JP2002508023A - ポリオレフィン組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 耐熱性であり、そして電線およびケーブルの被覆、押出異形材、シート形態、あるいは射出成形部品において特に有用であるか、またはエラストマー挙動を有し、そして射出成形部品において特に有用であるハロゲンを含有しない熱可塑性ポリオレフィン配合物が提供される。これらの配合物は、好ましくは、（１）エチレンｎ−ブチルアクリレートグリシジルメタクリレート（ＥｎＢＡＧＭＡ）ターポリマー、（２）無水マレイン酸でグラフトされたエチレンプロピレンラバー(ＥＰＤＭ)、（３）耐熱性に対してはポリプロピレンホモポリマー、またはエラストマー挙動に対しては超低密度ポリエチレン、または線状低密度ポリエチレン(ＬＬＤＰＥ)、または低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレン、またはエチレン−ポリプロピレンコポリマーを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】 ポリオレフィン組成物 発明の背景 発明の属する技術分野 本発明は、ポリオレフィン組成物に関し、さらに詳しくは、良好な耐熱性能ま たはエラストマー特性を有するそのような組成物、およびそれらから製造された 造形品に関する。背景の説明 ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）組成物は、何年もの間にわたって市場にあり、そし て非常に様々な用途において慣用的に使用される。塩素なしの環境に対する傾向 に関して、構築、自動車、および電線・ケーブル業界のようないくつかの市場区 分に、ＰＶＣの代替品に対するニーズがある。架橋したポリオレフィン化合物、 またはフルオロポリマーとＰＶＣとの配合物は、いずれの解決法も費用がかかる 傾向ではあるが、提案されている。 国際公開ＷＯ９３／１９１１８号およびＷＯ８９／０６２５６号は、電気ケー ブル用の被覆としての使用に適当なＰＶＣを含まない組成物を開示する。これら の組成物は、本明細書に記載されたものと類似のいくつかの成分を含有するが、 本明細書に記載されたターポリマーを含まない。 欧州特許公開ＥＰ ０ ７０３ ２７１ Ａ１は、軟質の、ハロゲンを含まな い熱可塑性ポリオレフィン組成物を開示し、それは、エチレンビニルアセテート 、エチレンビニルアセテートカーボンモノオキサイド、および超低密度ポリエチ レンに基づくある組成物を含む。これらの組成物は多くの用途において有用であ るが、ある高温用途では許容できないほどに軟化し、または溶融することがわか っている。 発明の要旨 本発明によると、良好な耐熱性能またはエラストマー特性を有するポリオレ フィン組成物が提供され、それは、ハロゲンを含有せず、および （１）３０〜９０重量％のエチレン、１０〜７０重量％のｎ−ブチルアクリレー ト、および０．５〜３０重量％のグリシジルアクリレートまたはメタクリ レートを含有するエチレンｎ−ブチルアクリレートグリシジルメタクリレ ートターポリマーと、 （２）(ａ)エチレンプロピレンジエンメチレンラバー(ＥＰＤＭ)、（ｂ）線状低 密度ポリエチレン、（ｃ）エチレン−プロピレンコポリマー、および（ｄ ）超低密度ポリエチレンからなる群から選択されるポリオレフィンあるい はラバー、またはそれらの配合物であり、それぞれが０．０５〜３重量％ のカルボン酸またはその無水物でグラフトされたポリオレフィンまたはラ バーと、 （３）(ａ)ポリプロピレンホモポリマー、（ｂ）超低密度ポリエチレン、（ｃ） 線状低密度ポリエチレン、（ｄ）低密度ポリエチレン、（ｅ）高密度ポリ エチレン、および（ｆ）エチレン−ポリプロピレンコポリマーからなる群 から選択されるポリオレフィンと の配合物を含有する。 本発明の組成物に含まれてもよい慣用の添加剤は、難燃性に対しては臭素化さ れたフィラー、アルミニウム三水和物、または水酸化マグネシウム、酸化防止剤 、（耐ＵＶ性に対して、および製品に白色をもたらすため）二酸化チタン、ステ アリン酸亜鉛のような加工助剤、およびＵＶ安定剤を含む。 発明の詳細な説明 本発明は、電線およびケーブルの被覆、押出異形材、シート形態、あるいは射 出成形部品において有用である耐熱性のハロゲンを含有しない熱可塑性ポリオレ フィン配合物に関し、同様に、射出成形部品において有用であるエラストマー性 熱可塑性ポリオレフィン配合物に関する。これらの配合物は、エチレンｎ−ブチ ルアクリレートグリシジルメタクリレート（ＥｎＢＡＧＭＡ）ターポリマー、無 水マレイン酸でグラフトされたポリマーまたはラバー、およびポリオレフィンを 化合させることにより一般的に形成され、すべては塩素を含まない。 本発明によるポリマー配合物は、ポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）含有配合物に匹敵 する多くの特性を有するが、ポリプロピレンより良好な耐熱性を備える電線およ びケーブルの被覆、押出異形材、シート形態、あるいは射出成形部品の形を取り 得る。 他に述べられない限り、本発明の組成物における各成分の重量百分率の範囲は 、存在してもよい、いかなる添加剤をも除いて計算される。 本発明に有用なＥｎＢＡＧＭＡターポリマー（成分(１)）は、好ましくは、３ ０〜９０重量％のエチレン、１０〜７０重量％のｎ−ブチルアクリレート、およ び０．５〜３０重量％のグリシジルアクリレートまたはメタクリレートを含有し 、さらに好ましく５０〜８０重量％のエチレン、２０〜３５重量％のｎ−ブチル アクリレート、および０．５〜１０重量％のグリシジルメタクリレートまたはア クリレートを含有する。一般的に、これらのＥｎＢＡＧＭＡ類は、当該技術にお いてよく知られているＡＳＴＭ Ｄ−１２３８によって測定されると(２．１６ ｋｇおよび１９０℃で測定)、１〜５０ｇ／１０分の範囲、好ましくは５〜２０ ｇ／１０分の範囲のメルトフローインデックス（ＭＦＩ）を有する。 成分（１）は、好ましくは本発明の組成物の１〜４０重量％、さらに好ましく は５〜２５重量％、さらに一層好ましくは１０〜２０重量％を構成する。 本発明に有用なグラフトされたポリオレフィンまたはラバー（成分(２)）は、 好ましくは、０．０５〜３重量％の無水マレイン酸でグラフトされたＥＰＤＭで ある。一般的に、これらのＥＰＤＭ類は、当該技術においてよく知られているＡ ＳＴＭ Ｄ−１２３８によって測定されると(２．１６ｋｇおよび１９０℃で測 定)、０．０５〜１００ｇ／１０分の範囲、好ましくは２０ｇ／１０分未満のメ ルトフローインデックス（ＭＦＩ）を有する。 成分（２）は、好ましくは本発明の組成物の５〜６０重量％、さらに好ましく は１０〜４０重量％、さらに一層好ましくは２０〜３０重量％を構成する。 ポリオレフィン（成分(３)）は、当業者に知られているように、耐熱性能とエ ラストマー特性のどちらが組成物の最終用途にとって一層重要であるかによって 選択される。一般的に、ポリプロピレンホモポリマー（ＰＰ）は、耐熱性能が最 も重要である場合に好ましく、そして超低密度ポリエチレン（ＶＬＤＰＥ）は、 エラストマー特性が最も重要である場合に好ましい。線状低密度ポリエチレン( ＬＬＤＰＥ)、高密度ポリエチレン(ＨＤＰＥ)、低密度ポリエチレン(ＬＤＰＥ) 、およびエチレン−プロピレンコポリマー（Ｅ−ＰＰ）は、極度ではない耐熱性 能またはエラストマー特性を要求する最終用途に対して使用されるであろう。 用語ＶＬＤＰＥおよびＬＬＤＰＥは、エチレンと、１−ブテン、１−ヘキセン 、および１−オクテンのような他のアルファ−オレフィンとのコポリマーを含む 。ＶＬＤＰＥ、ＬＬＤＰＥ、ＨＤＰＥ、ＬＤＰＥ、ＰＰ、およびＥ−ＰＰを生成 す方法は、当該技術においてよく知られており、そしてこれらのポリオレフィン の市販グレードは入手可能である。 成分（３）は、好ましくは本発明の組成物の２０〜９０重量％、さらに好まし くは４０〜７０重量％、さらに一層好ましくは５０〜６０重量％を構成する。 そのポリマー成分に加えて、本発明の組成物は、相溶化剤としての無水マレイ ン酸グラフト化ポリオレフィンと配合することができ、および／または、ポリマ ーコンパウンド技術において知られている、強化用および非強化用フィラー、臭 素化フィラー、水酸化マグネシウム、アルミニウム三水和物のような難燃性フィ ラー、酸化防止剤、ＵＶ安定剤、潤滑剤(例えば、オレアミド)、粘着防止剤、静 電防止剤、ワックス、フィラー用カップリング剤、顔料、二酸化チタン、タルク 、および他の加工助剤（例えば、ステアリン酸亜鉛）のような慣用の添加剤と配 合することができる。顔料および他の添加剤は、ポリマー成分と添加剤とに基づ く組成物（そのポリマー成分は、前記の割合のそれぞれに関する量で存在する） の総量の約７０重量パーセントまでを構成してもよく、好ましくは、顔料および フィラーは、組成物の合計の約０を超え約７０重量パーセントまでを構成する。 本発明の配合物は、従来の素練り装置、例えば、ラバーミル、ブラベンダーミ キサー、バンバリーミキサー、ブスコニーダー、ファレル連続ミキサー、または 二軸スクリュー連続ミキサーの使用により、ポリマー成分と随意の添加剤を混合 することによって調製され得る。混合時間は、均質な配合物、およびそのＥｎＢ ＡＧＭＡのグリシジルメタクリレート基と、そのグラフト化ポリマー（成分２） の無水マレイン酸との反応を得るために十分であるべきである。十分な混合時間 は、混合装置（剪断強さ）のタイプによる。典型的に、約５分の混合時間は、バ ッチミキサー（バンバリー）において十分であり、一方、１．５〜２分は、連続 ミキサー（ブラベンダー、ブスコニーダー、ファレルまたは二軸スクリュー）に おいて十分である。そのポリマー配合物が明らかに非均質であるならば、さらな る混合が必要とされる。 本発明は、次の実施例によりさらに理解され得る。実施例において、部および 百分率は、重量に基づくかまたは１００ラバー当たりの部（parts per hundred rubber(phr)）であり、そして、温度は摂氏温度である。実施例１〜４ 説明 ＭＦＩ＝メルトフローインデックス ＥｎＢＡＧＭＡ＝エチレンｎ−ブチルアクリレートグリシジルメタクリレート ＥＰＤＭ＝エチレンプロピレンラバー ＭＡＨ＝無水マレイン酸 ＶＬＤＰＥ＝超低密度ポリエチレン ＬＬＤＰＥ＝線状低密度ポリエチレン ＰＰ＝ポリプロピレンホモポリマー手順 次の成分を以下の表１に示した割合で溶融配合することにより配合物を調製し た。 ・ＭＦＩ（１９０°／２．１６ｋｇ）が１２であるＥｎＢＡＧＭＡ（６６．７５ ％エチレン、２８％ｎ−ブチルアクリレート、および５．２５％グリシジルメ タクリレート） ・ＭＦＩ（１９０°／２．１６ｋｇ）が２．０であるＭＡＨグラフト化ＥＰＤＭ （２％ＭＡＨ） ・ＭＦＩ（２３０°／２．１６ｋｇ）が２１であるＰＰ ・ＭＦＩ（１９０°／２．１６ｋｇ）が２５０であるＭＡＨグラフト化ＰＰ（０ ．５５％ＭＡＨ） ・ＭＦＩ（１９０°／２．１６ｋｇ）が４０であるＭＡＨグラフト化ＬＬＤＰＥ （０．８５％ＭＡＨ） ・密度が０．８７０、およびＭＦＩ（１９０°／２．１６ｋｇ）が３０であるＶ ＬＤＰＥ ・臭素化難燃性フィラー（ＳＡＹＴＥＸ１２０） ・Ｃｈｅｍｅｔｒｏｎから入手可能な三酸化アンチモン難燃性フィラー（ＦＳＰ Ｏ４０５） ・酸化防止剤−商品名ＩＲＧＡＮＯＸ１０１０の下でＣｉｂａから入手可能なフ ェノール系 ・ステアリン酸亜鉛 １００グラムからのバッチを備えた２本ロールミルにおいて１７０〜１９０℃ で約５分間にわたって溶融配合を行った。液圧プレスにおいて１７０〜１９０℃ で５分間にわたり機械練生成物を成形して試験片にした。その後、応力−歪み（ 引張強さ−引張伸び）試験(ＡＳＴＭ Ｄ−６３８)、９０および１６０℃での熱 変形(厚さ０．５ｍｍ、長さ１０ｃｍ、および幅１０ｍｍの板状サンプルに３０ グラムの重りを吊るした)、並びに、引張での永久歪み試験（ＡＳＴＭ Ｄ４１ ２）を行った。結果を表１に示す。 ＰＰを含有する配合は、１６０℃で変形を表さず、したがって、自動車の一次 電線に対して主たる利点である熱変形に対する良好な耐性を特に有することがわ かる。一方、ＶＬＤＰＥを含有する配合は、射出成形部品に対して興味のある良 好なエラストマー挙動を意味する相対的に高い永久歪みの値を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ブワソン，メラニー，ベアトリス フランス国 エフ―01220 ディボンヌ― レ―バン リュ ヴォルテール 715 バ ティモン セー

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．(１)３０〜９０重量％のエチレン、１０〜７０重量％のｎ−ブチルアクリレ ート、および０．５〜３０重量％のグリシジルアクリレートまたはメタ クリレートを含有するエチレンｎ−ブチルアクリレートグリシジルメタ クリレートターポリマーと、 （２）(ａ)エチレンプロピレンジエンメチレンラバー(ＥＰＤＭ)、（ｂ）線 状低密度ポリエチレン、（ｃ）エチレン−プロピレンコポリマー、およ び（ｄ）超低密度ポリエチレンからなる群から選択されるポリオレフィ ンあるいはラバー、またはそれらの配合物であり、それぞれが０．０５ 〜３重量％のカルボン酸またはその無水物でグラフトされたポリオレフ ィンまたはラバーと、 （３）(ａ)ポリプロピレンホモポリマー、（ｂ）超低密度ポリエチレン、（ ｃ）線状低密度ポリエチレン、（ｄ）低密度ポリエチレン、（ｅ）高密 度ポリエチレン、および（ｆ）エチレン−ポリプロピレンコポリマーか らなる群から選択されるポリオレフィンと の配合物を含有することを特徴とする軟質の、非ハロゲンポリマー組成物。 ２．成分（１）は前記配合物の１〜４０重量％を構成し、成分（２）は前記配合 物の５〜６０重量％を構成し、および成分（３）は前記配合物の２０〜９０重量 ％を構成することを特徴とする請求項１に記載の配合物。 ３．成分（１）は前記配合物の５〜２５重量％を構成し、成分（２）は前記配合 物の１０〜４０重量％を構成し、および成分（３）は前記配合物の４０〜７０重 量％を構成することを特徴とする請求項１に記載の配合物。 ４．請求項１に記載された配合物から形成されたことを特徴とする造形品。