JP2002536295A - 金属ペプチド組合せライブラリ及びその利用法 - Google Patents

金属ペプチド組合せライブラリ及びその利用法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属ペプチド組合せライブラリと、ライブラリ並びに金属ペプチドの提供方法が開示されている。これらは生物学及び薬学的に利用できるものである。 【解決手段】この組合せライブラリはペプチド、ペプチド擬似体並びにペプチド類似構造体から提供され、その金属結合領域を含んでいる。この領域には少なくとも1個の直交硫黄保護基が含まれており、そこではペプチド、ペプチド擬似体または構造体は硫黄の脱保護及び金属イオン結合領域の金属イオンとの複合化で構造的に固定される。その後に、ライブラリはスクリーン処理され、望む特異性と親和性とを備えたものが選択される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
関連出願 本願は1998年12月14日出願の米国特許仮出願第60/112235号
「金属ペプチド組合せライブラリ及びその利用法」の優先権を主張する。
【0002】 本願は、1996年6月5日出願の米国特許出願第08/660697号「構
造的に決定された金属構造とその利用法」並びに1999年4月6日に発行され
た米国特許第5891418号「ペプチド-金属イオン薬剤構造及びその利用法
」に関連する。
【0003】 発明の背景 本願発明は固相及び溶相の金属ペプチドコンビナトーリアルライブラリー、金
属イオン複合体ペプチドミメティック並びペプチド様コンビナトーリアルライブ
ラリー及び金属構造コンビナトーリアルライブラリー(各ライブラリ構成物質の
少なくとも一部は金属イオンとの複合体化で形態的に規制されている)並びにそ
の使用法及び製造法に関する。本願発明はそのようなライブラリを合成して組み
合わせる方法、並びに、対象ターゲット分子を結合できるか、対象の生物活性を
仲介できるライブラリ構成物質の識別及び特徴付け方法にも関する。
【0004】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
背景技術 「ペプチドライブラリーとコンビナトーリアル化学」 米国特許出願第08/660697号は金属ペプチドに関する一般的な組合せ
化学を教示している。これには迅速な薬剤発見のための認知されたツールである
従来技術が含まれる。ペプチドライブラリーと他の小型分子はその膨大な数の構
造的に多様な分子と共にリード発生(lead generation)とリード最適化(lead opt
imization)の両方に適している。多様な分子種のライブラリーは文献において記
述されており、薬剤発見のためにスクリーニングされてきた。それらにはペプチ
ド、ペプトイド(peptoids)、ペプチドミメティック、オリゴヌクレオチド、ベン
ゾジアゼピン及び他の小型有機分子のライブラリーが含まれる。
【0005】 化学合成及び遺伝子技術を含んで、構造的に多様な化学化合物のライブラリー
の構築には様々な取り組みが実行されてきた。化学的に合成されるライブラリー
は一般的溶液化学手段や固体相法によって合成されてきた。従来のペプチド型ラ
イブラリのデザイン法、合成法、スクリーニング及び評価法は多数の文献記事で
再検討されている。例えば、Pinilla C等の「Biopolymer」(Peptide Sci)(3
7:221-240、1995年)、Lebl M等の「Biopolymer」(Peptide Sci)
(37:177-198、1995年)、Lam KS等の「Chemical Reviews」(
97:411-448、1997年)、Smith GPとPetrenko GPの「Chemical
Reviews」(97:391-410、1997年)、Nefzi A等の「Chemical Re
views」(97:449-472、1997年)、Holmes CP等の「Biopolymer
」(Peptide Sci)(37:199-211、1995年)、及びMoran EJ等の
「Biopolymer」(Peptide Sci)(37:213-219、1995年)を参照。
【0006】 「空間的処理可能な平行合成固相結合ライブラリー」 ペプチドまたは他の小型分子のライブラリの化学構造を提供する様々な方策も
確立されている。1つの方策は、1つの化合物またはサブセットの化合物の固体
表面上での位置を知ることができるように所定の様式で固体相または固体面上に
おいて平行状態で空間的に分離している化合物の合成が関与するものである。最
初のそのような方法はペプチドエピトープマッピングのためにGeysenによって開
発された(Geysen HM、Meloen RH、Barteling SJ、Proc.Natl.Acad.Sci.U
SA81:3998-4002、1984年)。この方法は所定の様式の複数のポ
リプロピレンピンチップ上でのペプチドライブラリーの様々なセット及びサブセ
ットの合成が関与する。しかし、この方法による10000個以上の分子のライ
ブラリーの構築は面倒であり、時間もかかる。光利用空間処理可能な平行化学合
成技術(light-directed spatially addressable parallel chemical synthesis
technique)(Fodor SPA等:Science251:767-773、1991年)は
、ボロシリケートガラス顕微鏡スライドのごとき固体表面上でのペプチド合成の
フォトリトグラフ技術を利用しており、所定の様式の100000個以上の空間
的に分離された化合物を含んだライブラリを構築するさらに優れた方法である。
しかしながら、単純なペプチドよりも構造の多様性に富んだライブラリーの合成
は、光の異なる波長でクリーブ処理できる直交フォトラビル保護基(orthogonal
photolabile protecting group)の開発が必要である。さらに、これらライブラ
リを搭載した固体表面も、ライブラリースクリーニング分析で結合親和性に大き
な影響を及ぼすことが報告されている(Cho CY等、Science261:1303-
1305、1993年;Holmes CP等、Biopolymers37:199-211、1
995年)。
【0007】 米国ミシガン州アンアーバのワーナ・ランバートカンパニーのパーク・デービ
ス薬剤研究部門のDeWittと共同研究員によって設計されたDIVERSOMER
装置は固相での小型有機分子ライブラリーの平行合成の便利な自動化方法を提供
する(DeWitt SH等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6909-6913、19
93年;米国特許第5324483号;DeWitt SH等、Acc Chem Res29:1
14-122、1996年)。小型有機分子ライブラリの固体相合成のための概
念的に類似した別装置はMeyersと共同研究員によって報告されている(Meyers
HV他、Molecular Diversity1:13-20、1995年)。
【0008】 「プール化及び分割化合成手法(Pooling and Split Synthesis Strategies)」 大型の化合物ライブラリーは各合成ステップで等モル反応体を使用するプール
化手法によって提供できる(Geysen HM等、Mol Immunol23:709-715
、1986年)。あるいは、好適にはそれぞれのカプリング反応でそれらの反応
性に従って混合物の様々な反応体の相対的濃度を調整することで提供できる(Os
tresh JM他、Biopolymers34:1681-1689、1994年;米国特許第
5010175号、Rytter WJ及びSanti DV)。1つの手法では、等モルの
化合物の混合物は等量で樹脂を分割させることで得られる。それぞれの混合物は
種々なモノメリック試薬のそれぞれと別々に反応される。樹脂は混合され、次の
結合のために処理され、個々の試薬と別々に反応させるために再び等量に分割さ
れる。このプロセスは望むオリゴマー長とサイズのライブラリーを得るために必
要な回数を反復される。この手法はFurka等とLam等の「1ビーズ、1ペプチド」
手法の基礎でもある(Furka 等、Int.J.Peptide Protein Res.37:487、1
991年;Lam KS等、Nature誌354:82-84、1991年、Lam KS等
、Nature360:768、1992年)。これはアミノ酸配列を利用してバイオ
アッセイのヒットビーズのペプチドの一次構造を確認するものである。さらに効
率よくそれらライブラリーの分割合成を実行するために自動システムが開発され
ている(Zukermann RN等、Peptide Res5:169-174、1992年;Zuke
rmann RN等、Int J Peptide Protein Res40:497-506、1992年)
。これら樹脂結合ライブラリーで時折見られる共通の人工物はバイオアッセイで
のいくらかの固相結合化合物によって変性されたターゲット特異的親和性である
。これは完全に誤解を招く結果となり得る。
【0009】 別の手法は溶解性ライブラリーの構築に関する(Houghten RA等、Proc
Natl Sci USA82:5131-5135、1985年;Berg等、J Am Chem Soc
111:8024-8026、1989年;Dooley CT等、Science266:2
019-2022、1994年、Blondelle SE、Antimicrob Agents Chemother
38:2280-2286、1994年、Panilla C、Biopolymers37:221
-240、1995年)。この手法は、当初にランダム化されたアミノ酸のポジ
ションが全て定義されるまで反復的再合成とバイオアッセイ処理の脱渦巻きプロ
セス(deconvolution process)が関与する。この手法に対してはいくつかの改良
が行われてきた。それにはTartarと共同研究者が実施した直交プール(orthogona
l pools)を含んだ2つのライブラリーの共同合成(co-synthesis)が含まれており
、反復的再合成と反復的評価の必要性を排除している(Deprez B等、J Am Chem
Soc117:5405-5406、1995年)。Houghtonと共同研究者によっ
て考案されたポジションスキャニング法は反復的再合成を排除する(Dooley C
T等、Life Sci52:1509-1517、1993年;Pinilla C等、Biotech
niques13:901-905、1992年;Pinilla C等、Drug Dev Res33:
133-145、1992年)。この手法と前述の分割式合成法との組合せも解
説されている(ErbE等、Proc Natl Acad Sci USA91:11422-11426
、1994年)。この溶解性ライブラリー手法の主たる限定要因は高親和性系へ
の適用性である。溶液内の多量な化合物はそれぞれ生物活性に影響を及ぼすこと
があるライブラリーの全化合物数によって影響を受けることがある。この理由で
、どのプールであろうと高活性化合物が現実に最も可能性が高い分子であるとは
限らなくなる。ライブラリ内の構成物質の一部に妥当な溶解性がなければ、この
現象にさらに影響が及ぶであろう。実際に、いくつかのライブラリーにおいては
、最も活性が高いペプチドは最も活性が高いライブラリープールで特定すること
ができなかった(Dooley CT等、Life Science52:1509-1517、19
93年;EichlerJ、in Proc.23rd Eur.Peptide Symp. ,Berga,Sept.1994年
、ポスター198;WyattJR、Proc Natl Acad Sci USA91:1356-136
0、1994年)。
【0010】 ランダムライブラリーで積極的にヒットさせるために構造の決定を行う様々な
手法が開発された。例えば、米国特許第5698301号参照。固相ライブラリ
ーにおいて、直接分析態様(direct analytical modalities)には、ペプチドライ
ブラリーのエドマン分解、オリゴヌクレオチドライブラリーのDNA配列及びマ
トリックス結合化合物に対する様々なマススペクトロメトリ技術が含まれる。ラ
イブラリー構築中にそれぞれの合成ステップで一連の部分的にエンドキャップ(e
nd-capped)された化合物を創出させる技術は、マススペクトロメトリーによって
それらの明瞭な特定を助けるYoungquist RS等、J Am Chem Soc117:390
0-3906、1995年;Youngguist RS等、Rapid Commun Mass Spectr8:
77-81、1994年)。粒子の固体相マトリックスへ共有結合された化合物
の直接マススペクトロメトリー分析(direct mass spectrometry analysis)もマ
トリックス利用レーザ解着/イオン化(MALDI:matrix-assisted laser deso
rption/ionization)技術を使用して可能である(Siuzdak G等、Bioorg Med Ch
em Lett6:979、1996年;Brown BB等、Molecular Diversity1:4-
12、1995年)。これらの分析技術に加えて、有機分子ベースライブラリー
の構造解明のために様々なエンコード手法が考案された。それらにはDNAエン
コード化、ペプチドコード化、ハロ芳香タグエンコード化(haloaromatic tag en
coding)、高周波トランスポンダに基いたエンコード化等の非ペプチド及び非ヌ
クレオチドライブラリも含まれている。米国特許第5747334号参照。
【0011】 前述のライブラリーのほとんどは“ランダム”ライブラリーと呼ばれる。なぜ
なら、非常に大きな構造的及び形態的多様性が存在するからである。比較的に限
定されて偏った構造のライブラリも報告されている。構造的に共通なテンプレー
トに構築された形態的に剛性である化合物のライブラリの例は、ベンゾジアゼピ
ン、β-ラクタム、β-ターンミメティックス、ジケトピペラジン、イソキノリン
、ジヒドロ及びテトラヒドロイソキノリン、1,4ジヒドロピリジン、ヒダント
イン、ピロリジン、チアゾリジン-4-カルボン酸、4-チアゾリジン、及び関連
4-メタチアザノン及びイミダゾールである。
【0012】 様々なクラスの小型分子ライブラリーの中でペプチドライブラリーは最も融通
性がある。なぜなら、天然アミノ酸の使用による構造多様性、多彩な“デザイナ
ー”アミノ酸の採用、並びにペプチド合成を達成させる高効率性と容易性とが提
供されるからである。さらに、ペプチドベースライブラリーでの別レベルの構造
多様性が、ライブラリーの合成後の改良によって加えられた。これらの改良には
、ペルメチル化(permethylation)、アシル化(acylation)、側鎖官能性の官能化(
functionalization of the side chain functionality)及びN-末端の還元アミ
ノ化が含まれている。
【0013】 1つの特定生物学的ターゲットに対して特にカスタム化された多くのライブラ
リーも報告されている。これらライブラリーは一般的に、ターゲット限定反応を
引き出すために必須であろうと考えられる1セットの構造的成分要素のみを組み
入れることで構築される。このクラスの報告されたライブラリーには、アスパラ
ギン酸プロテアーゼ、亜鉛プロテアーゼ、カルボニックアンヒドラーゼ阻害剤、
チロシンキナーゼ阻害剤、エストロゲンリセプターリガンド及び抗酸化剤が含ま
れる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
発明の概要(発明の開示) 本願発明は固体相上に合成された異なる配列のペプチド構成要素の組合せライ
ブラリを提供する。それぞれのライブラリ構成要素は、(A)(i)金属イオン結合
ドメインを形成し、少なくとも1個のS(Sは直交S保護基(orthogonal S-prot
ecting group)によって保護されている)を含有した少なくとも1つのアミノ酸
残基を含んだ複数のアミノ酸残基の配列と、(ii)金属イオン結合ドメインのN-
またはC-末端あるいは金属イオン結合ドメインのN-及びC-末端の両方での1
個または複数のアミノ酸残基の配列と、(iii)固体相にペプチド配列を取り付け
るクリーブ処理可能な結合とを特徴とする固体相に結合された3個以上のアミノ
酸残基のペプチド配列、並びに、(B)ライブラリーの少なくとも1個の構成要
素のペプチド配列内のアミノ酸残基の独自の選択または配列を含んでいる。この
ライブラリーでは、その直交S保護基はペプチド配列を固体相からクリーブ処理
せずに排除できるであろう。
【0015】 本願発明は固相上で合成される異なる配列のペプチドミメティック構成要素(p
eptidomimetic members)のコンビナトーリアルライブラリーをも提供する。それ
ぞれのライブラリー構成要素は、(A)(i) 金属イオン結合ドメインを形成し、
少なくとも1つのS(Sは直交S保護基によって保護されている)を含有した少
なくとも1つのアミノ酸残基またはアミノ酸残基の擬似体を含んだ複数のアミノ
酸残基、アミノ酸残基の擬似体またはそれらの組み合わせの配列と、(ii)金属イ
オン結合ドメインのN-またはC-末端あるいは金属イオン結合ドメインのN-及
びC-末端両方での1個あるいは複数個のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似体
、またはそれらの組み合わせの配列と、(iii)固体相にペプチドミメティック配
列を取り付けるクリーブ処理可能な結合とを特徴とする固相に結合された3個以
上のアミノ酸残基及びアミノ酸残基の擬似体の組合せのペプチド配列と、(B)
ライブラリーの構成要素の少なくとも1つのペプチドミメティック配列のアミノ
酸残基、アミノ酸残基の擬似体、またはそれらの組み合わせの独特な選択または
配列とを含んでいる。このライブラリーで、直交S保護基は固体相からペプチド
ミメティック配列をクリーブ処理せずに排除することができるであろう。
【0016】 本願発明は、溶液中で合成された異なる配列のペプチドまたはペプチドミメテ
ィック構成要素のコンビナトーリアルライブラリーをさらに提供する。それぞれ
のライブラリー構成要素は、(A)(i)金属イオン結合ドメインを形成し、少な
くとも1つのS(Sは直交S保護基によって保護されている)を含有した少なく
とも1つのアミノ酸残基またはアミノ酸残基の擬似体を含んだ3個以上のアミノ
酸残基またはアミノ酸残基の擬似体の組み合わせのペプチドミメティック配列と
、(ii)金属イオン結合ドメインのN-またはC-末端あるいは金属イオン結合ドメ
インのN-とC-両方の末端での1個または複数個のアミノ酸残基、アミノ酸残基
の擬似体、あるいはそれらの組み合わせの配列とによって特徴付けられる固体相
に結合された3個以上のアミノ酸残基及びアミノ酸残基の擬似体の組み合わせの
ペプチドミメティック配列と、(B)少なくとも1つのライブラリーの構成要素
のペプチドミメティック配列のアミノ酸残基、アミノ酸残基擬似体またはそれら
の組み合わせの独特な選択または配列とを含んでいる。このライブラリーと前述
の他のライブラリーとにおいて、それら構成要素は、少なくとも1つの硫黄原子
(硫黄原子は非直交S保護基で保護されている)を含有した少なくとも1つのア
ミノ酸残基またはアミノ酸残基の擬似体を有した配列を含むことができる。この
ライブラリー及び前述の他のライブラリーで、直交S保護基は非直交S保護基を
排除せずに取り除くことができるであろう。
【0017】 以上のいずれの組合せライブラリーの場合であっても、金属イオン結合ドメイ
ンは直交S保護基の除去によって金属イオンに結合するために利用が可能な少な
くとも1つのNを含むことができる。1実施例においては、この金属イオン結合
ドメインはN3S1リガンドを形成する3個の残基で成る。この直交S保護基はS
-チオ-ブチル、アセトアミドメチル、4-メトキシトリチル、S-スルフォネート
または3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニルでもよく、直交S-保護基はライブラ
リー構成要素を変更することなくさらに取り除くことができるであろう。構造的
多様性は金属イオン結合ドメイン内で発生することができ、あるいは金属イオン
結合ドメインを含んだ残基及び残基の配列は、構造的多様性が配列内の他の場所
で発生している状態で固定できる。
【0018】 ペプチドライブラリーの場合には、直交S保護基で保護されている少なくとも
1個のSを含有したアミノ酸残基はL-またはD-3-メルカプトアミノ酸でもよ
い。これにはL-またはD-システインまたはL-あるいはD-ペンシルアミンが含
まれる。ペプチドミメティック構成要素を含んだコンビナトーリアルライブラリ
ーにおいては、直交S保護基で保護された少なくとも1個のSを含んだアミノ酸
残基またはアミノ酸残基の擬似体はL-またはD-3-メルカプトアミノ酸でもよ
い。これにはL-またはD-システインあるいはL-またはD-ペンシルアミン、3
-メルカプトフェニルアナニン、2-メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン
酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト-3,3-ジメチルプロピオン酸
、3-メルカプト-3,3-ジエチルプロピオン酸、3-メルカプト,3-メチルプ
ロピオン酸、2-メルカプト,2-メチル酢酸、3-シクロペンタメスレン,3-メ
ルカプトプロピオン酸、または2-シクロペンタメスレン,2-メルカプト酢酸が
含まれる。
【0019】 本願発明はさらに金属ペプチドまたは金属ペプチドミメティックコンビナトー
リアルライブラリーを発生させる方法を含んでいる。この方法は、(A)固体相
にクリーブ処理可能に結合した化学式Aaa-MBD-Baaの複数の配列を含んだラ
イブラリを構築するステップを含んでいる。ここで、(i)MBDは少なくとも2
個のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似体またはそれらの組み合わせを含んでお
り、それら残基の少なくとも1つは、提供される金属イオンの同位球(coordinat
ion sphere)と複合するように存在する少なくとも1個の窒素原子を含んでおり
、少なくとも1つの残基は直交S保護基で保護される少なくとも1個の硫黄原子
を含んだものであり、Aaa及びBaaはそれぞれ0個から約20個のアミノ酸残基
、アミノ酸残基の擬似体、またはそれらの組み合わせを含んだものである。ここ
で、AaaとBaaの組み合わせは少なくとも1個のアミノ酸残基またはアミノ酸残
基の擬似体を含んだものであり、少なくとも2つの複数の化学式Aaa-MBD-B
aaの配列の間で、少なくともAaaまたはBaaの一方は、残基の配列または残基の
選択の少なくとも一方において異なっていることを条件とする。この方法はさら
に、(B)固相から配列をクリーブ処理することなく直交S保護基をクリーブ処
理することで直交S保護基によって保護されている硫黄原子を脱保護化させるス
テップと、(C)そのMBDに金属イオンを複合化させるステップとを含んでい
る。得られた金属イオン複合配列(metal ion-complexed sequences)は金属ペプ
チドまたは金属ペプチドミメティックコンビナトーリアルライブラリーを形成す
る。この方法はオプションで、(D)固相からその配列をクリーブ処理するステ
ップを含んでいる。
【0020】 本願発明は、溶液純化処理せずに実質的に純粋な金属ペプチドまたは金属ペプ
チドミメティックを製造する方法をさらに含んでいる。この方法は、(A)固相
にクリーブ処理可能に結合された化学式Aaa-MBD-Baaの配列を合成するステ
ップを含んでいる。ここで、(i)MBDは少なくとも2個のアミノ酸残基、アミ
ノ酸残基の擬似体、あるいはそれらの組み合わせを含んだものであり、少なくと
も1個の残基は、供給される金属イオンの同位球と複合するように存在する少な
くとも1個の窒素原子を含んだものであり、少なくとも1個の残基は直交S保護
基で保護された少なくとも1個の硫黄原子を含んだものである。さらに、(ii)A
aa及びBaaはそれぞれ0個から約20個のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似体
、あるいはそれらの組み合わせを含んだものである。この方法はさらに、(B)
固相からその配列をクリーブ処理せずに直交S保護基をクリーブ処理することで
直交S保護基によって保護されている硫黄原子を脱保護化するステップと、(C
)MBDに金属イオンを複合化させるステップと、(D)固相からその金属イオ
ン複合配列をクリーブ処理するステップと、(E)得られた実質的に純粋な金属
イオン複合配列を回収するステップとを含んでいる。
【0021】 前述のいずれの方法においても、直交S保護基で保護された硫黄原子の脱保護
ステップは、MBDに金属イオンを複合化させるステップと同時に実行すること
ができる。また、直交S保護基で保護された硫黄原子の脱保護ステップはMBD
に金属イオンを複合化させるステップに先立って実行することも可能である。両
方法において、直交S保護基で保護された硫黄原子を脱保護化するステップは、
その他のアミノ酸側鎖保護基をクリーブ処理せずに実施が可能である。両方法に
おいて、直交S保護基に保護された硫黄原子を含んだ残基はL-またはD-3-メ
ルカプトアミノ酸でよい。これには、L-またはD-システインあるいはL-また
はD-ペニシルアミン、3-メルカプトペニシルアミン、2-メルカプト酢酸、3-
メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト-3,3-
ジメチルプロピオン酸、3-メルカプト,3-メチルプロピオン酸、3-メルカプ
ト-3,3-ジエチルプロピオン酸、2-メルカプト,2-メチル酢酸、3-シクロ
ペンタメスレン,3-メルカプトプロピオン酸、あるいは2-シクロペンタメスレ
ン,2-メルカプト酢酸が含まれている。これらの方法では、MBDはN3S1リ
ガンドを形成する3個の残基でよい。直交S保護基は、S-チオ-ブチル、アセト
アミドメチル、4-メトキシトリチル、S-スルフォネートまたは3-ニトロ-2-
ピリジンスルフェニルでよい。どのような金属イオンでも採用できよう。例えば
、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Se、Y、Mo、Tc、Ru、R
h、Pd、Ag、Cd、In、Sn、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Tl、Pb、
Bi、Po、At、Sm、Eu及びGdである。
【0022】 それぞれの方法及び提供されるライブラリーで、ペプチドまたはアミノ酸配列
を金属イオンと複合化させると特定の構造的規制が得られる。それによって、構
造的に規制されたペプチド-金属イオン複合体は、天然ペプチド及びプロテイン
で普通に見られるベータターン及びガンマターンのごとき逆ターン構造のための
代用物(surrogate)として作用することができる。
【0023】 従って、本願発明の1つの目的は、天然のペプチド及びプロテインで普通に見
られるベータターンやガンマターンのごとき逆ターン構造のための代用物として
構造的に規制されたペプチド-金属イオン複合体のライブラリを提供することで
ある。
【0024】 本願発明の別目的は、ペプチド-金属イオン複合体の組合せペプチドライブラ
リーを提供することであり、ここでは、ペプチドは金属イオン結合ドメインを含
んだものであり、金属複合化で特定の形態的構造が得られるものである。
【0025】 本願発明の別目的は、ペプチド-金属イオン複合体のコンビナトーリアルペプ
チドライブラリーを提供することであり、ここでは、ペプチドを含んだアミノ酸
は、天然アミノ酸、そのようなアミノ酸の異性体及び修飾体、非プロテインアミ
ノ酸、後翻訳的修飾アミノ酸、酵素的修飾アミノ酸、アミノ酸に類似するように
デザインされた構造体、等々であり、そのライブラリーは擬似ペプチド(pseudop
eptides)及びペプチドミメティックを含んだものである。
【0026】 本願発明の別目的は金属ペプチドライブラリーの提供であり、この金属ペプチ
ドは金属イオン結合ドメインを含んだものであり、金属複合化によって特定形態
的構造が得られ、この金属ペプチドはさらに独特なアミノ酸配列を含んだもので
ある。
【0027】 本願発明の別目的は金属ペプチドライブラリーの提供であり、この金属ペプチ
ドは金属イオン結合ドメインと、独特なアミノ酸配列とを含んだものである。こ
の金属ペプチドはある物質に対して暴露(exposed)可能であり、1個以上の金属
ペプチドはその物質に対して特異性及び親和性を示すものである。
【0028】 本願発明の別目的は金属ペプチドライブラリーの提供であり、この金属ペプチ
ドは金属イオン結合ドメインと、独特なアミノ酸配列とを含んだものである。そ
の金属ペプチドはある物質に対して暴露可能であり、その物質に対して1個以上
の定量可能な金属イオンが選択的に結合するものである。
【0029】 本願発明の別目的は金属ペプチドライブラリーの提供であり、この金属ペプチ
ドは、溶解性あるいは固相のライブラリーである金属イオン結合ドメインを含ん
でいる。
【0030】 本願発明の別目的はペプチド合成法の提供である。このペプチドは金属イオン
結合ドメインの一部を形成する1個以上の反応性SH基を含んだものであり、こ
のSH基は合成時に保護されており、金属イオンとペプチドとの複合化でのみ脱
保護化される。固相ライブラリーにおいては、そのような脱保護化と、その後の
金属イオン複合化とは固相で発生する。ペプチドはその後に固相からオプション
的にクリーブ処理される。
【0031】 本願発明の別目的は組合せ金属ペプチドライブラリーの提供であり、ライブラ
リーを形成するそれぞれのペプチドは金属イオン複合化の結果として逆ターン構
造を含んでいる。
【0032】 本願発明の別目的は対象のターゲット分子に対する高い特異性及び親和性を備
えた金属ペプチドを含んだ組合せ金属ペプチドライブラリーの提供である。この
ような高い特異性と親和性は、金属イオン複合化の結果としてそれぞれのペプチ
ドが逆ターン構造を含んだライブラリーを形成していることで得られている。
【0033】 本願発明の別目的は、レニウム金属イオン等の金属イオンと多様なペプチドの
プールとの迅速で効率的な複合化のための方法の提供である。
【0034】 本願発明の別目的は、固定された相対量(fixed relative abundance)で質量が
2単位の異なる2つのアイソトープを含んだレニウムの使用等の複数のアイソト
ープピークを備えた金属イオンの使用によって得られる内部標識を介して特異な
金属ペプチドを識別させる方法の提供である。
【0035】 本願発明の他の目的並びに新規な特徴、及び本願発明の適用範囲は図面を参考
に添付した以下の詳細な説明中に部分的に記載されており、詳細な説明から部分
的には本分野の技術者に自明となるであろう。あるいは本願発明の実施から知ら
れるであろう。本願発明の目的並びに利点は「請求の範囲」に記載された手段に
よって認識され、実現されるであろう。
【0036】
【発明の実施の形態】
好適実施例の説明 (発明を実施するための最良モード) 定義:本明細書と請求の範囲を通じて使用されている用語を次のように定義す
る。
【0037】 “結合”及び“複合”とは、全ての種類の物理的並びに化学的な結合、反応、
複合、親和化、キレート化等を意味する。
【0038】 本発明の「ペプチド」は、a)天然に生じ、b)化学的合成によって製造され
、c)組換えDNA技術によって生産され、d)より大きな分子の生合成または
酵素断片化によって生産され、e)前記リストの方法aないしdの組合せから得
られる方法によって生産され、またはf)ペプチドを生産するいずれかの他の手
段によって生産される。
【0039】 明細書および請求の範囲を通じて使用される用語「ペプチド」は、アミノ酸の
化学的修飾および誘導体化を含めた、2以上のアミノ酸よりなるいずれの構造も
含める意図である。ほとんどの場合、本発明のペプチドは100未満のアミノ酸
、好ましくは60未満のアミノ酸、最も好ましくは約2ないし20のアミノ酸の
範囲である。ペプチドの全てまたは一部を形成するアミノ酸は天然に生じるアミ
ノ酸、かかるアミノ酸の立体異性体および修飾、非蛋白質アミノ酸、翻訳後修飾
アミノ酸、酵素的に修飾されたアミノ酸、アミノ酸を模倣するように設計された
構築体または構造であり得、従って、用語「ペプチド」は非ペプチド骨格を有す
る構造を含めた偽ペプチドおよびペプチドミメティックを含む。用語「ペプチド
」はペプチドの二量体または多量体も含む。「製造された」ペプチドは、化学合
成、組換えDNA技術、より大きな分子の生化学または酵素的断片化、これまで
のものの、または一般いずれかの他の方法によって作成された組合せを含む。
【0040】 本発明で用いる「アミノ酸」、および明細書および請求の範囲で使用される用
語は、それらの通常の3文字略語および1文字略語双方によって言及される、知
られた天然アミノ酸を含む。一般に、テキストおよび11ないし24頁に記載さ
れた表を含めた、出典明示してその教示を本明細書の一部とみなす(Synth esis Peptides:A User’s Guide , GA Gra
nt,編者, W.H.Freeman & Co., New York,
1992 参照)。 前記したごとく、用語「アミノ酸」は天然に生じるアミノ
酸、非蛋白質アミノ酸、後翻訳修飾アミノ酸、酵素合成アミノ酸、誘導体化アミ
ノ酸、アミノ酸を模倣するように設計された構築体または構造等の立体異性体お
よび修飾も含む。修飾および異常アミノ酸は、一般に、Synthesis P eptides:A User’s Guide , 前掲;Hruby VJ,
Al−obeidi FおよびKazmierski W: Biochem
J 268:249−252, 1990;およびToniolo C: I
nt J Peptide Protein Res 35:287−300,
1990に記載されており、出典明示してその全教示を本明細書の一部とみな
す。単一アミノ酸は、時々、「残基」とここではいう。
【0041】 また、本発明のライブラリー構築体は、限定されるものではないが、金属およ
びメタロイドを含めた金属形態のいずれかの元素のイオン形態であり得る金属イ
オンを含む。金属イオンは放射性活性、常磁性または越常磁性であり得るが、必
ずしもそうである必要はない。金属イオンは、バナジウム(V),マンガン(M
n)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(
Zn)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、セレン(Se)、イットリウム(Y
)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウ
ム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、カドミウム(Cd)、インジウ
ム(In)、スズ(Sn)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウ
ム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、水銀(Hg)、
タリウム(Tl)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、ポロニウム(Po)、アス
タチン(At)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、およびガドリニ
ウム(Gd)の酸化状態を含めたいずれの金属のいずれの酸化状態でもあり得る
。また、金属イオンはAu、Ag、Hg、Tc、Re、Sn、At、YおよびC
uを含めたこれまでのもののいずれの放射性核種でもあり得る。四座配位圏を持
つ好ましい金属イオンはReである。放射医薬適用、または放射性同位体がスク
リーニングに望ましい適用では、アルファ−、ガンマ−またはベータ−放出性同
位体を使用することができる。
【0042】 種々の通常の金属イオンの配位圏は、一般に、四座ないし六座である。本発明
の1つの具体例において、金属と複合体化するための所望の数の基(ほとんどの
場合は4ないし6)を含有するように、アミノ酸またはアミノ酸ミメティック配
列が各ライブラリーメンバー内に含まれる。該分子は、金属との複合体化に際し
て、それが金属複合体の部位の周りに逆ターン構造のミミックを形成するように
設計される。配位数4.5または6を持ち、四、五または六座リガンドを形成す
るアミノ酸配列と各々複合体化する金属はリガンドを折り畳み、それを拘束する
であろう。リガンドを形成するアミノ酸またはアミノ酸ミメティック配列は、ペ
プチドまたはペプチドミメティックの金属イオン−結合ドメイン(「MBD」)
と定義される。換言すれば、ペプチドのようなかなり柔軟な分子は折り畳まれて
、金属とのその複合体化に際してある種の逆ターンを形成する。この得られたタ
ーンはコンフォメーションの意味でかなり拘束された構造である。
【0043】 ペプチドまたはペプチドミメティックの生物学的−結合ドメイン(「BBD」
)は、本明細書および請求の範囲においては、生物学的に活性な配列を構成し、
細胞、組織、器官および他の生物学的物質で見い出される生物学的受容体への結
合を呈し、それにより、多数の特異的結合対としてペプチドを構成する1以上の
アミノ酸の配列と定義される。該BBDは、リガンドを形成する連続アミノ酸ま
たはミメティック(サイクノロジカル)または非連続アミノ酸またはミメティッ
ク(レグニロジカル)であり得るいずれの配列も含み、そのリガンドはそのアク
セプターまたは受容体とで特異的相互作用を形成することができる。用語「受容
体」はアクセプターおよび受容体を共に含むことを意図する。配列またはBBD
は、結合の後(しかしそれは必要とされるのではない)細胞、組織または生物学
的受容体と関連する他の物質にシグナルを伝達することができる。その例は、限
定されるものではないが、ホルモン受容体、神経伝達物質受容体、細胞表面受容
体、酵素受容体および抗体−抗原系に特異的なBBDを含む。BBDは、かくし
て、アゴニストまたはアンタゴニストいずれかであり得るか、あるいは混合され
たアゴニスト−アンタゴニストであり得る。BBDは、転写のミミックおよび他
の遺伝子調節蛋白質として使用することができる配列のごとき、部位特異的RN
AまたはDNA結合のためのいずれのリガンドも含むことができる。また、BB
Dは、それ自体もう1つの生物学的受容体への結合を呈することができる蛋白質
性組成物を含めた、他のペプチドで、酵素、抗体、または他の組成物で見い出さ
れた生物学的受容体への結合を呈する、1以上のアミノ酸またはミメティックあ
るいは他の拘束された分子領域のいずれの配列も含むことができる。そのような
BBDと共に金属イオンに複合体化したペプチドまたはペプチドミメティックは
多数の「特異的結合対」を構成し、その特異的結合対は少なくとも2つまでの異
なる分子よりなり、ここに、1つの分子は、他の分子の特定の空間的および極性
組織化に特異的に結合する表面にまたはキャビティー中に領域を有する。しばし
ば、特異的結合対はリガンドおよび受容体または抗−リガンドといわれる。特異
的結合対の例は抗体−抗原対ホルモン−受容体対、ペプチド−受容体対、酵素−
受容体対、炭水化物−蛋白質対(糖蛋白質)、炭水化物−脂肪対(糖脂質)、レ
シチン−炭水化物対等を含む。
【0044】 BBDはさらに、構築体の1部を含むと定義され、ここに、該構築体はペプチ
ドミメティック、ペプチド−様、またはメタロ−構築体分子であり、これは、金
属イオンと構築体との結合に際して生物学的に活性であり、細胞、組織、器官お
よび他の生物学的物質で見い出される生物学的受容体への結合を呈する。BBD
は、この例では、シクノロジカルまたはレグニロジカルであってよく、一般に、
ペプチドのBBDの属性および機能を有する。BBDはMBDの全てまたは1部
と共拡張することができ、従って、MBDを構成する同一アミノ酸または他の残
基もまたBBDの全てまたは1部を構成する。いくつかの例では、MBDの1以
上のアミノ酸はBBDの1部を形成し、MBDの1部ではない1以上のさらなる
アミノ酸はBBEの残りを形成する。
【0045】 コンフォメーション拘束はペプチドまたは他の構築体によって推定される三次
元形状の安定性および好ましいコンフォメーションをいう。コンフォメーション
拘束はペプチド中の単一残基のコンフォメーション移動度を制限することを含む
局所的拘束;ある群の残基のコンフォメーション移動度を制限することを含む領
域的拘束(その残基はいくつかの第2の構造単位を形成することができる);お
よび全ペプチド構造を含む全体的拘束を含む。一般に、前記で引用したSynt hetic Peptide:A User’s Guide 参照。
【0046】 ペプチドの一次構造はそのアミノ酸配列である。二次構造はペプチド骨格のコ
ンフォメーションならびにペプチドのセグメントの、α−ラセン、β−シート、
ターン等のごとき規則的な構造への折り畳みを取り扱う。かくして、ペプチドに
よって推定された三次元形状はその二次構造に直接的に関連する。一般に、テキ
スト、24−33、39−41および58−67頁に記載された図面および表を
含めた前記で引用したSynthetic Peptide:A User’s Guide 参照。全体的構造とは、コンフォメーション的に拘束された三次元
形状をとる優先性を呈するペプチド構造をいう。
【0047】 ここに記載する方法から得られる生成物は医薬適用および動物適用双方で用い
ることができる。典型的には、生成物はヒトで用いられるが、他の哺乳動物で用
いることができる。用語「患者」は哺乳動物個体を指すことを意図し、明細書お
よび請求の範囲を通じてそのように使用される。本発明の第1の適用はヒト患者
を含むが、本発明は研究上、農園、動物園、野生、ペット、スポーツまたは他の
動物に適用することができる。本発明の生成物は、診断イメージング目的または
放射線治療目的で用いることができる放射性核種イオンを所望により使用するこ
とができる。
【0048】 ペプチドおよびメタル−構築体分子ライブラリーおよびコンビナトーリアル化
学。本発明の方法を用いると、ペプチドおよびペプチドミメティックのライブラ
リーが設計され、ここに、各構成要素ライブラリーメンバーは金属との複合体化
のための配位部位を提供するのに必要なMBD配列を含み、そのような配列はラ
イブラリーの構成要素メンバーの中で異なり得ることが理解される。MBDと金
属とを複合体化させるに際して、逆ターン構造のミミックを形成する特異的構造
が得られる。この複合体の特異的立体化学特徴は、複合体化金属イオンの配位圏
の立体化学による。かくして、金属の配位圏の好ましい幾何学はコンフォメーシ
ョン制限の性質および程度を指令し規定する。
【0049】 本発明のライブラリーは、局所的または全体的に拘束された構造である構成要
素を含有する。ライブラリーは、局所的コンフォメーション制限または全体的コ
ンフォメーション制限、あるいはそのいくつかの組合せを持つ分子を含むことが
できる。本発明のこの態様は、スクリーニングシステムにおける陽性ヒットの合
成、スクリーニングおよび構造的解明の種々の方法を含む。これらの態様の重要
性は当業者によく知られており、また、これからの記載および実施例から明らか
になるであろう。
【0050】 一般に、本発明で有用なことが判明し得る金属のほとんどが4ないし6の配位
数を有し、8より高いのは稀であり、これは推定MBDが、与えられた幾何学お
よび配位圏の金属イオンとの結合を確立するように立体適合して位置する反応性
基を持つ残基よりなるものでなければならないことを意味する。ペプチド鎖中で
の配位基はアミン、アミド、イミダゾールまたはグアジニノ官能基の窒素原子;
チオールまたはジスルフィドの硫黄原子;ヒドロキシ、フェノール、カルボニル
またはカルボキシル官能基の酸素原子を含む。加えて、ペプチド鎖または個々の
アミノ酸は化学的に改変して、オキシム、ヒドラジノ、スルフヒドリル、ホスフ
ェート、シアノ、ピリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ基のごとき配位基を含
むようにすることができる。4の配位数を持つ金属では、(Gly−Gly−G
ly−Glyのごとき)テトラペプチドアミノ酸配列を使用することができ、(
Gly−Gly−Cysのごとき)アミノ酸の少なくとも1つが配位基を持つ側
鎖を有するトリペプチドアミノ酸配列を同様に使用することができる。側鎖は窒
素、酸素または硫黄−ベースの配位基を有することができる。かくして、アミノ
酸配列はN4、N3S、N22、NS3、N2SOまたは同様のリガンドを供するこ
とができ、窒素、硫黄および酸素原子を利用する金属イオンの四座配位を生じる
【0051】 本発明のもう1つの具体例において、MBDは、1以上のアミノ酸残基および
1以上の誘導体化アミノ酸またはスペーサー配列を含み、誘導体化アミノ酸また
はスペーサー配列は種々の酸化状態の金属と複合体化するのに利用できる窒素、
硫黄または酸素原子を有する。誘導体化アミノ酸の例はアミド、第1級アルキル
またはアリールアミド、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−カル
ボン酸およびその対応する7−ヒドロキシ誘導体、N−カルボキシメチル化アミ
ノ酸、2’−メルカプト−Trp、Nβ−(2−メルカプトエタン)−α,β−
ジアミノプロピオン酸および他の相同アミノ酸の同様の高次ホモログ、Nβ−(
2−アミノエタン)−α,β−ジアミノプロピオン酸および他の相同アミノ酸の
同様の高次のホモログ、Nβ−(ピコリノイル)−α,β−ジアミノプロピオン
酸および他の相同アミノ酸の同様の高次ホモログ、β−(ピコリルアミド)−A
spおよび他の相同アミノ酸の同様のホモログ、Nβ−(2−アミノ−ベンゾイ
ル)−α、β−ジアミノプロピオン酸および他の相同アミノ酸の同様の高次ホモ
ログ、β−(2−アミドメチルピリジン)−Aspおよび他の相同アミノ酸の同
様なホモログ、N−ベンゾイルオキシカルボニルアミノ酸、N−tertブチル
オキシカルボニルアミノ酸、N−フルオレニルメチルオキシカルボニルアミノ酸
および他の同様のウレタン−保護アミノ酸誘導体、およびこれまでのいずれかに
関連する他の誘導体化または合成アミノ酸を含む。本発明で使用することができ
るスペーサー配列の例は2−メルカプトエチルアミン、コハク酸、グルタル酸、
2−メルカプトコハク酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチ
レンテトラミン、テトラエチレンペンタアミン、グリコール、ポリエチレングリ
コール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、ピリジン−2カルボキシ
レート、ピコリルアミン、2−メルカプトアニリン、2−アミノ安息香酸、およ
び2−アミノメチルピリジンを含む。一般に、連続配列を形成するように直接ま
たは間接に1個または2個のアミノ酸に連結することができ、金属イオンの価と
で複合体化するのに利用できる窒素、硫黄または酸素原子を有するいずれの配列
もMBDのエレメントとして使用することができる。
【0052】 メタロ−ライブラリーにおけるS−保護チオール基化合物。本発明のペプチド
およびペプチドミメティックへの殆どの金属イオンの複合体化では遊離チオール
(SH)基が好ましく、多くの場合、金属とで安定な交換−不活性複合体を形成
するにはSH基が必要である。しかしながら、遊離SH基を持つペプチドおよび
他の有機分子は空気中および溶液中で容易に酸化され、しばしばジスルフィド−
連結二量体を形成することができる。もし1を超える遊離SH基が分子中に存在
すれば、酸化は複合体ポリマーに導くことができる。同様にもし遊離SH基を持
つ異なるペプチドまたは有機分子の混合物が調製されれば、酸化は一般に未知の
組成のポリマーの複雑な混合物に導く。これは、1以上のSH基が金属複合体化
での使用が意図されるメタルペプチドまたは他の有機分子のライブラリーを調製
するのに非常に関心がある。
【0053】 種々のSH保護基が放射性医薬の製造および処方を含めた種々の目的で使用さ
れてきた。例えば、その保護形態において、S−ベンゾイル−メルカプトアセチ
ル−グリシル−グリシル−グリシン(Bz−MAG3)を用いて、99mTc複合体
化の間にS−Bz基が***する条件下で99mTcを複合体化されてきた。しかし
ながら、S−Bz保護の使用はペプチド合成の方法とは適合しない。例えば、欧
州特許出願第0,250,013号および第0,173,424号参照。
【0054】 SH基を取り込む本発明のメタロペプチドライブラリーを構築するには、もし
混合されたプール合成が使用されるならば、ペプチドはS−保護誘導体でなけれ
ばならない。SH保護基は、(a)S−保護基が合成手法の間に安定であるよう
に、S−保護基を持つペプチド誘導体の合成が液相および固相ペプチド合成の方
法に適合し、および(b)金属複合体化工程の間に、固相合成の場合に樹脂から
の切断なくしてS−保護基がイン・サイチュで脱保護できるように選択される。
Bz−MAG3のごとき多くの先行技術方法は前記で特定した2つの基準の内の
1つのみをせいぜい満たす(Bz−MAG3は前記基準(a)のみを満たす)。
【0055】 直交S−保護チオール基の使用は単一ポットにおけるメタロ−化合物の合成を
可能とする。各々の化合物が直交S−保護基(「OSPG」)を含有する化合物
の混合物が金属イオンとの複合体化で使用され、S−保護基が脱保護され、従っ
て、重合および架橋が回避されるのは金属イオン複合体化の間のみである。この
手法は、かくして、メタロ−化合物の均一なライブラリーを提供する。前記した
基準を満足し、本発明で使用することができる1つのOSPGはS’Bu(S−
チオ−ブチル又はS−t−ブチル)基を使用してSH基を保護する。該S’Bu
基は、典型的にはペプチド合成で使用される酸性および塩基性条件双方の下で安
定である。さらに、S’Bu基は適当なホスフィン試薬を用いる還元によって切
断することができ、その還元工程は金属イオンとペプチドとの複合体化の直前に
またはそれと組み合わせて使用することができる。そのようなOSPG切断はペ
プチドを樹脂から切断せず、あるいはペプチドの構造を改変する。
【0056】 前記した基準に適合し、本発明での適当はもう1つのOSPGはS−Acm(
S−アセトアミドメチル)基を使用してSH基を保護する。該Acm基もまたペ
プチド合成の間に通常使用される酸性および塩基性条件下で安定である。該S−
Acm基は、S−Acm−保護ペプチドまたはペプチド樹脂の酢酸水銀(II)
またはテトラフルオロホウ酸銀(I)での処理によって除去することができ、こ
れはその水銀または銀イオン−複合体化状態においてチオールペプチドを遊離さ
せる。次いで、水銀または銀イオンおよびチオール複合体化塩を、ベータ−メル
カプトエタノールまたはジチオスレイトールのごとき過剰のチオール−含有試薬
で処理することによって遊離チオール−含有ペプチドを回収することができる。
次いで、得られたペプチドは金属複合体化で使用される。別法として、水銀また
は銀イオンおよびチオール複合体化ペプチドは金属イオン複合体化試薬で直接処
理して所望のメタロペプチドを形成することができる。
【0057】 メタロペプチドのためのOSPGの他の例は4−メトキシトリチル(Mmt)
、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル(Npys)およびS−スルホネート
(SO3H)を含む。Mmtは、ジクロロメタン中の1%TFAでの処理に際し
て選択的に除去される。NpysおよびS−スルホネートは、ベータ−メルカプ
トエタノールまたはジチオスレイトールのごときチオール−含有試薬あるいはト
リブチルホスフィンのごときホスフィン試薬での処理によって選択的に除去され
る。該Npys基(R.G.Simmonds RGら:Int J Pept
ide Protein Res, 43:363,1994)はペプチド合成
のためのBoc化学に適合し、S−スルホネート(Maugras Iら:In
t J Peptide Protein Res,45:152, 1995
)はFmocおよびBoc化学に適合する。S−アルキル、またはS−アリール
、またはS−アラルキルの相同シリーズから誘導された同様のOSPGも本発明
で用いることができる。該OSPGの主な特徴は、その使用した結果、チオール
−含有アミノ酸および保護基からの各々1つの硫黄原子を利用するジスルフィド
(S−S)結合の形成がもたらされる。加えて、得られたジスルフィド(S−S
)結合は、限定されるものでないが、ホスフィン−およびチオール−含有試薬を
含めた種々のジスルフィド切断試薬のいずれかの使用によって切断可能である。
【0058】 S’Bu保護SH基または他のOSPGを使用する方法は、固相または可溶性
ライブラリーいずれかの創製で使用することができる。固相ライブラリーでは、
通常のFmos化学の使用によってペプチドを合成することができる。通常のF
moc化学の場合において、1以上の中間体アミノ酸を介してFmoc−L−C
ys−(S’Bu)を適当な樹脂にカップリングさせ、しかる後、追加のアミノ
酸をL−Cys−(S’Bu)残基にカップリングさせる。限定されるものでは
ないが、3−メルカプトバリン(ペニシラミン);2−メルカプト酢酸;3−メ
ルカプトプロピオン酸;2−メルカプトプロピオン酸;3−メルカプト−3,3
−ジメチルプロピオン酸;3−メルカプト,3−メチルプロピオン酸;3−メル
カプト−3,3−ジエチルプロピオン酸;2−メルカプト,2−メチル酢酸;3
−シクロペンタメチレン,3−メルカプトプロピオン酸;2−シクロペンタメチ
レン,2−メルカプト酢酸および関連アミノ酸のごとき3−メルカプトフェニル
アラニンおよび他の関連3−メルカプトアミノ酸を含む、金属イオンへの結合に
利用できるSH基によって特徴付けられる、デザイナーまたは非天然アミノ酸お
よびそのミミックを含む、L−またはD−Cys、ならびに種々の他のアミノ酸
のいずれかでS’Buを使用することができる。全てのこれらの場合において、
S−保護基は、前記したごとく、S−Bu、S−Acm、Mmt、Npys、S
−スルホネートおよび関連基によることができる。
【0059】 MBDへの金属イオンの複合体化。ライブラリー中の配列への、および具体的
にはMBDへの金属イオンの複合体化は、該配列を金属イオンと混合することに
よって達成される。これは便宜には溶液中で行われ、該溶液は適当な緩衝液を含
む。1つのアプローチにおいて、ペプチドまたはペプチドミメティック構成要素
と混合する場合、金属イオンは、MBDへの複合体化に最も好ましい酸化状態に
既にある。そのような金属イオンは、カルシウム(II)、カリウム(I)、イ
ンジウム(III)、マンガン(II)、銅(II)、亜鉛(II)および他の
金属のごときそれらの最も安定な酸化状態で複合体化される。他の場合において
、金属はより低い酸化状態まで還元してMBDに複合体化されなければならない
。これは第一鉄、第二鉄、第一スズ、第二スズ、テクネチウムオキソ[V]、ペ
ルテクネテート、レニウムオキソ[V]、ペルレネートおよび他の同様の金属イ
オンで当てはまる。還元は配列と混合するのに先立ち、配列と混合するのと同時
に、または配列と混合するのに引き続いて行うことができる。当該分野で知られ
ている所望の酸化状態への金属イオンの還元のいずれかの手段を使用することが
できる。
【0060】 金属イオンでの四座配位では、レニウムが好ましいイオンである。塩基として
の1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンの存在下でのレニ
ウム移動剤ReOcl3(PPh32での処理によって、固相樹脂結合ペプチド
またはペプチドミメティック配列をレニウムイオンで標識することができる。別
法として、塩基としての1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−
エンの存在下でレニウム移動剤ReOcl3(PPh32 での処理によって、可
溶性ライブラリー中のペプチドまたはペプチドミメティック配列を同様に標識す
ることができる。塩基としての1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ
−7−エン(DBU)の存在下での金属複合体化は、便宜には、雰囲気の室温で
達成することができる。
【0061】 金属複合体化の別の方法において、酢酸ナトリウムのごとき温和な塩基を用い
ることができる。この場合、溶液中のまたは固相に結合したチオール−含有配列
をDMF、NMP、MeOH、DCMまたはその混合液のとごき適当な溶媒中に
取り、酢酸ナトリウムの存在下でレニウム移動剤ReOcl3(PPh32と共
に60−70℃まで15分間で加熱する。同様に、トリエチルアミン、水酸化ア
ンモニウム等のような他の塩基を使用することもできる。本発明によれば、溶液
中のS−脱保護ペプチドの場合にはMeOHがレニウム複合体化での溶媒の好ま
しい選択である。固相に依然として付着されたS−脱保護ペプチド用の溶媒選択
は、主として、固相の優れた溶媒和(膨潤)を考慮することによってガイドされ
る。DMFおよびNMPを用いることができる。MeOH、およびDCM、CH
Cl3等と組み合わせたこれらの溶媒の種々の混合液を用いて最適化された複合
体化結果を生じさせることもできる。
【0062】 本発明の1つの具体例において、DBUおよびトリブチルホスフィンの存在下
でS−Bu’保護ペプチドをレニウム移動剤でイン・サイチュにて処理して1ポ
ットにてS−脱保護およびレニウム複合体化を行う。別法として、レニウムペル
レネートの存在下でのS−Bu’保護ペプチドへのレニウムの複合体化はSn[
II]Cl2の処理によって達成することができる。この試薬はイン・サイチュ
にてS−脱保護ならびにReO4状態のReO状態への変換を行って、レニウム
のS−脱保護ペプチドへの複合体化を引き起こす。本発明における好ましい手法
はトリブチルホスフィンでの処理によるS−脱保護、および室温にてGBUの存
在下でReOCl3(PPh32に利用する得られたペプチドの金属複合体化で
のS−Bu’保護ペプチドの使用である。
【0063】 本発明のライブラリーにおいて、MBDは、金属イオンとの複合体化に際して
逆ターン構造を形成し、MBD内のアミノ酸の側鎖が変化し、同様に、MBDの
1部を形成しないアミノ酸も変化するようにライブラリーが構築される。メタロ
ペプチドのライブラリーにおける種々の化合物は、全て最適化されるペプチドの
組におけるアミノ酸の配列を変化させて、金属イオンが配位した場合に殆ど同様
の非化学の複合体を形成することによって得ることができる。この最適化は、例
えば、高親和性を有するアミノ酸を適当に位置させて金属イオンに複合体化させ
ることによって得ることができる。金属複合体化に対する高親和性を持つ天然に
生じるアミノ酸の例はCysおよびHisを含む。従って、そのようなペプチド
のライブラリーは、配列中に適当に入れられたこれらのアミノ酸の内少なくとも
1つを有し、このアミノ酸はライブラリー中の全ての分子に共通であり、このア
ミノ酸はかくしてランダム化されていない。
【0064】 局所的コンフォーメーション制限を用いて構築されたメタロペプチドの固相ラ
イブラリーの概念的一般化された概観は以下の通りである:
【0065】 (式中、Mは金属イオンであり、R1およびR2はBBDである逆ターン構造の一
部を形成するランダムに選択されたアミノ酸側鎖であり、「ペプチド鎖」は1以
上のアミノ酸である)。成分が可溶性であって、かくして、樹脂に結合していな
い同様のライブラリーも構築することができる。
【0066】 膜が金属イオン複合体化に際してコンフォーメーション的に拘束される局所的
に拘束されたメタロペプチドライブラリーの1つの例は、RGD配列を認識する
種々のインテグリン受容体のファミリーに向けられたライブラリーである。この
ライブラリーでは、個々のアミノ酸位置は、1つの位置につきカチオン性アミノ
酸の組、もう1つの位置についてのアミノ酸の第2の組およびもう1つの位置に
ついての強い金属複合体化特性を持つ選択されたアミノ酸の第3の組を選択する
ことによって縮重される。ペプチド中の他の位置はランダム化される。このライ
ブラリー中の金属−ペプチド複合体の通常の剛直な構造は、インテグリン受容体
との相互作用のためのカチオン性およびアニオン性中心の提示の種々の形態を可
能とする。これらの構造のライブラリーを使用して、個々のインテグリン受容体
に特異的なメタロペプチドを同定することができる。金属イオン複合体化に先立
って液相または固相ライブラリーいずれかとなり得るこのライブラリーの一般的
構造は、以下の通りである: R1−Aaa−Bbb−Ccc−Ddd−P2 (ここに、R2は固相結合ライブラリーのための樹脂にカップリングしており、
ここに、 AaaはArg、Lys、Orn、ホモArg、2,3−ジアミノプロピオン
酸、2,4−ジアミノ酪酸、S−アミノエチルシステイン、3(O−アミノエチ
ル)Ser、またはもう1つの合成塩基性アミノ酸のごとき、金属イオン複合体
化のためのNを提供するL−またはD−立体配置残基であり; BbbはGly、Ala、Alb、Val、Nle、Leuまたは未荷電側鎖
を持つ同様のアミノ酸のごとき、金属イオン複合体化のためのNを提供するL−
またはD−立体配置残基であり; Cccは、Cys、ホモCys、Pen、またはイオン結合で利用できるOS
PGと一緒にNおよびS双方を含有する天然または非天然の他のアミノ酸のごと
き、金属イオン複合体化で利用できる、NおよびS双方、あるいは2つのNを提
供するL−またはD−立体配置残基であり; DddはAsp、Glu、または負に荷電された側鎖構造官能基を持つ合成ア
ミノ酸のごとき、負に荷電した側鎖官能基を持つL−またはD−立体配置残基で
あり;および R1およびR2はH、アルキル、アリール、アルキルカルボニル、アリールカル
ボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、またはカルボニル
基を通じて直接または間接に結合したPGE、PVAまたはポリアミノ酸のごと
きポリマーである)。 このライブラリーの他の形態は、 式: R1−Bbb−Aaa−Ccc−Ddd−R2、 R1−Bbb−Ddd−Ccc−Aaa−R2、または R1−Ddd−Bbb−Ccc−Aaa−R2のごとき、 以下の示す一般式を持つ構造の組を含み、ここに、カチオン性およびアニオン性
中心間の距離は前記で示されたものとは異なり得る。
【0067】 このまでの各々につき、R1、R2、Aaa、Bbb、CccおよびDddの定
義は前記した通りである。前記したライブラリーの全ての4つのクラスは個々に
合成されるか、あるいは1つのライブラリーとして調製できる。
【0068】 本発明のもう1つの具体例は、全体的コンフォーメーション制限を持つライブ
ラリーの構築を提供する。この具体例において、MBDは一定に保持することが
でき、ライブラリーを形成するように変化させたアミノ酸またはミメティックの
配列のランダム化されまたは選択されたシリーズである。このタイプのライブラ
リーは、MBDが環状ペプチド中のジスルフィド、ラクタム、ラクトン、チオエ
ステルまたはチオエステル部位の等電子代替であるメタロペプチドを含む。これ
らの構築体において、組MBDは、調査下にあるアミノ酸またはミメティックの
ランダム化されたまたは選択されたシリーズを含有する線状ペプチドまたはペプ
チトミメティックの2つのプレ−選択された末端の間に導入される。このタイプ
のメタロペプチドライブラリーの一般的構造は:
【0069】 (式中、Mは金属イオンであり、R1およびR2は、金属複合体化に対するさらな
る安定化を提供するか、あるいはクリアランスの器官の決定、または生体分布パ
ターンまたは薬物動態の改変のごとき、生物学的活性を変調することができる構
造エレメントである。「ペプチド鎖」配列はランダムに変更することができ、そ
れにより、ランダムライブラリーが得られるか、あるいは標的分子の既知の特徴
に基づいて、所定の様式で指令することができる。
【0070】 全体的に拘束されたメタロペプチドの1つの例は、ライブラリーの全ての個々
のメンバーが金属イオン−結合ドメインを含み、ライブラリーがソマトスタチン
、コレシストキニン、オピオイドペプチド、メラノトロピン、黄体ホルモン放出
ホルモン、タキキニンおよび同様のペプチドホルモンのごときペプチドホルモン
のファミリーに特異的に向けられる。金属イオンへの複合体化の前にペプチドの
このライブラリーの一般式は:
【0071】 (式中、Xは複数のアミノ酸を含む固定されたMBDであり、従って、金属イオ
ンの原子価の全ては金属イオンとXとの複合体化に際して満足され、R1および
2は、各々、0ないし約20のアミノ酸を含み、Aaa、BaaおよびCaa
は、各々、アミド、チオエーテル、チオエステル、エステル、カルバメートまた
はウレタンを介してXに結合した1以上のアミノ酸を含み、ここに、Aaa、B
aaおよびCaaは変化する。) である。この例では、MBDはOSPGを含むことができる。配列中の他のチオ
ールは、OSPGが配列中の他のS−保護基の除去なくして除去されるように、
直交していないS−保護基を含む。
【0072】 固相ライブラリーでは、ペプチド構築体は樹脂に付着しており、樹脂は可溶性
ライブラリーでは省略される。全体的に拘束されたメタロペプチドのこのライブ
ラリーは、それらの仮定された生物学的活性構造として逆ターン構造にて存在す
ることが知られている種々のペプチドに対するミメティックである化合物を検出
するにつきスクリーニングすることができる。これらの例はソマトスタチン、コ
レシストキニン、オピオイドペプチド、メタノトロピン、黄体ホルモン放出ホル
モン、タキキニンおよび種々の抗体エピトープのごとき種々のペプチドホルモン
を含む。
【0073】 これらのペプチドライブラリーの各々の機能的同等物もまた、これらのペプチ
ドの構造ミミックが得られるような非−アミノ酸形成ブロックのライブラリーの
開発を通じて得ることができる。ペプチド結合はチオアミド、チオエーテル、置
換アミン、カルバメート、ウレタン、脂肪族部位、および機能的に同様の構築体
のごとき偽ペプチド結合によって置き換えることができる。
【0074】 ペプチド合成のよく知られた方法によって、前記したごとく、配列特定および
変性に従ってペプチドライブラリーをまず組み立てる。スプリット合成アプロー
チを用いて、あるいは可溶性ライブラリーの脱回旋技術によって、平行合成にて
、区別される空間的にアドレス可能な化合物としてこれらのライブラリーを合成
することができる。同様の方法を用い、偽ペプチド、ペプチドミメティックまた
は非−ペプチドライブラリーを得ることができる。非−ペプチドライブラリーは
、所望により、当業者によく知られている種々のタギングアプローチの1つを取
り込むことができる。固相および液相の双方のライブラリーはこのようにして得
ることができる。次いで、全ライブラリーを適当な金属−複合体化剤と反応させ
て、同様のクラスの所定の構造を含む対応する金属−配位ライブラリーが得られ
る。例えば、ペプチドライブラリーをレニウムオキソ金属イオンと複合体化させ
るには、酢酸ナトリウムの存在下でペプチドライブラリーをRe(O)Cl3
PPh32で処理することができる。この手法の結果、ReOのペプチドとの定
量的な複合体化がもたらされる。Zn、Co、Mn、FeまたはCuイオンを複
合体化させるには、ペプチドライブラリーをこれらの金属イオンの塩化物または
他の適当な塩で処理して対応する金属イオンのライブラリーが得られる。非常に
重要には、種々の金属イオンを用いて異なるメタロペプチドライブラリーを構築
することができる。適当な金属イオンの選択における1つの制限的要素は、金属
−ペプチド結合定数または複数定数に大いに関係する、特定の金属−ペプチド複
合体の相対的安定性である。金属−ペプチド構築体が特定のpHまたは他の特殊
な条件内でのみ安定であるか、あるいは空気中で容易に酸化されることは当該分
野でよく知られている。ReOとのもののごときいくつかのペプチド−金属イオ
ン複合体は純粋な形態では安定であり、通常の貯蔵条件下では単離でき長期間貯
蔵することができる。
【0075】 本発明に従って構築されたメタロペプチドライブラリーをスクリーニングして
、先行技術で報告されている種々の技術によって1以上の受容体−結合または薬
理学上活性な候補を同定することができる。可溶性および固相ライブラリーは共
にこれらのアッセイで直接用いることができる。これらの技術はLamおよび共
同研究者によって記載された直接標的結合アプローチ(Lam KSら:Nat
ure354:82−84,1991;Lam KSら:Nature360:
768,1992)、脱回旋および反復再合成アプローチ(Houghten
RAら:Proc Natl Acad Sci USA82:5131−51
35,1985;Bergら:J Am Chem Soc 111:8024
−8026,1989:Dooley CTら:Science266:201
9−2022,1994;Blondelle SE:Antimicrob
Agents Chemother38:2280−2286,1994;Pa
nilla C:Biopolymer37:221−240,1995),T
artarおよび共同研究者により2つの共合成されたライブラリーの直交プー
ルを用いるアプローチ(Deprez Bら:J Am Chem Soc 1
17:5405−5406,1995)、反復再合成を排除するHoughto
nおよび共同研究者によって工夫された位置走査方法(Dooley CTら:
Life Sci52:1509−1517,1993;Pinilla Cら
:Biotechniques 13:901−905,1992:Pinil
la Cら:Drug Dev Res 33:133−145,1992)、
および該位置走査方法とスプリット合成方法の組合せ(Erb Eら:Proc
Natl Acad Sci USA,91:11422−11426,19
94)を含む。
【0076】 これらの技術の内、脱回旋および反復再合成アプローチ、2つの共合成された
ライブラリーの直交プールを含むアプローチ、および位置走査方法を直接可溶性
メタロペプチドライブラリーに適用して、スクリーニングプロセスにおける受容
体−結合または薬理学的に活性な候補として同定された「ヒット」、またはペプ
チドの構造を解明することができる。空間的にアドレス可能な平行合成ライブラ
リー以外の固相ライブラリーでは、ヒットの構造は当業者によく知られた種々の
戦略によって直接決定することができる。これらは、マトリックス−支援レーザ
ー収着/イオン化(MALD1)技術の使用によって粒子の固相マトリックスに
共有結合した化合物の直接的質量分析を含む(Siuzdak Gら:Bioo
rg Med Chem Lett6:979,1996:Brown BBら
:Molecular Diversity 1:4−12,1995)。ライ
ブラリー組み立ての間での合成工程の各々において部分的に端部をキャップされ
た化合物のシリーズを創製する技術もまた質量分析による明確な同定を助ける(
Youngquist RSら: J Am Chem Soc,117:39
00−3906,1995:Youngquist RSら:Rapid Co
mmun Mass Spectr 8:77−81,1994)。これらの分
析技術に加え、非−ペプチドおよび非−ヌクレオチドライブラリーを含めた有機
分子−ベースのライブラリーにおける構造解明のために工夫された種々のコーデ
ィング戦略を利用することができる。DNAコーディング、ペプチドコーディン
グ、ハロ芳香族タグコーディング、およびラジオ周波数トランスポンダーに基づ
くコーディングのごとき種々のコーディング戦略が今日当該分野でよく知られて
おり、メタロペプチドライブラリーと直接組み合わせて用いることができる。こ
れらのタギング戦略は、金属複合体化は最後のポスト−合成工程であるので、メ
タロペプチドライブラリーの構築の間に達成することができる、ライブラリーの
合成の間にタグの取り込みを要する。
【0077】 ライブラリーメンバーの構造の多様性。本発明で使用することができる分子鋳
型のいくつかの例を図1に示す。これらの鋳型は、分子を与えられた生物学的標
的に対して選択的かつ優れたものとするのに必要なR基の適当な位置を示す。図
1A、1Hおよび1Jの鋳型は7ないし8と多くの異なる官能基の導入を可能と
する。図1Bおよび1Cの鋳型は4つと少ない官能基の導入を可能とする。鋳型
はペプチドおよび非−ペプチドポリアミド骨格に由来し、部分的にはペプチド、
部分的には非ペプチドの性質であり得る。これらの鋳型で示される金属配位圏は
3SまたはN22立体配置のいずれかであり、ここに、NおよびSは金属配位
原子である。
【0078】 本発明の方法を用い、金属イオン複合体化に際して拘束された配列を形成する
鋳型のその部分はそれに付着した非常に多様な官能基を有することができ、その
基はいずれかの知られた手段によって付着させることができる。図1Aないし1
Jで描かれた10の構造は単に説明目的のものであって、断じて本発明の範囲を
限定するものではない。種々の連結基を含めた他の構造を使用することができる
。加えて、四座配位以外を要する金属イオンで異なる構造を使用する。
【0079】 図1Aないし1Jで示された鋳型、および本発明の方法に基づいて創製するこ
とができる他の鋳型は7つまたは8つと多くの異なる官能基を含めることを可能
とする。これらの異なる官能基は、個々にまたは組み合わせて、所望の親和性、
特異性、選択性、効力、薬理学的および薬物動態学プロフィールを、生物学的標
的に向けられた分子に付与することができる。例えば、図1Dに描かれた構造は
、金属イオン「M」と線状ペプチドとの複合体化によって得られる。「M]への
複合体化のための硫黄「S」原子はCysアミノ酸残基の側鎖によって提供され
る。官能基R2、R3およびR4はアミノ酸の側鎖であり得る。R1はアミノ酸また
は有機基でもあり得るが、R5はCys残基におけるベータ−置換であり得る。
【0080】 図1Bに描かれた構造は、β−置換β−メルカプト酢酸がN−末端で置換され
ている線状ペプチド鎖に由来する。図1Gに描かれた構造は、メルカプト酢酸が
Cysに代えて置換されている以外は図1Bのものと同様である。図1Gに描か
れた構造は、図1Bに描かれた構造のものとは異なる側鎖官能基R1、R2、R3
およびR4の局所構造関係を提供する。潜在的に生物学的に重要ではあるが、構
造におけるこれらの種類の従たる差は異なる親和性、特異性、選択性または効力
をもたらすことができる。図1B、1C、1D、1Gおよび1Iに描かれた5つ
の構造は、当業者によく知られた通常の方法によって合成された対応する線状ペ
プチド誘導体から得ることができる。これらの線状ペプチドへの金属イオンの複
合体化は、前記方法を用いて固相または液相で達成することができる。
【0081】 図1A、1F、1H、1Jおよび1Eの構造は、1以上の「M」複合体化アミ
ド結合(CO−NH基)の偽ペプチド結合(CH2−NH基)への還元、続いて
得られたアミン窒素を「R」基で官能化によって図1B、1C、1D、1Gおよ
び1Iの構造から得られる。従って、これらの還元されたアミド結合分子は、さ
らなる「R」基を分子に導入するのを可能として、分子の構造的多様性および複
雑性を増強させる。これらの場合における「M」への「N」複合体化は配位結合
の形成を介するものである。そのような分子はアミド「N」複合体化分子とは異
なった電荷特徴を有する。金属複合体のコア電荷におけるこのタイプの差は、生
物学的区画バリアを横切っての金属複合体の通過を変化させることが知られてい
る。例えば、−1のイオン性コア電荷を持つ99mTc−MAG3(メルカプトアセ
チルグリシルグリシルグリシン)は区画化されておらず、腎臓を通じて排出され
、他方、+1のイオン性コア電荷を持つ99mTc−MIBI(メトキシイソブチ
ルイソニトリル)は心臓筋肉中で区画化される。各々電荷を持たない99mTc−
HMPAO(ヘキサメチルプロピレンアミンオキシム)および99mTc−ECD
(エチルシステイネートダイマー)は血液−脳関門を通過し、脳灌流イメージン
グ剤として用いられる。かくして、本発明の1つの態様において、アミド「N」
またはアミン「N」いずれかを供してライブラリーメンバーの薬物動態学プロフ
ィールを変調することによって、一般的には図1に示すごとく、ライブラリーは
イオン性電荷の差で構築することができる。アミン「N」を供することができる
還元されたアミド結合分子の合成は、当業者によく知られた偽ペプチド結合にて
線状ペプチド誘導体を作成する方法を使用することによって達成することができ
る。例えば、Wen jjおよびSpatola AF:J Peptide
Res 49:3−14, 1997参照。
【0082】 本発明のもう1つの態様において、種々の金属イオン「M」が複合体化で使用
されるライブラリーを構築することができる。図1に示された構造において四座
配位を要する金属イオンは、「M」がTcまたはReのごとき金属イオンであり
得るように最も適用できる。しかしながら、全ての他の金属イオンの使用が考え
られ可能であり、そのような場合、他の構造を使用し、六座または他の配位圏を
提供するのも考えられ可能である。さらに、「M」は金属イオン(M)、金属−
オキソ基(M=O)、金属−ニトリド基(M≡N)、またはN−ニトリド置換金
属−ニトリドまたはオルガノイミド(M=N−R’)であり得る。該オルガノイ
ミドM=N−R’種は、図1の構造で記載された種々のR基と同様の生物学的に
重要な官能基として働くことができるR’を含めることを可能とする。この場合
、ライブラリーのサイズは異なるR’基の置換によって拡張することができる。
【0083】 金属−オキソ化合物はRe(O)CI3(PPh32 のごとき適当な予め形成
されたメタローオキソ移動剤から得ることができる(Johnson NPら:
Inorg Syntheses 9:145−148,1967;Parsh
all G:Inorg Synth17:110,1977; およびSul
livan BPら:Inorg Syntheses 29:146−150
,1992)。メタロ−オキソ化合物は、複合体化分子の存在下でレニウムペル
レネートの第1スズまたはもう1つの適当な還元剤での直接的還元によって得る
こともでき、それにより金属−オキソ複合体が形成される(Rouschias
G:Chemical Review 74:531−566, 1974;
およびVites JCおよびLynam MM:Coordination
Chemistry Review 142:1−20, 1995). ニトリド複合体はいくつかの方法により調製することができる。例えば、米国
特許第5,288,476号;米国特許第5,300,278号;Sulliv
an BPら:前記引用;Rouschias G:前記引用;Vites J
CおよびLynam MM:前記引用;Dehnicke KおよびStrah
le J:Angew Chem Int Ed Engl,31:955−
978,1992; Baldas J:Inorganic Chem25:
150−153,19896; およびMarchi Aら:Inorgani
c Chem 29:2091−2096,1986に教示されている方法参照
。一般に、ニトリド化合物は、レニウムオキソ化合物をヒドラジンで処理するこ
とによって、あるいは移動剤としてのRe(N)Cl2(PPh32の使用によ
って得ることができる。
【0084】 オルガノイミドM=N−R’種は、レニウムオキソ複合体を第1級アミン、ま
たは1,2ジ置換ヒドラジンで、ホスフィニイミンでまたはイソシアン酸フェニ
ルで縮合することによって調製することができる(Rouschias G:C
hemical Review, 74:531−566,1974)。レニウ
ムオキソ、レニウムニトリドおよびレニウムオルガノイミド複合体は極端に安定
であって、かなり過激な置換反応にも耐えることが報告されている。
【0085】 官能化スルフヒドリル−含有鋳型は、それらをチオ硫酸ナトリウムで処理して
S−スルフォネート塩を形成することによって対応するハロゲン化化合物から合
成することができる。トリブチルホスフィンまたは水素化ホウ素ナトリウムのご
とき還元剤での処理に際して、これらの塩は官能化スルフヒドリルを生じる。別
法として、S−スルフォネート誘導体を前記したメタロ−化合物の合成で直接用
いることができる。この場合、S−スルフォネート基は、BocまたはFmoc
化学を用いるメタロ−構築体の液相および固相合成双方でOSPGとしても作用
する。S−スルフォネートOSPGは、金属イオンの複合体化の直前にトリブチ
ルもしくはトリイソプロピルホスフィンでの処理によって選択的に除去すること
ができる。
【0086】 図1Aないし1Jの構造および同様の構造はR1ないしR7のいずれかまたは全
ての選択的置換によってライブラリーで用いることができる。また、R1ないし
7の官能性を一定に保持しつつ、図1Aないし1Jのいずれかの異なる関連構
造、または同様の構造をライブラリーで用いるのが可能であり考えられる。
【0087】 以下の非限定的実施例によって本発明をさらに説明する。
【0088】 実施例1 4−メンバーN31タイプのメタロペプチド化合物ライブラリーの
単一−ポット合成 通常のFmoc化学を用いる固相化でのペプチドの合成のためにSynPep
マルチプルペプチドシンセサイザーを用いた。Fmoc−L−Glu−(O’B
u)−Wang樹脂(1.2 g, 0.54 mM)をNMP中で膨潤させ、
NMP中の20%ピペリジンを添加し、窒素を20分間通気することによって混
合することによりFmoc−基を除去した。溶媒を吸引によって排出し、樹脂を
洗浄した。4等量のFmoc−L−Cys−(S’Bu)−OH(0.93 g
),4等量の2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−
テトラメチルウロニウム(TBTU)および6等量のジイソプロピルエチルアミ
ン(DIEA)をNMPと共に添加し、窒素を30分間通気した。樹脂を再度洗
浄し、Fmoc−基の脱保護を反復し、NH2−L−Cys−(S’Bu)−L
−Glu−(O’Bu)−Wang樹脂を得た。次いで、樹脂を2つのプールに
分け、同様の方法を用い、Fmoc−L−Gin−(Trt)−OHを1つのプ
ールに添加し、Fmoc−D−Gin(Trt)−OHを他のプールに添加した
。2つのプールを混合し、Fmoc−基を脱保護し、NH2−(L,D)−Gl
n−(Trt)−L−Cys−(S’Bu)−L−Glu−(O’Bu)−Wa
ng樹脂を得た。該樹脂を再度2つのプールに分け、Fmoc−L−Asn−(
Trt)−OHを1つのプールに添加し、Fmoc−D−Asn−(Trt)−
OHを他のプールに添加した。2つのプールを混合し、Fmoc−基を脱保護し
、NH2−(L,D)−Asn−(Trt)−(L,D)−Gin−(Trt)
−L−Cys−(S’Bu)−L−Glu−(O’Bu)−Wang樹脂を得た
。この樹脂に0.072 gのピリジン中のコハク酸無水物を添加し、HOOC
(CH22CONH−(L,D)−Asn−(Trt)−(L,D)−Gin−
(Trt)−L−Cys−(S’Bu)−L−Glu−(O’Bu)−Wang
樹脂を得た。洗浄後,S’Bu基を、13.8 mLのDMF/トリブチルホス
フィン(20/3、 v/v;0.52 M)を添加し、3時間通気することに
よって除去した。得られた樹脂を再度洗浄し、HOOC(CH22CONH−(
L,D)−Asn−(Trt)−(L,D)−Gln−(Trt)−L−Cys
−L−Glu−(O’Bu)−Wang樹脂を得た。0.6 gのReO(PP
32Cl3(8等量)および0.32 gの酢酸ナトリウム(最終1M)を樹
脂溶液に添加し、溶液を70℃にて2時間加熱した。室温まで冷却した後、樹脂
を洗浄し乾燥し、3 mLのTFA「カクテル」(5%水、5%TIPS、5%
チオアニソールおよび85%TFA)を添加した。溶液を3時間放置した。次い
で、樹脂を濾過し、1 mLのTFAで1回洗浄した。冷エーテルを収集したT
FA溶液に添加し、得られた沈殿を冷エーテルで洗浄し、高真空下で乾燥した。
得られた混合物は灰色の固体であり、これは40 mgの重量であり、収率はほ
ぼ56%であり、これは等しい量のHOOC(CH22CONH−L−Asn−
(Trt)−L−Gin−(Trt)−L−Cys−L−Glu;HOOC(C
22CONH−L−Asn−(Trt)−D−Gin−(Trt)−L−Cy
s−L−Glu;HOOC(CH22CONH−D−Asn−(Trt)−L−
Gin−(Trt)−L−Cys−L−Glu;およびHOOC(CH22CO
NH−D−Asn−(Trt)−D−Gin−(Trt)−L−Cys−L−G
luを含有した。
【0089】 実施例2 4メンバーN31タイプのメタロペプチド化合物ライブラリーの交
互単一−ポット合成 酢酸ナトリウムを置き換える交互塩基としての1,8−ジアザビシクロ[5,
4,0]ウンデカー7−エン(DBU)。Wang樹脂に付着したペプチド H
OOC(CH22CONH−L−Asn−(Trt)−L−Gin−(Trt)
−L−Cys−L−Glu−O’Bu をDMF中の1,8−ジアザビシクロ[
5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)(8等量)およびReO(PPh3
2Cl3(8等量)と混合した。反応は室温にて4時間行った。樹脂からの生成
物の引き続いての切断、洗浄および沈殿は前記実施例1に記載した通りである。
【0090】 実施例3 還元剤およびReO(PPh32CL3の存在下でのメタロ−複合
体のイン・サイチュ形成 前記実施例1から得られた樹脂HOOC(CH22CONH−(L,D)−A
sn−(Trt)−(L,D)Gln−(Trt)−L−Cys−(S’Bu)
−L−Glu−(O’Bu)−WangをDMF中のトリブチルホスフィン(0
.52 M)およびReO(PPh32Cl3(8等量)と混合した。反応で用
いた塩基は酢酸ナトリウム(0.1 M)または1,8−ジアザビシクロ[5,
4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)(8等量)いずれかであった。酢酸ナト
リウムの場合、反応は約70℃にて4時間行った。DBUの場合には、反応容器
を室温で4時間震盪した。樹脂からの生成物の引き続いての切断、洗浄および沈
殿は前記実施例1に記載した通りであった。
【0091】 実施例4 PEG樹脂とのAc−His−X−Cys−Trp−NH2−レニ
ウム複合体の合成(ここに、X=Trp、ホモPhe、2−Nal、またはフェ
ニルグリシン) 該手法は実施例1、2および3に記載されたものと同様であった。NovaS
yn TGR樹脂を用いた。ヒスチジン、システインおよびトリプトファンを、
各々、トリチル、チオ−t−ブチルおよびBoc基によって保護した。切断カク
テルはTFA/TIS(95/5)であった。3時間後、樹脂を濾過し、TFA
で洗浄した。TFA溶液に冷エーテルを添加し、得られた沈殿を遠心によって回
転させた。得られたペレットをエーテルで2回洗浄し、0.5 mLの95%酢
酸を添加した。5 mLの水を1時間後に添加した。次いで、得られた生成物を
高真空下で凍結乾燥した。
【0092】 実施例5 メラノコルチン受容体のためのプロトタイプメタロペプチドライブ
ラリーの開発 該ラリブラリー設計はα−MSHのテトラペプチドメッセージ配列His−P
he−Arg−Trp(6−9配列)に基づくものであった。この配列は逆ター
ンとして存在し、それを本発明のメタロペプチド様式への変換に適したものとす
る。このアプローチにおいて、メタロペプチドは、レニウム金属イオンのために
設計したトリペプチドN31 MBDの周りに設計した。該MBDを誘導体化し
て、メラノコルチン(「MC」)受容体のための推定候補としてのペンタペプチ
ドAc−His−Phe−Arg−Cys−Trp−NH2を得た。アミノ酸側
鎖のキラリティーを含めた他の考慮に応答して、構造におけるさらなる精練をな
して、鋳型構造Ac−His−D−Phe−Arg−Cys−Trp−NH2
得た。レニウムへの結合後のこのペプチドの構造は: であった。
【0093】 鋳型構造を用いて、スプリット合成方法を利用して小コンビナトーリアルラリ
ブラリーを規定した。コンビナトーリアルライブラリーに選択した最終鋳型はA
c−D−His−Xaa−D−Cys−Trp−NH2であり、ここに、Xaa
はD−(2’)ナフチルラニン、D−Trp、D−ホモPhe、またはD−フェ
ニルグリシンであった。このライブラリーでは、ペプチド樹脂、Cys(S’B
u)−Trp(Boc)−樹脂を4つの等しい部分に分けた。各部分を4つのX
aaタイプのうちの1つと反応させた。カップリング後、樹脂プールを混合し、
単一プールで合成を続けて、His残基にカップリングさせた。最終結果は単一
プールで4つの別々のペプチドであり、各ペプチドはXaa位置において1アミ
ノ酸だけ変化した。
【0094】 S’BuOSPG基を用いて合成の間にSH基を保護した。酸不安定側鎖保護
基でのFmoc化学を用いるペプチド鎖の固相組立の後、トリブチルホスフィン
を用いてS’Bu基を分けた。得られた遊離SH−含有ペプチド−樹脂を、塩基
としての1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エンの存在下で
レニウム移動剤Re(O)Cl3(PPh32 で処理した。次いで、得られたメ
タロペプチド樹脂をTFAで処理して、それを樹脂から切断し、全ての側鎖保護
基を脱保護した。生成物を質量分析によって分析した。HPLC分析を行い、個
々のピークを収集し、質量分析に付した。得られたペプチドを電子スプレイ質量
分析によって分析し、ペプチドに複合体化したレニウムを含めた予測された質量
を得た。
【0095】 実施例6 メラノコルチン受容体−特異的メタロペプチドライブラリーの設計
および合成 ライブラリーは、膜貫通領域4、5、6および7における受容体芳香族残基の
疎水性ネットワークと相互作用するメラノコルチン側鎖ファルマコフォアD−P
he7およびTrp9を含めた、メラノコルチン受容体およびメラノコルチン受容
体に特異的なペプチド配列に関するデータに基づいて合理的に設計した。この設
計基準に基づき、メラノコルチン受容体についてのファルマコフォアを予備的に
規定し、優れた受容体−選択的アゴニストの同定のためにコンビナトーリアルラ
イブラリーを設計した。
【0096】 該設計基準に基づき、推定構造R−Aaa−Baa−L−Cys−Caa−N
2を選択し、ここに、Aaa,Baa,およびCaaの各々は、前記のいずれ
か1つがAaa、BbbまたはCaaのうちのいずれか1つで置き換えることが
できるように、2−Nal(1)、Phe(2)、Trp(3)、Tyr(4)
およびAla(5)のL−またはD−異性体から選択される。ライブラリー設計
のために採用した命名法において、5つのアミノ酸は1ないし5と命名し、異性
は、例えば、Baa2LがBaa位置におけるL−Pheをいうように常法によ
り示した。
【0097】 末端R基は、Ac,C65OOH,CH3(CH25−COOH,C65CH
=CH−COOH(トランス)およびピリジン−3−カルボキシレートから選択
した。末端R基は切形アミノ酸を表し、さらなる構造多様性を提供する。
【0098】 プールおよびスプリットライブラリー合成スキームは、5,000の別の化合
物が合成され、各々が25の異なる化合物を含有する200の最終のプールが得
られ、該化合物はAaaおよびBaa位置におけるアミノ酸だけ異なるように使
用した。この方法を用い、Caaアミノ酸またはR末端基に関連する結合特徴は
群内比較により同定することができ、それにより、脱回旋戦略が簡略化される。
【0099】 ライブラリー合成工程は図5に記載する。工程1の樹脂は10の群に分割され
る。工程2では、Caa1LないしCaa5Dの各々を個々の樹脂基にカップリン
グさせ、L−Cysは各樹脂基にカップリングさせ、10の基および20のカッ
プリングが得られた。次いで、工程2の樹脂基の各々を工程3で示されるごとき
10のサブ群に分割した(1つのサブ群のみ工程3で示し、工程3の各サブ群に
つき、Baa1LないしBaa5Dの各々をサブ群内の1つの群にカップリングし
、10のサブ群における100の群および100のカップリングが得られた)。
工程3の各サブ群につき、 5つのBaaxLメンバーおよび5つのBaaxDメ
ンバーを工程4で別々にプールし、20のサブ群が得られ、各サブ群はBaax
メンバーにより異なる5つの異なる配列を含有する。次いで、工程4の20のサ
ブ群の各々を工程5において10の群に分割し(1つのみ図5で説明のため示す
)、各サブ群につき、Aaa1LないしAaa5Dの各々をサブ群内の1つの群に
カップリングし、20のサブ群における200の群および200のカップリング
が得られた。工程5の各サブ群につき、5つのAaaxLメンバーおよび5つの
AaaxDメンバーを工程6において別々にプールして40のサブ郡を得て、各
サブ群はBaaxおよびAaaxメンバーによって異なる25の異なる配列を含有
する。工程7において、工程6の40のサブ群の各々を5つの群に分割し、R1
ないしR5の各々はサブ郡内で1つのグル−プに連結され、40のサブ郡内で2
00の郡を生じ、各群はBaaxおよびAaaxメンバーにより異なる25の異な
る配列を含有する。
【0100】 側鎖官能基を酸不安定基で保護し、Fmoc化学を用いペプチドを合成した。
Cys残基のSH基は、還元剤としてのトリブチルホスフィンを用い、塩基およ
び酸不安定基双方の存在下にて切断可能な S’BuOSPGによって保護した
。ペプチド鎖は、カップリング剤として1−(1H−ベンゾトリアゾール−1−
イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(T
BTU)を用いて固相で組み立てた。次いで、塩基としての1,8−ジアザビシ
クロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(DBU)の存在下でレニウム移動剤R
e(O)Cl3(PPh32を用い、SH基を選択的に脱保護し、レニウム金属
イオンを複合体化した。このようにして、金属−ペプチド複合体は、依然として
固体支持体に連結されたペプチド鎖で形成される。次いで、TFAでの処理によ
ってメタロペプチドを固体支持体から遊離させた。金属イオン複合体化に対する
この固相アプローチは、コンビナトーリアルライブラリーで使用されるスプリッ
ト合成方法に十分匹敵する。
【0101】 合成プロセスは市販の自動シンセサイザーを用いて行った。(SynPep
Corporation, Dublin, CAから商業的に入手可能なもの
のごとき)マルチプル自動シンセサイザーは10のペプチドの平行合成を同時に
可能とする。
【0102】 要すれば、品質制御プロトコルを使用し、これは、25の化合物の各個々のプ
ールについてのHPLC、質量分析、およびアミノ酸分析を含む。プール構成要
素の各々の存在は分子イオン質量分析によって確立される。負イオンモードの電
子スプレー(ES)およびマトリックス−支援レーザー収着(MALD1)技術
を使用した。質量分析を用い、3つの異なる測定を行った:(a)(各化合物に
ついての異なる質量を仮定して)分子イオンピーク測定による25までの個々の
化合物の存在、(b)分子イオンピークがレニウム金属イオンに対する複合体化
を示すことの確認、および(c)金属イオンと複合体化していないペプチドに対
応する分子質量でのピークの不存在。レニウムは、質量が2単位だけ異なる(1
86および188)2つの同位体の混合物であり、これらの同位体の相対的豊富
さは1:2である。メタロペプチドの分子イオンプロフィールは、積分面積比1
:2で2質量単位だけ異なる2つのピークとして出現する。レニウムは、かくし
て、これらのメタロペプチドについての内部質量スペクトル参照として働く。こ
の主張の方法によって合成された25化合物の1つのかかるプールのスペクトル
分析は図2に示す。このプールにおける2つのメタロペプチドの5つの組は、異
なる配列において組み立てた同一アミノ酸の存在により同様の質量を有する。ピ
ークの相対的強度はプール中の個々の化合物の異なるイオン化により、混合物中
の相対的量を反映しない。質量単位の差が2であって相対的比率が1:2である
ピークの各対は、レニウムの2つの安定な同位体(Re−185およびRe−1
87)の相対的豊富さによる。スペクトル分析は、レニウム−オキソコアの不存
在により、対応するメタロペプチドよりもほぼ197ないし199質量単位低く
なろういずれの遊離された未複合体化線状ペプチドも明らかとしなかった。
【0103】 25メタロペプチドの各プールのアミノ酸分析も使用し、これを用いてプール
中の25化合物の各々の相対的等モル比を決定した。スプリット合成の合成プロ
トコルは、等モル量のプール構成要素を保証するように設計した。
【0104】 実施例7 メラノコルチン受容体−特異的ライブラリーのスクリーニング メタロペプチドライブラリープールは、高スループットスクリーニングアッセ
イにおいてMC−4受容体およびMC1−R受容体結合活性につきスクリーニン
グする。MC受容体−結合アッセイは、MC受容体の源としてB16−F1メラ
ノーマ細胞からの膜調製物を用いる。MC−4受容体発現293細胞から調製さ
れた細胞膜および陰性対照である未トランスフェクト293細胞を、MC−4受
容体特異的結合アッセイにおいてB16−F1メラノーマ細胞膜につき置き換え
る。MC受容体−結合アッセイはMillipore Multi−Scree
nシステムを用い、リン酸緩衝化生理食塩水中の0.5%ウシ血清アルブミンで
予めブロックした96−ウエルMilliporeフィルタープレート(Dru
atore, 0.45 mm多孔度)で行う。0.2%ウシ血清アルブミンを
含有するHEPES緩衝液中の0.4 nM125I−NDP−MSHと共に細胞
膜調製物(12.5 μg/ウエル)をインキュベートする。10-6M α−M
SHまたは10-7M NDP−MSHの添加によって非特異的結合を測定する。
テストすべきメタロペプチドを1 mMの最終濃度にて反応ウエルに添加する。
室温での90分間のインキュベーションの後、膜を捕獲するための濾過によって
結合反応を迅速に停止させる。フィルターを氷冷PBSで3回洗浄し、風乾する
。次いで、個々のフィルターをプレートから打ち抜き、ガンマカウンターチュー
ブに分配する。膜に結合した放射能はPackard Cobraガンマカウン
ターで測定する。特異的結合は、125I−NDP−MSH単独を含有するウエル
中の放射能から10-6M α−MSHを含有するウエル中の放射能を引いたもの
として測定される。テスト化合物は二連ウエル中でスクリーニングし、1 μM
濃度が特異的結合の>50%を阻害する場合に活性であると考えられる。未標識
NDP−MSHの標準曲線を、内部アッセイ対照として各プレートに含ませる。
【0105】 商業的に入手可能なcAMPキット(R&D Systems, DE035
0、低pH)を使用して、MC−4受容体に結合するメタロペプチドのアゴニス
ト能力を評価する。hMC−4受容体で安定にトランスフェクトした293細胞
、またはB16−F1メラノーマ細胞を96−ウエル皿中で密集するまで増殖さ
せる。細胞を洗浄し、0.2 mMイソブチルメチルキサンチン(cAMPホス
ホジエステラーゼ)および濃度を変化させるメタロペプチドを含有する新鮮なR
PMI、あるいは陽性対照としてのα−MSHを添加し、細胞を37℃で1時間
インキュベートする。培地を吸引し、細胞層を150 μlの0.1 M HC
lで抽出する。100 μlの細胞抽出物の全cAMP蓄積は、アセチル化修飾
を用い、cAMPキットでの競合的免疫アッセイによって96−ウエルプレート
中で定量する。テスト化合物についてのEC50値は、10-8M α−MSHで処
理した細胞中でのcAMP蓄積に基づいて計算する。α−MSHおよびMSHア
ナログペプチドの存在下でcAMPを蓄積するこれらの細胞型の双方の能力は、
実施例1に引用された科学的文献およびOllman MMら、Science
278:135−138, 1997に記載されている。
【0106】 実施例8 メラノコルチン受容体−特異的ライブラリーの脱回旋 陽性プールの脱回旋は反復再合成およびスクリーニング脱回旋アプローチによ
ってなされる。個々の25の構成要素を各5化合物の5のより小さなプールにて
別々にまたは交互に合成し、各プールは受容体結合アッセイでスクリーニングす
る。予備的スクリーニングで高いヒット頻度がある場合に後者のアプローチが好
ましい。(ナノモラー範囲の受容体親和性および少なくとも100のMC−4な
いしMC−1受容体選択性に最も近い)最良の結果を伴うプール中の化合物を個
々に合成し、スクリーニングする。
【0107】 実施例9 メラノコルチン受容体−特異的ライブラリーの脱回旋の別の方法 本実施例においては、メタロペプチドライブラリーの質量スペクトル脱回旋の
別の方法を使用する。該方法はレニウム−複合体化ペプチド(2質量単位だけ異
なる1:2比率の2つの同位体ピーク)の内部シグニチャーに基づき、これは一
般に混合された溶液においてさえメタロペプチド同定を可能とする。陽性プール
を受容体−担持細胞と共にインキュベートし、過剰の未結合化合物を制御された
条件下で洗浄除去し、細胞を溶媒で処理してメタロペプチド結合を破壊し、溶媒
中のメタロペプチドを抽出する。溶媒の質量スペクトル分析は、受容体−担持細
胞に結合したメタロペプチドまたは複数メタロペプチドを明らかとし、品質対照
データとの比較により、結合した特異的メタロペプチドまたは複数メタロペプチ
ドを確認することが可能である。このプロセスはメタロペプチドライブラリース
クリーニングの高スループットを提供する。
【0108】 実施例10 一般構造式Ac−His−Xaa−Cys−Trp−NH2の4
つのメタロペプチドのライブラリーの単一ポット合成 実施例1に記載したものと同様の合成手法をこのライブラリーを作成するのに
用いた。ペプチドアミドを作成するためのNovaSyn TGR樹脂(置換0
.2 mM/gm)を用いた。以下の保護アミノ酸:Fmoc−Trp(Boc
)、Fmoc−Cys(SBu’)、Fmoc−XxxおよびFmoc−His
(トリチル)を用いてFmoc合成戦略を使用した。該Xaaアミノ酸はTrp
、ホモPhe、2’−ナフチルアラニンおよびフェニルグリシンであった。ペプ
チド樹脂Cys(Bu’−)−Trp−NH2を4つの等しいプールに分け、X
aaアミノ酸の1つを1つの個々のプールにカップリングさせた。カップリング
反応の完了の後、4つの樹脂プールを再度混合した。該合成は、Hisのカップ
リング、続いてのN−末端のアセチル化で進行した。ペプチド鎖Ac−His(
Trt)−Xaa−Cys(S−Bu’)−Trp(Bou)−NH2の完全な
組立の後、DMF/トリブチルホスフィンでの処理によってS−Bu’ OSP
G基を除去し、実施例1に一般に記載されているごとくレニウム−オキソ金属イ
オンを複合体化させた。十分に保護されたメタロペプチドを脱ブロックし、切断
カクテル(トリフルオロ酢酸−トリイソプロピルシランの95:5混合物)での
3時間の処理によって固体支持体から遊離させた。メタロペプチドライブラリー
は冷エーテルを用いる沈殿によって回収した。得られたペレットを2回洗浄し、
0.5 mlの95%酢酸を添加した。30分後5 mlの水を添加し、溶液を
凍結乾燥して固体形態の所望のライブラリーを得た。ライブラリープールの質量
スペクトル分析により、ライブラリーの全ての4つのメンバーにつき正しい質量
が確認された。
【0109】 表に示すごとく、2の質量単位だけ異なる2つの分子イオンピークを計算し、
各構造につき観察した;この差は恐らくは複合体化工程におけるレニウムの2つ
の天然同位体、Re−185およびRe−187、の存在によるものであろう。
加えて、スペクトル分析における観察されたピーク下面積は、各構造につき、面
積は1:2の比率であることを示し、これはRe−185およびRe−187同
位体の相対的豊富さと同一であり、恐らくはそれに関係する。この結果により、
レニウムのペプチドへの複合体化が確認された。図3は4つのメタロペプチドの
ライブラリープールの質量スペクトルを示す。これらのピークの相対強度がプー
ル中での個々の化合物の異なるイオン化によるものであり、プールにおける相対
的な量を反映しない。スペクトル分析はいずれの遊離した未複合体化線状ペプチ
ドも明らかにせず、これは、レニウム−オキソコアの不存在による、対応するメ
タロペプチドよりもほぼ1970ないし199質量単位少ないであろう。図3は
4つのメタロペプチドのライブラリープールの逆相HPLCプロフィールを示す
。該プールは図4Aに示し、個々のペプチドの各々は図4Bないし4Eに示す。
図4Bないし4Eにおける各個々のピークは図3AにおけるプールでのHPLC
プロフィールにマッチし、これはプールにおける4つの化合物の各々の存在を示
す。各個々のペプチドは、Re=Oコア中の酸素原子の2つの交互の向きによる
2つの異性体ピーク(syn−およびanti−異性体)に分解される。この比
較で用いた全ての4つの化合物は、ライブラリーの合成につき前記した方法を用
いて個々に調製された。個々の化合物のHPLCプロフィールは図4Aないし4
Eに示す。
【0110】 実施例11 一般構造式R−Aaa−Bbb−Cys−Val−NH2のヒト
好中球エラスターゼに標的化される小マルチ−プールライブラリーの合成 該ライブラリーは、各々5つのメタロペプチドの12プールにて60−メンバ
ーのライブラリーとして合成された。12のプールの各々において、Aaaのみ
が5つの異なる構造変種を用いてランダム化され、他方、RおよびBbbはその
プールについて一定であった。R基はベンジルオキニカルボニル、アセチルおよ
びスクシニル基から選択されたN−末端キャッピング基であった。Aaaは5つ
の異なる残基Ala、Leu、Ile、PheおよびLys(Ne−Z)から選
択された。BbbはGly、Ala、SerおよびAsnから選択した。これら
のプールにおけるメタロペプチドの構造は実施例12に記載する。
【0111】 全ての12のメタロペプチドプールは、一般的戦略および実施例1、6および
9に記載された方法を用いて合成した。該プールの各々は質量スペクトル分析に
よって特徴付け、レニウム−複合体化ペプチドにつき5つの正しい質量を有する
ことが示され(2つの同位体ピークは2の質量単位だけ異なる1:2の比率であ
る)。加えて、質量スペクトルは、全てのまたは実質的に全てのペプチドを示す
、金属イオンに複合体化していない線状ペプチドに関連するいずれのピークもレ
ニウムイオンに複合体化したことを示さなかった。
【0112】 実施例12 ヒト好中球エラスターゼに標的化される一般構造式R−Aaa−
Bbb−Cys−Val−NH2の60−メンバーのマルチプ−ルライブラリー
のスクリーニング 精製されたヒト好中球エラスターゼ(HNE)はSigma(St. Lou
is, MO)から購入した。該アッセイはやはりSigmaから購入した発色
性p−ニトロアリニド基質MeOSus−Ala−Ala−Pro−Val−P
NAを用いて分光光度法により行った。該アッセイプロトコルは他の者によって
記載されたものと同様であった(例えば、Nakajima Kら:J Bio
l Chem, 254:4027−4032, 1979)。簡単に述べれば
、p−ニトロアリニド基質の存在下で0.05ユニットのHNEを1 mM濃度
のライブラリープールで処理した。分光光度測定は410 nmの波長で行った
。アッセイの結果は以下の表に示す。スクリーニングの結果は、12のプールの
内3つのみが1 mMの帰属アッセイカットオフ未満の阻害を呈することを明ら
かとした。また、この限定された一連の化合物の内、ベンジルオキシカルボニル
基は好ましいR基として同定され、ここに、BbbはGly、Ala、またはS
er残基であった。
【0113】 以下のものは一般構造式ReO−[R−Aaa−Bbb−Cys−Val−N
2]を示す:
【0114】 以下の表は12のプールライブラリーの60のメンバーの構造を示し、ここに
、Zはベンジルオキシカルボニルであり、AcはアセチルであってSucはスク
シニルである:
【0115】 実施例13 ヒト好中球エラスターゼに標的化される一般構造式Z−Aaa−
Ser−Cys−Val−NH2のライブラリープールの脱回旋 最大活性を持つプール、Z−Aaa−Ser−Cys−Val−NH2、は反
復再合成プロセスによって脱回旋した。このプール中の全ての5つの個々のペプ
チドは実施例10の方法およびプロトコルによって合成した。各個々のペプチド
は質量スペクトル分析およびHPLCによって特徴付けた。スクリーニングアッ
セイは一般に実施例11に記載したごとく行った。最良の結果は、ペプチド鎖中
の位置AaaにあるLeuまたはIleの場合に得られた。ペプチドZ−Leu
−Ser−Cys−Val−NH2は139 μMのIC50値を呈しペプチドZ
−lle−Ser−Cys−Val−NH2は179 μMのIC50値を呈した
。Aaaにおける3つの残基Ala, Phe,およびLys(Ne−Z)の置
換は1,000 μM過剰のIC50値を生じた。これらの結果に基づき、2つの
ペプチドZ−Leu−Ser−Cys−Val−NH2 およびZ−lle−Se
r−Cys−Val−NH2 は、HNE阻害剤としての立体化学要件に適合する
ように見えた。Zがベンジルオキシカルボニルである場合、このアッセイの結果
を以下の表に示す。
【0116】 実施例13 ハロゲン化化合物からの−SH含有形成ブロックの合成 本発明によるライブラリーの合成で用いる(アミノ酸以外の)種々の「S」含
有形成ブロックは対応するハロゲン化同族体から合成することができる。該プロ
セスは、Wunderin Rら:Helv Chim Acta68:12−
22, 1985に記載されているごとき、対応するBunte塩(S−スルホ
ネート誘導体)を得るためのわずかに塩基性のpHにおけるハロゲン化化合物の
チオ硫酸ナトリウムでの処理に頼る。該Bunte塩S−スルホネート誘導体を
、2−メルカプトエタン、水素化ホウ素ナトリウムまたはトリブチルホスフィン
のごとき還元剤で処理して遊離チオール−含有生成物を得る。次いで、この生成
物をペプチド合成の分野で知られているTrt、mmt、Npys、Bu’、S
Bu’のごとき通常のS−保護基でS−保護することができる。別法として、本
発明では好ましくは、該Bunte塩S−スルホネート誘導体をMaugrs
Iら:Int J Peptide Protein Res 45:152,
1995によって記載されているごとくペプチドの合成で直接用いることがで
きる。該S−スルホネート誘導体はFmocまたはBoc合成ペプチド合成方法
いずれかを用いて安定であり、ペプチド合成に続き、得られたペプチドをトリブ
チルホスフィンで処理して遊離−SH基を遊離させることができる。いずれの方
法においても、得られたペプチドは金属イオンとの複合体化に利用できる遊離チ
オールを有し、その複合体化は前記した固相または液相方法いずれかによること
ができる。
【0117】 実施例14 還元されたペプチド結合メタロペプチドライブラリーの合成 メタロペプチドライブラリーを合成することができ、ここに、該ライブラリー
メンバーは、当該ライブラリーメンバーがCO−NHペプチド結合よりもCH2
−NH基またはCH2−NR基を含有するように還元されたペプチド結合または
N−置換還元結合を含有する。これらの構造の例は図1A、1D、1E、1H、
および1Jに与える。使用する合成方法はペプチド結合のみを含有するメタロペ
プチドについてのものと同様である。化合物は、液相または固相合成いずれかを
用い本発明の方法によって製造することができる。一般に、合成戦略は、一般に
Wen JおよびSpatola AF:J Peptide Res 49:
3−14, 1997に議論されているがごとく、還元されたペプチド結合を取
り込む線状ペプチド誘導体を組み立てることを含む。該合成戦略において、偽ペ
プチド結合の導入の間に還元的アルキル化工程に適合する直交S−保護基を使用
する。例えば、Mmt(4−メトキシトリチル)基をFmoc合成戦略の間にS
−保護のために用いことができる。固相金属イオン複合体化が使用できるように
、該Mmt基は樹脂からペプチドを切断することなくジクロロメタン中の1%T
FAでの処理に際して放出される。要すれば、還元されたペプチド結合の導入の
間に生じる還元ペプチド結合(CH2NH)のアミン官能性の直交保護を供する
ための手段を使用することもできる。アミン官能性の直交保護を供するのに使用
できる1つの基はDde基[1−(4,4−ジメチルアミノフェニルアゾ)ベン
ゾイル]であり、これはFmocおよびBoc切断条件双方の間に安定であって
、2ないし5分間のDMF中の2%ヒドラジンでの処理によって選択的に除去さ
れる。そのような保護基を用い、十分に組み立てられたペプチドをまずヒドラジ
ンで処理してDde基を除去し、次いで、ジクロロメタン中の1%TFAで処理
して樹脂上のペプチドからMmt基を除去する。次いで、固相上にある間に、得
られた配列を金属イオンに複合体化し、しかる後、前記したごとく樹脂から切断
することができる。
【0118】 別法として、還元ペプチド結合CH2NH基でのアミン保護はBoc基であり
、十分に組み立てられたペプチドを脱保護し、TFAでの処理に際し単一の工程
で樹脂から遊離させる。次いで、前記したごとく金属複合体化は溶液中で達成す
ることができる。
【0119】 図1A、1D、1E、1Hおよび1Jに示すごとく、CO−NHペプチド結合
よりもむしろCH2−NR基のごときN−誘導体化官能性を含有するライブラリ
ーメンバーは、S−Mmt保護を持つ線状ペプチドおよびDde基を用いてN保
護されるCH2NHアミンを組み立てることによって合成することができる。次
いで、DMF中のヒドラジンでの処理によってDddを選択的に除去する。次い
で、塩基の存在下でR基の対応するハロゲン化誘導体での処理を介するR基の付
着によって該遊離されたアミンを官能性化する。ジクロロメタン中の1%TFA
での処理によるS−Mmt基の除去に続き、得られたライブラリーメンバーを前
記したごとく金属イオンと複合体化させることができる。別法として、N−官能
性化の後に、得られたライブラリーメンバーを脱保護し、1工程で樹脂から切断
遊離し、前記したごとく溶液中で金属複合体化が達成される。
【0120】 実施例15 S22金属イオン複合体化を供するライブラリーメンバーの合成 図1C、1E、1Iおよび1Jに示す、S22金属イオン配位を持つメンバー
を含有するライブラリーは、S13金属イオン配位を持つメンバーを含有するラ
イブラリーで使用したのと同様の手段によって合成することができる。1つの方
法において、2−メルカプト酢酸またはCysのS−保護誘導体をペプチドの線
状組立体に一体化させることによって、第2の「S」を構造に導入する。S−保
護基の選択は、前記した直交保護基準の選択によってガイドされる。線状ペプチ
ドの組み立ての後、「S」原子の双方からの保護基を除去し、一般に前記したご
とくに金属イオン複合体化が達成される。
【0121】 別法として、S−脱保護、およびいずれかの他の保護基の除去は単一工程で樹
脂からのペプチドの切断と同時に達成することができる。次いで、金属イオン複
合体化は前記したごとく溶液中で達成される。
【0122】 実施例16 レニウム[V]ニトリド複合体の合成 レニウムニトリド化合物の合成は対応するレニウムオキソ複合体のそれと同様
である。Re(O)Cl3(PPh32の代わりに(Sullivan BPら
:Inorg Syntheses 29:146−150, 1992によっ
て記載されているがごとく合成できる)Re(N)Cl2(PPh32移動剤の
使用により対応するニトリド複合体を得る。レニウムオキソ複合体につき前記し
たごとく、対応するニトリド化合物は固相または液相で調製することができる。
金属複合体化は合成における最後の工程であるので、線状ペプチド鎖ライブラリ
ーメンバーの組み立てはレニウムオキソ複合体につき記載した方法と同一である
。別法として、置換ヒドラジンでレニウムオキソ化合物を処理することによって
、ニトリド化合物をレニウムオキソ化合物から直接調製することができる。
【0123】 実施例17 レニウムオルガノイミド複合体の合成 レニウムオルガノイミド複合体の合成はいくつかの異なる方法で達成される。
1つの方法において、第一級アミンでのレニウムオキソ複合体の処理はそれをオ
ルガノイミド複合体に変換する。まず、芳香族オルガノイミド誘導体はこの方法
によって調製することができる。代替方法において、1,2ジ置換ヒドラジンで
のレニウムオキソ複合体の処理の結果、対応するオルガノイミド複合体が得られ
る。芳香族および脂肪族オルガノイミド複合体は共にこのようにして調製するこ
とができる。さらにもう1つの代替方法において、ホスフィニイミン(Ph3
=NR)とのレニウムオキソ複合体の反応は対応するオルガノイミド複合体を生
じる。脂肪族および芳香族オルガノイミド複合体以外に、この方法はアロイルイ
ミド複合体(R=PhCO)を製造するのに効果的である。さらにもう1つの代
替方法において、イソチアン酸フェニルでのレニウムオキソ複合体の処理は対応
するフェニルオルガノイミド複合体を生じる。
【0124】 実施例18 ペプチド配列におけるスルフヒドリル基の直交保護による金属イ
オンのペプチド鎖への部位特異的複合体化 2以上のスルフヒドリル基がペプチド中で望まれる場合、他のチオールを保護
されたままにして所望のチオール基を選択的に脱保護できるように、他のS=保
護基と共にOSPGを使用することができる。金属イオンを脱保護されたチオー
ルに複合体化し、金属イオン複合体化に続き、残りの保護基を遊離させて所望の
メタロペプチド複合体を得る。
【0125】 2つのS−保護チオール基(Cys残基)を含有する十分に保護されたペプチ
ド−樹脂、Fmoc−Tyr(Bu’)−Cys(Trt)−Gly−Phe−
Cys(S’Bu)−Wang樹脂は標準的な固相ペプチド合成手段によって調
製した。N−末端Fmoc基をDMF中の20%ピペリジンでの処理によって除
去して樹脂Tyr(Bu’)Cys−(Trt)−Gly−Phe−Cys(S
’Bu)−Wang樹脂を得た。この場合、Cys(Trt)基およびCys(
S’Bu)保護基は相互に直交している。Cys(Trt)は酸不安定基である
が、Cys(S’Bu)基は還元条件下で除去することができ、それにより1つ
のチオール基の選択的脱保護を可能とする。ペプチド−樹脂をDMF中のトリブ
チルホスフィン(0.52 M)で処理してCys残基からS−S’Bu基を除
去した。次いで、塩基としてのDBUの存在下で該樹脂を室温にてRe(O)C
3(PPh32(8等量)で4時間処理して、ペプチドとのREO[V]複合
体の形成を完了する。ペプチド樹脂を十分に洗浄し、乾燥し、TFA/TIS(
95:5)切断カクテルで処理してメタロペプチドを得た。MeOH−エーテル
を用いて該メタロペプチドを沈殿させ、乾燥し、HPLCによって精製した。精
製したペプチドを電子スプレー質量スペクトル分析によって分析し、メタロペプ
チド複合体についての予測される質量を得た。
【0126】 実施例19 ペプチド配列中のスルフヒドリル基の直交保護による金属イオン
のペプチド鎖への部位特異的複合体化のための、2つの「S」基を含有するが1
つの「S」のみを利用するメタロペプチドライブラリーの合成、一般構造式:T
yr−Cys−[Aaa−Phe−Cys]ReO[V]を持つライブラリーの
合成 ReO[V]コアと複合体化できる2つの「S」を含有するがこれらの2つの
「S」の原子の内1つのみとのこの結合形成を指令するメタロ−ペプチドのライ
ブラリーは前記したごとく合成することができる。十分に保護されたペプチド樹
脂Fmoc−Tyr(Bu’)−Cys(Trt)−Aaa−Phe−Cys(
S’Bu)−Wang樹脂はペプチド合成の固相方法によって調製される。「A
aa」は、個々のライブラリーメンバーの組成に望まれるように、アルファアミ
ノ酸(L−またはD−異性体形態の合成または天然)である。異なるAaa基を
持つ個々の化合物は、化合物の平行ライブラリーの合成のために平行に合成する
ことができる。別法として、全ての化合物は、Aaaのためのカップリング工程
において異なる「Aaa」形成ブロックを用い1ポットにて混合物として合成す
ることができる。別法として、ライブラリー混合物は、種々のAaa基を用いる
前記したスプリットおよびプールアプローチによって合成することもできる。
【0127】 仕上げたペプチド−樹脂を20%ピペリジンで処理して末端Fmoc基を除去
する。このようにして得られたTyr(Bu’)−Cys(Trt)−Gly−
Phe−Cys(S’Bu)−Wang樹脂のDBUの存在下でのトリブチルホ
スフィンおよびRe(O)Cl3(PPh32での処理を前記したごとく達成し
て、Cys(Trt)残基を不活性なままにしてC−末端Cys残基において特
異的にReO金属イオンに複合体化させることができる。メタロ−ペプチド樹脂
の切断は前記したごとく達成することができ、しかる後、Cys(Trt)基を
脱保護することができる。
【0128】 前記したものの各々は単に例示的なものであり、他の同等の具体例も可能であ
って考えられる。
【0129】 これらの好ましい具体例を参照して本発明を記載してきたが、他の具体例は同
一の結果を達成することができる。本発明の変形および修飾は当業者に明白であ
り、添付の請求の範囲において全てのそのような修飾および同等物を網羅するこ
とを意図する。前記にて引用した全ての出願、および特許および公開の全開示は
ここに引用して一体化させる。
【0130】 前記した実施例は、上位概念時的にまたは具体的に記載した反応体を置換しお
よび/または前記した実施例で用いたものの代わりに本発明の条件を操作するこ
とによって同様の成功を持って反復することができる。
【図面の簡単な説明】
添付の図面は本願発明のいくつかの実施例を示すものであり、本明細書と共に
本願発明の原理の説明に供されている。これら図面は本願発明の好適実施例の説
明のみを目的としており、本願発明を限定するものと解されるべきではない。
【図1】1Aから1Jは、分子テンプレートの例であり、本願発明のタイブラリ
ー及び構造に採用が可能なものである。R1からR7は可変官能基であり、金属イ
オンの複合化でターゲット分子の望む特異性、親和性及び有効性を得るために採
用が可能である。Mは金属イオンまたは金属-オキソ(M=O)基あるいは金属-
ニトリド(M=N)、あるいはニトリド-N-置換金属-ニトリド(M=N-R8)基
である。R8は官能基であり、ターゲット分子に望む特異性及び親和性に貢献で
きるものである。Mはこの構造体を、金属イオンの複合化により、特定構造規制
状態で固定させるのに採用されている。
【図2】図2は実施例6により合成された25の金属ペプチドのライブラリープ
ールのマススペクトル図である。
【図3】図3は実施例10により合成された4の金属ペプチドのライブラリープ
ールのマススペクトル図である。
【図4】図4Aから図4Eは実施例10により合成された4の金属ペプチドのラ
イブラリプールの逆相HPLCプロフィールである。
【図5】図5は実施例6に従った分割プール(split pool)と組合せ合成法(combi
nation synthesis method)のフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 シー,イェークン アメリカ合衆国 ニュージャージー州 08816,イースト ブランズウィック,ロ ングフィールド コート 138 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA40 DA36 FB15 4H045 AA10 AA20 BA52 BA62 EA50 FA33 FA42 FA58 FA81

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固相上で合成された異なる配列のペプチド構成要素コンビナトー
    リアルライブラリーであって、それぞれのライブラリー構成要素は、 (A)固相に結合された3個以上のアミノ酸残基のペプチド配列であって、
    (i)金属イオン結合ドメインを形成し、少なくとも1個のS(Sは直交S保護基
    で保護されている)を含んだ少なくとも1個のアミノ酸残基を含んでいる2個以
    上のアミノ酸残基の配列と、(ii)前記金属イオン結合ドメインのN-またはC-末
    端での、あるいはそのN-及びC-末端両方での1個または複数個のアミノ酸残基
    の配列と、(iii)前記ペプチド配列を固相に取り付けているクリーブ可能な結合
    とを特徴とするペプチド配列と、 (B)本ライブラリーの構成要素の少なくとも1個のペプチド配列のアミノ
    酸残基の独特な選択または配列と、 を含んで構成されており、 前記直交S保護基は前記固相から、前記ペプチド配列をクリーブ処理せずに除
    去できることを特徴とする組合せライブラリー。
  2. 【請求項2】固相上で合成された異なる配列のペプチドミメティック構成要素
    コンビナトーリアルライブラリーであって、それぞれのライブラリー構成要素は
    、 (A)固相に結合された3個以上のアミノ酸残基とアミノ酸残基の擬似体と
    の組合せのペプチドミメティック配列であって、(i)金属イオン結合ドメインを
    形成し、少なくとも1個のS(Sは直交S保護基で保護されている)を含んだ少
    なくとも1個のアミノ酸残基またはアミノ酸残基の擬似体を含んでいる2個以上
    のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似体またはそれらの組合せの配列と、(ii)前
    記金属イオン結合ドメインのN-またはC-末端での、あるいはそのN-及びC-末
    端両方での1個または複数個のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似体またはそれ
    らの組合せの配列と、(iii)前記ペプチドミメティック配列を固体相に取り付け
    ているクリーブ可能な結合とを特徴とするペプチドミメティック配列と、 (B)本ライブラリーの構成要素の少なくとも1個のペプチドミメティック
    配列のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似体またはそれらの組合せの独特な選択
    または配列と、 を含んで構成されており、 前記直交S保護基は前記固体相から、前記ペプチドミメティック配列をクリー
    ブ処理せずに除去できることを特徴とする組合せライブラリー。
  3. 【請求項3】溶液内で合成された異なる配列のペプチドまたはペプチドミメテ
    ィック構成要素コンビナトーリアルライブラリーであって、それぞれのライブラ
    リー構成要素は、 (A)固相に結合された3個以上のアミノ酸残基とアミノ酸残基の擬似体と
    の組合せのペプチドミメティック配列であって、(i)金属イオン結合ドメインを
    形成し、少なくとも1個のS(Sは直交S保護基で保護されている)を含んだ少
    なくとも1個のアミノ酸残基またはアミノ酸残基の擬似体を含んでいる2個以上
    のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似体またはそれらの組合せの配列と、(ii)前
    記金属イオン結合ドメインのN-またはC-末端での、あるいはそのN-及びC-末
    端両方での1個または複数個のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似体またはそれ
    らの組合せの配列とを特徴とするペプチドミメティック配列と、 (B)本ライブラリーの構成要素の少なくとも1個のペプチドミメティック
    配列のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似体またはそれらの組合せの独特な選択
    または配列と、 を含んで構成されていることを特徴とするコンビナトーリアルライブラリー。
  4. 【請求項4】金属イオン結合ドメインは、直交S保護基の除去で金属イオンに
    結合される少なくとも1個のNをさらに含んでいることを特徴とする請求項1か
    ら3のいずれかに記載のコンビナトーリアルライブラリー。
  5. 【請求項5】金属結合ドメインはN3S1リガンドを形成する3個の残基を含ん
    でいることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンビナトーリアル
    ライブラリー。
  6. 【請求項6】直交S保護基はS-チオ-ブチル、アセトアミドメチル、4-メト
    キシトリチル、S-スルフォネート、または3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル
    であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンビナトーリアル
    ライブラリー。
  7. 【請求項7】直交S保護基は、ライブラリー構成要素または内部のアミノ酸側
    鎖保護基を改質せずにそのライブラリ構成要素から除去することができることを
    特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンビナトーリアルライブラリー
  8. 【請求項8】構造多様性は金属イオン結合ドメイン内で発生することを特徴と
    する請求項1から3のいずれかに記載のコンビナトーリアルライブラリー。
  9. 【請求項9】構造多様性は金属イオン結合ドメイン外で発生することを特徴と
    する請求項1から3のいずれかに記載のコンビナトーリアルライブラリー。
  10. 【請求項10】1個または複数個のライブラリー構成要素は、少なくとも1個の
    S(Sは非直交S保護基で保護されている)を含んだ金属イオン結合ドメインの
    N-またはC-末端で配列内に少なくとも1個のアミノ酸残基またはアミノ酸残基
    の擬似体を含んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコン
    ビナトーリアルライブラリー。
  11. 【請求項11】少なくとも1個のS(Sは直交S保護基で保護されている)を含
    んだ少なくとも1個のアミノ酸残基はL-またはD-3-メルカプトアミノ酸であ
    って、それにはL-またはD-システインあるいはL-またはD-ペンシルアミンが
    非限定的に含まれていることを特徴とする請求項1記載の固相コンビナトーリア
    ルライブラリー。
  12. 【請求項12】少なくとも1個のS(Sは直交S保護基で保護されている)を含
    んだ少なくとも1個のアミノ酸残基またはアミノ酸残基の擬似体はL-またはD-
    3-メルカプトアミノ酸であって、それにはL-またはD-システインあるいはL-
    またはD-ペンシルアミン、3-メルカプトフェニルアナニン、2-メルカプト酢
    酸、3-メルカプトプロピオン酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプト-
    3,3-ジメチルプロピオン酸、3-メルカプト-3,3-ジエチルプロプリオン酸
    、3-メルカプト,3-メチルプロピオン酸、2-メルカプト,2-メチル酢酸、3
    -シクロペンタメスレン,3-メルカプトプロピオン酸、または2-シクロペンタ
    メスレン,2-メルカプト酢酸が非限定的に含まれていることを特徴とする請求
    項2または3に記載の組合せライブラリー。
  13. 【請求項13】金属ペプチドまたは金属ペプチドミメティックコンビナトーリア
    ルライブラリーの発生方法であって、 (A)固相にクリーブ可能に結合された化学式Aaa-MBD-Baaの複数の配
    列を含んだライブラリーを構築するステップを含んでおり、 (i)MBDは少なくとも2個のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似体ま
    たはそれらの組合せを含んでおり、少なくとも1個の該残基は提供される金属イ
    オンの配位球と複合化する少なくとも1個の窒素原子を含んでおり、少なくとも
    1個の前記残基は直交S保護基で保護された少なくとも1個の硫黄原子を含んで
    おり、 (ii)AaaとBaaはそれぞれ0から約20個のアミノ酸残基、アミノ酸残
    基の擬似体またはそれらの組合せを含んでおり、AaaとBaaとが少なくとも1個
    のアミノ酸残基またはアミノ酸残基の擬似体を含んでいること、並びに、少なく
    とも2つである化学式Aaa-BMD-Baaの複数の配列間で、少なくともAaaまた
    はBaaの一方は少なくとも残基の配列または残基の選択の一方で異なっているこ
    とを条件としており、 本方法はさらに、 (B)固相から配列をクリーブすることなく直交S保護基をクリーブ処理す
    ることで該直交S保護基によって保護されている前記硫黄原子を脱保護するステ
    ップと、 (C)前記MBDに金属イオンを複合化させるステップと、 を含んでおり、 得られた金属イオン複合配列は金属ペプチドまたは金属ペプチドミメティック
    コンビナトーリアルライブラリーを提供することを特徴とする方法。
  14. 【請求項14】溶液純粋化ステップを介さずに実質的に純粋な金属ペプチドまた
    は金属ペプチドミメティックを製造する方法であって、 (A)固相にクリーブ可能に結合された化学式Aaa-MBD-Baaの配列を合
    成するステップを含んでおり、 (i) MBDは少なくとも2個のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似体ま
    たはそれらの組合せを含んでおり、少なくとも1個の該残基は提供される金属イ
    オンの配位球と複合化する少なくとも1個の窒素原子を含んでおり、少なくとも
    1個の前記残基は直交S保護基で保護された少なくとも1個の硫黄原子を含んで
    おり、 (ii)AaaとBaaは0から約20個のアミノ酸残基、アミノ酸残基の擬似
    体またはそれらの組合せを含んでおり、 本方法はさらに、 (B)固相から配列をクリーブすることなく直交S保護基をクリーブ処理す
    ることで該直交S保護基によって保護されている前記硫黄原子を脱保護するステ
    ップと、 (C)該MBDに金属イオンを複合化するステップと、 (D)該金属イオン配列を前記固相からクリーブ処理するステップと、 (E)得られる実質的に純粋な金属イオン複合配列を回収するステップと、
    を含んでいることを特徴とする方法。
  15. 【請求項15】直交S保護基で保護された硫黄原子の脱保護ステップはMBDに
    金属イオンを複合化させるステップと同時的に実行されることを特徴とする請求
    項13または14に記載の方法。
  16. 【請求項16】直交S保護基で保護された硫黄原子の脱保護ステップはMBDに
    金属イオンを複合化させるステップに先行して実行されることを特徴とする請求
    項13または14に記載の方法。
  17. 【請求項17】直交S保護基で保護された少なくとも1個の硫黄原子を含んだ少
    なくとも1個の残基はL-またはD-3-メルカプトアミノ酸であって、それには
    L-またはD-システインあるいはL-またはD-ペンシルアミン、3-メルカプト
    フェニルアナニン、2-メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸、2-メル
    カプトプロピオン酸、3-メルカプト-3,3-ジメチルプロピオン酸、3-メルカ
    プト-3,3-ジエチルプロプリオン酸、3-メルカプト,3-メチルプロピオン酸
    、2-メルカプト,2-メチル酢酸、3-シクロペンタメスレン,3-メルカプトプ
    ロピオン酸、または2-シクロペンタメスレン,2-メルカプト酢酸が非限定的に
    含まれていることを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
  18. 【請求項18】MBDはN31リガンドを形成する3個の残基を含んでいること
    を特徴とする請求項13または14に記載の方法。
  19. 【請求項19】直交S保護基はS-チオ-ブチル、アセトアミドメチル、4-メト
    キシトリチル、S-スルフォネートまたは3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニルで
    あることを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
  20. 【請求項20】金属イオンはV、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、As、S
    e、Y、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、W、Re、Os、Ir、
    Pt、Au、Hg、Tl、Pb、Bi、Po、At、Sm、Eu及びGdであることを特徴
    とする請求項13または14に記載の方法。
  21. 【請求項21】直交S保護基で保護された硫黄原子は他のアミノ酸側鎖保護基を
    クリーブせずにクリーブ処理されることを特徴とする請求項13または14に記
    載の方法。
  22. 【請求項22】(D)固相から配列をクリーブ処理するステップをさらに含んで
    いることを特徴とする請求項13記載の方法。
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