JP2002351153A - コートキャリアの製造方法 - Google Patents

コートキャリアの製造方法

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JP2002351153A
JP2002351153A JP2001154749A JP2001154749A JP2002351153A JP 2002351153 A JP2002351153 A JP 2002351153A JP 2001154749 A JP2001154749 A JP 2001154749A JP 2001154749 A JP2001154749 A JP 2001154749A JP 2002351153 A JP2002351153 A JP 2002351153A
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carbon atoms
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coating
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JP2001154749A
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Yasukazu Ayaki
保和 綾木
Yayoi Tazawa
弥生 田澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所望の特性を満足するコート剤の処方に幅広
く対応し、またコア粒子の種類によらず、キャリア粒子
間におけるコート量、コート状態の差が小さく、均一に
効率よくコートすることができるコートキャリアの製造
方法を提供する。 【解決手段】 少なくともコア粒子及びコート樹脂を有
するコートキャリアの製造方法において、該コート樹脂
を溶解しない重合媒体中に、該コア粒子を分散した分散
系を形成する工程と、該分散系において、前記コート樹
脂を構成するビニル重合性モノマーを重合し、前記コア
粒子の表面に前記コート樹脂層を形成する工程を有する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法などに用いられるコートキャリアの製造方法に関
し、特に二成分系現像剤を構成するキャリアを乾式で樹
脂コートして製造するコートキャリアの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子写真法等の静電潜像を現像する工程
は、帯電させたトナー粒子を静電潜像の静電相互作用を
利用して静電潜像上に画像形成を行うものである。一般
にかかる静電潜像をトナーを用いて現像する方法のう
ち、一方では非磁性トナーを現像剤担持体上で規制部材
等によりトナーを押しつけて帯電させ現像する、または
磁性体を樹脂中に分散してなる磁性トナーを用いる一成
分系現像剤があり、他方では、非磁性トナーをキャリア
と呼ばれる媒体に分散させた二成分系現像剤があり、特
に小型軽量化を要求されるプリンターには前者が好適に
用いられており、また、高画質を要求されるフルカラー
複写機には後者が好適に用いられている。
【0003】近年、高画質な画像を得るために、トナー
粒径の小粒径化が行なわれている。しかし一方で、現像
剤を長期使用した場合にキャリアによる負荷が大きい
と、小粒径トナーを用いた場合、現像剤の耐久劣化が生
じ易く、それに伴って画質劣化が起こり易い。従って小
粒径トナーを用いた現像剤を長期使用する場合におい
て、高画質画像を維持するために上記キャリアに対して
要求される特性としては、適当な帯電性、印加電界に対
する耐圧性、耐衝撃性、耐スペント性、耐摩耗性、現像
性、生産性等が挙げられるが、特に現像剤にかかる負担
を小さくすることが重要となってくる。
【0004】近年、コンピューター、ハイビジョン等の
発達により、更に高精細なフルカラー画像を出力する手
段が要望されている。この目的のため、フルカラーの複
写画像をさらに高画質、高精細化する努力がなされてい
る。
【0005】こうした要求に応じて、プロセス及び材料
などの種々の観点から検討が加えられている。例えば電
子写真プロセスでは、画像をアナログ処理からデジタル
処理する方式に変更する、あるいは現像時に交流バイア
スを印加して現像剤ブラシを細かく振動させる方法など
を挙げることができる。また現像剤に関しては、トナー
及びキャリアの粒径を小さくする方法を挙げることがで
きる。
【0006】ここで、キャリアの小粒径化はキャリア1
個の持つ磁気が小さくなり、現像剤ブラシの穂立ちを細
く密にでき、現像時における磁気ブラシの掃き目を軽減
できることや、潜像担持面に対してトナーの密度を高め
ることができるという点で高画質化・高精細化に寄与す
るが、その反面、現像剤担持体による磁気拘束力が小さ
くなるために潜像担持体の画像部あるいは非画像部上に
キャリアが現像・付着する、いわゆるキャリア付着を生
じてしまう。
【0007】これを防止するために磁性キャリアの高抵
抗化が試みられている。例えば、特公平5−8424号
公報に開示されるように磁性キャリアの比抵抗を1013
Ωcm以上にすることでキャリア付着を軽減することが
できると記載されている。しかし、我々の検討によると
1013Ωcm以上の比抵抗を示す磁性キャリアを用いて
もコアが露出していたり、さらには長期の繰り返し使用
によりコート材が剥がれたりする場合においてキャリア
付着を十分満足できる程度に防止することができない場
合があった。
【0008】上述したように、特にキャリアを小粒径化
したときにキャリア付着を十分満足できるように防止し
高精細な画像を得るには、磁性キャリアのコート樹脂に
よるコートが非常に重要となる。
【0009】一方、上述した高精細画像を初期と共に長
期間に渡って維持するために上記コートキャリアに対し
て要求される特性としては、適当な帯電性、印加電界に
対する耐圧性、耐衝撃性、耐スペント性、耐摩耗性等が
挙げられる。したがって、コートキャリアにおいて、コ
ア粒子、コート樹脂、コート方法の選択が上記要求され
る特性を満足するために重要となる。
【0010】従来、キャリアのコート方法としては、コ
ート樹脂を溶媒に溶かしその溶液をコアに添加しつつ加
熱しながら撹拌してコートする方法、コア粒子の流動層
を形成し、そこにコート樹脂溶液を噴霧して乾燥させる
方法といった湿式コート方法、コート樹脂をコア粒子表
面ヘ直接固着させる乾式コート方法、コア粒子表面で樹
脂を直接重合してコート層を形成する重合コート方法が
ある。
【0011】上述の湿式コート方法は、コート過程では
均一な膜形成ができる反面、乾燥過程でキャリア間の結
着が起こり、これを解砕して用いる必要がある。このた
め、コア表面の一部が露出し均一な画像が得られなかっ
たり、長時間の使用においてコート樹脂が剥がれ、濃度
低下やカブリの増加といった問題を生じる。また、溶媒
に溶けにくい樹脂やコアとの濡れ性が悪い樹脂等に対し
て良好なコートができないといった問題がある。特に、
コート後の被覆膜の強度を向上させるために架橋成分を
コート樹脂に添加することは、コート樹脂が溶媒に溶解
しなくなるためにできなかった。また、磁性体分散樹脂
キャリアのように溶剤に溶解しやすいコアの表面にコー
トすることはできなかった。
【0012】乾式のコート方法は、特開平6−3179
37号公報に開示されるように磁性粒子上に樹脂粒子等
を機械的衝撃により乾式でコーティングする方法である
が、湿式コート方法に比べ、特に磁性体分散樹脂コアの
ように溶剤に溶解しやすい材料表面にコートする場合
や、コア材との濡れ性の悪いコート樹脂等をコートする
場合に、コア粒子,コート樹脂の選択できる幅が広い反
面、撹拌による材料の飛散等による混合不良が起こりや
すく、キャリア粒子間でコート量やコート状態に変動が
大きく、また均一な膜形成が困難であり、長時間の使用
においてコート樹脂が剥がれるといった問題がある。
【0013】一方、重合コート法は、特開平2−187
770号公報に開示されているように、乾式でオレフィ
ンモノマーを重合することによりオレフィン被覆層を形
成する方法である。この方法は前述のように、コア表面
が露出するといった問題や、キャリア粒子間でのコート
状態の変動が大きくなるといった問題は少ないが、コー
トできる樹脂がオレフィンに限られており、所望の設計
思想に併せた処方に適用でき得る製造方法ではなかっ
た。
【0014】また、特開平11−2926号公報には、
コア粒子に光反応性基を導入し、該光反応性基からモノ
マーをラジカル重合させてコート層を形成するキャリア
の製造方法が提案されている。しかし、本発明者等の検
討によると、発光源に近いコア粒子に遮光されて系内に
均一に光照射することができず、重合反応が均一に進行
しないといった問題があった。また、コート樹脂を溶解
する重合媒体中でコート樹脂を重合しており、前述の湿
式コート法と実質的に変わらなかった。
【0015】以上のように、特にフルカラー現像の高画
質化を図るため、特にコートキャリアの粒径が小さくな
ったときにキャリア付着を防止し、十分耐久性のあるコ
ートキャリアを製造する方法がなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のような問題を解決し、所望の特性を満足するコート剤
の処方に幅広く対応し、効率よくコートすることが可能
となるコートキャリアの製造方法を提供することにあ
る。
【0017】また本発明の目的は、適当な帯電性、印加
電界に対する耐圧性、耐衛撃性、耐スペント性、耐摩耗
性等の諸特性を満足するように、コート樹脂がコア粒子
表面に均一にコートされ、キャリア粒子間におけるコー
ト量、コート状態の差が小さく、繰り返しの使用におい
ても十分な耐久性を有するコートキャリアの製造方法を
提供することにある。
【0018】また本発明の目的は、コート後の被覆膜の
強度を著しく向上させる架橋成分を含有したコートキャ
リアを、架橋成分の含有率に依らず、任意の組成におい
て効率よくコートすることが可能となるコートキャリア
の製造方法を提供することにある。
【0019】また本発明の目的は、磁性体分散樹脂粒子
のように溶剤に溶解しやすいコア粒子にも、均一に安定
してコートすることが可能となるコートキャリアの製造
方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくともコ
ア粒子及びコート樹脂を有するコートキャリアの製造方
法において、該コート樹脂を溶解しない重合媒体中に、
該コア粒子を分散した分散系を形成する工程、該分散系
において、前記コート樹脂を構成するビニル重合性モノ
マーを重合し、前記コア粒子の表面に前記コート樹脂層
を形成する工程を有することを特徴とするコートキャリ
アの製造方法に関する。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明者等は、上記従来技術にお
ける問題点を克服するために鋭意検討を重ねた結果、表
面被覆するコート樹脂を溶解しない重合媒体中にコア粒
子を分散した分散系において、前記コート樹脂を構成す
るビニル重合性モノマーを重合してコア粒子表面に直接
樹脂層を形成することにより、キャリア粒子間の被覆率
や被覆状態にバラツキがなく、また、さまざまなコート
樹脂に対応し得る汎用性の高い表面改質が達成されるこ
とを見いだし本発明の完成に至った。
【0022】即ち本発明によると、コート樹脂の製造と
コア粒子表面へのコートを同時に行うため、従来技術の
ように、コート樹脂の溶媒への溶解性や成形性といった
特性によりコート樹脂の組成が制約されることなく、任
意の組成を有するコート層をコア粒子表面に均一に形成
することができる。また、重合により形成されるコート
樹脂が熔解しない重合媒体を用いることにより、重合反
応中、或いは、洗浄、乾燥工程において、キャリア粒子
同士が結着することなく、表面の平滑性が保持されたコ
ートキャリアを製造することが可能となる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法について、以下
に順を追って説明する。
【0024】水系又は親水性媒体中にコア粒子を分散せ
しめ、これに重合性単量体を加え重合を行う。
【0025】本発明において水系又は親水性媒体とは、
水、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル
類、又はこれらの混合物を示す。具体的には例えば、
水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−
プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソ
ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−
ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、
2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコー
ル、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノー
ル、2−メチル1−ペンタノール、4−メチル−2−ペ
ンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノー
ル、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタ
ノール、2−エチル1−ヘキサノール、ベンジルアルコ
ール、シクロヘキサノールの如きアルコール類;メチル
セロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブ
チルセロソルブ、ジエチレンブリコールモノブチルエー
テルの如きエーテルアルコール類;アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノ
ンの如きケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオ
ン酸エチル、セロソルブアセテートの如きエステル類;
エチルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサンテト
ラヒドロフランの如きエーテル類等を挙げることができ
る。
【0026】本発明において、上述の分散媒体は、コア
粒子、及び、重合により形成されるコート樹脂が溶解し
ない溶媒であることが好ましく、より好ましくは水であ
る。重合により形成されたコート樹脂が選択的にコア粒
子表面に吸着するために、コート効率が向上するためで
ある。また、上述の分散媒体は、界面活性剤や高分子分
散剤といった分散剤を含有していてもよい。
【0027】また、ビニル重合性モノマーを重合する工
程の前に、系内の溶存酸素量を2vol%以内の範囲に
調整する工程を有することが好ましい。溶存酸素量を制
御することにより重合が均一に進行され、コートの効率
が向上し、また、キャリア粒子間のコート量のバラツキ
や、ロット間のコート状態のバラツキを抑制することが
できる。
【0028】溶存酸素量を調整する方法は、具体的には
例えば、(1)重合反応系の液中にヘリウム、窒素、ア
ルゴンといった各種不活性ガスを放出し、これで置換す
る方法、(2)超音波照射により脱酸素する方法等があ
る。これらは単独で使用しても良いし、併用して用いる
こともできる。
【0029】上記(1)の方法を用いる場合、重合反応
系の反応媒体中にガス導入管を挿入し、その導入管を通
してバブリングすることが好ましい。酸素を置換するた
めに使用するガスは、酸素を含まず、且つ反応媒体に可
溶で重合阻害性がないものであればいずれのガスを用い
ることができる。具体的にはヘリウム、窒素、アルゴン
といった不活性ガスを単独あるいは混合して用いること
ができる。
【0030】重合反応系へのガスの流量は、ガスの種類
や気温、反応媒体の体積に依存するが、好ましくは1分
間当たり反応容器の体積の5vol%/min乃至10
0vol%/minの流量で、重合反応開始前のガスの
導入量が反応容器の体積の2乃至30倍量であることが
好ましい。
【0031】重合反応中も上述の如き不活性ガスによる
置換を続けることが好ましい。
【0032】上記(2)の方法を用いる場合、重合反応
系に直接超音波を印加する。超音波印加装置としては、
通常の超音波洗浄機や超音波ホモジナイザーを使用する
ことができる。
【0033】本発明において、重合反応中は、母体粒子
の沈降が防止される程度の撹拌を行えばよい。重合温度
は40℃以上、一般的に50〜90℃の温度に設定して
重合を行う。また、重合反応後半に昇温しても良い。反
応終了後、洗浄,乾燥して回収する。
【0034】本発明に使用することのできるビニル重合
性モノマーとしてはとしては、公知のビニル重合生単量
体を用いることができる。具体的には例えば、スチレ
ン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メ
チルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレ
ン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシル
スチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニル
スチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシル
スチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレ
ンなどのスチレン系重合性単量体;メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、
iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレー
ト、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルア
クリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルア
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オ
クチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロ
ヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチ
ルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォス
フェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェート
エチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアク
リレートなどのアクリル系重合性単量体;メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタク
リレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチ
ルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、t
ert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレ
ート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシ
ルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−
ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチル
メタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタク
リレートなどのメタクリル系重合性単量体;メチレン脂
肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸
ビニル、ギ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメ
チルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチ
ルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケト
ン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトン
等のビニルケトン類などのビニル系重合性単量体;が挙
げられる。
【0035】上記単量体の使用量は、重合の条件や所望
とするコート層の組成等、様々な因子に依存して任意の
量で使用することができるが、一般的にコア粒子に対し
0.01〜100質量%の範囲で使用することが好まし
い。
【0036】本発明において、上述の重合生単量体と共
に架橋剤を使用することが好ましい。従来、架橋した樹
脂をコート樹脂に使用することは、溶解性や成形性の問
題があり困難であったが、本発明の方法を用いると、任
意の架橋点を有する樹脂層を形成することができ、コー
ト層の強度を著しく向上することができる。
【0037】本発明に使用できる架橋剤としては、不飽
和二重結合を2つ以上有する架橋剤であれば、公知のい
かなる架橋剤でも使用することができる。具体的には例
えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香
族ジビニル化合物、エチレングリコールジアクリレー
ト、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレ
ングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコ
ールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジ
メタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレ
ート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、
1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチル
グリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタ
エリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラメタクリレート、グリセロールアクロキシジメ
タクリレート、N,N−シビニルアニリン、ジビニルエ
ーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等を
挙げることができる。これらの架橋剤は単独で使用して
も、又は2種類以上を適宜混合して使用しても良い。こ
れら架橋剤は、重合性単量体とあらかじめ混合して使用
してもよいし、重合生単量体の重合反応の途中で添加し
てもよい。
【0038】上記架橋剤の使用量は、重合の条件や所望
とするコート層の組成等、様々な因子に依存して任意の
量で使用することができるが、前記ビニル重合性モノマ
ーに対し0.01乃至30質量%の範囲で使用すること
が好ましい。0.01質量%未満では架橋による十分な
強度が得られない場合がある。また、30質量%を超え
る範囲では、架橋密度が高いために重合転化率が小さく
なり、コート層の強度はでても脆くなる場合がある。
【0039】本発明において、前述のコア粒子を分散す
る工程において、一分子内に親水性部位、疎水性部位、
及びその間に反応性部位を有する重合開始剤を用いるこ
とが好ましい。水系又は親水性媒体中にコア粒子を分散
するには分散剤を使用することが好ましいが、この際に
重合開始能と分散能を一分子内に有する重合開始剤を用
いることにより、余剰の分散剤を使用する必要がなく、
重合反応系内において重合生単量体の重合が開始される
場所がコア粒子表面に制御され、微粉が副生することが
抑制され、効率の良い被覆が可能となる。
【0040】本発明において、前述の親水性部位、疎水
性部位、及びその間に反応性部位を有する重合開始剤
は、下記式(1)に示される化合物であることが好まし
い。
【0041】R1−X−Z−Y−R2 (1) (式中、R1は疎水性基であり、R2は親水性基であり、
Zは反応性基であり、XおよびYは、それぞれ前記R1
またはR2とZとを結合するユニットを示す。)
【0042】R1は炭素数5〜60の脂肪族炭化水素
基、炭素数6〜60の芳香族炭化水素基、複素環基、ポ
リシロキサン残基などであり、R2は多糖基、ポリエー
テル基、ヒドロキシル基、硫酸基、スルホン酸基、カル
ボキシル基、リン酸基、ホスホニウム基、複素環基又は
アミノ基、それらの塩などであり、Zは多価基であり、
X及びYが、同一又は異なって炭素−炭素結合、エステ
ル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウ
レア結合などの結合を有するユニットであり、X及びY
のいずれか一方が反応性部位を有していてもよい。ま
た、X及びYで表されるユニットの反応性部位は、通
常、熱又は光によりラジカル、カチオン又はアニオンを
発生する基(例えば、アゾ基、過酸化基、ジケト基な
ど)である。
【0043】より好ましくは、下記式(2)で表され
る。
【0044】 R1a−A1−R3−N=N−R4−A2−R2a (2) (式中、R1aは炭素数6〜30の長鎖脂肪族炭化水素基
又は炭素数1〜20のアルキル基を有する炭素数6〜1
2(アルキル基部分を除く)のアリール基であり、R2a
はカルボキシル基、カルボン酸塩、硫酸エステル基、硫
酸塩、スルホン酸基、塩構造を有するスルホン酸基、及
び、これらの基を置換基として少なくとも一つ以上有す
る炭素数1〜20の脂肪族又は芳香族炭化水素基であ
り、R3及びR4は同一又は異なって、アゾ基の隣接炭素
原子に電子吸引基を有するアルキレン基であり、A
1は、なにもないか若しくはエステル結合、アミド結
合、ウレタン結合及びエーテル結合から選択される少な
くとも1つ以上の結合を示し、A2は、なにもないか若
しくはエステル結合、アミド結合、ウレタン結合及びエ
ーテル結合から選択される少なくとも1つ以上の結合を
示す。)
【0045】本発明で用いる重合開始剤は、前記式
(1)中、R1で表される疎水性部位(疎水性基)とし
ては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環
基、ポリシロキサン残基等があげられる。これらの疎水
性基は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよ
い。
【0046】脂肪族炭化水素基としては、飽和又は不飽
和鎖状又は分岐鎖状脂肪族炭化水素基[例えば、ヘキシ
ル、ペンチル、2−エチルヘキシル、ヘプチル、オクチ
ル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリ
ル)トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサ
デシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナ
デシル、エイコシル、ドコシル、ヘキサコシル(セリ
ル)トリアコンチル、ヘントリアコンチル(メリシ
ル)、α−オレフィン重合体などの炭素数5〜60(好
ましくは6〜30)のアルキル基、ヘキセニル、トリデ
セニル、オクタデカジエニル、オクタデセニル、ノナデ
セニル、ドコセニル、ヘキサコセニル、α−オレフィン
重合体(不飽和二重結合を有するオレフィン系オリゴマ
ー)等の炭素数5〜60(好ましくは6〜30)のアル
ケニル基、ヘキシニル、ノナデシニル等の炭素数5〜6
0(好ましくは6〜30)のアルキニル基等]、飽和又
は不飽和環状脂肪族炭化水素基[例えば、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチ
ル、シクロデシル、シクロドデシル、シクロペンタデシ
ル等の炭素数6〜60(好ましくは6〜20)のシクロ
アルケニル基等]、飽和又は不飽和多環式炭化水素基
[例えば、カラン、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノ
ルボルナンなどの2環式炭化水素に対応する基(架橋単
環式飽和又は不飽和炭化水素基)、アダマンタンなどの
3環式炭化水素に対応する基(架橋多環式飽和又は不飽
和炭化水素)など]が挙げられる。
【0047】芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナ
フチル、ビフェニル、フルオレニル、アントラセニル、
フェナントレニル、ベンズアントラセニル、ピレニル、
トリフェニレル、ペリレニルなどのアリール基、イソプ
ロピルフェニル、ブチルフェニル、アミルフェニル、ヘ
キシルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、
デシルフェニル、ドデシルフェニル、テトラデシルフェ
ニルなどのアルキル−アリール基などが挙げられ、炭素
数6〜60が好ましい。
【0048】複素環基としては、12−クラウン−4、
15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジシクロヘ
キサノ−24−クラウン−8、ジベンゾ−18−クラウ
ン−6、シクレン、ヘキサシクレン、1−アザ−12−
クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−ア
ザ−18−クラウン−6などのクラウンエーテル類;テ
トラオキサジアザシクロオクタデカン、ペンタオキサジ
アザビシクロトリコサンなどのヘテロ原子として酸素又
は窒素原子を有する複素環化合物類;エチオポルフィリ
ン、オクタエチルポルフィリン、プロトポルフィリン、
ヘマトポルフィリン、コプロポルフィリン、メソポルフ
ィリン、テトラフェニルポルフィリンなどのポルフィリ
ン類;フタロシアニン、ナフタロシアニンなどが挙げら
れる。
【0049】前記複素環基は、骨格中に金属を保持して
いてもよく、金属としては、リチウム、ナトリウム、カ
リウムなどのアルカリ金属、マグネシウムなどのアルカ
リ土類金属、アルミニウム、ガリウムなどの周期表3B
属金属、珪素、スズ、鉛などの周期表4B属金属、バナ
ジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウ
ム、銅、亜鉛などの遷移金属などが挙げられる。また、
これら金属に対するアニオンが共存していてもよく、ア
ニオンとしては、ハロゲンイオン、有機酸イオン(酢酸
イオンなど)、無機酸イオン(硫酸イオンなど)、テト
ラフルオロホウ素イオン、ヘキサフルオロリンイオンな
どが挙げられる。
【0050】ポリシロキサン残基には、例えば、下記式
で表される基が含まれる。
【0051】CH3−(Si(CH32O)p− (式中、pは5〜30、好ましくは10〜20の整数を
示す。)
【0052】なお、疎水性基には、異種の疎水性基が互
いに結合した複合疎水性基も含まれる。
【0053】これらの疎水性基は、種々の置換基を有し
ていてもよい。置換基としては、カルボニル基、チオカ
ルボニル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭
素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシル基、メルカプト
基、オキシム基、イミノ基、イソシアナト基(イソシア
ネート基)、チオイソシアナト基(チオイソシアネート
基)、シアノ基、第1〜3級アミノ基、ニトロ基、カル
ボキシル基、鎖式炭化水素基(炭素数1〜12のアルキ
ル基)、単環式脂肪族炭化水素基(炭素数3〜16のシ
キロアルキル基)などが挙げられる。例えば、パーフル
オロフェニル、パーフルオロペンチル、パーフルオロド
デシルなどを使用してもよい。
【0054】好ましい疎水性基としては、界面活性剤と
して疎水性機能を十分に発揮する基、例えば、ノニル、
ドデシル(ラウリル)、テトラデシル、ヘキサデシル
(セチル)、オクタデシルなどの炭素数6〜30の長鎖
脂肪族炭化水素基、オクチルフェニル、ノニルフェニ
ル、デシルフェニル、ドデシルフェニルなどの炭素数1
〜20のアルキル基を有する炭素数6〜20のアリール
基(特に好ましくは、炭素数1〜18のアルキルを有す
る−フェニル基)などが挙げられる。
【0055】R2で表される親水性部位(親水性基)と
しては、ノニオン性基(例えば、多糖基、ヒドロキシル
基)、アニオン性基(例えば、硫酸エステル基、硫酸
塩、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボン酸塩、リ
ン酸エステル基、リン酸塩)、カチオン性基(例えば、
複素環基、複素環塩、アミノ基又はアンモニウム塩)な
どが挙げられる。これらの親水性基は、単独で又は二種
以上組み合わせて使用してもよい。
【0056】多糖基としては、例えば、ショ糖エステ
ル、ソルビトール、ソルビット、ソルビタン、ソルビタ
ンエステル残基などが挙げられる。
【0057】R2で表される親水性基がアニオン性基
(カルボン酸、スルホン酸など)の場合、種々の塩基と
塩を形成していてもよい。塩基としては、無機塩基(例
えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ
金属、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、アンモニ
アなど)、有機塩基(例えば、アミン類など)が挙げら
れる。
【0058】複素環基には、ヘテロ原子として窒素原
子、酸素原子及びイオウ原子から選択された少なくとも
1種の原子を含む5〜8員の複素環に対応する基が含ま
れる。特に、ヘテロ原子として窒素原子を有する複素環
基の4級アンモニウム塩、例えば、下記式で表される複
素環基が挙げられる。
【0059】
【化1】 (式中、R5はアルキル基を示す。)
【0060】R5で表されるアルキル基としては、メチ
ル、エチル、プロピル、ヘキシルなどのC1〜C6低級ア
ルキル基が挙げられる。
【0061】アミノ基としては、1〜4級アミノ基が挙
げられる。1〜3級アミノ基の場合、無機酸(例えば、
塩酸など)又は有機酸(例えば、酢酸など)との塩又は
アミドを形成していてもよい。2〜4級アミノ基として
は、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミ
ノ基、トリメチルアミノ基、テトラメチルアミノ基、ト
リメチルラウリル基などの炭素数1〜30のアルキルア
ミノ基;フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの
炭素数6〜12のアリールアミノ基などであってもよ
い。なお、カチオン性基(特に、アミノ基)は、アニオ
ン性基(特に、カルボキシル基、硫酸基)とともに、両
性イオン基を形成してもよい。このような両性イオンを
形成する基としては、例えば、カルボキシエチルアミノ
基、ジヒドロキシメチルアミノ基、ジカルボキシエチル
アミノ基、硫酸アミノ基などが例示できる。
【0062】前記R2で表される親水性基は、種々の置
換基で置換されていてもよい。置換基としては、前記疎
水性基の公で例示した置換基が挙げられる。また、親水
性基には、異種の親水性基が互いに結合した複合親水性
基も含まれる。
【0063】好ましい親水性基としては、界面活性剤と
しての親水性の役割を十分に発揮する親水性基、例え
ば、カルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、それらの
塩、ポリエーテル基などが挙げられる。
【0064】上記式(1)において、Zはアゾ基、Xお
よびYが、同一又は異なって炭素−炭素結合、エステル
結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレ
ア結合などの結合を有するユニットであり、XおよびY
のいずれか一方が電子吸引基を有していることが好まし
い。
【0065】ユニットX及びYは、R1或いはR2及びZ
の種類に応じて決定される。X及びYは、通常、R1
いはR2の末端とZの末端との反応により生成する結合
を有するユニットであり、結合の種類としては、炭素−
炭素結合、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、
ウレタン結合、ウレア結合などが挙げられる。例えば、
1或いはR2及びZのうち一方の末端がカルボキシル
基、他方の末端がヒドロキシル基である場合、Xはエス
テル結合を有する。また、R1或いはR2及びZのうち一
方の末端がヒドロキシル基、他方の末端がイソシアネー
ト基の場合、Xはウレタン結合、R1或いはR2及びZの
うち一方の末端がアミノ基、他方の末端がカルボキシル
基の場合、Xはアミド基を有する。さらに、R1或いは
2およびZのうち一方の末端がアミノ基、他方の末端
がイソシアネート基の場合、Xはウレア結合を有する。
【0066】ユニットXおよびYは、そのいずれかに電
子吸引性基を有することが好ましい。通常、反応性基Z
はラジカル発生基であり、前記反応性基Zを安定させる
ために、反応性基に隣接する炭素原子は電子吸引性基
(例えば、シアノ基、ハロゲン基、アミノ基など)を有
しているのが好ましい。
【0067】上記式(1)において、反応性基Zがアゾ
基(−N=N−)の場合、ユニットX及びYは、通常、
アゾ基の隣接炭素原子にメチル基及びシアノ基を有する
炭素数2〜4のアルキレン(メチレン基を含む)基であ
る。反応性基Zが過酸化基(−O−O−)の場合、ユニ
ットX及びYは、通常、過酸化基の隣接炭素原子にメチ
ル基を有するアルキレン基(例えば、1,1−ジメチル
−1−フェニルメチル基、1,1−ジメチルエチル基な
ど)である。なお、反応性基Zがエステル型の過酸化基
(−C(=O)−O−O−C(=O)−)である場合、
ユニットX及びYは、フェニル基又は長鎖アルキル基
(例えば、ラウリル基など)であってもよく、反応性基
Zがジケト基(−C(=O)−C(=O)−)の場合、
ユニットX及びYは、フェニル基であってもよい。
【0068】前記式(2)において、R3及びR4で表さ
れるアルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレ
ン、プロピレン、テトラメチレンなどの炭素数1〜6
(好ましくは炭素数2〜6)のアルキレン基が挙げられ
る。
【0069】また、より好ましくは、上記式(2)にお
いて、R1aが、炭素数10〜22の長鎖脂肪族炭化水素
基、または、置換基として炭素数1〜18のアルキル基
を有するフェニル基、R2aが、カルボキシル基、カルボ
ン酸塩、硫酸エステル基、硫酸塩、スルホン酸基、塩構
造を有するスルホン酸基、及びこれらの基を置換基とし
て少なくとも1つ以上有する炭素数1〜20の脂肪族又
は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、R3及びR4が、
同一又は異なって、アゾ基の隣接炭素にシアノ基を有す
る炭素数2〜6のアルキレン基、A1は、なにもないか
若しくはエステル結合およびアミド結合から選択される
少なくとも1つ以上の結合を示し、A2は、なにもない
か若しくはエステル結合及びアミド結合から選択される
少なくとも1つ以上の結合である。
【0070】本発明の重合開始剤の製造方法としては、
特に制限されず、反応によって得られた化合物が、前記
1、R2、X、Y及びZ基に対応する部位を有していれ
ばよい。例えば、前記R1、R2、X、Y及びZ基に対応
する化合物をそれぞれ順に反応させてもよく、基−X−
1(例えば、アルキルフェノールなど)に対応する化
合物と、基−Z−Y−R2に対応する化合物(例えば、
アゾ基を有し、末端にカルボキシル基を有する化合物な
ど)とを反応(例えば、エステル化)させてもよい。ま
た、基−X−R1に対応する化合物(例えば、ノニルフ
ェノール)と、基−Y−R2に対応する化合物(例え
ば、アゾ基を有し、末端にカルボキシル基を有する化合
物)と、基−Z−に対応する化合物(例えば、ヒドロキ
シカルボン酸など)とを反応させてもよい。従って、
X、Y、Z基に対応する化合物は、前記X及びYの項で
例示した結合に対応する基(カルボキシル基、ヒドロキ
シル基、アミノ基、イソシアネート基など)を末端に有
している場合が多い。また、基−Z−に対応する化合物
には、例えば、多価アルコール、多価カルボン酸、ヒド
ロキシカルボン酸、ポリアミン類、ポリイソシアネート
類などが挙げられる。
【0071】本発明において、前述の親水性部位、疎水
性部位、及びその間に反応性部位を有する重合開始剤を
使用する場合、該重合開始剤の使用量は、重合の条件や
所望とするトナーの組成の様々な因子に依存して任意の
量で使用することができるが、一般的にコア粒子に対し
0.001〜10質量%の範囲で使用することが好まし
い。0.001質量%を未満では分散剤としての十分な
効果が発揮されず、キャリア粒子間のコート状態にバラ
ツキを生じる場合がある。また、10質量%を超える範
囲では微粒子を副生し、コートの効率を低下させる場合
がある。
【0072】本発明において、前述の親水性部位、疎水
性部位、及びその間に反応性部位を有する重合開始剤と
併用又は単独で、公知の重合開始剤を使用することがで
きる。具体的には例えば、2,2’−アゾビス−(2,
4−ジバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1
−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキ
シ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブ
チロニトリル等のアゾ系、またはジアゾ系重合開始剤;
ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキ
シド、ジイソプロピルオキシカーボネート、クメンヒド
ロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキ
シド、ラウロイルペルオキシド等の過酸化物系重合開始
剤が挙げられる。
【0073】本発明において、前述の親水性部位、疎水
性部位、及びその間に反応性部位を有する重合開始剤と
併用又は単独で、公知の分散安定剤を使用してもよい。
具体的には例えば、無機化合物としてリン酸三カルシウ
ム,リン酸マグネシウム,リン酸亜鉛,リン酸アルミニ
ウム,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カル
シウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メ
タ珪酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウムベン
トナイト,シリカ,アルミナ等が挙げられる。有機化合
物としては、ポリビニルアルコール,ゼラチン,メチル
セルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エ
チルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリ
ウム塩,ポリアクリル酸、及びその塩,ポリメタアクリ
ル酸、及びその塩,ドデシルベンゼン硫酸ナトリウム,
テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリ
ウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウ
ム,ラウリル酸ナトリウム,オクチル酸ナトリウム,ラ
ウリル酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウム,オレイ
ン酸カルシウム等が挙げられる。
【0074】本発明に用いるコア粒子は、公知のキャリ
ア粒子であれば如何なるものでも用いることができる。
具体的には例えば、鉄、ニッケル、コバルトといった磁
性体金属、およびそれらの合金、あるいは希土類を含有
する合金類、鉄系合金、例えば、鉄−シリコン系、鉄−
アルミニウム系、鉄−シリコン−アルミニウム系、パー
マロイ合金等を含有するキャリア粒子、及び、該キャリ
ア粒子にコート層を設けたコートキャリアをコア粒子と
して用いることができる。
【0075】また、上記磁性を有する無機粒子の微粒子
を樹脂に分散した磁性体分散樹脂粒子をコアとして用い
ることもできる。この場合のコア材の製造方法として
は、バインダー樹脂、磁性体等を溶融混練し、粉砕,分
級等を行って得る方法や、モノマー、磁性体等を分散し
た溶液を直接重合して得る方法等種々の製造方法により
得ることが可能であるが、中でも、硬化系のモノマー、
磁性体を直接重合法により製造した磁性体分散樹脂粒子
を好ましく使用できる。これら、コア粒子に含有する磁
性体はその水平方向フェレ粒径が1.0μm以下のもの
が磁性体の脱離等を考慮すると好ましく用いることがで
き、より好ましくは0.5μm以下の磁性体を用いるこ
とでより強度を高めることができる。また、コア材に含
有される樹脂としてはいずれの熱可塑性樹脂、熱硬化性
樹脂でも使用できる。
【0076】上述の磁性体分散樹脂粒子に用いられるバ
インダー樹脂としては、具体的には例えば、ポリスチレ
ン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリル酸
共重合体等のアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重
合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、酢
酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボ
ン樹脂、パーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフロ
ロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルア
セタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロー
ス、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロー
ス、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロー
ス誘導体、ノボラック樹脂、ポリエチレン、飽和アルキ
ルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリアクリレートといった
芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタ
ール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホ
ン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイ
ド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂;また硬化性樹脂とし
ては、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン
樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポ
リエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラ
ミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹
脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹
脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、
ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテル
イミド樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができ
る。
【0077】以下に各種物性の測定方法について説明す
る。
【0078】(キャリアの粒径測定)走査電子顕微鏡
(100〜5000倍)によりランダムに粒径0.1μ
m以上のキャリア粒子200個以上抽出した写真画像を
拡大し、コンピューターに接続したタブレット(ワコム
社製)上に拡大写真像をのせて手動により粒子の水平方
向フェレ径を測定し、これを個数粒子径とする。また、
コンピュータにより、個数平均粒子径及び標準偏差σを
計算し、また、この条件で測定した個数基準の粒度分布
より個数平均粒径の1/2倍径累積分布以下の累積割合
を求め、1/2倍径累積分布以下の累積値を計算する。
【0079】(キャリアの比抵抗測定)図1に示す測定
装置を用いて行う。図1に示す測定装置において、21
は下部電極を示し、22は上部電極を示し、23は絶縁
物を示し、24は電流計を示し、25は電圧計を示し、
26は定電圧装置を示し、27は測定サンプルを示し、
29はガイドリングを示し、Eは抵抗測定セルを示す。
【0080】セルEに、キャリア又はコア粒子を充填
し、該充填キャリア又はコア粒子に接するように電極2
1及び22を配し、該電極間に電圧を印加し、そのとき
流れる電流を測定することにより比抵抗を求める方法を
用いる。上記測定方法においては、キャリア又はコア粒
子が粉末であるために充填率に変化が生じ、それに伴い
比抵抗が変化する場合があり、注意を要する。本発明に
おける比抵抗の測定条件は、充填キャリア又はコア粒子
と電極との接触面積S=約2.3cm2、厚みd=約2
mm、上部電極22の荷重180g、印加電圧100V
とする。
【0081】(金属酸化物の粒径測定)金属酸化物の個
数平均粒径は、日立製作所(株)製の透過型電子顕微鏡
H−800により5000〜20000倍に拡大した写
真画像を用い、ランダムに粒径0.01μm以上の粒子
を300個以上抽出し、ニレコ社(株)製の画像処理解
析装置Luzex3により水平方向フェレ径をもって金
属酸化物粒径として測定し、平均化処理して個数平均粒
径を算出する。
【0082】(金属酸化物の比抵抗測定)キャリア比抵
抗の方法に準ずる。図1のセルEに、金属酸化物を充填
し、充填された金属酸化物に接するように電極21及び
22を配し、該電極間に電圧を印加し、そのとき流れる
電流を測定することにより比抵抗を求める。金属酸化物
の充填に際して電極が試料に対して均一に接触するよう
に上部電極21を左右に回転させつつ充填を行う。上記
測定方法において比抵抗の測定条件は、充填金属酸化物
と電極との接触面積S=約2.3cm2、厚みd=約2
mm、上部電極22の荷重1.76N(180g)、印
加電圧100Vとする。
【0083】
【実施例】以下実施例をもって本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらによってなんら限定される
ものではない。
【0084】[重合開始剤の調製例1]4,4’−アゾ
ビス(4−シアノバレリック酸)5.6gをTHF50
mlに溶解し、これにN−ヒドロキシスクシンイミド
4.6gとN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
8.24gを加え、室温で24時間撹拌した。その後、
THFを溜去し、残物をアセトン500mlに分散して
沈殿を除去した。アセトンを溜去して4,4’−アゾビ
ス(4−シアノバレリック酸)のジエステルを得た。
【0085】次いで、上記結晶1.76gをDMF35
mlに溶解し、これにドデシルアミン0.74gを加え
て一晩撹拌した。反応液を水300mlに投入して析出
した沈殿を濾過/水洗した後、ジメトキシエタンに再溶
解して硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を溜去し、残物
を酢酸エチルで洗浄/乾燥させてジエステルの一方のエ
ステルがドデシルアミンに置換した生成物を得た。
【0086】続いて、この乾燥物1.7gをメタノール
20mlに分散させ、これに2モル/リットルのNaO
H1.6mlを加えて室温で撹拌して残ったエステルを
加水分解して下記目的化合物1を得た。
【0087】
【化2】
【0088】[重合開始剤の調製例2]重合開始剤の調
製例1において、ジエステルの一方のエステルがドデシ
ルアミンに置換した生成物2.72gをメタノール40
mlに分散させ、これにスルファニル酸0.87gを加
えて1晩撹拌し、次いで0.5モル/リットル水酸化ナ
トリウム水溶液0.03mlを加えて下記目的化合物2
を得た。
【0089】
【化3】
【0090】[重合開始剤の調製例3]重合開始剤の調
製例1において、ドデシルアミン0.74gの代わりに
n−ヘキシルアミン0.41gに変化させた以外は、重
合開始剤の調製例1と同様にして下記目的化合物3を得
た。
【0091】
【化4】
【0092】[重合開始剤の調製例4]重合開始剤の調
製例2において、ドデシルアミン0.74gの代わりに
ステアリルアミン1.08gに変化させた以外は、重合
開始剤の調製例2と同様にして下記目的化合物4を得
た。
【0093】
【化5】
【0094】[重合開始剤の調製例5]重合開始剤の調
製例1において、ドデシルアミン0.74gの代わりに
テトラコシルアミン(tetracosylamin
e)1.41gに変化させた以外は、重合開始剤の調製
例1と同様にして下記目的化合物5を得た。
【0095】
【化6】
【0096】[重合開始剤の調製例6]重合開始剤の調
製例2において、ドデシルアミン0.74gの代わりに
デシルアミン(decylamine)0.63gに変
化させ、スルファニル酸(sulfanilic ac
id)0.87gの代わりに2−アミノエタンスルホン
酸(2−aminoethanesulfonic a
cid)0.63gに変化させた以外は、重合開始剤の
調製例2と同様にして下記目的化合物6を得た。
【0097】
【化7】
【0098】 [コア粒子の製造例1] ・フェノール 10質量部 ・ホルムアルデヒド 6質量部 (ホルムアルデヒド約40%、メタノール10約%、残りは水) ・マグネタイト 58質量部 (粒径0.26μm、比抵抗5.4×1012Ωcm) ・α−Fe23 32質量部 (粒径0.58μm、比抵抗8.7×109Ωcm) 上記材料と塩基性触媒として28%アンモニア水、重合
安定化剤としてフッ化カルシウム、水をフラスコに入
れ、撹拌・混合しながら45分間で85℃まで昇温・保
持し、3時間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷
却し、10倍量の水を添加した後、上澄み液を除去し、
沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5
mmHg以下)に60℃で乾燥した。さらに、200℃
で1時間加熱して硬化させた。これを多分割分級器、具
体的には、エルボウジェットラボEJ−L−3(日鉄鉱
業社製)を用いて分級を行い、微粉をカットした。得ら
れたキャリアコア1は個数平均粒径28μmで、14μ
m(1/2倍径)以下の分布累積値は0.4個数%であ
った。得られたキャリアコア粒子1の比抵抗を測定した
ところ、1.2×1012Ω・cmであった。
【0099】[コア粒子の製造例2]モル比で、Fe2
3=52モル%、CuO=26モル%、ZnO=22
モル%になるように秤量し、ボールミルを用いて混合を
行った。これを900℃で1時間保持し仮焼成した後、
ボールミルにより8時間粉砕を行った。これに分散剤及
びバインダーを適量添加し、スプレードライヤーにより
造粒、乾燥した。これを1240℃で4時間焼結した。
その後、解砕し、さらに分級してキャリアコア粒子2を
得た。キャリアコア2は個数平均粒径42μmで、21
μm(1/2倍径)以下の分布累積値は12.1個数%
であった。得られたキャリアコア粒子2の比抵抗を測定
したところ、3.9×108Ω・cmであった。
【0100】 [コア粒子の製造例3] ・スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体(80/20) 14質量部 (重量平均分子量:32000,数平均分子量:19000) ・マグネタイト 58質量部 (粒径0.26μm、比抵抗5.4×1012Ωcm) ・α−Fe23 28質量部 (粒径0.58μm、比抵抗8.7×109Ωcm) 上記材料をヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行
なった後、3本ロールミルで2回溶融混練し、冷却後ハ
ンマーミルを用いて粒径約2mm程度に粗粉砕した。次
いでエアージェット方式による微粉砕機で粒径約37μ
mに微粉砕した。更に、得られた微粉砕物をメカノミル
MM−10(岡田精工製)に投入し、機械的に球形化し
た。
【0101】球形化を施した微粉砕粒子を更に分級して
磁性体分散型樹脂キャリアコア3を得た。得られたキャ
リアコア3は個数平均粒径35μmで、1/2倍径以下
の分布累積値は11.5個数%であった。得られたキャ
リアコア粒子の比抵抗を測定したところ、7.2×10
11Ω・cmであった。
【0102】[トナーの製造例]高速撹拌装置TK−ホ
モミキサーを備えた四つ口フラスコ中に、イオン交換水
700質量部と0.1モル/リットル−Na3PO4水溶
液460質量部を添加し、回転数を12000rpmに
調整し、65℃に加温した。ここに1.0モル/リット
ル−CaCl2水溶液80質量部を徐々に添加し、微小
な難水溶性分散安定剤Ca3(PO42を含む水系分散
媒体を調製した。
【0103】 ・スチレン単量体 165質量部 ・n−ブチルアクリレート単量体 35質量部 ・シアン着色剤(C.I.ピグメントブルー15:3) 14質量部 ・負荷電性制御剤(ジアルキルサリチル酸金属化合物) 2質量部 ・エステルワックス 30質量部 上記混合物をアトライターを用い3時間分散させた後、
重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)10質量部を添加した重合性単量体
組成物を水系分散媒体中に投入し、回転数12000r
pmを維持しつつ15分間造粒した。その後高速撹拌器
からプロペラ撹拌羽根に撹拌器を変え、内温を70℃、
回転数250rpmで重合を10時間継続させた。重合
終了後スラリーを冷却し、希塩酸を添加し分散安定剤を
除去した。これを洗浄、乾燥して重量平均粒子径が5.
6μm、個数分布における変動係数が12%であるトナ
ー粒子を得た。
【0104】上記トナー粒子100質量部に対して、B
ET法による比表面積が200m2/gであるシリカ母
体の表面をシランカップリング剤及びシリコーンオイル
で疎水化処理して比表面積が120m2/gとなってい
る疎水性シリカを2質量部外添してトナーを得た。
【0105】<実施例1>機械的撹拌機、窒素バブリン
グ用導入管をとりつけた重合容器に、 ・水 500質量部 ・重合開始剤の製造例1で得られた化合物1 3質量部 を投入し、これに ・コア粒子の製造例1で得られた粒子1 500質量部 を十分に分散した。系内を20℃に保持しつつ、系内の溶存酸素量が0.1mg /リットルになるまで液中に窒素をバブリングした。重合容器を昇温速度5℃/ 分で加熱しつつ、 ・スチレン 10質量部 ・2−エチルヘキシルメタクリレート 2質量部 ・ジビニルベンゼン 1.2質量部 からなる溶液を2時間かけて滴下した。重合容器を80
℃に保持し、撹拌下10時間重合した。重合中も窒素の
バブリングを継続した。
【0106】重合終了後、重合反応液の微粉含有率を測
定したところ、2.1個/μlであり、コア粒子に効率
よくコートされていることがわかった。
【0107】上記分散液を洗浄、乾燥してコートキャリ
アを得た。得られたキャリアの比抵抗を測定したとこ
ろ、4.8×1013Ω・cmであった。
【0108】得られたキャリア96質量部と、トナーの
製造例で得られたトナー4質量部を混合し、二成分系現
像剤を調製した。
【0109】この二成分系現像剤を用い、キヤノン製フ
ルカラーレーザー複写機CLC−500改造機を用いて
以下の評価を行った。また、3万枚の連続印字後につい
ても同様の評価を行った。これらの結果を表3に示す。
【0110】(重合後の微粉含有率の測定方法)微粉含
有率の測定方法としては、東亜医用電子製フロー式粒子
像分析装置FPIA−1000を用いて行う。本発明に
おいて、ビニル重合性モノマーの重合終了後、コートキ
ャリアのみを沈降させた反応液の上澄み1mlを、予め
不純固形物などを除去した0.2質量%ドデシルベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム水溶液150mlに加える。こ
れを超音波分散機で3分間分散処理を行い、前記装置に
より測定する。
【0111】(キャリア表面状態の評価)走査型電子顕
微鏡S−4700(日立製作所(株)製)を用い、加速
電圧1kVで観察することにより、以下の評価基準に基
づいて評価した。
【0112】評価基準 A:95個数%以上の粒子について、粒子間に表面状態
の差がない。 B:85個数%以上95個数%未満の粒子について、粒
子間に表面状態の差がない。 C:70個数%以上85個数%未満の粒子について、粒
子間に表面状態の差がない。 D:粒子間の表面状態にバラツキがある。 E:コア粒子表面の露出が著しい。
【0113】(トナーの摩擦帯電量測定)トナー4質量
部、キャリア96質量部となるように混合し、ターブラ
ミキサーで180秒混合する。この混合粉体(現像剤)
を底部に目開き20μm(635メッシュ)の導電性ス
クリーンを装着した金属製の容器にいれ、吸引機で吸引
し、吸引前後の質量差と容器に接続されたコンデンサー
に蓄積された電位から摩擦帯電量を求める。この際、吸
引圧を250mmHgとする。この方法によって、摩擦
帯電量を下記式を用いて算出する。
【0114】
【数1】 (式中、W1は吸引前の質量でありW2は吸引後の質量
であり、Cはコンデンサーの容量、及びVはコンデンサ
ーに蓄積された電位である。)
【0115】(画像評価)トナー4質量部、キャリア9
6質量部となるように混合し、ターブラミキサーで18
0秒混合する。この二成分系現像剤を用い、キヤノン製
フルカラーレーザー複写機CLC−500改造機を用い
て画像出しを行った。現像器の現像剤坦持体表面粗さを
Rz=10になるようにマット化した。さらに、ハーフ
トーンの再現性を緻密に評価するために、通常のレーザ
ースポット径を20%絞った。
【0116】極少スポットにより形成されるハーフトー
ンの再現性の評価方法としては、1画素内でのレーザー
のパルス幅変調(PWM)による多値記録により極小ス
ポットに対するトナーの再現性を感光体ドラムの表面を
顕微鏡で観察することにより、以下の評価基準に基づい
て評価した。
【0117】評価基準 A:ドットの乱れがなく、微小ドットまで再現し非常に
良好 B:飛び散りはなく、ドット形状はややばらつきである
が、良好 C:飛び散り、ドット形状にばらつきがあるが、実用上
問題なし D:飛び散り、ドット形状にばらつきが顕著 E:ドットのあるべきところに現像されていない、また
は飛び散りひどい
【0118】(連続印字後のキャリアの諸物性測定のた
めのサンプリング方法)連続印字後の現像剤を、0.5
質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液に
対し10質量%の濃度になるように測りとり、十分に撹
拌した後、超音波照射を3分間する。その後、マグネッ
トを容器の外から近づけてキャリアのみを吸着させ、デ
カンテーションを5回繰り返して洗浄し、乾燥して、種
々の評価に用いる。
【0119】<実施例2〜9>表2に示す処方にした以
外は実施例1と同様にしてコートキャリアを得、同様に
評価を行った。これらの結果を表3に示す。
【0120】<比較例1>機械的撹拌機、窒素バブリン
グ用導入管をとりつけた重合容器に、 ・水 500質量部 ・重合開始剤の製造例1で得られた化合物 3質量部 を投入し、系内を20℃に保持しつつ、系内の溶存酸素量が0.1mg/リット ルになるまで液中に窒素をバブリングした。重合容器を昇温速度5℃/分で加熱 しつつ、 ・スチレン 10質量部 ・2−エチルヘキシルメタクリレート 2質量部 ・ジビニルベンゼン 1.2質量部 からなる溶液を2時間かけて滴下した。重合容器を80
℃に保持し、撹拌下10時間重合した。重合中も窒素の
バブリングを継続した。生成した樹脂1を洗浄、乾燥し
て回収した。
【0121】 ・上記樹脂1 5質量部 ・トルエン 100質量部 からなる混合物を調製したところ、上記樹脂1は十分に
溶解しなかったため、分散させてコート液とした。
【0122】 ・コア粒子の製造例1で得られたコア粒子 500質量部 を撹拌による剪断応力を加えながら、上記コート液を注
ぎ込み、加熱して溶媒を揮発させコア粒子へのコート処
理を行った。これを解砕し、目開き82μm(200メ
ッシュ)の篩で分級してコートキャリアを得た。
【0123】これを用い、実施例1と同様に評価を行っ
た。
【0124】<比較例2>ジビニルベンゼンを添加しな
い以外は比較例1と同様にして樹脂2を得た。
【0125】 ・上記樹脂2 5質量部 ・トルエン 100質量部 からなる混合物を調製したところ、上記樹脂2が溶解し
たコート液を得た。
【0126】 ・コア粒子の製造例3で得られたコア粒子 500質量部 を撹拌による剪断応力を加えながら、上記コート液を注
ぎ込んだところ、コア粒子が粘着し一体化して、コート
キャリアは得られなかった。
【0127】<比較例3> ・コア粒子の製造例2で得られたコア粒子 500質量部 を撹拌による剪断応力を加えながら、比較例2で使用し
たコート液を注ぎ込み、加熱して溶媒を揮発させコア粒
子へのコート処理を行った。これを解砕し、目開き82
μm(200メッシュ)の篩で分級してコートキャリア
を得た。
【0128】これを用い、実施例1と同様に評価を行っ
た。
【0129】 <比較例4> ・比較例1で得られた樹脂1 5質量部 ・コア粒子の製造例1で得たコア粒子 500質量部 からなる混合物をハイブリダイゼーションシステムで3
000rpm、20分間処理して機械的に固着した。目
開き82μm(200メッシュ)の篩で分級してコート
キャリアを得た。
【0130】これを用い、実施例1と同様に評価を行っ
た。
【0131】
【表1】
【0132】
【表2】
【0133】
【表3】
【0134】
【発明の効果】本発明によれば、所望の特性を満足する
コート剤の処方に幅広く対応し、またコア粒子の種類に
よらず、キャリア粒子間におけるコート量、コート状態
の差が小さく、均一に効率よくコートすることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】キャリア、キャリアコア粒子、及び金属酸化物
の比抵抗を測定するための装置の模式図である。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともコア粒子及びコート樹脂を有
    するコートキャリアの製造方法において、 該コート樹脂を溶解しない重合媒体中に、該コア粒子を
    分散した分散系を形成する工程と、該分散系において、
    前記コート樹脂を構成するビニル重合性モノマーを重合
    し、前記コア粒子の表面に前記コート樹脂層を形成する
    工程を有することを特徴とするコートキャリアの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記コア粒子を分散する工程において、
    一分子内に親水性部位、疎水性部位、及びその間に反応
    性部位を有する重合開始剤を用いることを特徴とする請
    求項1に記載のコートキャリアの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記重合開始剤が下記式(1)に示され
    る化合物であることを特徴とする請求項2に記載のコー
    トキャリアの製造方法。 R1−X−Z−Y−R2 (1) (式中、R1は疎水性基であり、R2は親水性基であり、
    Zは反応性基であり、XおよびYは、それぞれ前記R1
    またはR2とZとを結合するユニットを示す。)
  4. 【請求項4】 前記重合開始剤の疎水性部位が、炭素数
    5〜60の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜60の芳香族
    炭化水素基、複素環基およびポリシロキサン残基から選
    択された少なくとも一種の基を含有することを特徴とす
    る請求項2又は3に記載のコートキャリアの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記重合開始剤の親水性部位が、多糖
    基、ヒドロキシル基、硫酸エステル基、硫酸塩、スルホ
    ン酸基、塩構造を有するスルホン酸基、カルボキシル
    基、カルボン酸塩、リン酸エステル基、リン酸塩、複素
    環基、複素環塩、アミノ基、およびアンモニウム塩から
    選択された少なくとも1種の基を含有することを特徴と
    する請求項2乃至4のいずれかに記載のコートキャリア
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記重合開始剤に含有される反応性部位
    が、アゾ基、過酸化基、ジケト基及び過硫酸基から選択
    された少なくとも1種の基であることを特徴とする請求
    項2乃至5のいずれかに記載のコートキャリアの製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記式(1)において、R1が、炭素数
    5〜60の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜60の芳香族
    炭化水素基、複素環基、及びポリシロキサン残基から選
    択された少なくとも1種の基であることを特徴とする請
    求項3乃至6のいずれかに記載のコートキャリアの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記式(1)において、R2が、多糖
    基、ヒドロキシル基、硫酸エステル基、硫酸塩、スルホ
    ン酸基、塩構造を有するスルホン酸基、カルボキシル
    基、カルボン酸塩、リン酸エステル基、リン酸塩、複素
    環基、複素環塩、アミノ基、アンモニウム塩から選択さ
    れた少なくとも1種の基を置換基として有する脂肪族又
    は芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項3乃
    至7のいずれかに記載のコートキャリアの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記R2の芳香族炭化水素基は、炭素数
    1〜20を有することを特徴とする請求項8に記載のコ
    ートキャリアの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記R2の芳香族炭化水素基は、炭素
    数6〜20を有することを特徴とする請求項8に記載の
    コートキャリアの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記式(1)において、Zがアゾ基、
    過酸化基およびジケト基から選択された少なくとも1種
    の基であることを特徴とする請求項3乃至10のいずれ
    かに記載のコートキャリアの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記式(1)において、Zが多価基で
    あり、X及びYが、同一または異なって炭素−炭素結
    合、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタ
    ン結合及びウレア結合から選択された少なくとも1種の
    結合を有するユニットであり、XおよびYのいずれか一
    方が電子吸引性基を有することを特徴とする請求項3乃
    至10のいずれかに記載のコートキャリアの製造方法。
  13. 【請求項13】 式(1)で表される化合物が、下記式
    (2)であることを特徴とする請求項3に記載のコート
    キャリアの製造方法。 R1a−A1−R3−N=N−R4−A2−R2a (2) (式中、R1aは炭素数6〜30の長鎖脂肪族炭化水素基
    又は炭素数1〜20のアルキル基を有する炭素数6〜1
    2(アルキル基部分を除く)のアリール基であり、R2a
    はカルボキシル基、カルボン酸基、硫酸エステル基、硫
    酸塩、スルホン酸基、塩構造を有するスルホン酸基、及
    びこれらの基を置換基として少なくとも一つ以上有する
    炭素数1〜20の脂肪族又は芳香族炭化水素基から選択
    された基であり、R3及びR4は同一又は異なって、アゾ
    基の隣接炭素原子に電子吸引基を有するアルキレン基で
    あり、A1は、なにもないか若しくはエステル結合、ア
    ミド結合、ウレタン結合及びエーテル結合から選択され
    る少なくとも1種の結合を示し、A2は、なにもないか
    若しくはエステル結合、アミド結合、ウレタン結合及び
    エーテル結合から選択される少なくとも1種の結合を示
    す。)
  14. 【請求項14】 式(2)で表される化合物において、
    1aが炭素数10〜22の長鎖脂肪族炭化水素基、又は
    置換基として炭素数1〜18のアルキル基を有するフェ
    ニル基であり、R2aがカルボキシル基、カルボン酸基、
    硫酸エステル基、硫酸塩、スルホン酸基、塩構造を有す
    るスルホン酸基、及び、これらの基を置換基として少な
    くとも一つ以上有する炭素数1〜20の脂肪族又は芳香
    族炭化水素基からなるグループより選ばれる基であり、
    3およびR4が、同一または異なって、アゾ基の隣接炭
    素原子にシアノ基を有する炭素数2〜6のアルキレン基
    であり、A1は、なにもないか若しくはエステル結合及
    びアミド結合から選択される結合を示し、A2は、なに
    もないか若しくはエステル結合及びアミド結合から選択
    される結合を示すことを特徴とする請求項13に記載の
    コートキャリアの製造方法。
  15. 【請求項15】 前記重合開始剤の添加量が、コア粒子
    に対し0.001乃至10質量%の範囲であることを特
    徴とする請求項2乃至14のいずれかに記載のコートキ
    ャリアの製造方法。
  16. 【請求項16】 前記ビニル重合性モノマーが架橋剤を
    含有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか
    に記載のコートキャリアの製造方法。
  17. 【請求項17】 前記架橋剤の含有量が前記ビニル重合
    性モノマー全量に対し0.01乃至30質量%の範囲で
    あることを特徴とする請求項16に記載のコートキャリ
    アの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記ビニル重合性モノマーを重合する
    工程の前に、系内の溶存酸素量を2vol%以内に調整
    する工程を有することを特徴とする請求項1乃至17の
    いずれかに記載のコートキャリアの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011197671A (ja) * 2010-03-23 2011-10-06 Xerox Corp コートされたキャリア
JP2016089073A (ja) * 2014-11-07 2016-05-23 新日鉄住金化学株式会社 表面修飾無機酸化物粒子及び樹脂組成物

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