JP2002367146A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2002367146A
JP2002367146A JP2001178261A JP2001178261A JP2002367146A JP 2002367146 A JP2002367146 A JP 2002367146A JP 2001178261 A JP2001178261 A JP 2001178261A JP 2001178261 A JP2001178261 A JP 2001178261A JP 2002367146 A JP2002367146 A JP 2002367146A
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magnetic
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JP2001178261A
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English (en)
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Yasuyoshi Sato
泰美 佐藤
Masayoshi Sagane
正芳 砂金
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期に亘り潤滑効果が持続するとともに、保
護膜と潤滑剤との密着安定性を高めることにより、優れ
た走行性及び耐久性を実現した磁気記録媒体を提供す
る。 【解決手段】 磁気記録媒体1は、非磁性支持体2上に
磁性層3、保護膜4および潤滑剤5をこの順に備えてい
る。保護膜4の表面(潤滑剤5との接触面)には、不活
性ガス雰囲気下での紫外線照射処理が施されている。保
護膜4上に保持された潤滑剤5は、一般式R1COOC
2−Rf−CH2OCOR1または、R2OOC−Rf’
−COOR2で示されるエステル化合物と、一般式RC
OO(CH2mn2n+1で示されるカルボン酸パーフ
ルオロアルキルエステル誘導体とを含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に関
し、さらに詳しくは、優れた走行性および耐久性を有す
る磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録媒体としては、酸化物磁
性粉末や合金磁性粉末等の強磁性粉末、結合剤、有機溶
剤等よりなる磁性塗料を非磁性支持体上に塗布すること
で磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体
が広く使用されている。
【0003】これに対し、高密度記録、長時間記録への
要求の高まりとともに、Co、Co−Ni合金、Co−
Cr合金、Co−O等の強磁性金属磁性材料をめっきや
真空薄膜形成技術(真空蒸着法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法等)によってポリエステルフィル
ムやポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着
させることで磁性層が形成される、いわゆる強磁性金属
薄膜型の磁気記録媒体が使用されてきている。そして、
このような強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、民生用
コンスーマービデオフォーマット(8ミリHi−8方
式、DV方式)或いは業務用ビデオフォーマット(DV
CAM)等において幅広く実用化されている。
【0004】この強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、
塗布型の磁気記録媒体に比べて抗磁力、角形比等の磁気
特性に優れ、短波長領域での電磁変換特性に優れるばか
りでなく、磁性層の厚みを極めて薄くすることが可能で
あるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さい
こと、磁性層中に非磁性材料である結合剤等を混入する
必要がないことから、磁性材料の充填密度を高めること
が可能である等、数々の利点を有している。
【0005】一般に、磁気記録媒体は、磁気信号の記録
・再生の過程で磁気ヘッドとの高速相対運動のもとにお
かれ、その際走行が円滑に、かつ安定な状態で行われな
ければならない。また、磁気ヘッドとの接触による磨耗
や損傷はなるべく少ないほうがよい。
【0006】しかしながら、上述の強磁性金属薄膜型の
磁気記録媒体では、磁性層表面の平滑性が極めて良好で
あるために、実質的な磁気ヘッドとの接触面積が大きく
なることから、凝着現象、いわゆるハリツキが起こり易
くなったり、摩擦係数が大きくなり、耐久性や走行性等
に欠点が多く、それらの改善が大きな課題となってい
る。
【0007】そこで、例えば、前記磁気記録媒体の磁性
層、すなわち強磁性金属薄膜表面に潤滑剤を塗布して、
耐久性や走行性を改善することが試みられている。この
ような用途に使用される潤滑剤としては、例えば、有機
フッ素化合物が有効であることが知られている。
【0008】特に、特開平5−93059号公報等に
は、末端にカルボキシル基を有するエステル化合物等を
潤滑剤に用いることにより、如何なる使用条件下でも良
好な潤滑効果を発揮する磁気記録媒体が開示されてい
る。また、特開平5−194970号公報等には、末端
に水酸基を有するエステル化合物等を潤滑剤に用いるこ
とにより、如何なる使用条件下でも良好な潤滑効果を発
揮する磁気記録媒体が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記強磁性
金属薄膜型の磁気記録媒体においては、より優れた耐久
性を確保する為に、強磁性金属薄膜上にカーボン保護膜
を形成する技術が確立されている。そして、前述のコン
スーマービデオフォーマットであるDVC用テープ、或
いは業務用ビデオフォーマットであるDVCAM用テー
プ、更にはテープストリーマ用途であるAIT用テープ
等に用いられる強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体として
は、強磁性金属薄膜の上にカーボン保護膜が形成された
磁気記録媒体が実用化されている。このようなカーボン
保護膜の実用化により、耐久性の確保は充分となり、今
後の強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体においては、この
カーボン保護膜の存在が不可欠になると思われる。
【0010】前記カーボン保護膜はDLC(diamond li
ke carbon)膜とも呼ばれ、マグネトロンスパッタ法、
イオンビームスパッタ法等のPVD(Physical Vapor D
eposition)法や、CVD(Chemical Vapor Depositio
n)法等によって形成される。
【0011】ここで、CVD法によりカーボン保護膜を
形成する場合、PVD法によりカーボン保護膜を形成す
る場合に比較して、高速成膜が可能であること、被覆率
が高いこと、及び省電力、省エネルギーであるといった
利点を有している。すなわち、CVD法によりカーボン
保護膜を形成することにより、高速成膜が可能となり生
産性が向上する。また、カーボン保護膜の高い被覆率に
より、磁性薄膜層の耐食性や耐錆性が改善される。さら
に、省電力、省エネルギーにより地球環境に与える影響
を少なくすることができる。
【0012】しかしながら、CVD法によるカーボン保
護膜は、PVD法によるカーボン保護膜と比較して、表
面のエネルギーが小さい。そのため、上述したように、
磁気記録媒体の耐久性や走行性を改善するべく、潤滑剤
を使用しようとすると、潤滑剤とカーボン保護膜との吸
着性が弱く、安定且つ良好な潤滑効果が発揮されないと
いう欠点があった。そのため、カーボン保護膜の存在を
考慮した潤滑剤の設計が必要とされていた。
【0013】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
提案されたものであり、長期に亘り潤滑効果が持続する
潤滑剤を用いるとともに、保護膜と潤滑剤との密着安定
性を高めることにより、優れた走行性及び耐久性を実現
した磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、非磁
性支持体と、前記非磁性支持体上に形成された磁性層
と、前記磁性層上に形成され、表面が不活性ガス中で紫
外線照射処理されてなる保護膜とを備え、下記一般式
(1)で示されるエステル化合物及び下記一般式(2)
で示されるカルボン酸パーフルオロアルキルエステル誘
導体を含有する潤滑剤が前記保護膜上に保持されてなる
ことを特徴とする磁気記録媒体である。
【0015】
【化5】 R1COOCH2−Rf−CH2OCOR1 …(1)
【0016】(式中、Rfはパーフルオロポリエーテル
鎖を表し、R1は炭素原子数が5〜20の炭化水素基を
表す)
【0017】
【化6】RCOO(CH2mn2n+1 …(2)
【0018】(式中、Rは炭素原子数が7〜21のアル
キル基を表し、m,nはm+n≧8を満足する整数を表
す) 請求項2の発明は、前記一般式(1)で示されるエステ
ル化合物と、前記一般式(2)で示されるカルボン酸パ
ーフルオロアルキルエステル誘導体との混合比が、重量
比で10:90〜90:10であることを特徴とする請
求項1記載の磁気記録媒体である。請求項3の発明は、
前記磁性層が強磁性金属薄膜よりなることを特徴とする
請求項1記載の磁気記録媒体である。請求項4の発明
は、前記保護膜がカーボンよりなることを特徴とする請
求項1記載の磁気記録媒体である。請求項5の発明は、
前記保護膜が化学的気相成長法により形成されることを
特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体である。請求項
6の発明は、非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に形
成された磁性層と、前記磁性層上に形成され、表面が不
活性ガス中で紫外線照射処理されてなる保護膜とを備
え、下記一般式(3)で示されるエステル化合物及び下
記一般式(2)で示されるカルボン酸パーフルオロアル
キルエステル誘導体を含有する潤滑剤が前記保護膜上に
保持されてなることを特徴とする磁気記録媒体である。
【0019】
【化7】R2OOC−Rf’−COOR2 …(3)
【0020】(式中、Rf’はパーフルオロポリエーテ
ル鎖を表し、R2は炭素原子数が5〜20の炭化水素基
を表す)
【0021】
【化8】RCOO(CH2mn2n+1 …(2)
【0022】(式中、Rは炭素原子数が7〜21のアル
キル基を表し、m,nはm+n≧8を満足する整数を表
す)請求項7の発明は、前記一般式(3)で示されるエ
ステル化合物と、前記一般式(2)で示されるカルボン
酸パーフルオロアルキルエステル誘導体との混合比が、
重量比で10:90〜90:10であることを特徴とす
る請求項6記載の磁気記録媒体である。請求項8の発明
は、前記磁性層が強磁性金属薄膜よりなることを特徴と
する請求項6記載の磁気記録媒体である。請求項9の発
明は、前記保護膜がカーボンよりなることを特徴とする
請求項6記載の磁気記録媒体である。請求項10の発明
は、前記保護膜が化学的気相成長法により形成されるこ
とを特徴とする請求項6記載の磁気記録媒体である。
【0023】上述したような本発明に係る磁気記録媒体
では、前記保護膜の表面が不活性ガス中で紫外線照射処
理されているので、保護膜と潤滑剤との密着性が向上す
る。さらに、本発明に係る磁気記録媒体では、前記一般
式(1)または(3)の化合物と、一般式(2)の化合
物とを含有する潤滑剤が前記保護膜上に保持されている
ので、密着性や潤滑性が好適に保たれ、長期に亘って良
好な走行性及び耐久性が確保される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。 〈第1の実施の形態〉図1に、本実施の形態に係る磁気
記録媒体の一例の断面図を示す。この磁気記録媒体1
は、図1に示すように、非磁性支持体2上に磁性層3と
して強磁性金属薄膜が形成され、この磁性層3上に保護
膜4が形成され、さらにこの保護膜4上に、最外層とし
て潤滑剤5が保持されてなる。
【0025】非磁性支持体2としては、例えば、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の
ポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロー
スダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボ
ネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等
のプラスチック、アルミニウム合金、チタン合金等の軽
金属、ガラス等のセラミックス等が挙げられる。さら
に、この非磁性支持体2の形態としては、フィルム、シ
ート、ディスク、カード、ドラム等の何れの形態でもよ
い。
【0026】また、非磁性支持体2は、その表面に山状
突起やしわ状突起、粒状突起等の突起が1種以上形成さ
れ、表面粗さがコントロールされたものでも良い。
【0027】具体的には、前記山状突起は、例えば、高
分子フィルム製膜時に粒径50nm〜300nm程度の
無機微粒子を内添させることにより形成され、高分子フ
ィルム表面からの高さが10nm〜100nm、密度が
約1×104個/mm2〜1×105個/mm2とする。こ
の山状突起を形成するための無機微粒子としては、例え
ば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等が好適であ
る。
【0028】前記しわ状突起は、例えば、特定の混合溶
媒を用いた樹脂の希薄溶液を塗布乾燥させることにより
形成される突起であって、その高さは0.01μm〜1
0μm、好ましくは0.03μm〜0.5μmであり、
突起間の最短間隔は0.1μm〜20μmとする。
【0029】このしわ状突起を形成するための樹脂とし
ては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリ
スチロール、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポ
リスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リビニルブチラール、ポリフェニレンオキサイド、フェ
ノキシ樹脂等の単体、混合体または共重合体であり、可
溶性溶剤を有するものが適している。そして、これらの
樹脂をその良溶媒に樹脂濃度1ppm〜1000ppm
で溶解させた溶液に、その樹脂の貧溶媒であって前記良
溶媒より高い沸点を有する溶媒を樹脂に対して10倍量
〜100倍量添加した溶液を、高分子フィルムの表面に
塗布・乾燥させることにより、非常に微細なしわ状突起
を有する薄膜を形成することができる。
【0030】前記粒状突起は、アクリル樹脂等の有機超
微粒子またはシリカ、金属粉等の無機微粒子を球状ある
いは半球状に付着させることにより形成される。この粒
状突起の高さは、5nm〜50nm、密度は1×106
個/mm2〜5×107個/mm2程度とする。
【0031】これらの突起の1種以上を形成することに
より、磁性層3である強磁性金属薄膜の表面性を制御す
ることが可能であるが、2種以上を組み合わせることに
より効果が増し、特に、山状突起を設けた非磁性支持体
2上にしわ状突起と粒状突起を形成すると、耐久性や走
行性が著しく改善される。この場合、突起全体としての
高さは、10nm〜200nmの範囲内であることが好
ましく、その密度は1×105個/mm2〜1×107
/mm2であることが好ましい。
【0032】また、前記磁性層3となる強磁性金属薄膜
としては、例えば、Fe、Co、Ni等の金属の他に、
Co−Ni合金、Co−Pt合金、Co−Ni−Pt合
金、Fe−Co合金、Fe−Ni合金、Fe−Co−N
i合金、Fe−Co−B合金、Co−Ni−Fe−B合
金、Co−Cr合金或いはこれらにCr、Al等の金属
が含有された強磁性金属材料よりなるものが挙げられ
る。特に、Co−Cr合金を使用した場合には、垂直磁
化膜が形成される。
【0033】そして、前記磁性層3である強磁性金属薄
膜は、真空蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタ
リング法等の真空薄膜形成技術により連続膜として形成
される。
【0034】前記真空蒸着法は、1×10-2Pa〜1×
10-6Paの真空下で強磁性金属材料を抵抗加熱、高周
波加熱、電子ビーム加熱等により蒸発させ、非磁性支持
体2上に蒸発金属(強磁性金属材料)を沈着させるもの
であり、一般に高い抗磁力を得るために非磁性支持体2
に対して前記強磁性金属材料を斜めに蒸着する斜方蒸着
が用いられる。さらに、より高い抗磁力を得るために酸
素雰囲気中で前記蒸着を行うものも含まれる。
【0035】前記イオンプレーティング法も真空蒸着法
の1種であり、1×10-2Pa〜1×10-1Paの不活
性ガス雰囲気中でDCグロー放電、RFグロー放電を起
こして、放電中で前記磁性金属材料を蒸発させるという
ものである。
【0036】前記スパッタリング法は、1×10-1Pa
〜1×10Paのアルゴンガスを主成分とする雰囲気中
でグロー放電を起こし、生じたアルゴンガスイオンでタ
ーゲット表面の原子をたたき出すというものであり、グ
ロー放電の方法により直流2極、3極スパッタ法や、高
周波スパッタ法、またはマグネトロン放電を利用したマ
グネトロンスパッタ法等がある。このスパッタリング法
による場合には、CrやW、V等の下地膜を形成してお
いてもよい。
【0037】なお、前記いずれの方法においても、非磁
性支持体2上に予めBi,Sb,Pb,Sn,Ga,I
n,Cd,Ge,Si,Tl等の下地金属層を被着形成
しておき、その非磁性支持体2の表面に対して垂直方向
から成膜することにより、磁気異方性の配向がなく、面
内等方性に優れた磁性層3を形成することができ、磁気
記録媒体1を、例えば磁気ディスクとする場合には好適
である。また、このような手法により形成される強磁性
金属薄膜の膜厚は、0.01μm〜1μmであるのが好
ましい。
【0038】保護膜4は、カーボンからなり、磁性層3
となる強磁性金属薄膜上に形成される。特に、保護膜4
として、比較的硬度の高いダイヤモンドライクカーボン
よりなるものが好ましく例示される。
【0039】この保護膜4は、CVD法により形成され
るのが好ましい。CVD法によって保護膜4を形成する
場合には、例えば、真空容器中に炭化水素ガス、あるい
は炭化水素と不活性ガスとの混合ガスを導入し、10P
a〜100Pa程度の圧力に保持した状態で、真空容器
内に放電させて、炭化水素ガスのプラズマを発生させ、
強磁性金属薄膜上に保護膜4を形成する。放電形式とし
ては、外部電極方式、内部電極方式のいずれでもよく、
放電周波数については、実験的に決めることができる。
また、強磁性金属薄膜が形成された非磁性支持体2側に
配された電極に0〜−3kVの電圧を印加することによ
り、保護膜4の硬度の増大及び密着性を向上させること
ができる。
【0040】保護膜4の材料となる前記炭化水素として
は、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチレン、アセ
チレン、プロペン、ブテン、ペンテン、ベンゼンなどを
用いることができる。
【0041】この保護膜4は、スペーシングロスを少な
くかつ、強磁性金属薄膜の磨耗防止の効果を得られるよ
う、その厚さが3nm〜15nm程度、特に5nm〜1
0nm程度であることが好ましい。
【0042】また、本発明では、潤滑剤5を塗布する前
に、保護膜4の表面に不活性ガス雰囲気中で紫外線を照
射する。保護膜4は紫外線が照射されると、紫外線の光
子エネルギーにより炭素−炭素結合や、炭素−水素結合
が切断され、極性基が形成された状態となる。後述する
ような潤滑剤は、極性基に吸着できるため、保護膜4に
対して強固に吸着することができる。特に、保護膜4を
CVD法により形成した場合には、物理的気相成長法
(PVD法)によりカーボン膜を形成した場合と比較し
て水素含有量が多いため、炭素−水素結合が切断されて
なる極性基が、より多く存在する。このため、保護膜4
をCVD法により形成した場合には、潤滑剤5との吸着
力を向上させうる極性基が、より多く存在することにな
り、潤滑剤5と保護膜4との吸着力が、より向上するこ
とになる。
【0043】また、本発明では前記した保護膜表面への
紫外線照射を不活性ガス中で行う。仮に、保護膜4に対
する紫外線照射を大気中で行うと、紫外線によって発生
するオゾン分子と、紫外線により生じた極性基とが結合
してしまい、いやゆるウイークバウンダリーレアー化す
る結果、保護膜4と潤滑剤5との吸着力が低下してしま
う。言い換えると、保護膜4に対する照射を不活性ガス
雰囲気中で行うことによって、保護膜4表面に極性基を
確実に形成することができ、保護膜4と潤滑剤5との吸
着力を確実に向上させることができる。
【0044】なお、不活性ガスとしては窒素、アルゴン
及び二酸化炭素を例示できる。具体的には、紫外線源と
して例えば低圧水銀ランプを使用し、波長が185nm
あるいは254nmの紫外線を照射することが望まし
い。波長が185nmの紫外線では、光子エネルギーが
650kJ/molとなり、波長が254nmの紫外線
では光子エネルギーが475kJ/molとなる。この
ような低圧水銀ランプを使用することによって、保護膜
4に対して紫外線を効率良く照射することができる。
【0045】また、保護膜4に紫外線を照射する際に
は、例えば図2に示すような紫外線照射装置が使用され
る。この紫外線照射装置は、長尺の磁気記録媒体を巻回
してなる供給ロール35および巻取りロール36と、こ
れらの間に配設された紫外線照射部37とを備え、磁気
記録媒体を供給ロール35から巻取りロール36に向か
って走行させるとともに、紫外線照射部37を通過させ
る。紫外線照射部37は、内部を密閉できる筐体38内
に配設された複数のガイドロール39と、複数の光源ラ
ンプ40とを備えている。これらの光源ランプ40は、
複数のガイドロール39に掛装された磁気記録媒体の保
護膜4に対向するように配設されている。前記筐体38
にはガス供給口38aおよびガス排出口38bが形成さ
れ、ガス供給口38aから不活性ガスを導入することに
よって、筐体38内を不活性ガス雰囲気にすることがで
きる。
【0046】このように構成された紫外線照射装置で
は、筐体38内を不活性ガス雰囲気とした状態で、順次
走行する磁気記録媒体の保護膜4に対して光源ランプ4
0から紫外線を照射する。したがって、この紫外線照射
装置では、磁気記録媒体を供給ロール35から巻取りロ
ール36に向かって走行させることによって、保護膜4
に対して不活性ガス中で紫外線を照射することができ
る。
【0047】そして、特に、本実施の形態に係る磁気記
録媒体1においては、保護膜4上に下記一般式(1)で
示されるエステル化合物と、下記一般式(2)で示され
るカルボン酸パーフルオロアルキルエステル誘導体とを
含有する潤滑剤5が保持されている。
【0048】
【化9】 R1COOCH2−Rf−CH2OCOR1 …(1)
【0049】(式中、Rfはパーフルオロポリエーテル
鎖を表し、R1は炭素原子数が5〜20の炭化水素基を
表す)
【0050】
【化10】RCOO(CH2mn2n+1 …(2)
【0051】(式中、Rは炭素原子数が7〜21のアル
キル基を表し、m,nはm+n≧8を満足する整数を表
す)
【0052】このような一般式(1)に示される化合物
及び一般式(2)に示される化合物を組み合わせて有す
る潤滑剤は、如何なる使用条件下においても密着性や潤
滑性が好適に保たれ、且つ長期に亘って潤滑効果を持続
する特性を有するものである。
【0053】前記一般式(1)に示すエステル化合物
は、例えば、末端に水酸基を有するパーフルオロポリエ
ーテルと長鎖カルボン酸クロリドとを、トルエン中で塩
基を触媒として反応させることによって得られる。
【0054】ここで、前記末端に水酸基を有するパーフ
ルオロポリエーテルとしては、水酸基を両末端に有する
ものが好ましく、例えば、HO−CH2CF2(OC
24p(OCF2qOCF2CH2−OH等が挙げられ
る。前記の末端に水酸基を有するパーフルオロポリエー
テルは、勿論、これらに限定されるわけではない。な
お、前記パーフルオロポリエーテルの化学式中のp,q
はいずれも1以上の整数を表す。
【0055】また、前記末端に水酸基を有するパーフル
オロポリエーテルの分子量は、特に制約されるものでは
ないが、実用的には600〜5000程度が好ましい。
分子量が大きすぎると、末端基の吸着基としての効果が
薄れると同時に、パーフルオロポリエーテル鎖が大きく
なる分、既存の炭化水素系溶媒に溶解しにくくなる。逆
に、分子量が小さすぎると、パーフルオロポリエーテル
鎖による潤滑効果が失われてしまう。
【0056】なお、この末端に水酸基を有するパーフル
オロポリエーテルにおいては、パーフルオロポリエーテ
ル鎖が部分水素化されてもよい。すなわち、パーフルオ
ロポリエーテル鎖のフッ素原子の一部(50%以下)を
水素原子で置換してもよい。この場合には、パーフルオ
ロポリエーテルとして部分水素化したパーフルオロポリ
エーテルを使用すればよい。
【0057】一方、前記長鎖カルボン酸クロリドとして
は、市販品、或いは合成品何れも使用可能である。この
ように、末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテ
ルと長鎖カルボン酸クロリドとを反応させることによ
り、一般式(1)に示すようなエステル化合物が合成さ
れる。
【0058】ここで、前記長鎖カルボン酸、つまり合成
材料の長鎖カルボン酸クロリドのカルボン酸部分は炭化
水素基またはフッ化炭化水素基であり、カルボン酸基を
有する任意の構造で良く、例えば、分岐構造、異性体構
造、脂環構造、不飽和結合の有無によらず選択すること
ができる。また、この長鎖カルボン酸は、分子量に関し
ても任意であるが、分子量が小さくなるに伴って通常の
炭化水素系の有機溶媒に溶解し難くなることから、炭化
水素基の炭素原子数は5〜20、好ましくは10〜18
である。
【0059】また、上述したように、本発明に用いられ
る潤滑剤5には、前記一般式(1)に示すエステル化合
物の他に、前記一般式(2)に示されるカルボン酸パー
フルオロアルキルエステル誘導体が含有される。
【0060】一般式(2)に示されるカルボン酸パーフ
ルオロアルキルエステル誘導体は、部分フッ化アルコー
ルと飽和脂肪酸とをほぼ等モル量で反応させることによ
って、容易に合成することができる。また、前記カルボ
ン酸パーフルオロアルキルエステル誘導体のアルキル基
Rは、炭素原子数が7〜21であることが好ましい。炭
素原子数が7未満であると潤滑効果が乏しくなり、炭素
原子数が21を超えると有機溶剤への溶解性が低下す
る。上記一般式(2)におけるm,nに関してはm+n
≧8を満たせば良く、特に制限はない。
【0061】前記カルボン酸パーフルオロアルキルエス
テル誘導体を合成する場合の具体的な反応式は、以下に
示すようなものである。まず、下記反応式に示すように
して部分フッ化アルコールを合成する。
【0062】
【化11】
【0063】つぎに、部分フッ化アルコールと飽和脂肪
酸を、下記反応式に従って反応させることで、カルボン
酸パーフルオロアルキルエステル誘導体を合成する。
【0064】
【化12】
【0065】ここで重要なことは、前記カルボン酸パー
フルオロアルキルエステル誘導体のカルボン酸部が、不
飽和結合を含まないアルキル基よりなるものから選ばれ
ることである。不飽和結合を含まないエステル誘導体に
より、長期間の保存においても、初期の潤滑特性を維持
することができる。
【0066】ここで、磁気記録媒体1に使用される潤滑
剤においては、一般式(1)で表されるエステル化合物
と、一般式(2)で表されるカルボン酸パーフルオロア
ルキルエステル誘導体との混合比が、重量比で10:9
0〜90:10の範囲内にあることが好ましい。この範
囲内で併用することにより経時での耐久性が良くなる。
【0067】また、磁気記録媒体1において潤滑剤を最
外層に保持させる方法としては、磁性層3の表面や保護
膜4の表面に潤滑剤をトップコートする方法が挙げられ
る。ここで、その塗布量は、0.05mg/m2〜10
0mg/m2であるのが好ましく、0.1mg/m2〜5
0mg/m2であるのがより好ましい。この塗布量があ
まり少なすぎると、摩擦係数の低下、耐磨耗性及び耐久
性の向上という効果が表れず、また、この塗布量があま
り多すぎると、摺動部材と強磁性金属薄膜との間でハリ
ツキ現象が起こり、却って走行性が悪くなる。
【0068】以上のように、本実施の形態に係る磁気記
録媒体1は、上述したような、密着性や潤滑性の点で非
常に優れた特性の潤滑剤の組み合わせを特定して用いて
いるので、良好な走行性及び耐久性が確保されたものと
なる。
【0069】また、この磁気記録媒体1においては、カ
ーボンよりなる保護膜4が形成されているとともに、そ
の表面がプラズマ処理されているので、用いられる潤滑
剤5と保護膜4との密着性が向上し、更に良好な耐久性
を実現することができる。
【0070】また、この磁気記録媒体1においては、磁
性層3を強磁性金属薄膜としていることから、高密度記
録、長時間記録にも十分対応可能である。
【0071】なお、本実施の形態に係る磁気記録媒体1
においては、必要に応じて、防錆剤を併用してもよい。
防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防錆剤と
して使用されるものであれば何れも使用でき、例えばフ
ェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子を含む
複素環化合物、酸素原子を含む複素環化合物、硫黄原子
を含む複素環化合物等が挙げられる。
【0072】また、本発明の磁気記録媒体1において
は、非磁性支持体2上の前記磁性層3が形成される面と
は反対側の面に、いわゆるバックコート層を形成しても
よい。このバックコート層は、結合剤樹脂と粉末成分と
を有機溶媒に混合分散させたバックコート用塗料を非磁
性支持体2に塗布することにより形成される。
【0073】ここで、バックコート用塗料に使用される
結合剤樹脂としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル
系共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩
化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エス
テル−アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリウレタ
ンエラストマー、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共
重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリ
アミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導
体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、ポリウレタン硬化型樹脂、メラミン樹脂、アルキッ
ド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、
ニトロセルロース−メラミン樹脂、高分子量ポリエステ
ル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタク
リル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混
合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートと
の混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコ
ール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソ
シアネートとの混合物、ポリアミン樹脂及びこれらの混
合物等が挙げられる。
【0074】あるいは、粉末成分の分散性の改善を図る
ために、親水性極性基を有する結合剤樹脂を使用しても
よい。
【0075】一方、前記粉末成分としては、導電性を付
与するためのカーボン系微粉末や表面粗度のコントロー
ル及び耐久性向上のために添加される無機顔料が挙げら
れる。前記カーボン系微粒子としては、例えば、ファー
ネスカーボン、チャネルカーボン、アセチレンカーボ
ン、サーマルカーボン、ランプカーボン等が例示され、
前記無機顔料としては、α−FeOOH、α−Fe
23、Cr23、TiO2、ZnO、SiO、SiO2
SiO2・2H2O、Al23、CaCO3、MgCO 3
Sb23等が挙げられる。
【0076】さらに、前記バックコート用塗料の有機溶
剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エ
チル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル
系溶剤、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノ
エチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系
溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶
媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化
炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロ
ルベンゼン等の塩素化炭化水素系溶媒等、汎用の溶剤を
用いることができる。
【0077】さらに、前記のバックコート層には潤滑剤
を併用してもよい。この場合、前記バックコート層中に
潤滑剤を内添する方法、あるいはバックコート層上に潤
滑剤を被着する方法がある。いずれにしても、前記潤滑
剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、
金属石鹸、脂肪族アルコール、シリコーン系潤滑剤等、
従来周知の潤滑剤が使用できる。
【0078】以上のような本実施の形態に係る磁気記録
媒体1は、つぎのようにして作製される。先ず、非磁性
支持体2上に、例えば真空蒸着法により磁性層3となる
強磁性金属薄膜を形成する。その後、この磁性層3上
に、例えばプラズマCVD法により保護膜4を形成す
る。さらに、この保護膜4の表面に対して、不活性ガス
雰囲気中で紫外線照射処理を行う。そして、この保護膜
4上に、上述の潤滑剤5をトップコートして保護膜4に
潤滑剤5を保持させて、磁気記録媒体1が得られる。な
お、必要に応じてバックコート層等を形成しても勿論構
わない。
【0079】詳しくは、前記磁性層を形成する真空蒸着
装置としては、図3に示すような連続巻取り式の真空蒸
着装置が挙げられる。
【0080】この真空蒸着装置は、いわゆる斜方蒸着用
として構成され、内部が例えば1×10-3Pa程度の真
空にされた真空室11内に、例えば−20℃程度に冷却
され、図中矢印Aで示すように反時計回り方向に回転す
る冷却キャン12と、これに対向するように強磁性金属
薄膜用の蒸着源13が配置されてなるものである。
【0081】また、この真空蒸着装置においては、真空
室11内に、図中の反時計回り方向に回転する供給ロー
ル14と図中の反時計回り方向に回転する巻取りロール
15も配設されており、非磁性支持体16は供給ロール
14から図中矢印Bで示す方向に繰り出され、冷却キャ
ン12の周面に沿って走行した後、巻取りロール15に
巻き取られる。
【0082】なお、供給ロール14と冷却キャン12と
の間、及び冷却キャン12と巻取りロール15との間に
はそれぞれガイドローラー17、18が配置され、供給
ロール14から冷却キャン12、及びこの冷却キャン1
2から巻取りロール15に向かって走行する非磁性支持
体16に所定のテンションをかけ、非磁性支持体16が
円滑に走行するようになされている。
【0083】前記蒸着源13は、坩堝等の容器にCo等
の強磁性金属材料が収容されたものであり、この真空蒸
着装置においては、この蒸着源13の強磁性金属材料を
加熱、蒸発させるための電子ビーム発生源19も配設さ
れている。すなわち、前記電子ビーム発生源19から電
子ビーム20を蒸着源13の強磁性金属材料に加速照射
してこれを図中矢印Cで示すように加熱、蒸発させる。
すると、強磁性金属材料は蒸着源13と対向する冷却キ
ャン12の周面に沿って走行する非磁性支持体16上に
被着し、非磁性支持体16上に強磁性金属薄膜が形成さ
れることとなる。
【0084】なお、前記真空蒸着装置においては、蒸着
源13と冷却キャン12との間に防着板21を設け、こ
の防着板21にシャッタ22を位置調整可能に設けて、
非磁性支持体16に対して所定の角度で入射する蒸着粒
子のみを通過させる。こうして斜め蒸着法によって強磁
性金属薄膜が形成されるようになされている。
【0085】さらに、このような強磁性金属薄膜の蒸着
に際し、図示しない酸素ガス導入口を介して非磁性支持
体16の表面近傍に酸素ガスを供給し、これによって強
磁性金属薄膜の磁性特性、耐久性及び耐候性の向上が図
られるようにすることが好ましい。また、蒸着源を加熱
するためには、上述のような電子ビームによる加熱手段
の他、例えば抵抗加熱手段、高周波加熱手段、レーザ加
熱手段等の公知の手段を使用できる。
【0086】ここでは、斜め蒸着法によりCoからなる
強磁性金属薄膜を形成する例について説明したが、強磁
性金属薄膜を形成する方法としては、この方法の他に、
垂直蒸着法やスパッタリング法等の従来公知の薄膜形成
法が適用可能であり、また、この強磁性金属薄膜の材料
としては、Coの他にNi、Fe等やこれらの合金が使
用可能である。また、このときの強磁性金属薄膜の厚さ
は、0.01μm〜1μm程度が良い。
【0087】保護膜4は、上述のように、例えばCVD
法により形成することができるが、この方法の他に、マ
グネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、イオ
ンビームプレーティング法等の従来公知の薄膜形成方法
を用いることもできる。この保護膜4の表面に対して、
不活性ガス中での紫外線照対処理を行うことは、上記の
とおりである。
【0088】〈第2の実施の形態〉つぎに、本発明の第
2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る
磁気記録媒体は、図1に示された第1の実施の形態の磁
気記録媒体1と同様に、非磁性支持体2上に磁性層3と
して強磁性金属薄膜、次いで保護膜4及び潤滑剤5が順
次形成されてなる。そして、本実施の形態に係る磁気記
録媒体は、特に、保護膜5に、下記一般式(3)で示さ
れるエステル化合物と、下記一般式(2)で示されるカ
ルボン酸パーフルオロアルキルエステル誘導体とを含有
する潤滑剤が保持されている。
【0089】
【化13】R2OOC−Rf’−COOR2 …(3)
【0090】(式中、Rf’はパーフルオロポリエーテ
ル鎖を表し、R2は炭素原子数が5〜20の炭化水素基
を表す)
【0091】
【化14】RCOO(CH2mn2n+1 …(2)
【0092】(式中、Rは炭素原子数が7〜21のアル
キル基を表し、m,nはm+n≧8を満足する整数を表
す)
【0093】このような一般式(3)に示される化合物
及び一般式(2)に示される化合物を組み合わせて有す
る潤滑剤は、如何なる使用条件下においても密着性や潤
滑性が好適に保たれ、且つ長期に亘り潤滑効果を持続す
る特性を有するものである。
【0094】なお、前記一般式(3)に示される化合物
及び一般式(2)に示される化合物を有する潤滑剤が用
いられた磁気記録媒体は、図1に示した磁気記録媒体1
と略同様の構成を有するものであり、保護膜4上に保持
される潤滑剤のみが異なる例であり、その他の磁性層や
保護膜等は同じ構成である。そこで、以下の説明では、
潤滑剤についてのみ説明する。
【0095】前記一般式(3)に示すエステル化合物
は、例えば、末端にカルボキシル基を有するパーフルオ
ロポリエーテルと長鎖アルコールとを、無水トルエン中
でp−トルエンスルホン酸や濃硫酸等を触媒として反応
させることによって得られるものである。
【0096】ここで、前記末端にカルボキシル基を有す
るパーフルオロポリエーテルとしては、カルボキシル基
を両末端に有するものが好ましく、具体的には、HOO
C−CF2(OC24m(OCF2jOCF2−COO
H等が挙げられる。前記の末端にカルボキシル基を有す
るパーフルオロポリエーテルは、勿論、これらに限定さ
れるわけではない。なお、前記パーフルオロポリエーテ
ル化学式中のm,jはいずれも1以上の整数を表す。
【0097】また、前記末端にカルボキシル基を有する
パーフルオロポリエーテルの分子量は、特に制約される
ものではないが、実用的には600〜5000程度が好
ましい。分子量が大きすぎると、末端基の吸着基として
の効果が薄れるとともに、パーフルオロポリエーテル鎖
が大きくなる分、既存の炭化水素系溶媒に溶解しにくく
なる。一方、分子量が小さすぎると、パーフルオロポリ
エーテル鎖による潤滑効果が失われてしまう。
【0098】なお、前記末端にカルボキシル基を有する
パーフルオロポリエーテルにおいては、パーフルオロポ
リエーテル鎖が部分水素化されてもよい。すなわち、パ
ーフルオロポリエーテル鎖のフッ素原子の一部(50%
以下)を水素原子で置換しても良い。この場合には、パ
ーフルオロポリエーテルとして部分水素化したパーフル
オロポリエーテルを使用すればよい。
【0099】一方、前記長鎖アルコールのアルコール残
基は、炭化水素基またはフッ化炭化水素基であり、市販
品、或いは合成品何れも使用可能である。また、長鎖ア
ルコールの炭素原子数は5〜20、好ましくは10〜1
8である。
【0100】また、上述したように、本実施の形態で用
いられる前記潤滑剤には、前記一般式(3)に示す化合
物の他に、前記一般式(2)に示されるカルボン酸パー
フルオロアルキルエステル誘導体が含有される。この一
般式(2)に示される誘導体は、第1の実施の形態にお
いて述べたカルボン酸パーフルオロアルキルエステル誘
導体と同様なものを使用することができる。
【0101】ここで、本実施の形態の磁気記録媒体に使
用される潤滑剤においては、一般式(3)で表されるエ
ステル化合物と、一般式(2)で表されるカルボン酸パ
ーフルオロアルキルエステル誘導体との混合比は、重量
比で10:90〜90:10の範囲内が好ましい。この
範囲内で併用することにより、経時での耐久性がよくな
る。
【0102】なお、潤滑剤を最外層に保持させる方法と
しても、上述した磁気記録媒体1における潤滑剤の場合
と同様であり、保護膜の表面に潤滑剤をトップコートす
る方法が挙げられる。ここで、その塗布量は、0.05
mg/m2〜100mg/m2であるのが好ましく、0.
1mg/m2〜50mg/m2であるのがより好ましい。
この塗布量があまり少ないなすぎると、摩擦係数の低
下、耐磨耗性・耐久性の向上という効果が表れず、ま
た、塗布量があまり多すぎると、摺動部材と強磁性金属
薄膜との間でハリツキ現象が起こり、却って走行性が悪
くなる。
【0103】以上のように、本実施の形態に係る磁気記
録媒体1は、上述したような、密着性や潤滑性の点で非
常に優れた特性の潤滑剤の組み合わせを特定して用いて
いるので、良好な走行性及び耐久性が確保されたものと
なる。
【0104】また、この磁気記録媒体1においては、カ
ーボンよりなる保護膜4の表面が不活性ガス中で紫外線
照射処理されているので、用いられる潤滑剤5と、保護
膜4との密着性が向上し、更に良好な耐久性を実現する
ことができる。
【0105】
【実施例】以下、本発明の実施例を、具体的な実験結果
に基づいて説明する。すなわち、本発明の効果を確認す
るべく、実際に磁気記録媒体を製造し、その特性の評価
を行った。
【0106】実験例1 本実験例では、末端に水酸基を有するパーフルオロポリ
エーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化合物と、カル
ボン酸パーフルオロアルキルエステル誘導体とを含有す
る潤滑剤を使用した場合の効果を以下のようにして確認
した。
【0107】(サンプルの作製) 1.末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテルと
長鎖カルボン酸とのエステル化合物の合成 先ず、末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル
として、分子量2000のHOCH2CF2(OC24
p(OCF2qOCF2CH2OH(但し、化学式中p、
qはそれぞれ1以上の整数を表す)を用い、このパーフ
ルオロポリエーテルとモル比で2倍等量となるトリエチ
ルアミンを有機溶媒中に溶解させ、この溶液中に更にモ
ル比で2倍等量のステアリン酸クロリドを30分かけて
滴下した。
【0108】滴下終了後、1時間撹拌し、続いて30分
間加熱還流を行った。そして、冷却した後、蒸留水、希
塩酸水溶液の順で洗浄し、再度蒸留水により洗浄液が中
性になるまで洗浄した。続いて、有機溶媒を除去し、得
られた化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを
用いて精製してエステル化合物を得た。ここで、このエ
ステル化合物を化合物1とする。
【0109】次に、前記化合物1と同様な合成方法によ
って、表1に示すような末端に水酸基を有するパーフル
オロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化合物
である4種類の化合物2〜5を合成した。なお、表1中
p、q、nは、1以上の整数をそれぞれ表す。
【0110】
【表1】
【0111】2.サンプルテープの作製 次に、磁気テープを以下のようにして作製した。先ず、
非磁性支持体である7.0μm厚のポリエチレンテレフ
タレートフィルムに、上述の真空蒸着装置を使用して斜
め蒸着法によりCoを被着させ、磁性層となる強磁性金
属薄膜を180nmの厚さに形成した。
【0112】次に、前記強磁性金属薄膜上に、エチレン
とアルゴンの混合ガスの高周波プラズマにより、電極
と、磁気記録媒体原反自身を対向電極として、原反に−
1.5kVの直流電圧を印加し、放電を行い、前記強磁
性金属薄膜上に約8nmの厚さのカーボン保護膜を形成
した。
【0113】次に、ポリエチレンテレフタレートフィル
ムの強磁性金属薄膜が形成された面とは反対側の面に、
カーボン及びポリウレタン樹脂よりなる膜厚0.5μm
のバックコート層を形成した。
【0114】次に、図2に示した紫外線照射装置を用い
て、下記表2に示す条件でカーボン保護膜に紫外線を照
射した。なお、雰囲気ガスとしてアルゴンガスを用い、
紫外線の波長を185nmとし、紫外線の照射時間は磁
気記録媒体のラインスピードで制御した。
【0115】次に、下記表2に示される化合物をそれぞ
れヘキサン溶媒に溶解したものを、前記カーボン保護膜
上に塗布量が5mg/m2となるように塗布して、18
種類の磁気記録媒体を得た。
【0116】そして、これら18種類の磁気記録媒体を
それぞれ6.35mm幅に裁断して、実施例1〜実施例
8及び比較例1〜比較例10の18種類のサンプルテー
プとした。
【0117】ただし、比較例3〜比較例7のサンプルテ
ープについては、保護膜の表面に紫外線を照射しなかっ
た。また、比較例8〜10のカルボン酸パーフルオロア
ルキルエステル誘導体は、二重結合を有している。
【0118】
【表2】
【0119】3.特性の評価 次に、前記実施例1〜実施例8と比較例1〜比較例10
の18種類のサンプルテープの特性を評価した。ここで
は、耐久性と走行性を評価することとし、具体的には摩
擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性を評価した。
これらを評価する際の環境条件としては、本発明者らが
検討した上で、最も厳しい条件と思われる条件を採用し
た。
【0120】(1)摩擦係数の測定方法 摩擦係数の測定は、恒温槽中の環境条件を温度40℃、
湿度80%RHに制御して、この恒温槽中で各サンプル
テープを100パス走行させて測定した。なお、摩擦走
行100パス目の数値を摩擦係数とした。 (2)スチル耐久性の測定方法 スチル耐久性の評価は、−5℃の恒温槽中で行い、市販
のデジタルビデオカムコーダー(ソニー社製、機種名:
DVC−VX1000)を用いて、各サンプルテープの
再生出力が3dB落ちるまでの時間を測定して行った。 (3)シャトル耐久性の測定方法 シャトル耐久性は、恒温槽中の環境条件を温度40℃、
湿度20%RHに制御して、この恒温槽中で市販のデジ
タルビデオカムコーダー(ソニー社製、機種名:DVC
−VX1000)を用い、各サンプルテープを100パ
スシャトル走行させ、100パス走行後にその再生出力
が初期出力から何dB落ちるかを測定して評価した。
【0121】なお、これらの評価は、潤滑剤を塗布した
直後と、各サンプルテープを温度45℃、湿度80%R
Hの環境下で30日間保存した後に行った。潤滑剤を塗
布した直後の初期の耐久性及び走行性の測定結果を表3
に、30日間保存した後の保存後の耐久性及び走行性の
測定結果を表4に示す。
【0122】
【表3】
【0123】
【表4】
【0124】表3及び表4の結果から、CVD法により
形成された保護膜表面を、不活性ガス中で紫外線照射処
理し、さらに潤滑剤として、末端に水酸基を有するパー
フルオロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化
合物と、カルボン酸パーフルオロアルキルエステル誘導
体とを組み合わせた潤滑剤を使用した実施例1〜実施例
8においては、何れも高温多湿、高温低湿或いは低温等
の様々な使用条件下において摩擦係数、スチル耐久性及
びシャトル耐久性の劣化が極めて少なく、非常に良好な
結果が得られていることがわかった。
【0125】一方、末端に水酸基を有するパーフルオロ
ポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化合物のみ
を含有する潤滑剤を用いた比較例1及び比較例2では、
様々な使用条件下において摩擦係数やスチル耐久性、シ
ャトル耐久性の劣化が非常に大きかった。また、保護膜
の表面に対して紫外線照射処理を行わなかった比較例3
〜比較例7では、様々な使用条件下において摩擦係数や
スチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が大きく、良好な
結果が得られなかった。さらに、実施例1と比較例8〜
比較例10との比較結果から、カルボン酸パーフルオロ
アルキルエステル誘導体を用いることにより、長期保存
後も初期の特性を維持させることができることがわかっ
た。
【0126】以上の結果より、CVD法により形成され
た保護膜表面を、不活性ガス中で紫外線照射処理し、さ
らに潤滑剤として、末端に水酸基を有するパーフルオロ
ポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化合物と、
カルボン酸パーフルオロアルキルエステル誘導体とを組
み合わせることにより、潤滑剤が如何なる使用条件下に
おいても密着性や潤滑性が保たれ、且つ長期に亘り潤滑
効果が持続するため、磁気記録媒体の良好な走行性及び
耐久性が得られることがわかった。
【0127】実験例2 本実験例においては、末端にカルボキシル基を有するパ
ーフルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステル
化合物と、カルボン酸パーフルオロアルキルエステル誘
導体を含有する潤滑剤を使用した場合の効果を以下のよ
うにして確認した。
【0128】(サンプルの作製) 1.末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエ
ーテルと長鎖アルコールとのエステル化合物の合成 先ず、末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリ
エーテルとして、分子量2000のHOOCCF2(O
24m(OCF2jOCF2COOH(但し、化学式
中m、jはそれぞれ1以上の整数を表す)を用い、この
パーフルオロポリエーテルとモル比で2倍等量となるス
テアリルアルコールを無水トルエン中で少量のp−トル
エンスルホン酸と濃硫酸を触媒として加熱還流させた。
このとき、生成される水分を除去しながら行った。
【0129】反応終了後、トルエンを除去した後、得ら
れた化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用
いて精製して、その後溶媒を除去し、エステル化合物を
得た。なお、ここで、このエステル化合物を化合物6と
する。
【0130】次に、前記化合物6と同様な合成方法によ
って、表5に示すような末端にカルボキシル基を有する
パーフルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステ
ル化合物である4種類の化合物7〜10を合成した。な
お、表5中j、k、mは、1以上の整数をそれぞれ表
す。
【0131】
【表5】
【0132】2.サンプルテープの作製 まず、前述の実験例1と同様にして、非磁性支持体上に
磁性層となる強磁性金属薄膜、カーボンからなる保護膜
をプラズマCVD法により形成し、バックコート層も形
成した。さらに、前記保護膜の表面を、実験1と同様に
して紫外線照射処理した。
【0133】次に、前述の実験例1と同様にして、保護
膜表面に、下記表6に示されるような潤滑剤をヘキサン
溶媒に溶解したものを、塗布量が5mg/m2となるよ
うにそれぞれ塗布して18種類の磁気記録媒体を得た。
【0134】そして、これら18種類の磁気記録媒体を
それぞれ6.35mm幅に裁断し、実施例9〜実施例1
6及び比較例11〜比較例20の18種類のサンプルテ
ープを作製した。
【0135】ただし、比較例13〜比較例17のサンプ
ルテープについては、保護膜の表面に紫外線を照射しな
かった。また、比較例18〜比較例20のカルボン酸パ
ーフルオロアルキルエステル誘導体は二重結合を有して
いる。
【0136】
【表6】
【0137】3.特性の評価 次に、前記実施例9〜実施例16と比較例11〜20の
18種類のサンプルテープの特性を評価した。ここで
は、耐久性と走行性を評価することとし、具体的には摩
擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性を前述の実験
例1と同様にして評価した。
【0138】なお、これらの評価は、前述の実験例1と
同様に潤滑剤を塗布した直後と、各サンプルテープを温
度45℃、湿度80%RHの環境下で30日間保存した
後に行った。潤滑剤を塗布した直後の初期の耐久性及び
走行性の結果を表7、30日間保存した後の保存後の耐
久性及び走行性の結果を表8に示す。
【0139】
【表7】
【0140】
【表8】
【0141】表7及び表8の結果から、CVD法により
形成された保護膜表面に不活性ガス雰囲気下で紫外線を
照射し、さらに潤滑剤として、末端にカルボキシル基を
有するパーフルオロポリエーテルと長鎖アルコールとの
エステル化合物と、カルボン酸パーフルオロアルキルエ
ステル誘導体とを組み合わせた潤滑剤を使用した実施例
9〜実施例16においては、何れも高温多湿、高温低湿
或いは低温等の様々な使用条件下において摩擦係数、ス
チル耐久性及びシャトル耐久性の劣化が極めて少なく、
非常に良好な結果が得られていることがわかった。
【0142】一方、末端にカルボキシル基を有するパー
フルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステル化
合物のみを含有する潤滑剤を用いた比較例11及び比較
例12では、様々な使用条件下において摩擦係数やスチ
ル耐久性、シャトル耐久性の劣化が非常に大きかった。
また、保護膜の表面に対して紫外線照射を行わなかった
比較例13〜比較例17では、様々な使用条件下におい
て摩擦係数やスチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が大
きく、良好な結果が得られなかった。さらに、実施例9
と比較例18〜比較例20との比較結果から、カルボン
酸パーフルオロアルキルエステル誘導体を用いることに
より、長期保存後も初期の特性を維持させることができ
ることがわかった。
【0143】以上の結果より、CVD法により形成され
た保護膜表面に不活性ガス雰囲気下で紫外線照射処理を
施し、さらに潤滑剤として、末端にカルボキシル基を有
するパーフルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエ
ステル化合物と、カルボン酸パーフルオロアルキルエス
テル誘導体とを組み合わせることにより、潤滑剤が如何
なる使用条件下においても密着性や潤滑性が保たれ、且
つ長期に亘り潤滑効果が持続するため、磁気記録媒体の
良好な走行性及び耐久性が得られることがわかった。
【0144】
【発明の効果】請求項1および請求項6の発明によれ
ば、長期に亘り潤滑効果が持続する潤滑剤が用いられ、
しかも保護膜と潤滑剤との密着性が高められることによ
り、優れた走行性及び耐久性を有する磁気記録媒体を実
現することができる。請求項2の発明では、前記一般式
(1)で示されるエステル化合物と、前記一般式(2)
で示されるカルボン酸パーフルオロアルキルエステル誘
導体との混合比が、重量比で10:90〜90:10で
あることにより、また請求項7の発明では、前記一般式
(3)で示されるエステル化合物と、前記一般式(2)
で示されるカルボン酸パーフルオロアルキルエステル誘
導体との混合比が、重量比で10:90〜90:10で
あることにより、それぞれ一層優れた走行性及び耐久性
を実現することができる。請求項3および請求項8の発
明によれば、磁性層が強磁性金属薄膜よりなる磁気記録
媒体であるので、高密度記録及び長時間記録にも十分対
応可能となる。請求項4および請求項9の発明によれ
ば、保護膜がカーボンよりなり、かつ保護膜表面が不活
性ガス中で紫外線照射処理されていることから、潤滑剤
と保護膜との密着性が向上し、更に良好な耐久性を実現
することができる。請求項5および請求項10の発明に
よれば、前記保護膜が化学的気相成長法により形成され
るので、高速成膜が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体の一例を示す断面図
である。
【図2】紫外線照射装置の一例を示す断面図である。
【図3】磁性層を形成する際に用いる真空蒸着装置の一
例を示す断面図である。
【符号の説明】
1…磁気記録媒体、2,16…非磁性支持体、3…磁性
層、4…保護膜、5…潤滑剤、11…真空室、12…冷
却キャン、13…蒸着源、14…供給ロール、15…巻
取りロール、19…電子ビーム発生源、20…電子ビー
ム、37…紫外線照射部、38…筐体、38a…ガス供
給口、38b…ガス排出口、40…光源ランプ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10N 40:18 C10N 40:18 Fターム(参考) 4H104 BD07A CD04A LA20 PA16 5D006 AA01 AA02 AA06 EA01 EA02 FA02 FA05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に
    形成された磁性層と、前記磁性層上に形成され、表面が
    不活性ガス中で紫外線照射処理されてなる保護膜とを備
    え、下記一般式(1)で示されるエステル化合物及び下
    記一般式(2)で示されるカルボン酸パーフルオロアル
    キルエステル誘導体を含有する潤滑剤が前記保護膜上に
    保持されてなることを特徴とする磁気記録媒体。 【化1】 R1COOCH2−Rf−CH2OCOR1 …(1) (式中、Rfはパーフルオロポリエーテル鎖を表し、R
    1は炭素原子数が5〜20の炭化水素基を表す) 【化2】RCOO(CH2mn2n+1 …(2) (式中、Rは炭素原子数が7〜21のアルキル基を表
    し、m,nはm+n≧8を満足する整数を表す)
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)で示されるエステル化
    合物と、前記一般式(2)で示されるカルボン酸パーフ
    ルオロアルキルエステル誘導体との混合比が、重量比で
    10:90〜90:10であることを特徴とする請求項
    1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記磁性層が、強磁性金属薄膜よりなる
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記保護膜がカーボンよりなることを特
    徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記保護膜は、化学的気相成長法により
    形成されることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  6. 【請求項6】 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に
    形成された磁性層と、前記磁性層上に形成され、表面が
    不活性ガス中で紫外線照射処理されてなる保護膜とを備
    え、下記一般式(3)で示されるエステル化合物及び下
    記一般式(2)で示されるカルボン酸パーフルオロアル
    キルエステル誘導体を含有する潤滑剤が前記保護膜上に
    保持されてなることを特徴とする磁気記録媒体。 【化3】R2OOC−Rf’−COOR2 …(3) (式中、Rf’はパーフルオロポリエーテル鎖を表し、
    2は炭素原子数が5〜20の炭化水素基を表す) 【化4】RCOO(CH2mn2n+1 …(2) (式中、Rは炭素原子数が7〜21のアルキル基を表
    し、m,nはm+n≧8を満足する整数を表す)
  7. 【請求項7】 前記一般式(3)で示されるエステル化
    合物と、前記一般式(2)で示されるカルボン酸パーフ
    ルオロアルキルエステル誘導体との混合比が、重量比で
    10:90〜90:10であることを特徴とする請求項
    6記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記磁性層が、強磁性金属薄膜よりなる
    ことを特徴とする請求項6記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記保護膜がカーボンよりなることを特
    徴とする請求項6記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記保護膜は、化学的気相成長法によ
    り形成されることを特徴とする請求項6記載の磁気記録
    媒体。
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