JP2002356610A - ポリエステル組成物およびそれよりなる繊維 - Google Patents

ポリエステル組成物およびそれよりなる繊維

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JP2002356610A
JP2002356610A JP2001347762A JP2001347762A JP2002356610A JP 2002356610 A JP2002356610 A JP 2002356610A JP 2001347762 A JP2001347762 A JP 2001347762A JP 2001347762 A JP2001347762 A JP 2001347762A JP 2002356610 A JP2002356610 A JP 2002356610A
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polyester
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JP2001347762A
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Yoshihiro Naruse
恵寛 成瀬
Toshihiro Sasaki
敏弘 佐々木
Masatoshi Aoyama
雅俊 青山
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】吸湿性が高く、織編物等として下着、スポーツ
ウェア、裏地等の快適素材として用いることができるポ
リエステル組成物およびそれよりなる繊維を得ることを
課題とする。 【解決手段】シリカ系無機粒子を含有したポリエステル
組成物およびそれよりなる吸湿性に優れたポリエステル
繊維によって解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシリカ系無機粒子を
多量に含有するポリエステル組成物およびそれからなる
繊維に関するものである。詳しくは、吸湿性を有するシ
リカ系無機粒子を多量に含有するポリエステル組成物お
よび、耐候性、耐熱性、機械特性、吸湿性等に優れたポ
リエステル繊維に関するものである。該ポリエステル繊
維は吸湿性が高く、織編物等として下着、スポーツウェ
ア、裏地等の快適素材として好適に使用することができ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートを始めとす
るポリエステルは、強度や熱安定性、耐薬品性などに優
れるため、繊維、フィルム、その他の成形品として広く
用いられる。しかし、ポリエチレンテレフタレートは本
質的に疎水性であるため、きわめて吸放湿性に乏しく、
衣服として用いられる場合には、高湿時において“むれ
感”を生じたり、冬場の低湿時には静電気を生じたり
と、着用快適性においては好ましい素材とはいえない。
また、樹脂やフィルムなどとして用いられる際にも低吸
湿性のため帯電し、問題となることがある。
【0003】この問題を解消するために、ポリエステル
に吸湿性能を有する化合物を共重合や添加する方法が提
案されている。例えば、特開昭48-8270号公報では、側
鎖にオキシアルキレングリコールを有するジオールを共
重合する方法、特開平2-26985号公報にはスルホン酸金
属塩含有ジカルボン酸を共重合する方法が開示されてい
る。しかし、このような吸湿成分を共重合する方法にお
いては、強度や耐候性が低下するといった問題を抱えて
いる。
【0004】また、上記ポリエステルを改質する方法以
外に、ポリエステル繊維に吸湿性化合物を付着する方法
が提案されている。例えば、特公昭59−17224号
公報にはポリエステル繊維にアクリル酸やメタアクリル
酸をグラフト重合して、それらのカルボキシル基をアル
カリ金属で置換して吸湿性を向上せしめる方法が開示さ
れている。しかし、吸湿性化合物が繊維表面に付着して
いるため、ぬめりの発生や経時的な強度低下、さらには
耐光性低下の問題がある。
【0005】さらに、上記の問題を解決するために、繊
維用途においては高い吸湿性を有する吸湿性樹脂を芯部
とし、ポリエステルの鞘部で覆った芯鞘型複合繊維が特
開平2−99612号公報、特開平4−361616号
公報、特開平4−341617号公報、特開平9−13
2871号公報等に提案されている。しかしながら、こ
れら芯鞘型複合繊維の場合、精練や染色などの熱水処理
時に芯部の吸湿性樹脂が含水によって膨潤するため、繊
維表面のひび割れ(鞘割れ)、吸湿性樹脂の外部への流
出、染色堅牢性が十分でなく布帛品位が低下すると言っ
たような問題があり、ポリエステル繊維に吸湿性を付与
するための技術としては、十分に満足できるレベルにあ
るとは言えなかった。
【0006】そこで特開平12−204230号公報で
は、特定の平均粒径および細孔容積を持つ多孔質無機粒
子をポリエステルに含有させる方法が開示されている。
確かにこの方法を用いれば上記問題を解決し、ポリエス
テルにある程度吸湿性を付与することができるが、吸湿
性という観点ではまだ不十分である。吸湿性を更に向上
させるために本願発明者らが鋭意検討した結果、細孔容
積と比表面積の関係がある特定の範囲にあるシリカ系無
機粒子をポリエステルに配合することで、十分な吸湿性
を付与することができることを見出した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
した従来技術の問題点を解消することにあり、ポリエス
テルの優れた特性を維持しながら、優れた吸湿性を有す
るポリエステル組成物および繊維を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した課題は、下記A
〜Cを満足するシリカ系無機粒子を1〜20%含有し、
該粒子が100〜2000ppmの金属化合物で処理さ
れていることを特徴とするポリエステル組成物によって
解決することができる。
【0009】A.シリカ系無機粒子の細孔容積V(ml
/g)が0.4以上であり、かつ該粒子の比表面積S
(m2/g)との関係が次式を満足すること。
【0010】100≦S/V<1500 B.平均粒径d(μm)が0.01〜10であること。
【0011】C.吸湿パラメーター(ΔMR)が7%以
上であること。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステルはジカルボ
ン酸成分とグリコール成分から構成されたものが好まし
く採用され、例えばジカルボン酸もしくはそのエステル
形成性誘導体とグリコールとのエステル化もしくはエス
テル交換反応ならびに引続く重縮合反応によって製造さ
れる。ポリエステルの種類については繊維等の成形品に
成形しうるものであれば特に限定されない。繊維などの
成形品に成形しうる好適なポリエステルとしてはジカル
ボン酸成分として芳香族ジカルボン酸、グリコール成分
として脂肪族グリコールまたは脂環族グリコールから構
成されたものがものがよく、例えば、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリ−1,3−プロピレンテレフタレー
ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサ
ンジメチレンテレフタレート等が挙げられ、中でも繊維
とした場合の強度などの点から、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリ−1,3−プロピレンテレフタレートが好
ましい。
【0013】もちろんこれらのポリエステルはホモポリ
エステルであってもよく、コポリエステルであってもよ
く、その際の共重合成分としては上述したポリエステル
を構成する酸成分およびグリコール成分以外の芳香族ジ
カルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカルボ
ン酸等の酸成分、芳香族グリコール、脂肪族グリコール
および脂環族グリコール等のグリコール成分を挙げるこ
とができる。例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナ
フタレンジカルボン酸、フタル酸、ジフェニルジカルボ
ン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェノキシ
エタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル
酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸、デカリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボ
ン酸を挙げることができる。また、グリコール成分とし
てはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,10−デカンジオール等の脂肪族グリコール、
1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA等の脂
環族グリコールなどを挙げることができる。上記した酸
成分、グリコール成分は、一種のみ用いてもよく、二種
以上を併用してもよい。また、これらの共重合成分は、
ポリエステルを製造する際に副生するものであってもよ
い。さらに、共重合せしめる場合の成分量は特に限定さ
れるものではないが、得られる繊維の強度、耐熱性等の
点から30モル%以下とすることが好ましい。
【0014】本発明のポリエステルは、シリカ系無機粒
子を含有する。
【0015】本発明で用いるシリカ系無機粒子は、粒子
の50%以上がSiO2で構成された無機粒子である。
具体的には、乾式法、湿式法等で得られたホワイトカー
ボン、シリカゾル、シリカゲル、シリカ・アルミナ複合
粒子等を挙げることができる。中でも、本発明のポリエ
ステル組成物から得られる繊維の吸湿性の点から、湿式
法で得られたシリカ系無機粒子が好ましい。特にはSi
2含有量が95%以上の湿式法で得られたシリカ粒子
が好ましい。
【0016】本発明のシリカ系無機粒子の平均粒子径
は、ポリエステル中での粒子分散性、得られるポリエス
テルの高分子量化、さらには繊維に成形する際の工程安
定性の点から0.01〜10μmであり、好ましくは
0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜2μmであ
る。平均粒子径が0.01μm未満であると、粒子分散
性に劣ったり、ポリエステル製造工程の重縮合反応の段
階で、粒子の表面活性によって粒子が凝集したり、ポリ
マーの溶融粘度が急激に上昇し、高分子量のポリマーが
得られない。一方、平均粒子径が10μmを超えると、
溶融成型時にフィルター圧力の急激な上昇が生じたり、
繊維に成形する際に糸切れが生じる。
【0017】さらに本発明のシリカ系無機粒子は、得ら
れる繊維の吸放湿性の点から、粒子の細孔容積Vが0.
4ml/g以上で、かつ細孔容積V(ml/g)と比表
面積S(m2/g)との関係が次式を満足することが好
ましい。
【0018】100≦S/V≦1500(m2/ml) より好ましいシリカ系無機粒子の細孔容積は0.7ml
/g以上、さらに好ましくは1.0ml/g以上であ
る。細孔容積がかかる範囲外であると、シリカ系無機粒
子の吸湿性に劣り、得られる繊維は吸放湿性に劣る場合
がある。また、より好ましい細孔容積Vと比表面積Sと
の関係は、 200≦S/V≦1000 であり、さらに好ましくは、 300≦S/V≦800 である。粒子の細孔容積と比表面積との関係がかかる範
囲外であると、粒子の吸湿性に劣り、該粒子を含有した
ポリエステル組成物から得られる繊維は吸放湿性に劣る
場合がある。
【0019】さらに、本発明で用いるシリカ系無機粒子
には、吸湿性という観点から2個/nm2以上のシラノ
ール基が粒子表面に存在することが好ましい。表面のシ
ラノール基の数がこれより少ないと満足する吸湿性に劣
る場合がある。
【0020】また、シリカ系無機粒子の吸湿特性を示す
吸湿パラメーター(以下ΔMRと記す)は、これを用い
た合成繊維の吸湿性を高めるため、高ければ高い方が好
ましいが、7%以上であることが必要である。好ましく
は20%以上、特に好ましくは30%以上である。
【0021】ここでΔMRとは、30℃×90%RHで
の吸湿率(MR2)から20℃×65%RHでの吸湿率
(MR1)を引いた差である(ΔMR(%)=MR2−
MR1)。ΔMRは衣服着用時の衣服内の湿気を外気に
放出することにより快適性を得るためのドライビングフ
ォ―スであり、軽〜中作業あるいは軽〜中運動を行った
際の30℃×90%RHに代表される衣服内温度と20
℃×65%RHに代表される外気温湿度との吸湿率差で
ある。本発明では吸湿性評価の尺度としてこのΔMRを
パラメーターとして用いている。ΔMRは大きければ大
きいほど吸放湿能力が高く着用時の快適性が良好である
ことに対応する。
【0022】シリカ系無機粒子の吸湿率が7%未満の場
合には、得られる繊維は吸放湿性に劣る場合がある。
【0023】実用上の着用快適性を得るためには合成繊
維のΔMRは経時変化が問題とならない範囲で高いほど
好ましく、1.0%以上が必要であり、さらに好ましく
は2.0%以上、特に好ましくは2.5%以上である。
【0024】本発明のシリカ系無機粒子のポリエステル
中の含有量は、得られるポリエステルの高分子量化、ポ
リエステル中の粒子分散性、また繊維の吸放湿性、強度
などの点から、1〜20重量%である。好ましくは2〜
17重量%、より好ましくは3〜15重量%、さらに好
ましくは5〜15重量%である。含有量が1重量%未満
の場合には、得られる繊維は吸放湿性に劣る。一方、2
0重量%を超えると、粒子含有ポリエステル組成物の溶
融粘度が著しく高くなり、高分子量のポリエステルが得
られず、繊維強度などの機械特性に劣る。
【0025】本発明のポリエステル組成物中に含有する
シリカ系無機粒子は、比表面積が大きく表面活性が非常
に高いために、ポリエステルの高分子量化、あるいはポ
リエステル組成物の溶融粘度低減の点から、金属化合物
で処理されていることが必要である。金属化合物で処理
することで、ポリエステル製造工程の重縮合反応の段階
で、粒子の表面活性によって生じる粒子の凝集やポリマ
ーの溶融粘度の急激な上昇を抑制でき、粒子分散性に優
れ、かつ高分子量のポリエステルが得られる。また、溶
融成型時にフィルター圧力の急激な上昇が抑制され、繊
維に成形する際に糸切れが少ない。
【0026】本発明のシリカ系無機粒子に処理されてい
る金属化合物の量は100〜2000ppmである。各
種金属化合物で処理されたシリカ系無機粒子を理学
(株)社製、蛍光X線分析装置(FLX)で測定した。
処理された量が100ppm未満だとシリカ系無機粒子
の表面活性基が十分に封鎖されていないため、粒子の凝
集や溶融粘度の急激な上昇を抑制することができない。
また、処理された量が2000ppmを超えるとポリエ
ステルに添加した場合に過剰の金属化合物によってポリ
エステル本来の物性が損なわれてしまうといった問題が
ある。金属化合物で処理された量は好ましくは200〜
1000ppm、より好ましくは300〜800ppm
である。
【0027】シリカ系無機粒子に処理された金属化合物
はシリカとポリエステル、あるいはシリカ同士の相互作
用を軽減するものであればいずれでも良いが、特に遷移
金属化合物が好ましい。ここで言う遷移金属とは、長周
期型周期表で第4周期以降の3〜10族元素を指し、ラ
ンタノイドおよびアクチノイドを含む。
【0028】遷移金属の中でもさらに周期表第4周期の
遷移金属化合物が好ましい。周期表第4周期の遷移金属
としては、原子番号21のScからZnが挙げられる。
【0029】第4周期の中でより好ましい遷移金属はM
n、Fe、Co、Ni、Cu、Znであり、特に好まし
いのはMn、Fe、Coである。
【0030】上記金属の酸化数はその金属が採り得るも
のであればいかなる数でも良いが、2〜3価が好まし
く、経済性から考えて2価が最も好ましい。
【0031】また、金属化合物を形成する塩としては、
上記金属の硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、酸化物等
が挙げられるが、炭酸塩および酢酸塩が特に好ましい。
【0032】シリカ系無機粒子を金属化合物で処理する
方法としては、単にシリカ系無機粒子スラリーに混合す
るだけでも良いし、混合後加熱する方法や、溶媒中での
化学反応による方法、またシリカ系無機粒子を添加混合
するポリエステル中に金属化合物を添加しておいて、引
き続きシリカ系無機粒子を添加してポリマー中で処理す
る等いずれでも良いが、ポリマー中に添加する前に予め
処理されていることが好ましい。
【0033】本発明のポリエステルにシリカ系無機粒子
を含有せしめる方法としては、例えば、(1)シリカ系
無機粒子とポリエステルとを直接、あるいは予めブレン
ダー、ミキサーなどで混合した後、通常の一軸、二軸押
出し機を用いて溶融混練する方法、(2)シリカ系無機
粒子とポリエステルとを直接、あるいは予めブレンダ
ー、ミキサーなどで混合した後、通常のベント式一軸、
二軸押出し機を用いて溶融混練する方法、(3)ポリエ
ステルの製造反応工程でシリカ系無機粒子を添加する方
法などを挙げることができる。中でもシリカ系無機粒子
の粒子分散性、得られる繊維の品質安定性などの点か
ら、(2)又は(3)の方法によってシリカ系無機粒子
を含有せしめることが好ましい。
【0034】本発明のポリエステルを製造する際には、
従来公知の反応触媒を使用することができる。例えば、
エステル化あるいはエステル交換反応触媒として、アル
カリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛、マンガン、コバル
ト等の金属化合物、重縮合反応触媒としては、チタン、
ゲルマニウム化合物等を用いることができる。
【0035】また、本発明のポリエステル組成物および
それからなる繊維は、本発明の目的を損なわない範囲で
酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、アルキルベン
ゼンスルホン酸塩等の界面活性剤、従来公知の抗酸化
剤、着色防止剤、耐光剤、帯電防止剤等を含有していて
もよい。
【0036】本発明のポリエステル組成物からなる繊維
は従来公知の方法で製造することができる。例えば、5
00〜2500m/分の速度で溶融紡糸し、次いで延
伸、熱処理する方法、1500〜5000m/分の速度
で溶融紡糸し、延伸と仮撚加工とを同時、または延伸
後、仮撚加工を行う方法、3000m/分以上の高速で
溶融紡糸し、用途によっては延伸工程を省略する方法、
など任意の製糸条件を採用することができる。
【0037】本発明のポリエステル繊維の断面形状は丸
ばかりでなく、三角、偏平、多葉型、多角、H型、Π型
などなどの異形断面でもよい。また、該繊維の糸状形態
は、フィラメント、ステープルのどちらでもよく、用途
によって適宜選定される。
【0038】本発明のポリエステル繊維は、その用途に
応じて織物、編物、不織布などの布帛形態で使用するこ
とができる。
【0039】上記の方法によって得られる本発明の繊維
は、実用上の着用快適性を得るために、ΔMRは1.0
%以上が好ましく、より好ましくは1.5%以上、さら
に好ましくは2.0%以上である。
【0040】また、本発明のポリエステル繊維は各種の
方法で減量することができる。例えば、プラズマ処理、
レーザー処理、アルカリ減量処理等をあげることがで
き、得られる繊維の風合い、染色性等の点から、減量処
理方法としてはアルカリ減量処理が好ましい。この際使
用するアルカリは、NaOH、KOH、LiOH等の化
合物を挙げることができ、ポリエステル繊維等の減量処
理は該アリカリの水溶液で行い、アルカリ濃度は0.5
〜10重量%が好ましいこの際の、アルカリ減量率は特
に限定されないが、得られる繊維の強度、風合い等の点
から、減量率は50%以下が好ましく、より好ましくは
30%以下であり、さらに好ましくは20%以下であ
る。
【0041】
【実施例】以下本発明を実施例により、さらに詳細に説
明する。なお、実施例中の各特性値は次の方法によって
求めた。
【0042】A.ポリエステルの極限粘度 [η] オルトクロロフェノール溶液とし、25℃で求めた。
【0043】B.粒子およびそれを含有した繊維の吸湿
性パラメーター(ΔMR) 吸湿率は粒子の場合、粒子1gを用い、また繊維の場合
には原糸または布帛1〜3gを用い、絶乾時の重量と2
0℃×65%RHあるいは30℃×90%RHの雰囲気
下、恒温恒湿器(タバイ製PR−2G)中に24時間放
置後の重量との重量変化から、次式で求めた。 吸湿率(%)=(吸湿後の重量 − 絶乾時の重量)/絶
乾時の重量 ×100 上記測定した20℃×65%RHおよび30℃×90%
RHの条件での吸湿率(それぞれMR1およびMR2と
する)から、吸湿率差ΔMR(%)=MR2−MR1を
求めた。
【0044】C.粒子の平均粒径および粗大粒子の含有
量 粒子の平均粒径および粗大粒子の含有量はHORIBA
製粒径分析装置(LA−700)にて測定を行った。
【0045】D.粒子の比表面積、細孔容積 窒素吸着法により、温度77Kで測定し、比表面積につ
いてはBET法、細孔容積についてはDH法で解析し
た。
【0046】E.表面のシラノール基の定量 微粉末シリカを圧力0.1kPa以下、温度120℃で
乾燥した後ジオキサン中で水素化リチウムアルミニウム
と反応させ水素量を測定して求めた。
【0047】F.金属化合物量の測定 各種金属化合物で処理されたシリカ系無機粒子を理学
(株)社製、蛍光X線分析装置(FLX)で測定した。
【0048】G.強度、伸度 東洋ボールドウィン社製テンシロン引張り試験機を用い
て試長20cm、引張り速度10cm/分の条件で応力
−歪み曲線から値を求めた。
【0049】実施例1 平均粒径0.5μm、細孔容積1.2ml/g、S/V
の関係が500である湿式シリカ粒子の吸湿性パラメー
ター(ΔMR)は32.4%であった。該シリカ粒子8
部のエチレングリコールスラリーに酢酸マンガン0.0
5部加え、100℃で加熱処理した。処理後の粒子を少
量取出してFLXで金属化合物量を測定したところ40
0ppmであった。
【0050】ポリエステルとして、ジメチルテレフタル
酸194部、エチレングリコール124部、酢酸マグネ
シウム0.05部を加え、140〜230℃でメタノー
ルを留出しつつエステル交換反応を行い、リン酸トリメ
チル0.08部のエチレングリコール溶液を添加した。
さらに処理後のシリカ粒子スラリー、および三酸化アン
チモン0.1部を加え、0.1kPaの減圧下290℃
に昇温した条件下で重合を行いポリエステルチップを得
た。このポリエステルチップのシリカ粒子の含有量は
8.0重量%であり、またΔMRは2.6%であった。
【0051】このチップを290℃で溶融し、吐出量2
5g/分で同心円口金から吐出して1000m/分の紡
糸速度で巻き取り未延伸糸を得た。この未延伸糸を延伸
温度90℃、熱セット温度130℃、延伸速度800m
/minで3.0倍延伸して107tex−24fの延
伸糸を得た。繊維物性は3.5cN/dtex、伸度4
0.3%であった。この延伸糸を筒編みにし、編み地の
吸放湿を測定したところΔMRは2.6%であり、良好
な吸放湿特性を示すことがわかった。
【0052】実施例2,3 比較例1,2 粒子の平均粒径を変更した以外は実施例1と同様な方法
でポリエステルおよび繊維を得た。比較例1においては
粒径が小さすぎるために凝集が起こり、分散性不良とな
った。比較例2においては粒径が大きすぎるために糸切
れが多発し、繊維を得ることができなかった。
【0053】実施例4,5 比較例3 粒子の細孔容積を変更した以外は実施例1と同様な方法
でポリエステルおよび繊維を得た。比較例3においては
細孔容積が小さいため満足のいく吸湿性を付与すること
ができなかった。
【0054】実施例6,7 比較例4,5 S/Vを変更した以外は実施例1と同様な方法でポリエ
ステルおよび繊維を得た。比較例4、5においてはS/
Vが請求範囲外であるために満足のいく吸湿性を付与す
ることができなかった。
【0055】実施例8,9 比較例6,7 シリカ粒子の添加量を変更した以外は実施例1と同様な
方法でポリエステルおよび繊維を得た。比較例6におい
てはシリカ粒子の添加量が少なすぎるため満足のいく吸
湿性を付与することができなかった。比較例7において
は添加量が多すぎるために糸切れが多発し、繊維を得る
ことができなかった。
【0056】実施例10,11 比較例8,9 シリカ粒子に処理された金属化合物量を変更した以外は
実施例1と同様な方法でポリエステルおよび繊維を得
た。比較例8においてはシリカ粒子が金属化合物で十分
に処理されていないために分散性不良となった。比較例
9においては金属化合物処理量が多すぎるためにそれが
異物となって糸切れが多発し、繊維を得ることができな
かった。
【0057】実施例12 シリカ系無機粒子に処理された金属化合物を酢酸コバル
トに変更した以外は実施例1と同様な方法でポリエステ
ルおよび繊維を得た。この繊維の吸湿性を測定したとこ
ろΔMRは2.6%であり、良好な吸放湿特性を示すこ
とがわかった。
【0058】実施例13 シリカ系無機粒子に処理された金属化合物を酢酸鉄に変
更した以外は実施例1と同様な方法でポリエステルおよ
び繊維を得た。この繊維の吸湿性を測定したところΔM
Rは2.6%であり、良好な吸放湿特性を示すことがわ
かった。
【0059】実施例14 シリカ系無機粒子に処理された金属化合物を酢酸ニッケ
ルに変更した以外は実施例1と同様な方法でポリエステ
ルおよび繊維を得た。この繊維の吸湿性を測定したとこ
ろΔMRは2.6%であり、良好な吸放湿特性を示すこ
とがわかった。
【0060】実施例15 シリカ系無機粒子に処理された金属化合物を酢酸亜鉛に
変更した以外は実施例1と同様な方法でポリエステルお
よび繊維を得た。この繊維の吸湿性を測定したところΔ
MRは2.6%であり、良好な吸放湿特性を示すことが
わかった。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
【表3】
【0064】
【発明の効果】本発明のポリエステル組成物により着用
快適性等が十分な吸湿性を有し、かつドライタッチな風
合いと高い染色堅牢性や耐光性を有する繊維を安定して
製造することができる。また、本発明より得られる合成
繊維は下着、シャツ、ブラウス類、中衣、スポーツウェ
ア、スラックス類、外衣、裏地、カーテン、壁紙、さら
には、シーツ、フトンカバー、詰め綿等の寝装用に適し
ており、極めて実用性の高いものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CF031 CF041 CF051 CF061 CF071 CF081 DJ016 FA086 FB076 FD090 FD310 GK01 4L035 AA05 BB31 EE05 KK03 KK05 KK09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記A〜Cを満足するシリカ系無機粒子を
    1〜20%含有し、該粒子が100〜2000ppmの
    金属化合物で処理されており、吸湿パラメーター(ΔM
    R)が1%以上であることを特徴とするポリエステル組
    成物。 A.シリカ系無機粒子の細孔容積V(ml/g)が0.
    4以上であり、かつ該粒子の比表面積S(m2/g)と
    の関係が次式を満足すること。 100≦S/V<1500 B.平均粒径d(μm)が0.01〜10であること。 C.吸湿パラメーター(ΔMR)が7%以上であるこ
    と。
  2. 【請求項2】シリカ系無機粒子に処理された金属化合物
    が、遷移金属化合物であることを特徴とする請求項1記
    載のポリエステル組成物。
  3. 【請求項3】シリカ系無機粒子に処理された金属化合物
    が、周期表第4周期の遷移金属化合物であることを特徴
    とする請求項1〜2いずれか1項記載のポリエステル組
    成物。
  4. 【請求項4】シリカ系無機粒子に処理された金属化合物
    中の金属がMn、Co、Feから選ばれる少なくとも1
    つであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記
    載のポリエステル組成物。
  5. 【請求項5】請求項1〜4いずれか1項記載のポリエス
    テル組成物からなる繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008007870A (ja) * 2006-06-28 2008-01-17 Teijin Fibers Ltd ポリエステル微細繊維およびその繊維製品

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