JP2002322555A - ダイヤモンドライクカーボン多層膜 - Google Patents

ダイヤモンドライクカーボン多層膜

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JP2002322555A
JP2002322555A JP2001126827A JP2001126827A JP2002322555A JP 2002322555 A JP2002322555 A JP 2002322555A JP 2001126827 A JP2001126827 A JP 2001126827A JP 2001126827 A JP2001126827 A JP 2001126827A JP 2002322555 A JP2002322555 A JP 2002322555A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が低く、優
れた摺動特性を有するダイヤモンドライクカーボン多層
膜を提供する。 【解決手段】 膜密度の低いダイヤモンドライクカーボ
ンで形成された低密度炭素層4と、膜密度の高いダイヤ
モンドライクカーボンで形成された高密度炭素層5とが
交互に積層される。前記低密度炭素層4は平均の膜密度
が2.2g/cm3以下であり、一方前記高密度炭素層5は
平均の膜密度が2.3〜3.2g/cm3である。前記高密
度炭素層5は膜中に含まれる水素成分が5at%以下であ
る。前記低密度炭素層4の層厚T1は0.4〜30nm
であり、前記高密度炭素層5の層厚T2は0.4〜10
nmであり、T1/T2が5〜0.2とされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は工具,金型などの耐
摩耗性部材、自動車用部品,家電部品に代表される産業
用もしくは一般家庭用の機械部材・摺動部材、カードや
チケットの自動読み取り機やプリンターなどの書き込み
/読み取りヘッドの保護膜などに用いられ、特に耐摩耗
性と高い摺動特性とが要求される表面保護膜として好適
なダイヤモンドライクカーボン多層膜に関する。
【0002】
【従来の技術】硬質炭素膜は、一般的にダイヤモンドラ
イクカーボン(以下、DLCと略記する場合がある。)
膜と呼ばれる。DLCは、硬質非晶質炭素、無定形炭
素、硬質無定形炭素、i−カーボン、ダイヤモンド状炭
素など様々な呼称が用いられているが、これらの用語に
特に明確な区別はない。このようなさまざまな用語が使
われるDLCの本質は、構造的にタイヤモンドとグラフ
ァイトが混ざり合った両者の中間の構造を有しているこ
とにあり、ダイヤモンドと同様に、硬度、耐摩耗性、固
体潤滑性、熱伝導性、化学的安定性等に優れていること
から、例えば摺動部材、金型、切削工具類、耐摩耗性機
械部品、研磨材、磁気・光学部品等の各種部材の表面保
護膜として利用されつつある。
【0003】DLC膜の特質として、鉄、アルミ等の金
属や、ガラス等のセラミックスなどのさまざまな相手材
料との接触において摩擦係数(以下、μと記載する場合
がある。)が小さいことが挙げられる。しかし、DLC
膜の摩擦係数は測定環境や相手材により大きく変化する
ことが知られており、一般的に、例えば鉄系の相手材の
場合には大気中では0.15〜0.4、真空中や乾燥窒
素雰囲気では0.1以下となる。DLC膜の低μ化機構
については数多くの研究がなされているが、一般的には
DLC膜より相手材に炭素原子が付着し、これがグラフ
ァイト化し、グラファイトのc面(π結合面)で滑り変
形し、自己潤滑材として働くことによって低μ化するも
のと考えられている。
【0004】DLC膜を硬質コーティング膜として実用
に供する場合、鉄系相手材に対して0.1程度の低摩擦
係数の実現、耐摩耗性を左右する薄膜硬度の確保、コー
ティングの信頼性に関わる基材との密着性の確保はそれ
ぞれ必須の条件であり、これらの条件に関して多くの提
案がなされている。特に有力な手投としては、DLCへ
の合金元素の添加と、膜の積層構造化が挙げられる。合
金元素の添加については、例えばSiを添加した場合、
μは0.1〜0.15であり、硬度は30GPa程度で
あることが報告されている。DLCの積層構造化は内部
応力の低減や密着度の改善、厚膜化による耐久性の向
上、耐腐食性の向上に寄与し、また電気抵抗を制御する
有力な手段として認識されており、例えば、以下の技術
が知られている。
【0005】(1) 特開平5−65625号公報には、基
板上に硬質炭素膜と、硬質炭素膜との親和性の高い材料
である、シリコン、ゲルマニウム、炭化ケイ素、窒化ケ
イ素、二酸化ケイ素、ガラス、アルミナから選ばれた1
種類以上のバッファ層とを交互に積層し、最外層を硬質
炭素膜とする積層体が記載されている。 (2) 特開平10−237827号公報には、硬質炭素膜
もしくは少なくとも1種類以上の金属元素が添加された
硬質炭素膜と、少なくとも1種類以上の金属または金属
炭化物または金属窒化物または金属炭窒化物が繰り返し
交互に積層された積層体、もしくは異なる種類の金属元
素または異なる添加量の金属元素が添加された少なくと
も2種類以上の硬質炭素膜が繰り返し交互に積層された
積層体が記載されている。 (3) 特開平10−226874号公報には、電気抵抗率
が少なくとも2桁相違する硬質炭素膜が交互に積層され
た積層体が記載されている。 (4) 特開平11−1013号公報には、サーマルヘッド
の保護膜として、炭素を主成分とする炭素層と、Si、
Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Moおよび
Wからなる群より選択される少なくとも1種以上または
少なくとも2種以上からなる半金属または金属の合金を
主成分とする金属層との積層膜が記載されている。 (5) 特開平10−72288号公報には、真空状態下
で、炭素化合物ガスを含む成膜用原料ガスを電圧印加に
よりプラズマ化し、薄膜状炭素層および微粒子状炭素層
からなる炭素層単位が1つあるいは2つ以上形成された
炭素膜により応力を低減し、密着性の改善と厚膜化によ
り耐久性を改善することが記載されている。 (6) 特開平9−298097号公報には、DLC積層膜
において、導電性膜およびその導電性膜に比して硬度の
高い膜を交互に、少なくとも3層以上積層し、最外層を
導電性膜とする積層体が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】DLCに代表される硬
質炭素膜の高い摺動特性は、それに含まれる、もしくは
摺動中に摺動界面に形成されるグラファイト結晶のπ結
合面のすべりによる自己潤滑に起因するものと考えられ
ている。よって、グラファイト自体は変形しやすく、硬
質炭素膜自体に微粒子状のグラファイトを含むような膜
では、摩擦係数は低く摺動性は良好となるが、膜硬度自
体が低いため、摺動による摩耗が激しい。すなわち、低
摩擦係数を得ようとすると高硬度が得られない、もしく
は低摩擦係数でも低硬度であれば耐摩耗性が不十分とな
り、いずれにしてもコーティング膜としては耐久性が不
足するという問題が生じる。逆に、DLC膜中のグラフ
ァイト成分を少なくした場合には、膜硬度は増加して耐
摩耗性を確保できるが、グラファイトの自己潤滑性によ
る低摩擦係数化は十分に達成されない。このため、従来
の単層構造のDLCや、積層構造のものでも、少なくと
も実用上必要とされる0.1〜0.15程度の低摩擦係
数が安定的に実現され、かつ高耐摩耗性を備えたDLC
膜は得られていない。
【0007】また、硬質コーティング膜材料として従来
から使われているTiN、TiAlN、CrNなどの金
属窒化物の場合には、成膜時に生じるマクロパーティク
ルと呼ばれる飛沫粉や、相手材との摩擦により相手材を
攻撃して、あるいは相手材に攻撃されることで生じる摩
耗粉を潤滑材として利用することで摩擦係数を低減させ
ている。しかし、かかる硬質材料を用いる場合、摺動部
材の消耗、摩擦係数の経時的な増加、摩耗粉による目詰
まりなどのトラブルが生じる。
【0008】本発明はかかる問題に鑑みなされたもの
で、耐摩耗性に優れ、かつ摩擦係数が低く、しかも相手
材に対する攻撃性が低い、優れた摺動特性を有するダイ
ヤモンドライクカーボン膜を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、DLCの
微細構造によって摩擦係数や薄膜硬度の発現が大きく影
響を受けることに注目し、微細構造の異なるDLC超薄
膜を機能的に積層させ、微細構造と摺動特性との関係を
調べた。その結果、DLC膜の膜密度を制御し、膜密度
が異なる2種類のDLC膜を適当な膜厚、周期にて積層
させることで優れた耐摩耗性と摺動特性が得られること
を知見し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明によるダイヤモンドライ
クカーボン多層膜は、膜密度の低いダイヤモンドライク
カーボンで形成された低密度炭素層と、膜密度の高いダ
イヤモンドライクカーボンで形成された高密度炭素層と
が交互に積層され、前記低密度炭素層は平均の膜密度が
2.2g/cm3以下であり、一方前記高密度炭素層は平均
の膜密度が2.3〜3.2g/cm3であり、前記高密度炭
素層は膜中に含まれる水素成分が5at%以下であり、前
記低密度炭素層の層厚が0.4〜30nmであり、前記
高密度炭素層の層厚が0.4〜10nmであり、前記低
密度炭素層の層厚T1と高密度炭素層の層厚T2の比T
1/T2が5〜0.2とされたものである。前記多層膜
において、好ましくは最外層を前記低密度炭素層で形成
し、その層厚を2〜200nmとするのがよい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態にかかるDLC
多層膜は、図1に示すように、基材1の表面に中間層2
を介して積層形成された多層膜3であって、膜密度の低
いDLCによって形成された低密度炭素層4と、膜密度
の高いDLCによって形成された高密度炭素層5とが交
互に積層された積層部7を有し、さらにその上に前記層
4と同様の低密度炭素層で形成された最上層6が形成さ
れている。
【0012】ここで、多層膜3においてDLCで形成さ
れた炭素層の密度を変えて積層する技術的意義について
詳しく説明する。DLC膜において、耐摩耗性の向上を
図るには、摩擦面における膜の塑性変形を避けることが
必要である。すなわち、塑性指数を小さくすることが望
しく、この塑性指数は材料表面の形状とともに材料の性
質である弾性定数E、膜硬度Hおよびこれらの比E/H
に強く依存するものであり、材料的にはE,Hが大き
く、E/Hの小さな材料が良いとされる(『薄膜トライ
ポロジー』、榎本,三宅著、東京大学出版会発行、p5
8)。金属材料の場合、E/Hは種類によらずほぼ一定
であるが、金属に比してE/Hの小さなセラミックスで
は耐摩耗性が高く、硬質コーティング膜として好適な所
以である。また、材料の摩耗率はHに反比例する。一
方、摩擦係数は摩擦面でのせん断応力に対する抵抗力に
依存し、これはコーティング膜表面の硬度と密接な相関
を持つ。例えば、固体潤滑膜として用いられるグラファ
イト、ニ硫化モリブデン、銀、インジウムなどは硬度が
低く、せん断カに対する抵抗力が小さいため、摩擦係数
は低い値をとる。
【0013】上記説明より、DLC膜であっても、単一
の材質である限り、耐摩耗性と低摩擦係数とを同時に実
現することは本質的に不可能である。一方、本発明者
は、DLC膜の機械的特性およびそれに相関した耐摩耗
性や摺摺動特性について鋭意研究した結果、これらの特
性はDLC膜の膜密度と密接な関係を持ち、膜密度とい
うマクロ的なパラメータにより制御が可能であることを
知見した。そこで、炭素層を形成する過程で、膜密度に
所定差を付けて、摩擦係数の低減による摺動性に寄与す
る低密度炭素層と、耐摩耗性が高いことで摩擦耐久性の
向上に寄与する高密度炭素層とを所定条件の下で連続的
に交互に多層化して形成させることによって、両特性を
満足するDLC膜を得ることに成功した。以下、必要と
される膜密度についてさらに説明する。
【0014】前記低密度炭素層4のDLCの平均の膜密
度は、2.2g/cm3以下とし、好ましくは2.0g/cm3
以下とするのがよい。平均膜密度を2.2g/cm3以下と
することで、弾性定数が200GPaより小さく、さら
に膜硬度も30GPaより小さくなり、摩擦面でのせん
断応力に対して変形し易く、摩擦係数を小さくすること
ができる。一方、前記高密度炭素層の平均の膜密度は
2.3g/cm3以上、好ましくは2.5g/cm3以上とする
のがよい。平均膜密度を2.3g/cm3以上とすることに
より、弾性定数が300GPaより大きく、さらに膜硬
度も50GPaより大きくなり、十分な耐摩耗性を備え
るようになる。もっとも、膜密度が高くなり過ぎると、
膜の固有応力も過大となり、使用時の負荷応力による変
形能が低下し、剥離や膜破壊などの問題が生じるように
なるので、3.2g/cm3以下、好ましくは3.0g/cm3
以下、より好ましくは2.7g/cm3以下に止めるのがよ
い。
【0015】前記膜密度は炭素層における平均値を意味
するものであり、炭素層の厚さ方向における密度分布の
形態を問わない。例えば、図2に示すように、各炭素層
における膜密度が一定の形態(A)に限らず、膜密度が
層内で厚さ方向に傾斜状に変化する形態(B)または
(C)をとってもよい。なお、膜密度は、ラザフォード
バックスキャッタリング(RBS)法やX線反射率法、
もしくはSink-Float法(ASTMD729)やDensity
Gradient Column法(ASTMD1505)などによっ
て測定することができる。
【0016】前記高密度炭素層5における水素含有量は
少ない程良く、5at%以下に止めることが望ましい。不
純物である水素を5at%以下に抑制することによって、
高膜密度下における膜硬度、弾性定数を容易に高めるこ
とができ、耐摩耗性をより向上させることができる。炭
素層の膜密度とその中に含まれる水素との関係について
は、Scheibeらが報告(IEEE Tran. On Plasma Sci., vo
l 25(1997),p685)しているように、DLCの膜密度は
弾性定数Eおよび膜硬度Hに密接に相関することが知ら
れている。すなわち、膜密度が高いとEおよびHがとも
に大きくなり、膜密度が低いとEおよびHがともに低く
なる。これはDLCに含まれる不純物元素によって増減
率が異なるが、特に水素が5at%より少なく含まれる場
合、その相関度が大きくなり、高膜密度の下ではEおよ
びHがともに大きな値をとるため、塑性指数が小さくな
って耐摩耗性をより向上させることができる。
【0017】前記低密度炭素層4の層厚は、0.4nm
以上、30nm以下とすることが好ましく、前記高密度
炭素層5の層厚は0.4nm以上、10nm以下とする
ことが好ましい。低密度炭素層4、高密度炭素層5が各
々0.4nm未満では各層がその特性を維持することが
困難になる。また、低密度炭素層4が30nm超では、
この層はせん断応力に対する抵抗が低いため、摩擦によ
る消耗量が増大し、トラブルの原因となる。一方、高密
度炭素層5が10nm超では、摩擦面や摺動面に露出し
た部分において、この層での摩擦が全体の摺動特性に影
響するようになり、またこの層はせん断応力に対する抵
抗性が大きいために、摩擦係数が増大するようになる。
【0018】また、前記低密度炭素層4の層厚をT1、
前記高密度炭素層5の層厚をT2としたとき、層厚比T
1/T2を5〜0.2とすることが望ましい。層厚比の
決定に際しては、低密度炭素層4は厚すぎず、高密度炭
素層5は薄すぎず、コーティング膜全体の摩擦のせん断
応力に対する抵抗力がバランスするようにすることが必
要である。層厚比T1/T2が5超となり、低密度炭素
層4が高密度炭素層5に比して著しく厚くなると、低密
度炭素層4は摩擦に対する抵抗力が小さいために変形量
が大きくなり、また高密度炭素層5が相対的に薄くなる
ことと相まって、耐摩耗性の低下を招く。一方、比T1
/T2が0.2未満となり、高密度炭素層5が低密度炭
素層4に比して著しく厚くなると、摩擦に対する変形量
が小さくなり、摩擦係数の上昇をまねく。
【0019】また、前記最外層6は必ずしも必要とされ
るものではないが、最外層6として低密度炭素層を設け
ることにより、摺動初期における表面の変形が容易にな
り、さらに相手材への炭素原子の付着を促進することが
でき、特に摺動試験初期において摩擦係数の低減を実現
することができる。もっとも、最外層6の厚さが2nm
未満では前記作用が過少であり、一方200nmを超え
ると摩擦による消耗量が増大し、摺動部分での摩耗粉の
発生により、摩擦が滑らかに起こらないようになり、す
なわち摩擦係数が不安定になり、さらに摩擦量が増加す
るなどのトラブルの原因となるので、最外層6の厚さは
2〜200nmとするのがよい。
【0020】また、低密度炭素層4と高密度炭素層5と
の1組の層さ方向の繰り返し周期は30nm以下、好ま
しくは10nm以下にすることが望ましい。積層膜を3
0nm以下の超薄膜とすることにより、両層の特性が効
率的に摺動面での摩擦現象に対して発揮され、優れた耐
摩耗性と低い摩擦係数を安定的に実現することができ
る。また、最外層6を設ける場合、最外層6より内側の
積層部7の厚さを最外層6より少なくとも500nm以
上とすることが好ましい。なお、最外層6を積層部7に
おける低密度炭素層4の層厚よりも厚く形成する場合、
前記T1、T2、T1/T2、繰り返し周期の数値につ
いては積層部7における低密度炭素層4、高密度炭素層
5についての推奨値を意味する。
【0021】前記多層膜3を積層形成する基材1として
は、超硬合金、鉄系合金、チタン系合金、アルミ系合
金、銅系合金、ガラス,アルミナなどのセラミックス、
Si、樹脂材料等の適宜の金属材、非金属材を用いるこ
とができる。また、前記基材1と多層膜3との間に設け
られる中間層2は、基材1と多層膜3との密着性を確保
する役目をなすものであり、かかる作用を有するタング
ステン等の金属や、例えば特開平10−29718号公
報に記載された金属と炭素の混合物、あるいは基材の保
護等のための金属もしくは半金属の炭化物、または金属
もしくは半金属の窒化物、または金属もしくは半金属の
炭窒化物を用いることができる。なお、中間層2は単層
に限らず、複層とすることもできる。
【0022】本発明の多層膜の形成方法には特に制限は
ないが、固体炭素を蒸発源(ターゲット)として、スバ
ッタリングにより形成する方法は、ナノメートル(n
m)オーダーでの層厚や膜密度の制御を容易に行うこと
ができるので好ましい。また、炭素膜中の水素を低減さ
せるという観点からも、成膜原料ガスとしてメタン等の
炭化水素ガスを用いて炭素膜を成膜する手法は不適当で
あり、固体炭素をターゲットとするスパッタリングが好
ましい。
【0023】低密度炭素層4を形成する場合は特に基板
に負のバイアス電圧を印加する必要はないが、高密度炭
素層5を形成する場合は負のバイアス電圧を印加するこ
とが好ましい。すなわち、基板に負の直流電圧、直流パ
ルス電圧もしくは高周波バイアス電圧を印加し、その印
加電圧により成膜時に膜の堆積と同時にイオンを照射す
るようにして、イオン打ち込み効果で膜密度を上げるよ
うに制御することが好ましい。一般に通常のスパッタリ
ングでは、バイアス電圧の印加による手法では膜密度が
2.6g/cm3を超える硬質炭素膜を形成することは難し
いが、誘導結合プラズマ(IPC)法や高周波プラズマ
(rf)法をスバッタリングに付加したり、もしくはア
ークイオンプレーティングやレーザーアプレーション等
を付加することによって、炭素のイオン化率を高めるこ
とでスパッタリングによっても2.6g/cm3を超える硬
質炭素膜を容易に形成することができる。
【0024】ところで、既述の通り、前記特開平10−
226874号公報には電気抵抗率が少なくとも2桁相
違する2種類の硬質炭素膜が交互に積層されたDLC膜
が記載されているが、本質的に電気抵抗率と膜密度とは
関係がない。また、同公報に記載された実施例1,2お
よび4のように炭化水素ガスを原料ガスとして成膜する
と、例え密度が高くなっても、水素を多量に含み、弾性
率Eや硬度Hが高くならず、耐摩耗性を向上させること
ができない。また、実施例3のようにカソードアークイ
オンプレーティング法では基板電圧を600Vから60
Vに変化させても2.1g/cm3以下の低密度膜を成膜す
ることはできないものと推測される。また、前記特開平
10−72288号公報には薄膜状炭素層と微粒子状炭
素層とを交互に積層されたDLC膜が記載されている
が、本発明では粒子状炭素層は必須ではなく、またこれ
らの炭素層は炭化水素ガスを成膜用原料ガスとして用い
ることが記載されており、前記と同様、かかる炭化水素
ガスを原料ガスとして成膜する限り、本発明にかかる耐
摩耗性の良好な高密度炭素層を形成することは困難であ
る。また、特開平9−298097号公報には導電性膜
とそれより硬度の高い絶縁性膜とを交互に積層したDL
C膜が記載されているが、前記絶縁性膜はソースガスと
してメタンガスを用いて成膜するものであり、上記の通
り、かかる炭化水素ガスをソースガスとして用いる限
り、本発明にかかる耐摩耗性の良好な高密度炭素層を形
成することは困難である。
【0025】次に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明は下記実施例によって制限的に解釈
されるものではない。
【0026】
【実施例】まず、摩擦係数・耐摩耗性測定用として直径
50mm、厚さ約8mmのSKH(高速度鋼)基材、膜
密度・膜中水素量測定用として2インチ径、厚さ約20
0μm のSiウエハー基材を準備した。これら基材を成
膜前処理としてアセトンにて脱脂し、20分間超音波洗
浄した後、圧縮空気を噴射して十分に乾燥させた。こう
した処理を施した基材を、スパッタチャンバー内にセッ
トして、3×10-6torr以下に真空引きした。その後、
動作ガスとしてArガスを3 mtorr圧までチャンバー内
に導入し、高周波電源を印加してArプラズマを生成さ
せ、Arイオンによる基材表面のスバッタエッチングを
rfパワー200Wにて5分間実施した。
【0027】摩擦係数・耐摩耗性測定用試料として、前
記SKH基材の表面に下記の要領にて図1に示す多層膜
あるいは単層膜をコーティングした。多層膜の場合、最
外層6を低密度炭素層で形成するようにした。最外層を
除く積層部7を構成する低密度炭素層4の層厚T1、高
密度炭素層5の層厚T2、層厚比T1/T2、積層数お
よび最外層6の層厚を表1に示す。表1には層4と層5
とを一組とする積層周期、積層数も併記した。 (1) 試料No. 23以外 SKH基材に対して、まず第1中間層としてWメタル層
を厚さ約50nmで形成し、さらに回転成膜により第2
中間層としてW−炭素混合非晶質層を厚さ約200nm
形成した。さらにその上に低密度炭素層4および高密度
炭素層5を交互に形成し、最後に最外層6を成膜した。 (2) 試料No. 23 SKH基材の上に、まずアークイオンプレーティング成
膜装置にて下地中間層としてTiAlN層を1μm 形成
し、その上にスバッタリング法にて第1中間層のTiメ
タル層を厚さ約50nm形成し、さらに回転成膜により
第2中間層であるTi−炭素混合非晶質層を厚さ約20
0nmで形成した。さらにその上に低密度炭素層4およ
び高密度炭素層5を交互に形成し、最後に最外層6を成
膜した。
【0028】前記中間層、低密度炭素層、高密度炭素層
および最外層はいずれも島津製作所製HSM−752ス
パッタリングシステムによるdcマグネトロンスパッタ
リングにより行った。共通する成膜条件として、ターゲ
ット/基材間距離は55mm、基材温度は室温、金属タ
ーゲットに対しては通常のカソード構造(以下CMと略
す。)を用い、カーボンターゲットにはUBM(アンバ
ランスドマグネトロン)カソード構造を用いて成膜し
た。成膜パワーは第1中間層が500W、第2中間層で
は金属ターゲットについてパワーを500Wから0Wに
滑らかに減少させた。また、カーボンターゲットにおい
てはパワーを0Wから1kWに滑らかに増加させて、組
成が連続的に変化する傾斜層を設けた。低密度炭素層4
(最外層6を含む。)の形成においては基材にはバイア
ス電圧を印加することなく、一方高密度炭素層5の形成
においては所定のdcバイアス電圧を印加した。さら
に、No. 16〜18および34では高密度炭素層の成膜
時に結合誘導プラズマを付加して積層部の成膜を実施し
た。また、No. 20〜22では、低密度炭素層4につい
て水素化の悪影響がないことを確かめるため、低密度炭
素層4の成膜時のみメタンガスをチャンバー内に導入
し、Arガスに対するメタンガスの分圧を5〜20%と
して低密度炭素層4を水素化した。
【0029】一方、膜密度・膜中水素量測定用試料とし
て、Siウエハー基材に中間層を形成することなく、前
記多層膜の各層を成膜する際と同条件により、単層の低
密度炭素層あるいは高密度炭素層を成膜した。
【0030】
【表1】
【0031】作製された試料について、下記の方法によ
って、摩擦係数、耐摩耗性並びに膜密度および水素含有
量を測定評価した。 (1) 摩擦係数 HEIDON式往復摺動試験機を用いて摩擦係数を測定
した。このとき試料はステージに固定し、直径約8mm
のSUJ2製鋼球を用いて試料表面に負荷4.9N、摺
動速度20mm/sec 、摺動幅10mmで摺動試験をお
こない、積算摺動距離0〜5m、50〜150m、15
0〜200mでの平均摩擦係数と、積層摺動距離が1k
mに達した時の摩擦係数を測定した。試験環境は大気中
で、気温20〜26℃、湿度40〜80%に制御した。 (2) 耐摩耗性 上記HEIDON式往復摺動試験の後、摺動痕の部分の
深さを触針式の表面粗さ計にて測定し、摩耗した体積を
測定し、摺動距離と荷重に対する比摩耗量を計算し、耐
摩耗性を評価した。 (3) 膜密度および水素含有量 Siウエハー基材に成膜した単層の低密度炭素層あるい
は高密度炭素層に対してラザフォードバックスキャッタ
リング(RBS)法によって膜密度および層中の水素含
有量を測定した。上記測定結果を表2に示す。同表には
水素含有量については示されていないが、低密度炭素層
の水素含有量はNo. 20が6at%、No. 21および22
が各々10at%、他の試料は1at%未満であった。高密
度炭素層についても1at%未満であった。
【0032】
【表2】
【0033】表2より、発明例のDLC硬質多層膜(N
o. 1〜26)によれば、摺動初期の摩擦係数はやや高
いものの、その後は安定的に0.15以下の摩擦係数が
得られ、耐摩耗性にも優れており、相手材への攻撃性も
非常に小さいことがわかる。もっとも、No. 26のよう
に、最外層が300nmと厚過ぎると、摩耗量が増大
し、摩擦係数が不安定になる。
【0034】一方、高密度炭素層のみの単層膜(No. 3
1)あるいは低密度単層膜のみの単層膜(No. 32)で
は、摺動初期の摩擦係数が0.2を越えたり、摺動距離
が増えるに伴い摩擦係数が上昇するなどの問題があり、
また比摩耗量が大きく、耐久性に問題が生じることがわ
かる。また、DLC多層膜であっても、No. 33〜40
のように各硬質炭素層の平均膜密度、層厚、層厚比、最
外層の層厚が発明条件外となると、安定的に0.15以
下の良好な摩擦係数が得られなかったり、耐摩耗性が不
足し、高耐摩耗性と高摺動性の両立に欠ける多層膜とな
ることがわかる。
【0035】
【発明の効果】本発明のDLC硬質多層膜は、0.1〜
0.15程度の低摩擦係数が安定的に得られ、かつ耐摩
耗性に優れ、しかも相手材への攻撃性も小さいため、各
種摺動部材、特に自動車部品、工具、機械部品等の保護
膜や、カードやチケットの自動読取機やプリンターなど
の磁気ヘッドの保護膜などに好適に利用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかるDLC多層膜を備え
た部材の要部断面を示す模式図である。
【図2】平均膜密度の意味を明らかにするための厚さ方
向の密度分布形態を示す図である。
【符号の説明】
1 基材 2 中間層 3 多層膜 4 低密度炭素層 5 高密度炭素層 6 最外層 7 積層部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜密度の低いダイヤモンドライクカーボ
    ンで形成された低密度炭素層と、膜密度の高いダイヤモ
    ンドライクカーボンで形成された高密度炭素層とが交互
    に積層されたダイヤモンドライクカーボン多層膜であっ
    て、 前記低密度炭素層は平均の膜密度が2.2g/cm3以下で
    あり、一方前記高密度炭素層は平均の膜密度が2.3〜
    3.2g/cm3であり、前記高密度炭素層は膜中に含まれ
    る水素成分が5at%以下であり、前記低密度炭素層の層
    厚が0.4〜30nmであり、前記高密度炭素層の層厚
    が0.4〜10nmであり、前記低密度炭素層の層厚T
    1と高密度炭素層の層厚T2の比T1/T2が5〜0.
    2である、ダイヤモンドライクカーボン多層膜。
  2. 【請求項2】 最外層が前記低密度炭素層で形成され、
    その層厚が2〜200nmである請求項1に記載のダイ
    ヤモンドライクカーボン多層膜。
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