JP2002506038A - トロンビン調製およびトロンビン産物ならびにそれを使用するフィブリンシーラント方法 - Google Patents

トロンビン調製およびトロンビン産物ならびにそれを使用するフィブリンシーラント方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、プロトロンビン含有材料からトロンビンを迅速にかつ高収量に生成する、酸性極性基および塩基性極性基の両方、例えば、ホスファチジル基を提示する外表面を有するリポソームを使用する。プロトロンビンのための供給源材料はトロンビン産物を用いる処理に供され、自己由来のトロンビン産物を提供し得る。また、フィブリノーゲン成分を同じ血液サンプルから生成し得、同じ血液サンプルに由来するトロンビン産物を用いて活性化される場合、完全に自己由来のフィブリンシーラントを産生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の背景) (1.発明の分野) 本発明は、トロンビン材料産物の調製、および特にフィブリンシーラントの産
生におけるその産物の使用に関する。フィブリンシーラントは、組織のシーリン
グおよび他の医療目的および外科用目的に有用なシーラント組成物である。フィ
ブリンシーラントは、一般に、血漿に由来する活性物質を有する2つの流体成分
、すなわち、重合可能なフィブリノーゲン成分およびトロンビンアクチベーター
を含む。これらの成分が混合された場合、これらの成分は硬化して、フィブリン
の固形フィルムまたは沈着物を提供する。シーラントの一方または他方の成分を
調製するために使用される血漿が、シーラントを用いて処置されるべき被検体か
ら入手される場合、このシーラントは「自己由来」であるといわれる。本発明は
また、トロンビン成分およびフィブリノーゲン成分の両方が自己由来である新規
のフィブリンシーラント、ならびにそれらの調製に関する。
【0002】 (2.米国特許法施行規則1.97および1.98の下で開示される情報を含
む関連分野の記載) 習慣的に、フィブリンシーラント組成物の先行技術では、一方の成分は、アク
チベーターにより重合化されそして架橋される場合に、不溶性のフィブリンを生
じるフィブリノーゲンを含み、そして他方の成分は、一般にトロンビンを含む活
性化混合物を含む。トロンビンに対する代替物、例えば、トロンビンアナログお
よび爬虫類供給源凝固剤もまた提唱されてきた。存在する成分およびそれらの強
度に依存して、混合されたシーラント成分は迅速にゲル化し、そして最終的に強
固な不溶性クロットを形成する。フィブリンシーラントは、特定の専門化した外
科的手順(例えば、耳科学)に関して独特の価値を有し、そしてそれらの生体適
合性、それらの創傷治癒過程の助長、および外来物質または外来材料は、創傷閉
鎖または止血に影響するように組織上または組織内に残存しないという事実によ
って広範な創傷状態の処置において利点を提供する。
【0003】 プールされたヒト血清から調製されたシーラントの使用を禁止するFDA規則
に従って、米国における相同なフィブリンシーラントの利用可能性の欠如に対す
る応答として、患者の自己由来のフィブリンシーラントは、1980年代初頭に
開発された。自己由来のフィブリンシーラント組成物を調製する公知の方法は、
排他的に、第XIII因子との混合物にフィブリノーゲンを含む第1の成分の生
成に焦点を当ててきた。第XIII因子(すなわち、フィブリン安定化因子(「
FSF」))は、カルシウムイオン(Ca++)存在下でトロンビンによって活性
化されるフィブンリン架橋薬剤である。従って、後者の成分、つまりトロンビン
およびCa++は、通常、第2の成分において提供される。
【0004】 このような2つの成分フィブリンシーラントの調製の例は、特に、Epste
in米国特許第5,226,877号(本明細書中において「Epstein’
877」)およびSierra米国特許第5,290,552号において見出さ
れ得る。他に多くのものが存在する。
【0005】 「Epstein’877」は、血漿からのポリエチレングリコール媒介沈殿
による、フィブリノーゲン接着の1工程調製に関するプロセスおよび装置を教示
する。このEpstein’877プロセスは、抗凝固性剤(例えば、クエン酸
)存在下での、例えば、自己由来のドナーからの全血を取り除き、そして血漿を
赤血球画分から分離することから開始する。代表的に、この分離は遠心分離によ
り行われ得る;適切なプロトコルは約2000〜5000gにて約5〜10分間
のスピンニングを含む。この血漿を赤血球から分離した後、これは、トロンビン
を除去する前処理を行わないで、周囲温度にて生理学的に受容可能な非毒性沈殿
剤(特に、濃縮溶液として供給される分子量範囲200〜8000のポリエチレ
ングリコール)を用いて直接処理される。例えば、生理食塩水(pH7.4)中
約60%のPFG(分子量1000)溶液は、血漿に、血漿自身はごくわずか希
釈されるような、最終混合物容積において8〜15% w/vのPEG濃度が得
られように、十分量(代表的に10% w/vの沈殿剤溶液/最終容量)添加さ
れ得る。フィブリノーゲン富化材料の沈殿物は、本質的に即座に終了する。この
Epstein’877フィブリノーゲン沈殿プロセスは、本明細書中で以下に
記載される本発明の実施において、任意の予備工程として使用され得る。
【0006】 Epsteinは、トロンビン成分の調製を教示しない。Epstein’8
77の自己由来のフィブリノーゲン接着性調製物は、公知の市販のトロンビン調
製物を用いた混合物について意図される。このような調製物は、通常、ウシ起源
である。
【0007】 トロンビンは、ウシ血漿から生成される商業的なすぐ買える製品として容易に
入手可能であり、そして通常、局所的な止血剤として、拡散性毛細血管出血(d
iffuse capillary bleeding)の処置のために使用す
るように表示される。従来、ウシトロンビンの使用についてあまり関心が集まら
なかったが、最近、理論的な問題、心理学的な問題および症例報告問題が浮上し
ている。
【0008】 従って、最近の研究は、トロンビンを、反復容量のトロンビンを与えられるい
くつかの個体において生じる様々な凝固障害の病因論に結びつける。また、ウシ
起源の比較的に高分子量のタンパク質であるトロンビン不純物(例えば、第V因
子)は、ヒトにおいて、免疫学的な応答を引き起こし得る。さらにより深刻な問
題は、ウシ第V因子に対して形成された抗体が、次には宿主自身の第V因子と反
応し得ることである。これは正常な止血を崩壊させ、重篤な出血を引き起こしそ
して死さえ引き起こす。理論的に、これらの問題はより高純度のトロンビンを使
用することにより寛解され得るが、本出願人はこのようなアプローチ関して可能
な教示を知らない。
【0009】 なおさらなる欠点が、ウシ海綿状脳障害(BSE)の牛肉製品からのヒトへの
可能性のある伝染に関する最近の広範な公報から現れている。この外来性物質(
「プリオン」として公知の感染性タンパク質)が、次には宿主において変異して
、Cruetzfield−Jakob様疾患状態を生じ得ると考えられている
。これは末期的な不治の神経変性疾患であり、そして現在、原因であるプリオン
を不活性化するかまたは濾過するような、ほとんどのウシ供給源製品についての
効果的な処置は知られていない。
【0010】 他のアプローチは、トロンビンの必要性およびその関連問題を、フィブリンを
生成する代替の経路を利用することによって排除した。このような1つのアプロ
ーチにおいて、患者の自己由来の血漿は、トロンビンといくつかの類似点を有す
るヘビ毒酵素(例えば、バトロキソビン)と酸性条件下で反応して、非凝集フィ
ブリン−1「プレポリマー」を形成する。次いで、バトロキソビンを血漿からク
ロマトグラフィー手段により除去し、そしてこのフィブリンプレポリマーを単離
して濃縮する。緩衝液をこのフィブリンの調製物と混合するときにゲル化が生じ
、これはpHを中性に戻す。バトロキソビンの入手に関連する困難性に加えて、
この最終産物シーラントは、適切な強度を欠き得る。このプロセスの性質は、混
合物中に第XIII因子が存在しないことが、結果として血餅を強化するという
ことである。さらに、フィブリノーゲンはこのようなヘビ毒によるタンパク質分
解を受けやすく、そして生じたフィブリンは、全ての凝集部位を活性化し得ない
ことに起因して適切な強度を欠き得る。
【0011】 従って、トロンビン産物がフィブリンシーラント組成物においてアクチベータ
ーとして使用され得、そしてこれらの欠点の影響を受けないことが必要である。
論理的に、組換えヒトトロンビンが潜在的な溶液を提供し得るが、1998年初
頭における見込みは、このような産物は少なくとも5年後であるというものであ
る。また、このような(天然の生物学的補因子を欠く)仮定上の合成産物の有効
性は未知である。
【0012】 従って、多成分フィブリンシーラント組成物において有効なアクチベーターで
あるトロンビン産物が迅速に調製され得、そしてこれが免疫学的な応答または疾
患の誘導について低い危険性を提供することがやはり必要である。自己由来のト
ロンビン(処置されるべき被験体由来のトロンビン)が、低い免疫原性および感
染力についての要求を満たし、そして所望される産物である。しかし、被験体の
血漿は所望のトロンビン産物の供給源としてのみ可能であるので、自己由来のト
ロンビンを入手することの困難性が存在する。自己由来のトロンビンを調製する
任意の方法は、特殊な装置を必要とせずに外科的環境に近位で迅速にかつ容易に
もたらされるべきであり、そして少量の血液サンプルから有効なフィブリノーゲ
ン凝固アクチベーターを産生し得るべきである。
【0013】 Cochrumの米国特許第5,510,102号および他は、生体適合性ポ
リマー(例えば、アルギン酸塩、ポリ−L−アミノ酸、キトサンおよびキチン)
の、正常血漿の10倍の濃度までを有するおそらく自己由来の血小板富化血漿濃
縮物(この濃度は正常の血漿よりも5〜10倍高濃度のフィブリノーゲンおよび
他の血漿タンパク質を含む)を含む止血性接着物質における使用を教示する。し
かし、Cochrumは、外科的使用について、フィブリノーゲン材料と混合さ
れ得るトロンビン材料がフィブリンシーラントの教示を提供していない。
【0014】 Cochrumは、創傷防御血餅を生じる複雑な血液凝固カスケードの広範な
議論を提供する。Cochrumにより説明されるように、血液の凝固における
重要な反応は、可溶性タンパク質フィブリノーゲンの不溶性タンパク質フィブリ
ンへのトロンビンによる酵素的変換である。フィブリノーゲンは、それ自体、循
環している血液中に存在する。トロンビンは、組織損傷、出血または血液損失の
結果として、循環している不活性な前駆体、つまり、プロトロンビンから形成さ
れる。プロトロンビンの活性化は、カルシウムイオンの存在およびトロンボプラ
スチン、第III因子(これは、損傷組織、崩壊している血小板または血漿自身
から放出されるかまたは誘導される)の存在に依存する。
【0015】 Antanavichの米国特許第5,585,007号は、血小板富化血漿
産物を生成するように、組織シーラントとして使用するための濃縮物を、血漿を
水、電解質および小タンパク質を吸収するコンセントレーターと接触することに
より調製する方法(カラム12、29−33行)を教示する。このコンセントレ
ーターは、固体水吸収性材料(solid water−absorbent
material)(例えば、ポリアクリルアミド、デキストラノマー(dex
tranomer)、シリカゲルまたはデンプンといった材料のビーズまたはデ
ィスク)である。Antanavichは、カラム21、7−9行のさらなる実
施態様において、アクチベーターが、自己由来のトロンビンおよび血小板であり
得ることを教示する。長い特許明細書において確認され得る限り、Antana
vichが教示する自己由来のトロンビンを提供するための方法のみが、ウシト
ロンビンを使用することなく、(シーラントとして)供されることが可能な単一
成分濃縮物として、血小板を崩壊するためにニードルチップを使用するであるよ
うである。カラム24、32−35行を参照のこと。しかし、このような単一成
分濃縮物の有効性を示すデータが存在しない。さらに、Antanavichは
、外科的使用のためのフィブリンシーラントを提供するような、フィブリン材料
と混合され得るトロンビン材料を提供していないようである。
【0016】 フィブリノーゲンおよびトロンビンの両方が、意図される患者かまたは他の単
一ドナーから調達される、完全に自己由来のフィブリンシーラントの目的に関し
て、Hirshの米国特許第5,643,192号は、意図された患者の血漿サ
ンプル由来のフィブリノーゲンの初期沈殿の後に利用可能な血清上清を、塩化カ
ルシウム溶液と混合し得ることを教示する。形成する残留フィブリンをすくいと
って除く。少なくとも15分以上後、希釈(20U/ml未満)トロンビン溶液
を用意する。このプロセスの欠点は、過度に時間を消費し得ることであり、そし
て生じたトロンビン溶液は、所望されるよりも弱くかつより薄く、そしてフィブ
リンシーラントが示す多くの重要な状態(特に、止血、体液密着シーリングおよ
び顕微外科的接着)についての処置に無効果なシーラントを生成し得ることであ
る。
【0017】 Cederholm−Williamsの米国特許第5,795,571号は
、動物(ヒトを含む)における止血の処置、血液損失の防止に可能性のある自己
由来のトロンビン画分の使用を教示する。Cederholm−William
sは、細胞および血小板を除去した血漿サンプルのイオン強度およびpHを低下
させ、「ユーグロブリン(euglobulin)画分」として記載される沈殿
物を産生した。このユーグロブリン画分は、プロトロンビン、フィブリノーゲン
および多くの他の血液タンパク質を含むが、プロトロンビンのトロンビンへの変
換を阻害し得るかまたはトロンビンを不活性化し得る血漿タンパク質、抗トロン
ビンIIIを実質的に含まない。次いで、ユーグロブリン画分のプロトロンビン
を、所望のトロンビン血液画分を形成するように、例えば、ユーグロブリン画分
を中性pHに緩衝化された生理食塩水中に溶解することによって再溶解しそして
トロンビンに変換する。しかし、Cederholm−Williamsの方法
は、自己由来のフィブリンシーラントの他の成分として役目を果たす、別々のフ
ィブリノーゲン含有材料を提供しない。
【0018】 Cederholm−Williamsは、トロンビン調製に関する多くの参
考文献を含む、当該分野における文献の広範な参考文献を提供する。
【0019】 従って、自己由来のフィブリンシーラントのトロンビン成分を迅速にかつ容易
に提供し得るトロンビンの産生方法が必要である。
【0020】 (発明の要旨) 本発明は、特許請求されるように、治療薬を提供することが意図される。本発
明は、多成分フィブリンシーラント組成物についての有効なトロンビンアクチベ
ーターを提供することの問題を解決する。これは、完全に自己由来のフィブリン
シーラントを提供するように、同じ血液サンプルから、迅速に調製されるか、ま
たは所望であれば、自己由来のフィブリノーゲン成分とともに自系調製され得る
【0021】 1つの局面において、本発明は、自己由来のフィブリンシーラント組成物とし
ての使用に適したトロンビン材料を調製する方法を提供し、この方法は、プロト
ロンビン含有材料を、水性媒質中でプロトロンビンのトロンビンへの変換を活性
化し得る拡張表面領域材料に暴露する工程を包含する。この拡張表面領域材料は
、好ましくは、活性化された血小板または内非細胞の拡張表面上に見出される性
質の極性基で被覆される。好ましくは、この極性基は、ホスファチジル基および
塩基性窒素基を含み、そしてこの拡張表面領域は、リン脂質リポソームを含む。
また、変換を促進するために、水性媒質が第V因子、第X因子およびカルシウム
イオンを含むことが所望される。
【0022】 このような拡張表面領域材料の使用は、プロトロンビンのトロンビンへの変換
を促進し、このことは、トロンビンの良好な収率を提供する。任意ではあるが、
水性媒質が、血漿における比率と比較して、減縮された比率の、プロトロンビン
に対するアンチトロンビンIIIを含むこともまた所望される。
【0023】 プロトロンビン材料は、フィブリノーゲンおよび第XIII因子枯渇血漿から
得られる沈殿物を含むことがさらに好ましい。このフィブリノーゲンおよび第X
III因子枯渇血漿は、細胞成分が除去されている血液血漿サンプル由来のフィ
ブリノーゲンおよび第XIII因子を沈殿させることによって調製され得る。フ
ィブリノーゲン沈殿物および第XIII因子沈殿物を使用して、フィブリンシー
ラントのフィブリノーゲン成分が調製され得、次いで、トロンビン成分の調製の
ために残留血漿を使用することによって、完全に自己由来のフィブリンシーラン
トは、フィブリンシーラントで処置されるべき被験体由来の血液サンプルを採取
することによって得られ得る。
【0024】 別の局面において、本発明は、自己由来のシーラント成分としての使用に適し
たトロンビン材料を調製する方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する: a)全血液サンプル由来の細胞成分および血小板成分の除去によって得られた
血漿サンプルを処理して、フィブリノーゲンおよび第XIII因子を含有するフ
ィブリノーゲン沈殿物を産生し、そしてフィブリノーゲン枯渇血漿および第XI
II枯渇血漿を提供する工程; b)このフィブリノーゲンおよび第XIII因子枯渇血漿を処理して、プロト
ロンビン含有沈殿物を産生する工程;および c)このプロトロンビン含有沈殿物を処理してトロンビンを産生する工程。
【0025】 好ましくは、工程c)におけるプロトロンビン含有沈殿物の処理は、水性試薬
にプロトロンビン含有沈殿物を溶解し、そしてこの溶解したプロトロンビン含有
材料を、プロトロンビンをトロンビンに変換し得る拡張表面領域基質に暴露する
工程を包含する。
【0026】 上記に言及したように、拡張表面領域材料は、好ましくは、大部分を占めるホ
スファチジルコリンおよび小部分を占めるホスファチジルセリンとともに含む、
ホスファチジルリポソームの懸濁物を含む。
【0027】 さらなる局面において、本発明は、混合可能な別々のフィブリノーゲンおよび
トロンビン成分を含む自己由来のフィブリン組成物を調製してシーラントを提供
する方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する: a)細胞成分および血小板成分を患者の自己由来の血液のサンプルから除去し
て、血漿上清を得る工程;ならびに b)フィブリンシーラントのフィブリノーゲン成分として、再構築のために血
漿上清からフィブリノーゲンおよび第XIII因子を含む沈殿物を生成する工程
; c)工程b)からの血漿上清を処理して、プロトロンビン含有沈殿物を生産す
る工程;ならびに d)工程c)からのプロトロンビン含有沈殿物を分離し、そして以下: i)組織シーラントにおいて効果的であるに十分な量の塩化カルシウムまた
はその等価物;および ii)有効量の、分散した組織適合性プロトロンビン変換粒子状基質; を含む、十分な量の組織適合性水性活性化試薬溶液に、プロトロンビン含有沈殿
物を溶解して、トロンビン含有成分を提供する工程。
【0028】 この粒子状基質は、大部分を占めるホスファチジルコリンおよび小部分を占め
るホスファチジルセリンを有するホスファチジルリポソームを含み得るが、工程
c)の処置は、溶液のイオン強度およびpHをプロトロンビンの等電点まで減少
する工程を包含する。
【0029】 本発明はまた、本発明の方法のいずれかによって産生されるトロンビン材料、
および本発明の方法によって産生される自己由来のフィブリンシーラント組成物
を含む。
【0030】 (図面のいくつかの観点の簡単な説明) 本発明の1つ以上の実施態様および本発明を作製しそして使用する1つ以上の
実施態様、ならびに本発明を実施することを意図した最良の態様を、実施例によ
って、添付の図面を参照して、以下に詳細に記載する。
【0031】 (好ましい実施態様の詳細な説明) 次に図1を参照して、本発明は、1つの実施態様において、必要に応じて、フ
ィブリンシーラントにおける使用に適した自己由来のトロンビン組成物を調製す
る方法を提供し、この方法は以下の工程を包含する: a)クエン酸溶液(または等価な水性媒質)において適切な量(例えば、約1
00ml以下)の患者自己由来の血液を採取する工程; b)この溶液から、細胞成分および血小板成分を、例えば、遠心分離またはろ
化によって除去して、血漿上清を得る工程; c)フィブリンシーラントのフィブリノーゲン成分として再構成するために、
血漿上清から、フィブリノーゲンおよび第XIII因子を含む沈殿物を生成する
工程; d)工程c)由来の血清上清を処理して、プロトロンビン含有沈殿物を得る工
程; e)工程d)由来のプロトロンビン含有沈殿物を、例えば、遠心分離または濾
過によって分離する工程; f)工程e)由来のプロトロンビン含有沈殿物を、以下: i)組織シーラントにおいて効果的であるに十分な量の塩化カルシウムまた
はその等価物;および ii)有効量の、分散した組織適合性プロトロンビン変換粒子状基質; を含む、十分な量の組織適合性水性活性化試薬の溶液にプロトロンビン含有沈殿
物を溶解して、所望のトロンビン含有成分を提供する工程。
【0032】 好ましくは、プロトロンビン変換粒子状基質は、例えば、リン脂質(例えば、
レシチンベースのリン脂質)によって提供されるような二極性外部部分を有する
リポソームを含む。好ましくはまた、このリポソーム粒子は、直径が0.1〜5
mm、より好ましくは約1または2mmのオーダーである比較的大きなサイズで
ある。あるいは、この粒子状基質は、患者の血液またはスクリーニングされたド
ナー(例えば、近親者)から採取されそして単離された血小板を含み得る。ある
いは、粒子よりむしろ、脂質エマルジョンが使用され得る。適切な量の基質粒子
は、100mlの最初の血液容積あたり約1〜約500mg、好ましくは約5〜
約100mg、およびより好ましくは約10〜約50mgである。この基質材料
は、約0.5〜約100ml、好ましくは約1〜約20ml、およびより好まし
くは約2〜約20mlの生理食塩水(必要に応じて、塩化カルシウムを含む)に
取り込まれ得る。
【0033】 好ましくは、このpHをまた、約7に上昇させて戻し、そして第II因子プロ
トロンビンがトロンビンに変換し、フィブリンとして残渣溶解フィブリノーゲン
を沈殿する場合、外来性のフィブリンは除去される。
【0034】 短い時間(10分未満、例えば約3分)の後、トロンビン含有成分は、フィブ
リンシーラントの第2の活性化成分として使用するために用意される。第1のシ
ーラント成分は、好ましくは工程c)の産物であるが、当業者に理解されるよう
に、工程f)の新規なトロンビン産物が、他の非自己由来のフィブリノーゲン成
分とともに、または所望であれば他の目的のために使用され得る。
【0035】 トロンビン含有成分は、100mlの血液サンプルから約2mlの収率で、濃
縮されたトロンビン溶液として得られ得る。好ましい実施態様において、この濃
度は、このトロンビン含有成分が1:1の容量比で工程c)のフィブリノーゲン
成分1と混合される場合、約5秒のゲル化時間に十分である。従って、本発明は
、1分未満、好ましくは30秒未満、およびさらにより好ましくは、所望される
場合、約10秒以下でゲル化をもたらし得る、自己由来のトロンビンフィブリン
シーラント成分を提供する。
【0036】 2つのシーラント成分を産生する全体のプロセスは、約20〜30分で完了さ
れ得る。このプロセス時間の大部分は、注意が必要な沈殿工程および活性化工程
よりむしろ、遠心分離工程が占める。この短い時間、および特別な装置を必要と
しないことは、遠心分離が通常利用可能な外科手術現場環境と合わせて実行され
るプロセスに適している。
【0037】 工程c)から得られる沈殿物は、濾過または遠心分離によって単離されて、フ
ィブリンシーラントの第1の成分を提供し得、約2mlを生じる。工程c)を実
行する種々の方法は当該分野で公知であり、そして使用され得る(これらのいく
つかは、本明細書中に引用される文献に記載される(例えば、ポリエチレングリ
コール(「PEG」)−クエン酸沈殿、寒冷沈降反応、硫酸アンモニウム沈殿、
およびエタノール沈殿))。
【0038】 工程d)のプロトロンビン沈殿処理は、穏やかな酸性水性媒質、または他の沈
殿剤(例えば、緩衝化ポリエチレングリコール溶液)を用いてもたらされ得る。
好ましくは、工程d)で使用される水性希釈剤(これは、水であり得る)は、採
取した血液の量に対して、約1:1〜約20:1、より好ましくは約2:1〜約
10:1、およびなおより好ましくは約3:1〜約5:1の比率で使用される。
この酸性度は、好ましくは約4〜約6のpH範囲であり、より好ましくは約5で
ある。好ましくはまた、アンチトロンビンIIIは、例えば、このような酸化に
よって不活化される。
【0039】 工程e)において、プロトロンビン含有沈殿物は、好ましくは、単離され、そ
して濃縮され、そしてこの上清は捨てられ得る。
【0040】 好ましい実施態様において、工程f)において、および試薬の水性成分は、等
張生理食塩水、塩化カルシウム、およびリン脂質リポソームを含む。
【0041】 上記で言及された量は、約100mlの開始血液サンプルのアリコートに比例
し、そして使用され得る相対比率の単純な指標であり、このアリコートのサイズ
に依存することが理解される。
【0042】 任意の特定の理論に縛られないが、本発明は、以下の条件においてさらに記載
され得る。工程c)において、フィブリノーゲンおよび第XIII因子は、採取
した血漿から沈殿されるが、残りの凝固因子、特に第II因子、第V因子および
第X因子は、工程d)において、例えば、血清上清のpHを変化させることによ
って続いて沈殿され、その結果フィブリノーゲンおよび第FIII因子は、それ
らの等電点に達する。これらの特定のタンパク質についての選択性は、例えば、
2〜10倍、好ましくは約4または5倍の本来の血液サンプル容量まで、精製水
で希釈することにより血清のイオン強度を減少することによって増強され得る。
【0043】 チモーゲン第II因子であるプロトロンビンを、その活性形態であるトロンビ
ンに変換するために、いくつかの成分、具体的には、第V因子、第X因子、Ca ++ および基質粒子、好ましくはリン脂質リポソームが使用され得る。これらの成
分のいずれかの存在または非存在は、トロンビン産生の速度に直接影響し得る。
第V因子および第X因子は、補因子としてカルシウムイオンが利用可能である場
合に活性化される。これらの3つの実体は、第II因子がタンパク質分解切断を
受けてトロンビンを形成する非共有結合複合体を形成すると考えられている。
【0044】 本発明者らは、この複合体が結合するためのリン脂質表面を提示する合成アク
チベーターの使用は、例えばいくつかのオーダーの規模で入手可能な他のものと
比較して、トロンビン産生の速度を劇的に増加させ得ることを発見した。好まし
い組成物は、大部分を示すホスファチジルコリン(PC)および小部分を占める
ホスファチジルセリン(PS)を、約1:1〜約5:1、好ましくは約7:3の
割合で含む。このような組成物は、活性化された血小板または内皮細胞の外部表
面に類似性を有する外部表面を提供すると考えられている。従来のように、この
組成物のリン脂質は、ウサギ、ヒツジまたはウシ起源の脳抽出物から得られ得る
が、好ましくは少なくとも1mmの平均直径を有するリポソームが、合成的に誘
導された脂質調製物(例えば、「Synthetic Phospholipi
d Blend」、Avanti Polar−Lipids,Inc.Ala
baster,AL)(本明細書中以後「PCPS」)から産生されることが、
本発明の目的のために好ましい。この組成物は、組成物および物理的配置におい
て、血小板および内皮細胞と明らかに密接に近似し、そして反応効率に寄与し得
る。
【0045】 リポソームまたは「脂質体(lipid body)」(時には、「小胞」と
呼ばれる)は、各々が極性頭部(polar head)および長い疎水性尾部
(tail)を有する極性脂質分子(すなわち、両親媒性分子)(例えば、レシ
チンのようなリン脂質)によって自発的に形成される構造物である。構造的に、
リポソームは、中空内部、すなわち活性剤のための保存区画として作用し得る「
空胞」の周りに同心配置された1つ以上の膜様の二重層の分子の外殻を含む。外
膜において、この分子の極性頭部は、リポソームの外向きに配向されるが、疎水
性尾部(例えば、パルミチン酸またはステアリン酸)は内向きに依存する。主に
ホスファチジルコリンからなるレシチンリポソームは、コートされるかもしくは
被覆されるか、または双極子のアレイを含む外層を提示することが予期され得る
。従って、レシチン分子は、リポソーム粒子の外側に整列される極性頭部を有し
、各々は、内向きに整列する双疎水性の親油性脂肪酸尾部を有する。各レシチン
分子の頭部の極性特徴は、分子の遠位の四級窒素原子の近傍に配置された正電荷
、およびその付近のホスファチジル基の近傍に配置された負電荷を伴う双極子の
性質を有する。ホスファチジルセリンは、アミノ基およびホスファチジル基によ
って提供される双極子頭部を有し、そしてホスファチジルコリンとホスファチジ
ルセリンの混合物は、四級窒素基、アミノ基およびホスファチジル基の表面を提
供する。
【0046】 リポソームの調製に適切な多くの材料および調製方法は当該分野で公知であり
(例えば、Ungerら(「Unger」)米国特許第5,469,854号お
よび同第5,580,575号を参照のこと)、そしてそれらを使用して、本発
明の拡張表面領域材料を提供し得る。あるいは、この拡張表面領域材料は、連続
基質(例えば、SEPHADEX(登録商標)のような材料のカラム)を含み得
る。好ましくは、この拡張表面領域材料は、双極子を提供する極性基(すなわち
、正および負に荷電した基の対)の表面層、より好ましくは塩基性窒素基または
他の生物学的に利用可能な正に荷電した基(例えば、第一鉄または第2鉄のよう
なキレートまたは別の錯体化した金属基)およびホスファチジル基もしくはカル
ボキシル基または他の負に荷電した基の表面層を含む。
【0047】 (実施例1:(比較例)公知のトロンビン産生方法) ビーカー中で、100mlのクエン酸塩加ウシ血漿を、900mlの脱イオン
水で希釈する。このpHを、2%酢酸で5.3に調整する。この溶液を、4℃に
て10分間2000×gにて遠心分離する。この上清をデカントし、捨てる。こ
のペレットを収集し、そして25mlの生理食塩水および3mlの0.25M
CaCl2に再懸濁する。このpHを、2%Na2CO3で7まで上昇させる。こ の混合物を2時間インキュベートし、そして沈殿したフィブリンの上澄みをすく
いとり、そして捨てる。アセトン(25ml)を添加し、そしてこの混合物を、
4℃にて10分間2000×gにて遠心分離する。生理食塩水(25ml)を添
加して、トロンビンを抽出し、そして沈殿物を捨てる。濃縮したフィブリノーゲ
ン−FXIIIと混合する場合、ゲル化しないことに注目した。上記の方法を、
PEG−クエン酸沈殿したフィブリノーゲン由来の血清を用いて反復した場合(
Epstein‘877法を使用した)、30秒のゲル化時間を観察した。得ら
れたゲルは、一貫して崩れやすかった。
【0048】 (実施例2:PEG沈殿したフィブリノーゲン血清を用いるトロンビン産生方
法) 次に図2を参照して、各々33mlのクエン酸塩加血漿を含む2つの50cc
遠心分離管を、各々17mlのPEG−クエン酸沈殿溶液と混合する。この管を
、4℃にて10分間3600rpmにて遠心分離し、その血清上清をビーカーに
デカントする。フィブリノーゲン−第XIII因子沈殿物を収集し、そして生理
食塩水で1:1に希釈する。この血清上清に、400mLの脱イオン水を添加し
、そしてそのpHを、2%酢酸で5.3に調整する。この溶液を10分間200
0×gにて遠心分離し、そしてその上清をデカントし、そして捨てる。このペレ
ットを収集し、そして等張生理食塩水、30mM CaCl2および20mgの PCPS(7:3)リポソームからなる5mLの懸濁物に溶解する。この変換試
薬を、5mlの生理食塩水−CaCl2溶液を20mgの凍結乾燥したPCPS 脂質および磁石スターラーバーを含むバイアルに添加し、そして少なくとも15
分間にわたって間欠的にボルテックスすることによって調製し、そしてボルテッ
クスする間に攪拌プレート上に置いた。沈殿していないフィブリノーゲンからの
フィブリン形成は、リポソーム懸濁物の添加の際に、約90秒で生じる。このフ
ィブリンを除去し、そして約4分後にはさらなる形成は観察されない。ガラス培
養管に、1mLのPEG沈殿したフィブリノーゲン−第XIII因子溶液を、1
mLのトロンビン溶液に添加する。この混合物のゲル化は、5秒以内に観察され
た。この実験は、両方のフィブリンシーラント成分を比較的小量の同じ血漿サン
プルから短時間(25分)で産生する1つの方法を実証する。
【0049】 (実施例3:寒冷上清(血清)を用いるトロンビン産生方法) 100mLのクエン酸塩加ウシ血漿を、−20℃にて24時間凍結し、次いで
4℃にて24時間ゆっくり解凍する。この血漿沈殿物は、やはり4℃にて10分
間3600rpmにて遠心分離し、そしてその血清上清をデカントする。この寒
冷沈殿物を収集し、そしてフィブリンシーラントのフィブリノーゲン成分として
の後の使用のためにとっておく。この血清上清(約97mL)を、400mLの
脱イオン水で希釈し、そしてこのpHを、2%酢酸で5.3まで低下させる。実
施例2の記載と同じ方法論を使用して、トロンビン溶液を調製する。このトロン
ビン溶液中のフィブリン形成の開始は、50秒で生じる。トロンビンと寒冷沈殿
物との1:1 v/v混合物の5秒のゲル化時間を得た。この実験は、改良され
たトロンビン産生方法は、PEG−クエン酸以外のフィブリノーゲン調製方法と
適合することを例示する。
【0050】 本発明の方法を、希釈容量を減少することでスケールダウンし得るが、トロン
ビンの活性化時間は、水/血清比の減少とともに増加する。この方法を、シリン
ジ、血液取り扱い袋(blood handling bag)、止め栓および
/または伸長管のような容器の単純な配置を使用して行い得る。アセンブリの部
分または全体を、臨床用遠心分離機に配置し得る。あるいは、全体の手順を、特
定の場合に特異的な表面および溶液に接触する使い捨て血液を含むドロップイン
カートリッジ(drop−in cartoridge)を備える自動化機械で
行い得る。
【0051】 トロンビン溶液中に残留するフィブリノーゲンを、フィブリノーゲン沈殿反応
工程の効率を改善することによって、またはトロンビン変換容器中で得られたフ
ィブリンを固定する手段を使用することによって除去し得る。これらの方法とし
ては、例えば、生体適合性または生分解性粒子またはミクロスフェアをPCPS
でコートし、次いでこの粒子に結合したフィブリンを遠心分離により分離するこ
とが挙げられる。このことを、トロンビン反応を攪拌下で生じさせてゲル形成を
防ぐことによって達成し得る。ミクロスフェアまたは粒子を磁化し得、次いで磁
場を適用したときに、フィブリン結合材料を、トロンビン上清から分離する。反
応容器の表面をPCPS脂質でコートし得、そしてこの容器を長軸方向に遠心分
離するかまたは回転してフィブリンを分離する。脂質でコートした羽根を供えた
挿入物を反応容器内に配置して、フィブリン除去の効力および効率をさらに増加
させ得る。
【0052】 別の産物概念として、局所止血剤として使用するための、患者の自己由来のト
ロンビン溶液またはスクリーニングされた単一ドナーのトロンビン溶液を、患者
自身の血液で、手術室または血液バンクで簡便に調製し得る。ドナー血清も同様
に使用し得る。この調製を密閉系で行い得る。このような産物は、ウシ産物に敏
感であることが既知である患者、またはウシトロンビンの以前の投薬量由来の凝
固障害を有する患者に有用であり得る。
【0053】 (産業上の利用性) 本発明は、創傷および他の組織問題を処置する新たな手段を提供することで、
健康産業における適用に特に適切である。
【0054】 本発明のいくつかの例示的な実施態様を上記で記載してきたが、当然、所望の
実施態様の種々の改変物および等価物が当業者に明らかであることが理解される
。いくつかの等価物は、他の者が慣用的な実験をもはや必要とし得ないが、当業
者に容易に認識される。このような改変物および等価物は、本発明の精神および
範囲内であり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、そして規定される
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に従って、トロンビンを調製する1つの方法のブロックフロー
図である。
【図2】 図2は、本発明の好ましい実施態様に従って、トロンビンを調製する1つの方
法のブロックフロー図であり、この実施態様は、実施例2と関連して本明細書上
記により完全に記載される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 7/04 A61K 37/54 17/02 37/475 Fターム(参考) 4C076 AA19 AA22 BB31 CC26 DD63F FF16 4C084 AA02 AA03 DC10 DC13 DC17 DC20 MA02 MA24 MA63 NA03 ZA532 ZA892 ZC192 4C087 AA01 AA02 AA04 BB34 BB35 CA16 MA01 MA02 MA24 MA63 NA03 ZA53 ZA89 ZC19

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィブリンシーラント成分としての使用に適したトロンビン
    材料を調製する方法であって、ここで、プロトロンビン含有材料を、合成アクチ
    ベーター物質で処置してプロトロンビンをトロンビンに変換し、そして利用可能
    なトロンビンを含むトロンビン材料を産生し、該方法が、該プロトロンビン含有
    材料が血小板およびフィブリノーゲン枯渇血液サンプルであること、ならびに該
    アクチベーター物質がプロトロンビンのトロンビンへの変換を活性化し得る拡張
    表面領域材料を含むことを特徴とする、方法。
  2. 【請求項2】 前記拡張表面領域材料が、活性化された血小板または内皮細
    胞の外部表面上に見出される性質の極性基で被覆されていることを特徴とする、
    請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記極性基が、ホスファチジル基および塩基性窒素基を含む
    ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記拡張表面領域材料が、リン脂質リポソームを含むことを
    特徴とする、請求項1、2または3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記水性媒質が、第V因子、第X因子およびカルシウムイオ
    ンを含を特徴とする、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記血漿サンプルが、ヒト血漿サンプルであることを特徴と
    する、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記血漿サンプルが、自己由来のヒト血漿サンプルであるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記水性媒質が、血漿における比率と比較した場合に、プロ
    トロンビンに対して減少した比率の抗トロンビンIIIを含むことを特徴とする
    、請求項6に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記プロトロンビン材料が、フィブリノーゲンおよび第XI
    II因子枯渇血漿から得られた沈殿物を含むことを特徴とする、請求項6に記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 自己由来のシーラント成分としての使用に適したトロンビ
    ン材料を調製する方法であって、該方法は以下の工程: a)全血サンプルから細胞成分および血小板成分を除去することにより得られる
    血漿サンプルを処理して、フィブリノーゲンおよび第XIII因子を含むフィブ
    リノーゲン沈殿物を産生し、そしてフィブリノーゲンおよび第XIII因子枯渇
    血漿を提供する工程; を包含し、ならびに、以下の工程、 b)該フィブリノーゲンおよび第XIII因子枯渇血漿を処理して、プロトロン
    ビン含有沈殿物を産生する工程;および c)該プロトロンビン含有沈殿物を処理して、トロンビンを産生する工程、 を特徴とする、方法。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の方法であって、工程c)における前記
    プロトロンビン含有沈殿物の処理工程が、該プロトロンビン含有沈殿物を水性試
    薬に溶解する工程、および該溶解したプロトロンビン含有材料を、プロトロンビ
    ンをトロンビンに変換し得る拡張表面領域基質に曝露する工程、を含むことを特
    徴とする、方法。
  12. 【請求項12】 前記拡張表面領域材料がホスファチジルリポソーム懸濁液
    を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記ホスファチジルリポソームが、大部分を占めるホスフ
    ァチジルコリンおよび小部分を占めるホスファチジルセリンを含むことを特徴と
    する、請求項12に記載の方法。
  14. 【請求項14】 混合可能であるような別々のフィブリノーゲン成分および
    トロンビン成分を含む自己由来のフィブリン組成物を必要に応じて調製して、シ
    ーラントを提供する方法であって、該方法が以下の工程: a)患者の自己由来の血液サンプルから細胞成分および血小板成分を除去し、血
    漿上清を産生する工程;および b)フィブリノーゲンおよび第XIII因子を含む沈殿物を、フィブリンシーラ
    ントのフィブリノーゲン成分として再構成するために、該血漿上清から生成する
    工程; を包含し、以下の工程、 c)工程b)からの該血漿上清を処理して、プロトロンビン含有沈殿物を産生す
    る工程;および d)工程c)から該プロトロンビン含有沈殿物を分離し、そして十分な量の該プ
    ロトロンビン含有沈殿物を、以下: i)組織シーラントに効果的である十分な量の塩化カルシウム、またはそれら
    の等価物;および ii)効果的な量の、分散した組織適合性プロトロンビン変換粒子状基質; を含む組織適合性水性活性化試薬の溶液に融解して、トロンビン含有成分を提供
    する工程を特徴とする、方法。
  15. 【請求項15】 前記粒子状基質が、大部分を占めるホスファチジルコリン
    および小部分を占めるホスファチジルセリンを有するホスファチジルリポソーム
    を含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
  16. 【請求項16】 工程c)の処理工程が、前記溶液のイオン強度およびpH
    をプロトロンビンの等電点まで減少する工程を包含することを特徴とする、請求
    項15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 請求項1に記載の方法によって産生されることを特徴とす
    る、トロンビン材料。
  18. 【請求項18】 請求項10に記載の方法によって産生されることを特徴と
    する、トロンビン材料。
  19. 【請求項19】 請求項14に記載の方法によって産生されることを特徴と
    する、自己由来のフィブリンシーラント組成物。
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