JP2002333000A - エジェクタおよび冷凍システム - Google Patents
エジェクタおよび冷凍システムInfo
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Abstract
し、さらに一次流体と二次流体の界面が流体流れ方向に
対してほぼ鉛直となるようにすることにより、有効エネ
ルギーの損失を抑制し、エジェクタの効率を向上するこ
とができるエジェクタおよびこれを用いた冷凍システム
を提供する。 【解決手段】 一次流体の噴流によって二次流体の吸引
および/または昇圧を行うエジェクタ1において、一次
流体と二次流体の界面がエジェクタ軸方向に対してほぼ
垂直となるように、一次流体の非定常流を生成する。
Description
昇圧などに供されるエジェクタに関し、特に一次流体の
流れを非定常流とするようにしたエジェクタ、およびこ
れを用いた冷凍システムに関する。
に、ノズル100とディフューザ102を備え、ノズル
100から一次流体を高速度で噴射することによって低
圧の二次流体を吸引し、一次流体と二次流体の間で圧力
変換(エネルギー交換)を伴ってディフューザ102か
ら流出させることにしている。エジェクタを用いて冷凍
サイクルを構成する場合には、上記二次流体が液相の状
態で入っている蒸発器をエジェクタに接続し、上記二次
流体が蒸発・吸引される際に発生する気化熱(蒸発潜
熱)により発生する冷熱を利用する。従来のエジェクタ
では、一次流体と二次流体が接する界面104におい
て、一次流体の噴流によりせん断的に二次流体を巻き込
みつつ混合させるものであるため、つまり吸引過程が一
次流体と二次流体の速度差などに起因する両流体間境界
領域での乱れや渦による巻き込みに基づいているため、
エントロピの増大すなわち有効エネルギーの損失は避け
られないものとなっていた。また、高エネルギー状態の
一次流体と低エネルギー状態の二次流体が直接混合する
ため、ここでも有効エネルギーの損失は避けられないも
のとなっていた。これらの要因により、従来のエジェク
タは効率が非常に低いものであった。
タの効率を向上させるためには、高エネルギー流体と低
エネルギー流体が直接接触する際、両流体の界面が、そ
れらの流れ方向に対して鉛直なっていることが望まし
い。言い換えれば、両流体界面の法線方向に流体が流れ
ていることが望ましい。この状態では、両流体が極力交
じり合わないような状態で流体間の界面を介してエネル
ギー(圧力)の授受が可逆的に行われる。さらに、高エ
ネルギー流体と低エネルギー流体は界面を介してエネル
ギーを交換し、概略同一エネルギー状態となった後に混
合する。このため、吸引・混合時の有効エネルギー損失
は、せん断による場合に比較して大幅に低減される。こ
のような、高エネルギー流体と低エネルギー流体の界面
がそれらの流れ方向に対して鉛直になっている状態は、
従来のエジェクタの如く一次流体噴流が定常的に流れて
いる場合には実現不可能である。
ジェクタは、上記の状態を実現する一つの方策を提供し
ている。図10は同公報に示されたエジェクタの断面図
である。図10において、110は一次流体供給配管、
111は二次流体供給配管、112は一次流体供給配管
110の先端部に取り付けられたノズル、113はディ
フューザ、114はノズル112に対向して回転自在に
設けられた円錐体状のロータで、その円錐表面には複数
の羽根115が取り付けられている。116はロータ1
14を支持する軸、117はディフューザ113内に同
心に固定されたスピンドルで、ロータ114を同心軸上
で支持する紡錘形状の部材である。
に対向して極低摩擦で自由回転する円錐体状のロータ1
14を配設し、このロータ114の円錐面上に複数の傾
斜した羽根115を設け、この羽根115付きロータ1
14をディフューザ113内に同軸に支持する構成とな
っている。かかるエジェクタの構成によると、ノズル1
12からの一次流体の噴流がロータ114に取り付けら
れた羽根115に作用し、ロータ114が自由回転す
る。回転しているロータ114の羽根115が横切る下
流側には、一次流体のらせん流が形成される。このらせ
ん流の速度成分は、エジェクタ軸方向に大きな速度成分
を持つ。二次流体はこの一次流体らせん流のらせんとら
せんの間に保持され、あたかもらせん形状のピストンで
押されるようにして運搬される。この際、一次流体と二
次流体の界面が、流体の速度方向に対して平行ではな
く、らせんの強さに応じた角度を有するため、容積ポン
プ的な現象に近くなり、せん断により巻き込む従来法式
に比較してエントロピの増大、すなわち有効エネルギー
の損失を低減することができる。さらに、一次流体と二
次流体が、その界面を介してエネルギー(圧力)を交換
して概略等エネルギー状態となった後に混合するため、
エネルギー状態の異なる流体が直接混合する場合に比較
して有効エネルギー損失を抑制することができる。これ
らの効果により、エジェクタの効率が向上する。この一
次流体および二次流体のらせん流は「非定常流(non-ste
ady flow)」と呼ばれている。ここに、非定常流とは、
流量、速度、圧力、温度などの状態が時間的、空間的に
変化する流れをいう。
138,456公報によるエジェクタは、一次流体の非定常ら
せん流を生成し、これによりエジェクタの効率を向上さ
せている。しかしながら、このエジェクタでは、自由回
転する羽根付きロータをノズル下流側に設置する必要が
あるため、エジェクタ構造が従来のものに比較して複雑
となり、また、稼働部となる回転体の回転軸、軸受の耐
久性などから、メンテナンスの必要が生じる。さらに、
一次流体と二次流体の界面が流体の速度方向に対して鉛
直にはなり得ないという問題点もある。一次流体と二次
流が、その界面を介してエネルギー(圧力)を最も効率
よく交換するためには、界面が流体の速度方向に対して
鉛直であることが望ましい。界面が速度方向に対して鉛
直でない場合には、界面と平行方向の速度成分に起因す
るせん断による巻き込みが発生し、効率が低下してしま
うためである。USP6,138,456公報のらせん流は、羽
根付きロータの羽根取付角度によりらせんの強さを調整
可能である。羽根取付角度を一次流体噴流速度方向に対
して鉛直に近づけることにより、一次流体/二次流体界
面の速度方向に対する角度を鉛直に近づけることは可能
であるが、真の鉛直にはなり得ない。また、羽根取付角
度を一次流体噴流速度方向に対して鉛直に近づけること
は、一次流体流れに対して抵抗となり、別の意味で効率
を低下させてしまう。
されたもので、比較的簡単な構成で一次流体を非定常流
とし、さらに一次流体と二次流体の界面が流体流れ方向
に対してほぼ鉛直となるようにすることにより、有効エ
ネルギーの損失を抑制し、エジェクタの効率を向上する
ことができるエジェクタおよびこれを用いた冷凍システ
ムを提供することを目的としている。
は、一次流体の噴流によって二次流体の吸引および/ま
たは昇圧を行うエジェクタにおいて、一次流体と二次流
体の界面がエジェクタ軸方向に対してほぼ垂直となるよ
うに、一次流体の非定常流を生成してなることを特徴と
するものである。なお、ここでいう界面とは、必ずしも
明確な境界があるものだけではなく、遷移層のようなも
のも含める。
の形態を間欠流または脈動流とするものである。ここ
に、「間欠流」とは、間欠的に流体が一方向に流動する
流れをいい、流体の流量が0となる瞬間があるものであ
る。「脈動流」は、流体の流量が主流方向に時間変動す
る形態で、流量が最小となった瞬間でも0にはならない
ものを指す。このような間欠流あるいは脈動流とするこ
とによって、ロータ等の旋回または回転を伴わずに一次
流体の非定常流を生成することが可能となる。二次流体
は一次流体塊同士の狭間にはさまれ保持される状態とな
り、両流体間の界面は流体の流れ方向に対してほぼ鉛直
となる。
(1)一次流体供給配管内に設けた内管の周期的加熱制
御、(2)一次流体供給装置の周期的供給制御、(3)
一次流体供給制御装置の周期的流量制御、(4)一次流
体加熱装置への高電場の周期的印加制御のいずれかの方
法により生成することができる。
設けた内管を周期的に加熱することによって、内管内の
液を蒸発させ、その気泡によって液を吐出させる。これ
をノズルに導き、気相となった一次流体をノズル先端か
ら噴出させることにより、一次流体の非定常流を生成す
ることができる。
て、例えばダイヤフラムポンプの如き間欠押し出し式の
ものを用い、これを周期的に制御するものである。
として、例えば電磁弁等を用い、これを周期的に開閉制
御するものである。
に、例えば絶縁被覆電極を設け、これに高電場を周期的
に印加することにより、加熱装置内の一次流体の蒸発量
の増減を間欠的に行うものである。
らかなように、エジェクタ内部にロータのような回転体
が存在せず、構造が比較的単純であり、低コストであ
る。
いずれかに記載のエジェクタを用いて冷凍サイクルを構
成したことを特徴とする。
流かつ二次流体との界面を流れ方向に鉛直としたことに
より、二次流体の吸引・混合時の有効エネルギー損失が
低減し、エジェクタの効率が向上する。言い換えれば、
一次流体に対する二次流体の流量比(=[二次流体流
量]/[一次流体流量])が増大し、単位量の二次流体
を吸引するに必要な一次流体量が低減される。因みに、
図9の従来例を用いた冷凍システムと比較すると、本発
明では同一量の二次流体を吸引するに必要な一次流体量
が1/3以下に低減され、すなわち、効率が3倍以上に
向上する。
を用いて説明する。
態1によるエジェクタの概要を示す図である。このエジ
ェクタ1は、ノズル2と、内部にノズル2を同心状に配
したディフューザ3とから主として構成されている。デ
ィフューザ3は上流側に導入部4を有し、ノズル2はこ
の導入部4を貫く一次流体供給配管5の先端部に取り付
けられている。ノズル2は、一次流体供給配管5によ
り、一次流体加熱装置6を介してポンプなどからなる一
次流体供給装置7に接続されており、また、ディフュー
ザ3の導入部4には、二次流体供給配管8を介して二次
流体の供給元である二次流体供給部9が接続されてい
る。ディフューザ3は流出配管10を介して他のプロセ
ス、凝縮器、あるいは大気などへ接続されている。
一例として、内管を細管群11により構成したものが示
されている。この細管群11は、一次流体供給配管5の
内部上流側に設置され、一次流体加熱装置6に接続され
ている。また、細管群11は、図2に示すように、細管
12を複数本束ねた構成となっており、それぞれの細管
12の先端部に加熱手段13を設けたものである。加熱
手段13は、例えば電気ヒータであり、細管12を周期
的、かつ、瞬間的に加熱するものである。
加熱したときの一次流体の吐出現象を模式的に示したも
のである。すなわち、一次流体加熱装置6を通過後、過
熱液相状態となっている一次流体が細管12に充填され
ている状態で、加熱手段13により瞬間的に加熱した場
合、液の一部が蒸発し、蒸発した気泡14が一気に膨張
することにより、細管12内の加熱部13より先端側に
存在する加熱液を細管12より押し出す。押し出された
加熱液の液滴15は蒸発、膨張しつつノズル2に至り、
ノズル2から高速度で噴出することになる。細管群11
における細管12の本数は一次流体の流量に応じて任意
の数としてよい。
期的に繰り返すことにより、間欠的な一次流体流れが生
成される。図4はその間欠的な一次流体流れがエジェク
タ1内部で生成されている状況を図示したものである。
間欠的な一次流体流れにより、一次流体塊16が図4の
右方向に流動し、それら一次流体塊16の狭間に二次流
体が吸引され、二次流体塊17が形成され、やはり右方
向へ流動する。一次流体塊16と二次流体塊17の間の
界面は、流体塊の流れ方向に対し、概略垂直面をなし、
一次流体塊16と二次流体塊17の間ではエネルギーの
授受が行われる。エネルギーの授受後、ほぼ同一エネル
ギー状態となった一次流体塊16と二次流体塊17は混
合し、ディフューザ3で速度エネルギーを圧力エネルギ
ーに回復しつつ流出配管10へと流出する。したがっ
て、一次流体塊16と二次流体塊17のエネルギー授受
は垂直界面を介して行われ、また、両流体のエネルギー
状態が近くなってから混合するため、有効エネルギーの
損失が抑制され、エジェクタの効率が向上する。なお、
加熱手段13は、上記のように電気ヒータを用い、これ
にパルス電流を周期的に印加することにより上記機能を
持たせることが可能となるが、電気ヒータ以外の加熱手
段で断続的に各細管12を加熱しても構わない。
態2によるエジェクタの概略図である。この実施の形態
では、図1に示したような細管群11に代えて、一次流
体の非定常流生成手段の他の例を示すものであり、一次
流体供給装置7として、間欠流もしくは脈動流を発生さ
せる構造のものを使用することにより、間欠的もしくは
脈動的な一次流体流れを生成するものである。このよう
な一次流体供給装置7の例として、ダイヤフラムポンプ
やチューブポンプなどがある。
態3によるエジェクタの概略図である。この実施の形態
では、実施の形態2と異なり、一次流体供給装置7と一
次流体加熱装置6との間に、一次流体供給制御装置18
を設置したもので、一次流体供給制御装置18によって
一次流体の流れに間欠流もしくは脈動流を発生させるも
のである。このような一次流体供給制御装置18の例と
して、電磁弁などがある。なお、図6では一次流体供給
制御装置18は、一次流体供給装置7と一次流体加熱装
置6の間に設置してあるが、一次流体加熱装置6の下流
側や、一次流体供給装置7の上流側など、任意の位置に
設置可能である。
態4によるエジェクタの概略図である。この実施の形態
では、一次流体の非定常流生成手段のさらに他の例とし
て、いわゆる「浅川効果」と称される方法を狙いとする
ものである。すなわち、一次流体加熱装置6は、内部に
熱交換器19などを備えており、内部で一次流体を蒸発
させる構造となっている。この加熱装置6の内部には、
気相部に高圧電場を印加するための絶縁被覆電極20が
設置してあり、高電圧電源21により電圧が印加されて
いる。高圧電場を印加することにより、流体の表面張力
の低下、粘性の低下が生じ、一次流体の蒸発が促進され
る(浅川効果)。したがって、高圧電場をパルス的、周
期的に印加することにより、間欠的もしくは脈動的な一
次流体流れが生成される。なお、図7では高電圧電源2
1は直流電源となっているが、交流電源であっても構わ
ない。
数十Hzの間欠流または脈動流となるように制御され
る。
タを用いて冷凍サイクルを構成した実施の形態を示す概
要図である。エジェクタ1は、ノズル2、ディフューザ
3により主として構成される。ノズル2は、一次流体供
給配管5を介して、一次流体加熱装置6、一次流体供給
装置7に接続されている。また、エジェクタ1は二次流
体供給配管8を介して蒸発器51に接続されている。エ
ジェクタ1の流出側には流出配管10を介して凝縮器5
2が接続されている。凝縮器52に流入する一次流体と
二次流体の混合気は凝縮器52に接続されている冷却水
配管54により冷却され、凝縮する。凝縮した液は、配
管58を流れ、一次流体供給装置7により一次流体加熱
装置6に戻されると同時に、二次流体戻り配管59、減
圧弁57を介して蒸発器51に戻る。蒸発器51内の二
次流体がエジェクタ1により吸引される際に発生する二
次流体の気化熱(蒸発潜熱)により温度低下、すなわち
冷凍が発生し、蒸発器51に接続されている冷熱負荷5
6を冷却する。
述したようにエジェクタの効率が向上するため、一次流
体に対する二次流体の流量比(=[二次流体流量]/
[一次流体流量])が増大し、冷凍機としての効率(C
OP)が向上する。
る熱交換器19の熱源としては、電力や燃料の燃焼によ
るもののほか、工場排熱や排ガス熱なども利用される。
また、一次、二次流体の冷媒としては、水、フロン、ア
ルコール、アンモニア、あるいはこれらの混合物などが
利用される。
簡単な構成であるうえに、ノズルから噴出する一次流体
の流れを、一次流体と二次流体の界面がエジェクタ軸方
向に対してほぼ垂直となるような非定常流とするもので
あるので、有効エネルギーの損失が抑制され、エジェク
タの効率を大幅に向上させる効果がある。また、本発明
のエジェクタを用いた冷凍システムでは、単位量の二次
流体を吸引するに必要な一次流体の流量が低減できるこ
とから、一次流体に対する二次流体の流量比が増大し、
冷凍機の効率が向上する効果が得られる。
である。
図である。
体の流れを示す作用説明図である。
である。
である。
である。
図である。
の断面図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 一次流体の噴流によって二次流体の吸引
および/または昇圧を行うエジェクタにおいて、 一次流体と二次流体の界面がエジェクタ軸方向に対して
ほぼ垂直となるように、一次流体の非定常流を生成して
なることを特徴とするエジェクタ。 - 【請求項2】 非定常流の形態を間欠流とすることを特
徴とする請求項1記載のエジェクタ。 - 【請求項3】 非定常流の形態を脈動流とすることを特
徴とする請求項1記載のエジェクタ。 - 【請求項4】 一次流体の非定常流生成方法が、一次流
体供給配管内に設けた内管の周期的加熱制御によること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエジェク
タ。 - 【請求項5】 一次流体の非定常流生成方法が、一次流
体供給装置の周期的供給制御によることを特徴とする請
求項1〜3のいずれかに記載のエジェクタ。 - 【請求項6】 一次流体の非定常流生成方法が、一次流
体供給制御装置の周期的流量制御によることを特徴とす
る請求項1〜3のいずれかに記載のエジェクタ。 - 【請求項7】 一次流体の非定常流生成方法が、一次流
体加熱装置への高電場の周期的印加制御によることを特
徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエジェクタ。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のエジェ
クタを用いて冷凍サイクルを構成したことを特徴とする
冷凍システム。
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