JP2002361481A - 溶接継手部の疲労強度に優れた鉄系消耗溶接材料および溶接継手 - Google Patents
溶接継手部の疲労強度に優れた鉄系消耗溶接材料および溶接継手Info
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Abstract
き、母材として高張力鋼板を用いた場合であってもその
鋼板本来の疲労強度を十分活かすことのできる鉄系消耗
溶接材料、および上記の様な特性を発揮することのでき
る溶接継手を提供する。 【解決手段】 本発明の鉄系消耗溶接材料は、C:0.
005〜0.40%,Mn:0.2〜8.0%およびS
i:1.1%超、8.0%以下を夫々含有すると共に、
Se:0.01〜1%および/またはTe:0.01〜
1%を含有するものである。
Description
のすみ肉溶接や大脚長の水平すみ肉溶接等を実施する際
に用いられる被覆溶接棒、フラックス入りワイヤー、ソ
リッドワイヤー等の鉄系消耗溶接材料、およびこうした
鉄系消耗溶接材料を用いて組み立てられる溶接継手等に
関するものであり、殊に疲労強度に優れた溶接継手が得
られる鉄系消耗溶接材料、およびその様な特性を発揮す
る溶接継手に関するものである。
指向されるに伴い、自動車に代表される薄鋼板や、造
船、鉄骨、橋梁等に代表される厚鋼板において、高張力
鋼板を使用する動きが活発化している。これらの用途に
おいて、各構造物は溶接で組み立てられることが多い。
しかしながら、高張力鋼板を用いた場合には溶接継手部
(溶接部)における疲労強度が従来の軟鋼並み程度にし
か確保できず、高張力鋼板本来の有する疲労強度が発揮
されないという問題がある。
溶接ビード止端部の形状が密接に関係することが知られ
ている。図1は、2枚の母材1,2を重ねてすみ肉溶接
したときの溶接継手部の断面形状を示す説明図であり、
ρは溶接ビード止端部垂直断面における母材1と溶接金
属3の連続部の曲率半径、θは該連続部の接触角(以
下、単に「溶接ビード止端部の曲率半径、接触角」と呼
ぶ)を夫々示す。即ち、図1に示した溶接ビード止端部
の曲率半径ρと接触角θが大きくなればなるほど、特に
前記曲率半径ρが大きくなるほど疲労強度に優れた溶接
継手が得られると言われている。
角θをできるだけ大きくするという観点から、これまで
にも様々な技術が提案されている。例えば、特開平8−
25080号には、化学成分組成を適切に調整したソリ
ッドワイヤーを用いると共に、溶接電圧、溶接電流、溶
接速度、溶接トーチ傾斜角度および前進角度などの溶接
条件を厳密に規定して、疲労特性に優れたものとするた
めの曲率半径ρを得る様な溶接方法が提案されている。
しかしながらこうした技術では、溶接開始から終了まで
安定して上記のような溶接条件を継続して確保すること
は現実問題として困難であり、品質安定性の点で問題が
あった。
スラグの粘性が高過ぎると溶接ビード止端部にオーバー
ラップが形成され易く、その一方で粘性が低過ぎると凸
状ビードになり易いという知見に基づき、適切な粘性を
有するスラグ成分系(TiO 2−MgO−ZrO2−Si
O2−鉄酸化物)を形成する水平すみ肉溶接用フラック
ス入りワイヤーが提案されている。
ス入りワイヤーでは、溶接パス毎に溶接ビード表面に多
量のスラグが形成されることになるので、溶接組み立て
工程においてスラグ除去作業が必要となり、場合によっ
てはスラグの剥離が困難なこともあり、作業性が著しく
低下するという問題がある。
従来技術が有する課題を解決するためになされたもので
あって、その目的は、疲労強度が優れた溶接継手を得る
ことができ、母材として高張力鋼板を用いた場合であっ
てもその鋼板本来の疲労強度を十分活かすことのできる
鉄系消耗溶接材料、およびこうした特性を発揮すること
のできる溶接継手を提供することにある。
のできた鉄系消耗溶接材料とは、C:0.005〜0.
40%,Mn:0.2〜8.0%およびSi:1.1%
超、8.0%以下を夫々含有すると共に、Se:0.0
1〜1%および/またはTe:0.01〜1%を含有す
る点に要旨を有するものである。
要によって下記の各成分を含有させることも有効であ
り、含有する成分に応じて溶接金属の特性が改善され
る。 (1)Ni:0.01〜5%、Nb:0.01〜1%お
よびV:0.01〜1%よりなる群から選ばれる1種以
上 (2)Cr:0.005〜3% (3)Mo:0.005〜3% (4)Cu:0.05〜1.5% (5)Ca:0.001〜0.05%および/または希
土類元素:0.001〜0.05% (6)B:0.0005〜0.05%
的には、ソリッドワイヤー(裸ワイヤー)、被覆溶接棒
またはフラックス入りワイヤー(例えば、メタル系フラ
ックス入りワイヤーやスラグ系フラックス入りワイヤー
等)等が挙げられる。
立てられた溶接継手にあっては、疲労強度が優れたもの
となる。殊に、溶接金属部が、Feを主成分とすると共
に、Si:0.7〜5.5%、Seおよび/またはT
e:0.005〜0.6%を夫々含有するものであれ
ば、疲労強度に特に優れた溶接継手となる。尚、こうし
た溶接継手は、溶接材料と溶接母材の化学成分の組み合
わせ、および溶接条件を適切に調整することによって得
ることができる。
の形状を良好にするという観点から、様々な角度から検
討した。特に、溶接電圧、溶接電流、溶接速度、溶接ト
ーチ角度や前進角度などの溶接条件を厳密に規定せずと
も、良好なビード形状を安定して得るには、母材に対す
る溶融金属の濡れ性を良好にすることが得策でないかと
いう指針に基づき、鋭意研究を行なった。
の濡れ性を良好にするには、溶融金属中にSeやTeを
含有させると共に、これらの含有量とSiの含有量を適
切な範囲[Si:0.7〜5.5%,Seおよび/また
はTe:0.005〜0.6%]に制御してやれば良い
との知見が得られた。そして、溶接材料中に含まれるこ
れらの元素含有量と溶接ビードの関係および疲労試験を
行なったところ、溶接材料中のSeおよび/またはTe
の含有量を0.01〜1%とすると共に、Siの含有量
を1.1%超、8.0%以下とした場合にはビード形状
が良好となり、疲労強度が安定して発揮されることを見
出し、本発明を完成した。
うにSe,TeおよびSiの含有量を適切な範囲に調整
するものであるが、基本成分であるC,Mnについても
適切に調整する必要がある。これらの成分の範囲限定理
由は次の通りである。
効な成分である。鉄系消耗溶接材料中の成分の溶接金属
への歩留まりを考慮すると、C含有量が0.005%未
満では溶接金属に所望の強度を付与することができな
い。しかしながら、鉄系消耗溶接材料中のC含有量が
0.40%を超えると、溶接性(例えば、低温割れや遅
れ破壊等)の劣化を招くばかりか、高炭素マルテンサイ
トを生成して靭性が低下することになる。尚、C含有量
の好ましい下限は0.01%であり、好ましい上限は
0.3%である。
作用によって、溶接金属の強度と靭性の双方を向上させ
る効果を発揮する。こうした効果を発揮させるために
は、Mn含有量は0.2%以上とする必要がある。しか
しながら、Mn含有量が過剰になると、耐割れ性および
靭性が著しく劣化するので8.0%以下とする必要があ
る。尚、Mn含有量の好ましい下限は0.6%であり、
好ましい上限は7.0%である。
溶接の様に急速に凝固する液体の濡れ性を高めるために
は、Seおよび/またはTeを含有させて表面張力を低
下させるだけでは不十分であり、溶融金属中の粘性を低
下させて流動性を高める必要がある。更には、鋼の強度
上昇に有効であるだけでなく、強力な脱酸効果を発揮す
るので、気泡の発生を防止したり、溶接金属の酸化を防
止して強度低下を防止するなど、極めて重要な役割を果
たしている。しかしながら、Si含有量が1.1%以下
では、溶融金属の粘性が濡れ性を向上させるのに十分に
低下しないので、ビード形状の改善には至らない。一
方、Si含有量が過剰になって8.0%を超えると、鋼
の靭性の劣化をもたらし、溶接金属に割れが発生し易く
なる。尚、Si含有量は、好ましくは1.2%以上、よ
り好ましくは1.3%以上、最も好ましくは1.5%以
上とするのが良い。
e:0.01〜1% SeはFe基溶融金属の表面張力を低下させるのに有効
な元素であり、母材(鋼材)との濡れ性を向上させる効
果を発揮する。但し、Seは酸化され易く、また蒸気圧
が高いことに起因して溶接アーク中で蒸発し易いため
に、溶接材料から溶融金属中への歩留まりが悪い。溶融
金属と母材の濡れ性を向上させるためには、溶接材料中
に含まれるSeが溶融金属中に移行する必要がある。溶
接材料成分の溶融金属への歩留まりを考慮すると、0.
01%未満では期待する濡れ性を確保することができな
い。しかしながら、Se含有量が1%を超えると、蒸発
するSe量が増大してスパッタが増大する等の溶接作業
性が著しく劣化する。
元素であり、しかも濡れ性を高める効果はSeよりも本
来は高いものである。しかしながら、TeはSe以上に
酸化し易いばかりか、蒸気圧も高いので、溶接材料から
溶融金属中への歩留まりが極めて悪い。そのため、溶融
金属中に含まれるTe量はSeより少なくてもその効果
が認められるものの、歩留まりを考慮すると0.01%
以上含有させる必要がある。また、Seと同様の理由
で、1%以下とする必要がある。
で含有させることによってその効果を発揮し得るもので
あるが、複合して含有させることによってその効果は更
に高いものとなる。また、これらの成分の好ましい下限
は0.02%程度程度であり、好ましい上限は0.9%
程度である。
な化学成分は上記の通りであるが、必要によってNi,
Nb,V,Cr,Mo,Cu,Ca,希土類元素,B等
を含有させることも有効であり、含有させる成分に応じ
て溶接金属の特性が改善される。これらの成分の範囲限
定理由は下記の通りである。
1%およびV:0.01〜1%よりなる群から選ばれる
1種以上 Ni,NbおよびVは、いずれも溶接金属の靭性改善お
よび強度向上に有効な元素である。このうちNiはその
含有量が0.01%未満では、こうした効果を発揮する
ことができない。またNi含有量が5%を超えると、一
次晶粒界が発達して靭性が却って劣化することになる。
一方、NbやVは、Niと同様の効果を発揮すると共
に、高温強度向上にも寄与する。こうした効果を発揮さ
せるためには、いずれも0.01%以上含有させること
が好ましい。しかしながら、NbやVの含有量が1%を
超えると、炭化物の生成により靭性および耐割れ性の低
下が生じる。尚、これらの元素のより好ましい下限は
0.02%程度であり、より好ましい上限は0.8%程
度である。
耐食性向上および高温強度向上等の効果を発揮する。こ
うした効果を発揮させるためには、Cr含有量は0.0
05%以上とすることが好ましい。しかしながら、Cr
含有量が過剰になって3%を超えると自硬性が高くな
り、耐割れ性が低下する。尚、Cr含有量のより好まし
い下限は0.1%程度であり、より好ましい上限は2.
7%程度である。
その強度向上に寄与する。こうした効果を発揮させるた
めには、0.005%以上含有させることが好ましい。
しかしながら、Mo含有量が過剰になって3%を超える
と、炭化物が生成されて靭性が悪くなる。
揮する。こうした効果を発揮させるためには、0.05
%以上含有させることが好ましいが、1.5%を超えて
過剰になるとその効果が飽和すると共に、溶接割れなど
の弊害が生じることになる。尚、Cu含有量のより好ま
しい下限は0.1%程度であり、より好ましい上限は
1.2%程度である。また、このCu含有量は、鉄系消
耗溶接材料の表面にCuめっきが施される場合(例え
ば、被覆溶接棒)には、めっきのCu量も含めた値であ
る。
たは希土類元素:0.001〜0.05% Caおよび希土類元素(REM)は、主に溶接金属の強
度上昇、延性の向上、アーク安定化に有効な元素であ
り、こうした効果を発揮させるためには、いずれも0.
001%以上含有させることが好ましい。しかしなが
ら、これらの元素の含有量が0.05%を超えると、溶
接金属中の非金属介在物量が多くなって延性を劣化させ
ることになる。尚、これらの元素のより好ましい下限は
0.002%程度であり、より好ましい上限は0.04
%程度である。また、上記REMは、スカンジウム(S
c)、イットリウム(Y)およびランタノイド系列希土
類元素(原子番号57〜71)のいずれをも含む意味で
あり、これらの元素のうちの1種または2種以上を用い
れば良い。
た低温靭性を発揮させる。こうした効果を発揮させるた
めには、0.0005%以上含有させることが好まし
い。しかしながら、B含有量が過剰になって0.05%
を超えると、耐溶接割れ性が著しく悪化する。尚、B含
有量のより好ましい下限は0.0007%程度であり、
より好ましい上限は0.04%程度である。
な化学成分および必要により含有させる有効成分は上記
の通りであり、残部は実質的に鉄からなるものである
が、「実質的に鉄」とはFe以外にもその特性を阻害し
ない程度の微量成分の含有も許容できることを意味する
ものであり、こうした許容成分としてP,S,As,S
b等の不可避的不純物が挙げられる。また、上記した各
有効成分であっても、その好ましい下限未満の含有では
不可避不純物に相当するものとなる。更に、不純物のう
ち、特にPやSについては、下記の如くその含有量を抑
制することが好ましい。
以下 P含有量が過剰になると、フェライト中に固溶したPに
よってマトリックスの靭性が損なわれるだけでなく、溶
接割れの原因になる。こうしたことから、P含有量は
0.05%以下に抑制することが好ましい。また、S含
有量が過剰になると、SeやTeを含有させた場合に
は、Pと同様に、溶接金属部の延性や耐割れ性の劣化を
招くことになる。こうしたことから、Sについてもその
含有量を0.05%以下に抑制することが好ましい。
尚、上記した作用を考慮すると、PおよびSのいずれも
その含有量を0.03%未満にすることがより好まし
い。
によってAl,Ti,Zr等の脱酸剤を含有させること
もできる。これらを含有させるときの範囲限定理由は下
記の通りである。
1%およびZr:0.01〜1%よりなる群から選ばれ
る1種以上 これらの元素は、いずれも脱酸剤として作用するが、こ
うした効果を発揮させるためには、いずれも0.01%
以上含有させることが好ましい。しかしながら、Alに
ついては、その含有量が過剰になって、1%を超える
と、脱酸生成物であるAl2O3が溶接金属中に多く残存
する様になって、靭性が大幅に低下する。
も強脱酸剤であり溶着金属の酸化を防止するばかりか、
酸化物を生成するので析出硬化による強度上昇と組織の
微細化による靭性の改善に効果がある。しかしながら、
TiやZrの含有量が過剰になって1%を超えると溶接
性が劣化すると共に、炭化物の形成および析出によって
靭性が大幅に低下することになる。尚、これらの元素の
より好ましい下限は0.02%程度であり、より好まし
い上限は0.9%程度である。
的なものとして鋼製ソリッドワイヤー(裸ワイヤー)や
被覆溶接棒等が例示されるが、鋼製シース材の内側に金
属粉末やスラグ形成剤を充填したメタル系フラックス入
りワイヤーやスラグ系フラックス入りワイヤー等にも適
用可能である。このうちスラグ系フラックス入りワイヤ
ーとして使用する場合には、溶接作業性の低下を防ぐた
めに、溶接後のスラグ剥離性を向上させる必要がある。
こうした観点から、酸化ビスマスを添加することも有効
であるが、この場合の添加量は鉄系消耗溶接材料全質量
当たり0.002〜0.1%程度が適用である。
などの目的で、必要に応じてフラックス成分として、酸
化物、弗化物、金属および合金などを適量添加すること
もできる。例えば、スラグ量を調整するためのスラグ形
成剤としてCaO,MnO,Al2O3等の酸化物を添加
したり、脱水素剤としてCaF2,SrF2,MgF2,
K2SiF6等の弗化物、等を添加することも有効であ
る。
りワイヤーとして使用する場合に、ワイヤーの断面形
状、ケーシング材質、ワイヤー径等についても特に限定
されるものではない。また、成分の添加形態に関して
は、通常外皮金属として軟鋼等が用いられるが、外皮金
属だけでは不足する成分や添加量については、フラック
スへの配合によって補い、ワイヤー全重量に対する所定
の含有量とすれば良い。更に、外皮成分については特に
限定されるものではない。尚、フラックス充填率につい
ても特に限定されるものではないが、ワイヤーの加工性
の点を考慮すれば、5〜25%程度が適当である。
様々な形態のものとして使用できるが、その形態がソリ
ッドワイヤーであれフラックス入りワイヤーであれ、溶
接のシールドガスについては特に制限されず、炭酸ガス
アーク溶接の他、Arガスを主体とするガスアーク溶接
等にも適用可能である。いずれの形態を採用するにして
も、本発明の鉄系消耗溶接材料を使用して溶接継手を組
み立てることによって、溶接継手に優れた疲労強度を付
与することができる。
は、上記の様に、Si:0.7〜5.5%、Seおよび
/またはTe:0.005〜0.6%を夫々含有する様
に調整することがが好ましいが、これらの範囲限定理由
は次の通りである。
と同一である。但し、溶接材料中に含まれるSiは、溶
融状態で気相中等に含まれる酸素と反応してSiO2等
のスラグとなるため、溶接材料に含まれるSi全てが歩
留まるとは限らない。上記の通り、歩留まりを考慮して
0.7〜5.5%とするのが良い。
0.6% SeおよびTeの基本的な作用は、溶接材料の説明で記
述した内容と同一である。但し、SeおよびTeは酸化
され易く、溶接材料に含まれるSe,Teの全てが溶接
金属中に歩留まるとは限らないので、歩留まりを考慮す
る必要がある。
させる為には、SeやTeを単独または複合して少なく
とも溶接金属中に0.005%以上含有させる必要があ
るが、0.6%を超えると溶接作業性が極めて劣化する
ことになる。
る母材については、高張力鋼の場合に最もその効果が発
揮されるものとなるが、本発明で用いる母材の種類につ
いては高張力鋼に限らず、例えば軟鋼、その他の鋼材等
にも適用できるものであり、こうした場合にあっては、
溶接材料と溶接母材の化学成分の組み合わせ、および溶
接条件を適切に調整して、溶接金属部の化学成分を上記
の範囲内となる様にすることによって、疲労強度に優れ
た溶接継手とすることができる。
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
用い、下記の溶接条件で重ねアーク溶接継手を作製し
た。このときの溶接の状態(ワイヤー狙い位置)を図2
に示す。尚、図2において、1,2は母材(前記図1参
照)、4は溶接材料を夫々示す。このときの溶接材料と
しては、軟鋼製ケーシング内に金属粉末を充填し、全体
の化学組成が下記表2になるように調整したメタル系フ
ラックス入りワイヤー(直径:1.2mm)を作製して
実験に供した。 (溶接条件) 溶接電流:240A 溶接電圧:33V 溶接速度:80cm/min 突き出し長さ:20mm シールドガス:100%CO2(供給量:20L/mi
n)
示した溶接ビード止端部の曲率半径ρと接触角θ、およ
び疲労強度並びに溶接金属部の化学成分について調査し
た。尚、溶接金属部の化学成分分析は下記の手法により
行なった。
の表層から切粉を採取して分析に供し、Si,Se,T
eの各成分の分析を下記の方法によって行なった。 Si:Mo青吸光光度法(≦1%),重量法(≧1%) Se:2.3ジアミノナフタリン抽出吸光光度法 Te:よう化テトラnヘキシルアンモニウム抽出原子吸
光法
と接触角θについては、夫々任意に選択した10箇所の
値の平均値で求めた。また、疲労強度については、図3
に示す溶接継手(溶接ままの状態)を試験片(図中、参
照符号1〜3については前記図1と同じ)として用いて
両振り平面曲げ疲労試験を行ない(周波数:25Hz,
正弦波応力,応力比:−1)、2×106回の繰り返し
に耐え得る最大荷重として求めた。
3には、溶接時のスパッタ発生状況を評価することによ
って、溶接作業性についての評価結果の結果についても
示した。
ず、試験No.10〜17のものは、用いた溶接材料お
よび溶接金属ともが本発明で規定する化学成分範囲を満
足する実施例であり、溶接ビード止端部の曲率半径ρお
よび接触角θともに大きくなっており、疲労強度が高く
なっていることが分かる。
のでは、溶接材料および溶接金属の化学成分が本発明で
規定する範囲から外れている比較例であり、溶接継手に
高い疲労強度が得られていない(試験No.20,21
のものは、溶接スパッタ発生量が極めて多く、溶接作業
性が著しく劣化したため未評価)。これらの比較例につ
いては、次の様に評価できる。
eおよびTeのいずれの含有量が溶接材料、溶接金属と
もに本発明で規定する範囲よりも少ないので、溶融金属
と鋼板の濡れ性向上および溶融金属の粘性低下効果の少
なくともいずれかの改善効果が小さくなっており、溶接
ビード止端部の曲率半径ρと接触角θが小さくなってい
る。
有量が少なくなっているので、溶接金属部の強度が低く
なっており、そのため溶接金属部の疲労強度が低下して
結果的に溶接継手部の強度が低下している。
が本発明で規定する範囲を超えているので、溶接金属部
の靭性が低下し、溶接金属部に微小クラックが生じ、溶
接継手部の疲労強度が低下している。
本発明で規定する範囲を超えているので、溶接金属部の
強度が低下し、溶接金属部に微小クラックが発生し、溶
接継手部の疲労強度が低下している。
材料、溶接金属ともにSi含有量が本発明で規定する範
囲を超えているので、溶接金属部の靭性が低下し、溶接
金属部に微小クラックが生じ、溶接継手部の疲労強度が
低下している。
接材料および溶接金属中のSi,Se,Teの含有量を
適切に調整することによって、溶接ビード止端部の曲率
半径と接触角を大きくすることができ、溶接ビードの手
直しをすることなく溶接ままで高い疲労強度を得ること
のできる鉄系消耗溶接材料や溶接継手が実現でき、こう
した溶接材料は母材として高張力鋼板を用いた場合であ
ってもその鋼板本来の疲労強度を十分活かすことができ
極めて有用である。
継手部の断面形状を示す説明図である。
の状態(ワイヤー狙い位置)を示す説明図。
片の形状を示す説明図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 C:0.005〜0.40%(鉄系消耗
溶接材料の全質量に対する質量%の意味、溶接材料につ
いては以下同じ),Mn:0.2〜8.0%およびS
i:1.1%超、8.0以下%を夫々含有すると共に、
Se:0.01〜1%および/またはTe:0.01〜
1%を含有することを特徴とする溶接継手部の疲労強度
に優れた鉄系消耗溶接材料。 - 【請求項2】 Ni:0.01〜5%、Nb:0.01
〜1%およびV:0.01〜1%よりなる群から選ばれ
る1種以上を含有するものである請求項1に記載の鉄系
消耗溶接材料。 - 【請求項3】 Cr:0.005〜3%を含有するもの
である請求項1または2記載の鉄系消耗溶接材料。 - 【請求項4】 Mo:0.005〜3%を含有するもの
である請求項1〜3のいずれかに記載の鉄系消耗溶接材
料。 - 【請求項5】 Cu:0.05〜1.5%を含有するも
のである請求項1〜4のいずれかに記載の鉄系消耗溶接
材料。 - 【請求項6】 Ca:0.001〜0.05%および/
または希土類元素:0.001〜0.05%を含有する
ものである請求項1〜5のいずれかに記載の鉄系消耗溶
接材料。 - 【請求項7】 B:0.0005〜0.05%を含有す
るものである請求項1〜6のいずれかに記載の鉄系消耗
溶接材料。 - 【請求項8】 鉄系消耗溶接材料が、ソリッドワイヤ
ー、被覆溶接棒またはフラックス入りワイヤーのいずれ
かである請求項1〜7のいずれかに記載の鉄系消耗溶接
材料。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の鉄系消
耗溶接材料を用いて組み立てられたものである溶接継
手。 - 【請求項10】 溶接金属部は、Feを主成分とすると
共に、Si:0.7〜5.5%(溶接金属部中の質量%
の意味、溶接金属部については以下同じ)、Seおよび
/またはTe:0.005〜0.6%を夫々含有するこ
とを特徴とする疲労強度に優れた溶接継手。
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