JP2002298862A - アルミニウム電池 - Google Patents

アルミニウム電池

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JP2002298862A JP2001097461A JP2001097461A JP2002298862A JP 2002298862 A JP2002298862 A JP 2002298862A JP 2001097461 A JP2001097461 A JP 2001097461A JP 2001097461 A JP2001097461 A JP 2001097461A JP 2002298862 A JP2002298862 A JP 2002298862A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高電圧、高容量でかつ自己放電の少ない一次
電池を提供することを目的とする。 【解決手段】 正極集電体4および正極合剤3からなる
正極と、アルミニウム表面の電解液と接する部分に、添
加剤を含む高分子化合物の層を作成してある負極1と、
正極および負極1との間に硫酸イオン(SO42−から
なる電解液2を配置したアルミニウム電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミニウム電池に
関する。
【0002】
【従来の技術】現在、携帯機器の電源としてマンガン電
池、及びアルカリ電池などが広く使用されている。これ
らのマンガン電池、及びアルカリ電池は亜鉛からなる負
極と、二酸化マンガンからなる正極とを備え、起電力は
1.5Vであるが、携帯機器の発達に伴い、一次電池や
二次電池において高電圧、高容量かつ軽量な電池が要望
されている。
【0003】一方、負極としてアルミニウムを使用する
一次電池は、亜鉛を負極として用いる一次電池に比べ、
高電圧、高容量、軽量化が期待できるため、古くから検
討されている。例えば米国特許2838591号の明細
書には二酸化マンガンを含む正極と、アルミニウムから
なる負極と、塩化アルミニウムの弱酸性水溶液からなる
電解液とを備えた電池が開示されている。
【0004】しかしながら、負極に使用されるアルミニ
ウムは電解液と直接反応して自己放電することで、例え
ば電池の未使用時にもアルミニウムが溶出して電池寿命
が短くなり、同時に自己放電によって生成されるガスの
ために、電池を密閉系の容器内に収めることが困難であ
った。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のアルミニウム電池は、アルミニウムが電解液と反応
し、その結果気体の発生や、自己放電を生じさせてしま
うという問題があった。また、より高出力の電池が求め
られている。
【0006】本発明は、このような問題に鑑みて為され
たものであり、自己放電を抑制した負極にアルミニウム
を使用したアルミニウム電池を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のアルミニウム電
池は、電解液と、この電解液を挟んで配置された正極お
よび負極とを具備し、前記電解液は硫酸イオンおよび硝
酸イオンとから選ばれる少なくとも一種のイオンを含有
し、前記負極は、アルミニウムを含有する基体と、この
基体表面に形成された高分子化合物とを具備することを
特徴とする。
【0008】前記高分子化合物中に、酒石酸カルシウ
ム、ソルビトール、ゼラチン、グルコン酸カルシウム、
イタコン酸、クエン酸、安息香酸、五酸化アンチモン水
和物、水酸化チタン水和物、リン酸ジルコニウム、リン
酸チタンからなる群から少なくとも一種の有機酸あるい
は有機酸の誘導体を添加することが好ましい。
【0009】前記高分子化合物中に、塩化物イオンを添
加することが好ましい。
【0010】前記高分子化合物の繰り返し単位中に、水
酸基、スルホン酸基、アミン基およびカルボン酸基の群
から選ばれる少なくとも1種の官能基、あるいはこの官
能基の誘導体を含有させることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のアルミニウム電池の一例
を図面を用いて説明する。
【0012】図1はコイン型のアルミニウム電池の断面
図である。
【0013】図1に示す電池は、電池容器と負極とを兼
ねるアルミニウムあるいはアルミニウム合金などのアル
ミニウム含有金属製の有底円筒形の基体1−1およびこ
の基体の内底部面に形成された高分子化合物1−2とに
よって電池容器と負極とを兼ねる負極容器1が形成され
ている。
【0014】この負極容器1と、金属製、例えばモリブ
デン、タングステン、鉛あるいは窒化チタンなどからな
る有底円筒形の正極端子を兼ねる封口板5とを絶縁ガス
ケット6を介し、電気的に絶縁された状態で固定するこ
とで、密閉容器を形成している。
【0015】また、負極容器1の内底部上に絶縁性の多
孔質体から構成されてたセパレータ2が配置されてお
り、セパレータ2上には正極活物質としての二酸化マン
ガンを含有する正極合剤3およびタングステンなどの導
電性材料からなる正極集電体4とを順次積層した正極が
形成されている。なお、集電体4は封口板5と接触して
おり、正極合剤3および封口板5間に導電性を付与して
いる。
【0016】さらに、密閉容器内には電解液が注入され
ており、セパレータ2の細孔中、および必要に応じ正極
合剤中や負極合剤中に電解液が保持されることで、正極
および負極容器1の間に電解液を挟む構造になってい
る。
【0017】電解液は硫酸イオンを含む水溶液や硝酸イ
オンを含む水溶液が使用される。すなわち、電解液中に
は硫酸イオン(SO42−あるいは硝酸イオン(N
3が含有されている。さらに、電解液中には塩化
物イオンCl-が含有されている。
【0018】このような電池において、正極では式
(1)に示す反応が生じ、負極では式(2)で示すよう
な反応生じると考えられ、その結果、外部抵抗に電子が
流れる。特に、硝酸イオンあるいは硫酸イオンなどは正
イオンの伝導性が高く電池の高出力化を可能にする。
【0019】 正極:MnO2+H++e- → MnOOH (1) 負極:Al → Al3++3e- (2) 一方、電池反応とは別に、例えば電解液として硫酸水溶
液を使用した場合、アルミニウム表面には酸化被膜が形
成されるため、電池未使用時の式(3)に示すアルミニ
ウムの自己放電を抑制するものの、その効果は十分なも
のではない。
【0020】 2Al+3H2SO4 → Al2(SO43+H2↑ (3) アルミニウム表面に高分子化合物が存在する場合、式
(3)の反応を大きく抑制する割に、式(2)に示す反
応に対する抑制が小さい。
【0021】また、式(2)の反応により負極表面には
Alイオンが生成され、負極表面のAlイオンの濃度が
高くなる傾向にある。その結果正極近傍とのイオン濃度
差が大きくなり、電池内の各イオンの濃度差が生じ、電
極間全体としてのイオン伝導抵抗が大きくなる傾向にな
る。アルミニウム表面に高分子化合物を付加すると、ア
ルミニウム表面に生成されるアルミニウムイオンの濃度
分布を平均化することができ、イオン濃度の偏りを抑制
するものと考えられ、電解液のイオン伝導性の低下を抑
えることが可能になる。に、構成要件毎に、詳細に説明
する。
【0022】a)正極 正極は、正極活物質、導電剤などに必要に応じバインダ
ーを加えた正極合剤と、この正極合剤を表面に形成する
集電体とから構成される。
【0023】正極活物質としては、金属酸化物、金属硫
化物、導電性ポリマ−などが挙げられる。
【0024】前記金属酸化物としては、二酸化マンガン
(MnO)の他に、二酸化鉛(PbO)水酸化ニッ
ケル{NiOOHまたはNi(OH)}、酸化銀(A
O)、例えばFeO、Fe、FeO(但し
xは、x>1.5)、MFeO(但しMは、Li、
K、SrおよびBaの群から選ばれる少なくとも1種、
xはx≧1)などの酸化鉄等を挙げることができる。前
記導電性ポリマ−としては、ポリアニリン、ポリピロ−
ル、例えばジスルフィド化合物、硫黄などの有機硫黄化
合物等が挙げられる。中でも二酸化マンガンが好まし
い。
【0025】導電剤としては、例えば、黒鉛、アセチレ
ンブラック、カ−ボンブラックを挙げることができる。
【0026】正極合剤中に導電剤を含有させることで、
正極合剤と集電体との間の電子伝導性を向上させること
ができる。正極合剤中の導電剤の含有量は、1〜20重
量%の範囲にすることが好ましい。すなわち1重量%よ
りも少ないと正極合剤中の電子伝導性を十分に高めるこ
とができず、20重量%を超えると正極活物質の含有量
が低下し、正極反応を十分なものとすることができなく
なる恐れがある。
【0027】正極合剤は、例えば、粉末状の正極活物質
および導電剤を混合した後、ペレット状に加圧成形する
ことにより作成することもできる。また、必要に応じ正
極合剤中にバインダ−を混合することで、集電体表面に
正極活物質を固定しても良い。
【0028】正極合剤中に含有させるバインダ−として
は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンを挙げること
ができる。
【0029】正極合剤を支持する正極集電体は、正極合
剤と、正極端子との間の電子伝導性を向上させるための
ものである。
【0030】正極集電体に使用する材料として、例え
ば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、鉛(P
b)及び窒化チタン(TiN)から選ばれる1種類以上
か、または炭素質物などの導電材料を含有するものを使
用することが好ましい。
【0031】この正極集電体は、多孔質材料であって
も、無孔質材料であってもよい。正極集電体において、
タングステン(W)、モリブデン(Mo)及び鉛(P
b)は単体の状態で存在していてもいいが、タングステ
ン、モリブデン及び鉛から選ばれる2種以上からなる合
金として含まれても良い。また、窒化チタン(TiN)
を含む正極集電体としては、窒化チタンからなる正極集
電体か、ニッケル板等の金属板の表面が窒化チタンで被
覆(メッキ)されたものを挙げることができる。特にタ
ングステン(W)及びモリブデン(Mo)よりなる群か
ら選ばれる少なくとも1種類の金属か、若しくは炭素質
物が好ましい。
【0032】正極集電体としてタングステン(W)、モ
リブデン(Mo)、鉛(Pb)及び窒化チタン(Ti
N)から選ばれる一種類以上からなる導電材料含有量
は、99重量%以上にすることが好ましい。さらに好ま
しい範囲は、99.9重量%以上である。
【0033】炭素質物を導電剤として使用する正極集電
体は、例えば、炭素質物粉末及びバインダ−を混合した
後、加圧成型することにより作成される。
【0034】前記炭素質物粉末としては、例えば、黒鉛
粉末、炭素繊維を挙げることができる。
【0035】前記正極集電体中の炭素質物含有量は、8
0重量%以上にすることが好ましい。さらに好ましくは
90重量%以上である。
【0036】この正極もあらかじめ後述する電解液と混
合して用いても良い。 (b) 負極 負極は、アルミニウムを含有する基体と、この基体表面
に形成された高分子化合物層を有する。
【0037】アルミニウムを含有する基体とは、アルミ
ニウムあるいはアルミニウム合金などが挙げられる。例
えばアルミニウムの場合、純度は99.5wt%以上、
すなわち不純物が0.5wt%以下のアルミニウムを使
用することが好ましい。不純物が0.5wt%を超えて
含有されていると、電解液により腐食されやすくなるた
め、激しい自己放電、又はガス発生を生じる恐れがあ
る。純度のさらに好ましい範囲は、99.9wt%以上
である。
【0038】アルミニウム合金を使用する場合、たとえ
ばMn、Cr、Sn、Ca、Mg、Pb、Si、In及
びZnから選ばれる少なくとも1種の金属とAlとの合
金を挙げることができる。中でも、AlにMg及びCr
を含有する合金を使用することが望ましい。アルミニウ
ム合金としては、例えば94.5wt%Al−2wt%
Mg−3.5wt%Cr、95%Al−5wt%Mg、
99.5%Al−0.3wt%Mn−0.2wt%Zn
などを挙げることができる。
【0039】高分子化合物層としては、特に制限されな
いが、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、
ポリアクリロニトリル、ポリスルホン酸ビニル、ポリ酢
酸ビニル、ポリアラニン等などの高分子化合物が使用で
き、例えば分子量100〜10,000,000程度の高
分子材料が使用される。また、アルミニウムの表面に塗
布する場合には、特に厚さの制限は特にない。正極と負
極の間に完全に詰め込んでも問題はない。
【0040】また、高分子化合物は、固体状であっても
良いし、電解液に膨潤したゲル状であっても良い。高分
子化合物がゲル状である場合、電解液は樹脂間を移動し
てアルミニウムなどの基体に到達する。高分子化合物が
固体状の場合でも、電解液や電解質、添加剤などは高分
子化合物内を浸透し、それぞれの機能を果たす。
【0041】また、高分子化合物としては、スルホン酸
基、水酸基、アミン基あるいはカルボン酸基などの酸性
基や、この酸性基の誘導体を置換基として有するものを
使用することが好ましい。これらの置換基によって、電
解液との親和性が高くなり、負極の反応を円滑化するこ
とが可能になる。
【0042】また、高分子化合物層中に、塩化物イオン
を添加することが好ましい。
【0043】負極に使用されているアルミニウム表面に
は、電解液と接触することで酸化被膜が形成されてい
る。この酸化被膜によって、電池未使用時のアルミニウ
ムの自己放電を抑制している。一方アルミニウム表面に
塩化物イオンが存在すると、電池反応時にはアルミニウ
ム表面で塩化物イオンが機能し、表面に生成する酸化物
を溶解するために負極反応を活性化することができる。
使用しない時には電極は極性を持たないために高分子化
合物中に分散し、酸化被膜の溶解量が少なくなる。ま
た、電解液中に塩化物イオンを添加することで同様な効
果を得ることもできるが、高分子化合物中に保持するこ
とで塩化物イオンの絶対量を低減することが可能になる
し、正極や電池容器などに塩化物イオンに対する耐性の
ない材料を選択することが可能になる。
【0044】また、高分子化合物中に、有機酸もしくは
無機弱酸塩m無機アルカリ塩あるいはそれらの誘導体を
添加することが好ましい。
【0045】有機酸もしくは無機弱酸塩、無機アルカリ
塩あるいあそれらの誘導体としては、例えば、酒石酸カ
ルシウム、ソルビトール、ゼラチン、グルコン酸カルシ
ウム、イタコン酸、クエン酸、安息香酸、五酸化アンチ
モン水和物、水酸化チタン水和物、リン酸ジルコニウム
あるいはリン酸チタンなどを挙げることができる。電池
の保存時にはこれらの添加剤が高分子内に進入した水と
ともにアルミニウムと高分子化合物との膜界面まで移動
・吸着し、自己放電(腐蝕反応)を抑制する。放電時に
もこれらは高分子内に留まるため、放電の妨げにはなら
ないため、少量でも効果が期待できる。
【0046】高分子化合物中への有機酸あるいは塩化物
イオンへの添加量は、0.01〜1wt%、さらには
0.03〜0.3wt%とすることが望ましい。この範
囲よりも少ないと負極の自己放電を十分に抑制すること
ができず、この範囲よりも多いと負極反応を妨げ、電池
の出力が低下する恐れがある。 (c) セパレータ セパレータは、正極および負極間において電子の移動を
妨げるものであり、絶縁材料で構成される。但し、セパ
レータ中に電解液を保持し、且つ電解液中をイオン化し
た電解質が移動可能な形状である必要があるため、通常
多孔質体が使用される。
【0047】セパレータに使用される材料としては、例
えばクラフト紙、合成繊維製シ−ト、天然繊維製シ−
ト、不織布、ガラス繊維製シ−ト、ポリオレフィン製の
多孔質膜を挙げることができる。
【0048】また、セパレ−タの厚さは10〜200μ
mの範囲内にすることが好ましい。10μmよりも薄い
と正極および負極の間で短絡する恐れがあり、1000
μmよりも厚いと、イオン化した電解質の移動距離が長
くなりイオン伝導効率が低下する。
【0049】なお、正極及び負極とが接触しないように
配置され、かつ正極及び負極との間に電解液を保持でき
る電池構造であれば必ずしもセパレータは必要とされる
ものではない。
【0050】また、電解液に増粘剤を添加して、これに
ゲル化処理を施し、いわゆる固体電解質として用いるこ
ともできる。その場合は増粘剤相がセパレータとして機
能し、この増粘剤相中に電解液相が保持される形態にな
る。 (d)電解液 本発明で用いられる電解液は電解質と、電解質を溶解す
る溶媒とを含有している。 (d−1)電解質 電解質は、溶媒中に溶解した硫酸イオン(SO42−
び硝酸イオン(NO3の群から選ばれる少なくとも
1種類のイオンを供給するものを使用する。このように
電解液中に硫酸イオン(SO42−あるいは硝酸イオン
(NO3などの反応性の高いイオンを供給すること
で得られる電池の高出力化を可能にする。また、これら
のイオンによってアルミニウム表面には酸化被膜が形成
され、未使用時には、この酸化被膜によって負極の自己
放電を抑制する。
【0051】硫酸イオンを提供する電解質としては、例
えば硫酸、硫酸アルミニウム、硫酸ナトリウム、硫酸ア
ンモニウム、硫酸リチウムなどを挙げることができる。
【0052】硝酸イオンを提供するものとしては、硝
酸、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニ
ウム、硝酸リチウムなどを挙げることができる。
【0053】電解液中の電解質の量は、硝酸イオンある
いは硫酸イオン濃度が0.2〜16M/Lの範囲内とな
るようにすることが好ましい。これは次のような理由に
よるものである。硝酸イオンあるいは硫酸イオンの濃度
が0.2M/L未満であると、イオン伝導度が小さく、
さらに前述した負極の表面への酸化皮膜形成が不十分に
なり、負極の腐食反応を十分に抑制できなくなる恐れが
ある。一方硝酸イオンあるいは硫酸イオンの濃度が16
M/Lを超えると、負極表面の酸化皮膜成長が顕著とな
り負極の界面抵抗が大きくなるため、高電圧を得られな
くなる可能性がある。より好ましい範囲は0.5〜10
M/Lである。
【0054】また電解液において、電解質などを溶解す
る溶媒は、例えば水、メチルエチルカーボネート、など
を使用すればよい。
【0055】また、必要に応じ、電解液中に負極の説明
で挙げたような有機酸や、そのイオン、塩、または誘導
体や、含窒素有機物が添加される。
【0056】さらに、電解液中には前述の塩化物イオン
などのハロゲンイオンを含有させることが望ましい、ハ
ロゲンイオンを含有させることで、未使用時の負極の自
己放電を抑制することが可能になる。電解液中のハロゲ
ンイオンの濃度は、0.01M/L以上とすることが好
ましい。0.01M/Lに満たないと、前述したハロゲ
ンイオンを入れることによる効果を十分に得ることがで
きない。なお、ハロゲンイオンは、電解質としての機能
も発揮する。さらに電解液中に窒素を含有する複素環有
機物、アミノ基(NH2)、イミノ基(NH)、アジ基
(N2)あるいはアジド基(N3)などの官能基を含む含
窒素有機物、あるいはこの含窒素有機物の塩、エステ
ル、イオン又は誘導体などからなる添加物を添加するこ
とで負極の自己放電を抑制する。
【0057】含窒素有機物をより具体的に挙げると、ピ
リジン、ピペリジンなどが使用できる。電解液中におけ
る添加剤の濃度は、0.0001〜10M/Lの範囲に
することが好ましい。添加剤の濃度が0.0001M/
Lより少ないと、添加剤の機能が十分に得られず、負極
の腐食を抑制できなくなる。また10M/Lよりも多い
と電解液のイオン伝導度が低下し、高電圧が得られなく
なる恐れがある。さらには0.0005〜5M/Lの範
囲内の濃度にすることが好ましい。
【0058】また、前述した添加剤に代えて、あるいは
前述した添加剤に加えて、メチルアルコ−ル、エチルア
ルコ−ル、プロピルアルコ−ル、ブチルアルコ−ル、フ
ェノ−ル、グリセリン、グリコ−ル酸、エチレングリコ
−ル、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、蓚酸、サリチル酸、
スルホサリチル酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマ
ル酸、フタル酸、マロン酸、クエン酸、マレイン酸、乳
酸、酪酸、ピルビン酸、安息香酸、スルホ安息香酸、ニ
トロメタン、スルホアニリン、ニトロベンゼンスルホニ
ル、ポリビニルアルコ−ル、酢酸ビニル、スルホン酸ビ
ニル、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(酢酸ビニ
ル)、酢酸メチル、無水酢酸、無水マレイン酸、無水フ
タル酸、マロン酸ジエチル、安息香酸ナトリウム、スル
ホ安息香酸ナトリウム、スルホアニリンクロリド、クロ
ル酢酸エチル、ジクロル酢酸メチル、ポリ(酢酸ビニル
カリウム塩)、ポリ(スチレンスルホン酸リチウム)、
ポリアクリル酸、ポリアクリル酸リチウムなどの有機酸
や、この有機酸の塩、エステル、イオン、誘導体などの
添加剤を用いることで、これらの有機酸などからなる保
護膜が負極表面に形成され、負極の腐食を抑制すること
もできる。
【0059】このようなアルミニウム電池によれば、自
己放電、ガス発生の抑制された一次電池を提供すること
ができる。 [実施例]以下本発明の実施例を詳細に説明する。 (実施例1)本実施例では、図1に示すようなコイン型
のアルミニウム電池を以下のようにして作製した。
【0060】まず、電解液として、1M/Lの硫酸、お
よび0.1M/Lの塩化アルミニウムを含有する水溶液
を調整した。
【0061】99.99%の純度で1mm厚の有底円筒
形状のアルミニウム容器(負極を兼ねる)にポリアクリ
ル酸を前記電解液に溶解、ゲル化したものを用意した。
ここで電池作成以前に負極のうち電池反応を行う部分
(電解液に接する部分)にポリアクリル酸をうすく塗布
した。その際、応じてラングミュア―ブロジェット法を
用いて薄膜を作成し、アルミニウムに接触するように負
極を作製した。
【0062】正極活物質として二酸化マンガン(MnO
)を用い、これに導電剤としてアセチレンブラックを
7.5重量%、ポリテトラフルオロエチレンを5.0重
量%混合し加圧成型を行い、正極合剤を作製した。
【0063】前述したようにして得られたアルミニウム
製負極容器に、セパレータとして厚さが30μmのガラ
ス繊維製シートを収納し、このセパレータ上に正極合剤
を配置し、さらに正極合剤上に正極集電体を配置した。
次いで、容器内に前述した電解液を注入後、この容器に
有底円筒形の金属製封口板を絶縁ガスケットを介してか
しめ固定することにより、直径が20mmで、厚さが
1.6mmのコイン型の電池を組み立てた。
【0064】得られた電池の起電力と、電池の作製当日
と1年間保存後の1mAで放電したときの電圧が0.9
Vに低下するまで放電した時の電池容量を測定した。
【0065】その結果を表1に示す。
【0066】実施例2〜11、比較例1 正極材料、負極材料、電解液をそれぞれ表1に示すもの
を使用したことを除き、実施例1と同様にして電池を組
み立て、得られた電池の起電力および電池容量を測定し
た。
【表1】 (比較例2)正極に二酸化マンガン、負極に亜鉛、電解
液に1M/Lの塩化亜鉛水溶液を用いた亜鉛マンガン電
池を準備し、実施例1と同様にして腐食試験および電池
試験を行った。その結果を表1に示す。 (比較例3)前処理を何も施さない99.99%純度の
アルミニウムを用いること以外は、実施例1と同様の試
験を行った。その結果を表1に示す。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、自己放電を抑制した負
極にアルミニウムを使用したアルミニウム電池を提供す
ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一例を示すコイン型アルミニウム電
池の断面図。
【符号の説明】
1・・・負極容器 2・・・セパレータ 3・・・正極合剤 4・・・正極集電体 5・・・正極封口板 6・・・絶縁ガスケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加曽利 光男 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 5H024 AA03 AA11 CC03 CC20 DD02 DD17 EE09 FF01 FF34 FF38 FF40 GG01 5H050 AA09 AA18 BA02 CA05 CB11 DA03 DA09 EA23 FA04 FA18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電解液と、この電解液を挟んで配置された
    正極および負極とを具備し、 前記電解液は硫酸イオンおよび硝酸イオンとから選ばれ
    る少なくとも一種のイオンを含有し、 前記負極は、アルミニウムを含有する基体と、この基体
    表面に高分子化合物とを具備することを特徴とするアル
    ミニウム電池。
  2. 【請求項2】前記高分子化合物中に、酒石酸カルシウ
    ム、ソルビトール、ゼラチン、グルコン酸カルシウム、
    イタコン酸、クエン酸、安息香酸、五酸化アンチモン水
    和物、水酸化チタン水和物、リン酸ジルコニウムおよび
    リン酸チタンの群から選ばれる少なくとも一種の有機酸
    あるいは有機酸の誘導体を添加したことを特徴とする請
    求項1記載のアルミニウム電池。
  3. 【請求項3】前記高分子化合物中に、塩化物イオンを添
    加したことを特徴とする請求項1記載のアルミニウム電
    池。
  4. 【請求項4】前記高分子化合物の繰り返し単位中に、水
    酸基、スルホン酸基、アミン基およびカルボン酸基の群
    から選ばれる少なくとも1種の官能基、あるいはこの官
    能基の誘導体を含有することを特徴とする請求項1記載
    のアルミニウム電池。
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