JP2002523721A - 一次および二次パイロットバーナを備えたバーナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 主バーナ（１）と、主バーナの燃焼を開始および／又は安定化するために使われ、主バーナの中央に配置される一次パイロットバーナ（１５）とを備えた燃焼設備、特にガスタービン燃焼器におけるバーナ装置に関する。補助的に燃焼を安定化し、燃焼設備におけるうなり音を減少しそしてバーナの部分範囲への火炎の逆流を防止するため、主バーナの出口範囲に、二次パイロットバーナを形成する多数の出口開口（１０）を配置する。二次パイロットバーナの火炎は、主火炎を輪のように包囲し、種々の負荷状態において運転を補助的に安定化させる。特に、バーナ装置のベース負荷において必要とされる燃料量の０〜１０％を、二次パイロットバーナを介して導入し、それに応じて中央の一次パイロットバーナには少量の燃料を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、主バーナと、この主バーナの燃焼を開始および／又は安定化するた
めに使われ、主バーナ内の中央に配置される一次パイロットバーナとを備えた燃
焼設備、特にガスタービン燃焼器におけるバーナ装置に関する。更に本発明は、
このバーナ装置の運転方法に関する。

【０００２】 冒頭に述べた形式のバーナ装置は、しばしば種々の燃料および種々の運転様式
に対応するように設計されている。有害物の放出に対する世界的に厳しい規定に
関して、有害物の放出を少なくすべく、バーナ装置における配置構造および運転
様式を改善するために、大いな努力が払われている。

【０００３】 ＮＯ_x発生量が少ない、特に環境に優しいバーナは、ヨーロッパ特許第０１０
８３６１号および同第０１９３８３８号明細書で知られている。本発明は正にそ
のようなバーナの改善をも問題にしているので、上述の特許明細書の内容も参照
されたい。

【０００４】 ドイツ特許第１９６１０９３０号明細書は、発熱用バーナを開示している。主
に燃焼空気流用の旋回発生器と燃焼空気流への燃料注入装置とから成るバーナに
おいて、上述の旋回発生器の下流に混合領域が配置されている。この混合領域は
その第１部分領域の内部に流れ方向に延びる多数の移送通路を有する。これらの
移送通路は、旋回発生器で形成された流れを後続の混合管の中になめらかに移送
することを保証する。この混合管の燃焼器への流出平面は接続縁で形成されてい
る。この接続縁は流れ内に生ずる逆流域を安定化し、遅延するために使われる。
混合領域に対して同心的に、多数の混合要素が設けられている。これらの混合要
素は、燃焼空気と燃料との混合気を形成するために使われる。それぞれの混合要
素からの混合気はそれぞれ燃焼器のパイロット段を形成する。

【０００５】 公知のバーナ装置において、構造的処置および運転様式によってバーナの危険
な状態を十分に防止できるが、バーナ装置が予混合運転で運転されるとき、即ち
燃料および空気が燃焼領域の前で互いに緊密に混合されるとき、燃焼設備におけ
る燃焼が変動し、ときどき不安定となることがあり、これは例えば燃焼設備のう
なりとして現れる。またときに、火炎がバーナの或る部分領域に逆流することが
あり、これは、それによってバーナ構造部品における温度上昇をひき起こし、そ
の際に生ずる有害物質の発生量を増大するので、望ましくない。

【０００６】 本発明の課題は、公知のバーナ装置において、燃焼の安定度を向上し、これに
よって燃焼の不安定およびバーナの部分領域への火炎の逆流による燃焼設備のう
なりを防止することにある。

【０００７】 この課題は本発明に基づいて、請求項１に記載のバーナ装置および請求項１１
記載のバーナ装置の運転方法によって解決される。

【０００８】 本発明の有利な実施態様は従属請求項に記載してある。

【０００９】 燃焼設備、特にガスタービン燃焼器に対するこのようなバーナ装置は、主バー
ナと、この主バーナの燃焼を開始および／又は安定化するために使われ、主バー
ナ内の中央に配置される一次パイロットバーナとを有している。運転様式および
燃料供給の様々な方式のためにハイブリッドバーナとも呼ばれるこのようなバー
ナの詳細は、ヨーロッパ特許第０１０８３６１号および同第０１９３８３８号明
細書に記載されている。本発明に基づき、この種のバーナ装置に補助的に二次パ
イロットバーナが装備される。この二次パイロットバーナは、主バーナの出口範
囲に多数の出口開口を有する。これらの出口開口から流出する燃料ないし空気と
燃料との混合気により、火炎輪が生ずる。この火炎輪は、主バーナから流出する
火炎をほぼ環状に包囲し、これを補助的に安定化させる。一次パイロットバーナ
は中央でほぼ内側から燃焼を支援するが、従来技術におけるバーナが有するよう
な再循環燃焼原理に不利な影響を及ぼすことなく、二次パイロットバーナが外側
から安定化に貢献する。むしろ、バーナの火炎における安定燃焼に対して重要な
外側再循環領域は、二次パイロットバーナにより強化される。

【００１０】 特に好適には、二次パイロットバーナが主バーナの出口範囲の環状通路により
形成され、この環状通路が燃料供給管に接続され、出口開口に連通する。環状通
路は、主バーナの出口範囲をいわばカラーのように包囲する。このカラー内に出
口開口が配置され、好適には内側において出口範囲の中心方向に向けられる。

【００１１】 出口開口の数も横断面積も制限されないようにするため、本発明の有利な実施
態様において、環状通路を下側環状通路と上側環状通路とに分け、これらの上下
両環状通路を絞りを介して互いに接続し、上側環状通路を燃料供給管に接続し、
下側環状通路を出口開口に連通させる。かくして、二次パイロットバーナの燃料
量は絞りにより決定され、出口開口の横断面積および数で決定されない。この結
果、下側環状通路は共振室の如く作用し、出口開口から流出する燃料量は外圧に
よる影響を受ける。即ち、この下側環状通路を適当に設計し寸法づけた際、圧力
振動、即ち例えばバーナ装置がうなりを生じたときに、強い減衰作用をする。

【００１２】 本発明に基づいて、出口開口を、主バーナの出口範囲にほぼ等間隔で環状に配
置すると有利である。この配置は全ての側において対称であり、全面的に一様に
安定化させる。

【００１３】 あるいはまた、出口開口を主バーナの出口範囲に異なった間隔で環状に配置す
ることもできる。これは特に複数のバーナを備えたバーナ装置において、２つの
バーナが非常に接近している範囲内に出口開口が集中する危険を避けるために価
値がある。更に出口開口の不均一な分布は、圧力衝撃の際に、個々の出口ノズル
まであるいはそこからの異なった距離による圧力波の異なった経過時間を生ずる
ので、ほんの僅かに振動発生傾向を有し、これによって、均一な分布よりも不安
定化を生ずる。これは少なくとも部分的にそのような圧力波の相互消滅を生じ、
これによって不安定性を低減する。

【００１４】 出口開口の形状に関しても、広い選択の余地がある。特に好適には本発明に基
づいて、特に単純に製造できる円形あるいは楕円形が選ばれる。

【００１５】 しかしバーナの幾何学形状に応じて、出口開口は多角形縁を有し、特にガス流
方向に尖った三角形とするのが良い。

【００１６】 二次パイロットバーナ付きのバーナ装置は、本発明に基づいて、バーナ装置の
ベース負荷において必要とされる燃料量の０〜１０％が、特に燃料ガスの形で出
口開口に導入されるように、設計される。バーナ装置の運転様式に応じ、本発明
に基づいて、いまや二次パイロットバーナで支援される中央の一次パイロットバ
ーナをその燃料供給について、パイロットバーナを通して導入される燃料分量を
全体として過度に高める必要がないようにするために絞ることに意味がある。

【００１７】 従来のバーナ装置の場合、主バーナと一次パイロットバーナとが予混合運転、
拡散運転あるいはこれらの両運転方式の混合運転で運転され、その主バーナおよ
び一次パイロットバーナは、液体燃料および気体燃料による選択的な運転に対し
ても設計できる。これら全ての運転様式は、本発明に基づくバーナ装置でも可能
である。追加的に、二次パイロットバーナを燃料と空気との予め混合された混合
気で予混合バーナとして運転することもでき、これは特に窒素酸化物の発生を減
少するのに貢献する。

【００１８】 本発明は、燃焼室における不安定性、これに伴ううなりおよびバーナの部分領
域における火炎の逆火を防止するためのバーナ装置の運転方法に関する。このバ
ーナ装置は、一次パイロットバーナで安定化される主バーナを有し、本発明に基
づいて、主バーナの火炎が二次パイロットバーナによって補助的に安定化され、
二次パイロットバーナが、主バーナの出口範囲の周りに分布された多数の出口開
口を有し、これらの出口開口に、燃料あるいは燃料混合気が別個に制御あるいは
調整して供給される。この本発明に基づく方法は、バーナ装置の、特に確実で環
境に優しい制御に対する別のパラメータを生ずる。外側二次パイロットバーナに
よる主バーナの火炎の安定化は、燃焼装置におけるうなりのような不安定な運転
状態を防止し、従ってバーナの部分範囲への火炎の逆火も防止する。

【００１９】 以下図に示した本発明の有利な実施例について詳細に説明するが、本発明はこ
れに限定されるものではない。

【００２０】 図１には、例えばヨーロッパ特許第０１９３８３８号明細書に示されたバーナ
装置の下部を示す。この明細書に示された構成要素は従って概略的に示し、また
一部を省いてある。

【００２１】 このバーナ装置の負荷運転中、主バーナ１に主燃焼空気２が供給され、主気体
燃料噴射装置３に燃料ガスおよび／又は主燃料油噴射装置４に燃料油が注入され
る。これは特に対角線格子の形をした主旋回発生器５の範囲で行われる。このよ
うにして、有害物質発生の少ない燃焼が達成されるように、燃料が主燃焼空気と
混合される。主火炎を点火しおよび／又は安定化するためのパイロットバーナ１
５が、公知のように主バーナ１の中央に存在している。燃焼空気は空気通路６を
通して導入される。このパイロットバーナ１５を拡散バーナとして運転するため
に、中央燃料通路７が存在している。パイロットバーナ１５を予混合バーナとし
ても運転できるようにするため、補助的な外側燃料通路８が存在する。基本的に
この公知のバーナ装置は、種々の燃料を利用し、非常に様々な運転様式で運転さ
れ、従ってこのようなバーナはハイブリッドバーナとも呼ばれる。

【００２２】 本発明に基づき、主バーナ１の下側外縁に環状通路９が存在する。環状通路９
は主バーナ１の出口部位に環状に配置され、出口開口１０に連通している。これ
ら出口開口１０の間隔は、必要に応じ等しい又は異なる間隔とされる。これら出
口開口１０の形状および断面積も、必要に応じ広い限度内で変えられる。その場
合、一様に分布した円形の出口開口１０が特に有利である。この実施例において
、出口開口１０の燃料供給装置は下側環状通路９を有し、この通路９は絞り１２
を介して上側環状通路１１に連通している。この通路１１には、燃料供給管１３
および弁１４を介し、燃料、好適には燃料ガスが供給される。この実施例の場合
、絞り１２で主圧力損失が生じ、上側環状通路１１の圧力はほぼ一定している。
下側環状通路９は、主バーナの火炎における外側圧力振動を部分的に補償し、か
くして共振室として作用する。火炎の圧力が高いときには、二次パイロットバー
ナの出口開口１０を通して瞬間的にほんの僅かな燃料しか供給されず、外側圧力
が低下した際、多量の燃料ガスが補給される。この挙動は外側振動を減衰し、従
って燃焼設備における火炎が不安定になった際にうなりが生ずるのを防ぐ。

【００２３】 本発明は、ガスタービンの燃焼器におけるバーナ装置を補助的に安定化するた
めに適用され、バーナ装置における火炎の逆火を防止し、あるいはそれにより生
ずるうなりを少なくとも低減する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に基づくバーナ装置の下部の概略断面図。

【符号の説明】

１ 主バーナ ２ 主燃焼空気 ３ 主燃料ガス噴射装置 ４ 主燃料油噴射装置 ９ 下側環状通路 １０ 出口開口 １１ 上側環状通路 １２ 絞り １３ 燃料供給管 １５ パイロットバーナ

Claims (11)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 主バーナ（１）と、この主バーナ（１）の燃焼を開始および
   ／又は安定化するために使われ、主バーナ（１）内の中央に配置される一次パイ
   ロットバーナ（１５）とを備えた燃焼設備、特にガスタービン燃焼器におけるバ
   ーナ装置において、主バーナ（１）の出口範囲に、多数の出口開口（１０）を備
   える二次パイロットバーナが配置されていることを特徴とするバーナ装置。
2. 【請求項２】 主バーナ（１）の出口範囲に環状通路（９、１１）が配置さ
   れ、この環状通路（９、１１）が燃料供給管（１３）に接続され、出口開口（１
   ０）に連通していることを特徴とする請求項１記載のバーナ装置。
3. 【請求項３】 環状通路が下側環状通路（９）と上側環状通路（１１）とを
   有し、これらの上下両環状通路（９、１１）が絞り（１２）を介して互いに接続
   され、上側環状通路（１１）が燃料供給管（１３）に接続され、下側環状通路（
   ９）が出口開口（１０）に連通していることを特徴とする請求項１又は２記載の
   バーナ装置。
4. 【請求項４】 出口開口（１０）が主バーナ（１）の出口範囲にほぼ等間隔
   で環状に配置されていることを特徴とする請求項１ないし３の１つに記載のバー
   ナ装置。
5. 【請求項５】 出口開口（１０）が主バーナ（１）の出口範囲に異なった間
   隔で環状に配置されていることを特徴とする請求項１ないし３の１つに記載のバ
   ーナ装置。
6. 【請求項６】 出口開口（１０）が円形あるいは楕円形であることを特徴と
   する請求項１ないし５の１つに記載のバーナ装置。
7. 【請求項７】 出口開口（１０）が多角形縁を有し、特にガス流方向に尖っ
   た三角形であることを特徴とする請求項１ないし５の１つに記載のバーナ装置。
8. 【請求項８】 燃料供給管（１３）、環状通路（９、１１）および出口開口
   （１０）が、バーナ装置のベース負荷において必要とされる燃料量の０〜１０％
   を、特に燃料ガスの形で出口開口（１０）に導入するように設計されていること
   を特徴とする請求項１ないし７の１つに記載のバーナ装置。
9. 【請求項９】 主バーナ（１）および一次パイロットバーナ（１５）が、予
   混合運転、拡散運転あるいは前記両運転様式の混合運転で運転され、主バーナ（
   １）および一次パイロットバーナ（１５）が、液体燃料あるいは気体燃料で選択
   的に運転できるように設計されていることを特徴とする請求項１ないし８の１つ
   に記載のバーナ装置。
10. 【請求項１０】 二次パイロットバーナが、燃料および空気の予混合気で予
    混合バーナとして運転されることを特徴とする請求項１ないし９の１つに記載の
    バーナ装置。
11. 【請求項１１】 一次パイロットバーナ（１５）で安定化される主バーナ（
    １）を有するバーナ装置の、特に火炎の逆火およびこれに伴ううなりを防止する
    ためのバーナ装置の運転方法において、主バーナ（１）の火炎を二次パイロット
    バーナによって補助的に安定化し、二次パイロットバーナが、主バーナ（１）の
    出口範囲の周りに分布された多数の出口開口（１０）を有していて、これらの出
    口開口（１０）に、燃料あるいは燃料混合気を別個に制御あるいは調整して供給
    することを特徴とするバーナ装置の運転方法。