JP2002309485A - ポリエステル繊維構造体およびその製造方法 - Google Patents

ポリエステル繊維構造体およびその製造方法

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JP2002309485A
JP2002309485A JP2001112473A JP2001112473A JP2002309485A JP 2002309485 A JP2002309485 A JP 2002309485A JP 2001112473 A JP2001112473 A JP 2001112473A JP 2001112473 A JP2001112473 A JP 2001112473A JP 2002309485 A JP2002309485 A JP 2002309485A
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creep
polyester
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polyether block
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JP2001112473A
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Yuichiro Ikeda
裕一郎 池田
Tomoki Nakamura
知基 中村
Shigeru Takahashi
茂 高橋
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制電性、吸汗・吸水性、油汚れに対する防汚
性、およびその洗濯耐久性に優れたポリエステル繊維構
造体およびその製造法を提供すること 【解決手段】 主としてポリエステル繊維からなる繊維
構造体を、 (ア)テレフタル酸および/またはイソフタル酸 (イ)低級アルキレングリコール (ウ)ポリアルキレングリコールおよび/またはそのモ
ノエーテル からなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体の
一部がアニオン化されたポリエステルポリエーテルブロ
ック共重合体(A)で処理するに際し、下記式で定義す
るクリープ促進係数が4以上であるクリープ促進化合物
(B)を併用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制電、吸汗、防汚
等の機能の耐久性に優れたポリエステル繊維構造体およ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維製品は優れた物性を有
しており、下着類から外着類に至る衣料として、またシ
ーツ類等広範な分野に利用されているが、疎水性繊維で
あるため、制電性、吸汗・吸水性、油汚れに対する防汚
性等が劣るという欠点を有していた。
【0003】これらの欠点を改良する方法として、従来
から数多くの処理方法が提案されており、例えば、制
電、吸汗、防汚の機能を有する化合物をポリエステル繊
維構造体に付与する際、オゾン酸化、放射線、過酸化
物、電子線等によりグラフト重合する方法などが知られ
ている。
【0004】しかしながら、上記の方法は特殊な装置を
使用する必要があるためコストアップになる上、化合物
を均一に付着させるのが困難であるという欠点を有して
おり、従来より汎用されている設備で加工できる処理技
術が望まれていた。
【0005】一方、特公昭46−13197号公報に
は、テレフタル酸および/またはイソフタル酸、低級ア
ルキレングリコール並びにポリアルキレングリコールお
よび/またはそのモノエーテルからなるポリエステルポ
リエーテルブロック共重合体の水性液中にポリエステル
繊維構造体を浸漬して処理する、汎用設備での加工が可
能な方法が開示されており、該方法を採用すれば、制
電、吸汗、防汚性が一応満足されるものが得られるもの
の、洗濯に対する耐久性が不充分であるという問題があ
った。
【0006】このように従来提案されている方法はいず
れも加工設備が高価であったり、洗濯耐久性が不十分で
あるという欠点を有しており、制電性、吸汗・吸水性、
油汚れに対する防汚性、およびその洗濯耐久性に優れた
ポリエステル繊維構造体を、汎用の設備で安価に製造す
ることができる加工方法が切望されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
したような従来技術の欠点を改善して、制電性、吸汗・
吸水性、油汚れに対する防汚性、およびその洗濯耐久性
に優れたポリエステル繊維構造体およびその製造法を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討した結果、ポリエステル繊維構
造物に、その一部がアニオン化されたポリエステルポリ
エーテルブロック共重合体を固着させる際に、さらにク
リープ促進化合物を併用するとき、風合い等を悪化させ
ることなく制電性、吸汗・吸水性、油汚れに対する防汚
性の洗濯耐久性が格段に向上できることを究明し、本発
明に到達した。
【0009】かくして本発明によれば、(1)主として
ポリエステル繊維からなる繊維構造体であって、該繊維
構造体には、 (ア)テレフタル酸および/またはイソフタル酸 (イ)低級アルキレングリコール (ウ)ポリアルキレングリコールおよび/またはそのモ
ノエーテル からなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体の
一部がアニオン化されたポリエステルポリエーテルブロ
ック共重合体(A)と、下記式で定義するクリープ促進
係数が4以上であるクリープ促進化合物(B)とが含有
および/または固着されていることを特徴とする制電吸
汗防汚ポリエステル繊維構造体が提供される。
【0010】
【数3】
【0011】ここで、Lcは、120デニール/36フ
ィラメント、伸度120〜140%のポリエチレンテレ
フタレート部分配向糸(帝人(株)製、SD120/3
6E900HYN、以下POYと称する)の一方の端に
浮力を除く実質的な重量が50gの重りをつけ、30℃
の恒温状態に保ったクリープ促進化合物中に4時間浸漬
した後のPOYの伸び率を、浸漬前の長さを基準にして
計算した値である。
【0012】また、Laは、上記と同じPOYに浮力を
除く実質的な重量が50gの重りをつけ、30℃の空気
中に4時間放置した後のPOYの伸び率を、放置前の長
さを基準にして計算した値である。
【0013】また、本発明によれば、主としてポリエス
テル繊維からなる繊維構造体を、 (ア)テレフタル酸および/またはイソフタル酸 (イ)低級アルキレングリコール (ウ)ポリアルキレングリコールおよび/またはそのモ
ノエーテル からなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体の
一部がアニオン化されたポリエステルポリエーテルブロ
ック共重合体(A)で処理するに際し、下記式で定義す
るクリープ促進係数が4以上であるクリープ促進化合物
(B)を併用することを特徴とする制電吸汗防汚ポリエ
ステル繊維構造体の製造方法が提供される。
【0014】
【数4】
【0015】ここで、Lcは、120デニール/36フ
ィラメント、伸度120〜140%のポリエチレンテレ
フタレート部分配向糸(帝人(株)製、SD120/3
6E900HYN、以下POYと称する)の一方の端に
浮力を除く実質的な重量が50gの重りをつけ、30℃
の恒温状態に保ったクリープ促進化合物中に4時間浸漬
した後のPOYの伸び率を、浸漬前の長さを基準にして
計算した値である。
【0016】また、Laは、上記と同じPOYに浮力を
除く実質的な重量が50gの重りをつけ、30℃の空気
中に4時間放置した後のPOYの伸び率を、放置前の長
さを基準にして計算した値である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のポリエステル繊維構造体
を構成するポリエステルは、実質的にポリエチレンテレ
フタレート、ポリトリメチレンテレフタレートまたはポ
リブチレンテレフタレートからなり、これらに必要に応
じて公知の第三成分を共重合したポリエステルが適宜用
いられる。また、上記ポリエステル繊維は製造法による
制約を受けず、目的に応じ、FOY(Fully Oriented Y
arn)、POY(Ppartially Oriented Yarn)、USY(Ul
tra Speed Spinning Yarn)等のいずれの繊維でも使用で
きる。また、複合紡糸されたポリエステル繊維へ適応す
ることも可能である。
【0018】繊維構造体の形状は、綿状、糸状、織物、
編物、不織布等任意の形状が採用でき、レーヨン等の天
然繊維、再生繊維や、ナイロン、アクリル等ポリエステ
ル以外の合成繊維を混紡、混繊、交織編したものでもよ
い。 本発明で使用するポリエステルポリエーテルブロック共
重合体は、 (ア)テレフタル酸および/またはイソフタル酸 (イ)低級アルキレングリコール (ウ)ポリアルキレングリコールおよび/またはそのモ
ノエーテル からなり、その一部がアニオン化されている。
【0019】具体的には、テレフタル酸−アルキレング
リコール−ポリアルキレングリコール、テレフタル酸−
アルキレングリコール−ポリアルキレングリコール、テ
レフタル酸−アルキレングリコール−ポリアルキレング
リコールモノエーテル、テレフタル酸−イソフタル酸−
アルキレングリコール−ポリアルキレングリコールモノ
エーテル等の共重合体の一部がアニオン化されたものが
挙げられる。
【0020】ここで、その一部がアニオン化されてい
る、とは該ブロック共重合体の少なくとも一部分がアニ
オン化されているという意味であり、より好ましくは片
末端または両末端がアニオン化されたものが挙げられ
る。片末端、両末端をアニオン化したものは、高温にお
いても安定して存在することができるため加工斑がなく
なる。また制電、吸汗、防汚性能も向上し、安定した耐
久性ある優れた制電、吸汗、防汚性能を持つポリエステ
ル繊維構造体を得ることができる。
【0021】上記ブロック共重合体の製造に用いるアル
キレングリコールとしては、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタ
メチレングリコールが好適であり、ポリアルキレングリ
コールとしては、通常平均分子量が400〜1200
0、好ましくは600〜6000のポリエチレングリコ
ール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコ
ール共重合体、ポリプロピレングリコールが好適であ
る。
【0022】また、ポリアルキレングリコールのモノエ
ーテルとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール等のモノメチルエーテル、モノエチルエ
ーテル、モノフェニルエーテル等が好適であるが、機能
性向上効果の点からはポリエチレングリコールのモノエ
ーテル類が特に好適である。
【0023】また、上記ブロック共重合体はテレフタレ
ート単位:イソフタレート単位が95:5〜50:50
(モル比)の範囲内にあることが機能性向上効果の点か
ら特に好ましく、また、テレフタレート単位:イソフタ
レート単位が3:1〜10:1(モル比)の範囲内にあ
ることが機能性向上効果の点から特に好ましい。さらに
該ブロック共重合体の平均分子量は使用するポリアルキ
レングリコールの分子量にもよるが、通常1000〜2
0000、好ましくは3000〜10000である。平
均分子量が1000未満では機能性向上効果が低下する
傾向があり、また20000を超えると該ブロック共重
合体の分散が悪くなる傾向が認められる。
【0024】上記ブロック共重合体は、その一部がカル
ボキシル基によりアニオン化されていることが必要であ
り、かくすることにより加工液の安定性および制電、吸
汗、防汚性能が向上する。
【0025】また、上記ポリエステルポリエーテルブロ
ック共重合体は、酸成分として、テレフタル酸、イソフ
タル酸或いはそれらのエステル形成誘導体、および/ま
たは5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルなどの
スルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分を全酸成分に
対して0〜40モル%含み、該芳香族ジカルボン酸とエ
チレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオ
ール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコール成
分および下記一般式で示される、分子量600〜400
0のポリエチレングリコール成分またはそのエステル形
成性誘導体を20〜80重量%、好ましくは40〜80
重量%含む共重合体である。
【0026】
【化3】
【0027】但し、Rは水素またはアルキル基、アリー
ル基、シクロアルキル基であり、nは分子量できまる正
の整数である。
【0028】上記共重合体中にスルホン酸金属塩基含有
ジカルボン酸が含まれていない場合、水溶液中のポリエ
ステルポリエーテルブロック共重合体の濃度は50重量
%以上が望ましく、50%より少ないと水分散性が悪
く、乳化分散性が困難になる上、十分な吸水性、制電性
が得られない。また、スルホン酸金属塩基含有ジカルボ
ン酸は全酸成分にたいして、0〜40モル%であること
が好ましい。該成分が40モル%より多くなると樹脂被
膜が硬くまた脆くなり、水溶性も上がりすぎ耐久性が低
下するためである。
【0029】本発明で使用するクリープ促進化合物と
は、ポリエステル繊維を膨潤させる化合物であり、いわ
ゆるキャリヤーを除くものである。ここでいうキャリヤ
ーとは、例えば「染色ノート第22版」(色染社)や
「繊維加工」の13巻10号(1961年)、957〜
964頁に記載の、三石 賢著「Polyester Fiber の染
色におけるCarrierについて」、或いは「繊維加工」の
11巻12号(1959年)、1188〜1192頁に
記載の、清水 融著「テトロンのキャリヤー染色
(下)」などに例示されているものをさす。
【0030】具体的には、安息香酸、安息香酸エステル
等の安息香酸誘導体、サリチル酸、サリチル酸エステル
等のサリチル酸誘導体、フェノール、m−クレゾール等
のフェノール類、モノクロロベンゼン、トリクロロベン
ゼン等のハロゲン化芳香族類、アセトフェノン等のケト
ン類、ハロゲン化フェノール類、オルトフェニルフェノ
ール等のフェニルフェノール類、アニソール等のエーテ
ル類、ジおよびトリフェニルメタン類、ジフェニル誘導
体の他、メチルナフタレン、ナフトール等のナフタレン
類、アニリン類等を挙げることができる。
【0031】本発明で使用する上記のクリープ促進化合
物は、下記式で示されるクリープ促進係数が4以上であ
ることが必要である。
【0032】
【数5】
【0033】ここで、Lcは、120デニール/36フ
ィラメント、伸度120〜140%のポリエチレンテレ
フタレート部分配向糸(帝人(株)製、SD120/3
6E900HYN、以下POYと称する)の一方の端に
浮力を除く実質的な重量が50gの重りをつけ、30℃
の恒温状態に保ったクリープ促進化合物中に4時間浸漬
した後のPOYの伸び率を、浸漬前の長さを基準にして
計算した値である。
【0034】また、Laは、上記と同じPOYに浮力を
除く実質的な重量が50gの重りをつけ、30℃の空気
中に4時間放置した後のPOYの伸び率を、放置前の長
さを基準にして計算した値である。
【0035】上記のクリープ促進係数が4未満の場合
は、本発明の効果が充分に奏されない。
【0036】本発明で使用するクリープ促進化合物とし
ては、例えば下記一般式(I)で示されるアルキレンオ
キサイド誘導体が好ましく例示でき、中でも分子量20
00以下のものが、本発明の効果を顕著に示す。
【0037】
【化4】
【0038】式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立
に炭素数1〜8のアルキル基を表し、mは0〜2の整
数、nは2〜10の整数である。
【0039】本発明においては、先ず、ポリエステル繊
維からなる繊維構造体を前述のポリエステルポリエーテ
ルブロック共重合体で処理するに際し、上記クリープ促
進化合物を併用し、ポリエステルポリエーテルブロック
共重合体及びクリープ促進化合物を繊維構造体に含有お
よび/または固着させることが肝要である。ここで、併
用とは、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体に
よるポリエステル繊維の処理が終了する以前の段階にお
いて、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体とク
リープ促進化合物とを共存させることを言い、共重合体
およびクリープ促進化合物の添加の順序には制限はな
い。
【0040】また、ポリエステルポリエーテルブロック
共重合体によるポリエステル繊維の処理とは、ポリエス
テル繊維糸条又はそれからなる織物、編物、不織布等の
繊維構造体を、該共重合体を含む水溶液、水系エマルジ
ョン或いは有機溶媒の溶液に浸漬後、加熱処理したり、
ポリエステル繊維糸条又はそれからなる織物、編物、不
織布等の繊維構造体を染色する際に染浴に該共重合体を
添加する等、従来公知の付着及び/または含浸浸漬方法
を言い、ポリエステル繊維の紡糸工程や延伸工程、仮撚
や他の繊維糸条との混繊工程において、油剤付与ローラ
ーのようなローラーを用いて付着させる態様、さらには
製織の準備工程において、糊付ローラーのようなローラ
ーを用いて付着させる態様をも含むものである。中で
も、染色する際の染浴に該共重合体及びクリープ促進化
合物を添加する染色同時処理が耐久性向上効果が大きい
点で好ましい。
【0041】この際、ポリエステルポリエーテルブロッ
ク共重合体の添加量は0.1〜20%owfが好まし
く、より好ましくは1〜10%owfである。
【0042】また、クリープ促進化合物の添加量は0.
1〜10%owfが好ましく、より好ましくは0.5〜
3%owfである。
【0043】また、分散染料による濃色染の場合、通常
染色後還元洗浄が行なわれる。本発明においても従来と
同様の還元洗浄を行なっても問題ないが、好ましくはp
H12以下の条件下で還元洗浄を行なうとよい。これは
アルカリによるポリエステルポリエーテルブロック共重
合体の加水分解による性能の低下を防ぐことに効果があ
る。
【0044】かくして得られた繊維構造物には、ポリエ
ステルポリエーテルブロック共重合体が0.001〜2
0重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、またク
リープ促進化合物が0.001〜3重量%含有および/
または固着されていることが肝要である。
【0045】ポリエステルポリエーテルブロック共重合
体、クリープ促進化合物の含有および/または固着量が
0.001重量%未満の場合は制電、吸汗・吸水、油汚
れに対する防汚の効果が損なわれる。一方、これらの含
有および/または固着量が上記範囲を越えると、制電性
向上の効果は見られず、しかも風合い、染色堅牢度を損
なうことになる。
【0046】
【発明の作用】本発明においては、ポリエステルポリエ
ーテルブロック共重合体を用いた制電、吸汗・吸水、防
汚加工に際し、クリープ促進化合物を併用することによ
り少量の加工剤で制電性、吸汗・吸水性、防汚加工性お
よび洗濯耐久性を格段に向上させることができる。その
理由は定かではないが、クリープ促進化合物の作用によ
り、特にポリエステルポリエーテルブロック共重合体が
ポリエステル繊維構造体表面へ強固に固着されるためで
あると推察される。
【0047】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を詳しく説明す
る。尚、実施例中の物性は、下記の方法により測定し
た。
【0048】(1)クリープ促進係数 120デニール/36フィラメント、伸度120〜14
0%のポリエチレンテレフタレート部分配向糸(帝人
(株)製、SD120/36E900HYN)の一方の
端に浮力を除く実質的な重量が50gの重りをつけ、3
0℃の恒温状態に保ったクリープ促進化合物中に4時間
浸漬した後のPOYの伸び率を、浸漬前の長さを基準に
して計算し、これをLc(%)とする。
【0049】上記と同じPOYに浮力を除く実質的な重
量が50gの重りをつけ、30℃の空気中に4時間放置
した後のPOYの伸び率を、放置前の長さを基準にして
計算し、これをLaとする。クリープ促進係数は次式に
より算出する。
【0050】
【数6】
【0051】(2)摩擦帯電圧 JIS L1094 B法(5.2)に準拠し、測定し
た。
【0052】(3)吸水性 JIS L1907法(5.1.1)の滴下法に準拠し、測
定した。
【0053】(4)防汚性 15cm×15cmの試料の中心部にB重油を1滴落と
し、完全に吸収させた後、2時間放置する。ついでJI
S−L0217−103による家庭洗濯を3回繰り返し
た後、自然乾燥し、汚染用グレースケールにて未処理布
と比較判定した。
【0054】(5)洗濯 JIS L0217 103法による洗濯を10回行
う。
【0055】(6)ポリエステルポリエーテルブロック
共重合体、クリープ促進化合物の含有および/または固
着量 ヘキサフルオロイソプロパノールを用い、繊維構造体に
含有および/または固着されたポリエステルポリエーテ
ルブロック共重合体(A)およびクリープ促進化合物
(B)を溶解した後、(A)及び(B)の量をNMR(N
uclear MagneticResonance、日本電子製、JEOL A-600(6
00MHz))を用いて測定した。
【0056】[実施例1]経糸として56dtex/2
4フィラメントのセミダルSDY糸、緯糸として84d
tex/36フィラメントのセミダル仮撚加工糸を配
し、目付け73g/m2のツイルを製織した。
【0057】この織物をクリープ促進化合物であるポリ
エチレングリコールジメチルエーテル(分子量=26
6、クリープ促進係数=5.2)と下記式で表されるポ
リエステルポリエーテルブロック共重合体のナトリウム
塩(両末端)との併用加工液で処理した。
【0058】
【化5】
【0059】処理の方法としては、ミニカラー式染色機
を用い、5gの織物を、ポリエチレングリコールジメチ
ルエーテルを0.05g(1%owf)および上記ポリ
エステルポリエーテルブロック共重合体を0.5g(1
0%owf)含む200gの水系加工剤液中に入れ、1
30℃で30分間処理した後、2g/lの炭酸ナトリウ
ムおよび2g/lのハイドロサルファイドナトリウム並
びに2g/lのスコアロール(花王製ナンバー400)
を含み、pHが10.5の温水中で80℃で15分間還
元洗浄を行い、ついで湯洗し、さらに120℃で5分間
乾燥した後、180℃で1分熱セットした。
【0060】得られた織物の、洗濯前後の摩擦帯電圧お
よび吸水性、防汚性の評価結果を表1に示す。この織物
をNMRを用いて分析したところ、上記のポリエステル
ポリエーテルブロック共重合体が繊維構造物に対し、
0.2重量%含有されていた。またポリエチレングリコ
ールジメチルエーテルは0.01重量%含有されてい
た。
【0061】[比較例1]実施例1において、ポリエチレ
ングリコールジメチルエーテルを使用しない以外は実施
例1と同様に実施した。得られた織物の、洗濯前後の摩
擦帯電圧および吸水性、防汚性の評価結果を表1に示
す。
【0062】[比較例2]実施例1において、ポリエステ
ルポリエーテルブロック共重合体を使用しない以外は実
施例1と同様に実施した。得られた織物の、洗濯前後の
摩擦帯電圧および吸水性、防汚性の評価結果を表1に示
す。
【0063】[比較例3]実施例1において、ポリエチレ
ングリコールジメチルエーテルに代えて、ポリエチレン
グリコールモノメチルエーテル(分子量=500、クリ
ープ促進係数=2.5)を1g使用した以外は実施例1
と同様に実施した。得られた織物の、洗濯前後の摩擦帯
電圧および吸水性、防汚性の評価結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 茂 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 Fターム(参考) 4L033 AA07 AB05 AB06 AB07 AC06 AC07 BA14 CA45 CA48

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主としてポリエステル繊維からなる繊維
    構造体であって、該繊維構造体には、 (ア)テレフタル酸および/またはイソフタル酸 (イ)低級アルキレングリコール (ウ)ポリアルキレングリコールおよび/またはそのモ
    ノエーテル からなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体の
    一部がアニオン化されたポリエステルポリエーテルブロ
    ック共重合体(A)と、下記式で定義するクリープ促進
    係数が4以上であるクリープ促進化合物(B)とが含有
    および/または固着されていることを特徴とする制電吸
    汗防汚ポリエステル繊維構造体。 【数1】 ここで、Lcは、120デニール/36フィラメント、
    伸度120〜140%のポリエチレンテレフタレート部
    分配向糸(帝人(株)製、SD120/36E900H
    YN、以下POYと称する)の一方の端に浮力を除く実
    質的な重量が50gの重りをつけ、30℃の恒温状態に
    保ったクリープ促進化合物中に4時間浸漬した後のPO
    Yの伸び率を、浸漬前の長さを基準にして計算した値で
    ある。また、Laは、上記と同じPOYに浮力を除く実
    質的な重量が50gの重りをつけ、30℃の空気中に4
    時間放置した後のPOYの伸び率を、放置前の長さを基
    準にして計算した値である。
  2. 【請求項2】 クリープ促進化合物が、下記一般式
    (I)で示されるアルキレンオキサイド誘導体である請
    求項1記載の制電吸汗防汚ポリエステル繊維構造体。 【化1】 式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜
    8のアルキル基を表し、mは0〜2の整数、nは2〜1
    0の整数である。
  3. 【請求項3】 ポリエステルポリエーテルブロック共重
    合体が、主としてテレフタル酸および/またはイソフタ
    ル酸或いはそれらのエステル形成性誘導体、およびポリ
    エーテルからなっており、該ポリエーテルが分子量60
    0〜4000のポリエチレングリコールおよび/または
    そのモノエステル形成性誘導体であり、且つ該ポリエー
    テルがポリエステルポリエーテルブロック共重合体全重
    量の20〜80重量%を占める請求項1または2記載の
    制電吸汗防汚ポリエステル繊維構造体。
  4. 【請求項4】 主としてポリエステル繊維からなる繊維
    構造体を、 (ア)テレフタル酸および/またはイソフタル酸 (イ)低級アルキレングリコール (ウ)ポリアルキレングリコールおよび/またはそのモ
    ノエーテル からなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体の
    一部がアニオン化されたポリエステルポリエーテルブロ
    ック共重合体(A)で処理するに際し、下記式で定義す
    るクリープ促進係数が4以上であるクリープ促進化合物
    (B)を併用することを特徴とする制電吸汗防汚ポリエ
    ステル繊維構造体の製造方法。 【数2】 ここで、Lcは、120デニール/36フィラメント、
    伸度120〜140%のポリエチレンテレフタレート部
    分配向糸(帝人(株)製、SD120/36E900H
    YN、以下POYと称する)の一方の端に浮力を除く実
    質的な重量が50gの重りをつけ、30℃の恒温状態に
    保ったクリープ促進化合物中に4時間浸漬した後のPO
    Yの伸び率を、浸漬前の長さを基準にして計算した値で
    ある。また、Laは、上記と同じPOYに浮力を除く実
    質的な重量が50gの重りをつけ、30℃の空気中に4
    時間放置した後のPOYの伸び率を、放置前の長さを基
    準にして計算した値である。
  5. 【請求項5】 クリープ促進化合物が、下記一般式
    (I)で示されるアルキレンオキサイド誘導体である請
    求項4記載の制電吸汗防汚ポリエステル繊維構造体の製
    造方法。 【化2】 式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜
    8のアルキル基を表し、mは0〜2の整数、nは2〜1
    0の整数である。
  6. 【請求項6】 ポリエステルポリエーテルブロック共重
    合体が、主としてテレフタル酸および/またはイソフタ
    ル酸或いはそれらのエステル形成性誘導体、およびポリ
    エーテルからなっており、該ポリエーテルが分子量60
    0〜4000のポリエチレングリコールおよび/または
    そのモノエステル形成性誘導体であり、且つ該ポリエー
    テルがポリエステルポリエーテルブロック共重合体全重
    量の20〜80重量%を占める請求項4または5記載の
    制電吸汗防汚ポリエステル繊維構造体の製造方法。
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