JP2003012526A - 有用生菌内包製剤 - Google Patents

有用生菌内包製剤

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JP2003012526A JP2001194334A JP2001194334A JP2003012526A JP 2003012526 A JP2003012526 A JP 2003012526A JP 2001194334 A JP2001194334 A JP 2001194334A JP 2001194334 A JP2001194334 A JP 2001194334A JP 2003012526 A JP2003012526 A JP 2003012526A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 腸溶性コーティングが小腸において溶解した
後に、コーティングに内包されていた有用生菌が胆汁に
よって死滅するのを防ぎ、有用生菌が大腸まで到達した
後増殖する製剤を提供する。 【解決手段】 有用生菌粉末、大豆たん白質、およびゲ
ル化剤よりなる組成物を腸溶性コーティングした製剤の
提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有用生菌を大腸に
到達せしめる製剤に関する。詳しくは、有用生菌粉末、
大豆たん白質、およびゲル化剤を含む組成物を内包する
カプセル剤、あるいは組成物を打錠した打錠物に、腸溶
性のコーティングを施した製剤であるため、胃内を溶け
ずに通過した腸溶性コーティング皮膜が小腸にて溶解し
た後も有用生菌を胆汁より保護し、大腸に到達した後に
増殖することを特徴とする大腸到達性製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ビフィズス菌や乳酸菌などの有用生菌に
は、腸内において悪玉菌の増殖を抑制し、腸内環境を改
善し、ひいては便性の改善など整腸作用があることが知
られている。そのため、これら有用生菌を含む食品をさ
まざまな形態で摂取することによって、整腸作用などの
保健効果を得ようとする試みがなされてきた。しかしな
がら、これら有用生菌が消化管下部、特に大腸まで到達
するには強い殺菌作用をもつ胃酸および胆汁を通過する
必要があり、生きたまま有用生菌をその活躍の場である
大腸まで到達させるのは困難であるとされている。
【0003】この問題を解決するための手段としては、
有用生菌を腸溶性のカプセル内に封入したり、有用生菌
粉末を油脂によりコーティングする方法が知られてい
る。例えば、特開平11−302158号公報に開示さ
れる方法では、アルギン酸ナトリウムを含有するゼラチ
ンや、ツェインを用いることによって、胃酸で溶解せず
に腸管で溶解する腸溶性シームカプセルを提供してい
る。また、特公平5−68446号公報では、ビフィズ
ス菌を懸濁した硬化油にゼラチンと、アルギン酸ナトリ
ウム、またはペクチンで皮膜を形成し、胃酸で溶解しな
いビフィズス菌含有ソフトカプセルを提供している。す
なわち、これらの発明のように酸性では溶解せず中性で
溶解する成分で有用生菌をコーティングするという方法
で、胃酸によって有用生菌が死滅するという問題は解決
できる。
【0004】しかしながら、これらの方法では小腸に到
達した後に皮膜が溶解すると、有用生菌が殺菌作用の高
い胆汁にさらされ死滅するという問題を解決していな
い。これを解決する方法としては、特開平10−324
642号公報に開示されるごとく、大腸にて腸内細菌に
よって分解されるキトサンの内層皮膜と、酸性で溶解せ
ず中性で溶解する胃酸耐性材料による外層皮膜からなる
構造体内に有用生菌を封入する方法があげられるが、大
腸にてキトサンが分解される際に腸内細菌の働きを利用
しているため、個人差の大きい腸内菌では皮膜の分解性
が大きく変動し、人によっては皮膜が分解しない可能性
がある。また、腸内細菌のバランスが崩れている場合に
はキトサンの皮膜が分解されず構造体がそのまま***さ
れる恐れがある。ましてや、有用細菌を必要とする場合
は、便秘あるいは下痢など腸内細菌のバランスが崩れて
いる場合が多く、有用生菌が必要な場合には、当該構造
体が有効に働かないという矛盾を生じる恐れがある。
【0005】一方、薬物を徐放化する手段はこれまでに
様々な方法が提供されている。例えば、特開平02−8
3316号公報では、ゲル化剤と薬物を混合した製剤
が、水あるいは消化液に接した際に表面にゲル層を形成
することによって薬物の放出を抑制し、徐放化する手段
を提供している。これを応用し、ゲル化剤に有用生菌を
混合した製剤であれば、形成されたゲル層によって胆汁
が有用生菌に接触するのを防ぎ、有用生菌が死滅するの
を防ぐことが可能であると推測される。しかしながら、
生きた菌体は形成されたゲル層より、拡散・放出するこ
とは期待できず、大腸にたどり着いてからの菌の増殖性
が悪化する恐れがある。この問題を解決するには、有用
生菌とゲル化剤のほかに崩壊を促進する物質を混合する
ことによって、小腸の胆汁濃度の高い領域を通過し、大
腸では菌を放出するようゲル層の崩壊時間をコントロー
ルすればよいと考えられる。しかしながら、このような
方法はこれまでに提供されていない。例えば、特開20
00−63289号公報では、有用生菌とともにゲル化
剤、カゼイン類を含有するが、人口腸液中で速やかに崩
壊すると記載されており、小腸内での崩壊をコントロー
ルすることが困難であることを示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が
解決しようとする課題は、腸溶性コーティングが小腸に
おいて溶解した後に、コーティングに内包されていた有
用生菌が胆汁によって死滅するのを防ぎ、有用生菌が大
腸まで到達した後増殖する手段を提供することである。
さらに詳しくは、腸溶性製剤の内容物として有用生菌と
ゲル化剤の混合物を配合し、小腸の胆汁濃度の高い領域
では内容物がゲル層を形成することによって胆汁より有
用生菌を保護し、大腸においてはゲル化剤と有用生菌の
混合物から菌を放出し、増殖するような手段を提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは食
品として摂取可能なさまざまな物質を有用生菌と混合し
た組成物をカプセル剤あるいは錠剤とし、腸溶性のコー
ティングを施した製剤を作成した。その結果、ゲル化剤
とともに大豆たん白質を混合すると、カプセル皮膜が溶
解した後に内容物がゲル層を形成すること、およびその
ゲル層が時間にともなってゆっくりと崩壊することを見
出した。さらに、その製剤を胆汁モデル内に投入し、有
用菌の生存率を確認したところ、有用生菌が胆汁中で長
時間生存することを見出した。さらに、その製剤を液体
培地に投入し培養したところ、有用生菌が増殖すること
を見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は有用生菌粉末、大豆た
ん白質、およびゲル化剤よりなる組成物を腸溶性コーテ
ィングを施すことによって、有用生菌が胃酸および小腸
内の胆汁を生きたまま通過し、大腸で増殖する大腸到達
性製剤を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いる有用生菌は、腸内
環境を改善する保健効果をもつものであれば特に限定さ
れるものではないが、例えば乳酸菌であるラクトバチル
ス(Lactobacillus)属のラクトバチルス
・アシドフィラス(L.acidophilus)、ラク
トバチルス・アミロフィラス(L.amylophilu
s)、ラクトバチルス・アミロヴォラス(L.amylo
volus)、ラクトバチルス・クリスパタス(L.cr
ispatus)、ラクトバチルス・プランタラム(L.
plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(L.
brevis)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(L.
helveticus)、ラクトバチルス・ガリナラム
(L.gallinarum)、ラクトバチルス・ガセリ
(L.gasseri)、ラクトバチルス・ジョンソニ
(L.johnsonii)、ラクトバチルス・カゼイ
(L.casei)、ラクトバチルス・ラムノサス(L.
rhamnosus)、ラクトバチルス・ゼアエ(L.z
eae)、ラクトバチルス・デルブルッキ・subsp
・ブルガリカス(L.delbrueckii subs
p.bulgaricus)、ラクトバチルス・ラクテ
ィス(L.lactis),ラクトバチルス・ロイテリ
(L.reuteri)、ラクトバチルス・ファーメンタ
ム(L.fermentum)、ラクトバチルス・マリナ
ス(L.murinus)、ストレプトコッカス(Str
eptococcus)属のストレプトコッカス・サリ
バリウス・subsp・サーモフィラス(S.sali
varius subsp. thermophilu
s)、ストレプトコッカス・ラクティス(S.lacti
s)、エンテロコッカス(Enterococcus)
属のエンテロコッカス・フェシウム(E.faeciu
m)、エンテロコッカス・フェカリス(E.fecali
s)。
【0010】又、ビフィズス菌であるビフィドバクテリ
ウム(Bifidobacterium)属のビフィド
バクテリウム・ロンガム(B.longum)、ビフィド
バクテリウム・ビフィダム(B.bifidum)、ビフ
ィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve),ビフィ
ドバクテリウム・アドレセンティス(B.adoles
centis)、ビフィドバクテリウム・インファンテ
ィス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・
アニマリス(B.animalis)、ビフィドバクテリ
ウム・シュードロンガム(B.pseudolongu
m)、
【0011】また、他にバチルス(Bacillus)
属 バチルス・コアギュランス(B.coagulan
s)、バチルス・ナットー(B.natto)、クロスト
リジウム(Clostoridium)属のクロストリ
ジウム・ブチリカム(C.butylicum)などが例
示できる。中でも乳酸菌、ビフィズス菌が好適に用いら
れ、特に、ビフィドバクテリウム(Bifidobac
terium)属のビフィドバクテリウム・ロンガム
(B.longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダ
ム(B.bifidum),ビフィドバクテリウム・ブレ
ーベ(B.breve)、ラクトバチルス(Lactob
acillus)属のラクトバチルス・アシドフィラス
(L.acidophilus)、ラクトバチルス・ガセ
リ(L.gasseri)、ラクトバチルス・カゼイ
(L.casei)、ラクトバチルス・デルブルッキ・s
ubsp・ブルガリカス(L.delbrueckii
subsp.bulgaricus)、エンテロコッカ
ス(Enterococcus)属のエンテロコッカス
・フェシウム(E.faecium)、エンテロコッカス
・フェカリス(E.fecalis)が好ましく、ビフィ
ドバクテリウム・ロンガム(B.longum),ビフィ
ドバクテリウム・ビフィダム(B.bifidum)、ビ
フィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve)が最も
好ましい。
【0012】これら有用生菌粉末は、本発明の製剤に内
包される組成物全量中に5〜50重量%、特に10〜4
0重量%配合することが好ましい。配合量が5重量%に
満たないと有用生菌による整腸効果などが得られず、ま
た50重量%を超えると本発明による保護効果が得られ
にくくなる。
【0013】本発明の有用生菌は所定の方法で培養後、
凍結乾燥した生菌粉末として用いる。これら、生菌粉末
は凍結乾燥する際に、生菌が傷害されるのを防ぐため、
公知の保護剤、例えば、アミノ酸、糖類、糖アルコー
ル、乳成分などを添加することが可能である。生菌粉末
は1×10個/g以上、特に1×10個/g以上の生
菌を含有するのが好ましい。
【0014】本発明に用いる大豆たん白質は、食品とし
て供されているものであれば特に限定されるものではな
いが、生大豆粉、きなこ、商業的に入手できる精製大豆
たん白質などが好ましく例示され、中でも精製大豆たん
白質が、性質の均一なものが様々な種類入手可能な点か
ら特に好ましい。これら、大豆たん白質は本発明のカプ
セル剤に内包される組成物全量中に10〜70重量%、
特に20〜65重量%配合することができ、30〜50
重量%がより好ましい。配合量が10重量%に満たない
と胆汁からの保護作用が得られず、また、ゲル層が崩壊
し内容物が拡散するのをさまたげ、又70重量%を超え
るとゲル層が崩壊するのが早すぎ胆汁からの保護作用が
十分発揮されない。
【0015】本発明に用いるゲル化剤は、水分と反応し
てゲルを形成するものであれば特に限定されるものでは
ないが、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、ペク
チン、カラギナン、ローカストビーンガム、アラビアガ
ムなどが例示され、中でもキサンタンガム、アルギン酸
ナトリウム、ペクチン、カラギナンが好ましく、キサン
タンガムが最も好ましい。これらゲル化剤は1種または
2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】これらゲル化剤は、本発明のカプセル剤に
内包される組成物全量中に1〜15重量%、特に3〜1
2重量%配合することができる、特に5〜10重量%が
好ましい。配合量が1重量%に満たないとゲル層を形成
しなため胆汁からの保護作用が得られず、又15重量%
を超えるとゲル層が堅固になりすぎ内容物が拡散するの
を妨げる。
【0017】さらに、ゲル化剤のゲル化を補助するため
にカルシウム、マグネシウムなどの2価陽イオンの塩を
含有しても良い。本発明のカプセル剤に内包される組成
物には、上記有用生菌、大豆たん白質、ゲル化剤のほか
に食品に通常用いる添加剤、食品原料、あるいは香料を
配合することができる。
【0018】本発明の腸溶性製剤はハードカプセル、ソ
フトカプセルなどのカプセル製剤、タブレット製剤など
の形態で提供することができる。カプセル製剤は、内包
される組成物とそれを包むカプセル皮膜、およびカプセ
ル皮膜の外側の腸溶性コーティング皮膜よりなる構造体
として構成される。カプセル皮膜と内包される組成物の
分量比はハードカプセルの場合、おおよそ1:2〜1:
5であり、ソフトカプセルの場合はおおよそ1:1〜
1:3である。また、カプセルの材質は特に限定される
ものではないが、ゼラチン、乳清たん白、あるいはセル
ロース誘導体を用いることが好ましい。カプセルは常法
により製造できる。タブレット製剤は、内包される組成
物を常法によって打錠した打錠物、および打錠物の外側
の腸溶製コーティング皮膜よりなる構造体として構成さ
れる。
【0019】本発明の腸溶性製剤に用いるコーティング
剤はツェイン、シェラックなどが例示できる。また、腸
溶性コーティングは常法によって行うことができ、コー
ティング剤中に脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル、グ
リセリン、色素などを添加することができる。コーティ
ング量は、カプセルの場合はカプセル重量に対して重量
%で0.1〜7%、特に0.5〜5%とするのが好まし
く、タブレットの場合は、0.05%から5%、特に
0.1〜3%とするのが好ましい。
【0020】
【実施例】以下、本発明を実施例及び試験例を用いて、
更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。また特に断らないかぎり[%]は[重量%]
を表す。
【0021】先ず、表1に示す組成物(No.1〜1
0)を製造し、全量を2kgとした。得られた組成物を
カプセル充填機をもちいて、常法によりゼラチンハード
カプセル内に封入した。得られたカプセルをスプレーコ
ーティング装置にてコーティングした。コーティング液
はツェイン2%、シェラック6%、エタノール67.7
%、蒸留水24.3%、脂肪酸1.2%(それぞれ重量
%)を含んだものを用いた。カプセル仕込み量2kg、
給気温度45℃、スプレー速度50g/min、スプレ
ー時間10分、パン回転数10rpmにてコーティング
を行い、コーティング量を対カプセル重量比2%とし
た。この時、カプセル内の組成物1gあたりの生菌数は
1.2×1010であった。
【0022】
【表1】
【0023】試験例1(胃酸耐性) 得られたNo.1〜10のカプセル剤に対して、日本薬
局方の崩壊試験にしたがって腸溶性の試験を行った。そ
の結果、いずれのカプセル剤においても局方第1液(p
H1.2塩酸)にて120分間崩壊したり、内容物が溶
出しないことを確認した。また、崩壊していないカプセ
ルを取り出し、内部に含まれているビフィズス菌数を測
定すると、仕込み量と同じだけのビフィズス菌が回収さ
れた。
【0024】試験例2(胆汁耐性) 人工腸液としては、pH6.8リン酸緩衝液に0.02
重量%濃度の胆汁末を加えたものを用いた。ねじ口ビン
に100mlの人工腸液を入れ、そこに新たなカプセル
を投入し、マグネティックスターラにて800rpmの
速度で撹拌した。3時間後に試験液全体をホモジナイズ
し、ビフィズス菌数を測定した。結果を表2に示す。
【0025】
【表2】
【0026】この結果から、ゲル化剤の存在しないN
o.1、No.6では胆汁によってビフィズス菌が著し
く死滅しているが、他の試験例では、ゲル化剤の種類に
よらず、胆汁によってビフィズス菌が死滅するのが抑制
されているのがわかる。No.2、No.7、No.
8、およびNo.9の比較よりキサンタンガムが最も保
護効果が大きいことがわかる。また、No.10の結果
から大豆たん白質に変えてカゼインを用いると、カプセ
ルの内容物はゲルを形成しても速やかに崩壊し、その結
果、胆汁による死滅率が著しく悪化することがわかっ
た。このように、たんぱく質の種類によって形成したゲ
ル層の崩壊時間が変わるのは、たん白質の等電点や疎水
性などがたんぱく質によって違い、ゲル化剤との相互作
用が違うためであると推測される。以上のことから、大
豆たん白質とゲル化剤、特にキサンタンガムの組み合わ
せが、有用生菌の胆汁耐性を改善することがわかった。
【0027】試験例3(大腸内増殖性) 滅菌したMRS培地中に新たなカプセルを投入し37℃
にて静置培養した。16時間後に培養液をサンプリング
し、酸度および培養液1mL中のビフィズス菌数を測定
することによって菌の増殖性を評価した。結果を表3に
示す。
【0028】
【表3】
【0029】ゲル化剤の含有率が高い、No.4とN
o.5の試作品では、カプセルの内容物がゲル状に固ま
っていた。また、酸度測定の結果から、ゲル化剤の含有
率が高い試作品では、酸度が上昇しにくいのがわかる。
この結果から、ゲル化剤の含有率が多すぎると増殖が阻
害されることがわかる。すなわち、ゲル化剤の含有率が
高いと菌が培地中に放出されず、増殖が阻害されると推
測される。以上の試験から、本発明のカプセル剤は、胃
酸、胆汁より有用生菌を守り、大腸で崩壊し有用生菌が
増殖する、という特徴をもつことが示された。
【0030】
【0031】上記処方を全量が1.5kgとなるよう混
合した。得られた混合物を、定法に従い、カプセル充填
機を用いてゼラチンハードカプセルに封入した。得られ
たカプセルは定法に従い、スプレーコーティング機によ
り腸溶性コーティングを施した。コーティング液はツェ
イン7%、エタノール68.7%、蒸留水24.3%、
脂肪酸1.2%(それぞれ重量%)を含んだものを用い
た。カプセル仕込み量2kg、給気温度45℃、スプレ
ー速度50g/min、スプレー時間10分、パン回転
数10rpmにてコーティングを行い、コーティング量
を対カプセル重量比2%とした。
【0032】
【0033】上記処方を全量が1.5kgとなるよう混
合した。得られた混合物を、定法に従い、カプセル充填
機を用いてゼラチンハードカプセルに封入した。得られ
たカプセルは定法に従い、スプレーコーティング機によ
り腸溶性コーティングを施した。コーティング液はツェ
イン2%、シェラック6%、エタノール67.7%、蒸
留水24.3%、脂肪酸1.2%(それぞれ重量%)を
含んだものを用いた。カプセル仕込み量2kg、給気温
度45℃、スプレー速度50g/min、スプレー時間
10分、パン回転数10rpmにてコーティングを行
い、コーティング量を対カプセル重量比2%とした。
【0034】
【0035】上記処方を全量が1kgとなるように混合
したのち、40℃に加温した硬化油4kgと混合しソフ
トカプセルの核液を得た。得られた核液をソフトカプセ
ル製造器にてゼラチン皮膜にてカプセル化した。得られ
たカプセルは、1昼夜乾燥した後、常法に従ってスプレ
ーコーティング機により腸溶性コーティングを施した。
コーティング液はツェイン2%、シェラック9%、エタ
ノール65.7%、蒸留水24.3%、脂肪酸1.2%
(それぞれ重量%)を含んだものを用いた。カプセル仕
込み量2kg、給気温度45℃、スプレー速度50g/
min、スプレー時間20分、パン回転数10rpmに
てコーティングを行い、コーティング量を対カプセル重
量比4%とした。
【0036】
【0037】上記処方を全量が1.5kgとなるよう混
合し、ゼラチンハードカプセルに充填した。得られたカ
プセルは、常法に従ってスプレーコーティング機により
腸溶性コーティングを施した。コーティング液はシェラ
ック8%、エタノール67.7%、蒸留水24.3%、
脂肪酸1.2%(それぞれ重量%)を含んだものを用い
た。カプセル仕込み量2kg、給気温度45℃、スプレ
ー速度50g/min、スプレー時間6分、パン回転数
10rpmにてコーティングを行い、コーティング量を
対カプセル重量比1%とした。
【0038】
【0039】上記処方を全量が10.0kgとなるよう
混合し、常法にしたがって打錠し、打錠物を得た。得ら
れた、打錠物は常法に従ってスプレーコーティング機に
より腸溶性コーティングを施した。コーティング液はシ
ェラック5%、ツエイン3%、エタノール67.2%、
蒸留水24.2%、脂肪酸0.6%(それぞれ重量%)
を含んだものを用いた。打錠物仕込み量10kg、給気
温度45℃、スプレー速度50g/min、スプレー時
間18分、パン回転数10rpmにてコーティングを行
い、コーティング量を対打錠物重量比3%とした。
【0040】
【発明の効果】有用生菌を大豆たん白質およびゲル化剤
とともに配合した組成物を内包する本発明の腸溶性製剤
は、有用生菌が胃酸により死滅するのを防ぎ、且つ小腸
で崩壊した後も胆汁により有用生菌が死滅するのを防
ぎ、大腸に到達した後有用生菌が増殖するため、より多
くの有用生菌が腸内に到達し、いっそうの保健効果が期
待できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有用生菌粉末、大豆たん白質、およびゲ
    ル化剤を必須とする腸溶性コーティングを施した製剤。
  2. 【請求項2】 有用生菌が乳酸菌、ビフィズス菌から選
    ばれる1種以上である請求項1に記載の製剤。
  3. 【請求項3】 ゲル化剤がキサンタンガムである請求項
    1、2の何れか1項に記載の製剤。
  4. 【請求項4】 組成物全量に対してゲル化剤の分量が1
    〜15重量%である請求項1〜3の何れか1項に記載の
    製剤。
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