JP2003007659A - シリコン半導体ウエハの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エッチング加工や研磨加工によって発生する
ウエハ外周の形状不良を皆無にすることにより、（高輝
度）エッチングウエハを素材とするエッチングエピタキ
シャルウエハ、及び鏡面ウエハを全面で平坦度の高いも
のに仕上げる。 【解決手段】 エッチング加工時のウエハ内外周の偏り
及びエッチング液供給の相違に伴って生じるエッチング
量の差が原因のウエハ外周の非平坦な「エッチングダ
レ」部分、或いは鏡面加工時の研磨クロスへの食い込み
に伴って生じるウエハ外周の非平坦な「研磨周辺ダレ」
部分を機械的に研削除去することにより平坦度に優れた
ウエハの内部のみが残る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、大口径ウエハであ
っても平坦度に優れたシリコン半導体ウエハの製造方法
に関する。詳しくは、単結晶シリコンインゴットから切
り出したウエハに、順次所定の加工を施してエッチング
ウエハまたは鏡面ウエハに仕上げる際のシリコン半導体
ウエハの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】通常、単結晶シリコンインゴットから切
り出されたウエハ（スライスウエハ）は、面取加工、ラ
ップ加工を経た後、ケミカルエッチング（以下エッチン
グ）加工を行うことによって、その表面の機械加工歪が
除去され、その後、鏡面研磨加工を施して鏡面ウエハ等
に仕上げられる。上記エッチング加工については、ラッ
プ加工後のウエハを、一般的にドラムと呼称される長手
方向を軸にして回転可能な収納冶具に一定間隔を保って
50から100枚程度収納保持し、フッ酸、硝酸、酢酸を所
定の割合で混合した混酸からなるエッチング液に、該収
納冶具を一定時間浸漬させてエッチングが行われる。こ
の時の反応は非常に激しく、ウエハ面とエッチング液の
接触部からの反応熱も多量に発生するため、収納保持さ
れたウエハの中心部に熱が篭もって一様なエッチング作
用が進行しない。そのため、槽内のエッチング液を冷却
するなど一定温度に保ちながら循環流動させ、更にウエ
ハ自体も収納冶具と共に自転揺動させてウエハ面全体が
均等にエッチングされ、平坦度の優れたエッチングウエ
ハが得られるよう工夫されている。一方、ウエハの鏡面
研磨加工は、複数のウエハをワックスにて保持プレート
に貼着保持し、研磨クロスが貼り付られた回転する金属
定盤に対して、研磨スラリーを流しながら保持プレート
を押圧し、そのウエハ研磨面を研磨クロスに密着させる
と共に移動させて研磨する。この場合も研磨終了後のウ
エハの平坦度を良好に保つため、定期的に面修正を行う
など、精度管理された貼着プレートの使用し、更に均等
一様なワックス膜を形成する塗布方式などの採用により
プレートへのウエハ貼着精度を向上させて、ウエハ全面
を平坦、高精度に保持した状態でクロスに押圧し研磨に
供するという技術が必要に応じた状況で使用されて来て
いた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の製造方法で、エッチング加工や研磨加工を行
ったウエハには、夫々以下のような問題があった。まず
エッチング加工について述べると、インゴットからウエ
ハ状にスライスされる時点で内周刃やワイヤーソー等の
切断機にて加工が行われる際には、切断始めと切断終わ
りは勿論、切断途中であってもウエハと刃先等が接触す
る付近を中心に大きな衝撃力が切断面に加わり、繰り返
し大きな応力が働いて結晶構造が破壊され、内部歪とな
って残存する。この現象はウエハの内部と比較してウエ
ハの外周部に顕著の現れるが、スライス、面取に続くラ
ッピング加工後も外周端付近の切断時の歪は残存し、混
合酸によってエッチングした場合、ラップ加工歪も負荷
され歪の多い外周付近の方のエッチングレート（エッチ
ングスピード）が速く、内外周のエッチング量に差が生
じてゆがみ（「エッチングダレ」と呼称する）が発生す
る。更にウエハの外周部は未反応のエッチング液に接触
する度合いが内部より高くなるため、より反応が進行し
て前記現象が助長される。このエッチングダレがエッチ
ング加工後のウエハの平坦度に悪影響を与えることにな
る。特に、エッチングウエハを基板として作製するエッ
チングエピタキシャルウエハ（通常は鏡面ウエハを基板
として用いる場合が多いが、近年、低コストのエピウエ
ハの供給を目的に高輝度エッチングウエハに直接気相成
長させて作製する）は、高輝度に加工するためにエッチ
ング取代が多く、通常品（鏡面研磨向け）と比較して、
より平坦度が悪化する。また研磨加工においては、保持
プレートに貼着されたウエハがクロスに押圧されてスラ
リー中を移動した場合、研磨クロスが弾性体のため、ウ
エハの外周部周辺は研磨クロスに食い込むような状態で
ウエハの内部研磨面よりも接触面圧が上昇し、且つウエ
ハの外周部はスラリーがウエハの内部より多く供給され
るためにウエハの内部以上に研磨が進行し、結果的に研
磨終了後におけるウエハの外周部分の厚さは、ウエハの
内部より薄くなり（「研磨周辺ダレ」と呼称する）、ウ
エハ全体として平坦度が悪化してしまう。以上述べたエ
ッチング加工や研磨加工によって発生するウエハ外周の
形状不良を皆無にすることにより、（高輝度）エッチン
グウエハを素材とするエッチングエピタキシャルウエハ
及び鏡面ウエハを全面で平坦度の高いものに仕上げるこ
とが課題となっていた。

【０００４】本発明のうち請求項１記載の発明は、エッ
チング終了後の「エッチングダレ」を除いて全面で高平
坦度のエッチングエピタキシャルウエハを得ることを目
的としたものである。請求項２記載の発明は、研磨加工
終了後の「研磨周辺ダレ」を除いて全面で高平坦度の鏡
面ウエハを得ることを目的としたものである。請求項３
記載の発明は、請求項１または２に記載の発明の目的に
加えて、高清浄度でかつ高平坦度の鏡面ウエハを得るこ
とを目的としたものである。請求項４記載の発明は、請
求項１または２に記載の発明の目的に加えて、研削加工
能率を落とさず且つ鏡面面取加工を効率的に行うことが
可能な研削加工を目的としたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明が講じた手段は、以下の通りである。請求項１
では、単結晶シリコンインゴットから切り出したウエハ
に、順次所定の加工を施してエッチングウエハに仕上げ
る際のシリコン半導体ウエハの製造方法において、ケミ
カルエッチング加工を施した後に、このエッチング加工
によってエッチングダレが発生するウエハの外周部を研
削除去することを特徴とするシリコン半導体ウエハの製
造方法を採用する。請求項２では、単結晶シリコンイン
ゴットから切り出したウエハに、順次所定の加工を施し
て鏡面ウエハに仕上げる際のシリコン半導体ウエハの製
造方法において、ケミカルエッチング加工に続いて鏡面
研磨加工を施した後に、この鏡面研磨加工によって研磨
周辺ダレが発生するウエハの外周部を研削除去したこと
を特徴とするシリコン半導体鏡面ウエハの製造方法を採
用する。請求項３では、ウエハの外周部を研削除去した
後に、その新たな外周部端に対して鏡面面取加工を行う
ことを特徴とする請求項1または２記載のシリコン半導
体ウエハの製造方法を採用する。請求項４では、前記ウ
エハの外周部を、研削砥石番手が＃600〜＃1200の研削
具で研削することを特徴とする請求項１または２記載の
シリコン半導体ウエハの製造方法を採用する。

【０００６】

【作用】請求項１記載の方法を採用することにより以下
の作用を生じる。エッチング加工時のウエハ内外周の偏
り及びエッチング液供給の相違に伴って生じるエッチン
グ量の差（エッチング代の取分け大きい高輝度ウエハで
顕著）が原因のウエハ外周の非平坦な「エッチングダ
レ」部分を機械的に除去することにより、ウエハの非常
に平坦度の優れた内部のみが残り、その結果として、エ
ッチング加工によるウエハ外周の形状不良を皆無にして
全面の平坦度が向上し、全面で高平坦度のエッチングエ
ピタキシャルウエハが得られる。請求項２記載の方法を
採用することにより以下の作用を生じる。鏡面加工時の
研磨クロスへの食い込みに伴って生じるウエハ外周の非
平坦な「研磨周辺ダレ」部分を機械的に除去することに
より、ウエハの非常に平坦度の優れた内部のみが残り、
その結果として、研磨加工によるウエハ外周の形状不良
を皆無にして全面の平坦度が向上し、全面で高平坦度の
鏡面ウエハが得られる。請求項３記載の方法を採用する
ことにより以下の作用を生じる。ウエハの外周部を研削
除去した後に、新たな外周部に対して鏡面面取加工を行
うことにより、該ウエハ外周の面粗さが改善されて、こ
の面取部分からの発塵が皆無となってウエハ全体でのパ
ーティクル発生が殆どなく、その結果として高清浄度で
かつ高平坦度の鏡面ウエハが得られる。請求項４記載の
方法を採用することにより以下の作用を生じる。ウエハ
の外周部を＃600〜＃1200で研削することにより、研削
具が目詰まり等で研削能率が極端に低下しないと共に、
研削面が粗くならないから、その後の鏡面面取時の負担
が小さくて加工時間が短縮化され、その結果として、研
削加工能率を落とさず且つ鏡面面取加工に支障のない研
削加工が可能となる。なお、＃1200を超える細かな砥粒
では目詰まり等で研削能率が極端に低下し、また＃600
を下回る粗い砥粒では研削面が粗くなりその後の鏡面面
取時の負担が大きく加工時間が掛かり実用性に欠ける。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施例を説明す
る。 ［実施例１］この実施例１は、エッチング加工を施した
後に、エッチングエピタキシャルウエハの基板として用
いるウエハを作製するものあり、このエッチング加工に
よってエッチングダレが発生したウエハの外周部を研削
除去する場合を示している。

【０００８】詳細に述べると、まず口径155 mmのシリコ
ンインゴットを例えばワイヤーソー等の切断機にてウエ
ハ状にスライスし、その後、このスライスウエハに、必
要に応じてその外周の整形及び面取加工（＃800 砥石を
用いる）を行う。次に、ＦＯ＃1500の遊離砥粒を用いた
４軸ラップ機により、ラッピングの加工を行い、ウエハ
の厚さを仕様に基づいた一定の値に揃える。

【０００９】そして、このラップドウエハに対して、エ
ッチング処理を施す。このエッチング液は、フッ酸（Ｈ
Ｆ50％）、硝酸（ＨＮＯ₃ 70％）、酢酸（ＣＨ₃ＣＯＯ
Ｈ 100％）を体積比1：2：1の割合で混合した混合酸（4
0℃）であり、これに80秒間浸漬して、ウエハの両面で
約90μｍ化学的に除去する。この結果、ウエハの光沢度
は99％となる。（光沢度：鏡面ウエハの鏡面を100％と
したときの相対反射率、輝度と同義） なお、この時、エッチング液は攪拌循環されており、ま
たウエハは30 rpmで自転している。

【００１０】このように製造されたエッチングウエハを
周辺研削装置にセットし、上記エッチング加工によって
「エッチングダレ」が発生した該ウエハの外周部（ゆが
み部分）を研削除去する。

【００１１】具体的には、30 rpmで回転するウエハの外
周端部に対し、1500 rpmで回転する＃800ダイヤモンド
ホイールを接触させ、接触加工部には摩擦低減、冷却の
目的でクーラントを供給し、研削除去する。外径が150m
mサイズのエッチングウエハにおける「エッチングダレ
（ゆがみ部分）」の範囲は、外周端から1〜2mmであるこ
とから、この実施例１では口径155mmのエッチングウエ
ハを口径が150 mmとなるまで研削して、高平坦度なエピ
タキシャル基板用のエッチングウエハを作製した。

【００１２】［実施例２］この実施例２では、前記実施
例１記載のようにエッチング加工まで終了したウエハに
対し研磨加工を施して鏡面ウエハを製造するものであ
り、この鏡面研磨加工によって研磨周辺ダレが発生した
ウエハの外周部を研削除去し、その後、鏡面面取加工を
実施した場合を示している。

【００１３】詳細には、口径206mmのシリコンインゴッ
トに対し実施例1と同様にラップ加工まで終了させる。
次のエッチング処理同組成のエッチング液に30秒間浸漬
させウエハ両面で約30μm除去する。光沢度は40％強と
なる。次の研磨工程で、セラミック製の貼着プレートに
ワックスにて複数枚貼着したウエハを、不織布研磨クロ
ス上でコロイダルシリカ（平均粒径20nm）主成分のスラ
リーを供給しながら面圧100 g/cm²、ウエハ・クロス相
対速度1.5 m/sの条件で10分間研磨した。この時の研磨
量（取り代）は約８μmであった。

【００１４】引き続き、このウエハの裏面（エッチング
面）を吸着保持し、前記実施例１と同様の条件にて、上
記鏡面研磨加工によって研磨周辺ダレが発生した該ウエ
ハの外周部を研削除去する。外径が200mmサイズの研磨
終了後のウエハにおける「研磨周辺ダレ」の範囲は、外
周端から1.5〜２.5mm前後であることから、この実施例
２では口径206 mmの研磨終了後のウエハを口径が200 mm
となるまで研削した。

【００１５】その後、この研削が終了したウエハの新た
な外周端に対し、スラリーを供給しながらのテープ研磨
により鏡面面取を実施して、高平坦度の鏡面ウエハを作
製した。

【００１６】以上の実施例２の如く作製したウエハの平
坦度（フラットネス）を測定評価し、従来品と比較した
ものを以下の表１に示す。

【表１】

【００１７】なお、評価パラメータのサイトフラットネ
スとして、25mm×25mmのエリア内におけるウエハ表面の
凹凸の差を比較した。また測定機は、米ＡＤＥ社製
「ＵＬＴＲＡ ＳＣＡＮ 9600」を使用した。

【００１８】従って、上記表１から実施例２の如く作製
したウエハの平坦度は、従来品に比べ、その平坦度が大
幅に改善されていることが容易に理解できる。因みに、
実施例２の如く作製したウエハは、測定機の基準ウエハ
としても使用可能なレベルまで平坦度が向上した。

【００１９】尚、前示実施例では、シリコンインゴット
から切り出されたウエハ（スライスウエハ）に面取加工
を行った後にエッチング加工や研磨加工を行ったが、こ
れに限定されず、エッチング加工や研磨加工より前工程
で面取加工を行わずに省略しても良い。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項１記載の発明は、エッチング加工時のウエハ内外周の
偏り及びエッチング液供給の相違に伴って生じるエッチ
ング量の差が原因のウエハ外周の非平坦な「エッチング
ダレ」部分を機械的に除去することにより、ウエハの非
常に平坦度の優れた内部のみが残るので、エッチング加
工によるウエハ外周の形状不良を皆無にして全面の平坦
度を向上でき、エッチングウエハを基板とするエッチン
グエピタキシャルウエハの製造において、全面で高平坦
度のエッチングエピタキシャルウエハが得られる。更に
ウエハの製造過程においてエッチング加工より前工程の
面取加工を省略することもできて、その分だけ製造工程
が簡素化される。

【００２１】請求項２の発明は、鏡面加工時の研磨クロ
スへの食い込みに伴って生じるウエハ外周の非平坦な
「研磨周辺ダレ」部分を機械的に除去することにより、
ウエハの非常に平坦度の優れた内部のみが残るので、研
磨加工によるウエハ外周の形状不良を皆無にして全面の
平坦度を向上でき、全面で高平坦度の鏡面ウエハが得ら
れる。更にウエハの製造過程において研磨加工より前工
程の面取加工を省略することもできて、その分だけ製造
工程が簡素化される。

【００２２】請求項３の発明は、請求項１または２の発
明の効果に加えて、ウエハの外周部を研削除去した後
に、新たな外周部に対して鏡面面取加工を行うことによ
り、該ウエハ外周部の面粗さが改善されて、ウエハの表
面と同様な鏡面が得られ、この面取部分からの発塵が皆
無となってウエハ全体でのパーティクル発生が殆どなく
なるので、高清浄度でかつ高平坦度の鏡面ウエハ等が得
られる。

【００２３】請求項４の発明は、請求項１または２の発
明の効果に加えて、ウエハの外周部を＃600〜＃1200で
研削することにより、研削具が目詰まり等で研削能率が
極端に低下しないと共に、研削面が粗くならないからそ
の後の鏡面面取時の負担が小さくて加工時間が短縮化さ
れるので、研削加工能率を落とさず且つ鏡面面取加工に
支障のない研削加工が可能となる。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 単結晶シリコンインゴットから切り出し
   たウエハに、順次所定の加工を施してエッチングウエハ
   に仕上げる際のシリコン半導体ウエハの製造方法におい
   て、ケミカルエッチング加工を施した後に、このエッチ
   ング加工によってエッチングダレが発生するウエハの外
   周部を研削除去することを特徴とするシリコン半導体ウ
   エハの製造方法。
2. 【請求項２】 単結晶シリコンインゴットから切り出し
   たウエハに、順次所定の加工を施して鏡面ウエハに仕上
   げる際のシリコン半導体ウエハの製造方法において、ケ
   ミカルエッチング加工に続いて鏡面研磨加工を施した後
   に、この鏡面研磨加工によって研磨周辺ダレが発生する
   ウエハの外周部を研削除去したことを特徴とするシリコ
   ン半導体鏡面ウエハの製造方法。
3. 【請求項３】 前記ウエハの外周部を研削除去した後
   に、その新たな外周端に対して鏡面面取加工を行うこと
   を特徴とする請求項1または２記載のシリコン半導体ウ
   エハの製造方法。
4. 【請求項４】 前記ウエハの外周部を、研削砥石番手が
   ＃600〜＃1200の研削具で研削することを特徴とする請
   求項１または２記載のシリコン半導体ウエハの製造方
   法。