JP2002533400A - Hiv及び他のウイルス感染の治療及び予防 - Google Patents

Hiv及び他のウイルス感染の治療及び予防

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Abstract

(57)【要約】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体を被験者へ投与することを含む、被験者におけるウイルス感染の治療または予防のための方法を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 関連出願の相互参照 本出願は1998年1月29日に出願された米国特許出願第09/015,830号の一
部継続出願であり、1998年12月29日に出願された米国仮特許出願第60/1
14,540号の優先権を主張するものである。
【0002】 発明の背景 プロテアーゼ阻害剤との併用療法を含む、ヒト免疫不全ウイルス型(HIV)の
有望な治療法は、過去数年間で開発されてきた。しかし、後天性免疫不全症候群
(AIDS)の拡大は、限られた経済的資源を有する世界の地域に集中しているため
、このような治療に伴う費用は非常に高価なものである。米国においてはAIDSの
発生率と死亡率は減少しているが、世界中で毎日16,000人がHIVに感染している
と推定されている。いくつかのアフリカ諸国では、感染率は25%に達している。B
alter, M.、Science、1998、280:1863-1864参照。治療の成功は、患者の治療へ
の耐性の低さやHIVの抵抗性株の出現により、制限されている。従って、十分に
耐性があり、且つ比較的安価である効果的なHIV治療法の必要性が存在する。
【0003】 発明の概要 本発明は、N-グリコリルノイラミン酸及び関連する化合物が、ウイルス感染及
び他の病原体感染を予防または治療するために使用できるという知見に基づいて
いる。N-グリコリルノイラミン酸は多くの非ヒト哺乳動物で生産される複合ガラ
クトース分子である。N-グリコリルノイラミン酸は、HIV-1のヒト細胞における
複製及び/またはヒト細胞の感染を阻害できるヒヒの末梢血単球(PBMC)の抽出
物から同定された。N-グリコリルノイラミン酸は炭水化物であるため、毒性は最
小である。従って、本発明は安全で効果的なHIVの治療法を提供する。
【0004】 一つの局面において、本発明は、例えばウイルス感染を治療するためのN-グリ
コリルノイラミン酸のような、医薬品としてのN-グリコリルノイラミン酸、及び
ウイルス感染の治療のための薬物の製造におけるN-グリコリルノイラミン酸の使
用を特徴とする。
【0005】 本発明はまた、被験者におけるウイルス感染を予防または治療する方法を特徴
とする。本方法は、ウイルス感染を予防または治療するのに有効な量のN-グリコ
リルノイラミン酸、または例えばリン酸化N-グリコリルノイラミン酸もしくは硫
化N-グリコリルノイラミン酸のようなN-グリコリルノイラミン酸誘導体を被験者
に投与することを含む。N-グリコリルノイラミン酸は、合成または生物検体から
抽出することができる。ウイルス感染はHIV、C型肝炎ウイルスまたはヘルペスウ
イルスのようは被膜レトロウイルスからであることが可能である。N-グリコリル
ノイラミン酸またはその誘導体は、静脈内、皮下、経口、吸入または経皮的に投
与することができる。本方法は、ウイルス感染の有無について被験者を監視する
ことをさらに含むことができる。
【0006】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体の量は、投与あたり約1 mgから約
1000mg、投与あたり約10 mgから約100mg、または投与あたり約30 mgから約80mg
とすることができる。N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体は毎日投与で
きる。
【0007】 他の局面において、本発明は例えば癌などの、被験者における免疫媒介疾病の
治療方法を特徴とする。本方法は、患者において免疫媒介疾病を治療するのに有
効な量で患者にN-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体を投与することを含
む。
【0008】 本発明はまた、患者における病原体感染を予防または治療する方法を特徴とす
る。本方法は病原体感染を予防または治療するのに有効な量のN-グリコリルノイ
ラミン酸またはその誘導体を患者に投与することを含む。病原体感染は例えば、
細菌感染または寄生虫感染でありうる。病原体は、例えばインフルエンザまたは
マラリアであることができる。
【0009】 被験者への輸血を意図する血液産物を処理する方法もまた特徴とする。本方法
は、血液産物の輸血に関連する病原体への被験者の感染の危険性を軽減または除
去するのに有効な量のN-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体を該血液産物
に添加することを含む。
【0010】 また他の局面において本発明は、にウイルス感染の治療に有効な量の一次抗ウ
イルス剤及び二次抗ウイルス剤を被験者に投与することを含む、被験者における
ウイルス感染の治療方法を特徴とし、該一次抗ウイルス剤はN-グリコリルノイラ
ミン酸またはその誘導体である。二次抗ウイルス剤は、例えば、逆転写酵素阻害
剤またはプロテアーゼ阻害剤とすることができる。一次抗ウイルス剤及び二次抗
ウイルス剤は互いに結合させることが可能である。
【0011】 別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は
、本発明が属する技術分野の通常の技術者に一般的に理解されるものと同じ意味
を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等な方法及び材料を、本発
明を実施するために使用できるが、適した方法及び材料を以下に記載する。本明
細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その
全体が参照として組み込まれる。矛盾が生じる場合、定義を含む本明細書が支配
する。さらに、材料、方法、及び実施例は例示のみであり、限定を意図するもの
ではない。
【0012】 本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明ら
かにされると思われる。
【0013】 詳細な説明 本発明は、被験者へのN-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体の投与を含
む、被験者におけるウイルス感染を治療または予防する方法を提供する。N-グリ
コリルノイラミン酸(C11H19NO10、分子量325.3)は、ヒトにおいて最も重要な
シアル酸である、N-アセチルノイラミン酸(シアル酸)の水酸化誘導体である。
N-グリコリルノイラミン酸は、典型的に、ヒトでは検出可能でない。N-アセチル
ノイラミン酸をN-グリコリルノイラミン酸に変換する酵素である、CMP-N-アセチ
ルノイラミン酸ヒドロキシラーゼは、この酵素をコードする遺伝子がフレームシ
フト突然変異につながる92bp の欠失により不活性化されるため、ヒトにおいて
は検出できない。Irie及びSuzuki、Biochem. Biophys. Res. Commun.、1998、 2
48 (2): 330-333及びChouら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、 1998、 95 (20):
11751-11756参照。特定の機構に限定されることなく、非ヒト霊長類の細胞表面
上にN-グリコリルノイラミン酸が存在することにより、このような種のHIV感染
に対する免疫が提供される可能性がある。
【0014】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体はまた、患者に輸血される血液産
物を処理するためにも使用できる。例えば、被験者が輸血に伴って病原体に感染
する危険性を軽減または除去するために、ドナー血液バッグにN-グリコリルノイ
ラミン酸またはその誘導体を加えることができる。本明細書に記載の様に、N-グ
リコリルノイラミン酸は凝固活性、血液の安定性、または血球のパラメーターを
変化させない。
【0015】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体の調製 本明細書で使用されるように、「誘導体」とは、例えば米国特許第4,774,326
号及び米国特許第4,774,327号に記載された化合物のように、構造がN-グリコリ
ルノイラミン酸に類似している化合物を意味する。誘導体の他の非限定的な例と
して、リン酸化N-グリコリルノイラミン酸、硫化N-グリコリルノイラミン酸、N-
グリコリルノイラミン酸塩、O-グリコリルノイラミン酸、ならびに他の置換され
たN-グリコリルノイラミン酸化合物が含まれる。
【0016】 N-グリコリルノイラミン酸は例えば、シグマケミカル社(Sigma Chemical Com
pany、St. Louis、 MO)から購入できる。N-グリコリルノイラミン酸はまた、合
成することもできる。例えば、そのCMP-グリコシドとしてCMP-N-アセチルノイラ
ミン酸ヒドロキシラーゼを、N-グリコリルノイラミン酸を合成するために使用で
きる。Schlenzkaら、Glycobiology、 1994、 4 (5): 675-683参照。非酵素的合
成方法には、例えば、メタノールまたは塩酸及びベンジルアルコールを用いての
N-アセチルノイラミン酸からの合成が含まれる。他の合成方法はChoiら、J. Org . Chem .、 1996、61: 8/39(マンノサミンから)、Faillardら、J. Physiol. Ch em .、1965、 344: 167(グルコサミンから)、米国特許第4,774,326号及び米国
特許第4,774,327号に記載されている。
【0017】 または、N-グリコリルノイラミン酸は非ヒト哺乳類(例えばブタまたはヒヒ)
からの生物検体から精製することもできる。特に、N-グリコリルノイラミン酸は
ブタ顎下腺またはヒヒPBMCから精製できる。一般的に、例えばフィコールハイパ
ック密度勾配遠心を用いて、全血からPBMCを単離できる。細胞は例えば滅菌水、
または蒸留水のような低張溶液内で溶解させることができる。例えばリン酸緩衝
生理食塩水(pH7.4)中に10%v/vの塩酸カルシウム及び塩酸カリウムを含む安定
化溶液を用いて、沈澱により溶解細胞からタンパク質及び核酸を除去する。遠心
による沈澱の除去後、0.22μmのフィルターを通して上清を濾過し精製して、滅
菌することができる。この精製の方法は、抽出物から実質的にすべての高分子を
除去し、N-グリコリルノイラミン酸及び他の低分子量の成分を残す。この精製段
階での抽出物は抗ウイルス活性を有する可能性がある。
【0018】 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)のようなさらなる精製方法も、抽出物か
らN-グリコリルノイラミン酸を単離するために用いることができる。例えば、HP
LCは水中0.1%テトラフルオロ酢酸(TFA)の移動相を有するC18カラムを用いて、
0〜100%アセトニトリル(ACN)の勾配で行うことができる。
【0019】治療方法 本発明の方法はウイルス感染の予防または治療に有効な量のN-グリコリルノイ
ラミン酸またはその誘導体を被験者に投与することを含む。N-グリコリルノイラ
ミン酸またはその誘導体は、ウイルス感染の危険性のある被験者またはすでにウ
イルスに感染している被験者のいずれかに投与できる。ウイルス感染の危険性の
ある被験者には、例えば、注射針または他の患者との接触を通じてウイルスに暴
露された可能性のある医療関係者、または静脈内薬物の使用のような高い危険性
のある活動に関係している患者が含まれる。N-グリコリルノイラミン酸またはそ
の誘導体は、例えばHIV、C型肝炎ウイルス(HCV)またはヘルペスウイルスのよ
うな被膜レトロウイルス感染の治療または予防に特に有用である。
【0020】 被験者におけるウイルス感染の予防または治療に有効なN-グリコリルノイラミ
ン酸またはその誘導体の濃度は、投与される該化合物の好ましい用量、使用され
る該化合物の化学的特徴、該化合物の賦形剤の剤形、および投与経路を含む多く
の因子により変化する。投与されるN-グリコリルノイラミン酸の最適な用量はま
た、特定の患者の全体的な健康状態、及び選択された化合物の相対的な生物学的
効力のような変数に左右される可能性もある。
【0021】 典型的には、約1mgから約1000mgのN-グリコリルノイラミン酸またはその誘導
体が被験者に投与される。例えば、約10mgから約100mgまたは約30mgから約80mg
のN-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体を投与することができる。N-グリ
コリルノイラミン酸またはその誘導体は一日単回の投与、または一日に複数回投
与することができる。さらに、N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体の投
与の頻度を押さえるために、遅延放出型薬剤を用いることができる。N-グリコリ
ルノイラミン酸またはその誘導体は例えば、経口、静脈内、皮下、経皮または吸
入を含む任意の投与経路で投与することができる。
【0022】 炭水化物に基づく治療法を用いる利点の一つは、炭水化物は元来病原体を死滅
させないが、しかし、細胞への病原体の結合を簡単に防ぐことである。従って、
ここで記載される治療法は、病原体が典型的に薬剤に対して発達させる耐性の種
類を生み出さないはずである。この重要な利点により、炭水化物治療が、感染の
治療のみでなく、感染の予防にも使用することが可能となる。
【0023】 本発明の方法はさらに、被験者のウイルス感染の有無についての監視を含むこ
とができる。被験者のウイルス負荷量(すなわち、血液1mlあたりのウイルス量
)は、ウイルスRNAのコピーを検出するための、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ア
ッセイ法(例えばRoche Amplicor HIV-1またはHCVモニター)または、分岐DNAア
ッセイ法を用いて測定できる。P24抗原(HIV用)または、他のウイルス抗原もま
た、ウイルス負荷量の指標として評価することができる。治療の監視はまた、被
験者のCD4細胞数、CD4百分率、CD8細胞数、CD8百分率、またはCD4細胞/CD8細胞
の比の測定を含むことができる。
【0024】 幾つかの態様において、該方法はさらに、ポリペプチドまたは治療薬剤のよう
な他の化合物と組み合わせてN-グリコリルノイラミン酸を投与することを含む。
治療薬剤の非限定的な例には、抗生物質、化学療法剤、および逆転写酵素阻害剤
(例えばAZT、ddI、ddC、d4T及び3TC)またはプロテアーゼ阻害剤(例えば、NEV
IROAPINE、SAQUINAVIR、RITNOVIR、及びINDINARVIR)のような他の抗ウイルス剤
を含む。N-グリコリルノイラミン酸はまた、標準的な方法を用いて他の化合物ま
たは治療薬剤と結合させ、被験者に投与することができる。
【0025】薬学的組成物 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体は、薬学的に許容される賦形剤ま
たは担体と混合して、薬学的組成物へと処方することが可能である。このような
化合物及び組成物は、特に液体溶液もしくは水性生理学的緩衝液溶液中の懸濁液
の形態で非経口投与用に;特に錠剤もしくはカプセルの形態で経口投与用に;ま
たは特に粉末、点鼻薬、もしくはエアロゾルの形態で鼻孔内投与用に調製するこ
とができる。他の投与経路のための組成物は、標準的な方法を使用して望ましい
ように調製することができる。
【0026】 非経口投与用製剤は、ポリエチレングリコール、植物由来の油、水素化ナフタ
リン等のような、滅菌された水、生理食塩水、ポリアルキレングリコール等のよ
うな一般的な賦形剤を含むことができる。特に、インビボでの本発明の化合物の
放出を制御するための賦形剤の例は、生体親和性、生物分解性ラクチドポリマー
、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロ
ピレンコポリマーである。他の適当な非経口輸送系には、エチレンビニル酢酸コ
ポリマー粒子、浸透ポンプ、移植可能な注入系、及びリポソームを含む。吸入投
与用製剤は、必要に応じて、ラクトースのような賦形剤を含みうる。吸入用製剤
は、例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココール酸塩、及び
デオキシコール酸塩を含む、水性溶液であってもよく、またはそれらは、点鼻薬
の形態における投与用の油性溶液であってもよい。必要に応じて、該化合物は鼻
孔内に適用するために、ゲルとして処方できる。非経口投与用製剤はまた、頬側
投与のためのグリココール酸塩を含む。
【0027】 本発明を以下の実施例でさらに説明するが、これらの実施例は特許請求の範囲
に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【0028】 実施例実施例1:ヒヒ血液からの低分子の単離 フィコールハイパック(Ficoll-Hypaque)密度勾配遠心を用いてヒヒ全血液か
ら、または組織培養で増幅させて植物性血球擬集素P(PHA-P)で活性化させイン
ターロイキン2(IL-2)を含む培養液内で増殖させたPBMCから、末梢血液単球(P
BMC)が単離された。どちらの場合も、PBMCをまず滅菌リン酸緩衝生理食塩水(P
BS)で3回洗浄し、遠心分離によりペレットにした。細胞ペレットをその後、滅
菌水内に再懸濁して溶解させ、4℃で96時間維持した。タンパク質と核酸を抽出
物から沈澱させ、抽出物内の残りの組成物を0.01%塩酸カルシウム及び0.001%ア
スコルビン酸を含む10%(v/v)リン酸カルシウム緩衝液(pH 7.4)を用いて安
定化させた。この溶液を遠心分離し、続いて0.22μmフィルターによる濾過で清
澄させた。この最終的な濾過物は最初の細胞溶解物の50倍の希釈物であり、以下
LUKORと呼ばれる。幾つかの場合に、LUKOR調製物は、3時間の2.5mRADのコバルト
照射(Neuton Products、Inc. Gaithersburg、MD)により滅菌された。
【0029】 LUKORの生物学的活性は、HIVに感染したヒト単核細胞からのp24発現が阻害さ
れたがどうか調べることにより評価された。ヒトPBMCは米国赤十字(American R
ed Cross)から得られ、HIV-1(IIIB株)の100以下のTCID50(50%培養細胞感染
量)と共に、37℃で3時間インキュベートされた。インキュベーション期間が終わ
ったらPBSで細胞を二回洗浄することにより、過剰の遊離ウイルスを除去した。
非感染の対照PBMCは10%仔ウシ血清、100U/mlのペニシリン、及び100μg/mlのス
トレプトマイシンを含むRPMI(Difco)中で、37℃、5%二酸化炭素下において培
養された。標準的なLUKORの調製物を順に、生理食塩水で2倍、4倍、8倍、16倍、
32倍、64倍希釈し、それぞれの希釈物750μLを750μLの培養液及び2×205感染細
胞を含む各ウェルに加えた。陽性対照(LUKOR非存在下で750μLの培養液を含むH
IV感染PBMC)及び陰性対照(LUKOR存在下でHIV非感染PBMC)が、それぞれの実験
に含まれた。490nmにおける培養物の吸光度を測定することにより培養5日目のす
べての細胞試料内でのp24産出量を決定するために、HIV-1 p24抗原キット(Dupo
nt、Wilmington、DE)が使用された。全血液PBMCから、または組織培養で増殖さ
れたPBMCから直接単離されたLUKORでの典型的な結果を表1に示す。
【表1】 LUKOR存在下または非存在下での感染ヒトPBMCにおけるp24の発現 *ヒヒ全血液のPBMCから調製されたLUKOR(WB-Lukor) **組織培養で増殖したPBMCから調製されたLUKOR(TC-Lukor)
【0030】 表1のデータは、用いられた全ての希釈液が(ヒヒ全血液では1:64までの 希釈率、組織培養で増殖したLUKORでは1:800までの希釈率)p24の発現の減少に
有効であったことを示す。これは、LUKORがHIVの複製を阻害できることを示唆す
る。さらに、新鮮な血液から単離されたヒヒPBMC由来のLUKOR、及び4週間組織培
養液内で維持されたヒヒPBMCからのLUKORの両方が有効であった。同様な結果は
、6週間4℃で保存された溶解物でも見られ、活性組成または組成物は冷蔵保存状
態にかなり安定なことが示唆された。逆転写酵素活性の測定によれば、抽出物の
活性もまた、抽出物の酸処理または煮沸後(表2)維持された。表2の結果は「阻
害%」で表わされている。ウサギPBMC及びヒトPBMCから作成された同様の抽出物
は、1:4から1:250までの範囲の希釈率においては、p24の産生を有意には阻害し
なかった(表2参照)。
【表2】 ヒヒ、ヒト、ウサギ由来の抽出物の比較
【0031】 LUKOR存在下での共存培養中の、感染T細胞から非感染T細胞へのHIVの伝播を、
p24産生により評価した。HIV-1株GT63またはGT65に感染したSUPT-1T細胞由来の
上清が、ヒト血液から単離された非感染SUPT-1T細胞に加えられた。48時間後、
細胞はLUKORで1時間処理されて新鮮な培養液で洗浄され、その後5日間培養され
、上清におけるHIV-1p24をアッセイすることによりウイルス複製が測定された。
HIV-1の両方の株(GT63及びGT65)の感染力は、1:10または1:15の希釈率のLUKOR
のいずれかで、一時間感染細胞を処理することで有意に抑制された。
【表3】 LUKORによる細胞感染の抑制 *結果は1ml当たりのHIV-1p24のピコグラムで表される。
【0032】 細胞上清液の界面活性剤処理後、 poly(rA):oligo(dT)(rAdT)への[3H]-TTPの
取り込みの測定または、poly(rC):oligo(dG)(rCdG)ホモポリマー鋳型/プライマ
ー系への[3H]-GTPの取り込みの測定により、逆転写酵素活性が測定された。Walk
erら、J. Virol. 、1991、65 (11): 5921-5927参照。逆転写酵素阻害剤のAZTTP
(3'-アジド-2',3'-ジデオキシチミジン5'-三リン酸)及びUC38(NSC 629243、
非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤)は、陽性対照として働いた。Rice、W. G.、
ら1993、Proc Natl Acad Sci USA 90: 9721-9724。HIV-1クローンと6日間インキ
ュベートする前に、細胞(CEM-TART、NIH AIDS試薬プログラム、カタログ番号13
6)を、様々な量のLUKORで一晩処理した。(細胞培養物内のPBMC由来のLUKORの
)1:500の希釈率は、一貫してHIVのRT活性60〜70%の阻害をもたらした(図1)
。これは都合よく濃度1.6nMのAZTに匹敵する。1:500より高い希釈率のLUKOR(>1:
1,000)は有意なRT阻害活性を示さなかった。
【0033】 HIV-プロテアーゼ活性もまた、様々な希釈率のLUKORの存在または非存在下で
アッセイされた。該アッセイ法はHIV-1プロテアーゼ(1.25μg/ml)、0.5MKHPO4
緩衝液(pH6.5)、5%グリセロール、3mM DTT、0.5mM EDTA及び0.75M 硫酸アン
モニウムを含み、sp21l基質(Ala-Ser-Gln-Asn-Tyr-Pro-Ile-Val-Glnアミド)の添
加により開始され、最終濃度0.1044mg/mlに達した。反応を37℃で30分間行い、
その後TFA中の80mMグアニジンHClで停止させた。反応終了時に残留したsp21l基
質の量は、逆相HPLCにより決定された。HIVプロテアーゼの阻害におけるLUKORの
への効果を表4に示す。
【表4】 細胞培養物からのヒヒPBMC由来のLUKORによるHIVプロテアーゼの阻害
【0034】 LUKORの抗ウイルス活性の特異性がHIV及びSIV-1(シミアン免疫不全ウイルス
)の様々な株に対して試験された。標的細胞は、特定のウイルスと一晩インキュ
ベートされたヒトPBMCである。インキュベーション後、細胞は洗浄され、種々の
希釈率のLUKORの存在下に置かれた。3〜4日の間隔で各ウェル中の培養液の半量
が交換された。10日目に抗原の捕獲をHIV p24 OTCキット(Organon)により測定
した。対照にはLUKOR非存在下でのHIV感染PBMCが含まれた。これらの実験結果を
、括弧内の阻害%と共に、ng/mlp24として表5に示す。HIV-1株NSI(シンシチウ
ムを含まない)及びSI(シンシチウムを含む)での低レベルのp24発現にもかか
わらず、LUKORの希釈物はHIV-1 NSI及びSI、H9/IIIB、ならびにSIV-1(MAC251)
におけるウイルス性p24発現の有意な阻害をもたらした。
【表5】 感染PBMCにおけるp24生産の阻害
【0035】 一連のインビトロ及びインビボ毒性学実験が、ヒト血液細胞、血液凝固因子
、及び28日間繰り返し静脈内にLUKORを投与されたラットにおける副作用の可能
性を評価するために行われた。新たに採取されたヘパリン化全血液(1ml)がPBS
(pH7.4)で1:4に希釈され、希釈された全血液1mlごとに0.1mlのLUKOR(新規調
製)が添加された。血液の二つのアリコートが4℃にて21日間及び42日間維持さ
れた。抽出物は、対照試料(新たに採取された血液及び、21日間及び42日間保存
された)に添加されなかった。結果を表6に示す。LUKORは、赤血球(RBC)数、
白血球(WBC)数、ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット(Hct)、平均赤血球容
積(MCM)、平均細胞ヘモグロビン(MCH)、RBC浸透脆弱性、及び溶血には影響
しなかった。42日間保存された対照血液試料は変質しはじめた。参照値は、RBC
5,400,000/mm3、Hg含有 12.7g/100ml、及びHct 33.3%(血液100ml中の細胞量)
であった。
【表6】 全血液へのLUKORの添加
【0036】 VIII因子及びIX因子凝血活性へのLUKORの作用を、LUKOR(1:10希釈)をヒト血
漿に添加し、試料を37℃で1時間、2時間、5時間、または23時間インキュベート
して測定した。試料を凍結し、対照として0.15M塩酸ナトリウムを用いた一段階A
PTT法により、VIII因子及びIX因子凝血活性をアッセイした(Denson、Br. J. Ha ematol .、1973 24 (4): 451-461)。試料はまた室温及び4℃にてインキュベート
された。LUKORで処理された試料のVIII因子及びIX因子の活性は(それぞれ0.076
ユニット/ml及び0.389ユニット/ml)は、生理食塩水対照と相違しなかった(表7
、残留した活性%)。
【表7】 処理された試料における凝血活性
【0037】 LUKORのインビトロ毒性学的活性は、(スパラーグ-ダウリー)Sparague-Dawle
y CDアルビノラットを用いて試験された。5匹の雄及び5匹の雌のラットに、一日
当たり1mlのLUKORを、尾の静脈への静脈内注入により、6回(1日、3日、5日、7
日、9日及び28日目)投与した。全ての動物を、死亡率と体調不良の徴候、また
は処理への反応について一日二回調べ、より詳しい試験を週ごとに行った。処理
に関連する臨床的な徴候はなく、動物は28日目の実験の最後まで過敏感反応を示
さなかった。処理に関連する、食物消費及び体重増加への影響は観察されなかっ
た。9日目の投与から24時間後に、眼窩洞から麻酔下で血液試料を採集し、28日
目の剖検時に腹大動脈から再度血液試料を採集した。全ての動物は麻酔後腹部か
らの全身採血により安楽死させた。28日目の実験の終了時において、全ての動物
についての血液学的評価を行った。死亡率も、処置に関連した臨床的観察も、白
色細胞パラメーターにおける影響もなかった。雌の動物の平均値は一般的に、雄
の動物よりも低かったが、正常範囲を考慮すると、差異は有意ではなかった。従
って、LUKORは静脈内投与されうることが明らかになった。
【0038】 上記の実験は、ヒヒPBMCから水溶性の可溶性物質が抽出できることを示す。こ
の材料はインビボでのHIVの感染または複製を減少させる活性がある。特定の機
構に限定されることはないが、N-グリコリルノイラミン酸はHIV-1プロテアーゼ
又は逆転写酵素を直接阻害しなくてよい。
【0039】実施例2:培養血液単核細胞におけるLUKORの細胞毒性 培養されたヒト血液単核細胞を、7日間、様々な濃度のLUKORの存在下で培養し
た。様々な濃度のLUKORを含む溶液は、LUKORのストック溶液(1mg/mL)をPBSで1
:4、1:20、1:100及び1:500に希釈して調製された。等量の各希釈率のLUKORを培
養細胞に添加した。培養液を3日目に交換した。それぞれの希釈率のLUKORにおけ
る得られた細胞数を表8に列挙する。比色定量アッセイ法を用いて細胞毒性を評
価した。WSTl試験キット(4-[3-(4-ヨードフェニル)-2-(4-ニトロフェニル)-2H-
5-テトラゾリオ]-1,3-ジスルホン酸ベンゼンのナトリウム塩であるテトラゾリウ
ム化合物)(Roche Diagnostics、Indianapolis、IN)を、このアッセイ法に使
用した。表8に示されたように、細胞毒性は観察されず、様々な濃度のLUKORにお
いて細胞数が維持された。
【表8】 LUKORの細胞毒性
【0040】実施例3:LUKORからの有効組成の同定 活性な組成物の同定の最初の段階として、PBMC(LUKOR)から単離された可溶
性溶解物が、HPLCにより分画された。水及び0%〜100%アセトニトリル(ACN)
中の0.1%テトラフルオロ酢酸(TFA)の可動相を有するC18カラム(Delta Pak、
15μm、300A、0.39×30cm)が、細胞溶解物内の組成物を分離するために使用さ
れた。30%ACNにより溶出した一つの主要なピークと、50%ACNにより溶出した二
つの小さなピークが観察された(図2)。HPLC-1 、HPLC-2、 HPLC-3と命名され
た三つのピークは、質量分析及びNMRによる更なる同定のために別々に回収され
、凍結乾燥され、保存された。
【0041】 質量分析を、次のパラメーターを用いた陽イオンエレクトロスプレーイオン化
モードにおいて操作されるVG Bio三重四極子(triple quadrupole)質量分析計
によって行った:スキャンの範囲 100m/z〜950m/z及び35m/z〜700m/z、円錐体電
圧57V〜63V、供給源温度:80 ℃〜100 ℃。調整はLC-MSの前にCsIの直接注入分
析を用いて行われた。最大ピーク258nmにおいて特徴的な芳香族環が検出された
。化合物の性質は低分子化合物と一致していた。質量86、質量194、質量288の関
連試料が同定された。質量86、質量194の関連試料は、全体の1%以下しか存在し
なかった。質量288の試料は、炭素、水素、酸素、及び単一の窒素原子からなる
ことが決定された。
【0042】 単一0.5μ秒励起パルス及び一秒リサイクル遅延で駆動する改変Nicolet NT360
MH3分光光度計を用いて、D2Oの溶液内の抽出物におけるプロトンNMRも行われた
。シグナルは、3.1ppm〜3.7ppmの間のシフトで検出された。
【0043】 LUKORの有効な組成物は、分子量及び化学的組成に基づきN-グリコリルノイラ
ミン酸と同定された。この結論を支持するデータを以下に記載する。
【0044】実施例4:阻害の特異性 研究グレード精製d-ガラクトース(カタログ番号g404、ロット117H00431、FW1
80.2、Sigma chemical Co.、St. Louis、MO)を、濃度5mg/mlで生理食塩水中に
溶解した。溶液は15分間室温に放置され、ガラクトースが完全に溶けるまで、ボ
ルテックスにより混合された。ガラクトース溶液は二つのアリコートに分けられ
た。安定化溶液(0.1ml)を片方のアリコートに加え、その後ボルテックスし、3
0分間室温でインキュベートした。再び混合した後、混合液を1500gで30分間遠心
分離し、上清を0.2μmフィルターで濾過して滅菌15mlチューブへ移した。溶液は
15分間暴露によるガンマ照射(2.5 メガRAD)で滅菌された。安定化溶液を含ま
ないアリコートは「1A」と標識され、安定化溶液を含むアリコートは「1B」と標
識された。N-グリコリルノイラミン酸(カタログ番号g2755、ロット番号27H0435
、FW325.3、Sigma Chemical Co.、St. Louis、MO)及びガラクトース-α1,3-ガ
ラクトース(α1,3-ガラクトセビオス(galactosebios)、V-Labs、Incs.、Covin
gton、LA、5mg/ml)はガラクトースについて記載されたように調製され、それぞ
れ「2A」、「2B」、「3A」、「3B」と標識された。溶液4を調製するため、溶液1
及び溶液2(それぞれガラクトース及びN-グリコリルノイラミン酸)を等量混合
した。それぞれの試験溶液は生理食塩水で1:20、1:40、1:80及び1:160に希釈さ
れた。
【0045】 活性化されたヒトPBMC(3×105細胞/希釈液)を37℃で一晩感染させるために
、試験溶液または対照希釈液1mlはそれぞれ、同量のHIV-1IIIB(2×105細胞当
たり50以下のTCID50)と混合した。HIV-1IIIBは研究室に適合された株である。
細胞をその後洗浄し、三通りの(triplicate)ウェルにおける示された希釈率の
試験溶液を含む培養培地に置いた(ウェルあたり1×103細胞、培養液の半量を示
された希釈率の試験溶液を含む培養液と3日以内の間隔で交換した)。調製され
た培養液を、DuPont P24アッセイキットを用いて9日目にHIV-1 p24産出について
試験した。対照は、試験溶液を含まない感染PBMCとした。結果は表9に示され、
対照に対する阻害%として測定された。表9に示されるように、N-グリコリルノ
イラミン酸がP24産出を阻害する一方で、ガラクトース及びN-アセチルノイラミ
ン酸は阻害しなかった。
【表9】 N-グリコリルノイラミン酸はP24産出を阻害する
【0046】 試験は4℃で保存された試験溶液を用いて繰りかえされた。この実験において
、活性化ヒトPBMCを3時間感染する時に希釈液をHIV-1 IIIBウイルスと混合した
。細胞をその後洗浄し、示された希釈率の試験溶液の存在下で3通りのウェル内
で(1×103細胞/ウェル)インキュベートされた。交換された半量の培養液には
試験溶液の希釈物を含んでいた。調製された培養液は、6日目に抗原捕獲アッセ
イ法によりP24産出について試験された。結果は表10に示され、対照に対する阻
害%として示された(炭水化物不添加)。
【表10】 対照に対する阻害%
【0047】 さらに、三通りのウェル内にプレーティングする際、感染後に試験溶液が添加
されたこと以外は同様の実験が行われた。結果を表11に示す。
【表11】 対照に対する阻害%
【0048】 阻害の終点を決定するために、N-グリコリルノイラミン酸を含む試験溶液の更
なる希釈物を用いて、本実験を繰り返した。結果を表12に示す。HIVp24産出の阻
害のための効果的な最低の濃度は3ng/mlであった。
【表12】 対照に対する阻害%
【0049】 実施例5:CEM-SS及びPBMC細胞におけるN-グリコリルノイラミン酸処理の有効
N-グリコリルノイラミン酸(約90%の純度、MW325.3)をシグマケミカルズ(S
igma Chemicals)(St. Louis、MO)から購入し、80mMのストック溶液を作成す
るために水に溶解した。ストック溶液は200μMの開始濃度及び、更に1/2 logず
つ9回連続した希釈濃度に希釈された。PBMCは、米国赤十字(Baltimore、Maryla
nd)から購入した新鮮なヒト血液から単離した。CEM-SS細胞はNIH AIDS 試薬プ
ログラムから得た。低継代の(low passage)リンパ親和性分離体ROJOはバーミ
ングハム、アラバマ大学のAIDS病院に通院する小児の患者から得られた。植物性
血球擬集素(PHA-P)はシグマケミカルズ社(Sigma Chemicals Co.)(St. Loui
s、MO)から購入され、組換えIK-2はアムゲン(Amgen)(San Francisco、CA)
から購入された。抗ウイルスアッセイの陽性対照として、AZTはNIH AIDS 試薬プ
ログラムから得られた。HIV-1RFもまたNIH AIDS 試薬プログラムから得られた。
トリチウム化されたリン酸チミジンはニューイングランドヌークリア(New Engl
and Nuclear)(Boston、MA)から得られた。それぞれの実験の個々のプレート
は、細胞対照ウェル(細胞のみ)、ウイルス対照ウェル(細胞プラスウイルス)
、薬剤毒性対照ウェル(細胞プラス薬剤のみ)、薬剤比色対照ウェル(薬剤のみ
)及び実験ウェル(薬剤プラスウイルス)を含んだ。
【0050】細胞の調製 感染前に、CEM-SS細胞を完全組織培養液(10%熱不活性化ウシ胎児血清、2mM
Lグルタミン、100U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、100μg/mL
ゲンタマイシンを含むRPMI1640培養液)内で増殖させ、T-150フラスコに移した
。アッセイ法の前日に、細胞が感染時に指数増殖期であることを確実にするため
に、細胞を1:2に分けた。アッセイ当日、組織培養液で細胞を洗浄し、新しい組
織培養液に懸濁した。血球計及びトリパンブルー色素排除法を用いて、細胞数並
びに生存率を測定した。細胞生存率は、アッセイに利用される細胞では、95%よ
り高かった。細胞をペレットにし、組織培養液1ml中2.5×104細胞で懸濁させた
。細胞は薬剤を含む50μLの容量のプレートに添加された。
【0051】 新しいヒトPBMCは、HIV及びHBVが血清陰性であるボランティアの赤十字のドナ
ーから単離された。白血球搬出された(leukophoresed)血液はダルベッコのPBS
で1:1に希釈し、50mLの遠心管内でフィコールハイパック密度勾配14mLに積層し
、その後30分間600xgで遠心した。得られた界面からバンド状のPBMCを優しく吸
引し、その後PBSで二回、低速の遠心により洗浄した。最終洗浄後、細胞数をト
リパンブルー排除試験で測定し、15%ウシ胎児血清(FBS)、2mM Lグルタミン及
び4μg/mL PHA-Pを添加したRPMI1640に1x107細胞/mLで再懸濁した。細胞を37℃
で48〜72時間インキュベートし、その後、遠心し、15%FBS、2mM Lグルタミン、1
00U/mL ペニシリン、100μg/mL ストレプトマイシン、10μg/mLゲンタマイシン
及び20U/mL組換えヒトIL-2を含むRPMI1640内に置き直した。PBMCは、アッセイ法
に使用するまで、二週間毎に培養液を交換して、1〜2x106細胞/mLの濃度でこの
培養液中で維持した。
【0052】 標準的なPBMCアッセイ法として、少なくとも二人の正常なドナーからのPHA-P
刺激細胞をプールし、最終濃度1x106細胞/mLとなるよう新しい培養液で希釈し、
50μL/ウェル(5x104細胞/ウェル)で、丸底の96穴マイクロプレートの内側の
ウェルに播種した。試験薬剤希釈物を、微量遠心管で2Xの濃度で調製し、各希釈
液の100μlを、標準的な形式において適切なウェルに播種した。予め決定された
希釈のウイルスストックを、各試験ウェル(50μL、最終MOI=0.1)へ播いた。細
胞及びウイルスのみのウェルはウイルス対照として使用した。XTTアッセイ系を
用いる薬剤細胞毒性の研究用に別個のプレートを、ウイルスを含まずに同一に調
製した。PBMC培養物は感染後7日間維持され、その時点で、細胞を含まない上清
試料を回収し、下記の通り逆転写酵素活性についてアッセイした。
【0053】ウイルスの調製: あらかじめ滴定したHIV-1ROJO及びHIV-1RF のアリコートをフリーザー(-80℃
)から取り出し、生物学的に安全なキャビネットの中で室温まで融解させた。ウ
イルスは、組織培養液に再懸濁し、50μLの体積の個々のウェルに添加されたウ
イルスの量が感染後6日目に細胞を完全に死滅できると決定された量になるよう
に組織培養液で希釈した。CEM-SS細胞における終点滴定によるTCID50の計算によ
り、これらのアッセイ法の感染多重度(MOI)が0.005〜0.01の範囲であることが
示された。
【0054】スクリーニングプレートのテトラゾリウム色素染色: インキュベーションの6日後(37℃で5%CO2下)、試験プレートはテトラゾ
リウム色素XTT(2,3-b(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリ
ウム-5-カルボキサニリド)で染色することにより分析した。XTTテトラゾリウム
は代謝活性細胞のミトコンドリア酵素により、可溶性ホルマザン産物へと代謝さ
れ、抗HIV化合物によるHIV誘導細胞死の阻害を迅速に定量解析することが可能と
なる。XTT溶液はPBS中1mg/mLのストックとして毎日調製した。メトスルホン酸フ
ェナジン(PMS)溶液はPBS中15mg/mLで調製され、-20℃で暗所に保存された。XT
T/PMSストックは、使用の直前にPMCをPBSで1:100に希釈し、XTT溶液1mLにつき40
μLを添加して調製された。50μlのXTT/PMCはプレートの各ウェルに添加され、
プレートは37℃で4時間インキュベートされた。プレートを粘着性プレート密閉
剤で密閉し、数回転倒させて、可溶性ホルマゾン産物を混合し、プレートをMole
cular Device Vmaxプレートリーダーを用いて450nmで分光測定により測定した。
%CPE減少(細胞変性効果)、%細胞生存率、IC25、IC50、IC95、TC25、TC50、
及びTC95のような指数、および別の指数が計算された。丸底マイクロタイタープ
レートの使用により、ペレットの大きさを評価して、所与の試験化合物の活性を
迅速に顕微鏡分析することが可能となった。顕微鏡観察の結果はさらなる顕微鏡
分析により確認され強化された。
【0055】 表13は、N-グリコリルノイラミン酸を用いて2時間前処理し、その後、HIVR
OJOを感染させたPBMCの%細胞対照(%CC)として毒性データを提供する。表13
の示されるように、少なくとも200mMの濃度では毒性は観察されず、すなわち個
々の試験されたN-グリコリルノイラミン酸の濃度において、%CCは約100%で
あった。同様の結果が、N-グリコリルノイラミン酸及びHIVROJOに同時に暴露さ
れた細胞において観察された。
【表13】 N-グリコリルノイラミン酸処理の毒性
【0056】逆転写酵素活性アッセイ法 マイクロタイターに基づく逆転写酵素(RT)反応は、Buckheitら、(1991)、
AIDS研究およびヒトレトロウイルス、7:295-302に記載の通り、使用した。トリ
チウム化された三リン酸チミジン(3H-TTP)は5 Ci/mLで蒸留水に懸濁させた。P
oly rA及びオリゴdTは、-20℃で保存されるストック溶液として調製した。RT反
応緩衝液は毎日新しく調製し、125μLの1M EGTA、125μLの蒸留水、110μLの10%
SDS、50μLの1M Tris(pH7.4)、50μLの1M DTT、及び40μLの1M塩化マグネシウ
ムを含んでいた。これらの三つの溶液を、3H-TTPとポリrA:オリゴdTと反応緩衝
液とを2:1:1の比で混合した。この反応混合液10μLを丸底マイクロタイタープレ
ートに入れ、上清を含む15μLのウイルスを添加し混合した。プレートを水浴中
で、プレートへの浸水を防ぐために固体支持体とともに37℃でインキュベートし
、60分間インキュベートした。インキュベート期間後、反応体積をDE81紙上にス
ポットし、5%リン酸ナトリウム緩衝液で各5分間5回、蒸留水で各1分間2回、7
0%エタノールで各1分間2回洗浄し、乾燥させた。Opti-Fluor-O(Packard)を
各試料に加え、取り込まれた放射能を、Wallac1450 Micro Beta Plus液体シンチ
レーションカウンターを使用して定量した。プレートは上記の様にテトラゾリウ
ム色素染色でスクリーニングした。
【0057】 表14はROJO単離株からのHIVに感染したPBMCにおけるRT活性の概要を示す。表1
4Aに示されるように、約2時間、約0.01mMから1mMのN-グリコリルノイラミン酸
で前処理された細胞におけるRT活性は、有意に減少した(3.7〜46.2%ウイルス対
照、VC)。0.0032mM未満の濃度のN-グリコリルノイラミン酸で前処理された細胞
内のRT活性はウイルス対照とほぼ同じであった。IC50は約0.010mMであり、TC50
は1mMより高く、その結果100より高い治療指数(TI)となった。表14Bは薬剤とH
IVとに同時に暴露された細胞におけるRT活性を示す。IC50は約0.058mMであり、T
C50は1mMより高く、17.25より高い治療指数(TI)となった。
【表14】 感染ヒトPBMCのN-グリコリルノイラミン酸での2時間前処理
【0058】 CEM-SS細胞に基づくアッセイ系において、実験室適応HIV-1RF及びHIV-1IIIBウ
イルス株に対して試験した時には、N-グリコリルノイラミン酸(3.2μMから1mM
)は抗HIV活性を示さなかった。N-グリコリルノイラミン酸での2時間の前処理
は、試験化合物の潜伏抗ウイルス特性を明らかにはしなかった。HIV-1RFまたはH
IV-1IIIBを用いたCEM-SS細胞に基づくアッセイ法において、N-グリコリルノイラ
ミン酸のTC50は1mMよりも高く、一方、AZTについては、TC50は1μMよりも高かっ
た。AZTのIC50を計算したところ、HIV-1RFにおいては0.005〜0.007μM、HIV-1II
IBについては0.011〜0.017μMであった。
【0059】 N-グリコリルノイラミン酸はPBMC細胞に基づくアッセイ系において抗HIV活性
を有していた。継代回数の少ない臨床単離株のHIV-1ROJOに対して、細胞の2時
間前処理があってもなくてもN-グリコリルノイラミン酸は有効であった。活性は
株特異的であったが、研究室単離株HIV-1IIIBに対してはN-グリコリルノイラミ
ン酸は不活性であった。HIV-1ROJOまたはHIV-1IIIBを用いたPBMC細胞に基づくア
ッセイ法において、N-グリコリルノイラミン酸のTC50は1mMよりも高く、一方、A
ZTについては、TC50は4μMよりも高かった。N-グリコリルノイラミン酸のIC50
はHIV-1ROJOに対して前処理なしでは約0.058mMで、2時間の前処理がある場合に
は0.010mMであり、一方、AZTのIC50を計算したところ、前処理なしでは0.008μM
で、2時間の前処理がある場合には0.004μMであった。AZTのIC50はHIV-1IIIBに
対しては0.002μMであった。
【0060】 この一連の実験において、N-グリコリルノイラミン酸は研究室HIV株に対して
抗ウイルス活性を有さなかった。これらの研究室株に含まれるグリセロールのよ
うな保存料またはDMSOのような希釈剤は、N-グリコリルノイラミン酸の抗ウイル
ス活性を妨げる可能性がある。Science、1996、274:1393-1395参照。
【0061】実施例6−N-グリコリルノイラミン酸で処理した感染PBMCについてのP-24アッセ イ法 PBMCを上記の様に単離し、HIV-1 MIN(NIH AIDS試薬プログラム、カタログ番
号137)と、3時間37℃にて、15mLチューブ内でインキュベートした。試験群は
非感染PBMC、N-グリコリルノイラミン酸なしの感染PBMC、及びN-グリコリルノイ
ラミン酸ありの感染PBMCを含んでいた。N-グリコリルノイラミン酸の濃度は約6.
2μg(1:2希釈率)から約50μg(1:64希釈率)の範囲であった。過剰なウイルス
は、PBSで細胞を一度洗浄して除去し、その後細胞をN-グリコリルノイラミン酸
に暴露した。P24産出量はDuPont P24アッセイキット(表15中の吸光度(OD)
)を用いて測定された。シンシチウム形成及び細胞変性作用(CPE)が調べられ
た。P24産出量の平均は非処理試料(N-グリコリルノイラミン酸なし)において
は9.68 x 106 ±3.24 X 106 pg HIV-1P24/mlで、N-グリコリルノイラミン酸で処
理した試料においては624 ±326pg HIV-1P24/mlであった(希釈因子のために補
正)。試料7番(p24 123x106pg HIV-1P24/ml)は、サンプリングエラーのため
にP24産出量の平均の計算から除外された。非処理の試料において、細胞生存率
は19%であり、一方N-グリコリルノイラミン酸で処理した試料においては細胞生
存率は25%であった。表15に示されるように、シンシチウム形成及びHIV誘導細胞
変性作用は、N-グリコリルノイラミン酸での処理により感染細胞において予防さ
れた。
【表15】 感染PBMCにおけるP24産出量 * mLあたりのHIV-1 p24のピコグラムとしてのP24
【0062】実施例7−N-グリコリルノイラミン酸で処理した細胞における細胞増殖の評価 0日目に表16に列挙された細胞株を、100μLの培養液中、850〜2000細胞/ウ
ェルでマイクロタイタープレートに播種した。1日目に、N-グリコリルノイラミ
ン酸を培養液で2倍に希釈し、0〜200μMのN-グリコリルノイラミン酸または100
0μMのN-グリコリルノイラミン酸を添加した。DMSO中50/250mMのストック溶液を
培養液で1/500に希釈し、Vf=200μL/ウェルであった。細胞を37℃、5%CO2下で3
日間インキュベートした。4日目に培養液で1/100に希釈した3[H]チミジンを、25
μL/ウェル/200μLの培養液に添加し、ウェルあたり0.5μCiの最終濃度とした。
5日目に、細胞をガラス繊維上に回収し(3[H]チミジンの添加の18時間後)、CPM
/ウェルを測定した。結果は表16に示す。
【表16】 処理細胞株
【0063】実施例8−LUKOR、N-グリコリルノイラミン酸、及びN-アセチルノイラミン酸の
阻害の比較 実施例5に記載のRTアッセイ法を用いて、LUKOR、N-グリコリルノイラミン酸、
及びN-アセチルノイラミン酸の阻害活性を比較した。PBMCを、1:4、1:20、1:100
、1:500、または1:2500の希釈率、または0.4μg/ml 、1.2μg/ml、 3.6μg/ml
、11μg/ml 、もしくは33μg/mlの濃度のN-グリコリルノイラミン酸もしくはN-
アセチルノイラミン酸で処理した。炭水化物は対照試料には添加しなかった。RT
活性は、X4株LAI/IIIBでの感染後(PI)3日目、6日目、9日目、13日目、17日目
、及び20日目に測定した。
【0064】 結果は表17に示されている。RT活性は、LUKORで処理された細胞において減少
し、1:4および1:20のLUKORの希釈率が最も効果的であった。N-グリコリルノイラ
ミン酸で処理した試料においては、RT活性は特に中程度の濃度(1.2μg/ml及び3
.6μg/ml)で、減少した。対称的に、RT活性の減少は、高濃度のN-アセチルノイ
ラミン酸でのみ観察された。図3A〜3C は阻害特性を示すグラフである。
【表17】 炭水化物で処理された感染細胞におけるRT活性
【0065】実施例9−N-グリコリルノイラミン酸による腫瘍懐死因子(TNF)の阻害 TNFα生産を、N-グリコリルノイラミン酸(0.1から316μm)の存在下でインキ
ュベートされた潜伏感染前単球U1細胞において調べた。TNFα生産は、市販の抗T
NFα抗体を用いて、競合的形態で、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)を用いて
測定された。TNFα生産の阻害は、表18に生理食塩水対照に対する%として報告
されており、用量に依存的であった。TNFα生産の阻害に基づき、N-グリコリル
ノイラミン酸は、癌のような免疫媒介疾患、特にHIVに関連する癌の治療に有用
である可能性もある。
【表18】 U1細胞におけるTNFα生産の阻害
【0066】実施例10−gp120結合の阻害 HIVMNのCEM-SS細胞への結合阻害に対するN-グリコリルノイラミン酸の作用を
調べた。N-グリコリルノイラミン酸の濃度は、10〜200μm/mlの範囲であった。
生理食塩水を対照として用いた。結果を、gp120結合の阻害%として、表19に報
告する。結合の阻害は用量に依存的であった。
【表19】 gp120結合の阻害
【0067】その他の態様 本発明は、本発明の詳細な説明と組み合わせて説明してきたが、先述の説明は
例示を意図するもので、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は
添付の特許請求の範囲により定義されることを理解されるべきである。他の局面
、利点、及び改変は特許請求の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はN-グリコリルノイラミン酸で処理したHIV感染CEM-TART細
胞の逆転写酵素アッセイ法を示すグラフである。
【図2】 図2はLUKORのHPLCプロファイル(C18カラム;0.1%TFA/水、及び
0〜100%ACN勾配;UV検出A280)を示すクロマトグラムである。
【図3】 図3A〜3CはLUKOR、N-グリコリルノイラミン酸、及びN-アセチル
ノイラミン酸でそれぞれ処理した感染細胞における逆転写酵素活性を示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/16 A61P 31/16 31/18 31/18 31/22 31/22 33/00 33/00 33/06 33/06 35/00 35/00 43/00 111 43/00 111 121 121 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C057 AA03 AA05 AA18 BB02 CC03 GG03 4C084 AA01 AA02 AA03 AA19 BA44 CA62 DC43 DC50 MA02 MA13 MA17 MA22 MA23 MA28 MA32 MA35 MA36 MA37 MA41 MA43 MA52 MA59 MA63 MA66 NA05 NA14 ZB262 ZB332 ZB352 ZB372 ZC552 ZC752 4C086 AA01 AA02 EA02 MA01 MA02 MA04 MA05 MA13 MA17 MA22 MA23 MA28 MA32 MA35 MA36 MA37 MA41 MA43 MA52 MA59 MA60 MA63 MA66 NA14 ZB26 ZB33 ZB35 ZB37 ZB38 ZC55 ZC75

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウイルス感染を予防または治療するのに有効な量のN-グリ
    コリルノイラミン酸またはその誘導体を、被験者に投与することを含む、被験者
    のウイルス感染を予防または治療する方法。
  2. 【請求項2】 ウイルス感染が被膜レトロウイルスからである、請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】 ウイルス感染がHIVからである、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 ウイルス感染が肝炎ウイルスからである、請求項1記載の
    方法。
  5. 【請求項5】 ウイルス感染がヘルペスウイルスからである請求項1記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体が静脈内投与
    される請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体が皮下投与さ
    れる請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体が経口投与さ
    れる請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体が吸入により
    投与される請求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体が経皮投与
    される請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 被験者のウイルス感染の存在を監視することをさらに含
    む請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体の量が投与
    あたり約1mgから約1000mgである請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体の量が投与
    あたり約10mgから約100mgである請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体の量が投与
    あたり約30mgから約80mgである請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体の前記量が
    毎日投与される請求項1記載の方法。
  16. 【請求項16】 N-グリコリルノイラミン酸が投与される請求項1記載の
    方法。
  17. 【請求項17】 誘導体がリン酸化N-グリコリルノイラミン酸である請求
    項1記載の方法。
  18. 【請求項18】 誘導体が硫化N-グリコリルノイラミン酸である請求項1
    記載の方法。
  19. 【請求項19】 N-グリコリルノイラミン酸が合成物である請求項16記載
    の方法。
  20. 【請求項20】 N-グリコリルノイラミン酸が生物検体から抽出される請
    求項16記載の方法。
  21. 【請求項21】 患者における免疫媒介疾病を治療するのに有効な量のN-
    グリコリルノイラミン酸またはその誘導体を該患者に投与することを含む、患者
    における免疫媒介疾病を治療する方法。
  22. 【請求項22】 免疫媒介疾病が癌である請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 病原体感染を予防または治療するのに有効な量のN-グリ
    コリルノイラミン酸またはその誘導体を患者に投与することを含む、患者におけ
    る病原体感染を予防または治療する方法。
  24. 【請求項24】 病原体感染が細菌感染である請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】 病原体感染が寄生虫である請求項23記載の方法。
  26. 【請求項26】 病原体感染がインフルエンザである請求項23記載の方法
  27. 【請求項27】 病原体感染がマラリアである請求項23記載の方法。
  28. 【請求項28】 血液産物の輸血に関連する病原体による被験者の感染の
    危険性を軽減または除去するのに有効な量のN-グリコリルノイラミン酸またはそ
    の誘導体を該血液産物に添加することを含む、被験者への輸血を意図する血液産
    物を処理する方法。
  29. 【請求項29】 ウイルス感染を治療するのに有効な量の一次抗ウイルス
    剤及び二次抗ウイルス剤を被験者に投与することを含み、該一次抗ウイルス剤が
    N-グリコリルノイラミン酸またはその誘導体である、被験者のウイルス感染を治
    療する方法。
  30. 【請求項30】 一次抗ウイルス剤及び二次抗ウイルス剤が互いに結合し
    ている請求項29記載の方法。
  31. 【請求項31】 二次抗ウイルス剤が逆転写酵素阻害剤またはプロテアー
    ゼ阻害剤である請求項29記載の方法。
  32. 【請求項32】 医薬品における使用を目的とするN-グリコリルノイラミ
    ン酸。
  33. 【請求項33】 ウイルス感染の治療における使用を目的とするN-グリコ
    リルノイラミン酸。
  34. 【請求項34】 ウイルス感染を治療するための薬物の製造におけるN-グ
    リコリルノイラミン酸の使用。
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