JP2002514899A - 組換えaavベクターを用いて血管中の細胞を形質導入するための方法 - Google Patents

組換えaavベクターを用いて血管中の細胞を形質導入するための方法

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Abstract

(57)【要約】 インビボでの直接的遺伝子転移後に血管の細胞における組換え遺伝子を発現させるための現在の技術は、付随の問題または限界によって制限される。さらに、微小血管の細胞および/または新しい血管の形成(血管新生)に関与する細胞を形質導入する有効な方法は示されていなかった。本発明は、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて血管中の細胞を形質導入する方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 組換えAAVベクターを用いて血管中の細胞を形質導入するための方法発明の技術分野 本発明は、遺伝子送達、およびさらに詳細には組換えアデノ随伴ウイルス(AA V)ベクターを用いて血管中の細胞を形質導入するための方法に関する。発明の背景 心血管系の主要な構成要素である血管は、血液が心臓から体全体の細胞に流れ 、そして心臓に戻ることを可能にするネットワークを形成する。一般には、血管 は、内膜、中膜および外膜という3つの層から構成される。ほとんどの健全な動 脈血管の内膜は、一般に、内皮細胞の管腔単層を含む。大動脈では、内膜は、平 滑筋細胞を含有し得、そしてアテローム性動脈硬化症のような疾患では、内膜は 、内皮単層の下に平滑筋細胞および炎症細胞によって厚くなり得る。内膜は、内 弾性板によって中膜と区別されている。中膜は、一般に、平滑筋細胞およびそれ らの周りのマトリックス物質を含む。大動脈では、中膜は弾性線維によって区別 される平滑筋細胞の規定層から構成される。外膜は動脈壁の最外層を形成し、そ して外弾性板によって中膜と区別されている。外膜は、一般に、マクロファージ 、線維芽細胞、および他の細胞型を含む弛緩マトリックス(loose matrix)、なら びに脈管の血管(外膜微小血管が豊富なネットワーク)から構成される。 微小血管(細動脈、毛細血管、細静脈、および脈管の血管を含む)は、3つの 層が良く定義され得ない点において、上で概述した一般的構造モデルとは異なる 。例えば、毛細血管は、平滑筋細胞の単一の層によって囲まれた内皮細胞の単層 を含み得るが、良く定義できる弾性層は全く有しない。 血管新生は、新しい血管の形成である。血管新生は、胎児発育時の血管系に起 こり、また広範囲の正常および出生後の病理学的プロセス(例えば、創傷修復、 腫瘍形成、および炎症)にも起こる。[例えば、Diaz-Flores,1994を参照のこと ]。従って、多くの疾患プロセスは、重要な解剖学的または病理学的特徴とし て豊富な微小血管を有する。このような微小血管は、特定の疾病の発症に直接ま たは間接的に寄与し得るか、あるいは良性な形態学的特徴を表し得る。多くの場 合では、微小血管および血管新生は、疾患の発病原因に中心的な役割を果たして いると考えられる。これらには、例えば、多くのガンの増殖および転移、糖尿病 性網膜症、網膜炎、心不全、関節炎、乾癬、虚血、創傷治癒、血管腫および他の 血管新生異常が挙げられる。[例えば、Diaz-Flores,1994を参照のこと]。これ らの細胞を含む全ての組織および器官は、それらの正常機能および生存度を支持 するために微小血管の広範なネットワークを必要とする。これらの微小血管は独 特で大血管とは異なる機能を有し得るために、微小血管は、組織に治療的ポリヌ クレオチドを送達するための独特な標的を提供する。特に、特定の組織内の微小 血管の細胞における遺伝子発現を改変することにより、組織または器官は、積極 的な方向に増強され得る。 多くの研究は、組換え遺伝物質を血管内皮細胞および平滑筋細胞に送達するた めの方法、ならびに血管新生のプロセスを改変するための方法を探索したが、こ れらの研究は、以下を含む明らかな限界を有する:標的細胞へのインビボでの遺 伝子転移の低効率および血管組織における組換え遺伝子の発現の制限(プラスミ ドDNA、リポソームベクターおよびレトロウイルスベクターを用いる場合);標 的組織における一過性ベクター発現(アデノウイルスベクターおよびリポソーム ベクターを用いる場合);特定のウイルスベクターに対する顕著な免疫応答;な らびに細胞、組織および器官に対する特異性の欠如(その場合、トランスジーン の一般化された発現またはエキソビボで遺伝的に改変された細胞の再導入は、不 必要または有害な効果を有し得た)。[例えば、Clowes,1994;Geary,1993;Ge ary,1994;Lemarchand,1993;Lim,1991;Lynch,1992;Nabel,1989;Nabel ,1990;Newman,1995;Ojeifo,1995;Plautz,1991;Rome(1),1994;Rome(2) ,1994;Schwartz,1990;およびZwiebel,1989を参照のこと]。 例えば、レトロウイルスベクターは、安定で長期間の遺伝子発現のためのその 一般的な能力を有するために有利であるにもかかわらず、安定なプロウイルスの 組込みのために標的細胞の複製が必要とされる。しかし、動脈中のほとんどの細 胞は、一般に静止状態にある。静止状態の細胞は、顕著かつ効率的な遺伝子転移 を達成するために、時々、単離され、そして誘導されて***し得る;しかし、こ の方法は、しばしば、細胞を誘導し、そしてエキソビボで遺伝的に改変し、その 後ドナー宿主に移植し戻すことを必要とする。リポソームベクター送達系もまた 、不効率な取り込みおよび一過性のエピソームベクター発現によって制限されて いる。感染中の内皮細胞において効率的であるアデノウイルスベクターは、一過 性のエピソームベクター発現により、および重複利用の効率を制限する抗原性に より制限されている。 従って、現在までは、上記の問題または制限を伴わずに、直接的インビボ遺伝 子転移後に血管の細胞における組換え遺伝子の効率的かつ顕著な発現を示した研 究はなかった。さらに、微小血管の細胞および/または新しい血管の形成に関与 する細胞を形質導入する有効な方法は示されていなかった。 発明の要旨 本発明は、組換えAAVベクターを用いて血管中の細胞を形質導入するための方 法を提供する。本発明の好ましい実施態様は以下を含む: 1.インビボで個体の血管に組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを導 入する工程を含む、個体の血管中の細胞を形質導入する方法。 2.上記rAAVベクターが検出可能なマーカー遺伝子を含む、実施態様1に記載 の血管中の細胞を形質導入する方法。 3.上記rAAVベクターが選択可能なマーカー遺伝子を含む、実施態様1に記載 の血管中の細胞を形質導入する方法。 4.上記rAVVベクターが治療遺伝子を含む、実施態様1に記載の血管中の細胞 を形質導入する方法。 5.上記血管が、細動脈、毛細血管、細静脈、および外膜微小血管からなる群 から選択される微小血管である、実施態様1に記載の血管中の細胞を形質導入す る方法。 6.上記血管が外膜微小血管である、実施態様5に記載の血管中の細胞を形質 導入する方法。 7.上記血管が微小血管であり、そして上記細胞が増殖中である、実施態様1 に記載の血管中の細胞を形質導入する方法。 8.上記細胞が霊長類動物細胞である、実施態様1に記載の血管中の細胞を形 質導入する方法。 9.上記細胞がヒト細胞である、実施態様8に記載の血管中の細胞を形質導入 する方法。 10.上記細胞が増殖中の細胞である、実施態様1に記載の血管中の細胞を形 質導入する方法。 11.上記細胞が増殖中の微小血管細胞である、実施態様10に記載の血管中 の細胞を形質導入する方法。 12.上記細胞が微小血管の細胞である、実施態様1に記載の血管中の細胞を 形質導入する方法。 13.上記細胞が微小血管の内皮細胞である、実施態様12に記載の血管中の 細胞を形質導入する方法。 14.上記rAAVベクターが上記個体の動脈の外膜に導入される、実施態様1に 記載の血管中の細胞を形質導入する方法。 15.組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを上記微小血管細胞に導入 することによって生成される形質導入微小血管細胞。 16.実施態様4に記載の方法に従って個体の血管中の細胞を形質導入する工 程を含む、疾患状態について上記個体を処置するための方法。 発明の詳細な説明 定義: 「ポリヌクレオチド」は、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチ ドのいずれか、またはそれらのアナログである、任意の長さのヌクレオチドのポ リマー形態をいう。この用語は、分子の一次構造についてのみいう。従って、二 本鎖および一本鎖DNAならびに二本鎖および一本鎖RNAを含む。メチル化またはキ ャップされたポリヌクレオチドのような改変されたポリヌクレオチドも含む。 「組換え体」は、ポリヌクレオチドに対して適用され、ポリヌクレオチドが、 クローニング、制限および/または連結工程、ならびに天然に見出されるポリヌ クレオチドと区別される構築物を生じる他の手順の種々の組み合わせの産物であ ることを意味する。 「ベクター」は、インビトロまたはインビボのいずれかにおいて、宿主細胞に 送達されるポリヌクレオチドを含む、組換えプラスミドまたはウイルスをいう。 送達されるべきポリヌクレオチドは、遺伝子治療における目的のコード配列を含 み得る。 「組換えAAVベクター」(または「rAAVベクター」)は、AAV逆方向末端反復配 列(ITR)に隣接される1つ以上の目的のポリヌクレオチドを含むベクターをい う。rAAVベクターを感染性ウイルス粒子中に複製しパッケージングする1つの可 能な方法は、rAAVベクターを、AAVの「rep」および「cap」遺伝子を発現しかつ 適切なヘルパーウイルスに感染された宿主細胞に導入することであり得る。 「遺伝子」は、タンパク質をコードする配列を含むポリヌクレオチドまたはポ リヌクレオチドの一部をいう。ほとんどの場合、遺伝子はまた、転写を有効に促 進するために、コード配列に作動可能に連結されたプロモーターを含むことが好 ましい。当該分野で周知のように、遺伝子の活性を調節するために、エンハンサ ー、レプレッサーおよび他の調節配列もまた含まれ得る。(例えば、下に引用し た参考文献を参照のこと)。 用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、任意の長さの アミノ酸のポリマーを言うために交換可能に用いられる。これらの用語はまた、 グリコシル化、アセチル化、およびリン酸化を含む反応を通して翻訳後修飾され たタンパク質を含む。 AAV「rep」および「cap」遺伝子(それぞれ、複製およびキャプシド化タンパ ク質をコードする)は、試験された全てのAAV血清型において見出されており、 本明細書中に引用される種々の参考文献に記載されている。代表的には、repお よびcap遺伝子は、AAVゲノム中において互いに隣接して見出され、そしてこれら は一般にAAV血清型において保存される。 AAVのための「ヘルパーウイルス」は、野生型AAV(これは欠損パルボウイルス である)が宿主細胞により複製され、そしてパッケージングされることを可能に する第2のウイルスをいう。多くのこのようなヘルパーウイルスは当該分野で同 定されており、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、およびワクシニアのような ポックスウイルスを含む。 本明細書中で用いられる「パッケージング」は、rAAVベクターのアセンブリー およびキャプシド化を生じる一連の亜細胞性事象をいう。従って、適切なベクタ ープラスミドが適切な条件下でパッケージング細胞株に導入される場合、それは 複製およびウイルス粒子内にアセンブルされ得る。 「異種」は、比較される異種の残りの実体と遺伝子型的に異なる実体に由来す るものを意味する。例えば、1つの細胞型に由来し、そして遺伝子工学技術によ り異なる細胞型に導入されたポリヌクレオチドは、異種ポリヌクレオチドである 。これは、発現した場合、異種ポリペプチドをコードし得る。同様に、その天然 のコード配列から除去され、そして異なるコード配列に作動可能に連結されたプ ロモーターは、異種プロモーターである。 本明細書中で用いられる「プロモーター」は、プロモーターが作動可能に連結 されている遺伝子またはコード配列の転写を制御するゲノム領域をいう。 「作動可能に連結された」は、記載のような組成物がそれらの意図される様式 で機能し得る関係にある並列をいう。プロモーターは、このプロモーターがコー ド配列の転写を制御する場合、コード配列に作動可能に連結されている。作動可 能に連結されたプロモーターは、通常コード配列とシス配置であるが、必ずしも コード配列に隣接する必要はない。 「検出可能なマーカー遺伝子」は、その遺伝子を保有する細胞を特異的に検出 すること(例えば、マーカー遺伝子を保有しない細胞から区別される)を可能に する遺伝子である。このようなマーカー遺伝子の多くは、当該分野で公知である 。その好ましい例は、細胞表面に現れているタンパク質をコードする検出可能な マーカー遺伝子を含み、それによって簡単かつ迅速な検出および/または細胞の ソーティング(sorting)を容易にする。例示の目的で、本発明者らは、検出可 能なマーカーとしてアルカリホスファターゼ(「AP」)遺伝子を利用した。これ は、AP遺伝子を保有するベクターで形質導入された細胞が形質導入細胞の表面上 にAPの発現に基づいて検出されることを可能にした。 「選択可能なマーカー遺伝子」は、対応する選択剤の存在下でその遺伝子を保 有する細胞についてまたはそれに対して特異的に選択することを可能にする遺伝 子である。例示の目的で、抗生物質耐性遺伝子は、宿主細胞が対応する抗生物質 の存在下で陽性に選択されることを可能にする陽性選択可能マーカー遺伝子とし て使用され得る。種々の陽性および陰性選択可能なマーカーは当該分野で公知で あり、そのいくつかは、以下に記載される。 「治療ポリヌクレオチド」または「治療遺伝子」は、個体に移入される場合、 この個体において予防、治癒、または他の有益な効果をもたらし得るヌクレオチ ド配列をいう。 本明細書中で使用される「サイトカイン」は、細胞間シグナル伝達分子をいう 。最も知られているサイトカインは、哺乳動物の体細胞の調節に関与する。多く のファミリーのサイトカインは、それらの増殖促進効果および増殖阻害効果の両 方について特徴付けられており、それらには、例えば、インターロイキン(例え ば、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9(P40)、IL-10 、IL-I1、IL-12およびIL-13);CSF型サイトカイン(例えば、GM-CSF、G-CSF、M -CSF、LIF、EPO、TNF-αおよびTNF-β);インターフェロン(例えば、IFN-α、 IFN-β、IFN-γ);TGF-βファミリーのサイトカイン(例えば、TGF-β1、TGF- β2、TGF-β3、インヒビンA、インヒビンB、アクチビンA、アクチビンB); 走化性因子(例えば、NAP-1,MCP-1,MIP-1α、MIP-1β、MIP-2、SISβ、SISδ 、SISε、PF-4、PBP、γIP-10、MGSA);増殖因子(例えば、EGF、TGF-α、aFGF 、bFGF,KGF、PDGF-A、PDGF-B、PD-ECGF、INS、IGF-I,IGF-II、NGF-β);α型 インタークライン(intercrine)サイトカイン(例えば、IL-8、GRO/MGSA、PF-4、 PBP/CTAP/βTG、IP-10、MIP-2、KC、9E3);およびβ型インタークラインサイト カイン(例えば、MCAF、ACT-2/PAT 744/G26、LD-78/PAT 464、RANTES、G26、130 9、JE、TCA3、MIP-1α,B、CRG-2)が挙げられる。多くの他のサイトカインもま た、当業者に公知である。これらのサイトカインの供給源、特徴付け、標的およ びエフェクター活性は、記載されており、そして多くのサイトカインについては 、その分子をコードするDNA配列もまた公知である;例えば、Callard & Gearlng ,The Cytokine Facts Book(Academic Press,1994)およびそこに概説および /または引用された特定の刊行物(これらは、本明細書中で参考として全体的に 援用され る)を参照のこと)。The Cytokine Facts Bookのようなカタログに参照される ように、このようなサイトカインをコードする多くのDNAおよび/またはタンパ ク質配列もまた、一般にGENBANK(DNA)およびSWISSPROT(タンパク質)のよう な配列データベースから入手できる。代表的には、このようなサイトカインをコ ードするクローン化DNAは既にプラスミドとして入手できるが、公開された配列 情報に基づいてサイトカインをコードするポリヌクレオチドを合成することもま た可能である。サイトカインをコードするポリヌクレオチドはまた、当該分野で 記載されているように、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いて得られる。[例え ば、Mullis,1987を参照のこと]。所定の細胞型に対して有効な新しいサイトカ インを同定するアッセイを含む、サイトカインの検出、精製、および特徴付けも また、多くの刊行物ならびに本明細書中で参照される参考文献に記載されている 。[例えば、Lymphokines and Interferons,(Clemens,J.J.ら編、IRL Press 1 987);およびDeMaeyer,1988を参照のこと]。 本明細書中で使用される「形質導入」、または「形質導入する」は、挿入のた めに使用される方法とは関係なく、外来ポリヌクレオチドの宿主細胞への導入を いう用語である。これらの方法は、周知の技術(例えば、トランスフェクション 、リポフェクション、ウイルス感染、形質転換、およびエレクトロポレーション 、ならびに非ウイルス遺伝子送達技術)を含む。導入されたポリヌクレオチドは 、宿主細胞中で安定または一時的に維持され得る。安定な維持は、代表的には、 導入されたポリヌクレオチドが宿主細胞と適合する複製の起点を含有するか、あ るいは宿主細胞のレプリコン(例えば、染色体外のレプリコン(例えば、プラス ミド))または細胞核もしくはミトコンドリア染色体に取り込むかのいずれかで あることを必要とする。 「レプリコン」は、一般にori配列と呼ばれる、複製の起点を含むポリヌクレ オチドをいう。これは、適切な宿主細胞におけるポリヌクレオチドの複製を可能 にする。例には、そこへ所望の核酸が組込み得る標的細胞のレプリコン(例えば 、細胞核およびミトコンドリア染色体、ならびに染色体外レプリコン(例えば、 プラスミド))が挙げられる。 本明細書中で使用される「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトをいう。 本明細書中で使用される「処置」または「治療」は、個体に、この個体に予防 、治癒または他の有益な効果をもたらし得る細胞、他の試薬、またはそれらの組 合せを投与することをいう。 「遺伝子送達」は、遺伝子移入のための外来のポリヌクレオチドの細胞への導 入をいい、そして標的化、結合、取り込み、運搬、局在化、レプリコンの組込み および発現を含み得る。 「遺伝子移入」は、外来のポリヌクレオチドの細胞への導入をいい、これは、 標的化、結合、取り込み、運搬、局在化、およびレプリコンの組込みを含み得る が、後の遺伝子の発現とは異なり、そしてこれを意味しない。 「遺伝子発現」または「発現」は、遺伝子転写、翻訳、および翻訳後の修飾の プロセスをいう。 「血管系」または「脈管」は、哺乳動物の体に遍在する、血液(およびリンパ 液)を運ぶ導管の系をいう用語である。 「血管」は、哺乳動物の血管系の任意の導管をいい、動脈、細動脈、毛細血管 、細静脈、静脈、洞、および脈管の血管を含む。 「動脈」は、心臓から身体の種々の部分に血液を通過する導管をいう。動脈の 壁は、代表的には、外弾性板によって中間層(中膜)と区別される外層(外膜) からなり、中間層は、内弾性板によって内層(内膜)と区別される。外膜は、一 般に、微小血管(脈管の血管)、線維芽細胞、およびリンパ球およびマクロファ ージのような免疫細胞のネットワークを含む弛緩連結組織の層である。中膜は、 平滑筋細胞および弾性線維の環状層を含む。内膜は、いくつかの場合、平滑筋細 胞の上に重なる内皮細胞の単層から構成される。 本明細書中で使用される「微小血管」、「微小血管の」または「微小血管系」 は、細動脈、毛細血管、細静脈、および外膜微小血管をいう用語である。微小血 管は、一般に、1層または数層の平滑筋細胞によって囲まれる内皮細胞を含む。 細動脈は、微小動脈分枝、特に毛細血管にすぐ近接するものをいう。毛細血管は 、細動脈と細静脈とを連結し、実質的に全ての器官および組織にネットワークを 形成する、いずれかの微小の血管をいう。細静脈は、毛細血管神経叢から血液を 収集し、かつ静脈の形成に参加する任意の小血管をいう。「外膜微小血管」は、 動 脈のような大血管の外膜に血液を供給する微小血管をいう。これらの外膜微小血 管のネットワークは、通常、脈管の血管をいう。外膜微小血管は、血管の内膜お よび中膜を横切る小さな微小血管に経由して母血管(例えば動脈)の管腔から血 液を供給すると考えられる。「微小血管の細胞」は、微小血管の構造を構成する 細胞をいう。 「内皮」は、一般に、心臓および血管、ならびにリンパ系の血管の空洞に一線 に配置する細胞の層(すなわち、「内皮細胞」)をいう。本明細書中で使用され るように、動脈のような血管は、内皮細胞および平滑筋細胞の両方を含み得、こ れらは、起源、機能、および細胞表面マーカーのような属性の点において区別可 能である。例えば、一般に、胚性外胚葉由来の内皮細胞は、内皮を構成する細胞 の層を形成し、非血栓形成性表面を提供し、そして以下に例示されるvFWを含む 、例示の目的で、多くの周知の細胞表面マーカーを用いて迅速に区別され得る。 一般には、胚性中胚葉由来の平滑筋細胞は、血管壁に対して構造および収縮性機 能を提供し、非血栓形成性表面を提供せず、そして以下に例示されるαアクチン を含む、例示の目的で、多くの周知の細胞表面マーカーを用いて迅速に区別され 得る。 「増殖中」または「増殖」は、細胞増殖による成長をいう用語である。血管新 生は、胎児発育時の血管系に起こり、また広範囲の正常および出生後の病理学的 プロセス(例えば、創傷修復、腫瘍形成、および炎症)にも起こる新しい血管の 形成である。参考文献 本発明の実施は、他に指示されない限り、当該分野内の分子生物学、微生物学 、組換えDNA、および免疫学の従来の技術を利用する。このような技術は、文献 に十分に説明されている。例えば、以下の文献を参照のこと: 本発明の方法に使用され得る、外科手術の送達およびロジスティックを記載す るさらなる参考文献は、以下を含む: 本発明の方法に使用され得る、血管に見出される細胞型、および脈管系の構造 を記載するさらなる参考文献は、以下を含む:W.Bloom & D.Fawcett,A Textboo k of Histology ,第10版,(W.B.Saunders Co.1975)。 本発明の方法に使用され得るAAVベクターを記載するさらなる参考文献は、以 下を含む: 引用された文章の著書目録 本明細書中に記載されている全ての特許、特許出願、および刊行物(前出およ び後出の両方)は、本明細書中で参考として援用される。好ましい実施態様の詳細な説明 記載の本発明は、組み換えAAVベクターを用いて血管中の細胞を形質導入する ための方法に関する。血管中の細胞のインビボでの形質導入は、インビボまたは インビトロでの他の細胞の形質導入では遭遇されない問題を提示する。 AAVベクターは、少数の組換えウイルスベクター系に共通して、インビボでの 遺伝子転移因子として有用であることが示されており、従って、潜在的にヒトの 遺伝子治療のために非常に重要である。AAVベクターは、エクスビボでの種々の 細胞株において、高い頻度で遺伝子を転移および発現し得る(Carter,1992;Ega n,1992;Flotte,1992;Flotte(1),1993;Flotte(2),1993;Kaplitt,1994;Kotin ,1994;Muzyczka,1992;およびWalsh,1992)。しかし、動物モデルにおけるrAA Vベクターを用いたインビボで形質導入の研究は、ほんの2、3しかなかった( 例えば、Flotte(2),1993;Kaplitt,1994;およびKotin,1994を参照のこと)。A AVは、ヒトのアデノウイルス感染に関連してしばしば見出されるDNAパルボウイ ルスである。AAVは、ヒトにおいて疾患を引き起こすことが示されておらず、そ して形質転換または発ガンウイルスではない。対照的に、他の修正(proposed) ウイルス系(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ま たはポックスウイルス)のほとんどは、疾患原因ウイルスである。実際は、85% を超える成人が、4つのAAV血清型の1つについて抗原陽性であると考えられて いる。AAVはまた、複製欠損であり、そしてアデノウイルスのようなヘルパーウ イルス、ヘルペスウイルス、またはいくつかの場合ではワクシニアのようなポッ クスウイルスで同時感染した細胞の核内でのみ複製し得る。AAVは、適切なヘル パーが存在する場合、ヒト、サル、または齧歯類起源の実際に任意の細胞株で、 (異なる効率であるにもかかわらず)感染および複製し得ると考えられている。 さらに、AAVは、特に、ほとんどの細胞が、最終的に分化され、***しないヒト 気道上皮のような組織において、レトロウイルスを超える明らかな利点を有する 。なぜなら、AAVは、遺伝子転移のために活性な細胞***を必要としないからで ある。従って、AAVベクターは、嚢胞性線維症のCFTR遺伝子で、インサイチュで は静止細胞を形質導入し得、そして最近、インビボのサル肺上皮を形質導入する のに有効であることが示された(例えば、Flotte,1994を参照のこと)。これら の研究は、最近、NIH組換えDNA諮問委員会によって承認されたヒト治験に移行さ れた。AAVは、静止細胞を形質導入し得る一方、初代線維芽細胞培養における最 近の研究は、AAVベクターが、S期において細胞を選択的に形質導入することを 示唆する(例えば、Russell,1994を参照のこと)。AAVの一般的な 総説は、例えば、Carter,1990;Berns,1990;Muzyczka,1992;およびKotin,199 4に見出され得る。 AAVは、異種遺伝子の送達のためのベクターを作製するために改変され得る。 好ましくは、このようなAAVベクターは、野生型コード配列を有さず、そしてヘ ルパーウイルスの存在下でさえも複製し得ない。一般的には、改変方法は、逆転 した末端反復配列(シスでベクター複製を必要とする)のみが残るように、全て の野生型AAVコード配列(repおよびcap)を欠失させることを含む。目的の遺伝 子が、ウイルス末端逆転反復配列間に挿入され得、次いでパッケージングされ得 る。 AAVベクター構築物の一般的な原理は、最近論評されている。(例えば、Carte r,1992;Kotin,1994;およびMuzyczka,1992を参照のこと)AAVベクターは、ベ クタープラスミドを作製するために、AAVコード配列の部分を異種DNAと置換する ことによって、AAV組換えプラスミドにおいて構築され得る。ベクタープラスミ ドにおいて、AAV配列の末端(ITR)部分は、いくつかの機能についてシスで重要 な役割を果たし、これは、トランスフェクション後のプラスミドからの切除、ベ クターゲノムの複製、ならびに宿主細胞ゲノムからの組み込みおよびレスキュー を含む。次いで、このベクターは、細胞へのベクタープラスミドのトランスフェ クションによってAAV形質導入ウイルスを作製するためにAAV粒子中にパッケージ ングされ得、この細胞は(1)アデノウイルスまたはヘルペスウイルスのような 適切なヘルパーウイルスによって感染され、そして(2)トランスで、AAV複製 およびキャプシド形成機能を提供し得る(これらの機能はベクタープラスミドの 構築において欠失されたため)。いくつかの最近の刊行物には、高力価の組換え AAVベクターを作製するための方法が記載されている(例えば、Flotte(1)1995 ;Trempe,1995;およびAllen,1995を参照のこと)。 本発明の方法において、組換えAAVベクター調製物は、AAV ITR領域およびレシ ピエント細胞に形質導入される目的の任意の遺伝子に作動可能に連結された転写 プロモーターを含み得、これは、例えば、検出可能な遺伝子、選択可能な遺伝子 、および/または治療遺伝子を含む。例示する目的で、以下の特定の実施例にお いて、本発明者らは、ヒト胎盤アルカリホスファターゼ(AP)を、検出可能な遺 伝 子として用いた。しかし、本明細書中の教示に基づいて、1つ以上の検出可能な 遺伝子、選択可能な遺伝子、および/または治療遺伝子を含む他の組換えAAVベ クターが容易に使用され得ることは、当業者に明らかである。従って、例えば、 本発明の方法は、(検出可能な遺伝子および/または選択可能な遺伝子の代わり にまたは加えて)治療遺伝子を含むrAAVベクターを使用し得、これは形質導入し たレシピエント細胞の活性を変更するのに用いられ、その結果、レシピエント細 胞および/またはその子孫は、このような細胞を受容する個体において有益な効 果を有する。例示する目的で、代表的な実施例は、細胞および/またはその子孫 における有益なタンパク質または他の因子のレベルを増強するか、あるいは細胞 および/またはその子孫における有害なタンパク質または他の因子のレベルを減 少するか、あるいは、細胞毒性または他の有害な因子に対する抵抗性を提供する 治療遺伝子での血管中の細胞の形質導入である。 別の基本的な例示的な例として、本発明は、選択されたタンパク質をコードす るか、または細胞および/またはその子孫からの他の因子の分泌に関与するタン パク質をコードする遺伝子(単数または複数)で血管中の細胞を形質導入するた めに用いられ得る。この選択されたタンパク質または他の因子は、レシピエント 個体において有益な効果を有する。 さらに別の例示的な例として、本発明は、レシピエント個体における細胞およ び/またはその子孫と他の細胞との間の相互作用に影響するポリヌクレオチド、 遺伝子(単数または複数)で血管中の細胞を形質導入するために用いられ得る。 例示する目的で、治療遺伝子は、形質導入した細胞および/またはそれらの子孫 に、いくつかの例にちなんで、他の細胞による活性化に多少影響可能であるか、 化学療法剤に多少抵抗性であるか、または感染因子(例えば、ウイルスまたは化 学療法薬のような毒性試薬)に抵抗性であることを付与する。 従って、当業者に理解されるように、本発明は、任意の広範な遺伝子を、哺乳 動物、特にヒトの血管系内の細胞に「送達する」ために用いられ得る。本発明の 利点を得るための特定の治療戦略のいくつかの例、および組換え遺伝子送達につ いての血管(特に微小細管)中の細胞に形質導入する能力を、以下に要約する。 これらのさらなる例は、本発明の実験適用をさらに例示する目的のために提供さ れる。多数の他の遺伝子が、当業者に明らかなように、本発明の方法を用いて送 達され得る。従って、例えば、本発明の方法を用いて、多数の遺伝子が、微細血 管細胞の細胞増殖を増大させ(例えば、血管新生を促進する)、そして/または 形質導入された微小血管によって供給される標的組織または器官において細胞増 殖を増加させるために、血管系内、特に微小血管内で発現させ得る。このような 遺伝子としては、例えば、ヒト増殖因子、血漿由来増殖因子(PDGF)、血管内皮 増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、形質転換増殖因子-β (TGF-β)、および上皮増殖因子(EGF)が挙げられる(例えば、Andree,1994; Betsholtz,1986;Bringstock,1990;Conn,1990;Derynck,1985;Houck,1991;It oh,1990;Johnsson,1984;およびKondo,1995を参照のこと)。多くのこのよう なヒト増殖因子のための遺伝子配列は公知であり、そして本明細書中の参考文献 に記載の標準的なクローニング技術を用いて、rAAVベクター中にクローン化され るかまたはそれによって発現され得た。さらに、種々の他のサイトカインは上記 をいい、そしてこのようなサイトカインの公知の遺伝子配列は同様にクローン化 され得、そして本発明の方法を用いるrAAVベクターによって発現され得る(例え ば、Callard,R.およびGearing,A.,The Cytokine Facts Book,(Academic Pr ess 1994)を参照のこと)。 逆に、多数の遺伝子が、微小血管細胞の増殖を阻害するため、および/または 形質導入した微細血管によって供給される標的組織または器官における細胞増殖 を減少させるために、血管系、特に微細血管において発現され得る。例えば、増 殖因子は、特定の細胞表面レセプターを有し、このため、それぞれの増殖因子は 、それらの増殖促進効果を開始するために結合する。多くの増殖因子および上記 の他のサイトカインについて、対応するレセプターもまた、同定されている(例 えば、Callard,R.およびGearing,A.,The Cytokine Facts Book,(Academic Press 1994)を参照のこと)。多くのこのようなレセプターについての遺伝子配 列は公知であり、そして例えば、増殖促進シグナルを開始せずに増殖因子を結合 する変異体レセプターを作製するように改変され得る。これはまた、変異体レセ プターの可溶性(例えば、分泌)形態を用いて達成され得た。従って、このよう な変異体レセプターを、これらのそれぞれの増殖因子のアンタゴニストとして供 し 得る;血管、特に微細血管中の細胞におけるこのような変異体レセプターの発現 は、器官または組織を供給し、これらの細胞および/またはその器官および組織 の細胞の増殖を阻害し得る。 送達されるべき細胞増殖の多数の他のインヒビターは、本発明の方法を用いて 血管、特に微細血管に送達され得、例えば、網膜芽細胞種(Rb)遺伝子産物の非 リン酸化形態を含み、これは特定の細胞転写因子に結合することによって細胞サ イクル進行を阻害する(例えば、Chang,1995;Lee,1987;およびRobbins,1990 を参照のこと)。また、例えば、大動脈細胞増殖は、親の血管の脈管の血管中の 上皮細胞一酸化窒素シンターゼ(これは一酸化窒素、血管平滑筋細胞増殖のイン ヒビターを合成する)のような遺伝子を過剰発現することによって阻害され得る 。従って、本発明の方法は、アテローム性動脈硬化症および動脈再構築に続く再 狭窄を減少するために用いられ得る(例えば、Geller,1993;Janssens,1992;お よびVon Der Leyen,1995を参照のこと)。さらに、多数の他の遺伝子は、細胞 死を促進するために、血管、特に微細血管において発現され得る。以下にさらに 記載のように、形質導入された微細血管細胞におけるこのような「自殺」遺伝子 の発現は、形質導入された細胞の死、および「バイスタンダー」効果を介する標 的器官または組織中の隣接細胞の死を生じる。このような遺伝子としては、例え ば、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼが挙げられ、これは、細胞を抗ウイ ルス副薬剤ガンシクロビルに対して感受性にするタンパク質をコードする(例え ば、Guzman,1994を参照のこと)。さらに、血管中の細胞、特に微細血管細胞に おけるプログラムされた細胞死(アポトーシス)は、例えば、アポトーシス経路 におけるp53腫瘍抑制遺伝子または他の遺伝子を過剰発現することによって促進 され得る(例えば、Lamb,1986を参照のこと)。 rAAVベクターはまた、1つ以上の検出可能なマーカーを含み得る。種々のこの ようなマーカーは公知であり、例示する目的で、細菌性β-ガラクトシダーゼ(l acZ)遺伝子;ヒト胎盤アルカリホスファターゼ(「AP」)遺伝子(単数または 複数)を含む。これはインビトロおよびインビボ両方でレポーター分子として用 いられる種々の細胞表面マーカーをコードする。 rAAVベクターはまた、1つ以上の選択可能なマーカーを含み得る。上記のよう に、遺伝子治療を含む適用について、rAAVベクターが血管中のレシピエント細胞 を自在に選択的に排除させる「自殺」遺伝子を含むこともまた、利点であり得る 。自殺遺伝子は、ネガティブな選択可能なマーカー遺伝子の型であり、これは、 宿主細胞を対応する選択薬剤の存在下で阻害させるかまたは排除させる。このよ うな自殺遺伝子は、必要または所望されれば、それによって、宿主細胞を選択的 に排除するために用いられ得る(例えば、Lupton,1991;およびLupton,1994を 参照のこと)。 組換えAAVベクターはまた、タンパク質をコードしないポリヌクレオチドを含 み得る。これは、例えば、それと二重鎖を形成することにより通常のmRNAの翻訳 をブロックするために用いられ得るアンチセンスmRNAをコードするポリヌクレオ チド(mRNAの相補体)、およびリボザイムをコードするポリヌクレオチド(RNA 触媒)を含む。 本発明の方法によるrAAVベクターの導入はまた、当該分野で有効かつ周知の多 数の送達技術(外科手術および非外科手術の両方)の使用を包含し得る。このよ うな送達技術は、例えば、血管カテーテル挿入(catheterization)、カニュー レ挿入(cannulization)、注射、吸入、塗擦、局所的、経口、経皮的、動脈内 、静脈内、および/または腹腔内投与を含む。ベクターはまた、生物人工器官の 手段で導入され得、これは、例示の目的で、血管移植(PTFEおよびダクロン(da cron))、心臓バルブ、血管内ステント、血管内舗装、ならびに他の非血管人工 器官を含む。ベクター溶液の送達、頻度、組成、および投薬量範囲に関する一般 的な技術は、本明細書中に挙げられるような参考文献に見出され得る。 本明細書中に記載のように、本発明の方法は、血管および/または血管新生が 役割を果たす多数の疾患状態において、完全に有益であり得る。例えば、特定の 組織または器官の血管、特に微細血管中の細胞に形質導入する能力は、遺伝子発 現を局所的に改変し、かつポジティブな方法で組織または器官を局所的に増強す ることを可能にする。さらに、血管中の細胞における遺伝子発現を、血管新生を 阻害または増強するように改変し得る。本発明の方法を用いて血管新生能を制限 または排除する能力が、とても有益であり得る血管新生と関連する多くの臨床状 況が存在する。例示の目的で、増殖および転移を支持するために、良性および悪 性の両方の新生物は、代表的には、大規模な血液供給を必要とする。よって、血 管新生の阻害は、これらの新生物を阻害または排除するために用いられ得る。事 実、多くの腫瘍の悪性能は、微細血管含有量の程度に直接相関し得る(例えば、 Baillie,1995を参照のこと)。従って、新生物を処置するための一般的なアプ ローチ(外科切除、放射線治療、および化学治療を含む)は、浸潤性であるかま たは顕著な副作用の可能性を有するかのいずれかであるが、本発明の方法は、腫 瘍自身の血液供給を標的とするために、および最小浸潤様式で、全身性または恒 久性副作用がなくその排除を促進するために用いられ得る。 類似のように、過剰な血液供給が決定的である多数の他の疾患が存在し、従っ て、これは、本発明の遺伝子送達方法を用いて血管新生に関与する微細血管細胞 を阻害することによって有益であり得る。例としては、乾癬;リューマチ性関節 炎;糖尿病性網膜症および網膜炎のような眼疾患;および別々または互いに関連 する、動脈、静脈、またはリンパ管で構成される先天性または後天性血管奇形が 挙げられるが、これに限定されない。 さらに、血管新生を促進することが利点であり得る多数の臨床状況が存在する 。例示の目的で、心臓虚血は、心臓に不十分な血液および酸素しか流れないこと によって特徴づけられ、そして本発明の適用によって有益である系の例である。 例示の目的で、本発明の方法を用いて、虚血領域を供給する冠状動脈にカニュー レ挿入し、そしてrAAVベクター(例えば、その領域における微細血管細胞を形質 導入しそしてその増殖を改変し得るポリヌクレオチドを含む)を、新しい血管増 殖を虚血領域に誘導するために、虚血領域の周りの局地的な微細血管系に送達し 得る。 類似のように、血液供給の欠如が決定的である多数の他の疾患が存在し、従っ て、これは、本発明の遺伝子送達方法を用いて血管新生に関与する細胞を刺激す ることにより有益であり得る。例としては、塞栓性発作の間に生じるような脳虚 血、腎臓実質疾患のような特定の虚血性腎障害、および先端潰瘍のような皮膚潰 瘍が挙げられるが、これに限定されない。 血管新生を調節することに加えて、遺伝子発現を可能にする器官または組織の 血管、特に微細血管中の細胞を形質導入する能力は、その微細血管自身に必ずし も作用することなく供給される組織または器官に直接影響を及ぼすために用いら れ得る。例示の目的で、アテローム性動脈硬化症でブロックされた冠状動脈のよ うな血管組織を再構築する場合、廠痕は再構築の部位で再発性障害物(例えば、 再狭窄)を頻繁に生じる。冠状動脈血管形成術またはアテローム切除術に続いて 、処置した動脈の30〜60%が、再狭窄を発症する。例えば、血管平滑筋細胞増殖 のインヒビターで罹患された動脈の脈管の血管中の細胞を形質導入するために本 発明の方法を用いることにより、このような動脈の再構築に続くアテローム性動 脈硬化症、瘢痕および次の再狭窄が減少され得る。 以下に示される実施例は、当業者のためのさらなる指針として提供され、そし て任意の方法において本発明を限定すると解釈されない。 実施例 実施例1 rAAV 調製物の生成 本発明を例示する目的のために、本発明者らはいくつかのrAAVベクターを調製 した。以下に記載の多数の一次外殖培養およびインビボ研究のために、本発明者 らは、「ACAPSN」と呼ばれるアデノ随伴ウイルス基準ベクターを使用した。これ は、AAV ITR配列、ヒト胎盤アルカリホスファターゼ(AP)cDNAに作動可能に連 結したヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、E.coliトランスポゾン Tn5ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子に作動可能に連結した サルウイルス40プロモーター、および合成ポリアデニル化部位を含む。 ACAPSN ベクターの構築 ACAPSNベクターの構築は、以下のようであった:ITR配列およびプラスミド骨 格を、AAV-CFTR(これは、左手ITRを含むAAV2ヌクレオチド1〜145、嚢胞性線維 症貫通膜調節因子(CFTR)cDNAヌクレオチド133〜4573、マウスβグロビンに基 づく合成ポリアデニル化シグナル(例えば、Flotte(1),1993を参照のこと)、 およびpBR322ヌクレオチド2295(Ndel)〜4284(Aat2)のプラスミド骨格に挿入 された右手ITRを含むAAV2ヌクレオチド4490〜4680を含む)に由来した。簡単に 述べれば、AAV-CFTRベクターを、Xho1およびSnaB1で消化し、そしてITRおよびプ ラスミド骨格をゲル単離した。CMVプロモーターの一部を含むXho1〜Sna1フラグ メント(ヌクレオチド-671〜-464)(例えば、Boshart,1985を参照のこと)を ゲル単離し、そしてAAV-CFTR由来のITRプラスミド骨格フラグメントに連結し、 「pAAV-CMV(SnaB1)」を生成した。次に、合成ポリアデニル化シグナルを含むS pe1〜Sna1フラグメントをSpe1/SnaB1消化したpAAV-CMV(SnaB1)に挿入し、「pA AV-CMV(Spe1)-spA」を生成した。pAAV-CMV(Spe1)-spAベクターは、CMVプロ モーターのヌクレオチド-671〜-584を含む。次に、E.coliネオマイシン遺伝子 を駆動するサルウイルス40プロモーターに連結したヒト胎盤アルカリホスファタ ーゼcDNA配列を、LAPSN(例えば、Lynch,1992を参照のこと)から、Spe1〜Nhe1 フラグメントとして単離し、pAAV-CMV(Spe1)-spA(Spe1で線状化した)に挿入 し、「pAAV-APSN」を作製した。CMVプロモーターヌクレオチド-585〜+71を含むS pe1〜Nhe1フラグメントを、Spe1線状化pAAV-APSNに挿入し、ベクター「ACAPSN」 を生成した。 AAV-CMV-AP ベクターの構築 本発明者らはまた、二次アデノ随伴ウイルス基準ベクター(「AAV-CMV-AP」) を、それらの一次外殖培養研究において使用した。ベクターAAV-CMV-APの構築は 以下のようであった:AAVベクターpTRF46(例えば、Flotte(1),1993を参照のこ と)を、Hind3およびAsp718で制限エンドヌクレアーゼ消化し、そして、ITR配列 、合成ポリアデニル化部位を含む(および、pBR322由来プラスミド骨格を含む) フラグメントをゲル単離した。ネオマイシンホスホトランスファラーゼ遺伝子( neo)は、Kozakコンセンサス真核生物翻訳開始配列で操作され、neo配列の5’ 末端にHind3部位および3’末端にAsp718部位を与えるプライマーを用いてPCR増 幅した。Hind3/Asp718消化したneoPCR産物を、pTRF46由来のフラグメントに連結 し、「pAAVneoBR」を生成した。AAVおよびneo配列をITRに隣接するBg12部位でpB R322由来のプラスミド骨格から切り出し、マルチクローニング部位がBg12リンカ ーで置換されたBluescriptベクターにサブクローニングし、「pAAVneo」を 作製した。ヒト胎盤アルカリホスファターゼcDNA配列を含むSal1フラグメントを 、レトロウイルスベクターDAPから単離した(例えば、Fields-Berry,1992を参 照のこと)。2塩基対充填を行い、そしてフラグメントを、BamH1で線状化し、 そして挿入物を受容するように部分的に充填したpAAVneoに挿入した。得られた 中間体構築物「pAAVneoAP」をHind3で消化し、neo配列を除去した。構築物を再 連結し、「pAAVAP」を作製した。2塩基対充填を、CMV即時初期プロモーター配 列(例えば、Boshart,1985を参照のこと)を含むSpe1〜Nhe1フラグメント(ヌ クレオチド-583〜+71)について実施し、次いでHind3で線状化し、また部分的に 充填したpAAVAPに挿入した。得られた構築物は、ベクター「AAV-CMV-AP」であっ た。 rAAV 粒子のパッケージング rAAV粒子の大規模パッケージングを、以前に記載のように実施した(例えば、 Flotte(1),1995;およびFlotte(2),1995を参照のこと)。これらのパッケージ ングプロトコルに従って、等量のパッケージングプラスミドpRS5およびrAAVベク ター(すなわち、ACAPSNまたはAAV-CMV-APのいずれか)を、ヘルパーウイルスAd 5(m.o.i=5)で感染した293細胞に同時トランスフェクトした。37℃で72時間の インキュベーションの後、細胞を採取しそして溶解した。ウイルス粒子を、塩化 セシウム勾配によって精製し、分画し、そしてRingerの平衡化塩溶液に対して透 析した。次いで、ベクター調製物を熱処理し、いかなる残留アデノウイルスをも 殺傷した。アデノウイルス夾雑の可能性はわずかであると考えられているが、調 製物を、米国保健福祉省の刊行物第(CDC)93-8395号(表題「Biosafety in Mic robiological and Biomedical Laboratories」および「NIH Guidelines for Res earch Involving Recombinant DNA Molecules」,Federal Register 1994,59:34 496-34547に要約されるように、アデノウイルス(クラス2病原体)に適切なBlo safety Level2予防策を用いて操作した。 実施例2(a) AAV-CMV-AP ベクターを使用するヒト初代外植片培養物における 平滑筋細胞の形質導入 血管において代表的に見出される種々の細胞タイプへのrAAVベクターの送達を 研究するために、本発明者らは、AAV-CMV-APベクターを使用するヒト初代外植片 培養物における平滑筋細胞の形質導入を検討した。 ヒト平滑筋細胞を、当該分野において記載されるような手順を使用する酵素的 消化により、バイオプシーサンプルから誘導した。以下の実施例6に記載のよう に、α-アクチンについての免疫細胞化学的染色を使用して、初代外植片培養物 を特徴付けし、そして主に平滑筋細胞を含むことを確認した。AAV-CMV-APベクタ ーへの曝露の時点の24時間後に、培養物が半コンフルエント(ディッシュの50% カバー)であるように、細胞を1×105細胞/12ウェルの密度で播種した。細胞 を、24時間、総容量1mlの完全培地(最終濃度10%のウシ胎児血清を含有する) 中で10μlのAAV-CMV-APベクターに曝露した。平滑筋細胞を、AAV-CMV-APベクタ ーの3つの独立した調製物で形質導入した。ベクター調製物を、DNAゲノムのス ロットブロット分析により評価して、1mlあたりおよそ109の粒子を含むように した。従って、形質導入を、細胞あたり約100粒子で実施した。ウイルスを24時 間の曝露期間の終わりに細胞から除去し、そして細胞を新鮮な培地中でさらに24 時間培養した。 細胞をトリプシンを使用して採集し、そして2.5×104細胞をサイトスピン(cy tospin)を使用してスライドグラス上に移した。スライドを風乾させ、次いで細 胞をPBS中の0.5%グルタルアルデヒド中で固定した。細胞をPBSの3回の交換で 洗浄し、そして30分間65℃で熱処理して、いかなる内因性のアルカリホスファタ ーゼ活性をも失活させた。細胞を、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェー ト(X-phos、0.1mg/ml、Boehringer Mannheim)およびニトロ−ブルーテトラゾ リウム(NBT、1mg/ml、Boehringer Mannheim、Buffer 3[100mM Tris、100mM Na Cl,50mM MgCl2-pH9.5]中)中で3時間室温で暗所でインキュベートし、これは 、アルカリホスファターゼを発現する細胞の、濃紫/黒染色を生じた。次いで、 スライドをPBS中でリンスし、そして水性マウント媒質を使用してカバーグラス をした。アルカリホスファターゼを発現する細胞の割合を、接眼レンズのグリッ ドを使用して、少なくとも2つの視野において、光学顕微鏡下で細胞を計数する ことにより測定した。3回の独立した感染からの平均形質導入頻度は、約5. 37%であった。 実施例2(b) AAV-CMV-AP ベクターを使用するラット初代外植片培養物における 平滑筋細胞の形質導入 種々の種へのrAAVベクターの送達をさらに研究するために、本発明者らは、AA V-CMV-APベクターを使用するラット初代外植片培養物における平滑筋細胞の形質 導入もまた検討した。 ラット平滑筋細胞培養物を、酵素的消化によりFischer 344ラット大動脈から 誘導し、そして上記のように、α-アクチンについての免疫細胞化学的染色を使 用して、主に平滑筋細胞を含むことを確認した[例えば、Lynch,1992を参照のこ と]。正確に、実施例2(a)においてヒト平滑筋細胞形質導入について記載し たように、細胞を、細胞あたり100粒子でAAV-CMV-APベクターで形質導入した。 3回の形質導入の平均頻度は約0.032%であった。 齧歯類(ラット)平滑筋細胞は、試験した霊長類(ヒトおよびマカク)血管細 胞タイプより100倍低い頻度で形質導入された。ヒトアデノ随伴ウイルス由来ベ クターでの形質導入に対する齧歯類細胞の減少した感受性は、AAVのいくらかの 種特異性を示し得る。 実施例2(c) AAV-CMV-AP ベクターを使用するウサギ初代外植片培養物における 平滑筋細胞の形質導入 本発明者らの研究の一部として、本発明者らは、AAV-CMV-APベクターを使用す るウサギ初代外植片培養物における平滑筋細胞の形質導入もまた検討した。ウサ ギ平滑筋細胞培養物を、上記のように、酵素的消化によりウサギ大動脈から誘導 し、特徴付けし、そしてα-アクチンについての免疫細胞化学的染色を使用して 、主に平滑筋細胞を含むことを確認した。実施例2(a)に記載のように、細胞 を、細胞あたり100粒子でAAV-CMV-APベクターの単一の調製物で形質導入した。 ヒトおよびラット平滑筋細胞もまた、比較の目的で形質導入した。ウサギ平滑筋 細胞 は、約10.26%の頻度で、または同じ研究におけるヒト平滑筋細胞の頻度(約5.4 1%)の2倍で形質導入された。ラット平滑筋細胞は再び、2桁低い頻度で形質 導入された(約0.016%)。 実施例2(d) ACAPSN ベクターを使用するマカク初代外植片培養物における 平滑筋細胞の形質導入 次に、本発明者らは、ACAPSNベクターを使用するサル初代外植片培養物におけ る平滑筋細胞の形質導入もまた検討した。平滑筋細胞培養物を、上記のように、 酵素的消化によりMacaca fascicularisバイオプシーサンプルから誘導し、特徴 付けし、そしてα-アクチンについての免疫細胞化学的染色により、主に平滑筋 細胞を含むことを確認した。細胞あたり約1000粒子を使用した以外、細胞を、実 施例2(a)においてヒト平滑筋細胞形質導入について記載したようにACAPSNベ クターで形質導入した。形質導入の平均頻度は約13.19%であった。 実施例2(e) ACAPSN ベクターを使用するヒト初代外植片培養物における 臍静脈内皮細胞の形質導入 血管において代表的に見出される細胞タイプ中へのrAAVベクターの送達をさら に研究するために、本発明者らは、ACAPSNベクターを使用するヒト初代外植片培 養物における内皮細胞の形質導入もまた検討した。ヒト臍静脈内皮細胞を、初代 臍静脈内皮細胞外植片培養物の調製のための標準的なプロトコルに従って、バイ オプシーサンプルから誘導した[例えば、Jaffe,1973を参照のこと]。初代外植 片培養物を、以下の実施例6に記載のように、特徴付けし、そしてフォンビルブ ラント因子(vWF)についての免疫細胞化学的染色により、主に内皮細胞を含む ことを確認した。細胞あたり約1000粒子を使用した以外、細胞を、実施例2(a )においてヒト平滑筋細胞形質導入について記載したようにACAPSNベクターで形 質導入した。形質導入の平均頻度は約4.56%であった。実施例2(f) ACAPSN ベクターを使用するヒト初代外植片培養物における 微小血管内皮細胞の形質導入 さらに、本発明者らは、ACAPSNベクターを使用するヒト初代外植片培養物にお ける微小血管内皮細胞の形質導入もまた検討した。ヒト微小血管内皮細胞を、当 該分野において記載されるような、酵素的消化、および混入する線維芽細胞を除 去するためのフィブロネクチンコートしたプラスティックカルチャーウェア上の 連続するプレーティングを使用して、網(脂肪組織)から誘導した。初代外植片 培養物を、上記のように、特徴付けし、そしてvWFについての免疫細胞化学的染 色により、主に内皮細胞を含むことを確認した。細胞あたり約1000粒子を使用し た以外、細胞を、実施例2(a)においてヒト平滑筋細胞形質導入について記載 したようにACAPSNベクターで形質導入した。形質導入の平均頻度は約12.64%で あった。 実施例2(g) ACAPSN ベクターを使用するマカク初代外植片培養物における 微小血管内皮細胞の形質導入 本発明者らは、ACAPSNベクターを使用するサル初代外植片培養物における微小 血管内皮細胞の形質導入もまた検討した。マカク微小血管内皮細胞を、上記のよ うに、網から誘導し、特徴付けし、そしてvWFについての免疫細胞化学的染色を 使用して、主に内皮細胞を含むことを確認した。細胞あたり約1000粒子を使用し た以外、細胞を、実施例2(a)においてヒト平滑筋細胞形質導入について記載 したようにACAPSNベクターで形質導入した。形質導入の平均頻度は約4.93%であ った。 初代外植片培養物研究の要約 上記のように、本発明者らは、種々の異なる種由来の血管において代表的に見 出される細胞(例えば、平滑筋細胞、大血管内皮細胞、微小血管内皮細胞)への rAAVベクターの送達を調査するための、一連の研究を実施した。これらの予備的 研究は「インビトロ」において実施されたが、本発明者らは初代外植片培養物を 使用し、これは不死化細胞培養物から区別されるべきであることを強調すること は重要である。初代外植片培養物(これは有限の寿命を有する)は、一般に、無 限に増殖し得るようにオンコジーンで形質転換されている不死化細胞培養株より 、インビボにおける細胞をずっと代表すると考えられている。さらに、高レベル の形質導入が多数の細胞培養株について報告されているが、AAVベクターは不死 化細胞より、初代細胞を、ずっと低い効率で形質導入することが報告されている [例えば、Halbert,1995を参照のこと]。従って、インビボ遺伝子治療適用につ いてAAVベクターを評価するために初代細胞を使用することの重要性が理解され る。 これらの初代外植片培養物研究は、rAAVベクターが、多数の異なる種(非ヒト 霊長類およびヒトを含む)由来の血管において代表的に見出される種々の細胞タ イプ中に異種遺伝予を移入し、そしてそれを発現させ得ることを示す。 実施例3 前処置なしの管腔内送達により導入されたACAPSNを使用する 霊長類における微小血管細胞のインビボ形質導入 本発明の方法を、本明細書中において非ヒト霊長類を用いて実施したインビボ 研究により例証する。以下の実施例において、ACAPSNベクターを、確立されたア テローム性動脈硬化症を有するカニクイザル中の末梢動脈のセグメントに注入し た。以下でさらに記載するように、本発明の方法を使用する形質導入を、処置さ れる動脈の状態および/または用いる送達方法を変動させることにより、種々の 条件下で評価した。この実施例において、ACAPSNを、安静時の(unperturbed) 大腿動脈への管腔内注入により送達した。 2匹のアテローム性動脈硬化症カニクイザル(Macaca fascicularis)(体重 約5kg)を、the Comparative Medicine Clinical Research Center of The Bow man Gray School of Medicineの飼育コロニーから選択した。動物は、アテロー ム発生性食事を、変動する期間消費し、そしてこの食事を研究の期間の間に消費 し続けた。アスピリンを、外科手術の3日前に、その抗血小板効果のために与え た(20mg/kg、経口)。さらなる研究のために増殖細胞を標識するために(以下 の実施例8に記載)、動物は、手術の1時間前および16時間前に、5-ブロモ-2'- デオキシウリジン-5'-モノホスフェート(BrdU、30mg/kg.i.m.、生理食塩水中[3 0mg/ml]、Boehringer Mannheim Inc.,Indianapolis,IN)を受けた。サルを塩 酸ケタミン(10〜15mg/kg i.m.)で鎮静し、挿管し、そしてハロタンガス(4% 有効)で麻酔した。血液を、ベースライン血清、血液学、および化学的性質のた めに抜いた。 左および右大腿動脈を、無菌技術を使用して大腿において露出させ、そして鼠 径部付近かつ4cm遠位に制御した。次いで、動物をヘパリン(300mg/kg i.v.、E lkins-Sinn,Inc.,Cherry Hill,NJ)で抗凝血処理し、そして可撓性カニュー レ(20ゲージi.v.カテーテル)を、各動脈側枝中に挿入した。これらの動脈を一 時的に順次閉塞し、そして1mlの無菌リンゲル液で洗浄(flush)した。実施例 1の手順に従って生成したACAPSNベクター調製物(250〜500μl)を、左動脈に 注入した。形質導入を、1mlあたり3×109DNAse耐性ベクター粒子の濃度でACAP SN調製物を使用して実施した(DNAse耐性は、キャプシド化ベクター粒子の特徴 である)。コントロール(250〜500μlの乳酸リンゲル液、「LRS」)を、右動脈 に注入した。30分後、ACAPSNベクター調製物およびLRSコントロールを、それぞ れ左および右動脈から吸引した。次いで、側枝を結紮し、そして血流を再確立し た。 ベクターおよびコントロールのインキュベーションの完了時に、創傷を閉じ、 そして動物を回復のために単一動物ケージに戻した。動物を48時間隔離したまま にし、そして結膜炎、咳、および下痢のようなウイルス性疾病のいかなる徴候に ついても密接に観察した。次いで、動物を麻酔し、そして処置した左および右動 脈を外科的に切除し、そして分析のために10%ホルマリン中で固定した。全ての 動物の世話および手順を、州および米国の法律に従って実施した。動物のプロト コルは、Bowman Gray School of Medicine Aninlal Care and Use Committeeに より承認され、そしてNational Institutes of Healthにより刊行物No.86-23, Guide for the Care and Use of Laboratory Animalsにおいて記載される指針に 従った。 以下のように、ホルマリン固定動脈セグメントをヒト胎盤アルカリホスファタ ーゼについて染色して、ACAPSNベクターを発現する形質導入細胞を局在化した: 組織をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、10ml、1時間/洗浄)の3回の交換で洗 浄し、そしてPBS中で30分間65℃の水浴中で加熱して、いかなる内因性アルカリ ホスファターゼ活性をも失活させた。次いで、サンプルを、5-ブロモ-4-クロロ- 3-インドリルホスフェート(X-phos、0.1mg/ml、Boehringer Mannheim)および ニトロ-ブルーテトラゾリウム(NBT、1mg/ml、Boehringer Mannheim、Buffer 3 [100mM Tris,100mM NaCl、50mM MgCl2-pH9.5]中)の溶液中で一晩室温で暗所で インキュベートして、アルカリホスファターゼ活性(濃紫/黒染色)を検出した 。次いで、サンプルをPBS中で洗浄し、そして組織切片化のためにパラフィン中 に包埋した。ポジティブコントロールを各APアッセイに含め、そしてそれは以下 のいずれかであった:(1)ACAPSNベクターで形質導入し、そして10%ホルマリ ンで固定した培養平滑筋細胞のサイトスピン;または(2)ACAPSNベクターで形 質導入し、ペレット化し、10%ホルマリンで固定し、パラフィン中に包埋し、そ して切片化した培養平滑筋細胞。ネガティブコントロールを各動物について含め 、そしてそれは以下のいずれかであった:(1)乳酸リンゲル液を注入した動脈 から切断した切片;または(2)ACAPSN処置の部位から離れた動脈から切断した 切片。 処置した大腿動脈組織の検査を、一定の間隔で、処置した血管の長さに沿って 、切片を系統的にサンプリングするように設計した様式で実施した。一般に、各 処置部分(約1.5インチ長)を6つの輪に切片化した。3つ目毎の輪をOCT中に包 埋し、そして凍結した。第1、2、4、および5の輪を10%ホルマリン中で固定 し、AP活性について染色し(上記のように)、次いで、切片化(約2細胞層厚さ の切片へ、1つの輪あたり2〜3切片)のためにパラフィン中に包埋した。 しかし、検査したサンプルが、集合的に、処置した血管組織の非常に小さな画 分のみ(おそらく1%未満)を代表することを強調すべきである。従って、制限 された数のランダムな検査した切片において観察されたポジティブの結果は、組 織中での発現を反映することが予想されるが、より頻度の低い形質導入事象は、 検査したサンプルの制限された数故に、観察されないままであったかもしれない 。 安静時の大腿動脈の場合、検査した切片において、発現事象は観察されなかっ た。しかし、制限されたサンプリングのため、低レベルの発現は、除外され得な い。これらの大腿動脈が以前の出血に由来する瘢痕を有し(大腿部位における複 数の血液採取に起因して)、従って、動脈周囲の瘢痕故に、より少ない微小血管 が存在することが予想されることに留意するべきである。次のインビボ研究は、 頸動脈を利用した。 実施例4 露出前処置後の管腔内送達により導入されるACAPSNを使用する 霊長類における微小血管細胞のインビボ形質導入 内皮細胞が、より深くの動脈血管壁へのrAAV遺伝子送達に対する障害として機 能するかどうかを決定するために、ACAPSNベクターを、内皮を露出させた頸動脈 への管腔内注入により送達した。 2匹の動物は、以下のように、急性バルーン露出前処置の後に管腔内送達を受 けた。ACAPSNベクター調製物を、実施例1の手順に従って生成した。形質導入を 、1mlあたり3×109のDNAse耐性粒子の濃度のACAPSN調製物を使用して実施した 。動物を、一般に、以下の例外を有して、実施例3に記載のように、調製し、選 択し、そして維持した:(1)この実施例においては、頸動脈を研究した;およ び(2)ACAPSNベクターおよびコントロールの管腔内送達(それぞれ左および右 頸動脈)の前に、露出前処置を以下のように与えた。頸動脈の内皮を、3F Fogar tyバルーン塞栓切除カテーテル(V.Mueller Inc.,McGaw Park,IL)を使用し て露出させ、これを各頚動脈中に(3回)3cm通過させ、膨張させ、穏やかな張 力下で元に戻し、次いで取り出した。 その後の動物および組織の取り扱いおよび調製は、以下の3つの例外を有して 、実施例3に概説した手順に従った:処置した動脈を、隔離の60時間後に取り出 した;および(2)次いで、動物を、ケタミン(15mg/kg,i.m.)で鎮静し、ヘ パリン(300単位/kg,i.v.)処置し、そして剖検スイート(necropsy suite)に 移し、ここで血液を血液学的および化学評価のために抜いた。過剰容量のペント バルビタールナトリウム(100mg/kg,i.v.)の後、100mm Hgでリンゲル液(約75 0cc)を注入しながら、動物を放血した。右および左頸動脈を10%ホルマリン中 で灌流-固定し、次いで分析のために取り出した。(3)さらに、処置した頸動 脈組織の検査を、一定の間隔で、処置した血管の長さに沿って、注射部位の遠位 および近位の両方で、切片を系統的にサンプリングするように設計した様式で実 施した。一般に、各処置部分(約2インチ長)を9つの輪に切片化し、そして3 つ目毎の輪をパラフィン中に包埋した。第1、2、4、5、7、および8の輪を 凍結し、次いで、これらの各々の輪の2〜3切片(約2細胞層厚さ)サンプリン グし、そしてAP活性について染色した(実施例3に記載のように)。 露出した頸動脈の場合、発現は、rAAVベクターに曝露した2つの頸動脈のうち 1つにおける微小血管内皮において観察されたが、いずれのコントロール動脈に おいても観察されなかった。発現は、外膜において明白に規定可能な構造を形成 する微小血管内皮に容易に局在化可能であった。 実施例5 露出および焦点過剰拡張前処置後の管腔内送達により導入される ACAPSN を使用する霊長類における微小血管細胞のインビボ形質導入 血管壁の外部外膜層(微小血管が主に位置する)への接近を増強することの効 果をさらに評価するために、ACAPSNベクターを、穏やかに露出し、そして焦点拡 張してあった頸動脈への管腔内注入により送達した。 2匹の動物は、以下のように、穏やかな内皮細胞露出および焦点バルーン過剰 拡張前処置に続いて、管腔内送達を受けた。ACAPSNベクター調製物を、実施例1 の手順に従って生成した。形質導入を、1mlあたり1×1010DNAse耐性粒子の濃 度のACAPSN調製物を使用して実施した。動物を、一般に、以下の例外を有して、 実施例3に記載のように、調製し、選択し、そして維持した:(1)この実施例 においては、頸動脈を研究した;および(2)ACAPSNベクターおよびコントロー ルの管腔内送達(それぞれ左および右頸動脈)の前に、頸動脈の内皮を穏やかに 露出し、そして焦点過剰拡張に供した。この前処置を以下のように実施した:3F Fogartyバルーン塞栓切除カテーテル(V.Mueller Inc.,McGaw Park,IL)を 頸動脈に4cm通過させ(1回)、膨張させ、そして非常に小さな張力を使用して カテーテル挿入部位に向かって引いて、内皮を取り出した。次いで、カテーテル 挿入部位に直接隣接する動脈セグメントを、バルーンの過剰膨張により焦点過剰 拡張し(0.5cm長の頚動脈において)、次いでバルーンを取り出した。 その後の動物および組織の取り扱いおよび調製は、処置した動脈を隔離の48時 間後に取り出したことを除いて、実施例4に概説した手順に従った。 穏やかに露出し、そして焦点過剰拡張した頸動脈の場合、発現は、rAAVベクタ ーに曝露した両方の頸動脈の外膜における少数の微小血管の内皮において観察さ れたが、いずれのコントロール動脈においても観察されなかった。rAAVベクター に曝露した両方の頸動脈の外膜細胞(これは、内皮細胞として明白には同定され なかった)において観察されたいくらかより低いレベルの発現もまた存在したが 、いずれのコントロール動脈においても観察されなかった。 実施例6 事前のバルーン損傷前処置後の外膜注射送達により導入されるACAPSNを使用する 霊長類における増殖微小血管細胞のインビボ形質導入 血管壁の外膜層への接近を増強することの効果をさらに研究するために、ACAP SNベクターをまた、送達の数日前に刺激しておいた頸動脈の外膜中への直接注射 により送達した。詳細には、動脈を、ACAPSNの送達の5日前に、膨張したバルー ンカテーテルの反復する管腔内通過により刺激した。これは、ベクターの送達前 に、血管壁の細胞増殖の速度を増加させることが予想される。以前の経時的研究 から、動脈壁中の細胞の最大増殖は、バルーン損傷の4〜7日以内に誘導される [例えば、Geary,1996を参照のこと]。従って、事前バルーン損傷血管は、増殖 血管の生理学的特徴(血管形成の間および動脈血管形成術または他の形態の血管 再構築後に起こるような)を模倣することが予想される。 1匹の動物は、以下のように、事前バルーン損傷前処置に続いて、外膜注射送 達を受けた。ACAPSNベクター調製物を、実施例1の手順に従って生成した。形質 導入を、1mlあたり3×109のDNAse耐性粒子の濃度のACAPSN調製物を使用して実 施した。動物を、一般に、以下の例外を有して、実施例3に記載のように、調製 し、選択し、そして維持した:(1)この実施例においては、頸動脈を研究し た;(2)両方の頸動脈がACAPSNベクターを受けた;および(3)送達は直接外 膜注射により生じた。外膜注射を、以下の例外を有して、実施例3に記載の管腔 内送達のために使用した手順により実施した:カニューレを管腔中に配置する代 わりに、片側あたり250μlのACAPSNベクター調製物を、外膜下面中へ直接、1cc シリンジおよび27ゲージ針を使用して注射した。(4)さらに、左および右頸動 脈へのベクターの送達の5日前に、右頸動脈を、穏やかな張力下での膨張させた 3F Fogartyバルーンカテーテル(V.Mueller Inc.,McGaw Park,IL)の3回の 管腔内通過によるバルーン損傷に供した。左頸動脈は事前には操作しなかった。 その後の動物および組織の取り扱いおよび調製は、以下の例外を有して、実施 例4に概説した手順に従った:(1)処置した動脈を、隔離の72時間後に取り出 した;および(2)免疫細胞化学的分析を、以下のように、右頸動脈から取った 組織に対して実施した。 外膜においてACAPSNを発現する特定の細胞タイプをポジティブに同定するため に、右頸動脈由来の凍結ホルマリン固定切片を切断し、そして平滑筋細胞(α- アクチン、Boehringer Mannheim)、内皮細胞(vWF、DAKO)、マクロファージ( CD-68、DAKO)およびリンパ球(CD-3、DAKO)に特異的な抗体で免疫染色した。 一次抗体を適切なビオチン化二次抗体(Vector Laboratories Inc.)および三次 アビジン-ビオチン-ペルオキシダーゼ染色(Vector Laboratories Inc.)で局在 化した。切片をヘマトキシリンで対比染色し、そして標準的な光学顕微鏡により 検査した。右頸動脈については、AP活性の多くは、内皮細胞マーカーまたは平滑 筋細胞マーカーのいずれかについての細胞染色と共局在化(co-localize)され た。少数のAP活性は、マクロファージマーカーについての細胞染色と共局在化さ れた。多数のAPポジティブ細胞は、これらの細胞タイプ特異的抗体でポジティブ には同定され得なかった。 以前に刺激されていた頸動脈への外膜注射による送達の場合、非常に高い頻度 の発現は、外膜微小血管内に組織学的に同定された細胞において観察された。こ の動脈については、発現はまた、注射の領域の外膜における有意な数の他の細胞 において観察された;上記のように、これらは、細胞タイプ特異的抗体でポジテ ィブに同定されず、そしておそらく、例えば、線維芽細胞、リンパ球、その他の 白血球、および神経細胞であり得た。操作しなかったコントロール動脈において 、少数のAPポジティブ細胞が観察され、そしてこれらの少数の細胞は、微小血管 と組織学的に一致する構造と優勢に関連していた。これらの結果は、血管中の細 胞の増殖が存在または増強される他の状況においてもまた、本発明の方法を使用 して高頻度形質導入を達成し得るという予想に至る。 実施例7 事前バルーン損傷前処置後の管腔内送達により導入されるACAPSNを使用する 霊長類における増殖微小血管細胞のインビボ形質導入 上記のように、外膜微小血管は、血管媒質を横断する小さな微小血管を介して 親血管(例えば、動脈)の管腔から血液を供給されると考えられる。この研究を 、rAAVベクターの外膜への導入がまた、事前バルーン損傷によって前処置してお いた動脈の管腔中へ直接の注射により、間接的に達成され得ることを実証するた めに、設計した。実施例6におけるように、動脈を、ACAPSNの送達の5日前に、 大きな膨張したバルーンカテーテルの反復する管腔内通過により刺激した。これ は、ベクターの送達前に、血管壁の細胞増殖の速度を増加させることが予想され る。 1匹の動物は、以下のように、事前バルーン損傷前処置に続いて、管腔内送達 を受けた。ACAPSNベクター調製物を、実施例1の手順に従って生成した。形質導 入を、1mlあたり1×1010のDNAse耐性粒子の濃度のACAPSN調製物を使用して実 施した。動物を、一般に、以下の例外を有して、実施例6に記載のように、調製 し、選択し、そして維持した:実施例3に記載のように、送達は、管腔内送達に より生じた。従って、この実施例においては、(1)両方の頸動脈がACAPSNを受 けた;そして(2)左および右頸動脈へのベクターの送達の5日前に、右頸動脈 を、穏やかな張力下での膨張させた3F Fogartyバルーンカテーテル(V.Mueller Inc.,McGaw Park,IL)の3回の管腔内通過によるバルーン損傷に供した。左 頸動脈は事前には操作しなかった。 その後の動物および組織の取り扱いおよび調製は、処置した動脈を、隔離の72 時間後に取り出したという例外を有して、実施例4に概説した手順に従った。 事前に刺激しておいた頸動脈への管腔内送達の場合、発現は、外膜微小血管内 に組織学的に同定された細胞において観察された(しかし、コントロール動脈に おいては観察されなかった)。APポジティブ細胞の頻度は、外膜中へ直接の注射 について観察された頻度ほどは高くはなかったが、これらの結果は、外膜中への 導入が、血管の管腔中への注射によって達成され得ることを、明らかに実証する 。インビボ研究の要約 これらのインビボ研究は、はじめて、rAAVベクターが、インビボにおいて血管 中の細胞を形質導入するために首尾良く使用され得ることを実証した。 有意なレベルの形質導入が、事前バルーン損傷により処置しておいた動脈にお いて観察された。上で論じたように、このような動脈は、増殖する血管の生理学 的特徴(血管形成の間に起こるような)を模倣することが予想される。これらの 結果は、血管増殖が増強される他の状況においてもまた、本発明の方法を使用し て高頻度形質導入を達成し得るという予想に至る。 さらに、これらのインビボ研究は、ヒトにおいて見出されるアテローム性動脈 硬化症疾患状態の最も代表的な疾患動脈モデルである、アテローム性動脈硬化症 霊長類の動脈における細胞の形質導入を実証した。これらのマカクにおける動脈 のアテローム性動脈硬化症状態は重篤ではなかったが、血管の種々の細胞への物 理的接近が、血管における斑、脂肪沈着物、および/または厚化した平滑筋細胞 層の存在故に、穏やかなアテローム性動脈硬化症の血管においてさえも達成がよ り困難であることが予想される。従って、本発明の方法を使用してアテローム性 動脈硬化症マカクモデルにおいて血管中の細胞を首尾良く形質導入する能力は、 アテローム性動脈硬化症血管の形質導入が達成され得ること、およびより高いレ ベルの形質導入さえもが接近条件がより厳重でない非動脈硬化症血管において達 成され得ることを示す。 実施例8 抗体染色を使用する損傷後細胞増殖の評価 上記のように、安楽死の1時間および6時間前に、全ての動物にBrdUを注射し て、ポジティブなACAPSN染色を示す組織学的切片における細胞増殖の測定を可能 にした。形質導入は、最も活発に増殖している細胞について最も効率的であると 考えられている。 処置した動脈由来の選択した非染色脱パラフィン切片(5ミクロン厚)を、Br dUに対するモノクローナル抗体(Boehringer Mannheim)に曝露し、次いでビオ チン化二次抗体およびアビジン-ビオチン-ペルオキシダーゼ三次抗体染色で局在 化する。増殖中の細胞を、褐色抗体染色を有する核として同定する。BrdUデータ は、rAAV取り込みおよび発現が、増殖している細胞(例えば、血管形成に関連す る細胞)に関連するというさらなる確認を提供し得る。さらに、眼微小血管細胞 または卵黄嚢モデルのような血管形成モデルを、初代細胞における初代組織にお ける類似の結果を定量するために使用し得る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG, US,UZ,VN,YU (72)発明者 ギャリー,ランドルフ エル. アメリカ合衆国 ノースカロライナ 27104,ウィンストン―セイラム,リッチ フィールド ロード 620 (72)発明者 リンチ,カーメル エム. アメリカ合衆国 ワシントン 98034,カ ークランド,エヌ.イー.14ティーエイチ プレイス 10031

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.個体の血管中の細胞を形質導入する方法であって、インビボで該個体の血管 に組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを導入する工程を含む、方法。 2.前記rAAVベクターが検出可能なマーカー遺伝子を含む、請求項1に記載の血 管中の細胞を形質導入する方法。 3.前記rAAVベクターが選択可能なマーカー遺伝子を含む、請求項1に記載の血 管中の細胞を形質導入する方法。 4.前記rAVVベクターが治療遺伝子を含む、請求項1に記載の血管中の細胞を形 質導入する方法。 5.前記血管が、細動脈、毛細血管、細静脈、および外膜の微小血管から成る群 から選択される微小血管である、請求項1に記載の血管中の細胞を形質導入する 方法。 6.前記血管が外膜の微小血管である、請求項5に記載の血管中の細胞を形質導 入する方法。 7.前記血管が微小血管であり、そして前記細胞が増殖中である、請求項1に記 載の血管中の細胞を形質導入する方法。 8.前記細胞が霊長類細胞である、請求項1に記載の血管中の細胞を形質導入す る方法。 9.前記細胞がヒト細胞である、請求項8に記載の血管中の細胞を形質導入する 方法。 10.前記細胞が増殖中の細胞である、請求項1に記載の血管中の細胞を形質導 入する方法。 11.前記細胞が増殖中の微小血管細胞である、請求項10に記載の血管中の細 胞を形質導入する方法。 12.前記細胞が微小血管細胞である、請求項1に記載の血管中の細胞を形質導 入する方法。 13.前記細胞が微小血管の内皮細胞である、請求項12に記載の血管中の細胞 を形質導入する方法。 14.前記rAAVベクターが前記個体の動脈の外膜に導入される、請求項1に記載 の血管中の細胞を形質導入する方法。 15.組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを微小血管細胞に導入するこ とにより生成された形質導入微小血管細胞。 16.疾患状態について個体を処置するための方法であって、請求項4に記載の 方法に従って該個体の血管中の細胞を形質導入する工程を含む、方法。
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