JP2003016702A - 光情報媒体の製造方法 - Google Patents

光情報媒体の製造方法

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JP2003016702A
JP2003016702A JP2001200208A JP2001200208A JP2003016702A JP 2003016702 A JP2003016702 A JP 2003016702A JP 2001200208 A JP2001200208 A JP 2001200208A JP 2001200208 A JP2001200208 A JP 2001200208A JP 2003016702 A JP2003016702 A JP 2003016702A
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resin layer
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Takeshi Komaki
壮 小巻
Mamoru Usami
守 宇佐美
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂からなる透明中間層を介して複数の情報
記録層が積層され、透明中間層の表面に情報を保持する
凹凸パターンが存在する多層光情報媒体を製造するに際
し、前記透明中間層を均一な厚さに形成すると共に、ス
タンパがもつ、前記凹凸パターンの母型パターンを、透
明中間層に正確に転写する。 【解決手段】 基板表面およびスタンパ表面に、スピン
コート法によりそれぞれ樹脂層を形成する塗布工程と、
基板とスタンパとを向かい合わせて両樹脂層を接触させ
ることにより樹脂積層体を形成し、この樹脂積層体に活
性エネルギー線を照射して硬化することにより透明中間
層を形成する硬化工程と、スタンパを透明中間層から剥
離する剥離工程と、透明中間層上に他の情報記録層を形
成する積層工程とを設ける光情報媒体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、少なくとも2層の
情報記録層を有する多層光情報媒体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、光ディスクに対する高密度化およ
び大容量化の要求が著しい。現在、コンパクトディスク
の約7倍に相当する片面約4.7GBの記録容量をもつD
VD(Digital Versatile Disk)が発売されているが、
より多くの情報を記録できる技術の開発が盛んに行われ
ている。
【0003】光ディスクの記録容量を高める技術として
は、記録/再生ビームの短波長化、記録/再生ビーム照
射光学系における対物レンズの高NA(開口数)化、情
報記録層の多層化、多値記録などが挙げられる。これら
のうち情報記録層の多層化による3次元記録は、短波長
化や高NA化に比べ、低コストで飛躍的な高容量化が可
能である。3次元記録がなされる多層光情報媒体は、例
えば特開平9−161329号公報、特開平9−631
22号公報、特開平10−302315号公報に記載さ
れている。
【0004】多層光情報媒体(以下、多層媒体ともい
う)では、上記各公報に示されるように、複数の情報記
録層を、透明樹脂からなる透明中間層を挟んで積層した
構造とすることが一般的である。具体的には、基板上に
第1の情報記録層を形成し、その上に、表面に凹凸パタ
ーンを有する透明中間層を形成し、その上に第2の情報
記録層を形成することにより、前記凹凸パターンを第2
の情報記録層に転写する。前記凹凸パターンとしては、
例えば、データ、トラッキング情報、アドレス情報など
を保持するプリピットやグルーブ(案内溝)が挙げられ
る。この凹凸パターンの形成には、上記各公報に記載さ
れているように、樹脂層をスタンパによって押圧する2
P(Photo Polymerization)法を利用することが一般的
である。
【0005】多層媒体では、フォーカスサーボの安定性
を確保するために、隣り合う情報記録層間の距離の媒体
面内方向でのばらつきが小さいことが要求される。すな
わち、記録層間に設けられる透明中間層は、厚さが均一
であることが要求される。また、透明中間層の厚さむら
が大きいと、スタンパで押圧して凹凸パターンを転写す
る際に、スタンパが透明中間層を均一に押圧できにく
く、その結果、転写欠陥が生じやすい。また、透明中間
層を紫外線硬化型樹脂等の活性エネルギー線硬化型樹脂
から構成する場合において、透明中間層の厚さむらが大
きいと、透明中間層を硬化する際に硬化むらが生じやす
く、これによっても転写欠陥が生じやすくなる。
【0006】また、透明中間層形成時に、スタンパから
透明中間層への凹凸パターン転写が正確であっても、ス
タンパを透明中間層から剥離する際に剥離しにくいと、
すなわち離型性が悪いと、透明中間層の一部がスタンパ
と共に剥離してしまい、欠陥が生じる。したがって、透
明中間層を構成する樹脂に対しスタンパの離型性が良好
であることが要求される。また、透明中間層を例えば紫
外線硬化型樹脂から構成し、かつ、紫外線に対し不透明
な情報記録層上に透明中間層を形成する場合には、硬化
のための紫外線をスタンパを通して透明中間層に照射す
る必要があるため、スタンパは紫外線に対し透明な材質
から構成する必要がある。
【0007】通常のスピンコート法では、回転テーブル
に固定した基板の表面に樹脂を供給し、基板を回転させ
て、遠心力により樹脂を展延する。基板には、光ディス
クドライブに装填する際に利用する中心孔が形成されて
いるため、樹脂を回転中心(基板の中央)に供給するこ
とはできず、回転中心から等距離に環状に供給すること
になる。しかし、樹脂供給位置が回転中心から離れるほ
ど、樹脂層の厚さはディスク内周部に比べディスク外周
部で厚くなってしまう。すなわち、透明中間層の半径方
向での厚さむらが大きくなる。多層情報媒体では情報記
録層の積層数が多くなるにしたがって透明中間層の数も
増えるため、透明中間層の厚さむらが累積されてしま
う。その結果、ディスク外周部において記録/再生ビー
ムが基板に垂直に入射したとしても、情報記録層表面で
反射した記録/再生ビームは基板に垂直とはならず、そ
の結果、光ピックアップへの戻り光量が少なくなってし
まう。そのため、ディスクの内周部と外周部とで再生出
力が異なってしまうことになる。
【0008】前記特開平9−161329号公報では、
基板とスタンパとの間に液体樹脂を挟んだ状態で、基板
およびスタンパを一体的に回転させることにより、基板
とスタンパとの間に液体樹脂を展延させる工程を設ける
ことを提案している。通常のスピンコート法では、ディ
スク状基板表面に樹脂を供給した後、基板を回転させる
ことにより樹脂を展延する。その際に、基板の外周縁付
近において、表面張力により樹脂が盛り上がるため、基
板の外周縁付近で樹脂層が厚くなってしまう。これに対
し同公報記載の方法では、基板とスタンパとの間に挟ん
だ状態で樹脂を展延するため、基板の外周縁付近で樹脂
層が厚くなることを抑制できる。同公報では、スタンパ
構成材料については記載がなく、スタンパの離型性に関
しては注目していない。また、同公報では、基板を通し
て紫外線を照射している。
【0009】前記特開平9−63122号公報の実施例
1では、データを保持する位相ピットからなる第1再生
専用情報面上に、ケイ素とケイ素窒化物との混合物から
なる半透明中間層を形成し、その上に、紫外線硬化樹脂
層を設けている。この紫外線硬化樹脂層の表面は、スタ
ンパからの転写により形成した位相ピットからなる第2
再生専用情報面となっている。この実施例では、プラス
チックからなる透明スタンパを用い、スタンパを通して
紫外線を入射させている。同公報では、隣り合う情報面
間に存在する樹脂層の厚さを均一することについては注
目しておらず、また、スタンパの離型性に関しても注目
していない。
【0010】前記特開平10−302315号公報の実
施例では、透明スタンパ上に光硬化性樹脂を滴下し、そ
の上に基板を載せた後、透明スタンパを回転速度200
0rpmで回転させることにより光硬化性樹脂を展延し、
次いで、透明スタンパを通して紫外線を照射し、樹脂を
硬化している。前記透明スタンパは、厚さ5mmの透明プ
ラスチック円板と、凹凸パターンが形成されたNi製ス
タンパとの間に光硬化性樹脂を充填して紫外線ランプに
より硬化した後、Ni製スタンパを剥離することにより
形成されたものである。この実施例では、透明スタンパ
表面が光硬化性樹脂から構成され、かつ、展延対象の樹
脂が光硬化性樹脂であるため、スタンパの離型性が悪く
なる。また、同公報において、透明スタンパ表面の光硬
化性樹脂および展延対象の光硬化性樹脂は、いずれも紫
外線硬化型樹脂である。紫外線硬化型樹脂は、重合開始
剤が硬化後も残存しているため紫外線を吸収する。した
がって、同公報で用いている透明スタンパは、紫外線に
対する透明性が低く、好ましくない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、樹脂からな
る透明中間層を介して複数の情報記録層が積層され、透
明中間層の表面に情報を保持する凹凸パターンが存在す
る多層光情報媒体を製造するに際し、前記透明中間層を
均一な厚さに形成すると共に、スタンパがもつ、前記凹
凸パターンの母型パターンを、透明中間層に正確に転写
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(10)の本発明により達成される。 (1) ディスク状の基板上に、凹凸パターンを有する
情報記録層が複数積層されており、隣り合う情報記録層
間に、記録/再生ビームが透過可能な透明中間層が存在
し、前記透明中間層が、活性エネルギー線によって硬化
された樹脂を含有する光情報媒体を製造する方法であっ
て、少なくとも1層の情報記録層が形成されている基
板、および、前記凹凸パターンの母型パターンを有する
ディスク状のスタンパのそれぞれを被塗布体とし、一方
の被塗布体を回転させることにより、樹脂を含有する塗
布液を前記一方の被塗布体の表面で展延して第1の樹脂
層を形成し、他方の被塗布体を回転させることにより、
樹脂を含有する塗布液を前記他方の被塗布体の表面で展
延して第2の樹脂層を形成する塗布工程と、前記一方の
被塗布体と前記他方の被塗布体とを向かい合わせること
により、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層とを接触
させて樹脂積層体を構成し、この樹脂積層体に活性エネ
ルギー線を照射して硬化することにより前記透明中間層
を形成する硬化工程と、前記スタンパを前記透明中間層
から剥離する剥離工程と、前記透明中間層上に他の情報
記録層を形成する積層工程とを設ける光情報媒体の製造
方法。 (2) 前記塗布工程において、前記第1の樹脂層およ
び前記第2の樹脂層の一方を不完全または完全に硬化さ
せ、他方を硬化させないか不完全に硬化させる上記
(1)の光情報媒体の製造方法。 (3) 前記塗布工程において、前記第1の樹脂層また
は前記第2の樹脂層を不完全または完全に硬化させるに
際し、前記被塗布体を回転させることにより前記塗布液
を展延した後、前記被塗布体の回転速度を低下させなが
ら活性エネルギー線を前記塗布液に照射する上記(2)
の光情報媒体の製造方法。 (4) 前記塗布工程において、前記第1の樹脂層およ
び/または前記第2の樹脂層を形成するに際し、前記被
塗布体が中心孔を有するものであり、前記中心孔を塞ぐ
ための円板部と、この円板部の中央に一体化された支持
軸とを有する閉塞手段を用意し、前記閉塞手段の円板部
で前記中心孔を塞いだ状態とし、前記塗布液を前記支持
軸の外周面に供給した後、前記被塗布体を前記閉塞手段
と共に回転させることにより、前記塗布液を前記被塗布
体上に展延して、前記第1の樹脂層および/または前記
第2の樹脂層を形成する上記(1)〜(3)のいずれか
の光情報媒体の製造方法。 (5) 前記情報記録層が情報記録エリアを有し、この
情報記録エリア上における前記樹脂積層体の平均厚さが
5〜50μmである上記(1)〜(4)のいずれかの光
情報媒体の製造方法。 (6) 前記情報記録エリア上における平均厚さがいず
れも0.5μm以上となるように前記第1の樹脂層およ
び前記第2の樹脂層を形成する上記(5)の光情報媒体
の製造方法。 (7) 前記硬化工程において、第1の樹脂層と第2の
樹脂層とを減圧雰囲気中において接触させる上記(1)
〜(6)のいずれかの光情報媒体の製造方法。 (8) 前記塗布工程において、前記第1の樹脂層およ
び/または前記第2の樹脂層を形成する際に、前記被塗
布体の外周縁からはみ出した前記塗布液の少なくとも一
部を削ぎ取る上記(1)〜(7)のいずれかの光情報媒
体の製造方法。 (9) 前記スタンパとして、前記活性エネルギー線が
透過可能な樹脂からなるものを用い、前記スタンパを使
い捨てにする上記(1)〜(8)のいずれかの光情報媒
体の製造方法。 (10) 前記スタンパとして、少なくとも前記凹凸パ
ターンが形成された表面がポリオレフィン系樹脂または
フッ素樹脂から構成されたものを用い、前記硬化工程に
おいて、前記スタンパを通して活性エネルギー線を前記
樹脂積層体に照射する上記(1)〜(9)のいずれかの
光情報媒体の製造方法。
【0013】
【作用および効果】本発明では、前記塗布工程におい
て、図5に示すように、基板SBおよび第1の情報記録
層IL−1からなる一方の被塗布体11表面に、スピン
コート法により第1の樹脂層RL−1を形成する。ま
た、図8に示すように、スタンパ100からなる他方の
被塗布体12の表面に、スピンコート法により第2の樹
脂層RL−2を形成する。
【0014】次いで、前記硬化工程において、図9に示
すように、一方の被塗布体11と他方の被塗布体12と
を向かい合わせて、第1の樹脂層RL−1と第2の樹脂
層RL−2とを接触させ、両樹脂層からなる樹脂積層体
RLを形成する。この状態で、樹脂積層体RLに紫外線
等の活性エネルギー線を照射して硬化することにより、
透明中間層TLとする。
【0015】次いで、前記剥離工程において、図10に
示すように、透明中間層TLからスタンパ100を剥離
する。
【0016】次いで、前記積層工程において、図11に
示すように透明中間層TL上に第2の情報記録層IL−
2を形成する。
【0017】スピンコート法で形成した樹脂層は、厚さ
が内周部から外周部に向かって増大しており、半径方向
に厚さ変動が存在する。本発明において、硬化により透
明中間層TLとなる樹脂層は、それぞれスピンコート法
により形成された樹脂層RL−1および樹脂層RL−2
からなる樹脂積層体RLである。すなわち本発明では、
従来の多層媒体における樹脂層よりも薄い樹脂層を形成
する。そのため、樹脂層RL−1および樹脂層RL−2
のそれぞれをスピンコート法により形成する際には、低
粘度の塗布液を用い、被塗布体を高速で長時間回転させ
ることになる。その結果、樹脂層RL−1と樹脂層RL
−2とを積層した樹脂積層体RLは、これと同じ厚さで
あってかつスピンコート法により形成された単層の樹脂
層に比べ、半径方向における厚さ変動が著しく小さくな
る。
【0018】塗布工程では、樹脂層RL−1、RL−2
の一方を、不完全または完全に硬化させ、かつ、他方を
硬化させないか不完全に硬化させることが好ましい。こ
れにより、以下の効果が実現する。
【0019】第1の効果は、媒体の機械特性の向上であ
る。この効果は、塗布工程において少なくとも一方の樹
脂層を不完全に硬化した場合に実現する。この場合、塗
布工程で不完全硬化した樹脂層は、硬化工程において完
全に硬化される。すなわち、硬化が2回に分かれる。こ
の場合、1回で完全硬化させる場合に比べ、樹脂層の収
縮量が小さくなる。そのため、媒体の機械特性が良好と
なる。
【0020】次に、第2の効果を説明する。塗布工程に
おいて硬化しなかった樹脂層は流動性をもつため、硬化
工程までに流動が生じて厚さむらが生じることがある。
この問題は、塗布工程において両樹脂層を不完全に硬化
させるか、一方の樹脂層を不完全に硬化させ、他方の樹
脂層を完全に硬化させることにより解消できる。
【0021】次に、第3の効果を説明する。硬化工程に
おいて、両樹脂層を接触させる際には、両樹脂層間に気
泡が混入することを防ぐために、後述するように減圧雰
囲気とすることが好ましい。しかし、このとき、樹脂層
が全く硬化されていないと、樹脂層に含有される揮発成
分が減圧雰囲気中に揮発しやすくなる。そのため、樹脂
積層体RL中に前記揮発成分からなる気泡が混入しやす
くなる。塗布工程において樹脂層を不完全または完全に
硬化しておけば、この問題は解消される。また、減圧度
をより高くすることが可能となるので、揮発成分以外の
気体による気泡の混入をほぼ完全に防ぐことが可能とな
る。
【0022】また、両樹脂層を共に不完全に硬化する
か、一方の樹脂層を不完全に硬化し、かつ他方の樹脂層
を硬化しないことは、両樹脂層を相異なる材料から構成
する場合にも有効である。この場合、両樹脂層共に全く
硬化せずに両樹脂層を重ね合わせると、両樹脂層の混合
が進んでしまうので、両樹脂層を相異なる材料から構成
したことによる効果が減じられる。一方、一方の樹脂層
を完全に硬化した状態で両樹脂層を重ね合わせると、両
樹脂層の界面が明瞭となるため、前記界面における記録
/再生ビームの反射率が高くなる結果、記録/再生特性
に悪影響を与える。これに対し、両樹脂層を共に不完全
に硬化するか、一方の樹脂層を不完全に硬化し、かつ他
方の樹脂層を硬化しなければ、これらの問題点を解消で
きる。
【0023】なお、塗布工程において両樹脂層を共に完
全に硬化した場合、硬化工程において両樹脂層を貼り合
わせて一体化することができなくなる。
【0024】塗布工程において樹脂層を不完全または完
全に硬化するに際しては、図5に示すように、被塗布体
11を回転させてスピンコート法により樹脂層RL−1
を形成した後、図6に示すように、被塗布体11の回転
速度を低下させながら活性エネルギー線を照射すること
が好ましい。スピンコート時には、展延された樹脂層の
外周部が***しやすいが、被塗布体11の回転を徐々に
落としながら活性エネルギー線を照射することにより、
前記***を抑制することができる。また、硬化の際に樹
脂層に働く遠心力が滑らかに減少するため、樹脂層に厚
さや物性のむらが生じにくい。
【0025】塗布工程においてスピンコートを行う際に
は、図2に示す形状の閉塞手段300を用いることが好
ましい。この閉塞手段300は、円板部301と、この
円板部301の中央に一体化された支持軸302とを有
する。図4に示すように、この閉塞手段300で基板S
Bの中心孔CHを塞いだ状態とし、塗布液500を支持
軸302の外周面に供給してスピンコートを行えば、回
転中心付近に塗布液500を供給できるので、樹脂層R
L−1の半径方向での厚さむらをさらに抑制でき、結果
として透明中間層の厚さむらをさらに抑制できる。しか
も、支持軸302を把持することにより閉塞手段300
を操作できるので、媒体製造工程における閉塞手段30
0の取り扱いが容易となり、特に、スピンコート後に閉
塞手段300を取り外すことが容易となる。
【0026】第1の樹脂層RL−1の厚さおよび第2の
樹脂層RL−2の厚さは、情報記録エリア上における透
明中間層TLの平均厚さが5〜50μmとなるように設
定することが好ましい。ただし、両樹脂層共に、情報記
録エリア上における平均厚さは0.5μm以上であるこ
とが好ましい。一方の樹脂層の厚さを薄くしすぎると、
他方の樹脂層を厚く形成することになるため、本発明の
効果が実現しにくい。
【0027】硬化工程における両樹脂層の接触は、減圧
雰囲気中で行うことが好ましい。これにより、透明中間
層TL中への気泡の混入を抑えることができ、記録/再
生特性への悪影響を抑制できる。
【0028】樹脂層RL−1、RL−2を形成する際に
は、遠心力によって塗布液を展延するため、被塗布体の
外周縁から塗布液がはみ出す。本発明では、はみ出した
塗布液の少なくとも一部を削ぎ取ることが好ましい。こ
れにより、基板SBの外周縁またはスタンパ100の外
周縁からはみ出した塗布液の量が、周方向全体にわたっ
て均一化される。そのため、樹脂層を完全に硬化して透
明中間層とした後に、削り取る必要がなくなる。また、
削ぎ取りを行わない場合、基板SBの外周縁またはスタ
ンパ100の外周縁からはみ出した塗布液が、回転停止
後に表面張力によって基板側またはスタンパ側に戻る結
果、樹脂層の外周縁付近に環状凸部が形成され、その内
側には環状凹部が形成される。この状態で両樹脂層を接
触させて硬化すると、前記環状凹部に起因する空間が透
明中間層に形成されてしまう。なお、塗布工程において
樹脂層を不完全または完全に硬化する場合、はみ出した
塗布液の削ぎ取りは硬化前に行う。
【0029】スタンパ100は、樹脂積層体RLを硬化
するための活性エネルギー線が透過可能な樹脂から構成
されることが好ましい。これにより、基板SBと樹脂積
層体RLとの間に存在する第1の情報記録層IL−1が
活性エネルギー線に対し不透明であっても、スタンパ1
00を通して活性エネルギー線を樹脂積層体RLに照射
して硬化することが可能となる。また、スタンパ100
を通して活性エネルギー線を照射すれば、樹脂積層体R
Lの硬化がスタンパ100と接する領域から始まる。そ
のため、スタンパ100の離型性が良好となる。
【0030】また、射出成形により大量生産された樹脂
製スタンパは、著しく安価であるため、使い捨てするこ
とができる。一方、他の方法や他の材質を用いて製造さ
れたスタンパは高価であるため、繰り返し使用される
が、使用するたびに、表面に付着した樹脂を洗浄する必
要がある。これに対し使い捨てスタンパは使用後に洗浄
する必要がないので、媒体の生産性が著しく向上し、媒
体生産コストを著しく低減できる。
【0031】本発明で用いるスタンパは、全体がポリオ
レフィン系樹脂またはフッ素樹脂から構成されるか、少
なくとも前記母型パターンが形成されている表面がポリ
オレフィン系樹脂またはフッ素樹脂から構成されること
が好ましい。このようなスタンパは、活性エネルギー線
硬化型樹脂の硬化物からなる透明中間層に対する離型性
が良好である。しかも、ポリオレフィン系樹脂およびフ
ッ素樹脂は、紫外線の吸収率が高いためにその透過率が
低くなる紫外線硬化型樹脂に対してはもちろん、ポリカ
ーボネート等の他の樹脂に対しても、紫外線に対する透
過率がより高い。したがって、このようなスタンパを通
して紫外線を照射した場合、スタンパを通して十分な強
度の紫外線を樹脂積層体RLに照射できるので、十分に
硬化された透明中間層TLが得られる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0033】光情報媒体 本発明が適用される光情報媒体は、情報記録層が少なく
とも2層積層された構造をもつ。本明細書における情報
記録層には、少なくとも再生専用層または記録層が含ま
れる。再生専用層とは、記録情報を保持するプリピット
などの凹凸パターンが存在し、再生ビームの少なくとも
一部を反射する層であり、記録層とは、相変化材料や有
機色素などの記録材料を含有し、記録マークの書き換え
や追記が可能な層である。記録層には、プリフォーマッ
ト情報の保持やトラッキングサーボなどのために、グル
ーブやプリピット等の凹凸パターンが設けられる。
【0034】また、本明細書における多層媒体とは、複
数の情報記録層を有し、かつ、他の情報記録層を透過し
た記録/再生ビームにより記録または再生が行われる情
報記録層が存在する媒体である。隣り合う情報記録層間
には、記録/再生ビームが透過可能な透明中間層が存在
する。
【0035】図1に、本発明により製造される多層媒体
の構成例を示す。図1に示す媒体は、ディスク状の基板
SB上に、第1の情報記録層IL−1を設け、この情報
記録層IL−1の上に、透明中間層TLを介して第2の
情報記録層IL−2を積層したものである。第1の情報
記録層IL−1および第2の情報記録層IL−2には、
グルーブやプリピットからなる凹凸パターンがそれぞれ
形成されている。第2の情報記録層IL−2上には、保
護層PLが形成されている。以下、この媒体の各部の構
成について説明する。
【0036】基板SB、保護層PL 図1に示す媒体では、記録/再生ビームは基板SB側か
らでなく保護層PL側から入射する。したがって、基板
SBは記録/再生ビームに対して透明である必要はな
い。基板SBの厚さは、通常、0.2〜1.8mm、好ま
しくは0.4〜1.2mmとすればよい。基板SBは、通
常の光情報媒体の基板と同様に樹脂から構成すればよ
い。その場合、第1の情報記録層IL−1のために必要
な基板SB表面の凹凸パターンは、射出成形により形成
できる。ただし、ガラス板や樹脂板、金属板等の剛性基
板の表面に2P法により前記凹凸パターンを形成して、
基板SBとしてもよい。
【0037】保護層PLは、記録/再生ビームを透過す
るために透光性を有する。保護層PLには、基板SBと
同程度の厚さの樹脂板やガラス板を用いてもよい。ただ
し、記録/再生ビーム照射光学系を高NA化して高記録
密度に対応させるためには、保護層PLを薄型化するこ
とが好ましい。この場合の保護層PLの厚さは、30〜
300μmの範囲から選択することが好ましい。保護層
PLが薄すぎると、保護層PL表面に付着した塵埃によ
る光学的な影響が大きくなる。一方、保護層PLが厚す
ぎると、高NA化が難しくなる。
【0038】保護層PLを薄型化するに際しては、例え
ば、透光性樹脂からなるシートを各種接着剤や粘着剤に
よりに貼り付けて保護層PLとしたり、透光性樹脂を塗
布して保護層PLとしたりすればよい。
【0039】なお、図1に示す構造の媒体において、基
板SBを通して記録/再生ビームを情報記録層IL−
1、IL−2に入射させる構成としてもよい。
【0040】情報記録層 情報記録層IL−1、IL−2には、プリピットやグル
ーブなどの凹凸パターンが形成されている。この凹凸パ
ターンは、透明中間層TL表面に形成した凹凸パターン
を転写することにより形成される。ただし、記録/再生
ビーム入射側から見て最も奥に存在する情報記録層IL
−1は、基板SBに設けた凹凸パターンの転写により形
成される。情報記録層は、再生専用層または記録層を少
なくとも含む。
【0041】再生専用層は、再生ビームの一部を反射
(情報記録層IL−2)または大部分を反射(情報記録
層IL−1)する必要があるので、金属(合金を含む)
膜または誘電体多層膜からなる反射層とされる。再生専
用媒体における情報記録層は、通常、反射層だけから構
成される。
【0042】記録層は、相変化型記録材料を用いた書き
換え可能型のものまたは追記型のもの、光磁気記録材料
を用いた書き換え可能型のもの、有機色素を記録材料と
して用いた追記型のものなどのいずれであってもよく、
このほかの記録材料を利用するものであってもよい。た
だし、他の記録材料に比べ光透過率が高く、そのため記
録層の積層数を多くできることから、相変化型記録材料
を用いることが好ましい。記録媒体では、情報記録層を
記録層だけから構成してもよいが、必要に応じ、反射層
や誘電体層などの他の層も設ける。
【0043】例えば相変化型記録媒体における情報記録
層は、通常、記録層の両側に誘電体層を設けた構造とす
る。また、記録/再生ビーム入射側から見て最も奥に存
在する情報記録層IL−1は、通常、図1において下側
から反射層、誘電体層、相変化型記録層、誘電体層の順
に積層した構造とする。情報記録層IL−2には、記録
/再生ビームを透過させる必要があることから、通常、
反射層は設けないが、必要に応じ、記録/再生ビームに
対し半透明な反射層を設けて、IL−1と同様な構造と
することもある。
【0044】本発明で用いる相変化型記録材料の組成は
特に限定されないが、少なくともSbおよびTeを含有
するものが好ましい。SbおよびTeだけからなる記録
層は、結晶化温度が130℃程度と低く、保存信頼性が
不十分なので、他の元素を添加することが好ましい。こ
の場合の添加元素としては、元素M(元素Mは、In、
Ag、Au、Bi、Se、Al、P、Ge、H、Si、
C、V、W、Ta、Zn、Ti、Ce、Tb、Sn、P
b、PdおよびYから選択される少なくとも1種の元素
である)が好ましい。これらのうちでは、保存信頼性向
上効果が高いことから、特にGeが好ましい。
【0045】記録層構成元素の原子比を 式I SbaTebc で表し、 a+b+c=1 としたとき、好ましくは a=0.2〜0.85、 b=0.1〜0.6、 c=0〜0.25 であり、より好ましくは c=0.01〜0.25 である。Sb含有量が少なすぎると、結晶化速度が十分
に速くならないため、オーバーライトが困難となる。一
方、Sb含有量が多すぎると、結晶化速度が速くなりす
ぎて、非晶質記録マークを形成することが難しくなる。
M含有量が少なすぎると、M添加による効果が不十分と
なり、M含有量が多すぎると、相変化に伴なう反射率変
化が小さくなって十分な変調度が得られにくい。Te含
有量が少なすぎると、非晶質化が困難となって記録マー
クを形成することが難しくなる。一方、Te含有量が多
すぎると、結晶化速度が遅くなってオーバーライトが困
難となる。
【0046】多層媒体では上述したように記録層を複数
重ねるため、記録/再生ビームの光量損失が大きくな
る。そのため、記録層としての機能が損なわれない範囲
において、記録層はできるだけ薄いことが好ましい。た
だし、薄すぎると記録層としての機能が損なわれる。そ
のため、記録層の厚さは、好ましくは2〜50nm、より
好ましくは4〜20nmとする。
【0047】相変化型の記録層を用いる場合、情報記録
層は、前述したように記録層を一対の誘電体層で挟んだ
構造とすることが好ましい。この構造において、記録層
および各誘電体層はスパッタ法により形成することが好
ましい。誘電体層に用いる誘電体としては、例えば、S
i、Ge、Zn、Al、希土類元素等から選択される少
なくとも1種の金属成分を含む各種化合物が好ましい。
化合物としては、酸化物、窒化物、硫化物またはフッ化
物が好ましく、これらの化合物の2種以上を含有する混
合物を用いることもできる。各誘電体層の厚さは10〜
500nmであることが好ましい。
【0048】透明中間層 透明中間層TLは、紫外線硬化型樹脂等の活性エネルギ
ー線硬化型樹脂の硬化物であって、かつ、記録/再生ビ
ームに対し透過率の高い材料から構成される。
【0049】透明中間層の厚さは特に限定されず、隣り
合う情報記録層間でのクロストークが許容範囲に収まる
ように設定すればよいが、好ましくは5〜50μm、よ
り好ましくは10〜50μmである。透明中間層が薄す
ぎると、クロストークが大きくなりすぎる。一方、透明
中間層が厚すぎると、厚さむらが大きくなりやすく、ま
た、内部応力が大きくなりやすく、また、媒体の全厚が
大きくなってしまう。なお、上記平均厚さとは、情報記
録エリア上における最大厚さと最小厚さとの相加平均を
意味する。本明細書において情報記録エリアとは、再生
専用の情報記録層や追記または書き換えが可能な情報記
録層のうち、プリピットやグルーブが形成され、かつ情
報が保持(記録)可能な領域である。すなわち、記録可
能トラック存在領域である。上記記録可能トラックに
は、データが記録されるトラック(通常の記録トラッ
ク)に加え、試し書き用トラックも含まれる。
【0050】前述したように、透明中間層を通常のスピ
ンコート法により形成した場合、透明中間層の半径方向
での厚さむらが大きくなるため、内周部と外周部とで再
生出力が異なるものとなりやすく、また、スタンパから
パターンを転写する際に転写むらも生じやすい。情報記
録エリア上において、透明中間層の最大厚さと最小厚さ
との差は、好ましくは10μm以下であり、より好まし
くは6μm以下であり、さらに好ましくは3μm以下であ
る。本発明では、透明中間層の厚さむらをこのように小
さくすることができるので、再生出力変動を抑制するこ
とができ、また、転写欠陥の発生を抑制することができ
る。
【0051】透明中間層の最大厚さと最小厚さとの差は
小さいほど好ましいが、スピンコート法を用いる場合に
は、上記差をゼロにすることは困難である。また、上記
差が十分に小さければ、再生出力変動に与える影響は小
さい。したがって、上記差を1μm未満まで小さくする
必要はない。
【0052】製造方法 次に、本発明の製造方法を、図1に示す媒体の製造に適
用する場合について説明する。本発明の製造方法では、
以下に説明する塗布工程、硬化工程、剥離工程および積
層工程を設ける。
【0053】なお、以下では、活性エネルギー線硬化型
樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合を例に挙げて
説明するが、このほか、電子線など他の活性エネルギー
線によって硬化する樹脂も使用可能である。
【0054】塗布工程 塗布工程では、少なくとも1層の情報記録層が形成され
ている基板と、前記母型パターンを有するディスク状の
スタンパとを、それぞれ被塗布体とする。そして、それ
ぞれの被塗布体の表面に、樹脂層をスピンコート法によ
り形成する。
【0055】まず、図2および図3に示すように、回転
テーブル200上に、一方の被塗布体11を載置する。
この被塗布体11は、中心孔CHを有する基板SB上
に、第1の情報記録層IL−1を形成したものである。
基板SBは、中心孔CHが回転テーブル200の環状の
突起201に填め込まれて固定される。なお、これらの
図は断面図であるが、断面に現れる端面だけを表示し、
奥行き方向の図示は省略してある。これ以降の断面図に
おいても同様である。
【0056】次いで、閉塞手段300により中心孔CH
を塞ぐ。この閉塞手段300は、中心孔CHを塞ぐため
の円板部301と、その中央に一体化された支持軸30
2と、中心孔CHに対向する側において円板部301に
一体化された凸部303とを有する。凸部303を、突
起201の内周部に嵌合することにより、閉塞手段30
0は回転テーブル200に固定されると共に、基板SB
と閉塞手段300との位置決めを行うことができる。た
だし、基板SBおよび閉塞手段300の回転テーブル2
00への固定方法は特に限定されず、例えば、基板SB
と閉塞手段300とが嵌合した状態で、閉塞手段300
を回転テーブル200に嵌合させるものであってもよ
い。
【0057】次に、図4に示すように、樹脂または樹脂
溶液からなる塗布液500を、吐出手段であるノズル4
00から吐出して、支持軸302の外周面に供給する。
このとき、回転テーブル200を比較的低速、好ましく
は20〜100rpmで回転させ、円板部301上に一様
に塗布液500が行き渡るようにする。
【0058】次いで、図5に示すように、回転テーブル
200を比較的高速で回転させることにより塗布液50
0を展延する。これにより、基板SB上に第1の樹脂層
RL−1が形成される。
【0059】塗布液の展延条件は特に限定されない。ス
ピンコート法において塗布液の粘度以外の条件を同一と
した場合、理論的には、塗膜の厚さは塗布液の粘度の平
方根に比例することが知られている。一方、回転速度が
大きいほど、また、回転時間が長いほど塗膜は薄くな
る。したがって、スピンコート時の回転速度および回転
時間は、第1の樹脂層RL−1が所定の厚さとなるよう
に、塗布液の粘度に応じて適宜決定すればよい。
【0060】前述したように、塗布工程では、紫外線を
照射して第1の樹脂層RL−1を不完全または完全に硬
化することが好ましい。
【0061】硬化に際しては、第1の樹脂層RL−1を
形成した後、閉塞手段300を基板SBから取り外して
から紫外線を照射してもよい。ただし本発明では、図5
において第1の樹脂層RL−1を形成した後、図6に示
すように、スピンコートにおける基板SBの回転速度減
速過程において紫外線を照射することが好ましい。紫外
線照射は、減速開始時から減速時間の30%が経過する
までの間に開始し、かつ、減速時間の80%が経過する
まで少なくとも続けることが好ましい。照射開始が遅れ
ると、樹脂層が外周側において盛り上がりやすくなる。
また、照射開始が遅れると、比較的低い回転域まで樹脂
が硬化せず、その結果、硬化しない状態で遠心力が弱く
なってしまうので、外周部の***が大きくなりやすい。
紫外線照射を停止するタイミングが早すぎると、樹脂層
にむらが生じやすい。基板SBの回転速度の低下プロフ
ァイルは特に限定されず、初期から停止までの間におい
て、単位時間当たりの回転速度低下量(減速率)が一定
または滑らかに変化するものであればよい。すなわち、
減速率は一定であってもよく、漸減または漸増してもよ
いが、通常、一定に設定することが好ましい。
【0062】樹脂層を不完全に硬化させる場合であって
も、樹脂層が流動性を実質的にもたない程度まで硬化す
ることが好ましい。そのための紫外線照射量は、樹脂層
構成材料によっても異なるが、好ましくは10mJ/cm2
上、より好ましくは30mJ/cm2以上である。また、不完
全硬化による効果を実現するためには、樹脂層に粘着性
が残存する程度の照射量とすることが好ましく、具体的
には好ましくは200mJ/cm2以下、より好ましくは10
0mJ/cm2以下である。
【0063】回転速度を減速しながら第1の樹脂層RL
−1を硬化する方法では、閉塞手段300が基板SBに
填め込まれた状態で紫外線を照射することになる。この
とき、閉塞手段300表面の塗布液にも紫外線が照射さ
れると、特に完全硬化を行った場合には、硬化後に閉塞
手段300を基板SBから取り外す際に、第1の樹脂層
RL−1の内周縁にバリが生じたり、バリの破片が飛び
散ったりすることがあり、好ましくない。このようなバ
リの発生を防ぐためには、閉塞手段300付近を除いて
紫外線を照射することが好ましい。すなわち、紫外線照
射領域の内径が、閉塞手段300の円板部301の外径
よりもやや大きくなるように照射範囲を制御することが
好ましい。また、塗布液展延時には、基板SBの外周縁
から塗布液が放射状に飛散するが、そこにも紫外線が照
射されると、飛散した塗布液が基板外周縁から放射状に
延びた状態で硬化しやすい。これを防ぐためには、紫外
線照射領域の外周縁が基板SBの外周縁とほぼ一致する
ように、照射範囲を制御することが好ましい。
【0064】照射範囲は、例えば、紫外線源と基板SB
との間に、所定形状のマスクを配置して紫外線を遮断す
ることにより制御できる。また、精密なパターン照射が
可能な投影露光機を用いても制御できる。また、投影露
光機以外であっても、特定の領域を選択的に照射できる
タイプの紫外線照射装置であればよい。このような装置
としては、例えばいずれもウシオ電気(株)製のスポッ
トUV照射装置やマルチライトが挙げられる。スポット
UV照射装置では、光ファイバユニットの先端にレンズ
を取り付けて、照射領域の形状を調整することが可能で
ある。例えば、照射領域を長方形とし、基板SBを回転
させながら照射すれば、第1の樹脂層RL−1表面を環
状に照射することができる。なお、上記マルチライトを
用いる場合、好ましくは上記マスクを併用する。
【0065】第1の樹脂層RL−1の硬化を行う前に
は、前述したように、展延時に基板SBの外周縁からは
み出した塗布液の少なくとも一部を削ぎ取ることが好ま
しい。具体的には、ナイフの刃のように薄板状である部
位をもつ削ぎ取り手段を用い、これを基板SBの外周側
面に接近させて塗布液を削ぎ取ることが好ましい。
【0066】次に、閉塞手段300を基板SBから離間
することにより、図7に示すように第1の樹脂層RL−
1を表面に有する被塗布体11が得られる。
【0067】一方、図8に示すように、他方の被塗布体
12であるスタンパ100上に、第2の樹脂層RL−2
を形成する。第2の樹脂層RL−2は、スピンコート法
を用いて第1の樹脂層RL−1と同様にして形成する。
【0068】第2の樹脂層RL−2の形成に用いる塗布
液が含有する紫外線硬化型樹脂は、第1の樹脂層RL−
1の形成に用いた塗布液が含有する紫外線硬化型樹脂と
同じものであることが好ましいが、必要に応じ、異なる
ものを選択してもよい。
【0069】情報記録エリア上における第1の樹脂層R
L−1および第2の樹脂層RL−2それぞれの平均厚さ
は、いずれも好ましくは0.5μm以上、より好ましく
は樹脂積層体RLの厚さの20%以上である。なお、こ
の場合の平均厚さとは、情報記録エリア上における最大
厚さと最小厚さとの相加平均を意味する。樹脂積層体R
Lの好ましい厚さは決まっているため、一方の樹脂層を
薄くすると他方の樹脂層が厚くなるので、本発明の効果
が実現しにくくなる。なお、厚さ0.5μm未満の樹脂
層を均一に形成することは困難であり、また、樹脂層が
薄すぎると接着力が不十分となる。
【0070】硬化工程、剥離工程、積層工程 硬化工程では、まず、図9に示すように、一方の被塗布
体11と他方の被塗布体12とを向かい合わせることに
より、第1の樹脂層RL−1と第2の樹脂層RL−2と
を接触させ、両樹脂層を被塗布体11、12で挟んで押
圧することにより樹脂積層体RLを形成する。このと
き、スタンパ100の自重によって両樹脂層を押圧して
もよく、スタンパ100に外部から荷重を加えて両樹脂
層を押圧してもよい。
【0071】なお、スタンパ100による押圧力および
押圧時間は特に限定されず、第1の樹脂層RL−1と第
2の樹脂層RL−2とが完全に密着するように適宜決定
すればよいが、通常、押圧力は0.5×105〜5×1
5Paとし、押圧時間は0.1〜5秒間とすることがそ
れぞれ好ましい。
【0072】第1の樹脂層RL−1と第2の樹脂層RL
−2との接触は、減圧雰囲気中で行うことが好ましい。
前記減圧雰囲気の圧力は、好ましくは30kPa以下、よ
り好ましくは10kPa以下である。塗布工程を減圧雰囲
気中で行うことにより、樹脂積層体RL中に気泡が混入
することを防ぐことができる。なお、押圧を減圧雰囲気
中で行う必要はない。したがって、雰囲気圧力を高くす
ることによって押圧してもよい。
【0073】次いで、図10に示すように、スタンパ1
00を通して紫外線を照射することにより、樹脂積層体
RLを完全に硬化して透明中間層TLとする。なお、基
板SBを回転させながら紫外線を照射してもよい。
【0074】次に、図11に示すように、透明中間層T
Lからスタンパ100を剥離する。この剥離を容易に行
うためには、透明中間層TLをほぼ完全に硬化させる必
要がある。硬化が不十分であると、透明中間層TLに粘
着性が残っているため、スタンパ100を剥離しにく
い。また、硬化が不十分であると、透明中間層TLの機
械的強度が不十分となるため、スタンパ100を剥離す
る際に透明中間層TLが破損することがある。透明中間
層TLを十分に硬化するためには、紫外線照射量を1J/
cm2以上とすることが好ましい。
【0075】次に、図12に示すように、スタンパ10
0の剥離によって露出した透明中間層TLの表面に、第
2の情報記録層IL−2をスパッタ法や塗布法などによ
り形成する。
【0076】閉塞手段 塗布工程において用いる閉塞手段について説明する。本
発明による主要な効果は閉塞手段を用いない場合でも実
現するが、閉塞手段を用いることにより前述した効果が
実現する。
【0077】本発明で用いる閉塞手段は、図2に示す構
成に限らず、円板部と支持軸とを有するものであればよ
い。図2に示す閉塞手段300は、円錐台状の円板部3
01と、円柱状の支持軸302とを有するものである
が、このほか、例えば図13(A)〜図13(D)にそ
れぞれ示す構成の閉塞手段も使用可能である。
【0078】図13(A)に示す閉塞手段は、下面をく
り抜いた円錐台状の円板部301と、逆円錐台状の支持
軸302とを有する。支持軸を逆円錐台状とすれば、塗
布液の塗布開始位置を円板部301の中央により近づけ
ることができるので、塗膜の厚さむらをさらに低減でき
る。しかも、支持軸302の全体を細くする場合と異な
り、支持軸302の機械的強度の低下を抑えることがで
きる。また、支持軸302をチャック等により把持する
場合に、落下しにくくなるので、閉塞手段の着脱および
搬送の際に有利である。なお、支持軸302の全体が逆
円錐台状である必要はない。すなわち、支持軸302の
少なくとも一部が円板部301に向かって直径が漸減す
る円錐台状であって、かつ、それより円板部に近い領域
において支持軸の直径が大きくならなければよい。
【0079】図13(B)に示す閉塞手段は、円板部3
01の断面形状が図13(A)とは異なる。円板部30
1上に塗布液をむらなく展延するためには、外周部に向
かって円板部301の厚さが漸減することが好ましい。
その場合、円板部301の断面において、塗布液が展延
される上縁の形状は、図13(A)に示すように直線状
であってもよく、図13(B)に示すように曲線状であ
ってもよい。また、図13(C)に示すように、円板部
301の外周が垂直面であってもよい。ただし、図13
(C)において円板部301の外周における厚さtは、
好ましくは0.4mm以下である。厚さtが大きすぎる
と、樹脂層をむらなく塗布することが難しくなる。ま
た、図13(D)に示すように円板部301の厚さを均
一としてもよい。
【0080】閉塞手段において、円板部301近傍にお
ける支持軸302の最小直径は、好ましくは4mm未満、
より好ましくは2mm以下である。円板部301近傍にお
ける支持軸302の直径が大きすぎると、塗布開始位置
が円板部301の中央から離れることになり、樹脂層の
半径方向における厚さむらが大きくなってしまう。ただ
し、円板部301近傍における支持軸302の直径が小
さすぎると、支持軸302の機械的強度が不十分となる
ので、上記最小直径は好ましくは0.5mm以上、より好
ましくは0.7mm以上である。支持軸302の長さは特
に限定されず、その外周面への塗布液の供給が容易とな
るように、また、把持する際の取り扱いの容易さなどを
考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは5〜100
mm、より好ましくは10〜30mmとする。支持軸302
が短すぎると、外周面への塗布液の供給がしにくくな
り、また、把持もしにくくなる。一方、支持軸302が
長すぎると、取り扱いが面倒になる。
【0081】円板部301の直径は、基板SBの中心孔
CHの直径よりも大きく、かつ、第1の情報記録層IL
−1の内径よりも小さければよい。ただし、塗布液50
0が円板部301の下面に回り込んで基板SBの内周面
を汚染することがあるので、円板部301の直径は中心
孔CHの直径よりも4mm以上、特に8mm以上大きいこと
が好ましい。また、円板部301を取り外す際に、その
近傍の樹脂層の形状に乱れが生じやすいので、円板部3
01の直径は第1の情報記録層IL−1の内径よりも3
mm以上、特に5mm以上小さいことが好ましい。具体的な
寸法は、中心孔の直径および情報記録層の内径によって
も異なるが、通常、直径60〜130mm程度の光ディス
クの製造に適用する場合には、円板部301の直径は2
0〜40mm、特に25〜38mmの範囲内とすることが好
ましい。
【0082】閉塞手段の構成材料は特に限定されず、金
属、樹脂、セラミック等のいずれであってもよく、これ
らの2種以上を用いた複合材料であってもよい。また、
円板部301と支持軸302とを相異なる材料から構成
してもよい。ただし、機械的強度、耐久性、寸法精度が
良好であることから、閉塞手段は金属から構成すること
が好ましい。金属としては、例えばステンレス合金、ア
ルミニウム、アルミニウム合金が好ましい。
【0083】閉塞手段300の表面、特に円板部301
の全表面は、塗布液よりも表面張力が低いことが好まし
い。閉塞手段300の表面が塗布液に対し濡れにくけれ
ば、閉塞手段の表面に付着した塗布液の洗浄が容易とな
る。表面張力の制御は、閉塞手段の構成材料を適宜選択
することによっても可能であるが、表面張力を低くした
い領域にテフロン(登録商標)加工等の撥水・撥油処理
を施すことが好ましい。
【0084】ところで、多層媒体ではないが、ディスク
基板の中心孔を、板状部材、円板部、閉塞板、キャップ
等の閉塞手段により塞ぎ、この閉塞手段の中央付近、す
なわち回転中心付近に樹脂を供給してスピンコートを行
うことは知られている(特開平10−320850号公
報、同10−249264号公報、同10−28948
9号公報、同11−195250号公報、同11−19
5251号公報)。
【0085】しかし、これら各公報に記載された閉塞手
段には、以下に説明する問題点がある。
【0086】上記特開平10−320850号公報、特
開平10−249264号公報、特開平11−1952
50号公報には、閉塞手段である板状部材ないしキャッ
プをスピンコート後に取り外す方法が記載されておら
ず、工業的に利用することが困難である。
【0087】上記特開平10−289489号公報に
は、スピンコート後、閉塞手段である円板部を打ち抜き
または電磁石による吸着により取り外した後、ディスク
基板を回転させながら樹脂層を硬化することが記載され
ている。しかし、打ち抜きおよび電磁石により閉塞手段
を取り外す際には、閉塞手段に大きな加速度が加わるた
め、樹脂塗膜に乱れが生じやすい。
【0088】上記特開平11−195251号公報に
は、円形状のキャップの中央に支持体を一体化した構造
の閉塞手段が記載されている。同公報には、この支持体
を設けることにより、閉塞手段の着脱や位置合わせが容
易になる旨が記載されている。この支持体は、少なくと
も1つの孔を有する中空筒状のものであるか、複数の棒
状体である。中空筒の内部または複数の棒状体で包囲さ
れた領域に樹脂を注入した後、ディスク基板と閉塞手段
とを一体的に回転させることにより、ディスク基板上に
樹脂層が形成される。この閉塞手段を用いれば、閉塞手
段の取り外しは容易となる。同公報では、閉塞手段をデ
ィスク基板から離間した後、ディスク基板を静止させた
状態で樹脂層を硬化することが記載されている。
【0089】同公報では、閉塞手段の中空筒に設けられ
た孔または隣り合う棒状体の間から樹脂を流出させてス
ピンコートを行う。したがって、支持体の壁(孔以外の
領域)または棒状体に樹脂が堰き止められてしまう。ま
た、堰き止められた樹脂が、予測できないタイミングで
一挙にディスク基板上に流出することがある。そのた
め、塗膜にむらが生じやすい。また、この閉塞手段は、
樹脂と接触する面の形状が複雑であり、かつ、樹脂と接
触する面積が大きいため、閉塞手段の洗浄が困難であ
る。閉塞手段表面に樹脂が残存すると、塗膜にむらが生
じやすい。また、同公報の表1には、中空筒の外径が4
〜16mmの場合について塗膜の厚さ変動を調べている
が、この結果から、塗膜の厚さむらは中空筒の外径に依
存し、外径が大きいほど厚さむらが大きくなることがわ
かる。すなわち、中空筒の内部に樹脂を供給しても、塗
布開始位置は回転中心とは一致せず、中空筒の外周位置
が塗布開始位置となると考えられる。なお、樹脂は粘度
が比較的高いことを考慮すると、中空筒の外径を4mm未
満とすることは困難であるため、同公報記載の方法で
は、樹脂塗膜の厚さむらを著しく小さくすることは難し
い。
【0090】このような従来の閉塞手段に対し、図2に
示すように本発明で用いる閉塞手段300は、円板部3
01に支持軸302を設ける。この支持軸302を把持
することにより閉塞手段300を操作できるので、媒体
製造工程における閉塞手段300の取り扱いが容易とな
り、特に、スピンコート後に閉塞手段300を取り外す
ことが容易となる。
【0091】前記特開平11−195251号公報で
は、支持体の壁または棒状体により樹脂が堰き止められ
てしまうため、前述したように塗膜にむらが生じやす
い。これに対し図2に示す閉塞手段では、支持軸の外周
面に塗布液を供給してスピンコートを行うため、塗膜に
むらが生じにくい。また、図2に示す閉塞手段では、樹
脂が付着するのは支持軸の外周面であるため、前記特開
平11−195251号公報に比べ閉塞手段の洗浄が容
易である。また、前記特開平11−195251号公報
では、中空筒状の支持体の内部に塗布液を供給するの
で、粘度の比較的高い塗布液の流動性を確保するために
支持体の外径を小さくすることができず、そのため、塗
布開始位置が回転中心から比較的遠くなってしまう。こ
れに対し図2に示す閉塞手段では、同公報に比べ支持軸
の外径を著しく小さくできるので、塗膜の厚さむらを著
しく低減できる。
【0092】スタンパ 本発明で用いるスタンパの好ましい構成について説明す
る。
【0093】本発明では、スタンパ100を通して樹脂
積層体RLに紫外線を照射することを可能とするため、
スタンパ100を紫外線が透過可能な樹脂から構成する
ことが好ましく、また、透明中間層TLからのスタンパ
100の離型を容易にするために、スタンパ100の少
なくとも透明中間層TLと接する表面(凹凸パターン形
成面)を、ポリオレフィン系樹脂またはフッ素樹脂から
構成することがより好ましい。ポリオレフィン系樹脂と
しては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメ
チルペンテンから適宜選択すればよい。また、フッ素樹
脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリ
(クロロトリフルオロエチレン)、ポリパーフルオロアル
ケニルビニルエーテルから適宜選択すればよい。
【0094】スタンパ100の製造方法は特に限定され
ないが、スタンパをポリオレフィン系樹脂から構成する
場合、好ましくは射出成形法により製造する。また、ス
タンパをフッ素樹脂から構成する場合、フッ素樹脂の種
類に応じ、加圧成形焼成法、押出し成形法、圧縮成形
法、射出成形法などから適宜製造方法を選択すればよ
い。スタンパ100の表面に設ける前記母型パターン
は、成形時に同時に形成することができる。ただし、活
性エネルギー線に対する透過性が高い材質(樹脂やガラ
スなど)からなる比較的剛性の高い基板上に、前記母型
パターンをもつポリオレフィン系樹脂層やフッ素樹脂層
を2P法により形成して、スタンパ100を製造しても
よい。
【0095】スタンパ100の形状および寸法は特に限
定されないが、通常、基板SBと同様に環状とし、その
外径および内径は、基板SBの外径および内径とそれぞ
れほぼ同じとすればよい。ただし、スタンパ100の外
径を基板SBの外径よりやや大きく設定すれば、剥離工
程において透明中間層TLからのスタンパ100の剥離
が容易となる。また、スタンパ100の厚さは、通常、
0.3〜3mmの範囲内とすることが好ましい。スタンパ
100が薄すぎると、スタンパの成形が困難となるの
で、スタンパ全面にわたって均一な母型パターンを形成
することが難しくなる。一方、スタンパ100が厚すぎ
ると、スタンパの剛性が高くなりすぎる。反り等の変形
が全くないスタンパを製造することは困難であるため、
スタンパには変形が存在する。軽度の変形はスタンパを
押圧する際に矯正されるが、スタンパの剛性が高いと矯
正されにくい。そのため、スタンパが厚すぎると、スタ
ンパの変形が樹脂積層体RLにそのまま転写されてしま
い、樹脂積層体RLの厚さむらが大きくなってしまう。
上記矯正を容易にするためには、スタンパ100の厚さ
を好ましくは0.3〜1.8mmとし、より好ましくは
0.3〜1.4mmとする。
【0096】
【実施例】表面にグルーブパターンを設けた外径120
mm、内径(中心孔の直径)15mm、厚さ1.2mmのディ
スク状基板SB(ポリカーボネート製)を、射出成形に
より作製した。また、表面にグルーブパターンの母型パ
ターンを設けた直径120mm、厚さ0.6mmの透明なス
タンパ100(ポリメチルペンテン製)を射出成形によ
り作製した。基板SBおよびスタンパ100において、
グルーブの配列ピッチは0.6μmとし、グルーブ深さ
は40nmとした。基板SBのグルーブパターン形成面
に、反射層、誘電体層、相変化型記録層および誘電体層
をこの順でスパッタ法により形成し、第1の情報記録層
IL−1とした。
【0097】次いで、図2〜図11に示すように閉塞手
段300を用いる方法を利用して、以下の手順で透明中
間層TLを形成した。用いた閉塞手段300は、ステン
レス合金から構成され、図2に示す形状を有するもので
あり、円板部301は直径38mm、支持軸32は直径1
mm、長さ20mmである。
【0098】まず、基板SBを回転テーブル上に載置
し、閉塞手段300を基板SBの中心孔CHに填め込ん
だ後、回転テーブルを60rpmで回転させながら紫外線
硬化型樹脂(日本化薬社製のMPZ203、25℃にお
ける粘度90mPas)を支持軸302の外周面に供給し、
次いで、回転テーブルを2000rpmで10秒間回転さ
せることにより樹脂を展延した。この樹脂展延の際に
は、展延がほぼ完了した9秒経過の時点で、薄板状の削
ぎ取り手段を基板の外周側面に接近させ、基板外周側面
にはみ出していた樹脂を1秒間削ぎ取った。次いで、削
ぎ取り手段を基板から遠ざけると共に回転テーブルの減
速を開始し、減速開始から0.3秒後に、強度160mW
/cm2の紫外線を0.5秒間照射した。このときの紫外線
照射量は80mJ/cm2であり、これにより、不完全硬化状
態の第1の樹脂層RL−1が形成された。なお、減速開
始から回転停止までの時間は1秒間とした。
【0099】紫外線照射手段には、目白プレシジョン
(株)製UV Spot Cure BHG-250を用い、基板の全面に紫
外線が照射されるように照射範囲を直径120mmの円形
に設定した。ただし、閉塞手段300上には、紫外線が
照射されないように直径40mmのマスクを配置した。硬
化後、閉塞手段300を取り外した。
【0100】次いで、展延時の回転速度を2000rpm
とし、回転時間を10秒間としたほかは第1の樹脂層R
L−1と同様にして、第2の樹脂層RL−2をスタンパ
100表面に形成した。ただし、第2の樹脂層RL−2
には紫外線を照射しなかった。情報記録エリア上におけ
る第2の樹脂層RL−2の平均厚さは、10μmであっ
た。
【0101】次いで、圧力5kPaの雰囲気中において、
図9に示すように第1の樹脂層RL−1と第2の樹脂層
RL−2とを接触させ、次いで、オートクレーブにより
2×105Paの圧力で押圧した。
【0102】次に、スタンパ100を通して紫外線を照
射することにより樹脂積層体RLを硬化して、透明中間
層TLとした。紫外線照射量は1J/cm2とした。次い
で、透明中間層TLからスタンパ100を剥離した。剥
離したスタンパ100には紫外線硬化型樹脂は付着して
おらず、スタンパ100の離型性が良好であることが確
認された。形成された透明中間層TLには、全面にわた
って気泡の混入は全く認められなかった。
【0103】次いで、透明中間層TL上に、第2の情報
記録層IL−2として厚さ60nmのAu薄膜をスパッタ
法により形成し、評価用サンプルとした。この評価用サ
ンプルのAu薄膜表面を走査型電子顕微鏡により観察し
たところ、転写欠陥は存在せず、グルーブパターンが正
確に転写されていることが確認できた。
【0104】この評価用サンプルの透明中間層TLの半
径方向における厚さ変動を、(株)キーエンス製のレー
ザーフォーカス変位計LT8010により測定した。結果を表
1に示す。なお、表1において、△Tは情報記録エリア
(半径23〜58mmの範囲)上における透明中間層の最
大厚さと最小厚さとの差であり、TMは透明中間層の平
均厚さである。
【0105】
【表1】
【0106】表1に示されるように、この透明中間層は
△Tが著しく小さく、厚さの均一性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造される光情報媒体の構成例を
示す部分断面図である。
【図2】塗布工程の一部を説明するための断面図であ
る。
【図3】塗布工程の一部を説明するための断面図であ
る。
【図4】塗布工程の一部を説明するための断面図であ
る。
【図5】塗布工程の一部を説明するための断面図であ
る。
【図6】塗布工程の一部を説明するための断面図であ
る。
【図7】塗布工程の一部を説明するための断面図であ
る。
【図8】塗布工程の一部を説明するための断面図であ
る。
【図9】硬化工程の一部を説明するための断面図であ
る。
【図10】硬化工程の一部を説明するための断面図であ
る。
【図11】剥離工程の一部を説明するための断面図であ
る。
【図12】積層工程を説明するための断面図である。
【図13】(A)〜(D)は閉塞手段の構成例を示す断
面図である。
【符号の説明】
CH 中心孔 IL−1、IL−2 情報記録層 PL 保護層 RL 樹脂積層体 RL−1 第1の樹脂層 RL−2 第2の樹脂層 SB 基板 TL 透明中間層 11、12 被塗布体 100 スタンパ 200 回転テーブル 201 突起 300 閉塞手段 301 円板部 302 支持軸 303 凸部 400 ノズル 500 塗布液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5D029 JB13 LB07 5D121 AA03 CA06 EE22 EE23 EE26 GG02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスク状の基板上に、凹凸パターンを
    有する情報記録層が複数積層されており、隣り合う情報
    記録層間に、記録/再生ビームが透過可能な透明中間層
    が存在し、前記透明中間層が、活性エネルギー線によっ
    て硬化された樹脂を含有する光情報媒体を製造する方法
    であって、 少なくとも1層の情報記録層が形成されている基板、お
    よび、前記凹凸パターンの母型パターンを有するディス
    ク状のスタンパのそれぞれを被塗布体とし、 一方の被塗布体を回転させることにより、樹脂を含有す
    る塗布液を前記一方の被塗布体の表面で展延して第1の
    樹脂層を形成し、他方の被塗布体を回転させることによ
    り、樹脂を含有する塗布液を前記他方の被塗布体の表面
    で展延して第2の樹脂層を形成する塗布工程と、 前記一方の被塗布体と前記他方の被塗布体とを向かい合
    わせることにより、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂
    層とを接触させて樹脂積層体を構成し、この樹脂積層体
    に活性エネルギー線を照射して硬化することにより前記
    透明中間層を形成する硬化工程と、 前記スタンパを前記透明中間層から剥離する剥離工程
    と、 前記透明中間層上に他の情報記録層を形成する積層工程
    とを設ける光情報媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記塗布工程において、前記第1の樹脂
    層および前記第2の樹脂層の一方を不完全または完全に
    硬化させ、他方を硬化させないか不完全に硬化させる請
    求項1の光情報媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記塗布工程において、前記第1の樹脂
    層または前記第2の樹脂層を不完全または完全に硬化さ
    せるに際し、 前記被塗布体を回転させることにより前記塗布液を展延
    した後、前記被塗布体の回転速度を低下させながら活性
    エネルギー線を前記塗布液に照射する請求項2の光情報
    媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記塗布工程において、前記第1の樹脂
    層および/または前記第2の樹脂層を形成するに際し、 前記被塗布体が中心孔を有するものであり、前記中心孔
    を塞ぐための円板部と、この円板部の中央に一体化され
    た支持軸とを有する閉塞手段を用意し、 前記閉塞手段の円板部で前記中心孔を塞いだ状態とし、
    前記塗布液を前記支持軸の外周面に供給した後、前記被
    塗布体を前記閉塞手段と共に回転させることにより、前
    記塗布液を前記被塗布体上に展延して、前記第1の樹脂
    層および/または前記第2の樹脂層を形成する請求項1
    〜3のいずれかの光情報媒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記情報記録層が情報記録エリアを有
    し、この情報記録エリア上における前記樹脂積層体の平
    均厚さが5〜50μmである請求項1〜4のいずれかの
    光情報媒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記情報記録エリア上における平均厚さ
    がいずれも0.5μm以上となるように前記第1の樹脂
    層および前記第2の樹脂層を形成する請求項5の光情報
    媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記硬化工程において、第1の樹脂層と
    第2の樹脂層とを減圧雰囲気中において接触させる請求
    項1〜6のいずれかの光情報媒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記塗布工程において、前記第1の樹脂
    層および/または前記第2の樹脂層を形成する際に、前
    記被塗布体の外周縁からはみ出した前記塗布液の少なく
    とも一部を削ぎ取る請求項1〜7のいずれかの光情報媒
    体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記スタンパとして、前記活性エネルギ
    ー線が透過可能な樹脂からなるものを用い、前記スタン
    パを使い捨てにする請求項1〜8のいずれかの光情報媒
    体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記スタンパとして、少なくとも前記
    凹凸パターンが形成された表面がポリオレフィン系樹脂
    またはフッ素樹脂から構成されたものを用い、前記硬化
    工程において、前記スタンパを通して活性エネルギー線
    を前記樹脂積層体に照射する請求項1〜9のいずれかの
    光情報媒体の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005048253A1 (ja) * 2003-11-12 2005-05-26 Mitsubishi Kagaku Media Co., Ltd. 光記録媒体の製造方法及び光透過性スタンパ
JP2009083495A (ja) * 2008-10-31 2009-04-23 Toshiba Corp インプリント用レジスト膜
JP2009521066A (ja) * 2005-12-22 2009-05-28 ジングルス・テヒノロギース・アクチェンゲゼルシャフト 2つのディスクの間に均一性の高いスペース層を形成する方法
JP2009149097A (ja) * 2009-02-04 2009-07-09 Toshiba Corp インプリント加工用スタンパーおよびその製造方法
WO2013133231A1 (ja) * 2012-03-07 2013-09-12 淀川メデック株式会社 光学用積層構造体の製造方法および製造装置

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