JP2002269724A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2002269724A
JP2002269724A JP2001074661A JP2001074661A JP2002269724A JP 2002269724 A JP2002269724 A JP 2002269724A JP 2001074661 A JP2001074661 A JP 2001074661A JP 2001074661 A JP2001074661 A JP 2001074661A JP 2002269724 A JP2002269724 A JP 2002269724A
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JP2001074661A
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Masayoshi Sagane
正芳 砂金
Yuri Eguchi
友理 江口
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 長期にわたり潤滑効果が持続する潤滑剤を用
いるとともに、保護膜と潤滑剤との密着安定性を高める
ことにより、優れた走行性及び耐久性を実現する。 【解決手段】 非磁性支持体と、上記非磁性支持体上に
形成された磁性層と、上記磁性層上に形成され、その表
面が不活性ガスのプラズマ雰囲気下で処理されてなる保
護膜とを備え、下記式1で示される末端に水酸基を有す
るパーフルオロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエス
テル化合物及び下記式2で示される長鎖飽和脂肪酸を含
有する潤滑剤が最外層に保持されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上
に、真空薄膜形成技術により強磁性金属薄膜が磁性層と
して形成されてなる磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録媒体としては、酸化物磁
性粉末や合金磁性粉末等の強磁性粉末と結合剤と、有機
溶剤等よりなる磁性塗料を非磁性支持体上に塗布するこ
とで磁性層が形成される、いわゆる塗布型の磁気記録媒
体が広く使用されている。
【0003】これに対し、高密度記録、長時間記録への
要求の高まりとともに、Co、Co−Ni合金、Co−
Cr合金、Co−O等の強磁性金属磁性材料をめっきや
真空薄膜形成技術(真空蒸着法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法等)によってポリエステルフィル
ムやポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着
させることで磁性層が形成される、いわゆる強磁性金属
薄膜型の磁気記録媒体が使用されてきている。そして、
このような強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、民生用
コンスーマービデオフォーマット(8ミリHi−8方
式、DV方式)あるいは業務用ビデオフォーマット(D
VCAM)等において幅広く実用化されている。
【0004】この強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、
塗布型の磁気記録媒体に比べて抗磁力、角形比等の磁気
特性に優れ、短波長領域での電磁変換特性に優れるばか
りでなく、磁性層の厚みを極めて薄くすることが可能で
あるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さい
こと、磁性層中に非磁性材料である結合剤等を混入する
必要がないことから、磁性材料の充填密度を高めること
が可能である等、数々の利点を有している。
【0005】一般に、磁気記録媒体は、磁気信号の記録
・再生の過程で磁気ヘッドとの高速相対運動のもとにお
かれ、その際走行が円滑に、且つ安定な状態で行われな
ければならない。また、磁気ヘッドとの接触による磨耗
や損傷はなるべく少ないほうがよい。
【0006】しかしながら、上述の強磁性金属薄膜型の
磁気記録媒体では、磁性層表面の平滑性が極めて良好で
あるために、実質的な磁気ヘッドとの接触面積が大きく
なることから、凝着現象、いわゆるハリツキが起こり易
くなったり、摩擦係数が大きくなり、耐久性や走行性等
に欠点が多く、それらの改善が大きな課題となってい
る。
【0007】そこで、例えば、上記磁気記録媒体の磁性
層、すなわち強磁性金属薄膜表面に潤滑剤を塗布して、
耐久性や走行性を改善することが試みられている。この
ような用途に使用される潤滑剤としては、例えば、有機
フッ素化合物が有効であることが知られている。
【0008】特に、特開平05−93059号公報等に
は、末端にカルボキシル基を有するエステル化合物等を
潤滑剤に用いることにより、如何なる使用条件下でも良
好な潤滑効果を発揮する磁気記録媒体が開示されてい
る。また、特開平05−194970号公報等には、末
端に水酸基を有するエステル化合物等を潤滑剤に用いる
ことにより、如何なる使用条件下でも良好な潤滑効果を
発揮する磁気記録媒体が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記強磁性
金属薄膜型の磁気記録媒体においては、より優れた耐久
性を確保するために、強磁性金属薄膜上にカーボン保護
膜を形成する技術が確立されている。そして、前述のコ
ンスーマービデオフォーマットであるDVC用テープ、
あるいは業務用ビデオフォーマットであるDVCAM用
テープ、更にはテープストリーマ用途であるAIT用テ
ープ等に用いられる強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体と
しては、強磁性金属薄膜の上にカーボン保護膜が形成さ
れた磁気記録媒体が実用化されている。このようなカー
ボン保護膜の実用化により、耐久性の確保は十分とな
り、今後の強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体において
は、このカーボン保護膜の存在が不可欠になると思われ
る。
【0010】上記カーボン保護膜はDLC(diamond li
ke carbon)膜とも呼ばれ、マグネトロンスパッタ法、
イオンビームスパッタ法等のPVD(Physical Vapor D
eposition)法や、CVD(Chemical Vapor Depositio
n)法等によって形成される。
【0011】ここで、CVD法によりカーボン保護膜を
形成する場合、PVD法によりカーボン保護膜を形成す
る場合に比較して、高速成膜が可能であること、被覆率
が高いこと、及び省電力、省エネルギーであるといった
利点を有している。すなわち、CVD法によりカーボン
保護膜を形成することにより、高速成膜が可能となり生
産性が向上する。また、カーボン保護膜の高い被覆率に
より、磁性薄膜層の耐食性や耐錆性が改善される。さら
に、省電力、省エネルギーにより地球環境に与える影響
を少なくすることができる。
【0012】しかしながら、CVD法によるカーボン保
護膜は、PVD法によるカーボン保護膜と比較して、表
面のエネルギーが小さい。そのため、上述したように、
磁気記録媒体の耐久性や走行性を改善するべく、潤滑剤
を使用しようとすると、潤滑剤とカーボン保護膜との吸
着性が弱く、安定且つ良好な潤滑効果が発揮されない。
そのため、カーボン保護膜の存在を考慮した潤滑剤の設
計が必要となる。
【0013】そこで、本発明は、このような実情に鑑み
て提案されたものであり、長期にわたり潤滑効果が持続
する潤滑剤を用いるとともに、保護膜と潤滑剤との密着
安定性を高めることにより、優れた走行性及び耐久性を
実現した磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体と、
上記非磁性支持体上に形成された磁性層と、上記磁性層
上に形成され、その表面が不活性ガスのプラズマ雰囲気
下で処理されてなる保護膜とを備え、下記化5で示され
る末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテルと長
鎖カルボン酸とのエステル化合物及び下記化6で示され
る長鎖飽和脂肪酸を含有する潤滑剤が最外層に保持され
てなることを特徴とする。
【0015】
【化5】
【0016】
【化6】
【0017】以上のように構成された磁気記録媒体で
は、上記保護膜の表面が不活性ガスのプラズマ雰囲気下
で処理されているので、保護膜と潤滑剤との密着性が向
上する。さらに、以上のように構成された磁気記録媒体
では、上記化5で示される化合物と上記化6で示される
化合物とを含有する潤滑剤が最外層に保持されているの
で、如何なる使用条件下においても密着性や潤滑性が好
適に保たれ、長期にわたって良好な走行性及び耐久性が
確保される。
【0018】また、本発明に係る磁気記録媒体は、非磁
性支持体と、上記非磁性支持体上に形成された磁性層
と、上記磁性層上に形成され、その表面が不活性ガスの
プラズマ雰囲気下で処理されてなる保護膜とを備え、下
記化7で示される末端にカルボキシル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステル化合
物及び下記化8で示される長鎖飽和脂肪酸を含有する潤
滑剤が最外層に保持されてなることを特徴とする
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】以上のように構成された磁気記録媒体で
は、上記保護膜の表面が不活性ガスのプラズマ雰囲気下
で処理されているので、保護膜と潤滑剤との密着性が向
上する。さらに、以上のように構成された磁気記録媒体
では、上記化7で示される化合物と上記化8で示される
化合物とを含有する潤滑剤が最外層に保持されているの
で、如何なる使用条件下においても密着性や潤滑性が好
適に保たれ、長期にわたって良好な走行性及び耐久性が
確保される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0023】〈第1の実施の形態〉図1に、本実施の形
態に係る磁気記録媒体の一例の断面図を示す。この磁気
記録媒体1は、図1に示すように、非磁性支持体2上に
磁性層3として強磁性金属薄膜が形成され、この磁性層
3上に最外層として保護膜4が形成されてなる。
【0024】非磁性支持体2としては、例えば、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の
ポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロー
スダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボ
ネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等
のプラスチック、アルミニウム合金、チタン合金等の軽
金属、ガラス等のセラミックス等が挙げられる。さら
に、この非磁性支持体2の形態としては、フィルム、シ
ート、ディスク、カード、ドラム等の何れの形態でもよ
い。
【0025】また、非磁性支持体2は、その表面に山状
突起やしわ状突起、粒状突起等の突起が1種以上形成さ
れ、表面粗さがコントロールされたものでも良い。
【0026】具体的には、上記山状突起は、例えば、高
分子フィルム製膜時に粒径50nm〜300nm程度の
無機微粒子を内添させることにより形成され、高分子フ
ィルム表面からの高さが10nm〜100nm、密度が
約1×10個/mm〜1×10個/mmとす
る。この山状突起を形成するための無機微粒子として
は、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等が好
適である。
【0027】上記しわ状突起は、例えば、特定の混合溶
媒を用いた樹脂の希薄溶液を塗布乾燥させることにより
形成される突起であって、その高さが0.01μm〜1
0μm、好ましくは0.03μm〜0.5μm、突起間
の最短間隔が0.1μm〜20μmとする。
【0028】このしわ状突起を形成するための樹脂とし
ては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリ
スチロール、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポ
リスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リビニルブチラール、ポリフェニレンオキサイド、フェ
ノキシ樹脂等の単体、混合体または共重合体であり、可
溶性溶剤を有するものが適している。そして、これらの
樹脂をその良溶媒に樹脂濃度1ppm〜1000ppm
で溶解させた溶液に、その樹脂の貧溶媒であって前記良
溶媒より高い沸点を有する溶媒を樹脂に対して10倍量
〜100倍量添加した溶液を、高分子フィルムの表面に
塗布・乾燥させることにより、非常に微細なしわ状突起
を有する薄膜を形成することができる。
【0029】上記粒状突起は、アクリル樹脂等の有機超
微粒子またはシリカ、金属粉等の無機微粒子を球状ある
いは半球状に付着させることにより形成される。この粒
状突起の高さは、5nm〜50nm、密度は1×10
個/mm〜5×10個/mm程度とする。
【0030】これらの突起の少なくとも1種以上を形成
することにより、磁性層3である強磁性金属薄膜の表面
性を制御することが可能であるが、2種以上を組み合わ
せることにより効果が増し、特に、山状突起を設けた非
磁性支持体2上にしわ状突起と粒状突起を形成すると、
耐久性や走行性が著しく改善される。この場合、突起全
体としての高さは、10nm〜200nmの範囲内であ
ることが好ましく、その密度は1×10個/mm
1×10個/mmであることが好ましい。
【0031】また、上記磁性層3となる強磁性金属薄膜
としては、例えば、Fe、Co、Ni等の金属の他に、
Co−Ni合金、Co−Pt合金、Co−Ni−Pt合
金、Fe−Co合金、Fe−Ni合金、Fe−Co−N
i合金、Fe−Co−B合金、Co−Ni−Fe−B合
金、Co−Cr合金あるいはこれらにCr、Al等の金
属が含有された強磁性金属材料よりなるものが挙げられ
る。特に、Co−Cr合金を使用した場合には、垂直磁
化膜が形成される。
【0032】そして、上記磁性層3である強磁性金属薄
膜は、真空蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタ
リング法等の真空薄膜形成技術により連続膜として形成
される。
【0033】上記真空蒸着法は、1×10−2Pa〜1
×10−6Paの真空下で強磁性金属材料を抵抗加熱、
高周波加熱、電子ビーム加熱等により蒸発させ、非磁性
支持体2上に蒸発金属(強磁性金属材料)を沈着させる
ものであり、一般に高い抗磁力を得るために非磁性支持
体2に対して上記強磁性金属材料を斜めに蒸着する斜方
蒸着が用いられる。さらに、より高い抗磁力を得るため
に酸素雰囲気中で上記蒸着を行うものも含まれる。
【0034】上記イオンプレーティング法も真空蒸着法
の1種であり、1×10−2Pa〜1×10−1Paの
不活性ガス雰囲気中でDCグロー放電、RFグロー放電
を起こして、放電中で上記磁性金属材料を蒸発させると
いうものである。
【0035】上記スパッタリング法は、1×10−1
a〜1×10Paのアルゴンガスを主成分とする雰囲気
中でグロー放電を起こし、生じたアルゴンガスイオンで
ターゲット表面の原子をたたき出すというものであり、
グロー放電の方法により直流2極、3極スパッタ法や、
高周波スパッタ法、またはマグネトロン放電を利用した
マグネトロンスパッタ法等がある。このスパッタリング
法による場合には、CrやW、V等の下地膜を形成して
おいてもよい。
【0036】なお、上記何れの方法においても、非磁性
支持体2上に予めBi,Sb,Pb,Sn,Ga,I
n,Cd,Ge,Si,Tl等の下地金属層を被着形成
しておき、その非磁性支持体2の表面に対して垂直方向
から成膜することにより、磁気異方性の配向がなく、面
内等方性に優れた磁性層3を形成することができ、磁気
記録媒体1を、例えば磁気ディスクとする場合には好適
である。また、このような手法により形成される強磁性
金属薄膜の膜厚は、0.01μm〜1μmであることが
好ましい。
【0037】保護膜4は、カーボンからなり、磁性層3
となる強磁性金属薄膜上に形成される。特に、保護膜4
として、比較的硬度の高いダイヤモンドライクカーボン
よりなるものが好ましく例示される。
【0038】この保護膜4は、CVD法等により形成さ
れる。CVD法によって保護膜4を形成する場合には、
例えば、真空容器中に炭化水素ガス、あるいは炭化水素
と不活性ガスとの混合ガスを導入し、10Pa〜100
Pa程度の圧力に保持した状態で、真空容器内に放電さ
せて、炭化水素ガスのプラズマを発生させ、強磁性金属
薄膜上に保護膜4を形成する。
【0039】放電形式としては、外部電極方式、内部電
極方式の何れでもよく、放電周波数については、実験的
に決めることができる。また、強磁性金属薄膜が形成さ
れた非磁性支持体2側に配された電極に0〜−3kVの
電圧を印加することにより、保護膜4の硬度の増大及び
密着性を向上させることができる。
【0040】保護膜4の材料となる上記炭化水素として
は、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチレン、アセ
チレン、プロペン、ブテン、ペンテン、ベンゼンなどを
用いることができる。
【0041】この保護膜は、スペーシングロスを少なく
かつ、強磁性金属薄膜の磨耗防止の効果を得られるよ
う、その厚さが3nm〜15nm程度、特に5nm〜1
0nm程度であることが好ましい。
【0042】そして、この保護膜4は、その表面が、不
活性ガスのプラズマ雰囲気下にさらされることによりプ
ラズマ処理されている。保護膜4の表面をプラズマ処理
することにより、保護膜4と、保護膜4上に保持される
潤滑剤との間の密着性が向上し、潤滑剤の潤滑効果を長
期間にわたって持続させることができる。
【0043】保護膜4の表面をプラズマ処理する方法と
しては、例えば、保護膜4が形成された磁気記録媒体を
真空室中に入れ、所定の真空度になるまでロータリーポ
ンプ等で排気した後に、不活性ガスを上記磁気記録媒体
の表面上に均等に供給し、上記真空室内の真空度を15
0Pa程度の圧力にする。その後、数十ワットの電力を
印加して例えば13.56MHz程度の高周波を加えて
プラズマを発生させること等により処理することができ
る。
【0044】この処理の際に注意すべき点は、プラズマ
処理による金属薄膜型の磁気記録媒体の劣化をできるだ
け小さく抑えることである。この点から、プラズマ発生
にはNe,Ar,Kr等の不活性ガスを用いるが、磁気
記録媒体の劣化を伴う反応を起こしにくい窒素ガスなど
も使用できる。
【0045】このプラズマ処理時の不活性ガスのガス圧
は1Pa〜3000Paが好ましく、さらに好ましく
は、10Pa〜300Paである。また、このときのガ
スの流量は前記のガス圧に到達するような流量であれば
問題なく、その値は使用する装置によって異なるが、真
空室の容積が20000cm程度の場合には50cm
/分STP〜100cm/分STP程度が好まし
い。
【0046】プラズマ発生源としては、高周波放電、マ
イクロ波放電、直流放電、交流放電、コロナ放電等、プ
ラズマ発生源として通常用いられているものが使用でき
る。また、プラズマ重合時の真空度は1Pa〜300P
aとするのが好ましい。
【0047】また、プラズマ処理で印加される電力は放
電可能領域であればよいが、20ワット〜150ワット
が好ましく、さらに好ましくは50ワット〜100ワッ
トである。
【0048】そして、特に、本発明を適用した磁気記録
媒体1においては、最外層となる保護膜4に下記化9で
示される末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテ
ルと長鎖カルボン酸とのエステル化合物と、下記化10
で示される長鎖飽和脂肪酸を含有する潤滑剤が保持され
ている。
【0049】
【化9】
【0050】
【化10】
【0051】このような化9で示される化合物及び化1
0で示される化合物を有する潤滑剤は、如何なる使用条
件下においても密着性や潤滑性が好適に保たれ、且つ長
期にわたり潤滑効果を持続する特性を有するものであ
る。
【0052】上記化9で示される末端に水酸基を有する
パーフルオロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステ
ル化合物は、例えば、末端に水酸基を有するパーフルオ
ロポリエーテルと長鎖カルボン酸クロリドとを、トルエ
ン中で塩基を触媒として反応させることによって得られ
る。
【0053】ここで、上記末端に水酸基を有するパーフ
ルオロポリエーテルとしては、水酸基を両末端に有する
ものが好ましく、例えば、HO−CHCF(OC
(OCFOCFCH−OH(但し、
化学式中のp,qは何れも1以上の整数を表す。)等が
挙げられる。上記の末端に水酸基を有するパーフルオロ
ポリエーテルは、勿論、これらに限定されるわけではな
い。
【0054】また、上記末端に水酸基を有するパーフル
オロポリエーテルの分子量は、特に制約されるものでは
ないが、実用的には600〜5000程度が好ましい。
分子量が大きすぎると、末端基の吸着基としての効果が
薄れると同時に、パーフルオロポリエーテル鎖が大きく
なる分、既存の炭化水素系溶媒に溶解しにくくなる。逆
に、分子量が小さすぎると、パーフルオロポリエーテル
鎖による潤滑効果が失われてしまう。
【0055】なお、この末端に水酸基を有するパーフル
オロポリエーテルにおいては、パーフルオロポリエーテ
ル鎖が部分水素化されてもよい。すなわち、パーフルオ
ロポリエーテル鎖のフッ素原子の一部(50%以下)を
水素原子で置換してもよい。この場合には、パーフルオ
ロポリエーテルとして部分水素化したパーフルオロポリ
エーテルを使用すればよい。
【0056】一方、上記長鎖カルボン酸クロリドとして
は、市販品、あるいは合成品何れも使用可能である。こ
のように、末端に水酸基を有するパーフルオロポリエー
テルと長鎖カルボン酸クロリドとを反応させて合成され
る、末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテルと
長鎖カルボン酸とのエステル化合物が、上記化9で示さ
れる化合物である。
【0057】ここで、上記長鎖カルボン酸、つまり合成
材料の長鎖カルボン酸クロリドのカルボン酸部分は、カ
ルボン酸基を有する任意の構造で良く、例えば、分岐構
造、異性体構造、脂環構造、不飽和結合の有無によらず
選択することができる。また、この長鎖カルボン酸は、
分子量に関しても任意であるが、分子量が小さくなるに
伴って通常の炭化水素系の有機溶媒に溶解し難くなるこ
とから、少なくともアルキル基の炭素数が10以上であ
ることが好ましい。
【0058】また、上述したように、本発明に用いられ
る潤滑剤には、上記化9で示されるエステル化合物の他
に、上記化10で示される長鎖飽和脂肪酸が含有され
る。
【0059】ここで、上記化10で示される長鎖飽和脂
肪酸としては、式中Rの炭素数が11〜19であるこ
とが好ましい。具体的には、ラウリン酸、トリデシル
酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘ
プタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン
酸等が挙げられる。
【0060】上記10で示される長鎖飽和脂肪酸におけ
るRの炭素数は、11〜19であることが好ましい。
の炭素数が10以下である場合、潤滑効果が乏しく
スチル耐久性に効果がなく、Rの炭素数が19を上回
る場合、有機溶媒への溶解性が小さくなり均一な潤滑剤
塗布層を形成することが困難となる虞がある。
【0061】また、上記脂肪酸が、飽和脂肪酸から選ば
れることが重要である。潤滑剤中に飽和脂肪酸を含有さ
せることにより、長期間の保存においても、初期の優れ
た潤滑特性を維持することができる。
【0062】そして、磁気記録媒体1に使用される潤滑
剤においては、化9で示される末端に水酸基を有するパ
ーフルオロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル
化合物と、化10で示される長鎖飽和脂肪酸との混合比
は、重量比で10:90〜90:10であることが好ま
しい。上記範囲を超えると、本発明による効果を得るこ
とが難しい。
【0063】また、磁気記録媒体1において潤滑剤を最
外層に保持させる方法としては、保護膜4の表面に潤滑
剤をトップコートする方法が挙げられる。ここで、その
塗布量は、0.05mg/m〜100mg/mであ
ることが好ましく、0.1mg/m〜50mg/m
であることがより好ましい。この塗布量があまり少なす
ぎると、摩擦係数の低下、耐磨耗性及び耐久性の向上と
いう効果が表れず、また、この塗布量があまり多すぎる
と、摺動部材と強磁性金属薄膜との間でハリツキ現象が
起こり、却って走行性が悪くなる。
【0064】以上のように、本実施の形態に係る磁気記
録媒体1は、上述したような、密着性や潤滑性の点で非
常に優れた特性の潤滑剤の組み合わせを特定して用いて
いるので、良好な走行性及び耐久性が確保されたものと
なる。
【0065】また、この磁気記録媒体1においては、最
外層として、カーボンよりなる保護膜4が形成されてい
るとともに、その表面がプラズマ処理されているので、
用いられる潤滑剤と、保護膜4との密着性が向上し、さ
らに良好な耐久性を実現することができる。
【0066】また、この磁気記録媒体1においては、磁
性層3を強磁性金属薄膜としていることから、高密度記
録、長時間記録にも十分対応可能である。
【0067】なお、本実施の形態に係る磁気記録媒体1
においては、必要に応じて、防錆剤を併用してもよい。
防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防錆剤と
して使用されるものであれば何れも使用でき、例えばフ
ェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子を含む
複素環化合物、酸素原子を含む複素環化合物、硫黄原子
を含む複素環化合物等が挙げられる。
【0068】また、本発明の磁気記録媒体1において
は、非磁性支持体2上の上記磁性層3が形成される面と
は反対側の面に、いわゆるバックコート層を形成しても
良い。このバックコート層は、結合剤樹脂と粉末成分と
を有機溶媒に混合分散させたバックコート用塗料を非磁
性支持体2に塗布することにより形成される。
【0069】ここで、バックコート用塗料に使用される
結合剤樹脂としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル
系共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩
化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エス
テル−アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリウレタ
ンエラストマー、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共
重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリ
アミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導
体、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、ポリウレタン硬化型樹脂、メラミン樹脂、アルキッ
ド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、
ニトロセルロース−メラミン樹脂、高分子量ポリエステ
ル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタク
リル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混
合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートと
の混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコ
ール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソ
シアネートとの混合物、ポリアミン樹脂及びこれらの混
合物等が挙げられる。
【0070】あるいは、粉末成分の分散性の改善を図る
ために、親水性極性基を有する結合剤樹脂を使用しても
よい。
【0071】一方、上記粉末成分としては、導電性を付
与するためのカーボン系微粉末や表面粗度のコントロー
ル及び耐久性向上のために添加される無機顔料が挙げら
れる。上記カーボン系微粒子としては、例えば、ファー
ネスカーボン、チャネルカーボン、アセチレンカーボ
ン、サーマルカーボン、ランプカーボン等が例示され、
上記無機顔料としては、α−FeOOH、α−Fe
、Cr、TiO 、ZnO、SiO、Si
、SiO・2HO、Al、CaCO
MgCO、Sb等が挙げられる。
【0072】さらに、上記バックコート用塗料の有機溶
剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン
系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エ
チル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル
系溶剤、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノ
エチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系
溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶
媒、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化
炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロ
ルベンゼン等の塩素化炭化水素系溶媒等、汎用の溶剤を
用いることができる。
【0073】さらに、上記のバックコート層には潤滑剤
を併用してもよい。この場合、上記バックコート層中に
潤滑剤を内添する方法、あるいはバックコート層上に潤
滑剤を被着する方法がある。いずれにしても、上記潤滑
剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、
金属石鹸、脂肪族アルコール、シリコーン系潤滑剤等、
従来周知の潤滑剤が使用できる。
【0074】以上のような本実施の形態に係る磁気記録
媒体1は、つぎのようにして作製される。
【0075】先ず、非磁性支持体2上に、例えば真空蒸
着法により磁性層3となる強磁性金属薄膜を形成する。
その後、この磁性層3上に、例えばプラズマCVD法に
より保護膜4を形成する。さらに、この保護膜4の表面
に対してプラズマ処理を行う。そして、この保護膜4上
に、上述の潤滑剤をトップコートして保護膜に潤滑剤を
保持させて、磁気記録媒体1が得られる。なお、必要に
応じてバックコート層等を形成しても勿論構わない。
【0076】詳しくは、上記磁性層を形成する真空蒸着
装置としては、図2に示すような連続巻き取り式の真空
蒸着装置が挙げられる。
【0077】この真空蒸着装置は、いわゆる斜方蒸着用
として構成され、内部が例えば1×10−3Pa程度の
真空にされた真空室11内に、例えば−20℃程度に冷
却され、図中矢印Aで示すように反時計回り方向に回転
する冷却キャン12と、これに対向するように強磁性金
属薄膜用の蒸着源13が配置されてなるものである。
【0078】また、この真空蒸着装置においては、真空
室11内に、図中の反時計回り方向に回転する供給軸1
4と図中の反時計回り方向に回転する巻き取り軸15も
配設されており、供給軸14に装着された非磁性支持体
ロール16から図中矢印Bで示す方向に繰り出された非
磁性支持体17は、冷却キャン12の周面に沿って走行
した後、巻き取り軸15に装着された磁気テープロール
18に巻き取られる。
【0079】なお、供給軸14と冷却キャン12との
間、及び冷却キャン12と巻き取り軸15との間にはそ
れぞれガイドローラー19、20が配置され、供給軸1
4から冷却キャン12、及びこの冷却キャン12から巻
き取り軸15に従って走行する非磁性支持体17に所定
のテンションをかけ、非磁性支持体17が円滑に走行す
るようになされている。
【0080】上記蒸着源13は坩堝等の容器にCo等の
強磁性金属材料が収容されたものであり、この真空蒸着
装置においては、この蒸着源13の強磁性金属材料を加
熱、蒸発させるための電子ビーム発生源21も配設され
ている。すなわち、上記電子ビーム発生源21から電子
ビーム22を蒸着源13の強磁性金属材料に加速照射し
てこれを図中矢印Cで示すように加熱、蒸発させる。す
ると、強磁性金属材料は蒸着源13と対向する冷却キャ
ン12の周面に沿って走行する非磁性支持体17上に被
着し、非磁性支持体17上に強磁性金属薄膜が形成され
ることとなる。
【0081】なお、上記真空蒸着装置においては、蒸着
源13と冷却キャン12との間に防着板23を設け、こ
の防着板23にシャッタ24を位置調整可能に設けて、
非磁性支持体17に対して所定の角度で入射する蒸着粒
子のみを通過させる。こうして斜め蒸着法によって強磁
性金属薄膜が形成されるようになされている。
【0082】さらに、このような強磁性金属薄膜の蒸着
に際し、図示しない酸素ガス導入口を介して非磁性支持
体17の表面近傍に酸素ガスを供給し、これによって強
磁性金属薄膜の磁性特性、耐久性及び耐候性の向上が図
られるようにすることが好ましい。また、蒸着源を加熱
するためには、上述のような電子ビームによる加熱手段
の他、例えば抵抗加熱手段、高周波加熱手段、レーザ加
熱手段等の公知の手段を使用できる。
【0083】ここでは、斜め蒸着法によりCoからなる
強磁性金属薄膜を形成する例について説明したが、強磁
性金属薄膜を形成する方法としては、この方法の他に、
垂直蒸着法やスパッタリング法等の従来公知の薄膜形成
法が適用可能であり、また、この強磁性金属薄膜の材料
としては、Coの他にNi、Fe等やこれらの合金が使
用可能である。また、このときの強磁性金属薄膜の厚さ
は、0.01μm〜1μm程度が良い。
【0084】つぎに、保護膜4の形成方法について説明
する。保護膜4は、CVD法等により形成される。
【0085】CVD法によって保護膜4を形成する場合
には、まず、真空容器中に炭化水素ガス、あるいは炭化
水素と不活性ガスとの混合ガスを導入し、10Pa〜1
00Pa程度の圧力に保持した状態で、真空容器内に放
電させて、炭化水素ガスのプラズマを発生させ、強磁性
金属薄膜上に保護膜4を形成する。放電形式としては、
外部電極方式、内部電極方式の何れでもよく、放電周波
数については、実験的に決めることができる。また、強
磁性金属薄膜が形成された非磁性支持体2側に配された
電極に0〜−3kVの電圧を印加することにより、保護
膜4の硬度の増大及び密着性を向上させることができ
る。
【0086】保護膜4の材料となる上記炭化水素として
は、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチレン、アセ
チレン、プロペン、ブテン、ペンテン、ベンゼンなどを
用いることができる。
【0087】この保護膜4は、スペーシングロスを少な
く、且つ、強磁性金属薄膜の磨耗防止の効果を得られる
よう、その厚さを3nm〜15nm程度、特に5nm〜
10nm程度とすることが好ましい。
【0088】ここでは、CVD法により保護膜を形成す
る例について説明したが、保護膜4を形成する方法とし
ては、この方法の他に、マグネトロンスパッタ法、イオ
ンビームスパッタ法、イオンビームプレーティング法等
の従来公知の薄膜形成方法を用いることができる。
【0089】そして、この保護膜4の表面に対して、不
活性ガスのプラズマ雰囲気下にさらすことによるプラズ
マ処理を行う。保護膜4の表面をプラズマ処理すること
により、保護膜4と、保護膜4上に塗布される潤滑剤と
の間の密着性を向上することができる。
【0090】保護膜4の表面をプラズマ処理するには、
例えば、まず、保護膜4が形成された磁気記録媒体を真
空室中に入れ、所定の真空度になるまでロータリーポン
プ等で排気する。その後に、不活性ガスを上記磁気記録
媒体の表面上に均一に供給し、上記真空室内の真空度を
150Pa程度の圧力にしてから、数十ワットの電力を
印加して13.56MHzの高周波を加えることにより
プラズマが発生する。そして、この不活性ガスのプラズ
マ雰囲気下に保護膜4をさらすことにより、当該保護膜
4の表面に対してプラズマ処理を行う。
【0091】ここで、この処理の際に注意すべき点は、
プラズマ処理による金属薄膜型磁気記録媒体の劣化をで
きるだけ小さく抑えることである。この点から、プラズ
マ発生にはNe,Ar,Kr等の不活性ガスを用いる
が、磁気記録媒体の劣化を伴う反応を起こしにくい窒素
ガスなども使用できる。
【0092】このプラズマ処理時の不活性ガスのガス圧
は1Pa〜3000Paが好ましく、さらに好ましく
は、10Pa〜300Paである。また、このときのガ
スの流量は前記のガス圧に到達するような流量であれば
問題なく、その値は使用する装置によって異なるが、真
空室の容積が20000cm程度の場合には50cm
/分STP〜100cm/分STP程度が好まし
い。
【0093】プラズマ発生源としては、高周波放電、マ
イクロ波放電、直流放電、交流放電、コロナ放電等、プ
ラズマ発生源として通常用いられているものが使用でき
る。
【0094】また、プラズマ処理で印加される電力は放
電可能領域であればよいが、20ワット〜150ワット
が好ましく、さらに好ましくは50ワット〜100ワッ
トである。
【0095】〈第2の実施の形態〉つぎに、本発明の第
2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る
磁気記録媒体は、図1に示された第1の実施の形態の磁
気記録媒体1と同様に、非磁性支持体上に磁性層として
強磁性金属薄膜、最外層として保護膜が順次形成されて
なる。そして、本実施の形態に係る磁気記録媒体は、特
に、最外層となる保護膜に、下記化11で示される末端
にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルと
長鎖アルコールとのエステル化合物と、下記化12で示
される長鎖飽和脂肪酸とを含有する潤滑剤が保持されて
いる。
【0096】
【化11】
【0097】
【化12】
【0098】このような化11で示される化合物及び化
12で示される化合物を有する潤滑剤は、如何なる使用
条件下においても密着性や潤滑性が好適に保たれ、且つ
長期にわたり潤滑効果を持続する特性を有するものであ
る。
【0099】なお、上記化11及び化12で示される潤
滑剤が用いられた磁気記録媒体は、図1に示した磁気記
録媒体1と略同様の構成を有するものであり、最外層に
保持される潤滑剤のみが異なる例であり、その他の磁性
層や保護膜等は同じ構成である。そこで、以下の説明で
は、潤滑剤についてのみ説明する。
【0100】上記化11で示される末端にカルボキシル
基を有するパーフルオロポリエーテルと長鎖アルコール
とのエステル化合物は、例えば、末端にカルボキシル基
を有するパーフルオロポリエーテルと長鎖アルコールと
を、無水トルエン中でp−トルエンスルホン酸や濃硫酸
等を触媒として反応させることによって得られるもので
ある。
【0101】ここで、上記末端にカルボキシル基を有す
るパーフルオロポリエーテルとしては、カルボキシル基
を両末端に有するものが好ましく、具体的には、HOO
C−CF(OC(OCFOCF
COOH(但し、上記化学式中のm,jは何れも1以上
の整数を表す。)等が挙げられる。上記の末端にカルボ
キシル基を有するパーフルオロポリエーテルは、勿論、
これらに限定されるわけではない。
【0102】また、上記末端にカルボキシル基を有する
パーフルオロポリエーテルの分子量は、特に制約される
ものではないが、実用的には600〜5000程度が好
ましい。分子量が大きすぎると、末端基の吸着基として
の効果が薄れるとともに、パーフルオロポリエーテル鎖
が大きくなる分、既存の炭化水素系溶媒に溶解しにくく
なる。一方、分子量が小さすぎると、パーフルオロポリ
エーテル鎖による潤滑効果が失われてしまう。
【0103】なお、上記末端にカルボキシル基を有する
パーフルオロポリエーテルにおいては、パーフルオロポ
リエーテル鎖が部分水素化されてもよい。すなわち、パ
ーフルオロポリエーテル鎖のフッ素原子の一部(50%
以下)を水素原子で置換しても良い。この場合には、パ
ーフルオロポリエーテルとして部分水素化したパーフル
オロポリエーテルを使用すればよい。
【0104】一方、上記長鎖アルコールとしては、市販
品、あるいは合成品何れも使用可能である。また、その
分子量が小さくなるに従って通常の有機溶媒に溶解し難
くなることから、少なくともその1個のアルキル基の炭
素数が6以上であることが好ましい。
【0105】また、上述したように、本実施の形態で用
いられる上記潤滑剤には、上記化11で示される化合物
の他に、上記化12で示される長鎖飽和脂肪酸が含有さ
れる。この化12で示される長鎖飽和脂肪酸は、第1の
実施の形態において上述した長鎖飽和脂肪酸と同様なも
のを使用することができる。
【0106】ここで、本発明の磁気記録媒体に使用され
る潤滑剤においては、化11で示される末端にカルボキ
シル基を有するパーフルオロポリエーテルと長鎖アルコ
ールとのエステル化合物と、化12で示される長鎖飽和
脂肪酸との混合比は、重量比で10:90〜90:10
であることが好ましい。上記範囲を超えると本発明によ
る効果を得ることが難しい。
【0107】なお、潤滑剤を最外層に保持させる方法と
しても、上述した磁気記録媒体1における潤滑剤の場合
と同様であり、保護膜の表面に潤滑剤をトップコートす
る方法が挙げられる。ここで、その塗布量は、0.05
mg/m〜100mg/m であることが好ましく、
0.1mg/m〜50mg/mであることがより好
ましい。この塗布量があまり少なすぎると、摩擦係数の
低下、耐磨耗性・耐久性の向上という効果が表れず、ま
た、塗布量があまり多すぎると、摺動部材と強磁性金属
薄膜との間でハリツキ現象が起こり、却って走行性が悪
くなる。
【0108】以上のように、本実施の形態に係る磁気記
録媒体は、上述したような、密着性や潤滑性の点で非常
に優れた特性の潤滑剤の組み合わせを特定して用いてい
るので、良好な走行性及び耐久性が確保されたものとな
る。
【0109】また、この磁気記録媒体においては、最外
層として形成され、カーボンよりなる保護膜の表面がプ
ラズマ処理されているので、用いられる潤滑剤と、保護
膜との密着性が向上し、さらに良好な耐久性を実現する
ことができる。
【0110】また、この磁気記録媒体においては、磁性
層を強磁性金属薄膜としていることから、高密度記録、
長時間記録にも十分対応可能である。
【0111】なお、本発明は上述の記載に限定されるこ
とはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜
変更可能である。
【0112】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的な実験
結果に基づいて説明する。
【0113】次に、本発明の効果を確認するべく、実際
に磁気記録媒体を製造し、その特性の評価を行った。
【0114】実験例1 本実施例では、末端に水酸基を有するパーフルオロポリ
エーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化合物と、長鎖
飽和脂肪酸を含有する潤滑剤を使用した場合の効果を以
下のようにして確認した。
【0115】(サンプルの作製) 1.化9で示される末端に水酸基を有するパーフルオロ
ポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化合物の合
成 先ず、末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル
として、分子量2000のHOCHCF(OC
(OCFOCFCHOH(但し、化学
式中p、qはそれぞれ1以上の整数を表す。)を用い、
このパーフルオロポリエーテルとモル比で2倍等量とな
るトリエチルアミンを有機溶媒中に溶解させ、この溶液
中にさらにモル比で2倍等量のステアリン酸クロリドを
30分かけて滴下した。
【0116】滴下終了後、1時間撹拌し、続いて30分
間加熱還流を行った。そして、冷却した後、蒸留水、希
塩酸水溶液の順で洗浄し、再度蒸留水により洗浄液が中
性になるまで洗浄した。続いて、有機溶媒を除去し、得
られた化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを
用いて精製してエステル化合物を得た。ここで、このエ
ステル化合物を化合物1とする。
【0117】次に、上記化合物1と同様な合成方法によ
って、表1に示すような末端に水酸基を有するパーフル
オロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化合物
である4種類の化合物2〜5を合成した。なお、表1中
p、q、nは、1以上の整数をそれぞれ表す。
【0118】
【表1】
【0119】2.サンプルテープの作製 次に、磁気テープを以下のようにして作製した。先ず、
非磁性支持体である7.0μm厚のポリエチレンテレフ
タレートフィルムに、上述の真空蒸着装置を使用して斜
め蒸着法によりCoを被着させ、磁性層となる強磁性金
属薄膜を180nmの厚さに形成した。
【0120】次に、上記強磁性金属薄膜上に、エチレン
とアルゴンの混合ガスの高周波プラズマにより、電極
と、磁気記録媒体原反自身を対向電極として、原反に−
1.5kVの直流電圧を印加し、放電を行い、上記強磁
性金属薄膜上に約8nmの厚さのカーボン保護膜を形成
した。
【0121】次に、ポリエチレンテレフタレートフィル
ムの強磁性金属薄膜が形成された面とは反対側の面に、
カーボン及びポリウレタン樹脂よりなる膜厚0.5μm
のバックコート層を形成した。
【0122】次に、上記保護膜の表面を、アルゴンガス
圧が150Pa、印加電圧が100W、周波数が13.
56MHzの条件で発生させた高周波プラズマに10秒
間さらした。
【0123】次に、下記表2に示される化合物をそれぞ
れヘキサン溶媒に溶解したものを、上記カーボン保護膜
上に塗布量が5mg/mとなるように塗布して、21
種類の磁気記録媒体を得た。
【0124】そして、これら21種類の磁気記録媒体を
それぞれ6.35mm幅に裁断して、実施例1〜実施例
8及び比較例1〜比較例13の21種類のサンプルテー
プとした。
【0125】但し、比較例3〜比較例10のサンプルテ
ープについては、保護膜の表面を高周波プラズマにさら
さなかった。さらに、比較例8〜比較例10のサンプル
テープについては、保護膜を、上述したようなプラズマ
CVD法によらず、マグネトロンスパッタ法により形成
した。また、比較例11〜比較例13において用いた脂
肪酸は、アルキル基中に二重結合を有している。
【0126】
【表2】
【0127】3.特性の評価 次に、上記実施例1〜実施例8と比較例1〜比較例13
の21種類のサンプルテープの特性を評価した。ここで
は、耐久性と走行性を評価することとし、具体的には摩
擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性を評価した。
これらを評価する際の環境条件としては、本発明者等が
検討した上で、最も厳しい条件と思われる条件を採用し
た。
【0128】(1)摩擦係数の測定方法 摩擦係数の測定は、恒温槽中の環境条件を温度40℃、
湿度80%RHに制御して、この恒温槽中で各サンプル
テープを100パス走行させて測定した。なお、摩擦走
行100パス目の数値を摩擦係数とした。
【0129】(2)スチル耐久性の測定方法 スチル耐久性の評価は、−5℃の恒温槽中で行い、市販
のデジタルビデオカムコーダー(ソニー社製、機種名:
DVC−VX1000)を用いて、各サンプルテープの
再生出力が3dB落ちるまでの時間を測定して行った。
【0130】(3)シャトル耐久性の測定方法 シャトル耐久性は、恒温槽中の環境条件を温度40℃、
湿度20%RHに制御して、この恒温槽中で市販のデジ
タルビデオカムコーダー(ソニー社製、機種名:DVC
−VX1000)を用い、各サンプルテープを100パ
スシャトル走行させ、100パス走行後にその再生出力
が初期出力から何dB落ちるかを測定して評価した。
【0131】なお、これらの評価は、潤滑剤を塗布した
直後と、各サンプルテープを温度45℃、湿度80%R
Hの環境下で30日間保存した後に行った。潤滑剤を塗
布した直後の初期の耐久性及び走行性の測定結果を表
3、30日間保存した後の保存後の耐久性及び走行性の
測定結果を表4に示す。
【0132】
【表3】
【0133】
【表4】
【0134】表3及び表4の結果から、CVD法により
形成された保護膜表面を不活性ガスのプラズマ雰囲気下
で処理し、さらに潤滑剤として、末端に水酸基を有する
パーフルオロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステ
ル化合物と長鎖飽和脂肪酸とを組み合わせた潤滑剤を使
用した実施例1〜実施例8においては、何れも高温多
湿、高温低湿あるいは低温等の様々な使用条件下におい
て摩擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性の劣化が
極めて少なく、非常に良好な結果が得られていることが
わかった。
【0135】一方、末端に水酸基を有するパーフルオロ
ポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化合物のみ
を含有する潤滑剤を用いた比較例1及び比較例2では、
様々な使用条件下において摩擦係数やスチル耐久性、シ
ャトル耐久性の劣化が非常に大きかった。また、保護膜
の表面に対してプラズマ処理を行わなかった比較例3〜
比較例10では、様々な使用条件下において摩擦係数や
スチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が大きく、良好な
結果が得られなかった。さらに、保護膜をCVD法では
なく、PVD法であるマグネトロンスパッタ法により形
成した場合にも、十分な耐久性は得られなかった。さら
に、実施例1と比較例11〜比較例13との比較結果か
ら、不飽和結合を有しない長鎖飽和脂肪酸を用いること
により、長期保存後も初期の特性を維持させることがで
きることがわかった。
【0136】以上の結果より、CVD法により形成され
た保護膜表面を不活性ガスのプラズマ雰囲気下で処理
し、さらに潤滑剤として、末端に水酸基を有するパーフ
ルオロポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化合
物と、長鎖飽和脂肪酸とを組み合わせることにより、潤
滑剤が如何なる使用条件下においても密着性や潤滑性が
保たれ、且つ長期にわたり潤滑効果が持続するため、磁
気記録媒体の良好な走行性及び耐久性が得られることが
わかった。
【0137】実験例2 本実験例においては、化11で示される末端にカルボキ
シル基を有するパーフルオロポリエーテルと長鎖アルコ
ールとのエステル化合物と、長鎖飽和脂肪酸を含有する
潤滑剤を使用した場合の効果を以下のようにして確認し
た。
【0138】(サンプルの作製) 1.末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエ
ーテルと長鎖アルコールとのエステル化合物の合成 先ず、末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリ
エーテルとして、分子量2000のHOOCCF(O
(OCFOCFCOOH(但し、
化学式中m、jはそれぞれ1以上の整数を表す。)を用
い、このパーフルオロポリエーテルとモル比で2倍等量
となるステアリルアルコールを無水トルエン中で少量の
p−トルエンスルホン酸と濃硫酸を触媒として加熱還流
させた。このとき、生成される水分を除去しながら行っ
た。
【0139】反応終了後、トルエンを除去した後、得ら
れた化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用
いて精製して、その後溶媒を除去し、エステル化合物を
得た。なお、ここで、このエステル化合物を化合物6と
する。
【0140】次に、上記化合物6と同様な合成方法によ
って、表5に示すような末端にカルボキシル基を有する
パーフルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステ
ル化合物である4種類の化合物7〜10を合成した。な
お、表5中j、k、mは、1以上の整数をそれぞれ表
す。
【0141】
【表5】
【0142】2.サンプルテープの作製 まず、前述の実験例1と同様にして、非磁性支持体上に
磁性層となる強磁性金属薄膜、カーボンからなる保護膜
をプラズマCVD法により形成し、バックコート層も形
成した。さらに、上記保護膜の表面を不活性ガスのプラ
ズマにより処理した。
【0143】次に、前述の実験例1と同様にして、保護
膜表面に、下記表6に示されるような潤滑剤をヘキサン
溶媒に溶解したものを、塗布量が5mg/mとなるよ
うにそれぞれ塗布して21種類の磁気記録媒体を得た。
【0144】そして、これら21種類の磁気記録媒体を
それぞれ6.35mm幅に裁断し、実施例9〜実施例1
6及び比較例14〜比較例26の21種類のサンプルテ
ープを作製した。
【0145】但し、比較例16〜比較例23のサンプル
テープについては、保護膜の表面を高周波プラズマにさ
らさなかった。さらに、比較例21〜比較例23のサン
プルテープについては、保護膜を、上述したようなプラ
ズマCVD法によらず、マグネトロンスパッタ法により
形成した。また、比較例24〜比較例26において用い
た脂肪酸は、アルキル基中に二重結合を有している。
【0146】
【表6】
【0147】3.特性の評価 次に、上記実施例9〜実施例16と比較例14〜26の
21種類のサンプルテープの特性を評価した。ここで
は、耐久性と走行性を評価することとし、具体的には摩
擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性を前述の実験
例1と同様にして評価した。
【0148】なお、これらの評価は、前述の実験例1と
同様に潤滑剤を塗布した直後と、各サンプルテープを温
度45℃、湿度80%RHの環境下で30日間保存した
後に行った。潤滑剤を塗布した直後の初期の耐久性及び
走行性の結果を表7、30日間保存した後の保存後の耐
久性及び走行性の結果を表8に示す。
【0149】
【表7】
【0150】
【表8】
【0151】表7及び表8の結果から、CVD法により
形成された保護膜表面を不活性ガスのプラズマ雰囲気下
で処理し、さらに潤滑剤として、末端にカルボキシル基
を有するパーフルオロポリエーテルと長鎖アルコールと
のエステル化合物と長鎖飽和脂肪酸とを組み合わせた潤
滑剤を使用した実施例9〜実施例16においては、何れ
も高温多湿、高温低湿あるいは低温等の様々な使用条件
下において摩擦係数、スチル耐久性及びシャトル耐久性
の劣化が極めて少なく、非常に良好な結果が得られてい
ることがわかった。
【0152】一方、末端にカルボキシル基を有するパー
フルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステル化
合物のみを含有する潤滑剤を用いた比較例14及び比較
例15では、様々な使用条件下において摩擦係数やスチ
ル耐久性、シャトル耐久性の劣化が非常に大きかった。
また、保護膜の表面に対してプラズマ処理を行わなかっ
た比較例16〜比較例23では、様々な使用条件下にお
いて摩擦係数やスチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が
大きく、良好な結果が得られなかった。さらに、保護膜
をCVD法ではなく、PVD法であるマグネトロンスパ
ッタ法により形成した場合にも、十分な耐久性は得られ
なかった。さらに、実施例9と比較例24〜比較例26
との比較結果から、不飽和結合を有しない長鎖飽和脂肪
酸を用いることにより、長期保存後も初期の特性を維持
させることができることがわかった。
【0153】以上の結果より、CVD法により形成され
た保護膜表面を不活性ガスのプラズマ雰囲気下で処理
し、さらに潤滑剤として、末端にカルボキシル基を有す
るパーフルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエス
テル化合物と、長鎖飽和脂肪酸とを組み合わせることに
より、潤滑剤が如何なる使用条件下においても密着性や
潤滑性が保たれ、且つ長期にわたり潤滑効果が持続する
ため、磁気記録媒体の良好な走行性及び耐久性が得られ
ることがわかった。
【0154】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る磁気記録媒
体は、上述したような、密着性や潤滑性の点で非常に優
れた特性の潤滑剤の組み合わせを特定して用いているの
で、走行性及び耐久性を向上することができる。
【0155】また、本発明に係る磁気記録媒体は、最外
層として形成され、カーボンよりなる保護膜の表面がプ
ラズマ処理されているので、当該保護膜上に保持される
潤滑剤と、保護膜との密着性が向上し、さらに良好な耐
久性を実現することができる。
【0156】また、本発明に係る磁気記録媒体において
は、磁性層を強磁性金属薄膜としていることから、高密
度記録、長時間記録にも十分対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体の一例を示す断面図
である。
【図2】磁性層を形成する際に用いる真空蒸着装置の一
例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 磁気記録媒体、 2 非磁性支持体、 3 磁性
層、 4 保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CH051 EF056 GS01 4J005 BD02 BD04 5D006 AA01 AA06 BB01 EA03 FA02 FA05

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体と、 上記非磁性支持体上に形成された磁性層と、 上記磁性層上に形成され、その表面が不活性ガスのプラ
    ズマ雰囲気下で処理されてなる保護膜とを備え、 下記化1で示される末端に水酸基を有するパーフルオロ
    ポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化合物及び
    下記化2で示される長鎖飽和脂肪酸を含有する潤滑剤が
    最外層に保持されてなることを特徴とする磁気記録媒
    体。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 上記末端に水酸基を有するパーフルオロ
    ポリエーテルと長鎖カルボン酸とのエステル化合物と、
    上記長鎖飽和脂肪酸との混合比が、重量比で10:90
    〜90:10であることを特徴とする請求項1記載の磁
    気記録媒体。
  3. 【請求項3】 化2中のRの炭素数は11〜19であ
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記磁性層が、強磁性金属薄膜よりなる
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記保護膜がカーボンよりなることを特
    徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記保護膜は、化学的気相成長法により
    形成されることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 非磁性支持体と、 上記非磁性支持体上に形成された磁性層と、 上記磁性層上に形成され、その表面が不活性ガスのプラ
    ズマ雰囲気下で処理されてなる保護膜とを備え、 下記化3で示される末端にカルボキシル基を有するパー
    フルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステル化
    合物及び下記化4で示される長鎖飽和脂肪酸を含有する
    潤滑剤が最外層に保持されてなることを特徴とする磁気
    記録媒体。 【化3】 【化4】
  8. 【請求項8】 上記末端にカルボキシル基を有するパー
    フルオロポリエーテルと長鎖アルコールとのエステル化
    合物と、上記長鎖飽和脂肪酸との混合比が、重量比で1
    0:90〜90:10であることを特徴とする請求項7
    記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 化4中のRの炭素数は11〜19であ
    ることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 上記磁性層が、強磁性金属薄膜よりな
    ることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 上記保護膜がカーボンよりなることを
    特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
  12. 【請求項12】 上記保護膜は、化学的気相成長法によ
    り形成されることを特徴とする請求項7記載の磁気記録
    媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023013600A1 (ja) * 2021-08-02 2023-02-09 国立大学法人 東京大学 フルオロポリエーテル化合物

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