JP2002523090A - 異種gタンパク質共役受容体の増強された機能的発現 - Google Patents

異種gタンパク質共役受容体の増強された機能的発現

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、構成的に活性な変異型Gタンパク質共役受容体、かかる受容体を発現する酵母細胞、かかる細胞を作出するのに有用なベクター、ならびにそれを作出および使用する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】
発明の分野 本発明は活性化リガンドの不在下で受容体の機能的活性の検出を可能にする、
構成的に活性化させる突然変異を含む変異型Gタンパク質共役受容体、Gタンパ
ク質共役受容体の機能的活性を促進する突然変異を含む宿主細胞、かかる受容体
を発現する宿主細胞、かかる細胞を作出するのに有用なベクター、ならびにそれ
を作出および使用する方法に関する。本発明はまた、改変型Gαタンパク質およ
び特にキメラ酵母−哺乳類Gαタンパク質、これらの改変型Gαタンパク質を発
現する宿主細胞、かかる細胞を作出するためのベクター、ならびにそれを作出お
よび使用する方法に関する。
【0002】 背景技術 神経伝達物質、ホルモン、臭気物質、および光などの多くの細胞外シグナルの
作用は三つ組のタンパク質によって媒介されており、これは酵母から哺乳類にい
たる生物において同定されている。この三つ組は三量体グアニンヌクレオチド結
合性調節タンパク質(Gタンパク質)に結合した受容体からなり、これが次に細
胞のエフェクターと結合する。これらの受容体は7つのトランスメンブラン・ド
メインを有し、それらのGタンパク質との会合のために「Gタンパク質共役受容
体」(「GPCR」)と名づけられている。
【0003】 調節Gタンパク質は3つのサブユニット:グアニルヌクレオチド結合性αサブ
ユニット;βサブユニット;およびγサブユニットからなる(B.R. Conklin and
H.R.Bourne(1993))。Gタンパク質はGDPまたはGTPがαサブユニットに結
合しているかどうかによって2つの形態の間を循環する。GDPが結合している
場合には、Gタンパク質はへテロ三量体であるGαβγ複合体として存在する。
GTPが結合している場合には、αサブユニットは解離し、Gβγ複合体が残る
。重要なことに、Gαβγ複合体は細胞膜において活性化されたGタンパク質共
役受容体と機能し得る形で会合し、GTPと結合型GDPの交換率が高まるので
、Gβγ複合体からの結合したGαサブユニットの解離率も高まる。遊離Gαサ
ブユニットおよびGβγ複合体はシグナルを種々のシグナル変換経路の下流エレ
メントに伝達することができる。これら下流の細胞エフェクタータンパク質の例
としては、中でも、アデニレートシクラーゼ、イオンチャンネルおよびホスホリ
パーゼが挙げられる。現象のこの基本的なスキームが種々の細胞シグナル伝達現
象の多様性の基礎をなしている(H.G. Dohlman et al. (1991))。
【0004】 重要な生化学経路におけるそれらの遍在性により、Gタンパク質共役受容体は
新規治療薬の重要な標的に相当する。次に、かかる薬剤の発見には高い特異性の
スクリーニングアッセイおよび処理用語で高処理量スクリーニング(HTS)ア
ッセイが必ず必要となろう。Gタンパク質共役受容体の機能的発現がなされるよ
う遺伝的に改変された酵母系統などの微生物を利用するスクリーニングアッセイ
は種々の病状に関係する多数の受容体へのリガンド結合に関する研究に著しい利
点を与える。
【0005】 これらのスクリーニングアッセイは所望の宿主細胞におけるGタンパク質共役
受容体の機能的発現に頼るものである。野生型Gタンパク質共役受容体の機能的
発現は、酵母がGタンパク質共役受容体およびヘテロ三量体Gタンパク質を利用
して接合過程を調節するという観察結果に基づいてサッカロミセス・セレビシエ
細胞系おいて開発された、M. Pausch (1997)。半数体酵母細胞はSTE2および
STE3遺伝子によってコードされるGタンパク質共役フェロモン受容体への結
合を通して、可能性ある接合パートナーによって分泌されたペプチド接合フェロ
モンの存在を認める。活性化されたフェロモン受容体はGPA1(α)、STE
4(β)およびSTE18(γ)遺伝子によってコードされるヘテロ三量体Gタ
ンパク質の解離を触媒する。それにより、Gpalpによって媒介される負の調
節が軽減され、Ste4pおよびSte18pからなる複合体が有糸***活性化
タンパク質キナーゼ(MAPキナーゼ)経路のシグナル伝達経路構成エレメント
の活性化が可能となる(M.C. Gustin et al. (1998))。この経路はFUS3およ
びKSS1遺伝子によってコードされるMAPキナーゼ相同体およびSTE7(
MAPキナーゼまたはMEK)およびSTE11(MEKキナーゼ)遺伝子によ
ってコードされる上流調節タンパク質キナーゼからなる。この経路の活性化の結
果は細胞周期停止状態およびフェロモン応答性遺伝子の転写誘導である。MAP
キナーゼ経路のエレメントの突然変異によりこれらの応答は破壊される。
【0006】 FAR1遺伝子産物はフェロモンに応答した細胞周期停止状態を媒介する。F
AR1はG1サイクリンの負のレギュレーターをコードしており、フェロモン応
答経路と細胞周期調節機構の間の主要な接点として役立っていると考えられてい
る(M.A. Peter et al. (1993))。FAR1遺伝子の欠失により、活性化された接
合シグナル伝達経路の存在下での連続細胞増殖およびフェロモン応答性遺伝子の
転写誘導が見込まれる。
【0007】 フェロモン応答経路の慢性刺激に対する酵母細胞応答としては、特定の細胞脱
感作または適応機構の誘導がある。主要な適応機構はSST2遺伝子産物、原型
のRGSタンパク質によって媒介されている(H.G. Dohlman et al. (1997))。機
能的Sst2pを欠く酵母細胞はフェロモンの存在に対して過敏性を示し、フェ
ロモン誘導性細胞周期停止状態から回復できない。
【0008】 アゴニストに応答する酵母細胞を検出するにはさらなる改変、すなわち、フェ
ロモン応答性レポーター遺伝子の付加が必要である。選択可能な表現型を付与す
るために、ヒスチジン生合成に必要な酵素をコードするHIS3遺伝子のタンパ
ク質コードセグメントを用いてFUS1タンパク質コード領域を置換した。従っ
て、ヒスチジンを含まない培地での増殖に必須であるこの酵素の発現がフェロモ
ン応答経路の活性化に依存してなされる。his3細胞におけるこのFUS−H
IS3レポーター遺伝子のアゴニスト活性化がヒスチジンを含まない培地での増
殖応答をもたらすと予想される。アゴニスト活性化の不在下では、FUS−HI
S3レポーター遺伝子は大部分は不活性であり、わずかなHis3遺伝子産物が
産生されるだけであり、細胞は十分なヒスチジンしを産生できないので増殖でき
ない。ヒスチジンを含むサンプル、例えば天然産物抽出物のスクリーニングを可
能にするには、誘導可能なG418耐性を付与するレポーター遺伝子を誘導して
もよい。この系において機能的なその他のレポーター遺伝子としては大腸菌la
cZが挙げられ、これはβガラクトシダーゼおよび緑色蛍光タンパク質をコード
する。アンタゴニストに関する直接スクリーニングは安定に合成されたFUS2
−CAN1レポーター遺伝子を用いて達成することができる。
【0009】 この技術はこれまでに酵母において発現された、ソマトスタチンSST2、ア
デノシンA2a、コレシストキニンCCK−Bおよび増殖ホルモン放出ホルモン
受容体を同定するために用いられている(L.A. Price et al. (1995), L.A. Pric
e et al. (1996), M.H. Pausch et al. (1998), E.M. Kajkowski et al. (1997)
)。その使用を通して、新規SSTR2選択性アゴニストおよびアンタゴニスト
が、ソマトスタチンのペプチド類似体を基にしてSARから、R.T. Bass et al.
(1996)、またd−アミノ酸ペプチドライブラリーのスクリーニングによって開
発されている(W.R. Baumbach et al. (1998))。この技術の改良法がLPAのリ
ガンド、メラトニンおよびケモカイン受容体を同定するために用いられている(J
.R. Erickson et al. (1998), T. Kokkola et al. (1998), C. Klern et al. (1
998), T.J. Baranski et al. (1999))。
【0010】 しかしながら、野生型受容体で形質転換された微生物は増殖アッセイにおいて
、例えば、ヘテロ三量体Gタンパク質と相互作用できないこと、不適当な局在化
および/または脱感作を示して、あまりうまく働かない場合もある。多くのGP
CRは慢性および持続性のアゴニスト刺激に応答してリン酸化されるが、これが
脱感作とそれに続く受容体の隔離またはインターナリゼーションをもたらすこと
も多い。GPCRの脱感作はヘテロ三量体Gタンパク質との相互作用からの解放
を引き起こす。このプロセスはGタンパク質共役受容体キナーゼ(GPK)、タ
ンパク質キナーゼA(PHA)、タンパク質キナーゼC(PKC)およびカゼイ
ンキナーゼ(CK)をはじめとする種々の調節受容体タンパク質キナーゼによっ
て媒介されている。インターナリゼーションは受容体により媒介されるエンドサ
イトーシスによる原形質膜からのGPCRの除去を必要とする。インターナリゼ
ーションを受けた受容体は再循環して細胞表面に戻るか、または分解のためにリ
ソソーム/液胞コンパートメントに送達され得る。ユビキチンによって媒介され
る分解経路もこのプロセスに関与している。受容体リン酸化および隔離/インタ
ーナリゼーションの最終的な結果はしばしば細胞増殖の抑止であり、これにより
スクリーニングアッセイにおける遺伝的に改変された微生物の有用性は著しく低
いものとなる。
【0011】 増殖アッセイにおいて十分に働かないことに加え、その他の問題も多くの野生
型Gタンパク質共役受容体スクリーニングアッセイの有用性を妨げている。ヒト
およびその他の種由来のGPCRをクローニングする最近の努力により、同種リ
ガンドが同定されていないGPCRをコードすると思われる多数のDNA配列の
存在が明らかとなっている。これらのいわゆるオーファン受容体は薬剤発見産業
にとっては興味深い問題である。薬剤スクリーニングアッセイを開発する通常の
方法においては、GPCRは既知の同種アゴニストとともに異種発現系、例えば
哺乳類細胞、酵母などにおいて発現される。GPCRの、細胞内ヘテロ三量体G
タンパク質と機能的に相互作用する能力は、GPCRをその同種アゴニストで活
性化し、次いで結果として得られるGタンパク質により媒介されるエフェクター
酵素活性の活性化を測定することによって決定される。エフェクター活性の活性
化が好結果であればスクリーニングアッセイが有効であると確認され、薬剤開発
者はGPCRが適切に発現され機能的であることが確認できる。オーファンGP
CRに関する問題点はオーファンGPCRの同種アゴニストが知られていないの
で、その発現および機能的活性を確認できないという事実にある。
【0012】
【発明の概要】
本発明の目的はいずれかの真核細胞、好ましくは酵母細胞において実施される
、高処理量スクリーニングアッセイにおいて十分に機能する改変型Gタンパク質
共役受容体およびGタンパク質を提供することである。従って、本発明の第1の
態様は受容体をヘテロ三量体Gタンパク質とより有効に結合させ、かつ/または
細胞脱感作および/もしくは隔離/インターナリゼーション機構と相互作用でき
なくする、かつ/または原形質膜に適当に局在化させることによって、GPCR
の機能を向上させるよう改変されている、Gタンパク質共役受容体をコードする
ヌクレオチド配列に向けられる。好ましい態様では、かかる改変は改変型アゴニ
スト刺激性増殖促進能をもたらす。本発明に包含される、Gタンパク質共役受容
体をコードするヌクレオチド配列の1つの特定の改変は、いずれかの細胞内ドメ
インまたは内部ドメインに隣接する膜領域における変異である。
【0013】 本発明のもう1つの目的は、高処理量スクリーニングアッセイにおいてその特
異的な同種リガンドが未知であったとしても機能し得る改変型オーファンGタン
パク質共役受容体を提供することである。従って、本発明の第2の態様では、本
発明に包含されるGPCRをコードするヌクレオチド配列は受容体活性化に関与
し、構成的に活性なGPCRの産生をもたらすアミノ酸の改変をコードする。か
かる突然変異はGPCR配列全体に生じ得る。特に興味深いものは第2および第
3の細胞内ループに隣接する、およびその内部にある領域ならびにトランスメン
ブランドメイン内の領域における突然変異である。1つの特定の改変として、G
PCR活性化に関与し、DRYボックスとして知られているロドプシンファミリ
ーGPCRに見出された保存されたモチーフ、すなわちアミノ酸残基Asp−A
rg−Tyrをコードする、第2の細胞内ループに隣接するドメインにおける突
然変異がある。
【0014】 本発明はまた、有利なGタンパク質結合特性または酵母細胞脱感作および/も
しくは隔離/インターナリゼーション機構を受けないドメインを提供する異種G
PCRの細胞内ドメインを用いて、注目されるGPCR中の匹敵するドメインが
置換されているキメラGPCRに向けられる。本発明はまた、改変型ヌクレオチ
ド配列を含んでなる発現ベクター、およびそれで形質転換された宿主細胞に関す
る。
【0015】 本発明の第3の態様では、酵母細胞などの宿主細胞は異種GPCRのヘテロ三
量体Gタンパク質への結合の改変を促進し、かつ/あるいは受容体キナーゼまた
は脱感作および/もしくは隔離/インターナリゼーション機構に関するその他の
成分を除去する、欠失または点突然変異によって変異させることができる。本発
明の宿主細胞の1つのかかる改変は膜のステロール類の比率または性質に作用す
る突然変異を含む。本発明の宿主細胞の改変のその他の例としては、(1)異種
GPCRとの結合を改変する、ヘテロ三量体Gタンパク質をコードする宿主細胞
遺伝子における突然変異;(2)受容体リン酸化を減少させる、Gタンパク質共
役受容体キナーゼ、タンパク質キナーゼA、タンパク質キナーゼCおよび/また
はカゼインキナーゼをはじめとする調節受容体タンパク質キナーゼをコードする
遺伝子の突然変異;および(3)受容体隔離/インターナリゼーションおよび/
または分解を低下させる、ユビキチンにより媒介される経路をはじめとするエン
ドサイトーシスおよび/または分解経路の成分をコードする遺伝子の突然変異が
挙げられる。これらの突然変異の結果として、異種GPCRの機能的発現を助け
るよう改変された能力を示す宿主細胞が得られる。
【0016】 本発明の第4の態様はHTSアッセイにおいて十分に機能的なキメラGタンパ
ク質を発現する宿主細胞を提供することである。これらの宿主細胞はGタンパク
質のそこで発現された異種GPCRへの結合の改変を示し、従って、アゴニスト
の不在下で、発現された異種GPCRの結合選択性に関してスクリーニングする
のに、またはオーファンGPCRの機能的発現を証明するのに有用である。1つ
の好ましいキメラGタンパク質はGpa1、酵母Gαタンパク質由来の配列から
なり、それでは5つのカルボキシ末端アミノ酸が、哺乳類およびその他の脊椎動
物種、昆虫およびその他の無脊椎動物種および種々の真菌種由来のものをはじめ
とする種々の異種Gタンパク質αサブユニット由来のもので置換されている。そ
の他の例としては、異種Gαタンパク質由来のカルボキシ末端受容体結合性ドメ
インに結合した、Gpa1由来のアミノ末端Gタンパク質βおよびγサブユニッ
ト結合性ドメインからなるキメラGタンパク質αサブユニットが挙げられる。 本発明のさらなる態様はアゴニストによって活性化された宿主細胞においてオ
ーファンGPCRを機能的に発現させる方法を含む。構成的に活性なGPCRは
アゴニストの不在下で増殖を促進し得るので、それらが機能的に発現されている
ことを証明するものである。機能的発現は、キメラGαタンパク質を含む宿主細
胞において構成的に活性なGPCRを発現させ、それによってGPCR−Gαタ
ンパク質結合選択性を改変することによってさらに増強され得る。両種の実験の
正の結果を組み合わせれば、GPCRは宿主細胞において機能的に発現され得る
という説得力のある証拠が提供される。得られたこの証拠で、GPCRは機能的
に発現されており、リガンドの存在に応答し得るという確信をもって、野生型G
PCRを用いるHTSアッセイを続行することができる。従って、発現された構
成的GPCRを含む宿主細胞は、リガンド結合に関する作用を測定して化合物を
アッセイする改変法に用いてもよい。構成的GPCRの作用に帰することができ
る増殖過剰を促進する化合物はアゴニストであり、増殖を阻害するものはアンタ
ゴニストまたは逆アゴニストであると考えられる。
【0017】
【発明の具体的説明】改変型Gタンパク質共役受容体 Gタンパク質共役受容体をコードするヌクレオチド配列は、受容体をヘテロ三
量体Gタンパク質とより有効に結合させる、かつ/または細胞脱感作および/も
しくは隔離/インターナリゼーション機構と相互作用できなくすることによって
GPCRの機能を向上させるよう改変し、下流のシグナル変換経路を活性化させ
ることができる。より高等な真核細胞では、これらの経路には細胞内の環状AM
P濃度を変化させるアデニルイルシクラーゼの刺激または阻害、細胞内イノシト
ール三リン酸および/またはカルシウムイオン濃度を高める、と同時にGタンパ
ク質により調節されるカリウムおよびカルシウムチャンネル、ナトリウム/水素
交換、ならびにその他の膜局在化シグナル伝達タンパク質の活性化に変化をもた
らすホスホリパーゼCβの刺激が挙げられる。好ましい態様では、かかる改変は
改変型アゴニスト刺激性酵母細胞増殖促進能をもたらす。宿主細胞におけるGP
CR−Gタンパク質結合の改変および/または受容体リン酸化および/もしくは
隔離/インターナリゼーションの排除は有用な酵母細胞増殖応答を刺激できない
野生型異種GPCRの機能を改変する手段を提供する。従って、その野生型形態
では機能できないGPCRが本発明の方法によって働くようになり得る。
【0018】 宿主細胞におけるGPCR−Gタンパク質結合の改変およびまたは受容体リン
酸化および/もしくは隔離/インターナリゼーションの排除は、以下に示される
実施例に記載されたもの、または当業者に公知のものなどの通常の技術を用いる
ことによって評価すればよい。例えば、野生型に対する変異型GPCRの機能の
改変はノイズに対するシグナル率、および/または液体バイオアッセイの感度の
有意な増加として定量できる。ノイズに対するシグナル率はアゴニスト誘導性増
殖率とアゴニストの不在下で認められる増殖率とを比較することによって求めら
れる。変異型GPCRのアゴニスト刺激に起因するノイズに対するシグナル率の
、野生型受容体を含む細胞から得られる同様の値に対する統計的に有意な増加は
変異型GPCRの機能が改変されているということを示す。
【0019】 液体バイオアッセイの感度は半最大増殖率(ED50またはEC50)をもた
らすのに必要なアゴニスト濃度として定義される。野生型GPCRによって必要
とされるよりも統計的に有意に低いアゴニスト濃度で変異型GPCRが半最大増
殖率を示すならばバイオアッセイの感度は、高まっている。
【0020】 同様に、より定量的な寒天ベースのバイオアッセイは、変異型GPCRのアゴ
ニスト刺激によるノイズに対するシグナル率および/または感度の増加を反映す
る。寒天ベースのバイオアッセイでは、ノイズに対するシグナル率の増加は変異
型および野生型受容体の刺激に起因するアゴニスト誘導性増殖領域内の増殖度を
比較することによって求められる。バイオアッセイの感度は増殖領域の半径に比
例する。塗布される化合物は寒天の塗布部位から放射状に拡散するので、アゴニ
スト濃度は増殖領域の半径の二乗で変化する。従って、変異型GPCRのアゴニ
スト活性化に応答した増殖領域が大きくなることは感度の上昇を反映している。
【0021】 本発明の実施には、いずれのGタンパク質共役受容体を用いてもよい。かかる
受容体の例としては、限定されるものではないが、アデノシン受容体、ソマトス
タチン受容体、ドーパミン受容体、コレシストキニン受容体、ムスカリン様コリ
ン作動性受容体、αアドレナリン作動性受容体、βアドレナリン作動性受容体、
アヘン受容体、カンナビノイド受容体、ヒスタミン受容体、増殖ホルモン放出因
子、グルカゴン、セロトニン受容体、バソプレシン受容体、メラノコルチン受容
体、およびニューロテンシン受容体が挙げられる。ある好ましい態様では、受容
体はムスカリン様アセチルコリン受容体であり、より好ましくは、このムスカリ
ン様アセチルコリン受容体はM3サブタイプのものである。
【0022】 同様に、いずれの好適な宿主細胞を本発明の改変型Gタンパク質共役受容体で
形質転換してもよい。好適な宿主細胞の例としては酵母細胞、哺乳類細胞、昆虫
細胞、および細菌細胞がある。好ましくは、宿主細胞は酵母細胞、哺乳類細胞、
または昆虫細胞である。
【0023】 宿主細胞において発現されるGPCRの機能を改変する1つの一般化できる方
法として、Gタンパク質共役受容体の第3の細胞内ドメイン(IC3)配列など
のGPCRの細胞内ドメイン部分の改変または排除によるものがある。脱感作お
よびインターナリゼーション機構はGPCRの細胞内ドメインに作用するので、
GPCRの細胞内ドメインの排除によって、より安定な受容体発現がもたらされ
る。このことは哺乳類細胞で行われた実験において証明されている。受容体イン
ターナリゼーションに関与すると考えられているそれらの第3の細胞内ループの
ドメインを欠くM3サブタイプをはじめとするムスカリン様アセチルコリン受容
体は野生型の対応物よりも高い程度まで原形質膜に維持されている(Moro et al.
(1993))。
【0024】 より有効に機能する公知のGPCRの改変をもたらすこと(例えば改変型のア
ゴニスト刺激性増殖促進能を有すること)に加え、本発明はまた、その機能的活
性がたとえその同種のリガンドが未知であったとしても証明できるオーファンG
PCRの改変を提供する。GPCR活性機構の調査はGPCRとGタンパク質と
リガンドとの間の共同の相互作用を説明する三元モデルの提案するに至った(Get
her and B.K. Kobilka (1998))。この提案では配位していないGPCRはそれ自
体独特の状態、すなわち少なくとも他の2つの平衡状態に遷移中にあり得るR、
アゴニストによって安定化される活性状態であるR、および逆アゴニストによ
って安定化される不活性状態であるRで見られる可能性がある。活性状態とは
ヘテロ三量体Gタンパク質、それに続くエフェクター酵素活性を刺激し得る形態
である。R状態にあるGPCRはそれら自体、他の状態との平衡状態で見られる
ので、リガンドの不在下でRまたはRのいずれかへの自然の遷移を受け得る
【0025】 GPCR活性化の実験的分析で構成的に活性なGPCR変異体(CAM)の発
見に至った。CAM GPCRは野生型受容体と比較して固有の活性を高めたが
、これはRからRのRに向かう平衡状態のシフトと一致し、その結果、アゴ
ニストの不在下で野生型よりも遥かに活性の高いCAM GPCRをもたらす。
これによりCAM GPCRはアゴニストに依存的に細胞内ヘテロ三量体Gタン
パク質と相互作用してこれを活性化することができるようになる。下流で活性化
されるエフェクター酵素はGPCRの固有の活性の間接的測定として用いること
ができる。このようにCAM GPCRは同種のアゴニストを用いる活性化に頼
らずに機能し得ることが示されるかもしれない。CAM GPCRのR状態の
平衡特性によれば、逆アゴニストが活性化を逆転してR状態を安定化させ、C
AM GPCRを効果的に不活性化し得る。中性のアゴニスト、すなわちアゴニ
ストの結合を阻害してGPCRの構成的活性レベルに作用することなくアゴニス
トを逆転する薬剤は受容体の活性化状態には作用しない。
【0026】 GPCRの異なるいくつかのドメインは活性化プロセスに役割を果たしている
(U. Gether and B.K. Kobilka (1998))。特に注目されるのはGPCRの第2お
よび第3の細胞内ループに隣接する、またその内部のドメインである。第2の細
胞内ループに隣接し、トランスメンブランドメイン3(TMD3)の細胞質側に
あるのはDRYモチーフであり、これはロドプシンGPCRファミリーで高度に
保存されている。酸性のアスパラギン酸残基が陽子を得ると受容体が活性化する
と考えられる。実際に、α1aアドレナリン作動性受容体におけるこの残基の突
然変異は受容体を構成的に活性なものとする(A. Scheer and S. Cotecchia (199
7))。最大程度の構成的活性化はAsp残基に取って代わるアミノ酸の疎水性と
相関している。従って、Asp残基を位置指定突然変異誘発法によって疎水性I
le、Leu、MetまたはVal残基で置換すると、CAMα1aアドレナリ
ン作動性受容体が得られる。
【0027】 第3の細胞内ループもまたGPCR活性化に役割を果たしている(Lefkowitz e
t al. (1993))。このドメインのC末端部分における突然変異はCAMを作出す
る作用を有している。第3の細胞内ループにおけるα1aアドレナリン作動性受
容体とα2aアドレナリン作動性受容体の双方における位置指定突然変異は、お
そらくはこのドメインに維持される活性化上の拘束が解除させることによって構
成的活性をもたらす作用を有する。従って、本発明は構成的活性化をもたらすよ
うに改変されたGPCRを包含する。好ましい改変はGPCRのDRYボックス
または第3の細胞内ループに対してなされ、構成的に活性な受容体が得られる。
【0028】 膜にまたがるらせんもリガンド結合とGPCRの活性化に役割を果たしている
。受容体の活性化におけるこれらのドメインの役割はトランスメンブランらせん
において突然変異を構成的に活性化する存在によって示される(Pauwels and T.
Wurch (1998))。実際に、受容体を構成的に活性化する突然変異は第6および第
7のトランスメンブランらせんで見出されている。
【0029】 第3のトランスメンブランらせん内では、重要なアスパラギン酸残基が、生物
起源のアミンリガンドおよびいくつかのペプチドのそれらと同種のGPCRへの
結合に関与することが知られている。トランスメンブランらせん7におけるこの
アスパラギン酸残基とリジン残基間の塩橋はα1アドレナリン作動性受容体の活
性を制限する(Porter et al. (1998))。この塩橋の形成を妨げる突然変異が構成
的な活性化をもたらす。興味深いことに、トリエチルアミンは部分アゴニスト同
様に働き、塩橋の制限の形成を妨げる。このような機構は、その第3のトランス
メンブランドメインに重要なアスパラギン酸残基を有するいずれのGPCRを活
性化するにも有用であり得る。
【0030】 第3のトランスメンブランドメイン内でさらなるアミノ酸残基を変異させて構
成的活性をもたらしてもよい。酵母に基づく遺伝子スクリーニングを用い、C5
a受容体の第3のトランスメンブランらせん内の2つの保存されているアミノ酸
における突然変異で構成的活性が得られる(Baranski et al. (1999))。この突然
変異は疎水性のアミノ酸残基を親水性の特徴を有するもので置き換えることであ
った(I124N、L127Q)。疎水性の特徴はほとんどのGPCRにおいて
同様の位置で保存的であるので、これらの残基を親水性の特徴を有するものへ改
変することは、GPCRを活性化するために一般化できるであろう。
【0031】 第6のトランスメンブランドメインにおける突然変異もまた、構成的活性をも
たらすことが証明されている。m5ムスカリン様アセチルコリン受容体では、第
6のトランスメンブランドメインの系統的突然変異誘発により、構成的変異のホ
ットスポットが明らかになった(Spalding et al. (1998))。第6のトランスメン
ブランドメインのある面に一列に並んでいるアミノ酸残基のクラスターは、GP
CR活性化に関与するリガンド依存性のスイッチの形成に関与するものと思われ
る。このホットスポットの同定により、第6のトランスメンブランドメインの他
の受容体の突然変異がGPCRを活性化するために一般化できる方法をもたらす
ことが示唆される。さらに、ユビキチンにより媒介される、またはユビキチン依
存性の分解に作用する受容体における突然変異はシグナル伝達を増強するのに望
ましいものであると考えられる。さらに詳しくは、PEST分解シグナルを変更
するSTE2またはSTE3におけるものと類似の突然変異が最も有用であろう
【0032】宿主細胞の改変 本発明はまた、Gタンパク質共役受容体をより効果的に発現させるように宿主
細胞遺伝子を変異させる、または宿主細胞環境を操作することによる、宿主細胞
に対する改変を包含する。好適な宿主細胞の例としては酵母細胞、哺乳類細胞、
昆虫細胞および細菌細胞が挙げられる。
【0033】 M.S. Brown and J.L. Goldstern (1976)の先駆的な研究以来、膜の特徴がエン
ドサイトーシス、すなわち種々の受容体のインターナリゼーションに作用し得る
ものと考えられている。膜におけるステロール類の比率または性質に作用するM.
S. Brown and J.L. Goldstern (1976)およびK. Tomita et al. (1985)により記
載されたもののような突然変異、またはA. Grider et al. (1996)によって記載
されたもののような処理はエンドサイトーシス効率を変化させる。ステロールの
涸渇も細胞へのウイルス侵入に作用し得る(M.T. Marquardi and M. Kielian (19
96))。哺乳類膜のコレステロールは少なくとも2つの機構、すなわち膜の流動性
の変化および/または特異的な受容体−ステロール相互作用によりGタンパク質
共役受容体の機能を調整することができる(G. Gimple et al.)。さらに詳しくは
、受容体により媒介されるエンドサイトーシスはGタンパク質共役受容体の再循
環のための主要な機構であり、継続的なリガンドの存在に対して脱感作をもたら
すことが知られている。酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces serev
isiae)では、膜のステロールの性質を変化させるerg6遺伝子における突然変
異は、小胞体−ゴルジ体分類における欠損を抑制する(K.G. Hardwick and H.R.B
. Pelham (1994))。最後に、酵母ステロール変異体はエンドサイトーシスおよび
接合効率に欠陥があると報告されている(H. Riezman et al. (1997); R. Gaber
et al. (1989))。
【0034】 宿主細胞膜におけるステロール類の比率または性質の変化はいくつかの方法で
変更でき、これらも本発明の範囲内にある。上記のように、このステロール比率
の変化に作用する機構の1つとして、宿主細胞遺伝子の突然変異によるものがあ
る。あるいは、環境における変化も原形質膜におけるステロールの性質および比
率を変化させてGタンパク質共役受容体をより効率的に発現させることができ、
これらも本発明の範囲内に包含される。
【0035】 erg6欠失法による細胞ステロールの変更の他、好適な宿主細胞改変の他の
例としては、限定されるものではないが、(1)GPCRシグナル伝達に作用す
る種々のステロール変化を有する細胞をもたらす、erg2、erg3、erg
4およびerg5などの他のステロール酵母変異株の使用、および(2)外から
加えたステロールの存在下で細胞を増殖させる酵母変異株の使用が挙げられる。
具体的には、SUT1、PDX3、UPC1またはUPC2(UPC20)遺伝
子における変異は、外から加えたステロールの存在下で宿主細胞を増殖させる有
用な変異体を提供する。さらに、heme(hem)変異体のいずれを使用して
もよく、特にhem1およびhem3変異体が外から加えたステロールの存在下
で宿主細胞を増殖させる。外から加えられる好適なステロールとしては、限定さ
れるものではないがコレステロールがあり、細胞が増殖する培地に加えられる。
細胞はかかるステロールを膜に取り込むので、以下の実施例で記載されるものと
同様の方法で、異種で発現したGPCRシグナル変換をこれらの細胞でアッセイ
される。
【0036】 宿主細胞ステロールの改変の他、本発明の宿主細胞に対する改変の他の例とし
ては、異種GPCRとの結合を向上させるヘテロ三量体Gタンパク質をコードす
る宿主細胞遺伝子における突然変異;Gタンパク質共役受容体キナーゼ、タンパ
ク質キナーゼA、タンパク質キナーゼCおよび/またはカゼインキナーゼをはじ
めとする調節受容体タンパク質キナーゼをコードする遺伝子の、受容体のリン酸
化を減少させる突然変異;ならびにユビキチンにより媒介される経路をはじめと
するエンドサイトーシスおよび/または分解経路の成分をコードする遺伝子にお
ける、受容体の隔離/インターナリゼーションおよび/または分解を低下させる
突然変異が挙げられる。さらに詳しくは、多くの遺伝子における条件付き変異ま
たは機能獲得変異もしくは機能喪失変異はフェロモン経路のシグナル伝達の増強
ももたらし得る。かかる突然変異は、再循環する受容体を含み得る小胞体の分類
に作用することにより直接的または間接的にエンドサイトーシスに作用する。こ
の点で最も有用であると考えられる遺伝子としては、限定されるものではないが
、ASG7、DNM1、STE5、CDC5、CDC30、DPM1、CAS1
、SSO1、SSO2、SEC9、SRO7、RHO3、GCS1、GLO3、
GLL4、AKR1、YCK1、YCK2、END3、UDI1、SCD5、E
ND4、END5、VPS23(=STP22)、SNF7、SNF8、VPS
2、VPS28、VPS1、VPS8、VPS27、VPS36およびKAP1
04が挙げられる。
【0037】キメラGαタンパク質 本発明はまた、Gタンパク質とGタンパク質共役受容体間の結合効率を向上さ
せるキメラGαタンパク質を包含し、従ってこれを用いて宿主細胞におけるGタ
ンパク質共役受容体の機能的発現を増強することができる。好ましい態様では、
キメラGαタンパク質はGPA1対立遺伝子によってコードされる酵母−哺乳類
Gαタンパク質である。
【0038】 GPCRが結合するGタンパク質種はアゴニストの活性化に応答したエフェク
ター産生量を決定する。GPCRのGタンパク質結合特異性を決定する現行の方
法は、複数の哺乳類細胞系統を構築して、いくつかのエフェクタータンパク質の
活性をアッセイする必要があるので、労力と時間がかかるものである。本発明は
単一のキメラGαタンパク質を発現する宿主細胞を用いることによりGPCR/
Gタンパク質結合特異性を決定するプロセスを簡略化かつ迅速化した。これらの
宿主細胞は酵母におけるGPA1遺伝子座など、Gαタンパク質をコードする染
色体の遺伝子座の組込み置換によって構築できる。この組込み置換の目的は、内
因性のアミノ末端Gβγとエフェクター分子相互作用ドメインが哺乳類Gαサブ
ユニット遺伝子由来のDNA配列によってコードされるカルボキシ末端GPCR
G相互作用ドメインと融合している、αタンパク質をコードするキメラ遺伝子を
作り出すことである。
【0039】 酵母では、このようなキメラ遺伝子は好ましくはGPA1遺伝子座に組み込ま
れる。安定状態のGPA1mRNAおよびタンパク質レベルは、接合シグナル変
換経路の活性化程度により決定される(G.F. Sprague et al. (1992), C. Dietze
l et al. (1997), I. Miyajima et al. (1987), M. Nakafuku et al. (1987))
。フェロモンが活性化されない場合、GPA1対立遺伝子は低い基礎発現レベル
を維持する。経路が活性化されると、GPA1mRNAおよびタンパク質レベル
は数倍高まり、応答の感受性に即座の増強をもたらす。さらにヘテロ三量体複合
体のGβγサブユニットと相互作用するのに必要なものより過剰量のGPA1レ
ベルの増強はこの経路のダウンレギュレーションをもたらす。従って、接合応答
過程でのGPA1レベルの適当な調節は応答の感受性および持続時間の決定に重
要である。
【0040】 本発明のキメラGPA1遺伝子は、GPA1のアミノ末端Gβγおよびエフェ
クター分子をコードする配列であって、限定されるものではないが、Gαi2、
Gαi3、Gα0、Gαs、Gαq、Gαz、Gα11、Gα11、Gα12、
Gα13、Gα14、Gα15およびGα16をはじめとする哺乳類Gタンパク
質αサブユニット由来のカルボキシ末端をコードする別の配列と融合した配列を
含み得る。あるいは、5カルボキシ末端アミノ酸をコードする配列は、限定され
るものではないが、Gαi2、Gαi3、Gα0、Gαs、Gαq、Gα11、
Gαz、Gα12、Gα13、Gα14、Gα15およびGα16をはじめとす
る哺乳類Gタンパク質αサブユニット由来の配列をコードする同等のもので置換
してもよい。
【0041】 キメラGαタンパク質は、限定されるものではないが、ラット・ソマトスタチ
ンSSTR2、ラット・アデノシンA2a、ラット・ムスカリン様アセチルコリ
ンM2およびM3、D.メラノガスタームスカリン様アセチルコリンM1、ラッ
ト・ニューロテンシンNT−1、ヒト・バソプレシンV2、ラット・コレシスト
キニンCCK−AおよびCCK−B、ヒト・ゴナドトロピン放出ホルモンGnR
H、ヒト・メラノコルチンMCR4、ヒト・アドレナリン作動性α2A、アプリ
スタ・カリフォルニカ・オクトパミンOA1、ヒト・ボンベシン受容体関連配列
3(BRS3)、ヒト・ヒスタミンH3、ならびにヒトβ2アドレナリン作動性
受容体をはじめとする種々のGPCRのGタンパク質結合特異性を分析するのに
使用できる。例えば、上記のキメラGPA1遺伝子を含む酵母細胞は異種GPC
Rの発現を付与するプラスミドで形質転換することができる。次ぎに同種のGP
CRアゴニストの活性はフェロモン応答性HIS3レポーター遺伝子の用量依存
的誘導を通して検出できる。従って、キメラGαタンパク質を発現する宿主細胞
は、Gタンパク質共役受容体のGタンパク質結合活性を同定する一般的に有用な
手段を提供する。
【0042】
【実施例】
以下、実施例において、本発明の代表的な態様を詳しく説明する。例1 酵母における変異型ラットM3のムスカリン様アセチルコリン受容体(M
AR)の機能的発現 GPCRの第3の細胞内ループはGタンパク質と相互作用してアゴニスト結合
の際にGタンパク質の活性化に関与すると考えられている(J. Wess(1997))。酵
母接合フェロモン受容体Ste2およびSte3のIC3における突然変異はG
タンパク質の結合に対して著しい影響を及ぼす(C. Boone et al. (1993) and C
. Clark et al. (1994))。重要なことは、哺乳類のMAR、特にラットM3
MARのIC3部分の欠失が、ヘテロ三量体Gタンパク質Gq(Gαβγ)と結
合するための十分な能力を保持する哺乳類細胞における改変された機能的発現と
相関していることである。変異型M3 MARはすべての外部ループを保持して
いる。トランスメンブランドメイン(TMD)およびIC3以外の内部ドメイン
は変化しない。5番目と6番目の膜にまたがるらせんの間に見られるこのIC3
は、改変された唯一のドメインであった。このドメインの大部分、IC3の中心
の96個のアミノ酸(Ala273−Lys469)が欠失しており、5番目お
よび6番目のトランスメンブランらせん双方に隣接したわずか22個のアミノ酸
が残っていた。このように、野生型M3 MARのIC3のアミノ酸が240個
であるのに対し、IC3欠失(IC3Δ)を含むMARの第3の細胞内ループは
44個のアミノ酸長である。機能的発現の改変は、細胞の脱感作機構と相互作用
して、より機能的なMARを細胞表面に持たせることが知られているドメインの
排除によるものかもしれない。
【0043】 このIC3Δ変異も酵母における機能的発現を改変することができるかどうか
を検討するために、標準的な方法により、野生型およびIC3ΔラットM3 M
ARをコードするDNA配列を、酵母発現プラスミドp426GPD中のグリセ
ロール−リン酸デヒドロゲナーゼプロモーターの近位にクローン化した。ラット
M3 MAR配列を、5’BgIII(AAAAGATCT AAA ATG T
AC CCC TAC GAC GTC CCC)(配列番号1)および3’X
hoI(AAA CTCGAG CTA CAA GGC CTG CTC C
GG CAC TCG C)(配列番号2)部位を含むオリゴヌクレオチドを用
いてPCR法により増幅した。得られたPCR産物を適当な制限エンドヌクレア
ーゼで消化し、精製してp426GPDの適当な部位に連結した。ラットM3
IC3Δを形成するために、3つのM3 MAR断片をPCR法により増幅した
。アミノ末端をコードする断片を5’BgIII(AAAAGATCT AAA
ATG TAC CCC TAC GAC GTC CCC)(配列番号1)お
よび3’AgeI(ATAGTCATGATGGTG ACCGGT ATGT
AAAAGGCAGCGATC)(配列番号3)部位を含むオリゴヌクレオチド
を用いて増幅した。カルボキシ末端をコードする断片は5’PmII(GCCT
TCATCAT CACGTG GACCCCCTACACC)(配列番号4)
および3’XhoI(AAA CTCGAG CTA CAA GGC CTG
CTC CGG CAC TCG C)(配列番号2)部位を含むオリゴヌク
レオチドを用いて増幅した。IC3をコードする断片は、M3 IC3Δ配列を
用い、5’AgeI(CGATCGCTGCCTTTTACTT ACCGGT
CACCATCATGACTAT)(配列番号5)および3’PmII(GT
TGTAGGGGGTC CACGTG ATGATGAAGGC)(配列番号
6)部位を含むオリゴヌクレオチドを用いて増幅した(J. Wess (1997))。得ら
れたPCR産物を適当な制限エンドヌクレアーゼを用いて消化し、精製してp4
26GPD中の適当な部位に連結した。プラスミドは、制限エンドヌクレアーゼ
マッピングおよびDNA配列決定法により確認した。得られたプラスミドを、従
来の酢酸リチウム形質転換法を用い、参照することにより本明細書の一部とされ
る米国特許第5,691,188号に記載のものなど、具体的にはPaush et al.
(1998)および例9の表3に記載のMPY578fc細胞をはじめとするGPC
Rアゴニスト刺激性増殖アッセイを行うのに有用な酵母細胞に導入した。
【0044】 MARを含む酵母細胞を、MARアゴニストカルバコール(CCh)を用いて
液体培養液中でアッセイした。この細胞を2mlのSC−グルコース−ura培
地中で一晩培養した。基礎増殖速度を低下させるための5mMの3−アミノトリ
アゾールを含有するSC−グルコース−ura−his培地pH6.8で細胞を
500倍に希釈した。ムスカリン様受容体アゴニストの連続希釈サンプル(10 −1 〜10−8M)20μlを含有する、滅菌96ウェルマイクロタイターディ
ッシュのウェルに細胞懸濁液サンプル(180μl)を分注した。このプレート
を30℃にて18時間、振盪しつつ(600rpm)インキュベートした。増殖
はマイクロプレートリーダーを用いて、OD620における記録値の増加により
モニターした。アッセイは2回行い、酵母細胞の対数増殖期に増殖速度を測定し
た。GraphPad Prismを用いて光学的密度の測定値を分析し、平均値±標準誤差と
して表し、アゴニスト濃度に対してプロットした。図1に示されるように、M3
MAR IC3Δを含む酵母細胞はアゴニスト依存性の増殖応答をし、M3
MAR IC3Δが機能していることが示されたが、酵母細胞のアゴニスト依存
性増殖が認められなかったので野生型MARは機能していない。M3 MAR
IC3Δを含む細胞の増殖応答は用量依存的であり、カルバコール(CCh)に
対するEC50は3μMに相当した。この値は、HEK細胞において得られたC
Chに対するK値(7.9μM)および、CCh誘導IP(イノシトール3
リン酸)蓄積に関するEC50(4.0μM)に匹敵したが、このことはM3
MAR IC3Δが酵母細胞膜で発現した場合、期待される薬理学的特性を保持
することを示唆するものである。さらに、増殖応答はMAR特異的アンタゴニス
トであるアトロピン(At)により阻害される。
【0045】 あるいは、M3 MAR IC3Δを含む酵母細胞によるCChに対する応答
は、その発現がMARアゴニストにより刺激される緑色蛍光タンパク質レポータ
ー遺伝子の、アゴニストにより誘導される蛍光発光の増加量の測定により観察さ
れ得る。緑色蛍光タンパク質(GFP)はクラゲ(Aequorea)由来のタンパク質で
あり、酵母細胞内で発現した場合、内因的蛍光を有する。GFP由来の蛍光は生
存酵母菌において検出可能で、その発現レベルは酵母細胞を損傷することなく測
定できる。この特徴は、その検出のために付加的な工程を必要としないのでレポ
ーター遺伝子アッセイにおいて特に有利である。酵母中で発現した異種GPCR
のアゴニスト活性化検出に有用な誘導性レポーター遺伝子は、シグナル変換経路
と交わることにより活性化される転写プロモーターを利用する。かかるプロモー
ターの1つがFUS2プロモーターである。アゴニスト刺激がない状態では、F
us2タンパク質またはその発現がFUS2プロモーターによって命令される他
のいずれかのタンパク質の発現もほとんど、または全く検出されない。アゴニス
ト処理後、FUS2プロモーターからの転写が700倍にまで誘導され、Fus
2の発現、またはその発現がFUS2プロモーターの制御下にある遺伝子産物の
いずれかの発現の実質的な増加が起こる。このように、FUS2−GFPレポー
ター遺伝子由来のFUS2プロモーター制御下でのGFP発現の結果得られる酵
母細胞の蛍光は異種GPCRのアゴニスト活性化後のみに認められる。
【0046】 GFPレポーター遺伝子を産生するために、増強されたGFP(EGFP、Cl
onetech)、FUS2プロモーター、およびFUS2転写ターミネーター配列を
コードするDNA配列をPCR法により増幅した。これらの断片をプラスミドp
RS414を含む動原体に組み込んで、EGFP発現をプラスミドpRS414
を含む動原体のフェロモン応答性FUS2プロモーターの制御下に置いてpMP
241を作出した。得られたプラスミドを、従来の酢酸リチウム形質転換法を用
い、M3 MAR IC3Δを含む細胞のGPCRアゴニスト刺激による増殖ア
ッセイを行うのに有用な、米国特許第5,691,188号に記載の種類の酵母
細胞中に導入した。
【0047】 M3 MAR IC3Δを含む酵母細胞およびFUS2−EGFP受容体プラ
スミドを、液体培養液中でMARアゴニストカルバコール(CCb)を用いてア
ッセイした。この細胞を2mlのSC−グルコース−ura培地中で一晩培養し
た。細胞を洗浄し、基礎増殖速度を低下させるために5mMの3−アミノトリア
ゾールを含有するSC−グルコース−ura−his培地pH6.8で5倍希釈
した。細胞懸濁液サンプル(180μl)を、CChの連続希釈サンプル(10 −1 〜10−8M)20μlを含有する滅菌96ウェルマイクロタイターディッ
シュのウェルに分注した。このプレートを30℃で6時間、振盪しつつ(600
rpm)インキュベートした。FUS2−EGFPレポーター遺伝子発現の刺激
は、蛍光マイクロプレートリーダーを用いて、480nm光で励起した後の53
0nmにおける発光の増大を記録することによりモニターした。アッセイは2回
行い、測定値は酵母細胞の対数増殖期に得た。蛍光発光の測定値は、GraphPad P
rismを用いて解析し、平均±標準誤差として表し、アゴニスト濃度に対してプロ
ットした。図1Bに示されるように、M3 MAR IC3Δを含む酵母細胞は
蛍光発光における用量依存的な増大を示し、それはアゴニスト誘導性FUS2−
GFPレポーター遺伝子構築体由来のEFGP発現の増大と一致していた。CC
h刺激の蛍光発光に対するEC50は4μMであり、これは増殖アッセイにおい
て得られた値と同じであった。
【0048】 このように、ラットM3 MARにおけるIC3部分の欠失は、酵母において
発現した場合に機能的GPCRが産生されたが、このことは内部ドメインの改変
が酵母において発現した異種GPCRの機能改変のために一般化できる方法であ
り得ることを示唆するものである。
【0049】例2 酵母における変異型D.メラノガスター・ムスカリン様アセチルコリン受
容体の機能的発現 Gタンパク質共役昆虫ムスカリン様アセチルコリン受容体(MAR)のアゴニ
ストは、実質的な殺虫力および殺ダニ力を有している(M.R. Dick et al. (1997
))。これらの知見から、昆虫MARに対して有効なアゴニストに関する酵母に
基づく高処理量スクリーニング法(HTS)の開発は、新規の作用様式の殺虫剤
に発展する可能性のあるリード化合物の同定に有用であることが示唆される。予
備実験から、昆虫のGタンパク質共役受容体(GPCR)である野生型D.メラ
ノガスターMAR(DMAR)は、酵母中では機能しないことが示されている。
このように、DMAR IC3をM3 MAR IC3Δ由来の機能的IC3と
置換することで、酵母におけるDMARの機能を向上させる方法を開発する努力
が始められた。
【0050】 昆虫細胞において、DMARはヘテロ三量体Gqタンパク質と相互作用し、ム
スカリン様アゴニストに応答して細胞内カルシウムを増加させる。酵母中でDM
ARが不活性であることに対する、可能性のある説明の1つに、酵母のヘテロ三
量体Gタンパク質と効率的に結合できないことが挙げられる。従って、酵母にお
いてDMAR機能を改変する方法を考案するために、機能的発現の改変およびヘ
テロ三量体Gタンパク質との結合に働きを有するGPCRにおける選択的突然変
異を検討した。
【0051】 IC3置換体を構築するために、標準的な方法により3つのドメインをコード
するPCR断片を調製した。断片1は5番目のTMD内のショウジョウバエMA
Rのアミノ末端コード部分からAgeI部位までからなり、オリゴヌクレオチド
(AAA AGATCT AAA ATG TACGGAAACCAGACGA
AC)(配列番号7)および(CCA GTA GAG GAA GCACAT
GATGGTC AGGCCT AAG TAG AAG GCG GCC A
GT GC)(配列番号8)を用いてPCR法により増幅した。DMARの第2
の断片は、6番目のTMD中のPmII部位から始まるカルボキシ末端コード配列
からなり、オリゴヌクレオチド(TTCATCATCACGTGGACTCCG
TACAACATC)(配列番号9)および(AAA CTCGAGTTATC
TAATTGTAGACGCGGC)(配列番号10)を用いてPCR法により
増幅した。このM3 MAR IC3Δドメインを、例1に記載された断片1お
よび2とともにフレーム内にコード配列を有するAgeI−PmII断片として増
幅した。これらの断片をプラスミドp426GPDに組み込んで、変異型DMA
RをGPDプロモーターの制御下に置いた。この野生型DMARを、米国特許第
5,691,188号に記載された発現ベクターpMP3中にクローン化した。
得られたプラスミドを、従来の酢酸リチウム形質転換法を用い、米国特許第5,
691,188号に記載の種、特にPausch et al. (1998)および例9の表3に記
載のMPY578fc細胞をはじめとする、GPCRアゴニスト刺激性増殖アッ
セイを行うのに有用な酵母細胞に導入した。
【0052】 DMARを含む酵母細胞および野生型DMARを含むプラスミドを、液体培養
液中でMARアゴニストカルバコール(CCb)を用いてアッセイした。この細
胞を2mlのSC−グルコース−ura培地中で一晩培養した。この細胞を、基
礎増殖速度を低下させるための5mMの3−アミノトリアゾールを含有するSC
−グルコース−ura−his培地(pH6.8)に500倍希釈した。細胞懸
濁液サンプル(180μl)を、ムスカリン様受容体アゴニストの連続希釈サン
プル(10−1〜10−8M)20μlを含有する滅菌96ウェルマイクロタイ
ターディッシュのウェルに分注した。このプレートを30℃で18時間、振盪し
つつ(600rpm)インキュベートした。アッセイは2回行い、増殖速度測定
は酵母細胞の対数増殖期に行った。光学的密度の測定値をGraphPad Prismを用い
て解析し、平均±標準誤差として表し、アゴニスト濃度に対してプロットした。
図2に示されたように、変異型DMAR、すなわちM3 MAR IC3Δを含
む酵母細胞はアゴニスト依存性の増殖応答を示し、DMAR−M3 MAR I
C3Δは機能していることが示された。野生型のDMARはアゴニスト依存性酵
母細胞増殖が起こらなかったことにより示されるように機能しなかった。
【0053】例3 酵母における変異型ラット・コレシストキニンCCKB受容体の機能的発
例1および2で示したように、哺乳類MAR、特にラットM3 MARのIC
3部分の欠失は、ヘテロ三量体Gタンパク質と結合するための完全な能力を保持
した哺乳類および酵母細胞の機能的発現の改変と相関する。このIC3Δ突然変
異がまた酵母において他のGPCRの機能的発現を改変することができるかどう
かを検討するために、ラット野生型およびIC3ΔコレシストキニンCCKB受
容体をコードするDNA配列をPCR法により増幅して、標準的な方法により、
酵母発現プラスミドp426GPD中のグリセロールリン酸デヒドロゲナーゼプ
ロモーターの近位へクローン化した。野生型CCKBRは、オリゴヌクレオチド
(ACTTAGATCAAAAAATGGAGCGCTCAAGCTGAACC
G)(配列番号11)および(TCCCGTCGACTCAGCCAGGCCC
CAGTGTGCTG)(配列番号12)を用いてPCR法により増幅した。I
C3ΔコレシストキニンCCKB受容体は、2つの重複する断片を融合すること
により調製した。断片1は5番目のTMDに隣接した22個のアミノ酸を含むア
ミノ末端コード配列を含んでおり、これはオリゴヌクレオチド(GGCCAGG
ATCCAAAAATGGGCTCCCTGCAGCCGGACGC)(配列番
号13)および(CGGGCCCCGCGGGCGCTCGGGGCCCAGA
CCGTTGGGC)(配列番号14)を用いてPCR法により増幅した。断片
2は6番目のTMDに隣接した22個のアミノ酸を含むカルボキシ末端コード配
列を含んでおり、これはオリゴヌクレオチド(CGGGCGACAGCCTGC
CGCGGC)(配列番号15)および(AGCGGTCGACTCACACG
ATCCGCTTCCTGTCCCC)(配列番号16)を用いてPCR法によ
り増幅した。この2つの断片を、全長CCKB受容体の5’および3’末端でオ
リゴヌクレオチドを用いてPCR法により増幅させて融合させた。得られたプラ
スミドを、従来の酢酸リチウム形質転換法を用い、米国特許第5,691,18
8号に記載のものなど、特にはPausch et al. (1998)および例9の表3に記載の
MPY578fc細胞をはじめとするGPCRアゴニスト刺激性増殖アッセイを
行うのに有用な酵母細胞中に導入した。
【0054】 野生型およびIC3ΔコレシストキニンCCKB受容体を含む酵母株を、2m
lのグルコース(2%)を含む合成完全液体培地およびウラシル欠損(SCD−
ura)培地で一晩増殖させた。この寒天ベースのプレートアッセイでは、0.
5mM AT(3−アミノトリアゾール)を含有する、融解させた(50℃)S
CD−ura−his寒天培地(35ml、オートクレーブにかける前に濃KO
HまたはNHOHを加えてpH6.8に調整)に、一晩培養したもの(2×1
細胞/ml)を播種し、正方形(9×9cm)のペトリプレートに注いだ。
DMSO(1mM、10μl)中のCCKアゴニスト溶液を固化した寒天の表面
に塗布した(上部左、CCK8S;上部右、CCK8US;下部左、CCK5;
下部右、CCK4)。プレート表面に塗布した化合物は、塗布した部位から放射
状に拡散し、寒天中に包埋されている細胞表面で発現したCCKB受容体と結合
し、その結果FUS1−HIS3発現が誘導される。応答している細胞は高密度
の増殖領域を形成し、基礎的なFUS1−HIS3発現に応答して見られる限ら
れた細胞増殖とは容易に区別できる。プレートを30℃で3日間インキュベート
した(図3)。図3AはIC3ΔコレシストキニンCCKB受容体を含む酵母細
胞の強い増殖応答を示しているが、図3Bは野生型CCKB受容体を含む酵母細
胞の限られた増殖を示しているに過ぎず、このことより、CCKB受容体の第3
の細胞内ループ部分の欠失が酵母においてその機能を改変したことが示される。
【0055】例4 酵母における変異型ラット・ソマトスタチン受容体(SSTR)の機能的
発現 第3の細胞内ループは、Gタンパク質共役、脱感作および様々な改変タンパク
質との相互作用を含む、多くのGPCR機能に関与する。ソマトスタチン受容体
はSSTR1−5と表示される5つのサブタイプにコードされている。SSTR
3サブタイプの第3の細胞内ループ内にはいくつかのアミノ酸が認められるが、
SSTR2サブタイプの同領域には認められない。SSTR2は酵母中で有効に
機能するため、IC3からのこれらのアミノ酸の欠失がSSTR3にこの機能的
有効性を付与するものと考えられる。このように、8個のアミノ酸Gln−Tr
p−Val−Gln−Ala−Pro−Cys(配列番号17)がrSSTR3
cDNAの第3の細胞内ループから欠失しており、酵母内でより有効な受容体
シグナル伝達を可能にしている。
【0056】 ラットSSTR3配列は、5’BgIIIおよび3’XhoI部位を含むオリゴ
ヌクレオチドを用いてPCR法により増幅した。得られた約1.3kbのPCR
産物をBgIIIおよびXhoIで消化して精製し、p426GPDのBamHI
とXhoI部位の間に挿入してプラスミドp426GPD−rSSTR3を作出
した。組換えプラスミドは制限エンドヌクレアーゼ消化およびDNA配列決定法
により確認した。
【0057】 rSSTR3 cDNAの増幅には標準的なPCR反応を用い、以下のような
36bpの重複を有する2つのPCR断片を得た。5’BgIオリゴヌクレオチ
ド(AAAAAGATCT AAAATGGCCA CTGTTACCTA T
)(配列番号18)および3’オリゴヌクレオチド(CTCAGAGCGG C
GTCGCCGCT GACACGAGGG CGCCCG(配列番号19))
を用いて、おおよそのサイズが750bpのPCRインサートAを作出した。5
’オリゴヌクレオチドGCGCCCTCGT GTCAGCGGCG ACGC
CGCTCT GAG(配列番号20)および3’XhoIオリゴヌクレオチド
(AAAACTCGAG TTACAGATGGCTCAGTGTGC T)(
配列番号21)を用いて、おおよそのサイズが530bpのPCRインサートB
を作出した。PCR断片AおよびBをゲル精製し、アニーリングして、フランキ
ング5’BgIIIおよび3’XhoIオリゴヌクレオチドを用いてPCR法によ
り増幅し、約1.3kbのrSSTR3ΔIC3のPCR産物を得た。精し、B
gIII−XhoIで消化した後、rSST3ΔIC3インサートをp426GP
DのBamHI−XhoI部位に連結してプラスミドp426GPD−rSST
R3ΔIC3を作出した。制限マッピングおよびDNA配列決定により、適切な
読み取り枠と配列を確認した。
【0058】 米国特許第5,691,188号に記載の、GPCRの発現のために有用なタ
イプの酵母細胞、特にPausch et al. (1998)および例9の表3に記載のMPY5
78fcを、標準的な方法を用いて、p426GPD−rSSTR3およびp4
26GPD−rSSTR3ΔIC3で形質転換した。この細胞を、例3に記載の
寒天に基づくバイオアッセイ法を用いてアッセイした。ソマトスタチン(S−1
4、1mM)のサンプル(10μl)をSSTR3を発現する酵母細胞を含有す
る選択寒天培地の表面に塗布した。このプレートを30℃で3日間インキュベー
トした。p426GPD−rSSTR3とともにpLP82で形質転換された酵
母細胞(Gpal/Gai2キメラGタンパク質発現プラスミドを含有)は、S
−14に対して弱い増殖応答を示したが(図4A)、p426GPD−rSST
R3ΔIC3を同条件下でアッセイした場合にはより強い応答が認められた(図
4B)。これらの結果は、IC3部分の欠失により、酵母におけるSSTR3の
機能が改変されることを示す。
【0059】例5 IC3欠失ヒトα2Aアドレナリン作動性受容体および酵母において機能
的に発現されるその構成的に活性な変異体 例1〜4で示したように、哺乳類GPCRのIC3部分の欠失は、ヘテロ三量
体Gタンパク質との結合に関して十分な能力を保持した哺乳類および酵母細胞に
おける改変型の機能的発現と相関している。変異型MAR、CCKBR、および
SSTR3は全外部ループを保持している。IC3以外のトランスメンブランド
メインおよび内部ドメインは変化していない。膜にまたがるらせんの5番目と6
番目の間に見出されるIC3が、改変された唯一のドメインである。5番目と6
番目のトランスメンブランらせんの双方に隣接する22個のアミノ酸だけを残し
て、このドメインの大部分が欠失していた。このように、IC3欠失(IC3Δ
)を含むGPCRのIC3は44個のアミノ酸長である。機能的発現の改変は、
細胞脱感作機構と相互作用することが知られているドメインが除去されて、より
機能的なMARが細胞表面に保持されることによるものであろう。
【0060】 他のIC3Δ変異も酵母における他のGPCRの機能的発現を改変するかどう
かを検討するために、IC3Δヒトα2Aアドレナリン作動性受容体をコードす
るDNA配列をPCR法により増幅して、標準的な方法により、酵母発現プラス
ミドp426GPDのグリセロール−リン酸ジヒドロゲナーゼプロモーターの近
位にクローン化した。このIC3Δヒトα2Aアドレナリン作動性受容体は、2
つの重複する断片を融合させることにより作出した。断片1は5番目のTMDに
隣接する39個のアミノ酸を含むアミノ末端コード配列を含んでおり、これはオ
リゴヌクレオチド(GGCCAGGATCCAAAAATGGGCTCCCTG
CAGCCGGACGC)(配列番号13)および(CGGGCCCCGCGG
GCGCTCGGGGCCCAGACCGTTGGGC)(配列番号14)を用
いてPCR法により増幅した。第2の断片は6番目のTMDに隣接した41個の
アミノ酸を含むカルボキシ末端コード配列を含んでおり、これはオリゴヌクレオ
チド(CGGGCGACAGCCTGCCGCGGC)(配列番号15)および
(AGCGGTCGACTCACACGATCCGCTTCCTGTCCCC)
(配列番号16)を用いてPCR法により増幅した。この2つの断片を、全長α
2Aアドレナリン作動性受容体の5’および3’末端でオリゴヌクレオチドを用
いてPCR法により増幅させて融合させた。得られたプラスミドを、従来の酢酸
リチウム形質転換法を用い、米国特許第5,691,188号に記載のもの、特
にPausch et al. (1998)および例9の表3に記載のMPY578fc細胞などの
GPCRアゴニスト−刺激性増殖アッセイを行うのに有用な酵母細胞に導入した
【0061】 構成的に活性なGPCRの、同種のアゴニストの不在下で酵母増殖応答を誘導
する能力を検討するため、構成的に活性な変異体(CAM)ヒトα2Aアドレナ
リン作動性受容体から同様の構築体を作出した。このCAM受容体はトレオニン
残基373からリジンへ変化する点突然変異(T373K)を含んでおり、これ
はアゴニスト誘導性のかなりの活性を維持したままアゴニストの不在下で受容体
に高い活性を与える。CAM IC3Δヒトα2Aアドレナリン作動性受容体を
、重複する2つの断片を融合することにより調製した。断片1は5番目のTMD
に隣接した38個のアミノ酸を含むアミノ末端コード配列を含んでいた。断片2
は6番目のTMDに隣接した33個のアミノ酸を含むカルボキシ末端コード配列
を含んでいた。この2つの断片を、全長α2Aアドレナリン作動性受容体の5’
および3’末端でオリゴヌクレオチドを用いてPCR法により増幅させて融合さ
せた。得られたプラスミドを、従来の酢酸リチウム形質転換法を用い、米国特許
第5,691,188号に記載のもの、特にPausch et al. (1998)および例9の
表3に記載のMPY578fc細胞などのGPCRアゴニスト刺激性増殖アッセ
イを行うのに有用な酵母細胞中に導入した。
【0062】 野生型IC3ΔおよびCAM IC3Δヒトα2Aアドレナリン作動性受容体
を含む酵母細胞を、液体培養液中で、αアドレナリン作動性完全アゴニストUK
14304(RB1)および部分アゴニストであるクロリジンを用いてアッセイ
した。この細胞を2mlのSC−グルコース−ura培地中で一晩培養した。細
胞をSC−グルコース−ura−his培地pH6.8で500倍に希釈した。
この細胞を、基礎増殖速度を低下させるための5mMの3−アミノトリアゾール
を含有するSC−グルコース−ura−his培地pH6.8で500倍希釈し
た。細胞懸濁液サンプル(180μl)を、アドレナリン作動性受容体アゴニス
トUK14304(10−3〜10−10M)および部分アゴニストクロニジン
(10−3〜10−9M)の連続希釈サンプル20μlを含有する滅菌96ウェ
ルマイクロタイターディッシュのウェルに分注した。このプレートを30℃で1
8時間、振盪しつつ(600rpm)インキュベートした。増殖はマイクロプレ
ートリーダーを用いて、OD620における記録値の増大によりモニターした。
アッセイは2回行い、増殖速度測定値は酵母細胞増殖の対数増殖期に得た。光学
的密度の測定値をGraphPad Prismを用いて解析し、平均±標準誤差として表し、
アゴニスト濃度に対してプロットした。
【0063】 野生型IC3ΔおよびCAM IC3Δヒトα2Aアドレナリン作動性受容体
を含む酵母細胞は用量依存性の増殖応答を示し、このことよりこのIC3欠失が
機能していることが示された(図5)。興味深いことに、アゴニスト依存性増殖
応答をもたらすには低いUK14304レベルで、CAM受容体を含む細胞の基
礎増殖速度は野生型受容体を含む細胞のもより高く、このことはCAM受容体が
アゴニストの不在下でより有効なことを示すものである。図6では、野生型IC
3ΔおよびCAM変異体を含む細胞の双方の基礎増殖を排除し、なおUK143
04誘導性増殖応答を許容する十分な濃度である5mMのATの存在下で(図6
)、唯一CAM IC3Δヒトα2Aアドレナリン作動性受容体だけが部分アゴ
ニストであるクロニジンに応答する増殖をもたらすことができ(図6B)、これ
はCAM受容体の高い活性と一致するものである。UK14304とクロニジン
双方に関して、ED50はCAM受容体を含む系統においてより低いアゴニスト
濃度にシフトされるが、このことはCAMヒトα2Aアドレナリン作動性受容体
の予測させる活性と一致している。増殖応答はアドレナリン作動性アンタゴニス
トであるヨヒムビンにより逆転された。
【0064】 IC3Δ α2Aアドレナリン作動性受容体は機能的であることが分かったが
、このことは記載されているように第3の細胞内ループの改変が機能的なGPC
Rをもたらすことを示している。CAM型のIC3Δ α2Aアドレナリン作動
性受容体は適用されたアゴニストに依存する酵母細胞増殖誘導能を持っており、
このことはCAM GPCRのいずれの構成的活性も、アゴニストの不在下で起
こる酵母細胞の増殖レベルを評価することによって簡単に測定され得ることを示
唆している。GPCRにおけるCAMのこの作用は、同種のアゴニストが知られ
ていないオーファンGPCRの試験に特に有用であり得る。従って、オーファン
GPCRを第3の細胞内ループにおいて変異させてこれをCAM GPCRとし
、アゴニストの不在下で酵母の増殖応答を刺激する能力に関して試験すればよい
。CAMオーファンGPCRが酵母細胞の増殖応答を刺激できるならば、それは
機能的であるはずであり、従って薬剤のスクリーニングアッセイに含めるのに適
したものであるにちがいない。
【0065】例6 酵母におけるCAM M3ムスカリン様アセチルコリン受容体(M3 M
AR)の発現 例5では、CAMα2Aアドレナリン作動性受容体はアゴニストの添加なしで
酵母細胞の増殖応答を刺激することができることが示された。CAMは第3の細
胞内ループにおいて、GPCRの活性化とGタンパク質との相互作用の双方に関
与することが知られているドメインであった。第2の細胞内ループおよびそれに
隣接した領域もまたGPCRの活性化に関与することが知られている。この領域
内では、DRYボックスとして知られる保存された三ペプチドモチーフAsp−
Arg−TyrはロドプシンファミリーのGPCRの活性化に関与することが分
かっている。Asp残基がIleをはじめとする疎水性アミノ酸に改変されたα
1アドレナリン作動性受容体の位置指定変異体は高い構成的活性に関連していた
。第3の細胞内ループのカルボキシ末端に隣接する6番目のトランスメンブラン
ドメインの部位の突然変異によって作出したCAM M5−MARを哺乳類細胞
培養で評価した(Spauldin et al. (1995))。CAMによって高められた基礎シグ
ナル伝達は、アトロピンをはじめとする種々の逆アゴニストによって逆転された
が、このことはCAM M5−MARの固有の活性の増強を確実なものとする。
【0066】 公知の機能のGPCRにおいてDRYボックス突然変異の作用を検討するため
、ラットM3 MARを、DRYボックスのAsp残基をIle残基で置換する
ことで改変した。例1に記載のラットM3−MAR酵母発現プラスミドをDRY
ボックスにおけるD(Asp)からI(Ile)への変異の鋳型として用い、製
造業者の説明書に従いStratagene QuikChangeキットを用いた位置指定突然変異
誘発により達成した。米国特許第5,691,188号に記載の種の機能的発現
GPCRに反応する酵母細胞、特にPausch et al. (1998)および例9の表3に記
載のMPY578fc細胞を、従来の酢酸リチウム法を用いて改変型M3 MA
R発現プラスミドで形質転換した。
【0067】 DRYボックスで変異させたM3−MAR発現プラスミドを含む酵母細胞の増
殖応答を、寒天ベースのバイオアッセイ法で、非改変型M3−MARを含むもの
と比較した。酵母細胞を、2mlのグルコース(2%)を含有する合成完全液体
培地およびウラシル欠損培地(SCD−ura)で一晩培養した。この寒天ベー
スのプレートバイオアッセイでは、0.5mMのATを含有する融解した(50
℃)SCD−ura−his寒天培地(35ml、オートクレーブにかける前に
濃KOHを添加することによりpH6.8に調整)に一晩培養したものを播種し
(2x10細胞/ml)、角型(9x9cm)のペトリプレートに分注した。
MARアゴニストであるカルバコール(10mM、10μl)および逆アゴニス
トであるアトロピン(1mMまたは10mM、10μl)の溶液をプレートの表
面に塗布した。プレートの表面に塗布した化合物は塗布した部位から放射状に拡
散し、寒天に包埋された細胞の表面で発現したMAR受容体と結合し、FUS1
−HIS3発現のアゴニスト誘導か、逆アゴニストによる増殖阻害を示した。こ
れらのプレートを30℃で3日間インキュベートした。
【0068】 CAM M3−MARはアゴニストの不在下で酵母細胞の増殖速度の上昇を促
進するが、これはアゴニストまたはアンタゴニストで処理しなかったプレートの
領域とCAM M3−MAR以外のプレートの同様の部分とを比較することで観
察できる。高い増殖応答はCAM M3−MARによるものであることは、逆ア
ゴニストであるアトロピンによる逆のアゴニスト依存性の増殖によって確認され
る(図7A)。アトロピンはヒスチジンの存在下で増殖させた場合、CAM M
3−MARを発現する酵母細胞の増殖に対して有害な作用を持っていなかった。
CAM M3−MAR以外はアゴニストによって刺激されるような能力を保持し
ていなかったが、CAM M3−MARはもはらアゴニストに応答しなかった。
【0069】 これらの結果はGPCRのDRYボックスにCAMを導入すると、上昇したそ
の構成的活性によってアゴニスト依存性の酵母細胞の増殖に測定可能な増大がも
たらされることを示している。このような増殖速度の増大は変異型GPCRがア
ゴニストの不在下で機能的に活性であることを示すものである。GPCRにおけ
るDRYボックスCAMのこの作用は、DRYボックスが広く保存されており、
大部分のオーファン受容体で存在しているはずであるから、オーファンGPCR
の試験に特に有用であり得る。従って、オーファンGPCRをそのDRYボック
スで変異させてこれをCAM GPCRとし、アゴニストの不在下で酵母の増殖
応答を刺激する能力に関して試験すればよい。CAMオーファンGPCRが酵母
細胞の増殖応答を刺激できるならば、それは機能的であるはずであり、従って薬
剤のスクリーニングアッセイに含めるのに適したものであるにちがいない。
【0070】例7 ラット・ニューロテンシンNT1受容体の末端切断はアゴニスト感受性を
増強させる 例1〜4において、第3の細胞内ループの改変により、酵母において発現した
種々の異種GPCRの機能的発現が向上した。アゴニスト誘導性のGPCRの脱
感作もまた、部分的には、細胞内カルボキシ末端テールのような第3の細胞内ル
ープ以外のGPCR内部ドメインにより媒介されている。
【0071】 GPCRからのカルボキシ末端ドメインの除去により、酵母および哺乳類細胞
における機能的発現が向上することが示されている。α−接合型酵母細胞に発現
したGタンパク質共役α接合フェロモン受容体のカルボキシ末端テールの末端切
断は、接合フェロモンの存在に対する過敏性を引き起こす(Reneke et al. (198
8); Konopka et al.(1988))。これらの知見と一致して、そのカルボキシ末端テ
ールを欠く変異型ラット・ニューロテンシンNT1受容体(rNTR1)は、哺
乳類細胞において発現した場合に、アゴニスト誘導性のインターナリゼーション
に対し耐性を有する(Hermans et al. (1996))。
【0072】 カルボキシ末端の末端切断が酵母において発現した異種GPCRの機能的応答
を改変するかどうか検討するために、カルボキシ末端テールを構成する52個の
アミノ酸を欠失させて、受容体を372アミノ酸長に縮めることによりラットN
TR1を改変した。野生型および末端切断型ニューロテンシン受容体(rNTR
1C−termΔ)のコード配列を、共通アミノ末端コード配列を指定する5’
オリゴヌクレオチドプライマー(AGTCAGATCTAAGCTT AAAA
ATG CAC CTC AAC AGC TCC)(配列番号22)および
野生型を定義する分離型オリゴヌクレオチド(AGTC AGATCT CTA
GTA CAG GGTCTCCC)(配列番号23)、および末端切断型カ
ルボキシ末端(AGAG AGATCT TTAGCGCCACCCAGGAC
AAAGGC)(配列番号24)を用いてPCR法により増幅した。標準的な方
法により、これらの断片を酵母発現ベクターpPGK中のPGKプロモーターの
近位にクローン化した(Y-S. Kang et al. (1990))。得られたプラスミドを、
従来の酢酸リチウム形質転換法を用いて、GPCRアゴニスト刺激性増殖アッセ
イを行うのに有用な米国特許第5,691,188号に記載の種の酵母細胞、特
にPausch et al. (1998)および例9の表3に記載のMPY578fc細胞に導入
した。
【0073】 NT受容体アゴニストであるアセチルニューロテンシン8−13(AcNt8
−13)を用いて、NTR1を含む酵母細胞を液体培養液中でアッセイした。こ
の細胞を2mlのSC−グルコース−ura培地中で一晩培養した。細胞を基礎
増殖速度を低下させるための2mMの3−アミノトリアゾールを含有するSC−
グルコース−ura−his培地(pH6.8)で500倍希釈した。細胞懸濁
液サンプル(180μl)を、AcNT8−13の連続希釈サンプル(10−3 〜10−10M)20μlを含有する滅菌96ウェルマイクロタイターディッシ
ュのウェルに分注した。このプレートを30℃で18時間、振盪しつつ(600
rpm)インキュベートした。増殖はマイクロプレートリーダーを用いて、OD 620 における記録値の増大によりモニターした。増殖速度測定値は酵母細胞増
殖の対数増殖期に得た。光学的密度の測定値をGraphPad Prismを用いて解析し、
平均±標準誤差として表し、アゴニスト濃度に対してプロットした。図6に示さ
れたように、NTR1を含む酵母細胞はアゴニスト依存性の増殖応答を引き起こ
し、このことは野生型およびカルボキシ末端における末端切断型NTR1の双方
が機能していることを示している。rNTR1 C−termΔを含む細胞の増
殖応答は用量依存的であり、AcNT8−13のEC50は520nMに相当し
た。この値は野生型NTR1を発現している細胞において観察された値(2.1
μM)の5分の1であった。カルボキシ末端の欠失により、より低い濃度のNT
Rアゴニストに応答するrNTR1が産生され、酵母バイオアッセイの感受性が
向上した。 このように、ラットNTR1のカルボキシ末端の細胞内ドメイン部分の欠失が
、酵母において発現した場合にアゴニスト感受性が増強される機能的GPCRが
産生されたが、このことはこの内部ドメインの改変が、酵母において発現した異
種GPCRの機能改変のために一般化できる方法であることを示唆するものであ
る。
【0074】例8 酵母ステロール変異体の作出 酵母ステロール変異体がGタンパク質共役受容体シグナル伝達の効率を高める
ことを証明するため、アゴニスト依存性の増殖応答を与えるMPY578fcか
ら構築したerg6変異体で異種Gタンパク質共役受容体を発現させた(M. Paus
ch et al. (1998))。この系統は内因性のERG6遺伝子を欠損させたerg6
欠損カセットを含むDNAでMPY578fcを形質転換することによって(M.
Pausch et al. (1998))構築した。このカセットはPCR反応においてプライマ
ーとして以下のDNAオリゴヌクレオチドを用いて構築した。 5’ATGAGTGAAACAGAATTGAGAAAAAGACAGGCC
CAATTCACTAGGGAGTTACATGGTGATTTGTCACCT
TACGTACAATC 3’ (配列番号25)および 5’TCGTGCGCTTTATTTGAATCTTATTGATCTAGT
GAATTTATTGAGTTGCTTCTTGGGAAGGGCAAGTGC
ACAAACAATAC 3’(配列番号26)。
【0075】 プラスミドpRS404(Stratagene company)DNAを用いるこのPCR反応
では、ERG6遺伝子の周囲の5’および3’配列に相同な配列を含むが、全T
RP1遺伝子が介在してEGR6配列に取って代わっているDNA断片が合成さ
れることとなる。このカセットの形質転換から得られる系統はYML103と呼
ばれる。
【0076】 異種発現したGPCRのシグナル変換程度を調べるため、かかる受容体を含む
いくつかのプラスミド構築体をPausch et al. (1998)および例9の表3に記載の
MPY578fc細胞系およびYML103系統へ形質転換した。ヒトV1およ
びV2バソプレシン受容体、ヒト・メラノコルチン受容体(MC4)、ラット・
ソマトスタチン(SSTR2)受容体、ラットM3 MARおよびラットCCK
B受容体をはじめとするGPCR遺伝子を、前記例に記載の方法でプラスミドp
426GPDに挿入した。V1aおよびV2受容体で形質転換された系統はer
g6が欠損したYML103系統においてバソプレシン依存性の増殖応答を示す
。このような応答は野生型MPY578fc系統では検出されない(図9A〜D
)。ラット・ソマトスタチンSSTR2受容体、ラットM3 MAR受容体およ
びラットCCKB受容体形質転換系統では、ノイズに対するシグナル率(アゴニ
ストが存在しないプレートのバックグラウンドにおける増殖に対するアゴニスト
により誘導される増殖)高まり、明確なシグナルがもたらされる(図10A〜B
)。
【0077】例9 キメラGαタンパク質を含む酵母系統において発現される異種GPCRの
機能的活性 種々のキメラGαタンパク質を含む酵母細胞は、同時発現した異種GPCRと
選択培地での増殖のためのフェロモン応答経路の下流エレメントの、アゴニスト
により刺激される活性化への依存を与えるものであった。この技術を活用してリ
ガンド−受容体の態様および受容体−Gタンパク質相互作用を検討した。プラスミドの構築
【0078】 ラット・ソマトスタチンSSTR2およびラット・アデノシンA2a発現プラ
スミド(pJH2、pLP110)は他所に記載されている(L.A. Price et al.
(1995), L.A. Price et al. (1996))。酵母において有効に発現させるため、ラ
ットNTR1のタンパク質コード領域(K. Tanaka et al. (1990))をPCR法に
よって改変した。5’末端に5’HindIII部位と酵母転写開始共通配列を付
加するオリゴヌクレオチド(TCTCAAGCTT AAAA ATG CGC
CTC AAC AGC TCC GCG)(配列番号27)、および終結コ
ドンの後に3’末端にBalII部位を付加するオリゴヌクレオチド(ACAC
AGA TCT CTA GTA CAG CGT CTC GCG GG)(
配列番号28)を用いてNTR1配列を増幅した。得られた断片を精製し、適当
な制限エンドヌクレアーゼで消化し、発現ベクターpPGKH(Y.S. Kang et al
. (1990)を含むホスホグリセレートキナーゼ(PGK1)プロモーターのHin
dIIIとBamHI部位の間に挿入してpMP198を作出した。
【0079】 酵母において有効に発現させるため、ヒトMCR4のタンパク質コード領域(I
. Gantz et al. (1993))をPCR法により改変した。5’末端に5’HindII
I部位と酵母転写開始共通配列を付加するオリゴヌクレオチド(TCTCAAG
CTT AAAA ATG CGC CTC AAC AGC TCC GCG
)(配列番号27)、および終結コドンの後に3’末端にBalII部位を付加す
るオリゴヌクレオチド(ACAC AGA TCT CTA GTA CAG
CGT CTC GCG GG)(配列番号28)を用いてMCR4配列を増幅
した。得られた断片を精製し、適当な制限エンドヌクレアーゼで消化し、発現ベ
クターpPGKH(Y.S. Kang et al. (1990)を含むホスホグリセレートキナーゼ
(PGK1)プロモーターのHindIIIとBamHI部位の間に挿入してpM
P223を作出した。野生型ラットCCK−B−R発現プラスミドpMP203
はPCR法によりラットCCK−B−Rのタンパク質コード領域(S.A. Wank et
al. (1992)を増幅することで構築した。5’末端に5’HindIII部位と酵母
転写開始共通配列を付加するオリゴヌクレオチド(ATTT AAGCTT A
AAA ATG GAG CTG CTC AAG CTG AAC CG)(
配列番号29)および終結コドンの後に3’末端にBalII部位を付加するオリ
ゴヌクレオチド(TCCC AGATCT TCA GCC AGG CCC
CAG TGT GCTG)(配列番号30)を用いてCCK−B−R配列を増
幅した。得られた断片を精製し、適当な制限エンドヌクレアーゼで消化し、発現
ベクターpPGKH(Y.S. Kang et al. (1990)を含むホスホグリセレートキナー
ゼ(PGK1)プロモーターのHindIIIとBamHI部位の間に挿入してp
MP203を作出した。
【0080】 第2のラットCCK−B−R発現プラスミドpMP258は、5’オリゴヌク
レオチドに5’BglII部位と酵母転写開始共通配列を付加するオリゴヌクレオ
チド(ATTT AGA TCT AAAA ATG GAG CTG CTC
AAG CTG AAC CG)(配列番号31)を用いて構築した。3’オ
リゴヌクレオチドは、SalI部位を付加することによる終結コドンの後の3’
末端を指定した(TCCC GTC GAC TCA GCC AGG CCC
CAG TGT GCTG)(配列番号12)。上記のオリゴヌクレオチドを
用いて得られた断片を精製し、適当な制限エンドヌクレアーゼで消化し、発現ベ
クターp426GPD(D.Mumberg et al. (1995)を含むグリセロールホスフェー
トデヒドロゲナーゼ(GPD)プロモーターのBamHIとXhoI部位の間に
挿入した。
【0081】 酵母において有効に発現させるため、ヒトCCK−A受容体のタンパク質コー
ド領域(A. de Weerth et al. (1993))をPCR法により改変した。5’末端にH
indIII部位と酵母転写開始共通配列を付加するオリゴヌクレオチド(AAA
A AAGCTT AAAA ATG GAT GTG GTT GAC AG
C CTT)(配列番号32)、および終結コドンの後に3’末端にBalII部
位を付加するオリゴヌクレオチド(AAAA AGATCT TCA GAC
CCC ACC GTG GCT)(配列番号33)を用いてCCK−A受容体
配列番号を増幅した。得られた断片を精製し、適当な制限エンドヌクレアーゼで
消化し、発現ベクターpPGKH(Y.S. Kang et al. (1990)を含むホスホグリセ
レートキナーゼ(PGK1)プロモーターのHindIIIとBamHI部位の間
に挿入してpMP209を作出した。
【0082】 ラットM3ムスカリン様アセチルコリン受容体(T.I. Bonner et al. (1987))
発現プラスミドpEK290は、5’オリゴヌクレオチドに5’BglII部位と
酵母転写開始共通配列を付加するオリゴヌクレオチド(GTCA AGATCT
AAAA ATG ACC TTG CAC AGT AAC)(配列番号3
4)を用いて構築した。3’オリゴヌクレオチドは、XhoI部位を付加するこ
とによる終結コドンの後の3’末端を指定した(TACC CTCGAG CT
A CAA GGC CTG CTC CGG C)(配列番号35)。上記の
オリゴヌクレオチドを用いて得られた断片を精製し、適当な制限エンドヌクレア
ーゼで消化し、発現ベクターp426GPD(D.Mumberg et al. (1995)を含むグ
リセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ(GPD)プロモーターのBamHI
とXhoI部位の間に挿入した。
【0083】 ショウジョウバエ・ムスカリン様アセチルコリン受容体(R.A. Shapiro et al.
(1989))発現プラスミドpEK289は、5’オリゴヌクレオチドに5’Bgl
II部位と酵母転写開始共通配列を付加するオリゴヌクレオチド(ATCC AG
ATCT AAAA ATG TAC GGA AAC CAG ACG AA
C GG)(配列番号36)を用いて構築した。3’オリゴヌクレオチドは、X
hoI部位を付加することによる終結コドンの後の3’末端を指定した(TAA
G CTCGAG TTA TCT AAT TGT AGA CGC GGC
G)(配列番号37)。上記のオリゴヌクレオチドを用いて得られた断片を精
製し、適当な制限エンドヌクレアーゼで消化し、発現ベクターp426GPD(D
.Mumberg et al. (1995)を含むグリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ(G
PD)プロモーターのBamHIとXhoI部位の間に挿入した。
【0084】 ヒトGnRH受容体(S.S. Kakar et al. (1992))発現プラスミドp426GP
D−hGnRHRは、5’オリゴヌクレオチドに5’BglII部位と酵母転写開
始共通配列を付加するオリゴヌクレオチド(ATTT AGA TCT AAA
A ATG GAG CTG CTC AAG CTG AAC CG)(配列
番号31)を用いて構築した。3’オリゴヌクレオチドは、SalI部位を付加
することによる終結コドンの後の3’末端を指定した(TCCC GTC GA
C TCA GCC AGG CCC CAG TGT GCTG)(配列番号
12)。上記のオリゴヌクレオチドを用いて得られた断片を精製し、適当な制限
エンドヌクレアーゼで消化し、発現ベクターp426GPD(D.Mumberg et al.
(1995)を含むグリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ(GPD)プロモータ
ーのBamHIとXhoI部位の間に挿入した。
【0085】 ヒト・バソプレシンV2受容体(M. Birnbaumer et al. (1992))発現プラスミ
ドp426GPD−hV2Rは、5’オリゴヌクレオチドに5’BglII部位と
酵母転写開始共通配列を付加するオリゴヌクレオチド(ATTT AGA TC
T AAAA ATG GAG CTG CTC AAG CTG AAC C
G)(配列番号31)を用いて構築した。3’オリゴヌクレオチドは、SalI
部位を付加することによる終結コドンの後の3’末端を指定した(TCCC G
TC GAC TCA GCC AGG CCC CAG TGT GCTG)
(配列番号12)。上記のオリゴヌクレオチドを用いて得られた断片を精製し、
適当な制限エンドヌクレアーゼで消化し、発現ベクターp426GPD(D.Mumbe
rg et al. (1995)を含むグリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ(GPD)
プロモーターのBamHIとXhoI部位の間に挿入した。
【0086】 ヒト・ヒスタミンH3受容体(T.W. Lovenberg et al. (1999))発現プラスミド
pET19は、5’オリゴヌクレオチドに5’BglII部位と酵母転写開始共通
配列を付加するオリゴヌクレオチド(ATTT AGA TCT AAAA A
TG GAG CTG CTC AAG CTG AAC CG)(配列番号3
1)を用いて構築した。3’オリゴヌクレオチドは、SalI部位を付加するこ
とによる終結コドンの後の3’末端を指定した(TCCC GTC GAC T
CA GCC AGG CCC CAG TGT GCTG)(配列番号12)
。上記のオリゴヌクレオチドを用いて得られた断片を精製し、適当な制限エンド
ヌクレアーゼで消化し、発現ベクターp426GPD(D.Mumberg et al. (1995)
を含むグリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ(GPD)プロモーターのB
amHIとXhoI部位の間に挿入した。
【0087】 ヒト・アドレナリン作動性α2A受容体(C.A. Guyer et al. (1990))発現プラ
スミドpMP249は、5’オリゴヌクレオチドに5’BglII部位と酵母転写
開始共通配列を付加するオリゴヌクレオチド(ATTT AGA TCT AA
AA ATG GAG CTG CTC AAG CTG AAC CG)(配
列番号31)を用いて構築した。3’オリゴヌクレオチドは、SalI部位を付
加することによる終結コドンの後の3’末端を指定した(TCCC GTC G
AC TCA GCC AGG CCC CAG TGT GCTG)(配列番
号12)。上記のオリゴヌクレオチドを用いて得られた断片を精製し、適当な制
限エンドヌクレアーゼで消化し、発現ベクターp426GPD(D.Mumberg et al
. (1995)を含むグリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ(GPD)プロモー
ターのBamHIとXhoI部位の間に挿入した。
【0088】 ヒトβ2アドレナリン作動性受容体(B.K. Kobika et al. (1987))発現プラス
ミドpET19は、5’オリゴヌクレオチドに5’BglII部位と酵母転写開始
共通配列を付加するオリゴヌクレオチド(ATTT AGA TCT AAAA
ATG GAG CTG CTC AAG CTG AAC CG)(配列番
号31)を用いて構築した。3’オリゴヌクレオチドは、SalI部位を付加す
ることによる終結コドンの後の3’末端を指定した(TCCC GTC GAC
TCA GCC AGG CCC CAG TGT GCTG)(配列番号1
2)。上記のオリゴヌクレオチドを用いて得られた断片を精製し、適当な制限エ
ンドヌクレアーゼで消化し、発現ベクターp426GPD(D.Mumberg et al. (1
995)を含むグリセロールホスフェートデヒドロゲナーゼ(GPD)プロモーター
のBamHIとXhoI部位の間に挿入した。
【0089】 アプリシア・カリフォルニカ・オクトパミンOA1受容体(E. Kandel, Columb
ia University, personal communication)発現プラスミドpMP255は、5’
オリゴヌクレオチドに5’BglII部位と酵母転写開始共通配列を付加するオリ
ゴヌクレオチド(ATTT AGA TCT AAAA ATG GAG CT
G CTC AAG CTG AAC CG)(配列番号31)を用いて構築し
た。3’オリゴヌクレオチドは、SalI部位を付加することによる終結コドン
の後の3’末端を指定した(TCCC GTC GAC TCA GCC AG
G CCC CAG TGT GCTG)(配列番号12)。上記のオリゴヌク
レオチドを用いて得られた断片を精製し、適当な制限エンドヌクレアーゼで消化
し、発現ベクターp426GPD(D.Mumberg et al. (1995)を含むグリセロール
ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GPD)プロモーターのBamHIとXhoI
部位の間に挿入した。
【0090】 染色体GPA1配列を、哺乳類C末端アミノ酸をコードするキメラ遺伝子で置
換するのに適したベクターを作出した。このベースベクターは以下のようにして
作出した。プロモーターおよびコード配列からなるGPA1遺伝子の断片(C. Di
etzel et al. (1987), I. Miyajima et al. (1987), M. Nakafuku et al. (1987
))をpPGKH−SCG1(Y.S. Kang et al (1990))から単離した。BamHI
部位を形成したサイレント変異を、Gタンパク質αサブユニットコード配列にお
いて保存されたBamHI部位がよく見られる位置のGPA1オープンリーディ
ングフレーム内に置いた。一方の0.5kbのGPA1断片を、BamHIおよ
びXbaIを付加したオリゴヌクレオチド(AAA GGATCC AGG A
AC TGT ATA ATT AAA GTA)(配列番号38)および(A
TG TCTAGA AAT TAA CAA CAA TAA AGA)(配
列番号39)を用いて3’調節配列からなる配列から増幅した。XbaIおよび
SalI部位を有する(ATT TCTAGA CAT TGT TTC AT
T AAT TGA)(配列番号40)および(TTT GTCGAC TTA
TCT CAT CAC TGG CAT TTA)(配列番号41)もう1
つの0.5kbのGPA1断片も作出した。これらの断片を、URA3を含む組
込みベクターYIp5(M.F. Rose et al. (1990))の相当する部位に連続して挿
入してpLP136を作出した。得られた構築体は3’断片間に挿入した人為的
なXbaI部位を用いて線状化すればよい。
【0091】 キメラGタンパク質組込みベクターはpLP136に、哺乳類Gタンパク質の
5つのカルボキシ末端アミノ酸とともにGpa1のカルボキシ末端をコードする
BamHI断片を付加することによって構築した。これらのBamHI断片は、
以下の表1で示されるように、フレーム内の両末端にBamHI部位を置いたオ
リゴヌクレオチドを用いて増幅した。
【0092】表1 改変型カルボキシ末端をコードする配列を含むキメラGPA1対立遺伝子
構築に使用したオリゴヌクレオチド
【表1】
【0093】 この3’オリゴヌクレオチドは、各哺乳類Gαタンパク質由来の5カルボキシ
末端アミノ酸をコードする配列を指定した。BamHIでこの断片を消化し、p
LP136中の唯一のBamHI部位に正しい方向で挿入し、以下の表2に示さ
れた組込みプラスミドを作出する。
【0094】表2 GPA1遺伝子と、改変型カルボキシ末端をコードする配列を含むキメラ
GPA1対立遺伝子との置換に使用したプラスミド
【表2】
【0095】 哺乳類のGαタンパク質のカルボキシ末端をコードするDNA断片は、既存の
発現プラスミドから得た(Y.S. Kang et al. (1990))。この断片をpLP13
6中の唯一のBamHI部位に正しい方向で挿入した。
【0096】 pSL307由来のPst1−SalI FUS1−LacZ断片を(G. McC
affrey et al. (1987))、ベクターpRS426を含む多重コピーTRPI中の
相当する部位に転移させることにより(T.W. Christianson et al)、FUS1
−LacZレポーター遺伝子を有するプラスミド(pMP283)を構築した。
【0097】系統の構築 酵母系統を構築し、増殖培地および培養条件は標準的な方法に従った(M.F. R
ose et al. (1990))。GPA1遺伝子座の2工程による組込み置換により、キ
メラGタンパク質を含む酵母系統を構築した。GPA1遺伝子座に組込むため、
この構築体を標的化する目的で、キメラGタンパク質発現プラスミドをXhoI
で消化した。DNAにより媒介される、線状断片を用いるMPY578fc細胞
のウラシル原栄養性株への形質転換は、酢酸リチウム法により行った(A St Jea
n et al. (1991))。GPA1遺伝子座の置換のための選択は、FOA培地上で
の培養により行った(M.F. Rose et al. (1990))。この方法で生存した酵母細
胞を、改変型GPA1対立遺伝子の存在を証明するためにPCR法で調べた。
【0098】 キメラGPA1遺伝子を含む酵母シャトルベクターを構築するために、GPA
1遺伝子の3’断片を、表1に示したオリゴヌクレオチドを用いて増幅した。3
’をコードする断片は、5つのカルボキシ末端アミノ酸が哺乳類のGαタンパク
質と置換された、GPA1のカルボキシ末端GPCR結合ドメインをコードする
配列を含んでいた。得られた断片を、YIp5に基づく組込みシャトルベクター
pLP136、aURA3中にサブクローニングした(M.F. Rose et al. (1990
))。GPA1遺伝子座における組込みを促進するためにXhaIを用いて、得
られた構築体を線状化し、これを用いてMPY578fc細胞を形質転換し(M.
H. Paush et al. (1998))、以下の表3に示した酵母系統を作製した。
【0099】表3 試験に用いた酵母系統
【表3】
【0100】 Ura形質転換株をFOA培地上で継代接種し、GPA1遺伝子座における
キメラ対立遺伝子との置換を確かなものとした。次いで、得られた系統(表3)
を種々の異種GPCR発現を付与するプラスミドで形質転換した。この酵母系統
を寒天または液体中で、適当な同種アゴニストを用いてアッセイした。各GPC
R/Gタンパク質αサブユニット系統が増殖促進シグナルを形質導入する能力を
測定し、得られた結果を図11に示した。
【0101】 酵母でアッセイしたGPCRは、それらの本来の挙動から予想されるGタンパ
ク質αサブユニット結合選択性を示した。例えば、哺乳類細胞のGq共役受容体
であるニューロテンシンNTR1(K. Tanaka et al. (1990))はGpa1−G
q/11を含む酵母系統で増殖を促進するが、Gpa1−Gs系統では増殖を促
進できない。哺乳類細胞において与えられたG16の無差別の結合挙動から予想
されるように、NTR1はGpa1−G16系統の増殖を促進する(G. Milliga
n et al. (1996))。逆に、哺乳類細胞のGs共役受容体であるバソプレシンV
Z受容体(M. Birnoaumer et al. (1992))はGpa1−Gsを含む酵母系統の
増殖を促進するが、Gpa1−Gq/11系統の増殖は促進しない。これらを考
え合わせると、これらのデータは、酵母中で発現されたGPCRはGタンパク質
αサブユニット結合選択性を保持していることを示す。従って、本明細書に記載
の酵母系統はGPCRのGタンパク質αサブユニット結合選択性を示すために有
用な便宜な手段であることを意味している。
【0102】例10 キメラGαタンパク質を含む酵母系統中で過剰発現したアデノシンA2
a受容体により刺激されるアゴニスト非依存性増殖 HTSアッセイにおいてオーファンGTCRを用いるためには、アゴニスト不
在下でのGPCRの機能的活性を証明しなければならない。前記の例において、
GPCRに導入された突然変異は構成的に活性化された状態を付与し、これによ
りアゴニスト不在下での酵母細胞増殖速度の増大がもたらされる。ある野生型G
PCRが哺乳類細胞中で過剰発現した場合に下流情報伝達経路の構成的活性化が
もたらされるという知見から、もう1つのアプローチが考えられる。このアプロ
ーチは、アゴニスト不在下で構成的活性を導き、かつ下流情報伝達経路の活性化
をもたらすものである。
【0103】 この現象は、自発的に活性状態に切り替えられたGPCRの蓄積の増大により
説明される。GPCR活性化を説明する単純な3つの状態モデルにおいて、該受
容体は、独自の状態R、活性状態R、および不活性状態Rの間の平衡状態で
存在し、アゴニスト不在下では不活性状態が優勢である。該GPCRはRおよび
活性および不活性形態の間で自発的に切り替わっているのであろう。アゴニスト
は活性形態を安定化させ、GPCRに下流情報伝達分子を刺激させる。野生型発
現レベルにおいては、活性形態への自発的変換は、基底レベルを超える下流情報
伝達経路の検出可能な活性化を行うに十分なレベルまでGPCRが蓄積するのを
許さない。GPCRが過剰発現された場合、より多くの受容体が存在して活性形
態へ自発的に形質転換でき、かくして多数の行動により下流情報伝達経路が活性
化される。
【0104】 本明細書記載の酵母細胞発現系におけるこの試みの適用は、GPCRの過剰発
現によりアゴニスト不在下でも増殖が活性化されるであろうことを示唆する。こ
の増殖の活性化は発現された受容体量に比例すると考えられ、多くの受容体が発
現されるほどアゴニスト不在下での増殖速度が速くなる。同様に、増殖の活性化
はGPCRとGタンパク質が効率的に結合できる細胞内においてのみ、認められ
るであろう。
【0105】 この試みを検討するために、高レベル(Price L.A., Strnad J., Pausch M.H.
, and Hadcock J.R., Pharmacological characterization of the rat A2a aden
osine receptor functionally coupled to the Yeast pheromone response path
way, Mol.Pharmacol. SO,829-837, 1996に記載のマルチコピープラスミドpLP
116)および低レベル(Paush et alに記載のコピー数の少ない、動原体を含む
プラスミドpMP145)の受容体を付与するラット・アデノシンA2a受容体
発現プラスミドを、米国特許番号第5,691,188号に記載の、GPCRア
ゴニスト刺激性増殖アッセイを行うのに有用な酵母細胞中に導入した。特には、
Pausch et al.により記載されたMPY578fc細胞(Pausch, M.H., Price,
L.A., Kajkowski, E.M., Strnad, J., Delacruz, F., Heinrich, J.A., Ozenber
ger, B.A., and Hadcock, J. R., Heterologous G protein-coupled receptors
in Saccharomyces cerevisiae, Methods for genetic analysis and ligand ide
ntification, Identification and expression of G protein-coupled receptor
s, Lynch, K.R., Ed., Wiley-Liss, New York, NY, 1998, 196-212)および例9
に記載の、キメラGタンパク質を含む系統をpLP116、pMP145および
エンプティベクターpRS426で、従来の酢酸リチウム形質転換法により形質
転換した。
【0106】 MPY578fcおよび関連するキメラGタンパク質を含み、アデノシンA2
a受容体を発現する系統を液体培養液中でアッセイした。それぞれプラスミドを
含む系統の、8つの個々の形質転換体を0.2mlのSC−グルコース−ura
培地中で一晩培養した。この細胞を、2,5または10mMの3−アミノトリア
ゾールを含有するSC−グルコース−ura−his(pH6.8)培地で50
0倍に希釈し、その0.2mlを96ウェルプレートに分注した。酵母により産
生されるアデノシンを分解し、不活性化するためアデノシンデアミナーゼ(0.
13mg/ml)を添加した。増殖は、マイクロプレートリーダーを用いて、O
D570における記録値の増大によりモニターした。増殖速度の測定値は、酵母
細胞増殖の対数増殖期に得た。光学的密度の測定値は、Graphpad Prismを用いて
解析した。図11に示されるように、アデノシンA2a受容体を含む酵母細胞は
アゴニスト非依存性増殖応答を示し、このことはアデノシンA2a受容体の機能
的活性はアゴニスト不在下でも検出できることを示す。予期された通り、該アデ
ノシンA2a受容体は、それが効率的に結合できるGαタンパク質、例えばGp
a1およびGpa1−s5およびGpa1−α16を含む細胞において高レベル
に発現された場合に最も速い増殖速度を示した。このアゴニスト非依存性増殖応
答はまた、産生されたアデノシンA2a受容体の量に比例し、すなわち多重コピ
ーアデノシンA2a受容体発現プラスミドpLP116を含む細胞は、少ないコ
ピー数のプラスミドpMP145を含む細胞よりも速く増殖する。
【0107】 これらの結果は、オーファンGPCRの機能的活性は、種々のキメラGタンパ
ク質構築体を含む酵母細胞中で過剰発現することにより、アゴニスト不在下でも
検出できることを示す。このように、オーファンGPCRはアゴニスト不在下で
、種々のキメラGタンパク質を含む酵母細胞中で過剰発現される。もしオーファ
ンGPCRがキメラGタンパク質のサブセットとの結合を介して選択的に酵母細
胞増殖を刺激することができるのであれば、それは機能するに違いなく、従って
薬物スクリーニングアッセイに含めるに好適である。かかるスクリーニングアッ
セイは、アゴニストの刺激作用が基底増殖速度を超えて検出される、経験的に決
定された受容体発現条件下で行われる。
【0108】 本発明の他の態様は、本明細書に開示された本発明の明細書および実施を考慮
すれば当業者には明らかとなろう。明細書および例は以下の請求項により示され
る本発明の真の範囲および精神の範囲内で単に例示としてみなすものとする。
【0109】 本明細書で引用された参照文献は、参照することによりそのまま本明細書の一
部とする。
【0110】参考文献
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【図1A】 MARアゴニスト、カルバコール(CCh)を用いた、ラットM3ムスカリン
様アセチルコリン受容体(MAR)を含む酵母細胞に対する液体培養アッセイの
結果を示す。第3の細胞内ループ(IC3Δ)に欠失のあるM3MARを含む酵
母細胞はアゴニスト依存性の増殖応答を示したが、他方、野生型MARはそうで
はなく、このことはM3MARIC3Δは機能的なGPCRであるということを
示すものである。
【図1B】 MARアゴニスト、カルバコール(CCh)を用いた、ラットM3MARIC
3ΔおよびFUS2−GFP受容体プラスミドを含む酵母細胞に対する液体培養
蛍光誘導アッセイの結果を示す。酵母において発現したM3MARIC3ΔのC
Ch活性化に応答して緑色蛍光タンパク質の発現の用量依存性増大が認められる
【図2】 MARアゴニスト、カルバコール(CCh)を用いた、キイロショウジョウバ
エ・ムスカリン様アセチルコリン受容体を含む酵母細胞に対する液体培養アッセ
イの結果を示す。M3MARIC3Δを含む変異型キイロショウジョウバエMA
Rを含む酵母細胞はアゴニスト依存性の増殖応答を示したが、他方、野生型キイ
ロショウジョウバエMARではアゴニスト依存性の酵母細胞増殖応答はなかった
【図3A】 寒天ベースプレートバイオアッセイの結果を示す。 IC3ΔコレシストキニンCCKB受容体を含む酵母細胞の強い増殖応答を示
す。
【図3B】 寒天ベースプレートバイオアッセイの結果を示す。 野生型CCKB受容体を含む酵母細胞による増殖は限定されたものでしかなく
、このことは酵母においてはCCKB受容体の第3の細胞内ループの一部の欠失
がその機能を改変するということを示すものである。
【図4A】 rSSTR3およびrSSTR3ΔIC3で形質転換された酵母細胞を示す。 p426GPD−rSSTR3を含む酵母細胞はソマトスタチン(S−14)
に対して弱い応答しか示さないことを証明するものである。
【図4B】 rSSTR3およびrSSTR3ΔIC3で形質転換された酵母細胞を示す。 同様の条件下でアッセイされたp426GPD−rSSTR3ΔIC3を含む
酵母細胞によるずっと強い応答を証明するものである。
【図5】 αアドレナリン作動性受容体完全アゴニストUK14304を用いた、野生型
IC3Δヒトα2Aアドレナリン作動性受容体を含む酵母細胞に対する液体培養
アッセイの結果を示す。野生型およびIC3Δヒトα2Aアドレナリン作動性受
容体を含む酵母細胞は用量依存性の増殖応答を示し、このことはIC3の欠失が
機能的であるということを示すものである。
【図6A】 AT(3−アミノチリアゾール)の存在下で、αアドレナリン作動性受容体完
全アゴニスト、UK14304を用いる、野生型IC3Δおよび構成的に活性な
変異型(CAM)IC3Δヒトα2Aアドレナリン作動性受容体を含む酵母細胞
に対する液体培養アッセイの結果を示す。
【図6B】 ATの存在下で、αアドレナリン作動性受容体部分アゴニスト、クロニジンを
用いる、野生型IC3Δおよび構成的に活性な変異型(CAM)IC3Δヒトα
2Aアドレナリン作動性受容体を含む酵母細胞に対する液体培養アッセイの結果
を示す。CAMα2A−ARのみがクロニジンに応答し、CAM GPCRの予
測されたアゴニストに対する応答性亢進と一致する。
【図7A】 MARアゴニスト、カルバコールおよび逆アゴニスト、アトロピンの存在下で
、非改変型M3−MARと比較した、改変型(CAM)M3−MARを含む酵母
細胞に対する寒天ベースのプレートのバイオアッセイの結果を示す。 CAM M3−MARはアゴニストの不在下で酵母増殖速度の上昇を促進する
ということおよび逆アゴニスト、アトロピンの存在下におけるアゴニスト非依存
性増殖という逆転を示す。
【図7B】 MARアゴニスト、カルバコールおよび逆アゴニスト、アトロピンの存在下で
、非改変型M3−MARと比較した、改変型(CAM)M3−MARを含む酵母
細胞に対する寒天ベースのプレートのバイオアッセイの結果を示す。 アトロピンはヒスチジンの存在下ではCAM M3−MARの基本的な増殖に
影響を及ぼさないということを示す。
【図8】 ニューロテンシン受容体アゴニスト、AcNT8−13を用いる、野生型およ
びカルボキシ末端切断型ラットNT1−ニューロテンシン受容体を含む酵母細胞
に対する液体培養アッセイの結果を示す。ラットNT1−ニューロテンシン受容
体の末端切断は野生型受容体を用いて認められたものよりも感度の高いアゴニス
ト依存性増殖応答をもたらす。
【図9A】 1mMアミノトリアゾールの不在(左)および存在(右)下での、寒天に包埋
された、バソプレシン受容体プラスミドを含む酵母細胞を示す。 V2受容体で形質転換したMPY578fc(ERG6)系統を示す。
【図9B】 1mMアミノトリアゾールの不在(左)および存在(右)下での、寒天に包埋
された、バソプレシン受容体プラスミドを含む酵母細胞を示す。 V2受容体で形質転換したYML103(erg6)系統を示す。
【図9C】 1mMアミノトリアゾールの不在(左)および存在(右)下での、寒天に包埋
された、バソプレシン受容体プラスミドを含む酵母細胞を示す。 V1a受容体で形質転換したMPY578fc(ERG6)系統を示す。
【図9D】 1mMアミノトリアゾールの不在(左)および存在(右)下での、寒天に包埋
された、バソプレシン受容体プラスミドを含む酵母細胞を示す。 V1a受容体で形質転換したYML103(erg6)系統を示す。 1mMアミノトリアゾールの不在(左)および存在(右)下での、寒天に包埋
された、受容体プラスミドを含む酵母細胞を示す。
【図10A】 1mMアミノトリアゾールの不在(左)および存在(右)下での、寒天に包埋
された、受容体プラスミドを含む酵母細胞を示す。 メラノコルチンMC4受容体で形質転換されたMPY578fc(ERG6)
系統を示す。
【図10B】 1mMアミノトリアゾールの不在(左)および存在(右)下での、寒天に包埋
された、受容体プラスミドを含む酵母細胞を示す。 メラノコルチンMC4受容体で形質転換されたYML103(erg6)系統
を示す。これらの結果はerg6突然変異によって引き起こされる膜特性の変化
がバソプレシンV2およびV1a受容体およびメラノコルチンMC4受容体によ
る応答の改変をもたらすということを証明する。
【図11】 キメラGαタンパク質を有する酵母系統において異種GPCRがアッセイされ
た実験の結果を示す。各指標に示されるGPCRに関しては、+は液体形式でア
ッセイした場合に、同種アゴニストに対する用量依存性増殖応答が認められたと
いうことを示し;−は検出可能なアゴニスト用量依存性増殖応答がないことを示
す。これらの結果は酵母において発現された異種GPCRに結合したキメラGタ
ンパク質の機能的活性を証明する。
【図12】 種々のキメラGαタンパク質を含む酵母細胞における高および低レベルアデノ
シンA2a受容体発現に対するアゴニスト非依存性増殖応答を示す。高レベルで
発現された場合には、アデノシンA2a受容体はキメラGタンパク質を含む酵母
細胞の一部のみの増殖を促進し、このことはこの受容体が酵母細胞において発現
した場合にGαタンパク質結合選択性を保持するということを示すものである。
増殖促進活性はアデノシンA2a受容体が高レベルで発現される場合に最大とな
り、アデノシンA2a受容体発現が減少すると低下する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/15 G01N 33/50 Z 4H045 33/50 33/566 33/566 (C12N 1/19 //(C12N 1/19 C12R 1:865) C12R 1:865) (C12P 21/02 C (C12P 21/02 C12R 1:865) C12R 1:865) C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,G B,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZA,ZW (72)発明者 マーガレット、レイ アメリカ合衆国ニュージャージー州、プリ ンストン、クラークスビル、ロード、ピ ー.オー.ボックス、400、アメリカン、 サイアナミッド、カンパニー内 (72)発明者 サンフォード、シルバーマン アメリカ合衆国ニュージャージー州、プリ ンストン、クラークスビル、ロード、ピ ー.オー.ボックス、400、アメリカン、 サイアナミッド、カンパニー内 (72)発明者 カメリア、バーサン アメリカ合衆国ニュージャージー州、プリ ンストン、クラークスビル、ロード、ピ ー.オー.ボックス、400、アメリカン、 サイアナミッド、カンパニー内 (72)発明者 ウィリアム、バウムバウフ アメリカ合衆国ニュージャージー州、プリ ンストン、クラークスビル、ロード、ピ ー.オー.ボックス、400、アメリカン、 サイナミッド、カンパニー内 (72)発明者 ユージェン、ツェン アメリカ合衆国ニュージャージー州、プリ ンストン、クラークスビル、ロード、ピ ー.オー.ボックス、400、アメリカン、 サイアナミッド、カンパニー内 (72)発明者 アイリーン、マリー、カイコフスキー アメリカ合衆国ニュージャージー州、プリ ンストン、シーエヌ8000、ワイス‐エアス ト、リサーチ内 (72)発明者 ブラッドリー、オールトン、オゼンバーガ ー アメリカ合衆国ニュージャージー州、プリ ンストン、シーエヌ8000、ワイス‐エアス ト、リサーチ内 Fターム(参考) 2G045 AA40 BB20 CB21 DA36 DA77 GC30 4B024 AA11 BA63 CA01 CA04 DA12 EA04 FA10 GA11 GA19 4B063 QA01 QA18 QQ61 QR48 QR60 QR76 QS05 QS36 QS38 QX02 4B064 AG20 CA06 CA19 CC24 DA13 4B065 AA80X AA90Y AA91Y AA93Y AB01 BA02 CA24 CA46 4H045 AA10 AA20 AA30 CA40 CA51 DA50 EA50 FA74

Claims (51)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成的に活性な異種Gタンパク質共役受容体を含んでなる、宿主細胞。
  2. 【請求項2】 宿主細胞が真核細胞である、請求項1に記載の宿主細胞。
  3. 【請求項3】 異種Gタンパク質共役受容体がGタンパク質共役受容体の細胞内ドメインで改
    変されている、請求項2に記載の宿主細胞。
  4. 【請求項4】 細胞内ドメインが第3の細胞内ループである、請求項3に記載の宿主細胞。
  5. 【請求項5】 宿主細胞が酵母である、請求項2に記載の宿主細胞。
  6. 【請求項6】 異種Gタンパク質共役受容体がオーファン受容体である、請求項1〜5のいず
    れか一項に記載の宿主細胞。
  7. 【請求項7】 異種Gタンパク質共役受容体が、Gタンパク質共役受容体の第2の細胞内ルー
    プに隣接するドメインのアミノ酸残基Asp−Arg−Tyrで改変されている
    、請求項5に記載の宿主細胞。
  8. 【請求項8】 改変型Gタンパク質共役受容体がヒトα2Aアドレナリン作動性受容体であっ
    て、その改変がアミノ酸残基373におけるトレオニンからリジンへの点突然変
    異を含んでなる、請求項5に記載の宿主細胞。
  9. 【請求項9】 改変が44個のアミノ酸を有する第3の細胞内ループの末端切断型をさらに含
    んでなる、請求項8に記載の宿主細胞。
  10. 【請求項10】 異種Gタンパク質共役受容体がM3ムスカリン様アセチルコリン受容体である
    、請求項7に記載の宿主細胞。
  11. 【請求項11】 アスパラギン酸残基が疎水性アミノ酸によって置換されている、請求項10に
    記載の宿主細胞。
  12. 【請求項12】 疎水性アミノ酸がイソロイシンである、請求項11に記載の宿主細胞。
  13. 【請求項13】 Gタンパク質共役受容体と結合し得る化合物をスクリーニングする方法であっ
    て、(a)請求項1に記載の宿主細胞を試験化合物に曝し、さらに(b)細胞増
    殖に対する試験化合物の作用を測定する工程を含んでなる、方法。
  14. 【請求項14】 宿主細胞が酵母である、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 異種Gタンパク質共役受容体と、細胞に基づくアッセイでGタンパク質共役受
    容体の機能的応答の改変をもたらす宿主細胞遺伝子の突然変異とを含んでなる、
    宿主細胞。
  16. 【請求項16】 突然変異がアゴニストにより刺激される増殖促進能の改変をもたらす、請求項
    15に記載の宿主細胞。
  17. 【請求項17】 突然変異が異種Gタンパク質共役受容体とヘテロ三量体Gタンパク質の間の結
    合の改変をもたらすか、または受容体が細胞脱感作もしくは隔離−インターナリ
    ゼーション機構と相互作用できないようにするか、または適切な原形質膜局在化
    をもたらす、請求項15に記載の宿主細胞。
  18. 【請求項18】 宿主細胞遺伝子が調節受容体タンパク質キナーゼをコードし、かつ、突然変異
    が受容体のリン酸化を減少させる、請求項15に記載の宿主細胞。
  19. 【請求項19】 調節受容体タンパク質キナーゼがGタンパク質共役受容体キナーゼ、タンパク
    質キナーゼA、タンパク質キナーゼC、およびカゼインキナーゼからなる群から
    選択される、請求項18に記載の宿主細胞。
  20. 【請求項20】 宿主細胞遺伝子がエンドサイトーシスまたは分解経路の成分をコードし、かつ
    、突然変異が受容体の隔離、インターナリゼーションまたは分解を低下させる、
    請求項15に記載の宿主細胞。
  21. 【請求項21】 突然変異が宿主細胞膜のステロール類の比率または性質に作用する、請求項1
    5に記載の宿主細胞。
  22. 【請求項22】 宿主細胞が酵母であって、宿主細胞遺伝子がERG2、ERG3、ERG4、
    ERG5およびERG6からなる群から選択される、請求項21に記載の宿主細
    胞。
  23. 【請求項23】 宿主細胞遺伝子がERG6である、請求項22に記載の宿主細胞。
  24. 【請求項24】 異種Gタンパク質共役受容体がヒト・メラノコルチン受容体、ラット・ソマト
    スタチンSSTR2受容体、ラットM3ムスカリン様アセチルコリン受容体、お
    よびラットCCKB受容体からなる群から選択される、請求項23に記載の宿主
    細胞。
  25. 【請求項25】 宿主細胞が酵母であって、宿主細胞遺伝子がHEM1、HEM3、SUT1、
    PDX3、UPC1およびUPC2(UPC20)からなる群から選択され、か
    つ、突然変異が外から添加されたステロール類の存在下で宿主細胞を増殖させる
    、請求項21に記載の宿主細胞。
  26. 【請求項26】 Gタンパク共役受容体と結合し得る化合物をスクリーニングする方法であって
    、(a)請求項15、18、20または21に記載の宿主細胞を試験化合物に曝
    し、さらに(b)細胞増殖に対する試験化合物の作用を測定する工程を含んでな
    る、方法。
  27. 【請求項27】 宿主細胞内で構成的に活性な異種Gタンパク質共役受容体を発現させる方法で
    あって、 (a)改変型異種Gタンパク質共役受容体(この改変は構成的に活性なGタン
    パク質共役受容体をもたらす)をコードするDNA配列を含んでなるベクターで
    宿主細胞を形質転換し、さらに (b)形質転換宿主細胞を培養して異種Gタンパク質共役受容体を発現させる
    ことを含んでなる、方法。
  28. 【請求項28】 宿主細胞が酵母である、請求項27に記載の方法。
  29. 【請求項29】 改変型Gタンパク質αサブユニット遺伝子がキメラGαタンパク質をコードす
    る、改変型Gタンパク質αサブユニット遺伝子を含んでなる宿主細胞。
  30. 【請求項30】 宿主細胞が真核細胞である、請求項29に記載の宿主細胞。
  31. 【請求項31】 酵母である、請求項30に記載の宿主細胞。
  32. 【請求項32】 改変型Gタンパク質αサブユニット遺伝子が内因性Gαタンパク質のアミノ末
    端ドメインをコードする第1の核酸配列を、異種Gαタンパク質のカルボキシ末
    端をコードする第2の核酸配列と結合して含んでなる、請求項29に記載の宿主
    細胞。
  33. 【請求項33】 改変型Gタンパク質αサブユニット遺伝子が、内因性Gαタンパク質の5つの
    カルボキシ末端アミノ酸をコードする第1の核酸配列と異種Gαタンパク質の5
    つのカルボキシ末端アミノ酸配列をコードする第2の核酸配列との置換を含んで
    なる、請求項29に記載の宿主細胞。
  34. 【請求項34】 Gαタンパク質のアミノ末端ドメインがGβタンパク質、Gγタンパク質およ
    びエフェクター分子の相互作用ドメインを含んでなる、請求項32に記載の宿主
    細胞。
  35. 【請求項35】 改変型Gタンパク質αサブユニット遺伝子がGPA1である、請求項32また
    は33に記載の宿主細胞。
  36. 【請求項36】 異種Gタンパク質共役受容体をさらに含んでなる、請求項32または33に記
    載の宿主細胞。
  37. 【請求項37】 改変型Gタンパク質αサブユニット遺伝子がGPA1であって、宿主細胞が酵
    母である、請求項36に記載の宿主細胞。
  38. 【請求項38】 異種Gαタンパク質が哺乳類タンパク質である、請求項36に記載の宿主細胞
  39. 【請求項39】 改変型GPA1遺伝子が内因性Gαタンパク質のアミノ末端ドメインをコード
    する第1の核酸配列を、Gαi2、Gαi3、Gαo、Gαs、Gαq、Gαz
    、Gα11、Gα12、Gα13、Gα14、Gα15およびGα16からなる
    群から選択される哺乳類Gαタンパク質のカルボキシ末端をコードする第2の核
    酸配列と結合して含んでなる、請求項37に記載の宿主細胞。
  40. 【請求項40】 改変型GPA1遺伝子が、内因性Gαタンパク質の5つのカルボキシ末端アミ
    ノ酸をコードする第1の核酸配列と、Gαi2、Gαi3、Gαo、Gαs、G
    αq、Gα11、Gαz、Gα12、Gα13、Gα14、Gα15およびGα
    16からなる群から選択される哺乳類Gαタンパク質の5つのカルボキシ末端ア
    ミノ酸配列をコードする第2の核酸配列との置換を含んでなる、請求項37に記
    載の宿主細胞。
  41. 【請求項41】 異種Gタンパク質共役受容体がラット・ソマトスタチンSSTR2、ラット・
    アデノシンA2a、ラット・ムスカリン様アセチルコリンM2およびM3、D.
    メラノガスター(D. melanogaster)ムスカリン様アセチルコリンM1、ラット・
    ニューロテンシンNT−1、ヒト・バソプレシンV2、ラット・コレシストキニ
    ンCCK−AおよびCCK−B、ヒト・ゴナドトロピン放出ホルモンGnRH、
    ヒト・メラノコルチンMCR4、ヒト・アドレナリン作動性α2A、アプリスタ
    ・カリフォルニカ(Aplysta californica)オクトパミンOA1、ヒト・ボンベシ
    ン受容体関連配列3(BRS3)、ヒト・ヒスタミンH3、ならびにヒトβ2ア
    ドレナリン作動性受容体からなる群から選択される、請求項36に記載の宿主細
    胞。
  42. 【請求項42】 第1の種のGαタンパク質のアミノ末端ドメインをコードする第1の核酸配列
    と、第1の種とは異なる第2の種のGαタンパク質のカルボキシ末端をコードす
    る第2の核酸配列とを含んでなる、キメラGαタンパク質をコードする単離DN
    A配列。
  43. 【請求項43】 第1の種のGαタンパク質のアミノ末端ドメインがGβタンパク質、Gγタン
    パク質およびエフェクター分子の相互作用ドメインを含んでなる、請求項42に
    記載のDNA配列。
  44. 【請求項44】 第1の種由来のGαタンパク質の5つのカルボキシ末端アミノ酸をコードする
    第1の核酸配列が、第1の種とは異なる第2の種由来のGαタンパク質の5つの
    カルボキシ末端アミノ酸配列をコードする第2の核酸配列に置換している、キメ
    ラGαタンパク質をコードする単離DNA配列。
  45. 【請求項45】 請求項42または44に記載のDNAにコードされているポリペプチド。
  46. 【請求項46】 宿主細胞においてアゴニストにより刺激される異種Gタンパク質共役受容体の
    活性化を測定する方法であって、 (a)異種Gタンパク質共役受容体をコードするDNA配列を含んでなるベク
    ターで、請求項29に記載の宿主細胞を形質転換し、 (b)形質転換宿主細胞を異種Gタンパク質共役受容体に特異的なアゴニスト
    の存在下で培養し、さらに (c)アゴニストに応答する宿主細胞の増殖を測定して、アゴニストにより刺
    激される異種Gタンパク質共役受容体の活性化を決定する ことを含んでなる、方法。
  47. 【請求項47】 異種Gタンパク質共役受容体に対するGαタンパク質の結合特異性を測定する
    方法であって、 (a)異種Gタンパク質共役受容体をコードするDNA配列を含んでなるベク
    ターで、請求項29に記載の宿主細胞を形質転換し、 (b)形質転換宿主細胞を異種Gタンパク質共役受容体に特異的なアゴニスト
    の存在下で培養し、さらに (c)アゴニストに応答する宿主細胞の増殖を測定して、異種Gタンパク質共
    役受容体に対するGαタンパク質の結合特異性を決定する ことを含んでなる、方法。
  48. 【請求項48】 宿主細胞が酵母である、請求項46または47に記載の方法。
  49. 【請求項49】 宿主細胞においてアゴニストにより刺激される異種Gタンパク質共役受容体の
    活性化を測定する方法であって、 (a)請求項36に記載の宿主細胞を異種Gタンパク質共役受容体に特異的な
    アゴニストの存在下で培養し、さらに (b)アゴニストに応答する宿主細胞の増殖を測定して、アゴニストにより刺
    激される異種Gタンパク質共役受容体の活性化を決定する ことを含んでなる、方法。
  50. 【請求項50】 異種Gタンパク質共役受容体に対するGαタンパク質の結合特異性を測定する
    方法であって、 (a)請求項36に記載の宿主細胞を異種Gタンパク質共役受容体に特異的な
    アゴニストの存在下で培養し、さらに (b)アゴニストに応答する宿主細胞の増殖を測定して、異種Gタンパク質共
    役受容体に対するGαタンパク質の結合特異性を決定する ことを含んでなる、方法。
  51. 【請求項51】 宿主細胞が酵母である、請求項49または50に記載の方法。
JP2000567691A 1998-09-01 1999-09-01 異種gタンパク質共役受容体の増強された機能的発現 Withdrawn JP2002523090A (ja)

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