JP2002260852A - 高速パルスel素子駆動装置 - Google Patents

高速パルスel素子駆動装置

Info

Publication number
JP2002260852A
JP2002260852A JP2001053196A JP2001053196A JP2002260852A JP 2002260852 A JP2002260852 A JP 2002260852A JP 2001053196 A JP2001053196 A JP 2001053196A JP 2001053196 A JP2001053196 A JP 2001053196A JP 2002260852 A JP2002260852 A JP 2002260852A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
organic
electrode
layer
anode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001053196A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadaoki Mitani
忠興 三谷
Takeshi Masuda
剛 枡田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Corp filed Critical Japan Science and Technology Corp
Priority to JP2001053196A priority Critical patent/JP2002260852A/ja
Publication of JP2002260852A publication Critical patent/JP2002260852A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/85Arrangements for extracting light from the devices
    • H10K50/856Arrangements for extracting light from the devices comprising reflective means

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 EL素子に印加する電圧を高くすることで、
高輝度な光を得る。 【構成】 陽極としての透明電極ミラーと、陰極として
の金属電極ミラーとの間に発光層を含む有機層を備え、
前記電極から前記発光層に正孔と電子を注入して前記発
光層を発光させる有機EL素子であり、陽極と陰極間の
膜厚dを、光の共振条件であるm×λ/2=n×d(m
は整数、λは発光波長、nは有機層固有の屈折率であ
る)を満たすように設定した発光波長選択可能な有機E
L素子を用いる。電極が平面コンデンサの役割を果た
し、ブルームライン形式によりコンデンサに充放電され
る電荷によりパルス光を発生させる。または、このEL
素子を組み込んだ電気回路をブルームライン回路とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光共振型有機エレ
クトロルミネッセント(EL)素子を用いた高速パルス
EL素子駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】有機層を持つ電界発光素子は、電気的に
発光を起こすことのできる面状の発光体であり、自動車
のフロントディスプレーなどの表示装置、液晶ディスプ
レーのバックライトなどに使用されている。有機EL素
子として2個の反射鏡の間に発光素子を設けた光共振型
有機EL素子が知られている(例えば、特開平8−25
0786号公報、特開平11−288786号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】視野角の制限がなく、
低電圧駆動、高速応答可能な電界発光素子として期待さ
れているEL素子の高輝度化、高安定化、色調の改善を
目的にEL材料や素子構造の研究開発が鋭意行われてい
るが、発光制御や素子の多機能化の観点からの研究開発
は行われていない。
【0004】EL素子に印加する電圧を高くすること
で、高輝度な光を得ることができるが、その結果、過電
流が流れるため素子が劣化する。そのため、高輝度EL
素子の研究開発においては、低電圧において発光効率の
よいEL材料の研究開発をすることがこれまで一般的で
あった。
【0005】また、従来の有機EL素子では、それぞれ
の色で異なる発光材料を用いており、光の三原色である
赤、緑、青色の光などのある特定の色の光(発光スペク
トルの半値幅が小さい光)を得るためには、レーザーや
光学フィルタなどが用いられる。
【0006】
【課題を解決するための手段】従来のEL素子の研究開
発において、ある特定の波長の光を得るためにはその色
を発するEL材料の研究開発を行うのが一般的である。
つまり、光の三原色である赤、緑、青色の光を得るため
に、それぞれの色で異なる発光材料の研究開発を行って
いる。
【0007】本発明者らは、発光材料の研究開発にかか
る時間的、労力的な手間を省くと共に光学素子製造にお
ける工数及びコストを削減する手法(つまり、光学フィ
ルタなどを用いず容易にかつ自由に目的とする光を得る
ための手法)を探索した結果、有機EL素子に新規な光
共振構造を組み込むことにより、目的とする光を得るこ
とに成功した。
【0008】さらに、本発明者らは、素子に流れる電流
の制御という点に着目し、それを実現する手法を探索し
た結果、従来、窒素レーザーの電荷供給回路として知ら
れている程度のブルームライン回路を用いることによ
り、EL素子に高電圧印加を行い、高速応答性を持つパ
ルス光発生装置により高輝度発光を実現した。
【0009】すなわち、本発明は、陽極としての透明電
極ミラーと、陰極としての金属電極ミラーとの間に発光
層を含む有機層を備え、前記電極から前記発光層に正孔
と電子を注入して前記発光層を発光させる有機エレクト
ロルミネッセント素子であり、陽極と陰極間の膜厚d
を、光の共振条件であるm×λ/2=n×d(mは整
数、λは発光波長、nは有機層固有の屈折率である)を
満たすように設定した発光波長選択可能な有機エレクト
ロルミネッセント素子の電極が平面コンデンサの役割を
果たし、ブルームライン形式によりコンデンサに充放電
される電荷によりパルス光を発生させることを特徴とす
る高速パルスEL素子駆動装置である。
【0010】また、本発明は、陽極としての透明電極ミ
ラーと、陰極としての金属電極ミラーとの間に発光層を
含む有機層を備え、前記電極から前記発光層に正孔と電
子を注入して前記発光層を発光させる有機エレクトロル
ミネッセント素子であり、陽極と陰極間の膜厚dを、光
の共振条件であるm×λ/2=n×d(mは整数、λは
発光波長、nは有機層固有の屈折率である)を満たすよ
うに設定した発光波長選択可能な有機エレクトロルミネ
ッセント素子を組み込んだ電気回路をブルームライン回
路としたことを特徴とする高速パルスEL素子駆動装置
である。
【0011】本発明の高速パルスEL素子駆動装置は下
記1〜6のとおりの特徴を有する。 1.1種類のEL材料から光の三原色である赤、緑、青
を取り出すことができる。言い換えると、黄緑の光から
緑を、オレンジの光から赤を光学フィルタなしに取り出
すことができる。 2.色度調整用の光学フィルタがいらなくなる。つま
り、工数やコストを削減できる。
【0012】3.EL素子に高電圧(最大50V程度)
を印加できる。一般的な定常電圧駆動のEL素子では、
十数ボルトで素子は劣化、ショートし破壊される(20
Vももたない)。この高電圧印加により、高輝度化(A
lq3使用時に30000cd/m2 )、高速応答性
(光パルスの立ち上がり、立下り時間を合わせて1ms
程度)を実現した。また、高速応答性については印加電
圧が高くなるほどパルスの立ち上がり時間が短くなる傾
向にある(50V印加時10μs程度)。
【0013】4.ブルームライン回路を用いることによ
り、有機ELデバイスのキャパシタを無視して発光させ
ることができる。つまり、立ち上がりの早いパルス光を
発生させることができる。これは、ブルームライン回路
を用いた発光機構において充放電のパートが分かれてい
るためである。言い換えると、コンデンサC1,C2の
充電時に有機ELのキャパシタ分も充電していることを
意味する。単に、パルス電圧を有機EL素子に印加した
のでは充放電が同時に行われてしまい、充電にかかる時
間分だけ発光が遅れる。
【0014】5.EL素子に注入する電荷量を、回路中
のコンデンサC2の静電容量を変えることで制御するこ
とができる。つまり、輝度や光の量をコントロールでき
る。また、この機能により素子の劣化を低減し、素子の
高安定化を実現できる。 6.コンデンサをEL素子の電極と共通にすることによ
り、エネルギー注入をスムーズにすることができる(配
線によりコンデンサとEL素子を結ぶと、配線などのイ
ンピーダンスのために電気的、時間的にロスが発生する
ので、それを軽減できる)。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の高速パルスEL
素子駆動装置に用いる有機EL素子に光共振構造が組み
込まれてEL素子を多機能化した光学素子の構造を示す
概念図である。下方のガラス基板(1)から順に陽極A(2)
/陽極B(3)/陽極バッファー層(4)/ホール輸送層(5)
/発光層(6)/電子輸送層(7)/陰極バッファー層(8)/
陰極(9)からなる多層構造となっている。陽極バッファ
ー層(4)および陰極バッファー層(8)は、それぞれ電極か
らホールおよび電子を効率よく注入するために必要に応
じて設ける。
【0016】陽極A、陽極B、陰極は、電極であると同
時に光を反射するミラーの役割をはたす金属である。陽
極Aは、透過率の高い金属(金属膜でも薄膜化すること
である程度の透過性が得られる)である。陽極Aは、電
極の強度を増すためのものである(使用法による)。陰
極から陽極までの層を逆転させて積層させてもよい。
【0017】陽極Bとしての透明電極ミラーと、陰極と
しての金属電極ミラーとの間に発光層を含む有機層を備
え、発光層に正孔と電子を注入して発光層を発光させ
る。キャリア注入効率、発光効率を向上させるため、陽
極Bとしては仕事関数の高い金を用い、共蒸着法により
発光層にクマリン6をドープしたものが好ましい。また
た、陽極Aは透明導電性金属酸化膜、例えばITOなど
を使用する。
【0018】本発明の高速パルスEL素子駆動装置に用
いる光学素子の構造では、陽極Bと陰極間の膜厚dを、
光の共振条件であるm×λ/2=n×d(mは整数、λ
は発光波長、nは有機層固有の屈折率である)を満たす
ように設定する。整数mは大きくなると膜厚が大きくな
るので1、2、3程度を選択する。共振周波数ν(=1
/λ)は、EL素子の電極間の距離dと有機層の屈折率
nによって決まる(mλ/2=nd)。この構造により
発光波長選択可能な光学素子が得られる。つまり、緑色
の光を取り出す素子と赤色を取り出す素子は膜厚が違
い、別々に作る。例えば、緑色(λ=540nm)を取
り出すためには、最低(m=1)でもd=185nmと
なり、一般的なEL素子(トリプルレイヤータイプ)の
2倍程度の膜厚になる。
【0019】このように、本発明に用いる光学素子は厚
膜素子(膜厚は共振条件による。200−600nm程
度、発生させたい光の波長によって変化)であり、光が
共振する構造を持ち、ある特定の光を取り出すことがで
きる。また、発光層からの光は膜厚の調節により陰極、
陽極どちらの電極からでも取り出すことができる。
【0020】一般的なEL素子は、光らせているだけで
ある。また、発光に必要なエネルギーの注入を良くする
ために膜厚dは100nm程度と薄い(素子抵抗を小さ
くするため、空間電荷制限電流を増加させるためな
ど)。
【0021】上記のとおり、厚膜化することに伴い幾つ
かの問題が発生するが、その解決法として本発明は、ブ
ルームライン回路を有機EL素子と組み合わせ、有機E
L素子の電極が平面コンデンサの役割を果たし、ブルー
ムライン形式によりコンデンサに充放電される電荷によ
りパルス光を発生させることを実現可能にした。
【0022】図2(a)、(b)、(c)は、本発明の
高速パルスEL素子駆動装置の概略構造を示す斜視図で
ある。図2(a)において、絶縁層(誘電体)1の下部
に金属電極2、絶縁層の上部の有機層3を挟んで2つの
金属電極4、5が配置されている。電極4はコンデンサ
C1の役を、電極5はコンデンサC2の役をし、コンデ
ンサC1、C2を充電し、コンデンサの一方を短絡させ
ると上部電極4、5間に電位差が発生し他方に充電され
ていたキャリアが有機層3に注入され有機層3内が励起
状態になる。
【0023】図2(b)は、コンデンサーの役をする上
部電極を一平面上に配置するのではなく、有機層3を挟
んでコンデンサC1の役をする電極4とコンデンサC2
の役をする5を重ね合わせている。有機層6、有機層7
は有機層3を形成するために設けた絶縁物であり、有機
層3の側面での表面電流(放電)を防ぐ役割もある。こ
のように配置されてできた二つの電極4と5に挟まれた
有機層3部分が発光層になる。このような構造を持たせ
ることで発光層の膜厚を任意に制御すると共に多層EL
デバイス構造にすることができ、高輝度、高効率化を実
現することが可能である。
【0024】また、発光層が電極4と5により挟まれて
いるので、発生した光を発光層内に封じ込める効果を持
ち、酸素や水分に弱い有機層3を守る効果もある。しか
し、短絡が先にはじまる電極である陰極と陽極の面積は
発振回路とつなぐための端子とする必要があるので面積
は同程度となり、2つのコンデンサー容量は同程度にな
る。よって、充放電の過渡現象における時定数が同程度
となり、発光層間に発生する電圧が最高値になるまでに
必要になる時間が長くなり、電気的に効率的ではない。
【0025】図2(c)は、コンデンサーC1の役をす
る電極4の上の有機層3が有機層6、7で挟まれ、電極
5が有機層3に重ね合わされている。コンデンサーC2
の役をする電極5が進行波を取り出す端面の逆エッジに
位置し、その静電容量を小さくすることができる。ま
た、このような構造では、コンデンサーに蓄積されたキ
ャリアが逆エッジ方向から注入されるため、発生する光
が指向性を持つことや逆エッジ方向に進む光を陰極によ
り反射するなどの効果が期待される。
【0026】駆動原理上、コンデンサの静電容量はC1
<<C2となる。C2の容量が大きいほど(例えば、C
1を0001μF、C2を1μF程度)有機層3に注入
される電荷が多くなり、良く光る。つまり、光量の調節
は電圧だけではなく、C2の容量によっても行える。ま
た、C1はC2から出る電荷の栓の役目をしており、そ
の容量は小さいほうが効果的である。その理由を図3に
示す駆動回路に基づいて説明する。前記コンデンサC
1、C2が、図3に示す駆動回路上のC1、C2に対応
する。C2のみを外部コンデンサに置き換えることも可
能である(使用法による)。
【0027】図3は、本発明の高速パルスEL素子駆動
装置における有機EL素子を組み込んだブルームライン
回路を示している。ブルームライン回路は、窒素レーザ
ーのエネルギー注入やパルス電圧の発生装置として、大
量の電荷を瞬時にデバイスへ注入する機構として従来用
いられている。
【0028】図3に示す回路において、スイッチがオフ
の時は電圧が印加され、コンデンサC1とC2に電荷が
充電される。スイッチがオンになると放電が起こり、C
2に蓄えられていた電荷がELデバイスへ注入されて発
光する。
【0029】図3の向かって上にpチャンネルのFET
トランジスタ、向かって下にnチャンネルのFETトラ
ンジスタがある。これにパルス電圧(矩形の電圧)が印
加されると、上がonの時は下がoff、上がoffの
時は下がonとスイッチングされる。上のトランジスタ
がonの時2つのコンデンサは充電され、offの時に
放電する。放電時に、EL素子は発光する。
【0030】この放電の速度が、ELの立ち上がりに関
わり、放電速度が早くなるほど立ち上がりも速くなる。
放電にかかる時間はコンデンサの容量と回路の抵抗の積
(C×R:時定数)で決まる。よって、放電速度はC1
>>C2となる。なぜならば、C2はC1よりの容量が
圧倒的に大きく、C2の放電経路にはR1や回路自体が
持つ抵抗だけではなく、EL素子の有機層の抵抗が余分
にあるからである。ここで、R1は1Ωであり、EL素
子の抵抗は印加電圧によって変化するが数十kΩから数
百Ωまで変化する。共振周波数(発光波長)は、C2の
容量、形状に依存しない。また、光を出す周波数はトラ
ンジスタに入れるパルス電圧の周波数で制御できる。
【0031】以上のことから、放電時の現象をまとめる
と、C1に充電された電荷は、C2に比べ圧倒的に早く
放電が終わる。その時、図3のA−B間にはほぼVの電
圧が発生し、その電圧によってEL素子が発光する。こ
の時の発光量は、C2×Vで定まる電荷量及び印加電圧
Vによって変化し、光の立ち上がりはVによって変化す
る。
【0032】配線によりコンデンサとEL素子を結ぶ
と、配線などのインピーダンスのために電気的、時間的
にロスが発生するのに対して、コンデンサをEL素子の
電極と共通にすることにより、エネルギー注入をスムー
ズにさせることができる。ただし、光学素子とコンデン
サを分けて回路を組み、発光させても、近い性能を得る
ことができる。
【0033】
【実施例】素子の製造例1
【0034】ITO(基礎電極)/Au(陽極)/TP
D(正孔輸送層)/Alq3(発光層)/LiF(電子
注入層)/Al(陰極)とし、Au−Al間の膜厚を共
振条件が成り立つように設計し作製した。ここで、Li
Fはフッ化リチウム、Alq3は発光材料として広く使
用されているキノリノールアルミニウム錯体である。ま
た、比較例として、一般的にトリプルレイヤーと言われ
てよく知られているITO/TPD/発光材料/MgA
gのデバイスを作製した。ここで、ITOはインジウム
−スズ酸化物被覆ガラス、TPDはN,N′−diph
enyl−N,N′−(3−methylpheny
l)−1,1′−biphenyl−4,4′−dia
mineである。
【0035】素子作成において、まず、ITO基板を塩
酸−Mgにより発生する水素ガスにより約2mm幅にエ
ッチングして基礎電極として用いた。洗浄はエタノー
ル、洗剤、純水、アセトン、トリクロロエチレン、最後
にアセトン蒸気を用いた。この基板上に陽極としてAu
を400Å、正孔輸送層としてTPDを600Å、発光
材料としてAlq3を4900Å、電子注入層としてL
iFを10Å、陰極としてAlを1000Åの厚みに真
空蒸着法により積層した。各層の蒸着は10-6Torr
で行った。
【0036】この時、Au−Al間の膜厚dは、光の共
振条件であるm×λ/2=nXd(mは整数、λは発光
波長、nは有機層の屈折率である)を満たすように設定
した。発光波長540nmをメインとするスペクトルを
得るために、屈折率nが1.46(この素子の有機層に
固有な値)であることより、整数mを3、膜厚dを55
10Å(=600+4900+10)とした。この値を
上記の式に代入すると、λ=5363Å=536.3n
mとなる。
【0037】図4の発光スペクトルから分かるように、
Au層を持たず、光の干渉(反射)がおこらないITO
/TPD/Alq3/LiF/Al構造の有機EL素子
から得られたスペクトルと比べて、実施例の素子から得
られたスペクトルは期待した波長以外の光が除去され、
スペクトルの半値幅が減少している(フィルタ効果)。
【0038】これは、色純度が上がっていることを意味
する。また、グラフからスペクトルのピークが約540
nmであり、共振条件の成立を裏付けていることがわか
る。ただし、640nm付近のスペクトルの落ち込み
は、測定装置の特性上測定できない領域である。
【0039】素子の製造例2 共振条件を変えた素子1および素子2を作成した。基板
の処理及び素子を構成する材料は実施例1と同様であ
り、有機層の膜厚のみを素子1および素子2で変更し
た。構造をITO/Au/TPD/Alq3/LiF/
Alとし、素子1では膜厚をそれぞれ、400Å、60
0Å、3200Å、10Å、1000Åとした(m=
2)。また、素子2では膜厚をそれぞれ、400Å、6
00Å、4900Å、10Å、1000Åとした(m=
3)。この条件から期待される発光スペクトルのピーク
波長は、それぞれ536nm、556nmである。
【0040】この素子1および素子2の発光スペクトル
を図5に示す。スペクトルシフトから共振条件が成り立
つことが分かる。ただし、640nm付近のスペクトル
の落ち込みは、測定装置の特性上測定できない領域であ
る。図5より、ほぼ予想通りの波長が得られていること
が分かる。この結果より、有機EL素子に共振構造を組
み込むことで、任意のピーク波長を持つスペクトルを抽
出可能であることが証明された(特定の色を取り出すこ
とができる)。また、この結果より二つの共振条件の違
う素子のスペクトルを測定することにより有機層の屈折
率nを定められることが分かる。
【0041】実施例1 上記のEL素子を用いて、図3に示す回路を用いてEL
素子を発光させた。ELデバイスにパルス電圧を印加し
た時に発せられる光は、最大強度になるまでにいくらか
の時間がかかる。この様子をフォトダイオードにより測
定した(図6(a))。横軸が経過時間、縦軸が印加電
圧及び発光強度である。このような現象は、ELデバイ
ス自体がキャパシタンスをもつために起こる。キャパシ
タンスの充電の間、キャリア注入も同時に起こるため有
機層に熱的負担をかけ、電気的にも効率が悪い。ブルー
ムライン回路を用いることで、発光の立ち上がり時間を
改善することができる。
【0042】図3に示す回路を用いてEL素子を発光さ
せた時に観測されるシグナルを図6(b)に示す。図6
より、立ち上がり時間の早いELシグナルが得られてい
ることが分かる。ブルームライン回路ではEL素子に注
入するキャリアをC2に充電する。この時、同時にEL
素子のキャパシタンスにも充電が行われる。この結果、
図6(a)の様なELの立ち上がりの鈍りを改善するこ
とができる。
【0043】また、図6(b)に示すように発光ピーク
後のELのシグナルは、印加電圧の放電(ディスチャー
ジ)に応答してなだらかに減少する。これは、時間と共
に注入されるキャリアの量が減るために起こる。また、
この減衰はコンデンサーC2の静電容量とELデバイス
及び回路の電気抵抗との積によって決まる時定数に従
う。
【0044】パルスとして光を取り出す場合、シグナル
のピークトップ以外の光は無駄であり、電気的効率を考
えても無くすべきである。この問題は、スイッチングを
制御するパルスの周波数とパルス幅を適当に操作するこ
とで回避することができる。放電時間を短くするのに伴
って、ELのパルス幅が小さくなる。
【0045】図7に放電時間を調整した際の操作前
(a)と操作後(b)のELシグナルを示す。ただし、
測定条件は図6と同様である。図7に示されるように、
立下り時間が短いシグナルを得られることが分かる。以
上のような方法、操作により、立ち上がり、立下りの早
いELパルスを得られることが分かった。
【0046】実施例2 EL素子をブルームライン回路を用いて駆動させること
により、駆動電圧を一般的に用いられる駆動方法に比べ
高電圧化することができる。また、駆動電圧の高電圧化
に伴いELの強度ピークまでの立ち上がり(レスポン
ス)時間は早くなる傾向にある。図8に、ELレスポン
ス時間−駆動電圧特性を示す。ただし、ELデバイスは
ブルームライン回路(C2 =100nF)を用いて発光
させ、フォトダイオードによりそのシグナルを測定し
た。
【0047】また、ELデバイスの基板の処理は実施例
1と同様であり、構造はITO(陽極)/α−NPD
(正孔輸送層500Å)/クマリン(Coumarin
e)6(21mol%)をドープしたAlmq3(発光
層500Å)/Almq3(発光層300Å)/LiF
(電子注入層10Å)/Al(陰極600Å)である。
【0048】ただし、Almq3は、tris(4me
thyl−8−quinolinolato)alum
inum(III)、α−NPDは、N,N′−di−
(α−naphthyl)一N,N′−dipheny
l−1,1′−biphenyl−4,4′一diam
ineである。図8のように、駆動電圧の増加に伴い、
有機ELのレスポンス時間は指数関数的に速まる傾向に
ある。また、50Vにおいてレスポンスタイムは約10
μsec.になる。この結果からブルームライン回路を
用いることにより、立ち上がり時間の早いパルス光を発
生させることができることが証明された。
【0049】
【発明の効果】上記のとおり、本発明は、高応答でかつ
特定波長を容易に発生、制御可能な高電圧駆動による高
輝度が得られる高速パルス有機EL素子駆動装置を実現
したものであり、表示装置、液晶ディスプレーなどの用
途に用いられる有機EL素子の性能および製造効率を大
幅に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の高速パルスEL素子駆動装置
の光共振構造をもつ光学素子の構造を示す概念図であ
る。
【図2】図2は、本発明の高速パルスEL素子駆動装置
の概略構造を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の高速パルスEL素子駆動装置
の電気回路図である。
【図4】図4は、EL素子の製造例1および比較例1の
発光スペクトルを示すグラフである。
【図5】図5は、EL素子の製造例2の素子1と素子2
の発光スペクトルを示すグラフである。
【図6】図6は、実施例1の装置の印加電圧とELシグ
ナルの関係を測定した結果を示すグラフである。
【図7】図7は、実施例1の装置のパルス周波数および
パルス幅とELシグナルの関係を測定した結果を示すグ
ラフである。
【図8】図8は、実施例2の装置のELレスポンス時間
−駆動電圧特性を測定した結果を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極としての透明電極ミラーと、陰極と
    しての金属電極ミラーとの間に発光層を含む有機層を備
    え、前記電極から前記発光層に正孔と電子を注入して前
    記発光層を発光させる有機エレクトロルミネッセント素
    子であり、陽極と陰極間の膜厚dを、光の共振条件であ
    るm×λ/2=n×d(mは整数、λは発光波長、nは
    有機層固有の屈折率である)を満たすように設定した発
    光波長選択可能な有機エレクトロルミネッセント素子の
    電極が平面コンデンサの役割を果たし、ブルームライン
    形式によりコンデンサに充放電される電荷によりパルス
    光を発生させることを特徴とする高速パルスEL素子駆
    動装置。
  2. 【請求項2】 陽極としての透明電極ミラーと、陰極
    としての金属電極ミラーとの間に発光層を含む有機層を
    備え、前記電極から前記発光層に正孔と電子を注入して
    前記発光層を発光させる有機エレクトロルミネッセント
    素子であり、陽極と陰極間の膜厚dを、光の共振条件で
    あるm×λ/2=n×d(mは整数、λは発光波長、n
    は有機層固有の屈折率である)を満たすように設定した
    発光波長選択可能な有機エレクトロルミネッセント素子
    を組み込んだ電気回路をブルームライン回路としたこと
    を特徴とする高速パルスEL素子駆動装置。
JP2001053196A 2001-02-27 2001-02-27 高速パルスel素子駆動装置 Pending JP2002260852A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001053196A JP2002260852A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 高速パルスel素子駆動装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001053196A JP2002260852A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 高速パルスel素子駆動装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002260852A true JP2002260852A (ja) 2002-09-13

Family

ID=18913700

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001053196A Pending JP2002260852A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 高速パルスel素子駆動装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002260852A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004212989A (ja) * 2002-12-19 2004-07-29 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置及びその駆動方法
KR100944830B1 (ko) 2002-09-30 2010-03-03 산요덴키가부시키가이샤 복수의 발광층을 포함하는 발광 소자

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02211713A (ja) * 1989-02-13 1990-08-23 Mitsubishi Electric Corp 高圧パルス発生装置
JPH0854836A (ja) * 1994-08-10 1996-02-27 Nec Corp アクティブマトリクス型電流制御型発光素子の駆動回路
JPH10177896A (ja) * 1998-01-05 1998-06-30 Hitachi Ltd 有機発光素子
JPH11272235A (ja) * 1998-03-26 1999-10-08 Sanyo Electric Co Ltd エレクトロルミネッセンス表示装置の駆動回路
JP2000150157A (ja) * 1998-09-02 2000-05-30 Seiko Epson Corp 光源及び表示装置
JP2000323279A (ja) * 1999-03-10 2000-11-24 Fuji Photo Film Co Ltd 露光光源用有機発光素子
JP2001035660A (ja) * 1999-07-16 2001-02-09 Fuji Photo Film Co Ltd 有機電界発光素子

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02211713A (ja) * 1989-02-13 1990-08-23 Mitsubishi Electric Corp 高圧パルス発生装置
JPH0854836A (ja) * 1994-08-10 1996-02-27 Nec Corp アクティブマトリクス型電流制御型発光素子の駆動回路
JPH10177896A (ja) * 1998-01-05 1998-06-30 Hitachi Ltd 有機発光素子
JPH11272235A (ja) * 1998-03-26 1999-10-08 Sanyo Electric Co Ltd エレクトロルミネッセンス表示装置の駆動回路
JP2000150157A (ja) * 1998-09-02 2000-05-30 Seiko Epson Corp 光源及び表示装置
JP2000323279A (ja) * 1999-03-10 2000-11-24 Fuji Photo Film Co Ltd 露光光源用有機発光素子
JP2001035660A (ja) * 1999-07-16 2001-02-09 Fuji Photo Film Co Ltd 有機電界発光素子

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
"パルス応答高電圧印加EL素子の開発", 第61回応用物理学会学術講演会予稿集, JPNX007054717, 3 September 2000 (2000-09-03), JP, pages 6 - 7, ISSN: 0000901814 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100944830B1 (ko) 2002-09-30 2010-03-03 산요덴키가부시키가이샤 복수의 발광층을 포함하는 발광 소자
JP2004212989A (ja) * 2002-12-19 2004-07-29 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置及びその駆動方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1145335B1 (en) Multiple-wavelength light emitting device
US5780174A (en) Micro-optical resonator type organic electroluminescent device
US5674597A (en) Organic electroluminescent elements
US6121726A (en) Organic electroluminescent color display having color transmitting layers and fluorescence converting layer with improved structure for color conversion efficiency on a color transmitting layer
US7812520B2 (en) Full color display based on organic light-emitting device
CN100521847C (zh) 顶发射结构彩色有机电致发光器件及其制备方法
KR20090047977A (ko) 무기 발광 소자
AU2017341162A1 (en) Organic light emitting device, display apparatus, method of controlling color temperature of light emitted from organic light emitting device, and method of fabricating organic light emitting device
KR20050021888A (ko) 유기 el 소자
US7777414B2 (en) Semiconductor device and manufacturing method thereof
US7642714B2 (en) Electroluminescent device with a transparent cathode
JP2009158140A (ja) エレクトロルミネッセンス素子及びこれを用いた表示装置並びに照明装置
JPH06145658A (ja) 電界発光素子
JP3152506B2 (ja) 有機電界発光素子
JP2002260852A (ja) 高速パルスel素子駆動装置
JP2009158881A (ja) 有機el装置及び有機el装置の製造方法
US6727660B1 (en) Organic electroluminescent devices and method for improving energy efficiency and optical stability thereof
KR20060127787A (ko) 유기 전계 발광 소자를 이용한 발광 디바이스
JPH0428197A (ja) 端面発光型電界発光素子およびその駆動方法
JPH06283269A (ja) 電気発光面光源素子
KR20110040308A (ko) 발광 소자, 이를 구비하는 표시 장치 및 조명 유닛
EP0131635A1 (en) Electroluminescent lighting system having a phosphor/epoxy mixture for a high frequency electroluminescent lamp
KR100488428B1 (ko) 유기 전계 발광 표시 패널 및 그 제조 방법
JPH05335084A (ja) 発光素子
KR20050034346A (ko) 유기 전계 발광 표시 장치

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051104

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060403

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070220

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20071002