JP2003013035A - 感圧接着剤用エマルションおよび両面テープ - Google Patents

感圧接着剤用エマルションおよび両面テープ

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JP2003013035A
JP2003013035A JP2001193281A JP2001193281A JP2003013035A JP 2003013035 A JP2003013035 A JP 2003013035A JP 2001193281 A JP2001193281 A JP 2001193281A JP 2001193281 A JP2001193281 A JP 2001193281A JP 2003013035 A JP2003013035 A JP 2003013035A
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pressure
emulsion
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emulsifier
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JP2001193281A
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Naoki Tokimine
直樹 常峰
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な耐湿熱性および粘着特性を示す感圧接
着剤用エマルションを提供する。 【解決手段】 感圧接着性ポリマー(A)、カルボキシ
ル基の一部または全部がアルカリ塩となっているカルボ
キシル基含有ロジン誘導体(B)、カルボキシル基と反
応し得る官能基を1分子中に少なくとも1個有する化合
物(C)、酸価190未満の粘着付与剤(D)、および
カルボキシル基含有乳化剤(E)を必須成分として含む
感圧接着剤用エマルションである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難接着性のポリオ
レフィン等に対しても強い粘着力を発揮し、耐水性、耐
湿熱性に優れ、高い凝集力を有する感圧接着剤用エマル
ションおよびこのエマルションから得られる両面テープ
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護、作業環境の安全性、省
資源、コスト等の観点から、感圧接着剤の供給形態とし
ては、溶剤型(有機溶剤を溶媒に用いたもの)から無溶
剤型(有機溶剤を使用しないもの)への移行が大きな流
れとなっている。汎用性、作業性の点から、無溶剤型の
中でも特にエマルションタイプの感圧接着剤が好適に使
用されている。このような感圧接着剤用エマルションで
は、水不溶性の感圧接着性ポリマーを水性媒体中に分散
させるために乳化剤等の分散剤が必要であり、この分散
剤が水溶性物質であることから、感圧接着剤皮膜の耐水
性が劣るという問題がある。
【0003】本願出願人は、分散剤と化学結合し得る化
合物を感圧接着剤用エマルションに配合し、皮膜化後に
分散剤中のカルボキシル基を上記化合物と反応させるこ
とによって、分散剤の親水性を低下させ、感圧接着剤製
品の耐水性を向上させることに成功した(国際公開WO
96/29373号)。
【0004】上記感圧接着剤用エマルションから得られ
た感圧接着剤製品は、良好な耐水性を示すが、より優れ
た粘着諸特性が求められており、さらなる検討が必要と
なってきた。
【0005】そこで、本出願人は、特定の粘着付与剤
と、この粘着付与剤と化学結合し得る化合物を組み合わ
せた感圧接着剤用エマルションを見出し、皮膜化後に粘
着付与剤中のカルボキシル基と上記の化合物と反応させ
ることにより、粘着付与剤の親水性を低下させ、感圧接
着剤製品の耐水性を低下させることなく、粘着特性を向
上させることに成功した(特開2000−198973
号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記感圧接着剤用エマ
ルションから得られた感圧接着剤製品は、良好な耐水性
や粘着特性を示すが、耐湿熱性の点においては充分とは
言えず、高温、高湿度条件下で感圧接着剤製品を用いる
ことを想定すれば、未だ改善の余地が残っており、さら
なる検討が必要であった。耐湿熱性を改善する検討手法
としては、前記特開2000−198973号公報にお
いて、カルボキシル基と反応する化合物の配合量を調節
する、またはカルボキシル基を有する粘着付与剤の配合
量を増加させる等の手法があるが、これらの兼ね合いだ
けでは目的とする特性の発現には至らなかった。
【0007】そこで本発明では、良好な耐湿熱性を示す
と共に、他の粘着特性にも優れた両面テープ等の感圧接
着剤製品を作り得る感圧接着剤用エマルションを提供す
ることを課題として掲げた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の感圧接着剤用エ
マルションは、ガラス転移温度が−80〜−20℃、重
量平均分子量15万以上、かつカルボキシル基による酸
価が30以下の感圧接着性ポリマー(A)、重量平均分
子量が10万以下で、アルカリ化する前のカルボキシル
基による酸価が190以上であり、このカルボキシル基
の一部または全部がアルカリ塩となっているカルボキシ
ル基含有ロジン誘導体(B)、重量平均分子量が10万
以下で、カルボキシル基を有しておらず、かつカルボキ
シル基と反応し得る官能基を1分子中に少なくとも1個
有する化合物(C)、重量平均分子量が10万以下で、
酸価が190未満の粘着付与剤(D)、重量平均分子量
が10万以下で、分子中にロジン骨格を有しておらず、
1分子中に少なくとも1つのカルボキシル基を持ち、こ
のカルボキシル基の一部または全部がアルカリ塩となっ
ているカルボキシル基含有乳化剤(E)を必須成分とし
て含むところに要旨を有する。なお、ここでロジン骨格
とは、アビエチン酸およびその異性体、あるいはこれら
の変性体のことである。
【0009】感圧接着剤用エマルションは、予め、カル
ボキシル基含有乳化剤(E)で粘着付与剤(D)を水分
散体化したものを、感圧接着性ポリマー(A)とカルボ
キシル基含有ロジン誘導体(B)と化合物(C)とを含
むエマルションに添加して得られたものであることが好
ましい。
【0010】前記粘着付与剤(D)の水分散体化にあた
っては、粘着付与剤(D)100質量部に対し、カルボ
キシル基含有乳化剤(E)を0.5〜20質量部用いる
ことが好ましい。
【0011】感圧接着性ポリマー(A)100質量部に
対し、カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)、粘着付
与剤(D)およびカルボキシル基含有乳化剤(E)が合
計で2〜100質量部含まれており、化合物(C)は、
カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)とカルボキシル
基含有乳化剤(E)の有するカルボキシル基の合計1当
量に対し、化合物(C)の有する前記官能基が0.05
〜10当量となるように含まれていることが好ましい。
【0012】前記粘着付与剤(D)がロジン誘導体であ
る構成や、カルボキシル基含有乳化剤(E)が炭素数8
以上の直鎖炭化水素基を有しているものである構成は、
いずれも本発明の好ましい実施態様である。
【0013】本発明には、上記感圧接着剤用エマルショ
ンを用いて得られる感圧接着剤層を備える両面テープも
含まれる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の感圧接着剤用エマルショ
ンは、感圧接着性ポリマー(A)、カルボキシル基含有
ロジン誘導体(B)、カルボキシル基と反応し得る官能
基を有する化合物(C)、粘着付与剤(D)、分子内に
ロジン骨格を有さないカルボキシル基含有乳化剤(E)
を必須成分とするものである。本発明の最大の特徴は、
カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)を、アルカリ塩
の形でエマルション中に安定に存在させ、一方でカルボ
キシル基含有乳化剤(E)により粘着付与剤(D)をエ
マルション中に安定に存在させていることと、皮膜化後
に、カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)とカルボキ
シル基含有乳化剤(E)の持つカルボキシル基を化合物
(C)と化学反応させてその親水性を失わせることによ
って、良好な耐水性を維持しつつ、カルボキシル基含有
ロジン誘導体(B)や粘着付与剤(D)の持つ粘着力改
質効果を発揮させて、粘着特性の向上、特に、耐湿熱性
の向上を図ることができた点にある。以下、本発明を詳
細に説明するが、単に「ポリマー」というときは、ホモ
ポリマーはもとより、コポリマーや三元以上の共重合体
も含まれるものとする。
【0015】まず、第1の必須成分である感圧接着性ポ
リマー(A)は、一般に感圧接着剤製品が使用される温
度域において感圧接着性を示すポリマーである。通常、
感圧接着性ポリマー(A)は、水およびアルカリ水溶液
に溶解せずに、水溶性の乳化剤によって乳化されて水分
散体を形成する。また、エチレン性不飽和二重結合を有
する乳化剤等、ポリマー(A)用のモノマーとの反応性
を有する反応性乳化剤を使用して、感圧接着性ポリマー
(A)の乳化重合を行うと、感圧接着性ポリマー(A)
の分子鎖に反応性乳化剤が化学的に結合して、反応性乳
化剤が組み込まれたポリマー(A)が得られる。その結
果、この感圧接着性ポリマー(A)は他の乳化剤の助け
がなくても、自らでエマルションになっている。本発明
ではこのような感圧接着性ポリマー(A)も好ましく使
用できる。
【0016】感圧接着性ポリマー(A)としては、ガラ
ス転移温度(Tg)が−80〜−20℃のものを用い
る。Tgが−20℃以上のポリマーは、常温で感圧接着
性が発現しないことがあるので、ポリマーが感圧接着性
を示す目安として、上記Tg要件を定めた。ただし、T
gが−80℃より低くなると、高温凝集力が低下する傾
向にあるため好ましくない。Tg(K)は、「POLY
MER HANDBOOK 第3版」(John Wi
ley & Sons, Inc.発行)に記載された
各ホモポリマーのTg(K)を元にして、下記式で計算
により簡単に求められる他、DSC(示差走査熱量測定
装置)やDTA(示差熱分析装置)によって求めること
ができる。
【0017】
【数1】
【0018】ここで Wn ;各単量体の質量分率
(%) Tgn;各単量体のホモポリマーのTg(K)
【0019】感圧接着性ポリマー(A)は、重量平均分
子量(Mw)が15万以上のものを用いる。Mwが15
万より小さいと、粘着特性が劣ったものとなるためであ
る。なお、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の値で
ある(Mw、Mn共、以下同じ)。ただし、分子量が大
きい(Mwが約150万以上)ポリマーはGPC測定の
際に用いられる溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に
溶解しなくなり、GPCによる分子量測定自体が不可能
となるので、正確なMwは不明となるが、換言すれば、
THFに溶解しないポリマーは、Mwがだいたい150
万以上であることが明らかなので、本発明において好ま
しく用いることができる。
【0020】感圧接着性ポリマー(A)としては、酸価
(カルボキシル基価)が30以下のものを用いる。酸価
が30を超えると、Tgが−20℃よりも高くなること
が多いためである。また、後述する化合物(C)がポリ
マー中のカルボキシル基と反応して、ポリマー鎖が架橋
して感圧接着剤として粘着力が低下してしまうため好ま
しくない。酸価は15以下が好ましく、さらに好ましく
は5以下である。なお、本発明の「酸価」とは、カルボ
キシル基を含有する化合物1gを良溶媒に溶解して、K
OHで中和滴定を行ったときに要したKOH量をmgで
表した値である。
【0021】感圧接着性ポリマー(A)の具体例として
は、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン(SI
S)ブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン−スチ
レン(SBS)ブロックコポリマー、合成ゴム等のゴム
系ポリマーや、エチレン性不飽和結合を有するモノマー
を重合して得られるポリマーが好ましい。特に、粘着特
性の点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主
な構成成分とするアクリル系ポリマーが好ましい。
【0022】アクリル系ポリマーを構成する(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル
酸ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリ
ル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリ
ル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メ
タ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシ
ル、(メタ)アクリル酸ドデシル等の炭素数4〜12の
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルが好ましく、これらを1種以上使用することができ
る。
【0023】アクリル系ポリマーは、上記(メタ)アク
リル酸アルキルエステルのみで構成されていてもよい
が、その他のモノマーを共重合させてもよい。そのとき
は、粘着特性の観点から、上記(メタ)アクリル酸アル
キルエステル類をモノマー全体の60質量%以上用いる
ことが好ましい。
【0024】その他のモノマーの例としては、(メタ)
アクリル酸、(メタ)アクリル酸シクロアルキル類、炭
素数3以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステル類、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エス
テル類、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのよ
うなヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル
類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族不飽和炭
化水素類、ビニルエステル類、メチルビニルエーテル等
のビニルエーテル類、アクリロニトリル等の不飽和シア
ン化合物、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニ
ルピロリドン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマ
レイミド等の窒素原子含有モノマー等が挙げられる。
【0025】アクリル系ポリマー等で代表される感圧接
着性ポリマー(A)を合成するには、溶液重合法、塊状
重合法等も利用可能であるが、本発明の感圧接着性エマ
ルションを簡単に得ることのできる乳化重合法を用いる
ことが好ましい。
【0026】感圧接着性ポリマー(A)を乳化重合で合
成するために用いられる乳化剤(以下、単に、「乳化剤
(a)」という。)としては、スルホン酸塩基やカルボ
キシレート基等の親水基と、炭化水素基等の疎水基を持
ち、乳化能を有する化合物であればよいが、本発明で
は、通常の乳化重合の条件下(0〜95℃)では、カル
ボキシル基と反応し得る官能基を持たないものを用い
る。カルボキシル基と反応し得る官能基を持つ化合物
(C)がエマルション中に存在しているため、乳化剤
(a)は、そのような官能基を持つ必要がないからであ
る。
【0027】乳化剤(a)としては、重量平均分子量M
wが10万以下のものを用いる。分子量が小さい方がエ
マルションの表面張力を低下させる効果が高く、塗工性
に優れるためである。この観点から、乳化剤(a)のM
wは1万以下が好ましく、3000以下がより好まし
い。なお、乳化剤(a)の酸価は、185以下とするこ
とが耐水性の点から好ましい。
【0028】乳化剤(a)の種類としては、特に限定さ
れない。例えば、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベ
ンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン
酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポ
リオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシ
エチレンアルキルアリル硫酸エステル塩、ナフタレンス
ルフォン酸ホルマリン縮合物等のアニオン型乳化剤;ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導
体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビト
ール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルアルカノール
アミド、「SR−200」(荒川化学社製)、「レオコ
ール」シリーズおよび「ライオノール」シリーズ(いず
れもライオン社製)等のノニオン型乳化剤等が使用可能
である。また、後述するカルボキシル基含有乳化剤
(E)を用いてもよい。
【0029】さらに、乳化重合時の乳化安定性に優れた
カルボキシル基含有オリゴマー型乳化剤である、国際公
開WO96/29373号に開示された分散剤(乳化
剤)(以下、単に「乳化剤(b)」という。)を用いて
もよい。この乳化剤(b)は、不飽和カルボン酸(例え
ばアクリル酸)を必須成分として含む重合性モノマーを
炭素数が6〜18のアルキルメルカプタンの存在下に重
合して得られる水溶性若しくは水分散性オリゴマーであ
る。
【0030】なお、以上の乳化剤(a)および(b)
は、後述する反応性乳化剤とは異なり、感圧接着剤用ポ
リマー(A)用モノマーとの反応性は持っていない。従
って、エマルション中では、これらの乳化剤(a)およ
び(b)は、感圧接着性ポリマー(A)に吸着している
が、化学的に結合しているのではない。また、これらの
乳化剤(a)および(b)は、感圧接着性ポリマー
(A)、後述するカルボキシル基含有ロジン誘導体
(B)、化合物(C)、粘着付与剤(D)のいずれの化
合物とも異なる化合物である。
【0031】さらなる耐水性向上のためには、感圧接着
性ポリマー(A)の合成用の乳化剤として、感圧接着性
ポリマー(A)用のモノマーとの反応性を有する乳化
剤、すなわち、エチレン性不飽和二重結合を有する反応
性乳化剤(以下、「反応性乳化剤(c)」または単に
「乳化剤(c)という。」)を使用することが好まし
い。反応性乳化剤(c)を用いて乳化重合を行うと、感
圧接着性ポリマー(A)用のモノマーの有するエチレン
性不飽和二重結合と反応して、感圧接着性ポリマー
(A)の分子鎖に反応性乳化剤(c)が重合反応で結合
する。その結果、感圧接着性ポリマー(A)と反応性乳
化剤(c)とが一体化して、エマルション中に反応性乳
化剤(c)が単分子で存在しなくなるので、耐水性を低
下させることがなくなるからである。
【0032】二重結合を有する反応性乳化剤(c)の具
体例は、以下の通りである。これらのうち1種または2
種以上を用いることができる。
【0033】
【化1】
【0034】上記式(ただしRはアルキル基)で示され
るアリル基含有アニオンタイプ:例えば、ポリオキシエ
チレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテルの硫酸
エステル塩:市販品としては、「アデカリアソープS
E」シリーズ(旭電化社製)、「エレミノールJS」シ
リーズ(三洋化成社製)、「ラテムル」シリーズ(花王
社製)、「アクアロンKH」シリーズ(第一工業製薬社
製)等がある。
【0035】アリル基含有ノニオンタイプ:例えば、ポ
リオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエー
テル:市販品としては、「アデカリアソープNE」シリ
ーズ(旭電化社製)等がある。
【0036】アリル基含有カチオンタイプ:市販品とし
て、「RF−751」(日本乳化剤社製)がある。
【0037】
【化2】
【0038】上記式(ただしRはアルキル基)で示され
る(メタ)アクリロイル基含有アニオンタイプ:市販品
として、「エレミノールRS」シリーズ(三洋化成社
製)、「Antox」シリーズ(日本乳化剤社製)等が
ある。
【0039】(メタ)アクリロイル基含有ノニオンタイ
プ:市販品として、「RMA−560」シリーズ(日本
乳化剤社製)等がある。
【0040】プロペニル基(CH3−CH=CH−)含
有アニオンタイプ:例えば、ポリオキシエチレンノニル
プロペニルフェニルエーテルの硫酸エステルアンモニウ
ム塩:市販品として、「アクアロンHS」シリーズおよ
び「アクアロンBC」シリーズ(第一工業製薬社製)等
がある。
【0041】プロペニル基含有ノニオンタイプ:例え
ば、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエー
テル:市販品として、「アクアロンRNシリーズ」(第
一工業製薬社製)がある。
【0042】乳化重合に際しては、乳化剤(a)〜
(c)は、感圧接着性ポリマー(A)用のモノマー10
0質量部に対して0.5〜10質量部の範囲で使用す
る。上記した各種乳化剤(a)〜(c)を混合して用い
てもよい。なお、乳化重合法は公知の条件で行うことが
でき、これにより感圧接着性ポリマー(A)のエマルシ
ョンが得られる。
【0043】エマルション状態での感圧接着性ポリマー
(A)の平均粒子径は、1000nm以下が好ましい。
より好ましくは、500nm以下、さらに好ましくは3
00nm以下である。できるだけ平均粒子径が小さい方
が緻密な皮膜を形成でき、耐水性等の特性向上につなが
るからである。なお、平均粒子径の測定法としては、
(1)電子顕微鏡写真法、(2)石鹸滴定法、(3)光
散乱法、(4)遠心沈降法等が挙げられるが、本発明で
は、光散乱法を採用した。
【0044】本発明の感圧接着剤用エマルションには、
第2の必須成分として、重量平均分子量が10万以下
で、アルカリ化する前のカルボキシル基による酸価が1
90以上であり、このカルボキシル基の一部または全部
がアルカリ塩となっているカルボキシル基含有ロジン誘
導体(B)が含まれている。なお、以下、便宜上、アル
カリ化する前のカルボキシル基含有ロジン誘導体をロジ
ン誘導体(B’)という。
【0045】本発明で用いる「ロジン誘導体(B’)」
とは、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンに大
別される松由来のロジンに対し、少なくとも、カルボン
酸変性が行われたものを指す。これらのロジンの主成分
は、アビエチン酸、レボヒマル酸、ネオアビエチン酸等
であり、いずれも分子中に環構造を有している。また、
これらのロジンは、直鎖状炭化水素基を有していたとし
ても、その炭化水素基の炭素数は8未満である。この点
で、ロジン誘導体(B’)は、後述するカルボキシル基
含有乳化剤(E)とは異なる。
【0046】ロジンは元来カルボキシル基を有している
が、大抵のロジンは、カルボン酸変性が行われていなけ
れば、酸価が190以上にはならない。この点で、ロジ
ン誘導体(B’)は、後述する酸価190未満の粘着付
与剤(D)とは異なる。
【0047】カルボン酸変性は、これらのロジンに対
し、アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等
のカルボン酸を反応させて、ロジン中にカルボキシル基
を導入することにより行われる。もちろん、水添ロジ
ン、不均化ロジン、重合ロジン、ロジンエステル等のロ
ジン類も、カルボン酸変性後の酸価が190以上のもの
は、ロジン誘導体(B’)として用いることができる。
水添ロジンは、特に、感圧接着剤の耐候性および耐黄変
性の向上に有用である。
【0048】ロジン類は、よく知られているように、粘
着付与剤である。ロジン類の持つ粘着力改善効果によっ
て、感圧接着剤用エマルションが皮膜化されて得られる
感圧接着剤皮膜の粘着力を向上させる。また、例えば、
シリコーン樹脂によって剥離処理されたような低表面エ
ネルギーの基材に対してエマルションを塗布した場合、
カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)が含まれていな
いと、エマルションが弾いて(塗膜にならずに、多数の
液滴状になる)しまって塗工が難しいが、カルボキシル
基含有ロジン誘導体(B)の存在によってこの不都合が
避けられる。これは、アルカリ塩となったカルボキシル
基含有ロジン誘導体(B)がエマルションに溶解し、エ
マルションの動的表面張力を低下させるためである。
【0049】本発明のエマルション中に存在しているカ
ルボキシル基含有ロジン誘導体(B)は、そのカルボキ
シル基がアルカリ塩となることによってアルカリ性のエ
マルションの水相に溶解した状態と、ロジン誘導体
(B’)および(B)自体の油滴がカルボキシル基また
はカルボキシル基のアルカリ塩基によって安定化されて
エマルション化した状態とで存在していると考えられ
る。また、アルカリ塩化されたカルボキシル基含有ロジ
ン誘導体(B)の一部は、感圧接着性ポリマー(A)の
油滴に吸着した状態で存在しているとも考えられ、ポリ
マー油滴を安定化させる乳化剤としても作用している。
これらの作用が総合されて、エマルション中でカルボキ
シル基含有ロジン誘導体(B)が安定に存在しているの
である。なお、アルカリ性とは、pH7以上の状態を指
す。
【0050】このような安定な存在状態を得るために
は、アルカリ塩となる前のカルボキシル基含有ロジン誘
導体(B’)の酸価が190以上でなければならない。
ロジン誘導体(B’)の酸価が190以上でないと、ロ
ジン誘導体(B’)の有するカルボキシル基の全部をア
ルカリ塩基にしても、エマルション中でカルボキシル基
含有ロジン誘導体(B)が安定に存在できなくなるため
好ましくない。すなわち、ロジン誘導体(B’)の酸価
が190より小さいと、エマルション中に安定に分散さ
せるために多量の他の乳化剤が必要となって、この乳化
剤の存在が感圧接着剤皮膜の耐水性を悪化させる。ま
た、他の乳化剤でロジン誘導体(B’)の油滴を乳化し
なければ、エマルション中でロジン誘導体(B’)粒子
同士が融着して、凝集沈降してしまうという不都合が起
こる。より好ましいロジン誘導体(B’)の酸価は21
0以上である。水中での安定性が向上するためである。
ただし、あまり酸価が大きいロジン誘導体(B’)を用
いると、化合物(C)による親水性喪失作用があって
も、感圧接着剤製品の耐水性が劣ったものとなることが
あるため、ロジン誘導体(B’)の酸価は270以下に
抑えることが好ましい。
【0051】カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)を
エマルション中に存在させるためには、感圧接着性ポリ
マー(A)のエマルションを合成した後、アンモニア水
等のアルカリ水溶液を添加してエマルションをアルカリ
性にしてから、酸価190以上のロジン誘導体(B’)
をエマルションに添加する方法が簡便であり、添加され
たロジン誘導体(B’)のカルボキシル基の一部または
全部がアルカリ塩となって、カルボキシル基含有ロジン
誘導体(B)となる。
【0052】またカルボキシル基含有ロジン誘導体
(B)は、前記のように乳化剤の力を借りなくても、エ
マルション中で安定に存在しているので、エマルション
中の乳化剤(前記乳化剤(a)〜(c)と後述するカル
ボキシル基含有乳化剤(E))の絶対量を減らすことが
できる。さらに、エマルションを皮膜化した後は、アル
カリが飛散するので、皮膜中には、ロジン誘導体
(B’)に由来する多数のカルボキシル基が存在するこ
ととなるが、本発明では、このカルボキシル基と、後述
する化合物(C)の持つ「カルボキシル基と反応し得る
官能基」との化学反応によって、カルボキシル基を消費
してその親水性を消失させることができるため、皮膜の
耐水性が優れたものとなる。
【0053】ロジン誘導体(B’)としては、重量平均
分子量(Mw)で10万以下のものを用いる。10万を
超えると、ロジン誘導体(B’)と感圧接着性ポリマー
(A)との相溶性があまりよくない場合に、得られる皮
膜の透明性が悪くなることがある。Mwが1万以下が好
ましく、より好ましくは6000以下、さらに好ましく
は3000以下である。Mwが100より小さいと粘着
力を改質する効果に乏しいため、Mwは100以上が好
ましい。
【0054】また、ロジン誘導体(B’)は、軟化点が
200℃以下のものを選択することが好ましい。より好
ましい軟化点の範囲は80〜180℃である。80℃よ
り低い軟化点を有するロジン誘導体(B’)を使用する
と、感圧接着剤の凝集力が劣る傾向にあるが、感圧接着
剤製品を比較的低温で使用することが予想される場合
や、粗面接着性を重視する場合は、80℃より低い軟化
点のロジン誘導体(B’)を使用してもよい。
【0055】ロジン誘導体(B’)は、感圧接着性ポリ
マー(A)100質量部に対し、1〜50質量部とする
ことが好ましい。1質量部より少ないと粘着特性を改善
する効果に乏しく、50質量部を超えると粘着特性のバ
ランスが崩れてしまうため好ましくない。より好ましい
下限は2質量部であり、さらに好ましい下限は4質量部
である。また、より好ましい上限は30質量部であり、
さらに好ましい上限は20質量部である。
【0056】本発明の感圧接着剤用エマルションの第3
の必須成分は、カルボキシル基を有しておらず、かつ、
カルボキシル基と反応し得る官能基を1分子中に少なく
とも1個有する化合物(C)である。この化合物(C)
は、感圧接着剤用エマルションの皮膜化後に、前記ロジ
ン誘導体(B’)や、後述するカルボキシル基含有乳化
剤(E)の持つカルボキシル基と化合物(C)との官能
基とを化学反応させて、カルボキシル基の親水性を失わ
せ、皮膜の耐水性を向上させるために用いられる。
【0057】従って化合物(C)は、カルボキシル基と
反応することのできる官能基を1個以上有している必要
がある。このような官能基としては、グリシジル基、ア
ジリジニル基、オキサゾリニル基、イソシアネート基
や、カルボジイミド構造等が挙げられる。ただし、イソ
シアネート基を有する化合物(C)を用いる場合には、
イソシアネート基がエマルションの媒体である水と反応
してしまうので、イソシアネート基がブロックされてい
るもの(ブロックイソシアネート)を用いることが好ま
しい。なお、化合物(C)は、カルボキシル基を持って
いない。化合物(C)がカルボキシル基を持っている
と、化合物(C)の持つ上記官能基と反応するため、化
合物(C)同士で反応して上記官能基を消費してしま
い、化合物(C)として必要なカルボキシル基との反応
性を失ってしまうからである。化合物(C)は、上記の
ように皮膜化後の化学反応時に必要であるので、エマル
ションを皮膜化する前に、エマルション中に存在してい
ればよい。皮膜化後における化合物(C)とカルボキシ
ル基との反応は、150℃以下で行うことが好ましい。
より好ましくは100℃以下であり、さらに好ましくは
40℃以下である。
【0058】化合物(C)は、油溶性であることが好ま
しい。化合物(C)が油溶性であると、皮膜化後の耐水
性に優れるからである。また、化合物(C)としては、
重量平均分子量Mwが10万以下のものを用いる。Mw
は1万以下がより好ましく、5000以下がさらに好ま
しい。あまり分子量が高いと、化合物(C)が、エマル
ション中へ溶解または分散しにくくなるためである。化
合物(C)の具体例としては、下記の通りである。
【0059】エポキシ基含有化合物:プロピレンオキサ
イド等の脂肪族オキサイド類、スチレンオキサイド等の
芳香族オキサイド類、シクロヘキセンオキサイド等の脂
環式エポキシド類、ブチルグリシジルエーテル、「エポ
ライトM−1230」(共栄社油脂化学工業社製)等の
脂肪族グリシジルエーテル類、フェニルグリシジルエー
テル等の芳香族グリシジルエーテル類、グリシジル(メ
タ)アクリレート等のグリシジルエステル類、「TET
RAD」シリーズ(三菱瓦斯化学社製)等のグリシジル
アミン化合物、「デナコール」シリーズ(ナガセ社製)
等のポリグリシジルエーテル類等 アジリジニル基含有化合物:ブチルアジリジン等の脂肪
族アジリジン類、フェニルアジリジン等の芳香族アジリ
ジン類、2−(1−アジリジニル)エチル(メタ)アク
リレート等の不飽和基含有アジリジン類、「ケミタイ
ト」シリーズ(日本触媒社製)等 オキサゾリニル基含有化合物:2−メチルオキサゾリン
等の脂肪族オキサゾリン類、2−フェニルオキサゾリン
等の芳香族オキサゾリン類、2−イソプロペニル−2−
オキサゾリン等の不飽和基含有オキサゾリン類、「エポ
クロス」シリーズ(日本触媒社製)等 イソシアネート基含有化合物:トリレンジイソシアネー
ト(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(M
DI)等の汎用イソシアネート類、「デスモジュールA
Pステーブル」・「デスモジュールCTステーブル」
(住友バイエル社製)等のブロックポリイソシアネート
類、「デスモカップ11」等のブロックイソシアネート
含有プレポリマー類、「エラストロン」シリーズ、「エ
ラストロンBN」シリーズ等の水分散型ブロックイソシ
アネート(第一工業製薬社製)類等 カルボジイミド化合物:「カルボジライト」シリーズ
(日清紡社製)、「ユカーリンクXL−29SE」(ユ
ニオンカーバイド社製)等が挙げられる。
【0060】化合物(C)としては、上記例示したもの
の中では、グリシジルアミン化合物(「TETRAD−
C」、「TETRAD−X」;三菱瓦斯化学社製)やア
ジリジニル基含有化合物(「ケミタイトPZ−33」、
「ケミタイトDZ−22」;日本触媒社製)等が、反応
性が高く、好適に用いられる。
【0061】化合物(C)は、カルボキシル基含有ロジ
ン誘導体(B)とカルボキシル基含有乳化剤(E)の有
する総カルボキシル基(アルカリ塩となっているものも
含む。実質的には、ロジン誘導体(B’)と乳化剤
(E)の有するカルボキシル基の合計量である)の合計
を1当量としたときに、化合物(C)が有しているカル
ボキシル基と反応し得る官能基が、0.05〜10当量
の範囲となるように用いることが好ましい。0.05当
量未満では、耐水性の向上効果が不充分となることがあ
り、10当量を超えると、ロジン誘導体(B’)の粘質
特性改質効果が不十分となることがある。より好ましい
下限は、0.1当量であり、上限は5当量である。
【0062】本発明の感圧接着剤用エマルションには、
第4の必須成分として、重量平均分子量が10万以下
で、酸価が190未満の粘着付与剤(D)が含まれてい
る。前記カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)も粘着
付与剤であるが、化合物(C)との反応量のバランスを
とるのが難しく、酸価が190未満の粘着付与剤(D)
を添加することにより、耐湿熱性が向上することが見出
されたため、この粘着付与剤(D)を必須成分とした。
【0063】粘着付与剤(D)としては、重量平均分子
量(Mw)が10万以下のものを用いる。好ましくはM
wが1万以下であり、より好ましくは6000、さらに
好ましくは3000以下である。Mwが100より小さ
いと粘着力を改質する効果に乏しいため、Mwは100
以上が好ましい。
【0064】粘着付与剤(D)は、酸価が190未満で
なければならない。前記のカルボキシル基含有ロジン誘
導体(B)とは異なり、化合物(C)に拘束されずにタ
ック力を発現させるためである。より好ましい酸価の上
限は50であり、さらに好ましくは30である。
【0065】粘着付与剤(D)としては、前記したロジ
ン誘導体(B’)の酸変性前のロジン類、すなわち、ガ
ムロジン、ウッドロジン、トールロジン、水素添加ロジ
ン、不均化ロジン、重合ロジン等や、これらのロジン類
のグリセリンエステル等のロジンエステル類等のロジン
系樹脂、あるいは、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン
樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等の
テルペン系樹脂等の天然樹脂系粘着付与剤が使用可能で
ある。また、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系
(C9系)石油樹脂、共重合系(C5/C9)石油樹脂、
脂環族系石油樹脂等の石油樹脂;クマロン・インデン樹
脂、スチレン系石油樹脂等の重合系樹脂;フェノール系
樹脂、キシレン樹脂等の縮合系樹脂等で代表される合成
樹脂系粘着付与剤も用いることができる。粘質付与剤
(D)の軟化点については、前記したロジン誘導体
(B’)を選択するときと同様の基準を採用すればよ
い。
【0066】中でも、粘着特性の改質効果に優れてい
て、カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)との親和性
の高い点で、ロジン類やロジンエステル類が好ましく使
用できる。
【0067】酸変性を行っていないロジン類やその他上
記した各種の粘着付与剤は、通常官能基を有しておら
ず、有しているとしてもカルボキシル基および/または
ヒドロキシル基であり、この点で、粘着付与剤(D)と
カルボキシル基と速やかに反応し得る官能基を有してい
る前記化合物(C)とは異なる化合物である。
【0068】これらの粘着付与剤(D)は、油溶性であ
り、単独では水に溶解しないため、感圧接着剤用エマル
ション中に分散させるために、カルボキシル基含有乳化
剤(E)を用いる。
【0069】粘着付与剤(D)を安定に水分散体化する
ためのカルボキシル基含有乳化剤(E)は、本発明の感
圧接着剤用エマルションの、第5の必須成分であり、重
量平均分子量(Mw)が10万以下で、分子中にロジン
骨格を有さず、1分子中に少なくとも1つのカルボキシ
ル基を持ち、このカルボキシル基の一部または全部がア
ルカリ塩となっているカルボキシル基含有乳化剤(E)
である。以下、カルボキシル基含有乳化剤(E)を単に
乳化剤(E)という。
【0070】この乳化剤(E)は、油溶性の粘着付与剤
(D)をエマルションの水媒体中に分散させて、安定な
エマルション状態を保つために必要な成分である。従っ
て、乳化剤(E)は、水に分散または溶解して粘着付与
剤(D)を乳化する能力を持つと共に、化合物(C)と
の反応点となるカルボキシル基を有することが必要であ
る。乳化剤(E)が親水基としてカルボキシル基を有し
ていれば、ロジン誘導体(B’)の持つカルボキシル基
と同様に、皮膜化後に化合物(C)と反応するため、得
られる皮膜の耐水性が向上するからである。このため、
乳化剤(E)は1分子中に少なくとも1個のカルボキシ
ル基を持つ化合物とする。また、乳化能を持つ必要性か
ら、乳化剤(E)は疎水基を有していなければならない
が、この疎水基としては、乳化能の点で炭素数8以上の
直鎖状炭化水素基が好ましい。疎水基としてロジン骨格
を持つものは乳化剤(E)としては用いない。すなわ
ち、乳化剤(E)は、アビエチン酸、アビエチン酸の異
性体、あるいはこれらの変性体のいずれの化合物でもな
い。この点で、乳化剤(E)と分子中にロジン骨格を有
するカルボキシル基含有ロジン誘導体(B’)とは、異
なる化合物である。
【0071】また、乳化剤(E)は、カルボキシル基と
反応し得る官能基は有していない。乳化剤(E)はカル
ボキシル基を有しているので、このような官能基を持っ
ていると乳化剤(E)同士で反応してしまい、乳化能を
失うからである。この点で乳化剤(E)は化合物(C)
とは異なる化合物となる。
【0072】乳化剤(E)としては、重量平均分子量
(Mw)は10万以下のものを用いる。分子量が小さい
方がエマルションの表面張力を低下させる効果が高く、
塗工性に優れるためである。この観点から、乳化剤
(E)のMwは1万以下が好ましく、より好ましくは3
000以下であり、さらに好ましくは1500以下であ
る。
【0073】乳化剤(E)の具体例としては、高級脂肪
酸(C12〜C18)のナトリウム塩やカリウム塩等の脂肪
酸石鹸および脂肪酸;N−アシルアミノ酸(塩);「M
X−RLM」シリーズ(花王社製)等のアルキルエーテ
ルカルボン酸塩;アシル化ペプチド;アルキルジメチル
ベタインやラウリルジメチルベタイン等のカルボキシベ
タイン型乳化剤;アミノカルボン酸塩、「ラテムル」
(花王社製;アルケニルコハク酸カリ塩);「デモー
ル」、「ポイズ」、「ホモゲノール」(いずれも花王社
製)等のポリカルボン酸型高分子乳化剤;「RA−10
20」、「RA−1120」、「RA−1820」等の
「RA−1000」シリーズ(日本乳化剤社製);「S
LB−12」、「ULB−20」、「SL−20」、
「SB−20」、「IPU−22」、「IPS−22」
(いずれも岡村製油社製);「PDSA−DB」、「P
DSA−DA」、「DSA」、「サンビター150」
(いずれも三洋化成工業社製)等が挙げられ、これらを
一種以上用いることができる。中でも、「RA−112
0」等の「RA−1000」シリーズが好ましい。
【0074】乳化剤(E)の粘着付与剤(D)に対する
配合比は、粘着付与剤(D)100質量部に対して、
0.5〜20質量部が好ましい。より好ましい下限は1
質量部、さらに好ましい下限は3質量部である。またよ
り好ましい上限は10質量部、さらに好ましい上限は8
質量部である。
【0075】粘着付与剤(D)と乳化剤(E)の感圧接
着性ポリマー(A)に対する配合比は、感圧接着性ポリ
マー(A)100質量部に対して、合計で1〜50質量
部とすることが好ましい。より好ましい下限は2質量
部、さらに好ましい下限は5質量部である。またより好
ましい上限は30質量部、さらに好ましい上限は20質
量部である。従って、感圧接着性ポリマー(A)100
質量部に対して、カルボキシル基含有ロジン誘導体
(B)と粘着付与剤(D)と乳化剤(E)との合計は、
2〜100質量部とすることが好ましい。
【0076】粘着付与剤(D)は油溶性であり、単独で
は水に溶解しないので、乳化剤(E)を用いて水分散体
化させてから、感圧接着性ポリマー(A)のエマルショ
ンと混合することが好ましい。
【0077】水分散体化の方法としては、機械的強制乳
化法や転相乳化法等の一般的な手段が用いられる。具体
的には、粘着付与剤(D)を酢酸エチル等の適当な溶剤
に溶解した後、乳化剤(E)および脱イオン水を添加
し、乳化機(ホモジナイザー)等を用いてエマルション
化した後、減圧下で溶剤を蒸留する方法、粘着付与剤
(D)に少量の酢酸エチル等の適当な溶剤を混合し、続
いて乳化剤(E)を練り込み、さらに熱水を徐々に添加
して転相乳化させてエマルションを得た後、溶剤を減圧
下に除去またはそのまま使用する方法、加圧下または常
圧下にて粘着付与剤(D)の軟化点以上に昇温して乳化
剤(E)を練り込み、熱水を徐々に添加して転相乳化さ
せてエマルション化する方法等を挙げることができる。
【0078】水分散体中の粘着付与剤(D)の平均粒子
径は、1000nm以下が好ましい。より好ましくは5
00nm以下であり、さらに好ましくは300nm以下
である。できるだけ平均粒子径が小さい方が耐水性等に
有利であるためである。
【0079】以下、本発明の感圧接着剤用エマルション
の好ましい製造方法について説明する。本発明の感圧接
着剤用エマルションを製造する第1の方法は、前記した
乳化剤(a)〜(c)を用いた乳化重合法で感圧接着性
ポリマー(A)用のモノマーを重合して、得られた感圧
接着性ポリマー(A)のエマルションをアルカリ性にし
てから、別途、カルボキシル基含有乳化剤(E)を用い
て水分散体化しておいた粘着付与剤(D)の水分散体と
ロジン誘導体(B’)と化合物(C)をこのエマルショ
ンに添加する方法である。感圧接着性ポリマー(A)合
成後、そのままエマルションとして使えるため、簡便な
方法である。
【0080】ロジン誘導体(B’)は、多数のカルボキ
シル基(親水性基)を有し、ロジンに由来する親油性部
分も有しているので、乳化剤としても作用する。従っ
て、最終的にエマルション中に存在すべきロジン誘導体
(B)量の一部または全部に相当するロジン誘導体
(B’)を、感圧接着性ポリマー(A)の乳化重合の最
初から重合容器に添加して、乳化剤(a)〜(c)のい
ずれか一種以上と併用しながら重合してもよい。
【0081】エマルションをアルカリ性にして、ロジン
誘導体(B’)をロジン誘導体(B)に変換するのは、
乳化重合のいずれの段階で行ってもよい。乳化重合の
前、途中、重合後のいずれかのときに、重合のための水
媒体のpHを7以上にして、ロジン誘導体(B’)をこ
のアルカリ水中に添加すれば、最終的に得られるエマル
ション中にロジン誘導体(B)が存在することとなる。
ロジン誘導体(B’)の必要量を、一括して添加して
も、逐次添加してもよく、ロジン誘導体(B’)が常温
で固体であれば粉末にして加えてもよい。また、ロジン
誘導体(B’)をアルカリ水溶液に溶解させて、予めロ
ジン誘導体(B)にしたものを、生成したエマルション
または重合容器に添加してもよい。ロジン誘導体を添加
するときの温度は、0〜90℃の範囲が好ましい。使用
できるアルカリとしては、水酸化ナトリウム等のアルカ
リ金属化合物類、アルカリ土類金属化合物、メチルアミ
ン等のアルキルアミン類、アンモニア等が挙げられる
が、揮発性の高いアルキルアミン類やアンモニア等を用
いると、乾燥後の皮膜に残存しないため、耐水性が向上
する。
【0082】粘着付与剤(D)は、前記したように、予
め、カルボキシル基含有乳化剤(E)により水分散体化
しておいてから、感圧接着性ポリマー(A)のエマルシ
ョンに添加することが好ましい。このとき、上記アルカ
リによって、アルカリ性の水分散体にしてもよい。
【0083】化合物(C)をエマルションに添加する時
期は特に限定されないが、化合物(C)と、ロジン誘導
体(B)およびカルボキシル基含有乳化剤(E)との化
学反応が、乳化重合中や感圧接着剤用エマルションの保
存中に起こるのを防ぐために、化合物(C)は、乳化重
合終了後で、感圧接着剤用エマルションを塗工する前に
混合することが好ましい。化合物(C)は、そのまま
で、あるいは乳化剤(a)または(b)または(E)で
水分散体にした状態で、エマルションに加えるとよい。
【0084】上記の製造方法ではなく、予め、乳化重合
以外の重合方法によって感圧接着性ポリマー(A)を得
ておき、粘着付与剤(D)と水とカルボキシル基含有乳
化剤(E)を加えて前記した水分散体化法等でエマルシ
ョンを作製し、ロジン誘導体(B’)と化合物(C)を
このエマルションに添加する方法を採用することもでき
る。感圧接着性ポリマー(A)とロジン誘導体(B’)
と粘着付与剤(D)を加熱溶融して混合してから、カル
ボキシル基含有乳化剤(E)でエマルション化してもよ
い。また、感圧接着性ポリマー(A)と粘着付与剤
(D)をエマルション化している途中や作製後に、エマ
ルションをアルカリ性にしてから、ロジン誘導体
(B’)をこのエマルションに加えてもよい。これらの
感圧接着性ポリマー(A)の後乳化法では、カルボキシ
ル基含有乳化剤(E)と共に、前記乳化剤(a)か
(b)を一部併用してもかまわない。化合物(C)は、
前記したように、ポリマー(A)のエマルション化後、
感圧接着剤用エマルションを塗工する前に混合すること
が好ましい。この方法における感圧接着性ポリマー
(A)の重合方法は、溶液重合法、塊状重合法等を採用
すればよい。また、乳化重合や懸濁重合法で作製した
後、ポリマーを水から分離して用いてもよい。
【0085】本発明の感圧接着剤用エマルションの固形
分は、塗工性の点で、好ましい上限は70質量%であ
り、より好ましくは60質量%である。また、好ましい
下限は30質量%であり、より好ましくは40質量%で
ある。
【0086】本発明の感圧接着剤用エマルションには、
公知の粘着付与剤、架橋剤、湿潤剤、粘性調節剤、増粘
剤、消泡剤、改質剤、顔料、着色剤、充填剤、老化防止
剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等の添加剤を、本発明
の目的を阻害しない範囲で加えてもよい。
【0087】本発明の感圧接着剤用エマルションは、公
知の方法で感圧接着剤製品とされ、製品の形態で一般的
に用いられる。例えば、両面テープとする場合は、支持
体の両面に感圧接着層を備えるタイプ、あるいは支持体
を有しないタイプのいずれにしてもよい。支持体の両面
に感圧接着層を備える場合は、支持体の両面に本発明の
感圧接着剤用エマルションを用いてもよいし、片面だけ
に用いてもよい。両面テープの支持体としては公知のも
のを用いることができる。また、本発明の感圧接着剤用
エマルションは、感圧接着剤分野だけでなく、接着剤、
塗料、紙加工剤、繊維加工剤、モルタル改質剤、シーリ
ング剤等にも使用することができる。
【0088】
【実施例】以下実施例によって本発明を詳細に説明する
が、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。なお以下特にことわりのない場合、「%」は
「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示すもの
とする。
【0089】合成例1〔感圧接着性ポリマーの乳化重
合〕 表1に示した組成のモノマー成分100部と、分子量調
節剤としてtert−ドデシルメルカプタン(以下TD
Mと省略する)0.1部、乳化剤(a)として「アクア
ロンBC 10」(第一工業製薬社製;ポリオキシエチ
レンノニルプロペニルフェニルエーテルの硫酸エステル
アンモニウム塩)を2.0部および脱イオン水33部を
混合して撹拌し、モノマープレエマルションを作製し
た。
【0090】次いで、滴下ロート、撹拌機、温度計、窒
素ガス導入管および還流冷却器を備えたフラスコに、前
記モノマープレエマルション100%のうちの2%と、
脱イオン水38部と、開始剤アゾビスシアノバレリック
アシッド(以下ACVAと省略する)0.1部を仕込
み、窒素雰囲気下約80℃で、20分間反応させた。そ
の後、前記モノマープレエマルション100%のうちの
残りの98%および開始剤ACVA0.7部を約3時間
かけて連続滴下して重合反応を行った。滴下終了後も約
3時間80℃を維持した。不揮発成分が54.5%にな
るように水で希釈し、感圧接着性ポリマーエマルション
(A−1)を得た。
【0091】得られた感圧接着性ポリマーのTg(℃)
と重量平均分子量(Mw)と平均粒子径(nm)の測定
結果を表1に示した。なお、このTg(℃)は、後述す
る各モノマーのホモポリマーのTg(K)を用いて前述
の数式によって計算した値であり、Mwは、GPCを用
いて測定したポリスチレン換算値である。
【0092】平均粒子径の測定には、光散乱式粒度分布
計(Particle Sizing System社
製「NICOMP 380 ZLS」)を用いた。
【0093】合成例2〜4 モノマー組成を表1に示したように変えた以外は合成例
1と同様にして、感圧接着性ポリマーエマルション(A
−2)〜(A−5)を合成した。Tg(℃)、Mwおよ
び平均粒子径(nm)を表1に併記した。
【0094】なお表1においては、各モノマー名を次の
ように略記した。左の数字は、ポリマーハンドブックに
掲載されているホモポリマーのTg(K)の値である。 BA :n−ブチルアクリレート 219K 2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート 223K MMA :メチルメタクリレート 378K HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート 328K MMA :メチルメタクリレート 378K MAA :メタクリル酸 501K
【0095】
【表1】
【0096】配合例1〔感圧接着性ポリマー(A)のエ
マルションへのカルボキシル基含有ロジン誘導体(B)
の配合〕 感圧接着性ポリマーエマルション(A−1)(設定固形
分54.5%)100部の入ったフラスコに25%アン
モニア水を0.64部((B)100部に対して24
部)加えて、80℃に保ちながら、酸価245、軟化点
131℃のカルボキシル基含有ロジン誘導体(B’)
(酸変性ロジン;「KE−604B」;荒川化学社製;
Mw=420、Mn=410)2.73部((A−1)
の固形分100部に対して5部)を適当に粉砕したもの
をフラスコに投入した。約1時間撹拌を続けたところ、
カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)が溶解したエマ
ルション(AB−1)(理論固形分55.4%)が得ら
れた。
【0097】〔粘着付与剤(D)と乳化剤(E)の配
合〕粘着付与剤(D−1)として、酸価10〜16の
「ペンセルD160」(重合ロジンエステル;荒川化学
社製;Mw=1890、Mn=1190)を用い、カル
ボキシル基含有乳化剤(E)として、「RA−112
0」(酸価48;日本乳化剤社製)を用いて、粘着付与
剤水分散体(DE−1)を製造した。粘着付与剤水分散
体(DE−1)は、まず、フラスコ中で「ペンセルD1
60」100部および「RA−1120」6部を酢酸エ
チル66.7部に溶解させ、次いで25%アンモニア水
0.6部および脱イオン水105.4部を加えた後、ホ
モジナイザーにて強制的に攪拌して乳化させた。この乳
化物を加熱しながら、70〜90℃、常圧条件下にて6
〜8時間減圧蒸留して酢酸エチルを除去した後、不揮発
分が約50%、pH8程度になるように、脱イオン水や
アンモニア水を適宜追加し、粘着付与剤水分散体(DE
−1)を得た。粘着付与剤水分散体(DE−1)の平均
粒子径は570nmであった。
【0098】〔エマルション(ABDE−1)の作製〕
前記エマルション(AB−1)100部(設定固形分5
5.4%)に対し、この水分散体(DE−1)を5.2
6部((A−1)の固形分100部に対して(DE−
1)10部)を添加して、よく撹拌した。さらに、60
回転/1分の粘度が2000〜4000mPa・sとな
るように、アルカリ可溶型増粘剤(サンノプコ社製「S
NシックナーA−850」)を適当量添加して、充分に
攪拌混合し、粘性を調整した。得られたエマルション
(ABDE−1)の固形分(%)、粘度(60回転/1
分、6回転/1分;25℃;B型粘度計;ローターN
o.4)およびpHを測定し、結果を表2に示した。
【0099】配合例2〜11 表2に示したように、感圧接着性ポリマーエマルション
の番号と、カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)およ
び粘着付与剤水分散体(DE−1)の配合量を変更した
以外は、配合例1と同様にして、化合物(C)の配合前
のエマルションABDE−2〜ABDE−11を調製し
た。なお、ABDE−6については、粘着付与剤として
「ペンセルD160」の変わりに「ペンセル135」
(酸価10〜16;重合ロジンエステル;荒川化学社
製;Mw=1450、Mn=1080)を用いて調製し
た粘着付与剤水分散体(DE−2)を配合した。
【0100】なお、ABDE−9およびABDE−11
は、粘着付与剤水分散体(DE−1または2)が配合さ
れておらず、ABDE−10は、カルボキシル基含有ロ
ジン誘導体(B)が配合されていない比較例用のエマル
ションである。
【0101】
【表2】
【0102】実施例用テープ製造例1〜12 表2に示したABDE−1〜ABDE−8について、そ
れぞれ100部に対し、化合物(C)として「TETR
AD−C」(三菱瓦斯化学社製;1分子中に4個のエポ
キシ基を有する化合物;エポキシ当量92;カタログに
よる分子量366)を、表3に示したように0.5部ま
たは1.0部添加し、よく撹拌して、本発明の感圧接着
性エマルションNo.1〜12を調製した。表3には、
配合したTETRAD−Cの当量(カルボキシル基含有
ロジン誘導体(B)とカルボキシル基含有乳化剤(E)
の有するカルボキシル基の合計を1当量としたときのエ
ポキシ基の当量である)も併記した。なお当量計算にお
いては、増粘剤の添加量を考慮せず、実測した固形分よ
り算出した。
【0103】〔評価用テープの作製および評価〕これら
の感圧接着性エマルションNo.1〜12を用いて、評
価用テープの作製を行った。上記感圧接着剤用エマルシ
ョンを、離型紙(「K−80HS」;サンエー化研社
製)に、乾燥後の膜厚が60μmとなるように塗工し、
105℃の熱風乾燥機で3分間乾燥した。これを、目付
け14g/m2不織布の両面に転着して、両面テープを
作製し、40℃で3日以上熟成した。その後、粘着特性
を測定した。
【0104】
【表3】
【0105】比較例用テープ製造例1〜6 表2に示したエマルションABDE−9〜ABDE−1
1に、表4に示した量のTETRAD−Cを添加し、実
施例用テープ製造例と同様にして、比較用感圧接着性エ
マルションNo.1〜6を調製した。さらに、実施例用
テープ製造例と同様にして、比較例用両面テープを得
た。
【0106】
【表4】
【0107】〔粘着特性の評価方法〕以上の実施例用テ
ープ製造例1〜12および比較例用テープ製造例1〜6
で得られたエマルションおよび両面テープを用い、下記
方法で粘着特性の評価を行い、結果を表5および6に示
した。
【0108】1.塗工適性 前記離型紙へ、エマルションをウエットで75μmとな
るように塗布したときの塗工適性を目視で評価した。判
定は、はじき、縮み、筋(ストリーク)、ピンホール等
の発生がなく、きれいな塗膜が得られるものを○、はじ
き、縮み、筋(ストリーク)、ピンホールのいずれかが
発生するものを×とした。
【0109】2.PE粘着力 両面テープの片面に、厚さ25μmのポリエチレンテレ
フタレート(PET)フィルムを貼り付け(裏打ち)て
評価用テープとした。JIS Z 0237に準じて、
ポリエチレン(PE)板に貼着した25mm幅の評価用
テープを180°で引き剥す時の抵抗力(23℃)を測
定した。合格レベルは、235N/m(600g/25
mm)以上である。
【0110】3.SUS粘着力 PE粘着力測定の場合と同様に、両面テープをPETフ
ィルムで裏打ちして評価用テープとし、JIS Z 0
237に準じて、ステンレス(SUS)板に貼着した2
5mm幅の評価用テープを180°で引き剥す時の抵抗
力(23℃)を測定した。合格レベルは、705N/m
(1800g/25mm)以上である。
【0111】4.耐水粘着力 SUS粘着力測定の場合と同様に、両面テープをPET
フィルムで裏打ちして評価用テープとし、JIS Z
0237に準じて、25mm幅の評価用テープをステン
レス(SUS)板に貼着した後、23℃の水に浸漬す
る。24時間経過後、水から試料を取り出して水気を軽
くふき取り、すぐに評価用テープを180°で引き剥す
時の抵抗力(23℃)を測定した。合格レベルは、70
5N/m(1800g/25mm)以上である。
【0112】5.耐熱保持力 PE粘着力測定の場合と同様に、両面テープをPETフ
ィルムで裏打ちして評価用テープとし、JIS Z 0
237に準じて、保持力測定を行った。幅25mm、長
さ約150mmの評価用テープをステンレス(SUS)
板に貼着面積25mm×25mmで貼着して、テープの
貼着されていない部分は内側に折り重ねて、これを試験
片とする。この試験片を、80℃の恒温槽内に鉛直に吊
り下げた後、テープの折り重ねた部分に1Kgの荷重を
吊り下げ、24時間放置した。24時間後のズレ距離
(mm)、または落下までの時間を測定した。24時間
で落下しないものが合格レベルである。
【0113】6.耐湿熱保持力 恒温槽の条件を60℃、90%RHの高温高湿度条件と
した以外は、5の耐熱保持力と同様にして、24時間後
のズレ距離(mm)、または落下までの時間を測定し
た。24時間で落下しないものが合格レベルである。
【0114】
【表5】
【0115】
【表6】
【0116】
【発明の効果】本発明の感圧接着剤用エマルションは、
高酸価のロジン誘導体と、低酸価の粘着付与剤を組み合
わせたため、良好な粘着特性を発揮する。特に、エマル
ションから粘着剤層を形成するときに、高酸価のロジン
誘導体の有するカルボキシル基や、低酸価の粘着付与剤
を水分散体化させるために用いられる乳化剤の有するカ
ルボキシル基を、これらのカルボキシル基と反応し得る
官能基を有する化合物と化学反応させることにより、親
水性を消失させることができたので、高温・高湿度とい
う過酷な条件下においても、高保持力を示す。また、オ
レフィンに対する接着性や、粘着力と凝集力とのバラン
スにも優れているので、高性能な感圧接着剤製品を提供
することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J004 AA01 AA02 AA04 AA05 AA06 AA07 AA10 AA12 AA13 AA14 AA17 AB01 EA05 4J040 BA202 CA011 DF041 DF051 DK012 DM011 DN032 DN072 EB032 EB082 EC022 EF181 EF281 EF331 EL012 FA172 GA05 GA07 GA08 GA13 GA15 GA22 HB44 HC09 HC22 HC26 JA03 JA09 JB09 KA26 KA38 LA01 LA02 LA03 LA06 LA07 LA08 MA11 QA03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移温度が−80〜−20℃、重
    量平均分子量15万以上、かつカルボキシル基による酸
    価が30以下の感圧接着性ポリマー(A)、 重量平均分子量が10万以下で、アルカリ化する前のカ
    ルボキシル基による酸価が190以上であり、このカル
    ボキシル基の一部または全部がアルカリ塩となっている
    カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)、 重量平均分子量が10万以下で、カルボキシル基を有し
    ておらず、かつカルボキシル基と反応し得る官能基を1
    分子中に少なくとも1個有する化合物(C)、 重量平均分子量が10万以下で、酸価が190未満の粘
    着付与剤(D)、および重量平均分子量が10万以下
    で、分子中にロジン骨格を有しておらず、1分子中に少
    なくとも1つのカルボキシル基を持ち、このカルボキシ
    ル基の一部または全部がアルカリ塩となっているカルボ
    キシル基含有乳化剤(E)を必須成分として含むことを
    特徴とする感圧接着剤用エマルション。
  2. 【請求項2】 予め、カルボキシル基含有乳化剤(E)
    で粘着付与剤(D)を水分散体化したものを、感圧接着
    性ポリマー(A)とカルボキシル基含有ロジン誘導体
    (B)と化合物(C)とを含むエマルションに添加して
    得られたものである請求項1に記載の感圧接着剤用エマ
    ルション。
  3. 【請求項3】 粘着付与剤(D)の水分散体化にあた
    り、粘着付与剤(D)100質量部に対し、カルボキシ
    ル基含有乳化剤(E)を0.5〜20質量部用いるもの
    である請求項2に記載の感圧接着剤用エマルション。
  4. 【請求項4】 感圧接着性ポリマー(A)100質量部
    に対し、カルボキシル基含有ロジン誘導体(B)、粘着
    付与剤(D)およびカルボキシル基含有乳化剤(E)が
    合計で2〜100質量部含まれており、 化合物(C)は、カルボキシル基含有ロジン誘導体
    (B)とカルボキシル基含有乳化剤(E)の有するカル
    ボキシル基の合計1当量に対し、化合物(C)の有する
    前記官能基が0.05〜10当量となるように含まれて
    いるものである請求項1〜3のいずれかに記載の感圧接
    着剤用エマルション。
  5. 【請求項5】 粘着付与剤(D)がロジン誘導体である
    請求項1〜4のいずれかに記載の感圧接着剤用エマルシ
    ョン。
  6. 【請求項6】 カルボキシル基含有乳化剤(E)が炭素
    数8以上の直鎖炭化水素基を有しているものである請求
    項1〜5のいずれかに記載の感圧接着剤用エマルショ
    ン。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の感圧接
    着剤用エマルションを用いて得られる感圧接着剤層を備
    えることを特徴とする両面テープ。
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