JP2003000241A - 核酸を用いた環境モニタリングシステム - Google Patents
核酸を用いた環境モニタリングシステムInfo
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Abstract
る核酸への影響をも測定でき、高い検出感度を有する環
境モニタリング方法を提供する。 【解決手段】 核酸および核酸類似体からなる群より選
択される少なくとも1種の核酸を基板に固定化した核酸
固定化基板をモニタリング対象環境に曝し、該基板上の
核酸に生じる損傷を可視的に検出、測定する。
Description
タリング方法に関するものである。さらに詳しくは、こ
の出願の発明は、基板上に固定化した核酸をモニタリン
グ対象環境に曝し、核酸に生じる損傷から環境をモニタ
リングする方法に関するものである。
する環境には、化学物質や電子線、放射線等の電磁波
等、様々な影響因子が存在する。近年、人体や環境に悪
影響を及ぼすと考えられるこれらの因子に対する危機感
が高まっており、様々な調査、報告がなされている。
排ガスに限らず、保存料等の食品添加物、各種の医農薬
品、洗剤等の香粧品、建築建材の防腐剤や塗料等のあら
ゆる形態で我々の生活に浸透しており、近年、これらの
化学物質の人体や環境への影響が懸念されている。これ
らの化学物質の安全性については、従来、実験動物を用
いた試験による評価が一般的に行われていた。また、大
気や河川、あるいは各種製品中の化学物質の量について
は、種々の化学的分析方法により測定されている。これ
らの試験、測定方法はいずれも煩雑な操作と長期間を要
し、リアルタイムでの測定が困難であるという問題があ
った。さらに、人体への直接的および遺伝的影響を正確
に知るためには、過敏症等の症状があらわれた患者に対
して種々の候補物質を接触あるいは投与して原因物質を
特定したり、反応性を判断したりするしかなく、患者に
多大な苦痛を強いる上検査結果が得られるまでに長時間
を有するという問題があった。
なる様々なものが、我々の生活における多様な分野で利
用されている。波長〜10-8m程度のγ線(放射線、宇
宙線)やX線、10-8〜4×10-7mの紫外線、4×1
0-7〜8×10-7mの可視光、8×10-7〜10-3mの
赤外線、10-3〜10-1mのマイクロ波、10-1〜10
4mの電波に分けられる。中でも、通信用に用いられる
電波に関しては、携帯電話や携帯端末の普及とともに、
近年、その人体に与える影響が懸念されている。また、
電子レンジに利用されるマイクロ波についても、最近に
なってその人体への影響が心配されている。しかし腫瘍
や免疫疾患等とこれらの電磁波の具体的な因果関係につ
いては、これまでのところ明らかになっていないのが実
情である。さらに、放射線については、原子力施設や医
療施設での放射能事故により、社会不安の大きな要因で
あるといわざるを得ない。
線と人工的に作られた人工放射線がある。自然放射線
は、人類が太古から浴びてきたものであり、太陽や銀河
系宇宙から地球に降り注ぐさまざまな放射線(宇宙線)
と、その大部分を占める高速の陽子線が大気中の窒素や
酸素の原子核と衝突して作り出される高エネルギーの原
子核、中性子、中間子、γ線といった二次宇宙線、さら
には、大地に含まれるウラン、トリウム、カリウム40
等の自然の放射性同位元素から出されるγ線などがあ
る。
々な分野で人工的に利用されている。例えば夜光時計の
文字盤、蛍光灯のスタータ、カメラのストロボ充電表示
用の表示管、煙探知器等は、いずれも微量のγ線やα線
を放出する放射性同位体を利用したものである。また、
テレビやパソコンのモニター等のブラウン管は、電子線
を利用したものである。さらに、ほとんどすべての疾患
に対して行われ、集団検診でも実施されるレントゲンで
は、比較的大量の人工放射線が利用されている。したが
って、一般的に認識されている以上に、我々は日常生活
において放射線に曝されているのである。
する放射線の発生源の平均的割合は、39%が自然放射
線、59%がレントゲンやCTスキャン、放射線治療等
の医療用放射線であり、残る2%に、職業上の被曝、原
子力施設からの放射線、航空機の利用により曝されるも
の、一般消費物によるもの等が含まれる。
エネルギー源として、原子力が検討されている。また、
癌治療を始めとする医療分野でも放射線の有効性がます
ます注目されている。しかし、原子力施設における放射
能漏れ事故や患者の大量被曝等により、作業者や施設付
近の住民の間で、放射線に対する不安感や危機感が高ま
っており、施設内の安全管理や作業環境および付近の放
射線量の検地が社会的に重要な課題となっている。
位元素を吸い込んだり、宇宙線や大地、放射性降下物か
らのγ線を体外から浴びたり、飲食物を通じて体内に取
り込んだりすることにより、人体に影響を及ぼす。人体
への影響は、大きく分けて、本人に現れる身体的、生理
的影響とその子孫に影響が現れる遺伝的影響があり、身
体的、生理的影響には急性効果と晩発効果がある。前記
のとおりに、我々の日常生活における放射線被曝は、医
療診断や自然界からのものが大半を占め、通常人体に影
響を及ぼさない程度のものであるが、放射線には色も臭
いもないため、放射線設備の安全管理、作業者や周辺住
民の放射線防護、あるいは社会的不安の除去のためにも
施設内外の放射線量の正確な測定が重要といえる。
電離作用を利用する方法が用いられてきた。具体的に
は、蛍光体に生じる蛍光を測定、記録するシンチレーシ
ョンカウンター(蛍光作用)、フィルムバッジやオート
ラジオグラフ(写真作用)、気体の電離を測定するGM
計数管(電離作用)が代表的な放射線量測定方法として
挙げられる。
線質、線量に応じて異なったものが使用されており、人
体への影響を評価する場合には、放射線荷重計数、組織
荷重計数で補正し、実効線量を算出する必要があった。
また、既存の方法は遺伝子への影響を直接的に測定する
ものではなく、間接的に評価しているにすぎないため、
遺伝的影響や晩発効果に関わるより実際的な放射線量の
測定ができないという問題があった。
や、作業者および付近住民の健康を守る上で、人体やD
NAを始めとする核酸への放射線の影響を直接的、かつ
簡便に、精度高く測定できる方法の開発は重要と考えら
れる。
の事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点
を解決するものとして、化学物質や電磁波、放射線等の
環境による核酸への影響をも測定でき、高い検出感度を
有する環境モニタリング方法を提供することを課題とし
ている。
の課題を解決するものとして、まず第1には、核酸およ
び核酸類似体からなる群より選択される少なくとも1種
の核酸を基板に固定化した核酸固定化基板をモニタリン
グ対象環境に曝し、該基板上の核酸に生じる損傷を検
出、測定することを特徴とする環境モニタリング方法を
提供する。
基板は、核酸と基板表面の静電的相互作用により固定化
されている環境モニタリング方法を、第3には、基板が
ガラス基板である前記の環境モニタリング方法を、第4
には、基板がシリコン基板である前記の環境モニタリン
グ方法を、また第5には、基板がプラスチック基板であ
る前記の環境モニタリング方法を提供する。
の環境モニタリング方法において、第6には、基板が表
面処理により、正電荷が付与されていること、および第
7には、基板がアミノシラン溶液によって表面処理され
ることを態様として提供する。
タリング対象環境が放射線である前記の環境モニタリン
グ方法を、第9には、モニタリング対象環境が化学物質
である前記の環境モニタリング方法を提供する。
じる損傷は、核酸にインターカレーターを接触させた後
モニタリング対象環境に曝し、検出、測定する環境モニ
タリング方法を、第11には、インターカレーターが蛍
光色素である前記の環境モニタリング方法を提供する。
核酸に生じる損傷を、蛍光顕微鏡、高感度CCDカメラ
および走査型プローブ顕微鏡から選択される少なくとも
1つの検出手段により検出、測定すること、第13に
は、核酸がDNAであること、および第14には、DN
Aが繊維状の環状DNAまたは繊維状の直線状DNAか
ら選択されることを前記の環境モニタリング方法の態様
として提供する。
前記のいずれかの環境モニタリング方法において用いら
れるプローブであって、少なくとも基板表面に核酸が固
定化された核酸固定化基板を有する環境モニタリング用
プローブを、また、第16には、前記のいずれかの環境
モニタリング方法において用いられるプローブであっ
て、少なくとも基板表面に核酸が固定化された核酸固定
化基板と蓋を有し、その間にインターカレーターが封入
されている環境モニタリング用プローブを提供する。
境モニタリング用プローブの製造方法であって、基板表
面に核酸を固定化することを特徴とする環境モニタリン
グ用プローブの製造方法を提供する。
記の環境モニタリング用プローブの製造方法であって、
基板表面に核酸を固定化して得られる核酸固定化基板の
表面にインターカレーターを塗布した後、蓋で覆って封
入することを特徴とする環境モニタリング用プローブの
製造方法。
基板に正電荷を付与した後、核酸含有溶液を塗布し、乾
燥させて静電的相互作用により基板表面に固定化する前
記のいずれかの環境モニタリング用プローブの製造方法
を提供し、第20には、核酸が、DNAである前記のい
ずれかの環境モニタリング用プローブの製造方法を提供
する。
を、任意の区画に分割されたDNAについて各区画を増
幅するプライマーを設計し、各区画の長さに相当する間
隔で基板上にプライマーを固定化した後、該DNAを鋳
型にDNA合成して基板表面に伸長、固定化する環境モ
ニタリング用プローブの製造方法を提供する。
前記のいずれかの環境モニタリング方法を用いて放射線
を測定するためのシステムであって、少なくとも前記の
環境モニタリング測定用プローブと、該プローブにおけ
る核酸の損傷を検出するための損傷検出手段と、検出結
果解析手段を有する環境モニタリングシステムをも提供
する。
では、DNA等の核酸に注目し、化学物質や放射線が核
酸に与える損傷の度合いを検出することにより、環境と
核酸損傷度の関係を明らかにし、化学種や線質の違いを
考慮することなく生物への損傷度を評価できるものであ
る。
たフィルムバッチやガラス線量計等では生物への影響を
間接的に予測することが可能であったが、この出願の発
明の環境モニタリング方法では、核酸への影響を直接測
定できるため、極めて正確な測定が可能となる。また、
この出願の発明の環境モニタリング方法は、核酸損傷の
検出において煩雑な生化学的操作を必要とせず、微細な
基板上に固定化した核酸を直接的に、あるいは蛍光色素
等を用いて、可視化することにより損傷を簡便に検出、
定量できる。
例に挙げれば、一般にDNAの切断は放射線量が数Gy
以下の場合でも起こるが、溶液中での吸光度変化や電気
泳動などの生化学的手法によりDNA切断を検出するに
は100Gy以上の放射線照射が必要となる。核酸の損
傷を顕微鏡等の下で直読するこの出願の発明の環境モニ
タリング方法を用いることにより、放射線の検出感度を
飛躍的に向上させることが可能なのである。同様に、化
学物質についても、基板上に固定化されたDNA等の核
酸を直接化学物質に曝露し、その損傷を直読することが
できることから、感度高い検出が可能となるのである。
上に放射線の影響を測定したい対象生物の細胞核や染色
体から得られるDNA、クローニング、あるいは合成に
より得られるDNAやRNA等の核酸や核酸類似体を固
定化し、この核酸固定化基板をモニタリングしたい環境
下に曝した後、核酸固定化基板における核酸の損傷を検
出、測定するものである。具体的には、例えば核酸とし
てDNAやRNAを用いるとき、DNA(またはRN
A)固定化基板に放射線を照射したり、化学物質を含有
する溶液を塗布したりして、DNA(またはRNA)の
断片化を蛍光顕微鏡や高感度CCDカメラ、走査型プロ
ーブ顕微鏡等で検出、測定できる。このとき、DNA固
定化基板にインターカレーターを接触させれば、DNA
の螺旋構造が歪み、モニタリング環境による損傷を受け
てDNAの切断が生じやすくなるため、好ましい。ま
た、インターカレーターとして蛍光色素を選択すれば、
核酸の損傷が可視化されるため、蛍光顕微鏡や高感度C
CDカメラ等での検出、測定が容易となる。蛍光色素で
はないインターカレーターを用いる場合には、走査型プ
ローブ顕微鏡で損傷を検出、測定できる。また、高線量
の放射線を検出する場合や、長時間にわたって放射線を
測定する場合など、目的に応じてインターカレーターは
必要ない。
おいて、核酸固定化基板を環境モニタリング用プローブ
として使用するためには、(1)核酸が絡まることなく
固定されること、(2)核酸が操作中に物理的な切断を
受けることなく、長さを保った状態にあること、および
(3)顕微鏡等の手段により観察できる程度に可視化す
ることが可能であることが必要である。したがって、D
NAを核酸として用いる場合を例示すれば、基板表面に
固定化されたDNAは、繊維状態(直鎖状)を保持して
いることが好ましく、このような条件を満たすために
は、DNAとして繊維状DNAを用いることが好まし
い。このとき、繊維状DNAは、環状であっても直鎖状
であってもよい。
しては、その材質は固定化される核酸に影響を及ぼさ
ず、モニタリング対象の環境を阻害したり、それにより
劣化したりしないものであればよく、とくに限定されな
い。ガラス基板は入手が容易で安価であり、表面処理を
施すことにより静電的にDNA等の核酸を固定化できる
ため、好ましく、シリコン基板は、フォトレジスト法等
の半導体微細加工技術を応用してDNAを伸長、固定化
できるため、好ましい。また、シリコン基板は、体の形
状に合わせた変形が可能であることから、体内の目的と
する位置での測定も可能となる。さらに、基板は、種々
の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂からなるプラスチック基
板であってもよい。これらのプラスチック基板は、表面
にエポキシドを呈示させ、核酸塩基のグアニンのアミノ
基と結合させることにより、核酸を固定化でき、好まし
い。
きさもとくに限定されない。この出願の発明の放射線測
定方法では、核酸の損傷を可視化できることから、顕微
鏡や高感度カメラ(CCDカメラ)等によって観察、検
出できる程度の大きさがあればよい。例えばガラス基板
としては、汎用のスライドガラスが適用できる。
る方法としては、DNA等の核酸を基板表面に伸長、展
開し、乾燥させる方法や化学的に結合させる方法等が考
慮される。具体的には、基板表面を化学修飾することに
より正電荷を付与させ、負電荷を有するDNAとの間に
静電的相互作用を生じさせてDNAを固定化させる方法
が好ましい。ガラス基板、シリコン基板、プラスチック
基板のいずれの場合においても、基板表面をアミノシラ
ン化することにより、正電荷を生じさせることができ
る。
しては、オンチップDNA合成反応法も考慮される。具
体的には、DNAが、任意の区画に分割されたDNAに
ついて、各区画を増幅するDNAプライマーを設計し、
各区画の長さに相当する間隔で基板上にプライマーを固
定化した後、DNA合成すれば、基板表面に伸長、固定
化された状態でDNAが合成されるのである。DNA合
成方法としては、ホットスタート法等の公知の合成手法
が適用できる。もちろん、これ以外の種々の公知または
新規の方法でDNA等の核酸を固定化してもよい。
は、得られた核酸固定化基板を化学物質、電子線、電磁
波、放射線等のモニタリング対象環境に曝し、核酸に生
じる損傷を可視化して直読することにより化学物質量、
電子線量、電磁波量、放射線量等、さらには、それらに
よる該核酸への影響を定量できるのである。可視化方法
としては、核酸固定化基板表面にインターカレータ−と
なる蛍光色素を塗布する方法が好ましく例示される。こ
のような蛍光色素を塗布した核酸固定化基板をプローブ
として用いれば、例えば、直鎖状に固定化された繊維状
DNAに一定の線量の放射線を照射した際に、繊維状D
NA上に生じる二本鎖切断を可視化でき、蛍光顕微鏡を
用いてただちに直読、定量できるのである。もちろん、
核酸は、DNAに限定されず、RNAや他の核酸類似体
であってもよく、1種に限らず、複数種を併用してもよ
い。
々のものが考慮される。例えば、インターカレーターと
してDNAのらせん構造内に取り込まれ、励起光下でD
NAを可視化する試薬等が考慮される。すなわち、DN
Aの切断を可視化できるプローブであれば、どのような
ものであってもよい。前記(1)〜(3)の条件を満た
すためには、蛍光色素は、DAPI、propidium iodid
e、YoYo-1等のインターカレーターであることが好まし
い。
は、さらに、核酸固定化基板に前記の蛍光色素溶液を塗
布し、その表面に蓋を施してもよい。蓋を施すことによ
り、塗布された蛍光色素溶液が乾固することを少なくと
も一定時間防止でき、核酸の損傷を安定に検出、定量で
きるようになる。
おりのインターカレーターにより可視化して検出される
が、検出方法としては、蛍光顕微鏡、高感度CCDカメ
ラ、および走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡等)
等の各種のものが例示される。好ましくは、断片化を蛍
光色素であるインターカレーターにより可視化し、蛍光
顕微鏡により確認し、高感度カメラにより画像化する方
法で、これにより、DNA断片化への線量や線質の影響
を比較したり、経時的な断片化を測定したりできるよう
になる。また、走査型プローブ顕微鏡を用いる場合に
は、インターカレーターが蛍光色素である必要はない。
さらに、このようにして得られた画像は、電子情報化
し、コンピューター上に保存、あるいは解析、加工して
もよい。
より環境による核酸への影響を測定するための環境モニ
タリング用プローブをも提供する。すなわち、以上の環
境モニタリングは、基板表面に核酸が固定化された核酸
固定化基板を有するプローブ、あるいは、核酸固定化基
板と蓋を有し、それらの間にインターカレーターが封入
されたプローブを用いて行われるものなのである。
境モニタリング用プローブの製造方法をも提供する。具
体的には、基板表面に核酸を固定化して核酸固定化基板
を得る、あるいはこの表面に、さらに蛍光色素の溶液を
塗布し、蓋をする。このとき、核酸の固定化方法は、前
記のDNAプライマーの固定化方法に例示されるとおり
の様々な方法が適用できる。
の放射線測定方法を用いて放射線量を測定するためのシ
ステムをも提供する。このようなシステムとしては、図
1の概略図に示されるように、少なくとも前記の環境モ
ニタリング用プローブ(1)における核酸の損傷を検出
するための顕微鏡(2)や高感度CCDカメラ(3)等
の検出手段と画像解析ソフト(4)等の検出結果解析手
段を有するものであればよい。核酸の損傷を検出するた
めの検出装置(2)としては、蛍光顕微鏡が好ましく例
示される。このようなシステムを用いることにより、前
記のとおりの環境モニタリングが簡便に、かつスムーズ
に実施できるだけでなく、コンピューター(4)上に様
々な化学物質や放射線質、化学物質量や放射線量による
核酸の損傷に関するデータベースを構築することも可能
となり、これらの各種の因子による生物への直接的影響
や遺伝的影響はもとより、遺伝子治療等の研究において
も重要な知見が得られ、有用であるといえる。
し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明す
る。もちろん、この発明は以下の例に限定されるもので
はなく、細部については様々な態様が可能であることは
言うまでもない。
て、入手が容易で観察に適した長さをもつλファージD
NA(宝酒造株式会社製)を用いた。また、蛍光色素と
しては、蛍光顕微鏡下での断片化DNAの直接観察が可
能となる蛍光強度を有するYoYo-1(フナコシ株式会社
製、YoYo-1 Iodide)を用いた。
和光純薬工業株式会社製のものを用いた。 <実施例1>スライドガラス(松浪硝子工業株式会社7.
6cm×2.6cm×0.8mm)を5%水酸化カリウム溶液
中で30分間超音波洗浄した後、イオン交換水で30
分、超純水でさらに30分間洗浄した。洗浄後のガラス
を80℃のオーブン中で乾燥し、過酸化水素液・硫酸混
合液(過酸化水素液(30%):硫酸(36N)=1:
2)中で20分間処理した。超純水で洗浄した後、アミ
ノシラン溶液(エタノール:超純水:γ−アミノプロピ
ルエトキシシラン=500:500:1)中で1時間処
理し、エタノールおよび超純水で洗浄して、オーブン
(120℃)にて30分乾燥した。
ァージDNA溶液(6ng/mL純水溶液)に浸漬し、
0.15mm/secの速度でアミノシラン化ガラス基
板を上昇させた、デシケーター中で乾燥させた。
Yo-1 Iodide)を1μg/mLの濃度になるように退色防
止剤(ベクターシールド:Vector社製)を用いて調製
し、得られたDNA固定化ガラス基板に滴下した後、直
ちにカバーガラス(2.4cm×2.4cm×0.12mm)を乗
せ、使用時まで遮光して保存した。
らの放射線(γ線)を照射し、DNA切断を蛍光顕微鏡
(ZEISS Axioplan2 Imaging)下で観察した。蛍光色素Y
oYo-1は491nmの光で励起し、509nm付近に蛍
光を発した。得られた画像は直ちにCCDカメラ(Prin
ceton Instruments, MODEL PTE/CCD-1401, MicroMax)
で撮影し、電子情報化して保存した。
ァージDNAの切断を見た写真を示した。作成されたD
NA線量計の放射線(γ線)に対する感受性を確認する
ために、単位長さ(48.5kb、16.5μm)あた
りの切断数を数え、DNAの損傷度を評価した。
係を示した。放射線照射線量と単位長さあたりのDNA
の切断数には相関が認められた。また、図4に、0〜
6.0Gyの範囲における放射線照射線量とDNA切断
数の関係を示した。 <比較例1>50μLλファージDNA溶液(3μg/
mL純水溶液)に60Coからの放射線(γ線)を照射
し、得られた溶液を、アガロースゲルを用いて電気泳動
した。
yでDNAの損傷が確認され、500GyでDNAが完
全に消失した。したがって、電気泳動法による検出範囲
は、100Gy以上であることが示された。
いると、0.1Gyの線量でも検出が可能であることか
ら(図4)、放射線検出感度は溶液状態のものを電気泳
動で調べる方法に比べて極めて高いことが確認された。 <実施例2> オンチップDNA合成によるDNA固定
化基板の作成 シリコン基板にフォトレジスト法によりパタニングし、
アビジン結合部位をアルミ蒸着により保護した。
し、得られた処理基板を30分間処理した後、超音波洗
浄(30分)し、MilliQイオン交換水でさらに洗浄し
た。過酸化水素液・硫酸混合液(過酸化水素液(30
%):硫酸(36N)=1:2)中で10分間処理した
後、イオン交換水で10分間洗浄し、さらに、アミノシ
ラン溶液(エタノール:超純水:γ−アミノプロピルエ
トキシシラン=50:50:1)中で1時間、エタノー
ルで10分間処理した。その後120℃で30分間熱処
理し、得られた基板に、マイクロマニピュレーターを用
いてビオチン化DNAプライマーを添加した。
状に固定化されたことが確認された。
より、化学物質や放射線等の環境因子の核酸への影響を
精度高く直接測定できる新規なモニタリング方法が得ら
れた。
た概略模式図である。
より切断されたDNAを蛍光顕微鏡で観察した写真に代
わる図である。
λファージDNA単位長さあたりの切断数の関係を示し
た図である。
Gyの範囲での放射線照射線量とDNA切断数の関係を
示した図である。
より、DNA損傷を確認した際のアガロースゲルの写真
に代わる図である。
Claims (22)
- 【請求項1】 核酸および核酸類似体からなる群より選
択される少なくとも1種の核酸を基板に固定化した核酸
固定化基板をモニタリング対象環境に曝し、該基板上の
核酸に生じる損傷を検出、測定することを特徴とする環
境モニタリング方法。 - 【請求項2】 核酸固定化基板は、核酸と基板表面の静
電的相互作用により固定化されている請求項1の環境モ
ニタリング方法。 - 【請求項3】 基板は、ガラス基板である請求項1また
は2のいずれかの環境モニタリング方法。 - 【請求項4】 基板は、シリコン基板である請求項1ま
たは2のいずれかの環境モニタリング方法。 - 【請求項5】 基板は、プラスチック基板である請求項
1または2のいずれかの環境モニタリング方法。 - 【請求項6】 基板は、表面処理により、正電荷が付与
されている請求項1ないし5のいずれかの環境モニタリ
ング方法。 - 【請求項7】 基板は、アミノシラン溶液によって表面
処理される請求項6の環境モニタリング方法。 - 【請求項8】 モニタリング対象環境は放射線である請
求項1ないし7の環境モニタリング方法。 - 【請求項9】 モニタリング対象環境は化学物質である
請求項1ないし7の環境モニタリング方法。 - 【請求項10】 核酸に生じる損傷は、核酸にインター
カレーターを接触させた後モニタリング対象環境に曝
し、検出、測定する請求項1ないし9の環境モニタリン
グ方法。 - 【請求項11】 インターカレーターが蛍光色素である
請求項10の環境モニタリング方法。 - 【請求項12】 核酸に生じる損傷は、蛍光顕微鏡、高
感度CCDカメラおよび走査型プローブ顕微鏡から選択
される少なくとも1つの検出手段により検出、測定する
請求項1ないし11の環境モニタリング方法。 - 【請求項13】 核酸はDNAである請求項1ないし1
2のいずれかの環境モニタリング方法。 - 【請求項14】 DNAは繊維状の環状DNAまたは繊
維状の直線状DNAから選択される請求項13の環境モ
ニタリング方法。 - 【請求項15】 請求項1ないし14のいずれかの環境
モニタリング方法において用いられるプローブであっ
て、少なくとも基板表面に核酸が固定化された核酸固定
化基板を有することを特徴とする環境モニタリング用プ
ローブ。 - 【請求項16】 請求項1ないし14のいずれかの環境
モニタリング方法において用いられるプローブであっ
て、少なくとも基板表面に核酸が固定化された核酸固定
化基板と蓋を有し、その間にインターカレーターが封入
されていることを特徴とする環境モニタリング用プロー
ブ。 - 【請求項17】 請求項15の環境モニタリング用プロ
ーブの製造方法であって、基板表面に核酸を固定化する
ことを特徴とする環境モニタリング用プローブの製造方
法。 - 【請求項18】 請求項16の環境モニタリング用プロ
ーブの製造方法であって、基板表面に核酸を固定化して
得られる核酸固定化基板の表面にインターカレーターの
溶液を塗布した後、蓋で覆って封入することを特徴とす
る環境モニタリング用プローブの製造方法。 - 【請求項19】 核酸は、基板に正電荷を付与した後、
核酸含有溶液を塗布し、乾燥させて静電的相互作用によ
り基板表面に固定化する請求項17または18のいずれ
かの環境モニタリング用プローブの製造方法。 - 【請求項20】 核酸は、DNAである請求項17ない
し19のいずれかの環境モニタリング用プローブの製造
方法。 - 【請求項21】 DNAは、任意の区画に分割されたD
NAについて各区画を増幅するプライマーを設計し、各
区画の長さに相当する間隔で基板上にプライマーを固定
化した後、該DNAを鋳型にDNA合成して基板表面に
伸長、固定化する請求項20の環境モニタリング用プロ
ーブの製造方法。 - 【請求項22】 請求項1ないし14のいずれかの環境
モニタリング方法を用いて放射線を測定するためのシス
テムであって、少なくとも請求項15または16の環境
モニタリング測定用プローブと、該プローブにおける核
酸の損傷を検出するための損傷検出手段と、検出結果解
析手段を有することを特徴とする環境モニタリングシス
テム。
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---|---|---|---|
JP2001193075A JP4276390B2 (ja) | 2001-06-26 | 2001-06-26 | 核酸を用いた環境モニタリングシステム |
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WO2007114512A1 (en) * | 2006-03-31 | 2007-10-11 | Canon Kabushiki Kaisha | Method for detecting target substance and target-substance detection kit |
-
2001
- 2001-06-26 JP JP2001193075A patent/JP4276390B2/ja not_active Expired - Lifetime
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WO2007114512A1 (en) * | 2006-03-31 | 2007-10-11 | Canon Kabushiki Kaisha | Method for detecting target substance and target-substance detection kit |
JP2008151761A (ja) * | 2006-03-31 | 2008-07-03 | Canon Inc | 標的物質検出方法および標的物質検出キット |
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