JP2002500662A - 核酸と細胞外マトリックスを崩壊させる物質とを組み合わせた遺伝子治療用組合せ製剤 - Google Patents

核酸と細胞外マトリックスを崩壊させる物質とを組み合わせた遺伝子治療用組合せ製剤

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、細胞の細胞外マトリックスを破壊する少なくとも1種の物質と注目される核酸とを含んでなり、その核酸が感染性ウイルス粒子により運ばれるか、または合成ベクターの形で運ばれる、同時、逐次、または一定時間にわたって拡散投与される、組合せ製剤に関する。本発明はまた、遺伝子治療を用いるヒトまたは動物身体の治療用医薬を製造するための治療薬またはワクチンを目的とするこの製剤の使用、ならびに宿主細胞または生物における注目される核酸の導入および/または発現を向上させるための細胞外マトリックスを破壊する物質の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 核酸と細胞外マトリックスを崩壊させる物質とを組み合わせた 遺伝子治療用組合せ製剤 本発明は、核酸と、細胞の細胞外マトリックスを崩壊させる物質、特にヒアル ロニダーゼ(hyaluronidase)とを組み合わせた製剤であって、核酸が感染性ウイ ルス粒子により運ばれるか、もしくは合成ベクターの形で運ばれる、同時もしく は逐次使用、または一定時間にわたる時間差使用のための製剤(product)に関す る。本発明はまた、問題の核酸の細胞または宿主生物への導入を促進させること を目的とするそのような製剤の使用に関する。本発明は特には遺伝子導入または 遺伝子治療の分野で使用される。 細胞外マトリックスはタンパク質および多糖分子からなり、それらは密集して 集合し、大部分の組織の細胞間隙でネットワークを形成している。それは組織構 造の維持、ならびに屈性因子の貯蔵所、化学誘引物質および細胞結合因子として の作用に重要な生理学的役割を果たしている。ヒアルロナン(またはヒアルロン 酸)は脊椎動物細胞外マトリックスに偏在する成分である。この直鎖多糖はグル クロン酸とグルコサミン[D−グルクロン酸1−β−3)N−アセチル−D−グ ルコサミン(1−b−4)]に基づいており、極めて粘稠な溶液を形成するその 特性によりマトリックス物理化学的特性に影響を及ぼし得る。ヒアルロン酸はま た、細胞表面にある種々の受容体および結合タンパク質と相互作用する。それは 受精、胚発達、細胞の移動および分化、創傷治癒、炎症、腫瘍成長、ならびに転 移の形成など多数の生物学的プロセスに関与している。ヒアルロン酸はヒアルロ ニダーゼにより加水分解される。その加水分解は細胞外マトリックスの崩壊を引 き起こす。ヒアルロニダーゼは身体の多くの生物学的流体に存在している。それ は***の先体により生産され、この状態において受精中にそれらの卵子への透過 が確実となる。胚形成中、それは胚形成細胞の、それらがコロニーを形成する領 域への移動を促進する。 柔軟性および組織分化におけるその作用の他、ヒアルロン酸/ヒアルロニダー ゼの組合せはまた、ある病理学上のプロセスに関与していると考えられている。 このようにこの酵素は癌細胞により、腫瘍の拡大およびこれらの腫瘍が確実に栄 養分の供給を受けられる血管形成に利用される。ヒアルロニダーゼは多数の毒液 (ヘビ、トカゲ、魚、サソリ、ミツバチ、クモなど)中にともに分泌され、この ような溶液中では犠牲者の身体におけるこれらの毒液の拡散を高めると考えられ る。ヒアルロニダーゼはまた、MLV(モロニー白血病ウイルス)またはCAE V(ヤギ関節炎脳炎ウイルス)などのウイルスの融合誘導作用にも関与している 。それはまた、ヘルペス感染の場合については、細菌混入の際ウイルスを拡散さ せる物質として作用する可能性がある(Romano and Moisseiev,Metab.Pediatr .Syst.Ophtalmol.1982,6:361-365)。 さらにヒアルロニダーゼは長年、ヒト臨床薬における多様な用途、例えば抗浮 腫剤(ラソニル(Lasonil),Thiomucase)として、筋肉内または皮下経路により注 射されてきた医薬を拡散させるための薬剤(ヒアルロニダーゼ,Choay)として 、抗癌剤として、局所麻酔薬の処方時に(Lewis-Smith,Br.J.Plast.Surg.19 86,39:554-558)として、また梗塞後の心筋損傷部を軽減する薬剤として使用さ れてきた。DNAトランスフェクションの分野でヒアルロニダーゼが使用できる 可能性についてはすでにDubensky et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1984 ,81:7529-7533)により述べられている。この文書は、プラスミドDNAとコラ ゲナーゼおよびヒアルロニダーゼの混合物を同時に注入することによりin vivo においてより均一なトランスフェクションが得られることを実証している。しか しながら、予めリン酸カルシウムで沈殿させなかったプラスミドDNAでは有益 な効 果は得られない。同様に、WO95/26718は、細胞内部への裸のDNAの 透過を助長する薬剤を用いることかならなる、細胞へもっぱら裸のDNAを導入 する方法に関する。このように、非沈殿ベクターまたはウイルス粒子を用いる遺 伝子治療にこの技術を利用することは考え難い。 本発明は、遺伝子導入の分野へ、特に遺伝子治療にヒアルロニダーゼの医薬と しての可能性を拡張することに向けられる。この新規技術の効力を向上させるた めに、宿主生物内での遺伝子ベクターの分布または遺伝子発現を促進させる利用 可能な手段を持つことが重要である。本発明は、この問題の有利な解決法を提供 する。ここで、核酸を細胞または宿主生物へ導入し、またはそこでその発現を促 進するヒアルロニダーゼの能力が実証された。以下の例が示すように、組換えア デノウイルスを同筋肉に注入する数時間前にヒアルロニダーゼ溶液を筋肉内投与 すると、組換え遺伝子の発現が明らかに増加する。このような併用により治療効 果が向上し、使用するベクター用量を少なくすることが可能となる。 このため本発明は、宿主の細胞外マトリックスを崩壊させる少なくとも1種の 物質と、少なくとも1種の注目される核酸を含んでなり、核酸が感染性ウイルス 粒子により、もしくは合成ベクターの形で運ばれる、同時もしくは逐次投与、ま たは一定時間にわたる時間差投与のための組合せ製剤(combination product) に関する。 「細胞外マトリックス」とは、当該技術分野では十分に公知であり、序章に詳 しく述べられている。本発明の意味の範囲内で、「細胞外マトリックスを崩壊さ せる物質」とは、マトリックスの完全性に作用する、特にそのマトリックスの少 なくとの1種の構成要素に、またはこれら種々の構成要素と一体になった結合に 対し、完全なまたは部分的な分解または不安定化作用を発揮する物質のいずれも を表す。本発明の範囲内では公知の物質が使用できるが、その物質が天然のタン パク質であれば、天然タンパク質の1以上のアミノ酸の付加、欠失および/また は置換によって作出された1以上の突然変異を含む変異体、機能的断片、または 異なる起源の配列を融合させることから得られるキメラタンパク質を使用するこ ともできる。本発明の目的には、この物質はまた、その活性、その安定性または ある特定の細胞種に関するその親和性を増強させるために、化学的、酵素的など の経路によって改変させることもできる。本発明で使用される物質の選択肢は広 い。指標としては、それはコラゲナーゼ活性、ジスパーゼ活性、トリプシン活性 またはプロナーゼ活性を有する物質から選択することができる。 1つの有利な具体例によれば、一般に細胞外マトリックスに存在する多糖類、 特定にはヒアルロン酸を加水分解できる物質を使用することが好ましい。この点 については、本発明の実施にはヒアルロニダーゼ活性を有する物質が特に非常に 適している。ヒアルロニダーゼはKreil(Protein Sci.,1995,4:1666-1669)に記 載されている。ヒアルロニダーゼは哺乳類、爬虫類、または膜翅類のヒアルロン 酸塩グリカノヒドロラーゼに、ヒルの唾液腺からのヒアルロン酸塩グリカノヒド ロラーゼ、または細菌、特に連鎖球菌、肺炎双球菌およびクロストリディウム属 のヒアルロン酸リアーゼに由来するヒアルロニダーゼであり得る。これらのうち 、ウシ精巣ヒアルロニダーゼが特に非常に好ましい。ヒアルロニダーゼまたはこ のヒアルロニダーゼの機能的断片の配列と少なくとも70%、有利には少なくと も90%、好ましくは少なくとも95%の相同性を示す物質を用いることが好ま しく、ヒアルロニダーゼ活性が保存されているという重要な考察がなされる。こ の酵素活性は、Hynes and Ferretti(Methods Enzymol.,1994,235:606-616)ま たはBailey and Levine(J.Pharm.Biomed.Anal.,1993,11:285-292)に記載さ れているものなどの常法により評価できる。 本発明の組合せ製剤を製造しようとする物質は市販の物質、好ましくは医薬上 の観点から許容される物質であり得る。もう1つのアプローチによれば、この物 質は当該技術分野で通常の技術を用いて組換え経路により製造できる。最後に、 この物質をコードしている配列を細胞もしくは宿主生物内でそれを発現するのに 好適なエレメントの制御下で注目される核酸または発現ベクターに導入すること も考えられる。次いで後者は注目される核酸に先立ち、または同時に投与するこ とができる。この特殊な具体例の実施は当業者の能力の範囲内である。 本発明の範囲内で、注目される核酸はセンスまたはアンチセンスオリゴヌクレ オチド、リボ核酸またはデオキシリボ核酸であり得る。これらの名称は分子生物 学で通常使用されているものである。便宜には、「センス」とは標的配列と相同 または同一な配列を有する核酸をいい、他方「アンチセンス」とは標的配列と相 補的な配列と相同または同一な配列を有する核酸をいう。本発明により遂行され る目的に従えば、注目される核酸は少なくとも1つの注目される遺伝子および細 胞または宿主生物内でそれを発現させることを可能にするエレメントを含む。注 目される核酸はプラスミドDNAまたはウイルスベクター(このベクターはアデ ノウイルス、レトロウイルス、ポックスウイルス、特にワクシニアウイルスまた はMVAウイルス、ヘルペスウイルス、アデノ随伴ウイルスなどに由来する)の 形態であることが有利である。注目される核酸は感染性ウイルス粒子により、ま たは合成ベクター(陽イオン脂質、リポソーム、陽イオンポリマーなど)または 操作細胞(その核酸でトランスフェクトまたは形質導入された細胞)もしくは非 操作細胞(その核酸を天然に含む)の形態で運ばれる。 核酸がプラスミドDNA形態である変法に関しては、DNAは水またはいずれ かの水性緩衝液の溶液にあり、かつ、その溶解に先立ってリン酸カルシウムによ る沈殿を受けていないことが好ましいことが指摘される。本発明の範囲内で使用 できるプラスミドの選択肢は広い。それらはいかなる起源(原核生物性または真 核生物性)のいずれのものでもあってもよいし、種々のエレメントを集めて形成 することもできる。一般的には、プラスミドは当業者に公知である。それらの多 くが市販されているが、遺伝子操作技術を用いてそれらを構築することも可能で ある(Maniatis et al.,1989,Laboraroty Manual,Cold Spring Harbor Labora tory Press,Cold Spring Harbor,NY)。例えば、プラスミドはpBR322(Gi bco BRL)、pUC(Gibco BRL)、pBluescript(Stratagene)、pRE P4、pCEP4(Invitrogen)またはp Poly由来のクローニングまたは発 現ベクターであってもよい(Lathe et al.,Gene,1987,57:193-201)。指標とし ては、本発明において使用されるプラスミドDNAは、当該技術分野の一般的な 実施に従って増幅および精製できる。これが今や広く知られている技術であると すれば、プラスミドをプロデューサー細胞(例えば大腸菌(Escherichia coli)) ヘ導入し、(この分野の一般的な知識およびプラスミドにより運ばれる選抜系に 基づいて当業者により容易に確立される)適当な条件下でこれらの細胞を培養し 、次いで常法でプラスミドDNAを回収するものである手順については、簡単に だけ記載する(例えばManiatis et al.,1989,loc.cit.を参照)。精製工程も また、例えば仏国出願FR9611075に記載の方法または文献に公開された 他の方法のいずれかを実施することが考えられる。 好ましいさらなる変法によれば、注目される核酸は複製に関して欠陥がある( 宿主細胞中で自律的に複製できない)アデノウイルスベクターにより運ばれる。 アデノウイルスの技術は技術の状態に記載されている(例えばGraham and Prevec 、Methods in Molecular Biology,1991,vol 7,pp.109-128、E.J.Murey編、 The Human Press Incを参照)。本発明の範囲内で使用されるアデノウイルスベク ターはアデノウイルスゲノムに由来し、少なくともITR(逆位末端反復配列) と包膜配列とを含んでなり、E1アデノウイルス領域の総てまたは一部を欠いて いることが有利である。さらに、E3アデノウイルス領域の総てまたは一部を欠 いていてもよい。しかしながら、有利な具体例によれば、ポリペプチド、特に宿 主の免疫系から逃れることを可能とする糖タンパク質gp19k(Gooding et al .,Critical Review of Immunology,1990,10:53-71)をコードするE3領域 の一部を保持していることが好ましい。さらに、ベクターは特にE2、E4、L 1、L2、L3、L4およびL5領域から選択された1以上の領域の総てまたは 一部に作用するさらなる欠失または突然変異を含んでもよい(例えば、国際出願 WO94/28152を参照)。この点を説明するためには、E2A領域のDB P(DNA結合タンパク質を表している)遺伝子に作用する温度感受性突然変異 を記載してもよい(Ensinger et al.,J.Virol.,1972,10:328-339)。もう1つ の変法または魅力ある組み合わせはオープンリーディングフレーム(OPF)6 および7をコードする配列を除くE4領域の欠失である(これらの限られた欠失 はE4機能が相補される必要がない;Ketner et al.,Nucleic Acids Res.,l98 9,17:3037-3048)。注目される遺伝子が、欠失したアデノウイルス領域、特にE 1領域の代わりにベクターへ挿入されることが好ましい。注目されるいくつかの 遺伝子が使用される場合には、それらをウイルスゲノムの同じ部位または異なる 部位に挿入することができ、かつ、同じ調節エレメントまたは独立したエレメン トの制御下におくことができ、また適当であれば、それらの発現レベルでの干渉 現象を最小にするために、それらのうちのいくつかを他のものに対し逆の方向に おくことができる。組換えアデノウイルスベクターのゲノムは分子生物学の技術 によりまたは相同組換えにより調製できる(WO96/17070を参照)。 本発明の範囲内で使用されるアデノウイルスベクターは、感染性ウイルス粒子 を形成するのに必要とされるペプチドを産生するためにトランス位に欠陥のある 機能を提供することができる相補細胞系統中で増殖させる。例えば、E1機能を 相補するには細胞系統293が(Graham et al.,J.Gen.Virol.,1977,36:59- 72)、また2重の相補を達成するには国際出願WO97/04119に記載の細 胞系統が用いられよう。欠陥のある機能の総てを相補するためには、適当な細胞 系統およびヘルパーウイルスを使用することも可能である。産生されるウイルス 粒子を細胞培養物から回収し、次いで必要であれば当該技術分野の技術(塩化セ シウム勾配、クロマトグラフィー工程など)を用いて精製する。 本発明の範囲内で使用されるアデノウイルスベクターはヒト、イヌ、鳥類、ウ シ、ネズミ、ヒツジ、ブタ、もしくはサル起源のアデノウイルスゲノム、または 種々の起源のアデノウイルスゲノム断片を含んでなるハイブリッドに由来し得る 。さらに明示すれば、イヌ起源のCAV−1もしくはCAV−2アデノウイルス 、鳥類起源のDAV、またはウシ起源の3型Badを記載し得る(Zakharchuk et al.,Arch.Virol.,1993,128:171-176;Spibey and Cavanagh,J.Gen.Virol .,1989,70:165-172;Jouvenne et al.,Gene,1987,60:21-28;Mittal et al. ,J.Gen.Vlrol.,1995,76:93-102)。しかしながら、好ましくは血清型Cアデ ノウイルス、特に2型または5型アデノウイルス由来のヒト起源のアデノウイル スベクターが好ましいであろう。 注目される核酸はアンチセンスRNAおよび/または次いで治療上注目される ポリペプチドに翻訳されるmRNAをコードしていてもよい。この核酸はゲノム 、相補的DNA(cDNA)または混合型(それから少なくとも1個のイントロ ンが欠失したミニ遺伝子)のものであってもよく、かつ、宿主細胞に関して相同 であっても異種であってもよい。それをコードするポリペプチドは天然に見られ るようなタンパク質(天然型または末端切断型タンパク質)もしくは改良された および/もしくは改変された生物学的特性を示す変異体の総てまたは一部に相当 していてもよい。このポリペプチドはまた、異なる起源の配列を融合させた結果 生じるキメラポリペプチドであってもよい。この注目される核酸は化学合成によ っても得られるし、クローニング(好適なプローブを用いたDNAライブラリー のスクリーニング、PCRなど)によっても得られ、また分子生物学の常法を用 いて改変してもよい。 本発明の範囲内では、サイトカインまたはリンフォカイン(a、bもしくはg インターフェロン、インターロイキン(IL)、特にIL−2、IL−6、IL −10もしくはIL−12、腫瘍壊死因子(TNF)、コロニー刺激因子(GM −CSF、C−CSF、M−CSFなど)、細胞もしくは核内受容体(特にHI Vウイルスにより認識されるもの)、受容体リガンド、遺伝病に関与するタンパ ク質(因子VII、因子VIII、因子IX、ジストロフィン、インスリン、CFTR( 嚢胞性繊維症膜貫通調節)タンパク質、成長ホルモンなど)、酵素(ウレアーゼ 、レニン、トロンビンなど)、酵素阻害剤(al−抗トリプシン、抗トロンビン III、ウイルスプロテアーゼ阻害剤など)、抗腫瘍作用を有し、腫瘍もしくは癌 の発生もしくは進行を少なくとも部分的に阻害できるポリペプチド(アンチセン スRNA、抗体、細胞***もしくは形質導入シグナルのレベルで作用する阻害剤 、腫瘍抑制遺伝子、例えばp53もしくはRbの発現産物、免疫系を剌激するタ ンパク質、腫瘍に関連する抗原、特にパピローマウイルスのMUC−1、E6、 E7、L1およびL2、HPVなど)、主要組織適合性複合体のクラスIもしく はクラスII抗原または相当する遺伝子の発現に作用するポリペプチド、ウイルス の、細菌のもしくは寄生体の感染もしくはその進展を阻害できるポリペプチド( 免疫防御ポリペプチド、抗原エピトープ、抗体、トランス優性の変異体など)、 細胞傷害性産物(1型単純ヘルペスウイルス・チミジンキナーゼ(HSV−IT K)、リシン、コレラ毒、ジフテリア毒など)、免疫毒素、またはマーカーポリ ペプチド(b−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼなど)をコードする注目され る遺伝子を使用することが有利であり得る。この一覧に限定されるものではなく 他の遺伝子も使用できることを指摘しなければならない。 さらに、本発明において使用される注目される核酸はまた、トランスフェクト された細胞を選択または同定することを可能にする選択遺伝子を含んでなっても よい。記載し得る遺伝子としては、抗生物質G418に対する耐性を付与するn eo遺伝子(ネオマイシンホスホトランスフェラーゼをコードしている)、dh fr(ジヒドロ葉酸還元酵素)遺伝子、CAT(クロラムフェニコールアセチル トランスフェラーゼ)遺伝子、pac(ピューロマイシンアセチルトランスフェ ラーゼ)遺伝子またはgpt(キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェ ラーゼ)遺伝子がある。一般には、選択遺伝子は当業者に公知である。 注目される核酸により運ばれる遺伝子は、細胞または宿主生物でそれらを発現 するために必要とされるエレメントの制御下にある。これらのエレメントは、こ の遺伝子がRNAに転写され、mRNAがポリペプチドに翻訳されるのを可能に するエレメントである。これらのエレメントのうち、プロモーターが特に重要な ものである。それは真核生物起源またはウイルス起源であってさえも、いずれの 遺伝子からでも単離でき、また、構成的であっても調節可能なものであってもよ い。そうでなければこのプロモーターは、問題の遺伝子の天然プロモーターであ ってもよい。さらに、このプロモーターを改変して、そのプロモーター活性を向 上させること、転写を阻害する領域を抑制すること、構成的プロモーターを調節 可能なものとすることまたはその逆とすること、制限部位を導入することなどが 可能である。例として以下のウイルスプロモーター:CMV(サイトメガロウイ ルス)プロモーター、RSV(ラウス肉腫ウイルス)プロモーター、HSV−1 ウイルスTK遺伝子のプロモーター、SV40(シミアンウイルス40)初期プ ロモーターおよびアデノウイルスMLP(主要後期プロモーター)プロモーター 、またはネズミもしくはヒトPGK(ホスホグリセレートキナーゼ)、al−抗 トリプシン(肝臓特異的)、免疫グロブリン(リンパ球特異的)、界面活性剤、 CFTR(肺特異的)もしくはアクチン(筋特異的)遺伝子の真核生物プロモー ターを記載し得る。本来、注目される核酸は発現を向上させる付加的なエレメン ト(イントロン配列、シグナル配列、核局在化配列、転写終結配列、IRESも しくは他の型の翻訳開始配列など)、または宿主細胞中での核酸の維持を向上さ せる付加的なエレメント(複製の起点など)をさらに含んでなってもよい。かか るエレメントは当業者には公知である。 これまでに指摘したように、注目される核酸と細胞外マトリックスを崩壊させ る物質は本発明の組合せ製剤に含まれるので、同時にまたは逐次または一定時間 にわたって時間差となるようにして使用できる。同時にとは同時投与をいう。こ の場合、これら2種の必須成分は投与に先立って混合することもできるし、また は細胞もしくは宿主生物へ同時に投与することもできる。それらを逐次、すなわ ち本発明の組合せ製剤のどちらの成分を最初に投与するかに関わらず、交互に投 与することもまた可能である。最後に、一定時間にわたって時間差となる断続的 となり、かつ、規則的であってもなくてもよいが、一定間隔で中断および再開す る投与形態を使用することができる。この2種の成分の投与経路および投与部位 は異なりってもよいことが指摘される。1つの特に好ましい具体例によれば、核 酸に先立ち、細胞外マトリックスを崩壊させる物質を2種の成分、好ましくは同 様の投与経路で(例えば2種とも筋肉内に)投与する。注射間の時間間隔は決定 的なものではなく、当業者が決定してよい。10分〜72時間、有利には30分 〜48時間、好ましくは1〜24時間、極めて好ましくは1〜6時間の間隔が推 奨できる。 さらに、本発明の組合せ製剤はまた、核酸の投与を改良するよう意図した1以 上の分子と組み合わせることができる。この分子は、核酸に対し保護効果(細胞 内での崩壊に対する保護)を有する分子、宿主細胞へのその透過またはそこでの その発現を向上させる分子(融合誘導ペプチド、核局在化シグナルなど)、ある 特定の細胞種を標的化することを可能にする分子(細胞表面のタンパク質を認識 するリガンドまたは抗体など)または治療効果を延長させる分子(免疫抑制剤な ど)であってもよい。組合せ製剤はまた、トランスフェクションを助長する薬剤 (タンパク質など)と組み合わせることができる。 本発明の組合せ製剤は局所もしくは非経口投与または消化経路による投与のた めに製造できる。特に記載し得る経路としては、胃内、皮下、心臓内、静脈内、 腹膜内、滑液内、腫瘍内、肺内、鼻腔内および気管内経路、ならびに特には筋肉 内経路がある。この投与は単回用量としてまたは特定の時間間隔の後に1回もし くは数回繰り返される用量として、当該技術分野のいずれの技術(注射、経口経 路、エアゾル、点滴など)によっても達成できる。投与経路は導入される注目の 遺伝子および治療される疾患に合うように調節できる。この製剤は医薬上許容さ れるビヒクル(賦形剤、佐剤など)を含み得る。細胞外マトリックスを崩壊させ る物質および注目される核酸は、医薬上の使用に適し、かつ高張、低張または等 張であってもよい緩衝液に溶解させることが好ましい。種々の緩衝液が考えられ る。実例として記載され得るものとしては、生理食塩溶液(0.9%NaCl) 、非生理食塩溶液(1.8%NaCl)、ヘペス−リンガー(Hepes-Ringer)溶液 、乳酸−リンガー溶液、トリス−HClに基づく緩衝液(10mMトリス−HC l、pH7.5〜8、1mM EDTA;10mMトリス−HCl、pH7.5〜 8、1mM MgCl2)、リン酸緩衝液(Krebsリン酸H2O緩衝液)、糖 (グルコース、スクロース、トレハロースなど)溶液または単に水が挙げられる 。 本発明の組合せ製剤は、特に注射部位にまたはその付近で、注目される核酸の 拡散を向上させるのに十分な量の細胞外マトリックス崩壊物質を含むことが有利 である。必要とされる量は種々のパラメーター、例えば選択された物質、投与経 路、標的組織、治療される個体または治療される領域の広さにより異なる。好適 なヒアルロニダーゼの量は、薬理学上の分子を拡散させるため薬剤を投与する際 に通常使用される量に相当し得る。指標としては、使用される用量は1〜104 国際単位(IU)、有利には1〜103IUおよび好ましくは10〜500IU である。 さらに、注目される核酸の量は使用される治療遺伝子およびベクターに換算し て定義できる。アデノウイルス粒子を使用する変法では、これらの粒子は好まし くは104〜1014pfu(プラーク形成単位)、有利には105〜1013pfu 、 好ましくは106〜1012pfuの間の用量形で処方される。注目される核酸が プラスミドDNAの形態である場合、量は0.05〜100mgで、有利には0. 1〜10mgで様々であってよい。 本発明はまた、遺伝子治療によるヒトまたは動物の身体を治療することを意図 した医薬を製造するための、治療または予防接種を目的とする本発明の組み合わ せ製剤の使用、ならびに注目される核酸の細胞もしくは宿主生物での拡散、そこ への導入および/またはそこでの発現を向上させるための細胞外マトリックスを 崩壊させる物質の使用に関する。宿主生物は哺乳類であることが有利であり、ヒ トであることが好ましい。宿主細胞は造血(全能性幹細胞、白血球、単球、リン パ球、マクロファージなど)、筋肉(サテライト細胞、筋細胞、筋芽細胞など) 、肝臓、上皮、繊維芽細胞、肺、または気管起源の一次細胞または腫瘍細胞であ り得る。第1の可能性によれば、この医薬または物質はin vivoへ(例えば、静 脈または筋肉注射により接近可能な腫瘍中へ、エアゾルを用いて気管内へなど) 直接投与できる。患者から細胞(骨髄幹細胞、末梢血リンパ球など)を取り出し 、次いでそれらを患者に再投与するに先立ってin vitroでそれらを治療するもの であるex vivoアプローチを採用することも可能である。細胞外マトリックスを 崩壊させる物質はヒアルロニダーゼであることが好ましく、すでに記載した好ま しい具体例に従って、ヒアルロニダーゼは注目される核酸に先立って投与する。 本発明はまた、治療および/または予防方法にも拡張し、これに従ってかかる 治療を必要としている患者へ本発明の組合せ製剤の治療上の有効量を投与する。 標的である疾患は特に、遺伝病(血友病、嚢胞性繊維症、糖尿病、デュシェーヌ またはベッカー筋ジストロフィーなど)、癌および腫瘍(腫瘍遺伝子またはウイ ルスにより誘導され得る)ならびにウイルス感染(B型およびC型肝炎、エイズ 、ヘルペスなど)である。筋肉内または静脈内経路により投与でき、かつヒアル ロニダーゼと、ジストロフィンの遺伝子を発現する核酸とを組み合わせる組合せ 製 剤は、遺伝子治療によりデュシェーヌ筋ジストロフィーを治療するのに特に非常 に適している。このように、冒された筋肉は結合組織による(および、ゆえに細 胞外マトリックスによる)侵入の中心である。ヒアルロニダーゼを用いる治療は 緻密、かつ、密集した細胞外マトリックスにより保護されている筋繊維中へ注目 される核酸が拡散および透過する可能性を高めることが可能であった。もう1つ の好ましい適用として嚢胞性繊維症の治療が挙げられ、ここではヒアルロニダー ゼが一度にかつ同時に粘液を減少させ、治療用の核酸が拡散できるようことが可 能であった。この場合、CFTRタンパク質を発現する核酸の気管内への投与( エアゾル、点滴など)または静脈投与が考えられる。 以下、例により本発明を説明するが、これらに限定されるものではない。例1:ルシフェラーゼ遺伝子をコードしているアデノウイルスの筋肉投与に対す るヒアルロニダーゼの効果 Ad2 MLPプロモーターおよびSV40ウイルスポリアデニル化配列の制 御下にあるルシフェラーゼリポーター遺伝子を含む注目される核酸は、E1およ びE3領域が欠失したアデノウイルスベクターにより運ばれる。Maniatis et al .(1989,loc.cit.)に詳述された遺伝子工学および分子クローニングの一般的 な技術を用いてpTG8509で示される最終構築物を調製する。最初の工程は ルシフェラーゼ遺伝子発現カセットを細菌のプラスミドへクローニングすること である。例えば、ルシフェラーゼ遺伝子をプラスミドpTG6580に導入する ことが可能であり(国際出願WO94/28152に記載)、このプラスミドは p poly II構造(Lathe et al.,1987,loc.cit.)中に、5’ITRおよび Ad5の包膜領域(参照番号M73260でGenebankデータベースに開 示されているヌクレオチド1〜458)、Ad2 MLPプロモーター、ポリリ ンカーおよびSV40ポリA転写終結シグナル(参照番号J02400でGen ebankデータベースに開示されているヌクレオチド2543〜2618)、 その後にヌクレオチド4047〜6241のAd5配列を含んでなる。その後、 ClaIで線状化したベクターpTG3602を用いる相同組換えによりE1領 域の代わりにルシフェラーゼカセットをアデノウイルス骨格に挿入し(国際出願 WO96/17070を参照)、次いで大腸菌BJ5183系統に挿入する(Han ahan,J.Mol.Biol.,1983,166:557-580)。 相当するアデノウイルス粒子は、PacI断片で細胞系統293(ATCCC RL1573)へトランスフェクトした後に産生され、それはベクターpTG8 509から単離され、アデノウイルスゲノムを保持している。次いで、このアデ ノウイルス粒子を細胞溶解(通常、凍結および解凍の3連続サイクル)後に培養 物から回収する。このAdTG8509アデノウイルス粒子を増幅し、in vivo に投与する前に塩化セシウム勾配で精製する。 試験された組合せ製剤はAdTG8509の109の感染単位と、凍結乾燥さ れた製剤(3100IU Sigma VI-Sタイプ)を0.9%NaClで希釈するこ とにより得た、種々の用量のウシ精巣ヒアルロニダーゼを併せ持つ。 10個体の7週齢の雌のbal/cマウスを、2つの前脛骨筋中に、0IU、 0.05IU、0.1IU、1IUおよび10IUに段階づけた用量のヒアルロニ ダーゼ溶液25ml、続いて3時間後に109感染単位の力価を有する25ml のAdTG8509ウイルス懸濁液を与える5つの実験群に無作為に分ける。ル シフェラーゼ遺伝子の導入を評価し、ヒアルロニダーゼおよびベクターを注射し た1週間後に、処理された筋肉を各々摘出した。この動物を頸部脱臼により犠牲 にし、直ちに筋肉を取り出し、液体窒素中で凍結させ、次いで−80℃に保存す る。筋肉全体を磨砕し、酵素を抽出した(Promega Kit)後に、ルシフェラーゼ活 性をルミノネーター(Microlumat LB96P、Berthold製)で測定する。この酵素活 性は分あたりの光単位(RLU)で表現される光量子の放出で表される。1I Uより多い用量でのヒアルロニダーゼの投与は対照群(0IU)と比較してルシ フェラーゼ遺伝子発現に有意な増加を伴う。増幅因子は組換えアデノウイルスの 注射に先立つ1IUのウシヒアルロニダーゼで処理された動物において約2であ り、10IUの酵素を与えられた動物においては4である。 この実験をさらに多い用量のヒアルロニダーゼを用いて7週齢の雌のC57B L/10マウスで繰り返す。3個体の動物からなる5群を集め、次いで、これら の動物を注射容量を25mlに固定した種々の用量のウシヒアルロニダーゼで、 続いて3時間後に109感染単位のAdTG8509アデノウイルス(25ml )で処理する。この5群の動物にそれぞれ0.9%NaClで希釈した0、1、 10、25および50IUのヒアルロニダーゼを与える。従前の場合のように、 酵素およびウイルスをマウスの2つの前脛骨筋へ逐次注射する。ヒアルロニダー ゼで処理されたC57 BL/10マウスの総てが対照群(0IU)に比べて高 いレベルのルシフェラーゼを発現する。組換えアデノウイルスと10IUのヒア ルロニダーゼを組み合わせた製剤に対して約10の増幅因子が得られる。例2:ルシフェラーゼ遺伝子をコードするアデノウイルスの気管投与に対するヒ アルロニダーゼの効果 C57 BL/10マウスに、25μlのPBS緩衝液中に分取し、注射によ り気管投与する108IUのAdTG8509の3時間前に、種々の用量(25 μlのPBS緩衝液中の0、0.1、1、10および50IU、注射により与え る)のヒアルロニダーゼを気管内経路で注射する。 例1と同様の方法で、アデノウイルスベクターを投与した2日後に、気管およ び肺におけるルシフェラーゼ活性を測定する。 結果を図1に示す。これらの結果は肺および気管の双方において、ヒアルロニ ダーゼの存在下でルシフェラーゼ活性が明らかに高まるということを示す。気管 での発現の場合において、ヒアルロニダーゼの用量に関連した効果が明らかに見 られた。 観察された結果は、ルシフェラーゼ遺伝子の発現は気管よりも肺においては弱 いということを明らかに示す。この予期しない結果は、小型の動物への初めのヒ アルロニダーゼの投与に関連して肺で起こる気管支収縮または閉塞反応により説 明できた。 これにもかかわらず、これらの結果はヒアルロニダーゼでの前処理は、アデノ ウイルスにより運ばれ、逐次投与される遺伝子の気管における発現の効力を向上 させ得ることを示す。投与手段としてエアゾルを使用すれば、投与される組成物 の容量が少なくなることでマウスにおける反復気管投与の副作用を制限できるよ うになるはずである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 細胞の細胞外マトリックスを崩壊させる少なくとも1種の物質と、注目 される少なくとも1種の核酸とを含んでなり、核酸が感染性ウイルス粒子により 運ばれるか、もしくは合成ベクターの形で運ばれる、同時もしくは逐次投与、ま たは一定時間にわたる時間差投与のための組合せ製剤。 2. 細胞の細胞外マトリックスを崩壊させる物質がそのマトリックスのヒア ルロン酸を加水分解することができる物質である、請求項1に記載の組合せ製剤 。 3. ヒアルロン酸を加水分解することができる物質がヒアルロニダーゼに由 来する、請求項2に記載の組合せ製剤。 4. ヒアルロニダーゼが哺乳類、爬虫類、または膜翅類のヒアルロン酸塩グ リカノヒドロラーゼに由来するか、ヒルの唾液腺からのヒアルロン酸塩グリカノ ヒドロラーゼに由来するか、または細菌、特に連鎖球菌、肺炎双球菌もしくはク ロストリディウム属、のヒアルロン酸リアーゼに由来するヒアルロニダーゼであ り、特にウシ精巣ヒアルロニダーゼに由来するヒアルロニダーゼである、請求項 3に記載の組合せ製剤。 5. 注目される核酸がプラスミドDNAまたはウイルスベクターの形態であ る、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組合せ製剤。 6. 注目される核酸が複製に関して欠陥がある組換えアデノウイルスベクタ ーの形態である、請求項5に記載の組合せ製剤。 7. アデノウイルスベクターがアデノウイルスゲノムに由来し、かつ、少な くともITRと包膜配列とを含んでなり、E1アデノウイルス領域の総てまたは 一部を欠いている、請求項6に記載の組合せ製剤。 8. アデノウイルスベクターがE3アデノウイルス領域の総てまたは一部を さらに欠いている、請求項7に記載の組合せ製剤。 9. アデノウイルスベクターがE2、E4、L1、L2、L3、L4および L5領域から選択される1以上の領域の総てまたは一部をさらに欠いている、請 求項7または8に記載の組合せ製剤。 10. アデノウイルスベクターがヒト、イヌ、鳥類、ウシ、ネズミ、ヒツジ 、ブタもしくはサル起源のアデノウイルスゲノムに由来するか、または種々の起 源のアデノウイルスゲノム断片を含んでなるハイブリッドに由来する、請求項6 〜9のいずれか一項に記載の組合せ製剤。 11. アデノウイルスベクターがヒト5型アデノウイルスゲノムに由来する 、請求項6〜10のいずれか一項に記載の組合せ製剤。 12. 注目される核酸が陽イオン脂質ベクター、陽イオンポリマーベクター またはリポソームから選択される合成ベクターによって運ばれる、請求項1〜1 1のいずれか一項に記載の組合せ製剤。 13. 注目される核酸がアンチセンスRNAまたは治療上注目されるポリペ プチドをコードしている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組合せ製剤。 14. 治療上注目されるポリペプチドが、サイトカイン、細胞または核内受 容体、リガンド、凝固因子、CFTRタンパク質、インスリン、ジストロフィン 、成長ホルモン、酵素、酵素阻害剤、抗癌作用を有するポリペプチド、細菌、寄 生体もしくはウイルス感染、特にHIV感染を阻害することができるポリペプチ ド、抗体、毒素、免疫毒素、およびマーカーから選択される、請求項13に記載 の組合せ製剤。 15. 医薬上の観点から許容される賦形剤中にそれらが処方される、請求項 1〜14のいずれか一項に記載の組合せ製剤。 16. 細胞外マトリックスを崩壊させる物質を1〜104国際単位(IU) 、有利には1〜103IU、好ましくは10〜500IU、の量を含んでなる、 請求項1〜15のいずれか一項に記載の組合せ製剤。 17. 細胞外マトリックスを崩壊させる物質が、注目される核酸に先立ち投 与される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組合せ製剤。 18. 遺伝子治療によりヒトまたは動物の身体を治療することを意図した医 薬を製造するための、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組合せ製剤の使用 。 19. 組合せ製剤が、細胞外マトリックスを崩壊させる物質であって、ヒア ルロニダーゼ、特にウシ精巣ヒアルロニダーゼ、に由来する物質と、注目される 核酸とを、感染性アデノウイルス粒子により運ばれるアデノウイルスベクターの 形態で含んでなる、請求項18に記載の使用。 20. 細胞外マトリックスを崩壊させる物質が核酸に先立ち投与される、請 求項18または19に記載の使用。 21. ヒアルロニダーゼとジストロフィンをコードする遺伝子を発現する注 目される核酸とを筋肉または静脈投与することにより、デュシェーヌ筋ジストロ フィーを治療することを意図した医薬を製造するための、請求項18〜20のい ずれか一項に記載の使用。 22. ヒアルロニダーゼとCFTRタンパク質をコードする遺伝子を発現す る核酸とを静脈投与または気管投与することにより嚢胞性繊維症を治療すること を意図した医薬を製造するための、請求項18〜20のいずれか一項に記載の使 用。 23. 感染性ウイルス粒子により運ばれるか、または合成ベクターの形で運 ばれる核酸を用いて、注目される核酸の細胞もしくは宿主生物での拡散、そこへ の導入および/またはそこでの発現を向上させるための、細胞外マトリックスを 崩壊させる物質の使用。
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