JP2002536018A - グリコシル化レプチン組成物および関連する方法 - Google Patents

グリコシル化レプチン組成物および関連する方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、グリコシル化レプチン組成物および関連方法に関する。特性を向上させるストークス半径を有するグリコシル化レプチン蛋白、ならびにグリコシル化のための特定の部位を有するグリコシル化レプチン蛋白、そのような蛋白をコードする核酸、関連する宿主細胞、ベクター、製造方法、ならびにそのような組成物の使用方法も含まれる。グリコシル化蛋白の新規な製造方法も提供される。グリコシル化レプチン蛋白を用いて、肥満、糖尿病および高血中脂肪含有量から選択される状態に関するヒトの治療で用いることができる医薬組成物を製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、グリコシル化レプチン組成物および関連する方法に関する。本発明
には、特性の改善を可能とするストークス半径を有するグリコシル化レプチン蛋
白ならびにグリコシル化のための選択部位を有するグリコシル化レプチン蛋白、
そのような蛋白をコードする核酸、関連する宿主細胞、ベクター、製造方法、な
らびにそのような組成物の使用方法が含まれる。グリコシル化蛋白の新規な製造
方法も提供される。
【0002】 (背景技術) 肥満の分子的基礎はあまり解明されていないが、「OB遺伝子」およびコード
される蛋白(「OB」蛋白、本明細書では「レプチン」とも称する)が同定され
たことで、身体が身体の脂肪沈着を調節するのに使用する機序について解明の端
緒が得られた(Zhang et al., Nature 372: 425-432 (1994)(引用によって本明
細書に含まれる);the Correction at Nature 374: 479 (1995)も参照(これも
引用によって本明細書に含まれる)。)。OB蛋白は、ob/ob突然変異マウ
ス(OB遺伝子産生物の産生に欠陥があることが原因のマウス肥満)と正常な野
生型のマウスの両方でin vivoにて活性である。その生理活性はそれ自体特に、
減量において発現される(Barinaga, ”Obese” Protein Slims Mice, Science
269: 475-476 (1995)参照。PCT国際公開番号WO96/05309、「Modul
ators of Body Weight, Corresponding Nucleic Acids and Proteins, and Diag
nostic and Therapeutic Uses Thereof」(引用によってその全体が本明細書に
含まれる)参照。さらに、PCT国際公開番号WO96/40912、WO97
/06816、WO97/18833、WO97/38014、WO98/08
512およびWO98/28427(これらはいずれもOB法および組成物につ
いてかなり詳細に記載したものであり、引用によってその全体が本明細書に含ま
れるものとする)参照。)。
【0003】 OB蛋白の他の生理効果については十分には特性決定されていない(レプチン
と哺乳動物における体重調節についての総覧に関してFriedman et al., Nature
395: 763-770 (1998年10月)参照(引用によって本明細書に含まれる)。)。例
えば、ob/ob突然変異マウスにおいて、OB蛋白を投与することで、血清イ
ンシュリン濃度と血清グルコース濃度に低下が生じることが知られている。さら
に、OB蛋白投与によって体脂肪の減少が生じることも知られている。それは、
ob/ob突然変異マウスだけでなく、非肥満正常マウスにおいても認められた
(Pelleymounter e t al., Science 269: 540-543 (1995); Halaas et al., Sci
ence 269: 543-549 (1995)。Campfield et al., Science 269: 546-549 (1995)
(ミクログラム用量のOB蛋白の末梢および中枢投与によって、ob/obおよ
び食事誘発肥満マウスの飼料摂取および体重が低下したが、db/db肥満マウ
スではそのような低下はなかった。)参照。)。これらの報告で、最高用量であ
っても毒性が認められたものはなかった。
【0004】 組換えレプチンは、ヒトにおいて減量させる上で有効である(Greenberg AS,
Heymsfield SB, Fujioka K, et al., Preliminary safety and efficacy of rec
ombinant methionyl human leptin (rL) administered by SC injection in lea
n and obese subjects。イリノイ州シカゴでの1998年6月14日における米
国糖尿病協会の学会(58th Annual Meeting and Scientific Sessions of the A
merican Diabetes Association)で発表のポスター(引用によって本明細書に含
まれる)。)。これまで明らかになっているように、肥満ヒトに組換えメチオニ
ルヒトレプチンを投与することで、毒性を伴わずに減量が生じている。さらに、
失われる体重は主として脂肪である(Heymsfield et al., Weight and body com
position changes in lean and obese subjects treated with recombinant met
hionyl human leptin。フランスのパリで開催された1998年8月29日〜9
月3日の国際肥満会議(International Congress on Obesity)で発表のポスタ
ー(引用によって本明細書に含まれる)。)。
【0005】 天然ヒトレプチンは、ヒトにおいて比較的早い半減期を有することが知られて
いる(Lau et al., Pharmacokinetics of recombinant methionyl human leptin
and the effect of antibody formation in lean and obese subjects followi
ng subcutaneous dosing。フランスのパリで開催された1998年8月29日〜
9月3日の国際肥満会議(International Congress on Obesity)で発表のポス
ター(引用によって本明細書に含まれる)。)。全身循環において、当該蛋白を
比較的大きい用量で、あるいは比較的高頻度で投与することで蓄積させることが
できる。報告では、外因性ならびに内因性のレプチンは、少なくとも部分的に腎
臓によって循環から除去されることが示されている(例えば、Cumin et al., Jo
urnal of Endocrinology, 155: 577-585 (1997)およびCumin et al., Internal
Journal of Obesity 21: 495-504 (1997)参照(いずれも引用によって本明細書
に含まれるものとする)。)。
【0006】 腎臓は、尿中で特定の物質を濃縮することでその物質を血漿から除去する機能
を有する(例えば、Harth, The Function of the Kidneys, In: Human Physiolo
gy, Schmidt et al., eds., Springer-Verlag New York, Heidelberg, Berlin,
1983, pp. 610-642(引用によって本明細書に含まれる)参照。)。血清蛋白が
腎臓を通過し得る速度または程度を推算することは困難であるが、概して腎臓の
解剖学から、水や小さい溶質は自由に通過するが、血漿蛋白の通過に対しては障
壁が加わる。物質が異なると「濾過可能性」、腎臓クリアランス速度が異なる(
Anderson et al., Renal and Systemic Manifestations of Glomerular Disease
, In: The Kidney, Brener et al., eds., Harcort Brace Joanovich, Inc., Ph
iladelphia, PA 1991, pp.1831-1843参照(引用によって本明細書に含まれる)
。)。
【0007】 レプチンは、浸透圧ポンプによるものなどの連続投与や循環時間を延長するよ
うな蛋白の化学的誘導体化によって、レプチンを全身循環中に蓄積させることが
できる(例えば、1996年12月19日公開のPCT WO96/40912
(引用によって全体が本明細書に含まれる)参照。)。しかしながら、組換えで
産生される蛋白の化学的誘導体化には、通常2段階が必要であり、段階1で蛋白
を製造し、段階2で化学部分(ポリエチレングリコールまたはデキストラン部分
など)を付加させる(例えば、N−末端誘導体化レプチンについての説明に関し
ては、上記のPCT WO96/40912の8頁以降参照(その明細書ではO
B蛋白と称している)。)。
【0008】 組換えDNA系における「1段階」法については、融合蛋白(別途、「キメラ
」蛋白と称される)をコードすることができ、その場合には別のポリペプチド部
分を所望の蛋白とともにコードして、両方が発現されるようにする。その蛋白を
延長することで、循環時間を延長することもできる。抗体の「Fc」部分または
アルブミンなどのポリペプチドがそれに関しては用いられている(例えば、「OB
Fusion Protein Compositions and Methods」を発明の名称するPCT WO9
8/28427参照(引用によって本明細書に含まれる)。)。製造における一
般的な欠点は、相対的に大きい発現産生物は、適切な配置に畳み込むことが困難
になるために、相対的に小さい産生物の場合より収率が低下する可能性があると
いう点である。さらに、用量当たりの蛋白総負荷量が増加すると、治療蛋白の割
合が小さくなり、さらに大きい融合蛋白を使用することになる。
【0009】 蛋白上に炭水化物が存在すると、それのクリアランス速度に影響がある場合が
あり、in vivoでの効力が改善される場合があると同時に、それが蛋白の固有の
活性、溶解度、安定性および免疫原性に影響を与える場合がある(例えば、発明
の名称「Erythropoietin analogs with additional glycosylation sites」とい
う1995年3月1日公開の欧州特許公開0640619号(引用によって本明
細書に含まれる)ならびに発明の名称「MPL Ligand Analogs」という1996年
8月22日公開のPCT特許公開WO96/25498参照(これらはいずれも
引用によって本明細書に含まれる))。
【0010】 さらに、炭水化物を真核細胞産生によって加えて、2段階プロセスを行わずに
済ますことができる(例えば、1996年11月14日公開のPCT/US96
/06609では、哺乳動物細胞からのob蛋白分泌のための各種哺乳動物信号
配列が提案されている(例えば11〜12頁)。さらに、発明の名称「Mutation
al Variants of Mammalian OB Gene Proteins」という1997年6月12日公
開のPCT WO97/20933(特に、OB蛋白グリコシル化を提案してい
る11頁)参照)。グリコシル化は、ポリペプチド骨格方向の特定の位置で起こ る。通常は2種類のグリコシル化があり、配列Asn−X−Ser/Thr(X はプロリン以外のアミノ酸であることができる)の一部である場合に、O−連結 オリゴ糖はセリンまたはトレオニン残基に結合し、N−連結オリゴ糖はアスパラ ギン残基に結合している。N−連結およびO−連結オリゴ糖の構造ならびに各種 類で認められる糖残基の構造は異なっている。両方で共通に認められる1種類の 糖は、N−アセチルノイラミン酸(以下、シアル酸と称する)である。シアル酸 は通常、哺乳動物細胞におけるN−連結およびO−連結オリゴ糖の両方の末端残 基であり、負電荷を有することから、糖蛋白に酸性を与えることができる。天然 ヒトレプチン(ヒト細胞中で提供される)の支配的な形はグリコシル化されてい ない。成熟蛋白の位置28にグルタミンがない天然蛋白の変種(配列番号2、以 下参照)は、グリコシル化のための部位を2つ有する。これらの部位はいずれも O−連結グリコシル化のためのものである。しかしながら、この形はヒトにおい てはごく微量しか産生されず、in vivoで支配的な活性型ではないと考えられて いる。
【0011】 レプチンの全身循環時間が延長し、上記のような第2の誘導体化段階を必要と
しない方法を使えることが望ましいと考えられる。さらには、免疫原性その他の
有害効果を引き起こしたり増悪することなく、レプチンの固有活性と溶解度を高
めることも望ましい。
【0012】 (発明の開示) 本発明は、未変化の天然組換えヒトレプチンと比較して、グリコシル化レプチ
ン蛋白がin vivoで機能性であり、さらにはある種の形のグリコシル化レプチン
蛋白が毒性を伴うことなくin vivoで相対的に長い全身循環時間を有するという
所見に基づいたものである。
【0013】 驚くべきことに、しかも重要な点として、1個のN−連結グリコシル化部位を
有するグリコシル化ヒトレプチンはin vitroだけでなくin vivoでも生理活性を
有することが認められている。さらにその生理活性は、組換えヒト天然レプチン
蛋白と同等または若干強力である。上記で示したように、肥満に対するレプチン
の効果は一部には、脳における作用によるものと考えられる。上記で示したよう
に、レプチンは天然にグリコシル化された分子ではない(ヒト血清で支配的な形
であると考えられている配列番号1のQ+28型(下記参照)で)。さらに、グ
リコシル化蛋白(糖蛋白)は、血液−脳関門を通過できないために、脳に入るこ
とができない。グリコシル化レプチンによって同等(または若干良好な)の生理
活性が示されることは、(a)グリコシル化レプチンが脳に進入するか、あるい
は(b)進入しなくとも、グリコシル化レプチンが天然組換えヒトレプチンより
末梢組織(内臓領域の脂肪組織など)における生理活性が高いことを示している
【0014】 さらに、3つの部位でN−グリコシル化されたヒトレプチンが、天然ヒトレプ
チンまたは1ヶ所でN−グリコシル化されたレプチンと比較して循環時間および
効力がはるかに長いことも認められている。以下の実施例で示すように、各種の
2ヶ所、3ヶ所、4ヶ所および5ヶ所グリコシル化レプチンを製造し、in vitro
での活性試験と場合によってはin vivoでの活性試験を行った。
【0015】 本発明のグリコシル化レプチンは、所望の比較的長い血漿半減期を有すること
ができる。ストークス半径が30Å以上である本発明のグリコシル化レプチンは
、膜を通過する上での濾過可能性の率が低下しているため、腎臓での分解率が低
下している。
【0016】 ストークス半径は各種方法によって示すことができるが、本発明で好ましい方
法は、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いるというものである(標準として用い
るための各種蛋白のストークス半径を求めるためのゲル濾過クロマトグラフィー
に関する概論としては、Le Maire et al., Analytical Biochemistry 154: 525-
535 (1986)参照(引用によって本明細書に含まれる)。)。従って、本発明のグ
リコシル化レプチンは、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて測定した場合にス
トークス半径が約30Åであるものである。
【0017】 本発明のグリコシル化レプチンはまた、肝臓におけるクリアランスを実質的に
回避するものであることが好ましい。肝臓は、ガラクトースに結合する受容体を
有することが知られている。ガラクトースは糖類であり、本発明のグリコシル化
レプチン上の炭水化物部分の構成要素であることができる。シアル酸は代表的に
は、ガラクトース部分を「キャッピング」し、肝臓中のガラクトース受容体とそ
れとの反応性を防止する。さらに、シアル酸部分は負電荷を与える。本発明のグ
リコシル化レプチンの負電荷が大きいほど、肝臓および腎臓の負に帯電した膜と
「反発」する。従って、本発明のグリコシル化レプチン蛋白は好ましくは、ガラ
クトース受容体への結合には使えない少なくとも大半のガラクトース部分を有す
る、より好ましくはシアル化に利用可能な少なくとも大半の部位にあるシアル酸
部分を有するものである。
【0018】 本明細書で説明するように、1つの部位または3つの部位にN−連結グリコシ
ル化のための部位を有するよう変更された組換えヒトレプチンは、グリコシル化
レプチン蛋白が機能性であり得ること、ならびに天然ヒトと同様に機能性であり
得ることを示していた。グリコシル化は、細胞培養において宿主細胞機関(mach
inery)を介して行われたことから、相対的に長い血清半減期という所望の特性
を得るための特別な工程段階(蛋白を誘導体化する上で必要なもの)を必要とし
なかった。
【0019】 従って1態様において本発明は、配列番号2の天然グリコシル化ヒトレプチン
(rHu−レプチン1〜145、下記)のものより大きいストークス半径を有す
るグリコシル化レプチン蛋白に関するものである。別の態様において本発明は、
1個のN−連結グリコシル化部分を有するグリコシル化レプチン蛋白と比較して
、ストローク半径を有するグリコシル化レプチン蛋白に関する。さらに別の態様
において本発明は、ゲル濾過によって測定して、30Å以上のストークス半径を
有するグリコシル化レプチン蛋白に関するものである。
【0020】 本発明はさらに、1以上の別のグリコシル化部位を有するレプチン蛋白に関す
るものである。さらに別の形において本発明は、5以上のシアル酸部分を有する
グリコシル化レプチン蛋白に関するものである。天然ヒトレプチン変異体(配列
番号2、下記)はO−連結グリコシル化のための2つの部位を有することから、
4つのシアル酸部分を有することができる。本明細書の実施例では、より多くグ
リコシル化されたレプチン蛋白は循環時間がかなり改善されていることが示され
る。さらに本発明は、5個、6個または7個のシアル酸部分を有するグリコシル
化レプチン蛋白に関するものである。
【0021】 他の態様において本発明は、本明細書に記載のグリコシル化レプチン蛋白をコ
ードする核酸、ならびに本発明の開示によるグリコシル化レプチン蛋白をコード
する核酸を含むベクターに関するものである。
【0022】 そこでさらに別の態様において本発明は、本発明の開示によるグリコシル化レ
プチン蛋白をコードする核酸を含む宿主細胞に関する。
【0023】 本発明はさらに、遺伝子治療での本発明の核酸の使用に関するものでもある。
さらに本発明は、グリコシル化レプチン蛋白の製造方法に関するものである。
【0024】 本発明はさらに、本発明のグリコシル化レプチン蛋白に選択的に結合する抗体
などの選択的結合分子に関するものである。
【0025】 以下にさらに詳細に記載の他の態様において本発明は、医薬的に許容される担
体中に本発明のグリコシル化レプチン蛋白を含む医薬組成物に関する。本発明は
さらに、肥満、糖尿病および高脂血効果から選択される状態に関してヒトを治療
する方法であって、有効量の本発明によるグリコシル化ヒトレプチンを投与する
段階を有する方法に関するものである。
【0026】 本発明はさらに、グリコシル化レプチン蛋白の改良された製造方法、ならびに
一般にグリコシル化蛋白の改良された製造方法に関するものでもある。本明細書
の実施例は、本発明のグリコシル化レプチン蛋白に関して、天然ヒトレプチン信
号ペプチド以外の信号ペプチドの使用がグリコシル化効率を高めることを示して
いる。その場合、グリコシル化効率が高められることで、加えられる炭水化物鎖
の数および大きさの両方の上昇という望ましい性質が得られる。そこで本発明の
組成物および方法は、天然レプチン信号ペプチド以外の信号ペプチドの使用を含
むものである。天然ヒトレプチン信号は別として、いずれも天然に認められるこ
とが知られている特定の信号ペプチド(すなわち、天然信号ペプチドとは、人為
的に、相同組換え、組換えDNA法その他の核酸配列構成物を変えることが知ら
れているか期待される手段などの手段によって遺伝子的に操作されていないもの
である。ただし、それを含む細胞は、培養されていてもよいか、あるいはそれの
天然のin vivo環境から除去されていても良い。)、ならびに天然には認められ
ないもの(すなわち、非天然信号ペプチドとは、上記のように人為的に遺伝子操
作されたものを指す)について以下に記載する。
【0027】 本発明はさらに、信号ペプチドならびに成熟蛋白の処理で除去される他の蛋白
の変更によってグリコシル化蛋白の収率が高くなるという所見に関するものもで
ある。信号ペプチド変更は、開裂の正確さを改善する(従って、予想されるN末
端アミノ酸配列を有する所望のグリコシル化蛋白を比較的高収率で製造する)た
めのペプチダーゼ開裂部位の変更を含むものである。信号ペプチド変更はさらに
、あるいは別法として、前駆配列からの成熟蛋白の「正確な」開裂がない場合で
あっても、グリコシル化効率を大きく高めることができる(「正確な」とは、N
−末端上の第1のアミノ酸が信号蛋白その他の前駆配列上で認められるアミノ酸
を持たない予想される成熟蛋白におけるものであることを示している)。他の変
更には、やはり開裂されるが、グリコシル化効率を高める「前駆配列」の付加な
どがある。天然ならびに非天然信号ペプチドは、それ自体変更させることができ
る。本明細書には具体例が示してある。
【0028】 従って本発明は、グリコシル化蛋白の改良された製造方法であって、 (a)発現およびグリコシル化のための好適な条件下に、5’から3’の方向
に(i)信号ペプチドおよび(ii)グリコシル化蛋白をコードするDNAをコ
ードするDNA配列を含む宿主細胞を培養する段階、ならびに (b)前記グリコシル化蛋白を得る段階を有し、 前記改良が、前記グリコシル化蛋白の収量を最大とするために至適化されたペ
プチダーゼ開裂部位を有する信号ペプチドの使用ならびに適宜に前駆配列の付加
を含む方法に関するものでもある。
【0029】 (図面の簡単な説明) 図1は、各種用量の1部位グリコシル化レプチン(「グリコシル化CHOレプ
チン」)および非グリコシル化rmetHu−レプチン1〜146(「レプチン
」)を投与した動物についての、緩衝液対照と比較した体重減少を示すグラフで
ある。
【0030】 図2は、以下の実施例5および6で詳細に説明されるウェスタンブロットであ
って、グリコシル化部位のアミノ酸配列の変化によってグリコシル化の種類や量
が変化し得ることを示す図である。
【0031】 図3は、実施例7で詳細に説明される、雄CD−1マウスにおいて1.0mg
/kgのrmetHu−レプチンまたは3部位グリコシル化レプチン蛋白を皮下
投与した後の血清レプチン濃度のグラフである。
【0032】 図4は、実施例7で詳細に説明される、雄CD−1マウスにおいて1.0mg
/kgのrmetHu−レプチンまたは3部位グリコシル化レプチン蛋白を静脈
投与した後の血清レプチン濃度のグラフである。
【0033】 図5は、実施例8で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白(「
GE−レプチン」)投与時の体重減少のグラフである。
【0034】 図6は、実施例9で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白(「
GE−レプチン」)投与時の飼料摂取のグラフである。
【0035】 図7は、実施例14で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白の
発現およびグリコシル化に対する各種信号ペプチドの効果を示すウェスタンブロ
ットである。
【0036】 図8は、実施例14で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白の
グリコシル化に対する各種信号ペプチドならびに他のペプチドの効果を示すウェ
スタンブロットである。
【0037】 図9は、実施例14で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白の
グリコシル化に対するペプチダーゼ開裂部位の効果を示すウェスタンブロットで
ある。
【0038】 図10は、実施例14で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白
のグリコシル化に対する各種信号ペプチドおよび他のペプチドの効果を示すウェ
スタンブロットである。
【0039】 図11は、以下の実施例15に記載のウェスタンブロットであって、少なくと
も5部位までグリコシル化部位数を増加させることで、CHO細胞で発現する際
にレプチン蛋白上で認められるグリコシル化の量が上昇することを示している。
【0040】 (発明を実施するための最良の形態) 以上で示したように、本発明は1態様において、天然グリコシル化ヒトレプチ
ンのものより大きいストークス半径を有するグリコシル化レプチン蛋白に関する
ものである。好ましくは全身循環での治療組成物の半減期を延長するには、スト
ークス半径は腎臓における濾過性を低下させるだけのものとする。その大きさの
ストークス半径を有することの効果は、その有効な大きさを持たないグリコシル
化その他のレプチン蛋白について考えられる以上の長期間にわたって全身循環で
グリコシル化レプチン蛋白が維持されるというものである。本発明のグリコシル
化レプチン蛋白についてのストークス半径の経験的な測定によれば、その大きさ
は、以下に詳細に説明する方法によって測定した場合に30Å以上でなければな
らない。個々のグリコシル化レプチン蛋白分子に関して用いる場合、「約」とい
う用語は、個々のグリコシル化レプチン蛋白分子についての期間にわたる平均ス
トークス半径を意味する。
【0041】 本明細書で示されるように、天然レプチン蛋白より大きいストークス半径を有
するグリコシル化レプチン蛋白は、改良された特性を有する。治療上有効な用量
で存在するものなどのグリコシル化レプチン蛋白分子の群における好ましいスト
ークス半径は、約30Å以上のものである。ここでの「約」という用語は、グリ
コシル化レプチン蛋白分子の群において、一部は相対的に大きいストークス半径
を有し、一部は相対的に小さいストークス半径を有するが、所定のグリコシル化
レプチン蛋白の群の平均ストークス半径は30Å以上であることを示している。
【0042】 ストークス半径が約30Åから大きくなるに連れて、グリコシル化レプチン蛋
白分子の有効径が大きくなる。有効径が大きくなるに連れて、すなわちオリゴ糖
付加によって得られる流体力学的容量が大きくなるに連れて、身体全体における
基底膜を通る有効移動が遅くなる。レプチンが分解を受ける尿細管に達するには
、最初に糸球体の基底膜を通過しなければならない。そこで、流体力学的大きさ
が大きくなると、糸球体膜を通る濾過が遅くなることから分解が遅くなり、従っ
て近位細管でのポリペプチドの最終的なクリアランスが遅くなる。例えば、本発
明の3−グリコシル化部位レプチンすなわち47位、69位および102位にグ
リコシル化部位を有するrHu−レプチン1〜146(すなわち、47位、69
位および102位で置換されたアスパラギン残基ならびに29位、71位および
104位で置換されたトレオニン残基を有する)は、32.1Åという平均スト
ークス半径を有する(31.9Åおよび32.3Åという2つのゲル濾過測定値
に基づいた値)。以下の実施例では、このグリコシル化レプチンがrmtHu−
レプチンと比較して、4〜5倍の全身クリアランスにおける低下および半減期延
長を示したことが明らかになっている。
【0043】 やはり上記で示したように、分子のストークス半径を測定するにはいくつかの
方法がある。本発明のグリコシル化レプチン蛋白に関しては、そのストークス半
径は、ゲル濾過を用いて測定する(Le Maire et al., supra参照。さらに、Kyte
, Structure in Protein Chemistry, Garland Publishing, Inc., New York and
London, 1995, pp.293-316参照(引用によって本明細書に含まれる)。)。現
在のところ、ストークス半径を測定するのに使用されるゲル濾過は、デキストラ
ンが共有結合的に結合したポリマー(アガロース)ビーズである。市販の製造品
には、スーパーデックス(Superdex(商標))200HR10/30(Pharmaci
a)およびセファクリル(Sephacryl(登録商標))S−200高分解能(Pharma
cia)などがある。これら2種類の製造品を二者択一で用いて、本発明のグリコ
シル化レプチン蛋白のストークス半径を測定した。
【0044】 カラムはいかなる径であっても良いが、取り扱いの容易さという点で、約1×
30cmの大きさが好ましい。上記ゲル濾過物質それぞれについてのカラム製品
の取扱説明書は、引用によってその全体が本明細書に含まれる(文書番号は、ス
ーパーデックス(商標)については71−7059−00 AB版であり、セフ
ァクリル(登録商標)については52−2086−00−03である)。
【0045】 使用される緩衝液は、分子の溶液配座をほとんど変化させず、蛋白分子のサイ
ズ分離を妨害しない生理的緩衝液にかなり近いものでなければならない。リン酸
緩衝生理食塩水が好ましく、本発明のグリコシル化レプチン蛋白のストークス半
径測定に用いた。
【0046】 ゲル濾過を行う方法は、上記で本明細書に組み込まれた取扱説明書に従わなけ
ればならない。ストークス半径を測定する特定のグリコシル化レプチン蛋白をカ
ラムに負荷しなければならない。例えば0.4 A280/mLという濃度(約
0.45mg/mL)以下を、3部位グリコシル化レプチン(47、49、10
2)に用いた。ここで使用の緩衝液はPBSであったが、他の緩衝液も使用可能
である。負荷用の緩衝液は、ゲル濾過の規範に適合するものでなければならず、
理論上は高量の塩ならびに当業者が適切であると考えるものと適合する他の材料
を含むことができると考えられる。負荷または保存緩衝液は、ストークス半径測
定を妨害するものであってはならない(それがカラムに当たる際に沈殿したり、
あるいはそれが溶出する際に変更したり再折畳みを必要とすることで)。以前に
は使用していないゲル濾過物質のカラムが好ましい。リン酸緩衝生理食塩水など
の洗浄緩衝液は、0.25mL/分の流量または0.3cm/mLの線形流量で
加えなければならない。この値は、ゲルの特性によって決まるものであり、基本
的には製造業者の説明に従う。溶出する分画には、ゲル濾過物質によって捕捉さ
れないグリコシル化レプチン蛋白分子が含まれる。
【0047】 ストークス半径を測定するには、被験グリコシル化レプチン蛋白を、ゲル濾過
カラムの較正に使用される既知の蛋白と比較する必要がある。ゲル濾過較正キッ
ト取扱説明書(Pharmacia Biotech文書11−B−033−07、改訂2版)に
おける方法が、引用によって本明細書に含まれる。一般に、既知のストークス半
径の特定の蛋白をカラム濾過し、それぞれ溶出した分画を記録する。対象のグリ
コシル化レプチン蛋白を含む分画を、較正蛋白の分画と比較する。
【0048】 そこで、グリコシル化レプチン蛋白は、ゲル濾過での測定で30Å以上のスト
ークス半径を有するものである(以下に示すようにさらに行うことができる化学
的誘導体化を行っていない、グリコシル化レプチン蛋白部分単独のもの)。ゲル
濾過は、上記で説明したスーパーデックス(商標)またはセファルクリル(登録
商標)などのデキストランコーティングアガロースゲル濾過物質を用いて行うこ
とができる。緩衝液はリン酸緩衝生理食塩水であることができる。
【0049】 レプチンのアミノ酸配列 1.グリコシル化部位 一般に、本発明のグリコシル化レプチン組成物を製造するには、特定のアミノ
酸配列から開始して、その配列を修飾することで、N−連結またはO−連結グリ
コシル化のための部位を付加する。以下の式は、N−連結グリコシル化のための
部位を付加する上で好ましい(概論については、Creighton, Proteins, W. H. F
reeman and Company, N. Y., (1984), p.498およびpp.76-78の索引(引用によっ
て本明細書に含まれる)参照)。
【0050】
【数1】
【0051】 式中、「N」はアスパラギンであり;「X」はプロリン以外のアミノ酸であり
;「T/S」はトレオニンまたはセリンである。好ましいものとしては「N−X
−T」であり、それによって、最初のレプチンアミノ酸配列に関しての変更が、
「X:が最初のレプチン配列(好ましくは配列番号1または2、以下参照)につ
いてのものと同じままであり、直後の下流側のアミノ酸(C−末端方向)がトレ
オニンであるというものである。その蛋白の外側表面にあるN−連結部位が好ま
しい。グリコシル化に好適な表面残基は、3次元構造またはモデルを調べること
で、あるいは核磁気共鳴または結晶構造(以下で説明)によって確認することが
できる。さらに、いくつかのグリコシル化部位におけるアスパラギン残基に関し
て−1位にあるプロリン(すなわちN−末端方向)が悪影響を与え得ること、な
らびにそのような部位でのプロリン残基を回避するようにすることが可能である
ことが確認されている。実施例5および6では、N−X−SとN−X−Tならび
に隣接するアミノ酸類のグリコシル化部位占有の効果が示してある。
【0052】 O−連結グリコシル化部位は、プロリン残基付近またはそれに隣接する蛋白の
外表面で認められる。O−連結部位は、プロリン残基の付近またはそれに隣接し
たセリンまたはトレオニン残基を含めることで認めることができるか導入するこ
とができる。一般にトレオニン残基が好ましい。例えば配列番号1(以下)は9
9位にプロリンを有しており、100位にトレオニンが導入されている。このレ
プチンは、CHO細胞およびCOS細胞で発現されており、O−連結グリコシル
化された。
【0053】 さらに、本発明のグリコシル化レプチン蛋白においてN−連結およびO−グリ
コシル化部位を組み合わせるように選択することができる。前述のように、1以
上のO−連結グリコシル化部位を加えることができ、さらには、1以上のN−連
結グリコシル化部位を加えることができる。
【0054】 2.グリコシル化の部位 一般に、上記式を用いて蛋白骨格を変更させることで、N−連結またはO−連
結グリコシル化部位を加える。
【0055】 N−グリコシル化用の蛋白骨格方向で部位を選択するための一般則は、アスパ
ラギン残基が蛋白の外表面に負荷されていることで、炭水化物部分を付加する上
で利用可能でなければならないというものである。例えばレプチンの2次元構造
に関して、アスパラギン残基は、ループ、β−ターンまたはα−ヘリックスの外
側表面になければならない。この分析は、レプチンの現在の構造およびいくつか
のサイトカイン類の構造−機能相関に基づいたものである。
【0056】 グリコシル化用の部位を選択する場合、レプチンの3次元配座を考慮すること
ができる。レプチンの最初の7個のアミノ酸が乱れており、それは一定量の可撓
性を示す。トポロジー的には、レプチン構造(Zhang et al., Nature 387: 206-
209 (1997);肥満蛋白レプチンE−100の結晶構造を報告、引用によって本明
細書に含まれる)は、サイトカインである顆粒球コロニー刺激因子(「G−CS
F」)(例えば、結晶rmetHuG−CSFの3次元構造を開示しているオス
ルンド(Osslund)の米国特許5581476号参照)の構造と類似している。
【0057】 ヘリックスAの見かけの可撓性および見かけの生理的意義の欠落を考慮すると
、配列番号1を変更させて、残基Val1またはPro2にグリコシル化部位を
設けることができる。
【0058】 Asp23(配列番号1のもの)は、ヘリックスAの最後のターンにあり、側
鎖が少なくとも部分的に蛋白の外側表面にある場合には良好な選択であると考え
られる。
【0059】 47位のプロリン残基および48位のイソロイシン残基(配列番号1のもの)
は、ABループの末端にあり、ヘリックスBの始めからの唯一の2個の残基であ
る。これらは蛋白の表面にあり、グリコシル化部位挿入に好適であると考えられ
る。
【0060】 69位のプロリン残基は蛋白の表面にあり、グリコシル化には良い位置である
【0061】 位置92のフェニルアラニン残基は、Cヘリックスの末端にあり、それの側鎖
は受容体結合面であっても良いものと対向している。それは、グリコシル化部分
からの受容体結合の妨害が最小限であるという点で、最も良好な結果を与えるも
のと考えられる。
【0062】 102位のセリンはCDループの中央の蛋白表面にあり、101位(アラニン
)および103位(グリシン)とともに、構造の比較的可撓性の部分になければ
ならない。
【0063】 この様に、本発明は、グリコシル化部位として1以上の配列変化を有する配列
番号1(rHu−レプチン1〜146、下記)または配列番号2(rHu−レプ
チン1〜145、下記)を有するグリコシル化レプチン蛋白に関するものである
。前記配列変化は以下のものから選択される。
【0064】 01V→N 02P→A 03I→TまたはS(すなわち、下記の配列番号1
における1番目のアミノ酸(すなわちバリン)のアスパラギンへの変化、2番目
のアミノ酸のプロリンから他の19種類のいずれかのアミノ酸(アラニンなど)
への変化、ならびに3番目のアミノ酸のイソロイシンからトレオニンまたはセリ
ンへの変化)。
【0065】 02P→N 03I 04Q→TまたはS(すなわち、下記の配列番号1にお
ける2番目のアミノ酸(すなわちプロリン)のアスパラギンへの変化、3番目の
アミノ酸のイソロイシンとしての維持、および4番目のアミノ酸のグルタミンか
らトレオニンまたはセリンへの変化)。
【0066】 23D→N 24I 25S→TまたはSとしての維持(すなわち、下記の配
列番号1における23番目のアミノ酸(すなわちアスパラギン酸)のアスパラギ
ンへの変化、24番目のアミノ酸のイソロイシンとしての維持、および25番目
のアミノ酸についてのセリンとしての維持またはトレオニンへの変化)。
【0067】 47P→N 48I 49L→TまたはS(すなわち、47番目のアミノ酸の
プロリンからアスパラギンへの変化、48番目のアミノ酸のイソロイシンとして
の維持、および49番目のアミノ酸のロイシンからトレオニンまたはセリンへの
変化)。
【0068】 48I→N 49L 50TまたはT→S(すなわち、48番目のアミノ酸の
イソロイシンからアスパラギンへの変化、49番目のアミノ酸のロイシンとして
の維持、および50番目のアミノ酸のトレオニンとしての維持またはセリンへの
変化)。
【0069】 69P→N 70S 71R→TまたはS(すなわち、下記の配列番号1にお
ける69番目のアミノ酸のプロリンからアスパラギンへの変化、70番目のアミ
ノ酸のセリンとしての維持、および71番目のアミノ酸のアルギニンからトレオ
ニンへの変化)。
【0070】 92F→N 93S 94K→TまたはS(すなわち、下記の配列番号1にお
ける92番目のアミノ酸のフェニルアラニンからアスパラギンへの変化、93番
目のアミノ酸のセリンとしての維持、および94番目のアミノ酸のリジンからト
レオニンまたはセリンへの変化)。
【0071】 101A→N 102S 103G→TまたはS(すなわち、下記の配列番号
1における101番目のアミノ酸のアラニンからアスパラギンへの変化、102
番目のアミノ酸のセリンとしての維持、および103番目のアミノ酸のグリシン
からトレオニンまたはセリンへの変化)。
【0072】 102S→N 103G 104L→TまたはS(すなわち、下記の配列番号
1における102番目のアミノ酸のトリプトファンからアスパラギンへの変化、
103番目のアミノ酸のグリシンとしての維持、および104番目のアミノ酸の
ロイシンからトレオニンまたはセリンへの変化)。
【0073】 103G→N 104L 105E→TまたはS(すなわち、下記の配列番号
1における103番目のアミノ酸のグリシンからアスパラギンへの変化、104
番目のアミノ酸のロイシンとしての維持、および105番目のアミノ酸のグルタ
ミン酸からトレオニンまたはセリンへの変化)。
【0074】 上記の簡単な記述は、配列番号1に関するアミノ酸位置を示すものであり、1
個のアミノ酸の→別のアミノ酸への変化である。以下に示すように、3番目のア
ミノ酸(蛋白のC−末端方向へのアミノ酸)におけるトレオニンへの変化は、特
にグリコシル化効率における商業的製造での容易さの点で好ましい。ただし上記
で示したように、その位置ではセリンを用いることもできる。従来の1文字アミ
ノ酸略称を用いている(Stryer, Biochemistry, Third Edition (1988), W. H.
Freeman and Company, New York, 裏表紙、引用によって本明細書に含まれる)
【0075】 上記を考慮すると本発明は、下記のもの(「T/S」はトレオニンまたはセリ
ンを示す) (a)01V→N 02P→X(Xはプロリン以外のアミノ酸である) 03
I→T/S (b)02P→N 03I 04Q→T/S (c)23D→N 24I 25S→T/S (d)47P→N 48I 49L→T/S (e)48I→N 49L 50T/S (f)69P→N 70S 71R→T/S (g)92F→N 93S 94K→T/S (h)101A→N 102S 103G→T/S (i)102S→N 103G 104L→T/S (j)103G→N 104L 105E→T/S から選択されるグリコシル化部位として1以上の配列変化を有する配列番号1
(rHu−レプチン1〜146、下記)を有するグリコシル化レプチン蛋白に関
するものでもある。
【0076】 以下の実施例は、単一グリコシル化および二重グリコシル化部位レプチン蛋白
について、少なくとも非グリコシル化rmetHu−レプチン1〜146(配列
番号1)に近い生理活性を示す。さらには、特定の3、4および5グリコシル化
部位レプチン蛋白は、高い生理活性を示している。この様に本発明は、下記の実
施例に記載の特定のグリコシル化レプチン蛋白をも含むものである。
【0077】 −(配列番号1の番号割り付けに関して)1、2、4、8、23、44、47
、48、69、70、93、97、100、101、102、103、118お
よび141から選択される位置に1つのグリコシル化部位を有するグリコシル化
レプチン蛋白。
【0078】 −2つのグリコシル化部位を有し、その2つの部位が(配列番号1の番号割り
付けに関して) 47+69、 48+69、 69+101、 69+102、 69+103、 69+118および 100+102 から選択されるものである配列番号1のアミノ酸1〜146を有するグリコシル
化レプチン蛋白。
【0079】 −3つのグリコシル化部位を有し、その3つの部位が(配列番号1の番号割り
付けに関して) 2+47+69、 23+47+69、 47+69+100、 47+69+102、 48+69+118、 69+102+118および 69+103+118 から選択されるものである配列番号1のアミノ酸1〜146を有するグリコシル
化レプチン蛋白。
【0080】 −4つのグリコシル化部位を有し、その4つの部位が(配列番号1の番号割り
付けに関して) 2+47+69+92、 2+47+69+102、 23+47+69+92、 23+47+69+102および 47+69+100+102 から選択されるものである配列番号1のアミノ酸1〜146を有するグリコシル
化レプチン蛋白。
【0081】 −5つのグリコシル化部位を有し、その5つの部位が(配列番号1の番号割り
付けに関して) 2+23+47+69+92、 2+47+69+92+102、 23+47+69+92+102 から選択されるものである配列番号1のアミノ酸1〜146を有するグリコシル
化レプチン蛋白。
【0082】 より詳細には本発明には、以下のグリコシル化レプチン蛋白アミノ酸配列、そ
のような配列をコードするDNAおよび以下に記載の具体的なDNAが含まれる
【0083】 グリコシル化レプチン2、47、69(配列番号25、DNA)
【0084】
【化14】
【0085】 グリコシル化レプチン2、47、69(配列番号26、蛋白)
【0086】
【化15】
【0087】 グリコシル化レプチン2、47、69、92(配列番号27、DNA)
【0088】
【化16】
【0089】 グリコシル化レプチン2、47、69、92(配列番号28、蛋白)
【0090】
【化17】
【0091】 グリコシル化レプチン2、47、69、102(配列番号29、DNA)
【0092】
【化18】
【0093】 グリコシル化レプチン2、47、69、102(配列番号30、蛋白)
【0094】
【化19】
【0095】 グリコシル化レプチン47、69、102(配列番号31、DNA)
【0096】
【化20】
【0097】 グリコシル化レプチン47、69、102(配列番号32、蛋白)
【0098】
【化21】
【0099】 グリコシル化レプチン2、47、69、92、102(配列番号33、DNA
【0100】
【化22】
【0101】 グリコシル化レプチン2、47、69、92、102(配列番号34、蛋白)
【0102】
【化23】
【0103】 グリコシル化レプチン47、69、92、102(配列番号35、DNA)
【0104】
【化24】
【0105】 グリコシル化レプチン47、69、92、102(配列番号36、蛋白)
【0106】
【化25】
【0107】 これらは、以下の実施例で使用される具体的なアミノ酸配列および相当するD
NAであった。
【0108】 シアル酸部分による特定決定 さらに本発明のグリコシル化蛋白は、シアル酸部分の数によって特性決定する
ことができる。一般に、N−連結グリコシル化部位には0〜4個のシアル酸部分
があり、O−連結グリコシル化部位には0〜2個のシアル酸部分がある。代表的
なグリコシル化蛋白調製物は、完全に(すなわち、全ての使用可能な部位を占有
するシアル酸部分を有する)および部分的に(すなわち、全利用可能部位より少
ない数を占有するシアル酸部分を有する)シアル化グリコシル化蛋白分子の混合
したものを有する。
【0109】 シアル酸部分の数は、当業者に利用可能な方法によって求めることができる。
例えば、シアル酸を除去する酵素で処理する前後に蛋白またはそれの調製物の分
子量を測定し、構成要素の分子量を計算することができる。別法として、等電点
分画その他の方法を用いて、シアル酸含有量を測定することができる。
【0110】 例えばヒトレプチン1〜145(配列番号2、下記)は2個のO−連結グリコ
シル化部位を有することから、完全にシアル化されると、4個のシアル酸部分を
有する。単一のN−連結グリコシル化部位を用いた本明細書の実施例は、完全に
シアル化されると4個のシアル酸部分を有する。完全にグリコシル化された場合
に以下の2部位グリコシル化レプチン蛋白は、8個のシアル酸部分を有し、3部
位では12個のシアル酸部分、4部位では16個のシアル酸部分、5部位グリコ
シル化レプチンでは20個のシアル酸部分がある。この様に、本発明は、製造物
中の各グリコシル化レプチン蛋白分子が5個以上のシアル酸部分を有するグリコ
シル化レプチン蛋白製造物を包含するものである。より好ましくは、治療性蛋白
の持続的放出効果促進に関して、本発明はまた、製造物中の各グリコシル化レプ
チン蛋白分子が8〜20個のシアル酸残基を有するグリコシル化レプチン蛋白製
造物をも包含するものである。さらに、別のグリコシル化部位を加えることを選
択し、それに応じてシアル酸含有量を20超とすることもできる。
【0111】 3.レプチン蛋白骨格 グリコシル化レプチン医薬組成物に使用されるレプチンの種類は、上記で引用
したPCT国際公開番号WO96/05309(引用によって全体が本明細書に
含まれる)に記載のものから選択することができる。その刊行物の図3(当該明
細書では配列番号として引用)には、ヒトレプチン(ヒト「OB」蛋白とも称さ
れる)について誘導された全体が推定されたアミノ酸配列が示してある。そのア
ミノ酸には1〜167の番号が割り付けてある。信号配列開裂部位は、アミノ酸
21(Ala)の後にあることから、成熟蛋白はアミノ酸22(Val)からア
ミノ酸167(Cys)まで広がっている。本発明の開示に関しては、本明細書
においては異なる番号割り付けを用いており、アミノ酸位置1はバリン残基であ
って、それが成熟蛋白の開始点である。
【0112】 成熟組換えヒトレプチンのアミノ酸配列は、本明細書においては配列番号1と
して提供され、そこでは成熟蛋白の1番目のアミノ酸はバリンである(位置1)
(本明細書においては、rHu−レプチン1〜146と称する、配列番号1)。
【0113】
【化26】
【0114】 別法として、以下に示す145アミノ酸を有し、rHu−レプチン1〜146
と比較して28位にグルタミンを持たないヒトレプチンの天然変異体を用いるこ
とができる(本明細書においては、rHu−レプチン1〜145とも称される。
配列番号2;ここで、空欄(「_」)はアミノ酸がないことを示している。)。
【0115】
【化27】
【0116】 例えば、本明細書で引用している具体的なグリコシル化レプチン蛋白に関して
、「Q−」版のヒトレプチン(1〜145、配列番号2)を用いることを選択し
、1〜146アミノ酸ヒトレプチンについて数え上げられる相当する部位を変更
させることで、グリコシル化部位を含めることができる。
【0117】 一般に本明細書で使用されるレプチン蛋白は、ヒトでの治療に使用することが
できる(下記の動物レプチンも参照)。そこで、経験的に活性を調べて、どのレ
プチン蛋白型を使用可能であるかを決定することができる。WO96/0530
9に記載のように、天然型でのレプチン蛋白または断片(酵素開裂産生物など)
その他の切断型および類縁体はいずれも生理活性を保持している可能性がある。
そのような型のいずれも、本発明のグリコシル化レプチン組成物を製造するのに
用いることができる。ただし、そのような変更型については試験を行って、所望
の特性を確認しなければならない(さらに、PCT国際公開番号WO96/40
912、WO97/06816、WO97/18833、WO97/38014
およびWO98/08512参照;いずれも引用によって本明細書に含まれる)
【0118】 マウス配列と異なるアミノ酸を代えるなど、組換えヒト配列においてアミノ酸
残基を変えることで、組換えヒトレプチンの類縁体を製造することができる。マ
ウスレプチンは、特に成熟蛋白として、さらには特にN−末端でヒトレプチンと
かなり相同である。組換えヒト蛋白はマウスにおいて生理活性を有することから
、そのような類縁体はヒトにおいて活性であると考えられる。例えば、配列番号
1で表される天然ヒトレプチンのアミノ酸配列においては、32、35、50、
64、68、71、74、77,89、97、100、105、106、107
、108、111、118、136、138、142および145位の1以上の
アミノ酸を別のアミノ酸と置き換えることができる。マウス蛋白(配列番号3)
の相当する位置のアミノ酸または別のアミノ酸を選択することができる。
【0119】 さらに、ラットレプチン(OB蛋白と称される)配列に基づいて合成分子を製
造することができる(Murakami et al., BIOchem. Biophys, Res. Comm. 209: 9
44-52 (1995);引用によって本明細書に含まれる)。ラットOB蛋白は、(配列
番号1の番号割り付けを用いて)4、32、33、3550、68、71 77,78、8997100,101、102、10510610 108111118136138および145という位置でヒトO
B蛋白と異なる。これら異なる位置の1以上のアミノ酸を別のアミノ酸で置き換
えることができる。太字(下線)の位置は、マウスOB蛋白とラットOB蛋白が
ヒトOB蛋白と異なるものであることから、特に変更に適している。これらの位
置の1以上で、相当するラットOB蛋白からのアミノ酸または別のアミノ酸を置
き換えることができる。
【0120】 成熟ヒトOB蛋白とは異なるラットおよびマウスの両方のOB蛋白からの位置
は、4、32、33、35、50、64、68、71、74、77,78、89
、97、100、102、105、106、107、108、111、118、
136、138、142および145である。上記の1以上のアミノ酸が、例え
ば相当するラットまたはマウスの配列で認められるアミノ酸などの別のアミノ酸
で置き換わった配列番号1によるOB蛋白も有効であると考えられる。
【0121】 さらに、成熟ヒトOB蛋白と異なるアカゲザルOB蛋白で認められるアミノ酸
は、(名称は、括弧内に1文字アミノ酸略称で示してある)8(S)、35(R
)、48(V)、53(Q)、60(I)、66(I)、67(N)、68(L
)、89(L)、100(L)、108(E)、112(D)および118(L
)である。組換えヒトOB蛋白はカニクイザルにおいて活性であることから、ア
カゲザルの異なるアミノ酸の1以上が、括弧内のアミノ酸などの別のアミノ酸で
置き換わった配列番号1によるヒトOB蛋白は有効であると考えられる。留意す
べき点として、ある種のアカゲザルの異なるアミノ酸は、上記のマウス種で認め
られるものでもある(35、68、89、100および112位)。この様に、
4、8、32、33、35、48、50、53、60、64、66、67、68 、71、74、77、78、89、97、100、102、105、106、1
07、108、111、112、118、136、138、142および145
位置のアミノ酸のうちの1以上が別のアミノ酸で置き換わったマウス/アカゲザ
ル/ヒトコンセンサス分子(配列番号1の番号割り付けを使用)を製造すること
ができる。
【0122】 他の類縁体は、蛋白アミノ酸配列の一部を欠失させることで製造することがで
きる。例えば、成熟蛋白は信号配列が欠落している(−22〜−1)。成熟蛋白
の一部を欠失させることができ、その欠失は製造に付随するものであることがで
きる。例えば、成熟蛋白の最初のN−末端アミノ酸を超えた信号配列その他の前
駆配列の開裂がある。さらに、N−末端は1以上の別のアミノ酸を有することが
でき、それは、例えば信号ペプチド開裂部位の中央での開裂などのそのような前
駆配列の使用に付随するもので、開裂部位のアミノ酸の一部が結合しているよう
にすることができる。
【0123】 以下の切断型ヒトレプチン蛋白分子を製造することができる(配列番号1の番
号割り付けを使用) (a)アミノ酸98〜146、 (b)アミノ酸1〜99および(結合した)112〜146、 (c)アミノ酸1〜99およびアミノ酸99〜112の間に順番通りに配置さ
れたアミノ酸100〜111のうちの1以上を有する(結合した)112〜14
6。
【0124】 さらに切断型は、ヒトOB蛋白とは異なる(マウス、ラットまたはアカゲザル
OB蛋白で)アミノ酸の1以上が変わっていても良い。さらに変化は、ペプチド
様物またはD−アミノ酸などの変化したアミノ酸の形であっても良い。
【0125】 酸性度、電荷、疎水性、極性、大きさまたは当業者には公知の他の特性に従っ
て「保存的」であるアミノ酸置換を有する上記の蛋白が含まれる。それは下記の
表1に示してある(Creighton, Proteins, W. H. Freeman and Company, N. Y.,
(1984), p. 498と索引(各所)参照。Ford et al., Protein Expression and P
urification 2: 95-107, 1991参照(引用によって本明細書に含まれる)。)。
【0126】
【表1】
【0127】 従って本発明のグリコシル化ヒトレプチン蛋白は、最初に(本明細書の配列番
号1に示したアミノ酸配列に従って) (a)適宜に28位のグルタミニル残基を持たない、配列番号1のアミノ酸配
列; (b)4、8、32、33、35、48、50、53、60、64、66、6
7、68、71、74、77、78、89、97、100、102、105、1
06、107、108、111、112、118、136、138、142およ
び145の位置の1以上で置換された異なるアミノ酸を有する小項目(a)のア
ミノ酸配列; (c)(上記小項目(a)の番号割り付けに従って) (i)アミノ酸98〜146、 (ii)アミノ酸1〜99および112〜146 (iii)アミノ酸1〜99ならびにアミノ酸99〜112の間に順序通り
にあるアミノ酸100〜111の1以上を有する112〜146 (iv)100、102、105、106、107、108、111、11
2、118、136、138、142および145のアミノ酸の1以上が別のア
ミノ酸で置き換わっている小項目(i)の切断レプチン類縁体 (v)4、8、32、33、35、48、50、53、60、64、66、
67、68、71、74、77、78、89、97、112、118、136、
138、142および145のアミノ酸の1以上が別のアミノ酸で置き換わって
いる小項目(ii)の切断レプチン類縁体 (vi)4、8、32、33、35、48、50、53、60、64、66
、67、68、71、74、77、78、89、97、100、102、105
、106、107、108、111、112、118、136、138、142
および145のアミノ酸の1以上が別のアミノ酸で置き換わっている小項目(i
ii)の切断レプチン類縁体 から選択される切断レプチン蛋白類縁体 (d)1以上の保存アミノ酸置換基を有する小項目(a)〜(c)のいずれか
のレプチン蛋白 から選択される配列から開始し、次に好ましくはα−ヘリックスの外表面上の
部位を選択して、付加または置換によってグリコシル化部位を挿入することで製
造することができる。特定のグリコシル化部位は上記で示してある。
【0128】 レプチン蛋白、類縁体および関連分子も以下の刊行物に報告されている。しか
しながら、報告の組成物の活性に関しては何も記載されていない。
【0129】 米国特許5521283号、5525705号、5532336号、5552
522号、5552523号、5552524号、5554727号、5559
208号、5563243号、5563244号、5563245号、5567
678号、5567803号、5569743号、5569744号、5574
133号、5580954号、5594101号、5594104号、5605
886号、5614379号、5691309号、5719266(これらはい
ずれもEli Lilly and Companyに譲渡されたもの); PCT WO96/23513、WO96/23514,WO96/2351
5,WO96/23516,WO96/23517、WO96/23518、W
O96/2351、WO96/23520、WO96/23815、WO96/
24670、WO96/27385、EP725078、EP725079(い
ずれもEli Lilly and Companyに譲渡されたもの); PCT WO96/22308(Zymogeneticsに譲渡されたもの); PCT WO96/29405(Ligand Pharmaceuticals, Inc.に譲渡された
もの); PCT WO96/31526(Amylin Pharmaceuticals, Inc.に譲渡された
もの); PCT WO96/34885(Smithkline Beecham PLCに譲渡されたもの)
; PCT WO96/35787(Chironに譲渡されたもの); EP736599(Takedaに譲渡されたもの); EP741187(F. Hoffman LaRocheに譲渡したもの)。
【0130】 ある程度、これらの引例は、有用なレプチン蛋白または類縁体、あるいは関連
する組成物または方法を提供するものである。そのような組成物および/または
方法は、併用投与の場合(特定の投与計画で一緒にまたは別個に)のように、本
発明のグリコシル化レプチン医薬組成物と併用することができる。上記但し書き
により、これらの刊行物は引用によって本明細書に含まれる。
【0131】 核酸、ベクター、宿主細胞および他の発現系 本発明によって、本発明のグリコシル化レプチン蛋白をコードする核酸も想到
される。そのような核酸は、既存の核酸配列の部位指向的突然変異誘発または合
成手段、あるいは当業者には利用可能な他の手段によって製造することができる
。下記の参考例で開示の方法は例示的なものである。
【0132】 ベクターには、当業者には利用可能なプラスミドベクターおよびウィルスベク
ターなどがある。ベクターは、クローニングまたは発現用であることができ、プ
ラスミド、コスミドならびに原核または真核細胞感染ウィルスなどがある。グリ
コシル化蛋白の発現に関して、ベクターは真核細胞での発現において有用である
。その発現系は、誘導可能なマウス乳腺腫瘍ウィルスLTRプロモーターなどの
系のような、構成的または誘導性であることができる。当業者には公知のように
、エンハンサー、転写ターミネーター、スプライスドナーおよび受容体部位なら
びに他の要素が全体の系に含まれていても良い。
【0133】 下記の参考例で開示のベクターは例示的なものである。本明細書の実施例では
、変更型のpDSRα2を用いて、グリコシル化レプチン蛋白を発現させた。
【0134】 宿主細胞は、例えば本発明の核酸のクローニングに使用される細菌のように原
核性であることができる。他の宿主細胞は真核性であることができる。真核性宿
主細胞は、哺乳類におけるものなどの脊索動物門から選択することができる。ヒ
ト細胞(ナマルバ、ヒーラ、HepG2細胞などのヒト肝細胞癌、ヒト胎児腎臓
細胞、ヒト肝臓細胞、ヒト肺細胞またはヒト入手源から培養した細胞など)なら
びにCOS細胞、あるいはハムスター仔腎臓細胞(「BHK」細胞)、チャイニ
ーズハムスター卵巣細胞(「CHO」)細胞、マウスセルトリ細胞、イヌ腎臓細
胞、バッファローラット(buffalo rat)肝細胞、マウス乳腺腫瘍細胞などの他
の哺乳動物細胞のような霊長動物細胞を用いることができる。昆虫細胞も用いる
ことができる。酵母や真菌などの下等な宿主細胞生物も含まれる(生物の分類に
関しては、Margulis, Five Kingdoms, 2d Edition (1988) W. H. Freeman & Co.
, New York参照)。
【0135】 複数の所望の蛋白を同時発現させるよう試みることができる。例えば、本発明
のグリコシル化レプチン蛋白は、1以上の他の所望の蛋白とともに真核宿主細胞
において発現することができる。その蛋白は、蛋白の特性に応じて多くの利用可
能な分離法を用いて分離することができる。例えば、CHO細胞などの単一の宿
主細胞では、グリコシル化レプチン蛋白だけでなく、治療用途に望ましい異なる
グリコシル化蛋白などの異なる蛋白を発現させることができる。例えば分子量を
利用して、精製のために蛋白を分離することができる。そのようにして、単一の
細胞培養物から2種類の異なる蛋白を製造することで、製造を経済的に行うこと
ができる。
【0136】 トランスジェニック動物を用いて、本発明のグリコシル化レプチン蛋白を発現
させることもできる。例えば、トランスジェニック乳生産動物(例えば雌牛また
はヤギ)を用い、生産されたミルク中に本発明のグリコシル化レプチン蛋白を得
ることができる。植物を用いて、本発明のグリコシル化蛋白を製造することがで
きる。しかしながら、植物で起こるグリコシル化は哺乳動物細胞で生じるものと
は異なっており、ヒトの治療用途には適さないグリコシル化産生物を生じる場合
がある。
【0137】 遺伝子治療 本発明で提供されるDNA(または相当するRNA)も遺伝子治療に用いるこ
とができる。遺伝子治療に関する総説が出されている(Verma, Scientific Amer
ican, November 1990, pp. 68-84;引用によって本明細書に含まれる。)。
【0138】 この様に本発明は、本発明のグリコシル化レプチン蛋白を発現する細胞群を提
供する。そのような細胞は、治療を目的とした個体への移植または埋込に好適で
ある。そこで、そのような細胞を個体に埋め込むことができる。そのような細胞
は例えば、肝細胞、骨髄細胞または臍帯由来の細胞であることができる。別の形
態として、血液始原細胞、T細胞その他の血液細胞などの循環細胞を用いたい場
合がある。ヒトの場合、ヒト細胞を用いることができる。細胞は組織の形とする
ことができる。そのような細胞を培養してから、移植または埋込を行うことがで
きる。
【0139】 受容個体に転移される細胞は、適切であれば、そのような細胞の成長または増
殖に影響する1以上の因子を用いて培養することができる。造血細胞の培養には
、造血因子を用いることができる。そのような因子には、G−CSF、EPO、
MGDF、SCF、Flt−3リガンド、インターロイキン(例:IL1〜IL
13)、GM−CSF、LIFならびに当業者が利用可能なそれらの類縁体およ
び誘導体などがある。
【0140】 ニューロンまたは神経膠などの神経細胞も用いることができ、それらはBDN
F、CNTF、GDNF、NT3その他などの向神経因子とともに培養すること
ができる。
【0141】 生存細胞の封入法は当業者には周知のものであり、封入細胞の製造およびそれ
の患者における埋込は、無駄な実験を行うことなく実施することができる。例え
ばベーゲ(Baetge)らは国際特許公開WO95/05452、国際特許出願PC
T/US/09299(この開示内容は引用によって本明細書に含まれる)で、
生理活性分子の効果的搬送のための遺伝子操作細胞を含む膜カプセルについて記
載している。そのカプセルは生体適合性であり、容易に回収することができる。
カプセルは、哺乳動物宿主への埋込時にin vivoで低下しないプロモーターに手
技によって連結した生理活性分子をコードしたDNA配列を有する組換えDNA
分子でトランスフェクションされた細胞を封入する。その機器は、生存細胞から
受容個体内の特定の部位に分子の搬送を行わせるものである(さらに、米国特許
4892538号、5011472号および5106627号参照;それぞれ、
引用によって具体的に本明細書に含まれる)。生存細胞を封入する系については
、エビシャー(Aebischer)らのPCT出願WO91/10425(引用によっ
て具体的に本明細書に含まれる)に記載されている(エビシャーらのPCT出願
WO91/10470、Winn et al., Exper, Neurol. 113: 322-329 (1991), A
ebischer et al., Exper. Neurol. 111: 269-275 (1991); Tresco et al., ASAI
O 38: 17-23 (1992)参照;それぞれ引用によって具体的に本明細書に含まれる。
)。
【0142】 本発明のグリコシル化レプチン蛋白のin vivoおよびin vitroでの遺伝子治療
投与も想到される。in vivo遺伝子治療は、ポリヌクレオチド分子その他の適切
な搬送ベクターの局所注射を介して、本発明のグリコシル化レプチン蛋白をコー
ドする核酸を細胞に導入することで行うことができる(Hefti, J. Neurobiology
., 25: 1418-1435, 1994)。例えば、グリコシル化レプチン蛋白をコードするポ
リヌクレオチド分子は、標的細胞への搬送のためのアデノ関連ウィルスベクター
に含まれていても良い(例:Johnson、国際特許公開WO95/34670、国
際特許出願PCT/US95/07178(引用によって開示内容が本明細書に
含まれる)。)組換えアデノ関連ウィルス(AAV)ゲノムには、機能性プロモ
ーターおよびポリアデニル化シーケンスに手技にて連結した向神経因子をコード
するDNA配列をフランキングするAAV反転末端繰り返しを有する。
【0143】 別のウィルスベクターには、レトロウィルス、アデノウィルス、単純疱疹ウィ
ルスおよび乳頭腫ウイルスベクターなどがあるが、これらに限定されるものでは
ない。米国特許5672344号(1997年9月30日発行、Kelley et al.,
University of Michigan;その開示内容は、引用によって本明細書に含まれる
)には、組換え向神経HSV−1ベクターの関与するin vivoのウィルス介在遺
伝子転移について記載されている。米国特許5399346号(1995年3月
21日発行、Anderson et al., Department of Health and human Services;そ
の開示内容は引用によって本明細書に含まれる)には、in vitroで予め処理して
治療蛋白をコードするDNA部分を挿入したヒト細胞の搬送によって、治療蛋白
を患者に提供する方法の例が示してある。遺伝子治療法の実施のための別の方法
および材料については、アデノウィルスベクターの関与する米国特許56312
36号(1997年5月20日発行、Woo et al., Baylor College of Medicine
)、レトロウィルスベクターの関与する米国特許5672510号(1997年
9月30日発行、Eglitis et al., Genetic Therapy, Inc.)、ならびにサイト
カイン類を発現するレトロウィルスベクターが関与する米国特許5635399
号(1997年6月3日発行、Kriegler et al., Chiron Corporation)に記載
されている(これらの開示内容は引用によって本明細書に含まれる)。
【0144】 非ウィルス系搬送法には、リポソーム介在転移、露出DNA搬送(直接注射)
、受容体介在転移(リガンド−DNA複合体)、エレクトロポレーション、リン
酸カルシウム沈殿および微粒子衝撃(例:遺伝子銃)などがある。遺伝子治療の
材料および方法には、誘導プロモーター、組織特異的エンハンサー−プロモータ
ー、部位特異的統合(integration)用のDNA配列、親細胞に勝る選択的利点
を提供することができるDNA配列、形質転換細胞を確認するための標識、陰性
の選択系および発現制御系(安全手段)、細胞特異定結合剤(細胞標的用)、細
胞特異的内在化因子、ベクターによる発現を促進する転写因子ならびにベクター
製造方法などもあり得る。遺伝子治療法実施におけるそのような別の方法および
材料については、エレクトロポレーション法に関する米国特許4970154号
(1990年11月13日発行、D. C. Chang, Baylor College of Medicine)
、核リガンドについてのWO9640958(1996年12月19日公開、Sm
ith et al., Baylor College of Medicine)、遺伝子搬送のためのリポ蛋白含有
系に関する米国特許5679559号(1997年10月21日発行、Kim et a
l., University of Utah Research Foundation)、リポソーム担体が関与する米
国特許5676954号(1997年10月14日発行、K. L. Brigham Vander
bilt University)、リン酸カルシウムトランスフェクション法に関する米国特
許5593875号(1997年1月14日発行、Wurm et al., Genentech, In
c.)、ならびに生理活性粒子を、その粒子が細胞表面を貫通し、細胞内部に組み
込まれるようになるような速度で推進させる米国4945050号(1990年
7月31日発行、Sanford et al., Cornell Research Foundation)に記載され
ている(これらの開示内容は、引用によって本明細書に含まれる)。発現制御法
には、化学誘発調節(例:WO9641865およびWO9731899)、変
更ステロイドホルモン受容体系におけるプロゲステロン拮抗薬の使用(例:米国
特許5364791号)、エクジソン制御系(例:WO9637609)および
陽性テトラサイクリン制御可能な転写促進剤(例:米国特許5589362号、
米国特許5650298号、米国特許5654168号)などがある。
【0145】 本発明の遺伝子治療または細胞治療にはさらに、第2の治療組成物の搬送も含
まれ得ることも想到される。例えば、宿主細胞を変性させて、グリコシル化レプ
チン蛋白と天然ヒトレプチンの両方を発現・放出させることができる。別法とし
て、それを別個の細胞で発現させ、そこから放出させることができる。そのよう
な細胞は別個に患者に組み込むことができるか、あるいは細胞を、上記の封入膜
などの単一の移植機器に含有させることができる。
【0146】 選択的結合分子 本発明はさらに、本発明のグリコシル化ヒトレプチン蛋白の選択的結合部分に
関するものでもある。「選択的結合部分」とは、グリコシル化型または非グリコ
シル化型での、本発明のグリコシル化ヒトレプチン蛋白に選択的に結合する物質
を指す。選択性は、結合部分がバックグラウンド(非選択的)レベル以上で対象
のレプチン蛋白に結合するか否かによって決定する。選択的結合部分の特定の例
には、例えばハイブリドーマ法によって、あるいは組換え核酸手段を用いて製造
されるモノクローナル、ポリクローナル、単一特異的ポリクローナルなどの抗体
などがある(例えばHuse et al., Science 246: 1275 (1989)参照)。本発明に
おいては、核酸、ベクター、宿主細胞ならびに組換え抗体などの選択的結合部分
の組換え核酸発現で使用される他の材料および方法も想到される。そのような選
択的結合部分に、当業者が利用可能な材料および方法を用いて、化学発光、蛍光
、比色または放射性などの検出可能な標識を結合させることができる。本発明の
レプチン蛋白の検出または測定用に、これらの選択的結合分子のうちの1以上を
含むアッセイまたはキットを製造することができる。例としては、特定のグリコ
シル化レプチン蛋白に選択的なモノクローナル抗体を含むキット、ならびに前記
モノクローナル抗体の前記グリコシル化レプチン蛋白への結合を検出する手段が
ある。そのようなキットにおける他の材料および方法は、当業者が利用可能であ
る。
【0147】 製剤および誘導体 本発明のさらに別の態様では、本発明のグリコシル化レプチン組成物および誘
導体の医薬組成物を用いる方法が提供される(下記参照)。そのような医薬組成
物は、注射による投与用、あるいは経口、硬膜内、肺、経鼻、経皮その他の投与
形態用であることができる。本発明では、医薬的に許容される希釈剤、保存剤、
可溶化剤、乳化剤、補助剤および/または担体とともに、有効量の本発明の蛋白
または誘導体生成物を含む医薬組成物が想到される。そのような組成物は、各種
の緩衝剤含有量(例:Tris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pHおよびイオ
ン強度の希釈剤;洗剤および可溶化剤(例:Tween80、ポリソルベート8
0)、酸化防止剤(例:アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、保存剤(
例:チメルゾル(Thimersol)、ベンジルアルコール)および増量物質(例:乳
糖、マニトール)などの添加剤が含まれ、ポリ酢酸、ポリグリコール酸などのポ
リマー化合物の粒子状製造物またはリポソームへの材料の組み込みが行われる(
例えば、PCT WO96/29989、Collins et al., ”Stable protein:
phospholipid compositions and methods”(1996年10月3日発行)参照
;引用によって本明細書に含まれる)。ヒアルロン酸も用いることができ、それ
は循環における持続期間延長の効果を有する場合がある。そのような組成物は、
本発明の蛋白および誘導体の物理的状態、安定性、in vivoでの放出速度、in vi
voでのクリアランス速度に影響し得る(例えば、Remington’s Pharmaceutical
Sciences, 18th Ed. (1990, Mack Publishing Co., Easton, PA 18042), pp. 14
35-1712参照;引用によって本明細書に含まれる)。その組成物は液体の形で製
造することができるか、あるいは凍結乾燥品などの乾燥粉末とすることができる
。経皮製剤の場合のように、移植徐放製剤も想到される。
【0148】 具体的に想到されるものとしては、上記誘導体化蛋白の経口製剤がある。蛋白
には化学修飾を施して、その誘導体の経口搬送が効果的になるようにすることが
できる。想到される化学修飾には、1以上の部分の蛋白(またはペプチド)分子
自体への付加があり、その場合に当該部分によって、(a)蛋白分解の阻害、(
b)胃または小腸からの血流中への取り込みが可能となる。さらには、蛋白の全
体的安定性向上ならびに身体での循環時間の延長が望ましい(PCT WO95
/21629、Habberfield, ”Oral Delivery of Chemically Modified Protei
ns”(1995年8月17日公開)(引用によって本明細書に含まれる)および
1996年11月12日発行の米国特許5574018号、Habberfield et al.
,”Conjugates of Vitamin B12 and Proteins”(引用によって本明細書に含ま
れる)参照)。これら刊行物に開示の材料および方法は、本発明のグリコシル化
レプチン組成物および方法に適用可能である。
【0149】 本発明においては、本発明の蛋白またはそれの誘導体の肺投与も想到される。
蛋白(誘導体)は、吸入しながら哺乳動物の肺に投与され、肺上皮層を通過して
血流に入る(例えば、1994年9月15日公開のPCT WO94/2006
9、Niven et al.,”Pulmonary administration of granulocyte colony stimul
ating factor”(引用によって本明細書に含まれる)およびすでに引用によって
本明細書に含まれているPCT WO96/05309の83頁以降参照)。本
発明のグリコシル化レプチン蛋白は、噴霧乾燥することで、平均粒径10ミクロ
ン未満、あるいはより好ましくは0.5〜5ミクロンの粒子とすることができる
。各粒子の密度に応じて、それより大きい粒子を用いることができる。
【0150】 蛋白(または類縁体もしくは誘導体)の経鼻投与も想到される。経鼻投与によ
って、肺で薬剤沈着をさせる必要なく、鼻への治療薬投与後に蛋白は通過して直
接血流に入ることができる。経鼻投与用製剤には、デキストランまたはシクロデ
キストランなどの吸収促進剤を含むものなどがある。他の粘膜を通る輸送を介し
た投与も想到される。
【0151】 本発明のグリコシル化レプチン蛋白は、蛋白部分に1以上の化学部分を付加さ
せることによって誘導体化することもできる。生理活性蛋白の化学修飾は、ある
一定の環境下で、治療蛋白の安定性向上および循環時間延長ならびに免疫原性低
下などのさらなる利点を与えることが認められている(1979年12月18日
発行の米国特許4179337号、Davis et al参照。総覧については、アブコ
ウスキーらの報告(Abuchowski et al., Enzymes as Drugs)参照(J. S. Holce
rberg and J. Roberts, eds. pp. 367-383 (891))。蛋白修飾および融合蛋白に
ついて記載した総説論文がある(Francis, Focus on Growth Factors 3: 4-10 (
May 1992)(Mediscript, Mountview Court, Friern Barnet Lane, London N20,
OLD, UK刊行)。さらに、化学修飾によって水溶性ポリマーを加えるなど、本発
明のグリコシル化レプチン組成物をさらに修飾することが望まれる場合がある。
化学部分の付加を行うには、さらに別の製造段階が必要となると考えられるが、
薬剤特性の改善(何らかの条件下で、化学誘導体化により、例えば腎臓液胞の形
成誘発によって薬剤があまり好ましくないものとなり得ることに留意、上記参照
)に関してさらなる効果が生じる場合がある。化学部分は、蛋白の機能性または
抗原性領域に対する影響を考慮しながら蛋白に付加させなければならない。当業
者には利用可能な多くの付加方法がある(例えば1996年4月25日公開のP
CT WO96/11953「N-Terminally Chemically Modified Protein Com
positions and Methods」(引用によって全体が本明細書に含まれる)およびE
P0401384(引用によって本明細書に含まれる。PEGのG−CSFへの
カップリング。)参照)。これら刊行物に開示の方法およびポリマーは、例えば
治療組成物の特性をさらに改善する上で誘導体化が望ましい場合には、本発明の
グリコシル化レプチン組成物に適用可能である。
【0152】 融合蛋白は、グリコシル化レプチン蛋白部分にポリアミノ酸を付加させること
で製造することができる。例えばポリアミノ酸は、蛋白の循環半減期をさらに延
長する上で有効なキャリア蛋白であることができる。本発明の治療薬または化粧
品に関して、そのようなポリアミノ酸は、中和抗原応答その他の有害応答を生じ
ないものでなければならない。そのようなポリアミノ酸は、血清アルブミン(ヒ
ト血清アルブミンなど)、抗体もしくはそれの一部(抗体恒常領域、「F」と
も称される)その他のポリアミノ酸からなる群から選択することができる。ポリ
アミノ酸の付加位置は、グリコシル化レプチン蛋白部分のN−末端または他の場
所であることができ、蛋白への化学的「連結基」部分によって結合されていても
良い(1998年2月2日公開の発明の名称が「Ob Fusion Protein Compositio
ns and Methods」であるPCT WO98/28427(引用によって全体が本
明細書に含まれる)参照)。例えば「FLAG」タグ、「his」タグ、「my
c」タグその他の当業者には公知のポリアミノ酸タグの使用のように、ポリアミ
ノ酸を用いて、検出や精製を補助することができる。
【0153】 それに関連して、本発明のグリコシル化レプチン蛋白に検出可能な標識を付加
することができる。放射性同位元素、発光化合物(例:蛍光化合物または化学発
光化合物)、酵素的に開裂可能な化合物、検出可能な抗体(またはそれの変更物
)あるいは他の物質を、そのような本発明の蛋白の標識に用いることができる。
標識を用いた蛋白の検出は、本発明の蛋白の有無または量、あるいはそのような
蛋白を含む化合物(抗体/蛋白複合体など)を確認する上で有用であると考えら
れる。
【0154】 用量 当業者であれば、投与および所望の治療効果を観察することで、有効な用量を
確認することができよう。現在のところ、未変更rmetHu−レプチン1〜1
46は、蛋白0.3mg/kg/日の用量で有効であることが明らかになってお
り、蛋白0.1mg/kg/日の用量で効果が低下することが認められている(
グリーンベルグらの報告(Greenberg et al., Preliminary safety and efficac
y of recombinant methionyl human Leptin administered by SC injection in
lean and obese subjects)。イリノイ州シカゴでの1998年6月16日の米
国糖尿病学会年会(Annual Meeting of the American Diabetes Association)
での発表ポスター。)。さらに、望ましい用量範囲は、同じ(または低い)蛋白
負荷量を低頻度で投与するものであることができる。有効な用量は、経時的な診
断手段を用いて求めることができる。例えば、血液中(または血漿もしくは血清
中)のレプチンの量を測定するための診断薬を最初に用いて、レプチンの内因性
レベルを測定することができる。そのような診断手段は、抗体サンドウィッチア
ッセイなどの抗体アッセイの形であることができる。内因性レプチンの量を最初
に定量し、基底線を決定する。内因性および外因性レプチン(すなわち、自己産
生もしくは投与された身体内で認められる蛋白、類縁体または誘導体)の定量を
治療経過中にわたって継続しながら、治療用量を測定する。従って、用量は治療
経過の期間にわたって変動し得るものであり、最初に治療効果または美容上の効
果が認められるまで比較的高用量を用い、相対的に低い用量を用いて治療効果ま
たは美容効果を維持する。
【0155】 肥満者治療の初期段階において、体重減少と不随する脂肪組織減少の増加が得
られる用量を投与することができる。十分な体重減少が得られると、体重再増加
を防止するが、所望の体重または脂肪重量を維持するだけの用量を投与すること
ができる。これらの用量は、レプチンの効果が可逆的であることから、経験的に
決定することができる(例えば、Campfield et al., Science 269: 546-549 (19
95), p. 547)。そこで、体重減少が望ましくない時に体重減少をもたらす用量
が認められる場合、それより低い用量を投与するが、所望の体重を維持するよう
にすることになると考えられる。
【0156】 使用方法 治療 治療薬の使用には、体重調節、糖尿病の治療または予防、血中脂質低減(およ
び関連する状態の治療)、除脂肪体重増加およびインシュリン感受性の向上など
がある。さらに本発明の組成物を、上記状態の治療または緩解のための1以上の
医薬品製造に用いることができる。
【0157】 美容 単に外観を良くすることを望む対象者の場合、本発明の組成物は、体重減少ま
たは有害な医学的状態に対する併発効果のない体重維持に用いることができる。
さらに本発明の組成物は、美容目的の1以上の製剤の製造に用いることができる
【0158】 体重調節 本発明の組成物および方法を用いて体重を減らすことができる。別形態におい
ては、本発明の組成物を所望の体重または脂肪蓄積レベルに維持するのに用いる
ことができる。マウスモデルで示されているように(上記参照)、本発明のグリ
コシル化レプチン蛋白を投与することで体重が減少する。体重減少は主として脂
肪組織すなわち脂肪のものである。そのような体重減少または特定体重の維持は
、下記の記載のものなどの併発状態の予防または治療に関連したものとすること
ができ、従って治療的応用を構成することができるものである。
【0159】 糖尿病の治療 本発明の組成物および方法を、I型またはII型糖尿病の予防または治療に用
いることができる。II型糖尿病は肥満と関係がある場合があることから、体重
の減少(あるいは所望体重の維持または脂肪蓄積の低下もしくは維持)への本発
明の使用によって、糖尿病進行の改善または予防を行うこともできる。さらに、
体重低下を起こすだけの用量に達していない場合であっても、本発明の組成物を
用いて糖尿病を予防または改善することができる。
【0160】 本発明の組成物を投与することで、内因性または外因性インシュリンに対する
感受性を高めることができ、II型糖尿病治療に必要な外因性インシュリンの投
与量を減らしたり、その投与を不要とすることができる。本発明の組成物をI型
糖尿病の治療、予防または改善に用いることができることも想到される。
【0161】 血中脂質調節 本発明の組成物および方法を、血中脂質レベルの調節に用いることができる。
理想的には、血中脂質レベルの低下のみが望まれる状況、あるいは血中脂質レベ
ルの維持が望まれる状況では、用量は体重減少を生じるには不十分である。そこ
で、肥満患者の治療の初期段階において、体重減少と同時に血中脂質レベル低下
が得られる用量を投与することができる。十分な体重減少が得られたら、体重の
再増加を防止するが、所望の血中脂質レベルを維持するだけの用量、あるいは例
えば本明細書に記載した他の状態を防止するだけの用量を投与することができる
。従って、体重低下が望ましくない場合に体重低下を生じる用量が認められる場
合は、それより低い用量を投与することで、所望の血中脂質レベルを維持しつつ
、所望の体重を維持するようにすることになると考えられる(例えば、PCT公
開WO97/06816参照;引用によって本明細書に含まれる)。
【0162】 除脂肪体重増加またはインシュリン感受性向上 理想的には、除脂肪体重増加のみが望まれる状況では、用量は体重低下を生じ
るには不十分である。そこで、肥満患者の治療の初期段階において、体重減少と
同時に脂肪組織減少/除脂肪体重増加が得られる用量を投与することができる。
十分な体重減少が得られたら、体重の再増加を防止するが、所望の除脂肪体重増
加(または除脂肪体重低減の防止)を維持するだけの用量を投与することができ
る。個体のインシュリンへの感受性を高めるには、用量に関する同様の検討事項
を考慮することができる。糖尿病治療のために対象者に投与されると考えられる
インシュリン(あるいは可能性として、アミリン、アミリン拮抗薬もしくは作働
薬、あるいはチアゾリジンジオン類その他の可能性のある糖尿病治療薬)量を低
下させるだけの体重減少を伴わない除脂肪体重増加を得ることができる。全体の
強度を高めるには、同様の用量に関する検討事項があると考えられる。全体的な
強度の同時上昇を伴う除脂肪体重増加は、体重増加を生じるには不十分な用量で
得ることができる。赤血球(および血液中の酸素化)増加および骨吸収もしくは
骨粗鬆症の低下などの他の利点も、体重減少を起こさずに得ることができる(例
えば、1997年5月29日公開のPCT WO97/18833;引用によっ
て全体が本明細書に含まれる)。
【0163】 併用療法 本発明の組成物および方法は、食事および運動の切り替えなどの他の治療法と
併用することができる。糖尿病治療に有用な薬剤(例:インシュリンおよび恐ら
くは、アミリン、それの拮抗薬もしくは作働薬、チアゾリジンイオン類または他
の可能性のある糖尿病治療薬)、コレステロールおよび血圧低下薬(血中脂質レ
ベルを低下させる薬剤その他の心血管薬など)、活動亢進薬(例:アンフェタミ
ン類)、利尿薬(脂質排出用)ならびに食欲抑制剤(神経ペプチドγ受容体に作
用する薬剤、セロトニン再取り込み阻害薬または胃脂肪取り込み阻害薬など)な
どの他の薬剤がある。そのような投与は同時に行うことができるか、あるいは順
次で行うことができる。さらに本発明の方法を、身体の全体的外観を変えるため
の美容手術(例:体重を減らすための脂肪吸引またはレーザー手術あるいは見か
けの体重を増やすための埋込手術)などの外科手術と併用することができる。バ
イパス手術その他の動脈プラークなどの脂肪沈着物によって血管が閉塞されるこ
とで生じる有害な状態を緩和するための手術のような心臓手術の効果を、本発明
の組成物および方法を併用することで高めることができる。超音波法またはレー
ザー法などの胆石除去法を、本発明の治療法の前、途中または後に用いることも
できる。さらに本発明の方法を、骨折、筋肉損傷のための手術または治療、ある
いは除脂肪組織体重増加によって改善されると考えられる他の治療への補助手段
として用いることができる。
【0164】 製造方法 上記で示したように、信号配列および成熟蛋白配列の特定の構成物によってグ
リコシル化効率を高めることができることも認められている。それに関して、「
信号配列」という用語(場合によって当業界では「信号ペプチド」と称される)
は、通常は約15〜30アミノ酸長で、小胞体中への成熟蛋白の分泌を促進する
疎水性アミノ酸が豊富である、成熟蛋白のN−末端またはその付近に認められる
ペプチドを指すのに用いられる。蛋白の最初のグリコシル化が起こるのは、小胞
体または細胞膜領域である。信号配列は、成熟蛋白分泌に先だって、成熟配列か
ら開裂する(Watson et al., Molecular Biology of the Gene, 4th Ed., 1987,
p.731 (The Benjamin/Cummings Publishing Company, Inc., Menlo Park, Cali
fornia参照)。詳細には、天然レプチン蛋白に手技にて連結された天然には認め
られない各種信号配列が用いられており、複数グリコシル化レプチン蛋白のグリ
コシル化効率が改善されることが認められている。
【0165】 例えば、天然のヒトレプチン信号配列と比較して、本明細書に記載の各種複数
グリコシル化レプチン蛋白の発現と併用した場合に、組織プラスミノーゲン活性
化剤配列に結合して通常認められる信号配列によって、比較的高いグリコシル化
レベルが得られることが認められている(例:成熟蛋白の発現分子の割合が相対
的に高い全ての好適な部位でのグリコシル化部分)。
【0166】 従って本発明は、グリコシル化レプチン蛋白の製造方法において、 (a)発現に好適な条件下に、5’から3’の方向で(i)信号配列および(
ii)グリコシル化レプチン蛋白をコードするDNAをコードするDNA配列を
有する宿主細胞を培養する段階、ならびに (b)前記グリコシル化レプチン蛋白を取得する段階 を有することを特徴とする方法に関するものでもある。
【0167】 さらに上記で説明したように、本発明は、前記信号が、
【0168】
【化28】 から選択されるグリコシル化レプチン蛋白の製造方法に関するものである。
【0169】 それに関係して、そのような信号ペプチドをコードする核酸配列を用いること
ができる。使用しなかった変更ヒトレプチン信号ペプチド信号配列(d、配列番
号6)を除き、以下のDNA配列を、以下の実施例に記載の方法に従って用いて
、上記のような相当する信号ペプチドをコードした。
【0170】
【化29】
【0171】 高グリコシル化蛋白に関連していることが知られている信号配列を選択するこ
とができる。使用可能な信号配列は、エリトロポイエチン、因子VIII、β−
インターフェロン、血清アルブミン、インシュリン、フォンウィルブラント因子
、CD11α、IgG、フォリスタチン(follistatin)、固有因子、G−CS
F、セルロプラスミン、LAMP−1、分泌されるホルモン類、成長因子および
真核細胞で分泌されるヒトもしくは非ヒト(他の霊長動物、マウス、ラットその
他の哺乳動物)の他の蛋白に由来のものである。酵母細胞の場合、酵母α−因子
および他のものを用いることができる。他の各種遺伝子も、ヒトインフルエンザ
ウィルスA、ヒトプレプロインシュリンおよびウシ成長ホルモンなど、哺乳動物
細胞経での蛋白分泌を促進することができるリーダー配列を有する。
【0172】 さらに、試行錯誤によって信号配列のアミノ酸組成を至適化して、グリコシル
化効率を向上させたり、非天然信号配列を得ることができる。例えば、疎水性ア
ミノ酸残基の数を増やしたり、あるいは信号ペプチダーゼ開裂部位を変えること
で膜で蛋白が費やす時間量を増やして、グリコシル化を行う細胞「機関」に蛋白
が曝露される時間を延長することができる(「機関」とは、細胞の膜領域内でグ
リコシル化を行う酵素および他の部分についての簡略用語である)。
【0173】 既存の開裂部位(信号ペプチドが酵素開裂を受けて成熟蛋白を生じる信号ペプ
チドの炭素末端の部位)を異なる開裂部位に代えることで、特に哺乳動物細胞経
での製造が有利となり、グリコシル化効率を高くすることができることも認めら
れている。以前には当業者は、信号ペプチドに関係する前駆配列(下記参照)の
酵素開裂部位を変えていた。
【0174】 下記の実施例で示すように、組織プラスミノーゲン活性化剤信号ペプチドの使
用による3部位グリコシル化レプチン蛋白の発現によって、天然ヒトレプチン信
号ペプチドの使用の場合より高いグリコシル化効率が得られた。さらに、天然ヒ
トレプチン信号ペプチドに代えた場合に、tPA(セリン−プロリン−セリン)
信号ペプチドの開裂部位によって、未変更ヒトレプチン信号ペプチドの使用に比
べて改善されたグリコシル化効率が得られることがさらに認められた。
【0175】 特定の蛋白に関して、部位セリン−アスパラギン−セリン(「SNS」)がグ
リコシル化効率を改善する機能を果たす場合がある。例えば、本明細書に記載の
ように、天然ヒトtPA信号ペプチド開裂部位の「SNS」部位による置き換え
によって、正しく開裂したグリコシル化レプチン蛋白(2位、47位、69位お
よび92位にグリコシル化部位を有する)の収量が高くなった。他の開裂部位に
は、セリン−プロリン−セリン(「SPS」)、セリン−アスパラギン−セリン
(「SNS」)、セリン−プロリン(「SP」)およびセリン−プロリン−アラ
ニン(「SPA」)などがある。DNAコードの部位指向性突然変異誘発、DN
A合成ならびに細胞内でのゲノムDNAの変化などの公知の方法による信号ペプ
チドに、新たな開裂部位を置き換えることができる。信号ペプチド、特に天然信
号ペプチドなどの公知の分泌蛋白に関連して認められない信号ペプチドを製造し
、上記のような開裂部位を含めることで、グリコシル化効率を至適化または最大
化するよう選択することができる。
【0176】 天然ヒト組織プラスミノーゲン活性化剤(「tPA」)のセリン−プロリン−
セリン開裂部位などの一部の開裂部位は、成熟蛋白のN−末端領域から不完全に
開裂する。そこで、ここで−1位と称する成熟蛋白のN−末端のセリン残基が残
る。本発明はさらに、対象とする開裂部位を用いることを選択した場合に、成熟
蛋白配列のN−末端の1以上のアミノ酸残基を有するかあるいは適宜に有する本
発明のレプチングリコシル化蛋白をも含むものである。
【0177】 本発明はさらに、より具体的には、 −1位にセリン、アルギニン、プロリンまたはアラニン残基、 −1位にセリンおよび−2位にプロリン、 −1、−2および−3位にセリン−プロリン−セリン配列、 −1位にセリンおよび−2位にアルギニン、 −1位にセリン、−2位にアルギニンおよび−3位にセリン、 −1位にアルギニンおよび−2位にセリン、ならびに −1位にアラニンおよび−2位にプロリン を有するグリコシル化レプチン蛋白をも含む。
【0178】 さらに、成熟蛋白の一部を開裂させる信号ペプチド開裂部位があっても良い。
従って、上記で示したように本発明には、対象とするグリコシル化部位を有する
配列番号1または2のレプチン蛋白などの成熟蛋白のN−末端から欠失した5以
下のアミノ酸残基を有するものなど、切断型のグリコシル化レプチン蛋白が含ま
れる。
【0179】 従って本発明は、グリコシル化蛋白の改良された製造方法であって、 (a)発現およびグリコシル化に好適な条件下に、5’から3’の方向で(i
)信号ペプチドおよび(ii)グリコシル化蛋白をコードするDNAをコードす
るDNA配列を有する宿主細胞を培養する段階、ならびに (b)前記グリコシル化蛋白を取得する段階を有し、 前記改良が、グリコシル化効率について至適化されたペプチダーゼ開裂部位を
有する信号ペプチドの使用を含む方法に関するものでもある。
【0180】 非天然開裂部位は、SPS、SP、SNSおよびSPAから選択することがで
きる。実施例を含む本明細書に記載の信号ペプチドおよびグリコシル化レプチン
蛋白は例として挙げてあるものである。ただし、これらの方法および組成物は、
真核細胞によって分泌および/またはグリコシル化させるべき非常に多様な蛋白
に広く適用可能である。そのような蛋白には、組織プラスミノーゲン活性化剤、
因子VIIIおよび他の血液凝固因子、エリトロポイエチンおよびそれの類縁体
、ならびに他のグリコシル化蛋白などがあるが、これらに限定されるものではな
い。
【0181】 さらに、天然レプチンリーダー配列との併用で、「前駆配列」を使用すること
によってもグリコシル化効率を高めることができることも認められている。「前
駆配列」は、至適には単位R−X−R/K−R(「X」はいずれかのアミノ酸で
ある(および1文字略称は従来使用されているものである。上記参照)を有する
アミノ酸配列である。前駆配列は、CHO細胞に通常存在するフリン(furin)
様プロテアーゼ類によって開裂可能である(最後のR後)(Watanabe et al., F
EBS letters, 320: 215-218 (1993);引用によって本明細書に含まれる))。C
HO細胞がそのような前駆配列を開裂させる能力は、フリン発現プラスミドが細
胞にトランスフェクションされると向上することが明らかになっている(Yanagi
ta et al., Endocrinology 133: 639-644 (1993);引用によって本明細書に含ま
れる))。例えば、成熟ヒトレプチン配列は、フリンによる前駆配列の除去を妨
害すると考えられるバリンで始まる。前駆配列のより良好な除去は、そのバリン
をセリンやアラニンなどのより好ましいアミノ酸に変えることで、あるいはバリ
ンの前にそのようなアミノ酸を挿入することで(例えば、部位指向性突然変異誘
発その他の当業者に利用可能な方法によって)行うことができると考えられる。
従って本発明の方法は、天然レプチン信号ペプチドまたは他の信号ペプチドとの
併用でそのような前駆配列を使用することを含んでいても良い。
【0182】 本発明はさらに、本発明の変化した信号ペプチドおよび/または前駆配列をコ
ードする核酸を含む上記で挙げたものおよび引用によって本明細書に含まれたも
のなどの核酸、ベクターおよび宿主細胞のような組成物をも包含するものである
【0183】 実施例 以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するためのものであるが、本発明の
範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0184】 実施例1は、各種グリコシル化レプチンのストークス半径測定を示す。
【0185】 実施例2は、「N48T50」と称される1部位グリコシル化レプチンのin v
ivo生理活性を示す。この実施例は、そのグリコシル化レプチンが、グリコシル
化のない天然組換えヒトレプチンと少なくとも同等の活性を有することを示すも
のである。
【0186】 実施例3は、別の1部位グリコシル化レプチン類のin vitro生理活性を示す。
【0187】 実施例4は、受容体結合アッセイに関して、2部位グリコシル化レプチン蛋白
のin vitro生理活性を示す。
【0188】 実施例5は、グリコシル化コンセンサス配列において、セリン残基ではなくト
レオニン残基を用いることがグリコシル化効率に与える影響を示すものである。
【0189】 実施例6は、コンセンサス配列に隣接するアミノ酸がグリコシル化効率に影響
することを示す。
【0190】 実施例7は、3部位グリコシル化レプチン蛋白が、未グリコシル化レプチンよ
りかなり長い全身循環時間を有することを示す。
【0191】 実施例8は、ob/obマウスにおいて、3部位グリコシル化レプチン蛋白が
未グリコシル化レプチンと比較して体重減少の生理活性を向上させたことを示し
ている。
【0192】 実施例9は、ob/obマウスにおいて、3部位グリコシル化レプチン蛋白が
未グリコシル化レプチンと比較して食欲抑制の生理活性を向上させたことを示し
ている。
【0193】 実施例10は、ob/obマウスにおいて、3部位グリコシル化レプチン蛋白
の間歇投与が未グリコシル化レプチンと比較して体重減少の生理活性を向上させ
たことを示している。
【0194】 実施例11は、野生型動物での3部位グリコシル化レプチンを用いた別の用量
応答試験を提供するものであり、かなり低い用量の3部位グリコシル化レプチン
によって、未グリコシル化レプチンと比較してかなりの体重減少が生じることを
示している。
【0195】 実施例12は、野生型マウスでの3部位グリコシル化レプチンを用いた投与回
数試験を提供するものであり、3部位グリコシル化レプチンを未グリコシル化レ
プチンより少ない回数で投与して、動物において同じ体重低下応答が得られるこ
とを示している。
【0196】 実施例13は、別の複数グリコシル化部位レプチン蛋白とin vitroでの生理活
性データについて記載したものである。
【0197】 実施例14は、各種信号ペプチドおよびグリコシル化または収量に影響する他
の配列を用いた、3部位グリコシル化レプチン蛋白の発現およびグリコシル化効
率について記載したものである。
【0198】 実施例15は、各種信号ペプチドおよびグリコシル化または収量に影響する他
の配列を用いた、多様な複数グリコシル化部位レプチン蛋白に関する別の発現デ
ータを記載したものである。
【0199】 本明細書で使用の方法の参考例がそれに続いて記載されている。
【0200】 実施例1 各種レプチンのストークス半径 本実施例は、各種レプチンがゲル濾過測定で異なるストークス半径を有するこ
とを示すものである。本実施例はさらに、繰り返し測定値を得た時に測定値が2
Å未満で変動したように、1個のレプチングリコシル化蛋白のストークス半径を
求めるゲル濾過法の一貫性を示すものでもある。
【0201】 方法 ゲル濾過実験は、システム制御、データ取得および解析用のユニコーン(Unic
orn)制御装置、UV−1検出器および280nmフィルターを搭載したファル
マシア(Pharmacia)FPLCシステムで行った。分離は、ダルベッコのリン酸
緩衝生理食塩水で平衡としたスーパーデックス(SuperDex)200(HR10/
30)カラムで、4℃および流量0.25mL/分にて行った。溶離緩衝液に溶
かした蛋白サンプルを、8435型分光光度計(Hewlett Packard)で測定しな
がら、0.1A280を含む0.25mL容量でカラムに通した。
【0202】 ファルマシアゲル濾過較正キット(高分子量および低分子量の両方)で認めら
れる標準蛋白を製造者の指示に従って用いてカラムの較正を行った(製造者の指
示に従い、カタラーゼは標準として用いなかった)。ヒトトランスフェリン(3
6Å)、大豆トリプシン阻害薬(22Å)およびウマ筋肉ミオグロビン(19Å
)などの別の標準は購入した(Sigma Chemicals)。ブルーデキストラン(Blue
Dextran;ファルマシアゲル濾過較正キット)を用いて、空隙容量を決定した。
各種レプチン型のいずれかについてのストークス半径値(Rs)は、
【0203】
【数2】 対Rs(式中、Kav=(Ve−Vo)/Vt−Voであり;Veは蛋白の溶出
容量であり;Voは空隙容量であり;Vtはカラムの総床容量である)のプロッ
トから計算した。
【0204】 結果 上記の方法とゲル濾過材料としてのスーパーデックス200(商標)を用いて
、以下のグリコシル化部位を有するrHu−レプチン1〜146(配列番号1、
下記)について以下のストークス半径を測定した。
【0205】
【表2】
【0206】 表からわかる通り、ゲル濾過による測定で、3部位グリコシル化レプチン蛋白
分子の群は30Åを超えるストークス半径を有する。平均ストークス半径((3
1.9+32.3)/2))は32.1Åである。このゲル濾過法はさらに、1
Åまでの一貫性を示した。比較として、沈降速度(本明細書には詳細には説明し
ていない標準的な方法を使用)によって測定した場合、同じグリコシル化レプチ
ン蛋白は31.2Åのストークス半径を有していた。
【0207】 未グリコシル化レプチン蛋白(rmetHu−レプチン)ならびに2種類の単
一部位グリコシル化レプチン蛋白は、30Å未満のストークス半径を有していた
。下記の実施例で示されるように、N48T50グリコシル化レプチン蛋白はr
metHu−レプチンに匹敵する生理活性を有していた。3部位グリコシル化蛋
白(47、69、102)は、循環時間延長(従って、薬剤へのin vivo曝露増
加)に関してかなり向上した生理活性を有していた。それは、有効径(ここでは
ストークス半径として表現)を大きくすることで、腎臓での濾過性および最終的
分解が低下することによって循環時間が延長することを示している。
【0208】 実施例2 1部位グリコシル化レプチンN48T50のin vivoでの生理活性および血清
循環時間 本実施例は、1部位グリコシル化レプチンがrmetHu−レプチン1〜14
6(配列番号1)とほぼ同等またはそれよりわずかに高い生理活性を有すること
を示す。グリコシル化は、活性を障害したり、受容体結合を防止しなかった。さ
らに、1部位グリコシル化レプチンの血清循環時間は、rmetHu−レプチン
1〜146(配列番号1)と同等またはそれよりわずかに長いことが示される。
【0209】 動物には、1日1回7日間にわたって同一用量で1部位グリコシル化レプチン
またはrmetHu−レプチンを投与した。7日間終了後、動物を屠殺し、脂肪
含有量を調べた。rmetHu−レプチンと比較して、1部位グリコシル化レプ
チンの投与によって、約25%多い脂肪減少が生じた。これは、非天然グリコシ
ル化部位を有する本発明のグリコシル化レプチン組成物が生理活性を保持してい
ることを示している。
【0210】 方法 1.使用したレプチン組成物 このグリコシル化レプチン「N48T50」は、48位のイソロイシン(「I
」)がアスパラギン(「N」)で置き換わり、次の2個のアミノ酸が置き換わら
ずに残っている(ロイシン(「L」)およびトレオニン(「T」))天然ヒトレ
プチン1〜146(配列番号1)のアミノ酸配列を有していた。1日1回投与群
(いずれについての注射容量は100μL)については、1mg/kg用量群で
0.2mg/mL、10mg/kg用量群で2.0mg/mLである。第0日の
み投与群については、濃度5mg/mL、400μL注射、100mg/kg用
量とした。
【0211】 2.動物 動物数と種類 チャールズ・リバー・ラボラトリーズ(Charles River Laboratories, Wilmin
gton, MA)からの雌C57BL6マウス5匹。
【0212】 動物齢および体重 動物は8〜10週齢であり、体重はそれぞれ約20gであった。
【0213】 3.投与 各試験開始時に、マウスを秤量し、サンプルを皮下ボラスで注射した。
【0214】 秤量:動物施設で試験に先だって1週間馴致させた動物において基底線体重を
測定した。基底線体重は、初回投与を受ける直前に測定した。各試験を通じて、
体重は1日1回モニタリングした。最終体重を記録した後、動物を屠殺し、腹部
脂肪の量を0〜3で等級分けした。0は肉眼で観察される脂肪残留なし、3とい
う評点は正常な動物で肉眼観察される脂肪量を反映したものとした。
【0215】 結果 大腸菌で発現したrmetHu−レプチン(1〜146)を1日1回投与した
マウスでは、図1に示したように、緩衝液対照と比較して体重が減少した。驚く
べきことに、グリコシル化レプチン(N48T50レプチン)投与マウスでも体
重減少があった。両方の形のレプチンで、体重減少量は用量が上昇する(1mg
/kgおよび10mg/kg)と増加した。100μg/kgの単回注射を行っ
た場合、グリコシル化レプチン投与マウスの方が、rmetHu−レプチン(1
〜146)投与マウスより体重減少が大きかった。さらに体重減少は、rmet
Hu−レプチン投与マウスと比較して、グリコシル化レプチン投与マウスの方が
長く持続した。rmetHu−レプチン投与マウスおよびN48T50レプチン
投与マウスについての肉眼検査では、いずれの形のレプチンを投与されたマウス
も腹部脂肪量が低下し、腹部脂肪量は用量が上昇すると減少したことが示された
。これは、グリコシル化レプチンが脂肪含有量を低下させる上で有効であり、未
グリコシル化rmetHu−レプチンより少ない回数で投与可能であることを示
している。
【0216】 1部位グリコシル化レプチンの薬物動態試験 本試験は、静脈投与の場合に、単一部位グリコシル化レプチンが未グリコシル
化レプチンより長い半減期を有することを示すものである。皮下投与の場合に循
環時間は、グリコシル化および未グリコシル化レプチンの両方で同様であった。
【0217】 材料 1.レプチン 上記の1部位グリコシル化レプチン(部位N48T50)を用い、塩化カルシ
ウムおよび塩化マグネシウムを含まないダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水中1
0mg/mLで製剤した。大腸菌で発現した組換えメチオニルヒトレプチン1〜
146(配列番号1で、−1位がメチオニル残基のもの)を対照として用い、緩
衝液中2.0mg/mLで製剤した。
【0218】 2.動物 使用動物数/種類 雄CD−1マウス(Charles River Laboratories, Hollister, CA)32匹(
グリコシル化レプチン蛋白用)および81匹(r−metHu−レプチン用)。
【0219】 動物齢/体重 動物は6〜9週齢であり、体重は約30gであった。
【0220】 飼育/取り扱い 動物は個別に飼育し、実験齧歯類用飼料を自由に摂取させた。いずれの動物も
動物取り扱い規範に従って取り扱った。
【0221】 3.投与 動物には、静脈投与(IV)または皮下投与(SC)にて、1.0mg/kg
の用量でグリコシル化レプチンを注射した。
【0222】 4.サンプリング 動物に麻酔を施し、標準的な心臓穿刺法を用いて所定の時点で採血を行った。
グリコシル化レプチンの血清濃度を、イムノアッセイ(以下に記載)を用いて測
定した。
【0223】 5.比較 循環時間データを、同様の大きさの動物について同じ投与経路を用い、同一用
量でのrmetHu−レプチンに関する以前に得られたデータと比較した。
【0224】 結果 表2.1には、マウスでのグリコシル化レプチンおよびrmetHu−レプチ
ンの薬物動態パラメータを示してある。IVデータを比較すると、グリコシル化
レプチンの方が、低い全身クリアランス(500mL/h/kgと676mL/
h/kg)および長い終末半減期(1.24時間と0.733時間)を示した。
定常状態での分布容量(Vss)は、グリコシル化レプチンとrmetHu−レ
プチンとの間で同様であった。これらのデータは、グリコシル化蛋白がrmet
Hu−レプチンより遅く、全身循環から排除されることから、半減期および曝露
(AUC推定値2000ng・h/mLと1480ng・h/mL)が長くなっ
たことを示している。SC投与後では、グリコシル化レプチンとrmetHu−
レプチンの間で同様のピーク血清濃度(Cmax)が得られた(1230ng/
mLと1380ng/mL)。ただし、グリコシル化レプチンについてはピーク
時間(tmax)の遅延があった。いずれの分子についても、得られた曝露推定
値(AUCに基づいたもの)は同様であった。皮下投与での生物学的利用能は、
グリコシル化レプチンで約60.5%でありrmetHu−レプチンで79.6
%であった。
【0225】
【表3】
【0226】 実施例3 他の1部位グリコシル化レプチン類のin vitroでの生理活性 以下の表3.1では、グリコシル化部位を含める変化のためのアミノ酸位置は
、rHu−レプチンである上記の配列番号1の番号割り付けに基づいている。
【0227】 蛋白は、天然ヒトレプチン信号ペプチドおよびCOS細胞を用いて、下記の参
考例に記載の方法に従って発現させた。発現産生物について4種類の分析を行っ
た(用いた方法については下記の記載してある)。
【0228】 1.野生型と比較した発現 蛋白の収量を、COS細胞で発現させたrHu−レプチン1〜146と比較し
た。rHu−レプチン1〜146の量には、下記で定義の条件下に「1.00」
という数字を割り当てた。
【0229】 2.グリコシル化パーセント 完全にグリコシル化された蛋白の収量を、下記に記載のウェスタンブロットの
肉眼検査による総レプチン蛋白のパーセントとして求めた。
【0230】 3.野生型と比較した結合、レプチン−R レプチン受容体の製造物を用いたin vitroでの競合アッセイで、得られた放射
能標識グリコシル化レプチン蛋白を、下記に記載の方法に従って、レプチン受容
体への結合の強度において、放射能標識rHu−レプチン1〜146と比較した
【0231】 4.野生型と比較したin vitroでの生理活性 下記のキメラレプチン受容体を用いるin vitroアッセイで、得られたグリコシ
ル化レプチン蛋白を、以下に記載の方法に従ってrHu−レプチン1〜146と
比較した。「ND」とは、実験を行わなかったためにデータが得られていないこ
とを意味する。
【0232】
【表4】 *ESP77は、77位のグリコシル化部位および下記で詳細に説明するエリ
トロポイエチンの信号ペプチドを用いた発現を示すものである。
【0233】 1/「位置」は、rHu−レプチン1〜146である配列番号1に従ったアミ
ノ酸位置を示す。挙げられている特定の配列(例:「53」、「55」など)は
、「N−X−S/T」のコンセンサスグリコシル化配列における「N」位を示し
ている。
【0234】 結果 表から明らかなように、得られた単一部位グリコシル化レプチン蛋白の場合、
未グリコシル化レプチンと比較して、活性量が高くなっているように見えた11
8位にグリコシル化部位を有する蛋白を除き、ほとんどの単一部位グリコシル化
レプチン蛋白が、本明細書で使用のin vitroアッセイで測定した生理活性にほと
んど上昇を示さなかった。これらの類縁体の一部は、正常または比較的高いレベ
ルで分泌され、ほとんどが、同様にして発現・分析したrHu−レプチン1〜1
46に匹敵する受容体結合活性を有していた。驚くべきことに、グリコシル化レ
プチン蛋白の一部は、受容体結合活性を保持していたとしても、in vitroでの生
理活性が低かった。そこで、グリコシル化レプチン蛋白は、それがin vitro生理
活性を保持したか否かに従って2つの種類の分けることができた。in vitro生理
活性が低かったグリコシル化レプチン蛋白は、レプチン拮抗薬であることができ
る。
【0235】 実施例4 2部位グリコシル化レプチン類のin vitro生理活性 表4.1に示したように、各種2部位グリコシル化レプチン蛋白も製造し、単
一部位蛋白に関する上記の方法に従って試験を行った。表記および略称は、1部
位蛋白に関する表3.1でのものと同様である。
【0236】 グリコシル化の表記は、下記に記載のウェスタンブロットの肉眼検査によって
測定した1個または2個の鎖を有する材料の大体のパーセントを示している。例
えば、グリコシル化レプチン蛋白25+29の場合、材料の50%が1個の鎖を
有しており、材料の5%が2個の鎖を有していた。
【0237】
【表5】 受容体結合を保持し、生理活性を示す2個のグリコシル化部位の組合せを有す
る多くのグリコシル化レプチン蛋白を製造することができる。
【0238】 実施例5 コンセンサス配列においてセリンではなくトレオニンを用いてのグリコシル化
効率の向上 本実施例は、グリコシル化コンセンサス配列においてセリンではなくトレオニ
ンを用いた場合にグリコシル化部位効率が向上することを示すものである。本実
施例では、グリコシル化部位を含める変化についての全てのアミノ酸配列位置は
、rHu−レプチン1〜146である配列番号1の番号割り付けに基づいたもの
である。
【0239】 グリコシル化レプチン蛋白は、下記の参考例に記載の方法を用いて構築、発現
および分析した。結果は図2に示してある。2置換W100、S102からN1
00、T102による単一グリコシル化部位の導入によって、N−連結炭水化物
の付加が生じ、炭水化物を含む分子の割合(ウェスタンブロッティングによって
測定されるSDS PAGEによって)は、W100、S102からN100、
T102置換の場合よりかなり大きかった。これは、コンセンサス配列にトレオ
ニンを有する蛋白分子の方が、コンセンサス配列にセリンを有するものより多く
グリコシル化されたことを示している。そこで、この発現系におけるグリコシル
化効率は、Asn−Xxx−Serを用いた場合より、コンセンサス配列Asn
−Xxx−Thrを用いた方が高い。そのように、トレオニン残基を用いること
が好ましい。
【0240】 実施例6 上流配列によるグリコシル化効率への影響 本実施例は、−1位(置換アスパラギン残基に対して)のアミノ酸ならびにコ
ンセンサス配列におけるアスパラギン残基の直接「上流」の(すなわち、N−末
端方向)置換の両方によって、グリコシル化効率が影響されることを示す。
【0241】 S99、N100、S102という変化のあるrHu−レプチン1〜146は
、99位にセリン置換のない同様の変化と比較してグリコシル化効率が高いこと
が認められた。それは、コンセンサスグリコシル化部位周囲の置換によって、グ
リコシル化部位占有がさらに向上し得ることを示している。
【0242】 さらに驚くべき点として、W100からT100への置換によって、恐らくは
100位でのレプチンのO−グリコシル化が生じた。これは、O−連結またはN
−連結炭水化物を、行われる特定の置換に応じて同じ位置に付加させることが可
能であることを示している。図2は、示したようなO−連結グリコシル化部位と
N−連結グリコシル化部位を比較するウェスタンブロットである。図からわかる
通り、示した配列「TAS」(配列番号1に関して)を用いることで、O−連結
グリコシル化が生じる。
【0243】 実施例7 3部位グリコシル化レプチンの全身循環時間の向上 本実施例は、1より多いグリコシル化部位を有するグリコシル化レプチンが、
未グリコシル化組換えヒトレプチンよりかなり長い循環時間を有することを示す
ものである。ここでわかるように、グリコシル化レプチンは、rmetHu−レ
プチンと比較して、4〜5倍の全身クリアランス低下および半減期延長を示した
。皮下投与での生物学的利用能低下は小さかったが(未グリコシル化と比較して
約10%の低下)、グリコシル化レプチンではなおも、皮下投与後に薬剤曝露が
相対的に高かった。
【0244】 材料 1.レプチン 下記で製造した3部位グリコシル化レプチン(部位47、69および102、
配列番号32)を用い、塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムを含まないダル
ベッコのリン酸緩衝生理食塩水(Gibco)中1.76mg/mLで製剤した。大
腸菌で発現した組換えメチオニルヒトレプチン1〜146(配列番号1で、−1
位がメチオニル残基のもの)を対照として用い、緩衝液中2.0mg/mLで製
剤した。
【0245】 2.動物 使用動物数/種類 雄CD−1マウス(Charles River Laboratories, Hollister, CA)27匹(
グリコシル化レプチン蛋白用)および81匹(r−metHu−レプチン用)。
【0246】 動物齢/体重 動物は6〜9週齢であり、体重は約30gであった。
【0247】 飼育/取り扱い 動物は個別に飼育し、実験齧歯類用飼料を自由に摂取させた。いずれの動物も
動物取り扱い規範に従って取り扱った。
【0248】 3.投与 動物には、静脈投与(IV)または皮下投与(SC)にて、1.0mg/kg
の用量でグリコシル化レプチンを注射した。
【0249】 4.サンプリング 動物に麻酔を施し、標準的な心臓穿刺法を用いて所定の時点で採血を行った。
グリコシル化レプチンの血清濃度を、イムノアッセイ(以下に記載)を用いて測
定した。
【0250】 5.比較 循環時間データを、同様の大きさの動物について同じ投与経路を用い、同一用
量でのrmetHu−レプチンに関する以前に得られたデータと比較した。
【0251】 結果 結果を図3および4に示してある。図3は皮下投与後の血清レプチン濃度を示
すグラフであり、図4は静脈投与後の血清レプチン濃度を示すグラフである。
【0252】 約30Åを超えるストークス半径を有するグリコシル化レプチンのIVおよび
SC投与のいずれの後でも、血清濃度はrmetHu−レプチンで認められるも
のならびに単一部位グリコシル化レプチン(N48T50)のものより高かった
。rmetHu−レプチンの場合、両方の投与経路から6時間以内に、血清濃度
は1.0ng/mL以下に低下したが、グリコシル化レプチンの血清濃度は、I
VおよびSC投与から24時間にわたって1.0ng/mL超に留まった。
【0253】 表7.1には、マウスでのグリコシル化レプチンおよびrmetHu−レプチ
ンの薬物動態パラメータを示してある。
【0254】
【表6】
【0255】 IVデータ(図4参照)を比較すると、グリコシル化レプチンの方が、低い全
身クリアランス(120mL/h/kgと676mL/h/kg)および長い終
末半減期(2.76時間と0.733時間)を示した。定常状態での分布容量(
ss)は、グリコシル化レプチンとrmetHu−レプチンとの間で同様であ
った。これらのデータは、グリコシル化蛋白がrmetHu−レプチンより遅く
、全身循環から排除されることから、半減期および曝露(AUC推定値8350
ng・h/mLと1480ng・h/mL)が長くなったことを示している。S
C投与後(図3参照)では、グリコシル化レプチンとrmetHu−レプチンの
間で同様のピーク血清濃度(Cmax)が得られた(1430ng/mLと13
80ng/mL)。ただし、グリコシル化レプチンについてはピーク時間(t ax )の遅延があった。IV投与から得られた結果同様、皮下投与グリコシル化
レプチンは、終末半減期の延長(2.21時間と0.541時間)および曲線下
面積(「AUC」)の増加(5800ng・h/mLと1180ng・h/mL
)を示した。それは恐らく、グリコシル化レプチンに関して全身クリアランスが
低下したためと考えられる。皮下投与での生物学的利用能は、グリコシル化レプ
チンで約69.5%でありrmetHu−レプチンで79.6%であった。
【0256】 実施例8 3部位グリコシル化レプチンの体重減少活性の向上 本実施例は、ストークス半径が30Åを超えるグリコシル化ヒトレプチンでは
、未グリコシル化組換えヒトレプチンと比較してin vivo生理活性が向上してい
ることを示すものである。本実施例からわかるように、1日1回投与で7日後に
、未グリコシル化レプチンの場合と比較して、本実施例で投与した3部位グリコ
シル化レプチンの方がob/obマウスでの体重減少が約6.8倍多かった。
【0257】 方法 1.レプチン 下記で製造した3部位グリコシル化レプチン(部位47、69および102、
配列番号32)を用い、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(pH6.8)中1
.9mg/mLの濃度で製剤した。組換えメチオニルヒトレプチン1〜146(
配列番号1で、−1位がメチオニルのもの)を比較の基準として用い、5%ソル
ビトールを含む10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)中20mg/mLで製剤
した。5%ソルビトールを含む10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)を媒体対
照として用いた。
【0258】 2.動物 温度、明暗および湿度を管理した条件下、6:00時に照明をオンとし、18
:00時に照明をオフとして動物を飼育した。アムゲン社(Amgen, Inc.)動物
研究施設はUSDAおよびAAALAC−公認である。投与群当たり雌のob/
obマウス(Jackson Laboratories)6匹を用いた。マウスは試験開始時に2ヶ
月齢であり、体重は平均45.6gであった。マウスは、群の平均体重が投与開
始前に同等となるように投与群に無作為に割り当てた。動物はケージ当たり2匹
飼育し、標準的な実験齧歯類飼料ペレットを自由に摂取させた。
【0259】 3.投与 全ての投与手順はアムゲン(Amgen)によって承認されたものであった(Insti
tutional Animal Care And Use Committee)。グリコシル化レプチン、r−me
tHu−レプチンまたはプラシーボを、容量0.1mLで肩甲領域への皮下注射
によって1日1回投与した。レプチンの用量は、グリコシル化レプチンとr−m
etHu−レプチンのいずれも0.5mg/kg/日とした。注射は7連続日で
行い、試験第0日の晩に開始した(コロニーにおける消灯の2時間以内)。動物
は注射時に1日1回体重測定した。データはいずれも、平均±SEとして報告し
ている。
【0260】 結果 図5でわかるように、3部位グリコシル化レプチン(「GE−レプチン」)に
よって最も大きい量の体重減少が得られ、平均体重減少は10.8±0.3g(
初期体重の−23.8±0.5%)であった。同用量のr−metHu−レプチ
ン(「hレプチン」)を投与することで平均体重減少1.6±0.4g(初期体
重の−3.5±1.1%)が得られ、プラシーボ投与によって平均体重増加2.
6±0.2g(初期体重の5.7±0.3%)があった。本実施例は、未グリコ
シル化組換えヒトレプチンと比較して、グリコシル化レプチンのin vivoでの生
理活性がかなり向上したことを示している。
【0261】 実施例9 3部位グリコシル化レプチンの食欲抑制活性の向上 本実施例は、ストークス半径が30Åを超えるグリコシル化ヒトレプチンでは
、未グリコシル化組換えヒトレプチンと比較してin vivo生理活性が向上してい
ることを示すものである。本実施例からわかるように、1日1回投与で7日後に
、未グリコシル化レプチンの場合と比較して、本実施例で投与した3部位グリコ
シル化レプチンの方がob/obマウスでの飼料摂取が約11倍少なかった。
【0262】 方法 1.レプチン 下記で製造した3部位グリコシル化レプチン(部位47、69および102、
配列番号32)を用い、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(pH6.8)中1
.9mg/mLの濃度で製剤した。組換えメチオニルヒトレプチン1〜146(
配列番号1で、−1位がメチオニルのもの)を比較の基準として用い、5%ソル
ビトールを含む10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)中20mg/mLで製剤
した。5%ソルビトールを含む10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)を媒体対
照として用いた。
【0263】 2.動物 温度、明暗および湿度を管理した条件下、6:00時に照明をオンとし、18
:00時に照明をオフとして動物を飼育した。アムゲン社(Amgen, Inc.)動物
研究施設はUSDAおよびAAALAC−公認である。投与群当たり雌のob/
obマウス(Jackson Laboratories)6匹を用いた。マウスは試験開始時に2ヶ
月齢であり、体重は平均45.6gであった。マウスは、群の平均体重が投与開
始前に同等となるように投与群に無作為に割り当てた。動物はケージ当たり2匹
飼育し、標準的な実験齧歯類飼料ペレットを自由に摂取させた。
【0264】 3.投与 全ての投与手順はアムゲン(Amgen)によって承認されたものであった(Insti
tutional Animal Care And Use Committee)。グリコシル化レプチン、r−me
tHu−レプチンまたはプラシーボを、容量0.1mLで肩甲領域への皮下注射
によって1日1回投与した。レプチンの用量は、グリコシル化レプチンとr−m
etHu−レプチンのいずれも0.5mg/kg/日とした。注射は7連続日で
行い、試験第0日の晩に開始した(コロニーにおける消灯の2時間以内)。
【0265】 4.飼料測定 毎日、各動物のケージにおける飼料量を秤量することで、注射時に1日1回飼
料摂取を測定した。飼料摂取は、1日当たりマウス当たり摂取されたグラム数と
して報告しており、(前日のケージ中の飼料重量−当日の飼料重量)/ケージ当
たりマウス数(2匹)として計算した。データはいずれも平均±SEとして報告
している。
【0266】 結果 図6でわかるように、3部位グリコシル化レプチンの投与によって最も大きい
飼料摂取低下が生じ、7回目投与後の最後の24時間期間における平均飼料摂取
は0.4±0.04g/マウス/日であった。同じ24時間期間で、媒体投与対
照での飼料摂取(7.0±0.3g/マウス/日)と比較して、組換えメチオニ
ルヒトレプチンによって飼料摂取は4.4±0.4g/マウス/日まで低下した
。本実施例は、未グリコシル化組換えヒトレプチンと比較して、グリコシル化レ
プチンのin vivoでの生理活性がかなり向上したことを示している。
【0267】 実施例10 間欠投与した3部位グリコシル化レプチンの体重減少活性の向上 本実施例は、ストークス半径が30Åを超える3部位グリコシル化ヒトレプチ
ンの向上したin vivoでの生理活性が、それを間歇的に投与した場合に維持され
ることを示すものである。本実施例からわかるように、10倍高い用量の未グリ
コシル化レプチンを投与した場合と比較して、1日1回または2日に1回グリコ
シル化レプチンを投与した方が、ob/obマウスにおいて有意な体重減少があ
った。
【0268】 方法 1.レプチン 下記で製造した3部位グリコシル化レプチン(部位47、69および102、
配列番号32)を用い、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(pH6.8)中1
.9mg/mLの濃度で製剤した。組換えメチオニルヒトレプチン1〜146(
配列番号1で、−1位がメチオニルのもの)を比較の基準として用い、5%ソル
ビトールを含む10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)中20mg/mLで製剤
した。5%ソルビトールを含む10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)を媒体対
照として用いた。
【0269】 2.動物 温度、明暗および湿度を管理した条件下、6:00時に照明をオンとし、18
:00時に照明をオフとして動物を飼育した。アムゲン社(Amgen, Inc.)動物
研究施設はUSDAおよびAAALAC−公認である。投与群当たり雌のob/
obマウス(Jackson Laboratories)6匹を用いた。マウスは試験開始時に4.
5ヶ月齢であり、体重は平均66.6gであった。マウスは、群の平均体重が投
与開始前に同等となるように投与群に無作為に割り当てた。動物はケージ当たり
2匹飼育し、標準的な実験齧歯類飼料ペレットを自由に摂取させた。
【0270】 3.投与 全ての投与手順はアムゲン(Amgen)によって承認されたものであった(Insti
tutional Animal Care And Use Committee)。グリコシル化レプチン、r−me
tHu−レプチンまたはプラシーボを、容量0.1mLで肩甲領域への皮下注射
によって1日1回または2日で1回投与した。レプチンの用量は、グリコシル化
レプチンまたはr−metHu−レプチンを1日1回注射したマウスで0.25
または2.5mg/kg/日とした。グリコシル化レプチンまたはr−metH
u−レプチンを2日で1回注射したマウスでのレプチンの用量は、1または10
mg/kg/日とした。注射は7連続日で行い、試験第0日の晩に開始した(コ
ロニーにおける消灯の2時間以内)。レプチンを2日に1回注射したマウスでは
、隔日で媒体の注射を行った。動物は注射時に1日1回秤量した。体重減少パー
セントを、((第7日体重−第0日体重)/第0日体重)×100)として計算
する。データはいずれも平均±SEとして報告している。
【0271】 結果 表10.1に示したように、0.25mg/kg/日のグリコシル化レプチン
を1日1回注射したマウスは、同用量または10倍用量の組換えメチオニルヒト
レプチンを投与したマウスより多い体重減少を示した。
【0272】
【表7】
【0273】 表10.2に示したように、1mg/kg/日のグリコシル化レプチンを2日
に1回注射したマウスでは、同用量または10倍用量の組換えメチオニルヒトレ
プチンを投与したマウスより体重減少が大きかった。
【0274】
【表8】
【0275】 本実施例は、未グリコシル化組換えヒトレプチンと比較したグリコシル化レプ
チンの生理活性向上が、その蛋白を肥満マウスに間歇的に投与した場合に保存さ
れることを示している。
【0276】 実施例11 野生型マウスでの3部位グリコシル化レプチンの用量応答試験 本実施例は、ストークス半径が30Åを超える3部位グリコシル化ヒトレプチ
ンが非肥満マウスにおいて生理活性を有することを示すものである。さらに本実
施例は、野生型マウスにおいて、かなり低い用量のグリコシル化レプチンによっ
て、未グリコシル化レプチンと比較してかなり大きい体重低下が生じることを確
認するものである。
【0277】 1.レプチン 下記で製造した3部位グリコシル化レプチン(部位47、69および102、
配列番号32)を用い、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(pH6.8)中5
.1mg/mLの濃度で製剤した。組換えメチオニルヒトレプチン1〜146(
配列番号1で、−1位がメチオニルのもの)を比較の基準として用い、5%ソル
ビトールを含む10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)中20mg/mLで製剤
した。5%ソルビトールを含む10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)を媒体対
照として用いた。
【0278】 2.動物 温度、明暗および湿度を管理した条件下、6:00時に照明をオンとし、18
:00時に照明をオフとして動物を飼育した。アムゲン社(Amgen, Inc.)動物
研究施設はUSDAおよびAAALAC−公認である。投与群当たり雌のC57
B1/6Jマウス(Jackson Laboratories)6匹を用いた。マウスは試験開始時
に2.5ヶ月齢であり、体重は平均20.0gであった。マウスは、群の平均体
重が投与開始前に同等となるように投与群に無作為に割り当てた。動物はケージ
当たり2匹飼育し、標準的な実験齧歯類飼料ペレットを自由に摂取させた。
【0279】 3.投与 全ての投与手順はアムゲン(Amgen)によって承認されたものであった(Insti
tutional Animal Care And Use Committee)。グリコシル化レプチン、r−me
tHu−レプチンまたはプラシーボを、容量0.1mLで肩甲領域への皮下注射
によって1日1回投与した。レプチンの用量は1または10mg/kg/日とし
た。注射は7連続日で行い、試験第0日の晩に開始した(コロニーにおける消灯
の2時間以内)。動物は注射時に1日1回秤量した。体重減少パーセントを、(
(第7日体重−第0日体重)/第0日体重)×100)として計算する。データ
はいずれも平均±SEとして報告している。
【0280】 結果 表11.1に示したように、1mg/kg/日のグリコシル化レプチンを1日
1回注射したマウスは、同用量または10倍用量の組換えメチオニルヒトレプチ
ンを投与したマウスより多い体重減少を示した。
【0281】
【表9】
【0282】 本実施例は、未グリコシル化組換えヒトレプチンと比較したグリコシル化レプ
チンの生理活性向上が、非肥満マウスでもあることを示している。
【0283】 実施例12 野生型マウスに間歇的に投与した3部位グリコシル化レプチンの体重減少活性
向上 本実施例は、ストークス半径が30Åを超える3部位グリコシル化ヒトレプチ
ンがr−metHu−レプチン1〜146と比較して向上した生理活性を有する
ことを示すものである。さらに本実施例は、野生型マウスにおいて、グリコシル
化レプチンをr−metHu−レプチン1〜146より回数の少ない投与計画で
投与した場合に、その向上した生理活性が維持されることを示すものでもある。
【0284】 1.レプチン 下記で製造した3部位グリコシル化レプチン(部位47、69および102、
配列番号32)を用い、ダルベッコのリン酸緩衝生理食塩水(pH6.8)中5
.1mg/mLの濃度で製剤した。組換えメチオニルヒトレプチン1〜146(
配列番号1で、−1位がメチオニルのもの)を比較の基準として用い、5%ソル
ビトールを含む10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)中20mg/mLで製剤
した。5%ソルビトールを含む10mM酢酸ナトリウム(pH4.0)を媒体対
照として用いた。
【0285】 2.動物 温度、明暗および湿度を管理した条件下、6:00時に照明をオンとし、18
:00時に照明をオフとして動物を飼育した。アムゲン社(Amgen, Inc.)動物
研究施設はUSDAおよびAAALAC−公認である。投与群当たり雌のC57
B1/6Jマウス(Jackson Laboratories)6匹を用いた。マウスは試験開始時
に2.5ヶ月齢であり、体重は平均20.0gであった。マウスは、群の平均体
重が投与開始前に同等となるように投与群に無作為に割り当てた。動物はケージ
当たり2匹飼育し、標準的な実験齧歯類飼料ペレットを自由に摂取させた。
【0286】 3.投与 全ての投与手順はアムゲン(Amgen)によって承認されたものであった(Insti
tutional Animal Care And Use Committee)。グリコシル化レプチン、r−me
tHu−レプチンまたはプラシーボを、容量0.1mLで肩甲領域への皮下注射
によって1日1回投与した。レプチンの用量は、2日に1回注射で1、5または
10mg/kg/日とした。注射は7連続日で2日に1回行い、試験第0日の晩
に開始した(コロニーにおける消灯の2時間以内)。マウスには、隔日で媒体を
注射した。動物は注射時に1日1回秤量した。体重減少パーセントを、((第7
日体重−第0日体重)/第0日体重)×100)として計算する。データはいず
れも平均±SEとして報告している。
【0287】 結果 表12.1に示したように、1、5または10mg/kg/日のグリコシル化
レプチンを2日に1回注射したマウスは、同用量の組換えメチオニルヒトレプチ
ンを2日に1回投与したマウスより多い体重減少を示した。
【0288】
【表10】
【0289】 本実施例は、未グリコシル化組換えヒトレプチンと比較したグリコシル化レプ
チンの生理活性向上が、その蛋白を非肥満マウスに間歇的に投与した場合でも保
存されることを示している。
【0290】 実施例13 別の複数グリコシル化部位レプチン蛋白 以下の表13.1には、やはり製造された別のグリコシル化ヒトレプチン蛋白
を示してある。この表の欄は、(1)N−グリコシル化の位置(配列番号1、r
Hu−レプチン1〜146の番号割り付けに関して)(別段の断りがない場合)
;(2)「野生型」(「WT」、ここでは配列番号1のrHu−レプチン1〜1
46)と比較した発現収量;(3)検出されたグリコシル化種;(4)「WT」
と比較した受容体結合;(5)「WT」と比較した生理活性を示している。使用
した方法は以下に説明している。「ND」という用語は、測定しなかったことを
意味している(ここで発現に用いた具体的な配列は、グリコシル化レプチン蛋白
47+69+102の発現に関連して以下の実施例でさらに詳細に説明している
)。
【0291】
【表11】 略称および表記は上記で使用したものと同様である(例えば表4.1参照)。 *「RRR」は、グリコシル化レプチン蛋白上での3個のC−末端アルギニン
残基の使用を示している。
【0292】 さらに、下記の実施例15にさらに記載されている方法に従って、以下の複数
部位グリコシル化レプチン蛋白を製造し、試験を行った。
【0293】 2+23+47+69+92; 2+47+69+92+102; 23+47+69+92+102; 2+47+69+92; 2+47+69+102; 23+47+69+102; 23+47+69+92; Q−47+69+92+102(「Q−」は、グリコシル化部位を付加した蛋
白骨格として配列番号2rHu−レプチン1〜145を用いたことを示している
); 47+69+100e+102。
【0294】 さらに本発明は、47、69、92および102位にグリコシル化部位を有す
るグリコシル化レプチン蛋白をも包含する。
【0295】 実施例14 各種信号配列およびグリコシル化に影響する他の配列を用いた3部位グリコシ
ル化レプチン蛋白の発現 本実施例は、やはり前述しているrHu−レプチン1〜146の47位、69
位および102位にあるグリコシル化に利用可能な部位を有する3部位グリコシ
ル化レプチン蛋白(配列番号1で、本明細書に記載の方法に従って製造した式N
−X−S/Tを用いた上記のグリコシル化部位を有するもの)のグリコシル化に
おける相違を示すものである。COS細胞およびCHO細胞という2種類の細胞
型での発現は、下記の参考例に記載の方法に従ったものである。グリコシル化は
、下記の参考例に記載の方法に従って測定した。グリコシル化程度は、5がグリ
コシル化部位が最大占有されているように見えるものとする1〜5のスケールで
評点した。「ND」という用語は、「測定せず」を意味する。
【0296】 各種信号配列を用いた。これら信号配列のアミノ酸配列を以下の表14.1に
示してある。下記の用語を用いて、本発明のグリコシル化レプチンを発現するの
にどの信号配列その他のアミノ酸配列を用いたかを示した。
【0297】
【表12】
【0298】
【表13】
【0299】 各種TPA信号ペプチド、特に変更C−末端(前駆配列の付加など)のあるも
のは、CHO細胞およびCOS細胞の両方で最も高いグリコシル化効率を有する
ように思われた。
【0300】 それはウェスタンブロット(図7)によって確認された。図からわかるように
、tPAの信号配列を用いることで最も高分子量となったことから、最も高度に
グリコシル化されたサンプルが得られた。
【0301】 図8は、上記のように3部位グリコシル化レプチン蛋白47+69+102に
ついての各種発現条件の比較結果を示すウェスタンブロットである。この図のウ
ェスタンブロットの左側から始めて、以下のように列の付加を行う。
【0302】 列1:分子量標準。
【0303】 列2:天然ヒトレプチン信号ペプチドを用いてCOS細胞で発現される3個の
アルギニンのC−末端アミノ酸配列を有する47+69+102。
【0304】 列3:CHO細胞で発現される列2と同じもの。
【0305】 列4:天然ヒトエリトロポイエチン信号ペプチドを用いて発現される列2と同
じもの。
【0306】 列5:「QTT COS ESP」、天然ヒトエリトロポイエチン信号ペプチ
ドを用いてCOS細胞で発現されるアミノ酸変化27T28S>27T29Tを
有するrHu−レプチン1〜145(配列番号2)。
【0307】 列6:「QTT CHO ESP」、天然ヒトエリトロポイエチン信号ペプチ
ドを用いてCHO細胞で発現される列5と同じもの。
【0308】 列7:「EA2 47+69+102COS」、本実施例で示した、ヒトエリ
トロポイエチン信号ペプチドおよび変更ヒトアルブミン前駆配列を用いて、CO
S細胞で発現される、C−末端アルギニンを持たない列2と同じもの。
【0309】 列8:「EA2 47+69+102CHO」、CHO細胞で発現される列7
と同じもの。
【0310】 列9:「CHOでのEA2 47+69+102+フリン」、本実施例で示し
たフリン構築物を用いた、列8と同じもの。
【0311】 高分子量帯域(グリコシル化を示す)の密度を示すことでわかるように、3グ
リコシル化レプチン蛋白(列2、3、4、7、8および9)は、1個のO−連結
部位を有する変更rHu−レプチン1〜145(列5および6)と比較してグリ
コシル化が多い。CHO細胞を使用することで、COS細胞の場合と比較してグ
リコシル化量が増加し(例えば、列2と列4)、エリトロポイエチン信号ペプチ
ドはグリコシル化を向上させるようにも思われた(例えば、列3と列5)。
【0312】 図9は、レプチン信号ペプチドまたはtPA信号ペプチドの使用、あるいはい
ずれか一方と他方の置換酵素開裂部位との使用を比較したウェスタンブロットで
ある。tPA信号ペプチド使用の方が、レプチン信号ペプチドの使用よりグリコ
シル化が多かった(左2列)。ペプチダーゼ開裂部位を含むレプチン信号ペプチ
ドのC−末端部分をtPA信号ペプチドのN−末端部分とともに用いたところ、
グリコシル化効率は低下した(「Tpa/レクチン」の列)。しかしながら、開
裂部位を含むtPA信号ペプチドのC−末端部分をレプチン信号ペプチドのN−
末端部分と使用すると、グリコシル化効率は上昇した(「レプチン/Tpa」列
)。良好なグリコシル化効率が認められたのは、tPA開裂部位のみをレプチン
信号ペプチドに導入した場合であった(「レプチン(SPS)」)。それは、部
分開裂部位配列の置換より高いグリコシル化効率を有していた(「レプチン(S
P)」)。
【0313】 図10は、N−グリカナーゼによる炭水化物部分の除去の結果観察によるグリ
コシル化効率を比較するウェスタンブロットである。図からわかる通り、炭水化
物を除去した列では(「+」で示したもの)、レプチン蛋白は、未グリコシル化
レプチンと同じ分子量まで移動する。N−グリカナーゼを用いない列(「−」)
での見かけの炭水化物量を比較すると、エリトロポイエチン信号ペプチド(「E
SP」または上記の使用のような別の表記と組み合わせた場合は「E」)の使用
によって、被験3部位グリコシル化レプチン蛋白はより効率良くグリコシル化さ
れるように思われる。
【0314】 実施例15 各種信号ペプチドおよびグリコシル化に影響する他の配列を用いた複数部位グ
リコシル化レプチン蛋白の別の発現試験 本実施例は、各種信号ペプチドおよび他の配列を用いた、単一および複数グリ
コシル化部位レプチン蛋白の発現に関する追加データを提供するものである。別
段の断りがない限り、以下のグリコシル化レプチン蛋白は、好ましい式のN−X
−S/Tを用いて配列番号1に付加したグリコシル化部位を指す。発現はCOS
細胞でのものであった。
【0315】 パーセント(「%」)グリコシル化とは、炭水化物を含む分子のパーセントを
意味する。それは、ウェスタンブロット(以下に参考例でさらに詳細に説明する
)の肉眼検査および視覚化した総レプチン蛋白のうちのグリコシル化蛋白の割合
を主観的に求めることで測定した。
【0316】 対照 以下の表15.1には、各種レプチン蛋白についてのデータを示してある。ヒ
トレプチン1〜145(配列番号2、本明細書では「Q−」と表す)を、グリコ
シル化蛋白として発現した。エリトロポイエチン(上記実施例の場合のように「
ESP」)からの信号ペプチドを用い、天然グリコシル化部位を用いてCOS細
胞で発現した場合、25%グリコシル化があった(グリコシル化に利用可能な部
位の25%が、発現蛋白分子群でグリコシル化されたことを示す)。それは、天
然ヒトレプチン信号ペプチド(上記のもの)を用いた場合に認められた10%グ
リコシル化より高かった。グリコシル化部位の一つを、セリンではなく29位の
トレオニンを有するように変えた場合(表に示したように)、結果は2倍となり
、O−グリコシル化に関しては、「S」より「T」の方が良いことを示している
。天然O−連結部位の「T」と「S」のいずれも、それぞれ1および2炭水化物
鎖の混合物でグリコシル化することができる。その部位を29位に「T」を有す
るように変えた場合、1個および/または2個の鎖を有するそれら2部位のパー
セントは上昇する。
【0317】
【表14】
【0318】 「WT」はrHu−レプチン1〜146(配列番号1)を示す。 「ESP」は、上記の実施例14に記載の天然ヒトエリトロポイエチン信号ペ
プチドを示す。 「ESP Ob+」は、天然ヒトエリトロポイエチン信号ペプチドとともに上
記のものを用いることを示す。 「(−Q)Ob+」は、rHu−レプチン1〜145(配列番号2)を示す。 「EA」は、上記実施例14の場合のように、ヒトアルブミン前駆配列ととも
に天然ヒトエリトロポイエチン信号ペプチドを用いることを示す。
【0319】 信号部位グリコシル化レプチン蛋白の発現 部位2の比較 以下の表15.2からわかる通り、3個の末端アルギニンを付加することで、
グリコシル化効率が向上した。
【0320】
【表15】 2回アッセイを行った場合、両方の結果を示してある。略称は、上記の実施例
14の場合と同様である。全ての表で用いている「ND」は、測定せずを意味す
るものである。
【0321】 部位23の比較 以下の表15.3からわかる通り、最も高い発現レベルおよび最も高い生物学
的利用能が得られたのは、天然レプチン信号ペプチドを用いた場合であった(第
1列、23a)。発現はCOS細胞でのものであった。
【0322】
【表16】 略称は、上記の実施例14の場合と同様である。全ての表で用いている「ND
」は、測定せずを意味するものである。
【0323】 部位47の比較 以下の表15.4からわかる通り、3個の末端アルギニン(「RRR」)を付
加することで、47位にグリコシル化部位を有するグリコシル化レプチン蛋白に
ついて別のグリコシル化が生じた。
【0324】
【表17】 2回アッセイを行った場合、両方の結果を示してある。略称は、上記の実施例
14の場合と同様である。全ての表で用いている「ND」は、測定せずを意味す
るものである。
【0325】 部位48の比較 以下の表15.5からわかる通り、COS細胞を用いた48位信号部位グリコ
シル化レプチン蛋白について最も高い発現レベルは、ヒト血清アルブミンからの
前駆配列と組み合わせたエリトロポイエチンからの信号配列を用いた場合であっ
た。表からわかるように、この単一部位蛋白は、未グリコシル化レプチンより高
い生理活性を有していた。
【0326】
【表18】 略称は、上記の実施例14の場合と同様である。グリコシル化パーセントは、
上記の表15.1と同じ用語で表してある。
【0327】 部位69の比較 以下の表15.6からわかる通り、tPA信号ペプチドと3個の末端アルギニ
ンを使用することで、最も高いグリコシル化効率が得られた。
【0328】 表15.6
【0329】
【表19】 略称は、上記の実施例で使用のものと同様である。グリコシル化パーセントは
、上記の表15.1と同じ用語で表してある。
【0330】 部位92の比較 以下の表15.7からわかる通り、3個の末端アルギニンを付加することで、
グリコシル化効率が向上した。
【0331】
【表20】 用いた略称は、上記の実施例で使用のものと同様である。グリコシル化パーセ
ントは、上記の表15.1と同じ用語で表してある。
【0332】 部位102の比較 以下の表15.8からわかる通り、3個のC−末端アルギニン残基を付加する
ことで、グリコシル化効率が向上した。
【0333】
【表21】 用いた略称は、上記の実施例で使用のものと同様である。グリコシル化パーセ
ントは、上記の表15.1と同じ用語で表してある。
【0334】 2部位グリコシル化レプチン蛋白の発現 部位47+69の比較 表15.9でわかるように、部位47+69レプチングリコシル化蛋白(上記
記載)に関して、天然レプチン信号ペプチドの使用によって最も高い発現レベル
が得られた。ヒト血清アルブミン前駆配列を有するエリトロポイエチン信号ペプ
チドの使用、あるいはヒト血清アルブミン信号ペプチドと前駆配列の使用によっ
て、比較的高い生理活性結果が得られた。
【0335】
【表22】 略称は、上記で用いたものと同様である。グリコシル化は、上記で使用のもの
と同じ用語で表している(例えば表4.1参照)。
【0336】 部位69+102の比較 表15.10でわかるように、COS細胞でのエリトロポイエチン信号ペプチ
ドの使用によって見かけ上、69+102の2部位グリコシル化レプチンの発現
に悪影響があった(上記記載)。
【0337】
【表23】 略称は、上記で用いたものと同様である(詳細については実施例14参照)。
グリコシル化は、上記で使用のものと同じ用語で表している(例えば表4.1参
照)。
【0338】 3部位グリコシル化レプチン蛋白の発現 表15.11でわかるように、エリトロポイエチン信号ペプチドの使用によっ
て、COS細胞で発現される各種グリコシル化レプチン蛋白に対して多様な効果
があった。興味深いことに、最も高い生理活性を有するグリコシル化レプチン蛋
白は、最も高い受容体結合を有していた(数が小さいほど、受容体への親和性が
高い)。
【0339】
【表24】 略称は、上記で用いたものと同様である(詳細については実施例14参照)。
グリコシル化は、上記で使用のものと同じ用語で表している(例えば表4.1参
照)。
【0340】 4部位グリコシル化レプチン蛋白の発現 表15.12でわかるように、COS細胞での4部位グリコシル化レプチン蛋
白発現の場合、各種発現レベルが得られ、得られたグリコシル化蛋白は多様な程
度の受容体結合および生理活性を有していた。この4部位レプチンの群では、2
3+47+69+92および23+47+69+102部位レプチンが、野生型
(すなわち、rmetHu−レプチン1〜146、配列番号1)と比較して最も
高い生理活性を有していた。
【0341】
【表25】 略称は、上記で用いたものと同様である(詳細については実施例14参照)。
グリコシル化は、上記で使用のものと同じ用語で表している(例えば表4.1参
照)。
【0342】 5部位グリコシル化レプチン蛋白の発現 表15.13に示したように、各種5部位グリコシル化蛋白の発現レベルは、
示した信号ペプチドを用いるとかなり低かった。一部のデータは測定しなかった
(「ND」)。
【0343】
【表26】 略称は、上記で用いたものと同様である(詳細については実施例14参照)。
グリコシル化は、上記で使用のものと同じ用語で表している(例えば表4.1参
照)。
【0344】 さらに、本発明のグリコシル化レプチン蛋白のウェスタンブロットは、発現条
件および組成物における相違がグリコシル化効率の差となることも示している。
図11から、少なくとも5部位までグリコシル化部位数を増やすことで、CHO
細胞で発現した場合にレプチン蛋白上で認められるグリコシル化量が増えること
が明らかである。サンプルは以下の通りである。
【0345】 列0:「モック(MOCK)」はレプチンを含まない細胞培養上清である。
【0346】 列1:「ESP(W.T.)」、エリトロポイエチン信号ペプチドを用いて発
現されるrHu−レプチン1〜146(配列番号1)。
【0347】 列2:「ESP(N48)」、示した単一部位グリコシル化レプチン蛋白(上
記で説明したもの)を用いた上記と同じもの。
【0348】 列3:「ESP(N47+N69)」、示した2部位グリコシル化レプチン蛋
白(上記で説明したもの)を用いた上記と同じもの。
【0349】 列4:「ESP(N47+N69+N102)」、示した3部位グリコシル化
レプチン蛋白(上記で説明したもの)を用いた上記と同じもの。
【0350】 列5:「Tpa(SNS)N2+N46+N69+N92」は、SNSの酵素
開裂部位を有するヒトtPA信号ペプチドを用いて発現した、上記のような4部
位グリコシル化レプチン蛋白を示す(配列データについては実施例14参照)。
【0351】 列6:「TpaN2+N23+N47+N69+N92」は、天然ヒトtPA
信号ペプチドを用いて発現した、上記のような5部位グリコシル化レプチン蛋白
を示す(配列データについては実施例14参照)。
【0352】 これからわかるように、グリコシル化部位が多くなると分子量が大きくなる(
列1〜列6を比較)。これは、それらの部位が炭化水素を付加しており、レプチ
ンには同時に5個までの鎖を付加させることが可能であることを示している。
【0353】 N−末端アミノ酸/ペプチド 以下の表15.14には、各種信号ペプチドに関する各種置換酵素開裂部位の
使用に付随する対象のグリコシル化レプチン蛋白の異なるN−末端アミノ酸の比
較を示してある。
【0354】
【表27】
【0355】 表からわかるように、正確なN−末端アミノ酸の収率が最も高い最も高度にグ
リコシル化されたレプチンは、信号ペプチドtPA(SNS)を用いて得られた
。レプチン(SNS)も高度にグリコシル化され、N−末端アミノ酸としてセリ
ンを有するレプチンを与えた(例:配列番号1の変更アミノ酸配列を有するグリ
コシル化レプチンにおける配列番号1の−1位のセリン)。
【0356】 参考例 以下の参考例は、上記実施例で用いた方法を提供するものである。
【0357】 DNA、ベクターおよび宿主細胞の製造 1.ヒトレプチン(1〜146)発現ベクターの構築 これらの方法によって、哺乳動物細胞でのrHu−レプチン1〜146(配列
番号1)の発現ベクターが得られる。信号ペプチドを含むrHu−レプチン1〜
146をコードするDNAも、本発明のグリコシル化レプチン蛋白製造のための
鋳型として用いた。
【0358】 rHu−レプチンアミノ酸1〜146をコードするDNAとツァンの報告(Zh
ang et al., Nature 372: 425-432 (1994), p.430)の図6(引用によって本明
細書にその全体が含まれる)にあるような信号配列を、ポリメラーゼ連鎖反応(
PCR)によってヒト脂肪cDNAからクローニングした。クローニングした信
号配列は、以下のアミノ酸配列をコードしていた。 MHWGTLCGFL WLWPYLFYVQ A
【0359】 プライマー 5’(順)フランキングプライマーは、rHu−レプチン信号ペプチドのアミ
ノ末端、XbaI制限酵素部位および至適化コザック配列(TCT ATC TAG ACC AC
C ATG CAT TGG GGA ACC CTG T)をコードしたものであった。3’(逆)フラン
キングプライマー配列(GAG AGT CGA CTA TCA GCA CCC AGG GCT GA)は、rHu
−レプチン(1〜146)および終止コドンのC末端の相補体ならびにSalI
制限部位を有していた。
【0360】 ベクターの製造 PCR増幅産生物をXbaIおよびSalI制限酵素で消化させ、アガロース
ゲルで電気泳動させ、プロメガ(Promega;登録商標)ウィザード(Wizard;登
録商標)キット法(Promega(登録商標) Corporation, Madison, WI)を用いて
ゲルから単離した。精製した産生物をWO 90/14363 1990(例え
ば図12;引用によってその全体が本明細書に含まれる)に記載のものからわず
かに変更させたXbaIおよびSalI切断pDSRα2発現ベクターに連結さ
せた。ここで用いたpDSRα2は同じ機能要素を維持したが、WO90/14
363に記載のものとはわずかに変わっていた。HindIII部位での配列を
AAGCTTCTAGAに変更してXbaI部位を得て、NcoI部位の配列をGTCGACCTAGG
に変更してSalI部位を得たが、それら2つの部位間で十分なDNA配列(「
スタッファー(stuffer)DNA」)を持たせることで、XbaIとSalIの
両方による有効な切断によって、本発明のレプチン蛋白発現構築物の指向性クロ
ーニングのための切断プラスミドを得ることができるようにした。得られたpD
SRα2/レプチンプラスミドを下記の哺乳動物細胞発現に、さらにはin vitro
部位指向的突然変異誘発のための鋳型として用いた。
【0361】 2.部位指向的突然変異誘発によるレプチンへのグリコシル化部位の構築 ホーらの報告(Ho et al., Gene Vol.77, pp. 51-59 (1989)に記載のものと同
様の重複延長PCR法を用いる部位指向的突然変異誘発によって、rHu−レプ
チン1〜146(配列番号1、上記)にグリコシル化部位を導入した。上記の方
法に従って製造したpDSRa2レプチンプラスミドを、部位指向的突然変異誘
発の初期段階におけるPCR鋳型として利用した。
【0362】 PCR PCR法は下記の連続する2段階で行った。
【0363】 段階1:5’(順)フランキングrHu−レプチンプライマー、逆突然変異原
性プライマー、順突然変異原性プライマー(少なくとも部分的に逆突然変異原性
プライマーに対して補完的)および3’(逆)フランキングrHu−レプチンプ
ライマーという計4種類のオリゴヌクレオチドを用いて、レプチン鋳型DNAで
2種類の反応(PCR1およびPCR2)を行った。突然変異原性プライマーに
は、所望のヌクレオチド変化とその変化の各側で鋳型と正確に一致する6〜20
ヌクレオチドを有していた。PCR1では、5’(順)フランキングプライマー
および逆突然変異原性プライマーを用いた。PCR2では、3’(逆)フランキ
ングプライマーおよび順突然変異原性プライマーを用いた。PCR1およびPC
R2のDNA産生物には、突然変異およびその突然変異の両側に重複配列があっ
た。増幅DNA断片をアガロースゲル電気泳動によって分離した。正確な大きさ
のDNA断片を含むアガロース小片をゲルから切り離した。
【0364】 段階2:PCR1およびPCR2からのDNAを合わせ、5’順および3’逆
フランキングプライマーのみを用いて第3のPCR反応を行った。PCR1およ
びPCR2産生物の適切な鎖の補完的3’−末端領域のアニーリングとそれに続
く鎖延長によって、全長レプチンDNA断片が形成された。そこで、所望の突然
変異を含む全長DNA部分を増幅した。
【0365】 COSおよびCHO細胞での発現のためのPCR ヒト胎児腎臓細胞系293(American Type Culture Collectionから市販のも
のなど)での発現に関しては、5’(順)プライマーに、レプチン信号ペプチド
コード領域(5’-TCTGGTACCTAGACCACCATGCATTGGGGAACCCTGT-3’)の前に終止コド
ン、KpnI部位およびコザック配列(ACCACC)を導入した配列を有していた。
3’(逆)プライマー(5’-GAAGCGGCCGCCTATCAGCACCCAGGGCTGA-3’)は、グリ
コシル化レプチン蛋白コード領域の末端に2個の終止コドン(TGA TAG)および
NotI制限部位を導入した配列を有していた。COS細胞およびCHO細胞発
現に関しては、3’(逆)プライマーは、終止コドンとそれに続くSalI制限
部位(GAGAGTCGACTATCAGCACCCAGGGCTGA)を導入した配列を有していた。5’順
反応プライマー(TCTATCTAGACCACCATGCATTGGGGAACCCTGT)は、レプチン開始コド
ン(ATG)の上流にXbaI制限部位とそれに続くコザック配列を有していた。
【0366】 PCR法 下記の2種類の手順のいずれを互換的に用いて、ポリメラーゼ連鎖反応を行っ
た。
【0367】 293発現用の構築の一部で使用される一方の方法では、チェンら(Cheng et
al., PNAS 91: 5695 (1994)(引用によって全体が本明細書に含まれる)から採
用したプロトコール、すなわち順および逆プライマーそれぞれ(5pm/μL)
4μL、鋳型1μL(50ng)、5倍LP緩衝液(100mM Tricin
e、pH8.7/25%グリセリン/425mMKOAc)10μL、dNTP
原液(それぞれ1mMのdATP、dTTP、dCTP、dGTP)2μL、r
tThポリメラーゼ(Perkin Elmer (登録商標);2.5U/μL)0.8μ
Lおよびベント(Vent)ポリメラーゼ(NEB;1倍LP緩衝液中1:100新鮮
希釈した後に0.01U/μL)を用いてPCRを実施した。HOを加えて最
終容量を50μLとした。全ての成分を示した順序で混合し、10mM MgO
Ac1μLを加えることで最初のサイクル時の温度が60℃を超えた時点でPC
Rを開始した。反応条件は、94℃10秒間/45℃1分間/68℃5分間を2
サイクルと、それに続いて94℃で10秒間/55℃で1分間/68℃で5分間
を25サイクルとした。増幅断片をアガロースゲル電気泳動によって分離し、引
用によって本明細書に含まれる製造業者(Bio 101, Inc.)提供のジーンクリー
ン(Geneclean(商標))キットおよび手順を用いて精製した。精製DNAをN
otIとKpnIで消化させ、それをジーンクリーン(商標)キットを用いて再
度精製した。消化条件は、「M」緩衝液中20単位KpnI(最終容量22μL
)(Boehringer Mannheim)とそれに続く「H」緩衝液3μL、最終容量52μ
L中20単位のNotIの添加とした。次に、断片をKpnIおよびNotIで
切断したプラスミドpBCBに連結した。プラスミドpBCBは、f1起源、S
V40起源、ネオマイシン耐性遺伝子およびSV40ポリアデニル化部位を有す
るpRC/CMVの領域の欠失により、pRC/CMV(Invitrogen(登録商標
)、Carlsbad, Callifornia)から誘導した。連結DNAは、キャリアtRNA
存在下に0.3M NaOAc(pH5.2)中2倍容量のエタノールを用いて
沈殿させ、大腸菌にトランスフォームした。グリコシル化レプチン蛋白DNAを
最初にコロニーPCRによってスクリーニングして、正確な大きさおよび種類の
DNA挿入物を含むクローンを確認した。その手順を用いて、プラスミドを含む
細胞を、レプチン順および逆プライマー存在下にPCR管に入れた。次に混合物
について、上記の反応条件を用いたPCRを行った。次に、陽性クローンからの
プラスミドを製造し、グリコシル化レプチン蛋白挿入物を配列決定して、所望の
グリコシル化部位の存在を確認し、それ以外のアミノ酸変化が導入されていない
ことを確認した。
【0368】 構築物の残りの部分では、わずかに異なるPCR戦略を用いた。PCRはTa
qDNAポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)を用いて、または好ましくは、
Taqポリメラーゼとは異なり延長鎖の3’末端に追加の鋳型形成されていない
ヌクレオチドを加える傾向のない校正DNAポリメラーゼPfuポリメラーゼ(
Stratagene)を用いて行った。TaqポリメラーゼPCRでは、DNA鋳型を1
0倍TaqPCR緩衝液2.5μL、1mM dNTPs2.5μL、各プライ
マー5pmolおよび水と最終容量25μLで合わせた。PCR混合物が94℃
に達した後、Taqポリメラーゼ0.5単位を加えた。次に、94℃で30秒間
、60℃で30秒間、72℃で30秒間で25サイクルにわたってPCR反応を
行った。PfuポリメラーゼPCRでは、最終容量50μLで10倍Pfu緩衝
液(Stratagene)5μL、1mM dNTPs5μL、各プライマー10pmo
lおよび水と混合し、Pfuポリメラーゼ1.2Uを加えた。アニーリング温度
48℃でのPCR4サイクルを行い、次にアニーリング温度66℃で20サイク
ルを行った。各サイクルにおいて、94℃で30秒間の変性を行い、30秒間ア
ニーリングを行い、74℃で30秒間延長を行った。前述の第1段階の2つのP
CR反応後、正確な大きさの生成物帯域を、電気泳動後にアガロースゲルから取
り、PCR1およびPCR2の産生物を含むゲルスライスを、PCRの第2段階
用のPCR管に直接加えるか、あるいは最初に水300μLの入った管で混合し
てから煮沸して、アガロースを融解させてからPCR管に加えた。順および逆フ
ランキングプライマーを用いて、前述の方法に従ってTaqまたはPfuポリメ
ラーゼによるPCRを実施した。PCRの最終サイクル後、管を延長温度でさら
に5分間インキュベートさせた。各類縁体について得られたPCR産生物を、プ
ロメガ(登録商標)ウィザード(登録商標)PCRクリーンアップキットを用い
てクリーニングした。精製DNAを、37℃で1時間にわたり、XbaIおよび
SalI制限酵素(Boehringer Mannheim)を用いて50μL制限消化物で消化
した。消化物をプロメガ(登録商標)ウィザード(登録商標)PCRクリーンア
ップキットによってクリーニングした。次に消化断片を、XbaIおよびSal
I消化pDSRa2ベクターに連結した。pDSRa2レプチン類縁体プラスミ
ドを含む連結反応液のうちの1μLを用いて、エレクトロポレーションによるD
H10細胞のトランスフォーメーションを行った。各類縁体について1個のコロ
ニーを液体培地で終夜成長させ、キアゲン(Qiagen(登録商標)マキシ(Maxi)
DNA(登録商標)プラスミド単離キットを用いて単離した。各pDSRa2ヒ
トレプチン類縁体についてのDNAを水に再懸濁させ、配列決定して、正確な配
列が存在するこを確認した。
【0369】 複数グリコシル化部位 同じPCR法を用い、すでに変化を有するDNAに新たな置換を導入すること
によって2以上のグリコシル化部位突然変異を組み合わせた。2グリコシル化部
位レプチン類縁体遺伝子を構築するため、単一部位グリコシル化レプチンプラス
ミド(上記の方法に従って製造)をPCR鋳型として用い、適切なプライマーを
用いた部位指向的突然変異誘発によって別のグリコシル化部位を導入した。同様
に、3個のグリコシル化部位を有するレプチン類縁体をコードするプラスミドを
、鋳型として2N−グリコシル化部位レプチンDNAを用いて構築し、その方法
を反復して、さらなるグリコシル化部位を導入することができた。別法として、
PCR1およびPCR2で異なるグリコシル化部位を有する2種類の異なるDN
A鋳型を用いることで、グリコシル化部位突然変異の新たな組合せを製造するこ
とができる。例えば、2位、47位、69位および102位にグリコシル化部位
を有する類縁体をコードしたDNAは、PCR1で2位にグリコシル化部位を有
するDNA鋳型とPCR2で69位および102位にグリコシル化部位を有する
DNAを用いることで、47位グリコシル化のための突然変異原性プライマー対
によって製造することができる。
【0370】 これらの一般的手順を用いて、上記実施例で示したグリコシル化レプチン蛋白
の発現のためのプラスミドを構築した。各形についてのDNA配列変化を示す。
【0371】 キメラ信号ペプチド 部位指向的突然変異誘発で用いたものと同様の遺伝子スプライシング(Horton
et al., Gene 77: 61-68 (1989))のための重複延長PCR法によって、レプチ
ンまたは非レプチン信号ペプチドを有するレプチン類縁体の発現のための構築物
を製造した。予備段階で、外因性遺伝子(例えば、組織プラスミノーゲン活性化
剤(TRA))の信号ペプチドをコードするDNAを、クローニング法あるいは
化学的および酵素的遺伝子合成の組合せによって得た。このDNAをPCRでの
鋳型として用いて、前にコンセンサスコザック配列を有し、直後に成熟rHu−
レプチン(またはレプチン類縁体)のコード領域の第1の部分を有する外因性信
号ペプチドをコードするDNA断片を得た。このPCR反応で用いたプライマー
は、外因性遺伝子の5’(順)フランキングプライマーおよび5’部分(10〜
25ヌクレオチド)が成熟レプチン(またはレプチン類縁体)のアミノ末端部分
をコードする配列に対して補完的な逆プライマーであった。レプチン3’(逆)
フランキングプライマーならびに外因性信号ペプチドおよび成熟レプチン(また
はレプチン類縁体)配列の接合部領域をコードする順プライマーを用い、レプチ
ンまたはレプチン類縁体DNAを鋳型として、第2のPCR反応を行った。この
反応の順プライマーは、通常は15〜35ヌクレオチドにわたり、第1のPCR
によって生じたDNAに重複するよう設計されたものである。これら2種類のP
CR反応の生成物を前述の方法に従ってゲル精製し、混合し、アニーリングし、
外因性5’(順)フランキングプライマーおよび3’(逆)フランキングレプチ
ンプライマーのみを用いたPCRで増幅した。
【0372】 宿主細胞 1.293細胞でのグリコシル化レプチン蛋白の発現 リポフェクタミン(lipofectamine)法を用いて、ヒト胎児腎臓細胞系「29
3」(American Type Culture Collectionから市販されているものなど)にDN
Aをトランスフェクションした。293細胞を、293培地(DMEM(Difco
(登録商標))/20mM HEPES/1倍ペニシリン−ストレプトマイシン
−グルタミン/20%FBS)中、組織培養プレート(P100)で40〜70
集密度まで成長させた。DMEM 1mL中グリコシル化レプチン蛋白をコード
するプラスミドDNA20μgを、0.45μmアクロディスク(Acrodisc(登
録商標))膜(Gelman Sciences)でフィルター滅菌した。リポフェクタミン(G
ibco(登録商標)/BRL(登録商標))100μLを加え、DNA−リポフェク
タミン混合物を室温で20分間インキュベートした。293細胞を含むプレート
から培地を除去し、DMEMおよびDNA/リポフェクタミン溶液4mLを加え
た。37℃で4〜6時間後、20%ウシ胎仔血清を含むDMEM5mLを加え、
培養物を終夜インキュベートした。翌日、細胞を293培地で洗浄し、新鮮な2
93培地5mLを加えた。コンディショニングした培地を3日後に回収し、小分
けし、−70℃で保存した。
【0373】 2.COS細胞でのグリコシル化レプチン蛋白の発現 グリコシル化レプチン蛋白のcDNAクローンを、エレクトロポレーションに
よってCOS−1細胞(ATCC番号CRL−1650)にトランスフェクショ
ンした。半集密シャーレからCOS−1細胞を回収し、培地(10%ウシ胎仔血
清および1%L−グルタミン/ペニシリン/ストレプトマイシン(Irvine Scien
tific)を含むDMEM)で洗浄し、細胞6×10個/mLで再懸濁した。細
胞1/2mLを0.2cmエレクトロポレーションキュベット(Bio-Rad(登録
商標))に移し入れ、グリコシル化レプチン蛋白をコードするプラスミドDNA
25μgで設定した低電圧で650μFおよび130ボルトにて、BTXエレク
トロポレーションシステム・エレクトロセル・マニピュレータ(Electrocell Ma
nipulator)600(登録商標)を用いてエレクトロポレーションした。エレク
トロポレーションした細胞を、培地7mL中100mM組織培養シャーレで平板
培養した。コンディショニングした培地をエレクトロポレーションから3日後に
回収し、0.45μmアクロディスク(登録商標)膜(Gelman Sciences)を用
いて濾過し、−80℃で保存した。
【0374】 3.CHO細胞でのグリコシル化レプチン蛋白の発現 上記の特定のグリコシル化レプチン蛋白DNAを有するpDSRα2でジヒド
ロ葉酸レダクターゼ欠乏(DHFR)チャイニーズハムスター卵巣(CHO)
細胞のトランスフォーメーションとそれに続く個々のクローンの単離および試験
によって、rHu−レプチン1〜146またはグリコシル化レプチン蛋白の安定
な発現を行った。60mm組織培養シャーレで、トランスフェクションの前日に
、CHO D培地(DMEM−高グルコース、10%ウシ胎児血清、1%ペニ
シリン/ストレプトマイシン/グルタミン、1%可欠アミノ酸(Gibco(登録商
標))および1%HT補助剤)中で成長させた1×10個のCHO DHFR 細胞を平板培養した。そうして、DNA沈殿物10μgが形成され、それを哺
乳動物トランスフェクションキット説明書(Specialty Media、引用によって本
明細書に含まれる)に従って平板に滴下した。組織培養インキュベータで24時
間後、培地を新鮮なCHO D培地と交換した。24時間後、CHO選択培地
(D−MEM高グルコース、10%透析ウシ胎仔血清、1%ペニシリン/ストレ
プトマイシン/グルタミン、1%可欠アミノ酸(Gibco(登録商標))を用いて
6枚の100mm培養シャーレに分けた。コロニーが認められるまで培地を週1
回交換した。10〜14日後、1倍トリプシン−EDTA(Life Technologies
(登録商標))に浸漬した5mmクローニングディスク(Labcore(登録商標)
)を用いて取り、CHO選択培地の入った24ウェル組織培養プレートで培養し
た。1〜2週間後、下記のレプチンEIAアッセイを用いて、グリコシル化レプ
チン蛋白発現を測定した。最も良好な発現クローン(すなわち、EIAを用いて
最も強力な応答を示したもの)を拡大し(expand)、極低温保存装置で冷凍した
【0375】 一部の環境では、より迅速なプロトコールを用いて、CHO細胞での類縁体の
発現を行った。その場合、エレクトロポレーションを用いて細胞のトランスフェ
クションを行い、個々のクローンは単離しなかった。エレクトロポレーション実
験では、上記のグリコシル化レプチン蛋白挿入物を有するpDSRα2 200
μgならびにニシン***キャリアDNA200μgを用いた。DNAはフェノー
ル−クロロホルム抽出し、エタノール沈殿してから、CHO D培地で成長さ
せた2×10個のDHFR−チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞とと
もに、1倍HEBS 800μLに再懸濁させた。細胞とDNAを室温で10分
間インキュベートした。0.4cmエレクトロポレーションキュベットでBIO
RADジーンパルサー(Gene Pulser;商標)を用いて、290ボルトおよび
960μファラッドでエレクトロポレーションを実施した。次に、細胞を室温で
10分間インキュベートし、CHO D−培地で10分間洗浄し、遠心装置(Da
mon(登録商標)/IEC Division IEC HN-SII Centrifuge)で1000rpmにて
10分間遠心し、CHO D−培地20mLに再懸濁させ、2枚の10cmシャ
ーレに加えた。細胞を37℃で2日間成長させ、CHO選択培地に1:4で分け
、約70%集密度まで成長させた。次に、細胞を選択培地と6nMメトトレキセ
ートに1:2に分け、クローンが肉眼観察されるまで(約2週間)37℃で成長
させた。4以上のコロニーを含むプレートから蓄積液を得て、集密となるまで(
約1週間)6nMメトトレキセートを含む選択培地中で成長させた。次に、蓄積
液を極低温保存装置で冷凍させた。
【0376】 N48T50レプチン(単一グリコシル化部位レプチン蛋白)の発現および精 上記のN48T50レプチンを発現するDNAを用いてCHO細胞をトランス
フェクションした。細胞を、成長培地(DMEM/F1(1:1)、365mg
/L L−グルタミン、1倍MEM可欠アミノ酸、5%FBS中、撹拌培養で拡
大した。呼吸可能なキャップを取り付けたローラー瓶に、成長培地400mL中
2e7個の細胞/瓶を接種し、空気中10%COを10秒間吹き込んだ。5日
後、血清を含まない製造培地(400mL/瓶、DMEM/F12(1:1)、
36mg/L(1倍)L−グルタミン、1倍MEM可欠アミノ酸、10μMCu
SO、1.5g/Lの追加のグルコース)に瓶を移した。3連続回収物からの
血清を含まないコンディショニングした培地を回収し(180リットル)、0.
45μmフィルターで濾過し、約30倍濃縮し、10000分子量カットオフ膜
を用いるタンジェント流限外濾過システム(Amicon(登録商標))を用いて、1
mM CHAPS、10mM Tris(pH7.5)中にダイアフィルトレー
ションした。ダイアフィルトレーションした培地は−20℃で保存した。
【0377】 以下の段階を2〜8℃で行った。10mM Tris(pH7.9)で平衡と
したQ−セファロースファストフロー(Fast Flow)カラム(Pharmacia(登録商
標)、8cm×14cm)にDFMを負荷し、約2倍カラム容量の10mM T
risで洗浄して、全ての非結合化学種を溶出した。カラムに結合した状態で残
っているN48T50レプチンを、10mM Tris(pH7.9)から20
0mM NaCl、10mM Tris(pH7.9)への勾配で12倍カラム
容量によって溶離して、分画に回収した。ウェスタンブロット分析によって測定
された完全にグリコシル化されたN48T50レプチンを含む分画を合わせ、1
倍容量の水で希釈して塩化ナトリウム濃度を低下させた。次にサンプルを、10
mM Tris(pH7.9)で平衡状態としたバイオゲル(Bio-Gel;登録商
標)HTカラム(Bio-Rad(登録商標)、10cm×7cm)に負荷し、約4倍
カラム容量の10mM Tris(pH7.9)で洗浄した。非結合化学種の分
画を回収し、ウェスタンブロット分析によって測定したN48T50レプチンを
含む分画を合わせた。
【0378】 1/3容量の3M(NHSO、10mM Tris(pH7.9)を
、バイオゲル(登録商標)HTカラムからのN48T50レプチン蓄積液に加え
た。この段階で1M (NHSO中の蓄積液を、1M (NH
、10mM Tris(pH7.9)で平衡状態としたソース(Source)1
5PHEカラム(Pharmacia(登録商標)、10cm×1.6cm)に負荷し、
約2倍カラム容量の1M (NHSO、10mM Tris(pH7.
9)で洗浄した。カラムに結合して残っているF3を、1M (NHSO 、10mM Tris(pH7.9)から10mM Tris(pH7.9)
への勾配で40倍カラム容量によって溶離することで分画を得た。SDS−PA
GE分析で測定したF3を含む分画を合わせた。
【0379】 固体硫酸アンモニウムを、ソース15PHEカラムからのN48T50レプチ
ン蓄積液に加えて、最終濃度を約2.5Mとし、終夜インキュベートした。終夜
沈殿物を遠心によって回収した。
【0380】 回収した硫酸アンモニウム沈殿物を水に再度溶解させ、酢酸でpH4.5まで
滴定し、10mM NaCHCOOH(pH4.5)で平衡状態としたソース
15Sカラム(Pharmacia(登録商標)、5.5cm×1.6cm)に負荷し、
約2倍カラム容量の10mM NaCHCOOH(pH4.5)で洗浄した。
カラムに結合した状態で残っているN48T50レプチンを、50mM NaC
l、10mM NaCHCOOH(pH4.5)から150mM NaClへ
の勾配での72倍カラム容量による溶離を行って、分画を回収した。SDS−P
AGE分析によって測定されたN48T50レプチンを合わせ、pH7.5まで
滴定した。
【0381】 ソース15SカラムからのN48T50レプチン蓄積液を濃縮して約1mg/
mLとし、ダルベッコのPBS(Gibco(登録商標))にダイアフィルトレーシ
ョンし、10000分子量カットオフ膜(Filtron(登録商標))を有する撹拌
細胞限外濾過システム(Amicon(登録商標))を用いて約5mg/mLまで濃縮
した。遠心限外濾過(Centricon 10、Amicon(登録商標))を用いて、N48T
50レプチンをさらに10mg/mLまで濃縮した。濃縮N48T50レプチン
を濾過し(0.22μm)、2〜8℃で保存した。
【0382】 II.分析方法 本願においては、以下の分析方法を用いて、本発明のグリコシル化レプチン蛋
白の特性決定を行った。
【0383】 A.in vitroアッセイ 1.受容体結合アッセイ 本アッセイでは、膜結合レプチン受容体を標的として用いて、放射能標識試験
グリコシル化レプチン類による結合量を測定した。
【0384】 チャイニーズハムスター卵巣(「CHO」)細胞を、ヒトレプチン受容体DN
A(短縮型;Tartaglia et al., Cell 83: 1271以降(1995)(引用によって全体
が本明細書に含まれる);その論文全体が引用によって本明細書に含まれる)を
用いたトランスフェクションによって操作して、ヒトレプチン受容体を安定に発
現させた。レプチン受容体発現細胞を成長させ、低速遠心によって回収した。ペ
レット化した細胞(約50mg湿重量)を0.32Mショ糖/25mM HEP
ESに再懸濁させ、グラスコル(Glas-col(登録商標))モーターを用いてガラ
ス性ホモジナイズ管中で均質化した。細胞膜を遠心(48000×g)、ポリト
ロンホモジナイザー(Tissue Tearor(登録商標))を用いた分散および冷結合
緩衝液(MEM、Gibco BRL(登録商標)/25mM HEPES、Gibco BRL(
登録商標)/0.1%BSA/0.5mg/mLバシトラシン(Bacitracin(登
録商標))(Sigma(登録商標))/0.1mg/mL STI、Boehringer Ma
nnheim/0.1mg/mL AEBSF、Boehringer Mannheim)中での再懸濁
によって2回洗浄した。2回目の洗浄後、膜取得物を、冷結合緩衝液中で最終濃
度2〜3mg湿重量/mLにて再懸濁させた。
【0385】 12mm×75mm試験管中、室温で2〜3時間にわたり、膜溶液400μL
、2nM125I−レプチン(Amersham)50μLおよびサンプルもしくはレプ
チン標準(10−6M rHu−レプチン1〜146)をインキュベートするこ
とで競合結合を実施した。ガラス繊維フィルターでの濾過とブランデル(Brande
l)細胞回収装置を用いた冷PBSによる洗浄3回によって、結合125I−レ
プチンを未結合125I−レプチンから分離した。ガンマカウンターによって、
結合放射能を測定した。レプチン受容体についての各類縁体のアフィニティを、
各類縁体についての冷変位曲線(IC50)の中点値計算によって求めた。
【0386】 2.in vitro生理活性 本アッセイでは、レプチン受容体の細胞外領域、エリトロポイエチン受容体の
経膜および細胞内領域を有するキメラレプチン受容体を用いて、in vitroでの生
理活性を測定した。細胞外レプチン領域への結合による細胞内エリトロポイエチ
ン受容体領域の活性化を行うと細胞は、H−チミジン取り込みによって測定さ
れる増殖の生理活性を示した。
【0387】 インターロイキン−3(IL−3)依存性32D(クローン3)マウス骨髄始
原細胞(Greenberer et al., PNAS-USA 80: 2931 (1983);引用によって本明細
書に含まれる)を、10%ウシ胎仔血清および10ng/mLIL−3(Biosou
rce(登録商標))を補充したRPMI 1640(Gibco(登録商標))で成長
させた。キメラレプチン受容体−EPO受容体(OBR−EPOR)を標準的な
方法で構築し、モロニーマウス肉腫ウィルスの転写プロモーターを含む発現ベク
ターにサブクローニングして、ベクターOBR−EPOR/pLJを得た。キメ
ラ受容体は、ヒトレプチン受容体の細胞外領域(アミノ酸1〜839;Tartagli
a et al., Cell: 83: 1271 (1996)(引用によって全内容が本明細書に含まれる
))およびマウスエリトロポイエチン受容体の経膜および細胞内領域(アミノ酸
250〜507;D’Andrea et al., 57: 277 (1989)(引用によって全内容が本
明細書に含まれる))のコード領域を有していた。キメラ受容体を、エレクトロ
ポレーションによって32D細胞にトランスフェクションした。トランスフェク
ション細胞を最初にG418(750μg/mL)で選択した。次に、10%ウ
シ胎仔血清および25ng/mLHuレプチンを補充したRPMI1640(Gi
bco(登録商標))でレプチン応答細胞を選択して、32D−OBECA細胞を
得た。キメラ受容体でトランスフェクションされなかった32D細胞は、レプチ
ンに対して未反応のままであった。
【0388】 32D−OBECA細胞を、10%ウシ胎仔血清(Hyclone Laboratories(登
録商標))および1.0ng/mLの組換えマウスIL−3(Biosource(登録
商標))を含む1640RPMI培地(L−グルタミンを含有しない1倍液、Gi
bco(登録商標))で成長させて、約5.0E+05個/mLの密度とした。遠
心によって(約270×G)細胞を回収し、無菌1倍PBS(Gibco(登録商標
))で2回洗浄し、20%DMEM培地(DMEM+10%FBS)+80%ア
ッセイ培地(RPMI+2%FBS)+10ng/mLのパン(pan)特異低抗
TGFβ中和抗体からなる媒体に、1.0E+05個/mLまで再懸濁させた。
約0.1〜200ng/mLの範囲のアッセイ培地を用いて、延長12点rme
tHu−レプチン1〜146標準曲線を得た。試験サンプルをアッセイ培地で希
釈し、代表的には延長複数点曲線として、あるいは標準曲線の線形範囲内に入る
領域で試験を行った。各サンプル100μL容量を、96ウェル微量定量組織培
養プレートの適切なウェルに加えた。サンプルまたは標準とともに細胞を、5±
1%COおよび37±2℃高湿度インキュベーターで約48時間にわたり、ウ
ェル(100μL中)当たり細胞10000個で成長させた。次に、H−チミ
ジン(ウェル当たり0.5μCi、Dupont(登録商標))を加え、平板をさらに
18時間にわたってインキュベートし、そのDNAを細胞回収装置(Tomtek 96
Mach II(登録商標))を用いるプレプリントガラス繊維フィルターマット(Pha
rmacia(登録商標))で回収した。フィルターを電子レンジで乾燥し、シンチレ
ーション液(LKB(登録商標))の入ったLBK(登録商標)サンプル袋に入れ
、ベータプレート(Betaplate(登録商標))シンチレーションカウンター(LKB
(登録商標))でカウンティングした。細胞応答(平均CPMs−バックグラウ
ンドの形で)を、rHu−レプチン1〜146標準の重量(ng/ウェル)に対
してプロットした。rmetHu−レプチンまたはグリコシル化レプチンのサン
プルの生理活性を、標準曲線の回帰分析から求めた。定量した生理活性(ng/
mL)をレプチンELISAによって求めた濃度で割ることで、比活性を計算し
た。
【0389】 B.グリコシル化レプチン蛋白の特性決定 1.酵素イムノアッセイ(「EIA」) ポリクローナル抗体 抗rmetHu−レプチン1〜146(−1位にメチオニル残基を有する配列
番号1)ポリクローナル抗体を、スカシガイのヘモシアニン(KLH)に結合し
たrmetHu−レプチン1〜146の繰り返し皮下注射によって、ニュージー
ランドホワイトラビット(New Zealand white rabbit)で増やし、アジュバント
タイターマックス(Titermax(商標))またはフロイントの完全アジュバント(
初回注射)およびフロイントの不完全アジュバント(その後の注射)と混合した
。得られたウサギ血清についてrmetHu−レプチン1〜146との反応性を
調べ、最も高い力価を有するウサギからの血清を蓄積し、rmetHu−レプチ
ンに結合したアクチゲル−ALDスーパーフロー(Actigel-ALD Superflow(登
録商標))(Sterogene #2701-s-01)でアフィニティ精製した。精製したポリク
ローナル抗体の少量を、サンドイッチ酵素イミドアッセイ(EIA)またはウェ
スタンでの検出抗体として用いる西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP、Sigma
(登録商標)P−8415)に結合させた。
【0390】 モノクローナル抗体 KLH接合rmetHu−レプチン1〜146を複数回注射したロー(Lou)
ラットから抗rmetHu−レプチン1〜146モノクローナル抗体を形成し、
フロイントの完全アジュバント(初回注射)またはフロイントの不完全アジュバ
ント(以後の注射)と混合した。ラットの血清について、rmetHu−レプチ
ン1〜146との反応性を調べ、最も力価の高いものからの脾臓細胞を、標準的
なハイブリドーマ法によってラット骨髄腫系Y3Ag1.2.3に融合した。得
られたハイブリッド細胞を96ウェルプレートで平板培養し、コロニーを形成さ
せ、抗rmetHu−レプチン1〜146活性についての定量を行い、単一細胞
クローニングを行った。ラットハイブリドーマからのモノクローナル抗体を、レ
プチンサンドイッチEIAの1成分として用いた。
【0391】 サンドイッチアッセイ 微量定量プレート(96ウェル標準[Immulon(登録商標)]またはハーフウ
ェル[Costar(登録商標)])を、炭酸/重炭酸緩衝液(NaHCO0.02
9M、NaCO0.015M、pH9.6)中のポリクローナル(1.5μ
g/mL)またはモノクローナル(2.0μghmL)抗体それぞれ75μLま
たは30μLでコーティングした。プレートをブロックし(1%ウシ血清アルブ
ミン[BSA]、5%ショ糖)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中2%BSA
で適切に希釈したサンプルをウェルに2連で加えた。各微量定量プレートには、
90〜4580pg/mLの範囲を網羅するように、3連で一組のr−metH
u−レプチン標準またはグリコシル化レプチン標準も加えた。プレートを4℃で
18時間インキュベートし、吸引し、洗浄緩衝液(Tris 50mM、NaC
l 0.15M、EDTA 10mM、Tween(登録商標)20 0.05
%、pH7.35[TEN])で3回洗浄し、0.05%Tween(登録商標
)20を含むPBS中2%BSAで約70ng/mLでHRP−結合ポリクロー
ナル抗rmetHu−レプチン1〜146を加えた。プレートを室温で3時間イ
ンキュベートし、TENで5回洗浄し、製造業者の説明(Kirkegaard and Perry
#50-76-00, Gaithersburg, MD 20879)に従って、TMB基質(テトラメチルベ
ンジジン)で発色させた。微量プレート読取装置で450nmにて吸光度を測定
した。バックグラウンド色を引いた後に、各プレートについて作成した標準曲線
からレプチン濃度を計算した。アッセイ感度は約90pg/mLであり、各微量
プレートについて含めた対照から計算したアッセイ間およびアッセイ内変動はそ
れぞれ7.5%および5.4%であった。
【0392】 2.ウェスタンブロッティングによる炭水化物分析 概して、本発明のグリコシル化レプチン蛋白の分子量が大きいほど、グリコシ
ル化が進行していた。そこで、このウェスタンブロット型分析を用いて、発現グ
リコシル化レプチン蛋白上に存在する炭水化物量を求めた。
【0393】 上記の方法に従ってグリコシル化レプチン蛋白cDNAでトランスフェクショ
ンしたCOSまたはCHO細胞からのグリコシル化レプチン蛋白約400〜60
0pgを含む上清の規定容量を、SDS−PAGE3倍サンプル緩衝液(0.1
875M Tris−HCl pH6.8、6%SDS、30%グリセリン、1
5%2−メルカプトエタノール)と混合した。サンプルを14%アクリルアミド
Tris−グリシンSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Novex(登録商
標))によって分析し、0.45μmニトロセルロース膜(Novex(登録商標)
)に移した。ニトロセルロース膜を洗浄し、10%FBSおよび2%BSAを含
むTBST(Tris 20mM、NaCl 137mM、Tween(登録商
標)20 0.08%)でブロックし、上記で製造したHRP−結合ポリクロー
ナル抗rmetHu−レプチン1〜146(5%FBSおよび1%BSAを含む
TBST中140ng/mL)とともに3〜5時間インキュベートした。TBS
Tで5回、各5分間洗浄した後、製造者の説明に従って、ECL試薬(Amersham
(登録商標))で膜を現像した。膜を、10〜60秒間にわたってX−Omat
(登録商標)ARフィルム(Kodak(登録商標))に曝露し、標準X線フィルム
の場合同様に現像した。特異的蛋白帯域を視覚化し、分子量マーカーに対する位
置から大きさを推定した。大きさが大きいほど、蛋白に結合している炭水化物部
分が多い。
【0394】 N−グリカナーゼによる処理 N−グリカナーゼ処理は、N−連結炭水化物を除去することで、未グリコシル
化レプチンの場合と同等の移動性上昇をもたらすものである。グリコシル化レプ
チン蛋白をN−グリカナーゼで処理することで、未グリコシル化レプチンと同様
の分子量が得られた。それは、グリコシル化レプチン蛋白の大きさ上昇がN−連
結炭水化物によるものであることを確認するものである。
【0395】 方法 グリコシル化レプチン蛋白400pgを含むCOS細胞コンディショニング培
地を、0.5SDS 10μLと混合し、各サンプルを3分間煮沸した。次に、
0.5M NaPOpH8.6+7.5%ノニデット(nonidet)P40を2
50単位/mLN−グリカナーゼ(Genzyme(登録商標))とともに加えた。各
サンプルを37℃で終夜インキュベートし、SDS−PAGEサンプル緩衝液を
加えることで反応停止し、上記の方法に従ってSDS−PAGEウェスタン分析
を行った。得られた結果は、認められたSDS PAGEの移動性低下はN−連
結炭水化物の付加によるものであることを示している。多くのグリコシル化レプ
チン蛋白が確認されたことは、N−連結炭水化物付加を支持し得る箇所がレプチ
ンに複数あることを示している。類縁体を293細胞で発現した場合も同様の結
果が得られた。同様に、複数グリコシル化部位レプチン蛋白をN−グリカナーゼ
で処理した場合に、それの移動性も変化して未グリコシル化レプチンの移動性と
なり、移動性の差がN−連結炭化水素の存在によるものであることを示している
【0396】 以上、好ましい実施態様と考えられるものにおいて本発明を説明したが、本発
明はここで開示の実施態様に限定されるものではなく、逆に添付の特許請求の精
神および範囲に含まれる各種変更および均等物を含むものであって、その特許請
求の範囲は、そのような変更および均等物を全て包含するような最も広い解釈と
一致すべきものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各種用量の1部位グリコシル化レプチン(「グリコシル化CHOレプチン」)
および非グリコシル化rmetHu−レプチン1〜146(「レプチン」)を投
与した動物についての、緩衝液対照と比較した体重減少を示すグラフである。
【図2】 実施例5および6で詳細に説明されるウェスタンブロットを示す図である。
【図3】 実施例7で詳細に説明される、雄CD−1マウスにおいて1.0mg/kgの
rmetHu−レプチンまたは3部位グリコシル化レプチン蛋白を皮下投与した
後の血清レプチン濃度のグラフである。
【図4】 実施例7で詳細に説明される、雄CD−1マウスにおいて1.0mg/kgの
rmetHu−レプチンまたは3部位グリコシル化レプチン蛋白を静脈投与した
後の血清レプチン濃度のグラフである。
【図5】 実施例8で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白(「GE−レ
プチン」)投与時の体重減少のグラフである。
【図6】 実施例9で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白(「GE−レ
プチン」)投与時の飼料摂取のグラフである。
【図7】 実施例14で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白の発現およ
びグリコシル化に対する各種信号ペプチドの効果を示すウェスタンブロットであ
る。
【図8】 実施例14で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白のグリコシ
ル化に対する各種信号ペプチドならびに他のペプチドの効果を示すウェスタンブ
ロットである。
【図9】 実施例14で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白のグリコシ
ル化に対するペプチダーゼ開裂部位の効果を示すウェスタンブロットである。
【図10】 実施例14で詳細に説明される、3部位グリコシル化レプチン蛋白のグリコシ
ル化に対する各種信号ペプチドおよび他のペプチドの効果を示すウェスタンブロ
ットである。
【図11】 実施例15に記載のウェスタンブロットであって、少なくとも5部位までグリ
コシル化部位数を増加させることで、CHO細胞で発現する際にレプチン蛋白上
で認められるグリコシル化の量が上昇することを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/06 C07K 14/575 4H045 3/10 16/18 C07K 14/575 C12N 1/21 16/18 C12P 21/02 C C12N 1/21 21/08 5/10 C12R 1:91 C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA // C12P 21/08 5/00 B (C12N 1/21 A61K 37/24 C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:91) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 エリオツト,ステイーブン・ジー アメリカ合衆国、カリフオルニア・91320、 ニユーベリー・パーク、ゴールデン・クレ スト・アベニユー・1040 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA01 CA04 DA02 DA05 HA17 4B064 AG15 AG27 CA10 CA19 CC24 DA03 4B065 AA90 AB04 BA02 CA24 CA44 4C076 AA93 AA97 BB11 BB13 BB16 BB27 CC11 CC21 4C084 AA02 AA06 AA07 AA13 BA01 BA08 BA21 BA23 BA34 CA18 DC50 MA55 MA59 MA65 MA66 NA14 ZA701 ZA702 ZC331 ZC332 ZC351 ZC352 4H045 AA10 AA11 AA20 AA30 DA30 EA23 EA28 FA74

Claims (52)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号2の天然グリコシル化ヒトレプチン(rHu−レプ
    チン1〜145)のものより大きいストークス半径を有するグリコシル化レプチ
    ン蛋白。
  2. 【請求項2】 ゲル濾過によって測定して、30Å以上のストークス半径を
    有するグリコシル化レプチン蛋白。
  3. 【請求項3】 グリコシル化レプチン蛋白調製物であって、該製造物中の各
    グリコシル化レプチン蛋白分子が5以上のシアル酸部分を有するグリコシル化レ
    プチン蛋白調製物。
  4. 【請求項4】 前記調製物中の各グリコシル化レプチン蛋白分子が8〜20
    のシアル酸残基を有する請求項3に記載のグリコシル化レプチン蛋白調製物。
  5. 【請求項5】 1以上の別のグリコシル化部位を有するよう変更された配列
    番号1または2のヒトレプチンを含むグリコシル化レプチン蛋白。
  6. 【請求項6】 下記のもの(「T/S」はトレオニンまたはセリンを示す) (a)01V→N 02P→X(Xはプロリン以外のアミノ酸である) 03
    I→T/S (b)02P→N 03I 04Q→T/S (c)23D→N 24I 25S→T/S (d)47P→N 48I 49L→T/S (e)48I→N 49L 50T/S (f)69P→N 70S 71R→T/S (g)92F→N 93S 94K→T/S (h)101A→N 102S 103G→T/S (i)102S→N 103G 104L→T/S (j)103G→N 104L 105E→T/S から選択されるグリコシル化部位として1以上の配列変化を有する配列番号1
    を有するグリコシル化レプチン蛋白。
  7. 【請求項7】 (配列番号1の番号割り付けに関して)4、8、23、44
    、47、48、69、70、92、93、97、100、101、102、10
    3、118および141から選択される位置にグリコシル化部位を有する配列番
    号1のアミノ酸1〜146を有するグリコシル化レプチン蛋白。
  8. 【請求項8】 2つのグリコシル化部位を有し、その2つの部位が(配列番
    号1の番号割り付けに関して) 47+69、 48+69、 69+101、 69+102、 69+103、 69+118および 100+102 から選択されるものである配列番号1のアミノ酸1〜146を有するグリコシル
    化レプチン蛋白。
  9. 【請求項9】 3つのグリコシル化部位を有し、その3つの部位が(配列番
    号1の番号割り付けに関して) 2+47+69、 23+47+69、 47+69+100、 47+69+102、 48+69+118、 69+102+118および 69+103+118 から選択されるものである配列番号1のアミノ酸1〜146を有するグリコシル
    化レプチン蛋白。
  10. 【請求項10】 4つのグリコシル化部位を有し、その4つの部位が(配列
    番号1の番号割り付けに関して) 2+47+69+92、 2+47+69+102、 23+47+69+92、 23+47+69+102および 47+69+100+102 から選択されるものである配列番号1のアミノ酸1〜146を有するグリコシル
    化レプチン蛋白。
  11. 【請求項11】 5つのグリコシル化部位を有し、その5つの部位が(配列
    番号1の番号割り付けに関して) 2+23+47+69+92、 2+47+69+92+102、 23+47+69+92+102 から選択されるものである配列番号1のアミノ酸1〜146を有するグリコシル
    化レプチン蛋白。
  12. 【請求項12】 下記のアミノ酸配列(配列番号26)を有するグリコシル
    化レプチン2、47、69。 【化1】
  13. 【請求項13】 下記のアミノ酸配列(配列番号28)を有するグリコシル
    化レプチン2、47、69、92。 【化2】
  14. 【請求項14】 下記のアミノ酸配列(配列番号30)を有するグリコシル
    化レプチン2、47、69、102。 【化3】
  15. 【請求項15】 下記のアミノ酸配列(配列番号32)を有するグリコシル
    化レプチン47、69、102。 【化4】
  16. 【請求項16】 下記のアミノ酸配列(配列番号34)を有するグリコシル
    化レプチン2、47、69、92、102。 【化5】
  17. 【請求項17】 下記のアミノ酸配列(配列番号36)を有するグリコシル
    化レプチン47、69、92、102。 【化6】
  18. 【請求項18】 −1位がセリン、アルギニン、プロリンまたはアラニン残基、 −1位がセリンおよび−2位がプロリン、 −1、−2および−3位がセリン−プロリン−セリン配列、 −1位がセリンおよび−2位がアルギニン、 −1位がセリン、−2位がアルギニンおよび−3位がセリン、 −1位がアルギニンおよび−2位がセリン、ならびに −1位がアラニンおよび−2位がプロリン から選択されるN−末端残基配列を有する請求項1ないし6のいずれかに記載
    のグリコシル化レプチン蛋白。
  19. 【請求項19】 請求項1ないし6のいずれかに記載のグリコシル化レプチ
    ン蛋白をコードする核酸。
  20. 【請求項20】 下記の核酸配列(配列番号25)を有するグリコシル化レ
    プチン2、47、69をコードする核酸。 【化7】
  21. 【請求項21】 下記の核酸配列(配列番号27)を有するグリコシル化レ
    プチン2、47、69、92をコードする核酸。 【化8】
  22. 【請求項22】 下記の核酸配列(配列番号29)を有するグリコシル化レ
    プチン2、47、69、102をコードする核酸。 【化9】
  23. 【請求項23】 下記の核酸配列(配列番号31)を有するグリコシル化レ
    プチン47、69、102をコードする核酸。 【化10】
  24. 【請求項24】 下記の核酸配列(配列番号33)を有するグリコシル化レ
    プチン2、47、69、102をコードする核酸。 【化11】
  25. 【請求項25】 下記の核酸配列(配列番号35)を有するグリコシル化レ
    プチン47、69、92、102をコードする核酸。 【化12】
  26. 【請求項26】 請求項19ないし25のいずれかに記載のグリコシル化レ
    プチン蛋白をコードする核酸を含むベクター。
  27. 【請求項27】 発現ベクターである請求項26に記載のベクター。
  28. 【請求項28】 請求項1ないし6のいずれかに記載のグリコシル化レプチ
    ン蛋白をコードする核酸を含む宿主細胞。
  29. 【請求項29】 原核細胞および真核細胞から選択される請求項28に記載
    の宿主細胞。
  30. 【請求項30】 細菌細胞である請求項29に記載の原核宿主細胞。
  31. 【請求項31】 哺乳動物細胞、酵母細胞および昆虫細胞から選択される請
    求項29に記載の真核宿主細胞。
  32. 【請求項32】 ヒト細胞、サル細胞、BHK細胞およびCHO細胞から選
    択される請求項31に記載の哺乳動物宿主細胞。
  33. 【請求項33】 (a)発現に好適な条件下に前記グリコシル化レプチン蛋白をコードする核酸
    を含む細胞を培養する段階、ならびに (b)前記蛋白を得る段階を有してなる請求項1ないし6のいずれかに記載の
    蛋白の製造方法。
  34. 【請求項34】 非経口注射、静脈注射、皮下注射、硬膜内投与、経鼻投与
    、肺投与および浸透圧ポンプ投与用の医薬組成物であって、医薬的に許容される
    担体中に請求項1ないし18のいずれかに記載のグリコシル化蛋白を含む医薬組
    成物。
  35. 【請求項35】 肥満、糖尿病および高血中脂質含有量効果から選択される
    状態に関してヒトを治療する方法であって、 治療上有効量の請求項1ないし6のいずれかに記載のグリコシル化ヒトレプチ
    ンを投与する段階を有する方法。
  36. 【請求項36】 前記有効量の前記グリコシル化ヒトレプチンを遺伝子治療
    によって投与する請求項35に記載の方法。
  37. 【請求項37】 請求項1ないし6のいずれかに記載のグリコシル化レプチ
    ン蛋白に対して選択的である選択的結合分子。
  38. 【請求項38】 ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および組換え抗
    体から選択される請求項37に記載の選択的結合分子。
  39. 【請求項39】 グリコシル化レプチン蛋白の製造方法において、 (a)発現に好適な条件下に、5’から3’の方向で(i)信号ペプチドおよ
    び(ii)グリコシル化レプチン蛋白をコードするDNAをコードするDNA配
    列を有する宿主細胞を培養する段階、ならびに (b)前記グリコシル化レプチン蛋白を取得する段階 を有することを特徴とする方法。
  40. 【請求項40】 前記信号ペプチドが 【化13】 から選択される請求項39に記載の方法。
  41. 【請求項41】 前記信号ペプチドがエリトロポイエチン、因子VIII、
    β−インターフェロン、血清アルブミン、インシュリン、フォンウィルブラント
    因子、CD11α、IgG、フォリスタチン、固有因子、G−CSF、セルロプ
    ラスミンおよびLAMP−1から選択される請求項39に記載の方法。
  42. 【請求項42】 グリコシル化蛋白の改良された製造方法であって、 (a)発現およびグリコシル化に好適な条件下に、5’から3’の方向で(i
    )信号ペプチドおよび(ii)グリコシル化蛋白をコードするDNAをコードす
    るDNA配列を有する宿主細胞を培養する段階、ならびに (b)前記グリコシル化蛋白を取得する段階を有し、 前記改良が、グリコシル化効率について至適化されたペプチダーゼ開裂部位を
    有する信号ペプチドの使用を含む方法。
  43. 【請求項43】 前記ペプチダーゼ開裂部位がSPS、SP、SNSおよび
    SPAから選択される請求項42の改良された方法。
  44. 【請求項44】 前駆配列の使用が含まれていても良い請求項39または4
    2に記載の方法。
  45. 【請求項45】 非天然ペプチダーゼ開裂部位を有する信号ペプチドをコー
    ドする核酸。
  46. 【請求項46】 非天然ペプチダーゼ開裂部位を有する信号ペプチドをコー
    ドする核酸を含むベクター。
  47. 【請求項47】 発現ベクターである請求項46に記載のベクター。
  48. 【請求項48】 非天然ペプチダーゼ開裂部位を有する信号ペプチドをコー
    ドする核酸を含む宿主細胞。
  49. 【請求項49】 原核細胞および真核細胞から選択される請求項48に記載
    の宿主細胞。
  50. 【請求項50】 細菌細胞である請求項49の原核宿主細胞。
  51. 【請求項51】 哺乳動物細胞、酵母細胞および昆虫細胞から選択される請
    求項49に記載の真核宿主細胞。
  52. 【請求項52】 ヒト細胞、サル細胞、BHK細胞およびCHO細胞から選
    択される請求項51に記載の哺乳動物宿主細胞。
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