは、図2
(C)と逆向きでも良い。加えて、図2(A)〜(C)におい
て、外部コイル7、電磁石M、または永久磁石6を、コ
ア2に対し接近または離脱可能に支持し、当該コア2と
の距離を変更可能に制御することもできる。
【0018】図3(A)は、棒形状のコア12と、係るコ
ア12の周囲に沿って巻き付けたコイル14と、上記コ
ア12の長手方向と直交する方向に沿って配置した棒状
の永久磁石(外部磁界印加手段)16,16とを備えた磁
気素子10aを示す。図3(A)に示すように、コア12
に永久磁石16,16を接近させると、外部磁界Φ2が
コア12を貫通する。このため、コイル14に通電し、
図3(A)に示すように、コア2内に内部磁界Φ1を励磁
すると、コア2中では、予め外部磁界Φ2により、コア
12の初透磁率(μ)を低下させることができるので、内
部印加磁界Φ1の増加に伴う透磁率(μ)の低下を抑制で
きる。尚、図3(A)で、永久磁石16は、上下一対のう
ち何れか一方のみにした形態にしても良い。
【0019】また、図3(B)は、棒形状のコア12と、
係るコア12の周囲に長手方向に沿って巻き付けたコイ
ル14と、上記コア12の長手方向と直交する方向に沿
って配置した電磁石(外部磁界印加手段)17,17と、
を備えた磁気素子10bを示す。上記電磁石17は、棒
状の磁芯18に励磁コイル19を巻き付けたもので、係
るコイル19に通電すると、磁芯18の長手方向に沿っ
て外部磁界Φ2が励磁され且つコア12を貫通する。こ
のため、コイル14に通電し、コア2内に内部磁界Φ1
を励磁すると、磁気素子10aと同様に、コア2の初透
磁率(μ)を低下させることができるので、内部印加磁界
Φ1の増加に伴う透磁率(μ)の低下を抑制できる。尚、
図3(B)で、電磁石17は、上下一対のうち何れか一方
のみにした形態にしても良い。また、電磁石17に替え
て、外部コイルを上下一対または何れか一方に配置した
形態としても良い。更に、永久磁石12の磁極N,Sの
向きは、図3(A)と逆向きであっても良い。
【0020】
【実施例】以下において、本発明の具体的な実施励につ
いて、比較例と併せて説明する。Fe−9.5wt%S
i−5.5Alwt%の軟磁性合金からなり、外径28m
m×内径20mm×軸心方向の厚み5mmのサイズを有
すると共に、初透磁率μが約160であるリング形状の
コア2を用意した。係るコア2の周囲にエナメルで絶縁
された線径0.45mmの銅線からなるコイル4を10
0ターンで巻き付けた。一方、上記コア2の外側の位置
で且つ当該コア2の軸心方向と平行な姿勢にして、Sm
−Co合金からなり一辺が15mmずつの立方体を呈す
る永久磁石(外部磁界印加手段)6を配置可能とした。
【0021】先ず、永久磁石6を配置せず、コイル4に
通電してコア2に印加する内部磁界Φ1を0〜8000
(A/m)まで変化させたベースサンプルにおけるコア2
の透磁率μを測定した。また、初透磁率μが160のベ
ースサンプルに磁束密度(B)が0.15T(テスラ)の永
久磁石6を上記のように配置し、コイル4に通電して上
記コア2に励磁する内部磁界Φ1を0〜8000(A/
m)まで変化させた実施例1におけるコア2の透磁率μ
を測定した。尚、実施例1の初透磁率μは90であっ
た。更に、実施例1と同じく初透磁率μが約90の初透
磁率μを有するコア2を別途用意し、永久磁石6を用い
ない比較例1とした。コイル4に通電してコア2に励磁
する内部磁界Φ1を0〜8000(A/m)まで変化させ
た比較例1におけるコア2の透磁率μを測定した。以上
のようなベースサンプル、実施例1、および比較例1の
結果を表1および図4のグラフに示した。
【0022】次に、磁束密度(B)が0.25Tの永久磁
石6を配置し、初透磁率μが160のベースサンプルの
コア2を用意し、そのコイル4に通電して係るコア2に
励磁する内部磁界Φ1を0〜8000(A/m)まで変化
させた実施例2におけるコア2の透磁率μを測定した。
尚、実施例2の初透磁率μは56であった。また、永久
磁石6を配置せず、実施例2と同様の初透磁率μを有す
るコア2に励磁する内部磁界Φ1を上記と同じく変化さ
せた比較例2におけるコア2の透磁率μを測定した。更
に、磁束密度(B)が0.15Tの永久磁石6を、初透磁
率μが160のベースサンプルのコア2の半径方向に沿
って配置し、そのコイル4に通電して係るコア2に励磁
する内部磁界Φ1を0〜8000(A/m)まで変化させ
た実施例3におけるコア2の透磁率μを測定した。実施
例3の初透磁率μは89であった。また、永久磁石6を
配置せず実施例3と同様の初透磁率μを有するコア2に
励磁する内部磁界Φ1を上記と同じく変化させた比較例
3におけるコア2の透磁率μを測定した。実施例2,3
および比較例2,3の結果も表1と図4のグラフとに示
した。
【0023】
【表1】
【0024】図4のグラフおよび表1に示すように、ベ
ースサンプルの透磁率μは、印加磁界が0〜3200
(A/m)の領域は実施例1を上回った反面、4000
(A/m)以上の領域では実施例1よりも下回り、且つ急
激な低下傾向を示した。一方、実施例1は初透磁率μが
約90と低下するものの、内部磁界Φ1を印加した際の
透磁率μは比較的緩やかに低下した。更に、比較例1の
透磁率μは、印加磁界が800〜8000(A/m)の領
域で実施例1よりも下回った。これらの結果、永久磁石
6をコア2の付近に配置し、コア2内の内部磁界Φ1に
ほぼ直交する外部磁界Φ2を印加する実施例1によれ
ば、コア2の透磁率μが低下しにくくなり、高い直流重
畳特性が得られることが判明した。
【0025】更に、図4のグラフおよび表1に示すよう
に、実施例2の透磁率μは、印加磁界が800〜800
0(A/m)の領域で比較例2よりも上回り、実施例3の
透磁率μも、印加磁界が800〜8000(A/m)の領
域で比較例3よりも上回っていた。これらの結果、永久
磁石6をコア2の付近に配置し、コア2内の内部磁界Φ
1にほぼ直交する外部磁界Φ2を印加する実施例2,3
によっても、コア2の透磁率μが低下しにくくなり、高
い直流重畳特性が得られることが判明した。
【0026】更に、前記と同じ軟磁性合金で且つ同じサ
イズを有し初透磁率μが約160のコア2を用意し、こ
れに前記と同じコイル4を同じ巻き数で巻き付けた。一
方、ソフトフェライトからなり直径20mm×軸心方向
の長さ10mmの棒状の磁芯8に励磁コイル9を巻き付
けた一対の電磁石Mを、それらの磁芯8の軸心が上記コ
ア2の軸心と平行になるように、係るコア2を挟んだ位
置に対称に配置可能した。係る電磁石Mにより形成する
外部磁界Φ2は、励磁コイル9に流す電流値を変更する
ことにより、磁束密度(B)が0〜0.3Tとなるように
変化させた。尚、励磁コイル9に流す電流値は、磁芯8
に印加される外部磁界Φ2を検出し且つこれをフィード
バックすることにより、当該外部磁界Φ2において最も
高い透磁率μが得られるように制御した。
【0027】一対の電磁石Mを配置し且つコイル4に通
電して、コア2に0〜8000(A/m)の内部磁界Φ1
を印加した実施例4におけるコア2の透磁率μと、電磁
石Mを配置せずにコイル4に通電し、上記と同じ範囲の
内部磁界Φ1を印加した比較例4におけるコア2の透磁
率μと、をそれぞれ測定した。その結果を示す図5(A)
のグラフによれば、内部磁界Φ1が大きくなるに連れ
て、実施例4の透磁率μは比較例4の透磁率μよりも高
くなった。
【0028】また、初透磁率μが約160のコア2を用
意し、これにコイル4を同様に巻き付けると共に、上記
と同じ一対の電磁石Mを同様に配置した実施例5におけ
るコイル4に通電し、上記コア2中に0〜8000(A
/m)の内部磁界Φ1を印加した当該コア2の透磁率μ
を測定した。この際の初透磁率μは約125であった。
これに対し、電磁石Mを配置せずに初透磁率μが約12
5のコア2に巻き付けたコイル4に通電し、上記と同じ
範囲の内部磁界Φ1を印加した比較例5における上記コ
ア2の透磁率μを測定した。それらの結果を図5(B)の
グラフに示した。このグラフに示ように、0〜8000
(A/m)の全領域において、実施例5の透磁率μは比較
例5のそれよりも高くなった。
【0029】更に、初透磁率μが約160でその他が前
記と同じコア2を用意し、これにコイル4を前記同様に
巻き付けた。これに対して、一対の電磁石Mを上記コア
2を内外から挟み且つその半径方向に沿って配置した実
施例6において、コイル4に通電し、上記コア2中に0
〜8000(A/m)の内部磁界Φ1を印加した該コア2
の透磁率μを測定した。この際の初透磁率μは約95で
あった。
【0030】これに対し、電磁石Mを配置せずに初透磁
率μが約95のコア2に巻き付けたコイル4に通電し、
上記と同じ範囲の内部磁界Φ1を印加した比較例6にお
ける上記コア2の透磁率μを測定した。その結果を示し
た図5(C)のグラフによれば、0〜8000(A/m)の
領域において、実施例6の透磁率μは比較例6のそれよ
りも高くなった。以上の実施例4〜6によっても、コア
2の透磁率μが低下しにくく、高い直流重畳特性が得ら
れることが判明し、本発明の効果が裏付けられた。
【0031】本発明は、以上のような実施の形態および
実施例に限定されるものではない。例えば、コアは前記
リング形状や棒形状に限らず、全体がC字形や馬蹄形状
の形態にしても良い。係る形状のコアにコイルを巻き付
けたものに対し、電磁石、永久磁石、または外部コイル
を、これらが印加する外部磁界が上記コア中を貫通する
内部磁界とほぼ直交するような位置および姿勢にして配
置しても良い。また、前記実施例4〜6では、電磁石M
の励磁コイル9への通電量を変化させたが、電磁石Mと
コイル4を巻き付けたコア2との距離を変更可能に制御
して、電磁石Mにより印加する外部磁界Φ2の磁束密度
(B)を変化させても良い。更に、コイルを巻き付けた1
つのコアに対し、係るコア中を貫通する内部磁界とほぼ
直交するような位置および姿勢にして、複数の外部磁界
印加手段を互いに異なる位置で且つ異なる姿勢にして配
置することも可能である。
【0032】
【発明の効果】以上に説明した本発明の磁気素子(請求
項1)によれば、予め印加したコアの内部磁界(磁路方
向)と直交する方向を含む外部磁界により、内部磁界方
向のコアの反磁界係数増加する。この結果、コアの初透
磁率を低下させることができるため、印加磁界の増加に
伴う透磁率の低下を抑制することができる。また、請求
項2または請求項3の磁気素子によれば、コイルの内部
でコアの円周方向または長手方向に沿って形成される内
部磁界に対し、ほぼ直角方向の磁束を含む外部磁界が印
加されるため、内部磁界方向のコアの反磁界係数が増加
する。従って、コアの初透磁率を低下させることができ
るため、内部印加磁界の増加に伴う透磁率の低下を抑制
することも可能となる。
【0033】更に、請求項4の磁気素子によれば、内部
磁界が通過するコアに対し、係る内部磁界の磁束とほぼ
直交する磁束成分を含む外部磁界印加手段を、上記コア
の形状やサイズに応じて外部コイル、電磁石、または永
久磁石の何れかで且つ任意の形状や形態にして容易に選
択可能となる。加えて、請求項5の磁気素子によれば、
内部磁界に対する外部磁界の強度を任意に調整できるた
め、制御パターンを適宜選択することにより、透磁率の
重畳特性やコアロスを、使用目的に応じて自在に設定可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の磁気素子の1形態を示す概略
図、(B)は(A)中の部分拡大断面図、(C)〜(E)は(A)
中のコアにおける磁気的挙動を示す模式的説明図。
【図2】(A)〜(C)は異なる形態の磁気素子を示す概略
図。
【図3】(A),(B)は更に異なる形態の磁気素子を示す
概略図。
【図4】本発明の磁気素子の実施例および比較例におけ
る透磁率と内部印加磁界との関係を示すグラフ。
【図5】(A)〜(C)は本発明の磁気素子の異なる実施例
および比較例における透磁率と内部印加磁界との関係を
示すグラフ。
【符号の説明】
1,1a〜1c,10a,10b…磁気素子 2,12………………………………コア 4,14………………………………コイル 6,16………………………………永久磁石(外部磁界
印加手段) 7………………………………………外部コイル(外部磁
界印加手段) 9,19………………………………励磁コイル M,17………………………………電磁石(外部磁界印
加手段) Φ1……………………………………内部磁界 Φ2……………………………………外部磁界

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所要の形状を有するコアと、 上記コアの周囲に巻き付けられ且つ当該コアの内部を貫
    通する磁束を含む内部磁界を励磁するコイルと、 上記磁束とほぼ直交する磁束を含む外部磁界を印加する
    外部磁界印加手段と、 を含む、ことを特徴とする磁気素子。
  2. 【請求項2】前記コアがリング形状を呈し且つ係るコア
    の周囲に沿って前記コイルが巻き付けられると共に、 上記コアの外周側または内周側の位置で且つ該コアの半
    径方向に沿って、あるいは上記コアの外側の位置で且つ
    該コアの軸心方向に沿って、前記外部磁界印加手段が配
    置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の磁気
    素子。
  3. 【請求項3】前記コアが棒形状を呈し且つ係るコアの周
    囲の長手方向に沿って前記コイルが巻き付けられると共
    に、 上記コアにおける長手方向とほぼ直交する方向に沿っ
    て、前記外部磁界印加手段が配置されている、ことを特
    徴とする請求項1に記載の磁気素子。
  4. 【請求項4】前記外部磁界印加手段は、外部コイル、電
    磁石、または永久磁石である、ことを特徴とする請求項
    1乃至3の何れか一項に記載の磁気素子。
  5. 【請求項5】前記外部磁界印加手段は、前記コアとの距
    離を変更可能に制御しているか、あるいは、上記外部磁
    界印加手段における外部コイルまたは電磁石の励磁コイ
    ルへの通電量を変更可能に制御している、 ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の
    磁気素子。
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