JP2002331675A - 液体吐出装置及び液体吐出ヘッド - Google Patents

液体吐出装置及び液体吐出ヘッド

Info

Publication number
JP2002331675A
JP2002331675A JP2001139971A JP2001139971A JP2002331675A JP 2002331675 A JP2002331675 A JP 2002331675A JP 2001139971 A JP2001139971 A JP 2001139971A JP 2001139971 A JP2001139971 A JP 2001139971A JP 2002331675 A JP2002331675 A JP 2002331675A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
ink
voltage
acid
fine particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001139971A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Kato
真夫 加藤
Fumitaka Goto
文孝 後藤
Mitsuhiro Ono
光洋 小野
Kentaro Yano
健太郎 矢野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2001139971A priority Critical patent/JP2002331675A/ja
Publication of JP2002331675A publication Critical patent/JP2002331675A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクミストとプリント性向上液のミストと
の記録ヘッドフェイス部での凝集を低減させたインクジ
ェット記録装置を提供する。 【解決手段】 導電性部材H2100は、液体吐出ヘッ
ドの吐出口面と隣接して配置されている。制御手段は、
吐出口から液体が吐出される際に導電性部材H2100
に電圧が印加されるように制御する。電圧印加手段は、
制御手段の制御により導電性部材に電圧を印加する。吐
出口から液体を吐出する際に生じたミストは、電圧が印
加された導電性部材H2100に吸着する。除去手段
は、導電性部材H2100に付着した液体や液体同士の
反応により生じた凝集物を除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体吐出装置に関
し、詳しくは、プリント媒体上にインクと、インク中の
色材または成分と反応して記録品位の向上を促すプリン
ト性向上液(以下、処理液ともいう)を吐出してプリン
トを行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】本発明は、インクおよびプリント性向上液
を紙や布、革、不織布、OHP用紙等または金属等の媒
体に吐出する全ての機器に適用可能である。
【0003】具体的には、本発明は、例えばプリンタ、
複写機、ファクシミリ等の事務機器や工業用生産機器等
に適用可能である。
【0004】
【従来の技術】従来から知られている液体噴射方式によ
って液体を滴状にして吐出し、空間を飛翔させ、これを
プリント媒体(紙、OHP用紙、加工紙等)に付着させ
るプリント方法が多くの製品に利用されている。
【0005】従来の液体噴射方式において、意図して吐
出された液滴ではない小液滴(以下、インクミストと称
す)が、プリント媒体やヘッドの不特定な部分に付着し
てしまうという現象が知られている。そして、インクミ
ストが不特定な部分へ付着するのを防止するために様々
な方法が考えられている。
【0006】例えば、ヘッド自体を改良することによ
り、インクミストの不特定部分への付着を防止する方法
がある。このようなヘッド自体の改造による方法の効果
として、インクミストの発生が減少することが観察され
ている。
【0007】また、インクミストの不特定部分への付着
を防止するための他の方法として、例えば、ファンによ
る空気流をヘッドとプリント媒体との間のプリント空間
内へ導入することにより、インクミストが不特定な部分
へ付着するのを防ぐ方法がある。このようなファンから
の空気流による方法では、意図して吐出された液滴の飛
翔方向等がファンによる空気流で乱れないように、空気
流は比較的弱いものである必要があり、インクミストの
付着防止について満足のいく効果が得られない場合が多
い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者達は、従来の
液体吐出装置で発生するインクミストについて様々な調
査や検討を行った。その結果、多くのプリント性向上液
において、インク中の色材若しくは溶媒などの組成物が
インクと反応性を有することを認めた。さらに、インク
およびプリント性向上液のミストが記録ヘッドのフェイ
ス面に付着し、フェイス面でそれらが互いに凝集するこ
とにより、記録ヘッドのノズルまわりの撥水性が低下
し、濡れが発生していた。それにより、インク等の吐出
方向が、本来の吐出方向とは異なる方向に曲がったり、
凝集物そのものでノズルが塞がれたりして、記録品位が
低下していた。
【0009】これらに対して、従来は、間引き印字を行
って記録速度を低下させることで、1スキャンあたりの
ミストの発生量を抑え、凝集物の発生を防止する方法が
取られていた。しかし、この方法によれば印字速度が低
下してしまい、プリンタ等に要求される高速化が阻害さ
れるという課題がある。
【0010】一方、従来、記録ヘッドのフェイス部にで
きた凝集物を除去する方法が取られる場合もあった。例
えば、記録ヘッドのフェイス面をワイピングする機構を
設け、比較的強い力でフェイス面をワイピングし、フェ
イス面に付着したミストを除去する方法があった。ま
た、他の方法として、吸収体によりフェイス面を拭く方
法があった。従来は、これらの方法によりインク等の吐
出の信頼性を確保しようとしていた。
【0011】従来、これらの方法により、ある程度の効
果を得ることができていたが、更に大きな効果の得られ
る手段や方法が求められていた。
【0012】本発明の目的は、インクミストとプリント
性向上液のミストとの記録ヘッドフェイス部での凝集を
低減させたインクジェット記録装置を提供することであ
る。
【0013】また、本発明の他の目的は、普通紙の風合
いを残しながら発色性と色の均一性がインクジェット用
コート紙並みに優れたインクジェット記録物を提供する
液体組成物を用いたインクジェット記録装置を提供する
ことである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者達は、上記目的
を達成するためにインクミストの発生状況を再び、調
査、検討すると共に、従来にはなかった着眼点をもって
鋭意研究し、本発明をなすに至った。また同様に、本発
明者達は、インクジェット記録物の発色性等を向上する
ために、プリント性向上液(液体組成物)および記録イ
ンクについて鋭意検討し、本発明をなすに至った。本発
明の液体吐出装置は、液体を吐出する吐出口が設けられ
た吐出口面を有する液体吐出ヘッドの前記吐出口面と隣
接して配置された導電性部材と、該導電性部材に電圧を
印加する電圧印加手段と、前記導電性部材に吸着された
異物を除去する除去手段と、を有している。
【0015】本発明によれば、液体吐出時に発生するミ
ストは、電圧印加手段により電圧を印加された導電性部
材から静電的な力を受けて、導電性部材に吸い寄せられ
て付着するので、吐出口面などの不特定な部分に付着す
るミストが低減され、吐出口面における凝集物の発生を
抑えられる。
【0016】本発明の実施態様によれば、液体として少
なくとも2つの異なる液体を用い、該異なる液体同士が
反応性を有する。
【0017】したがって、異なる液体同士が反応して発
生する凝集物が少なく抑えられる。
【0018】本発明の実施態様によれば、前記異なる液
体のうちの少なくとも1つがプリント性向上液である。
【0019】本発明の実施態様によれば、前記電圧印加
手段による電圧の印加を制御する制御手段を有し、該制
御手段は、前記液体吐出ヘッドが液体を吐出する際に前
記導電性部材に電圧を印加するように前記電圧印加手段
を制御する。
【0020】本発明の実施態様によれば、前記電圧印加
手段が前記導電性部材にプラスの電圧を印加する。
【0021】本発明の実施態様によれば、前記除去手段
は前記導電性部材をワイピングするワイピング手段であ
り、該ワイピング手段が前記導電性部材をワイピングす
る際に、前記導電性部材への電圧の印加を停止するよう
に前記制御手段が前記電圧印加手段を制御する。
【0022】したがって、ワイピング中は導電性部材に
電圧が印加されていないので、導電性部材からミストを
容易かつ確実に除去することが可能である。
【0023】本発明の実施態様によれば、前記ワイピン
グ手段が前記液体吐出ヘッドの吐出口面をワイピングす
る手段を兼ねている。
【0024】本発明の実施態様によれば、前記液体吐出
ヘッドが液体を吐出してプリント媒体に付着させて記録
を行う。
【0025】本発明の実施態様によれば、前記プリント
媒体は紙、布、革、不織布、OHP用紙または金属のい
ずれかである。
【0026】本発明の実施態様によれば、前記液体吐出
ヘッドは、液体を吐出するために利用される熱エネルギ
ーを発生する電気熱変換体を備えている。
【0027】本発明の実施態様によれば、前記液体吐出
ヘッドは前記電気熱変換体が発生する熱エネルギーによ
り液体に生じる膜沸騰を利用して前記吐出口より液体を
吐出させる。
【0028】本発明の液体吐出ヘッドは、液体を吐出す
る吐出口が設けられた吐出口面を有する液体吐出ヘッド
であって、ミストを吸着するための、前記吐出口の近傍
に設けられた導電性部材と、該導電性部材に電圧を印加
するための電圧印加手段と、を有している。
【0029】本発明の実施態様によれば、液体として少
なくとも2つの異なる液体を用い、前記異なる同士が反
応性を有する。
【0030】本発明の実施態様によれば、前記異なる液
体のうちの少なくとも1つがプリント性向上液である。
【0031】本発明の実施態様によれば、前記液体吐出
ヘッドが液体を吐出してプリント媒体に付着させて記録
を行う。
【0032】本発明の実施態様によれば、前記プリント
媒体は紙、布、革、不織布、OHP用紙または金属のい
ずれかである。
【0033】本発明の実施態様によれば、液体を吐出す
るために利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換
体を備えている。
【0034】本発明の実施態様によれば、前記電気熱変
換体が発生する熱エネルギーにより液体に生じる膜沸騰
を利用して前記吐出口より液体を吐出させる。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明は、ミストの性質や挙動を
調査し検討した結果として、新規な観点からなされたも
のである。特に、本発明は、走査しながらインクまたは
処理液を吐出するインクジェット記録ヘッド(液体吐出
ヘッド)から生じるミストの挙動に着目してなされたも
のである。
【0036】本発明の一実施形態について図面を参照し
て詳細に説明する。まず、本実施形態におけるインクジ
ェット記録ヘッドカートリッジについて説明する。ここ
では、電気的なエネルギーをヒータ(電気熱変換体)に
より熱エネルギーに変換し、その熱エネルギーによりイ
ンクに膜沸騰を生じさせ、膜沸騰による作用力でインク
を吐出口から吐出するインクジェット記録ヘッドに関す
る実施形態を例示する。
【0037】図1は、本発明の一実施形態のインクジェ
ット記録ヘッドカートリッジを示す斜視図である。
【0038】図1を参照すると、本実施形態における記
録ヘッドカートリッジH1000は、インクおよび液体
組成物を貯留するインクタンクH1900と、インクタ
ンクH1900から供給されるインクを記録情報に応じ
てノズルから吐出する記録ヘッドH1001とを有して
いる。
【0039】記録ヘッドH1001は、いわゆるカート
リッジ方式を採るものであり、後述するキャリッジM4
001に対して着脱可能に搭載される。
【0040】ここに示した記録ヘッドカートリッジH1
000においては、後述する普通紙に対して高発色カラ
ー記録を可能とするため、例えば、ブラック、シアン、
マゼンタ及びイエローの各色独立のインクタンクH19
00を有している。さらに、記録ヘッドカートリッジH
1000は、本発明に用いられる液体組成物用のインク
タンクH1900を有している。
【0041】図2は、図1に示された記録ヘッドカート
リッジH1000の分解斜視図である。
【0042】図2を参照すると、各インクタンクH19
00は記録ヘッドH1001に対して着脱自在であるこ
とが分かる。
【0043】図3は、図2に示された記録ヘッドH10
01を斜め下方から見た分解斜視図である。
【0044】図3を参照すると、記録ヘッドH1001
は、記録素子基板H1100、第1のプレートH120
0、電気配線基板H1300、第2のプレートH140
0、タンクホルダーH1500、流路形成部材H160
0、フィルターH1700及びシールゴムH1800か
ら構成されている。
【0045】記録素子基板H1100は、Si基板の片
面に、インクを吐出するための複数の記録素子と、各記
録素子に電力を供給するAl等の電気配線とが成膜技術
により形成されており、記録素子に対応した複数のイン
ク流路と複数の吐出口H1100Tとがフォトリソグラ
フィ技術により形成されている。また、記録素子基板H
1100は、複数のインク流路にインクを供給するため
のインク供給口が、Si基板の裏面に開口するように形
成されている。
【0046】また、記録素子基板H1100は、第1の
プレートH1200に接着固定されている。第1のプレ
ートH1200には、記録素子基板H1100にインク
を供給するためのインク供給口H1201が形成されて
いる。
【0047】さらに、第1のプレートH1200には、
開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定さ
れている。
【0048】電気配線基板H1300は、第2のプレー
トH1400を介して、記録素子基板H1100に電気
的に接続されるよう保持されている。
【0049】この電気配線基板H1300は、記録素子
基板H1100にインクを吐出するための電気信号を印
加するものである。電気配線基板H1300は、記録素
子基板H1100に対応する電気配線と、電気配線の端
部に位置しプリンタ本体からの電気信号を受け取るため
の外部信号入力端子H1301とを有している。外部信
号入力端子H1301は、後述のタンクホルダーH15
00の背面側に位置決め固定されている。
【0050】一方、インクタンクH1900はタンクホ
ルダーH1500に着脱可能に保持されている。タンク
ホルダーH1500には流路形成部材H1600が超音
波溶着されており、インクタンクH1900から第1の
プレートH1200へのインク流路H1501を形成し
ている。
【0051】また、インクタンクH1900と係合する
インク流路H1501のインクタンク側端部には、フィ
ルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の
侵入を防止している。
【0052】また、インクタンクH1900との係合部
にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのイ
ンクの蒸発を防止している。
【0053】さらに、タンクホルダーH1500、流路
形成部材H1600、フィルターH1700及びシール
ゴムH1800から構成されるタンクホルダー部と、記
録素子基板H1100、第1のプレートH1200、電
気配線基板H1300及び第2のプレートH1400か
ら構成される記録素子部とが接着等で結合されて、記録
ヘッドH1001を構成している。
【0054】また、電気配線基板H1300の記録素子
基盤H1100近傍には、ミスト吸着電極(ミスト除去
用静電パッドとも呼ぶ)H2100が設けられている。
ミスト吸着電極H2100は導電性の材料からなり、電
気配線基盤H1300と電気接合している。後述のミス
ト除去時には、プリンタ本体の電気基板(不図示)より
電気配線基盤H1300を通してミスト吸着電極H21
00に電圧が印加される。 (プリンタ本体)図4は、インクジェット記録方式を用
いたプリンタの概略構成を示す外観図である。
【0055】図5は、インクジェット記録方式を用いた
プリンタの内部構成を示す内部構成図である。
【0056】図4を参照すると、本実施形態におけるプ
リンタの外殻をなすプリンタ本体M1000は、下ケー
スM1001、上ケースM1002、アクセスカバーM
1003及び排出トレイM1004を含む外装部材を有
する。また、図5を参照すると、本実施形態のプリンタ
本体M1000は、外装部材内に収納されたシャーシM
3019を有する。 (記録動作機構)次に、プリンタ本体M1000に収納
され、保持される本実施形態における記録動作機構につ
いて説明する。
【0057】本実施形態における記録動作機構は、自動
給送部、搬送部、記録部及び回復部から構成されてい
る。
【0058】自動給送部は、記録シートPをプリンタ本
体内へと自動的に給送する。搬送部は、自動給送部から
1枚ずつ送出された記録シートPを所望の記録位置へと
導く、また、記録位置にあった記録シートPを排出部に
導く。記録部は、搬送部により記録位置へ搬送された記
録シートPに所望の記録を行なう。回復部は、記録部等
に対する回復処理を行う。 (記録部)前述した記録部は、キャリッジ軸によって移
動可能に支持されたキャリッジM4001と、キャリッ
ジM4001に着脱可能に搭載される記録ヘッドカート
リッジH1000とからなる。 (キャリッジ)図6は、本実施形態のキャリッジM40
01の正面側の斜視図である。キャリッジM4001に
ついて説明する。
【0059】図6を参照すると、キャリッジM4001
にはキャリッジカバーM4002とヘッドセットレバー
M4007が設けられている。
【0060】キャリッジカバーM4002は、キャリッ
ジM4001と係合しており、記録ヘッドH1001を
キャリッジM4001内の装着位置に案内する。
【0061】ヘッドセットレバーM4007は、記録ヘ
ッドH1001のタンクホルダーH1500と係合して
おり、記録ヘッドH1001を所定の装着位置にセット
させるよう押圧する。すなわち、ヘッドセットレバーM
4007はキャリッジM4001の上部に、軸に対して
回動可能に設けられている。また、ヘッドセットレバー
M4007の記録ヘッドH1001との係合部にはヘッ
ドセットプレート(不図示)がばねを介して備えられ、
このばね力によって記録ヘッド1001を押圧してキャ
リッジM4001に装着する。
【0062】また、キャリッジM4001の記録ヘッド
H1001との別の係合部には、コンタクトフレキシブ
ルプリントケーブル(以下、コンタクトFPCと称す)
E0011が設けられている。コンタクトFPC E0
011上のコンタクト部E0011aと、記録ヘッドH
1001に設けられたコンタクト部(外部信号入力端
子)H1301(図3参照)とが電気的に接触してお
り、記録のための各種情報の授受や記録ヘッドH100
1への電力の供給が可能となっている。
【0063】ここで、コンタクトFPC E0011の
コンタクト部E0011aとキャリッジM4001との
間には不図示のゴムなどの弾性部材が設けられ、この弾
性部材の弾性力とヘッドセットレバーM4007のばね
による押圧力とで、コンタクト部E0011aとキャリ
ッジM4001との確実な接触を可能にしている。さら
に、図6に示すように、コンタクトFPC E0011
はキャリッジM4001の両側面部に引き出され、一対
のFPC押さえM4003によって端部がキャリッジM
4001の両側面部に挟持、固定され、キャリッジM4
001の背面にあるキャリッジ基板(不図示)に接続さ
れている。
【0064】また、キャリッジ基板は、キャリッジフレ
キシブルフラットケーブル(以下、キャリッジFFCと
称す)(不図示)により、シャーシM3019に設けら
れたメイン基板(不図示)と電気的に接続されている。
また、キャリッジFFCの一方の端部とキャリッジ基板
(不図示)との接合部には一組の押さえ部材である第2
のフレキシブルフラットケーブル押さえ(以下、第2の
FFC押さえと称す)(不図示)が設けられ、キャリッ
ジFFCをキャリッジ基板に固定的に設けると共に、キ
ャリッジFFC等から放射される電磁波を遮断するため
のフェライトコアとなる。
【0065】また、キャリッジFFCの他方の端部は、
FFC押さえM4028(図5参照)により、シャーシ
M3019(図5参照)に固定されると共に、シャーシ
M3019に設けられた穴を介してシャーシM3019
の背面側に導出され、メイン基板に接続されている。
【0066】また、キャリッジM4001は、シャーシ
M3019の両側面の間に架設されたキャリッジ軸及び
キャリッジレールの案内により走査される。キャリッジ
軸の軸受け部分には、焼結製の金属等にオイル等の潤滑
剤を含浸させてなる一対のキャリッジ軸受け(以下、C
R軸受けと称す)がインサート成形等の方法により、一
体的に形成されている。
【0067】さらに、キャリッジM4001のキャリッ
ジレールとの当接部分には、摺動性や耐摩耗性に優れた
樹脂等の当接部材からなるキャリッジスライダ(CRス
ライダ)M4014(図6参照)が設けられており、C
R軸受けと共にキャリッジM4001の潤滑な走査を可
能にしている。
【0068】また、キャリッジM4001は、アイドラ
プーリM4020(図5参照)とキャリッジモータプー
リM4024(図5参照)との間に、キャリッジ軸と略
平行に張架されたキャリッジベルトM4018に固定さ
れている。キャリッジモータの駆動によりキャリッジモ
ータプーリM4024を移動させてキャリッジベルトM
4018を往動方向または復動方向へと移動させること
により、キャリッジM4001がキャリッジ軸M401
2に沿って走査する。キャリッジモータプーリM402
4は、シャーシM3019によって所定位置に保持され
ている。アイドラプーリM4020は、プーリホルダM
4021と共にシャーシM3019に対して移動可能に
保持され、モータプーリM4024から離間する方向へ
とばねによって付勢されている。それにより、アイドラ
プーリM4020からキャリッジモータプーリM402
4に架け渡されたキャリッジベルトM4018に、常
に、適度な張力が付与され、弛みのない良好な架設状態
が維持されている。
【0069】なお、キャリッジベルトM4018とキャ
リッジM4001との取付部分には、キャリッジベルト
止め(不図示)が設けられており、キャリッジベルトM
4018とキャリッジM4001との取り付けを確実に
している。
【0070】また、拍車ステイM2006(図5参照)
のキャリッジM4001の走査軌道上には、インクタン
クH1900に対向露出してインクエンドセンサE00
06(図5参照)が備えられている。インクエンドセン
サE0006は、キャリッジM4001に装着された記
録ヘッドカートリッジH1000のインクタンクH19
00に貯留されているインクの残量を検出する。インク
エンドセンサE0006はインクエンドセンサホルダー
M4026(図5参照)によって保持されている。ま
た、インクエンドセンサE0006はセンサの誤動作な
どを防止するために、外部からのノイズを遮断する金属
板等を備えたインクエンドセンサカバーM4027内に
収納されている。 (回復部)図7は本実施形態における回復系ユニットの
側面の斜視図である。図8は本実施形態のワイピング手
段であるワイパーホルダユニットの斜視図である。
【0071】次に、図7及び図8用いて、記録ヘッドカ
ートリッジH1000に対する回復処理を行う回復部に
ついて説明する。
【0072】本実施形態における回復部は、プリンタ本
体M1000に対して、独立して着脱を可能とする回復
系ユニット10によって構成されている。回復系ユニッ
ト10は、記録ヘッドH1001の記録素子基板H11
00に付着した異物を除去する手段や、インクタンクH
1900から記録ヘッドH1001の記録素子基板11
00に至るインクの流路(即ち、インク流路H1501
からインク流路H1501及び流路形成部材H1600
を経て第2のプレートH1400に至る流路)の正常化
を図るための手段等を備えている。
【0073】図7を参照すると、回復系ユニット10
は、キャッピング手段11、ワイピング手段12及び吸
引手段(不図示)を備えている。図7では、左側が排紙
側であり、右側が給紙側である。
【0074】キャピング手段11は、記録ヘッドのノズ
ルからインクが乾燥するのを防ぐために、プリンタの休
止中には記録ヘッドのフェイス面(吐出口が設けられた
面;吐出口面)を覆うように上昇する。また、吸引手段
(チューブポンプ)は、ギア24、25、26を介して
与えらたモータM3の動力により駆動される。吸引手段
はキャッピング手段11内に不圧を発生させ、記録ヘッ
ドのノズルよりインクを吸引して異物を除去することに
より、ノズルをクリーニングし、インク流路を正常化す
る。キャッピング手段11は、互いに反応し合うインク
を別々にキャッピング吸引するために、2つの部分を有
している。
【0075】ワイピング手段12は、キャッピング手段
11がヘッドフェイス面より下がった状態で可動し、ヘ
ッドフェイス面に残ったインクを除去する。
【0076】図8を参照して、ワイピング手段12につ
いて説明する。本実施形態においてワイパーM501
1,M5012−1,M5012−2はワイパーホルダ
1201に保持されている。ワイパーM5011は、ヘ
ッドフェイス全体のワイピングと、ミスト除去電極のワ
イピングを同時に行うことができるように、ヘッドフェ
イス面よりも大きい。
【0077】ワイパーM5012−1,M5012−2
は、記録ヘッドノズル列の近傍を確実にワイピングする
ためのものである。ワイパーM5012−1、M501
2−2は、それぞれが2つのワイパー部材で構成されて
おり、互いに反応し合うインクを別々のワイパー部材で
ワイピングする。
【0078】図9は本実施形態のプリンタの印字動作を
示すフローチャートである。図9を用いて本実施形態の
プリンタの記録動作について説明する。なお、ここで
は、簡略化のために1ページ分の記録を行う場合の印字
動作について例示する。
【0079】先ず、プリンタは、プリンタ本体はホスト
コンピュータ(不図示)からの印字開始命令を受信する
(STEP91)。
【0080】次に、プリンタは、記録ヘッドに記録ヘッ
ド駆動用電圧Vhを印加(VhがONの状態)する(S
TEP92)。これにより記録ヘッドは印字可能な状態
になる。
【0081】また、プリンタは、記録ヘッドを印字可能
な状態とすると同時に、ミスト除去用静電パッドにミス
ト除去用静電パッド電圧Vmiを印加(VmiがONの
状態)する(STEP93)。これにより、ミスト除去
用静電パッドはミストが吸着される状態となり、ミスト
が不特定の部分に付着するのを低減する。
【0082】記録ヘッド駆動用電圧Vh及びミスト除去
用静電パッド電圧Vmiが共にONの状態で、プリンタ
は記録動作として印字や回復処理を行う。記録動作にお
いて、プリンタはインク吐出動作を行う。なお、記録動
作は本発明の特徴と直接関連しないので概略を例示する
が、記録動作に以下に示す以外の動作が含まれてもよ
い。
【0083】記録動作において、プリンタは、先ず、記
録前のヘッド回復動作を行う(STEP94)。次に、
プリンタは、紙を給紙する(STEP95)。次に、プ
リンタは1ページ分の所定の記録を行う(STEP9
6)。所定の記録が終了したら、プリンタは排紙を行う
(STEP97)。また、プリンタは、記録終了時の回
復動作を行う(STEP98)。
【0084】次に、プリンタは、ワイピング動作を行う
(STEP99)。ワイピング動作において、プリンタ
は記録ヘッドの吐出口の近傍だけでなく、ワイパーM5
011により、ミスト除去用静電パッドに付着したイン
ク滴をも除去する。
【0085】次に、プリンタは、記録ヘッドへの記録ヘ
ッド用電圧Vhの印加を停止する。(STEP100)
また、プリンタは、ミスト除去用静電パッドへのミスト
除去用静電パッド電圧Vmiの印加を停止する(STE
P101)。さらに、プリンタは、記録ヘッドのフェイ
ス面を覆うようにキャッピングして(STEP10
2)、印字動作を終了する。
【0086】なお、プリンタは制御部を有しており、ホ
ストコンピュータからの命令に基づいて印字動作を行う
際に、この制御部により各部への電圧の印加を制御して
いる。
【0087】図10は本実施形態におけるミスト除去静
電パッドによる作用及び効果を説明するための説明図で
ある。図10を参照して本実施形態のミスト除去用静電
パッドの作用及び効果について説明する。
【0088】記録ヘッドH1001は、インク吐出時
に、紙等のプリント媒体に主に画像を形成する液滴(主
滴と呼ばれる)の他に、主滴よりも微小な液滴(サテラ
イト、ミストなどと呼ばれる。本明細書においては、説
明を簡易にするために、主滴以外の小液滴を総称してミ
ストと便宜上呼んでいる)を吐出する。これらミスト
は、プリンタの使用環境等に影響は受けるものの、一般
にマイナスに帯電していることが知られている。ミスト
は主滴よりも小さく、また、主滴よりも飛翔速度が遅い
ので、キャリッジ移動等の気流や静電気などの影響を受
けやすい。そのため、記録ヘッドH1001のフェイス
面や本体プラテン2103や被記録媒体2104の印字
領域外の不特定の部分に付着することが従来から知られ
ている。
【0089】図10において、本実施形態のミスト除去
用静電パッド2101,2102には、ミスト除去用静
電パッド電圧として、プラスの電圧が印加される。
【0090】インクの吐出により発生したミストは前述
したようにマイナスに帯電しているので、ミスト除去用
静電パッド2101,2102にプラスの電圧が印加さ
れた状態では、静電的に力を受けてミスト除去用静電パ
ッド2101、2102に吸い寄せられて付着する。
【0091】したがって、ヘッドフェイス面などの不特
定な部分に付着するミストが低減され、ヘッドフェイス
面の凝集物の発生を抑えられる。
【0092】なお、液体の吐出の直後では、液体の吐出
により発生したミストの一部はミスト除去用静電パッド
2101,2102に付着せず、キャリッジ走査領域に
浮遊すると考えれらる。
【0093】また、プリント媒体上に既に付着している
液体の液溜まりに、次の液滴(主滴)が付着するとき
も、液体が飛び散りミストが発生する。このミストの一
部もキャリッジ走査領域に浮遊すると考えれらる。
【0094】ミスト除去用静電パッド2101,210
2に付着せず、キャリッジ走査領域に浮遊しているミス
トは、次のキャリッジの走査で発生する気流によりミス
ト除去用静電パッド2101,2102に付着すること
が考えられる。これにより、ヘッドフェイス面の凝集物
の発生が抑えられる。
【0095】ミスト除去用静電パッド2101,210
2に付着したミストが互いに反応し合って、ミスト除去
用静電パッド2101,2102には凝集物が生成され
る。これらの凝集物はワイパーM5011により除去さ
れる。
【0096】凝集物を完全に除去することが要求される
記録ヘッドフェイス面の場合と異なり、ミスト除去用静
電パッドの場合、多少の凝集物が残っていても記録品質
に直接の影響が無い。そのため自由度の高い設計が可能
である。
【0097】ノズル近傍の凝集物をしっかり除去しない
と記録品質が低下するので、従来のプリンタでは、凝集
物の除去性を高めるためにワイパーのフェイス面への接
触圧力を高める必要がある場合があった。ワイパーとフ
ェイス面の接触圧力を高めると、ファイス面の傷みが早
く、記録ヘッドの寿命までの間のワイパーによる凝集物
の除去回数を制限する必要が生じるなど、設計の自由度
が損ねられていた。
【0098】これに対して、本実施形態のミスト除去用
静電パッドを用いれば、記録ヘッドフェイス面へのミス
トの付着量が低減され、記録ヘッドフェイスに発生する
凝集物の量が低減される。そのため、記録ヘッドの寿命
までの間に凝集物を除去する回数を少なくすることがで
きるので、ワイパーの接触圧力を高めて凝集物の除去性
を向上させることも可能であり、設計の自由度が向上す
る。
【0099】次に、本発明の他の実施形態について図面
を参照して説明する。
【0100】本発明の他の実施形態のプリンタは、ミス
ト除去用静電パッドによる凝集物の除去方法が上述した
プリンタと異なる。
【0101】本発明の他の実施形態のプリンタの凝集物
の除去方法について説明する。
【0102】図11は、本発明の他の実施形態のワイパ
ーホルダユニットの斜視図である。図12は、本発明の
他の実施形態のミスト除去用静電パッドのワイピング動
作を示すフローチャートである。
【0103】図11を参照すると、ワイパーホルダ24
00には、記録ヘッドフェイスふき取り用のワイパー2
401,2402,2403と、ミスト除去用静電パッ
ドふき取り用のワイパー2404が設けられている。ワ
イパー2401,2402,2403は、それぞれ図8
のM5011,M5012−1,M5012−2と同じ
ものである。
【0104】ワイパー2404は、記録ヘッドフェイス
面に当たらないようにして、ミスト除去用静電パッドの
みをワイピングする。本実施形態におけるワイピング動
作では、ヘッドフェイス面及びミスト除去用静電パッド
の双方の凝集物が同時に拭き取られて除去される。
【0105】図12を参照すると、本実施形態のミスト
除去用静電パッドのワイピング動作としては、先ず、プ
リンタはミスト除去用静電パッドへのミスト除去用静電
パッド電圧Vmiの印加を停止(VmiがOFFの状
態)する(STEP121)。次に、プリンタは、ワイ
ピングを行う(STEP122)。このとき、記録ヘッ
ドの吐出口の近傍とミスト除去用静電パッドとが同時に
ワイピングされる。
【0106】次に、プリンタは、再びミスト除去用静電
パッドへのミスト除去用静電パッド電圧へミスト除去用
静電パッド電圧Vmiの印加を開始(VmiがONの状
態)する(STEP123)。なお、ここで印字動作が
終了する場合、記録ヘッドへの記録ヘッド駆動用電圧の
印加も停止してキャッピングを行えばよい。
【0107】本実施形態によれば、ワイピング中、ミス
ト除去用静電パッドへ電圧を印加しないので、ミスト除
去用静電パッドとそこに付着していたミスト(もしくは
ミストが集まった液滴)との静電力が弱まる。静電力が
弱まればミストの除去性が高まり、ミストの除去が容易
かつ確実になる。そのため、ミスト除去用静電パッドに
凝集物が発生するのを低減させることができ、また、既
に付着したミストとその後に付着するミストとの反応に
よる凝集物の発生が低減される。
【0108】本実施形態のプリンタは、図11のような
ワイピングホルダユニットの構成により、ヘッドフェイ
ス面とミスト除去用静電パッドの双方を一度のワイピン
グでふき取るので、ノズル部分もワイピングされる。そ
のため、ワイピングの後に吐出動作などの回復処理を行
うことが望ましい。
【0109】また、本実施形態のような構成の場合、通
常のフェイス面のワイピングが、ミスト除去用静電パッ
ドの凝集物の除去動作にもなるので、フェイス面のワイ
ピングを行う際に、図12に示したように、ミスト除去
用静電パッド電圧VmiをOFFにすれば、ミスト除去
用静電パッドの凝集物除去効果が高まる。
【0110】なお、記録ヘッドフェイスふき取り用のワ
イパーと、ミスト除去用静電パッドふき取り用のワイパ
ーとがそれぞれ独立して設置されている場合、それぞれ
別タイミングでワイピングを行えばよいことは言うまで
も無い。その場合、ミスト除去用静電パッドをワイピン
グする際に、ミスト除去用静電パッドへの電圧の印加を
停止すればよい。
【0111】また、本発明は、相互に反応性を有するイ
ンク(双方のインクの溶媒同士、溶媒と色材、色材と溶
媒以外の物質、溶剤と溶剤以外の物質などの場合を総称
してよぶ)同士の場合に有効に適応可能である。
【0112】更に、本発明においては、導電性部材に吸
着されたミスト等の異物を除去する除去手段としてワイ
パーを用いるほか、例えばインク吸収体を導電性部材に
当接して除去するものであってもよい。
【0113】本発明は、例えば、特開平6−10684
1号公報、特開平9−11850号公報、特開平11−
334101号公報等に記載された少なくとも1セット
のBkインクとカラーインクが相互に反応するインクシ
ステムに適用可能である。また、本発明は、例えば、特
開平8−20720号公報、特開平8−281933号
公報等に記載された、有色インクと異なるプリント性向
上液が有色インクと反応してプリント性を向上させるイ
ンクシステムに適応可能である。
【0114】また、本発明は、プリント性向上液を用い
たシステムであり、普通紙上でコート紙並みの高発色カ
ラー記録を行うことができるインクシステムに適応可能
である。
【0115】以下、そのようなインクシステムについて
説明する。
【0116】ここでは実施例及び比較例を挙げて、本発
明の普通紙上での高発色記録について具体的に説明す
る。
【0117】尚、文中、部及び%とあるのは、特に断り
のない限り重量基準である。
【0118】先ず、本発明の液体組成物の作製について
説明する。
【0119】以下に示す各成分を混合溶解した後、ポア
サイズが1μmのメンブレンフィルター(商品名、フロ
ロポアフィルター、住友電工(株)製)にて加圧濾過
し、本発明の液体組成物を得た。 (アルミナ水和物の合成例)米国特許明細書第4,24
2,271号に記載の方法でアルミニウムドデキシドを
製造した。次に、米国特許明細書第4,202,870
号に記載された方法で、前記アルミニウムドデキシドを
加水分解してアルミナスラリーを製造した。このアルミ
ナスラリーをアルミナ水和物の固形分が8.2%になる
まで水を加えた。アルミナスラリーのpHは9.7であ
った。3.9%の硝酸溶液を加えてpHを5.3に調整
し、オートクレーブにて120℃8時間熟成させてコロ
イダルゾルを得た。このコロイダルゾルを硝酸でpH=
4.0に調整し、固形分濃度20%に濃縮してアルミナ
水和物スラリーを作製した。これらのスラリー中のアル
ミナ水和物は水中で表面がプラスに帯電し、カチオン性
を示す。また、これらのアルミナ水和物スラリーをイオ
ン交換水に希釈し分散させてコロジオン膜上に滴下して
測定用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察したとこ
ろすべて平板形状の微粒子であった。 <液体組成物の組成> ・1.5−ペンタンジオール 10.0質量部 ・エチレングリコール 7.5質量部 ・アルミナ水和物スラリー 50.0質量部 ・水 32.5質量部 上記成分を乳化分散機TKロボミックス(特殊機化工業
(株)製)にて3000rpmで30分間混合した後、
遠心分離処理(4000rpm、15分間)を行い、粗
大粒子を除去して液体組成物とした。
【0120】上記で得られた液体組成物のpHは3.9
であり、微粒子の平均粒子径は80nm 、ゼータ電位
は+41mVであった。また、インクタンクに液体組成
物を充填し、60℃/Dry・1ヶ月の保存試験を行っ
た後もインクタンク内に沈降物は見られず、記録ヘッド
からの吐出安定性も良好であった。また、液体組成物か
ら得られた微粒子凝集物は細孔半径が3nm〜30nm
の範囲における細孔容積は0.90ml/gであり、3
0nmを越える範囲での細孔容積は0.001ml/g
であった。また、3nm〜20nmの範囲での細孔容積
は0.89ml/gであり、20nmを越える範囲での
細孔容積は0.01ml/gであった。
【0121】上記液体組成物の物性評価は以下の方法に
従って行った。 1)微粒子の平均粒子径 微粒子の固形分濃度を0.1%になるよう液体組成物を
イオン交換水で希釈した後、超音波洗浄機にて5分間分
散させて、電気泳動光散乱光度計(大塚電子(株)社
製、ELS−8000、液温25℃、石英セル使用)を
用いて散乱強度を測定した。平均粒子径は付属のソフト
ウェアを用い、散乱強度からキュムラント解析法により
求めた。 2)pH 液体組成物に対し、液温25℃でpHメーター計(堀場
製作所(株)製、カスタニーpHメーターD−14)を
用いて測定した。 3)ゼータ電位 微粒子の固形分濃度が0.1%になるよう液体組成物を
イオン交換水で分散させた後に、ゼータ電位測定機(ブ
ルックヘブン社製、BI−ZETA plus、液温2
0℃、アクリルセル使用)で測定した。 4) 細孔半径及び細孔容積 下記手順に従って前処理した後、試料をセルに入れ、1
20℃で8時間真空脱気してカンタクローム社製のオム
ニソーブ1を用いて窒素吸着脱離法により測定した。細
孔半径及び細孔容積はBarrettらの方法(J.a
m.Dhem.Soc.,Vol73,373,195
1)により計算から求めた。 (1)上記液体組成物を大気雰囲気下120℃で10時
間乾燥してほぼ溶媒分を蒸発させて乾燥する。 (2)上記乾燥物を120℃から700℃まで1時間で
昇温させた後700℃で3時間焼成する。 (3)焼成後、上記焼成物を徐々に常温に戻し焼成物を
メノウ乳鉢で摺り潰して粉体化する。
【0122】次に、本発明の実施例及び比較例で使用す
るインクサブセット1及び2の作製について説明する。 <インクサブセット1の作製>下記に示す各成分を混合
し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズが0.45μmの
フロロポアフィルター(商品名、住友電工(株)製)に
て加圧濾過し、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシア
ンの各染料インク、Bk1、Y1、M1及びC1を得
て、これらの染料インクからなる組み合わせをインクサ
ブセット1とした。 [ブラックインクBk1] ・C.I.ダイレクトブラック195 2.5部 ・2−ピロリドン 10部 ・グリセリン 5部 ・イソプロピルアルコール 4部 ・水酸化ナトリウム 0.4部 ・水 78.1部 [イエローインクY1] ・Projet Fast Yellow 2(Zeneca社製) 2.0 部 ・C.I.ダイレクトイエロー86 1.0部 ・チオジグリコール 8部 ・エチレングリコール 8部 ・アセチレノールEH(川研ケミカルス社製) 0.2部 ・イソプロピルアルコール 4部 ・水 76.8部 [マゼンタインクM1] ・Projet Fast Magenta 2(Zeneca社製) 3部 ・グリセリン 7部 ・尿素 7部 ・アセチレノールEH(川研ケミカルス社製) 0.2部 ・イソプロピルアルコール 4部 ・水 78.8部 [シアンインクC1] ・C.I.ダイレクトブルー199 3部 ・エチレングリコール 7部 ・ジエチレングリコール 10部 ・アセチレノールEH(川研ケミカルス社製) 0.3部 ・水 79.7部 <インクサブセット2の作製>下記に示す各成分によっ
て顔料分散液を調製し、これを用いてブラックインクB
k2を作製した。更に、同様の顔料分散液を用いてイエ
ロー、マゼンタ及びシアンの各顔料インク、Y2、M2
及びC2を得、これらの顔料インクからなる組み合わせ
をインクサブセット2とした。 [ブラックインクBk2] (顔料分散液の作製) ・スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体(酸価140、重量平均分 子量5,000) 1.5部 ・モノエタノールアミン 1.0部 ・ジエチレングリコール 5.0部 ・イオン交換水 81.5部 上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、
樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に新たに試作され
たカーボンブラック(MCF88、三菱化成製)10
部、イソプロピルアルコール1部を加え、30分間プレ
ミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行っ
た。
【0123】・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機
械製) ・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ、1mm径 ・粉砕メディアの充填率:50%(体積比) ・粉砕時間:3時間 更に遠心分離処理(12,000rpm.、20分間)
を行い、粗大粒子を除去して分散液とした。 (ブラックインクBk2の作製)上記の顔料分散液を使
用し、下記の組成比を有する成分を混合し、顔料を含有
するインクを作製し、これをブラックインクBk2とし
た。 ・上記顔料分散液 30.0部 ・グリセリン 10.0部 ・エチレングリコール 5.0部 ・N−メチルピロリドン 5.0部 ・エチルアルコール 2.0部 ・イオン交換水 48.0部 [イエローインクY2]ブラックインクBk2の調製の
際に使用したカーボンブラック(MCF88、三菱化成
製)10部を、ピグメントイエロー74に代えたこと以
外はブラックインクBk2の調製と同様にして、顔料含
有イエローインクY2を調製した。 [マゼンタインクM2]ブラックインクBk2の調製の
際に使用したカーボンブラック(MCF88、三菱化成
製)10部を、ピグメントレッド7に代えたこと以外は
ブラックインクBk2の調製と同様にして、顔料含有マ
ゼンタインクM2を調製した。 [シアンインクC2]ブラックインクBk2の調製の際
に使用したカーボンブラック(MCF88、三菱化成
製)10部を、ピグメントブルー15に代えたこと以外
はブラックインクBk2の調製と同様にして、顔料含有
シアンインクC2を調製した。 (第1及び第2の実施例)上記のようにして得られた本
発明の液体組成物と、インクサブセット1(Bk1、Y
1、M1及びC1)、及びインクサブセット2(Bk
2、Y2、M2及びC2)の各色インクを用いた組み合
わせで、印字を行い、これを本発明の第1及び第2の実
施例とした。
【0124】上記第1及び第2の実施例の着色部の形成
方法においては、PPC用紙(キヤノン製)に記録を行
った。また、その際に使用したインクジェト記録装置と
しては、前述のジェット記録装置カラー画像を形成し
た。この際、液体組成物を先打ちして先ず記録紙上に付
着させ、その後、インクを付着させた。
【0125】具体的には、評価項目(1)〜(5)まで
は印字領域を3回の走査で印字する3パスファイン印字
を行い、評価項目(6)では2パス印字を行った。この
とき、液体組成物は各パス毎にイエロー、マゼンタ、シ
アン及びブラックのいずれかのインクが印字される画素
位置に印字を行った。即ち、各パス毎のイエロー、マゼ
ンタ、シアン及びブラックの印字データの論理和を液体
組成物の印字データとして用いた。尚、該ファイン印字
時のファインマスクの種類には、特に制限はなく、公知
の技術が利用可能であるので、ここでの詳細な説明は省
略する。
【0126】ここで用いた記録ヘッドは、600dpi
の記録密度を有し、駆動条件としては、駆動周波数9.
6kHzとした。600dpiのヘッドを使用したとき
の1ドット当たりの吐出量はイエロー、マゼンタ、シア
ンインク及び液体組成物については夫々15ng、ブラ
ックインクについては1ドット当たり30ngのヘッド
を使用した。尚、これらの記録条件は、実施例及び比較
例を通じて同一である。 (第1及び第2の比較例)インクサブセット1及び2の
みを用いて、下記の表1のようにして印字を行った。
【0127】
【表1】
【0128】上記インクサブセット1及びインクサブセ
ット2のみを用いて記録(第1及び第2の比較例)にお
いて用いた記録ヘッドは、600dpiの記録密度を有
し、駆動条件としては、駆動周波数9.6kHzとし
た。600dpiのヘッドを使用したときの1ドット当
たりの吐出量は、イエロー、マゼンタ及びシアンインク
については夫々約15ng、ブラックインクについては
1ドット当たり約30ngのヘッドを使用し、実施例と
同条件で記録を行った。 [評価方法及び評価基準]上記の第1及び第2の実施例
と第1及び第2の比較例で得られたそれぞれの記録画像
について、下記の評価方法及び評価基準で評価を行っ
た。その結果を表2に示した。 (記録画像の評価方法) (1)発色性 高精細XYZ・CIELAB・RGB標準画像(SHI
PP)(監修:高精細標準画像作成委員会、発行:画像
電子学会)のRGBカラーチャートをプリンタを用いて
印字し、それらのカラーチャートを測色した。発色性の
評価は同技術解説書に記載されている方法で色彩分布の
3次元的な広がり(以下、文中では色域体積と呼ぶ)の
計算を行い、比較した。その際、印字画像を形成する際
の画像処理は同一条件とし、測色は、印字後24時間経
過後、GRETAGスペクトロリノで光源:D50、視
野:2°の条件で測定した。その評価基準を以下に示し
た。インクサブセットのみの印字画像(第1及び第2の
比較例)に対しての色域体積の比を評価基準とした。 AAA:色域体積比が1.7倍以上 AA :色域体積比が1.5〜1.7倍 A :色域体積比が1.4〜1.5倍 BB :色域体積比が1.2〜1.4倍 B :色域体積比が1.0〜1.2倍 C :色域体積比が1.0倍未満 尚、これとは別に、インクジェット用コート紙(商品
名:カラーBJ用紙LC−101、キヤノン(株)製)
を用いてインクサブセット1で印字して画像を形成し、
上記の第1の比較例の印字物との色域体積の比を求めた
ところ1.3倍であった。 (2)均一性 前記したプリンターを用いて、二次色のレッド、ブルー
及びグリーンのベタ画像を印字した後、目視にて、白モ
ヤと色ムラに関して色の均一性を評価した。特に均一性
の悪い色を評価対象とした。評価基準は、以下の通りで
ある。 A:白モヤや色ムラは殆ど発生しない。 B:若干紙の繊維に沿って白モヤや色ムラが見えるが、
実質上問題のないレベルである。 C:紙の繊維に沿って著しく白モヤや色ムラが見える。 (3)スジムラ 前記したプリンターを用いて、二次色のレッド、ブルー
及びグリーンのベタ画像を印字した後、目視にて、スジ
ムラを評価した。特にスジムラの悪い色を評価対象とし
た。評価基準は以下の通りである。 A:スジムラは殆ど発生しない。 B:若干ヘッドスキャン毎のスジムラが見えるが、実質
上問題のないレベルである。 C:著しくヘッドスキャン毎の白いスジムラが見える。 (4)耐擦過性 前記したプリンターを用いて、イエロー、マゼンタ、シ
アン及びブラック各色のインクのベタ画像を印字した。
印字して16時間後、印字部の上にシルボン紙を重ね、
更にその上に3.5cm×3.5cmの分銅を載せ、4
0g/cm3の圧力をかけながら15cm/secの速
度でシルボン紙を引張って印字部の耐擦過性を評価し
た。特に耐擦過性の悪い色を評価対象とした。評価基準
は以下の通りである。 A:インク落ちは殆ど発生しない。 B:若干インクがシルボン紙に付着するが、印字部の色
落ちは目立つレベルではない。 C:インクがシルボン紙に多く付着し、明確に印字部の
色落ちが生じる。 (5)風合い 前記したプリンターを用いて、イエロー、マゼンタ、シ
アン及びブラック各色のインクのベタ画像を印字した
後、目視にて被記録媒体の風合いを評価した。評価基準
は、以下の通りである。 A:印字部及び未印字部ともに違和感がなく普通紙の風
合いを残している。 B:印字部と未印字部で風合いが異なる、又は記録媒体
全体が普通紙の風合いと大きく異なる。 (6)ブリード プリンターを用いて、シアンとブラックのベタ画像を隣
接して印字した後、色間境界部のブリードを目視で評価
した。評価基準は、以下の通りである。 AA ブリーディングを現忍できない。 A ブリーディングはほとんど目立たない。 B ブリーディングはしているが、実質上問題のない
レベルである。 C 色の境界紙がハッキリしないほどブリーディング
している。
【0129】
【表2】
【0130】<液体組成物及びインクについての説明>
以下、本発明を特徴づける液体組成物及びインクについ
て詳細に説明する。
【0131】本明細書におけるカチオン性のインク若し
くはアニオン性のインクの定義について述べる。インク
のイオン特性についていうとき、インク自体は荷電され
ておらず、それ自体では中性であることは、当該技術分
野においてよく知られていることである。ここでいうア
ニオン性のインク若しくはカチオン性のインクとは、イ
ンク中の成分、例えば、色材がアニオン性基若しくはカ
チオン性基を有し、インク中において、これらの基がア
ニオン性基又はカチオン性基として挙動するように調整
されているインクを指すものである。また、アニオン性
又はカチオン性の液体組成物に関してもその意味は上記
と同様である。 [液体組成物の測定方法]本発明では、以下の方法に従
って少なくとも微粒子と溶媒を含む液体組成物から得ら
れる微粒子凝集物のある特定の細孔半径領域における細
孔容積を測定する。先ず、これらの細孔物性を測定する
に当たり、上記液体組成物を以下の手順で前処理する。 (1)上記液体組成物を大気雰囲気下120℃で10時
間乾燥してほぼ溶媒分を蒸発させて乾燥する。 (2)上記乾燥物を120℃から700℃まで1時間で
昇温させた後700℃で3時間焼成する。 (3)焼成後、上記焼成物を徐々に常温に戻し焼成物を
『』粉体化する。
【0132】ここで上記前処理を施す理由としては、乾
燥によって液体組成物から微粒子凝集物を形成させ、焼
成により溶媒成分を完全に除去して凝集物の内部の細孔
を空にして空隙を形成するためである。
【0133】本発明で用いる細孔半径と細孔容積の測定
方法として、窒素吸着脱離法を好適に用いることができ
る。本発明で測定する対象となる微粒子凝集物の細孔の
サイズは、細孔半径が3nm〜30nmの領域での細孔
容積である。この領域における細孔容積が画像形成能に
対し相関性が高い理由は明確ではないが、推測するに、
この細孔半径より小さい領域では微粒子凝集物の内部へ
の色材や溶媒成分の浸透が著しく低下し、細孔に起因し
た色材の吸着が少なく、実質的に発色性の向上に関与し
ないと考えられる。一方、この細孔半径の領域よりも大
きな細孔では色材や溶媒成分の浸透が起こりやすくなる
反面、細孔の入口付近や内部に吸着した色材は細孔自体
の光散乱の影響によって色材が光の吸収に関与しにくく
なり、逆に発色性の低下が引き起こされると考えられ
る。
【0134】よって細孔半径が3nm〜30nmの領域
と、30nmを越える領域での細孔容積を測定すること
が形成画像の発色性能の測定に効果的である。この領域
における細孔物性の測定方法としては窒素吸着脱離法に
よる方法がもっとも最適である。細孔半径と細孔容積は
前処理した試料を120℃8時間真空脱気した後、窒素
吸着脱離法よりBarrettらの方法(J.am.D
hem.Soc.,Vol73,373,1951)か
ら求めることができる。更に好ましい測定方法としては
細孔半径が3nm〜20nmの領域と、20nmを越え
る領域での細孔容積を測定することである。この範囲で
は色材が染料である場合、特により一層の発色性の向上
を測定するうえで好ましい。 <液体組成物>以下に本発明の液体組成物について説明
する。 [細孔半径及び細孔容積]微粒子凝集物の細孔半径は前
述の如く、色材の速やかな浸透と細孔入口付近や内壁へ
の吸着及び細孔内部での色材の凝集を防ぐ観点から3n
m〜30nmの範囲であることが好ましいと考えられ
る。また、発色性の向上に寄与するだけの色材を内部に
取り込むためには同時にある程度の容量が必要である。
また、細孔容積が増すことで微粒子凝集物内の細孔の数
も増加すると考えられ、細孔内部への色材の吸着量だけ
でなく、細孔の入口付近での吸着量も増加すると考えら
れる。
【0135】よってこれらの観点から本発明に好適に用
いられる液体組成物は、細孔半径が3nm〜30nmの
範囲における細孔容積が0.4ml/g以上で、細孔半
径が30nmを越える領域での細孔容積が0.1ml/
g以下であるのが好ましい。細孔半径が3nmよりも小
さい細孔では、色材や溶媒成分が細孔内部に浸透しにく
く、実質的に微粒子凝集物の細孔が発色性の向上に寄与
しない。また、細孔半径が30nmを越える領域におい
て細孔容積が0.1ml/gを越える場合には光散乱が
大きな細孔が多いために、細孔入口付近や内壁に吸着し
た色材が発色性に寄与しにくくなる。また、上記細孔半
径の領域内での細孔容積が、この範囲未満では微粒子凝
集物の内部へ浸透する色材や溶媒成分が少ないために、
細孔の入口付近や内部に吸着する色材量が少なくなり、
発色性の向上に対する寄与が低くなって好ましくない。
【0136】より好ましい範囲としては細孔半径が3n
m〜20nmの範囲における細孔容積が0.4ml/g
以上で、細孔半径が20nmを越える領域での細孔容積
が0.1ml/g以下あるのが好ましい。細孔が3nm
〜20nmの半径の範囲に多く存在することによって特
に色材に染料を用いた場合において、発色性は更に向上
し、より一層広い色再現範囲を有する画像が形成でき
る。液体組成物から形成される微粒子凝集物の細孔半径
や細孔容積は、含まれる微粒子の化学種や形状、大きさ
ばかりでなく、溶剤種やその他の添加物及びそれらの組
成比等により変化し、これらの条件を制御することによ
って微粒子凝集物の形成状態をコントロールできると考
えられる。(微粒子) 本発明において、液体組成物中に含まれる微粒子に望ま
れる作用としては、 1)インクと混合した際に、色材の本来持つ発色性を損
なわずに、色材を吸着すること。 2)インクと混合した際或いは被記録媒体に付与された
際に、分散安定性が低下して、被記録媒体の表面に残存
すること。 等が挙げられる。これらの作用は、1種若しくは2種以
上の微粒子によって達成されてもよい。
【0137】1)の作用を満たすための性質として、例
えば、微粒子が色材と逆のイオン性を呈することが挙げ
られる。これにより、微粒子は色材を静電的に吸着でき
る。色材がアニオン性の場合は、カチオン性の微粒子を
用い、逆に色材がカチオン性の場合はアニオン性の微粒
子が用いられる。イオン性以外に色材を吸着する要素と
しては、微粒子のサイズや重量或いは表面の形状が挙げ
られる。例えば、表面に多数の細孔を持つ多孔質微粒子
は、特有の吸着特性を示し、細孔の大きさや形状等、複
数の要素によって色材を吸着できる。
【0138】2)の作用は、インクや被記録媒体との相
互作用によって引き起こされる。このため、各構成によ
り達成されればよいが、例えば、微粒子の性質として、
インク組成成分や被記録媒体構成成分と逆のイオン性を
呈することが挙げられる。また、インク中或いは液体組
成物中に電解質を共存させることによっても、微粒子の
分散安定性は影響を受ける。本発明において、上記1)
と2)の作用のどちらか一方の作用が、瞬時に得られる
ことが望ましい。更には上記1)と2)と両方の作用
が、瞬時に得られることが好ましい。以下、夫々のイオ
ン性微粒子を含有する液体組成物に関して、具体的に説
明する。 [カチオン性液体組成物]カチオン性の液
体組成物としては、例えば、カチオン性基を表面に有す
る微粒子と酸を含み、該微粒子が安定に分散されてなる
液体組成物が挙げられる。本発明においては、カチオン
性の液体組成物として、例えば、酸を含みpHが2〜7
に調整されたもの、また、ゼータ電位が+5〜+90m
Vのものを好適に用いることができる。 (pH及びゼータ電位について)液体組成物のゼータ電
位について述べる。ゼータ電位の基本原理について以下
に示す。一般に、固体が液体中に分散している系におい
て、固相の表面に遊離電荷がある場合、固相界面付近の
液相には反対電荷の荷電層が電気的中性を保つように現
れる。これは、電気的二重層と呼ばれ、この電気的二重
層による電位差のことをゼータ電位と呼んでいる。ゼー
タ電位がプラスである場合、微粒子の表面はカチオン性
を示し、マイナスではアニオン性を示す。一般に、その
絶対値が高いほど微粒子間に働く静電的反発力が強くな
り、分散性がよいと言われ、同時に微粒子表面のイオン
性が強いことが考えられる。即ち、カチオン性微粒子の
ゼータ電位が高いほどカチオン性が強く、インク中のア
ニオン性化合物を引き付ける力が強いと言える。
【0139】更に本発明者らが鋭意検討した結果、ゼー
タ電位が+5〜+90mVの範囲にある液体組成物を用
いた場合に、被記録媒体上に形成してなる着色部が、特
に優れた発色特性を呈することを見出した。その理由は
定かではないが、おそらく、微粒子のカチオン性が適度
であるために急速なアニオン性化合物(アニオン性色
材)の凝集が起こらずに、アニオン性化合物が微粒子表
面に薄く均一に吸着するので、色材が巨大なレーキを形
成しにくく、その結果、色材本来の発色特性がより良好
な状態で発現されるものと考えられる。更に本発明のカ
チオン性の液体組成物では、アニオン性化合物を微粒子
表面に吸着した後も、微粒子が弱いカチオン性を呈しつ
つ分散不安定状態となることで、微粒子が凝集しながら
被記録媒体中に存在するアニオン性のセルロース繊維等
の表面に容易に吸着して、被記録媒体の表面近傍に残り
易くなっていると考えられる。
【0140】この結果、以下に挙げる優れた効果が得ら
れるものと考えられる。即ち、インクジェット用コート
紙並みの優れた発色特性と、シャドウ部やベタ部等のイ
ンク付与量が多い画像領域において、白モヤや色ムラが
少なく、色の均一性に優れたものとなる。また、コート
紙と比べて極めて効率よく微粒子にアニオン性化合物が
吸着し発色するために、カチオン性微粒子の付与量も少
なくできるので、とりわけ普通紙に印字した場合には、
紙の風合いを損なうことがなく、印字部の耐擦過性にも
優れる。より好ましいゼータ電位の範囲としては、例え
ば、ゼータ電位が+10〜+85mVの範囲にあるカチ
オン性微粒子を含む液体組成物を使用した場合には、ベ
タ印字した際にドット間の境界が目立ち難くなり、ヘッ
ドスキャンによるスジムラのより一層の低減を達成する
ことができ、更には、ゼータ電位が+15〜+65mV
の範囲にあるカチオン性微粒子を含む液体組成物を使用
すると、紙種に因らず、極めて優れた発色性を有する画
像を得ることが可能となる。
【0141】本発明のカチオン性の液体組成物のpH
は、保存安定性とアニオン性化合物の吸着性の観点か
ら、25℃付近で2〜7の範囲にあることが好ましい。
このpHの範囲内においては、アニオン性のインクと混
合した際に、アニオン性化合物の安定性を著しく低下さ
せることがないため、アニオン性化合物同士の強い凝集
を引き起こすことがなく、記録画像の彩度が下がった
り、くすんだ画像となることを有効に防止することがで
きる。また、上記範囲内であるとカチオン性微粒子の分
散状態も良好であるので、液体組成物の保存安定性や記
録ヘッドからの吐出安定性を良好に維持することができ
る。更にはインクと混合した際に、アニオン性物質がカ
チオン性微粒子表面に十分に吸着されるので、被記録媒
体内部への色材の過度の浸透が抑えられ、優れた発色性
のインクジェット記録物を得られる。より好ましいpH
の範囲としては、pHが3〜6であり、この範囲では、
長期保存による記録ヘッドの腐食を極めて有効に防止で
きると共に、印字部の耐擦過性もより一層向上する。 (カチオン性微粒子)次に、本発明のカチオン性の液体
組成物を構成する成分について述べる。第1の成分とし
て挙げられるカチオン性の微粒子は、上記した作用効果
を達成するために、液体組成物中に分散された状態にお
いて粒子自体の表面がカチオン性を呈することを要す
る。表面をカチオン性とすることによって、アニオン性
のインクと混合した際に、アニオン性の色材が粒子表面
に速やかに吸着し、色材の被記録媒体内部への過度の浸
透が抑えられるので、十分な画像濃度のインクジェット
記録物が得られる。これに対し、微粒子表面がカチオン
性でなく、且つ液体組成物の中で水溶性のカチオン性化
合物と別々に存在しているような場合には、カチオン性
化合物を中心に色材が凝集を起こし、色材自体の発色特
性を損なうためにインクジェット用コート紙並みの発色
性を達成することが困難となる。そのため本発明の液体
組成物に用いられる微粒子は、その表面がカチオン性で
ある必要があるが、本質的にカチオン性である微粒子は
勿論のこと、本来は静電的にアニオン性或いは中性であ
る微粒子であっても、処理によって表面がカチオン化さ
れた微粒子であれば本発明の液体組成物に用いることが
できる。
【0142】本発明で好適に用いられるカチオン性微粒
子は、被記録媒体上で形成されるこれらの微粒子による
凝集物に細孔が形成されるものであれば本発明の目的を
達成するに十分であるために特に微粒子の材料種に限定
はない。一例として具体例をあげるとすれば例えば、カ
チオン化した、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、チ
タニア、ジルコニア、ボリア、シリカボリア、セリア、
マグネシア、シリカマグネシア、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等やこれ
らの複合微粒子や有機微粒子、無機有機複合微粒子など
が挙げられる。そして、本発明の液体組成物において
は、これらを一種又は二種以上混合して使用することが
できる。
【0143】特に微粒子としてアルミナ水和物を用いた
場合は粒子表面が正電荷をもっているため好ましく、中
でもX線回折法で、べーマイト構造を示すアルミナ水和
物が優れた発色性や色の均一性、保存安定性等の点で好
ましい。アルミナ水和物は下記の一般式により定義され
る。
【0144】Al2O3−n(OH)2n・mH2O 但し式中、nは0〜3の整数の一つを表し、mは0〜1
0、好ましくは0〜5の値を有する。mH2Oの表現
は、多くの場合に結晶格子の形成に関与しない脱離可能
な水相を表すものであり、そのために、mは整数でない
値をとることもできる。但し、mとnは同時に0とはな
らない。
【0145】一般にベーマイト構造を示すアルミナ水和
物の結晶は、その(020)面が巨大平面を形成する層
状化合物であり、X線回折図形に特有の回折ピークを示
す。完全ベーマイトの他に擬ベーマイトと称する、過剰
な水を(020)面の層間に含んだ構造をとることもで
きる。この擬ベーマイトのX線回折図形はベーマイトよ
りもブロードな回折ピークを示す。
【0146】ベーマイトと擬ベーマイトは明確に区別の
できるものではないので、本発明では特に断わらない限
り、両者を含めてベーマイト構造を示すアルミナ水和物
(以下アルミナ水和物という)という。(020)面が
面間隔及び(020)の結晶厚さは、回折速度2θが1
4〜15°に現れるピークを測定して、ピークの回折角
度2θと半値幅Bから、面間隔はブラッグ(Brag
g)の式で、結晶厚さはシェラー(Scherrer)
の式を用いて求めることができる。(020)の面間隔
はアルミナ水和物の親水性・疎水性の目安として用いる
ことができる。本発明で用いるアルミナ水和物の製造方
法としては、特に限定されないが、ベーマイト構造をも
つアルミナ水和物を製造できる方法であれば、例えば、
アルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミン酸ナト
リウムの加水分解等の公知の方法で製造することができ
る。
【0147】特開昭56−120508号公報に開示さ
れているように、X線回折的に無定形のアルミナ水和物
を、水の存在下で50℃以上で加熱処理することによっ
てベーマイト構造に変えて用いることができる。特に好
ましく用いることができる方法は、長鎖のアルミニウム
アルコキシドに対して酸を添加して加水分解・解膠を行
うことによってアルミナ水和物を得る方法である。ここ
で、長鎖のアルミニウムアルコキシドとは、例えば、炭
素数が5以上のアルコキシドであり、更に炭素数12〜
22のアルコキシドを用いると、後述するようにアルコ
ール分の除去及びアルミナ水和物の形状制御が容易にな
るため好ましい。
【0148】添加する酸としては有機酸及び無機酸の中
から1種又は2種以上を自由に選択して用いることがで
きるが、加水分解の反応効率及び得られたアルミナ水和
物の形状制御や分散性の点で硝酸が最も好ましい。この
工程の後に水熱合成等を行って粒子径を制御することも
可能である。硝酸を含むアルミナ水和物の分散液を用い
て水熱合成を行うと、水溶液中の硝酸がアルミナ水和物
表面に硝酸根として取り込まれ、該水和物のて水分散性
を向上させることができる。また、水熱合成の後、アル
ミナ水和物スラリーに適宜酸を加えpH調整し濃縮する
ことで、少量の酸濃度で極めて安定な高固形分濃度のア
ルミナ水和物スラリーを調製することができる。こうし
たスラリーを用いた場合は後述する酸を別途外添する必
要なくアルミナ水和物微粒子の分散安定性に優れた液体
組成物を作製することが出来る.上記アルミニウムアル
コキシドの加水分解による方法は、アルミナヒドロゲル
やカチオン性アルミナを製造する方法と比較して、各種
イオン等の不純物が混入し難いという利点がある。更に
長鎖のアルミニウムアルコキシドは加水分解後の長鎖の
アルコールが、例えば、アルミニウムイソプロキシド等
の短鎖のアルコキシドを用いる場合と比較して、アルミ
ナ水和物の脱アルコールを完全に行うことができるとい
う利点もある。加水分解の開始時の溶液のpHを6未満
に設定することが好ましい。pHが8を越えると、最終
的に得られるアルミナ水和物が結晶質になるので好まし
くない。
【0149】また、本発明で用いられるアルミナ水和物
としては、X線回折法でベーマイト構造を示すものであ
れば、二酸化チタン等の金属酸化物を含有したアルミナ
水和物を用いることもできる。二酸化チタン等の金属酸
化物の含有比率はアルミナ水和物の0.01〜1.00
重量%が光学濃度が高くなるので好ましく、より好まし
くは0.13〜1.00重量%であり、色材の吸着速度
が速くなって、ニジミやビーディングが発生し難くな
る。更に前記二酸化チタンはチタンの価数が+4価であ
ることが必要である。二酸化チタンの含有量は硼酸に融
解してICP法で調べることができる。また、アルミナ
水和物中の二酸化チタンの分布とチタンの価数はESC
Aを用いて分析することができる。
【0150】アルミナ水和物の表面をアルゴンイオンで
100秒及び500秒エチングして、チタンの含有量の
変化を調べることができる。二酸化チタンはチタンの価
数が+4価よりも小さくなると、二酸化チタンが触媒と
して働くようになって印字物の耐候性が低下したり、印
字部の黄変が起こりやすくなることがある。
【0151】二酸化チタンの含有はアルミナ水和物の表
面近傍だけでもよく、内部まで含有していてもよい。ま
た、含有量が表面から内部にかけて変化していてもよ
い。表面のごく近傍にのみ二酸化チタンが含有されてい
ると、アルミナ水和物の電気的特性が維持され易いの
で、更に好ましい。
【0152】二酸化チタンを含有したアルミナ水和物の
製造方法としては、例えば、学会出版センター刊「表面
の科学」第327頁(田丸謙二編、1985年)に記載
されているような、アルミニウムアルコキシドとチタン
アルコキシドの混合液を加水分解して製造する方法が好
ましい。その他の方法としては前記アルミニウムアルコ
キシドとチタンアルコキシドの混合液を加水分解すると
きに、結晶成長の核としてアルミナ水和物を添加して製
造することもできる。
【0153】二酸化チタンの代わりにシリカ、マグネシ
ウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、
硼素、ゲルマニウム、錫、鉛、ジルコニウム、インジウ
ム、燐、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリ
ブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッ
ケル、ルテニウム等の酸化物を含有させて用いることが
できる。例えば、シリカを含有したアルミナ水和物は印
字部の耐擦過性の向上に効果がある。
【0154】本発明に好適に用いられるアルミナ水和物
の(020)面の面間隔は0.614nm〜0.626
nmの範囲が好適に用いられ、この範囲内では液体組成
物中でのアルミナ水和物粒子の分散安定性が良好で、保
存安定性や吐出安定性に優れた液体組成物が得られる。
この理由は定かでないが、(020)面の面間隔が上記
範囲内であれば、アルミナ水和物の疎水性及び親水性の
量比率が適度な範囲であるため、液体組成物中で粒子同
士の適度な反発による分散安定や吐出口内部での濡れ性
のバランスが適度であることにより、液体組成物の吐出
安定性が良好になるものと推測している。
【0155】また、アルミナ水和物の(020)面の結
晶厚さは4.0〜10.0nmの範囲が好ましく、この
範囲内であると透明性や色材の吸着性が優れるために好
ましい。本発明者らの知見によれば、(020)面の面
間隔と(020)面の結晶厚さは相関があるので、(0
20)面の面間隔が上記範囲内であれば(020)面の
結晶厚さを4.0〜10.0nmの範囲に調整すること
ができる。
【0156】更に、上記アルミナ水和物や金属アルミニ
ウム、アルミニウム塩等をカ焼等の熱処理により生成さ
れるアルミナ(酸化アルミニウム)も同様に正電荷をも
つため好適に用いられる。アルミナとしてはα型、γ
型、更にδ、χ、η、ρ、β型などの結晶状態を持つも
のがあり、表面がカチオン性に保たれた形で、水中にて
安定的に分散するものであればいずれも用いることが出
来る。中でもγ型は表面が活性で、色材の吸着力が高
く、比較的微粒化された安定な微粒子分散体も形成しや
すいため、発色性や保存性、吐出安定性等に優れ、好適
に用いることが出来る。
【0157】また、本発明で使用する上記したようなカ
チオン性微粒子は、印字後の発色性、色の均一性及び保
存安定性等の観点から、動的光散乱方式により測定され
る平均粒子直径が0.005〜1μmの範囲のものが好
適に用いられる。この範囲内では、被記録媒体内部への
過度の浸透を有効に防ぐことができ、発色性や色の均一
性の低下を抑えることができる。また、カチオン性微粒
子が液体組成物中で沈降することも抑えられ、液体組成
物の保存安定性の低下も有効に防止することができる。
より好ましくは平均粒子直径が0.01〜0.8μmの
範囲内のものであり、このような微粒子を用いれば、被
記録媒体に印字した後の画像の耐擦過性や記録物の質感
が特に好ましいものとなる。更に好ましくは平均粒子直
径が0.03〜0.3μmの範囲内のものであり、この
ような微粒子は被記録媒体上で形成される微粒子凝集物
の細孔が、目的とする細孔半径領域において効果的に形
成しやすいため好ましい。 (カチオン性微粒子の細孔物性・形状)また、本発明で
使用する上記したようなカチオン性微粒子は、被記録媒
体上で形成される微粒子凝集物の細孔を効率的に形成す
ると同時に、微粒子自体の表面に色材を効率よく吸着さ
せるうえにおいて、上記窒素吸着脱離法における微粒子
の極大細孔半径が2nm〜12nmで、全細孔容積が
0.3ml/g以上であるものが好ましい。より好まし
くは微粒子の極大細孔半径が3nm〜10nmで、全細
孔容積が0.3ml/g以上であるものが、被記録媒体
上で形成される微粒子凝集物の細孔が、目的とする細孔
半径領域において効果的に形成されやすいため好まし
い。
【0158】本発明で使用する上記微粒子のBET比表
面積が70〜300m2/gの範囲内であると、微粒子
表面への色材の吸着点が十分存在することによって、単
分子状態で色材をより効果的に被記録媒体の表面近傍に
残しやすくなり、発色性の向上に寄与する。
【0159】また、本発明で使用する微粒子の形状は、
微粒子をイオン交換水に分散させてコロジオン膜上に滴
下して測定用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察し
て求めることができる。本発明においては被記録媒体上
で微粒子凝集物を形成させる際に凝集物内に細孔を形成
させる点で、微粒子形状が針状や平板形状、若しくは球
状の1次粒子が、ある方向性を持って繋がった二次粒子
を形成している棒状やネックレス状等の非球形状のもの
を好適に用いることができる。
【0160】本発明者らの知見によれば、平板状の形状
の方が針状や毛状束(繊毛状)よりも水への分散性が良
く、微粒子凝集物を形成した場合に微粒子の配向がラン
ダムになるために細孔容積が大きくなるのでより好まし
い。ここで毛状束形状とは針状の微粒子が側面同志を接
して髪の毛の束のように集まった状態をいう。特に本発
明で好ましく用いることが出来るアルミナ水和物の中で
も擬ベーマイトには前記文献(Rocek J., e
tal, Applied Catalysis, 7
4巻、29〜36頁、1991年)に記載されたよう
に、繊毛状とそれ以外の形状があることが一般に知られ
ている。
【0161】平板形状の粒子のアスペクト比は特公平5
−16015号公報に定義されている方法で求めること
ができる。アスペクト比は粒子の厚さに対する直径の比
で示される。ここで直径とは、アルミナ水和物を顕微鏡
又は電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積と等し
い面積を有する円の直径を示すものとする。縦横比はア
スペクト比と同じように観察して平板面の最小値を示す
直径と最大値を示す直径の比で表わされる。また、毛状
束形状の場合には、アスペクト比を求める方法は、毛状
束を形成する個々の針状のアルミナ水和物粒子を円柱と
して、上下の円の直径と長さをそれぞれ求めて、その比
をとって求めることができる。最も好ましいアルミナ水
和物の形状は、平板状では平均アスペクト比が3〜10
の範囲で、毛状束では平均アスペクト比が3〜10の範
囲が好ましい。平均アスペクト比が上記範囲内であれ
ば、微粒子凝集物を形成したときに粒子間に隙間が形成
され易いため多孔質構造を容易に形成することができ
る。
【0162】本発明の液体組成物中における上記したよ
うなカチオン性微粒子の含有量としては、使用する物質
の種類により、最適な範囲を適宜決定すればよいが、質
量基準で0.1〜40%の範囲が本発明の目的を達成す
るうえで好適な範囲であり、より好ましくは1〜30
%、更には3〜15%の範囲が好適である。このような
範囲内では、紙種に因らず優れた発色の画像を安定に得
ることができ、また液体組成物の保存安定性や吐出安定
性にも特に優れている。 (酸)先に述べたように、本発明の液体組成物は、酸を
含み、pHが2〜7に調整されたものであることが好ま
しいが、この第2の成分である酸は、カチオン性微粒子
表面をイオン化し、表面電位を高めることにより、液中
での微粒子の分散安定性を向上させると共に、インク中
のアニオン性化合物(アニオン性色材)の吸着性向上
や、液体組成物の粘度調整の役割を果たす。本発明に好
適に用いられる酸は、使用するカチオン性微粒子と組み
合わせて、所望のpHやゼータ電位或いは微粒子分散性
等の物性が得られるものであれば特に限定はなく、下記
に挙げる無機酸や有機酸等から自由に選択して使用する
ことができる。
【0163】具体的には、無機酸としては、例えば、塩
酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、硼酸、炭酸等
が挙げられ、有機酸としては、例えば、下記に挙げるよ
うなカルボン酸やスルホン酸、アミノ酸等が挙げられ
る。
【0164】カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢
酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フル
オロ酢酸、トリメチル酢酸、メトキシ酢酸、メルカプト
酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カ
プロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、
リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、
フェニル酢酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイ
ル酸、p−トルイル酸、o−クロロ安息香酸、m−クロ
ロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ブロモ安息香
酸、m−ブロモ安息香酸、p−ブロモ安息香酸、o−ニ
トロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香
酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、フ
タル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、p
−ヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、m−アミノ安
息香酸、p−アミノ安息香酸、o−メトキシ安息香酸、
m−メトキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸等が挙げ
られる。
【0165】また、スルホン酸としては、例えば、ベン
ゼンスルホン酸、メチルベンゼンスルホン酸、エチルベ
ンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2,
4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメ
チルベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、1−
スルホナフタレン、2−スルホナフタレン、ヘキサンス
ルホン酸、オクタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等
が挙げられる。
【0166】また、アミノ酸としては、グリシン、アラ
ニン、バリン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−
アラニン、タウリン、セリン、ε−アミノ−n−カプロ
ン酸、ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン等が
挙げられる。
【0167】そして、本発明の液体組成物においては、
これらを一種又は二種以上混合して使用することができ
る。これらの中でも、酸の水中での一次解離定数pka
が5以下のものは、カチオン性微粒子の分散安定性やア
ニオン性化合物の吸着性に特に優れるため、好適に用い
ることができる。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、燐
酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、マレイン
酸、マロン酸等が挙げられる。
【0168】本発明の液体組成物では、液体組成物中に
おけるカチオン性微粒子(A)と酸(B)の混合比率
を、重量基準でA:B=200:1〜5:1、より好ま
しくは150:1〜8:1の範囲となるようにすること
が、カチオン性微粒子の分散安定性の向上及びアニオン
性化合物の微粒子表面への吸着性の向上を図るうえで好
ましい。 (他の構成成分)次に、カチオン性の液体組成物を構成
するその他の成分について具体的に説明する。本発明の
カチオン性の液体組成物は、上記したカチオン性微粒子
を必須の成分とし、好ましくは上記したような酸を含
み、その他に、通常は液媒体として水を含むが、更に水
溶性有機溶剤及びその他の添加剤を含んでいてもよい。
【0169】この際に使用する水溶性有機溶剤として
は、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレ
ングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコー
ル、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等の
アルキレングリコール類、エチレングリコールメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アル
コールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチル
アルコール等の1価アルコール類の他、グリセリン、N
−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダ
ゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメ
チルサルホキサイド等が挙げられる。上記水溶性有機溶
剤の含有量については特に制限はないが、例えば、液体
組成物全重量の5〜60%、更には5〜40%が好適な
範囲である。
【0170】また、本発明の液体組成物には、更にこの
他、必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、
各種界面活性剤、酸化防止剤及び蒸発促進剤、水溶性カ
チオン性化合物やバインダー樹脂等の添加剤を適宜に配
合しても構わない。界面活性剤の選択は、液体組成物の
被記録媒体への浸透性を調整するうえで特に重要であ
る。水溶性カチオン性化合物は、液体組成物のカチオン
性の更なる付与等を目的に、本発明の作用効果を阻害し
ない範囲において自由に選択し、添加できる。
【0171】バインダー樹脂は、カチオン性微粒子の更
なる耐擦過性の向上等の目的で、被記録媒体の質感や液
体組成物の保存安定性や吐出安定性を損ねない範囲にお
いて併用することができ、例えば、水溶性ポリマーやエ
マルジョン、ラテックス等から自由に選択し、使用する
ことができる。 (液体組成物の表面張力)本発明の液体組成物は、無色
或いは白色であることがより好ましいが、被記録媒体の
色に合わせて調色してもよい。更に以上のような液体組
成物の各種物性の好適な範囲としては、表面張力を10
〜60mN/m(dyn/cm)、より好ましくは10
〜40mN/m(dyn/cm)とし、粘度を1〜30
mPa・s(cP)としたものである。 [アニオン性液体組成物]本発明のアニオン性の液体組
成物は、アニオン性基を表面に有する微粒子を必須の構
成成分とし、該微粒子が安定に分散していることを特徴
とするが、更には塩基を含み、pHが7〜12に調整さ
れているものや、ゼータ電位が−5〜−90mVである
ものが好ましい。 (pH及びゼータ電位について)本発明者らが鋭意検討
した結果、液体組成物のゼータ電位が−5〜−90mV
の範囲にあるものは、インク中のカチオン性化合物(カ
チオン性色材)がアニオン性微粒子の表面に特に効率よ
く吸着し、被記録媒体上において特に優れた発色特性を
呈することを見出した。その理由は定かではないが、お
そらく先に説明したカチオン性液体組成物の場合と同様
に、微粒子のアニオン性が適度であるために、インク中
のカチオン性化合物の急速な凝集が起こらずに、微粒子
表面に薄く均一に吸着することで色材が巨大なレーキを
形成せず、色材本来の発色特性がよりよく発現されるも
のと考えられる。更に本発明のアニオン性の液体組成物
においては、カチオン性化合物を微粒子表面に吸着した
後に分散不安定となり、被記録媒体上で溶媒成分が浸透
する際の濃度変化で微粒子同士が凝集して表面近傍に残
り易くなるものと考えられる。
【0172】この結果、以下に挙げる優れた効果が得ら
れるものと考えられる。即ち、インクジェット用コート
紙並みの優れた発色特性とシャドウ部やベタ部等のイン
ク付与量が多い画像領域において、白モヤや色ムラが少
なく色の均一性に優れる。また、コート紙と比べて極め
て効率よく微粒子表面にカチオン性化合物が吸着し、発
色するために、アニオン性微粒子の付与量も少なくで
き、とりわけ普通紙に印字した場合には、紙の風合いが
保たれ、印字部の耐擦過性も良くなる。より好ましいゼ
ータ電位の範囲としては、例えば、ゼータ電位が−10
〜−85mVの範囲にあるアニオン性微粒子を含む液体
組成物を使用した場合には、ベタ印字した際にドット間
の境界が目立ち難くなり、ヘッドスキャンによるスジム
ラのより一層の低減を達成することができ、更には、ゼ
ータ電位が−15〜−65mVの範囲にあるアニオン性
微粒子を含む液体組成物を使用すると、紙種に因らず、
極めて優れた発色性を有する画像を得ることが可能とな
る。
【0173】本発明のアニオン性の液体組成物のpH
は、保存安定性とカチオン性化合物の吸着性の観点から
25℃付近で7〜12の範囲であることが好ましい。こ
のpH範囲内においては、カチオン性のインクと混合し
た際に、カチオン性化合物の安定性を著しく低下させる
ことがないため、カチオン性化合物同士の強い凝集を引
き起こすことがなく、記録画像の彩度が下がったり、く
すんだ画像となることを有効に防止することができる。
また、上記のような範囲内にあれば、アニオン性微粒子
の分散性も良好であるため、液体組成物の保存安定性や
記録ヘッドからの吐出安定性を良好に維持することがで
きる。更にはインクと混合した際に、カチオン性物質が
アニオン性微粒子表面に十分に吸着され、被記録媒体の
内部への色材の過度の浸透を抑えるため、優れた発色性
のインクジェット記録物を得られる。より好ましい液体
組成物のpHの範囲は、8〜11であり、pHがこの範
囲内であれば、長期保存による記録ヘッドの腐食を極め
て有効に防止できると共に、印字部の耐擦過性もより一
層向上する。 (アニオン性微粒子)次に、本発明のアニオン性の液体
組成物を構成する成分について述べる。第1の成分とし
て挙げられるアニオン性の微粒子は、上記した作用効果
を達成するために、液体組成物中に分散された状態にお
いて粒子自体の表面がアニオン性を呈するものであるこ
とが好ましい。表面をアニオン性とすることによってカ
チオン性のインクと混合した際に、カチオン性の色材を
粒子表面に吸着でき、色材が被記録媒体内部へ過度に浸
透することが抑えられるので、十分な画像濃度のインク
ジェット記録物を得ることができる。これに対し、微粒
子表面がアニオン性でなく、且つ液体組成物の中で、水
溶性のアニオン性化合物と別々に存在している場合に
は、アニオン性化合物を中心に色材が凝集を起こし、色
材自体の発色特性を損なうために、インクジェット用コ
ート紙並みの発色性を達成することが困難となる。その
ため本発明の液体組成物で用いる微粒子は、表面がアニ
オン性に帯電していることが必要であるが、本質的にア
ニオン性である微粒子は勿論のこと、本来は静電的にカ
チオン性或いは中性の微粒子であっても、処理によって
表面がアニオン化された微粒子であれば用いることがで
きる。
【0174】本発明で好適に用いられるアニオン性微粒
子は、被記録媒体上で形成されるこれらの微粒子による
凝集物に細孔が形成されるものであれば本発明の目的を
達成するに十分であるために特に微粒子の材料種に限定
はない。一例として具体例をあげるとすれば例えば、ア
ニオン化した、シリカ、チタニア、ジルコニア、ボリ
ア、シリカボリア、セリア、マグネシア、シリカマグネ
シア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛等
やこれらの複合微粒子や有機微粒子、無機有機複合微粒
子などが挙げられる。そして、本発明の液体組成物にお
いては、これらを一種又は二種以上混合して使用するこ
とができる。
【0175】また、本発明で使用するアニオン性微粒子
は、先に説明したカチオン性微粒子の場合と同様に、印
字後のインクの発色性、色の均一性及び保存安定性の観
点から、動的光散乱方式により測定される平均粒子直径
が0.005〜1μmの範囲のものが好適である。より
好ましくは平均粒子直径が0.01〜0.8μmの範囲
内のものであり、このような微粒子を用いれば、被記録
媒体に印字した後の耐擦過性や質感が特に好ましいもの
となる。更に好ましくは平均粒子直径が0.03〜0.
3μmの範囲内のものであり、このような微粒子は被記
録媒体上で形成される微粒子凝集物の細孔が、目的とす
る細孔半径領域において効果的に形成しやすいため好ま
しい。 (アニオン性微粒子の細孔物性・形状)また、本発明で
使用する上記したようなアニオン性微粒子は、被記録媒
体上で形成される微粒子凝集物の細孔を効率的に形成す
ると同時に、微粒子自体の表面に色材を効率よく吸着さ
せるうえにおいて前記窒素吸着脱離法における微粒子の
極大細孔半径が2nm〜12nmで、全細孔容積が0.
3ml/g以上であるものが好ましい。より好ましくは
微粒子の極大細孔半径が3nm〜10nmで、全細孔容
積が0.3ml/g以上であるものが被記録媒体上で形
成される微粒子凝集物の細孔が、目的とする細孔半径領
域において効果的に形成されやすいため好ましい。
【0176】本発明で使用する微粒子のBET比表面積
は70〜300m2/gの範囲内であると、微粒子表面
への色材の吸着点が十分存在ことによって単分子状態で
色材をより効果的に被記録媒体の表面近傍に残しやすく
なり、発色性の向上に寄与する。
【0177】また、本発明で使用する微粒子の形状は、
微粒子をイオン交換水に分散させてコロジオン膜上に滴
下して測定用試料を作製し、透過型電子顕微鏡で観察し
て求めることができる。本発明においては被記録媒体上
で微粒子凝集物を形成させる際に凝集物内に細孔を形成
させる点で、微粒子形状が針状や平板形状、若しくは球
状の1次粒子がある方向性を持って繋がった二次粒子を
形成している棒状やネックレス状等の非球形状のものを
好適に用いることができる。本発明者らの知見によれ
ば、平板状の形状の方が針状よりも水への分散性が良
く、微粒子凝集物を形成した場合に微粒子の配向がラン
ダムになるために細孔容積が大きくなるのでより好まし
い。
【0178】上記したようなアニオン性微粒子の液体組
成物中の含有量としては、使用する物質の種類により、
最適な範囲を適宜に決定すればよいが、重量基準で0.
1〜40重量%の範囲とすることが本発明の目的を達成
する上で好適な範囲であり、より好ましくは1〜30重
量%、更には3〜15重量%の範囲が好適である。この
ような範囲内では、紙種に因らず、優れた発色の画像を
安定に得ることができ、また液体組成物の保存安定性や
吐出安定性にも特に優れている。 (塩基)先に述べたように、本発明のアニオン性の液体
組成物は、塩基を含み、pHが7〜12に調整されたも
のであることが好ましいが、この第2の成分である塩基
は、アニオン性微粒子表面をイオン化し、表面電位を高
めることにより液中での分散安定性を向上させると共
に、インク中のカチオン性化合物(カチオン性色材)の
吸着性向上や液体組成物の粘度調整の役割を果たす。本
発明に好適に用いられる塩基は、使用するアニオン性微
粒子と組み合わせた場合に、所望のpH、ゼータ電位及
び微粒子分散性等の物性が得られるものであれば特に限
定はなく、下記に挙げるような無機化合物や有機化合物
等から自由に選択して、使用することができる。
【0179】具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、
水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、
アンモニア、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、モル
ホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、
ノルマルブチルモノエタノールアミン、ジメチルエタノ
ールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタ
ノールアミン、ノルマルブチルジエタノールアミン、ジ
ノルマルブチルエタノールアミン、モノイソプロパノー
ルアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパ
ノールアミン等のアルカノールアミンを用いることがで
きる。これらの中でも特に、塩基の水中での一次解離定
数pkbが5以下の塩基は、アニオン性微粒子の分散安
定性やカチオン性化合物(カチオン性色材)の吸着性に
特に優れるため、好適に用いられる。
【0180】本発明の液体組成物中でのアニオン性微粒
子(A)と塩基(B)の混合比率は、重量基準で:B=
200:1〜5:1、より好ましくは150:1〜8:
1の範囲であれば、アニオン性微粒子の分散安定性や、
該微粒子表面へのカチオン性化合物の吸着性に優れるた
め好ましい。 (他の構成成分)次に、アニオン性の液体組成物を構成
するその他の成分について具体的に説明する。本発明の
アニオン性の液体組成物は、上記したアニオン性微粒子
を必須の成分とし、好ましくは上記したような塩基を含
み、その他に、通常は液媒体として水を含むが、更に水
溶性有機溶剤及びその他の添加剤、例えば、粘度調整
剤、pH調整剤、防腐剤、各種界面活性剤、酸化防止
剤、蒸発促進剤、水溶性アニオン性化合物やバインダー
樹脂等の添加剤を適宜配合してもかまわない。 (液体組成物の表面張力)本発明のアニオン性の液体組
成物は、無色或いは白色であるのがより好ましいが、被
記録媒体の色に合わせて調色してもよい。更に以上のよ
うな液体組成物の各種物性の好適な範囲としては、表面
張力を10〜60mN/m(dyn/cm)、より好ま
しくは10〜40mN/m(dyn/cm)とし、粘度
を1〜30mPa・s(cP)としたものである。 (液体組成物の製造方法)前記微粒子を含む本発明の液
体組成物の製造方法としては、一般に分散に用いられて
いる方法等の中から選択して用いることができる。具体
的には液体組成物中の微粒子の平均粒子径や粒度分布を
上記範囲にするために、ロールミル、サンドミル、ホモ
ジナイザー、超音波ホモジナイザー、超高圧乳化機(例
えば商品名ナノマイザーなど)等の分散機を用いて分散
処理や、遠心分離や限外ろ過等による分級処理等が好適
に用いられ,これらの処理手段によって液体組成物中の
微粒子の分散粒子径を揃えることが出来る。 <水性インク> [アニオン性インク]次に、上記で説明したカチオン性
の液体組成物と組み合わせて本発明のインクセットを構
成する水性のアニオン性インクについて説明する。ここ
でいうインクセットとは、本発明の液体組成物と、アニ
オン性物質(アニオン性色材)を含有する少なくとも一
種類以上のアニオン性インクとの組み合わせをいう。ま
た、このインクセットから本発明の液体組成物を除い
た、少なくとも一種類のインクの組み合わせをインクサ
ブセットと呼ぶ。本発明で使用するアニオン性インク
は、色材としてアニオン性基を含有する水溶性染料を用
いるか或いは色材として顔料を用いる場合には、アニオ
ン性化合物を併用させたもの(これも本発明ではアニオ
ン性色材という)を用いることが好ましい。本発明で使
用される上記のようなアニオン性インクには、更にこれ
に、水、水溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘
度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止
剤等が必要に応じて含まれて構成される。以下、これら
のインクの各構成成分について説明する。 (水溶性染料)本発明で使用するアニオン性基を有する
水溶性染料としては、例えば、カラーインデックス(C
olor Index)に記載されている水溶性の酸性
染料、直接染料、反応性染料であれば特に限定されな
い。また、カラーインデックスに記載のないものでも、
アニオン性基、例えば、スルホン基、カルボキシル基等
を有するものであれば特に限定されない。ここでいう水
溶性染料の中には、溶解度のpH依存性があるものも含
まれる。 (顔料)水性のアニオン性インクの別の形態としては、
上記のようなアニオン性基を有する水溶性染料の代わり
に、顔料及びアニオン性化合物を用い、水、水溶性有機
溶剤及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、pH調整
剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等を必要に応じて
含むインクであってもよい。ここで、アニオン性化合物
が顔料の分散剤であってもよいし、顔料の分散剤がアニ
オン性でない場合に、分散剤とは別のアニオン性化合物
を添加したものでもよい。勿論、分散剤がアニオン性化
合物である場合でも、更に他のアニオン性化合物を添加
したものでもよい。
【0181】本発明で使用することができる顔料には特
に限定はないが、例えば、以下に説明する顔料が好適に
使用できる。
【0182】先ず、ブラック顔料インクに使用されるカ
ーボンブラックとしては、ファーネス法やチャネル法で
製造されたカーボンブラックで、一次粒径が15〜40
mμm、BET法による比表面積が50〜300m2/
g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮
発分が0.5〜10重量%、pH値が2〜9を有するも
のが好ましい。
【0183】このようなものとしては、例えば、No.
2300、No.900、MCF88、No.40、N
o.52、MA7、MA8、No.2200B(以上、
三菱化成製)、RAVEN1255(コロンビア製)、
REGAL400R、REGAL660R、MOGUL
L(以上、キヤボット製)、Color Black
FW1、Color Black FW18、Col
or Black S170、Color Black
S150、Printex 35、Printex
U(以上、デグッサ製)等の市販品を使用することがで
きる。また、本発明のために新たに試作されたものでも
よい。
【0184】イエローインクに使用される顔料として
は、例えば、C.I.PigmentYellow
1、C.I.Pigment Yellow 2、C.
I.Pigment Yellow 3、C.I.Pi
gment Yellow 13、C.I.Pigme
nt Yellow 16、C.I.PigmentY
ellow 83等が挙げられる。
【0185】マゼンタインクとして使用される顔料とし
ては、例えば、C.I.Pigment Red 5、
C.I.Pigment Red 7、C.I.Pig
ment Red 12、C.I.Pigment R
ed 48(Ca)、C.I.Pigment Red
48(Mn)、C.I.Pigment Red57
(Ca)、C.I.Pigment Red 112、
C.I.Pigment Red 122等が挙げられ
る。
【0186】シアンインクとして使用される顔料として
は、例えば、C.I.Pigment Blue 1、
C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pi
gment Blue 3、C.I.Pigment
Blue 15:3、C.I.Pigment Blu
e 16、C.I.Pigment Blue 22、
C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Bl
ue 6等が挙げられる。
【0187】また、上記いずれの色の色材に関しても、
本発明のために新たに製造されたものでも使用可能であ
る。 (顔料分散剤)本発明で使用するインクに用いることが
できる顔料の分散剤としては、アニオン性基の存在によ
って、顔料を水、若しくは水性媒体に安定に分散させる
機能を有する水溶性樹脂ならどんなものでも使用可能で
ある。特に、重量平均分子量が1,000〜30,00
0の範囲のものが好ましい。更に好ましくは3,000
〜15,000の範囲である。具体的には、例えば、ス
チレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナ
フタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸
の脂肪族アルコールエステル等の疎水性単量体、又はア
クリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸
誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸及び
フマル酸誘導体から選ばれる二つ以上の単量体からなる
ブロック共重合体、グラフト共重合体或いはランダム共
重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。これらの樹脂
は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型の
樹脂である。
【0188】更に親水性単量体からなるホモポリマー又
はそれらの塩でもよい。また、ポリビニルアルコール、
カルボキシメチルセルロース、ナフタレンスルホン酸ホ
ルムアルデヒド縮合物等の水溶性樹脂も使用することが
可能である。しかし、アルカリ可溶型の樹脂を用いた場
合の方が、分散液の低粘度化が可能で、分散も容易であ
るという利点がある。前記水溶性樹脂は、インク全量に
対して0.1〜5重量%の範囲で使用されることが好ま
しい。
【0189】本発明で使用し得る顔料インクは、以上の
ごとき顔料及び水溶性樹脂を水溶性媒体中に分散又は溶
解して構成される。本発明に用い得る顔料系インクにお
いて好適な水性媒体としては、水及び水溶性有機溶剤の
混合溶媒であり、水としては種々のイオンを含有する一
般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用す
るのが好ましい。
【0190】分散剤が、アニオン性高分子ではない場
合、上述した顔料を含むインクに更にアニオン性化合物
を添加することが好ましい。本発明で好適に使用される
アニオン性化合物としては、顔料分散剤の項で説明した
アルカリ可溶性樹脂等の高分子物質の他、下記に挙げる
ような低分子量のアニオン性界面活性剤を挙げることが
できる。
【0191】低分子量のアニオン性界面活性剤の具体的
なものとしては、例えば、スルホコハク酸ラウリル二ナ
トリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイ
ルエタノールアミドエステル二ナトリウム、ポリオキシ
エチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、カルボ
キシル化ポリオキシエチレンラウリルエーテルナトリウ
ム塩、カルボキシル化ポリオキシエチレントリデシルエ
ーテルナトリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエー
テル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエー
テル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンア
ルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウ
ム、アルキル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられる
が、これらに限定されるわけではない。以上のようなア
ニオン性物質の好適な使用量としては、インク全量に対
して、0.05〜10重量%の範囲であり、更に好適に
は0.05〜5重量%である。 (自己分散型顔料)また、アニオン性のインクに用いる
ことのできる顔料としては、分散剤を用いることなし
に、水若しくは水性媒体に分散させることのできる自己
分散型の顔料も使用できる。自己分散型の顔料は、顔料
表面に少なくとも1種のアニオン性親水性基が直接若し
くは他の原子団を介して結合されているものである。ア
ニオン性の親水性基としては、例えば、下記に挙げた親
水性基の中から選択される少なくとも1種であるもの、
更に他の原子団が、炭素原子数1〜12のアルキル基、
置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有しても
よいナフチル基であるものが挙げられる。
【0192】−COOM、−SO3M、−SO2NH
2、−PO3HM、−PO3M2(上記式中のMは、水
素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモ
ニウムを表わす。)このように顔料表面への親水性基の
導入によってアニオン性に帯電させた顔料は、イオンの
反発によって優れた水分散性を有するため、水性インク
中に含有させた場合にも分散剤等を添加しなくても安定
した分散状態を維持する。特に顔料がカーボンブラック
である場合に好ましい。 (インク中の添加成分)また、上記の成分の他に、必要
に応じて所望の物性値を持つインクとするために、界面
活性剤、消泡剤或いは防腐剤等をインク中に添加するこ
とができ、更に市販の水溶性染料等を添加することもで
きる。
【0193】界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級ア
ルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩
類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活
性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオ
キシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレン
ソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコー
ル、アセチレングリコール等の非イオン性界面活性剤が
あり、これらの1種又は2種以上を適宜選択して使用で
きる。その使用量は、分散剤の添加量により異なるが、
インク全量に対して、0.01〜5重量%が望ましい。
この際、インクの表面張力は30mN/m(dyn/c
m)以上になるように活性剤の添加する量を決定するこ
とが好ましい。なぜなら、本発明で使用するインクジェ
ット記録方式においては、ノズル先端の濡れによる印字
ヨレ(インク滴の着弾点のズレ)等の発生を有効に抑え
ることができるからである。
【0194】以上で説明したような顔料系インクの作成
方法としては、はじめに、顔料分散用樹脂及び水を少な
くとも含有する水溶液に、顔料を添加して攪拌した後、
後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて
遠心分離処理を行って、所望の分散液を得る。次に、こ
の分散液に上記に掲げたような成分を更に加えて攪拌し
て、インクとすればよい。
【0195】また、アルカリ可溶型の樹脂を使用する場
合には、樹脂を溶解させるために塩基を添加することを
要する。この際、樹脂を溶解させるためのアミン或いは
塩基の量は、樹脂の酸価から計算によって求められるア
ミン或いは塩基量の1倍以上を添加することが必要であ
る。アミン或いは塩基の量は、以下の式によって計算で
求められる。
【0196】
【数1】
【0197】更に顔料を含む水溶液を分散処理する前に
プレミキシングを30分間以上行うと、顔料の分散効率
が良くなる。このプレミキシング操作は、顔料表面の濡
れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進するも
のである。
【0198】アルカリ可溶型樹脂を使用した場合の分散
液に添加される塩基類としては、例えば、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、アミンメチルプロパノール、アンモニア等の有機ア
ミン或いは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機
塩基を用いることが好ましい。
【0199】一方、顔料インクの調製に使用する分散機
は、一般に使用される分散機ならいかなるものでもよい
が、例えば、ボールミル、サンドミル等が挙げられる。
その中でも、高速型のサンドミルが好ましく、例えば、
スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジ
テータミル、グレンミル、ダイノールミル、パールミ
ル、コボルミル(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0200】尚、本発明で使用するインクは、上記成分
の他に必要に応じて、水溶性有機溶剤、界面活性剤、p
H調製剤、防錆剤、防カビ剤、酸化防止剤、蒸発促進
剤、キレート化剤及び水溶性ポリマー等の添加剤を添加
してもよい。
【0201】本発明で用いることのできる上記色材を溶
解又は分散する液媒体は、水と水溶性有機溶剤との混合
物であることが好ましい。具体的な水溶性有機溶剤とし
ては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、
n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n
−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、te
rt−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルア
ルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒド
ロフラン、ジアキサン等のエーテル類、ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングコリコール等のポリアルキ
レングリコール類、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、1,2,6−へキサントリオール、チオジグリコー
ル、へキシレングリコール、ジエチレングリコール等の
アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレング
リコール類、グリセリン、エチレングリコールモノメチ
ル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノ
メチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低
級アルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラ
ン、ジメチルサルフォオキサイド、2−ピロリドン、ε
−カプロラクタム等の環状アミド化合物及びスクシンイ
ミド等のイミド化合物等が挙げられる。
【0202】上記水溶性有機溶剤の含有量は、一般に
は、インクの全重量に対して重量%で1%〜40%が好
ましく、より好ましくは3%〜30%の範囲である。ま
た、インク中の水の含有量は30〜95重量%の範囲と
した場合、色材の溶解性なども良好であり、インクの粘
度が高くなることを抑えることができ、且つ固着特性を
十分に満足させることができる。
【0203】本発明で使用するアニオン性インクは、一
般の水性筆記用具としても使用できるが、熱エネルギー
によるインクの発泡現象によりインクを吐出させるタイ
プのインクジェット記録方法に適用する場合に特に好適
であり、吐出が極めて安定となり、サテライトドットの
発生等が生じないという特徴がある。但し、この場合に
は、熱的な物性値(例えば、比熱、熱膨張係数、熱伝導
率)を調整する場合もある。 [カチオン性インク]次に、先に説明したアニオン性の
液体組成物と組み合わせて本発明のインクセットを構成
する水性のカチオン性インクについて説明する。ここで
いうインクセットとは、本発明の液体組成物とカチオン
性物質(カチオン性色材)を含有する少なくとも一種類
以上のインクとの組み合わせをいう。また、このインク
セットから本発明の液体組成物を除いた、少なくとも一
種類以上のインクの組み合わせをインクサブセットと呼
ぶ。本発明で使用するカチオン性インクは、色材とし
て、カチオン性基を含有する水溶性染料を用いるか、又
は色材として顔料を用いる場合には、カチオン性化合物
を併用させること(本発明ではこの併用もカチオン性色
材という)が好ましい。本発明で使用される上記のよう
なインクには、更にこれに、水、水溶性有機溶剤及びそ
の他の成分、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐
剤、界面活性剤、酸化防止剤等が必要に応じて含まれて
構成される。以下、これらのインクの各構成成分につい
て説明する。 (水溶性染料)本発明で使用するカチオン性基を有する
水溶性染料としては、例えば、カラーインデックス(C
olor Index)に記載されている水溶性の染料
であれば特に限定はない。また、カラーインデックスに
記載のないものでも、カチオン性基を有するものであれ
ば特に限定はない。尚、ここでいう水溶性染料の中に
は、溶解度のpH依存性があるものも含まれる。 (顔料)本発明で使用するインクの別の形態としては、
上記したカチオン性基を有する水溶性染料の代わりに、
顔料及びカチオン性化合物を用い、水、水溶性有機溶剤
及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、
防腐剤、界面活性剤或いは酸化防止剤等を必要に応じて
含むインクであってもよい。ここで、カチオン性化合物
が顔料の分散剤であってもよいし、顔料の分散剤がカチ
オン性でない場合に、分散剤とは別のカチオン性化合物
を添加したものでもよい。勿論、分散剤がカチオン性化
合物である場合でも、更に他のカチオン性化合物を添加
してもよい。本発明で使用することができる顔料として
は特に限定はなく、アニオン性インクの項で述べた顔料
を好適に用いることができる。 (顔料分散剤)本発明で使用するインク中の顔料の分散
剤は、カチオン性基の存在によって顔料を水、若しくは
水性媒体に安定に分散させる機能を有する水溶性樹脂な
らどんなものでも使用可能である。具体例としては、ビ
ニルモノマーの重合によって得られるものであって、得
られる重合体の少なくとも一部がカチオン性を有するも
のであればよい。カチオン性の部分を構成するためのカ
チオン性モノマーとしては、下記の如き第3級アミンモ
ノマーの塩及びこれらの4級化された化合物が挙げられ
る。 N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート [CH2=C(CH3)−COO−C2H4N(CH
3)2]、 N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート [CH2=CH−COO−C2H4N(CH3)2]、 N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート [CH2=C(CH3)−COO−C3H6N(CH
3)2]、 N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート [CH2=CH−COO−C3H6N(CH3)2]、 N,N−ジメチルアクリルアミド [CH2=CH−CON(CH3)2]、 N,N−ジメチルメタクリルアミド [CH2=C(CH3)−CON(CH3)2]、 N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド [CH2=CH−CONHC2H4N(CH3)2]、 N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド [CH2=C(CH3)−CONHC2H4N(CH
3)2]、 N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド [CH2=CH−CONH−C3H6N(CH3)
2]、 N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド [CH2=C(CH3)−CONH−C3H6N(CH
3)2] 等が挙げられる。
【0204】第3級アミンの場合において、塩を形成す
るための化合物としては、塩酸、硫酸及び酢酸等が挙げ
られ、4級化に用いられる化合物としては、塩化メチ
ル、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、エピクロロヒ
ドリン等が挙げられる。これらの中でも、塩化メチルや
ジメチル硫酸等が本発明で使用する分散剤を調製するう
えで好ましい。以上のような第3級アミンの塩或いは第
4級アンモニウム化合物は水中ではカチオンとして振る
舞い、中和された条件では酸性が安定溶解領域である。
これらモノマーの共重合体中での含有率は20〜60重
量%の範囲が好ましい。
【0205】上記高分子分散剤の構成に用いられるその
他モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルメ
タクリレート、長鎖のエチレンオキシド鎖を側鎖に有す
るアクリル酸エステル等のヒドロキシ基を有するアクリ
ル酸エステル、スチレン系モノマー等の疎水性モノマー
類及びpH7近傍の水に溶解可能な水溶性モノマーとし
て、アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルピロ
リドン類、ビニルピリジン類、ビニルオキサゾリン類が
挙げられる。疎水性モノマーとしては、スチレン、スチ
レン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導
体、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、アクリロ
ニトリル等の疎水性モノマーが用いられる。共重合によ
って得られる高分子分散剤中において水溶性モノマー
は、共重合体を水溶液中で安定に存在させるために15
〜35重量%の範囲で用い、且つ疎水性モノマーは、共
重合体の顔料に対する分散効果を高めるために20〜4
0重量%の範囲で用いることが好ましい。 (自己分散型顔料)カチオン性に帯電した顔料の場合、
直接若しくは他の原子団を介して結合した親水性基が、
例えば、下記に挙げる第4級アンモニウム基から選ばれ
る少なくとも1つを結合したものが挙げられる。しか
し、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0206】
【化1】
【0207】上記式中、Rは炭素原子数1〜12の直鎖
状又は分岐鎖状のアルキル基、置換若しくは未置換のフ
ェニル基、又は置換若しくは未置換のナフチル基を表
す。尚、上記のカチオン性基には、カウンターイオンと
して、例えば、NO3−やCH3COO−が存在する。
【0208】上記したような親水性基が結合されてカチ
オン性に帯電している自己分散型顔料を製造する方法と
しては、例えば、下記に示す構造のN−エチルピリジル
基を結合させる方法を例にとって説明すると、顔料を3
−アミノ−N−エチルピリジニウムブロマイドで処理す
る方法が挙げられる。
【0209】
【化2】
【0210】このように顔料表面への親水性基の導入に
よってカチオン性に帯電させた顔料は、イオンの反発に
よって優れた水分散性を有するため、水性インク中に含
有させた場合にも分散剤等を添加しなくても安定した分
散状態を維持する。特に上記顔料がカーボンブラックで
ある場合が好ましい。 (インクの表面張力)更に本発明で使用するカチオン性
インクは普通紙等に記録した場合の印字記録物のインク
の浸透性と同時に、インクジェット用ヘッドに対するマ
ッチングを良好にする面から、インク自体の物性として
25℃における表面張力が30〜68mN/m(dyn
/cm)、粘度が15mPa・s(cP)以下、好まし
くは10mPa・s(cP)以下、より好ましくは5m
Pa・s(cP)以下に調整されることが望ましい。 <水性インクの濃度>上記したアニオン性及びカチオン
性のインク中に含まれる色材成分の質量濃度は、水性染
料、顔料や自己分散型顔料等の色材の修理に応じて適宜
選択されるが、インクの質量に対し、0.1〜20質量
%、特には0.1〜12質量%の範囲が好ましい。
【0211】又、色材成分の質量濃度が0.3〜7質量
%の範囲では、液体組成物中の微粒子の濃度とインク中
の色材の濃度との関係に関して、質量基準で、該微粒子
1に対して色材が1.2以下、特には1.0以下とした
場合、通常の2液系の記録条件の下で形成される画像の
発色性は特に優れたものとなる。 <被記録媒体に着色部を形成する方法>次に、本発明の
被記録媒体に着色部を形成する方法について説明する。
本発明の被記録媒体に着色部を形成する方法は、(i)
色材を含む、アニオン性若しくはカチオン性の水性イン
クを被記録媒体に付与する工程及び(ii)該インクと
は逆の極性に表面が帯電している微粒子が分散状態で含
まれている液体組成物を被記録媒体に付与する工程とを
有し、上記被記録媒体の表面において、水性インクと液
体組成物とが互いに液体状態で接するように付与するこ
とを特徴とする。以下、上述したように構成されている
液体組成物及び水性インクを被記録媒体上に付与する方
法について説明する。
【0212】本発明の被記録媒体に着色部を形成する方
法は、上記で説明したような液体組成物を被記録媒体上
に付与する工程(ii)と、色材を含む、アニオン性若
しくはカチオン性の水性インクを被記録媒体に付与する
工程(i)を含むが、その際に、色材を含む水性インク
によって形成される被記録媒体の着色部形成領域、又は
着色部形成領域とその近傍に液体組成物を付与して、水
性インクと液体組成物とが互いに液体状態で接するよう
に付与する。ここでいう着色部形成領域とは、インクの
ドットが付着する領域のことであり、着色部形成領域の
近傍とは、インクのドットが付着する領域の外側の1〜
5ドット程度離れた領域のことを指す。
【0213】本発明の被記録媒体に着色部を形成する方
法では、前記した本発明の液体組成物と水性インクとが
被記録媒体上で互いに液体状態で接するようになれば、
これらをいずれの方法で付与させてもよい。従って、液
体組成物とインクのいずれを先に被記録媒体上に付与す
るかは問題ではない。例えば、工程(ii)を行なった
後に工程(i)を行なってもよいし、工程(i)を行な
った後に工程(ii)を行なてもよい。また、工程
(i)を行なった後に、工程(ii)を行ない、その後
に再び工程(i)を行なうことも好ましい。また、液体
組成物を被記録媒体に先に付与させた場合に、液体組成
物を被記録媒体に付与してから、インクを被記録媒体上
に付与させるまでの時間については特に制限されるもの
ではないが、互いに液体状態で接するようにするために
は、ほぼ同時或いは数秒以内にインクを被記録媒体上に
付与させることが好ましい。 (被記録媒体)上記した本発明の被記録媒体に着色部を
形成する方法に使用される被記録媒体としては、特に限
定されるものではなく、従来から使用されている、コピ
ー用紙、ボンド紙等のいわゆる普通紙が好適に使用され
る。勿論、インクジェット記録用に特別に作製されたコ
ート紙やOHP用透明フィルムも好適に使用される。更
に一般の上質紙や光沢紙にも好適に使用することができ
る。 (液体組成物の付与方法)本発明の液体組成物を被記録
媒体上に付与せしめる方法としては、例えば、スプレー
やローラー等によって被記録媒体の全面に付与せしめる
方法も考えられるが、更に好ましくはインクを付与する
着色部形成領域或いは着色部形成領域とその着色部形成
領域の近傍にのみに選択的且つ均一に液体組成物を付与
せしめることのできるインクジェット方式により行うの
が好ましい。また、この際には、種々のインクジェット
記録方式を用いることができるが、特に好ましいのは、
熱エネルギーによって発生した気泡を用いて液滴を吐出
する方式である。
【0214】
【発明の効果】本発明によれば、液体吐出時に発生する
ミストは、電圧印加手段により電圧を印加された導電性
部材からの静電的に力を受けて、導電性部材に吸い寄せ
られて付着するので、ヘッドフェイス面などの不特定な
部分に付着するミストが低減され、ヘッドフェイス面の
凝集物の発生を抑えられ、液体同士が反応して発生する
凝集物が少なく抑えられる。
【0215】また、ワイピング中は導電性部材に電圧が
印加されていないので、導電性部材からミストを容易か
つ確実に除去することが可能である。
【0216】以上のように、本発明によれば、凝集物が
発生することによる液体吐出精度の低下を防止または低
減することが可能な液体吐出装置を提供することができ
る。また、プリント性向上液により、普通紙上に、コー
ト紙並みの高発色インクジェット画像を記録することが
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のインクジェット記録ヘッ
ドカートリッジを示す斜視図である。
【図2】図1に示された記録ヘッドカートリッジの分解
斜視図である。
【図3】図2に示された記録ヘッドを斜め下方から見た
分解斜視図である。
【図4】インクジェット記録方式を用いたプリンタの概
略構成を示す外観図である。
【図5】インクジェット記録方式を用いたプリンタの内
部構成を示す内部構成図である。
【図6】本実施形態のキャリッジの正面側の斜視図であ
る。
【図7】本実施形態における回復系ユニットの側面の斜
視図である。
【図8】本実施形態のワイピング手段であるワイパーホ
ルダユニットの斜視図である。
【図9】本実施形態のプリンタの印字動作を示すフロー
チャートである。
【図10】本実施形態におけるミスト除去静電パッドに
よる作用及び効果を説明するための説明図である。
【図11】本発明の他の実施形態のワイパーホルダユニ
ットの斜視図である。
【図12】本発明の他の実施形態のミスト除去用静電パ
ッドのワイピング動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 回復系ユニット 11 キャッピング手段 12 ワイピング手段 24,25,26 ギア 1201 ワイパーホルダ 2101,2102 ミスト除去用静電パッド 2400 ワイパーホルダ 2401,2402,2403 ワイパー E0006 インクエンドセンサホルダー E0011 コンタクトFPC E0011a コンタクト部 H1000 記録ヘッドカートリッジ H1001 記録ヘッド H1200 第1のプレート H1201 インク供給口 H1300 電気配線基板 H1301 外部信号入力端子 H1400 第2のプレート H1500 タンクホルダー H1501 インク流路 H1600 流路形成部材 H1700 フィルター H1800 シールゴム H1900 インクタンク H2100 ミスト吸着電極 M3 モータ M1000 プリンタ本体 M1001 下ケース M1002 上ケース M1003 アクセスカバー M1004 排出トレイ M2001 プラテン M2006 拍車ステイ M2009 拍車バネ軸 M2010 フロントステイ M2011 キャリッジ軸カム M2012 紙間調整板L M2014 キャリッジ軸バネ M2015 紙間調整レバー M3001 LFローラ M3002 LFギアカバー M3004 LFローラバネ M3005 LFローラ軸受けL M3006 LFローラ軸受けR M3010 歯付座金付ビス M3011 通紙ガイド M3012 LF中間ギア M3013 排紙ギア M3014 ピンチローラ M3015 ピンチローラホルダ M3016 ピンチローラバネ M3019 シャーシ M3022 自動給送部 M3023 ASFベース M3024 可動サイドガイド M3025 圧板 M3026 給紙ローラ M3027 分離シート M4000 記録部 M4001 キャリッジ M4002 キャリッジカバー M4003 FPC押さえ M4007 ヘッドセットレバー M4012 キャリッジ軸 M4013 キャリッジレール M4014 キャリッジスライダー M4018 キャリッジベルト M4020 アイドラプーリ M4021 プーリホルダー M4024 キャリッジモータプーリ M4026 インクエンドセンサホルダー M4027 インクエンドセンサカバー M4028 FFC押さえ1 M5011,M5012 ワイパー STEP91〜102,STEP121〜123 ス
テップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 光洋 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 矢野 健太郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA16 FA03 FB02 FB03 FB04 FD05 FD20 JB00 JB04 JC17

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を吐出する吐出口が設けられた吐出
    口面を有する液体吐出ヘッドの前記吐出口面と隣接して
    配置された導電性部材と、 該導電性部材に電圧を印加する電圧印加手段と、 前記導電性部材に吸収された異物を除去する除去手段
    と、を有する液体吐出装置。
  2. 【請求項2】 液体として少なくとも2つの異なる液体
    を用い、該異なる液体同士が反応性を有する、請求項1
    記載の液体吐出装置。
  3. 【請求項3】 前記異なる液体のうち少なくとも1つが
    プリント性向上液である、請求項2記載の液体吐出装
    置。
  4. 【請求項4】 前記電圧印加手段による電圧の印加を制
    御する制御手段を有し、該制御手段は、前記液体吐出ヘ
    ッドが液体を吐出する際に前記導電性部材に電圧を印加
    するように前記電圧印加手段を制御することを特徴とす
    る請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出装
    置。
  5. 【請求項5】 前記電圧印加手段が前記導電性部材にプ
    ラスの電圧を印加することを特徴とする請求項4記載の
    液体吐出装置。
  6. 【請求項6】 前記除去手段は前記導電性部材をワイピ
    ングするワイピング手段であり、 該ワイピング手段が前記導電性部材をワイピングする際
    に、前記導電性部材への電圧の印加を停止するように前
    記制御手段が前記電圧印加手段を制御することを特徴と
    する請求項4または5に記載の液体吐出装置。
  7. 【請求項7】 前記ワイピング手段が前記液体吐出ヘッ
    ドの吐出口面をワイピングする手段を兼ねていることを
    特徴とする請求項6記載の液体吐出装置。
  8. 【請求項8】 前記液体吐出ヘッドが液体を吐出してプ
    リント媒体に付着させて記録を行う、請求項1から7の
    いずれか1項に記載の液体吐出装置。
  9. 【請求項9】 前記プリント媒体は紙、布、革、不織
    布、OHP用紙または金属のいずれかである、請求項8
    記載の液体吐出装置。
  10. 【請求項10】 前記液体吐出ヘッドは、液体を吐出す
    るために利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換
    体を備えている、請求項1から9のいずれか1項に記載
    の液体吐出装置。
  11. 【請求項11】 前記液体吐出ヘッドは前記電気熱変換
    体が発生する熱エネルギーにより液体に生じる膜沸騰を
    利用して前記吐出口より液体を吐出させる、請求項10
    記載の液体吐出装置。
  12. 【請求項12】 液体を吐出する吐出口が設けられた吐
    出口面を有する液体吐出ヘッドであって、 ミストを吸着するための、前記吐出口の近傍に設けられ
    た導電性部材と、 該導電性部材に電圧を印加するための電圧印加手段と、
    を有する液体吐出ヘッド。
  13. 【請求項13】 液体として少なくとも2つの異なる液
    体を用い、該異なる液体同士が反応性を有する、請求項
    12記載の液体吐出ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記異なる液体のうち少なくとも1つ
    がプリント性向上液である、請求項13記載の液体吐出
    ヘッド。
  15. 【請求項15】 前記液体吐出ヘッドが液体を吐出して
    プリント媒体に付着させて記録を行う、請求項12から
    14のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  16. 【請求項16】 前記プリント媒体は紙、布、革、不織
    布、OHP用紙または金属のいずれかである、請求項1
    5記載の液体吐出ヘッド。
  17. 【請求項17】 液体を吐出するために利用される熱エ
    ネルギーを発生する電気熱変換体を備えている、請求項
    12から16のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッド。
  18. 【請求項18】 前記電気熱変換体が発生する熱エネル
    ギーにより液体に生じる膜沸騰を利用して前記吐出口よ
    り液体を吐出させる、請求項17に記載の液体吐出ヘッ
    ド。
JP2001139971A 2001-05-10 2001-05-10 液体吐出装置及び液体吐出ヘッド Pending JP2002331675A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001139971A JP2002331675A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 液体吐出装置及び液体吐出ヘッド

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001139971A JP2002331675A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 液体吐出装置及び液体吐出ヘッド

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002331675A true JP2002331675A (ja) 2002-11-19

Family

ID=18986660

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001139971A Pending JP2002331675A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 液体吐出装置及び液体吐出ヘッド

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002331675A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007331127A (ja) * 2006-06-12 2007-12-27 Ricoh Co Ltd 液滴吐出装置、画像形成装置、画像形成方法および液滴吐出装置の製造方法
US8567937B2 (en) 2010-03-31 2013-10-29 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Image forming apparatus and image forming method
WO2015199642A1 (en) 2014-06-23 2015-12-30 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Printhead assembly
JP7468127B2 (ja) 2020-05-08 2024-04-16 株式会社リコー 液滴吐出装置、画像形成装置及びミスト回収制御プログラム

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007331127A (ja) * 2006-06-12 2007-12-27 Ricoh Co Ltd 液滴吐出装置、画像形成装置、画像形成方法および液滴吐出装置の製造方法
US8567937B2 (en) 2010-03-31 2013-10-29 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Image forming apparatus and image forming method
WO2015199642A1 (en) 2014-06-23 2015-12-30 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Printhead assembly
EP3157752A4 (en) * 2014-06-23 2018-03-21 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Printhead assembly
EP3157752B1 (en) * 2014-06-23 2021-06-23 Hewlett-Packard Development Company, L.P. Printhead assembly
JP7468127B2 (ja) 2020-05-08 2024-04-16 株式会社リコー 液滴吐出装置、画像形成装置及びミスト回収制御プログラム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3927851B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、記録物の製造方法
KR100518990B1 (ko) 액체 조성물, 잉크 세트, 피기록 매체에 착색부를형성하는 방법 및 잉크젯 기록 장치
US6719420B2 (en) Liquid composition, ink set, method for forming colored portion on recording medium, and ink-jet recording apparatus
JP3927850B2 (ja) 記録方法、記録装置、記録物、記録物の製造方法
US6863391B2 (en) Liquid composition, ink set, method of forming a colored section on recording medium and ink-jet recording apparatus
US20020062762A1 (en) Method of measuring liquid composition, liquid composition, ink set, method for forming colored portion on recording medium, and ink-jet recording apparatus
JP3559762B2 (ja) 液体組成物、及び、それを用いたインクセット及び画像形成方法
JP2001199151A (ja) 液体組成物、インクセット、被記録媒体への着色部の形成方法及びインクジェット記録装置
JP2013053203A (ja) インクセット及びこれを用いた記録方法
JP2002332436A (ja) インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置
JP2002332437A (ja) インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置
JP2002332434A (ja) インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置
JP2002332438A (ja) インクセット、インクカートリッジ、記録ユニット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置
JP3799292B2 (ja) 液体組成物、インクセット及び被記録媒体に着色部を形成する方法
JP2002331675A (ja) 液体吐出装置及び液体吐出ヘッド
JP3631220B2 (ja) インクセット及び着色部の形成方法
JP2005305687A (ja) インクジェット記録方法
JP2013227412A (ja) インクセット、インクジェット記録方法
JP3799291B2 (ja) 液体組成物、インクセット及び被記録媒体に着色部を形成する方法
JP3631188B2 (ja) 液体組成物、インクセット及び被記録媒体に着色部を形成する方法
JP2002331742A (ja) 液体組成物、インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法、カートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置
JP2002331749A (ja) 液体組成物、インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法、インクジェット記録装置、カートリッジ及び記録ユニット
JP2002332432A (ja) インクセット、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置
JP2003026977A (ja) インクセット、インクによる画像の定着性向上方法、被記録媒体に着色部を形成する方法及びインクジェット記録装置
JP2002331676A (ja) インクジェット記録装置および記録ヘッドの吐出回復方法