JP2002518670A - 分光光度計の品質制御法 - Google Patents

分光光度計の品質制御法

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JP2002518670A
JP2002518670A JP2000555079A JP2000555079A JP2002518670A JP 2002518670 A JP2002518670 A JP 2002518670A JP 2000555079 A JP2000555079 A JP 2000555079A JP 2000555079 A JP2000555079 A JP 2000555079A JP 2002518670 A JP2002518670 A JP 2002518670A
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ハンセン,ヘイネ
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ラジオメーター・メディカル・アクティーゼルスカブ
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Abstract

(57)【要約】 【課題】分光光度計の種々の誤差を決定して装置の品質を測定することによって装置の診断をする分光光度計の品質制御方法を提供すること。 【解決手段】分光光度計の品質制御方法は、染料を含有する流体状の品質制御用サンプルの吸収スペクトルAm(λ)を分光光度計で測定して該吸収スペクトルを決定し、そして、CΔλ(λ)・Am(λ)(なお、CΔλ(λ)は該分光光度計のメモリ中に予め保存していた所定の係数ベクトルである)から波長シフトΔλを決定することから構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば血液のパラメータを測定するための酸素濃度計などの分光
光度計の性能をモニターするための分光光度計性能制御法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
吸収分光測定によって物質の組成を測定するための分光光度計はよく知られて
いる。例えば、酸素濃度計は、血液サンプル中の種々のヘモグロビン成分もしく
はフラクションの濃度を、可視もしくは/ならびに赤外波長領域における吸収ス
ペクトルを測定することによって決定するために使用される。かかる酸素濃度計
についてはヨ−ロッパ特許第210417号に記載されている。
【0003】 吸収分光測定において、流体のサンプルのスペクトルは、そのサンプルの一部
を含むキュベットに光線を透過させて決定する。 吸収分光測定は、ランバ−ト・ビア法に基づいている。この方法によると、単
一の光学的に活性な成分(染料)を含むサンプルに対して決定した下記吸光度は
その成分の濃度と、キュベット中のサンプルを通過する光路の長さに直接比例し
ている。
【0004】 A(λ)=ε(λ)cd (1) 式中、A(λ)は波長λにおいて決定された吸光度を意味し、 ε(λ)は波長λにおける該成分に対するモル吸光係数を意味し、 cは該成分のモル濃度を意味し、 dは該サンプルを保有するキュベット中を通過する光路の長さを意味
する。
【0005】 サンプルの吸光度A(λ)は、サンプル透過前後の光強度割合の対数として定
義される。実際には、吸光度A(λ)は、透明な水溶性標準溶液中を透過した光
強度Ioと、サンプル中を透過した光強度との割合の対数として次の式のように
定義される。
【0006】 A(λ)= log Io/I (2) 2種以上の光学活性成分を含むサンプルに対する全吸光度Atotalは、吸光度
が加法量であるので、個々の成分の吸光度の和である。したがって、Y種の光学
活性成分からなるサンプルの全吸光度は下記の式によって与えられる。
【0007】
【数2】
【0008】 サンプルのスペクトルにおいて、各波長λにおいて記録された吸収Atotal
λ)には、サンプル中の各成分からの分担分が含まれている。この分担分の大き
さ、つまり、サンプル中の各成分の濃度は、下記式によって決められる。
【0009】
【数3】
【0010】 式中、Jは、吸収が分光光度計によって決められる全波長数λjを意味し、 Ky(λj)は、波長λjにおける成分yに特異的な定数を意味する。
【0011】 ベクトルKy(λ)は、標準サンプルからのデータについての多変量解析など
の手法を用いて、またはn元n次方程式を解くことによって決めることができる
【0012】 酸素濃度計などの分光光度計の性能測定を、該当する分光光度計を用いて流体
品質制御サンプル、つまりQCサンプルの吸収スペクトルを測定して行うことも
知られている。
【0013】 血液分析に特異的な既知の品質制御サンプルは、一般的には、血液のスペクト
ルをするシミュレ−トするために工夫された赤色染料をベ−スにしたサンプルで
ある。赤色染料に加えて、そのサンプルには、血液ガス/電解質装置の性能を決
定するために、ある場合には、所定pHのある量の酸素、二酸化炭素ならびに電
解質が含まれている。生理的血液の吸収スペクトルに近似する吸収スペクトルを
有する合成QCサンプルは未だ提供されていない。
【0014】 酸素濃度計などの分光光度計の性能制御は、一般的には、3種類または4種類
の異なる染料を含むQCサンプルの吸収スペクトルを測定することによって行わ
れる。染料は、そのQCサンプルの吸収スペクトルが血液の吸収スペクトルに近
似する割合で混合される。QCサンプルのスペクトルは、酸素濃度計で測定され
モニタ−され、濃度計で決められたパラメータ値は資格測定者が測定して該QC
サンプルに対して定めたコントロ−ルリミット値と比較する。測定で定めたパラ
メータが対応するコントロ−ルリミット値外である場合には、酸素濃度計の修理
が必要である。
【0015】 WO96/30742には、酸素濃度計の性能をモニタ−するための品質制御
方法が記載されている。この方法は、QCサンプルの吸収スペクトルを測定し、
その吸収スペクトルを該QCサンプルの標準スペクトルと比較することからなっ
ている。酸素濃度計の装置誤差は、観察される相違に対する主な原因であると考
えられる。装置誤差は、血液成分濃度値に変換されるので、装置を操作している
者に理解される用語で報告することができる。
【0016】 既知の品質制御方法の重大な欠点の1つは、既知のQCサンプルが一般的には
3ないし4種類の異なる染料からなり、その長期安定性が所望されるより低いこ
とである。このことを相殺するために、酸素濃度計におけるパラメータ値許容範
囲を広げて、性能モニタ−を所望よりもより緩和して行うことができる。
【0017】 既知の品質制御方法における別の重大な欠点は、既知の品質制御方法では、異
なる形式の装置誤差間の違いを区別することができず、かつ、特定の形式の装置
誤差からパラメータ値の偏差値に対する分担分を特定することができないことで
ある。したがって、パラメータ値許容範囲は十分に広くして、あらゆる可能な形
式の装置誤差を許容するようにしなければならない。更に、品質が制御されてい
る分光光度計は、その決められたパラメータ値がその許容範囲外にあったとして
も診断することができない。たとえば、波長がシフトする欠陥のある分光光度計
は、QCサンプルを希釈することによって見られるような決定したパラメータに
同じ偏差が導入される場合もある。
【0018】 将来の分光光度計には、解像度が改良された上に、吸収スペクトルの決定が促
進されることが期待される。これによって、より高精度でかつ高特異性の装置が
提供されることになる。スペクトルを高解像で測定することは、精度と長期間安
定性に対する要求が増えることになり、適切なQCサンプルを開発するのがより
困難になる。
【0019】 分光光度計において発生する最も重大な欠点の1つは波長のシフトである。製
造公差と使用中におけるずれによって、各分光光度計は、その波長軸に沿って僅
かに異なって決定スペクトルが位置している。したがって、吸光度が決まる波長
もまた各分光光度計によって僅かに異なって位置している。したがって、決定し
た吸光度は分光光度計が異なれば変動する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、種々の形式の分光光度計における誤差の決定を促進し、それによっ
てQC試験を行えない装置の正確な診断をすることができる品質制御法を提供す
ることを目的とする。
【0021】 装置誤差は、サンプルのスペクトルに影響し、特定の形式の装置誤差は、その
スペクトルが、サンプル中の異なる濃度の成分が存在しているように明白に解釈
することができるようにスペクトルに影響を及ぼす。たとえば、キュベットを通
過する光路の長さdの変動は、決定吸光度A(λ)がランバ−ト・ビア法に従っ
て変動させ(吸光度はdに比例する)、キュベット中のサンプルが意図せず希釈
されることは所定吸光度に同様に影響などする。
【0022】 本発明の重要な態様は、分光光度計の波長シフトが、サンプル中のある成分の
既知吸収スペクトルのテーラー級数(Taylor series)または標準
スペクトルを形成することによって決定される。既知の吸収スペクトルを有する
成分からなるサンプルの吸収スペクトルを決定した後に、波長シフトが決定され
る。
【0023】 サンプルの吸収スペクトルは、少なくとも2つの要素(各要素は特定波長λj
でのサンプルの吸光度を表示する)からなるベクトルAm(λ)によって定義す
ることができる。
【0024】 分光光度計の品質制御法は、染料を含有する流体QCサンプルのスペクトルA m (λ)を分光光度計によって決定するステップと、CΔλ(λ)・Am(λ)か
ら波長シフトΔλ(式中、CΔλ(λ)は分光光度計のメモリ中に予め保存され
ている所定の係数ベクトルを意味する)を決定するステップとを含んで構成され
ている。
【0025】 本発明に係る方法の好ましい実施形態において、波長シフトΔλは、決定サン
プルAm(λ)を染料濃度の推定値で正常化した後に決定される。 本発明の方法の更に好ましい実施形態において、CΔλ(λ)が、染料含有標
準サンプルの標準スペクトルA0(λ)と、該標準スペクトルの1階導関数A0
(λ)との組み合わせから決定される。
【0026】 近似法では、標準スペクトルの第1次の導関数だけが次のように考慮される。 Am(λ)= A0(λ)+ ΔλA0’(λ) (5) (式中、A0(λ)は標準スペクトルを意味し、 A0’(λ)は波長λに関する1階の導関数を意味し、 Δλは決定すべき波長シフトを意味し、 Am(λ)は、波長シフトを決定すべき分光光度計で測定された既知
スペクトルA0(λ)を有するサンプルのスペクトルを意味する)。
【0027】 Δλは当業者にとって既知の種々の数学的方法によって決定できる。たとえば
、上記方程式は選択波長に対して解かれ、また上記方程式は選択波長のセットに
対して解かれ、Δλを上記方程式のΔλに対する解決値の平均値として計算し、
Δλは最小自乗適合によって決定され、Δλは多変量解析法などによって決定で
きる。
【0028】 本発明は更に下記ステップからなる品質制御のための分光光度計の製造法を提
供する。この方法は、第1濃度の染料含有標準サンプルの第1標準スペクトルA 0 (λ)を分光光度計で決定するステップと、該染料の第1標準スペクトルの1
階の導関数A0’(λ)を決定するステップと、少なくとも第1標準スペクトル
0(λ)と1階の導関数A0’(λ)とから、それから該分光光度計の波長シフ
トΔλが決定される数学的パラメータを決定するステップと、該数学的パラメー
タを該分光光度計のメモリに保存するステップとを含んで構成されている。
【0029】 更に、分光光度計は、該分光光度計の波長シフトΔλを決定するための数学的
パラメータを保存するメモリと、該メモリに連結し、該数学的パラメータと、染
料含有流体QCサンプルに対して該分光光度計を用いて決定したスペクトルAm
(λ)とから波長シフトΔλを計算するために適応するプロセッサと、から構成
されている。
【0030】 上記した数学的パラメータは、選択波長λ0での、または、波長λ0,λ1,.
..,λLなどからなる選択セットでの第1標準スペクトルA0(λ)と第1標準
スペクトルA0(λ)の1階の導関数A0’(λ)から、または、パラメータCΔ
λ(λ)のようなスペクトルから誘導されるパラメータから構成されている。
【0031】 好ましくは、数学的パラメータを決定するためのステップは、下記式: Bi(λ)= si0(λ)+si30’(λ) (6) (式中、i=1,2,....,N(N>1);siとsi3とは、選択値の
定数を意味する) に従ったキャリブレーションベクトルBi(λ)のセットを計算するステップと
、 該数学的パラメータからなる係数ベクトルCΔλ(λ)を決定して、対応値s i3 、Biの各セットが下記式: si3=CΔλ(λ)・Bi(λ),i=1,2,...,N (7)
を満たすステップと、から構成されている。
【0032】 波長シフトΔλを決定するステップは、CΔλ(λ)・Am(λ)からΔλを
計算するステップから構成されている。 パラメータΔλは、染料の全濃度Cqcに比例するので、Δλは、一般的には
、CqcまたはCqcの近似値によって正常化される。たとえば、染料がスルホロー
ダミンBなどの2成分染料であるときに、Δλは染料の第1成分s1の濃度で正
常化するのが好ましい。また、Δλをs1で正常化することは、それから標準ス
ペクトルが決定される標準サンプル中の染料濃度と、QCサンプル中の染料濃度
との差があるときに行うのが望ましい。
【0033】 したがって、この発明に係る分光光度計の好ましい態様において、そのメモリ
に保存された数学的パラメータは、それから波長シフトΔλが決定されるベクト
ルCΔλ(λ)を構成する。
【0034】 本発明の第2の重要な態様によれば、QCサンプルは、各成分の濃度間の割合
が該染料の全濃度によって変動する化学的平衡にある染料から構成されている。
この場合、吸収スペクトルの形は、該染料の全濃度に依存する。染料のこの特性
によって、キュべット中のサンプルの予期しない希釈によって引き起こされる濃
度の測定誤差と、キュべット中の光路変化によって引き起こされる測定誤差との
間を区別することができる。
【0035】 したがって、品質制御のための分光光度計の製造方法は、標準分光光度計を用
いて、第1濃度の染料を含有する標準サンプルの第1標準スペクトルA01(λ)
を決定することと、第2濃度の染料を含有する標準サンプルの第2標準スペクト
ルA02(λ)を決定することと、から構成されていて、該染料は化学的平衡にあ
る第1成分と第2成分とからなる。第1成分と第2成分とについてのスペクトル
情報をそれぞれ表す数学的な2つのモデルスペクトルA1(λ)とA2(λ)とは
、該第1標準スペクトルA01(λ)と、該第2標準スペクトルA02(λ)とから
誘導して、該標準サンプルのスペクトルが、A1(λ)とA2(λ)との加重和と
して計算することができる。たとえば、A1(λ)とA2(λ)とは、該染料のそ
れぞれの2つの成分からの個々のスペクトルであるか、または、A1(λ)は、
2つの成分からの個々のスペクトルの和であって、A2(λ)が2つの成分から
の個々のスペクトルの間の差であってもよい。好ましくは、A1(λ)とA2(λ
)とは、該第1標準スペクトルA01(λ)と、該第2標準スペクトルA02(λ)
とから、主成分解析法(Principal Components Anal
ysis:PCA)によって決定できる。
【0036】 次いで、分光光度計によって決定されたAm(λ)は、下記の式によって得ら
れる。 Am(λ)=s11(λ)+s22(λ)+ΔλA0’(λ) (8) パラメータs1、s2、Δλのそれぞれは、標準サンプルから得られたデータに
ついて数学的方法、たとえば、多変量解析法などによって、決定することができ
る。数学的パラメータを決定するステップは、下記ステップから構成される。下
記ステップは、下記式: Bi(λ)=si11(λ)+si22(λ)+si30’(λ) (9) (式中、i=1,2,...,N(N>1)、si1、si2、si3は選択値の
定数である) からベクトルBi(λ)のセットを計算するステップと、 数学パラメータからなるベクトルCΔλ(λ)を決定して、下記式: si3=CΔλ(λ)・Bi(λ),i=1,2,...,N(10)
を得るステップと、から構成される。
【0037】 更に、数学的パラメータは、下記式: si1=C1(λ)・Bi(λ),i=1,2,...,N (11)
を満たすベクトルC1(λ)からなり、 更にまた、下記式: si2=C2(λ)・Bi(λ),i=1,2,...,N (12)
を満たすベクトルC2(λ)から構成されている。
【0038】 分光光度計を品質制御する方法は、既知濃度Cqcの染料を含有し、第1成分と
第2成分とからなるQCサンプルを利用することができ、更に、パラメータs1
とs2を下記: s1=C1(λ)・Am(λ) (13) s2=C2(λ)・Am(λ) (14) (式中、C1(λ)とC2(λ)とは、分光光度計のメモリに予め保存さ
れた所定のベクトルである) から計算し、そして、染料の推定濃度Cestを下式: Cest=as1 + bs2 (15) (式中、aとbとは、分光光度計のメモリに予め保存された所定の定数
であり、s1とs2とは、染料の第1成分と第2成分のそれぞれの濃度を表してい
る) から計算することから構成されている。
【0039】 同様に、この発明の好ましい態様においては、分光光度計のメモリは、式(1
3)と式(14)とを満たすベクトルC1(λ)とベクトルC2(λ)とから構成
することができる。
【0040】 そのメモリはまた、所定の定数aとbとから構成され、そして、プロセッサは
更に式(15): Cest=as1 + bs2 による染料の濃度Cestを計算するよう適合させることもできる。
【0041】 小さな波長シフトを正確に特定するために、染料は、分光光度計の測定範囲内
に、急斜面を持つ有意吸光度ピ−クを有するスペクトルを持つのが好ましい。た
とえば、分析するサンプルが血液である場合には、波長シフトが0.05nmで
あれば、ctHb,sO2,FO2Hb,FHHb,FCOHb,FMetHbな
どのいくつかの血液パラメータを正確に特定するのに十分である。
【0042】 更に、QCサンプルのスペクトルが、当該分光光度計によって分析しようとす
るサンプルのスペクトルに類似しているのが好ましい。このようにすることによ
って、装置の性能をモニタ−することができる。
【0043】 たとえば、血液分析において、重要な血液成分は、480ないし670nmの
波長範囲に有意吸光度を有している。したがって、この発明に係る方法には、下
記のような染料を使用するのが好ましい。つまり、該染料は、血液のスペクトル
と類似し、400ないし800nm、好ましくは480ないし670nmの範囲
に有意吸光度ピ−クを有し、100μmの光路長に対して40mAbs/nm、
好ましくは50mAbs/nmより大きな急勾配の吸光度斜面を有するスペクト
ルを有するのが好ましい。また、染料は、10,000ないし100,000の
範囲のモル吸光係数を有するのが好ましい。
【0044】 また、染料としては、たとえば、数種類の化学品分類の1つに属していて、そ
れらの化学品の分類としては、たとえば、シアニン染料、アザシアニン染料、ト
リアリ−ルメチン染料、アクリジン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジ
ン染料、キサンテン染料などが挙げられる。最初の4種類の染料に属する染料は
、一般的には、カチオン染料であり、分子の陽電荷によって水溶性である。キサ
ンテン染料には、カチオンならびに中性のローダミン類と、アニオンスルホロー
ダミン類とが含まれていて、かかるアニオンスルホローダミン類としては、スル
ホローダミンBが好ましい。
【0045】 本発明の好ましい実施態様によれば、少なくとも2種類の濃度の染料を含む標
準サンプルのスペクトルは、たとえば、品質制御すべき分光光度計と同一種の正
確な標準装置によって、選択した波長のセットにおいて決定することができる。
次いで、係数ベクトルC1(λ)、C2(λ)とCΔλ(λ)と、定数aとbは、
たとえば、多変量解析法によって決定され、通常の使用をしている際に流体QC
サンプルによって品質制御すべき分光光度計のメモリに製造時に保存される。
【0046】 QCサンプルを作成するに際して、濃度Cqcと、Qrefとして表わされるs2
1比と、初期波長シフトΔλqcとは、標準分光光度計によって決定することが
できる。QCサンプルの初期波長シフトは、主に、該QCサンプル中の染料の溶
媒組成の変動から生じている。
【0047】 バーコードラベルや磁気ラベルなどのラベルは、問題となるCqc、Qref、Δ
λqcの値の1つもしくはそれ以上を含むQCサンプルのそれぞれに貼付すること
ができる。別の方法としては、1つもしくはそれ以上の値を、QCサンプルセッ
トに続く紙片にバーコードを印刷することもできる。ラベルや紙片に表示される
値は、指定された割当値である。
【0048】 特定の分光光度計を品質制御している間、Cqc、Qref、Δλqcの割当値は、
分光光度計によって読み取られ、その値はそのメモリに保存される。次いで、該
QCサンプルのスペクトルが決定され、そして、s1、s2、Δλが上記したよう
に決定される。また、Qest=s2/s1、Δλ、Cestに対する決定値が計算され
、Qref、Δλqc、Cqcの割当値とそれぞれ比較される。
【0049】 QCサンプルの発生しうる希釈は、QestとQrefとの差から決定でき、該希釈
と、キュベットを通過する光路長dの変動との合同効果は、CestとCqcとの差
から決定できる。
【0050】 Δλ、Cest、Qestなどの推定パラメータ値は、分光光度計によって分析しよ
うとしているサンプルのパラメータを決定するために使用することができる。し
たがって、品質制御法の結果は、装置操作者にとって理解できる数量として装置
から報告される。
【0051】 たとえば、血液パラメータ値を決定するための酸素濃度計においては、品質制
御手順で決定したパラメータΔλ、Cest、Qestの1つに対応する測定誤差が原
因である1つもしくは数個の所定標準血液スペクトルについての理論的変位は、
酸素濃度計によって計算できる。その変位したスペクトルから、酸素濃度計は、
対応する血液パラメータ値を計算して、装置操作者に対してその値を通知するこ
とができる。
【0052】 所定の標準血液スペクトルは、酸素濃度計のメモリに保存されるか、または、
標準血液サンプル中に含まれる各血液成分の所定のスペクトルから該酸素濃度計
のプロセッサによって数学的に誘導することもできる。
【0053】 本発明の好ましい実施態様において、通知された血液パラメータ値に対する所
定のコントロール制限値は、QCサンプルのセットに続く紙片に印刷される。操
作者は酸素濃度計によって通知された血液パラメータ値を紙片に印刷された所定
のコントロール制限値と比較して、通知された値が該コントロール制限値内にあ
るかどうかを決定する。
【0054】 所定のコントロール制限値はまた、酸素濃度計によって読み取られるQCサン
プルのラベルに保存することができる。したがって、酸素濃度計は、通知された
血液パラメータ値と対応するコントロール制限値と比較することができるように
なっている。
【0055】 本発明の第3の重要な形態によれば、流体サンプル中の干渉成分もしくは物質
の吸収スペクトルを抑制するための方法も提供される。 本明細書の記載においては、サンプル中の干渉成分は、分光光度計がそのパラ
メータ値を通知するようになっているあらかじめ選択された成分以外の成分を意
味している。またかかる干渉成分が同じサンプルに存在していることは、あらか
じめ選択した上記成分の少なくとも1つの成分の吸収スペクトルに干渉する。
【0056】 本発明の好ましい実施態様によれば、各波長λで記録された吸光度Am(λ)
には、前記干渉成分を含むサンプル中の各成分からの分担分が含まれている。そ
の分担分の強度、つまり、サンプル中の各成分濃度は、下記式(16)と(17
)によって決定される。
【0057】
【数4】
【0058】 または上記の均等式: Cy = Ky(λ)・Am(λ) (17) 上記ベクトルKy(λ)は、標準サンプルから得られたデータから、多変量デ
ータ解析法などの方法を用いて、または、n元n次方程式を解くことによって、
数学的に決定することができる。標準スペクトルが決定される標準サンプル中の
1つもしくはそれ以上の干渉成分または物質が含まれることによって、1つもし
くはそれ以上の干渉成分または物質に対応する1つもしくはそれ以上のベクトル
y(λ)も決定できる。その干渉成分または物質に対応する1つもしくはそれ
以上のベクトルKy(λ)は、一般的には、指定されたKint(λ)であり、該ベ
クトルKy(λ)と一緒に分光光度計のメモリに保存される。
【0059】 更に、分光光度計は、その干渉成分または物質に関するスペクトル情報を表す
1つもしくはそれ以上の所定ベクトルAint(λ)を提供することができる。各
所定ベクトルAint(λ)は、標準濃度Crefで得られ、それによってあらゆる干
渉成分のスペクトルは、ランバ−ト・ビア法、つまり、上記式(1)に従って該
成分の所定濃度で誘導することができる。
【0060】 本発明の1実施態様において、干渉成分の所定血液パラメータ値に対する効果
は、下記3段プロセス(下記に「干渉成分スペクトルの抑制」として記載する)
によって最小になる。
【0061】 第1段は、サンプル中の干渉成分の濃度を決定することである。第2段はサン
プルの測定スペクトルAm(λ)から決定濃度の干渉成分のスペクトルを差し引
いて、該サンプルの変位スペクトルを決定することである。第3段は、該変位ス
ペクトルから、血液成分の濃度Cyと、血液成分のパラメータ値を決定すること
である。
【0062】 本発明によれば、流体サンプル中の干渉成分スペクトルを抑制した分光光度計
が、サンプルの成分yの濃度Cyを決定するために提供される。その分光光度計
においては、メモリは、濃度Cintにおけるサンプル中の干渉成分のスペクトル
情報を表す少なくとも1つのベクトルAint(λ)と、少なくとも1つのベクト
ルKint(λ)とから更に構成され、かつ、プロセッサが更に、下記式: Cint=Kint(λ)・Am(λ) (18) に従って該干渉成分の濃度Cintを計算するように適合されていて、そして、Ci nt が所定の閾値Crefよりも大である場合には、下記式:
【0063】
【数5】
【0064】 (式中、Amod(λ)は変位スペクトルである。) に従って測定スペクトルAmod(λ)を変位し、そして、下記式: Cy=Ky(λ)・Amod(λ) (20) に従って変位スペクトルAmod(λ)からCyを決定することによって干渉成分の
決定濃度Cyに対する効果が最小になる。
【0065】 測定スペクトルは、干渉成分の所定濃度が所定閾値より大きいときにだけ変位
される。このことは、測定スペクトルを変位することによって、干渉成分のスペ
クトルの推定値が不確実性でなることから、変位スペクトル中にある種の望まし
くない「プロセスノイズ」が発生することがあるからである。なお、プロセスノ
イズを変位スペクトルに追加することは、サンプル中の干渉成分の濃度が該閾値
より大きいときにだけ正当化される。
【0066】 血液分析のための酸素濃度計は、臨床的に重要な干渉成分もしくは物質に対し
ていくつかの所定ベクトルを提供し、そのメモリ中にベクトルKint(λ)の対
応値を提供する。干渉成分は、酸素濃度測定において有意な干渉を以前引き起こ
した成分中、例えば、胎児性ヘモグロビン、ビリルビン、カルディオグリーン(
Cardio Green)、エヴァンスブルー(Evans Blue)、メチレンブルー、イントラ
リピッド(Intralipid)、HiCN、SHbなどの中から選択することができる
。これらの成分のスペクトルを抑制することによって、現在入手できる装置より
もより正確に血液パラメータ値の測定ができる酸素濃度計が提供される。
【0067】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係る酸素濃度計のブロック図であり、酸素濃度計は、酸素
濃度測定モジュ−ル(図示せず)中の光度計1から構成され、該モジュ−ルは、
電導体からなるデータケ−ブル6を用いてプリント基板2に結合されている。プ
リント基板2は光度計1からのデータを制御し収集される。収集されたデータは
、メモリ(図示せず)とプロセッサ−(図示せず)とから構成されるデータ処理
ユニット3に伝送される。所定の係数ベクトルC1(λ)、C2(λ)、CΔλ(
λ)の値はメモリに保存される。バーコードリ−ダ5は、QCサンプル又はサン
プルセットで包んだ紙片に取り付けたバーコードラベルからデータを読み取り、
そのデータをデータ管理コンピュ−タ7経由でデータ処理ユニット3に伝送する
。電源モジュ−ル4は主接続から酸素濃度測定モジュ−ルに電力を供給する。
【0068】 図2は、本発明に係る酸素濃度計のウェット部の概略図を示していて、血液サ
ンプル(図示せず)は入口プロ−ブ20から酸素濃度計に入れられる。サンプル
はキュベット74に移される。プレヒ−タ15がサンプル路30に沿って配置さ
れ、サンプルを実質的に常温の37℃に加熱する。ポンプ10を使用してウェッ
ト部から液体とガスを排出する。
【0069】 図3は、光度計1の主要部を示していて、一定の強度を有する光ビ−ム75が
ハロゲンランプ70からキュベット74に照射される。キュベット74は血液サ
ンプルもしくはQCサンプルからなり、ヘモライザ79に配置されている。血液
サンプルは超音波で溶血される。溶血は、サンプル中の赤血球細胞の細胞壁を破
壊し、その内容物であるヘモグロビンを開放するプロセスである。光ビ−ム75
は、赤外フィルタ71と両凸レンズ72を通ってキュベット74に伝送される。
光ビ−ム75は、キュベット74を通過した後、光ファイバ77によって測定部
76に送られる。光ビ−ム75は薄いスリット78を通過して、凹面格子ユニッ
ト80に進み、波長に応じて回折される。
【0070】 凹面格子ユニット80は、光の焦点を光ダイオードアレイ83に合わせ、これ
に回折された光ビ−ム82が入射する。光ダイオードアレイ83は、128個の
光ダイオードからなり、光ダイオードアレイ83は、回折された光ビ−ム82中
において約1.5nmの波長範囲からなる光が光ダイオード(図示せず)に入射
する。この光ダイオードは、その光を、入射する光の強度に実質的に比例する電
流に変換する。光ダイオードアレイ83の128個の光ダイオードのそれぞれの
電流の値を測定することによって、サンプル通過後の光ビ−ム82の個別の強度
スペクトルが得られる。この強度スペクトルから、キュベット74に含まれる血
液サンプルの吸収スペクトルが酸素濃度計によって決定することができる。
【0071】 吸収スペクトルは、この発明の好ましい実施態様において、478ないし67
2nmの波長範囲に位置する128個のチャンネルで測定される。本明細書にお
いて、チャンネルは、ダイオードアレイ83中の特定の光ダイオードに伝送され
るスペクトルの1部である。
【0072】 本発明によれば、酸素濃度計の波長シフトは品質制御手法によって決定される
。4種類の異なる形式の品質制御サンプル(QCサンプルレベル1ないし4)を
提供するのは好ましい(図4参照)。QCレベルは、異なる濃度のスルホローダ
ミンBから構成される。酸素濃度計の品質制御の信頼性は、いくつかのQCレベ
ルでQCサンプルの吸収スペクトルを測定することによって向上する。異なる濃
度のスルホローダミンBからなるQCサンプルを利用することによって、酸素濃
度計は、血液サンプルの広範囲な成分濃度にわたって血液パラメータを正しく確
実に測定することができる。
【0073】 溶液において、スルホローダミンBは長期安定性を示す。吸光度の側面が急勾
配であることは、酸素濃度計の波長シフトを正確に決定することを可能にしてい
る。というのは、非常に小さな波長シフトであっても、スルホローダミンB含有
サンプルの所定波長において測定吸光度が大きな変化を生ずるからである。
【0074】 水溶液においては、スルホローダミンBは化学平衡にある2種類の成分を有す
る染料であって、該染料中の各成分濃度は該染料の全濃度に応じて変化する。こ
の場合、吸収スペクトルの形は、染料の全濃度Ciに依存する。このことは図5
に示していて、図5は、全濃度がそれぞれ2.5058mmol/kg,1.6
705mmol/kg,1.0023mmol/kgで決定したスルホローダミ
ンBサンプルの3つの吸収スペクトルA01(λ)110、A02(λ)111、A 03 (λ)112を示している。スルホローダミンBサンプルは図4のQCレベル
1ないし3に対応している。
【0075】 数学的には、図6に示すような2つのモデルスペクトルA1(λ)105とA2 (λ)106とは、少なくとも2つの標準スペクトル、たとえば図5のA01(λ
)110とA02(λ)111などから誘導することができる。この場合、その2
つの標準スペクトルは、染料のスペクトルがA1(λ)とA2(λ)の加重和とし
て計算できるというように、スルホローダミンBの第1ならびに第2成分につい
てのスペクトル情報をそれぞれ表している。
【0076】 上記2つのモデルスペクトルは、主成分分析(PCA)によって決定されるの
が好ましく、それによって、数学的なモデルスペクトルA1(λ)とA2(λ)か
らなる2つの直交ベクトルが決定される。濃度Ciでの染料のスペクトルはモデ
ルスペクトルA1(λ)とA2(λ)の加重和、ならびに、それらの対応するスコ
アもしくは重みsi1とsi2として計算することができるので、スコアもしくはパ
ラメータのセットsi1とsi2もまた、染料の各濃度に対するPCA分析によって
提供される。
【0077】 PCA分析は、市販されているいくつかのコンピュータプログラムによって行
うことができる。この実施態様において使用するプログラムは、「アンスクラン
ブラ(Unscrambler)」である。図6に示す2つのモデルスペクトル
1(λ)105とA2(λ)106とは、「アンスクランブラ」を用いて3つの
標準スペクトルA01(λ)、A02(λ)、A03(λ)からPCAによって決定さ
れる。
【0078】 標準吸収スペクトルA01(λ)、A02(λ)、A03(λ)を測定する溶液中の
染料の標準濃度は、染料、つまり、粉末状スルホローダミンBと溶媒の容量との
重量から決定される。標準吸収スペクトルは、各標準濃度のスルホローダミンB
を含有する5つのサンプルの吸収スペクトルを測定し、そして、各濃度の標準ス
ペクトルに対する平均値を決めることによって決定される。サンプルの標準吸収
スペクトルは、定義上ゼロ波長シフトである標準酸素濃度計によって測定される
【0079】 実際上、標準酸素濃度計として特定して指定されてなくかつ取り扱われていな
い酸素濃度計は、いくらかの波長シフトΔλを常に示している。その波長シフト
によって、サンプルの測定吸収スペクトルAm(λ)は、標準酸素濃度計につい
て測定する同一サンプルの標準スペクトルA0(λ)から僅かに異なっている。
測定スペクトルAm(λ)と、標準スペクトルA0(λ)との間の関係ならびにモ
デルスペクトルの関係は、下記式(8): Am(λ)=s11(λ)+s22(λ)+ΔλA0’(λ) (式中、ΔλA0’(λ)は、標準スペクトルA0(λ)のテーラー級数の第
1項である) に従って表される。
【0080】 標準スペクトルA0’(λ)の1階の導関数は、モデルスペクトルA1(λ)の
1階の導関数として近似計算されるのが好ましい。関係濃度Ciのスルホローダ
ミンBのモデルスペクトルA1(λ)に対するスコアsi1の値が、そのモデルス
ペクトルA2(λ)に対するスコアsi2の値よりずっと高いことが判明したので
、この近似が正当化される。したがって、
【0081】
【数6】
【0082】 (21) であり、それによって測定スペクトルAmi(λ)は、 Ami(λ)=si11(λ)+si22(λ)+Δλii11’(λ) (22) (式中、Δλii1、si1、si2は、濃度Ciに対応するスコアまたは定数で
ある) によって近似することができる。
【0083】 係数ベクトルC1(λ)、C2(λ)、CΔλ(λ)は、スコアと、対応する吸
収スペクトル決定値とから多変量解析によって決定するのが好ましい。 多変量解析は、64行と4列を作成することによって開始される。この表中の
始めの3列は、スコアΔλii1、si1、si2のいずれか1つの選択値からなり
、最後列は、スペクトルAmi(λ)の対応する計算値からなる。各行は、キャリ
ブレーションベクトルを構成し、全表は64個のキャリブレーションベクトルか
ら構成される。
【0084】 1個ならびに同一列に現れる各スコアの64個の値は、0と、
【0085】
【数7】
【0086】 (式中、A2(λj)は、特定のスコアに対応する特定のスペクトルの128
個の波長を交差する二乗吸光度の総和を意味する) との間に均等に分配されている。つまり、スコアsi1の値は、0と、(√(A1 2 (λ))の逆数との間に均等に分配される。
【0087】 多変量解析の次のステップは、主成分回帰法によって、表から係数ベクトルC 1 (λ)を決定することからなり、したがって、スコアsi1と、対応するスペク
トルAmi(λ)との各セットは、下記式: si1=C1(λ)・Ami(λ) (23) を満足する。
【0088】 表から、係数ベクトルC1(λ)は、主成分回帰法(PCR)によって決定さ
れ、したがって、スコアsi1と、対応するスペクトルAmi(λ)との各セットは
、下記式: si2=C2(λ)・Ami(λ) (24) を満足する。
【0089】 また、表から、係数ベクトルCΔλ(λ)は、主成分回帰法(PCR)によっ
て決定され、したがって、スコアΔλii1と、対応するスペクトルAmi(λ)
との各セットは、下記式: Δλii1=CΔλ(λ)・Ami(λ) (25) を満足する。
【0090】 更に、計算されたスコアと、染料の全濃度Ciとの関係には、下記のような関
係: Ci = asi1+bsi2 (26) (式中、定数aおよびbは、いくつかの方法によって、好ましくは、濃度2
.5058mmol/kgと1.0023mmol/kgの染料の全濃度Ciか
らの決定したスコアを式(26)に挿入し、得られた2つの式を定数aおよびb
に対する2つの未知量によって解くことによって検出することができる)が存在
する。定数aおよびbに対する決定値は、a=0.1425、b=0.0931
である。したがって、式(26)は、下記: Ci=0.1425si1+0.0931si2 (27) として決定される。
【0091】 式(27)の有効性は、定数aおよびbを決定するために使用されていないス
ルホローダミンBの全濃度を有する標準溶液からのスコアsi1とsi2を挿入する
ことによって調べることができる。それによって、式(27)の有効性は、実験
的に確認される。
【0092】 分光光度計を現場で使用する場合に、係数ベクトルは次のように適用される。 係数ベクトルC1(λ)から、スコアまたはパラメータ値s1は、式(13): s1=C1(λ)・Am(λ) (式中、Am(λ)は、QC/標準サンプルの測定スペクトルである) によって決定することができる。
【0093】 係数ベクトルC2(λ)から、スコアまたはパラメータ値s2は、式(14): s2=C2(λ)・Am(λ) (式中、Am(λ)は、QC/標準サンプルの測定スペクトルである) によって決定することができる。
【0094】 係数ベクトルCΔλ(λ)から、波長シフトに比例するスコアもしくはパラメ
ータΔλs1は、下記式(28): Δλs1=CΔλ(λ)・Am(λ) (28) (式中、Am(λ)はQC/標準サンプルである) に従って決定することができる。
【0095】 決定されたs1、s2スコアは、染料の第1成分および第2成分の等濃度として
それぞれ解釈することができる。第1成分は数学的モデルスペクトルA1(λ)
に対応し、第2成分は数学的モデルスペクトルA2(λ)に対応する。
【0096】 決定された係数ベクトルCΔλ(λ)、C1(λ)およびC2(λ)は、製造時
に酸素濃度計のメモリにマトリックスの形で保存される。決定された定数aおよ
びbもまた、製造時に、酸素濃度計のメモリに保存される。
【0097】 QCサンプルは、4万ないし5万個のサンプルからなるロットとして製造する
のが好ましい。Cqc、QrefおよびΔλqcの値は、3種類の標準酸素濃度計につ
いて5ないし10個のサンプルを測定することによって製造中に決定するのが好
ましい。酸素濃度計は、標準血液サンプルについて正確なパラメータ値を通知す
るように調整されている。
【0098】 測定されたパラメータCqc、QrefおよびΔλqcのそれぞれの平均値は
、計算されそしてそれぞれのQCサンプルに取り付けたバーコードラベル上に保
存されるのが好ましい。
【0099】 例えば病院などでの通常の操作中の酸素濃度計の品質制御手順の間に、パラメ
ータCqc、QrefおよびΔλqcの値は、バーコードリ−ダ−によってQCサンプ
ルのバーコードラベルから読み取られ、酸素濃度計のメモリに保存される。
【0100】 次いで、QCサンプルの吸収スペクトルが決定される。QCサンプル中のスル
ホローダミンBの推定濃度が、下記式(26): Cest=0.1425s1+0.0931s2 によって測定された吸収スペクトルAm(λ)を用いて決定することができる。
その理由は、s1とs2の値は、式(13)および式(14)に従って測定した吸
収スペクトルAm(λ)と、ベクトルC1(λ)とC2(λ)とによって決定する
ことができるからである。s1とs2との比が決定され、Qestと指称される。
【0101】 酸素濃度計の波長シフトに比例するスコアの推定値は、式(25): Δλs1=CΔλ(λ)・Am(λ) によって提供される。s1の値は決定できるので、酸素濃度計の波長シフトの値
は、下記式(29)のようにスコアΔλs1をs1で割ることによって決定される
【0102】
【数8】
【0103】 酸素濃度計中のキュベットの光路d0の長さは、スルホローダミンB標準溶液
の吸収スペクトルAm(λ)を測定することによって決定するのが好ましい。ス
ルホローダミンBの濃度Crefは割り付け値として提供するのが好ましい。
【0104】 キュベットの光路d0の値を決定するために、標準溶液の吸収スペクトルAm
λ)が測定され、染料の推定濃度Cestが、上記したように酸素濃度計のメモリ
に保存した所定の係数ベクトルCΔλ(λ)、C1(λ)とC2(λ)および定数
aならびにbを利用して、式(26)、(13)、(14)に従って酸素濃度計
のプロセッサを用いて計算される。
【0105】 酸素濃度計によって決定した標準溶液の濃度Cestは、下記式:
【0106】
【数9】
【0107】 (式中、drefは、酸素濃度計のメモリにあらかじめ保存されているキュベ
ットの光路長の標準値である) に従って、酸素濃度計のメモリ中のキュベットの光路長d0の実際の値を計算す
るのに利用される。次いで、得られたキュベットの光路長d0の計算値は酸素濃
度計のメモリに保存される。
【0108】 スルホローダミンB標準溶液に対して決定されたΔλの値と、標準溶液に対し
て割り当てられた値Δλrefとの差は、後で測定されたスペクトルを波長の軸に
沿ってシフトするのに利用される。
【0109】 流体サンプルの吸光度A(λ)は、透明な標準水溶液を透過した光強度I0
当該流体サンプルを透過した光強度Iで割った値の対数を、式(2): A(λ)= log Io/I (I0はゼロポイント強度と呼ばれる) に従って決定することによって測定される。またこの値は、上記標準溶液を用い
て酸素濃度計をキャリブレーションする度に自動的に測定される。
【0110】 酸素濃度計の品質制御中に、Cestの決定値は、QCサンプルのラベルから読
み取った対応値Cqcと比較することができる。これらの値の差は、式(1): A(λ)=ε(λ)cd に示すランバ−ト・ビア法における2つの変数から導出することができる。
【0111】 このことが、酸素濃度計のキュベット光路長dが、酸素濃度計に保存されたd
0値とは異なり、測定された吸光度のより高い値もしくはより低い値の原因とな
っているか、または、染料の濃度測定値CestがCqcの値からずれるかのいずれ
かの原因である。
【0112】 決定された濃度Cestは、酸素濃度計のウェット部における誤差、例えば欠陥
チュ−ブや欠陥ポンプなど、キュベットの誤差などに起因して、Cqcの値から逸
脱することがある。このことはすべてサンプルの望ましくない希釈につながる。
したがって、Cestはまたキュベットの光路長d0が正しくないことに起因してC qc と異なることもある。
【0113】 もしCestとCqcとの間に差があって、Qrefの値がQestと等ければ、濃度推
定値と標準濃度値との間の差は、キャリブレーション中に計算されるようなキュ
ベットの光路長d0と、製造中に決定されるキュベットの光路長の標準値dref
の間の差に原因がある場合がある。
【0114】 もしCestとCqcとの間に差があり、Qrefの値がQestと異なっていれば、サ
ンプルは希釈することができる。希釈は、染料の濃度をCrefよりも小さくする
原因となり、さらにQestの値をQrefからずらす原因となるところの、成分s1
とs2との間の化学的平衡をシフトさせる原因となる。
【0115】 測定したパラメータΔλ、CestおよびQestと、QCサンプルのバーコードラ
ベルから読み取った対応パラメータとの間の、決定された差は、酸素濃度計によ
って、例えばプリンタ−によって操作者に知らせることができる。プリントする
メッセ−ジは、測定したパラメータではQCサンプルの品質制御ができないとい
う情報であってもよい。メッセ−ジには、失敗したパラメータについてのプリン
トアウトと一緒に、修理またはサ−ビスが必要な酸素濃度計の部分を示すメッセ
−ジが含まれていてもよい。例えば、プリントされるメッセ−ジには、測定した
波長シフトΔλが酸素濃度計のメモリに保存された所定の閾値よりも大きい場合
には、光度計1の測定部76の修理を要請するメッセ−ジが含まれていてもよい
【0116】 本発明の好ましい実施態様においては、QCサンプルの測定パラメータは、Q
Cレベル1ないし4のいずれかに対応する標準血液サンプルのスペクトルを変位
するのに使用される。
【0117】 図7において、各行の2ないし7列の数値は、標準血液サンプル組成を定義し
ており、1列は関連するQCレベルを示している。4種類の標準血液サンプルのそ
れぞれに対して、図8に示す対応する標準血液スペクトルは、該標準血液サンプ
ル中に含まれる各血液成分の所定のスペクトルから、酸素濃度計中のプロセッサ
によって数学的に誘導することができる。各血液成分の所定のスペクトルは、製
造時に酸素濃度計のメモリに保存するのが好ましい。
【0118】 図7に示す表中の各血液成分パラメータ値は、プラス/マイナス制限値を有し
ている。その制限値は、それぞれ+/−0.05nmの測定誤差だけの波長シフ
トを有する酸素濃度計によって標準血液サンプルのパラメータ値を測定すること
によって生じるであろう計算した誤差である。例えば、レベル1のサンプル中に
含まれる血液成分FCOHbの正しい値が6.00%であるときに、5.34%
または6.66%と測定される場合もある。したがって、酸素濃度計における非
常に小さな波長シフトであっても、測定される血液パラメータ値には重大な誤差
が生じることになる。このことから、酸素濃度計に対して波長シフトの品質制御
することは重要であることが示されている。
【0119】 QC手順において決定されたパラメータΔλ、Cestならびに、任意であるが
estに起因する試験において、実際のQCサンプルのレベルに関連した数学的
に誘導された標準血液スペクトルに対する変位を決定することによって、酸素濃
度計は、その変位スペクトルを使用して対応する血液パラメータ値を計算するこ
とができる。そのパラメータ値は、酸素濃度計を操作している操作者に通知され
、操作者はそれらの値を実際のQCレベルに対して割り付けたコントロ−ル制御
値と比較することができる。QC手順中に明らかになった未知の血液パラメータ
値を有する血液サンプルに対して通知された値に対する装置誤差の効果は、通知
されたパラメータ値と、図7の関連する標準血液サンプルの値との間のずれから
現れたりすることがある。
【0120】 図8は、各標準血液サンプルの吸収スペクトルを示していて、その吸収スペク
トルは品質制御レベル1ないし4のために酸素濃度計において使用される。レベ
ル1ないし4に対応するスペクトルは、120、121、122、123にそれ
ぞれ対応している。各スペクトルは、スルホローダミンBの濃度に対応する対応
値Crefを有している。
【0121】 パラメータΔλに起因する図8に示す標準血液スペクトルに対する上記変位は
、ΔλとΔλqc(Δλqcは酸素濃度計のメモリに保存された割当値もしくは所定
の固定値のいずれかである)に対応する波長軸に沿ったシフトである。パラメー
タCestに起因する標準血液スペクトルの変位は、Cest/Cref比を有する個々
の吸光度の変位である。
【0122】 酸素濃度計によって導入された測定誤差の決定値を血液サンプルのパラメータ
値に変換するこの方法を採用することによって、装置誤差は、酸素濃度計の操作
者によって容易に理解される用語で通知されることになる。
【0123】 制御が行われなかった血液パラメータを注目することによって、測定したパラ
メータΔλ、CestならびにQestのうち、どの測定パラメータが品質制御をしな
かったかを決定することができ、それによって酸素濃度計のどの部分が修理また
はサ−ビスを必要としているかを決定することができる。
【0124】 対応するコントロ−ル制限値の外にあることで品質制御ができなかった血液パ
ラメータと、パラメータΔλ、CestならびにQestの測定値との関係、つまり、
それによる酸素濃度計の誤差診断は、修理技術者のサ−ビスマニュアルに含める
ことができる。
【0125】 本発明によって、酸素濃度計に挿入した血液サンプル中に含まれる1種類もし
くは数種類の干渉成分もしくは物質の吸収スペクトルを抑制する方法も提供され
る。酸素濃度計は、酸素濃度測定において重大な干渉を引き起こすことが知られ
ている胎児ヘモグロビンのスペクトルを抑制するようにするのが好ましい。
【0126】 決定した血液サンプルスペクトルにおいて、各波長λにおいて記録された吸光
度Am(λ)には、サンプル中の各成分からの分担分が含まれている。干渉成分
はその他の成分として自然に処理されている。その分担分の強度と、つまり、サ
ンプル中の各成分の濃度は、式(17): Cy=Ky(λ)・Am(λ) に従って決定される。
【0127】 ベクトルKy(λ)は、あらかじめ設定され、分光光度計のメモリに保存され
ている。 その標準スペクトルを決めるべき胎児ヘモグロビン成分を血液サンプル中に含
めることによって、サンプル中の胎児ヘモグロビンの濃度に対応するベクトルK fetal (λ)が決定される。
【0128】 更に好ましくは、酸素濃度計は、成人ヘモグロビンと胎児ヘモグロビンとの間
のスペクトル差を表す所定のベクトルAfetal(λ)を提供するのがよい。その
ベクトルAfetal(λ)は、1mmol/Lの標準濃度Cfetalに対して決定する
のが好ましい。
【0129】 血液サンプル中に胎児ヘモグロビンが存在することによる血液パラメータ決定
値に対する効果は、胎児ヘモグロビンのスペクトルを抑制することによって最低
にすることができる。
【0130】 この抑制プロセスの第1段は、式(18): Cfetal = Kfetal(λ)・Am(λ) に従って血液サンプル中の胎児ヘモグロビンの濃度を決定することである。
【0131】 第2段は、Cfetalが所定の閾値よりも大きい場合には、血液サンプルの測定
スペクトルAm(λ)から、決定された濃度でのスペクトル差を差し引くことに
よって、式(19):
【0132】
【数10】
【0133】 (式中、Amod(λ)は変位スペクトルであり、Cref=1mmol/Lである)
に従って変位スペクトルを決定することである。 他方、Cfetalが所定の閾値よりも小さい場合には、変位スペクトルは測定ス
ペクトルAm(λ)と等しく設定される。
【0134】 第3段は、変位スペクトルAmod(λ)から血液成分の濃度Cyを決定して、そ
れによって血液サンプル中における胎児ヘモグロビンの血液成分の決定濃度Cy
に対する影響を最小にすることである。
【0135】 胎児ヘモグロビンのスペクトルを自動的に抑制することによって、酸素濃度計
は血液パラメータ値の測定値がより正確になり、現在市販されている装置よりも
操作がより簡単になる。
【0136】 図9は、図3に示す光度計1に配置された光ダイオードアレイ83の波長チャ
ンネル70と71中の2個の光ダイオードに入射する光の波長に対してプロット
した変数Fneonのグラフである。光度計1は、ネオングロ−ランプ(図示せず)
から構成されており、該ランプは585.25nmの非常に正確な標準波長であ
る少なくとも1本のスペクトル線を発光し、480ないし670nmの好ましい
波長範囲内に適切に配置されている。発光されたスペクトル線の正確な波長は、
それに対してアレイ83の128個の波長チャンネルの位置が調節される標準波
長として酸素濃度計において使用される。標準波長を利用するために、変数Fne on は、下記式: Fneon=R(70)/R(71) (31) (式中、R(70)とR(71)とは、チャンネル70および71に配置された
それぞれの光ダイオードにおける電流もしくは応答の強度を示す)として定義さ
れる。Fneonはまた、光ダイオード中の電流とそれに入射する光強度との間の直
線的関係によって、チャンネル70と71の光ダイオードに入射する光強度の比
に等しい。例えば、Fneon=1である場合には、ダイオード70に入射する光強
度はダイオード71に入射する光強度に等しい。このことは、標準波長がチャン
ネル70と71との間に正確に配置されていることを意味する。Fneonは、光度
計1の波長チャンネルに対してネオンランプから発光される標準波長の光の位置
を規定する変数として使用される。Fneonのこの特性は、酸素濃度計を、Fneon の値が所定の時間間隔で測定される実地で操作している間に使用され、そして、
製造中に酸素濃度計のメモリに保存されている標準値Fcalと比較される。
【0137】 光度計1は、製造中に、波長範囲が585.25+/−7.5nmである高精
度モノクロメータから発光される光でスキャンされる。チャンネル71に位置す
る光ダイオードに対する応答曲線が測定される。測定された応答曲線の例は図1
0に131として示すとおりである。酸素濃度計のメモリに含まれるキャリブレ
ーション法では、波長軸をシフトすることによってチャンネル70に対する対応
応答曲線が計算される。このキャリブレーション法は更に、変数Fneonの値とモ
ノクロメータから発光された光の波長の対応値からなる波長キャリブレーション
表を、チャンネル70と71の決定された応答曲線を使用して計算する。酸素濃
度計のメモリ中には、波長キャリブレーション表の決定値が保存される。Fneon の標準値(Fcalと呼ばれる)は、ネオンランプを賦活し、上記したようにチャ
ンネル70ならびに71の応答を測定することによって、製造中に決定される。
標準値Fcalは、酸素濃度計のメモリに保存される。
【0138】 波長キャリブレーション表に含まれるデータは、図9に示すようにグラフで表
示することができる。 キャリブレーションプログラムによって、酸素濃度計を通常に操作して、2つ
の血液サンプル測定を行っている間の光度計1のその時点の温度が測定される。
キュベットは、2つの血液サンプル測定の間透明な洗浄液で常に清浄にされてい
る。光度計1のその時点での測定温度は、ネオンランプ賦活の時に行った以前の
測定温度と比較され、酸素濃度計のメモリに保存される。またキャリブレーショ
ンプログラムでは、現在の温度値が以前の温度値から0.3℃以上ずれていない
かどうかを決定し、もしずれていればFneonの現在値を計算する。
【0139】 ここで、図9に示すグラフを使用して酸素濃度計の波長シフトを決定しそして
キュベットを洗浄して2つの血液サンプルを測定している間に該波長シフトを相
殺する仕方を説明する。波長の第1値(λcalと呼ぶ)に対応するFneonの第1
値(Fcalと呼ぶ)がグラフに示され、Fcalの値が上記したように決定される。
変数Fneonの第2値(Factと呼ぶ)は、2つの血液サンプルを測定している間
に酸素濃度計によって測定することができる。酸素濃度計のメモリに含まれる所
定の波長キャリブレーション表を利用することによって、Factに対応する波長
λの第2値(λactと呼ぶ)を決定することができる。λactの値は、キャリブレ
ーション表に含まれる変数λの分離値から、線形補間法、多項式補間法、3次ス
プライン補間法などの公知の数学的補間法に従って決定することができる。
【0140】 光度計の波長シフトΔλは、決定値λactとキャリブレーション値λcalとの間
の差から決定することができる。光度計1の決定された波長シフトΔλは、流体
サンプルの変位吸収スペクトルAmodi(λ)を決定することによって、そのサン
プルの測定吸収スペクトルAm(λ)を相殺するために使用することができる。
ここにおいては、決定された波長シフトΔλの測定スペクトルAm(λ)におけ
る吸光度に対する効果が排除される。
【0141】 変位スペクトルは、第一に、測定スペクトルAm(λ)中の128個の波長に
おける分離値間の補間吸光度値を発生させるために3次スプライン関数を用いる
ことによって決定するのが好ましい。変位スペクトルAmodi(λ)は、測定スペ
クトルAm(λ)中の各測定吸光度値の波長を、Δλに等しい値で逐次シフトし
、変位スペクトルに対する対応補間吸光度値を決定する。
【0142】 スペクトルランプ、好ましくはネオンランプであって、少なくとも1本のスペ
クトル線を所望の波長範囲に有しているもの配置することによって、酸素濃度計
が、上記の少なくとも1本のスペクトル線について決定された波長を酸素濃度計
のメモリに保存したスペクトル線の割り当て波長と比較し、起こりうる波長シフ
トを計算し、そして、該サンプルに対して決定された吸光度によって該波長シフ
トを相殺することによって、該サンプルによって吸収された光の波長を非常に正
確に測定することが可能になる。したがって、光度計1によって決定された吸収
スペクトルは、製造交差ならびに酸素濃度計の使用中における温度の揺れに起因
する波長シフトを補償して、血液パラメータ値の正確な測定を行うようにしてい
る。
【0143】 図10は、波長チャンネル70、71、72のそれぞれに配置された光ダイオ
ードの応答曲線130、131、132を示している。グラフのx軸はダイオー
ドに入射する光の波長(nm)を示し、y軸はカウント値である。ピ−ク点、例
えば応答曲線130と131との間の波長距離は約1.5nmであり、その距離
はダイオードアレイ13の128個の隣接する波長チャンネルすべての間のチャ
ンネル距離である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る酸素濃度計のブロック図である。
【図2】 この発明に係る酸素濃度計のウェット部の概略図である。
【図3】 この発明に係る酸素濃度計の光度計の主要成分、つまり、光学部を示す図であ
る。
【図4】 QCサンプルレベル1ないし4の組成を示す表である。
【図5】 3種類の濃度のスルホローダミンBの吸収スペクトルを示すグラフである。
【図6】 スルホローダミンBからPCAによって決定した2種類の正常化したモデルス
ペクトルを示すグラフである。
【図7】 QCサンプルレベル1ないし4のひとつにそれぞれ関連する血液サンプルのパ
ラメータ値を示す表である。
【図8】 品質制御レベル1ないし4に関わる4種類の標準血液サンプルの吸収スペクト
ルを示すグラフである。
【図9】 光度計中の2個の光ダイオードに入射する光の波長に対してプロットした変数
Fneonを示すグラフである。
【図10】 波長チャンネル70、71、72中に位置する光ダイオードの応答カ−ブを示
すグラフである。
【手続補正書】
【提出日】平成12年12月14日(2000.12.14)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 分光光度計の品質制御法
【特許請求の範囲】
【数1】 に従って変位吸光度スペクトルAmod(λ)を計算し、下記式: Cy=Ky(λ)・Amod(λ) (式中、Ky(λ)は所定のベクトルである) に従って該変位スペクトルAmod(λ)からCyを決定して、それによって干渉成
分の濃度決定値Cyに対する効果を最少にするようになっていることを特徴とす
る、前記分光光度計。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、例えば血液のパラメータを測定するための酸素濃度計などの分光光
度計の性能をモニターするための分光光度計性能制御法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】 吸収分光測定によって物質の組成を測定するための分光光度計はよく知られて
いる。例えば、酸素濃度計は、血液サンプル中の種々のヘモグロビン成分もしく
はフラクションの濃度を、可視もしくは/ならびに赤外波長領域における吸収ス
ペクトルを測定することによって決定するために使用される。かかる酸素濃度計
についてはヨ−ロッパ特許第210417号に記載されている。
【0003】 吸収分光測定において、流体のサンプルのスペクトルは、そのサンプルの一部
を含むキュベットに光線を透過させて決定する。 吸収分光測定は、ランバート・ビア法に基づいている。この方法によると、単
一の光学的に活性な成分(染料)を含むサンプルに対して決定した下記吸光度は
その成分の濃度と、キュベット中のサンプルを通過する光路の長さに直接比例し
ている。
【0004】 A(λ)=ε(λ)cd (1) 式中、A(λ)は波長λにおいて決定された吸光度を意味し、 ε(λ)は波長λにおける該成分に対するモル吸光係数を意味し、 cは該成分のモル濃度を意味し、 dは該サンプルを保有するキュベット中を通過する光路の長さを意味
する。
【0005】 サンプルの吸光度A(λ)は、サンプル透過前後の光強度割合の対数として定
義される。実際には、吸光度A(λ)は、透明な水溶性標準溶液中を透過した光
強度Ioと、サンプル中を透過した光強度との割合の対数として次の式のように
定義される。
【0006】 A(λ)= log Io/I (2) 2種以上の光学活性成分を含むサンプルに対する全吸光度Atotalは、吸光度
が加法量であるので、個々の成分の吸光度の和である。したがって、Y種の光学
活性成分からなるサンプルの全吸光度は下記の式によって与えられる。
【0007】
【数2】 サンプルのスペクトルにおいて、各波長λにおいて記録された吸収Atotal
λ)には、サンプル中の各成分からの分担分が含まれている。この分担分の大き
さ、つまり、サンプル中の各成分の濃度は、下記式によって決められる。
【0008】
【数3】 式中、Jは、吸収が分光光度計によって決められる全波長数λjを意味し、 Ky(λj)は、波長λjにおける成分yに特異的な定数を意味する。
【0009】 ベクトルKy(λ)は、標準サンプルからのデータについての多変量解析など
の手法を用いて、またはn元n次方程式を解くことによって決めることができる
【0010】 酸素濃度計などの分光光度計の性能測定を、該当する分光光度計を用いて流体
品質制御サンプル、つまり品質制御サンプルの吸収スペクトルを測定して行うこ
とも知られている。
【0011】 血液分析に特異的な既知の品質制御サンプルは、一般的には、血液のスペクト
ルをするシミュレートするために工夫された赤色染料をベースにしたサンプルで
ある。赤色染料に加えて、そのサンプルには、血液ガス/電解質装置の性能を決
定するために、ある場合には、所定pHのある量の酸素、二酸化炭素ならびに電
解質が含まれている。生理的血液の吸収スペクトルに近似する吸収スペクトルを
有する合成品質制御サンプルは未だ提供されていない。
【0012】 酸素濃度計などの分光光度計の性能制御は、一般的には、3種類または4種類
の異なる染料を含む品質制御サンプルの吸収スペクトルを測定することによって
行われる。染料は、その品質制御サンプルの吸収スペクトルが血液の吸収スペク
トルに近似する割合で混合される。品質制御サンプルのスペクトルは、酸素濃度
計で測定されモニターされ、濃度計で決められたパラメータ値は資格測定者が測
定して該品質制御サンプルに対して定めたコントロールリミット値と比較する。
測定で定めたパラメータが対応するコントロールリミット値外である場合には、
酸素濃度計の修理が必要である。
【0013】 WO96/30742には、酸素濃度計の性能をモニターするための品質制御
方法が記載されている。この方法は、品質制御サンプルの吸収スペクトルを測定
し、その吸収スペクトルを該品質制御サンプルの標準スペクトルと比較すること
からなっている。酸素濃度計の装置誤差は、観察される相違に対する主な原因で
あると考えられる。装置誤差は、血液成分濃度値に変換されるので、装置を操作
している者に理解される用語で報告することができる。
【0014】 既知の品質制御方法の重大な欠点の1つは、既知の品質制御サンプルが一般的
には3ないし4種類の異なる染料からなり、その長期安定性が所望されるより低
いことである。このことを相殺するために、酸素濃度計におけるパラメータ値許
容範囲を広げて、性能モニターを所望よりもより緩和して行うことができる。
【0015】 既知の品質制御方法における別の重大な欠点は、既知の品質制御方法では、異
なる形式の装置誤差間の違いを区別することができず、かつ、特定の形式の装置
誤差からパラメータ値の偏差値に対する分担分を特定することができないことで
ある。したがって、パラメータ値許容範囲は十分に広くして、あらゆる可能な形
式の装置誤差を許容するようにしなければならない。更に、品質が制御されてい
る分光光度計は、その決められたパラメータ値がその許容範囲外にあったとして
も診断することができない。たとえば、波長がシフトする欠陥のある分光光度計
は、品質制御サンプルを希釈することによって見られるような決定したパラメー
タに同じ偏差が導入される場合もある。
【0016】 将来の分光光度計には、解像度が改良された上に、吸収スペクトルの決定が促
進されることが期待される。これによって、より高精度でかつ高特異性の装置が
提供されることになる。スペクトルを高解像で測定することは、精度と長期間安
定性に対する要求が増えることになり、適切な品質制御サンプルを開発するのが
より困難になる。
【0017】 分光光度計において発生する最も重大な欠点の1つは波長のシフトである。製
造公差と使用中におけるずれによって、各分光光度計は、その波長軸に沿って僅
かに異なって決定スペクトルが位置している。したがって、吸光度が決まる波長
もまた各分光光度計によって僅かに異なって位置している。したがって、決定し
た吸光度は分光光度計が異なれば変動する。
【0018】 本発明は、種々の形式の分光光度計における誤差の決定を促進し、それによっ
てQC試験を行えない装置の正確な診断をすることができる品質制御法を提供す
ることを目的とする。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】 装置誤差は、サンプルのスペクトルに影響し、特定の形式の装置誤差は、その
スペクトルが、サンプル中の異なる濃度の成分が存在しているように明白に解釈
することができるようにスペクトルに影響を及ぼす。たとえば、キュベットを通
過する光路の長さdの変動は、決定吸光度A(λ)がランバート・ビア法に従っ
て変動させ(吸光度はdに比例する)、キュベット中のサンプルが意図せず希釈
されることは所定吸光度に同様に影響などする。
【0020】 サンプルの吸収スペクトルは、少なくとも2つの要素(各要素は特定波長λj
でのサンプルの吸光度を表示する)からなるベクトルAm(λ)によって定義す
ることができる。
【0021】 本発明の第1の形態としては、分光光度計の品質制御法であって、該方法は、 急勾配斜面を有する有意吸光度ピークを有する吸収スペクトルを持つ品質制御
サンプルを提供する染料から選択された染料を含有する流体品質制御サンプルの
吸収スペクトルAm(λ)を分光光度計によって決定するステップと、 実際に測定した品質制御サンプルの吸収スペクトルAm(λ)と、分光光度計
のメモリ中に予め保存されている、該染料を含有する標準品質制御サンプルの標
準吸収スペクトルA0(λ)との間の波長シフトΔλを決定するステップと、と
を含む分光光度計の品質制御法が提供される。
【0022】 本発明に係る好ましい実施態様において、分光光度計の品質制御法であって、
波長シフトΔλが、Am(λ)と、該分光光度計のメモリに保存されている所定
の数学的パラメータとから決定される該品質制御法が提供される。
【0023】 本発明に係る更に好ましい実施態様において、分光光度計の品質制御法であっ
て、 染料を含有する流体品質制御サンプルのスペクトルAm(λ)を分光光度計に
よって決定するステップと、 CΔλ(λ)・Am(λ)から波長シフトΔλ(式中、CΔλ(λ)は分光光
度計のメモリ中に予め保存されている所定の係数ベクトルを意味する)を決定す
るステップと、を含む、該品質制御法が提供される。
【0024】 本発明に係る好ましい実施態様において、分光光度計の品質制御法であって、
該ベクトルCΔλ(λ)が下記式: Δλ=CΔλ(λ)・Am(λ) (5) を満足することからなる該品質制御法が提供される。
【0025】 本発明に係る好ましい実施態様において、分光光度計の品質制御法であって、
分光光度計の波長シフトが、サンプル中のある成分の既知吸収スペクトルのテー
ラー級数(Taylor series)または標準スペクトルを形成すること
によって決定されることからなる該品質制御法が提供される。既知の吸収スペク
トルを有する成分からなるサンプルの吸収スペクトルを決定した後に、波長シフ
トが決定される。
【0026】 本発明に係る方法の好ましい実施態様においては、染料濃度の推定値で決定ス
ペクトルAm(λ)を正常化した後に、波長シフトΔλが決定される。 本発明の方法の更に好ましい実施形態において、CΔλ(λ)が、染料含有標
準サンプルの標準スペクトルA0(λ)と、該標準スペクトルの1階の導関数A0 ’(λ)との組み合わせから決定される。
【0027】 近似法では、標準スペクトルの第1次導関数だけが次のように考慮される。 Am(λ)= A0(λ)+ ΔλA0’(λ) (6) (式中、A0(λ)は標準スペクトルを意味し、 A0’(λ)は波長λに対する1階の導関数を意味し、 Δλは決定すべき波長シフトを意味し、 Am(λ)は、波長シフトを決定すべき分光光度計で測定された既知
スペクトルA0(λ)を有するサンプルのスペクトルを意味する)。
【0028】 Δλは当業者にとって既知の種々の数学的方法によって決定できる。たとえば
、上記方程式は選択波長に対して解かれ、また上記方程式は選択波長のセットに
対して解かれ、Δλを上記方程式のΔλに対する解決値の平均値として計算し、
Δλは最小自乗適合によって決定され、Δλは多変量解析法などによって決定で
きる。
【0029】 本発明の更に好ましい実施態様においては、分光光度計の品質制御法であって
、第1濃度の染料含有標準サンプルの第1標準スペクトルA0(λ)を分光光度
計で決定するステップと、 該染料の第1標準スペクトルの1階の導関数A0’(λ)を決定するステップ
と、 少なくとも第1標準スペクトルA0(λ)と1階の導関数A0’(λ)とから、
それから該分光光度計の波長シフトΔλが決定される数学的パラメータを決定す
るステップと、 該数学的パラメータを該分光光度計のメモリに保存するステップとから構成さ
れている該品質制御法が提供される。
【0030】 好ましくは、該数学的パラメータを決定するステップが、下記式: Bi(λ)= si0(λ)+si30’(λ) (7) (式中、i=1,2,....,N(N>1);siとsi3とは、選択値の
定数を意味する) に従ったキャリブレーションベクトルBi(λ)のセットを計算するステップと
、 該数学的パラメータを構成する係数ベクトルCΔλ(λ)を決定して、対応値
i3、Biの各セットが下記式: si3=CΔλ(λ)・Bi(λ),i=1,2,...,N (8) を満たすステップと、を含む。
【0031】 本発明の第2の形態によれば、急勾配斜面を有する有意吸光度ピークを有する
吸収スペクトルを持つ品質制御サンプルを提供する染料から選択された染料を含
有する流体品質制御サンプルに対して分光光度計によって決定された吸収スペク
トルAm(λ)と、該染料を含有する標準品質制御サンプルの標準吸収スペクト
ルA0(λ)(分光光度計のメモリ中に予め保存されている)との間の波長シフ
トΔλを決定するように構成されているプロセッサから構成される分光光度計が
提供される。
【0032】 本発明の好ましい実施態様によれば、該分光光度計の波長シフトΔλを決定す
るための数学的パラメータを保存するメモリと、該メモリに連結し、該数学的パ
ラメータと、染料含有流体品質制御サンプルに対して該分光光度計を用いて決定
したスペクトルAm(λ)とから波長シフトΔλを計算するようにしたプロセッ
サと、を含む分光光度計が提供される。
【0033】 本発明の更に好ましい実施態様によれば、該数学的パラメータが係数ベクトル
CΔλ(λ)であり、波長シフトΔλがCΔλ(λ)・Am(λ)から決定され
ることからなる分光光度計が提供される。
【0034】 本発明の好ましい実施態様において、該ベクトルCΔλ(λ)が下記式: Δλ=CΔλ(λ)・Am(λ) (5) を満足することからなる分光光度計が提供される。
【0035】 上記した数学的パラメータは、選択波長λ0での、または、波長λ0,λ1,.
..,λLなどからなる選択セットでの第1標準スペクトルA0(λ)と第1標準
スペクトルA0(λ)の1階の導関数A0’(λ)から、または、パラメータCΔ
λ(λ)のようなスペクトルから誘導されるパラメータから構成されている。
【0036】 パラメータΔλは、染料の全濃度Cqcに比例するので、Δλは、一般的には、
qcまたはCqcの近似値によって正常化される。たとえば、染料がスルホローダ
ミンBなどの2成分染料であるときに、Δλは染料の第1成分s1の濃度で正常
化するのが好ましい。また、Δλをs1で正常化することは、それから標準スペ
クトルが決定される標準サンプル中の染料濃度と、品質制御サンプル中の染料濃
度との差があるときに行うのが望ましい。
【0037】 したがって、本発明に係る分光光度計の好ましい態様において、そのメモリに
保存された数学的パラメータは、それから波長シフトΔλが決定されるベクトル
CΔλ(λ)を構成する。
【0038】 本発明の更に好ましい態様によれば、品質制御サンプルは、各成分の濃度間の
割合が該染料の全濃度によって変動する化学的平衡にある染料から構成されてい
る。この場合、吸収スペクトルの形は、該染料の全濃度に依存する。染料のこの
特性によって、キュべット中のサンプルの予期しない希釈によって引き起こされ
る濃度の測定誤差と、キュべット中の光路変化によって引き起こされる測定誤差
との間を区別することができる。
【0039】 したがって、品質制御のための分光光度計の品質制御方法は、標準分光光度計
を用いて、第1濃度の染料を含有する標準サンプルの第1標準スペクトルA01
λ)を決定することと、第2濃度の染料を含有する標準サンプルの第2標準スペ
クトルA02(λ)を決定することと、から構成されていて、該染料は化学的平衡
にある第1成分と第2成分とからなる。第1成分と第2成分とについてのスペク
トル情報をそれぞれ表す数学的な2つのモデルスペクトルA1(λ)とA2(λ)
とは、該第1標準スペクトルA01(λ)と、該第2標準スペクトルA02(λ)と
から誘導して、該標準サンプルのスペクトルが、A1(λ)とA2(λ)との加重
和として計算することができる。たとえば、A1(λ)とA2(λ)とは、該染料
のそれぞれの2つの成分からの個々のスペクトルであるか、または、A1(λ)
は、2つの成分からの個々のスペクトルの和であって、A2(λ)が2つの成分
からの個々のスペクトルの間の差であってもよい。好ましくは、A1(λ)とA2 (λ)とは、該第1標準スペクトルA01(λ)と、該第2標準スペクトルA02
λ)とから、主成分解析法(Principal Components An
alysis:PCA)によって決定できる。
【0040】 次いで、分光光度計によって決定されたAm(λ)は、下記の式によって得ら
れる。 Am(λ)=s11(λ)+s22(λ)+ΔλA0’(λ) (9) パラメータs1、s2、Δλのそれぞれは、標準サンプルから得られたデータに
ついて数学的方法、たとえば、多変量解析法などによって、決定することができ
る。数学的パラメータを決定するステップは、下記ステップから構成される。下
記ステップは、下記式: Bi(λ)=si11(λ)+si22(λ)+si30’(λ) (10) (式中、i=1,2,...,N(N>1)、si1、si2、si3は選択値の
定数である) からベクトルBi(λ)のセットを計算するステップと、 数学パラメータを構成するベクトルCΔλ(λ)を決定して、下記式: si3=CΔλ(λ)・Bi(λ),i=1,2,...,N (11)
を得るステップと、から構成される。
【0041】 更に、数学的パラメータは、下記式: si1=C1(λ)・Bi(λ),i=1,2,...,N (12) を満たすベクトルC1(λ)からなり、 更にまた、下記式: si2=C2(λ)・Bi(λ),i=1,2,...,N (13) を満たすベクトルC2(λ)から構成されている。
【0042】 本発明の好ましい態様によれば、分光光度計を品質制御する方法は、既知濃度
qcの染料を含有し、第1成分と第2成分とからなる品質制御サンプルを利用す
ることができ、更に、パラメータs1とs2を下記式: s1=C1(λ)・Am(λ) (14) s2=C2(λ)・Am(λ) (15) (式中、C1(λ)とC2(λ)とは、分光光度計のメモリに予め保存さ
れた所定のベクトルである) から計算し、そして、染料の推定濃度Cestを下記式: Cest=as1 + bs2 (16) (式中、aとbとは、分光光度計のメモリに予め保存された所定の定数
であり、s1とbs2とは、染料の第1成分と第2成分のそれぞれの濃度を表して
いる) から計算することから構成されている。
【0043】 同様に、本発明の好ましい態様においては、分光光度計のメモリは、式(14
)と式(15)とを満たすベクトルC1(λ)とベクトルC2(λ)とから構成す
ることができる。
【0044】 そのメモリはまた、所定の定数aとbとから構成され、そして、プロセッサは
更に式(16): Cest=as1 + bs2 (16) による染料の濃度Cestを計算するよう適合させることもできる。
【0045】 小さな波長シフトを正確に特定するために、染料は、分光光度計の測定範囲内
に、急斜面を持つ有意吸光度ピ−クを有するスペクトルを持つのが好ましい。た
とえば、分析するサンプルが血液である場合には、波長シフトが0.05nmで
あれば、ctHb,sO2,FO2Hb,FHHb,FCOHb,FMetHbな
どのいくつかの血液パラメータを正確に特定するのに十分である。
【0046】 更に、品質制御サンプルのスペクトルが、当該分光光度計によって分析しよう
とするサンプルのスペクトルに類似しているのが好ましい。このようにすること
によって、装置の性能をモニターすることができる。
【0047】 たとえば、血液分析において、重要な血液成分は、480ないし670nmの
波長範囲に有意吸光度を有している。したがって、本発明に係る方法には、下記
のような染料を使用するのが好ましい。つまり、該染料は、血液のスペクトルと
類似し、400ないし800nm、好ましくは480ないし670nmの範囲に
有意吸光度ピ−クを有し、100μmの光路長に対して40mAbs/nm、好
ましくは50mAbs/nmより大きな急勾配の吸光度斜面を有するスペクトル
を有するのが好ましい。また、染料は、10,000ないし100,000の範
囲のモル吸光係数を有するのが好ましい。
【0048】 また、染料としては、たとえば、数種類の化学品分類の1つに属していて、そ
れらの化学品の分類としては、たとえば、シアニン染料、アザシアニン染料、ト
リアリ−ルメチン染料、アクリジン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジ
ン染料、キサンテン染料などが挙げられる。最初の4種類の染料に属する染料は
、一般的には、カチオン染料であり、分子の陽電荷によって水溶性である。キサ
ンテン染料には、カチオンならびに中性のローダミン類と、アニオンスルホロー
ダミン類とが含まれていて、かかるアニオンスルホローダミン類としては、スル
ホローダミンBが好ましい。
【0049】 本発明の好ましい実施態様によれば、少なくとも2種類の濃度の染料を含む標
準サンプルのスペクトルは、たとえば、品質制御すべき分光光度計と同一種の正
確な標準装置によって、選択した波長のセットにおいて決定することができる。
次いで、係数ベクトルC1(λ)、C2(λ)とCΔλ(λ)と、定数aとbは、
たとえば、多変量解析法によって決定され、通常の使用をしている際に流体品質
制御サンプルによって品質制御すべき分光光度計のメモリに製造時に保存される
【0050】 品質制御サンプルを作成するに際して、濃度Cqcと、Qrefとして表わされる
2/s1比と、初期波長シフトΔλqcとは、標準分光光度計によって決定するこ
とができる。品質制御サンプルの初期波長シフトは、主に、該品質制御サンプル
中の染料の溶媒組成の変動から生じている。
【0051】 バーコードラベルや磁気ラベルなどのラベルは、Cqc、Qref、Δλqcの値の
1つもしくはそれ以上を含む品質制御サンプルのそれぞれに貼付することができ
る。別の方法としては、1つもしくはそれ以上の値を、品質制御サンプルセット
に続く紙片にバーコードを印刷することもできる。ラベルや紙片に表示される値
は、指定された割当値である。
【0052】 特定の分光光度計を品質制御している間、Cqc、Qref、Δλqcの割当値は、
分光光度計によって読み取られ、その値はそのメモリに保存される。次いで、該
品質制御サンプルのスペクトルが決定され、そして、s1、s2、Δλが上記した
ように決定される。また、Qest=s2/s1、Δλ、Cestに対する決定値が計算
され、Qref、Δλqc、Cqcの割当値とそれぞれ比較される。
【0053】 品質制御サンプルの発生しうる希釈は、QestとQrefとの差から決定でき、該
希釈と、キュベットを通過する光路長dの変動との合同効果は、CestとCqc
の差から決定できる。
【0054】 Δλ、Cest、Qestなどの推定パラメータ値は、分光光度計によって分析しよ
うとしているサンプルのパラメータを決定するために使用することができる。し
たがって、品質制御法の結果は、装置操作者にとって理解できる数量として装置
から報告される。
【0055】 たとえば、血液パラメータ値を決定するための酸素濃度計においては、品質制
御手順で決定したパラメータΔλ、Cest、Qestの1つに対応する測定誤差が原
因である1つもしくは数個の所定標準血液スペクトルについての理論的変位は、
酸素濃度計によって計算できる。その変位したスペクトルから、酸素濃度計は、
対応する血液パラメータ値を計算して、装置操作者に対してその値を通知するこ
とができる。
【0056】 所定の標準血液スペクトルは、酸素濃度計のメモリに保存されるか、または、
標準血液サンプル中に含まれる各血液成分の所定のスペクトルから該酸素濃度計
のプロセッサによって数学的に誘導することもできる。
【0057】 本発明の好ましい実施態様において、通知された血液パラメータ値に対する所
定のコントロール制限値は、品質制御サンプルのセットに続く紙片に印刷される
。操作者は酸素濃度計によって通知された血液パラメータ値を紙片に印刷された
所定のコントロール制限値と比較して、通知された値が該コントロール制限値内
にあるかどうかを決定する。
【0058】 所定のコントロール制限値はまた、酸素濃度計によって読み取られる品質制御
サンプルのラベルに保存することができる。したがって、酸素濃度計は、通知さ
れた血液パラメータ値と対応するコントロール制限値と比較することができるよ
うになっている。
【0059】 本発明の好ましい実施態様によれば、流体サンプル中の干渉成分もしくは物質
の吸収スペクトルを抑制するための方法も提供される。 本明細書の記載においては、サンプル中の干渉成分は、分光光度計がそのパラ
メータ値を通知するようになっている予め選択された成分以外の成分を意味して
いる。またかかる干渉成分が同じサンプルに存在していることは、予め選択した
上記成分の少なくとも1つの成分の吸収スペクトルに干渉する。
【0060】 本発明の好ましい実施態様によれば、各波長λで記録された吸光度Am(λ)
には、前記干渉成分を含むサンプル中の各成分からの分担分が含まれている。そ
の分担分の強度、つまり、サンプル中の各成分濃度は、下記式(17)と(18
)によって決定される。
【0061】
【数4】 または上記の均等式: Cy = Ky(λ)・Am(λ) (18) 上記ベクトルKy(λ)は、標準サンプルから得られたデータから、多変量デ
ータ解析法などの方法を用いて、または、n元n次方程式を解くことによって、
数学的に決定することができる。標準スペクトルが決定される標準サンプル中の
1つもしくはそれ以上の干渉成分または物質が含まれることによって、1つもし
くはそれ以上の干渉成分または物質に対応する1つもしくはそれ以上のベクトル
Ky(λ)も決定できる。その干渉成分または物質に対応する1つもしくはそれ
以上のベクトルKy(λ)は、一般的には、指定されたKint(λ)であり、該ベ
クトルKy(λ)と一緒に分光光度計のメモリに保存される。
【0062】 更に、分光光度計は、その干渉成分または物質に関するスペクトル情報を表す
1つもしくはそれ以上の所定ベクトルAint(λ)を提供することができる。各
所定ベクトルAint(λ)は、標準濃度Crefで得られ、それによってあらゆる干
渉成分のスペクトルは、ランバート・ビア法、つまり、上記式(1)に従って該
成分の所定濃度で誘導することができる。
【0063】 本発明のこの好ましい実施態様においては、干渉成分の所定血液パラメータ値
に対する効果は、下記3段プロセス(下記に「干渉成分スペクトルの抑制」とし
て記載する)によって最小になる。
【0064】 第1段は、サンプル中の干渉成分の濃度を決定することである。第2段はサン
プルの測定スペクトルAm(λ)から決定濃度の干渉成分のスペクトルを差し引
いて、該サンプルの変位スペクトルを決定することである。第3段は、該変位ス
ペクトルから、血液成分の濃度Cyと、血液成分のパラメータ値を決定すること
である。
【0065】 本発明の好ましい実施態様によれば、流体サンプル中の干渉成分のスペクトル
を抑制した分光光度計が、サンプルの成分yの濃度Cyを決定するために提供さ
れる。その分光光度計においては、メモリは、濃度Crefにおけるサンプル中の
干渉成分のスペクトル情報を表す少なくとも1つのベクトルAint(λ)と、少
なくとも1つのベクトルKint(λ)とを更に含み、かつ、プロセッサが更に、
下記式: Cint=Kint(λ)・Am(λ) (19) に従って該干渉成分の濃度Cintを計算するように適合されていて、そして、Ci nt が所定の閾値Crefよりも大である場合には、下記式:
【0066】
【数5】 (式中、Amod(λ)は変位スペクトルである。) に従って測定スペクトルAmod(λ)を変位し、そして、下記式: Cy=Ky(λ)・Amod(λ) (21) に従って変位スペクトルAmod(λ)からCyを決定することによって干渉成分の
決定濃度Cyに対する効果が最小になる。
【0067】 測定スペクトルは、干渉成分の所定濃度が所定閾値より大きいときにだけ変位
される。このことは、測定スペクトルを変位することによって、干渉成分のスペ
クトルの推定値が不確実性でなることから、変位スペクトル中にある種の望まし
くない「プロセスノイズ」が発生することがあるからである。なお、プロセスノ
イズを変位スペクトルに追加することは、サンプル中の干渉成分の濃度が該閾値
より大きいときにだけ正当化される。
【0068】 血液分析のための酸素濃度計は、臨床的に重要な干渉成分もしくは物質に対し
ていくつかの所定ベクトルを提供し、そのメモリ中にベクトルKint(λ)の対
応値を提供する。干渉成分は、酸素濃度測定において有意な干渉を以前引き起こ
した成分中、例えば、胎児ヘモグロビン、ビリルビン、カルディオグリーン(Ca
rdio Green)、エヴァンスブルー(Evans Blue)、メチレンブルー、イントラリ
ピッド(Intralipid)、HiCN、SHbなどの中から選択することができる。
これらの成分のスペクトルを抑制することによって、現在入手できる装置よりも
より正確に血液パラメータ値の測定ができる酸素濃度計が提供される。
【0069】
【発明の実施の形態】 図1は、本発明に係る酸素濃度計のブロック図であり、酸素濃度計は、酸素濃
度測定モジュール(図示せず)中の光度計1から構成され、該モジュールは、電
導体からなるデータケ−ブル6を用いてプリント基板2に結合されている。プリ
ント基板2は光度計1からのデータを制御し収集される。収集されたデータは、
メモリ(図示せず)とプロセッサ(図示せず)とを含んで構成されるデータ処理
ユニット3に伝送される。所定の係数ベクトルC1(λ)、C2(λ)、CΔλ(
λ)の値はメモリに保存される。バーコードリーダ5は、品質制御サンプル又は
サンプルセットで包んだ紙片に取り付けたバーコードラベルからデータを読み取
り、そのデータをデータ管理コンピュータ7経由でデータ処理ユニット3に伝送
する。電源モジュール4は主接続から酸素濃度測定モジュールに電力を供給する
【0070】 図2は、本発明に係る酸素濃度計のウェット部の概略図を示していて、血液サ
ンプル(図示せず)は入口プローブ20から酸素濃度計に入れられる。サンプル
はキュベット74に移される。プレヒータ15がサンプル路30に沿って配置さ
れ、サンプルを実質的に常温の37℃に加熱する。ポンプ10を使用してウェッ
ト部から液体とガスを排出する。
【0071】 図3は、光度計1の主要部を示していて、一定の強度を有する光ビーム75が
ハロゲンランプ70からキュベット74に照射される。キュベット74は血液サ
ンプルもしくは品質制御サンプルからなり、ヘモライザ79に配置されている。
血液サンプルは超音波で溶血される。溶血は、サンプル中の赤血球細胞の細胞壁
を破壊し、その内容物であるヘモグロビンを開放するプロセスである。光ビーム
75は、赤外フィルタ71と両凸レンズ72を通ってキュベット74に伝送され
る。光ビーム75は、キュベット74を通過した後、光ファイバ77によって測
定部76に送られる。光ビーム75は薄いスリット78を通過して、凹面格子ユ
ニット80に進み、波長に応じて回折される。
【0072】 凹面格子ユニット80は、光の焦点を光ダイオードアレイ83に合わせ、これ
に回折された光ビーム82が入射する。光ダイオードアレイ83は、128個の
光ダイオードからなり、光ダイオードアレイ83は、回折された光ビーム82中
において約1.5nmの波長範囲からなる光が光ダイオード(図示せず)に入射
する。この光ダイオードは、その光を、入射する光の強度に実質的に比例する電
流に変換する。光ダイオードアレイ83の128個の光ダイオードのそれぞれの
電流の値を測定することによって、サンプル通過後の光ビーム82の個別の強度
スペクトルが得られる。この強度スペクトルから、キュベット74に含まれる血
液サンプルの吸収スペクトルが酸素濃度計によって決定することができる。
【0073】 吸収スペクトルは、本発明の好ましい実施態様において、478ないし672
nmの波長範囲に位置する128個のチャンネルで測定される。本明細書におい
て、チャンネルは、ダイオードアレイ83中の特定の光ダイオードに伝送される
スペクトルの1部である。
【0074】 本発明によれば、酸素濃度計の波長シフトは品質制御手法によって決定される
。4種類の異なる形式の品質制御サンプル(品質制御サンプルレベル1ないし4
)を提供するのは好ましい(図4参照)。QCレベルは、異なる濃度のスルホロ
ーダミンBから構成される。酸素濃度計の品質制御の信頼性は、いくつかのQC
レベルで品質制御サンプルの吸収スペクトルを測定することによって向上する。
異なる濃度のスルホローダミンBからなる品質制御サンプルを利用することによ
って、酸素濃度計は、血液サンプルの広範囲な成分濃度にわたって血液パラメー
タを正しく確実に測定することができる。
【0075】 溶液において、スルホローダミンBは長期安定性を示す。吸光度の側面が急勾
配であることは、酸素濃度計の波長シフトを正確に決定することを可能にしてい
る。というのは、非常に小さな波長シフトであっても、スルホローダミンB含有
サンプルの所定波長において測定吸光度が大きな変化を生ずるからである。
【0076】 水溶液においては、スルホローダミンBは化学平衡にある2種類の成分を有す
る染料であって、該染料中の各成分濃度は該染料の全濃度に応じて変化する。こ
の場合、吸収スペクトルの形は、染料の全濃度Ciに依存する。このことは図5
に示していて、図5は、全濃度がそれぞれ2.5058mmol/kg,1.6
705mmol/kg,1.0023mmol/kgで決定したスルホローダミ
ンBサンプルの3つの吸収スペクトルA01(λ)110、A02(λ)111、A 03 (λ)112を示している。スルホローダミンBサンプルは図4のQCレベル
1ないし3に対応している。
【0077】 数学的には、図6に示すような2つのモデルスペクトルA1(λ)105とA2 (λ)106とは、少なくとも2つの標準スペクトル、たとえば図5のA01(λ
)110とA02(λ)111などから誘導することができる。この場合、その2
つの標準スペクトルは、染料のスペクトルがA1(λ)とA2(λ)の加重和とし
て計算できるというように、スルホローダミンBの第1ならびに第2成分につい
てのスペクトル情報をそれぞれ表している。
【0078】 上記2つのモデルスペクトルは、主成分分析(PCA)によって決定されるの
が好ましく、それによって、数学的なモデルスペクトルA1(λ)とA2(λ)か
らなる2つの直交ベクトルが決定される。濃度Ciでの染料のスペクトルはモデ
ルスペクトルA1(λ)とA2(λ)の加重和、ならびに、それらの対応するスコ
アもしくは重みsi1とsi2として計算することができるので、スコアもしくはパ
ラメータのセットsi1とsi2もまた、染料の各濃度に対するPCA分析によって
提供される。
【0079】 PCA分析は、市販されているいくつかのコンピュータプログラムによって行
うことができる。この実施態様において使用するプログラムは、「アンスクラン
ブラ(Unscrambler)」である。図6に示す2つのモデルスペクトル
1(λ)105とA2(λ)106とは、「アンスクランブラ」を用いて3つの
標準スペクトルA01(λ)、A02(λ)、A03(λ)からPCAによって決定さ
れる。
【0080】 標準吸収スペクトルA01(λ)、A02(λ)、A03(λ)を測定する溶液中の
染料の標準濃度は、染料、つまり、粉末状スルホローダミンBと溶媒の容量との
重量から決定される。標準吸収スペクトルは、各標準濃度のスルホローダミンB
を含有する5つのサンプルの吸収スペクトルを測定し、そして、各濃度の標準ス
ペクトルに対する平均値を決めることによって決定される。サンプルの標準吸収
スペクトルは、定義上ゼロ波長シフトである標準酸素濃度計によって測定される
【0081】 実際上、標準酸素濃度計として特定して指定されてなくかつ取り扱われていな
い酸素濃度計は、いくらかの波長シフトΔλを常に示している。その波長シフト
によって、サンプルの測定吸収スペクトルAm(λ)は、標準酸素濃度計につい
て測定する同一サンプルの標準スペクトルA0(λ)から僅かに異なっている。
測定スペクトルAm(λ)と、標準スペクトルA0(λ)との間の関係ならびにモ
デルスペクトルの関係は、下記式(9): Am(λ)=s11(λ)+s22(λ)+ΔλA0’(λ) (式中、ΔλA0’(λ)は、標準スペクトルA0(λ)のテーラー級数の第
1次の項である) に従って表される。
【0082】 標準スペクトルA0’(λ)の1階の導関数は、モデルスペクトルA1(λ)の
1階の導関数として近似計算されるのが好ましい。関係濃度Ciのスルホローダ
ミンBのモデルスペクトルA1(λ)に対するスコアsi1の値が、そのモデルス
ペクトルA2(λ)に対するスコアsi2の値よりずっと高いことが判明したので
、この近似が正当化される。したがって、
【0083】
【数6】 であり、それによって測定スペクトルAmi(λ)は、 Ami(λ)=si11(λ)+si22(λ)+Δλii11’(λ) (23) (式中、Δλii1、si1、si2は、濃度Ciに対応するスコアまたは定数で
ある) によって近似することができる。
【0084】 係数ベクトルC1(λ)、C2(λ)、CΔλ(λ)は、スコアと、対応する吸
収スペクトル決定値とから多変量解析によって決定するのが好ましい。 多変量解析は、64行と4列を作成することによって開始される。この表中の
始めの3列は、スコアΔλii1、si1、si2のいずれか1つの選択値からなり
、最後列は、スペクトルAmi(λ)の対応する計算値からなる。各行は、キャリ
ブレーションベクトルを構成し、全表は64個のキャリブレーションベクトルか
ら構成される。
【0085】 1個ならびに同一列に現れる各スコアの64個の値は、0と、
【0086】
【数7】 (式中、A2(λj)は、特定のスコアに対応する特定のスペクトルの128
個の波長を交差する二乗吸光度の総和を意味する) との間に均等に分配されている。つまり、スコアsi1の値は、0と、((A1 2
λ)の平方根)の逆数との間に均等に分配される。
【0087】 多変量解析の次のステップは、主成分回帰法によって、表から係数ベクトルC 1 (λ)を決定することからなり、したがって、スコアsi1と、対応するスペク
トルAmi(λ)との各セットは、下記式: si1=C1(λ)・Ami(λ) (24) を満足する。
【0088】 表から、係数ベクトルC2(λ)は、主成分回帰法によって決定され、したが
って、スコアsi2と、対応するスペクトルAmi(λ)との各セットは、下記式: si2=C2(λ)・Ami(λ) (25) を満足する。
【0089】 また、表から、係数ベクトルCΔλ(λ)は、主成分回帰法(PCR)によっ
て決定され、したがって、スコアΔλii1と、対応するスペクトルAmi(λ)
との各セットは、下記式: Δλii1=CΔλ(λ)・Ami(λ) (26) を満足する。
【0090】 更に、計算されたスコアと、染料の全濃度Ciとの関係には、下記のような関
係: Ci = asi1+bsi2 (27) (式中、定数aおよびbは、いくつかの方法によって、好ましくは、濃度2
.5058mmol/kgと1.0023mmol/kgの染料の全濃度Ci
らの決定したスコアを式(27)に挿入し、得られた2つの式を定数aおよびb
に対する2つの未知量によって解くことによって検出することができる)が存在
する。定数aおよびbに対する決定値は、a=0.1425、b=0.0931
である。したがって、式(27)は、下記式: Ci=0.1425si1+0.0931si2 (28) として決定される。
【0091】 式(28)の有効性は、定数aおよびbを決定するために使用されていないス
ルホローダミンBの全濃度を有する標準溶液からのスコアsi1とsi2を挿入する
ことによって調べることができる。それによって、式(28)の有効性は、実験
的に確認される。
【0092】 分光光度計を現場で使用する場合に、係数ベクトルは次のように適用される。 係数ベクトルC1(λ)から、スコアまたはパラメータ値s1は、式(14): s1=C1(λ)・Am(λ) (式中、Am(λ)は、QC/標準サンプルの測定スペクトルである) によって決定することができる。
【0093】 係数ベクトルC2(λ)から、スコアまたはパラメータ値s2は、式(15): s2=C2(λ)・Am(λ) (式中、Am(λ)は、QC/標準サンプルの測定スペクトルである) によって決定することができる。
【0094】 係数ベクトルCΔλ(λ)から、波長シフトに比例するスコアもしくはパラメ
ータΔλs1は、下記式(28): Δλs1=CΔλ(λ)・Am(λ) (29) (式中、はQC/標準サンプルである) に従って決定することができる。
【0095】 決定されたs1、s2スコアは、染料の第1成分および第2成分の等濃度として
それぞれ解釈することができる。第1成分は数学的モデルスペクトルA1(λ)
に対応し、第2成分は数学的モデルスペクトルA2(λ)に対応する。
【0096】 決定された係数ベクトルCΔλ(λ)、C1(λ)およびC2(λ)は、製造時
に酸素濃度計のメモリにマトリックスの形で保存される。決定された定数aおよ
びbもまた、製造時に、酸素濃度計のメモリに保存される。
【0097】 品質制御サンプルは、4万ないし5万個のサンプルからなるロットとして製造
するのが好ましい。Cqc、QrefおよびΔλqcの値は、3種類の標準酸素濃度計
について5ないし10個のサンプルを測定することによって製造中に決定するの
が好ましい。酸素濃度計は、標準血液サンプルについて正確なパラメータ値を通
知するように調整されている。
【0098】 測定されたパラメータCqc、QrefおよびΔλqcのそれぞれの平均値は、計算
されそしてそれぞれの品質制御サンプルに取り付けたバーコードラベル上に保存
されるのが好ましい。
【0099】 例えば病院などでの通常の操作中の酸素濃度計の品質制御手順の間に、パラメ
ータCqc、QrefおよびΔλqcの値は、バーコードリーダーによって品質制御サ
ンプルのバーコードラベルから読み取られ、酸素濃度計のメモリに保存される。
【0100】 次いで、品質制御サンプルの吸収スペクトルが決定される。品質制御サンプル
中のスルホローダミンBの推定濃度が、下記式(27): Cest=0.1425s1+0.0931s2 によって測定された吸収スペクトルAm(λ)を用いて決定することができる。
その理由は、s1とs2の値は、式(14)および式(15)に従って測定した吸
収スペクトルAm(λ)と、ベクトルC1(λ)とC2(λ)とによって決定する
ことができるからである。s1とs2との比が決定され、Qestと指称される。
【0101】 酸素濃度計の波長シフトに比例するスコアの推定値は、式(26): Δλs1=CΔλ(λ)・Am(λ) によって提供される。s1の値は決定できるので、酸素濃度計の波長シフトの値
は、下記式のようにスコアΔλs1をs1で割ることによって決定される。
【0102】
【数8】 酸素濃度計中のキュベットの光路d0の長さは、スルホローダミンB標準溶液
の吸収スペクトルAm(λ)を測定することによって決定するのが好ましい。ス
ルホローダミンBの濃度Crefは割り付け値として提供するのが好ましい。
【0103】 キュベットの光路d0の値を決定するために、標準溶液の吸収スペクトルAm
λ)が測定され、染料の推定濃度Cestが、上記したように酸素濃度計のメモリ
に保存した所定の係数ベクトルCΔλ(λ)、C1(λ)とC2(λ)および定数
aならびにbを利用して、式(27)、(14)、(15)に従って酸素濃度計
のプロセッサを用いて計算される。
【0104】 酸素濃度計によって決定した標準溶液の濃度Cestは、下記式:
【0105】
【数9】 (式中、drefは、酸素濃度計のメモリに予め保存されているキュベットの
光路長の標準値である) に従って、酸素濃度計のメモリ中のキュベットの光路長d0の実際の値を計算す
るのに利用される。次いで、得られたキュベットの光路長d0の計算値は酸素濃
度計のメモリに保存される。
【0106】 スルホローダミンB標準溶液に対して決定されたΔλの値と、標準溶液に対し
て割り当てられた値Δλrefとの差は、後で測定されたスペクトルを波長の軸に
沿ってシフトするのに利用される。
【0107】 流体サンプルの吸光度A(λ)は、透明な標準水溶液を透過した光強度I0
当該流体サンプルを透過した光強度Iで割った値の対数を、式(2): A(λ)= log Io/I (2) (I0はゼロポイント強度と呼ばれる) に従って決定することによって測定される。またこの値は、上記標準溶液を用い
て酸素濃度計をキャリブレーションする度に自動的に測定される。
【0108】 酸素濃度計の品質制御中に、Cestの決定値は、品質制御サンプルのラベルか
ら読み取った対応値Cqcと比較することができる。これらの値の差は、下記式(
1): A(λ)=ε(λ)cd に示すランバート・ビア法における2つの変数から導出することができる。
【0109】 このことが、酸素濃度計のキュベット光路長dが、酸素濃度計に保存されたd 0 値とは異なり、測定された吸光度のより高い値もしくはより低い値の原因とな
っているか、または、染料の濃度測定値CestがCqcの値からずれるかのいずれ
かの原因である。
【0110】 決定された濃度Cestは、酸素濃度計のウェット部における誤差、例えば欠陥
チューブや欠陥ポンプなど、キュベットの誤差などに起因して、Cqcの値から逸
脱することがある。このことはすべてサンプルの望ましくない希釈につながる。
したがって、Cestはまたキュベットの光路長d0が正しくないことに起因してC qc と異なることもある。
【0111】 もしCestとCqcとの間に差があって、Qrefの値がQestと等しければ、濃度
推定値と標準濃度値との間の差は、キャリブレーション中に計算されるようなキ
ュベットの光路長d0と、製造中に決定されるキュベットの光路長の標準値dref との間の差に原因がある場合がある。
【0112】 もしCestとCqcとの間に差があり、Qrefの値がQestと異なっていれば、サ
ンプルは希釈することができる。希釈は、染料の濃度をCrefよりも小さくする
原因となり、さらにQestの値をQrefからずらす原因となるところの、成分s1
とs2との間の化学的平衡をシフトさせる原因となる。
【0113】 測定したパラメータΔλ、CestおよびQestと、品質制御サンプルのバーコー
ドラベルから読み取った対応パラメータとの間の、決定された差は、酸素濃度計
によって、例えばプリンターによって操作者に知らせることができる。プリント
するメッセージは、測定したパラメータでは品質制御サンプルの品質制御ができ
ないという情報であってもよい。メッセージには、失敗したパラメータについて
のプリントアウトと一緒に、修理またはサービスが必要な酸素濃度計の部分を示
すメッセージが含まれていてもよい。例えば、プリントされるメッセージには、
測定した波長シフトΔλが酸素濃度計のメモリに保存された所定の閾値よりも大
きい場合には、光度計1の測定部76の修理を要請するメッセージが含まれてい
てもよい。
【0114】 本発明の好ましい実施態様においては、品質制御サンプルの測定パラメータは
、QCレベル1ないし4のいずれかに対応する標準血液サンプルのスペクトルを
変位するのに使用される。
【0115】 図7において、各行の2ないし7列の数値は、標準血液サンプル組成を定義し
ており、1列は関連するQCレベルを示している。4種類の標準血液サンプルの
それぞれに対して、図8に示す対応する標準血液スペクトルは、該標準血液サン
プル中に含まれる各血液成分の所定のスペクトルから、酸素濃度計中のプロセッ
サによって数学的に誘導することができる。各血液成分の所定のスペクトルは、
製造時に酸素濃度計のメモリに保存するのが好ましい。
【0116】 図7に示す表中の各血液成分パラメータ値は、プラス/マイナス制限値を有し
ている。その制限値は、それぞれ+/−0.05nmの測定誤差だけの波長シフ
トを有する酸素濃度計によって標準血液サンプルのパラメータ値を測定すること
によって生じるであろう計算した誤差である。例えば、レベル1のサンプル中に
含まれる血液成分FCOHbの正しい値が6.00%であるときに、5.34%
または6.66%と測定される場合もある。したがって、酸素濃度計における非
常に小さな波長シフトであっても、測定される血液パラメータ値には重大な誤差
が生じることになる。このことから、酸素濃度計に対して波長シフトの品質制御
することは重要であることが示されている。
【0117】 QC手順において決定されたパラメータΔλ、Cestならびに、任意であるが
estに起因する試験において、実際の品質制御サンプルのレベルに関連した数
学的に誘導された標準血液スペクトルに対する変位を決定することによって、酸
素濃度計は、その変位スペクトルを使用して対応する血液パラメータ値を計算す
ることができる。そのパラメータ値は、酸素濃度計を操作している操作者に通知
され、操作者はそれらの値を実際のQCレベルに対して割り付けたコントロール
制御値と比較することができる。QC手順中に明らかになった未知の血液パラメ
ータ値を有する血液サンプルに対して通知された値に対する装置誤差の効果は、
通知されたパラメータ値と、図7の関連する標準血液サンプルの値との間のずれ
から現れたりすることがある。
【0118】 図8は、各標準血液サンプルの吸収スペクトルを示していて、その吸収スペク
トルは品質制御レベル1ないし4のために酸素濃度計において使用される。レベ
ル1ないし4に対応するスペクトルは、120、121、122、123にそれ
ぞれ対応している。各スペクトルは、スルホローダミンBの濃度に対応する対応
値Crefを有している。
【0119】 パラメータΔλに起因する図8に示す標準血液スペクトルに対する上記変位は
、ΔλとΔλqc(Δλqcは酸素濃度計のメモリに保存された割当値もしくは所定
の固定値のいずれかである)に対応する波長軸に沿ったシフトである。パラメー
タCestに起因する標準血液スペクトルの変位は、Cest/Cref比を有する個々
の吸光度の変位である。
【0120】 酸素濃度計によって導入された測定誤差の決定値を血液サンプルのパラメータ
値に変換するこの方法を採用することによって、装置誤差は、酸素濃度計の操作
者によって容易に理解される用語で通知されることになる。
【0121】 制御が行われなかった血液パラメータを注目することによって、測定したパラ
メータΔλ、CestならびにQestのうち、どの測定パラメータが品質制御をしな
かったかを決定することができ、それによって酸素濃度計のどの部分が修理また
はサービスを必要としているかを決定することができる。
【0122】 対応するコントロール制限値の外にあることで品質制御ができなかった血液パ
ラメータと、パラメータΔλ、CestならびにQestの測定値との関係、つまり、
それによる酸素濃度計の誤差診断は、修理技術者のサービスマニュアルに含める
ことができる。
【0123】 本発明の好ましい実施態様においては、酸素濃度計に挿入した血液サンプル中
に含まれる1種類もしくは数種類の干渉成分もしくは物質の吸収スペクトルを抑
制する方法も提供される。酸素濃度計は、酸素濃度測定において重大な干渉を引
き起こすことが知られている胎児ヘモグロビンのスペクトルを抑制するようにす
るのが好ましい。
【0124】 決定した血液サンプルスペクトルにおいて、各波長λにおいて記録された吸光
度Am(λ)には、サンプル中の各成分からの分担分が含まれている。干渉成分
はその他の成分として自然に処理されている。その分担分の強度と、つまり、サ
ンプル中の各成分の濃度は、式(18): Cy=Ky(λ)・Am(λ) に従って決定される。
【0125】 ベクトルKy(λ)は、予め設定され、分光光度計のメモリに保存されている
。 その標準スペクトルを決めるべき胎児ヘモグロビン成分を血液サンプル中に含
めることによって、サンプル中の胎児ヘモグロビンの濃度に対応するベクトルK fetal (λ)が決定される。
【0126】 更に好ましくは、酸素濃度計は、成人ヘモグロビンと胎児ヘモグロビンとの間
のスペクトル差を表す所定のベクトルAfetal(λ)を提供するのがよい。その
ベクトルAfetal(λ)は、1mmol/Lの標準濃度Cfetalに対して決定する
のが好ましい。
【0127】 血液サンプル中に胎児ヘモグロビンが存在することによる血液パラメータ決定
値に対する効果は、胎児ヘモグロビンのスペクトルを抑制することによって最低
にすることができる。
【0128】 この抑制プロセスの第1段は、式(19): Cfetal = Kfetal(λ)・Am(λ) に従って血液サンプル中の胎児ヘモグロビンの濃度を決定することである。
【0129】 第2段は、Cfetalが所定の閾値よりも大きい場合には、血液サンプルの測定
スペクトルAm(λ)から、決定された濃度でのスペクトル差を差し引くことに
よって、式(20):
【0130】
【数10】 (式中、Amod(λ)は変位スペクトルであり、Cref=1mmol/Lである)
に従って変位スペクトルを決定することである。
【0131】 他方、Cfetalが所定の閾値よりも小さい場合には、変位スペクトルは測定ス
ペクトルAm(λ)と等しく設定される。 第3段は、変位スペクトルAmod(λ)から血液成分の濃度Cyを決定して、そ
れによって血液サンプル中における胎児ヘモグロビンの血液成分の決定濃度Cy
に対する影響を最小にすることである。
【0132】 胎児ヘモグロビンのスペクトルを自動的に抑制することによって、酸素濃度計
は血液パラメータ値の測定値がより正確になり、現在市販されている装置よりも
操作がより簡単になる。
【0133】 本発明の好ましい実施態様によれば、図9は、図3に示す光度計1に配置され
た光ダイオードアレイ83の波長チャンネル70と71中の2個の光ダイオード
に入射する光の波長に対してプロットした変数Fneonのグラフである。光度計1
は、ネオングローランプ(図示せず)から構成されており、該ランプは585.
25nmの非常に正確な標準波長である少なくとも1本のスペクトル線を発光し
、480ないし670nmの好ましい波長範囲内に適切に配置されている。発光
されたスペクトル線の正確な波長は、それに対してアレイ83の128個の波長
チャンネルの位置が調節される標準波長として酸素濃度計において使用される。
標準波長を利用するために、変数Fneonは、下記式: Fneon=R(70)/R(71) (32) (式中、R(70)とR(71)とは、チャンネル70および71に配置された
それぞれの光ダイオードにおける電流もしくは応答の強度を示す)として定義さ
れる。Fneonはまた、光ダイオード中の電流とそれに入射する光強度との間の直
線的関係によって、チャンネル70と71の光ダイオードに入射する光強度の比
に等しい。例えば、Fneon=1である場合には、ダイオード70に入射する光強
度はダイオード71に入射する光強度に等しい。このことは、標準波長がチャン
ネル70と71との間に正確に配置されていることを意味する。Fneonは、光度
計1の波長チャンネルに対してネオンランプから発光される標準波長の光の位置
を規定する変数として使用される。Fneonのこの特性は、酸素濃度計を、Fneon の値が所定の時間間隔で測定される実地で操作している間に使用され、そして、
製造中に酸素濃度計のメモリに保存されている標準値Fcalと比較される。
【0134】 光度計1は、製造中に、波長範囲が585.25+/−7.5nmである高精
度モノクロメータから発光される光でスキャンされる。チャンネル71に位置す
る光ダイオードに対する応答曲線が測定される。測定された応答曲線の例は図1
0に131として示すとおりである。酸素濃度計のメモリに含まれるキャリブレ
ーション法では、波長軸をシフトすることによってチャンネル70に対する対応
応答曲線が計算される。このキャリブレーション法は更に、変数Fneonの値とモ
ノクロメータから発光された光の波長の対応値からなる波長キャリブレーション
表を、チャンネル70と71の決定された応答曲線を使用して計算する。酸素濃
度計のメモリ中には、波長キャリブレーション表の決定値が保存される。Fneon の標準値(Fcalと呼ばれる)は、ネオンランプを賦活し、上記したようにチャ
ンネル70ならびに71の応答を測定することによって、製造中に決定される。
標準値Fcalは、酸素濃度計のメモリに保存される。
【0135】 波長キャリブレーション表に含まれるデータは、図9に示すようにグラフで表
示することができる。 キャリブレーションプログラムによって、酸素濃度計を通常に操作して、2つ
の血液サンプル測定を行っている間の光度計1のその時点の温度が測定される。
キュベットは、2つの血液サンプル測定の間透明な洗浄液で常に清浄にされてい
る。光度計1のその時点での測定温度は、ネオンランプ賦活の時に行った以前の
測定温度と比較され、酸素濃度計のメモリに保存される。またキャリブレーショ
ンプログラムでは、現在の温度値が以前の温度値から0.3℃以上ずれていない
かどうかを決定し、もしずれていればFneonの現在値を計算する。
【0136】 ここで、図9に示すグラフを使用して酸素濃度計の波長シフトを決定しそして
キュベットを洗浄して2つの血液サンプルを測定している間に該波長シフトを相
殺する仕方を説明する。波長の第1値(λcalと呼ぶ)に対応するFneonの第1
値(Fcalと呼ぶ)がグラフに示され、Fcalの値が上記したように決定される。
変数Fneonの第2値(Factと呼ぶ)は、2つの血液サンプルを測定している間
に酸素濃度計によって測定することができる。酸素濃度計のメモリに含まれる所
定の波長キャリブレーション表を利用することによって、Factに対応する波長
λの第2値(λactと呼ぶ)を決定することができる。λactの値は、キャリブレ
ーション表に含まれる変数λの分離値から、線形補間法、多項式補間法、3次ス
プライン補間法などの公知の数学的補間法に従って決定することができる。
【0137】 光度計の波長シフトΔλは、決定値λactとキャリブレーション値λcalとの間
の差から決定することができる。光度計1の決定された波長シフトΔλは、流体
サンプルの変位吸収スペクトルAmodi(λ)を決定することによって、そのサン
プルの測定吸収スペクトルAm(λ)を相殺するために使用することができる。
ここにおいては、決定された波長シフトΔλの測定スペクトルAm(λ)におけ
る吸光度に対する効果が排除される。
【0138】 変位スペクトルは、第一に、測定スペクトルAm(λ)中の128個の波長に
おける分離値間の補間吸光度値を発生させるために3次スプライン関数を用いる
ことによって決定するのが好ましい。変位スペクトルAmodi(λ)は、測定スペ
クトルAm(λ)中の各測定吸光度値の波長を、Δλに等しい値で逐次シフトし
、変位スペクトルに対する対応補間吸光度値を決定する。
【0139】 スペクトルランプ、好ましくはネオンランプであって、少なくとも1本のスペ
クトル線を所望の波長範囲に有しているもの配置することによって、酸素濃度計
が、上記の少なくとも1本のスペクトル線について決定された波長を酸素濃度計
のメモリに保存したスペクトル線の割り当て波長と比較し、起こりうる波長シフ
トを計算し、そして、該サンプルに対して決定された吸光度によって該波長シフ
トを相殺することによって、該サンプルによって吸収された光の波長を非常に正
確に測定することが可能になる。したがって、光度計1によって決定された吸収
スペクトルは、製造交差ならびに酸素濃度計の使用中における温度の揺れに起因
する波長シフトを補償して、血液パラメータ値の正確な測定を行うようにしてい
る。
【0140】 図10は、波長チャンネル70、71、72のそれぞれに配置された光ダイオ
ードの応答曲線130、131、132を示している。グラフのx軸はダイオー
ドに入射する光の波長(nm)を示し、y軸はカウント値である。ピ−ク点、例
えば応答曲線130と131との間の波長距離は約1.5nmであり、その距離
はダイオードアレイ13の128個の隣接する波長チャンネルすべての間のチャ
ンネル距離である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る酸素濃度計のブロック図である。
【図2】 本発明に係る酸素濃度計のウェット部の概略図である。
【図3】 本発明に係る酸素濃度計の光度計の主要成分、つまり、光学部を示す図である
【図4】 品質制御サンプルレベル1ないし4の組成を示す表である。
【図5】 3種類の濃度のスルホローダミンBの吸収スペクトルを示すグラフである。
【図6】 スルホローダミンBからPCAによって決定した2種類の正常化したモデルス
ペクトルを示すグラフである。
【図7】 品質制御サンプルレベル1ないし4のひとつにそれぞれ関連する血液サンプル
のパラメータ値を示す表である。
【図8】 品質制御レベル1ないし4に関わる4種類の標準血液サンプルの吸収スペクト
ルを示すグラフである。
【図9】 光度計中の2個の光ダイオードに入射する光の波長に対してプロットした変数
neonを示すグラフである。
【図10】 波長チャンネル70、71、72中に位置する光ダイオードの応答カ−ブを示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 21/35 G01N 21/35 Z Fターム(参考) 2G020 AA04 BA02 CA02 CB34 CB43 CC05 CC26 CC63 CD03 CD13 CD24 CD34 CD37 CD38 CD39 2G059 AA01 BB13 CC07 CC18 EE01 EE12 HH02 HH06 JJ02 JJ05 JJ17 KK04 MM01 MM03 MM05 MM09 MM10 MM12 NN10

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分光光度計の品質制御法であって、該制御法が、 該分光光度計を用いて、染料を含有する流体QCサンプルのスペクトルAm
    λ)を決定する工程と、 CΔλ(λ)・Am(λ)(ただし、CΔλ(λ)は該分光光度計のメモリに
    あらかじめ保存されている所定の係数ベクトルである)から波長シフトΔλを決
    定する工程と、 を含むことを特徴とする、分光光度計の品質制御法。
  2. 【請求項2】 前記波長シフトΔλは、染料の濃度推定値を用いて該決定ス
    ペクトルAm(λ)を標準化した後に決定することを特徴とする、請求項1に記
    載の分光光度計の品質制御法。
  3. 【請求項3】 CΔλ(λ)は、該染料を含有する標準サンプルの標準スペ
    クトルA0(λ)と、該標準スペクトルの1階の導関数A0’(λ)の組み合わせ
    から決定されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の分光光度計の
    品質制御法。
  4. 【請求項4】 前記QCサンプルが割り当てられた波長シフトΔλqcを有し
    ていて、該品質制御法がΔλをΔλqcと比較する工程をさらに有していることを
    特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の分光光度計の品質制御法
  5. 【請求項5】 前記QCサンプルが急勾配の斜面を持つ有意吸光度ピークを
    有するスペクトルを有していることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか
    1項に記載の分光光度計の品質制御法。
  6. 【請求項6】 前記QCサンプルが既知の染料濃度Cqcを有し、該染料が第
    1成分と第2成分とからなり、該品質制御法が、パラメータs1とs2を、下記式
    : s1=C1(λ)・Am(λ) s2=C2(λ)・Am(λ) (式中、C1(λ)とC2(λ)とは、該分光光度計の該メモリにあらか
    じめ保存されている所定のベクトルである) から計算する工程と、 該染料の濃度推定値Cestを下記式: Cest=as1 + bs2 (式中、aとbとは、該分光光度計の該メモリにあらかじめ保存されて
    いる所定の定数である) から計算する工程と、を含むことを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1
    項に記載の分光光度計の品質制御法。
  7. 【請求項7】 CestをCqcと比較する工程を更に有していることを特徴と
    する、請求項6に記載の分光光度計の品質制御法。
  8. 【請求項8】 変数Qest=s2/s1を計算する工程を更に有すること特徴
    とする、請求項6または7に記載の分光光度計の品質制御法。
  9. 【請求項9】 前記QCサンプルがs2/s1=Qqcである割り当て値を有し
    、該品質制御法が、QestをQqcと比較する工程を更に有していることを特徴と
    する、請求項6ないし8のいずれか1項に記載の分光光度計の品質制御法。
  10. 【請求項10】 前記分光光度計が酸素濃度計であることを特徴とする、請
    求項1ないし9のいずれか1項に記載の分光光度計の品質制御法。
  11. 【請求項11】 スペクトルが400ないし800nmの波長範囲内で測定
    されることを特徴とする、請求項10に記載の分光光度計の品質制御法。
  12. 【請求項12】 割り当てられた波長シフトΔλqcによって任意に補正され
    る波長シフトΔλによって引き起こされるところの、該酸素濃度計によって通知
    される血液パラメータ値の推定誤差を決定する工程を更に有していることを特徴
    とする、請求項10または11に記載の分光光度計の品質制御法。
  13. 【請求項13】 CestとQqcとの間の差によって引き起こされるところの
    、該酸素濃度計によって通知される血液パラメータ値の推定誤差を決定する工程
    を更に有していることを特徴とする、請求項10ないし12のいずれか1項に記
    載の分光光度計の品質制御法。
  14. 【請求項14】 QestとQqcとの間の差によって引き起こされるところの
    、該酸素濃度計によって通知される血液パラメータ値の推定誤差を決定する工程
    を更に有していることを特徴とする、請求項10ないし13のいずれか1項に記
    載の分光光度計の品質制御法。
  15. 【請求項15】 品質制御用の分光光度計を製造する方法であって、該製造
    方法が、 第1濃度の染料を含有する標準サンプルの第1標準スペクトルA01(λ)を標
    準分光光度計を用いて決定する工程と、 該第1標準スペクトルの1階の導関数A01’(λ)を決定する工程と、 少なくとも該第1標準スペクトルA01(λ)と該1階の導関数A01’(λ)か
    ら、それから該分光光度計の波長シフトΔλを決定することができる数学的パラ
    メータを決定する工程と、 得られた数学的パラメータを該分光光度計のメモリに保存する工程と、 を含むことを特徴とする分光光度計の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記数学的パラメータを決定する工程が、 下記式: Bi(λ)=si01(λ) + si301’(λ) (式中、i=1,2,...,N(N>1);siとsi3とはいずれも
    選択値の定数である) に従ってキャリブレーションベクトルBi(λ)のセットを計算する工程と、 対応する値si3とBiの各セットが下記式: si3=CΔλ(λ)・Bi(λ),i=1,2,...,N を満足させるように、前記数学的パラメータからなる係数ベクトルCΔλ(λ)
    を決定する工程と、 を含むことを特徴とする、請求項15に記載の分光光度計の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記染料が第1成分と第2成分とからなり、該製造方法が
    第2濃度の該染料を含有する第2標準サンプルの第2標準スペクトルA02(λ)
    を該分光光度計を用いて決定する工程から更に構成され、かつ、該数学的パラメ
    ータを決定する工程が、 下記式: Bi(λ)=si11(λ)+si22(λ)+si30’(λ) (式中、A1(λ)とA2(λ)とは、該第1および第2標準スペクトルA01 (λ)とA02(λ)からそれぞれ誘導されかつ該第1および第2成分についての
    スペクトル情報を表し、i=1,2,...,N(N>1)であり;si、s2
    、si3はいずれも選択値の定数である) からベクトルBi(λ)のセットを計算する工程と、 si3=CΔλ(λ)・Bi(λ)となるように、前記数学的パラメータからな
    るベクトルCΔλ(λ)を決定する工程と、を含むことを特徴とする、請求項1
    5に記載の分光光度計の製造方法。
  18. 【請求項18】 分光光度計の波長シフトΔλを決定するための数学的パラ
    メータを有するメモリと、 該メモリに接続しているプロセッサであって、該プロセッサが、該数学的パラ
    メータからと、染料を含有する流体QCサンプルについて分光光度計を用いて決
    定されたスペクトルAm(λ)からの該波長シフトΔλを計算するようにした該
    プロセッサと、 を含むことを特徴とする分光光度計。
  19. 【請求項19】 前記数学的パラメータが、下記式: Δλ=CΔλ(λ)・Am(λ) を満足するベクトルCΔλ(λ)を構成することを特徴とする、請求項18に記
    載の分光光度計。
  20. 【請求項20】 前記メモリが下記式: s1=C1(λ)・Am(λ) を満足するベクトルC1(λ)と、下記式: s2=C2(λ)・Am(λ) (式中、s1とs2とは、該染料の第1成分と第2成分の濃度をそれぞれ
    表している) を満足するベクトルC2(λ)とから更に構成されることを特徴とする、請求項
    19に記載の分光光度計。
  21. 【請求項21】 前記メモリが所定の定数aとbとから更になり、該プロセ
    ッサが下記式: Cest=as1+bs2 に従って該染料の濃度Cestを計算するように更になっていることを特徴とする
    、請求項20に記載の分光光度計。
  22. 【請求項22】 前記サンプルの成分yの濃度Cyを決定し、該メモリが、
    該サンプル中の濃度Cintの干渉成分のスペクトル情報を表す少なくとも1つの
    ベクトルAint(λ)と、少なくとも1つのベクトルAint(λ)とから更になり
    、該プロセッサが、下記式: Cint=Kint(λ)・Am(λ) に従って該干渉成分の濃度Cintを計算し、そして、Cintが所定の閾値Cref
    りも大きい場合、下記式: 【数1】 (式中、Amod(λ)は変位スペクトルである) に従って変位吸光度スペクトルAmod(λ)を計算し、 下記式: Cy=Ky(λ)・Amod(λ) によって該変位スペクトルAmod(λ)から該濃度Cyを決定して、該干渉成分の
    該濃度Cyの決定値に対する効果を最少にするようになっていることを特徴とす
    る、請求項18ないし21のいずれか1項に記載の分光光度計。
  23. 【請求項23】 前記干渉成分が胎児ヘモグロビンであることを特徴とする
    、請求項22に記載の分光光度計。
  24. 【請求項24】 流体サンプルの吸収スペクトルを決定する分光光度計であ
    って、該分光光度計が、少なくとも1本のスペクトル線を有する光線を発光する
    スペクトルランプと、メモリとを有するプロセッサであって、該少なくとも1本
    のスペクトル線の波長を決定し、該少なくとも1本のスペクトル線の決定された
    波長を、該分光光度計のメモリに保存している前記スペクトル線の初期キャリブ
    レーション手順から割り付けた波長と比較し、波長シフトを計算し、そして、前
    記サンプルの吸収スペクトル決定値で前記波長シフトを補償するようになってい
    るプロセッサとから構成されていることを特徴とする分光光度計。
  25. 【請求項25】 前記分光光度計が酸素濃度計であって、該スペクトルラン
    プが480ないし670nmの波長範囲にある少なくとも1本のスペクトル線を
    有する光線を発光し、前記酸素濃度計が、少なくとも2個の光ダイオードを更に
    有し、その光ダイオードのそれぞれが該スペクトルランプから発光された光を、
    該光ダイオードに入射する光強度に実質的に比例する電流に変換し、そして、該
    酸素濃度計のプロセッサが該2個の光ダイオードの電流間の比率Fneonを計算す
    るようになっていることを特徴とする、請求項24に記載の分光光度計。
  26. 【請求項26】 前記スペクトルランプがネオンランプであって、該分光光
    度計の温度が臨界温度差、例えば以前Fneonを測定した温度よりも約0.2ない
    し0.5℃以上ずれている場合に該ランプが賦活されることを特徴とする、請求
    項25に記載の分光光度計。
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