JP2002356779A - 誘電体薄膜の製造装置及び誘電体薄膜の成膜方法 - Google Patents

誘電体薄膜の製造装置及び誘電体薄膜の成膜方法

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JP2002356779A
JP2002356779A JP2001160549A JP2001160549A JP2002356779A JP 2002356779 A JP2002356779 A JP 2002356779A JP 2001160549 A JP2001160549 A JP 2001160549A JP 2001160549 A JP2001160549 A JP 2001160549A JP 2002356779 A JP2002356779 A JP 2002356779A
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dielectric thin
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Yutaka Takeshima
裕 竹島
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成膜前に成膜チャンバに原料ガスを導入する
ことを要件とすることなく、原料ガスの組成分析を行う
ことが可能で、組成安定性、及び特性安定性の高い誘電
体薄膜を製造することが可能な誘電体薄膜の製造装置及
び成膜方法を提供する。 【解決手段】 MOCVD法により誘電体薄膜を成膜す
る成膜チャンバ21に誘電体薄膜原料ガスを搬送するた
めの原料搬送系Bに設けられた分岐路Cに質量分析器2
7を配設し、成膜前、あるいは成膜前及び成膜工程中
に、成膜チャンバ21に供給される誘電体薄膜原料ガス
の組成を分析し、その結果に基づいて、成膜チャンバ2
1に供給される誘電体薄膜原料ガスの組成を制御する。
また、質量分析器27により、誘電体薄膜原料ガス中の
各原料成分とキャリアガス成分の濃度比を分析し、その
結果に基づいて原料気化量を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、小面積で大容量
を得ることが可能な薄膜キャパシタなどの製造に用いら
れる誘電体薄膜の製造装置及び誘電体薄膜の成膜方法に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
電子機器の分野においては、回路の高密度化に伴い、回
路に用いられる積層セラミックコンデンサなどの電子部
品に対して、より一層の小型化、高性能化が望まれるよ
うになっている。
【0003】ところで、このような小型化及び高性能化
が望まれている積層セラミックコンデンサは、通常、以
下のような方法で製造されている。 (1)まず、所定の大きさにカットされたセラミック生シ
ート上に電極ペーストを印刷し、乾燥する。 (2)それから、電極ペーストを印刷し、乾燥した生シー
トを積層し、圧着することにより、積層圧着ブロックを
形成する。 (3)そして、この積層圧着ブロックを所定の位置でカッ
トして、個々の素子に分割する。 (4)分割された個々の素子を所定の条件で焼成する。 (5)焼成された素子の所定の位置に外部電極ペーストを
塗布し、焼き付けて外部電極を形成する。これにより、
製品である積層セラミックコンデンサが形成される。
【0004】しかしながら、上記従来の方法で積層セラ
ミックコンデンサを製造する場合、セラミック原料粉末
の粒径よりも誘電体層を薄くすることは不可能であり、
また、セラミック原料粉末の粒径よりも厚みが大きい場
合であっても、誘電体層を薄くしすぎると、誘電体層の
欠陥によるショートや電極切れなどが発生しやすくなる
という問題点がある。このように、現状では誘電体層の
厚みが1μm以下の積層セラミックコンデンサを製造す
ることは困難で、小型、大容量化が制約されているのが
実情である。
【0005】そこで、このような問題点を解消して、誘
電体厚みが1μm以下の積層セラミックコンデンサを製
造できるようにするために、誘電体の製造方法に、CV
D法、ゾル−ゲル法、PVD法などの薄膜製造プロセス
を適用することが検討されている。
【0006】そして、これらの方法のうち、原料ガスを
成膜チャンバ内に導入し、加熱された基板上に成膜する
CVD法は、結晶性が良好で、誘電率の高い薄膜を得る
ことができるという特徴を有している。
【0007】しかし、このCVD法は、構成元素が多く
なると、装置が非常に複雑になり、コストの増大を招く
という問題点がある。
【0008】また、高誘電率を得ることが可能な、Ba
TiO,SrTiO,(Ba,Sr)TiO,P
bTiO,Pb(Zr,Ti)O,(Pb,La)
TiO,(Pb,La)(Zr,Ti)O,Pb
(Mg,Nb)Oなどの誘電体材料を用いる場合、原
料が常温、常圧で固体あるいは液体であるため、減圧下
で加熱して蒸発あるいは昇華させることが必要になる。
【0009】そして、原料を蒸発あるいは昇華させるた
めには、原料が充分な蒸気圧を有していることが必要が
あり、さらに複合酸化物膜を製造する場合には、最も気
化温度の高い原料の搬送温度が、最も分解温度の低い原
料の分解温度よりも低くなければならないことから、原
料の選択範囲が非常に狭くなり、通常は、極めて高価な
原料を用いることが必要になるという問題点がある。
【0010】また、一般に原料を気化させるためには、
加熱を行うことが必要であり、原料そのものが重合など
の化学反応を引き起こして変質し、安定した気化量を得
ることが困難で、組成制御が容易ではないという問題点
がある。
【0011】これらの問題点を解消するために、特開平
10−12601号には、CVD装置の成膜チャンバに
質量分析器を接続し、原料供給系とは別に成膜チャンバ
内に供給した校正ガスと原料ガス成分の濃度差を分析
し、この結果に基づいて、成膜チャンバへの原料供給量
を制御するCVD成膜装置、及びCVD成膜方法が提案
されている。この方法は、成膜中の原料ガス濃度を制御
することが可能で、また質量分析器の感度が長期間の使
用や汚染などにより変化した場合でも、校正ガスとの濃
度比を検出することにより、その影響をキャンセルする
ことができるという特徴を有している。
【0012】しかしながら、CVD成膜装置(MOCV
D成膜装置)においては、成膜チャンバ内に著しい温度
分布があるため、気化状態で質量分析器に導入される原
料ガス量が少なくなるという問題がある。すなわち、一
般に用いられるコールドウォール型の成膜チャンバで
は、壁面に原料ガスが凝縮するおそれがある。また、酸
化物薄膜を成膜する場合、成膜チャンバ内に導入された
原料ガスはすでに酸化ガスと共存状態にあり、また、成
膜に用いる基板は原料の分解温度以上に保持されている
ので、原料ガスが分解し、原料成分の一部が気体状態で
はない状態(固体状態や液体状態)で質量分析器に導入
されるおそれがある。
【0013】その結果、気体状態でなくなった原料成分
が質量分析器に導入された場合は分析値の変動が激しく
なるという問題点がある。また、蒸気圧の低い原料ガス
や、主要成分ガスに対する濃度比率が小さい成分ガスに
ついては分析感度が悪くなるという問題点がある。さら
に、上記のCVD成膜装置は、本来、成膜に関与しない
種類のガス配管が必要で、設備が複雑になるという問題
点がある。
【0014】また、成膜チャンバに質量分析器が接続さ
れているので、成膜と分析を同時に開始する場合、何ら
かの理由により原料の気化特性が前回の成膜時と大きく
変化したような場合に、成膜初期の原料ガス濃度の調整
が収束するまでの間、組成が安定しない状態で成膜が開
始されることになり、誘電体膜の特性安定性が不十分に
なるという問題点がある。
【0015】また、特開平9−63965号は、原料ガ
ス発生系と反応管の間に分圧測定器を設けるようにした
有機金属気相成長装置を開示していますが、この特開平
9−63965号には、反応管を経由しないガス流路は
記載されておらず、分圧測定器により原料ガスの分圧を
測定しようとすると、反応管に原料ガスが導入されてし
まう(すなわち、反応管に原料ガスを導入することなく
分圧の測定を行うことができない)ため、場合によって
は、所望の組成に調整されていない原料ガスにより成膜
が行われることになり、誘電体膜の特性安定性が不十分
になるという問題点がある。
【0016】また、分圧測定器として質量分析器を使用
した場合、質量分析器内の全圧は10-4Torr以下である
ことが必要で、CVD成膜装置の配管途中に質量分析器
を設置しようとすれば質量分析器に差動排気機構を設け
る必要があり、原料ガス発生部と反応管の間に質量分析
器を設置し、分析ガスを成膜に使用することは極めて困
難で、実質上不可能である。
【0017】また、特開平11−312645号には、
質量分析器の上流側の圧力を制御するようにした有機金
属気相成長装置を開示していますが、この有機金属気相
成長装置においても、上述の特開平10−12601号
及び特開平9−63965号の場合と同様に、成膜チャ
ンバに原料ガスを導入することなく分析を行うことがで
きないという問題点がある。
【0018】本願発明は、上記問題点を解決するもので
あり、Ba,Sr系原料のような劣化しやすい原料を使
用することにより、キャリアガスの流量や分圧などの変
更が必要になるような場合にも、成膜前に成膜チャンバ
に原料ガスを導入することを要件とすることなく、原料
ガスの組成分析を行うことが可能で、組成安定性、及び
特性安定性の高い誘電体薄膜を製造することが可能な誘
電体薄膜の製造装置及び成膜方法を提供することを目的
とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本願発明(請求項1)の
誘電体薄膜の製造装置は、MOCVD法により誘電体薄
膜を成膜する成膜チャンバと、キャリアガスを用いて誘
電体薄膜原料を気化させる原料気化系と、前記原料気化
系で気化させた誘電体薄膜原料ガスをキャリアガスとと
もに成膜チャンバに搬送する原料搬送系と、前記成膜チ
ャンバへの誘電体薄膜原料ガスの導入を伴わない場合に
も、誘電体薄膜原料ガスの組成分析を行うことができる
ように、原料搬送系に設けられた分岐路に接続された質
量分析器と、前記質量分析器による誘電体薄膜原料ガス
の組成分析の結果に基づいて、成膜チャンバに供給され
る誘電体薄膜原料ガスの組成を制御する制御手段とを具
備することを特徴としている。
【0020】本願発明の誘電体薄膜の製造装置において
は、成膜チャンバへの誘電体薄膜原料ガスの導入を伴わ
ない場合にも、誘電体薄膜原料ガスの組成分析を行うこ
とができるように、原料搬送系に設けられた分岐路に質
量分析器を接続し、質量分析器による誘電体薄膜原料ガ
スの組成分析の結果に基づいて、制御手段により、成膜
チャンバに供給される誘電体薄膜原料ガスの組成を制御
するようにしているので、成膜チャンバに導入する前の
段階で、誘電体薄膜原料ガスの組成分析を行うことが可
能になり、成膜工程の初期の段階から安定した原料ガス
組成で成膜を行うことが可能になり、所望の組成を有
し、特性安定性に優れた誘電体薄膜を効率よく成膜する
ことが可能になる。
【0021】なお、本願発明において、質量分析器が接
続される分岐路は、原料気化系と成膜チャンバの間の任
意の位置に配設することが可能であり、その具体的な配
設位置に特別の制約はない。また、本願発明において、
誘電体薄膜原料ガスとは、完全に気化した状態のものに
限らず、一部凝縮して微細な液滴になったり、一部固化
して微細な粒子状になったりしたものを含有するガスな
どを含む広い概念である。
【0022】なお、成膜チャンバに供給される誘電体薄
膜原料ガスの組成を制御するための制御手段とは、質量
分析器による分析結果に基づいて、所定の原料を入れた
気化容器の圧力を調節して原料の気化量を増減したり、
キャリアガスの割合を調節して、原料ガス濃度を調節し
たりするような、種々の手段を含む広い概念である。
【0023】また、請求項2の誘電体薄膜の製造装置
は、前記質量分析器による誘電体薄膜原料ガスの組成分
析が、各原料成分とキャリアガス成分の濃度比を分析す
るものであり、かつ、該組成分析の結果に基づいて原料
気化量を制御することにより、成膜チャンバに供給され
る誘電体薄膜原料ガスの組成が制御されるように構成さ
れていることを特徴としている。
【0024】質量分析器により、誘電体薄膜原料ガス中
の各原料成分とキャリアガス成分の濃度比を分析し、そ
の結果に基づいて原料気化量を制御することにより、質
量分析器の感度が変化した場合にも、誘電体薄膜原料ガ
スの組成を安定に制御することが可能になり、本願発明
を実効あらしめることができるようになる。
【0025】また、請求項3の誘電体薄膜の製造装置
は、前記原料気化系で用いられるキャリアガスと同じガ
スを、流量制御した上で原料搬送系に導入する機構を備
えていることを特徴としている。
【0026】原料気化系で用いられるキャリアガスと同
じガスを、流量制御した上で原料搬送系に導入する機構
を設けることにより、原料ガス濃度を調整するためにキ
ャリアガス流量を変化させる場合にも、その変化量を気
化器とは別に原料搬送系に接続した系からのガス供給量
により制御することが可能になり、常に一定量の原料ガ
ス及びキャリアガスを成膜チャンバ内に供給することが
可能になるため、特性の安定性に優れた誘電体薄膜を成
膜することができるようになる。
【0027】また、請求項4の誘電体薄膜の製造装置
は、原料搬送系と質量分析器の間に、圧力調節手段が配
設されていることを特徴としている。
【0028】原料搬送系と質量分析器の間に、圧力調節
手段を配設するようにした場合、質量分析器より前段の
圧力を一定に制御することが可能になり、質量分析器の
感度が変化した場合にも、キャリアガス成分と原料ガス
成分の濃度比を分析することにより、原料ガス量を安定
に制御することが可能になる。また、原料ガスは、質量
分析器に導入される前に温度変化を受けたり、反応性ガ
スと接触することがないので、原料ガス中の所定の成分
ガスの蒸気圧が低い場合や不安定な場合、あるいは供給
量が主要成分の原料ガスに比べ著しく少ない場合などに
おいても、良好な分析感度を得ることが可能になる。
【0029】また、本願発明(請求項5)の誘電体薄膜
の成膜方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体
薄膜の製造装置を用いて誘電体薄膜を製造する方法であ
って、成膜前に、前記成膜チャンバに誘電体薄膜原料ガ
スを導入しない状態で、前記原料搬送系に接続された質
量分析器により、誘電体薄膜原料ガスの組成分析を行
い、その結果に基づいて、成膜チャンバに供給される誘
電体薄膜原料ガスの組成を制御することを特徴としてい
る。
【0030】成膜前に、成膜チャンバに誘電体薄膜原料
ガスを導入しない状態で、質量分析器により、誘電体薄
膜原料ガスの組成分析を行い、その結果に基づいて、成
膜チャンバに供給される誘電体薄膜原料ガスの組成を制
御することにより、成膜の初期工程で成膜チャンバに供
給されることになる誘電体薄膜原料ガス成分の組成を確
実に制御することが可能になり、特性の安定性に優れた
誘電体薄膜を成膜することが可能になる。
【0031】また、請求項6の誘電体薄膜の成膜方法
は、前記質量分析器による誘電体薄膜原料ガスの組成分
析が、各原料成分とキャリアガス成分の濃度比を分析す
るものであり、かつ、該組成分析の結果に基づいて原料
気化量を制御することにより、成膜チャンバに供給され
る誘電体薄膜原料ガスの組成が制御されるように構成さ
れていることを特徴としている。
【0032】質量分析器により、誘電体薄膜原料ガス中
の各原料成分とキャリアガス成分の濃度比を分析し、そ
の結果に基づいて原料気化量を制御することにより、質
量分析器の感度が変化した場合にも、誘電体薄膜原料ガ
スの組成を安定に制御することが可能になり、本願発明
を実効あらしめることができる。
【0033】また、本願発明(請求項7)の誘電体薄膜
の成膜方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体
薄膜の製造装置を用いて誘電体薄膜を製造する方法であ
って、成膜前に、前記成膜チャンバに誘電体薄膜原料ガ
スを導入しない状態で、前記質量分析器により、誘電体
薄膜原料ガスの組成分析を行い、その結果に基づいて、
成膜チャンバに供給される誘電体薄膜原料ガスの組成を
制御するとともに、成膜工程中に、前記成膜チャンバに
誘電体薄膜原料ガスを導入した状態で、前記原料搬送系
に接続した質量分析器により、誘電体薄膜原料ガスの組
成分析を行い、その結果に基づいて、成膜チャンバに供
給される誘電体薄膜原料ガスの組成を制御することを特
徴としている。
【0034】成膜前に、成膜チャンバに誘電体薄膜原料
ガスを導入しない状態で、質量分析器により、誘電体薄
膜原料ガスの組成分析を行い、その結果に基づいて、成
膜チャンバに供給される誘電体薄膜原料ガスの組成を制
御するとともに、成膜工程中に、成膜チャンバに誘電体
薄膜原料ガスを導入した状態で、原料搬送系に接続した
質量分析器により、誘電体薄膜原料ガスの組成分析を行
い、その結果に基づいて、成膜チャンバに供給される誘
電体薄膜原料ガスの組成を制御することにより、成膜の
初期工程及び成膜工程中における誘電体薄膜原料ガス成
分の組成を確実に制御することが可能になり、さらに特
性の安定性に優れた誘電体薄膜を成膜することができる
ようになる。
【0035】また、請求項8の誘電体薄膜の成膜方法
は、前記成膜前及び前記成膜工程中における前記質量分
析器による誘電体薄膜原料ガスの組成分析が、各原料成
分とキャリアガス成分の濃度比を分析するものであり、
かつ、該組成分析の結果に基づいて原料気化量を制御す
ることにより、成膜チャンバに供給される誘電体薄膜原
料ガスの組成が制御されるように構成されていることを
特徴としている。
【0036】成膜前及び成膜工程中において、質量分析
器により、誘電体薄膜原料ガス中の各原料成分とキャリ
アガス成分の濃度比を分析し、その結果に基づいて原料
気化量を制御することにより、質量分析器の感度が変化
した場合にも、誘電体薄膜原料ガスの組成を安定に制御
することが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめ
ることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の実施の形態を示
して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0038】[誘電体薄膜の製造装置]図1は、高い比
誘電率を有する(Ba,Sr)TiO3薄膜を製造する
のに用いた本願発明の一実施形態にかかる誘電体薄膜の
製造装置の構成を示す図である。図1の誘電体薄膜の製
造装置は、MOCVD法による誘電体薄膜の製造装置で
あり、成膜チャンバ21と、各種の金属化合物原料を気
化させる原料気化系Aと、原料気化系Aで気化させた誘
電体薄膜原料ガスをキャリアガス(この実施形態ではA
rガス)とともに成膜チャンバ21に搬送する原料搬送
系Bと、原料気化系Aと成膜チャンバ21の間の原料搬
送系Bに設けられた分岐路Cに接続された質量分析器2
7を備えた構成を有しており、質量分析器27は圧力調
整バルブ26を介して原料搬送系Bに接続されている。
また、この実施形態の誘電体薄膜の製造装置は、質量分
析器27による誘電体薄膜原料ガスの組成分析の結果に
基づいて、成膜チャンバ21に供給される誘電体薄膜原
料ガスの組成を制御する制御手段(図示せず)を備えて
いる。
【0039】また、この実施形態の誘電体薄膜の製造装
置は、原料ガス濃度を調整するために原料気化系Aに供
給されるキャリアガスと同じガス(Arガス)を、MF
C19により流量制御した上で、原料搬送系Bの一部を
構成している混合機20に導入するキャリアガス導入機
構Dを備えており、原料ガス濃度を調整するためにキャ
リアガス流量を変化させる場合にも、その変化量を、原
料気化系Aとは別の経路から原料搬送系Bに供給される
ガスの供給量により制御することができるように構成さ
れている。また、質量分析器27の下流側には、真空吸
引手段28が接続されており、また、成膜チャンバ21
には、内部を所定の圧力(真空度)に保持するためのメ
カニカルブースターポンプ82及びロータリーポンプ8
3が接続されている。
【0040】また、この実施形態の誘電体薄膜の製造装
置においては、原料容器(Ba気化器)11に、MOC
VD原料であるテトラエチレンペンタミン付加物が付加
されたジピバロイルメタナトバリウム(Ba(C1119
22(C82352)が充填され、原料容器(Ti
気化器)14に、チタンイソプロポキサイド(Ti(i
−OC374)が充填され、原料容器(Sr気化器)
16に、テトラエチレンペンタミン付加物のついたジピ
バロイルメタナトストロンチウム(Sr(C11
1922(C82352)が充填されている。
【0041】これらのMOCVD原料のうち、原料容器
(Ba気化器)11に充填されたBa(C111922
(C82352、及び原料容器(Ti気化器)14に
充填されたTi(i−OC374は室温で液体であ
る。また、原料容器(Sr気化器)16に充填されたS
r(C111922(C82352は室温では固体で
あり、その融点は70℃付近である。
【0042】また、この実施形態の誘電体薄膜の製造装
置は、成膜工程で原料を使用した後の原料再生工程で用
いられる、テトラエチレンペンタミン(付加物)を充填
した容器(付加物容器)12,17を備えている。な
お、この付加物容器12,17は、原料再生工程で用い
られるものであり、成膜工程で用いられることはない。
【0043】なお、原料容器(気化器)11,14,1
6、付加物容器12,17、混合機20、及び成膜チャ
ンバ21までの配管(ライン)など、図1において、点
線で囲まれた部分は、所定の温度に加熱保持することが
できるように構成されている。
【0044】金属化合物に付加された付加物(この実施
形態では、テトラエチレンペンタミン付加物)は加熱に
よって徐々に離脱するが、連続する成膜工程と成膜工程
との間の、成膜を行っていない工程で付加物を付加する
ことにより、原料を再生してその有効利用及び原料組成
の安定化を図ることが可能になり、ひいては、薄膜の特
性の安定化を図ることが可能になる。
【0045】[(Ba,Sr)TiO3薄膜の成膜]次
に、上述のように構成された薄膜製造装置を用いて、
(Ba,Sr)TiO 3薄膜を製造する方法について説
明する。まず、原料供給条件を、良好な特性の(Ba,
Sr)TiO3薄膜が得られるように調節し、そのとき
のArガスに対する原料濃度を成膜前及び成膜時に質量
分析器を用いて予め分析しておく。なお、成膜前におい
ては、バルブ33,32,42,53,52,25,2
2,72、81を開、バルブ36,35,34,43,
56,55,54,23を閉、圧力調整バルブ31,4
1,51,26,24,71を圧力調節状態にして、ガ
ス濃度の分析を行う。
【0046】また、成膜時においては、上記成膜前の状
態から、バルブ22を閉じた状態、及びバルブ23を開
けた状態の両方の状態についてガス濃度の分析を行う。
なお、成膜前の状態においては、圧力調整バルブ24を
調整して、圧力計61により測定される圧力が、成膜時
に圧力計61により測定される圧力と同じになるように
制御しておく、
【0047】また、成膜時においては、原料ガス濃度が
一定となるように原料気化条件を調節する。この調節
は、質量分析器27で分析した結果に基づいて、制御手
段のプログラムにより、マイクロフローコントローラ
(MFC)13,15,18,19、あるいは各原料容
器(気化器)11,14,16に接続した圧力調整バル
ブ31,41,51を自動制御することにより行う。
【0048】また、誘電体薄膜原料ガス中の原料成分の
濃度が低下してきた場合には、制御手段により、キャリ
アガスの流量を増やすか、各原料容器(気化器)11,
14,16の圧力を下げるかして、気化量を増大させる
ことにより、誘電体薄膜原料ガス中の原料成分の濃度を
所定の濃度の回復させる。
【0049】なお、原料成分の濃度を制御するにあたっ
ては、原料成分濃度の変化量が小さい場合には各原料容
器(気化器)11,14,16の圧力を制御することに
より、また、原料成分濃度の変化量が大きい場合には、
キャリアガス流量を制御することにより、効率よく、誘
電体薄膜原料ガス中の原料成分の濃度を制御することが
できる。また、キャリアガス流量を変化させた場合に
は、MFC15を自動制御し、圧力計61の部分に流入
するArガス量が一定になるようにする。また、成膜
前、成膜中とも圧力計62が接続された位置の圧力が一
定となるように、圧力調整バルブ26により圧力を制御
しておく。
【0050】[原料の再生]次に原料(金属化合物原
料)の再生方法について説明する。金属化合物原料に付
加された付加物(この実施形態では、テトラエチレンペ
ンタミン付加物)は加熱によって徐々に離脱するが、以
下に説明するように、成膜工程と成膜工程との間の、成
膜を行っていない工程で付加物を付加することにより、
原料を再生することができる。
【0051】(1)キャリアガスを流した状態で、原料容
器(Ba気化器)11,原料容器(Sr気化器)16内
の、Ba原料及びSr原料を所定の温度にまで冷却し、
温度が安定した状態で、バルブ34、バルブ54を混合
器20に通じる側に切り替える。 (2)そして、付加物容器12,17を迂回してキャリア
ガスを原料容器11,原料容器16に導く配管のバルブ
33,53を閉じ、付加物容器(テトラエチレンペンタ
ミン容器)12,17と原料容器11,原料容器16を
接続する配管のバルブ35,36,55,56を開く。
なお、このとき付加物容器12,17は、予め所定の温
度に保持されている。付加物容器12,17の温度は、
原料容器11,原料容器16と付加物容器12,17の
圧力差、及びテトラエチレンペンタミンの蒸気圧曲線か
ら算出されるものであり、原料容器11と付加物容器1
2、原料容器16と付加物容器17におけるテトラエチ
レンペンタミンの気化量がほぼ等しくなるように設定さ
れている。また、原料容器11,原料容器16の前後の
バルブを含む配管は、原料容器11,原料容器16より
も高い温度に保持されており、付加物容器(テトラエチ
レンペンタミン容器)12,17の前後のバルブを含む
配管は、付加物容器12,17よりも高い温度に保持さ
れている。 (3)この状態で、原料容器11,原料容器16に、原料
の気化温度に加熱したキャリアガスを流し、所定時間そ
の状態を保持する。なお、このとき、原料容器11,原
料容器16の圧力は、それぞれ、約16Torr,約11To
rrとした。 (4)その後、原料供給用の各配管に配設された圧力調整
バルブ31,51を閉じ、原料容器11,原料容器16
が大気圧になった状態でバルブ32,35,36,5
2,55,56を閉じ、原料容器11,原料容器16、
及び付加物容器12,17を冷却する。 (5)さらに、適宜、キャリアガスを、付加物容器12,
17を迂回する配管のバルブ33,53を開き、配管内
のテトラエチレンペンタミンをキャリアガスのパージに
より除去する。これにより、原料容器(Ba気化器)1
1,原料容器(Sr気化器)16中の原料(Ba原料及
びSr原料)の再生が行われる。
【0052】
【実施例】[実施例1]表1に示すような条件下で、複
合誘電体薄膜である(Ba,Sr)TiO3薄膜の成膜
を行った。
【0053】
【表1】
【0054】(Ba,Sr)TiO3薄膜の成膜は10
回行い、3回目、6回目、及び9回目の成膜の後に、上
述の方法により、原料の再生を行った。また、この実施
例1では、10回の成膜工程のうちの各成膜工程前に、
質量分析器により、誘電体薄膜原料ガス中の各原料成分
とキャリアガス成分の濃度比の分析を行い、その結果に
基づいて、原料の気化量を制御し、誘電体薄膜原料ガス
の組成を調整した。したがって、1回目の成膜前の、質
量分析器による分析は、成膜チャンバに誘電体薄膜原料
ガスを導入しない状態で行われている。なお、表1に記
載した条件のうち、Ba気化器,Sr気化器のキャリア
ガス流量、及びBa気化器,Sr気化器,Ti気化器の
圧力は1回目の成膜を行う際の条件を示している。
【0055】Ba気化量及びSr気化量の制御は、3回
目、6回目、及び9回目の成膜を行う際には、キャリア
ガス流量を制御することにより行い、その他は各気化器
の圧力を制御することにより行った。また、Ti気化量
の制御については、いずれの場合も、気化器の圧力を制
御することにより行った。なお、基板としては、MgO
単結晶基板にPtをスパッタしたものを用いた。1”角
の基板2枚を基板サセプタにセットし、同時に(Ba,
Sr)TiO3薄膜の成膜を行った。そして、1枚の基
板については、上部電極としてφ0.5mmのPtをスパ
ッタし、容量測定及び断面観察による膜厚測定を行っ
た。また、もう一枚の基板については、ICP法により
組成分析を行った。その結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】また、比較のため、1回目の成膜条件と同
じ条件で、繰り返して10回成膜することにより、(B
a,Sr)TiO3薄膜(比較例1)を成膜した。な
お、この場合も、3回目、6回目、及び9回目の成膜工
程の後に原料の再生を行った。そして、得られた(B
a,Sr)TiO3薄膜(比較例1)について、上記実
施例の場合と同じ方法で評価を行った。その結果を表3
に示す。
【0058】
【表3】
【0059】表3より、原料ガス量の補正を行わない比
較例1のサンプルにおいては、原料再生を行わないで複
数回成膜すると膜中のBa,Sr量が減少し、比誘電率
が低下しているのに対して、各成膜工程の前に、質量分
析器により、誘電体薄膜原料ガス中の各原料成分とキャ
リアガス成分の濃度比の分析を行い、その結果に基づい
て誘電体薄膜原料ガスの組成を制御した実施例1の場
合、表2に示すように、膜組成、膜厚及び比誘電率の変
動の割合が非常に小さく、特性の安定した複合誘電体薄
膜が得られることがわかる。
【0060】[実施例2]表4に示すような条件で、複
合誘電体薄膜である(Ba,Sr)TiO3薄膜の成膜
を行いながら、成膜工程中に、原料ガスの一部を質量分
析器に導いて原料ガスの組成分析を行い、この分析結果
に基づいて気化器の圧力を制御しつつ、さらに成膜を行
った。
【0061】
【表4】
【0062】なお、この実施例2では、成膜工程前に
も、質量分析器により、誘電体薄膜原料ガス中の各原料
成分とキャリアガス成分の濃度比の分析を行い、その結
果に基づいて、原料の気化量を制御し、誘電体薄膜原料
ガスの組成を調整した。
【0063】そして、得られた(Ba,Sr)TiO3
薄膜について、オージェ電子顕微鏡による深さ方向の組
成分析を行った。その結果を図2に示す。なお、実施例
2では、質量分析器による原料ガスの組成分析の結果、
Ti気化器の圧力は変更を要しなかったが、Ba気化器
では40Torrまで、Sr気化器では50Torrま
で圧力を低下させて気化量の制御を行った。また、比較
のため、表4の条件のまま、同一時間成膜することによ
り得た(Ba,Sr)TiO3薄膜(比較例2)につい
て同様の分析を行った。その結果を図3に示す。
【0064】成膜工程中に、原料ガスの一部を質量分析
器に導いて原料ガスの組成分析を行い、その結果に基づ
いて気化器の圧力を制御しつつ成膜を行った実施例2の
(Ba,Sr)TiO3薄膜では、図2に示すように、
膜厚方向でほぼ均一な組成が得られているのに対し、表
4の条件のまま同一時間成膜を行った比較例2の場合、
図3に示すように、表面近傍でBa,Sr量が低下して
いることがわかる。また、得られた(Ba,Sr)Ti
3薄膜の比誘電率は、実施例2では870と高い値で
あったのに対し、比較例2では410と半分以下の値で
あった。
【0065】このように成膜工程中に、誘電体薄膜原料
の気化量をモニターし、制御することにより、成膜工程
が長時間わたるような場合にも、組成の均一性の高い複
合誘電体薄膜が得られることがわかる。したがって、本
願発明の方法を用いて、複合酸化物薄膜を成膜し、積層
することにより、高容量の積層キャパシタを得ることが
可能になる。
【0066】なお、上記実施形態では、MOCVD原料
がジピバロイルメタナトバリウムのテトラエチレンペン
タミン付加物、ジピバロイルメタナトストロンチウムの
テトラエチレンペンタミン付加物、及びチタンイソプロ
ポキサイドである場合を例にとって説明したが、本願発
明はこれに限定されるものではなく、他の種類のMOC
VD原料を用いる場合にも適用することが可能であり、
その場合にも同様の効果を得ることが可能である。
【0067】また、本願発明はさらにその他の点におい
ても上記実施形態に限定されるものではなく、成膜工程
や原料再生工程における具体的な条件などに関し、発明
の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えるこ
とが可能である。
【0068】
【発明の効果】上述のように、本願発明(請求項1)の
誘電体薄膜の製造装置は、成膜チャンバへの誘電体薄膜
原料ガスの導入を伴わない場合にも、誘電体薄膜原料ガ
スの組成分析を行うことができるように、原料搬送系に
設けられた分岐路に質量分析器を接続し、質量分析器に
よる誘電体薄膜原料ガスの組成分析の結果に基づいて、
制御手段により、成膜チャンバに供給される誘電体薄膜
原料ガスの組成を制御するようにしているので、成膜チ
ャンバに導入する前の段階で、誘電体薄膜原料ガスの組
成分析を行うことが可能になり、成膜工程の初期の段階
から安定した原料ガス組成で成膜を行うことができる。
したがって、本願発明の誘電体薄膜の製造装置を用いる
ことにより、所望の組成を有し、特性安定性に優れた誘
電体薄膜を効率よく成膜することが可能になる。
【0069】また、請求項2の誘電体薄膜の製造装置
は、質量分析器により、誘電体薄膜原料ガス中の各原料
成分とキャリアガス成分の濃度比が分析され、その結果
に基づいて原料気化量が制御されるように構成されてい
るので、質量分析器の感度が変化した場合にも、誘電体
薄膜原料ガスの組成を安定に制御することが可能にな
り、本願発明を実効あらしめることができるようにな
る。
【0070】また、請求項3の誘電体薄膜の製造装置の
ように、原料気化系で用いられるキャリアガスと同じガ
スを、流量制御した上で原料搬送系に導入する機構を設
けるようにした場合、原料ガス濃度を調整するためにキ
ャリアガス流量を変化させる場合にも、その変化量を気
化器とは別に原料搬送系に接続した系からのガス供給量
により制御することが可能になり、常に一定量の原料ガ
ス及びキャリアガスを成膜チャンバ内に供給することが
可能になるため、特性の安定性に優れた誘電体薄膜を成
膜することができるようになる。
【0071】また、請求項4の誘電体薄膜の製造装置の
ように、原料搬送系と質量分析器の間に、圧力調節手段
を配設するようにした場合、質量分析器より前段の圧力
を一定に制御することが可能になり、質量分析器の感度
が変化した場合にも、キャリアガス成分と原料ガス成分
の濃度比を分析することにより、原料ガス量を安定に制
御することができるようになる。また、原料ガスは、質
量分析器に導入される前に温度変化を受けたり、反応性
ガスと接触することがないので、原料ガス中の所定の成
分ガスの蒸気圧が低い場合や不安定な場合、あるいは供
給量が主要成分の原料ガスに比べ著しく少ない場合など
においても、良好な分析感度を得ることが可能になる。
【0072】また、本願発明(請求項5)の誘電体薄膜
の成膜方法は、成膜前に、成膜チャンバに誘電体薄膜原
料ガスを導入しない状態で、質量分析器により、誘電体
薄膜原料ガスの組成分析を行い、その結果に基づいて、
成膜チャンバに供給される誘電体薄膜原料ガスの組成を
制御するようにしているので、成膜の初期工程で成膜チ
ャンバに供給されることになる誘電体薄膜原料ガス成分
の組成を確実に制御することが可能になり、特性の安定
性に優れた誘電体薄膜を成膜することができるようにな
る。
【0073】また、請求項6の誘電体薄膜の成膜方法の
ように、質量分析器により、誘電体薄膜原料ガス中の各
原料成分とキャリアガス成分の濃度比を分析し、その結
果に基づいて原料気化量を制御することにより、質量分
析器の感度が変化した場合にも、誘電体薄膜原料ガスの
組成を安定に制御することが可能になり、本願発明を実
効あらしめることができる。
【0074】また、本願発明(請求項7)の誘電体薄膜
の成膜方法は、成膜前に、成膜チャンバに誘電体薄膜原
料ガスを導入しない状態で、質量分析器により、誘電体
薄膜原料ガスの組成分析を行い、その結果に基づいて、
成膜チャンバに供給される誘電体薄膜原料ガスの組成を
制御するとともに、成膜工程中に、成膜チャンバに誘電
体薄膜原料ガスを導入した状態で、原料搬送系に接続し
た質量分析器により、誘電体薄膜原料ガスの組成分析を
行い、その結果に基づいて、成膜チャンバに供給される
誘電体薄膜原料ガスの組成を制御するようにしているの
で、成膜の初期工程及び成膜工程中における誘電体薄膜
原料ガス成分の組成を確実に制御することが可能にな
り、さらに特性の安定性に優れた誘電体薄膜を成膜する
ことができる。
【0075】また、請求項8の誘電体薄膜の成膜方法の
ように、成膜前及び成膜工程中において、質量分析器に
より、誘電体薄膜原料ガス中の各原料成分とキャリアガ
ス成分の濃度比を分析し、その結果に基づいて原料気化
量を制御することにより、質量分析器の感度が変化した
場合にも、誘電体薄膜原料ガスの組成を安定に制御する
ことが可能になり、本願発明をさらに実効あらしめるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態にかかる誘電体薄膜の製
造装置の構成を示す図である。
【図2】本願発明の実施例(実施例2)において製造し
た複合誘電体薄膜((Ba,Sr)TiO3薄膜)の深
さ方向の組成分析結果を示す図である。
【図3】比較例2の方法により製造した複合誘電体薄膜
((Ba,Sr)TiO3薄膜)の深さ方向の組成分析
結果を示す図である。
【符号の説明】
A 原料気化系 B 原料搬送系 C 分岐路 D キャリアガス導入機構 11 原料容器(Ba気化器) 14 原料容器(Ti気化器) 16 原料容器(Sr気化器) 12,17 容器(付加物容器) 13,15,18,19 MFC 20 混合器 21 成膜チャンバ 27 質量分析器 28 真空吸引手段 24,26,31,41,51,71 圧力調整バルブ 61,62 圧力計 22,23,25,32,33,34,35,36,4
2,43,52,53,54,55,56,72,81
バルブ 82 メカニカルブースターポンプ 83 ロータリーポンプ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】MOCVD法により誘電体薄膜を成膜する
    成膜チャンバと、 キャリアガスを用いて誘電体薄膜原料を気化させる原料
    気化系と、 前記原料気化系で気化させた誘電体薄膜原料ガスをキャ
    リアガスとともに成膜チャンバに搬送する原料搬送系
    と、 前記成膜チャンバへの誘電体薄膜原料ガスの導入を伴わ
    ない場合にも、誘電体薄膜原料ガスの組成分析を行うこ
    とができるように、原料搬送系に設けられた分岐路に接
    続された質量分析器と、 前記質量分析器による誘電体薄膜原料ガスの組成分析の
    結果に基づいて、成膜チャンバに供給される誘電体薄膜
    原料ガスの組成を制御する制御手段とを具備する誘電体
    薄膜の製造装置。
  2. 【請求項2】前記質量分析器による誘電体薄膜原料ガス
    の組成分析が、各原料成分とキャリアガス成分の濃度比
    を分析するものであり、かつ、該組成分析の結果に基づ
    いて原料気化量を制御することにより、成膜チャンバに
    供給される誘電体薄膜原料ガスの組成が制御されるよう
    に構成されていることを特徴とする請求項1記載の誘電
    体薄膜の製造装置。
  3. 【請求項3】前記原料気化系で用いられるキャリアガス
    と同じガスを、流量制御した上で原料搬送系に導入する
    機構を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載
    の誘電体薄膜の製造装置。
  4. 【請求項4】前記原料搬送系と質量分析器の間に、圧力
    調節手段が配設されていることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の誘電体薄膜の製造装置。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体薄
    膜の製造装置を用いて誘電体薄膜を製造する方法であっ
    て、 成膜前に、前記成膜チャンバに誘電体薄膜原料ガスを導
    入しない状態で、前記質量分析器により、誘電体薄膜原
    料ガスの組成分析を行い、その結果に基づいて、成膜チ
    ャンバに供給される誘電体薄膜原料ガスの組成を制御す
    ることを特徴とする誘電体薄膜の成膜方法。
  6. 【請求項6】前記質量分析器による誘電体薄膜原料ガス
    の組成分析が、各原料成分とキャリアガス成分の濃度比
    を分析するものであり、かつ、該組成分析の結果に基づ
    いて原料気化量を制御することにより、成膜チャンバに
    供給される誘電体薄膜原料ガスの組成が制御されるよう
    に構成されていることを特徴とする請求項5記載の誘電
    体薄膜の成膜方法。
  7. 【請求項7】請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体薄
    膜の製造装置を用いて誘電体薄膜を製造する方法であっ
    て、 成膜前に、前記成膜チャンバに誘電体薄膜原料ガスを導
    入しない状態で、前記質量分析器により、誘電体薄膜原
    料ガスの組成分析を行い、その結果に基づいて、成膜チ
    ャンバに供給される誘電体薄膜原料ガスの組成を制御す
    るとともに、 成膜工程中に、前記成膜チャンバに誘電体薄膜原料ガス
    を導入した状態で、前記原料搬送系に接続した質量分析
    器により、誘電体薄膜原料ガスの組成分析を行い、その
    結果に基づいて、成膜チャンバに供給される誘電体薄膜
    原料ガスの組成を制御することを特徴とする誘電体薄膜
    の成膜方法。
  8. 【請求項8】前記成膜前及び前記成膜工程中における前
    記質量分析器による誘電体薄膜原料ガスの組成分析が、
    各原料成分とキャリアガス成分の濃度比を分析するもの
    であり、かつ、該組成分析の結果に基づいて原料気化量
    を制御することにより、成膜チャンバに供給される誘電
    体薄膜原料ガスの組成が制御されるように構成されてい
    ることを特徴とする請求項7記載の誘電体薄膜の成膜方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013249511A (ja) * 2012-05-31 2013-12-12 Tokyo Electron Ltd 原料ガス供給装置、成膜装置、原料ガスの供給方法及び記憶媒体

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