JP2002539011A - 車両用シートにおける、又は、車両用シートに関する改良 - Google Patents

車両用シートにおける、又は、車両用シートに関する改良

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Abstract

(57)【要約】 車両用シート（１）は、複数のレール（２）にスライド可能に装着されている架台（５）に支持されたサブフレーム（７）を有する。このシートのサブフレーム（７）は、前記シートの後部に対し位置するピボット（１２）にピボット回転可能に支持されている。前記シートの前部側に設けられたリンク機構（１４，１７）が動的エネルギー吸収デバイス（２１）の一端に連結し、該デバイスの他端は、所定位置に固定されている。後部に衝撃を受けたとき、前記シートは、ピボット軸（１２）まわりを回動し、この回動運動は、前記動的エネルギー吸収要素（２１）により抵抗を受ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 この発明は、車両用シートに関し、さらに詳しくは、自動車のようなモータ
ービークルに使用される車両用シートに関する。
【０００２】 後部衝撃を受けたとき、好ましくは、ピボット回転し、又は、傾いて車両後
方へ動く車両用シートを提供することが以前から提案されている。
【０００３】 ＧＢ−Ａ−１，２２８，６５７は、このタイプのシートを記載しており、こ
のシートにおいては、シートの主体が車両の床にピボット連結され、該シートの
前側部が動的エネルギーを吸収するデバイスにより車両の床に連結されている。
この構成は、後部衝撃の際、前記シートが該シートと車両の床とのピボット連結
部を回転中心として後方へ回動する一方、前記デバイスが動的エネルギーを吸収
し、延びるようになっているものである。
【０００４】 後部衝撃を含む事故で傷害を受ける乗員の危険度は、このようなタイプのシ
ートが使用されていれば、低下するものと思えわれるもので、この発明は、改良
された車両用シートを提供しようとするものである。
【０００５】 ＧＢ−Ａ−１，２２８，６５７に示された動的エネルギーを吸収するデバイ
スは、丁度シートの前側においてシートの前部側から自動車の床へ延びており、
したがって、シートに座る人の足の邪魔になってしまう。さらに図解された前記
デバイスは、所望の傾斜度になるために、かなりの長さのものにならざるを得な
い。
【０００６】 この発明によれば、車両用シートが提供され、このシートは、該シートの下
側に配置された支持構造体と該支持構造体の上に配置されたクッション座部とを
備え、前記シートは、さらに、前記シートの後部側から実質的に上方へ立ち上が
っている背もたれ部を含んでいて、前記シートのクッション座部の後部側を前記
支持構造体にピボット連結する手段が設けられ、前記シートのクッション座部が
上方へ傾くと同時に前記シートの背もたれ部が後方へ傾くように構成され、前記
シートが傾斜運動するとき、動的エネルギーを吸収するようになっている動的エ
ネルギー吸収手段が設けられており、この動的エネルギー吸収手段は、前記シー
トのクッション座部の下側に配置され、その吸収手段の一端がピボットリンク機
構の一つの要素に連結し、このピボットリンク機構は、前記支持構造体と前記シ
ートのクッション座部の前部側との間に延びているものである。
【０００７】 好ましくは、前記支持構造体は、車両の床にある複数のレールにそってスラ
イド可能に装着された架台を備える。
【０００８】 実用的には前記ピボットリンク機構は、二つの要素を備え、一方の要素は、
前記支持構造体にピボット連結され、さらに、他方の要素にピボット連結されて
おり、他方の要素は、前記シートのクッション座部にピボット連結されている。
【０００９】 有利には、前記一方の要素は、三つのピボットポイントを区画しており、こ
れらポイントは、三角形体の隅部に位置し、一つのピボットポイントが前記支持
構造体に連結し、二つ目のピボットポイントが他方のピボット要素に連結され、
第３のピボットポイントが前記動的エネルギー吸収手段に連結する構成になって
いる。
【００１０】 前記動的エネルギー吸収手段の一端が前記支持構造体に連結されていること
が好ましくい。
【００１１】 一つの実施の態様においては、前記動的エネルギー吸収手段は、ピストンと
シリンダーデバイスとを備えている。
【００１２】 また別に、前記動的エネルギー吸収手段は、円弧状をした金属プレートから
なる。
【００１３】 実用的には、円弧状の金属プレートは、その円弧体の内側縁部にノッチ又は
凹部が設けられていて、機械的な脆さを有している。
【００１４】 好ましい実施の態様においては、前記支持構造体と前記シートのクッション
座部の後部とのピボット連結ポイント及び前記リンク機構と前記シートのクッシ
ョン座部の前部側とのピボット連結ポイントは、前記シートのクッション座部に
対する相対位置を調節できるようになっていて、前記シートのクッション座部の
位置又は向きが調節可能になっている。
【００１５】 この発明をさらに容易に理解できるようにするため、そして、そのさらなる
特徴が理解されるよう、この発明を添付の図面を参照しての例によって説明する
ものである。
【００１６】 添付図面の図１を参照すると、車両用シート１が設けられており、これは、
レール２上に装着され、このレース２は、脚部３，４を有し、該手段により前記
レールが自動車の床に取り付けられている。架台５が設けられていて、これは、
レール２に装着され、該レール２にそってスライドできるようになっている。架
台５は、前記シート１の支持構造体として作用する。
【００１７】 前記シート１は、クッション座部６を有し、このクッション座部は、サブフ
レーム７を備え、このサブフレームは、以下に詳細に説明するように、架台５に
より支持されている。前記シート１は、また、ヘッドレスト９を有する背もたれ
部８を有している。前記背もたれ部は、クッション座部６の後部側から上方へ立
ち上がっている。図１においては、前記シートには、着座者１０が着座して示さ
れている。
【００１８】 図２を参照すると、架台５の後端部には、直立したほぼ三角形をした脚部１
１が設けられていることが分かる。この脚部の上位部分がピボットピン１２を支
持していて、該ピボットピンが前記サブフレーム７にピボット係合するようにな
っている。図示の実施の態様においては、前記ピボットピン１２は、サブフレー
ム７に設けられている垂直の楕円形状になった長細いスロット又は開口１３には
まる構成になっており、ある一つのメカニズム（図示せず）が設けられて、前記
スロット１３内におけるピボットピン１２の位置を選択的に調節し、サブフレー
ム７の後部側を架台５に対し上下して、前記シートのクッション座部６の位置を
調節するようになっている。
【００１９】 架台５の前部側には、三角形の連結プレート１４が設けてある。この連結プ
レート１４の下位の右手側隅部は、ピボット１５により架台５にピボット連結さ
れている。前記プレート１４の下位の左手側隅部は、ピボット１６により長いレ
バーアーム１７の一端に連結されており、このレバーアーム１７の他端は、サブ
フレーム７にピボット連結するピボットピン１８を有している。ピボットピン１
８は、サブフレーム７に形成された垂直の長細いスロット又は開口１９にはまる
ようになっている。ある一つのメカニズム（図示せず）が設けられて、長細い開
口１９内におけるピン１８の位置を選択的に調節し、サブフレーム７の前部側を
上下させ、前記シートのクッション座部６の位置を調節することができるように
なっている。
【００２０】 前記三角形の連結プレート１４の最上位の隅部は、ピボット２０により、概
ね長くなっている動的エネルギー吸収機構２１に連結し、この機構の他端は、ピ
ボットピン２２により、直立した三角形の脚部１１に近接した位置で架台５に連
結している。このようにして、前記三角形の連結プレートは、三つのピボット軸
を有し、これらピボット軸は、概念的に三角形の隅部に位置する。
【００２１】 この発明の実施の態様においては、前記の動的エネルギー吸収手段は、ピス
トンに適合したシリンダー２３を備え、このピストンは、ピストンシャフト２４
を有している。前記シリンダーには、粘性がある流体が納められており、前記ピ
ストンには、貫通孔が設けられている。しかしながら、明らかなことではあるが
多くの異なるタイプの動的エネルギー吸収デバイスを用いることができる。
【００２２】 ここに記載のシートを装着した自動車が後部から衝撃を受けたとき、自動車
のフロアーのパン（床板部）は、前方へ動き、これによって、レール２と架台５
とが前方へ動くことを認識されたい。この結果、サブフレーム７と前記シートの
クッション座部６とは、前方へ動くようになり、前記シートの着座者１０に前向
きの加速力が働く。前記シートの着座者の胴体は、かなりの慣性力をもつことに
なり、この結果、前記シートの着座者の胴体は、前記シートの背もたれ部に対し
、実質的に相対的な後方への力を効果的に与えることになる。ここに記載の実施
の態様においては、これによって前記シートは、脚部５に支持したピボットピン
１２により定められたピボット軸まわりを回動すようになり、前記フレームの前
側部分が上方へ上がる。この結果、前記シートは、図３に示すような位置に向か
ってピボット回動するようになる。
【００２３】 前記シートがピボット回動するにつれ、前記レバーアーム１７は、サブフレ
ーム７で上方へ引かれ、かくして、三角形のプレート１４は、ピボット軸１５を
回転軸として回動することが分かる。これにより、三角形のプレート１４のピボ
ット軸２０を動的エネルギーのアブソーバー２１が連結されているピボット軸２
２方向へ動かし、かくして、動的エネルギーのアブソーバー２１を圧縮し、その
結果、動的エネルギーを動的エネルギーのアブソーバー２１が吸収する。
【００２４】 前記レバーアーム１７と三角形のプレート１４との組み合せは、前記サブフ
レーム７の上昇運動によるピボットピン１８の動きが前記三角形のプレート１４
におけるピボットピン２０の結果としての動きよりもはるかに大きいとき、一つ
のギアリング機構として作用する点に注目すべきである。該ギアリング機構は、
かくして、機械的利点を与える。当然のことではあるが、それは、前記動的エネ
ルギーのアブソーバーにより実際に抵抗を受ける三角形のプレート１４における
ピボットピン２０の動きである。かくして、前記レバーアーム１７と、ピボット
回転可能に装着のプレート１４との組み合わせにより構成された前記ギアリング
機構により、比較的小形の動的エネルギーのアブソーバーの使用が可能になる。
【００２５】 ここに記載した実施の態様においては、動的エネルギーのアブソーバー２１
は、前記シートのクッション座部の下側に装着されており、したがって、前記シ
ートに着座している人の邪魔に一切ならない点が注目される。前記動的エネルギ
ーのアブソーバーは、ある長さ寸法を有しているから、前記シートのクッション
座部の下側に実質的に水平状態で具合よく装着される。
【００２６】 図１から図３について一つの実施の態様を記載したが、図４に示すこの発明
の代替の実施の態様には、動的エネルギーのアブソーバーの異なる態様のものが
使用されている。
【００２７】 図４の実施の態様においては、シート１、架台３及びサブフレーム７といっ
た種々の部品は、図１から図３について記載した実施の態様のものと同じであっ
て、同一の符号を付し、改めて説明しない。
【００２８】 図４の実施の態様においては、動的エネルギーのアブソーバーは、長く弓な
りに反った円弧形状の金属プレート３１を備え、三角形のプレート１４の一つの
隅部にピボット２０によりピボット連結した一端と、架台５にしっかり連結され
た三角形の取り付け脚部３３にピボット３２によりピボット連結した他端とを有
している。
【００２９】 弓なりに反った円弧形状の部材３１においては、実質的に”Ｖ”形状のノッ
チ、凹部又は切り込み３４が該円弧の内側縁部の実質的に中間の位置に設けられ
ている。これによって、機械的に比較的脆弱な部分が設けられる。
【００３０】 前記の部品類は、前記シートが正常な状態にあるときには、図示の位置にあ
る。後部から衝撃が加えられたとき、上記したような状態で、サブフレーム７が
ピボットピン１２により定められた軸を回転軸として回転し、サブフレーム７の
前部側が持ち上がる。これで再びレバーアーム１７と三角形のプレート１４とに
より構成されたギアリング機構がそれらのピボット連結部を中心として図３に示
すような状態へ回動する。三角形のプレート１４とレバーアーム１７とにより構
成のギアリング機構がピボット回転すると、前記円弧形状の部材３１は、変形し
て、円弧形状の部材３１の両端は、相対する方向へ引かれる。この変形は、主と
して前記”Ｖ”形状の切り込み３４に隣接する領域に発生する。
【００３１】 この実施の態様においては、前記動的エネルギー吸収要素は、これも前記シ
ートのサブフレーム７の下側に配置され、三角形のプレート１４とレバーアーム
１７とによるギアリング又は機械的利点によっても比較的小形の動的エネルギー
吸収要素を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明によるシートの側面図で、シートの着座者を図示し、該シ
ートは、最初の位置で示されているもの。
【図２】第１の位置における図１のシートの一部の拡大図。
【図３】後部衝撃が発生した後の前記シートを示す図２に相当する図。
【図４】この発明の代替の実施の態様を図解する図２に相当する図。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】車両用シートであって、このシートは、該シートの下側に配置
    された支持構造体と該支持構造体の上に配置されたクッション座部とを備え、前
    記シートは、さらに、前記シートの後部側から実質的に上方へ立ち上がっている
    背もたれ部を含んでいて、前記シートのクッション座部の後部側を前記支持構造
    体にピボット連結する手段が設けられ、前記シートのクッション座部が上方へ傾
    くと同時に前記シートの背もたれ部が後方へ傾くように構成され、前記シートが
    傾斜運動するとき、動的エネルギーを吸収するようになっている動的エネルギー
    吸収手段が設けられており、この動的エネルギー吸収手段は、前記シートのクッ
    ション座部の下側に配置され、その吸収手段の一端がピボットリンク機構の一つ
    の要素に連結し、このピボットリンク機構は、前記支持構造体と前記シートのク
    ッション座部の前部側との間に延びているもの。
  2. 【請求項２】前記支持構造体は、車両の床に設けられた複数のレールにそっ
    てスライド可能に装着された架台を備える請求項１によるシート。
  3. 【請求項３】前記ピボットリンク機構は、二つの要素を備え、一方の要素は
    、前記支持構造体にピボット連結され、さらに、他方の要素にピボット連結され
    ており、他方の要素は、前記シートのクッション座部にピボット連結されている
    請求項１又は請求項２によるシート。
  4. 【請求項４】前記一方の要素は、三つのピボットポイントを区画しており、
    これらポイントは、三角形体の隅部に位置し、一つのピボットポイントが前記支
    持構造体に連結し、二つ目のピボットポイントが他方のピボット要素に連結され
    、第３のピボットポイントが前記動的エネルギー吸収手段に連結する構成になっ
    ている請求項３によるシート
  5. 【請求項５】前記動的エネルギー吸収手段の一端が前記支持構造体に連結さ
    れている前記請求項のいずれか一つによるシート。
  6. 【請求項６】前記動的エネルギー吸収手段は、ピストンとシリンダーデバイ
    スとを備えている前記請求項のいずれか一つによるシート。
  7. 【請求項７】前記動的エネルギー吸収手段は、円弧状をした金属プレートか
    らなる請求項１から請求項５のいずれか一つによるシート。
  8. 【請求項８】前記円弧状の金属プレートは、その円弧体の内側縁部にノッチ
    又は凹部が設けられていて、機械的な脆さを有している請求項７によるシート。
  9. 【請求項９】前記支持構造体と前記シートのクッション座部の後部とのピボ
    ット連結ポイント及び前記リンク機構と前記シートのクッション座部の前部側と
    のピボット連結ポイントは、前記シートのクッション座部に対する相対位置を調
    節できるようになっていて、前記シートのクッション座部の位置又は向きが調節
    可能になっている前記請求項のいずれか一つによるシート。
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