JP2002265402A - ビスフェノールaの製造方法 - Google Patents
ビスフェノールaの製造方法Info
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Abstract
で、フェノールとアセトンからビスフェノールAを製造
するに際し、アセトンの供給量を比較的低く維持しなが
ら、色相の良好な製品ビスフェノールAを製造する方法
を提供する。 【解決手段】 アセトンを各反応器に分割して供給する
と共に、劣化が最も進行した触媒を新しい触媒と交換す
る場合、新しい触媒を充填した反応器を反応系の最後段
に設置し、かつ最後段の反応器において、アセトンの消
費量に対する供給量の比Rが、1より大きく3未満にな
るように運転する。
Description
[2.2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン]
の製造方法の改良に関する。さらに詳しくは、陽イオン
交換樹脂触媒を用いた固定床多段連続反応方式で、フェ
ノールとアセトンからビスフェノールAを製造するに際
し、アセトンの供給量を比較的低く維持しながら、色相
の良好な製品ビスフェノールAを効率よく製造する方法
に関するものである。
脂やポリアリレート樹脂などのエンジニアリングプラス
チック、あるいはエポキシ樹脂などの原料として重要な
化合物であることが知られており、近年その需要はます
ます増大する傾向にある。このビスフェノールAは、酸
性触媒及び場合により用いられる硫黄化合物などの助触
媒の存在下に、過剰のフェノールとアセトンとを縮合さ
せることにより製造される。この反応における酸触媒と
しては、従来、硫酸や塩化水素などの無機鉱酸が用いら
れていたが、近年、陽イオン交換樹脂が注目され(英国
特許第842209号明細書、同第849565号明細
書、同第883391号明細書)、工業的に用いられる
ようになった。
としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、
チオグリコール酸などの置換基を有する若しくは有しな
いアルキルメルカプタン類が有効であることが知られて
いる(米国特許第2359242号明細書、同第277
5620号明細書)。このメルカプタン類は、反応速度
を上げるとともに、選択率を向上させる作用を有してい
る。例えば、ビスフェノールAの製造において、反応副
生物として、主に2−(2−ヒドロキシフェニル)−2
−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(o,p’一
体)が生成し、その他トリスフェノール、ポリフェノー
ルなどが生成する。特に、ポリカーボネート樹脂やポリ
アリレート樹脂などの原料として用いる場合、これらの
副生物の含有量が少なく、着色のない高純度のビスフェ
ノールAが要求される。このため、反応速度を上げると
ともに、上記副生物の生成を抑え、選択率を高めるため
に、助触媒としてメルカプタン類が用いられる。
ェノールAを工業的に製造する場合、一般に、前記陽イ
オン交換樹脂を充填した反応塔を2基以上直列に連結し
てなる装置を用いた固定床多段連続反応方式が採用され
る。このような反応方式においては、通常、前段の反応
器ほど触媒の劣化が大きくなる。そこで、最も劣化した
触媒を新しい触媒と交換する場合、新しい触媒を交換す
べき触媒の場所、すなわち最前段にもってくると、触媒
が有効に利用されず、反応器全体でのビスフェノールA
の収率が低下し、かつ触媒の劣化も速くなるという好ま
しくない事態を招来する。したがって、触媒劣化の最も
進行した陽イオン交換樹脂に代えて、新たな又は再生し
た陽イオン交換樹脂を反応に供するに当たり、該新たな
又は再生した陽イオン交換樹脂を充填した反応器を反応
系の最後段に設置することが試みられている(特開平6
−25042号公報)。しかしながら、上記技術は、触
媒を有効に使いきることを目的としており、製品ビスフ
ェノールAの品質を維持するためには、さらなる工夫が
必要である。すなわち、触媒が劣化してくると生産量を
維持する(フェノールの転化率を維持する)ために、ア
セトンの供給量を増加するが、この場合、製品ビスフェ
ノールAの色相に対して、望ましくない不純物の生成が
多くなるという問題が生じる。一方、このような固定床
多段連続反応方式においては、アセトンを直列の各反応
器に分割して供給する方法が知られている(特開昭54
−19952号公報)。
状況下で、陽イオン交換樹脂触媒を用いた固定床多段連
続反応式で、フェノールとアセトンからビスフェノール
Aを製造するに際し、アセトンの供給量を比較的低く維
持しながら、色相の良好な製品ビスフェノールAを効率
よく製造する方法を提供することを目的とするものであ
る。
達成するために鋭意研究を重ねた結果、固定床多段連続
反応方式において、アセトンを各反応器に分割して供給
すると共に、触媒劣化の最も進行した陽イオン交換樹脂
に代えて、新たな又は再生した陽イオン交換樹脂を反応
に供するに当たり、該新たな又は再生した陽イオン交換
樹脂を充填した反応器を反応系の最後段に設置し、かつ
最後段の反応器において、アセトンの消費量に対する供
給量の比が特定の範囲にあるように運転することによ
り、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、
かかる知見に基づいて完成したものである。
媒を充填した少なくとも2基の反応器が直列に配置され
た固定床多段反応器に、フェノールを第1段反応器に連
続的に供給すると共に、アセトンを各反応器に分割して
連続的に供給し、ビスフェノールAを製造する方法にお
いて、触媒劣化の最も進行した陽イオン交換樹脂に代え
て、新たな又は再生した陽イオン交換樹脂を反応に供す
るに当たり、該新たな又は再生した陽イオン交換樹脂を
充填した反応器を反応系の最後段に設置し、かつ最後段
の反応器において、アセトンの消費量に対する供給量の
比Rが1より大きく3未満になるように運転することを
特徴とするビスフェノールAの製造方法を提供するもの
である。
脂を触媒とする固定床多段連続反応方式により、フェノ
ールとアセトンとを縮合させ、ビスフェノールAを製造
する方法であって、上記陽イオン交換樹脂としては、特
に制限はなく、従来ビスフェノールAの触媒として慣用
されているものを用いることができるが、特に触媒活性
などの点から、スルホン酸型陽イオン交換樹脂が好適で
ある。該スルホン酸型陽イオン交換樹脂については、ス
ルホン酸基を有する強酸性陽イオン交換樹脂であればよ
く特に制限されず、例えばスルホン化スチレン−ジビニ
ルベンゼンコポリマー、スルホン化架橋スチレンポリマ
ー、フェノールホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂、ベ
ンゼンホルムアルデヒド−スルホン酸樹脂などが挙げら
れる。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、二種以上
を組み合わせて用いてもよい。
触媒としてメルカプタン類を用いることができる。この
メルカプタン類は、分子内にSH基を遊離の形で有する
化合物であり、このようなものとしては、アルキルメル
カプタンや、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル
基などの置換基一種以上を有するアルキルメルカプタン
類、例えばメルカプトカルボン酸、アミノアルカンチオ
ール、メルカプトアルコールなどを用いることができ
る。このようなメルカプタン類の例としては、メチルメ
ルカプタン、エチルメルカプタン、nーブチルメルカプ
タン、 nーオクチルメルカプタンなどのアルキルメルカ
プタン、チオグリコール酸、βーメルカプトプロピオン
酸などのチオカルボン酸、2−アミノエタンチオール、
2,2−ジメチルチアゾリジンなどのアミノアルカンチ
オール、メルカプトエタノールなどのメルカプトアルコ
ールなどが挙げられるが、これらの中で、アルキルメル
カプタンが助触媒としての効果の点で、特に好ましい。
また、これらのメルカプタン類は、単独で用いてもよ
く、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのメ
ルカプタン類は、前記陽イオン交換樹脂上に固定化さ
せ、助触媒として機能させることもできる。前記メルカ
プタン類の使用量は、一般に原料のアセトンに対して、
0.1〜20モル%、好ましくは、1〜10モル%の範
囲で選定される。また、フェノールとアセトンとの使用
割合については特に制限はないが、生成するビスフェノ
ールAの精製の容易さや経済性などの点から、未反応の
アセトンの量は出来るだけ少ないことが望ましく、した
がって、フェノールを化学量論的量よりも過剰に用いる
のが有利である。通常、アセトン1モル当たり、3〜3
0モル、好ましくは5〜15モルのフェノールが用いら
れる。また、このビスフェノールAの製造においては、
反応溶媒は、反応液の粘度が高すぎたり、凝固して運転
が困難になるような低温で反応させる以外は、一般に必
要ではない。
縮合反応は、酸触媒の陽イオン交換樹脂を充填した反応
器2基以上が直列に配置された固定床多段反応器を用
い,フェノール及び必要により用いられるメルカプタン
類を第1段反応器に連続的に供給すると共に、アセトン
を各反応器に分割して連続的に供給することにより行わ
れる。アセトンの各段への供給割合は、触媒の活性によ
って左右されるが、例えば塔型反応器3基、即ち反応塔
3基を直列に連結した場合、各反応塔におけるビスフェ
ノールA生成負荷を、上流側から10:7:4程度にす
ると安定した品質のビスフェノールAを得ることができ
る。本発明の方法においては、触媒劣化の最も進行した
陽イオン交換樹脂に代えて、新たな又は再生した陽イオ
ン交換樹脂を反応に供する場合、該新たな又は再生した
陽イオン交換樹脂を充填した反応器を反応系の最後段に
設置する。これは、最後段よりも前に設置した場合、触
媒が有効に利用されず、反応器全体でのビスフェノール
Aの収率が低下するとともに、触媒の劣化も速くなるか
らである。通常、多段反応器においては、前段の反応器
ほど触媒の劣化が大きいので、第1段目の反応器を取り
除き、新たな又は再生した陽イオン交換樹脂を充填した
反応器を最後段に設置する。
の反応器において、アセトンの消費量に対する供給量の
比Rが1より大きく3未満になるように運転すべきであ
る。このRが3以上では製品ビスフェノールAの色相が
低下する。
る反応条件について説明する。まず、アセトン/フェノ
ールモル比は、通常1/30〜1/3、好ましくは1/
15〜1/5の範囲で選ばれる。このモル比が1/30
より小さい場合、反応速度が遅くなりすぎるおそれがあ
り、1/3より大きいと不純物の生成が多くなり、ビス
フェノールAの選択率が低下する傾向がある。一方、メ
ルカプタン類が陽イオン交換樹脂に固定化されない場
合、メルカプタン類/アセトンモル比は、通常0.1/
100〜20/100、好ましくは1/100〜10/
100の範囲で選ばれる。このモル比が0.1/100
より小さい場合、反応速度やビスフェノールAの選択率
の向上効果が十分に発揮されないおそれがあり、20/
100より大きいとその量の割りには効果の向上はあま
り認められない。また、反応温度は、通常40〜150
℃、好ましくは60〜110℃の範囲で選ばれる。該温
度が40℃未満では反応速度が遅い上、反応液の粘度が
極めて高く、場合により、固化するおそれがあり、15
0℃を超えると反応制御が困難となり、かつビスフェノ
ールA(p,p’一体)の選択率が低下する上、触媒の
陽イオン交換樹脂が分解又は劣化することがある。さら
に、各塔における原料混合物のLHSV(液時空間速
度)は、通常0.2〜30hr-1、好ましくは0.5〜
10hr-1の範囲で選ばれる。
きた反応混合物は、公知の方法により後処理が施され、
ビスフェノールAが取り出される。次に、この後処理の
一例について説明すると、まず晶析に先立って濃縮を行
う。濃縮条件については特に制限はないが、通常温度1
30〜170℃、圧力13〜53kPaの条件で濃縮が
行われる。温度が130℃未満では高真空が必要とな
り、170℃を超えると不純物が増加したり、着色の原
因となる。また、濃縮残液のビスフェノールAの濃度は
25〜40重量%の範囲にあるのが有利である。この濃
度が25重量%未満ではビスフェノールAの回収率が低
く、40重量%を超えると晶析後のスラリーの移送が困
難となる。濃縮残液からのビスフェノールAとフェノー
ルの付加物の晶析は、通常減圧下で水の蒸発潜熱を利用
して冷却する真空冷却晶析法によって行われる。この真
空冷却晶析法においては、該濃縮残液に、水を3〜20
重量%程度添加し、通常温度40〜70℃、圧力3〜1
3kPaの条件で晶析処理が行われる。上記水の添加量
が3重量%未満では除熱能力が十分ではなく、20重量
%を超えるとビスフェノールAの溶解ロスが大きくな
り、好ましくない。また晶析温度が40℃未満では晶析
液の粘度の増大や固化をもたらすおそれがあり、70℃
を超えるとビスフェノールAの溶解ロスが大きくなり好
ましくない。
ノールAとフェノールの付加物は、公知の方法により分
離したのち、通常、フェノールにより洗浄処理が施され
る。次いで、洗浄処理された付加物をビスフェノールA
とフェノールとに分離処理するが、この場合、温度は通
常130〜200℃、好ましくは150〜180℃の範
囲で選ばれ、一方圧力は通常3〜20kPaの範囲で選
ばれる。この分離処理により得られたビスフェノールA
は、その中の残留フェノールをスチームストリッピング
などの方法により、実質上完全に除去することによっ
て、高品質のビスフェノールAが得られる。
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。
ジビニルベンゼンコポリマー、三菱化学社製,商品名:
ダイヤイオンSK104]を充填した反応塔3基を直列
に連結し、第1段目の反応塔にフェノールとエチルメル
カプタン混合物をLHSV1hr-1で供給すると共に、
アセトンを各塔に分割して供給した。フェノール/全ア
セトンモル比は1/10、エチルメルカプタン/全アセ
トンモル比は1/20であり、各塔の入口温度は75℃
に設定した。第1段目の反応塔の触媒の活性が劣化した
ため、これを新しい触媒と交換して最後段に配置した。
この際、従来2段目であった反応塔は第1段目に、3段目
であった反応塔は2段目に配置された。このように、反
応塔を入れ替えた後も、Rを3未満に抑えながら、生産
量を落とすことなく、運転を維持することができた。反
応塔入れ替え前後の各塔のRと、製品ビスフェノールA
の色相を第1表に示す。なお、ビスフェノールAの色相
は、ビスフェノールAを空気雰囲気下で220℃、40
分間加熱し、APHA標準色を用い、目視にして評価し
た。
連結し、第1段目の反応塔にフェノールとエチルメルカ
プタンの混合物をLHSV1hr-1で供給すると共に、
アセトンを各塔に分割して供給した。フェノール/全ア
セトンモル比は1/10、エチルメルカプタン/全アセ
トンモル比は1/20であり、各塔の入口温度は75℃
に設定した。第1段目の反応塔の触媒の活性が劣化した
ため、これを新しい触媒と交換した。この際、実施例1
で行ったような反応塔の配置転換は行わなかった。触媒
入れ替え前後の各塔のRと、製品ビスフェノールAの色
相を第1表に示す。
を用いた固定床多段連続反応方式で、フェノールとアセ
トンからビスフェノールAを製造するに際し、アセトン
の供給量を比較的低く維持しながら、色相の良好な製品
ビスフェノールAを効率よく製造することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 陽イオン交換樹脂触媒を充填した少なく
とも2基の反応器が直列に配置された固定床多段反応器
に、フェノールを第1段反応器に連続的に供給すると共
に、アセトンを各反応器に分割して連続的に供給し、ビ
スフェノールAを製造する方法において、触媒劣化の最
も進行した陽イオン交換樹脂に代えて、新たな又は再生
した陽イオン交換樹脂を反応に供するに当たり、該新た
な又は再生した陽イオン交換樹脂を充填した反応器を反
応系の最後段に設置し、かつ最後段の反応器において、
アセトンの消費量に対する供給量の比Rが1より大きく
3未満になるように運転することを特徴とするビスフェ
ノールAの製造方法。 - 【請求項2】 陽イオン交換樹脂触媒が、スルホン酸型
陽イオン交換樹脂触媒である請求項1記載のビスフェノ
ールAの製造方法。
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