JP2002328331A - ディスプレイ装置 - Google Patents

ディスプレイ装置

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JP2002328331A
JP2002328331A JP2002013671A JP2002013671A JP2002328331A JP 2002328331 A JP2002328331 A JP 2002328331A JP 2002013671 A JP2002013671 A JP 2002013671A JP 2002013671 A JP2002013671 A JP 2002013671A JP 2002328331 A JP2002328331 A JP 2002328331A
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Shinji Yamana
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型、軽量かつ広視野化が図れ、コストの低
下を招来するような拡大用レンズとディスプレイ装置を
提供する。 【解決手段】 画像を形成し、この画像を肉眼で観察す
るための光学機構が、観察者の眼前に配置されたディス
プレイ装置において、上記光学機構は、画像表示素子7
1と、画像が投影されるスクリーン75と、画像表示素
子71上の画像をスクリーン75上に投影する投影レン
ズ74と、スクリーン71上に投影された画像の拡大像
を肉眼で見るための拡大用レンズ76とを少なくとも備
えた構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、肉眼で対象物の拡大像
を観察するための拡大用レンズとして例えば光を発散す
る負レンズと光を収斂する正レンズとを組み合わせた複
合レンズ及び画像表示素子と拡大像を見るための拡大用
レンズとを少なくとも備えた光学系ユニットを、頭部等
の身体の一部に装着して、テレビやビデオ映像等の画像
を鑑賞する個人用途の携帯型のディスプレイ装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、頭部などの身体の一部に装着
し、小型ながら臨場感のある映像を提供するディスプレ
イ装置が様々な形で開発、提供されている。この様なデ
ィスプレイ装置は、光学系の違いから大きく以下の2種
類に分類することができる。
【0003】一つは二次元の画像表示素子の虚像を観察
するもの(例えば特開平3ー289615号、特開平4
ー168489号、特開平5ー183838号)。もう
一つは点光源あるいは一次元の光源パターンを網膜上で
走査することによって、映像を形成するもの(例えば米
国特許第4934773号、その関連として米国特許第
5003300号)がある。
【0004】前記従来の技術を図47〜図50を用いて
説明する。先ず、二次元の画像表示素子の虚像を観察す
るものとして、例えば図47に示すディスプレイ装置1
01は、略眼鏡状のハウジング102を備え、耳に対応
する両側部の音響部102a・102aにはスピーカ1
03・103が配置されると共に、目に対応する部位の
映像部102bには、液晶パネル等を用いた画像表示素
子104・104と一枚あるいは複数枚構成の拡大用レ
ンズ105・105とが配置されている。上記ディスプ
レイ装置101では、各光学素子は観察者の右目と左目
に対応させるためにそれぞれ二つずつ備えており、左右
の画像表示素子104・104に同一物体に対する異な
った位置からの画像をそれぞれ供給すれば、立体画像を
得ることができる。
【0005】上記拡大用レンズ105は、図48および
図49に示すように、画像表示素子104と観察者の眼
106との間に配設されている。これにより、観察者
は、画像表示素子104で形成された画像を拡大した拡
大像を観察できる。また、上記拡大用レンズ105に
は、通常、諸収差の除去を行うために色消しレンズや非
球面レンズ等が用いられている。尚、図48では、拡大
用レンズ105が一枚の拡大用のレンズ107で構成さ
れた例、図49では、拡大用レンズ105が複数枚の拡
大用のレンズ107…で構成された例を示している。ま
た、図48中の記号Xoは画像表示素子104の中心、
Hは拡大用レンズ105のレンズ107の主点、Xeは
眼106の瞳位置、Sは画像表示素子104の中心から
レンズ107の主点までの距離、Seはレンズ107の
主点から眼106の瞳位置までの距離を示す。
【0006】次に、点光源あるいは一次元の光源パター
ンを網膜上で走査することによって、映像を形成するも
のとして、例えば図50に示すように、LED素子等を
一列に並べた一次元表示素子112と、光路偏向手段で
ある振動ミラー113と、一枚あるいは複数枚構成の拡
大用レンズ105とで構成されたディスプレイ装置11
1がある。
【0007】ディスプレイ装置111では、拡大用レン
ズ105によって、一次元表示素子112の発光パター
ンの虚像を観察するようになっている。つまり、振動ミ
ラー113の往復運動によって、一次元表示素子112
から眼106へ至る光線114の角度を偏向すること
で、眼106の網膜上のZ1からZ0を経てZ2まで走査
することで二次元の映像を得るようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図48に示
すように、拡大用レンズ105に一枚のレンズ107を
使用した構成では、広い見かけ視野を得ることはレンズ
107の屈折力や像の歪みなどで困難である。そこで、
図49に示すように、拡大用レンズ105を複数枚のレ
ンズ107…を組み合わせた構成とすることが必要とな
る。また、収差の低減に非球面レンズを用いる場合もあ
る。
【0009】しかしながら、レンズ枚数が増えることに
より、重量と体積が増え、しかも、図49に示すよう
に、眼106とレンズ107との間隔が短くなるため、
見づらくなるという欠点がある。
【0010】また、上記のように非球面レンズを用いて
も周辺像の収差の除去も困難であっる。
【0011】また、図47に示すディスプレイ装置10
1においては、画像表示素子104と拡大用レンズ10
5の位置が眼106から離れた位置にあるため、画像表
示素子104やレンズ107の重量が大きいと、重心が
頭部から離れた所に位置するという問題があった。これ
は、頭部への固定手段の大型化を招き、また装着時の疲
労感を増大させている。
【0012】さらに、画像表示素子104の画素数を一
定にしたまま、見かけ視野を広げると、画素が粗くなり
画質が劣化するという問題がある。また、画像表示素子
104の画素数の増加は、画像表示素子104の大型
化、あるいは重量の増加、またコストアップを招くとい
う問題がある。
【0013】一方、図50に示すディスプレイ装置11
1においては、光線114の角度偏向を、眼106の入
射瞳の中心あるいは眼106の回旋点を中心に行う必要
があるため、角度の大きな走査が困難であり、そのため
広視野化が難しいという問題がある。
【0014】本発明は、上記の各問題点に鑑みなされた
ものであって、その目的は、小型、軽量かつ広視野化が
可能で、製造コストの低下を招来するようなディスプレ
イ装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】まず、本発明のディスプ
レイ装置に用いることができる拡大用レンズについて説
明する。
【0016】第1の拡大用レンズは、物体の拡大像を肉
眼で観察するための拡大用レンズであって、複数の負レ
ンズの主面が同一平面上に配置された二次元負レンズア
レイと、複数の正レンズの主面が同一平面上に配置され
た二次元正レンズアレイとが、それぞれの負レンズと正
レンズとで複合レンズを構成するように対向配置される
と共に、上記複合レンズを構成する一対の負レンズ及び
正レンズは、それぞれのレンズの主点を結ぶ直線の交点
が、上記二次元正レンズアレイから以下の式で満たされ
るScだけ離れた点Xcにおいて略一致するように配置
されている構成としている。
【0017】
【数1】
【0018】Soは負レンズ主面から物体までの距離
(So<0)、Sdは負レンズ主面から正レンズ主面ま
での距離(Sd>0)、f1 は負レンズの焦点距離(f
1 <0)、f2 は正レンズの焦点距離(f2 >0)を示
す。
【0019】ここで、上記負レンズとは、光を発散する
ことのできる光学系であり、一枚の凹レンズや、複数枚
のレンズの組み合わせでも良い。また、上記正レンズと
は、光を集光することのできる光学系であり、一枚の凸
レンズや、複数枚のレンズの組み合わせでも良い。
【0020】また、後述する理由により、複合レンズの
負レンズと正レンズの主点を結ぶ直線の交点は、点Xc
に厳密に一致しなくてもよい。
【0021】上記の複合レンズは、負レンズによる像
(虚像)を正レンズによって拡大した像(虚像)として
見るための光学系である。観察する物体からの光は複合
レンズの負レンズに入り、正レンズから出て眼に至る。
この光学系は、従来の同一倍率の単一レンズルーペに比
べて、レンズと眼との距離は変わらず、物体とレンズと
の距離を短くすることができる。
【0022】観察する物体上の一つの点から出た光は、
複数の複合レンズを通って眼に入る。そして、各複合レ
ンズの負レンズと正レンズのそれぞれの主点を結ぶ直線
が正レンズアレイから上記式(1)を満たすScだけ離
れた点Xcで交わるように、複合レンズを平面上に並べ
たとき、近軸理論下で、複合レンズによってできるそれ
ぞれの像は一致したように見える。
【0023】つまり、上記構成の拡大用レンズでは、観
察する物体の一点からでた光束が複数の複合レンズを通
って眼に入射しても、上記光束は網膜上において一点に
集光する。即ち、上記拡大用レンズは、物体と像とが一
対一に対応するレンズであるといえる。
【0024】また、レンズをアレイ化することによっ
て、小さいレンズ径のレンズを複数集合させたレンズを
アレイ状にして単レンズのレンズ径と同じ大きさにすれ
ば、同一の焦点距離を有する単レンズよりもレンズの薄
型軽量化を図ることができるので、同一倍率の単レンズ
に比べてレンズの薄型・軽量化を図ることができる。
【0025】さらに、広視野化に伴う像の歪みや湾曲
は、例えば、レンズアレイの周辺部分の複合レンズの焦
点距離(負レンズと正レンズの合成焦点距離)を変える
ことで除去することができる。このように、個々の複合
レンズの諸特性の変化によって像の補正が可能となる。
【0026】また、それぞれの複合レンズを構成する負
レンズと正レンズの主点を結ぶ直線の交点と点Xcが一
致しないとき、各複合レンズの像は一致せずに分散す
る。しかしながら、像が分散したとしても、それが肉眼
で認識できなければ支障はない。また、像の分散が上記
した肉眼で認識できるほど大きくても、観察する物体の
画質によっては、像が分散していることがわからない場
合もある。これらの事情から、複合レンズの並べ方にお
いて、実用上は上記直線の交点と点Xcが厳密に一致し
なくても差し支えない。
【0027】第2の拡大用レンズは、第1の構成に加え
て、二次元負レンズアレイ及び二次元正レンズアレイ
が、それぞれ平面基板上に形成され、それぞれの基板が
略平行に配置されている構成としている。
【0028】上記の第2の拡大用レンズの構成によれ
ば、第1の構成の拡大用レンズによる作用に加えて、二
次元負レンズアレイと二次元正レンズアレイをそれぞれ
平面基板上に形成すると、平面基板上におけるレンズの
位置が固定されるので、それぞれの負レンズおよび正レ
ンズから複合レンズを構成するときの位置合わせが容易
になる。
【0029】また、基板上にレンズ位置が固定された状
態では、二次元負レンズアレイの基板と二次元正レンズ
アレイの基板との間隔を変化させることによって視度調
整を行うことができるので、視度調整が容易となる。
【0030】第3の拡大用レンズは、第1または2の拡
大用レンズの構成に加えて、各複合レンズ間に、遮光性
の部材が設けられている構成としている。
【0031】上記遮光性の部材の少なくとも表面は、光
を遮光、吸収する素材でできていることが望ましい。
【0032】上記の第3の拡大用レンズの構成によれ
ば、各複合レンズ間に、遮光性の部材が設けられている
ことで、それぞれの複合レンズをお互いに仕切る遮光枠
とすることができる。これにより、遮光性の部材は、複
合レンズを構成する負レンズを通った光線が他の複合レ
ンズの正レンズを通らないように作用する。
【0033】また、上記遮光性の部材を、二次元負レン
ズアレイと二次元正レンズアレイの複合レンズを構成す
るそれぞれの複合レンズを構成する一対の正・負のレン
ズ同士の間を貫通させた構成とすれば、この部材によっ
て上記二つの二次元レンズアレイを平行に保つことが容
易になる。
【0034】第4の拡大用レンズは、物体の拡大像を肉
眼で観察するための拡大用レンズであって、複数の負レ
ンズの主面が同一面上に配置された二次元負レンズアレ
イと、複数の正レンズの主面が同一面上に配置された二
次元正レンズアレイとが、それぞれの負レンズと正レン
ズとで複合レンズを構成するように対向配置されると共
に、上記複合レンズを構成する一対の負レンズ及び正レ
ンズは、それぞれのレンズの主点を結ぶ直線の交点が、
上記二次元正レンズアレイから上記の式(1)で満たさ
れるScだけ離れた点Xcで略一致すると共に、この地
点を中心とする略球面上に配置されている構成としてい
る。
【0035】上記構成によれば、光軸の一致する負レン
ズと正レンズを組み合わせた複合レンズを曲面上に並べ
た構成である。観察する物体からの光は複合レンズの負
レンズに入り、正レンズから出て眼に至る。観察者が見
る像は、負レンズの像(虚像)を正レンズで拡大した像
(虚像)である。
【0036】観察する物体上の一つの点から出た光は、
複数の複合レンズを通って眼に入る。このとき、各複合
レンズによって見える像は厳密には一致しない。つま
り、点Xcを中心とする球面上に複合レンズを配置して
いるので、それぞれの複合レンズの物体面は、点Xcを
中心とする球面の接平面となる。球面上の異なる位置の
接平面は一致しないから、各複合レンズの物体面も一致
しない。このようにお互いの複合レンズの物体面が一致
しないので、それぞれの像も原理的に一致しない。つま
り、一つの物点に対するそれぞれの複合レンズの像は一
致せずに分散する。
【0037】ところが、上記複合レンズのレンズ径を小
さくすると、ある一つの物点に対する像の数は減少する
とともに、それぞれの分散を小さくすることができる。
なぜなら、上記複合レンズは少なくとも2枚のレンズで
構成されるので、お互いのレンズが開口絞りの役割を果
たすため、レンズ径を小さくすると観察可能な範囲は狭
まる。その結果、ある一つの物点を見ることのできる複
合、レンズの数が減少する。即ち、一つの物点に対する
像の数が減る。像の数を減らすことは、分散の大きな像
を消去することに対応する。また、レンズ径を小さくす
ると、隣り合う複合レンズの光軸同士のなす角度が小さ
くなるので、像の分散が小さくなる。
【0038】従って、個々の複合レンズによる同一物点
に対するそれぞれの像の位置ずれを視角に換算したと
き、上記視角が眼の分解能力以下であれば、分散してい
る像は一つの像と認識される。このように本光学系はレ
ンズ径を小さくすることによって擬似的に物体と像とを
一対一に対応させることができる。
【0039】また、観察者の目の回旋点を点Xcにおく
と、どの複合レンズに対してもその光軸上から見ること
ができるので、結像状態に関し、視野の中央と周辺との
差はない。即ち、複合レンズを広範囲に並べて見かけ視
野を広げても、従来レンズのように周辺像の劣化がな
い。また、収差補正のためにレンズ枚数を増やす必要も
ない。
【0040】さらに、複合レンズのレンズ径を小さくす
ると、上記複合レンズの光軸近傍を通る光を観察するこ
とができるので、個々の複合レンズについて、諸収差の
少ない良好な像を得ることができる。また、レンズ系を
小さくするとレンズの厚みが減り、またレンズの重さも
減少する。
【0041】従って、レンズ径を小さくした複合レンズ
を用い、点Xcの付近から観察することで、広い見かけ
視野を有する光学系でありながら、小型、薄型、軽量で
あり、さらに収差の少ない良好な像を提供することがで
きる。
【0042】第5の拡大用レンズは、第4の構成に加え
て、一対の負レンズと正レンズを収納して複合レンズを
構成する鏡筒を備えると共に、上記鏡筒は、その側面の
母線あるいは稜線の延長線の交点が、上記の点Xcで略
一致するように形成されている構成としている。
【0043】上記鏡筒は、その断面形状は多角形であっ
ても円形であっても良く、その材質とては、光を遮断す
る遮光性を有することが望ましい。また、鏡筒の内壁
は、光が内壁で乱反射するのを抑えるために、光を吸収
する材質で形成されることが望ましい。
【0044】尚、上記鏡筒の側面は滑らかである必要は
なく、局所的に接合のための溝や出っ張りがあっても構
わない。
【0045】上記の第5の拡大用レンズの構成により、
複合レンズを収納する鏡筒の側面の母線あるいは稜線の
延長が該複合レンズの光軸上の点Xcで交わるような形
状を有する鏡筒を、この鏡筒の側面同士で密着して並べ
ると、鏡筒内に収まっている負レンズと正レンズがそれ
ぞれ上記光軸上の点Xcを中心とする球面上に配置され
る。
【0046】これにより、上記形状を有する鏡筒を並べ
るだけで、所定の曲率を有する拡大用レンズを構成する
ことができる。
【0047】第6の拡大用レンズは、第4の構成に加え
て、複合レンズは、一方の面が負レンズと等価な凹面に
形成され、他方の面が正レンズと等価な凸面に形成され
た一枚構成のレンズからなり、このレンズを上記点Xc
を中心とする球面上に配置すると共に、このレンズの側
面は、この側面の母線あるいは稜線の延長線の交点が上
記点Xcにおいて略一致するように形成されている構成
としている。
【0048】上記の一枚構成のレンズの側面は、遮光す
るための塗装が施されていることが望ましく、また、側
面に遮光性の部材を貼付しても良い。さらに、側面を変
質させることによって遮光性を持たせるようにしても良
い。
【0049】また、一枚構成のレンズは、単一枚のレン
ズで構成しても良いが、複数枚のレンズを貼り合わせて
一枚構成としても良い。
【0050】上記の第6の拡大用レンズの構成によれ
ば、複合レンズは、負レンズと正レンズの中心軸が一致
した形状となっているので、上記中心軸を中心とした回
転体とすることができる。
【0051】従って、複合レンズを、一方の面が負レン
ズと等価な凹面に形成され、他方の面が正レンズと等価
な凸面に形成された単レンズ化したとき、単レンズも回
転体とすることができるので、負レンズと正レンズとを
別々に形成した場合よりも制作が容易となる。
【0052】さらに、一枚構成のレンズを単一のレンズ
(以下、単レンズと称する)で構成すれば、複合レンズ
に使用されるレンズ枚数の削減が図れ、また、レンズを
収納する鏡筒が不要となるので、複合レンズアレイの製
造に係る費用の低減が図れる。
【0053】また、単レンズの側面の母線あるいは稜線
の交点がこの単レンズの光軸上の点Xcで一致するよう
に該単レンズの側面形状を定め、この単レンズの側面同
士を密に並べると上記光軸上の点Xcを中心とする球面
上にこの単レンズを配置することができる。このよう
に、上記形状を有する単レンズを並べることによって、
単レンズをアレイ状に並べた拡大用レンズを容易に構成
することができる。
【0054】第7の拡大用レンズは、物体の拡大像を肉
眼で観察するための拡大用レンズであって、複数の負レ
ンズの主面が同一面上に配置された二次元負レンズアレ
イと、複数の正レンズの主面が同一面上に配置された二
次元正レンズアレイとが、それぞれの負レンズと正レン
ズとで複合レンズを構成するように対向配置されると共
に、上記複合レンズを構成する一対の負レンズ及び正レ
ンズは、それぞれのレンズの主点を結ぶ直線の交点が、
上記二次元正レンズアレイから上記の式(1)で満たさ
れるScだけ離れた点Xcで略一致するように複合レン
ズを直線状に一列に配置して複合レンズアレイを形成す
ると共に、この複合レンズアレイが、上記点Xcを中心
とする略円筒面上に配置されている構成としている。上
記直線状の複合レンズアレイは、複数列であっても良
い。
【0055】上記の直線状の複合レンズアレイを円筒面
上に並べた構成によれば、上記円筒の母線方向について
は、複合レンズは平面上に配置されるため制作が容易で
あり、上記円筒の円周方向については、収差が少なく広
い見かけ視野を容易に得ることができる。
【0056】また、円筒上に並べる直線状の複合レンズ
アレイには、同一形状の複合レンズアレイを用いること
ができるので、上記直線状の複合レンズアレイは量産に
よる低価格化が期待できる。
【0057】第8の拡大用レンズは、第7の構成に加え
て、複合レンズアレイは、負レンズアレイと正レンズア
レイとを収納するための鏡筒を備えると共に、この鏡筒
は、その側面の延長面が、上記点Xcを通りこの直線状
の複合レンズアレイと平行な直線と略一致するように形
成されている構成としている。
【0058】上記の第8の拡大用レンズの構成によれ
ば、円筒面上への複合レンズアレイは、直線状の複合レ
ンズアレイを円筒上に並べることによって形成すること
ができる。このとき、上記直線状の複合レンズアレイを
収納するための鏡筒を備え、この鏡筒の側面形状が末広
がりであれば、上記側面同士を接合することによって、
希望する円周上に上記複合レンズアレイを並べて拡大用
レンズを容易に構成することができる。
【0059】また、上記鏡筒の側面の像側の延長面上
に、上記直線状の複合レンズアレイの光軸上の点Xcが
一致するような形状とすることで、上記直線状の複合レ
ンズアレイは上記点Xcを中心とした円筒上に並べるこ
とができる。
【0060】第9の拡大用レンズは、第1〜8の何れか
の構成に加えて、複合レンズは、最も観察者に近い二次
元レンズアイレイのレンズの主点間隔が、観察者の瞳径
の半分以下に設定されている構成としている。
【0061】上記の第9の拡大用レンズの構成によれ
ば、最も観察者に近い二次元レンズアレイを形成するレ
ンズ同士の間隔が肉眼の瞳径の半分以下であれば、二次
元レンズアレイを形成するレンズ同士の間隙や遮光枠に
より映像の見えない部分を無くすことができる。
【0062】これは、映像の見えない部分が以下の場合
に現れるためである。物体のある一点からでた光束は、
隣り合ういくつかの複合レンズが受け持ち、そしてそれ
ぞれの複合レンズから観察者の側にほぼ平行な光束とし
て出射される。このとき、二次元レンズアレイのレンズ
間の間隙や遮光枠が影となり、観察者側では光の届く所
と届かない所ができる。そして、上記影が肉眼の瞳を覆
うとき、上記物体上の一点は見えなくなる。従って、全
体としては、映像の一部が隠されたように見える。
【0063】これを防ぐには、観察者の瞳が上記影以上
の大きさであればよい。そうすれば複合レンズから来る
光束の少なくとも一つを瞳に入射させることができる。
つまり、隣り合う複合レンズからでる光束の間隙は、最
大でも観察者に最も近い二次元レンズアレイのレンズ間
隔以下であれば良いことになる。従って、上記レンズ間
隔を観察者の瞳の半分以下とすれば、瞳には一本以上の
光束が入射し、映像が部分的に見えなくなるという問題
を解消することができる。
【0064】ここで、上記第1〜9の拡大用レンズを用
いたディスプレイ装置について説明する。
【0065】そのディスプレイ装置として、画像を形成
し、この画像を肉眼で観察するための光学機構が、観察
者の眼前に配置されたディスプレイ装置において、上記
光学機構は、画像表示素子と、この画像表示素子上に形
成された画像の拡大像を肉眼でみるための第1〜9の何
れかの拡大用レンズとを少なくとも備えている構成とす
る。
【0066】上記画像表示素子としては、ブラウン管、
EL素子、蛍光管、LED等の自発光素子や、液晶素子
等のように光の透過や反射を制御するシャッターアレイ
であれば良い。
【0067】また、光学機構を観察者の眼前に配置する
ためには、この光学機構をヘルメットやヘアバンド、あ
るいは耳掛け等の部材を用いて頭部に固定しても良い。
また、光学機構にリストバンドを設けて、このリストバ
ンドを持つことにより、観察者の眼前に光学機構を配置
するようにしても良い。さらに、光学機構に三脚等の外
部の保持部材に固定するためのネジ穴等の固定部材を設
けても良い。
【0068】また、光学機構には、画像表示素子と拡大
用レンズとの間隔を変更するための調整機構を備えても
良い。
【0069】上記構成によれば、ディスプレイ装置は、
画像表示素子の映像を、第1〜9の何れかの拡大用レン
ズで観察するようになっている。このようなディスプレ
イ装置の作用を拡大用レンズの構成の違いにより以下の
3つの場合に分けて説明する。
【0070】(1)平面上に複合レンズを並べた拡大用
レンズの場合 上記の拡大用レンズは、従来の同一倍率の単レンズルー
ペに比べ、画像表示素子とレンズとの間隔を短くするこ
とができるので、ディスプレイ装置の中の画像表示素子
の位置を観察者の眼に近づけることができる。これによ
り、装置の前後方向の厚みを軽減できると共に、光学機
構の重心も頭部に近づけることができる。この結果、上
記光学機構を頭部へ装着したときの疲労感を少なくする
ことができる。また、頭部への装着手段に対する負担も
減るため、上記装着手段の簡易化を図ることができる。
【0071】(2)球面上に複合レンズを並べた拡大用
レンズの場合 この拡大用レンズによれば、周辺での像の劣化がない広
視野映像が得られる。これにより、従来のレンズのよう
に広視野化のためにレンズ枚数を増やす必要がないの
で、広視野化を実現するためのディスプレイ装置の小
型、軽量化を図ることができる。
【0072】(3)円筒状に複合レンズアレイを並べた
拡大用レンズの場合 上記の拡大用レンズは、一次元の複合レンズアレイを画
面水平方向に円筒状に並べた拡大用レンズを使用すれ
ば、画面の水平方向の視野角を大きくすることができる
ので、シネマサイズのような、画面の水平方向に長い画
像を観察する場合に有効である。
【0073】また、レンズの物体面は円筒面であるの
で、一次元の画像表示素子を円筒上に並べたり、また平
面画像表示素子を円筒上に曲げるなどして物体面の曲面
化を図ることが容易にできる。
【0074】次に、本発明のディスプレイ装置について
説明する。
【0075】請求項1のディスプレイ装置は、上記の課
題を解決するために、画像を形成し、この画像を肉眼で
観察するための光学機構が、観察者の眼前に配置された
ディスプレイ装置において、上記光学機構は、画像表示
素子と、画像が投影されるスクリーンと、上記画像表示
素子上の画像を上記スクリーン上に投影する投影レンズ
と、スクリーン上に投影された画像の拡大像を肉眼で見
るための拡大用レンズとを少なくとも備えていることを
特徴としている。
【0076】上記拡大用レンズおよび投影レンズは、何
れも集光することのできる光学系であり、例えば凸レン
ズや複数枚のレンズの集合体、あるいは回折レンズ等を
用いれば良い。また、上記第1〜9の何れかの拡大用レ
ンズからなる複合レンズであっても良い。
【0077】また、スクリーンの投影面は、白色の散乱
面が望ましい。また、投影面の表面に反射制御のための
微細加工を施しても良く、このときの投影面の表面は鏡
面であっても良い。また、投影画像の輝度調整のため
に、投影面の反射率、あるいは散乱係数を投影面の場所
毎に変えても良い。
【0078】上記の請求項1の構成によれば、画像表示
素子の表示パターンをスクリーンに投影することによっ
て画像を形成し、そしてその画像を拡大用レンズを通し
て観察する。即ち、投影レンズで形成した画像を拡大用
レンズで見るという光学系を構成している。
【0079】ここで、拡大用レンズが湾曲収差をもつ場
合、投影面を湾曲化することで虚像の湾曲を平坦化する
ことができる。また、拡大用レンズが歪曲収差を持ち、
その歪みが糸巻き型の場合、投影レンズによって上記歪
みと逆の樽型の歪みをもつ画像を形成すると、上記歪み
を打ち消し合うことができる。
【0080】このようにして投影レンズや投影面の作用
によって、レンズ枚数を増やしたり、レンズの非球面化
を行うことなしに、拡大用レンズの諸収差を解消するこ
とができる。従って、拡大用レンズの薄型、軽量化、コ
ストダウン等が可能となり、さらにディスプレイ装置の
小型軽量化が可能となる。
【0081】さらに、スクリーンは、画像を投影し得る
ものであれば、薄板や、またディスプレイ装置の光学部
分を保持するためのハウジングの内壁を利用したもので
もよいので、これによっても、ディスプレイ装置の小
型、軽量、薄型化を図ることが可能となる。
【0082】請求項2のディスプレイ装置は、上記の課
題を解決するために、請求項1の構成に加えて、投影レ
ンズとスクリーンとの間に配置され、投影レンズを介し
た画像表示素子からの光を、偏向してスクリーン上で走
査して画像を形成する光路偏向手段を備えていることを
特徴としている。
【0083】上記光路偏光手段としては、ポリゴンミラ
ー等の回転多面鏡や、振動ミラー等を用いることが望ま
しい。回転多面鏡の場合は、ミラー動作の回転過程で光
路の角度を偏向し、また、振動ミラーの場合は、ミラー
動作の往復回転で光路の角度あるいは位置を変えること
で、スクリーンに画像を形成するようになっている。
【0084】また、光路偏向が一方向の場合、画像表示
素子としては、画素の配列が直線状に配置した一次元画
像表示素子を使用するのが望ましい。ここで、画素の配
列は一列であっても複数列であっても良い。また、千鳥
状配列でも良い。このとき、光路偏向動作に応じて、一
次元画像表示素子の表示パターンを変えることで、二次
元画像を形成するようになっている。
【0085】また、光路偏向が複数の方向に行える場
合、投影のための画像表示素子は点光源であっても構わ
ない。
【0086】また、投影のための光は外部から供給して
もよい。
【0087】また、投影像のカラー化のために、異なっ
た色の発光素子からなる複数の発光素子、あるいは発光
素子アレイを備えても良い。
【0088】上記の請求項2の構成によれば、ディスプ
レイ装置は、画像の一部分を画像表示する表示素子の表
示パターンをスクリーンに投影し、そのスクリーンに投
影された像を走査することによって画像を形成する。上
記走査は回転あるいは振動するミラーによる光路偏向手
段によって行う。そして、スクリーン上に形成された画
像を拡大用レンズを通して観察する。
【0089】これにより、上記構成のディスプレイ装置
は、従来にあるような、表示パターンからの直接光を網
膜上に結像させて走査する方式ではなく、投影面に結像
させて走査する方式であることが分かる。
【0090】従って、従来の方式による走査の回転中心
は眼の回旋点に置く必要があったが、本方式によれば、
走査の回転中心は光路偏向手段の回転中心に置いて良い
ので、無理なく広範囲にわたる走査が可能となる。ま
た、見かけの視野の広さは、走査範囲には依存せず、走
査によってできる投影面上の画像を見るための拡大用レ
ンズの見かけ視野に依存するので、走査によって見かけ
の視野が制限されることはない。
【0091】さらに、画像表示素子は一つあるいは一次
元の発光素子や光シャッター等でよいので、ディスプレ
イ装置の小型、軽量化を図ることができる。
【0092】請求項3のディスプレイ装置は、上記の課
題を解決するために、画像を形成し、この画像を肉眼で
観察するための光学機構が、観察者の眼前に配置された
ディスプレイ装置において、上記光学機構は、画像表示
素子と、画像が投影されるスクリーンと、上記画像表示
素子上の画像を上記スクリーン上に投影する投影レンズ
と、スクリーン上に投影された画像の拡大像を肉眼で見
るための拡大用レンズとを少なくとも備え、上記拡大用
レンズが、上記投影レンズからスクリーンに至る光路上
に配置されていることを特徴としている。
【0093】上記の請求項3の構成によれば、拡大用レ
ンズが、上記投影レンズからスクリーンに至る光路上に
配置されていることで、画像表示素子上の発光パターン
を投影レンズと拡大用レンズの二つのレンズを用いてス
クリーン上へ投影して画像を形成することができる。
【0094】このとき、投影レンズによる表示パターン
の結像位置は、スクリーン上の投影面上ではなく、投影
面上の画像の拡大用レンズによる虚像位置となるように
設定されている。こうすると表示パターンは、投影レン
ズと拡大用レンズの二つのレンズによってスクリーン上
に結像し、画像を形成する。そして、その画像を拡大用
レンズで見る。
【0095】したがって、画像を見る方向と、画像形成
のための投影方向とを、どちらもスクリーンの投影面の
正面から行うことができるので、画像を見る方向と投影
方向とが異なる場合に生じる画像の非対称な歪みを無く
すことができる。これにより、画像の非対象な歪みを補
正するための手段を設ける必要がなくなるので、装置の
簡素化を図ることができ、装置の小型化および製造に係
る費用の低減をも図ることができる。
【0096】また、拡大用レンズを用いて投影を行うの
で、拡大用レンズが投影のための光路をふさぐ問題を解
決することができる。そして、投影可能な範囲と画像を
見ることのできる範囲は、両方とも拡大用レンズの見か
け視野角に依存するので、拡大用レンズの見かけ視野を
広げることにより、その見かけ視野に対応した広い範囲
に画像を形成することができる。
【0097】請求項4のディスプレイ装置は、上記の課
題を解決するために、請求項3の構成に加えて、光学機
構には、画像表示素子からスクリーンに至る第1光路
と、スクリーンから観察者の眼に至る第2光路とを分離
する光路分離手段が設けられていることを特徴としてい
る。
【0098】上記光路分離手段としては、価格および取
り扱い易さ等からハーフミラーを使用することが望まし
く、このハーフミラーとしては、ある程度実用的な光の
透過率と反射率とを有することが望ましい。
【0099】上記の請求項4の構成によれば、拡大用レ
ンズと眼との間に光路分離手段を備え、投影のための第
1光路と画像を見るための第2光路との分離を行う。こ
こで、第1光路は、画像表示素子から始まり、順に投影
レンズ、光路分離手段、拡大用レンズを通りスクリーン
へ至る光路である。また、第2光路は、スクリーンから
始まり、順に拡大用レンズ、光路分離手段を通り眼へ至
る光路である。このとき、光路分離手段としてハーフミ
ラーを使用した場合、第1光路はハーフミラーによって
90度に折り曲げてからスクリーンへ向かうようにす
る。また、第2光路はハーフミラーを透過するようにす
る。このようにして、第1光路と第2光路とがハーフミ
ラーからスクリーンの間だけ一致あるいは近接するよう
にする。
【0100】画像の投影と観察をスクリーンの投影面側
の正面から行うことにより、画像の非対称な歪みをなく
すことができるが、そのためには、第1光路と第2光路
とは近接あるいは一致させることが必要となる。
【0101】したがって、上記のように、拡大用レンズ
と眼との間に光路分離手段を備え、投影のための第1光
路と画像を見るための第2光路との分離を行うことで、
第1光路と第2光路とが部分的に一致しても、画像表示
素子や投影レンズが眼に重ならないようになっている。
【0102】請求項5のディスプレイ装置は、上記の課
題を解決するために、請求項4の構成に加えて、光路分
離手段に、偏光素子を使用することを特徴としている。
【0103】上記偏光素子は、光の偏光状態によって反
射率や透過率が変化するものや、光の偏光状態を変化さ
せるものであり、例えば移相子、旋光子、偏光子、偏光
分離素子等を用いることが望ましい。上記の各偏光素子
は、結晶体や高分子シート、あるいは薄膜等で構成され
る。あるいは、回折素子と組み合わせて構成しても良
い。
【0104】上記の請求項5の構成によれば、入射する
光線の偏光状態によって反射と透過の割合が変化する偏
光素子を用いることにより、画像表示素子の表示面から
スクリーンへ至る光路とスクリーンから瞳へ至る光路と
の分離に伴う光量低下を抑えることができる。
【0105】請求項6のディスプレイ装置は、上記の課
題を解決するために、請求項3、4または5の構成に加
えて、投影レンズと拡大用レンズとの間に配置され、投
影レンズを介した画像表示素子からの光を、偏向してス
クリーン上で走査して画像を形成する光路偏向手段を備
えていることを特徴としている。
【0106】上記の光路偏光手段による画像表示素子か
らスクリーンに至る第1光路の偏向中心あるいはそのハ
ーフミラーによる虚像と、スクリーンから観察者の眼に
至る第2光路の収束点とを略一致させることが望まし
い。
【0107】上記の請求項6の構成によれば、画像の一
部分を表示する画像表示素子の表示パターンを投影レン
ズと拡大用レンズを用いてスクリーンに投影する。そし
て、スクリーン上における投影像を走査することによっ
て画像を形成する。上記走査は回転あるいは振動するミ
ラーによる光路偏向手段によって行う。そして、スクリ
ーン上に形成された画像を拡大用レンズを通して観察す
る。
【0108】走査によってつくられる投影像の結像位置
は、光路偏向を行うミラーをほぼ中心とする回転体上に
あるので、スクリーンの投影面がこれと一致しない場
合、結像位置のずれを補正するために補正レンズが必要
である。
【0109】しかしながら、上記構成によれば、光路偏
向手段による第1光路の偏向中心あるいはその光路分離
手段としてのハーフミラーによる虚像と、第2光路の収
束点とを略一致させることで、光学系の可逆性から、投
影像の結像位置とスクリーンの投影面とが一致する。こ
のように、拡大用レンズは補正レンズの役割も果たすこ
とができるので、結像位置のずれを補正するために補正
レンズが不要となり、装置の小型軽量化を図ることがで
きる。
【0110】請求項7のディスプレイ装置は、上記の課
題を解決するために、請求項3、4、5または6の構成
に加えて、スクリーンの投影面が鏡面状に形成されると
共に、このスクリーンの投影面上において、画像表示素
子からスクリーンに至る第1光路の入射光と、スクリー
ンから観察者の眼に至る第2光路の反射光とが、スネル
の反射法則を満たすように、上記の第1および第2光路
が設定されていることを特徴としている。
【0111】上記の請求項7の構成によれば、画像表示
素子から投影レンズ、そして拡大用レンズを通りスクリ
ーンへ至る光線はスクリーンの投影面において反射し、
上記拡大用レンズを通って眼へ至る。このときの光線の
反射はスネルの法則に従う。つまり、眼には画像表示素
子からの拡散光ではなく、直接光が入射するので、より
明るい映像を得ることができる。
【0112】また、画像表示素子からの光はスクリーン
上で結像するから、スクリーンが曲面であっても、拡大
用レンズで見る像(虚像)の倍率は変わらない。
【0113】また、スクリーンは鏡面であることが好ま
しいが、拡散面であってもよい。このとき眼には、スク
リーン上の拡散光の中でも光のパワーが集中する正反射
光が入射するので、明るい像を得ることができる。
【0114】請求項8のディスプレイ装置は、上記の課
題を解決するために、請求項1〜7の何れかの構成に加
えて、拡大用レンズとして、複数の負レンズの主面が同
一平面上に配置された二次元負レンズアレイと、複数の
正レンズの主面が同一平面上に配置された二次元正レン
ズアレイとが、それぞれの負レンズと正レンズとで複合
レンズを構成するように対向配置された複合レンズアレ
イを使用することを特徴としている。
【0115】上記の請求項8の構成によれば、スクリー
ン上の画像をレンズで拡大して見るディスプレイ装置に
おいて、曲面形状の投影面に画像を形成することによっ
て容易に曲面画像を得ることができるので、拡大用レン
ズとして曲面あるいは円筒上に複合レンズを並べた複合
レンズアレイで観察するための物体面を構成することが
容易になる。
【0116】請求項9のディスプレイ装置は、上記の課
題を解決するために、請求項8の構成に加えて、複合レ
ンズアレイは、観察者の眼に最も近い複合レンズ同士の
レンズの主点間隔が、画像表示素子上の1点からこの複
合レンズアレイへ至る光束の径の半分以下に設定されて
いることを特徴としている。
【0117】上記の請求項9の構成によれば、画像表示
素子の表示パターンを投影レンズと複合レンズアレイに
よってスクリーンに投影することによって画像を形成す
る。画像表示素子からの光は、投影レンズによって、拡
大用レンズの虚像ができる位置で結像するような光束と
なって複合レンズアレイに入る。このとき、上記光束の
全てが複合レンズのレンズ間の隙間や、遮光枠に当たる
と、画像表示素子の光がスクリーンまで達しないという
問題が生じる。
【0118】そこで、複合レンズアレイは、観察者の眼
に最も近い複合レンズ同士のレンズ間隔が、画像表示素
子上の1点からこの複合レンズアレイへ至る光束の径の
半分以下に設定されていることで、上記光束は少なくと
も一つの複合レンズを通って投影面に達することができ
る。
【0119】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明のディス
プレイ装置に用いることができる拡大用レンズについ
て、実施の一形態として、図1ないし図9に基づいて説
明すれば、以下の通りである。
【0120】図1(a)に示すように、本実施の形態に
係る拡大用レンズとしての複合レンズアレイ1は、樹脂
成形によってそれぞれ作製された二次元負レンズアレイ
3と二次元正レンズアレイ5を、遮光性の部材としての
遮光枠4を挟むように配置した構成となっている。
【0121】二次元負レンズアレイ3は、図1(b)に
示すように、直径(口径)約1mmの複数の負レンズ9
…が平面状に形成された構成となっており、また、二次
元正レンズアレイ5は、直径約0.9mmの複数の正レ
ンズ10…が平面状に形成された構成となっている。
【0122】ここで、上記負レンズ9は、発散系の光学
系部材であり、本実施の形態では肉厚が薄い両凹の単レ
ンズを用いて説明し、また、正レンズ10は、収斂系の
光学系部材であり、本実施の形態では肉厚の薄い両凸の
単レンズを用いて説明する。
【0123】遮光枠4は、カーボンブラック等の黒色顔
料によって着色された樹脂からなり、二次元負レンズア
レイ3側の面と二次元正レンズアレイ5側の面とを貫通
する複数の開口部4a…が設けられている。この開口部
4aは、二次元負レンズアレイ3側が負レンズ9の直径
と略同一の直径を有し、二次元正レンズアレイ5側が正
レンズ10の直径と略同一の直径を有する円筒状をな
し、一対の負レンズ9と正レンズ10との間でそれぞれ
貫通するように形成されている。
【0124】つまり、上記一対の負レンズ9・正レンズ
10と遮光枠4の開口部4aとで1つの複合レンズ2を
構成している。即ち、上記複合レンズアレイ1は、複数
の複合レンズ2が平面状に配設された構成となってい
る。また、複合レンズ2は、負レンズ9側から入射され
た像を正レンズ10で拡大して観察するものである。
【0125】したがって、上記複合レンズ2は、平面状
に隣接して配置されているにも関わらず、上記遮光枠4
によって、隣接する複合レンズ2からの入射光の影響を
受けないようになっている。
【0126】即ち、上記複合レンズアレイ1は、複数の
負レンズ9…の主面が同一平面上に配置された二次元負
レンズアレイ3と、複数の正レンズ10…の主面が同一
平面上に配置された二次元正レンズアレイ5とが、それ
ぞれの負レンズ9と正レンズと10で複合レンズ2を構
成するように対向配置された構成となっている。
【0127】上記二次元負レンズアレイ3および二次元
正レンズアレイ5は、上記したように樹脂成形によって
得られるが、使用される樹脂は、主にメタクリル樹脂か
らなり、射出成形法、トランスファ成形法等によって所
望する形状に成形される。
【0128】レンズとしてメタクリル樹脂を使用する場
合、アクリル樹脂を用いることが望ましい。これは、ア
クリル樹脂は、光線透過率が高く、可視部波長の全般に
わたって光の透過率が均一であるため、透明性の点で、
あらゆる樹脂の中で最も優れているためである。また、
アクリル樹脂は、ガラスに比べて比重が約半分であるの
で、二次元負レンズアレイ3および二次元正レンズアレ
イ5の軽量化を容易に図れる。
【0129】上記遮光枠4は、上記したようにカーボン
ブラック等の黒色顔料によって着色された樹脂からなる
が、使用される樹脂としては、二次元負レンズアレイ3
および二次元正レンズアレイ5との接着性の良い樹脂が
望ましい。また、遮光枠4には、弾性のない堅い樹脂を
使用することが望ましい。これは、負レンズ9と正レン
ズ10とで複合レンズ2を構成する場合、負レンズ9と
正レンズ10との距離を一定に保つ必要があるためであ
る。
【0130】このような樹脂としては、二次元負レンズ
アレイ3および二次元正レンズアレイ5と同材料を用い
るのが良く、本実施の形態では、アクリル樹脂を使用す
る。即ち、遮光枠4は、アクリル樹脂に、このアクリル
樹脂とは相溶しないカーボンブラックを含ませて、射出
成形法等の樹脂成形方法によって形成される。また、ア
クリル樹脂は、弾性がほとんどなく堅いので、遮光枠4
にアクリル樹脂を使用すれば、負レンズ9と正レンズ1
0との距離を一定に保つことができる。
【0131】また、上記遮光枠4に使用する材料として
は、上記のように負レンズ9と正レンズ10との距離を
一定に保つものであれば、金属や木材でも良い。しかし
ながら、金属の場合、樹脂に比べて複合レンズアレイ1
全体が重くなるという問題が生じる。また、木材の場
合、金属よりも軽いが、樹脂との接着、加工面で樹脂同
士に比べれば相性が悪いという問題が生じる。
【0132】以上のことから、遮光枠4に使用する材料
としては、二次元負レンズアレイ3および二次元正レン
ズアレイ5との接着、加工面での相性の良さから二次元
負レンズアレイ3および二次元正レンズアレイ5に使用
される材料と同じ材料、上記の場合ではアクリル樹脂を
使用することが望ましい。尚、遮光枠4に使用する樹脂
としては、アクリル樹脂に限定するものではなく、弾性
がなく堅い樹脂で、且つ二次元負レンズアレイ3および
二次元正レンズアレイ5との加工面での相性が良い樹脂
であれば、他の樹脂であっても良い。尚、上記の遮光枠
4にアクリル樹脂を用いる他に、ポリアセタールやポリ
アミド等のエンジニアリングプラスチック、ポリカーボ
ネイト樹脂、エポキシ樹脂等を用いても良い。
【0133】上記したように、負レンズ9は発散系の光
学系部材であり、正レンズ10は収斂系の光学系部材で
ある。また、本実施の形態では、説明の便宜上、図1に
示すように、負レンズ9には一枚の凹レンズを、正レン
ズ10には一枚の凸レンズを用いて説明する。しかしな
がら、各レンズは、それぞれ複数枚のレンズの集合であ
ってもかまわない。つまり、複数のレンズから発散系の
レンズを構成して良いし、複数のレンズから収斂系のレ
ンズを構成ても良い。また、負レンズ9および正レンズ
10に、凹レンズおよび凸レンズの代わりに、グレーテ
ィングレンズ等の回折型レンズを用いてもかまわない。
【0134】また、二次元レンズアレイは樹脂成形によ
って作製したが、他の方法として切削によるレンズ形状
の加工あるいは基板表面をイオン交換することによる屈
折率分布型レンズの作製等が考えられる。また、平面基
板上にレンズを貼り付けて二次元レンズアレイを作って
も良く、複合レンズ2を円筒部が遮光性の鏡筒に納め、
該鏡筒を平面状に並べる方法によって複合レンズアレイ
1を構成しても良い。
【0135】上記複合レンズアレイ1は、図2に示すよ
うに、画像表示素子6と観察者の眼7との間に配置さ
れ、画像表示素子6の拡大像を眼7に結像するようにな
っている。このとき、複合レンズアレイ1は、画像表示
素子6の中心位置Xと眼7の瞳位置Eとを結ぶ直線(光
軸8)上に、二次元負レンズアレイ3の中心位置H1 と
二次元正レンズアレイ5の中心位置H2 とが位置するよ
うに配置されている。
【0136】つまり、複合レンズアレイ1の二次元負レ
ンズアレイ3および二次元正レンズアレイ5のレンズ面
は、画像表示素子6の画像形成面と略平行状態となって
おり、且つ画像表示素子6の形成画像が複合レンズ2…
を介してそれぞれ眼7の瞳位置Eに到達するように、画
像表示素子6、複合レンズアレイ1および眼7が配置さ
れるようになっている。
【0137】このとき、画像表示素子6の中心位置Xと
二次元負レンズアレイ3の中心位置H1 との距離So、
二次元負レンズアレイ3の中心位置H1 と二次元正レン
ズアレイ5の中心位置H2 との距離(複合レンズアレイ
1の厚み)Sd、二次元正レンズアレイ5の中心位置H
2 と眼7の瞳位置Eとの距離Seを調節することで、観
察者は、複合レンズアレイ1を介して画像表示素子6に
形成された画像の拡大像が観察できる。
【0138】ここで、複合レンズアレイ1の複合レンズ
2の物像関係について、図3を参照しながら以下に説明
する。尚、負レンズ9は1枚の薄肉凹レンズ、正レンズ
10は1枚の薄肉凸レンズとして説明する。また、説明
の便宜上、図中遮光枠4の開口部4aは省略している。
さらに、複合レンズ2は、負レンズ9の主点14と正レ
ンズ10の主点15が光軸8上に来るように配置されて
いる。
【0139】複合レンズ2は、上述したように、負レン
ズ9と正レンズ10の組み合わせであるとともに、複合
レンズアレイ1の基本構成単位である。複合レンズ2
は、それ単独で物体の拡大像を肉眼で見ることのできる
光学系部材でもある。
【0140】したがって、この複合レンズ2によれば、
図3に示すように、負レンズ9の位置H1からSo(<
0)だけ離れた物***置Xo上のある点(以下、物点P
oと称する)に対し、正レンズ10の位置H2からSi
(<0)だけ離れた位置Xi上において虚像Piができ
る。この虚像Piは、物点Poに対する負レンズ9の虚
像(以下中間像Piiと称する)を、負レンズ9の位置H
1からSd(>0)だけ離れた位置H2にある正レンズ
10を通して、この正レンズ10からSe(>0)だけ
離れた位置Xeから見たときに得られる像である。
【0141】次に、上記二次元負レンズアレイ3と二次
元正レンズアレイ5の負レンズ9…・正レンズ10…の
配置について図4を参照しながら以下に説明する。
【0142】任意の複合レンズ2を構成する一組の負レ
ンズ9と正レンズ10について、負レンズ9の主点14
と正レンズ10の主点15とを結ぶ直線13が、二次元
正レンズアレイ5の主面77からScだけ離れた光軸8
上の点Xcを通るように各レンズを配置する。このと
き、二次元負レンズアレイ3の各負レンズ9…の主点1
4…間隔は、二次元正レンズアレイ5の各正レンズ10
…の主点15…間隔に比べて大きくなる。これは、負レ
ンズ9の径が正レンズ10よりも大きいためである。
【0143】ここで、視度調整は、像面12の位置Xi
を前後させることで行う。即ち、視度調整は、二次元正
レンズアレイ5の主面77から点Xcまでの距離Sc
と、二次元負レンズアレイ3の主面78から物体面11
の位置Xoまでの距離Soの値を変えることで行う。二
次元負レンズアレイ3における主点14間隔と、二次元
正レンズアレイ5に主点15間隔がそれぞれ固定されて
いれば、二次元レンズアレイの間隔Sdを変えるとSc
の値が変わるので、視度調整は物体面11の位置Xoと
二次元負レンズアレイ3の位置H1の移動で行うことが
できる。
【0144】また、上記二次元負レンズアレイ3および
二次元正レンズアレイ5は、平面基板上に複数の負レン
ズ9…および正レンズ10…を形成した構成であるの
で、平面基板上における各レンズ9・10は固定される
ので、複合レンズアレイ1を構成するときの位置合わせ
が容易となる。
【0145】さらに、平面基板上における各レンズ9・
10は固定されるので、視度調整は二次元負レンズアレ
イ3と二次元正レンズアレイ5との間隔を変化させるこ
とによって行うことができる。したがって、複合レンズ
アレイ1の視度調整を容易に行うことができる。
【0146】また、上記二次元負レンズアレイ3および
二次元正レンズアレイ5は、平板状であるので、二次元
負レンズアレイ3と二次元正レンズアレイ5との間に挟
持される遮光枠4の形状を調整することで、二次元負レ
ンズアレイ3と二次元正レンズアレイ5とを平行に保持
することが容易となる。
【0147】次いで、複合レンズアレイ1の物像関係に
ついて図5を参照しながら以下に説明する。
【0148】各複合レンズ2による物点Poの中間像P
iiは、図5に示すように、複合レンズ2の数だけ生成さ
れる。ここで、例えば複合レンズ2aの中間像Piiは、
添字の一致する中間像Piiaである。これら中間像Pii
をそれぞれに対応する複合レンズ2の正レンズ10を通
して見たときにできる像Piは、近軸理論のもとで一致
する。従って、物点Poから出た光が複数の複合レンズ
2を通って眼7に入射したとしても、その光は眼7の網
膜上の一点に集光する。
【0149】つまり、観察する物体上の一つの点から出
た光は、複数の複合レンズ2…を通って眼7に入る。そ
して、各複合レンズ2の負レンズ9と正レンズ10のそ
れぞれの主点14・15を結ぶ直線13が二次元正レン
ズアレイ5からScだけ離れた点Xcで交わるように、
複合レンズ2を平面上に並べたとき、近軸理論下で、複
合レンズ2によってできるそれぞれの像は一致したよう
に見える。即ち、観察する物体の一点からでた光束が複
数の複合レンズ2…を通って眼7に入射しても、前記光
束は網膜上において一点に集光する。よって、上記複合
レンズアレイ1は、物体と像とが一対一に対応するレン
ズであることが分かる。
【0150】また、レンズをアレイ化するすることによ
って、個々のレンズの厚みを減らすことができるので、
同一の焦点距離を有する単レンズよりもレンズの薄型軽
量化を図ることができる。この理由を以下に説明する。
一般にレンズ径φ2、レンズの焦点距離f0、レンズの屈
折率n、レンズ厚d0とすると、以下の式(2)が成り
立つ。
【0151】
【数2】
【0152】上記式(2)より、レンズ径φ2がに比例
してレンズ厚d0が増大することが分かる。これによ
り、同一の焦点距離f0を有するレンズであれば、レン
ズ径φ2の小さい方がレンズ厚d0は小さくなる。したが
って、小さいレンズ径φ2を複数集合させたレンズをア
レイ状にして単レンズのレンズ径φ2と同じ大きさにす
れば、上記したように同一の焦点距離を有する単レンズ
よりもレンズの薄型軽量化を図ることができることが分
かる。
【0153】さらに、広視野化に伴う像の歪みや湾曲
は、例えば、レンズアレイの周辺部分の複合レンズ2の
焦点距離(負レンズ9と正レンズ10の合成焦点距離)
を変えることで除去することができる。
【0154】このように個々の複合レンズ2の諸特性を
変化させることによって像の補正が可能となる。
【0155】ここで、それぞれの複合レンズ2を構成す
る負レンズ9と正レンズ10の主点14・15を結ぶ直
線13の交点と光軸8上の点Xcが一致しないとき、各
複合レンズ2の像は一致せずに分散する。しかしなが
ら、像が分散したとしても、それが肉眼で認識できなけ
れば支障はない。なぜなら、各複合レンズ2による像P
iのそれぞれの位置のばらつきが眼7の分解能以下であ
れば、眼7は複数の像Piを一点であると認識するから
である。従って、負レンズ9の主点14と正レンズ10
の主点15を結ぶ直線13の交点が厳密に点Xcに一致
しなくてもよいし、また各直線13…が一点で交わらな
くてもよい。また、像の分散が前記より大きくても、観
察する物体の画質によっては、像が分散していることが
わからない場合もある。これらの事情から、複合レンズ
2の並べ方において、実用上は前記直線13の交点と点
Xcが厳密に一致しなくても差し支えない。
【0156】ここで、本複合レンズアレイ1における結
像関係について、図6を参照しながら以下に説明する。
【0157】先ず、図6で使用する記号について以下に
説明する。
【0158】Po:物点(見るべき対象のある一点) Pi:像点(複合レンズアレイ1によってできる物点の
虚像) H1:第1の負レンズの主点 H2:第1の正レンズの主点 H1a:第2の負レンズの主点 H2a:第2の正レンズの主点 Pii:第1の中間像(第1の負レンズによってできる物
点の虚像) Piia :第2の中間像(第2の負レンズによってできる
物点の虚像) F1i:第1の負レンズの像側焦点位置 F1o:第1の負レンズの物側焦点位置 F2o:第1の正レンズの物側焦点位置 F2i:第1の正レンズの像側焦点位置 F1ia :第2の負レンズの像側焦点位置 Xi :像点の光軸8上の位置 Xo :物点の光軸8上の位置 Xii:中間像の光軸8上の位置 Xc :第2の負レンズの主点と第2の正レンズの主点と
を結ぶ直線の光軸8上での交点 Q:距離PoXo=距離QH1なる点 So(<0):物体距離(XoH1) Si(<0):像距離(XiH2) Sii(<0):中間像距離(XiiH1) f1(<0):第1及び第2の負レンズの焦点距離(F
1iH1、H1F1o) f2(>0):第1及び第2の正レンズの焦点距離(H
2F2o、F2iH2) Sd(>0):負レンズの主面と正レンズの主面との距
離(H2H1) Sc(>0):距離XcH2 以上の記号は、図6に記載しているが、図が煩雑になる
のを防止するために、光軸8に垂直な方向の距離につい
ては、以下に定義するのみとする。
【0159】Yi:像点高さ(PiXi) Yo:物点高さ(PoXo) Yii:第1の中間像高さ(PiiXii) Yiia :第2の中間像高さ(Piia Xii) Yh1:負レンズアレイに関する第1の負レンズと第2の
負レンズとの間隔(以下、負レンズ間隔と称する)(H
1aH1) Yh2:正レンズアレイに関する第1の正レンズと第2の
正レンズとの間隔(以下、正レンズ間隔と称する)(H
2aH2) 図6において、点H1、H1aを含み光軸8に垂直な面は
負レンズに共通な主面78であり、点H2、H2aを含み
光軸8に垂直な面は正レンズに共通な主面77である。
【0160】また、説明の便宜上、第1の負レンズ、正
レンズのそれぞれの主点H1、H2を光軸8上に設定し
た。この第1の負レンズおよび第1の正レンズの組み合
わせを第1の複合レンズとする。また、第2の負レン
ズ、正レンズは、光軸8から離れたところに設定した。
特に、Yh2=Yiia となるように正レンズ間隔と第2の
中間像の高さとを一致させた。即ち、第2の正レンズの
物点であるPiia を第2の正レンズの光軸79上に定め
たことになる。
【0161】従って、第2の正レンズの像点であるPi
も第2の正レンズの光軸79上に現れるので、PiとP
iia とH2aとが一直線上に並ぶことになる。これによ
り、結像関係を示す関係式の導出が簡単になる。
【0162】ここで、主点を基準としてレンズの一般的
な関係式を記す。先ず、負レンズについて、負レンズに
着目したときの物点はPo、そして像点はPiiあるいは
Piia であるので、以下の式(3)が成り立つ。
【0163】
【数3】
【0164】次に、正レンズについて、正レンズに着目
したときの物点はPiiあるいはPiia 、そして像点は共
通してPiであるので、以下の式(4)が成り立つ。
【0165】
【数4】
【0166】次に、上記のレンズの一般的な関係式に基
づいて、複合レンズアレイ1における結像関係を示す関
係式の導出について、以下に説明する。
【0167】先ず、第2の正レンズに注目すると、物点
Poから発せられた光線は第2の正レンズの像側(図
中、正レンズの主面77よりも右側)において、あたか
もPiから光線が発せられたように振る舞う。このと
き、Piと第2の正レンズの主点H2aを結ぶラインは、
第2の正レンズの光軸79に平行である。したがって、
Poからの光線は前記の主点H2aにおいて光軸79と平
行に進む。
【0168】次に、第1の正レンズに注目すると、その
物点はPiiに対応している。近軸理論における正レンズ
の結像に関するルールでは、レンズの物側焦点位置から
発せられた光線はレンズの屈折作用により、そのレンズ
の像側において光軸8と平行な光線となる。図中第1の
正レンズの物側焦点位置はF1iである。F1iからその第
1の正レンズの物点Piiを結ぶラインの光線も前述のル
ールにより、第1の正レンズの主面77より右側で光軸
8と平行な光線となる。
【0169】以上のことから、F1iとPiiとを結ぶライ
ンの延長にH2aがあると、Poからの光は、H2aから光
軸8に平行な光線となる。即ち、H2aにおいて、第1の
正レンズを通っても第2の正レンズを通っても、結局光
線は同一のものとなる。これは、第1の正レンズの物点
Piiに対する像点と第2の正レンズの物点Piia に対す
る像点は共にPiであり共通であることを意味する。つ
まり、どちらの正レンズを通して見ても、等しい場所に
像(Pi)が見えることになる。
【0170】このようにして正レンズに関する条件とし
て、F1iとPiiとを結ぶラインの延長がH2aを通るとい
うことが分かる。
【0171】上記した条件から関係式を導くために、図
中の3点F2o、H2a、H2からなる三角形に着目する。
比例関係から、以下の式(5)が得られる。
【0172】
【数5】
【0173】次に、負レンズに注目すると、近軸理論に
おける負レンズの結像に関するルールでは、負レンズの
像側焦点位置と負レンズの像とを結ぶラインの負レンズ
との交点Qの高さは物体Poの高さに等しい。従って、
3点F1i、Q、H1かなる三角形と3点F1ia 、Q、H
1aからなる三角形とに着目して比例関係から関係式
(6)(7)が得られる。
【0174】
【数6】
【0175】
【数7】
【0176】上記式(5)(6)(7)から、以下の式
(8)が得られる。
【0177】
【数8】
【0178】また、上記式(3)から、以下の式(9)
が得られる。
【0179】
【数9】
【0180】次に、光軸8上の点Xcを求めるために、
3点H1、H1a、Xcからなる三角形に着目し、この三
角形からの比例関係と上記(式(8)(9)から、以下
の式(10)が得られる。
【0181】
【数10】
【0182】上記式(10)がレンズ配置を決定するた
めの条件式である。
【0183】ここで、負レンズの主点H1から虚像Pi
(光軸8上のXi)までの距離Siは、以下の式(1
1)により得られる。
【0184】
【数11】
【0185】また、Si=−∞のとき、上記式(11)
から以下の関係式(12)を求める。このとき、Xii=
F2oを用いて、物点の光軸8上の位置を決定する。
【0186】
【数12】
【0187】一般に、最も観察者に近い二次元レンズア
レイを形成するレンズ同士の間隔が肉眼の瞳径により、
二次元レンズアレイを形成するレンズ同士の間隙や遮光
枠により映像の見えない部分が発生する。
【0188】このような映像の見えない部分は、以下の
場合にあらわれる。物体のある一点から出た光束は、隣
り合ういくつかの複合レンズ2…が受け持ち、そしてそ
れぞれの複合レンズ2から観察者の側にほぼ平行な光束
として出射される。このとき二次元レンズアレイ3のレ
ンズ間の間隙や遮光枠が影となり、観察者側では光の届
く所と届かない所ができる。そして、前記影が肉眼の瞳
を覆うとき、前記物体上の一点は見えなくなる。従って
全体としては、映像の一部が隠されたように見える。
【0189】これを防ぐには、観察者の瞳が前記影以上
の大きさであればよい。そうすれば複合レンズから来る
光束の少なくとも一つを瞳に入射させることができる。
ここで隣り合う複合レンズからでる光束間隙は、最大で
も観察者に最も近い二次元レンズアレイのレンズ間隔以
下である。従って、前記レンズ間隔を観察者の瞳の半分
以下とすれば、瞳には一本以上の光束が入射し、映像が
部分的に見えなくなるという問題を解消することができ
る。
【0190】ここで、上記の複合レンズアレイ1におい
て、物点から像側(観察者側)へ至る光の光束について
図7を参照しながら以下に説明する。尚、像側における
光束の収束点は像Piの位置にある。また、各複合レン
ズ2a、2b…を通る光束は光束19a、19b…のよ
うに、複合レンズ2の添字と光束19の添字を一致して
表示している。ここで、複合レンズ2eを通る光束が存
在しないのは、中間像Piieを複合レンズ2eの正レン
ズ10eから見たとき、遮光枠4で遮られるためであ
る。
【0191】このように物点Poからの光束19は、図
7に示すように、遮光枠4や二次元レンズアレイ内のレ
ンズ間の隙間等で遮られるため、離散的になる。光束と
他の光束との隙間に眼7の瞳がある場合、物点Poを見
ることができない。このとき物体面11全体を見たと
き、至る所に像の欠落、あるいは影があるように見える
という問題が生じる。この問題を解決するには、隣り合
う複合レンズ2からの光束のうち、少なくともどちらか
の光束が瞳に入射するよう、光束とその隣の光束との間
隔を狭めればよい。光束とその隣の光束との間隔は、大
きくても、正レンズ10の主点15間隔の2倍にすれば
良い。従って、主点15間隔が瞳径の半分以下となるよ
うに正レンズ10の主点15間隔を定めれば良いことに
なる。
【0192】上記の構成において、本実施の形態におけ
る複合レンズアレイ1を構成する複合レンズ2は、負レ
ンズ9による像(虚像)を正レンズ10によって拡大し
た像(虚像)として見るための光学系部材である。即
ち、観察する物体からの光は複合レンズ2の負レンズ9
に入り、正レンズ10から出て眼7に至る。この複合レ
ンズアレイ1は、従来の同一倍率の単一レンズルーペに
比べて、レンズと眼との距離は変わらず、物体とレンズ
との距離を短くすることができる。
【0193】ここで、レンズと眼との間隔について、以
下に説明すると共に、図8を参照しながら、複合レンズ
2は、従来の同一倍率の単一レンズルーペに比べて、レ
ンズと眼との距離は変わらず、物体とレンズとの距離を
短くすることができる点について説明する。
【0194】始めに、一般的な単レンズにおけるレンズ
倍率を定義する。一般にレンズの倍率は、像Piが無限
遠方にあるとき、そのレンズの像側焦点位置に眼を置い
たときに定められ、以下の式(13)で定義される。こ
こで、レンズの倍率をm、見るべき物体上のある点Pか
ら出た光線のレンズ像側での光軸に対する進行角度を
t、上記点Pをレンズが無い状態で明視距離250mm
だけ離して見たときの点Pと眼とを結ぶラインと光軸と
のなす角度をuとする。
【0195】
【数13】
【0196】上記式(13)から、焦点距離fの正レン
ズの倍率mは、明視距離250mmを用いて、以下の式
(14)で表すことができる。
【0197】
【数14】
【0198】また、眼は、レンズの像側焦点位置に定め
るので、レンズとの距離がfとなる。また、レンズ倍率
の定義より、レンズによってできる像を無限遠方上に定
めているので、物体とレンズとの距離もfとなる。この
とき、物体からの光線は、レンズにはいるまでは光軸と
平行に進む。
【0199】次に、図8を用いて、本実施の形態におけ
る複合レンズアレイ1での倍率の定義について説明す
る。この場合も、像Piを無限遠方上に置いた場合で考
える。即ち、Si=−∞である。このときの正レンズ1
0の像側(正レンズ10の主面77の右側)での光線の
進行角tは、以下の式(15)で表される。
【0200】
【数15】
【0201】この場合、眼の位置は、従来のレンズと同
じように物点Poからの光が光軸8と平行になるような
光線が像側において光軸8と交わる点に眼を置くように
する。このときの眼の位置が図中点Xeである。正レン
ズ10の主面77から点Xeまでの距離はSeである。
これが、単レンズの焦点距離fに対応する。この単レン
ズでは、物体とレンズとの距離もfであったが、本複合
レンズアレイ1ではSeの出発点である主面77の光軸
8に交わる点H2と、物点Poから光軸8に垂直に下ろ
した点Xoとの距離(Sd−So)である。
【0202】よって、上記のSd−SoがSeよりも短
ければ単レンズの場合よりも物体とレンズとの距離が短
くなっていることが言える。本複合レンズアレイ1で
は、Sd−SoがSeよりも短くなることについて以下
に説明する。
【0203】上記Seは、図8における比例関係から、
以下の式(16)で表される。
【0204】
【数16】
【0205】一方、Siを無限遠方に設定したとき、即
ちSi=−∞のとき、Soは、前記式(12)より、以
下の式(17)で表される。
【0206】
【数17】
【0207】上記の式(17)より、Sdは、以下の式
(18)で表される。
【0208】
【数18】
【0209】上記の式(16)、(17)、(18)か
らSe−(Sd−So)>0を、以下の式(19)によ
り証明する。
【0210】
【数19】
【0211】ここで、f2>0、f1<0、So<0であ
るので、f2・So2>0、So・f 1・f2>0、So2
>0、f1 2>0、So・f1>0となる。よって、Se
−(Sd−So)>0となる。
【0212】以上のことから、複合レンズアレイ1は、
従来の同一倍率の単一レンズルーペに比べて、レンズと
眼との距離は変わらず、物体とレンズとの距離を短くす
ることができることが分かる。
【0213】また、レンズと眼との間隔は、見やすさの
点からある程度確保することが望ましい。例えば眼鏡を
かけたまま観察する場合はレンズと眼との間隔の広さが
必要となる。しかし、物体面とレンズとの間隔は短い方
が小型化の点から有利である。従って、本実施の形態に
おける複合レンズアレイ1は、レンズと眼との間隔を保
ちつつ、物体とレンズとの間隔を従来レンズに比べ短縮
することができるため、光学系の短縮と、見やすさを兼
ね備えた光学系であるといえる。
【0214】また、本複合レンズアレイ1は、従来の同
一倍率の単レンズルーペに比べ、画像表示素子6とレン
ズとの間隔が短いので、複合レンズアレイ1を頭部等の
身体の一部に装着して、テレビやビデオ映像を鑑賞する
個人用途の携帯型ディスプレイ装置に適用した場合、デ
ィスプレイ装置の中の画像表示素子6の位置を観察者の
眼に近づけることができる。また、装置の重心も頭部に
近づけることができる。その結果、前記装置を頭部へ装
着したときの疲労感を少なくすることができる。また頭
部への装着手段に対する負担も減るため、前記装着手段
の簡易化を図ることができる。
【0215】尚、本実施の形態では、負レンズ9および
正レンズ10に薄肉レンズを使用して説明したが、本発
明は、これに限定するものではなく、負レンズ9および
正レンズ10ともに厚肉レンズを使用した場合にも適用
することができる。この場合、図9に示すように、各レ
ンズの主点を像側と物側との2点にすると共に、各レン
ズの主面間隔(レンズの主点間隔)を明確にすれば良
い。
【0216】以下に、図9で使用される記号について説
明する。
【0217】H1o:第1の負レンズの物側主点 H1i:第1の負レンズの像側主点 H1oa :第2の負レンズの物側主点 H1ia :第2の負レンズの像側主点 H2o:第1の正レンズの物側主点 H2i:第1の正レンズの像側主点 H2oa :第2の正レンズの物側主点 H2ia :第2の正レンズの像側主点 Sh1 (>0):負レンズの主面間隔(あるいは第1の
負レンズの主点間隔) Sh2 (>0):正レンズの主面間隔(あるいは第1の
正レンズの主点間隔) とし、図中の他の記号および符号は、前記した図6に使
用したものと同じとする。
【0218】また、図8において、点H1o、H1oa を含
み光軸8に垂直な物側の面は負レンズに共通な主面78
aであり、点H1i、H1ia を含み光軸8に垂直な像側の
面は負レンズに共通な主面78bである。また、点H2
o、H2oa を含み光軸8に垂直な物側の面は正レンズに
共通な主面77aであり、点H2i、H2ia を含み光軸8
に垂直な像側の面は正レンズに共通な主面77bであ
る。
【0219】また、説明の便宜上、第1の負レンズ、正
レンズのそれぞれの主点H1o、H1i、H2o、H2iを光軸
8上に設定した。この第1の負レンズおよび第1の正レ
ンズの組み合わせを第1の複合レンズとする。また、第
2の負レンズ、正レンズは、光軸8から離れたところに
設定した。特に、Yh2=Yiia となるように正レンズ間
隔と第2の中間像の高さとを一致させ、第2の負レン
ズ、正レンズのそれぞれの主点H1oa 、H1ia 、H2oa
、H2ia を光軸79上に設定したことになる。
【0220】従って、第2の正レンズの像点であるPi
も第2の正レンズの光軸79上に現れるので、PiとP
iia とH2aとが一直線上に並ぶことになる。これによ
り、結像関係を示す関係式の導出が簡単になる。
【0221】これにより、厚肉レンズにおいても図6で
求めた関係式と同様の関係式を得ることができる。
【0222】〔実施の形態2〕本発明のディスプレイ装
置に用いることができる他の拡大用レンズの実施の形態
について、図10ないし図18に基づいて説明すれば、
以下の通りである。尚、説明の便宜上、前記実施の形態
1と同一の機能を有する部材には、同一の符号を付記
し、また、図中に示す記号も同一のものを付記し、その
説明は省略する。
【0223】図10に示すように、本実施の形態に係る
複合レンズアレイ21は、レンズ中心軸27が一致する
負レンズ9と正レンズ10とを組み合わせた複合レンズ
22を有している。複合レンズ22は、前記実施の形態
1で説明したように、図3に示す働きをし、しかもすべ
ての複合レンズ22はレンズ中心軸27に対し回転対称
形である。
【0224】複合レンズ22は、光軸8上における正レ
ンズ10からScだけ離れた位置Xcを中心とする球面
上に配置する。ここで、半径Scの球面上には正レンズ
10の主点H2、また半径(Sc+Sd)の球面上には
負レンズ9の主点H1を一致させる。つまり、複合レン
ズアレイ21は、これらの複合レンズ22を球面状に並
べたものである。従って、どの複合レンズ22のレンズ
中心軸27も、複合レンズアレイ21の光軸8とするこ
とができる。ここでは、説明の便宜上、複合レンズアレ
イ21の中央に配置されている複合レンズ22のレンズ
中心軸27を光軸8とする。
【0225】各複合レンズ22を並べる方法の一つに、
図10に示すように、複合レンズ22を遮光性の筒24
に納めて並べる方法がある。このとき、遮光性の筒24
の側面の母線あるいは稜線の延長線28がXcで交わる
ように遮光性の筒24の形状を定めると、遮光性の筒2
4の側面の母線あるいは稜線を密着させて並べたとき、
複合レンズ22はXcを中心とした球面上に並ぶ。つま
り、遮光性の筒24は、遮光性の筒24の側面の母線あ
るいは稜線を密着させて並べたとき、複合レンズ22は
Xcを中心とした球面上に並ぶように、負レンズ9側の
開口部が正レンズ10側の開口部よりも大きくなるよう
に形成されている。ここで、遮光性の筒24の側面形状
は、図11に示すように、6面体の筒状、あるいは図1
2に示すように、多面体の筒状であればよい。
【0226】以上のように、本複合レンズアレイ21
は、複合レンズ22を収納する鏡筒としての遮光性の筒
24の側面の母線あるいは稜線の延長線28が該複合レ
ンズアレイ21の光軸8上の点Xcで交わるような形状
を有する遮光性の筒24を、該遮光性の筒24の側面同
士で密着して並べているので、遮光性の筒24内に収ま
っている負レンズ9と正レンズ10とがそれぞれ前記光
軸8上の点Xcを中心とする球面上に配置される。この
ように前記形状を有するように遮光性の筒24…を並べ
ることによって、容易に球面状の複合レンズアレイ21
を構成することができる。
【0227】また、複合レンズ22は、負レンズ9と正
レンズ10のレンズ中心軸27が一致した形状なので、
該レンズ中心軸27を中心とした回転体とすることがで
きる。従って、複合レンズを単レンズ化したとき、単レ
ンズも回転体とすることができるので制作が容易とな
る。
【0228】また、複合レンズアレイ21には、上記し
た複合レンズ22の他に、図13(a)(b)に示すよ
うに、一枚構成のレンズ33で構成した複合レンズ32
を用いても良い。このレンズ33は、一端面の凹状の曲
面33aが負レンズの、また、他端面の凸状の曲面33
bが正レンズの働きをするようになっている。また、レ
ンズ33の周囲には、筒状の遮光部材34が設けられて
いる。尚、図13(b)は、図13(a)のX・X線矢
視断面図である。
【0229】上記のように、複合レンズ32を構成する
レンズ33を単レンズとすることでレンズ枚数が減り、
コストダウンが図れる。また、レンズ33の側面の母線
あるいは稜線の交点が該複合レンズアレイ21の光軸8
上の点Xcで一致するようにレンズ33の側面形状を定
め、該レンズ33の側面同士を密に並べると前記光軸8
上の点Xcを中心とする球面上に該レンズ33を配置す
ることができる。このように前記形状を有するレンズ3
3を並べることによって、容易に複合レンズアレイを構
成することができる。
【0230】また、上記のように一枚のレンズ33で複
合レンズ32を構成した場合、上記のように別に遮光部
材34を設けなくとも、例えばレンズ33側面に黒い塗
料を塗布すれば、遮光部材としての働きをする。これに
より、レンズ33を収納する遮光部材34が不要となる
ので、複合レンズアレイの構成を簡素なものとすること
ができ、コストダウンが図れる。
【0231】さらに、球面状に複合レンズ22を配列し
た複合レンズアレイ21としては、遮光性の筒24を用
いずに、二次元負レンズアレイと二次元正レンズアレイ
をそれぞれ曲面基板上に形成し、間に遮光枠を挟んだ構
成でも良い。例えば、図14に示すように、球面状の二
次元正レンズアレイ45と二次元負レンズアレイ43と
の間に、遮光枠44が挟持した構成の複合レンズアレイ
41が考えられる。
【0232】また、上記複合レンズアレイ41の物体面
は、球面形状であるので、観察する画像表示素子46
は、複合レンズアレイ41の物体面、即ち二次元負レン
ズアレイ43の形成面の形状に沿った球面形状であるこ
とが望まれる。この球面状の画像表示素子46は、図1
5に示すように、球面状の多層マトリクス配線基板46
aにLEDチップ46bを実装することにより作製し
た。この他に、EL素子や蛍光表示素子等を曲面状に並
べる方法や、曲面状の液晶ディスプレイやブラウン管等
を用いてもよい。また、平面の画像表示素子の前面にレ
ンズを取り付けて、その像面を球面状に湾曲させる方法
もある。また、複合レンズ2の合成焦点距離を、複合レ
ンズアレイ41の中央から周辺にかけて徐々に長くする
ことによって、複合レンズアレイ41の物体面を平坦化
させ、平面の画像表示素子6を見ることができるように
しても良い。
【0233】上記複合レンズアレイ41において、画像
表示素子46の球面形状の物体面を観察する場合につい
て、図16ないし図18に基づいて以下に説明する。
尚、前記実施の形態1と同様に、負レンズ9は薄肉凹レ
ンズ、正レンズ10は薄肉凸レンズとする。また、負レ
ンズ9と正レンズ10とで複合レンズ42を構成してい
る。
【0234】まず、複合レンズアレイ41を構成する二
次元負レンズアレイ43及び二次元正レンズアレイ45
の配置を説明する。
【0235】複合レンズアレイ41は、図16に示すよ
うに、Xcを中心とした半径Scの球面上に二次元正レ
ンズアレイ45の主点H2を、そして半径(Sc+S
d)の球面上に二次元負レンズアレイ43の主点H1を
配置した構成である。
【0236】各複合レンズ42の物体面は、負レンズ9
からレンズ中心軸27上においてS(<0)だけ離れた
位置Xoを通る平面であるので、それぞれの複合レンズ
42が固有の物体面を持つことになる。そこで、複合レ
ンズアレイ41の物体面47は、各複合レンズ42…の
もつ物体面を擬似的に平均化したものとし、Xcを中心
とする半径(Sc+Sd−S)の球面上に定める。この
ときの像面48は、複合レンズ42の正レンズ10から
Siの距離の位置に配置される。
【0237】次に、複合レンズアレイ41の物像関係に
ついて図17を参照しながら以下に説明する。物体面4
7上の物点Poに対する中間像Pii、複合レンズ42の
数だけ生成される。ここで、例えば複合レンズ42aの
中間像は、添字の一致する中間像Piiaである。図中、
中間像Piidと中間像Piieは、遮光枠44に遮られる
ため、正レンズ10を通して見ることができない。従っ
て、複合レンズアレイ41によって像面48に生成され
る像は、複合レンズ42a〜42cによる像Pia〜P
icとなる。
【0238】このように、物点Poに対する像Piは一
致せずに分散して見える。このような像Piの分散は、
各複合レンズ42の物体面が複合レンズアレイ41の物
体面47と一致していないことに原因がある。これは複
合レンズ42のレンズ径を小さくし、同一球面内におけ
るレンズの主点間隔を狭めることで解決できる。レンズ
径を小さくすると、一つの複合レンズで見える角度、所
謂視野角が狭まる。
【0239】従って、物点Poを見ることのできる複合
レンズ42の数が減少し、それだけ生成される像Piの
数も減る。また前記主点間隔を狭めると、像Piの生成
に関わるそれぞれの複合レンズ42のレンズ中心軸27
のなす角度が小さくなるため、像Piの分散が小さくな
る。こうして、像の分散を小さくすると、像Piは一つ
に見えるようになる。例えば、負レンズ9の焦点距離f
1が−15mm、正レンズ10の焦点距離f2が20m
m、レンズ間隔Sdが10mm、隣り合う複合レンズ4
2のレンズ中心軸27のなす角度が約2度、そして負レ
ンズ9径が1mmのとき、一つの物点Poに対する像P
iの分散は、視角に換算して約1分以内に収まる。これ
は実用上許容できる値である。
【0240】次いで、物点Poから像側へ至る光束につ
いて図18を参照しながら以下に説明する。前述のよう
に、複合レンズ42のレンズ中心軸27は、全てXcを
通っているので、Xcを通る光束19bは最も物点Po
に近い複合レンズ42bを通る。このとき光束19bは
複合レンズ42bのレンズ中心軸付近を通るので、レン
ズの収差の影響を受けにくい。従って、眼をXcの位置
におくと、収差の少ない像を得ることができる。
【0241】また、複合レンズ42をさらに並べて広い
見かけ視野を有する複合レンズアレイ41としても、視
野の中央あるいは周辺に関係なく、物点に最も近い複合
レンズによる光束によって像を見るので、常に良好な像
を得ることができる。
【0242】ところで、観察する物体上の一つの点から
出た光は、複数の複合レンズ42…を通って眼に入る。
このとき、各複合レンズ42によって見える像は厳密に
は一致しない。なぜなら、点Xcを中心とする球面上に
複合レンズXcを中心とする球面上に複合レンズ42を
配置しているので、それぞれの複合レンズ42の物体面
は、点Xcを中心とする球面の接平面となるからであ
る。つまり、球面上の異なる位置の接平面は一致しない
から、各複合レンズの物体面も一致しないからである。
【0243】このようにお互いの複合レンズ42の物体
面が一致しないので、それぞれの像も原理的に一致しな
い。従って、一つの物点に対するそれぞれの複合レンズ
42の像は一致せずに分散する。ところが、前記複合レ
ンズ42のレンズ径を小さくすると、ある一つの物点に
対する像の数は減少するとともに、それぞれの分散を小
さくすることができる。なぜなら、前記複合レンズ42
は少なくとも2枚のレンズで構成されるので、お互いの
レンズが開口絞りの役割を果たすため、レンズ径を小さ
くすると観察可能な範囲は狭まる。その結果、ある一つ
の物点を見ることのできる複合レンズ42の数が減少す
る。すなわち、一つの物点に対する像の数が減る。像の
数を減らすことは、分散の大きな像を消去することに対
応する。また、レンズ径を小さくすると、隣り合う複合
レンズの光軸同士のなす角度が小さくなるので、像の分
散が小さくなる。
【0244】従って、個々の複合レンズ42による同一
物点に対するそれぞれの像の位置ずれを視角に換算した
とき、前記視角が眼の分解能力以下であれば、分散して
いる像は一つの像と認識される。このように本光学系は
レンズ径を小さくすることによって擬似的に物体と像と
を一対一に対応させることができる。
【0245】また、観察者の目の回旋点を点Xcにおく
と、どの複合レンズ42に対してもその光軸上から見る
ことができるので、結像状態に関し、視野の中央と周辺
との差はなくなる。すなわち、複合レンズ42を広範囲
に並べて見かけ視野を広げても、従来レンズのように周
辺像の劣化がない。また、収差補正のためにレンズ枚数
を増やす必要もない。
【0246】さらに、複合レンズ42のレンズ径を小さ
くすると、前記複合レンズ42の光軸近傍を通る光を観
察することができるので、個々の複合レンズ42につい
て、諸収差の少ない良好な像を得ることができる。ま
た、レンズ系を小さくするとレンズの厚みが減り、また
レンズの重さも減少する。
【0247】従って、レンズ径を小さくした複合レンズ
を用い、点Xcの付近から観察することで、広い見かけ
視野を有する光学系でありながら、小型、薄型、軽量で
あり、さらに収差の少ない良好な像を提供することがで
きる。
【0248】以上のように、本複合レンズアレイ41に
よれば、レンズ周辺での像の劣化がない広視野映像が得
られる。これによれば、従来の拡大レンズのように広視
野化を図るためにレンズ枚数を増やすことなく広視野化
を実現することができるので、ディスプレイ装置の小
型、軽量化を図ることができる。
【0249】また、従来レンズでは、困難であったよう
な広視野な映像を容易に得ることができる。さらに、眼
とレンズとの間隔を確保したまま、広視野化することが
できるので、広視野化に伴い見やすさが損なわれること
がない。
【0250】〔実施の形態3〕本発明のディスプレイ装
置に用いることができる拡大用レンズのさらに他の実施
の形態について、図19ないし図21に基づいて説明す
れば、以下の通りである。尚、説明の便宜上、前記実施
の形態1・2と同一の機能を有する部材には、同一の符
号を付記し、また、図中に示す記号も同一のものを付記
し、その説明は省略する。
【0251】図19に示すように、本実施の形態に係る
複合レンズアレイ51は、二次元負レンズアレイ53と
二次元正レンズアレイ55との間に、挟持される遮光枠
54とからなっている。
【0252】上記二次元負レンズアレイ53は、負レン
ズ9が直線状に配列された板状の樹脂からなり、また、
二次元正レンズアレイ55は、正レンズ10が直線状に
配列された板状の樹脂からなっている。遮光枠54は、
上記の二次元負レンズアレイ53の負レンズ9と二次元
正レンズアレイ55の正レンズ10とが1体1に対応す
るように、貫通穴54aが直線状に設けられている。
【0253】したがって、二次元負レンズアレイ53と
二次元正レンズアレイ55とで上記遮光枠54を挟持す
ることで、各負レンズ9と正レンズ10とで複合レンズ
を構成するようになっている。
【0254】実際に上記複合レンズアレイ51を使用す
る場合、例えば、図20に示すように、直線状の複合レ
ンズアレイ51を円筒面上に並べて、拡大レンズ50を
構成する。この拡大レンズ50の物体面は円筒面である
ので、円筒面上に画素を配列した画像表示素子56を用
いる。この画像表示素子56は、図21に示すように、
画像表示素子56の内面56a側に、一次元のLEDア
レイ57を円筒面上に並べることによって構成した。
尚、本実施の形態では、LEDアレイ57を発光素子に
用いたが、その他の発光素子でもよい。また液晶のよう
な光シャッターでも良い。
【0255】一次元の複合レンズアレイ51のレンズ配
置は、前記実施の形態1に則したものである。そして、
一次元の複合レンズアレイ51は、図示しないが、前記
実施の形態1と同様に、その光軸上の点Xcを中心とし
た円筒上に並ぶよう配置した。ここで、一次元の複合レ
ンズアレイ51は、複数列の複合レンズアレイであって
もかまわない。
【0256】また、一次元の複合レンズアレイ51を構
成する遮光枠54について、遮光枠54の側面の延長面
が二次元正レンズアレイ55の主面からScだけ離れた
点Xc(図10)で交わるように側面形状を定めた。
【0257】上記の構成において、上記円筒の母線方向
については、複合レンズ52は平面上に配置されるため
制作が容易であり、前記円筒の円周方向については、収
差が少なく広い見かけ視野を容易に得ることができる構
成にすることができる。また、円筒上に並べる直線状の
複合レンズアレイ51には、同一形状の複合レンズアレ
イを用いることができる。つまり、複合レンズアレイ5
1には、量産により低価格が図れるレンズアレイを使用
することができるので、拡大レンズ50全体の低価格化
が期待できる。
【0258】また、円筒面状の画像表示素子56を拡大
する拡大レンズ50は、直線状の複合レンズアレイ51
を円筒上に並べることによって形成することができる。
このとき、前記直線状の複合レンズアレイ51を収納す
るための鏡筒としての遮光枠54の側面形状が画像表示
素子56方向に向かって末広がりであれば、前記側面同
士を接合することによって、容易に希望する円周上に前
記複合レンズアレイ51を並べた構成を形成することが
できる。
【0259】また、複合レンズアレイ51の側面の像側
の延長面上に、前記直線状の拡大レンズ50の光軸上の
点Xcが一致するような形状とすることで、前記直線状
の複合レンズアレイ51は前記Xcを中心とした円筒上
に並べることができる。
【0260】以上のことから、本実施の形態における拡
大レンズ50のように、一次元の複合レンズアレイ51
を画面水平方向に円筒状に並べた拡大レンズ50であれ
ば、画面の水平方向の視野角を大きくすることが容易で
あるので、シネマサイズのような画像表示素子56の場
合に有利である。また、物体面は円筒面であるので、一
次元の画像表示素子56を円筒上に並べたり、また平面
画像表示素子56を円筒上に曲げる等して物体面の曲面
化が容易に図れる。
【0261】〔実施の形態4〕上記実施の形態1〜3の
拡大用レンズを用いたディスプレイ装置の実施の形態に
ついて図22ないし図25に基づいて説明すれば、以下
の通りである。尚、説明の便宜上、前記の各実施の形態
に記載の部材と同じ機能を有する部材には、同一の番号
を付記し、その説明は省略する。
【0262】図22に示すように、本実施の形態に係る
ディスプレイ装置61は、略コの字状のハウジング62
内に、正面部に配された光学機構としての映像部63と
両側部に配された音響部64と、これらを制御する図示
しない制御部とを備え、この音響部64の後端部を繋ぐ
バンド65を備えた構成である。このディスプレイ装置
61は、通常、映像部63を観察者の目、音響部64を
耳に対応するように装着し、上記バンド65にて頭部に
固定して、目の前でテレビやビデオ映像を見るようにな
っている。
【0263】尚、以下の説明では、説明の便宜上、上記
バンド65を省略した図面を用いることとする。
【0264】上記ハウジング62には、図23(a)に
示すように、映像部63の配設部分に、観察者が映像部
63からの映像を観察するための開口部62a・62a
がほぼ両目の間隔に対応するように形成されると共に、
映像部63の配設部分に、観察者が音響部64からの音
楽等を聴取するための開口部62b・62b(図では、
左側の音響部64に対応する開口部62bは見えない)
が形成されている。
【0265】映像部63は、図23(b)に示すよう
に、上記のハウジング62の2つの開口部62a・62
aに対応する位置に、それぞれ映像を表示する画像表示
素子66L・66Rと、画像表示素子66L・66Rの
画像を拡大する前記実施の形態1に記載の複合レンズア
レイからなる拡大用レンズ67L・67Rとを備えた構
成である。
【0266】上記画像表示素子66L・66Rは、図2
4に示すように、それぞれ液晶表示素子からなる液晶パ
ネル68L・68Rと、この液晶パネル68L・68R
を背後から照射するバックライト69L・69Rとから
なっている。また、音響部64は、ハウジング62の両
側部62b・62bに対応する位置にスピーカ64a・
64a(図24)が設けられている。
【0267】つまり、観察者は、上記ディスプレイ装置
61において、左側の眼7Lによって、図中左側に配設
された画像表示素子66Lに表示された画像を、拡大用
レンズ67Lを介して観察すると共に、図示しない左耳
によって、左側のスピーカ64aの音声を聴取するよう
になっている。また、右側の眼7Rによって、図中右側
に配設された画像表示素子66Rに表示された画像を、
拡大用レンズ67Rを介して観察すると共に、図示しな
い右側の耳によって、右側のスピーカ64aの音声を聴
取するようになっている。
【0268】また、ハウジング62のほぼ中央部には、
映像部63を左右に分離するための遮光性の仕切板70
が設けられており、図中左側の映像部63からの光、即
ちバックライト69L、液晶パネル68Lを介して拡大
用レンズ67Lから出射される光が、眼7Rに入らない
ようになっている。また、逆の図中右側の映像部63か
らの光も眼7Lに入らないようになっている。
【0269】上記の構成において、拡大用レンズ67に
前記実施の形態1に記載した複合レンズアレイを用いた
ので、レンズと表示素子との間隔、即ち拡大用レンズ6
7と画像表示素子66との間隔を拡大用レンズとして単
レンズを用いた場合よりも短くすることができる。その
結果、ディスプレイ装置61の重心が観察者の眼7に近
づき、頭部への固定手段(バンド65等)にかかる重量
負担を軽減することができる。
【0270】ここで、拡大用レンズ67が湾曲収差をも
つ場合、投影面を湾曲化することで虚像の湾曲を平坦化
することができる。また、拡大用レンズ67が歪曲収差
を持ち、その歪みが糸巻き型の場合、投影レンズによっ
て前記歪みと逆の樽型の歪みをもつ画像を形成すると、
前記歪みを打ち消し合うことができる。このようにして
投影レンズや投影面の作用によって、拡大用レンズ67
の諸収差を、レンズ枚数を増やしたり、レンズの非球面
化することなしに、解消することができる。従って、拡
大用レンズの薄型、軽量化、コストダウン等が可能とな
り、さらにディスプレイ装置の小型軽量化が可能とな
る。
【0271】さらに、投影面は、薄板や、またディスプ
レイ装置の光学部分を保持するためのハウジング62の
内壁を利用したものでもよいので、ディスプレイ装置の
小型、軽量、薄型化を図ることができる。
【0272】また、図25に示すように、拡大用レンズ
67として、前記実施の形態2に記載した複合レンズア
レイ21を使用しても良い。このように、画像表示素子
26が球面状に形成され、この画像表示素子26の表示
面の形状に沿って形成された球面状の複合レンズアレイ
21を使用すれば、広い見かけ視野を有し、かつ収差の
少ない良好な映像を提供することができる。尚広視野を
得る場合に、画像表示素子26が平面であれば、複合レ
ンズアレイ21の中央から周辺にかけて複合レンズの焦
点距離を連続的に変化させ、物体面が平面となるように
すれば良い。
【0273】また、図示しないが、拡大用レンズ67に
前記実施の形態3に記載の複合レンズアレイ51を用い
たディスプレイ装置としても良く、この装置によれば、
水平方向に広い視野を有する映像を提供することができ
るので、シネマサイズのような横長画面の画像のような
広視野化に適するようになる。
【0274】また、本ディスプレイ装置61では、左右
一対の映像部63の画像表示素子66L・66Lの図示
しない映像入力端子を設けることで、これら映像入力端
子から同一物体に対する異なった位置からの画像をそれ
ぞれ供給すれば、二つの独立した映像を観察者の左右の
眼でそれぞれ見ることができる。つまり、ディスプレイ
装置61に映像入力端子から同一物体に対する異なった
位置からの画像をそれぞれ供給すれば、視点の異なる2
台のカメラで撮影した映像をそれぞれ左右の眼で見るこ
とにより、立体映像を得ることができる。
【0275】また、本ディスプレイ装置61内部に、加
速度センサを内蔵して頭部の動きを検知し、その頭部の
動きに応じて、映像の視点が変化するシステムを取り入
れても良い。
【0276】上記のように、加速度センサを内蔵させる
ことで、ディスプレイ装置61が観察者の頭部に固定さ
れた状態において、ディスプレイ装置61に取り付けら
れた加速度センサーで頭部の回転及び移動を計測するこ
とができる。これにより、観察者が見る映像の中の視点
を、前記回転及び移動量に従って変化させることによ
り、観察者にあたかも映像の中に存在するかのような感
覚を与える。
【0277】映像の中に存在する感覚は、映像の視点の
変化以外に、映像の見かけ視野の広さと、画質の良さが
重要である。これらは本発明の種々の技術を用いること
により容易に解決することができる。
【0278】尚、本実施の形態では、ディスプレイ装置
61を頭部等の身体に固定する場合、ハウジング62の
後端部に設けられたバンド65によって身体に固定させ
るようになっているが、これに限定するものではなく。
例えば、ハウジング62をヘルメットや眼鏡状のような
構成としても良く、また、双眼鏡のように頭部への装着
手段を特に持たず、手あるいは他の固定手段いよって見
るような形態であっても差し支えない。
【0279】〔実施の形態5〕本発明のディスプレイ装
置の実施の形態について図26ないし図30に基づいて
説明すれば、以下の通りである。尚、説明の便宜上、前
記の各実施の形態に記載の部材と同じ機能を有する部材
には、同一の番号を付記し、その説明は省略する。ま
た、ディスプレイ装置の説明は、音響部は前記実施の形
態4で説明したので、映像部についてのみ行う。以下の
実施の形態でも同様とする。
【0280】本実施の形態に係るディスプレイ装置は、
図26に示すように、液晶表示素子からなる液晶パネル
73と液晶パネル73の背面に配置されたバックライト
72とで構成される画像表示素子71、画像表示素子7
1にて形成された画像を拡大投影するための投影用レン
ズ74、画像表示素子71の画像を投影するスクリーン
75、スクリーン75に投影されている画像を拡大する
ための拡大用レンズ76からなる映像部を有している。
尚、上記拡大用レンズ76としては、単レンズルーペの
他に、複数枚のレンズを組み合わせたもの、あるいは前
記実施の形態1〜3に記載した複合レンズアレイを用い
ても良い。
【0281】即ち、図27に示すように、上記構成のデ
ィスプレイ装置の映像部では、液晶パネル73にて形成
された画像が、バックライト72により背面から照射さ
れ、投影用レンズ74にてスクリーン75の投影面75
aに拡大投影される。そして、スクリーン75に拡大投
影された画像は、拡大用レンズ76によって拡大投影さ
れ、拡大用レンズ76に対してスクリーン75の配設位
置とは反対側に配設され、且つ光軸8上の拡大用レンズ
76の焦点位置に配置された眼7で結像される。
【0282】つまり、上記構成のディスプレイ装置は、
画像表示素子71の画像を投影用レンズ74によってス
クリーン75の投影面75aに投影し、その投影像を拡
大用レンズ76で観察するようになっている。
【0283】画像表示素子71からの光(以下、画像光
と称する)は、図28に示すように、スクリーン75の
投影面75aで効率良く反射され、拡大用レンズ76を
通して眼7に入射されるのが望ましい。
【0284】ところが、一般に、上記のスクリーン75
の投影面75aには白色散乱面が使用されている。この
白色散乱面を用いたスクリーン75によれば、画像光
は、図29(a)に示すように、散乱して反射するよう
になっている。したがって、実際に観察する画像光は、
スクリーン75で反射された散乱光の一部を使用するよ
うになっている。つまり、図28に示すように、画像表
示素子71からの光が投影面75aで反射したときの散
乱光の一部が拡大用レンズ76を介して眼7に入るだけ
となっている。
【0285】しかしながら、スクリーン75の投影面7
5aが白色散乱面ではなく、図29(b)に示すよう
に、表面に微細な加工を施した鋸刃状反射面75bを有
するスクリーン75を使用すれば、この鋸刃状反射面7
5bの鋸刄の形状を変えることで反射光の反射角の制御
を行うことができる。これにより、図29(b)に示す
スクリーン75において光を散乱させることなく拡大用
レンズ76に導くことができるので、画像光を効率よく
利用することができる。このときの鋸刃状反射面75b
は鏡面であれば、さらに効率良く利用することができ
る。
【0286】上記のように投影像を拡大用レンズ76で
観察する構成の場合、例えば、拡大用レンズ76自身
に、例えば図30(a)に示すように、正規の像(破
線)に対して周辺で膨らむような歪んだ拡大像(実線)
になるような特性を有していれば、図30(b)に示す
ように、正規の像(破線)に対して投影像(実線)が上
記拡大像とは反対に周辺で縮むような像となるようにス
クリーン75に投影される投影像を補正することで、拡
大用レンズ76自身にある歪みを相殺することができ
る。この場合、拡大用レンズ76の歪みを投影像を補正
する場合、投影用レンズ74やスクリーン75の投影面
75aの形状を適宜調整すれば良い。
【0287】上記構成のディスプレイ装置では、画像表
示素子71からの光をスクリーン75で投影して、その
投影像を拡大用レンズ76を通して観察するようになっ
ているので、ディスプレイ装置の眼前にはスクリーン7
5のみでよく、画像表示素子71を置く必要がなくな
る。また、スクリーン75は、液晶表示パネルや自発光
素子の画像表示素子に比べて薄く、且つ軽く作成するこ
とができるので、ディスプレイ装置の眼前の重量を軽減
する効果もある。したがって、ディスプレイ装置全体の
薄型化が図れ、且つ眼前の重量を軽減できるので、観察
者の頭部における荷重負担を軽減することができる。
【0288】さらに、上記構成では、投影によって画像
形成を行うので、曲面上への画像形成が容易となる。以
下の実施の形態にて、曲面の投影板に投影画像を形成す
るために走査光学系を用いた例について説明する。
【0289】〔実施の形態6〕本発明のディスプレイ装
置の他の実施の形態について図31ないし図33に基づ
いて説明すれば、以下の通りである。
【0290】本実施の形態に係る本ディスプレイ装置
は、図31に示すように、画像表示素子としての一次元
表示素子81、一次元表示素子81にて形成された画像
を拡大投影するための投影用レンズ82、一次元表示素
子81の画像を回転することで偏向する三角柱状のポリ
ゴンミラー83(反射面が3面)、ポリゴンミラー83
にて偏向された光を投影する投影板85、投影板85の
投影像を拡大する拡大用レンズ76からなる映像部を有
している。尚、上記拡大用レンズ76としては、前記実
施の形態5と同様に、単レンズルーペの他に、複数枚の
レンズを組み合わせたもの、あるいは前記実施の形態1
〜3に記載した複合レンズアレイを用いても良い。
【0291】一次元表示素子81としては、図32に示
すように、複数のLED86a…が直線上に並んで配置
されたLEDアレイ86を使用している。また、投影板
85は、所定の曲率を有する投影面85aを有してい
る。
【0292】即ち、上記構成のディスプレイ装置の映像
部では、一次元表示素子81のLEDアレイ86におけ
るLED86a…の点滅が、投影用レンズ82を介して
ポリゴンミラー83にて偏向され、所定の曲率を有する
投影板85の投影面85aに投影される。したがって、
上記ディスプレイ装置では、残像現象を利用して眼7の
網膜上に画像を形成するようになっている。つまり、一
次元表示素子81にて点滅された光が、走査光学系であ
るポリゴンミラー83によって投影板85に走査形成さ
れた直線状の画像を、投影板85の走査方向に連続して
走査することで、眼7の残像現象によって一つの画像と
して認知するようになっている。
【0293】上記ディスプレイ装置によって、走査形成
される画像は、ポリゴンミラー83を中心とした円筒面
となる。この場合、この円筒面と投影板85の投影面8
5aとが一致しない虞があるので、このように一致しな
い場合には、ポリゴンミラー83により形成される画像
の曲率を投影板85の投影面85aの曲率と同じように
なるように補正する補正レンズ84を、投影板85とポ
リゴンミラー83との間に配置する必要がある。
【0294】上記補正はf・θレンズによって行なうの
が望ましい。f・θレンズは、投影像の結像位置を投影
面に一致させることと、投影面上における走査速度を一
定にする働きがある。しかしながら、投影面がポリゴン
ミラーを中心とする球面上にあれば、投影後の結像位置
は、補正なしに投影面に略一致するので、f・θレンズ
等の補正レンズは不要である。
【0295】上記の構成によれば、画像の一部分を表示
する表示素子としての一次元表示素子81の表示パター
ンを投影面85aに投影し、その投影像に投影された像
を走査することによって画像を形成するようになってい
る。ここで、上記走査は光路偏向手段としてのポリゴン
ミラー83によって行う。そして、投影面85a上に形
成された画像を拡大用レンズ76を通して観察するよう
になっている。
【0296】尚、上記光路偏向手段は、一次元表示素子
81からの光を偏向する働きを有すれば、上記ポリゴン
ミラー83に限定するものではなく、振動あるいは回転
により光路を偏向する部材、例えば電磁作用あるいは静
電作用あるいは圧電効果等で振動する部材にミラーを取
り付けたものや、前記の振動する部材にAl蒸着して反
射作用を持たせたものであっても良い。
【0297】本ディスプレイ装置は、従来にあるよう
な、表示パターンからの直接光を網膜上に結像させて走
査する方式ではなく、投影面85aに結像させて走査す
る方式である。従来の方式による走査の回転中心は眼の
回旋点に置く必要があったが、本装置によれば、走査の
回転中心は光路偏向手段としてのポリゴンミラー83の
回転中心に置いて良いので、無理なく広範囲にわたる走
査が可能となる。
【0298】また、見かけの視野の広さは、走査範囲に
は依存せず、走査によってできる投影面上の画像を見る
ための拡大用レンズ76の見かけ視野に依存するので、
走査によって見かけの視野が制限されることはない。し
たがって、拡大用レンズ76としては、前記の実施の形
態1ないし3で記載した複合レンズアレイを使用すれ
ば、広視野化を図ることができるばかりでなく、小型・
軽量化をも図ることができる。
【0299】さらに、一次元表示素子81は、LEDア
レイ86に限定するものではなく、一次元の画像を表示
し得るものであれば良く、一つあるいは一次元の発光素
子や光シャッター等で良い。このため、一次元表示素子
81として、これらの部材を使用すれば、ディスプレイ
装置の小型、軽量化を図ることができる。
【0300】また、拡大用レンズ76に代えて、図33
に示すように、前記実施の形態3で採用して拡大レンズ
50を使用しても良い。この場合、拡大レンズ50の光
軸上にある眼7の位置(図10における点Xc)を中心
とする円筒状の投影板85の投影面85aに一次元表示
素子81からの光を投影・走査する構成となっている。
このとき、ポリゴンミラー83は投影板85の曲率中心
に位置しないので、結像位置を補正するための補正レン
ズ84を、一次元表示素子81と投影板85との間に配
置している。
【0301】また、投影面85aへの画像形成は、図に
示した以外にも、点光源の二次元走査によって行っても
よい。このときの点光源は、LEDや、ランプにピンホ
ールマスクをかけた疑似点光源でも良いが、半導体レー
ザー等のコヒーレント光源を用いると解像度の高い画像
を形成することができる。
【0302】〔実施の形態7〕本発明のディスプレイ装
置のさらに他の実施の形態について図34ないし図43
に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0303】本実施の形態に係るディスプレイ装置は、
図34に示すように、画像表示素子71、投影用レンズ
74、光路分離手段としてのハーフミラー91、拡大用
レンズ76、スクリーン75からなる映像部を備えてい
る。
【0304】上記スクリーン75、拡大用レンズ76お
よびハーフミラー91は、それぞれの中心、即ち画像中
心、レンズ中心およびミラー中心が光軸8上に来るよう
に順に配置されている。このうち、スクリーン75と拡
大用レンズ76とは、表面が略平行となるように配置さ
れている。また、ハーフミラー91は、反射面91aが
拡大用レンズ76のレンズ面にから離れるように光軸8
に対して所定の角度で傾いて配置されている。さらに、
光軸8に垂直且つ、このハーフミラー91の反射面91
a側のミラー中心を通る光軸92上には、投影用レンズ
74と画像表示素子71とがそれぞれのレンズ中心を通
るように配置されている。
【0305】即ち、上記ディスプレイ装置は、液晶表示
パネルからなる画像表示素子71の表示パターンを単レ
ンズからなる投影用レンズ74と拡大用レンズ76とに
よってスクリーン75の投影面75aに投影すると共
に、投影画像を拡大用レンズ76で観察する光学機構で
ある。ここで、投影用レンズ74、拡大用レンズ76と
もに単レンズを使用しているが、これに限定するもので
はなく、投影用レンズ74、拡大用レンズ76ともに光
を集光する収斂系の光学系であれば良く、例えば複数枚
のレンズの組み合わせでも良く、また回折レンズでも良
く、さらに、前記の実施の形態1ないし3に記載の複合
レンズアレイでも良い。
【0306】また、画像表示素子71として液晶表示パ
ネルを使用しているので、背後からバックライトで照明
するようになっている。また、スクリーン75は表面が
白色散乱面であるものを使用する。
【0307】上記構成のディスプレイ装置では、像の投
影に拡大用レンズ76を用いるので、スクリーン75の
正面から投影することができる。これにより、拡大用レ
ンズ76を通さずに斜め方向から像を投影した場合に比
べて、スクリーン75の投影面75aにおける投影像の
歪みを少なくすることができる。
【0308】しかしながら、投影像も投影面75aの正
面から観察するように構成されているので、画像表示素
子71や投影用レンズ74が観察の妨げになる虞があ
る。
【0309】そこで、本ディスプレイ装置では、光路分
離手段としてのハーフミラー91を、投影用レンズ74
と拡大用レンズ76との間に配設することによって、画
像表示素子71から投影面75aへ至る光路(第1光
路)と、投影面75aから観察者の眼7へ至る光路(第
2光路)との分離を行っている。即ち、画像表示素子7
1から投影面75aへ至る光路はハーフミラー91の反
射によって折り曲げられ、投影面75aから観察者の眼
7へ至る光路はハーフミラー91を透過するようにそれ
ぞれ設定されている。
【0310】ここで、図35に示すように、画像表示素
子71から投影面75aへ至る光路を主光線Aとし、ま
た、投影面75aから観察者の眼7へ至る光路を主光線
Bとする。また、主光線Aは画像表示素子71に対し垂
直な光線と定義し、また、主光線Bは眼7の入射瞳の中
心を通る光線と定義する。また、広視野タイプのディス
プレイ装置の場合には、主光線Bは眼7の回旋点を通る
光線と定義しても良い。
【0311】上記構成のディスプレイ装置では、拡大用
レンズ76と眼7との間にハーフミラー91を備え、投
影のための光路Aと画像を見るための光路Bとの分離を
行うようになっている。ここで、前述したように、光路
Aは、画像表示素子71から始まり、順に投影レンズ7
4、ハーフミラー91、拡大用レンズ76を通り投影面
75aへ至る光路である。また、光路Bは、投影面75
aから始まり、順に拡大用レンズ76、ハーフミラー9
1を通り眼7へ至る光路である。このとき光路Aはハー
フミラー91によって90度に折り曲げてから投影面7
5aへ向かうようにする。また光路Bはハーフミラー9
1を透過するようにする。このようにして、光路Aと光
路Bとがハーフミラー91から投影面75aの間だけ一
致あるいは近接するようにする。
【0312】したがって、画像の投影と観察を投影面の
正面から行うことにより、画像の非対称な歪みをなくす
ことができるが、そのためには、上述のように、光路A
と光路Bとは近接あるいは一致させることが必要とな
る。そこで、光路Aと光路Bとが一致しても、画像表示
素子71や投影レンズ74が眼7に重ならないようにハ
ーフミラー91による光路の分離を行うのである。
【0313】上記構成のディスプレイ装置における結像
関係について、図36および図37を参照しながら以下
に説明する。尚、図36において、画像表示素子71上
のある一点71aから投影用レンズ74、ハーフミラー
91、拡大用レンズ76を経てスクリーン75の投影面
75aへ至る光線の集まりを光束A、図37において、
スクリーン75の投影面75a上のある一点93から拡
大用レンズ76、ハーフミラー91を経て眼7へ至る光
線の集まりを光束Bとする。
【0314】図36に示す投影用レンズ74による光束
Aの収束点94が、図37に示す拡大用レンズ76によ
る虚像96が生成される面に一致するとき、光束Aは投
影用レンズ74と拡大用レンズ76とによって投影面7
5a上に収束して像93を形成する。また、投影面75
a上に形成された像93は、拡大用レンズ76を介して
眼7の網膜上のある一点95に結像される。
【0315】以上のように、本ディスプレイ装置によれ
ば、画像表示素子71上の発光パターンを投影用レンズ
74と拡大用レンズ76の二つのレンズを用いて投影面
75a上へ投影することによって画像を形成するように
なっている。つまり、投影レンズ74による表示パター
ンの結像位置は、投影面75a上ではなく、投影面75
a上の画像の拡大用レンズ76による虚像位置(図37
の点96)となっている。
【0316】したがって、画像表示素子71で形成され
た表示パターンは、投影レンズ74と拡大用レンズ76
の二つのレンズによって投影面75a上に結像し、画像
を形成し、その画像を拡大用レンズ76で見るようにな
る。
【0317】これにより、画像を見る方向と、画像形成
のための投影方向とを、どちらもスクリーン75の投影
面75aの正面から行うことができる。したがって、画
像形成を斜めから行うような場合に生じる画像の非対称
な歪みを抑えることができる。
【0318】また、拡大用レンズ76を用いて投影を行
うので、拡大用レンズ76が投影のための光路を塞ぐと
いう問題が生じない。そして、投影可能な範囲と画像を
見ることのできる範囲は、両方とも拡大用レンズ76の
見かけ視野角に依存するので、拡大用レンズ76の見か
け視野を広げることにより、その見かけ視野に対応した
広い範囲に画像を形成することができる。
【0319】また、上記構成のディスプレイ装置では、
光路分離手段としてハーフミラー91を使用している
が、このハーフミラー91の代わりに光線の偏光状態を
利用して光路Aと光路Bとを分離するようにしても良
い。例えば、画像表示素子71の特定の偏光状態の光を
取り出すための偏光フィルターと、投影面75aに入射
する直線偏光と出射する直線偏光の角度差が90°とな
るような旋光子と、直交する二つの直線偏光の一方を反
射させ他方を透過させるような偏光分離素子とを備えた
光路分離手段を構成しても良い。この場合、偏光フィル
ターは画像表示素子71に使用される液晶表示パネル出
力面側に配置され、また、旋光子は投影面75aの直前
に配置され、さらに、偏光分離素子はハーフミラー91
の代わりに配置されるものとする。
【0320】尚、偏光素子としては、上記の他に移相
子、旋光子等を用いても良く、これら各偏光素子は結晶
体や高分子シート、あるいは薄膜などで構成する。ある
いは回折格子と組み合わせて構成する。
【0321】上記構成の光路分離手段を用いた場合の光
の分離について説明する。画像表示素子71である液晶
パネルに備えられた偏光フィルターから取り出される光
が直線偏光Aであるとする。ハーフミラー91の代わり
に備えられた偏光分離素子によって直線偏光Aを反射さ
せ、投影面75aに入射させる。そこで、投影面75a
の直前に配置された旋光子によて直線偏光Aを、直交す
る直線偏光Bに変換する。この直線偏光Bは、前記偏光
分離素子を透過する。このようにして、光路の分離が行
われる。このような光路の分離によれば、ハーフミラー
91に比べて、光路の分離に伴う光の損失を少なくする
ことができる。
【0322】ここで、上記ディスプレイ装置において、
図38に示すように、上記拡大用レンズ76に代えて、
前記実施の形態2に記載の複合レンズアレイ41を使用
すると共に、上記スクリーン75に代えて投影板97を
使用したディスプレイ装置について以下に説明する。
【0323】上記投影板97は、二次元正レンズアレイ
45の投影側の表面形状に沿った略球面状に形成され、
複合レンズアレイ41側に投影面97aが設けられてお
り、複合レンズアレイ41によって結像される画像を投
影面97a上で適切に投影される得る構造となってい
る。
【0324】図39において、画像表示素子71から投
影面97aへ至る光路を主光線Aとし、また、投影面9
7aから観察者の眼7へ至る光路を主光線Bとする。ま
た、図40において、画像表示素子71の任意の点71
aから投影面97aの任意の点98へ至る光路を光線A
1とし、また、投影面97aの任意の点98から観察者
の眼7へ至る光路を光線B1とする。
【0325】ここで、投影面97aのある一点98に入
射する主光線Aと、前記点98bを起点とする主光線B
とが、図41に示すように、前記点98における投影面
97aの法線99に対し対称な関係とすると、光線A1
と光線B1は投影面97aに対しスネルの法則を満たす
ので、投影面97aを鏡面と見なせる。
【0326】図39は、主光線Aと主光線Bとが投影面
97aの法線99と一致する場合であり、これは前記対
称関係を満たしている。このような場合において、画像
表示素子71のある一点71aからの光線が眼7へ至る
までの経路を図40に示す。
【0327】以上のことから、主光線Aと主光線Bが投
影面97a上の点98においてスネルの反射法則を満た
しているので、画像表示素子71から投影面97aへ至
る光線A1と光線A1の反射光線である光線B1は眼7
の網膜7a上において主光線Bと一致する。即ち、画像
表示素子71上の一点71aから出た光が投影面97a
で反射し、その反射光が網膜7a上の一点100に集光
する。このように投影面71aを鏡面とすると、画像表
示素子71の表示面を直接見ることになるので、画像表
示素子71からの光を効率よく眼7へ伝えることができ
る。
【0328】また、図42に示すような投影面75aが
平面であっても、前記条件を満たせば、図43に示すよ
うに、点98における投影面75aの法線99に対し対
称な関係とすると、光線A1と光線B1は投影面75a
に対しスネルの法則を満たすので、投影面75aを鏡面
と見なせる。
【0329】〔実施の形態8〕本発明のディスプレイ装
置のさらに他の実施の形態について図44ないし図46
に基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、説明の
便宜上、前記の各実施の形態で使用された部材と同一機
能を有する部材には、同一記号を付記し、その説明は省
略する。
【0330】本実施の形態に係るディスプレイ装置は、
図44に示すように、画像表示素子として、前記実施の
形態7の図39に示す画像表示素子71に代えてLED
アレイによる一次元表示素子81を用いると共に、光路
偏向手段としてのポリゴンミラー83による光路偏向に
よって画像を形成する映像部を備えている。
【0331】即ち、一次元表示素子81からの画像光
は、投影レンズ82、スリット87を介して、矢印方向
に回転するポリゴンミラー83に照射する。そして、ポ
リゴンミラー83にて偏向された画像光は、ハーフミラ
ー91にて反射されて複合レンズアレイ41を介して投
影板97の投影面97aに走査拡大投影される。
【0332】ここで、一次元表示素子81ら投影面97
aへ至る主光線Aのポリゴンミラー83上の交点88
と、投影面97aから眼7へ至る主光線Bの交点89と
が略一致する場合について、図45と図46を用いて以
下に説明する。尚、本説明では、図44に示すように、
投影面97a上の点交点88のハーフミラー91に対す
る虚像90が交点89と一致する場合を示している。
【0333】上記の構成において、ポリゴンミラー83
による主光線Aの偏向中心が交点88となり、交点88
のハーフミラー58に対する虚像90が、図46に示す
主光線Aの交点89と一致したとき、光学系の可逆性か
ら図45の走査面100aと図46の物体面100bと
が一致する。従って、走査による画像形成に必要であっ
た補正レンズが不要になる。
【0334】ところで、上記の構成のディスプレイ装置
の映像部において、拡大用のレンズとして、複合レンズ
アレイ1、41、51を用いて投影像を形成する場合、
一次元表示素子81からの光束の幅が正レンズ10に達
したとき、隣り合う正レンズ10間隔の2倍以上でない
と投影面97aに画像の欠損が生じる場合がある。
【0335】そこで、投影用レンズ83は前記光束の幅
を得られるだけの口径が必要となる。本実施の形態で
は、観察者の眼の瞳径を約2mmと考え、複合レンズア
レイの隣り合う正レンズ10の間隔を1mmに設定し
た。そこで、投影光の光束の幅を前記間隔の2倍以上に
なるよう設定した。しかし、投影光の光束を太くしすぎ
ると、複合レンズアレイ41、51を用いた場合、投影
像がぼやける可能性がある。そこで、本実施の形態で
は、投影光の光束の幅の制限するために、投影用レンズ
82とハーフミラー91との間に開口径3mmのスリッ
ト87を配置した。このとき一次元表示素子81のある
一点に対し、およそ9〜12個の複合レンズ2が関わり
像を生成するので、投影像が欠けることがない。また、
像のぼけも実用上問題のないレベルに収めることができ
る。
【0336】上記の構成のディスプレイ装置では、画像
の一部分を表示する一次元表示素子81の表示パターン
を投影レンズ82と拡大用レンズ41を用いて投影面9
7aに投影する。そして、投影面97a上における投影
像を走査することによって画像を形成するようになって
いる。
【0337】上記走査は、回転する光路偏向手段として
のポリゴンミラー83によって行われる。そして、投影
面97a上に形成された画像を拡大用レンズ41を通し
て観察するようになっている。
【0338】走査によってつくられる投影像の結像位置
は、ポリゴンミラー83をほぼ中心とする回転体上にあ
るので、投影面97aがこれと一致しない場合、結像位
置のずれを補正するために補正レンズが必要である。本
構成によれば、ポリゴンミラー83による光路Aの偏向
中心あるいはそのハーフミラー91による虚像と、光路
Bの収束点とを略一致させることで、光学系の可逆性か
ら、投影像の結像位置と投影面97aとが一致する。即
ち、拡大用レンズ41は補正レンズの役割も果たしてい
る。
【0339】また、一次元表示素子81から投影レンズ
82、そして複合レンズアレイ41を通り投影面97a
へ至る光線は投影面97aにおいて反射し、前記複合レ
ンズアレイ41を通って眼7へ至る。このときの光線の
反射はスネルの法則に従うようになっている。つまり、
眼7には一次元表示素子81からの拡散光ではなく、直
接光が入射するので、より明るい映像を得ることができ
る。
【0340】また、一次元表示素子81からの光は投影
面97a上で結像するから、投影面97aが曲面であっ
ても、複合レンズアレイ41で見る像(虚像)の倍率は
変わらない。
【0341】また、投影面97aは、鏡面であることが
好ましいが、拡散面であってもよい。このとき眼には、
投影面97a上の拡散光の中でも光のパワーが集中する
正反射光が入射するので、明るい像を得ることができ
る。
【0342】さらに、投影面97a上の画像を複合レン
ズアレイ41にてで拡大して見るディスプレイ装置で
は、曲面形状の投影面97aに画像を形成することによ
って容易に曲面画像を得ることができるので、曲面ある
いは円筒上に複合レンズを並べた複合レンズアレイで観
察するための物体面を構成することが容易になる。
【0343】
【発明の効果】請求項1の発明のディスプレイ装置は、
以上のように、画像を形成し、この画像を肉眼で観察す
るための光学機構が、観察者の眼前に配置されたディス
プレイ装置において、上記光学機構は、画像表示素子
と、画像が投影されるスクリーンと、上記画像表示素子
上の画像を上記スクリーン上に投影する投影レンズと、
スクリーン上に投影された画像の拡大像を肉眼で見るた
めの拡大用レンズとを少なくとも備えている構成であ
る。
【0344】それゆえ、画像表示素子の表示パターンを
スクリーンに投影することによって画像を形成し、そし
てその画像を拡大用レンズを通して観察するようになっ
ているので、拡大用レンズの持つ湾曲収差や歪曲収差な
どを容易に補正することができる。従って、補正のため
にレンズ構成を複雑にする必要がない。
【0345】さらに、投影面に画像を表示する構成なの
で、ディスプレイ装置の重心をさらに頭部へ近づけるこ
とができるから、装置の頭部等に固定するための固定手
段の簡略化や、装置の軽量化を図ることができる。ま
た、曲面画像を容易に得ることができるという効果を奏
する。
【0346】請求項2の発明のディスプレイ装置は、以
上のように、請求項1の構成に加えて、投影レンズとス
クリーンとの間に配置され、投影レンズを介した画像表
示素子からの光を、偏向してスクリーン上で走査して画
像を形成する光路偏向手段を備えている構成である。
【0347】それゆえ、走査により画像を形成するの
で、画像表示面積に依存することなく精細な画像表示が
得られる。また、構成上、広角度な画像形成が可能とな
る。また、曲面上への画像形成が容易である。さらに、
画像形成のための表示パターンは点や直線状の発光素子
や光シャッター等でよいから、さらに装置の小型化及び
軽量化が可能となるという効果を奏する。
【0348】請求項3の発明のディスプレイ装置は、以
上のように、画像を形成し、この画像を肉眼で観察する
ための光学機構が、観察者の眼前に配置されたディスプ
レイ装置において、上記光学機構は、画像表示素子と、
画像が投影されるスクリーンと、上記画像表示素子上の
画像を上記スクリーン上に投影する投影レンズと、スク
リーン上に投影された画像の拡大像を肉眼で見るための
拡大用レンズとを少なくとも備え、上記拡大用レンズ
が、上記投影レンズからスクリーンに至る光路上に配置
されている構成である。
【0349】それゆえ、画像形成のための投影と、画像
の観察とをスクリーンの投影面に対し正面から行うこと
ができるため、画像の形成及び観察において画像の非対
称な歪みを無くすことができるという効果を奏する。
【0350】請求項4の発明のディスプレイ装置は、以
上のように、請求項3の構成に加えて、光学機構には、
画像表示素子からスクリーンに至る第1光路と、スクリ
ーンから観察者の眼に至る第2光路とを分離する光路分
離手段が設けられている構成である。
【0351】それゆえ、請求項3の構成による効果に加
えて、第1光路と第2光路とを分離することによって、
投影に関する光学部品が視界を遮ることを防ぐことがで
きるという効果を奏する。
【0352】請求項5の発明のディスプレイ装置は、以
上のように、請求項4の構成に加えて、光路分離手段
に、偏光素子を使用する構成である。
【0353】それゆえ、請求項4の構成による効果に加
えて、光路の分離に伴う光量低下を抑えることができる
という効果を奏する。
【0354】請求項6の発明のディスプレイ装置は、以
上のように、請求項3、4または5の構成に加えて、投
影レンズと拡大用レンズとの間に配置され、投影レンズ
を介した画像表示素子からの光を偏向してスクリーン上
で走査して画像を形成する光路偏向手段を備えている構
成である。
【0355】それゆえ、請求項3、4または5の構成に
よる効果に加えて、走査による歪みがないため、歪みを
補正するための補正レンズを不要にすることができる。
これにより、光学機構を簡素なものとすることができる
ので、装置の小型化および軽量化を図ることができると
いう効果を奏する。
【0356】請求項7の発明のディスプレイ装置は、以
上のように、請求項3、4、5または6の構成に加え
て、スクリーンの投影面が鏡面状に形成されると共に、
このスクリーンの投影面上において、画像表示素子から
スクリーンに至る第1光路の入射光と、スクリーンから
観察者の眼に至る第2光路の反射光とが、スネルの反射
法則を満たすように、上記の第1および第2光路が設定
されている構成である。
【0357】それゆえ、請求項3、4、5または6の構
成による効果に加えて、画像表示素子の直接像を見るの
で、明るい映像を提供することができることができると
いう効果を奏する。
【0358】請求項8の発明のディスプレイ装置は、以
上のように、請求項1〜7の何れかの構成に加えて、拡
大用レンズとして、複数の負レンズの主面が同一平面上
に配置された二次元負レンズアレイと、複数の正レンズ
の主面が同一平面上に配置された二次元正レンズアレイ
とが、それぞれの負レンズと正レンズとで複合レンズを
構成するように対向配置された複合レンズアレイを使用
する構成である。
【0359】それゆえ、曲面形状の投影面に画像を形成
することによって容易に曲面画像を得ることができるの
で、投影による画像形成によれば、拡大用レンズの要求
する物体面を容易に提供することができるという効果を
奏する。
【0360】請求項9の発明のディスプレイ装置は、以
上のように、請求項8の構成に加えて、複合レンズアレ
イは、観察者の眼に最も近い複合レンズ同士のレンズの
主点間隔が、画像表示素子上の1点からこの複合レンズ
アレイへ至る光束の径の半分以下に設定されている構成
である。
【0361】それゆえ、複合レンズアレイの複合レンズ
間の隙間や遮光枠あるいは鏡筒などによる遮光作用によ
ってできる投影像の欠けを防ぐことができるという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のディスプレイ装置に用いることができ
る1実施の形態に係る拡大用レンズとしての複合レンズ
アレイの概略構成図である。
【図2】図1に示す複合レンズアレイの断面図である。
【図3】図1に示す複合レンズアレイを構成する複合レ
ンズの物像関係を示す説明図である。
【図4】図1に示す複合レンズアレイのレンズ配置を示
す説明図である。
【図5】図1に示す複合レンズアレイの物像関係を示す
説明図である。
【図6】図1に示す複合レンズアレイにおける結像関係
を示す説明図である。
【図7】図1に示す複合レンズアレイにおける物体面上
の物点から像側へ至る光束を示す説明図である。
【図8】図1に示す複合レンズアレイにおける倍率の定
義について示す説明図である。
【図9】複合レンズを構成する負レンズおよび正レンズ
ともに厚肉レンズを使用した場合の複合レンズアレイに
おける結像関係を示す説明図である。
【図10】本発明のディスプレイ装置に用いることがで
きる他の実施の形態の複合レンズアレイの概略構成断面
図である。
【図11】図10に示す複合レンズアレイに備えられる
複合レンズを収納する鏡筒の一例を示す斜視図である。
【図12】図10に示す複合レンズアレイに備えられる
複合レンズを収納する鏡筒の他の例を示す斜視図であ
る。
【図13】一枚のレンズで構成した複合レンズを示す説
明図である。
【図14】図10に示す複合レンズアレイの他の例を示
す複合レンズアレイの概略構成図である。
【図15】図14に示す複合レンズアレイに適応した画
像表示素子の表示面側の要部拡大図である。
【図16】図10に示す複合レンズアレイのレンズ配置
を示す説明図である。
【図17】図10に示す複合レンズアレイの物像関係を
示す説明図である。
【図18】図10に示す複合レンズアレイにおける物体
面上の物点から像側へ至る光束を示す説明図である。
【図19】本発明のディスプレイ装置に用いることがで
きるさらに他の実施の形態の一次元複合レンズアレイの
概略分解図である。
【図20】図19に示す一次元複合レンズアレイを備え
た拡大用レンズの概略構成図である。
【図21】図20に示す拡大用レンズに適用される画像
表示素子を示す説明図である。
【図22】実施の形態1〜3の拡大用レンズを用いた実
施の形態のディスプレイ装置の概略構成図である。
【図23】図22に示すディスプレイ装置において、拡
大用レンズとして図1に示す複合レンズアレイを使用し
たディスプレイ装置の概略構成図である。
【図24】図23に示すディスプレイ装置の断面図であ
る。
【図25】図22に示すディスプレイ装置において、拡
大用レンズとして図10に示す複合レンズアレイを使用
したディスプレイ装置の概略断面図である。
【図26】本発明の実施の形態のディスプレイ装置の概
略構成図である。
【図27】図26に示すディスプレイ装置の光路を示す
説明図である。
【図28】図26に示すディスプレイ装置の投影面にお
ける光束の反射を示す説明図である。
【図29】図26に示すディスプレイ装置の投影面での
反射制御を示す説明図である。
【図30】一般的なレンズによる像の歪みを示す説明図
である。
【図31】図26に示すディスプレイ装置において、走
査光学系を用いたディスプレイ装置の概略構成図であ
る。
【図32】図31に示すディスプレイ装置に適用される
画像表示素子を示す説明図である。
【図33】図31に示すディスプレイ装置において、拡
大用レンズとして図20に示す拡大用レンズを使用した
場合のディスプレイ装置を示す概略構成図である。
【図34】本発明の他の実施の形態のディスプレイ装置
の概略構成図である。
【図35】図34に示すディスプレイ装置における光路
を示す説明図である。
【図36】図34に示すディスプレイ装置における画像
表示素子から投影面に至る第1光路を示す説明図であ
る。
【図37】図34に示すディスプレイ装置における投影
面から眼に至る第2光路を示す説明図である。
【図38】図34に示すディスプレイ装置において、拡
大用レンズとして図14に示す複合レンズアレイを使用
した場合のディスプレイ装置の概略構成図である。
【図39】図38に示すディスプレイ装置における光路
を示す説明図である。
【図40】図38に示すディスプレイ装置の画像表示素
子から投影面で反射し眼へ至る光線を示す説明図であ
る。
【図41】図40に示す投影面での光の反射状態を示す
説明図である。
【図42】投影面が平面の場合の画像表示素子から投影
面で反射し眼へ至る光線を示す説明図である。
【図43】図42に示す投影面での光の反射状態を示す
説明図である。
【図44】図38に示すディスプレイ装置に、走査光学
系を用いた場合のディスプレイ装置の概略構成図であ
る。
【図45】図40に示すディスプレイ装置において、走
査による主光線の偏向と形成される像面とを示す説明図
である。
【図46】図40に示すディスプレイ装置において、投
影面から眼へ至る主光線を示す説明図である。
【図47】従来のディスプレイ装置を示す概略構成図で
ある。
【図48】一般的な拡大用レンズの物像関係を示す説明
図である。
【図49】広視野に対応する拡大用レンズの物像関係を
示す説明図である。
【図50】従来の走査光学系を用いたディスプレイ装置
の光学部分を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 複合レンズアレイ(拡大用レンズ) 2 複合レンズ 3 二次元負レンズアレイ 4 遮光枠(遮光性の部材) 5 二次元正レンズアレイ 6 画像表示素子 7 眼(肉眼) 8 光軸 9 負レンズ 10 正レンズ 14 主点 15 主点 19 光束 21 複合レンズアレイ(拡大用レンズ) 22 複合レンズ 24 遮光性の筒(鏡筒) 26 画像表示素子 32 複合レンズ 33 レンズ(一枚構成のレンズ) 41 複合レンズアレイ(拡大用レンズ) 42 複合レンズ 43 二次元負レンズアレイ 44 遮光枠(遮光性の部材) 45 二次元正レンズアレイ 46 画像表示素子 50 拡大レンズ 51 複合レンズアレイ 53 二次元負レンズアレイ 54 遮光枠(鏡筒) 55 二次元正レンズアレイ 56 画像表示素子 61 ディスプレイ装置 63 映像部(光学機構) 66 画像表示素子 67 拡大用レンズ 71 画像表示素子 74 投影用レンズ(投影レンズ) 75 スクリーン 75a 投影面 76 拡大用レンズ 77 主面 78 主面 81 一次元表示素子 83 ポリゴンミラー(光路偏向手段) 84 補正レンズ 85 投影板(スクリーン) 85a 投影面 86 LEDアレイ 91 ハーフミラー(光路分離手段) 97 投影板(スクリーン) 97a 投影面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03B 21/00 G03B 21/00 E 21/10 21/10 Z

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像を形成し、この画像を肉眼で観察す
    るための光学機構が、観察者の眼前に配置されたディス
    プレイ装置において、 上記光学機構は、画像表示素子と、画像が投影されるス
    クリーンと、上記画像表示素子上の画像を上記スクリー
    ン上に投影する投影レンズと、スクリーン上に投影され
    た画像の拡大像を肉眼で見るための拡大用レンズとを少
    なくとも備えていることを特徴とするディスプレイ装
    置。
  2. 【請求項2】 上記投影レンズとスクリーンとの間に配
    置され、投影レンズを介した画像表示素子からの光を、
    偏向してスクリーン上で走査して画像を形成する光路偏
    向手段を備えていることを特徴とする請求項1記載のデ
    ィスプレイ装置。
  3. 【請求項3】 画像を形成し、この画像を肉眼で観察す
    るための光学機構が、観察者の眼前に配置されたディス
    プレイ装置において、 上記光学機構は、画像表示素子と、画像が投影されるス
    クリーンと、上記画像表示素子上の画像を上記スクリー
    ン上に投影する投影レンズと、スクリーン上に投影され
    た画像の拡大像を肉眼で見るための拡大用レンズとを少
    なくとも備え、上記拡大用レンズが、上記投影レンズか
    らスクリーンに至る光路上に配置されていることを特徴
    とするディスプレイ装置。
  4. 【請求項4】 上記光学機構には、画像表示素子からス
    クリーンに至る第1光路と、スクリーンから観察者の眼
    に至る第2光路とを分離する光路分離手段が設けられて
    いることを特徴とする請求項3記載のディスプレイ装
    置。
  5. 【請求項5】 上記光路分離手段に、偏光素子を使用す
    ることを特徴とする請求項4記載のディスプレイ装置。
  6. 【請求項6】 上記投影レンズと拡大用レンズとの間に
    配置され、投影レンズを介した画像表示素子からの光
    を、偏向してスクリーン上で走査して画像を形成する光
    路偏向手段を備えていることを特徴とする請求項3、4
    または5記載のディスプレイ装置。
  7. 【請求項7】 上記スクリーンの投影面が鏡面状に形成
    されると共に、このスクリーンの投影面上において、画
    像表示素子からスクリーンに至る第1光路の入射光と、
    スクリーンから観察者の眼に至る第2光路の反射光と
    が、スネルの反射法則を満たすように、上記の第1およ
    び第2光路が設定されていることを特徴とする請求項
    3、4、5または6記載のディスプレイ装置。
  8. 【請求項8】 上記拡大用レンズとして、複数の負レン
    ズの主面が同一平面上に配置された二次元負レンズアレ
    イと、複数の正レンズの主面が同一平面上に配置された
    二次元正レンズアレイとが、それぞれの負レンズと正レ
    ンズとで複合レンズを構成するように対向配置された複
    合レンズアレイを使用することを特徴とする請求項1〜
    7の何れかに記載のディスプレイ装置。
  9. 【請求項9】 上記複合レンズアレイは、観察者の眼に
    最も近い複合レンズ同士のレンズの主点間隔が、画像表
    示素子上の1点からこの複合レンズアレイへ至る光束の
    径の半分以下に設定されていることを特徴とする請求項
    8記載のディスプレイ装置。
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