JP2002326962A - 送達性物質およびそれを利用した薬物デリバリーシステム - Google Patents

送達性物質およびそれを利用した薬物デリバリーシステム

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JP2002326962A
JP2002326962A JP2001103947A JP2001103947A JP2002326962A JP 2002326962 A JP2002326962 A JP 2002326962A JP 2001103947 A JP2001103947 A JP 2001103947A JP 2001103947 A JP2001103947 A JP 2001103947A JP 2002326962 A JP2002326962 A JP 2002326962A
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JP2001103947A
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Mitsuaki Kuwano
光明 桑野
Masaki Nakagawa
雅喜 中川
Hiroshi Suhara
寛 須原
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Santen Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Santen Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体内において長期に渡って薬物を有効に存
在させることのできる送達性に優れた物質を創製し、該
物質を利用した薬物デリバリーシステムを構築する。 【解決手段】 ポリアルキレングリコール若しくはその
反応性誘導体、リン脂質および薬物を反応させて共有結
合を形成した送達性物質を全身または局所に投与すれ
ば、該物質が生体内のターゲット部位で長期間滞留する
ので、1回の投与で長期に渡り薬効を持続させることが
可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアルキレング
リコール若しくはその反応性誘導体、リン脂質および薬
物を反応させて共有結合を形成する送達性に優れた物質
であり、また、該送達性物質を全身または局所に投与す
ることで、身体の特定部位に長期間薬物を滞留させるこ
とを可能にする薬物デリバリーシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】網膜、視神経、硝子体等の内眼部におけ
る疾患には難治性疾患が多く、その効果的な治療法の開
発が望まれている。眼疾患に対しては、薬物を点眼投与
して治療するのがもっとも一般的であるが、網膜等の内
眼部へは薬物はほとんど移行しない。このことが、内眼
部における疾患の治療をより困難にしている。
【0003】そこで、薬物を直接身体の特定の部位に投
与する方法が試みられ、例えば、薬物を含有させたリポ
ソームやマイクロスフェアーを硝子体等の内眼部へ投与
する技術が報告されている(特表平6−508369
号、特開平4−221322号など)。
【0004】しかし、リポソームを用いて薬物の放出を
制御することは容易でなく、また、リポソームやマイク
ロスフェアーでは粒子径が大きいために、例えば、硝子
体などの内眼部に投与する場合には透明性を維持できな
くなることがある。
【0005】一方、薬物を経口投与する場合は、薬物が
胃、小腸、大腸、肝臓等で吸収、消化代謝され易く、薬
効を発揮させる程度の濃度になるまで特定部位に薬物を
移行させることは困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
生体内において長期に渡って薬物を有効に存在させるこ
とのできる送達性に優れた物質を創製し、該物質を利用
した薬物デリバリーシステムを構築することは重要な課
題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、送達性物
質およびそれを利用する薬物デリバリーシステムに焦点
を当てて鋭意研究した結果、ポリエチレングリコール若
しくはその反応性誘導体、リン脂質および薬物を反応さ
せて共有結合を形成する送達性に優れた物質を創製し
た。また、該送達性物質を硝子体内に投与すれば、これ
が網膜内および硝子体内に長期間滞留することから、か
かる送達性物質およびそれを用いた全身または局所への
薬物デリバリーシステムは、身体の様々な部位における
疾患の治療に利用できることを見い出した。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、ポリアルキレングリコ
ール若しくはその反応性誘導体、リン脂質および薬物を
共有結合させた送達性物質および該物質を利用する薬物
デリバリーシステムである。本発明の送達性物質を全身
または局所に投与すると、該物質が生体内のターゲット
部位で長期間滞留するので、1回の投与で長期に渡り薬
効を持続させることが可能となる。
【0009】本発明は、ポリアルキレングリコール若し
くはその反応性誘導体、リン脂質および薬物が共有結合
した下記一般式[1]で表される送達性物質である。
【0010】
【化3】 (式中、AおよびBは同一かまたは異なって薬物の残基
を、Xはポリアルキレングリコール若しくはその反応性
誘導体の残基を、Yはリン脂質骨格またはリン脂質の残
基を、mは0または1以上の整数を、nは0または1を
表し、mまたはnの少なくとも一方は0でなく、A、
B、XおよびYは、いずれも共有結合している。)
【0011】ここで、ポリアルキレングリコールとは、
[−O−アルキレン−]を繰り返し単位として含むポリ
マーであってH[O(CH2OH(m=1〜
3、n=7〜4000)で表されるポリマーであり、該
ポリマー鎖中の水素原子該アルキレンは低級アルキル基
又はヒドロキシ基で置換されていてもよく、好ましい具
体例としては、該アルキレンが2〜3個の炭素鎖で形成
されるものが挙げられ、より好ましい具体例としては例
えばポリエチレングリコールまたは、ポリプロピレング
リコールなどが挙げられが挙げられる。、また、ポリア
ルキレングリコールの反応性誘導体とは、ポリアルキレ
ングリコールが薬物またはリン脂質と共有結合すること
ができるように、ポリアルキレングリコールの末端を化
学修飾したものを示す。具体例を挙げると、ポリアルキ
レングリコールの一方または両方の末端にの水素原子を
アルキル基、アミノアルキル基、カルボキシアルキル
基、メルカプトアルキル基、ヒドラジドアルキル基、マ
レイミドアルキル基、スルホニルアルキル基、ビニルス
ルホニルアルキル基、ビニルカルボニル基などを導入し
たもので置換したポリマーをいい、より好ましい具体例
としては例えばメチル基、アミノエチル基、アミノプロ
ピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、メ
ルカプトエチル基、ヒドラジドメチル基を導入したもの
をいうなどで置換したポリマーが挙げられる。
【0012】なお、一般式[1]において、mが0で示
される場合、ポリアルキレングリコールの片方の末端に
位置するOH基は、アルキル基、アシル基等で保護され
ていてもよい。
【0013】本発明において、ポリアルキレングリコー
ル若しくはその反応性誘導体は、鎖状型、星型、枝分か
れ型のいずれでもよく、ターゲット部位における送達性
物質の濃度、送達性物質を存在させる期間等を考慮して
適宜選択できる。星型、枝分かれ型のポリアルキレング
リコール若しくはその反応性誘導体を用いることによ
り、1つの送達性物質に2個以上複数個の薬物を共有結
合させることが可能となる。
【0014】通常、結合形態としては、薬物−ポリアル
キレングリコール−リン脂質の形で結合していることが
好ましいが、ポリアルキレングリコール−リン脂質−薬
物の形で結合することもでき、また、薬物−ポリアルキ
レングリコール−リン脂質−薬物の形で結合することも
できる。
【0015】また、ポリアルキレングリコールの種類を
選択することにより、ポリアルキレングリコールに複数
個の薬物を結合させることもできる。若しくはその反応
性誘導体1分子当たりに、薬物分子0乃至50個を共有
結合させることが望ましい。なお、本発明の送達性物質
には、少なくとも1つの薬物分子がポリアルキレングリ
コール若しくはその反応性誘導体かリン脂質のいずれか
と共有結合している。さらに、リン脂質に薬物を結合さ
せることにより、送達性物質に複数個の薬物を結合させ
ることができる。
【0016】本発明の送達性物質を構成するポリアルキ
レングリコール若しくはその反応性誘導体の分子量に
は、特に制限はなく、生体内の薬物デリバリー部位、共
有結合する薬物の種類・性質、送達性物質の要求濃度、
送達性物質を滞留させる期間等を考慮して適宜選択でき
るが、通常例えば500〜200000であり、より好
ましくは1000〜50000である。
【0017】本発明において、ポリアルキレングリコー
ル若しくはその反応性誘導体と共有結合させる薬物の化
学構造には、特に制限はなくされないが、ポリアルキレ
ングリコール若しくはその反応性誘導体と結合し得る官
能基を有しておればよいすることが望ましい。具体例を
挙げると、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル
基、アミノ基、アルケニル基等を有する薬物である。薬
物の種類としては、各種の疾患に対して治療効果若しく
は予防効果を有する全身または局所用の薬物であれば特
に制限はされることがなく、例えば抗炎症剤、免疫抑制
剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗腫瘍剤抗炎症
薬、免疫抑制薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗
腫瘍薬、神経保護薬剤、血流改善薬剤、抗緑内障薬剤、
鎮痛薬剤、麻酔薬剤、血管新生阻害薬剤、検査薬などが
挙げられる。また、網膜、視神経、硝子体などの疾患の
治療または予防に用いられる薬物の場合には、種々の原
因による内眼部炎症、ウイルスや細菌の感染症、新生血
管や網膜細胞の増殖変化を伴った増殖性硝子体網膜症、
種々の原因による網膜出血、網膜剥離、網膜芽細胞種な
どに有効な薬物剤が挙げられる。例えば、内眼部手術に
伴う炎症の場合には、リン酸ベタメタゾン等の抗炎症薬
剤が、自己免疫性ブドウ膜炎の場合には、シクロスポリ
ン等の免疫抑制薬剤が、ウイルス性感染症の場合にはガ
ンシクロビル等の抗ウィルス薬剤が、術後感染症の場合
にはオフロキサシン等の抗菌薬剤が、増殖性硝子体網膜
症の場合には塩酸ドキソルビシン、カルムスチン等の抗
腫瘍薬剤、眼科用の検査薬剤などが用いられる。
【0018】ポリアルキレングリコール若しくはその反
応性誘導体と薬物を共有結合させるには、薬物の官能基
とポリアルキレングリコール若しくはその反応性誘導体
の官能基を考慮してこれらを化学反応させればよく、汎
用される方法を用いて結合させることができる。その方
法は特に制限されない。ポリアルキレングリコールその
ままでも共有結合を形成することができるが、その反応
性誘導体を用いれば種々の薬物と共有結合を容易に形成
することができる。例えばアミノ、チオール、カルボキ
シル、サクシニミジルカルボキシレート、エポキシド、
アルデヒド、イソシアネート、マレイミド、アクリレー
ト、ビニルスルホン等の種々の官能基を有するポリアル
キレングリコール若しくはその反応性誘導体が市販され
ているので、これらのポリアルキレングリコール若しく
はその反応性誘導体と官能基を有する薬物とを化学反応
させてることにより、ポリアルキレングリコール若しく
はその反応性誘導体と薬物との間に種々の共有結合を形
成することができる。
【0019】送達性物質において形成される共有結合と
しては、例えばエステル結合、アミド結合、エーテル結
合、カルバメート結合、ウレア結合、チオウレア結合、
スルフィド結合、ジスルフィド結合、スルホン結合、カ
ーボネート結合、炭素炭素結合などが挙げられる。薬物
の官能基、ポリアルキレングリコール若しくはその反応
性誘導体の官能基、リン脂質の官能基、生体内の滞留期
間、患部の部位などを考慮して所望の共有結合を有する
送達性物質を合成形成することができる。
【0020】本発明において、ポリアルキレングリコー
ル若しくはその反応性誘導体と共有結合するリン脂質に
は、特に制限はされないが、例えば下記一般式[2]で
示される化合物またはその塩が挙げられるある。
【0021】
【化4】 (式中、RおよびRは、同一または異なっていて、
水素原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルケ
ニルキレン基または、アルケニルキレンカルボニル基ま
たは薬物の残基を、Zはアミノアルキル基、ジアミノア
ルキル基、ヒドロキシアルキル基またはジヒドロキシア
ルキル基をそれぞれ示す。)
【0022】リン脂質としては、毒性が低く、安全性に
優れているものであれば、特に制限はなく、例えば大豆
レシチン、卵黄レシチン、ホスファチジルエタノールア
ミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン
酸、合成レシチン等が挙げられ、一般式[2]で示され
る化合物中のRおよびRとしては、例えばラウロイ
ル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル
基、オレオイル基、リノレオイル基、薬物の残基など
が、また、Zとしては、例えばアミノエチル基、ヒドロ
キシエチル基または2,3−ジヒドロキシプロピル基な
どが挙げられる。
【0023】ポリアルキレングリコール若しくはその反
応性誘導体とリン脂質が共有結合するためには、リン脂
質に反応活性を有する官能基が必要であるが、その官能
基には特に制限はされることはない。例えばホスファチ
ジルエタノールアミンにおけるアミノ基、ホスファチジ
ルグリセロールにおける水酸基、ホスファチジルセリン
におけるカルボキシル基等の反応活性を有するが官能基
が挙げられる挙げられる。特に好ましいリン脂質の具体
例として、ホスファチジルエタノールアミンが挙げられ
るある。
【0024】ポリアルキレングリコール若しくはその反
応性誘導体とリン脂質を共有結合させる方法としては、
酸無水物を用いる方法、塩化シアヌルを用いる方法、カ
ルボジイミドを用いる方法、グルタルアルデヒドを用い
る方法などがあり、これらから最良の方法を適宜選択し
てポリアルキレングリコール若しくはその反応性誘導体
を有する化合物とリン脂質を共有結合させることができ
る。
【0025】リン脂質と共有結合させることのできる薬
物の化学構造としてはは、特に制限はされないが、リン
脂質と結合し得る官能基を有しておればよい。すること
が望ましく、薬物の種類としては、例えばポリアルキレ
ングリコール若しくはその反応性誘導体と共有結合させ
る薬物として前記した薬物が挙げられる。また、リン脂
質と共有結合させる薬物は、ポリアルキレングリコール
若しくはその反応性誘導体と共有結合させる薬物と同一
の薬物であっても、異なる薬物であってもよく、疾患、
症状、薬効等を考慮して適宜組み合わせることができ
る。通常、リン脂質1分子当たりに薬物分子0個乃至2
個を共有結合させることが望ましい。
【0026】本発明の送達性物質は、種々の方法により
製造することができる。例えば、下式に示すように 化
合物[A]をN−ヒドロキシコハク酸イミドと縮合剤
(例えばN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド)の存
在下で反応させれば、化合物[B]の活性エステル体が
得られる。次いで、化合物[B]の活性エステル部分に
アミノ基を有するリン脂質を反応させると、化合物
[C]のアミド体が得られる。化合物[C]のアミド体
の保護基として導入していたt−ブトキシカルボニルを
酸性下で脱保護し、化合物[D]のアミン体とし、この
アミン体に活性カルボニル体(例えば、イソチオシアネ
ート)を反応させることにより、本発明の送達性物質
[E]を得ることができる。
【0027】
【化5】 (式中、RおよびRは前記と同意義であり、tは1
以上の整数を表す。)
【0028】本発明の送達性物質を全身または局所に投
与すれば、送達性物質が身体の特定の部位に長期間滞留
し、代謝されることが少ないので、当該部位において薬
物が徐々に放出されることによって長期に渡って疾患の
治療・予防効果を発揮する。また、身体の特定の部位に
滞留した本発明の送達性物質自体が疾患の治療・予防効
果を発揮することもある。したがって、本発明の薬物デ
リバリーシステムは、特にこれまで治療の困難であった
身体の特定部位の治療を1回の投与で長期に渡って治療
することを可能とするに有効なシステムとなる。
【0029】本発明の薬物デリバリーシステムは、本発
明の送達性物質を全身または局所に投与することによっ
て、身体の特定部位における種々の疾患の治療または予
防のために利用できる。具体的疾患としては、種々の原
因による炎症、ウイルスや細菌の感染症、免疫不全、腫
瘍、新生血管や網膜細胞の増殖変化を伴った増殖性硝子
体網膜症、視神経疾患、網膜出血、網膜剥離、網膜芽細
胞腫などが挙げられる。また、種々の検査薬が共有結合
した送達性物質を全身または局所に投与すれば、各種の
検査に利用することができる。
【0030】送達性物質中の薬物含有率は、当該薬物の
有効濃度を経時的に維持するのに適当な含有率とするこ
とが望ましい。
【0031】本発明の効果は、後述の眼内滞留性試験で
詳細に説明するが、モデル薬物としてフルオレセインを
共有結合させた送達性物質について、硝子体内注入後の
内眼部(硝子体及び網膜)における当該送達性物質の滞
留性を検討した結果、本発明の送達性物質は、硝子体ば
かりでなく網膜においても、長期間(56日以上)に渡
って滞留することが明らかとなった。また、視神経保護
作用を有することが報告されているDizocilpine(薬
物)およびDizocilpineを共有結合させた送達性物質の
硝子体内注入後の眼内動態を比較検討したところ、本発
明の送達性物質の硝子体、網脈絡膜および視神経におけ
る濃度はDizocilpineを用いた場合よりも100倍以上
も高く、消失半減期も著しく延長されることが明らかと
なった。
【0032】これらの試験結果より、本発明のポリアル
キレングリコール若しくはその反応性誘導体および/ま
たはリン脂質と共有結合させる薬物を適宜選択すること
により、全身または局所の種々の疾患を少ない投与回数
で有効に治療することが可能となる。また、本発明の薬
物デリバリーシステムを用いれば、網膜、視神経、硝子
体をはじめ身体の特定の部位に送達性物質を効率よく滞
留させることができるので、ポリアルキレングリコール
若しくはその反応性誘導体、リン脂質等と共有結合させ
る薬物の量を低減することが可能となり、副作用の軽減
効果も期待できる。
【0033】本発明の送達性物質は、生体内の特定の部
位に効率よく滞留するので、局部の疾患の治療に特に有
効であり、その製剤形態は、特に限定されないが、注射
剤、輸液、錠剤、軟膏剤、乳剤、懸濁剤などが挙げられ
る。例えば眼部の疾患に対しては点眼剤、注射剤、灌流
液、イオントフォレーシス、針なし注射等の各種の剤
型、投与方法を利用できる。本発明の薬物デリバリーシ
ステムにおける送達性物質は、汎用される処方により、
その投与方法(眼内投与など)に適した製剤形態に調製
できる。例えば、注射剤は、具体的調製例を実施例の項
で説明するが、前記の製造方法で製造した送達性物質を
BSS(Balanced Salt Solution)溶液、グリセリン溶
液、ヒアルロン酸溶液などに溶解させて調製することが
でき、必要に応じ安定化剤、等張化剤、緩衝剤、pH調節
剤、保存剤などを適宜添加することができる。
【0034】安定化剤としては、例えばエデト酸、エデ
ト酸ナトリウム等を挙げることができる。等張化剤とし
ては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリ
エチレングリコール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、
ソルビトール、マンニトール等を挙げることができる。
緩衝剤としては、例えばクエン酸、ホウ酸、リン酸水素
ナトリウム、氷酢酸、トロメタモール、イプシロン-ア
ミノカプロン酸等を挙げることができる。pH調節剤とし
ては、例えば塩酸、クエン酸、リン酸、酢酸、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素
ナトリウム等を挙げることができる。保存剤としては、
例えばソルビン酸、ソルビン酸カリウム、塩化ベンザル
コニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸エ
ステル、安息香酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトル
エン、クロロブタノール、グルコン酸クロルヘキシジン
等を挙げることができる。る。
【0035】以下に実施例を挙げて本発明を説明する
が、これらの実施例は本発明の理解を助けるためのもの
であって、発明の範囲を限定するものではない。
【0036】
【実施例】a.送達性物質の製造本発明の薬物デリバリ
ーシステムに使用できる送達性物質の製造例を以下に示
す。
【0037】実施例1 (1)送達性物質A:ポリエチレングリコール(分子
量5000)の末端アルココールの一方の水素原子がチ
オウレイドエチルで置換され、他方の水素原子がカルボ
ニルエチルで置換されたもの、フルオレセインおよび
L−α−ジステアロイルホスファチジルエタノールア
ミンを共有結合させたもの[化学式6] ポリエチレングリコール(分子量5000)の末端アル
ココールの一方の水素原子がフルオレセイニルチオウレ
イドエチルで置換され、他方の水素原子がサクシニミジ
ルオキシカルボニルエチルで置換された活性エステル体
[Fluor-NHS-5k:日本油脂社製](0.20g、約4
0μmol)とL−α−ジステアロイルホスファチジル
エタノールアミン(61mg、82μmol)に塩化メ
チレン(10ml)、クロロホルム(5ml)、トリエ
チルアミン(25μl、0.18mmol)を加え一夜
室温で攪拌した後、トシル酸(40mg,0.21mm
ol)を加え減圧濃縮した。2−プロパノール(5m
l)を加え室温で30分間攪拌後結晶を濾取し、その結
晶にメタノール(10ml)を加えて不溶物を濾去し
た。濾液を減圧濃縮し、残留物に2−プロパノールを加
えて濾取すると、送達性物質A151mgがオレンジ色
結晶として得られた。
【0038】mp:56.5−64.5℃ IR(KBr,cm−1):2886、1741、16
11、1468、1344
【化6】
【0039】(2)送達性物質B:ポリエチレングリ
コール(分子量5000)の末端アルココールの一方の
水素原子がチオウレイドエチルで置換され、他方の水素
原子がカルボニルエチルで置換されたもの、フルオレ
セインおよびL−α−ジオレオイルホスファチジルエ
タノールアミンを共有結合させたもの mp:49.0−51.0℃ IR(KBr,cm−1):2889、1741、16
13、1468、1344
【0040】(3)送達性物質C:ポリエチレングリ
コール(分子量1000)の末端アルココールの一方の
水素原子がチオウレイドエチルで置換され、他方の水素
原子がカルボニルエチルで置換されたもの、フルオレ
セインおよび L−α−ジステアロイルホスファチジ
ルエタノールアミンを共有結合させたもの mp:55.0−65.0℃ IR(KBr,cm−1):3313、2917、28
50、1748、1617、1540、1468、13
49
【0041】(4)送達性物質D :ポリエチレング
リコール(分子量10000)の末端アルコールの一方
の水素原子がチオウレイドエチルで置換され、他方の水
素原子がカルボニルエチルで置換されたもの、フルオ
レセインおよびL−α−ジステアロイルホスファチジ
ルエタノールアミンを共有結合させたもの mp:55.0−60.0℃ IR(KBr,cm−1):2885、1745、16
14、1468、1343
【0042】(5)送達性物質E:ポリエチレングリ
コール(分子量5000)の末端アルココールの一方の
水素原子がチオウレイドエチルで置換され、他方の水素
原子がカルボニルエチルで置換されたもの、フルオレ
セインおよびL−α−ジミリストイルホスファチジル
エタノールアミンを共有結合させたもの mp:65.0−75.0℃ IR(KBr,cm−1):2886、1774、16
18、1467、1344
【0043】実施例2 送達性物質F:ポリエチレングリコール(分子量50
00)の両末端アルコールの水素原子をカルボニルエチ
ルで置換したもの、(±)−3,4−ジヒドロ−2−
[5−メトキシ−2−[3−[2−(3,4−メチレン
ジオキシ)フェノキシエチルアミノ]プロポキシ]フェ
ニル]−4−メチル−3−オキソ−2H−1,4−ベン
ゾチアジンおよびL−α−ジステアロイルホスファチ
ジルエタノールアミンを共有結合させたもの[化学式
7] (±)−3,4−ジヒドロ−2−[5−メトキシ−2−
[3−[2−(3,4−メチレンジオキシ)フェノキシ
エチルアミノ]プロポキシ]フェニル]−4−メチル−
3−オキソ−2H−1,4−ベンゾチアジン 一シュウ
酸塩[この化合物は、特開昭62−123181号公開
公報にその製造方法が開示されている。](54mg、
88μmol)にクロロホルム(5ml)を加え、室温
で攪拌した。トリエチルアミン(0.04ml、0.3
mmol)、次いでポリエチレングリコール(分子量5
000)の末端アルココールの一方の水素原子がL−α
−ジステアロイルホスファチジルオキシエチルアミノカ
ルボニルエチルで置換され、他方の水素原子がサクシニ
ミジルオキシカルボニルエチルで置換された活性エステ
ル体[DSPE-NHS-5000:日本油脂社製](0.30g、
約50μmol)を加えた。一時間後パラトルエンスル
ホン酸一水和物(0.20g、1.1mmol)を加え
減圧濃縮した。2−プロパノール(20ml)を加え、
室温で15分間攪拌後不溶物を濾取すると、送達性物質
F0.28gが無色結晶として得られた。
【0044】IR (KBr):2887, 1742, 1467, 1113 cm-1. Mp:51.7-56.1 C
【0045】
【化7】
【0046】実施例3 送達性物質G:ポリエチレングリコール(分子量50
00)の両末端アルコールの水素原子をカルボニルエチ
ルで置換したもの、[5R,10S]−(+)−5−
メチル−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,
d]シクロヘプテン−5,10−イミン[Dizocilpin
e]およびL−α−ジステアロイルホスファチジルエ
タノールアミンを共有結合させたもの[化学式8] 窒素雰囲気下、[5R,10S]−(+)−5−メチル
−10,11−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シ
クロヘプテン−5,10−イミン[Dizocilpine] マ
レイン酸塩(0.12g、0.36mmol)に塩化メ
チレン(6.4ml)を加え、室温で攪拌した。トリエ
チルアミン(0.18ml、1.3mmol)、次いで
ポリエチレングリコール(分子量5000)の末端アル
ココールの一方の水素原子がL−α−ジステアロイルホ
スファチジルオキシエチルアミノカルボニルエチルで置
換され、他方の水素原子がサクシニミジルオキシカルボ
ニルエチルで置換された活性エステル体[DSPE-NHS-500
0:日本油脂社製](1.9g、約0.32mmol)
を加え一夜攪拌した。反応溶液を減圧濃縮後0.1N塩
酸(100ml)を加え、クロロホルム(100ml)
で3回抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減
圧濃縮後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーで分離精製し、生じた結晶をジエチルエーテルで濾取
すると、送達性物質G0.27gが無色結晶として得ら
れた。
【0047】IR (KBr):3434, 2885, 1742, 1715, 146
7, 1344, 1149, 1120 cm-1. Mp:52.4-56.9 C
【0048】
【化8】
【0049】b.製剤例(注射剤) 送達性物質G30mgに滅菌した2.6%グリセリン溶
液10mLを加え、この液を攪拌しながら60℃に加温
し、送達性物質Gを溶解させた注射液を調製した。本発
明の送達性物質の種類および添加物の混合比を適宜変更
することにより、所望の注射液を得ることができる。
【0050】c.フルオロフォトメトリー法による眼内
滞留試験 蛍光色素を含有する送達性物質AおよびBを用いて、以
下の方法で眼内滞留試験を行った。
【0051】送達性物質の調製:送達性物質AおよびB
各36mgに滅菌した2.6%グリセリン溶液10mL
を加え、この液を攪拌しながら60℃に加温し、送達性
物質A、Bを溶解させて注射液を調製した。また、比較
のために、送達性物質A、Bの代わりにフルオレセイン
ナトリウムを用い、上記と同様の操作をして、フルオレ
セインナトリウムの10μg/mLの注射液を調製し
た。
【0052】投与方法及び測定方法: 1)塩酸ケタミン水溶液(50mg/mL)と塩酸キシ
ラジン水溶液(50mg/mL)の7:3混合溶液を白
色家ウサギに筋肉内投与し麻酔した。
【0053】2)両眼にトロピカミド(0.5%)/塩
酸フェニレフリン(0.5%)点眼液を点眼し散瞳させ
た。
【0054】3)両眼に塩酸オキシブプロカイン(0.
5%)点眼液で眼表面麻酔した。
【0055】4)眼毛様体扁平部より30G針の注射器
を用いて、上記各注射液を硝子体中央部に投与した。
【0056】5)硝子体内投与直後、投与後1、4、
7、15、35および56日後にフルオロフォトメトリ
ー装置を用いて、経時的に眼内蛍光強度を測定し、検量
線を作成して硝子体および網膜における濃度推移を求
め、それぞれの半減期を算出した。なお、眼内蛍光強度
を測定する前に、上記1)と2)の操作を行った。
【0057】結果:送達性物質AおよびB、並びにフル
オレセインナトリウムの硝子体内における半減期を表1
に、また、これらの網膜内おける半減期を表2に示し
た。なお、表1および表2中の数値は、各3例の平均値
を示す。
【0058】
【表1】 (表中の値は、硝子体注入後1〜35日間のデータから
モーメント法を用いて算出した値を示す。)
【0059】
【表2】 (表中の値は、硝子体注入後1〜56日間のデータをモ
ーメント法を用いて算出した値を示す。)
【0060】考察:表1から明らかなように、本発明の
送達性物質AおよびBの硝子体内における半減期は5.
0〜7.0日であるのに対し、フルオレセインナトリウ
ムの注射液では5時間未満にすぎないので、本発明の送
達性物質は硝子体内における滞留期間を顕著に延長す
る。また、表2により、本発明の送達性物質の網膜にお
ける半減期は16.5〜19.5日であるのに対し、フ
ルオレセインナトリウムの注射液では2.5時間未満に
すぎないことから、硝子体内に投与した本発明の送達性
物質は網膜に移行して網膜内で長期間滞留していること
が窺える。
【0061】d.放射性同位体を用いた眼内滞留試験 送達性物質Gの内眼部(硝子体、網膜、視神経等)にお
ける滞留効果を検討するために、以下の方法で放射性同
位体を用いた眼内滞留試験を行った。
【0062】薬液調製:送達性物質G9 mgを秤取り、5
mLメスフラスコ内で2.6%グリセリン溶液に溶解させ、全
量を5mLとした。また、別の試験管に送達性物質Gをト
リチウム[H]で置換した化合物(以下「送達性物質
G[H]」という)37 MBq/mLのトルエン/エタノール
溶液(1:1) 200μLを加え、窒素気流下でトルエン/エタ
ノールを留去した。この試験管に、先に調製した5 mLの
送達性物質Gの溶液を加えて撹拌し、投与液とした。一
方、[5R,10S]−(+)−5−メチル−10,1
1−ジヒドロ−5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテ
ン−5,10−イミン[Dizocilpine] マレイン酸塩
(以下「比較物質X」という)0.96 mgを秤取り、10mL
メスフラスコ内で2.6%グリセリン溶液に溶解させ、全量
を10mLとした。また、別の試験管に比較物質Xをトリチ
ウム[H]で置換した化合物(以下「比較物質X[
H]」という)37 MBq/mLのエタノール溶液を400μL加
え、窒素気流下でエタノールを留去した。この試験管
に、先に調製した10 mLの比較物質Xの溶液を加えて撹
拌し、投与液とした。なお、調製に際しては、すべて滅
菌した器具を用いた。
【0063】硝子体内への注入:日本白色ウサギに、
塩酸ケタミン水溶液と塩酸キシラジン水溶液の7:3混
合溶液を1 mL/kgの割合で筋肉内注射し,麻酔した.つ
ぎに、塩酸オキシブプロカイン(0.5%)点眼液で眼
表面麻酔した後,各被験物質の投与液(100μL /eye)
を30G針を用いて硝子体に注入した.注入は、網膜に針
を刺さないように、針にストッパーをつけて行った。表
3に各投与液の濃度、投与量等を示す。
【0064】
【表3】
【0065】試料採取:投与後所定日に、ペントバルビ
タールナトリウム水溶液(50 mg/mL) 5 mLを日本白色ウ
サギの耳静脈に投与し麻酔致死させた。眼球を約10 mL
の生食で洗浄した後、目頭または目尻にハサミを入れて
眼球の周囲を切り、眼球を摘出した。眼球は生理食塩水
で 2 回洗浄し、過剰の水分を紙で拭き取った。眼球結
膜を取り除いた後、房水を1 mLシリンジを用いて約0.2
mL採取した。次に、眼球を液体窒素に浸し凍結させ、カ
ミソリで赤道部分から 2分割し、前部より硝子体、水晶
体、虹彩・毛様体、及び角膜、後部より硝子体、網脈絡
膜、視神経を採取した。
【0066】測定用試料の調製:採取した硝子体、網脈
絡膜および視神経の湿重量を測定した。測定後、組織溶
解剤を用いて溶解させた後、液体シンチレーターを加え
た。
【0067】標準放射能試料の調製:送達性物質G[
H]投与液および比較物質X[H]投与液をそれぞれ
1000倍希釈して、これらを標準放射能試料とした。
【0068】定量方法:調製した測定試料および標準放
射能試料の放射能濃度を液体シンチレーションカウンタ
ーで測定した。各標準放射能試料の放射能より、被験物
質 1 ng当たりの放射活性 A(dpm/pmol)を求め、次式
より各組織中放射能濃度を算出した。
【0069】 組織中放射能濃度 = 各組織試料中の放射能(dpm)/ A (dpm/pmol) (pmol eq./g) 組織湿重量(g)
【0070】薬物動態パラメーターの算出:硝子体内に
注入後1〜21日間の眼内組織における各被験物質濃度
推移から、モーメント法により消失半減期を算出した。
【0071】結果:送達性物質Gおよび比較物質Xの硝
子体内注入後の硝子体、網脈絡膜、視神経における各濃
度推移をそれぞれ図1、図2、図3に示す。また、送達
性物質G、比較物質Xの硝子体および網膜における半減
期をそれぞれ表4、表5に示す。なお、表4および表5
中の数値は、各3例の平均値を示す。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】考察:図1〜3から明らかなように、送達
性物質Gを硝子体に投与した場合に、当該送達性物質が
硝子体、網脈絡膜および視神経などの後眼部に移行して
長期間に渡って高濃度で滞留している。また、表4およ
び表5より、送達性物質の半減期は、比較物質Xの半減
期よりも6〜10倍程度延長される。
【0075】
【発明の効果】本発明の送達性物質は、ポリアルキレン
グリコール若しくはその反応性誘導体、リン脂質および
薬物を反応させて共有結合を形成する送達性に優れた物
質である。そして、本発明の送達性物質を利用する薬物
デリバリーシステムは、硝子体、網膜、視神経などの後
眼部に送達性物質を長期間滞留させることができる。し
たがって、本発明の送達性物質を全身または局所に投与
する薬物デリバリーシステムは、1回の投与で身体の特
定部位の種々の疾患を長期に渡って治療または予防する
ことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】硝子体組織における経時的濃度変化(21日
間)を示す図である。
【図2】網脈絡膜組織における経時的濃度変化(21日
間)を示す図である。
【図3】視神経組織における経時的濃度変化(21日
間)を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須原 寛 大阪府大阪市東淀川区下新庄3丁目9番19 号 参天製薬株式会社内 Fターム(参考) 4C076 AA12 BB11 BB24 CC10 DD38 DD63 FF32 FF68

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレングリコール若しくはその
    反応性誘導体、リン脂質および薬物が共有結合した送達
    性物質。
  2. 【請求項2】 ポリアルキレングリコール若しくはその
    反応性誘導体、リン脂質および薬物が共有結合した下記
    一般式[1]で表される送達性物質。 【化1】 (式中、AおよびBは同一かまたは異なって薬物の残基
    を、Xはポリアルキレングリコール若しくはその反応性
    誘導体の残基を、Yはリン脂質骨格またはリン脂質の残
    基を、mは0または1以上の整数を、nは0、1または
    2を表し、mおよびnの少なくとも一方は0でなく、
    A、B、XおよびYはいずれも共有結合している。)
  3. 【請求項3】 ポリアルキレングリコール若しくはその
    反応性誘導体の分子量が500〜200000である請
    求項1記載の送達性物質。
  4. 【請求項4】 ポリアルキレングリコール若しくはその
    反応性誘導体および/またはリン脂質に共有結合する薬
    物が、抗炎症薬、免疫抑制薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、
    抗真菌薬、抗腫瘍薬、神経保護薬、血流改善薬、抗緑内
    障薬、鎮痛薬、麻酔薬、血管新生阻害薬抗炎症剤、免疫
    抑制剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗腫瘍剤、
    神経保護剤、血流改善剤、抗緑内障剤、鎮痛剤、麻酔
    剤、血管新生阻害剤または検査薬である請求項1記載の
    送達性物質。
  5. 【請求項5】 リン脂質が、下記一般式[2]で表され
    るリン化合物またはその塩である請求項1記載の送達性
    物質。 【化2】 (式中、RおよびRは、同一または異なって、水素
    原子、アルキル基、アルキルカルボニル基、アルキレン
    ケニル基またはアルキレンケニルカルボニル基を、Zは
    アミノアルキル基、ジアミノアルキル基、ヒドロキシア
    ルキル基またはジヒドロキシアルキル基をそれぞれ示
    す。)
  6. 【請求項6】 請求項5記載のRおよびRのうちの
    少なくとも一方が、ラウロイル基、ミリストイル基、パ
    ルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基またはリ
    ノレオイル基である請求項1記載の送達性物質。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のZが、アミノエチル基、
    ヒドロキシエチル基または2,3−ジヒドロキシプロピ
    ル基である請求項1記載の送達性物質。
  8. 【請求項8】 送達性物質における共有結合が、エステ
    ル結合、アミド結合、エーテル結合、カルバメート結
    合、ウレア結合、チオウレア結合、スルフィド結合、ジ
    スルフィド結合、スルホン結合、カーボネート結合また
    は炭素−炭素結合である請求項1記載の送達性物質。
  9. 【請求項9】 ポリアルキレングリコール若しくはその
    反応性誘導体、リン脂質および薬物を反応させて共有結
    合を形成した送達性物質を全身または局所に投与するこ
    とを特徴とする薬物デリバリーシステム。
  10. 【請求項10】 ポリアルキレングリコール若しくはそ
    の反応性誘導体、リン脂質および薬物を反応させて共有
    結合を形成した送達性物質を点眼投与することを特徴と
    する薬物デリバリーシステム。
  11. 【請求項11】 ポリアルキレングリコール若しくはそ
    の反応性誘導体、リン脂質および薬物を反応させて共有
    結合を形成した送達性物質を硝子体内に投与することを
    特徴とする硝子体、網膜または視神経への薬物デリバリ
    ーシステム。
  12. 【請求項12】 薬物が、抗炎症剤、免疫抑制剤、抗ウ
    イルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗腫瘍剤抗炎症薬、免疫
    抑制薬、抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬、抗腫瘍薬、
    神経保護薬剤、血流改善薬剤、抗緑内障薬剤、鎮痛薬
    剤、麻酔薬剤、血管新生阻害薬剤または検査薬である請
    求項9記載の薬物デリバリーシステム。
  13. 【請求項13】 薬物が、眼疾患の治療または予防のた
    めの薬物である請求項10記載の薬物デリバリーシステ
    ム。
  14. 【請求項14】 薬物が、網膜、視神経若しくは硝子体
    疾患の治療または予防のための薬物である請求項9記載
    の薬物デリバリーシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003070219A1 (fr) * 2002-02-22 2003-08-28 Santen Pharmaceutical Co., Ltd. Systeme d'administration de medicament destine a administrer de facon subconjonctivale des grains fins
JP2007262078A (ja) * 2000-04-03 2007-10-11 Santen Pharmaceut Co Ltd 送達性物質およびそれを利用した薬物デリバリーシステム
CN117447689A (zh) * 2023-12-21 2024-01-26 宁德时代新能源科技股份有限公司 聚合物、正极材料组合物及其应用

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