JP2002285072A - プライマーおよびこれを用いたシリコーン樹脂塗装品 - Google Patents

プライマーおよびこれを用いたシリコーン樹脂塗装品

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JP2002285072A
JP2002285072A JP2001084664A JP2001084664A JP2002285072A JP 2002285072 A JP2002285072 A JP 2002285072A JP 2001084664 A JP2001084664 A JP 2001084664A JP 2001084664 A JP2001084664 A JP 2001084664A JP 2002285072 A JP2002285072 A JP 2002285072A
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epoxy
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明治 後藤
Koichi Takahama
孝一 高濱
Hiroshi Nakamura
洋 中村
Toyohiko Fujii
豊彦 藤井
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Kanae Chemicals Co Ltd
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Kanae Chemicals Co Ltd
Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種被塗物に密着しにくい性質を有するシリ
コーン樹脂組成物等の難密着性塗膜形成物を、従来の塗
料と同様に被塗物に密着させることで、その機能を有効
に発揮させることができるプライマーとその用途を提供
する。 【解決手段】 プライマーは、エポキシ樹脂およびその
硬化剤を含むとともに、前記エポキシ樹脂および前記硬
化剤と反応可能な官能基を有する金属アルコラートをも
含み、塗装品は基材の表面に上記プライマーの塗膜を形
成し、その塗膜表面にシリコーン樹脂組成物の塗膜をさ
らに形成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種基材(被塗
物)上に、シリコーン樹脂塗膜などの、密着性が悪い塗
膜を形成する際に使用されるプライマー、および、これ
を用いたシリコーン樹脂塗装品に関する。
【0002】
【従来の技術】金属、特に鉄やコンクリートでできた構
造物は、通常、防錆や保護、美観等の観点から、何らか
の塗料が塗布されている。従来、フタル酸エナメルやア
クリル樹脂等を主成分とする1液性乾燥型塗料や、ウレ
タン樹脂やエポキシ樹脂を主成分とする2液反応型塗料
が一般に使用されてきた。しかし、これらの塗料は、塗
膜そのものが環境によって劣化したり、汚染されたりす
ることで、被塗物の保護や美観という大きな目的が損な
われることにより、比較的短期間で塗替えを行う必要が
あった。この塗替えの際には、多くの人件費や架設費を
含む工事費が必要となり、しかも、場合によっては、目
的の構造物の使用を中断する必要さえあり、この場合に
は、テナント等に対する営業補償費が必要となることも
あった。さらに、多くの塗料は、その性能やコストの面
から有機溶剤を含有しており、これらの有機溶剤を大気
中に気散させることから環境汚染の原因にもなってい
た。
【0003】近年、これらの問題を解決する1つの手段
として、無機高分子であるシリコーン樹脂を主成分とす
るコーティング材(以下、シリコーン樹脂組成物)が開
発され、使用されつつある。シリコーン樹脂組成物は、
耐候性が良く、変色しにくく、しかも、撥水性があるこ
とから、汚染され難い等の優れた特徴を有していること
により、比較的長期間にわたって塗替えの必要がない塗
料として有用である。また、より強い撥水撥油性をシリ
コーン樹脂組成物に付与することが可能であることか
ら、いわゆる落書き防止機能を有したものもある。さら
に、金属系触媒を配合して日光の当たる屋外において表
面に被着した汚れを分解する機能を持たせることで、メ
ンテナンスフリーの塗料として使用されようとしてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のシリコーン樹脂組成物の機能を高めれば高めるほど、
その撥水撥油性が高くなり、結果として被塗物への密着
性が悪くなる傾向がある。いくら高性能であっても、目
的とする被塗物に密着しなければ、その機能を発揮でき
ないばかりでなく、コーティング材としても使用できな
い。そこで、本発明の課題は、このように各種被塗物に
密着しにくい性質を有するシリコーン樹脂組成物等の塗
膜形成物を、従来の塗料と同様に被塗物に強く密着させ
ることで、その機能を有効に発揮させることができるプ
ライマーと、これを用いたシリコーン樹脂塗装品とを提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者は種々検討を重ねた。その結果、金属アル
コラートがシリコーン樹脂組成物等の難密着性の塗膜形
成物に対して化学的な結合力を有していて、上記難密着
性の塗膜形成物と強固に接合することが出来ることに着
眼し、他方、エポキシ樹脂が金属やコンクリート等でで
きた各種被塗物に強固に密着可能であることから、この
エポキシ樹脂と金属アルコラートを内部で化学結合させ
るようなプライマーを使用するようにすれば、上記の課
題をうまく解決できることを着想し、多々実験を重ね、
この着想が実現できることを確かめて、本発明を完成し
た。
【0006】したがって、本発明にかかるプライマー
は、エポキシ樹脂およびその硬化剤を含むとともに、前
記エポキシ樹脂と反応可能な官能基を有する金属アルコ
ラートをも含む。上記において、前記金属アルコラート
の含有量は、限定するのではないが、全固形分100重
量部中0.5〜10重量部であることが好ましい。本発
明にかかるシリコーン樹脂塗装品は、基材の表面に上記
プライマーの塗膜を形成し、その塗膜表面にシリコーン
樹脂組成物の塗膜をさらに形成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明にかかるプライマーは、エ
ポキシ樹脂およびその硬化剤と金属アルコラートを含む
ので、これらの成分を詳しく説明したのち、その製造方
法と用途を詳述する。 [エポキシ樹脂]本発明のプライマーは、基材との強固
な接合性を確保するための樹脂成分としてエポキシ樹脂
を含む。このエポキシ樹脂は、後述の硬化剤と常温また
は加熱や光照射で硬化させることによって、プライマー
塗膜の主要部を構成するようになる。
【0008】樹脂成分となりうる数多くの樹脂のうち
で、このようにエポキシ樹脂を選択するのは、以下の理
由による。すなわち、シリコーン樹脂組成物などの塗膜
形成物は、主に土木・建築分野で使用されており、その
被塗物としては、一般に、コンクリートやモルタル等の
セメント製品や、鉄鋼製品が挙げられ、プライマーはこ
れらの製品に対する高い密着性を有する必要がある。ま
た、プライマーは、実用上、屋外での使用に耐える必要
があり、そのため、夏場の直射日光に曝される場合の耐
熱性、降雨に曝される場合の耐水性、夏場の夕立を想定
した耐熱水性、最近の大気汚染状況からの耐酸性、冬場
に対応するための耐寒性等を有することが好ましく、し
かも、これらの環境は常時変化することから、上記条件
に対して繰返し耐える性能を有する必要がある。エポキ
シ樹脂は上記性質をすべて満足する樹脂であり、さら
に、作業性や使用実績による信頼性等を綜合的に勘案し
て選択された。
【0009】エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフ
ェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールF
のジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール
Aのジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹
脂、ダイマー酸ジグリシジルエステル、含核ポリオール
型エポキシ樹脂、その他の変性エポキシ樹脂等を挙げる
ことができ、これらは、単独または複数を混合して使用
することができる。また、これらのエポキシ樹脂に、ブ
チルグリシジルエーテル等の反応性希釈剤や、キシレン
樹脂等の非反応性樹脂を混合して使用してもよい。エポ
キシ樹脂は、1分子当たり平均1.5個以上のエポキシ
基を有するものが好ましい。1分子当たり平均1.5個
未満のエポキシ基しか有しないエポキシ樹脂を用いる
と、硬化した時のエポキシ樹脂の架橋密度が低くなるた
め、耐熱性および耐水性が低下する。また、エポキシ樹
脂のエポキシ当量は150以上であることが好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量が150未満であると、硬
くもろい塗膜が得られ割れやすい。このことは、耐熱性
を高めるためにエポキシ樹脂にベンゼン環を導入した場
合により顕著であり、逆に、柔軟性を高めるために脂肪
族骨格を導入した場合は、耐熱性および耐水性が低下し
た塗膜が得られ、好ましくない。
【0010】本発明のプライマーを、加熱や光照射がで
きない箇所に施工する場合、すなわち、常温で硬化させ
る必要のある場合は、エポキシ樹脂としてエポキシ当量
が150〜1,000のものを用い、後述の硬化剤の中
から、エポキシ樹脂を常温硬化させ得る硬化剤を選ぶこ
とが好ましい。 [硬化剤]硬化剤としては、特に限定はなく、通常一般
に使用できるものであればよく、たとえば、ポリアミド
アミンやポリアミン、これらの変性物、3級アミン、ポ
リサルファイド、イソシアネート化合物、酸無水物、ジ
シアンジアミン、イミダゾール、3フッ化ホウ素アミン
・コンプレックス、有機ヒドラジッド、メラミン、フェ
ノールや、芳香族ジアゾニウム塩、ジアリルヨードニウ
ム塩等の光硬化型硬化剤等を挙げることができ、これら
は、単独または複数を混合して使用することができる。
これらの硬化剤のうちで、エポキシ樹脂を常温硬化させ
得る硬化剤としては、ポリアミドアミンやポリアミン、
これらの変性物、3級アミン、ポリサルファイド、イソ
シアネート化合物を挙げることができる。
【0011】本発明のプライマーに含まれる硬化剤の含
有量は、特に限定する訳ではないが、エポキシ樹脂との
当量比が0.5〜2.0程度になる含有量とすることが
好ましい。 [金属アルコラート]本発明のプライマーに含まれる金
属アルコラートは、金属やコンクリート等の基材に強固
に結合したエポキシ樹脂に対し化学結合で結びつくと同
時に、プライマー塗膜の上に塗り重ねられるシリコーン
樹脂組成物等の難密着性塗膜形成物とも化学結合で結び
つき、これらの化学結合を介して、シリコーン樹脂組成
物等の難密着性塗膜形成物と被塗物とを強固に密着させ
る働きをすると推測される。
【0012】金属アルコラートは、エポキシ樹脂および
硬化剤の少なくとも一方と反応可能な官能基を有し、こ
のような官能基としては、エポキシ基、アミノ基、アク
リロイル基、水酸基およびメルカプト基から選ばれた少
なくとも1種を挙げることができる。金属アルコラート
としては、たとえば、N−(2−アミノエチル)3−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−4−
アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノ
エチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(1,3
−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)
−1−プロピルアミン、イソプロピルトリ(N−アミド
エチル・アミノエチル)チタネート、3−メルカプトプ
ロピルトリメトキシシラン、イソプロピルイソステアロ
イルジメタクリレチタネート、イソプロピルトリアクリ
ロイルチタネート、3−メタクリロキシプロピルトリメ
トキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、テトライソプロピイルビス
(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピル
トリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネートや
これらの縮合物および変性物等を挙げることができ、こ
れらは、単独または複数を混合して使用することができ
る。
【0013】金属アルコラートは、そのアルコキシル基
が被塗物の表面の水酸基やシリコーン樹脂組成物等の難
密着性塗膜形成物と反応することで、上記で述べたよう
な働きをする。金属アルコラートのアルコキシル基は、
以下に述べる顔料とも反応し、エポキシ樹脂と顔料とを
相互に化学結合で結ぶことがある。そのため、金属アル
コラートの含有量は、このアルコキシル基が、被塗物、
シリコーン樹脂組成物等および顔料等と十分に反応でき
るように、調整される必要がある。本発明のプライマー
における、金属アルコラートの含有量は、顔料の配合量
やその粒径、金属アルコラートの被覆面積等によって決
まるが、通常、全固形分100重量部中0.5〜10重
量部が好ましく、1〜5重量部が特に好ましい。金属ア
ルコラートの含有量が全固形分100重量部中0.5重
量部未満であると、金属アルコラートが少なすぎて密着
性が低下する傾向がある。他方、金属アルコラートの含
有量が10重量部を超えると、経済的に不利であるばか
りでなく、プライマー塗膜の、耐水性、耐熱性等が悪化
する傾向がある。また、シリコーン樹脂組成物との反応
性が高くなって、シリコーン樹脂組成物を塗布する作業
性が悪くなったり、シリコーン樹脂塗膜に割れが生じ易
くなる。
【0014】[その他の成分]本発明のプライマーは、
上記成分以外に、体質顔料、防錆顔料等を含有してもよ
い。体質顔料は、本発明のプライマーをコンクリート等
の被塗物に塗る際に有効であり、コンクリート表面の凹
凸を埋め、平滑にすることができる。体質顔料として
は、たとえば、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、石
英粉、水酸化アルミニウム、アルミナ等を挙げることが
でき、これらは、単独または複数を混合して使用するこ
とができる。
【0015】防錆顔料は、本発明のプライマーを金属等
の被塗物に塗る際に有効であり、錆の発生を防止するこ
とができる。防錆顔料としては、たとえば、雲母、亜鉛
等を含むものを挙げることができ、これらは、単独また
は複数を混合して使用することができる。本発明のプラ
イマーには、上記顔料以外に、着色のための着色顔料
や、粘度調整等の取扱い性を高めるために有機溶剤を含
有してもよい。有機溶剤としては、たとえば、トルエ
ン、キシレン、メチルエチルケトン等を挙げることがで
きる。顔料の添加量は、限定するのではないが、樹脂固
形分に対し0〜90重量%程度が好ましく、有機溶剤の
添加量は、限定するのではないが、全固形分に対し0〜
300重量%程度が好ましい。
【0016】[プライマーの製造方法および用途]本発
明のプライマーは、エポキシ樹脂および硬化剤と金属ア
ルコラートとを混合して製造され、その添加順序等につ
いて特に限定はない。たとえば、これらを混合後、直ち
に、プライマーとして使用してもよく、これらを混合し
たのち常温で放置してから使用してもよく、さらに、加
熱等で予備反応を行ってから、すなわち、金属アルコラ
ートとエポキシ樹脂を予め反応させておくか、金属アル
コラートと硬化剤とを予め反応させておく、予備反応を
行ってから使用してもよい。予備反応の条件について
は、特に限定はないが、たとえば、5〜150℃、30
分〜15時間である。
【0017】本発明のシリコーン樹脂塗装品は、基材
(被塗物)の表面に本発明のプライマーの塗膜を形成す
るプライマー塗膜形成工程を行った後、その塗膜表面に
シリコーン樹脂組成物の塗膜をさらに形成するシリコー
ン樹脂塗膜形成工程を行って得られる塗装品である。プ
ライマー塗膜形成工程は、本発明のプライマーを、たと
えば、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装、刷
毛塗りやローラー塗装等のいずれかで塗装した後、硬化
させてプライマーの塗膜を形成させる工程である。プラ
イマーの硬化条件については、特に限定はないが、常温
処理の場合は例えば5〜35℃で4〜48時間程度であ
り、加熱処理の場合は例えば80〜180℃で10〜6
0分程度である。硬化後のプライマー塗膜の平均厚み
は、限定する訳ではないが、1〜500μm程度であ
る。平均厚みが1μm未満であるとプライマー効果が弱
く、500μmを超えるとクラックが入りやすいからで
ある。
【0018】シリコーン樹脂塗膜形成工程は、シリコー
ン樹脂組成物を、上記プライマー塗膜形成工程と同様
に、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装、刷毛
塗りやローラー塗装等のいずれかでプライマーの塗膜の
表面に塗装した後、硬化させてシリコーン樹脂組成物の
塗膜を形成させる工程である。シリコーン樹脂組成物の
硬化条件については、特に限定はないが、常温処理の場
合は例えば5〜35℃で4〜48時間程度であり、加熱
処理の場合は例えば80〜180℃で10〜60分程度
である。硬化後のプライマー塗膜の平均厚みは、限定す
る訳ではないが、10〜200μm程度である。
【0019】シリコーン樹脂塗膜の形成は、プライマー
膜の乾燥後にシリコーン樹脂膜を形成して両膜を同時に
焼成する、いわゆる、2コート1ベークであっても良い
し、プライマー塗膜形成後にシリコーン樹脂塗膜を形成
するようにしても良い。上記で用いるシリコーン樹脂組
成物については、特に限定はなく、たとえば、Si−O
−Si結合を主骨格に有する無機高分子シリコーンを含
む組成物を挙げることができ、その具体例として以下の
(1)〜(3)がある。 (1)Si−O−Si結合を主鎖とし、シラノールの縮
合により硬化するもの、いわゆる、無機シリコーン。
【0020】(2)Si−O−Si結合を主鎖とし、イ
ソシアネート基やカルボキシル基等の有機官能基の反応
により硬化するもの、いわゆる、シリコーン樹脂。 (3)有機鎖を主鎖とし、シラノールの縮合により硬化
するもの、いわゆる、変性シリコーン。 本発明では、上記(1)〜(3)のうち、シリコーン樹
脂組成物としては(1)が好ましい。そのなかでも、た
とえば、直鎖状両末端水酸基含有ジアルキルポリシロキ
サンを含むシリコーン樹脂組成物は、末端の水酸基がシ
リコーン樹脂のバルクのアルコキシ基と反応して固定化
され、アルキル基が表面を覆い、その結果、長期間にわ
たって撥水性および撥油性を示し好ましい。このとき、
従来なら、アルキル基は、シリコーン樹脂組成物塗膜の
上表面だけではなく、下層との界面にも作用し、一般の
プライマー塗膜ではその界面の密着性が低かった。しか
し、プライマーとして本発明のプライマーを用いると、
プライマー塗膜の表面にアルコキシル基が存在するよう
になり、これが、直鎖状両末端水酸基含有ジアルキルポ
リシロキサン中の水酸基と反応することによって、強固
な密着性が両塗膜間に得られるようになると推測される
のである。
【0021】本発明にかかるシリコーン樹脂塗装品に用
いる基材(被塗装物)としては、金属、プラスチック、
コンクリート、木材、フレキシブル基板など多々ある。
【0022】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を
詳細に説明する。実施例および比較例中、特に断らない
限り、「部」はすべて「重量部」を表す。なお、本発明
の範囲は、下記の実施例に限定されない。 <実施例1>エポキシ樹脂として下記のエポシキ樹脂
(A)50部、体質顔料としてのタルク(松村産業社
製、平均粒径15μm)30部、色顔料としての酸化鉄
10部、硬化剤としての変性ポリアミド10部、金属ア
ルコラートとしての2−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリメトキシシラン1.5部を混合し、プ
ライマー(1)を得た。
【0023】エポシキ樹脂(A):ビスフェノールA型
液状エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エポキシ
当量190、エポキシ基数2、商品名「エピコート82
8」)/アルキルモノグリシジルエーテル(油化シェル
エポキシ社製、エポキシ当量330、エポキシ基数1、
商品名「エピコートYED−111」)=40/10
(重量比)の混合物で、1分子当たり平均1.8個のエ
ポキシ基を含有し、エポキシ当量が206であるエポキ
シ樹脂。このプライマー(1)を、予め脱脂した冷間圧
延鋼板(SPCC−B)と、レイタンス除去した標準モ
ルタル板とに、それぞれ塗布し、25℃で18時間かけ
て養生、硬化させた。
【0024】次いで、撥水性・撥油性のシリコーン樹脂
組成物(松下電工社製の防汚コーティング材、商品名
「アーバンセラ」)を3回塗りし、25℃で7日間かけ
て養生、硬化させた。 <実施例2〜16>後述の表1〜4に記載のごとく、実
施例1において、エポキシ樹脂を下記のエポシキ樹脂
(B)に変更することがあるか、硬化剤をポリアミドア
ミンアダクトに変更することがあるか、金属アルコラー
トをイソプロピルトリアクリロイルチタネート、3−ア
ミノプロピルトリエトキシシランまたは3−メルカプト
プロピルトリメトキシシランに変更することがあるか、
するほかは実施例1と同様にして、実施例2〜16のプ
ライマー(2)〜(16)を得たのち、実施例1と同様
のプライマー塗膜形成工程およびシリコーン樹脂塗膜形
成工程を実施した。
【0025】エポシキ樹脂(B):ビスフェノールA型
固形エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社製、エポキシ
当量735、エポキシ基数2、商品名「エピコート10
03」)/ジアミノジフェニールメタンテトラグリシジ
ルエステル(東都化成社製、エポキシ当量120、エポ
キシ基数4、商品名「Y11−434」)=11/2
(重量比)の混合物で、1分子当たり平均2.3個のエ
ポキシ基を含有し、エポキシ当量が573であるエポキ
シ樹脂。 <比較例1>後述の表5に記載のごとく、本発明のプラ
イマーを用いないほかは、実施例1と同様のプライマー
塗膜形成工程およびシリコーン樹脂塗膜形成工程を実施
した。
【0026】<比較例2〜3>後述の表5〜6に記載の
ごとく、エポキシ樹脂として前記エポシキ樹脂(A)ま
たはエポシキ樹脂(B)を用い、硬化剤として前記変性
ポリアミドを用い、金属アルコラートは用いない、ほか
は実施例1と同様じして、比較プライマー(1)〜
(2)を得たのち、実施例1と同様のプライマー塗膜形
成工程およびシリコーン樹脂塗膜形成工程を実施した。
このようにして得られた各塗装品について、後述の付着
性試験(付着性1〜4)を行い、物性を評価した。その
結果を表1〜6に示す。
【0027】各表において、「付着性1」の数字は付着
強さを表し、「付着性2」、「付着性3」および「付着
性4」の数字は各付着性試験条件下での評価点数を表
す。評価点数が大きいほど、付着強度が高いことを示
す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】 上記各表の「混合または予備反応」欄において、「混
合」とは単に各成分を混合してプライマーを製造するこ
とであり、「予備反応」とは各成分の混合前または後に
所定の予備反応を行ってからプライマーを製造すること
である。予備反応(1)では、変性ポリアミドと金属ア
ルコラートとを混合したのち、50℃で8時間加熱処理
した。予備反応(2)では、エポキシ樹脂(B)と金属
アルコラートとを混合したのち、50℃で8時間加熱処
理した。付着性1〜4は以下のようにして試験した。
【0034】[付着性1]JISK5400 8.7に
従い、標準モルタルを用いた塗装品の付着強さ(単位:
MPa)を測定した。 [付着性2]JISK5400 8.5.3に従い、3
M社製シリコーン粘着テープ(#5413)を用いて、
それぞれの塗装品での付着強さを点数で評価した。 [付着性3]塗装品を煮沸水に12時間浸漬し、塗装品
の温度を室温に戻した後、JISK5400 8.5.
3に従い、3M社製シリコーン粘着テープ(#541
3)を用いて、それぞれの塗装品での付着強さを点数で
評価した。
【0035】[付着性4]塗装品を60℃の温水に8時
間浸漬した後、20℃の恒温乾燥機に16時間放置し
た。この温水浸漬と恒温乾燥機内放置の操作を10回繰
り返した後、JISK5400 8.5.3に従い、3
M社製シリコーン粘着テープ(#5413)を用いて、
それぞれの塗装品での付着強さを点数で評価した。な
お、上記付着性試験の結果を示す欄における「*1」〜
「*3」は、各試験条件下で各塗装品に下記の現象が発
生したことを意味する。 *1:基材(標準モルタル)の破壊。
【0036】*2:プライマー塗膜とシリコーン樹脂塗
膜との界面での破壊。 *3:基材とシリコーン樹脂塗膜との界面での破壊。上
記実施例および比較例の結果から、以下の1)〜5)が
明らかになった。 1)エポキシ樹脂に金属アルコラートをそのまま混合ま
たは予備反応して得られるプライマーを用いると、シリ
コーン樹脂組成物の密着性が向上する。 2)プライマー中の金属アルコラートの含有量を全固形
分100重量部中1〜5重量部に調整した場合の効果は
顕著である。
【0037】3)予備反応の有無による効果の差は認め
られない。 4)シリコーン樹脂組成物はプライマーがないと基材に
密着しない。 5)シリコーン樹脂組成物は金属アルコラートを含まな
いプライマーを使用しても基材には密着しない。
【0038】
【発明の効果】本発明にかかるプライマーは、各種被塗
物に密着しにくい性質を有するシリコーン樹脂組成物等
の難密着性塗膜形成物を、被塗物に強固に密着させるこ
とができる。その結果、シリコーン樹脂組成物の塗膜が
有する優れた機能、すなわち、耐候性、耐薬品性、耐摩
耗性、撥水性および撥油性等を有効に発揮させることが
可能になる。本発明にかかるシリコーン樹脂塗装品で
は、上記本発明のプライマーを用いることによって、各
種被塗物に密着しにくい性質を有するシリコーン樹脂組
成物が強固に密着しており、そのため、耐候性、耐薬品
性、耐摩耗性、撥水性およびを撥油性等のシリコーン樹
脂組成物の物性が有効に発揮される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高濱 孝一 大阪府門真市大字門真1048番地 松下電工 株式会社内 (72)発明者 中村 洋 兵庫県尼崎市丸島町8番地の2 カナヱ化 学工業株式会社技術研究所内 (72)発明者 藤井 豊彦 兵庫県尼崎市丸島町8番地の2 カナヱ化 学工業株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4D075 AE03 AE07 CA03 CA13 CA18 CA38 CA44 DB01 DB02 DB12 DC05 EA41 EB33 EB42 EB45 EB56 EC08 EC37 4J038 DB061 DB071 DB091 DB131 DK002 DL032 GA07 GA09 GA11 GA15 JA13 JA23 JA42 JB03 JB04 JB05 JB18 JB32 JC37 KA03 KA04 MA08 MA10 NA12 PA07 PA18 PB05 PB07 PC02 PC08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エポキシ樹脂およびその硬化剤を含むとと
    もに、前記エポキシ樹脂および前記硬化剤の少なくとも
    一方と反応可能な官能基を有する金属アルコラートをも
    含有する、プライマー。
  2. 【請求項2】前記金属アルコラートの含有量が全固形分
    100重量部中0.5〜10重量部である、請求項1に
    記載のプライマー。
  3. 【請求項3】前記官能基が、エポキシ基、アミノ基、ア
    クリロイル基、水酸基およびメルカプト基から選ばれた
    少なくとも1種である、請求項1または2に記載のプラ
    イマー。
  4. 【請求項4】前記エポキシ樹脂は、1分子当たり平均
    1.5個以上のエポキシ基を有し、そのエポキシ当量が
    150以上である、請求項1から3までのいずれかに記
    載のプライマー。
  5. 【請求項5】前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が150
    〜1,000である、請求項4に記載のプライマー。
  6. 【請求項6】基材の表面に請求項1から5までのいずれ
    かに記載のプライマーの塗膜を形成し、この塗膜表面に
    シリコーン樹脂組成物の塗膜をさらに形成してなる、シ
    リコーン樹脂塗装品。
JP2001084664A 2001-03-23 2001-03-23 プライマーおよびこれを用いたシリコーン樹脂塗装品 Withdrawn JP2002285072A (ja)

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