JP2002258035A - 多層膜カットフィルター及びその製造方法 - Google Patents

多層膜カットフィルター及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002258035A
JP2002258035A JP2001052090A JP2001052090A JP2002258035A JP 2002258035 A JP2002258035 A JP 2002258035A JP 2001052090 A JP2001052090 A JP 2001052090A JP 2001052090 A JP2001052090 A JP 2001052090A JP 2002258035 A JP2002258035 A JP 2002258035A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film thickness
light
refractive index
film
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001052090A
Other languages
English (en)
Inventor
Kunihiko Yano
邦彦 矢野
Takahiro Uchitani
隆博 内谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2001052090A priority Critical patent/JP2002258035A/ja
Priority to PCT/JP2002/001457 priority patent/WO2002069000A1/ja
Priority to EP02700616A priority patent/EP1376162A4/en
Priority to CN028004167A priority patent/CN1216302C/zh
Priority to KR1020027014313A priority patent/KR100572554B1/ko
Priority to US10/469,130 priority patent/US7172294B2/en
Priority to TW091103467A priority patent/TW552566B/zh
Publication of JP2002258035A publication Critical patent/JP2002258035A/ja
Priority to HK04101722A priority patent/HK1058970A1/xx
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高精度の膜厚制御が可能であるため、設計通
りの特性を有する多層膜カットフィルターを提供する。 【解決手段】 特定の光をカットする機能を有する繰り
返し交互層における高屈折率層Hと低屈折率層Lの光学
的膜厚のバランスH/L又はL/Hの比を1.2〜2.
0の範囲とする。また、補正板16の幅を通常より広く
し、ツーリング係数を0.6〜0.85の範囲とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学フィルターの
なかで、特定波長より短い波長の光をカットし、長い波
長の光を透過する多層膜カットフィルター及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶プロジェクターは年々高輝度化と小
型化が進み、光源に強い紫外線を発生する高出力の水銀
ランプが使われるようになってきた。光学系も小さくな
っているため、光学系を通過する光のエネルギー密度が
高くなってきた。そのため、主に紫外線、さらに可視光
でも短い波長の光により、内部の光学系に用いられてい
る液晶パネルや偏光板、位相差板など有機物を使用した
部品に劣化が生じ、短時間で表示品質が落ちてしまう問
題が大きくなってきた。
【0003】高輝度水銀ランプより発生する有害な紫外
線をカットするため、光を吸収する基板材料を使う吸収
ガラスを用いることが可能で、材料の組成と厚みにより
吸収(カット)する波長と吸収−透過へ変化する立ち上
がり特性(急峻さ)を調整することができる。
【0004】しかしながら、材料により吸収波長の選択
が制限されてしまう問題と、吸収した光のエネルギーが
熱になるため、強い光を入れた場合、温度上昇により吸
収ガラスが破損してしまうことがある問題がある。また
注意深く選択、調整された材料でもカットする波長近く
の短い波長での透過率があまり高くできないため、透過
する光の減衰が生じてしまう。
【0005】これに対して、エッジフィルターと呼ばれ
る多層膜カットフィルターが知られている。この多層膜
カットフィルターは、真空蒸着法等で光透過性基板上に
高屈折率層と低屈折率層とを所定の光学的膜厚(=屈折
率n×幾何学的膜厚d)で交互に積層した多層膜誘電体
が形成されたもので、特定波長より短い波長の光をカッ
トし、長い波長の光を透過することができる。多層膜誘
電体の多層膜は、カットする波長の選択が膜厚の調整で
任意に選ぶことができ、カットする波長近くの短い波長
での透過率も高くすることが可能である。
【0006】例えば、強い紫外線を含む光源にさらされ
る光学部品の手前に配置して紫外線と短波長の可視光の
一部をカットするUVカットフィルターとすることがで
きる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、多層膜
誘電体が形成されたUVカットフィルターは、製造が極
めて困難なフィルターとして知られている。即ち、立ち
上がり特性を急峻にしようとすると、高屈折率層と低屈
折率層とを交互に成膜する回数が例えば30層以上とい
うように成膜回数を極めて多くする必要がある。また、
各層の膜厚が薄く、特に紫外線領域では薄くなり、しか
も立ち上がりの波長を高精度にするために各層の膜厚制
御を高精度に行わなければならない。例えば各層の膜厚
が1%ずれると、立ち上がりの波長が5nmずれるとい
われており、現在の成膜技術では、膜厚制御を高精度に
行って、設計通りの特性を有するUVカットフィルター
を製造することが困難である。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、高精度の膜厚制御が可能であるため、設計通りの特
性を有する多層膜カットフィルターを提供することを目
的とする。
【0009】また、本発明は、高精度の膜厚制御を容易
にできる多層膜カットフィルターの製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため、鋭意検討を重ねた結果、光透過性基板の
上に高屈折率層と低屈折率層とが交互にそれぞれ同じ光
学的膜厚で繰り返し積層された繰り返し交互層は、特定
の波長より短い光を急峻にカットするために必要な層と
して機能するが、この繰り返し交互層における高屈折率
層と低屈折率層の厚さのバランスを従来と変更すること
が有効であることを知見した。
【0011】即ち、繰り返し交互層における高屈折率層
の光学的膜厚をH、低屈折率層の光学的膜厚をLとした
場合、従来は、繰り返し交互層におけるH/Lの比が
1.0であったのに対し、本発明ではH/L又はL/H
の比を1.2〜2.0の範囲としたものである。
【0012】このように、高屈折率層と低屈折率層の光
学的膜厚の一方を厚く、他方を薄く偏らせることによっ
て、成膜装置における膜厚のモニタ基板を用いる光学式
膜厚計での膜厚測定が高精度になり、高精度に膜厚を制
御できると共に、得られたフィルターの立ち上がり特性
が意外にも良好になることを見いだしたものである。
【0013】更に、成膜装置における蒸着源と光透過性
基板との間に補正板を介在させ、従来より幅の広い補正
板を用いて補正板で遮蔽される飛来粒子の割合を多くす
ることによって、具体的には、光透過性基板に堆積され
る層の膜厚/モニタ基板に堆積される層の膜厚との比を
ツーリング係数とした場合、ツーリング係数を0.6〜
0.85とすることによって、光透過性基板よりモニタ
基板の方に厚く成膜することから、光学式膜厚計での膜
厚測定を高精度にでき、膜厚制御を容易にすることがで
きる。
【0014】従って、請求項1記載の発明は、光透過性
基板の上に高屈折率層と低屈折率層とが交互にそれぞれ
同じ光学的膜厚で繰り返し積層された繰り返し交互層を
有する誘電体多層膜が形成された多層膜カットフィルタ
ーにおいて、前記高屈折率層の光学的膜厚をH、前記低
屈折率層の光学的膜厚をLとした場合に、前記繰り返し
交互層におけるH/L又はL/Hの比が1.2〜2.0
の範囲であることを特徴とする多層膜カットフィルター
を提供する。
【0015】また、請求項2記載の発明は、蒸着源より
飛来する高屈折率層を形成する粒子と低屈折率層を形成
する粒子とを交互に光透過性基板の上に繰り返し成膜す
ると共に、同時にモニタ基板上にも成膜し、このモニタ
基板上に成膜された層の光学的膜厚を測定しながら膜厚
制御を行う多層膜カットフィルターの製造方法におい
て、前記蒸着源と前記光透過性基板との間に補正板を介
在させ、前記光透過性基板に堆積される層の膜厚/前記
モニタ基板に堆積される層の膜厚との比をツーリング係
数とした場合に、前記ツーリング係数を0.6〜0.8
5の範囲とすることを特徴とする多層膜カットフィルタ
ーの製造方法を提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の多層膜カットフィ
ルター及びその製造方法の実施の形態について説明する
が、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものでは
ない。
【0017】本発明の多層膜カットフィルターは、特定
波長より短い波長の光をカットし、長い波長の光を透過
する、あるいは特定波長より長い波長の光をカットし、
短い波長の光を透過するエッジフィルターと呼ばれるも
ので、機能によって、UVカットフィルター、IRカッ
トフィルター、ダイクロックフィルター、コールドミラ
ーなど使用目的にあった名称がある。各種光学測定やプ
ロジェクションシステム(投影装置)、撮影装置、レー
ザー加工装置において、不要あるいは有害な高次周波数
(短波長)の光をカットするのに用いられる。
【0018】本発明の多層膜カットフィルターの主な用
途は、液晶プロジェクターのように高出力の水銀ランプ
等の強い紫外線を含む光源にさらされる光学部品と光源
の間に配置し、光源の紫外線と短波長の可視光の一部を
カットして光学部品を保護するUVカットフィルターで
ある。
【0019】多層膜カットフィルターは、光透過性基板
上に高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した誘電体
多層膜が形成されている。高屈折率層の材料として、T
iO (n=2.4)、Ta(n=2.1)、N
(n=2.2)などが用いられ、低屈折率層の
材料として、SiO(n=1.46)あるいはMgF
(n=1.38)が使われる。屈折率は、波長によっ
て異なり、上記屈折率nは500nmの値である。
【0020】膜厚の基本的な設計は一般に、高屈折率層
と低屈折率層とが交互にそれぞれ同じ光学的膜厚で繰り
返し積層された繰り返し交互層として、(0.5H、1
L、0.5H)のように表される。ここで、カットし
たい波長の中心近くの波長を設計波長λとして、高屈折
率層(H)の膜厚を光学的膜厚nd=1/4λの値を1
Hとして表記し、低屈折率層(L)を同様に1Lとす
る。Sはスタック数と呼ばれる繰り返しの回数で、括弧
内の構成を周期的に繰り返すことを表している。実際に
積層される層数は2S+1層となり、Sの値を大きくす
ると吸収−透過へ変化する立ち上がり特性(急峻さ)を
急にすることができる。Sの値としては3から20程度
の範囲から選定される。この繰り返し交互層によって、
カットされる特定の波長が決定される。
【0021】透過帯域の透過率を高くし、リップルと呼
ばれる光透過率の凹凸をフラットな特性にするために
は、繰り返し交互層の基板近くと、媒質近くの数層ずつ
の膜厚を変化させて最適設計を行う。そのため、基板|
0.5LH・・・HL(HL) HL・・・H、0.5
Lのように表記される。また、高屈折率層にTiO
どを使う場合、最外層を高屈折率層で終わらせるより
も、より耐環境特性にすぐれたSiOを最外層に追加
して設計を行うことが多い。基板に接する層もTiO
が基板と反応して特性が劣化することがあるので、化学
的に安定なSiOを第1層に追加することもある。こ
のような多層膜カットフィルタの設計は市販のソフトウ
エアを用いて理論的に行うことができる(参考文献:O
PTRONICS誌 1999 No.5 p.175
−190)。
【0022】高屈折率層と低屈折率層とを交互に光透過
性基板上に成膜するには、物理的成膜法が一般的であ
り、通常の真空蒸着法でも可能であるが、膜の屈折率の
安定した制御が可能で、保管・使用環境変化による分光
特性の経時変化が少ない膜を作成できるイオンアシスト
蒸着やイオンプレーティング法、スパッタ法が望まし
い。真空蒸着法は、高真空中で薄膜材料を加熱蒸発さ
せ、この蒸発粒子を基板上に堆積させて薄膜を形成する
方法である。イオンプレーティング法は、蒸着粒子をイ
オン化し、電界により加速して基板に付着させる方法で
あり、APS(Advanced Plasma Source)、EBPM
(Electron Beam Excited Plasma)法、RF(Radio Fr
equency)直接基板印加法(成膜室内に高周波ガスプラ
ズマを発生させた状態で反応性の真空蒸着を行う方法)
などの方式がある。スパッタ法は、電界により加速した
イオンを薄膜材料に衝突させて薄膜材料を叩き出すスパ
ッタリングにより薄膜材料を蒸発させ、蒸発粒子を基板
上に堆積させる薄膜形成方法である。成膜される層の屈
折率等の光学定数は、成膜方法、成膜条件等で異なって
くるので、製造前に成膜される層の光学定数を正確に測
定する必要がある。
【0023】図1に、膜厚制御に広く使われている光学
式膜厚計を用いた物理的成膜装置の一例を示す。この物
理的成膜装置は、成膜装置10を構成する真空チャンバ
11内の下部に高屈折率素材と低屈折率素材の薄膜材料
がそれぞれるつぼに充填された2個の蒸発源12,13
が配置されている。蒸発源12,13は種々の方法で加
熱あるいはスパッタリング可能である。真空チャンバ1
1内の上方には光透過性基板を載せるドーム形状の蒸着
ドーム14が回転可能に支持されている。蒸着ドーム1
4の上方には蒸着ドーム14を加熱するための基板加熱
ヒーター15が設置されている。蒸着ドーム14の中央
部にはモニタ用の孔が穿設され、ここには光学式膜厚計
20を構成する膜厚監視用のモニタ基板21が設置され
ている。モニタ基板21はモニタガラスで構成されてい
る。投光器22から出射された光がモニタ基板21の成
膜面に入射し、成膜面で反射した反射光を受光器23が
受光して電気信号に変換して測定器24に送信し、測定
器24で反射光量が測定され、その反射光量がレコーダ
ー25に出力される。また、蒸発源12,13と蒸着ド
ーム14との間には、膜厚分布を補正する補正板16が
固定して設置されている。
【0024】図2に、補正板16、蒸着ドーム14、蒸
着源12、13及びモニタ基板21の垂直方向の位置関
係を示す。2枚の補正板16は蒸着源12、13の上方
にそれぞれ固定されている一方、蒸着ドーム14は回転
する。補正板16によって蒸着源12、13より飛来す
る濃度の高い部分の粒子が蒸着ドーム14に到達するこ
とが妨げられるため、補正板16は蒸着ドームに飛来す
る粒子の分布を均一化することができる。
【0025】蒸着源12、13から蒸発した薄膜材料の
粒子は、イオンプレーティングの場合は図示しない電界
により加速され、あるいは真空蒸着の場合はそのまま蒸
着ドーム14に飛来し、回転する蒸着ドーム14に載置
された光透過性基板に到達し、堆積し、光透過性基板上
に光学膜が成膜される。その際、薄膜材料の粒子密度が
大きい部分は補正板16によって妨げられて、均一な膜
厚分布が得られるようになっている。一方の蒸着源12
と他方の蒸着源13を切り替えて2種類の薄膜材料を交
互に成膜することができる。モニタ基板21には、光透
過性基板に成膜されると同時に、2種類の薄膜材料が交
互に成膜される。
【0026】光学式膜厚計20は、モニタ基板21に付
いた膜により指定した波長(膜厚計センサの使用可能な
波長範囲から選ばれる)の反射もしくは透過光量が変化
するのを成膜中に連続的に測定し、あらかじめ計算して
おいた光量変化が生じたところで成膜を終了するように
なっている。モニタ基板における光量変化は、図3に示
すように、光学的膜厚が測定波長λの1/4の整数倍と
なる毎に周期的に増加・減少を繰り返してピークを示す
ため、ピークを基準に成膜量を決定することで、実際の
光学膜厚を正確に制御できるので、光学式膜厚計20は
光学薄膜の成膜に広く用いられている。
【0027】ところが、紫外線カット(UVカット)の
場合、短い波長を設計波長に選ぶ必要があり、各層の膜
厚が極めて薄くなってくるため、膜厚制御が困難にな
る。また、紫外線領域では、TiOの屈折率の波長に
よる変化を示す図4のように、基板や膜の屈折率等の光
学定数の変動が大きいため、測定精度が不安定になると
いう問題がある。更に、光学式膜厚計を用いた成膜装置
では、光量変化ピーク付近は光量変化が平坦になるた
め、光量変化ピークの判定が困難であり、制御精度が著
しく劣化する問題が発生する。しかも、TiOを用い
ると、このTiOの吸収により、光量変化の測定その
ものが困難になるために成膜の精度が著しく悪くなる。
さらに急峻な立ち上がり特性を実現するために繰り返し
数Sが増加すると、益々成膜が困難になる。従来、スタ
ック数Sが10以上になる様な場合、大量に生産するこ
とは無理であった。
【0028】本発明では、このようなUVカットフィル
ターにおける成膜時の膜厚制御の困難性を繰り返し交互
層の膜厚のバランスと補正板の大きさを工夫することに
より克服し、高精度の膜厚制御を可能とし、大量生産を
可能としたものである。
【0029】即ち、従来の設計では繰り返し交互層の光
学的膜厚の比率H/Lを1.0とする。H/Lを1.0
とすることは、モニタ基板の反射率がλ/4の整数倍と
なるピークのときに正確に成膜を停止する必要がある。
この場合、光学式膜厚計の光量変化ピーク付近は光量変
化が平坦になるため、光量変化ピークの判定が困難であ
る。
【0030】これに対し、本発明では、繰り返し交互層
のH/L又はL/Hの比を1.2〜2.0、好ましくは
1.3〜1.5の範囲とするもので、高屈折率層と低屈
折率層の一方を厚く、他方を薄くして厚みを偏らせる。
この場合、偏りが大きすぎると、フィルターとしての特
性に悪影響を与えるおそれがある。
【0031】これにより、一方の厚い方の膜を成膜する
際には光学式膜厚計の光量変化のピークを過ぎた時点で
成膜を停止することになるため、成膜の停止時期が明確
になり、膜厚制御が容易になる。また、薄くした他方の
膜厚制御は、厚くした膜の上に成膜するので、通常通り
ピークのときに成膜を停止することになるため、薄くし
た不都合は生じない。とりわけ、高屈折率層の方を厚く
することにより、幾何学的膜厚が薄く、膜厚制御が困難
な高屈折率層を膜厚精度良く成膜することが可能とな
る。
【0032】次に、本発明では、補正板16の幅を通常
より広くし、補正板16で遮蔽される飛来粒子の割合を
多くしている。即ち、光透過性基板に堆積される膜の膜
厚/モニタ基板に堆積される膜の膜厚の比をツーリング
係数とすると、このツーリング係数を0.6〜0.85
の範囲とするものである。ツーリング係数が低すぎる
と、光透過性基板に付着する粒子量が少なくなりすぎる
ため、生産性の点で好ましくない。従来の成膜装置にお
ける通常のツーリング係数は、概ね0.9〜1.1の範
囲である。
【0033】これにより、モニタ基板21の方に光透過
性基板よりも厚く膜が堆積され、正確に膜厚を測定する
ことが可能となり、紫外線領域で屈折率等の光学定数が
不安定になる問題を解決することができる。また、モニ
タ基板21の光量変化のピークが光透過性基板の成膜の
ピークに先行し、光量変化のピークが過ぎた時点で成膜
を停止することが可能となるため、成膜の停止時点が明
確になり、膜厚制御が容易になる。その結果、膜厚精度
を向上させることができる。
【0034】これらの繰り返し交互層との膜厚バランス
の改良と補正板の幅を広くしてツーリング係数を低くす
る改良を組み合わせることによって、低屈折率層の成膜
時における光学式膜厚計の光量変化のピークを過ぎた時
点で成膜を停止することが可能となる効果も加わり、膜
厚制御がより容易になる。
【0035】
【実施例】<実施例1>繰り返し交互層の膜厚の比率を
H/L=1.33程度にしてH層の膜厚を厚めのバラン
スとした。最外層と基板に接する第1層はSiOとし
た 光透過性基板材料はBK7(n=1.52の白板ガラ
ス)を用いた。使用する膜の材料は、高屈折率層(H)
がTiO、低屈折率層(L)がSiO、成膜方法は
RFイオンプレーティング装置(昭和真空(株)製)を
用いた。単色式光学モニタ方式の光学式膜厚計を用い
た。通常より幅の広い補正板を用い、ツーリング係数を
0.8とした。
【0036】膜厚構成は、λ=360nm、層数33
で、基板側から1.08L、0.44H、1.04L、
0.88H、0.80L、1.16H、0.76L、
(1.12H、0.84L)10、1.00H、0.9
2L、1.16H、0.60L、1.04H、1.80
Lとした。
【0037】得られた多層膜カットフィルターの波長4
10nm付近の拡大した分光透過率を図5に示す。ま
た、波長350nm〜700nmの範囲の分光透過率を
図6に示す。
【0038】また、繰り返し交互層における光学式膜厚
計の反射率の変化を図7に示す。実線は高屈折率層の成
膜、一点鎖線は低屈折率層の成膜を示す。各線の右端は
その時点で成膜を停止したことを示す。
【0039】<実施例2>実施例1と同様の成膜条件
で、膜厚構成は、λ=360nm、層数19で、基板側
から1.08L、0.44H、1.04L、0.88
H、0.80L、1.16H、0.76L、(1.12
H、0.84L)、1.00H、0.92L、1.1
6H、0.60L、1.04H、1.80Lとした。
【0040】得られた多層膜カットフィルターの波長4
10nm付近の拡大した分光透過率を図5に示す。ま
た、波長350nm〜700nmの範囲の分光透過率を
図6に示す。
【0041】この層構成は、生産性を考慮して層数を減
らしたもので、繰り返し交互層のスタック数が少ないた
め、分光特性は急峻さが少なくなる。
【0042】<比較例1>実施例1と同様の成膜条件
で、従来の設計通りの最適化を行った。膜厚構成は、λ
=360nm、層数33で、基板側から、1L、0.3
H、0.94L、1.1H、0.58L、1.3H、
0.79L、(1H、1L)10、1.02H、0.7
1L、1.74H、0.32L、1.35H、1.68
Lとした。
【0043】得られた多層膜カットフィルターの波長4
10nm付近の拡大した分光透過率を図5に示す。ま
た、波長350nm〜700nmの範囲の分光透過率を
図6に示す。
【0044】また、繰り返し交互層における光学式膜厚
計の反射率の変化を図8に示す。実線は高屈折率層の成
膜、一点鎖線は低屈折率層の成膜を示す。各線の右端は
その時点で成膜を停止したことを示す。
【0045】<比較例2>実施例1と同様の成膜条件
で、膜厚構成は、λ=360nm、層数19で、1L、
0.3H、0.94L、1.1H、0.58L、1.3
H、0.79L、(1H、1L)、1.02H、0.
71L、1.74H、0.32L、1.35H、1.6
8Lとした。
【0046】得られた多層膜カットフィルターの波長4
10nm付近の拡大した分光透過率を図5に示す。ま
た、波長350nm〜700nmの範囲の分光透過率を
図6に示す。
【0047】層数が少ないだけ作成がやや容易になる
が、分光特性は急峻さが少なく劣る。
【0048】実施例1と比較例1とは同じ層数で、繰り
返し交互層の膜厚のバランスが異なる。実施例1の方が
分光特性が急峻である。同様に、実施例2と比較例2と
は同じ層数で、繰り返し交互層の膜厚のバランスが異な
るが、実施例2の方が分光特性が急峻である。
【0049】また、図8に示した光学モニタ光量の変化
は、H/L=1.00とする従来の繰り返し交互層の成
膜における高屈折率層の成膜の際に、ピークの頂点で成
膜を停止しなければならないため、成膜を停止する時点
の判断が困難で、膜厚制御が困難であることを示してい
る。一方、低屈折率層の成膜時には、ツーリング係数を
0.8とした効果で、ピークが過ぎた時点で成膜を停止
することができるため、膜厚制御が容易であることを示
している。
【0050】これに対し、図7に示した繰り返し交互層
の層厚のバランスをH/L=1.33とした本発明にお
ける光学モニタ光量の変化は、高屈折率層の成膜時に、
ピークが過ぎた時点で成膜を停止することができるた
め、膜厚制御が容易であることを示している。また、低
屈折率層の成膜時にも、ツーリング係数を0.8とした
効果で、ピークが過ぎた時点で成膜を停止することがで
きるため、膜厚制御が容易であることを示している。
【0051】
【発明の効果】本発明の多層膜カットフィルターは、繰
り返し交互層の膜厚バランスを変更したことにより、膜
厚制御が容易であり、高精度で多層膜を成膜することが
できるため、設計通りの特性を備えるものである。
【0052】また、本発明の多層膜カットフィルターの
製造方法によれば、ツーリング係数を低くし、モニタ基
板の方に厚く成膜するようにしたことにより、膜厚制御
が容易になり、設計通りの特性を備える多層膜カットフ
ィルターを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層膜カットフィルターを製造する物
理的成膜装置の概要を示す構成図である。
【図2】図1の装置における補正板、蒸着ドーム、モニ
タ基板及び蒸発源の垂直方向の位置関係を示す配置図で
ある。
【図3】モニタ基板における成膜の光学的膜厚と反射率
の関係を示すグラフである。
【図4】TiOの成膜における波長と屈折率の関係を
示すグラフである。
【図5】実施例、比較例で得られた多層膜カットフィル
タの410nm付近における分光透過率を示すグラフで
ある。
【図6】実施例、比較例で得られた多層膜カットフィル
タの350〜700nmにおける分光透過率を示すグラ
フである。
【図7】実施例1における光学モニタの光量変化を示す
グラフである。
【図8】比較例1における光学モニタの光量変化を示す
グラフである。
【符号の説明】
10 成膜装置 11 真空チャンバ 12 蒸発源 13 蒸発源 14 蒸着ドーム 15 基板加熱ヒータ 16 補正板 20 光学式膜厚計 21 モニタ基板 22 投光器 23 受光器 24 測定器 25 レコーダー
フロントページの続き Fターム(参考) 2H048 GA04 GA18 GA33 GA51 GA60 4K029 BA43 BA46 BB02 BC07 BD00 EA07 5G435 AA08 AA09 BB12 DD12 GG16 KK07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性基板の上に高屈折率層と低屈折
    率層とが交互にそれぞれ同じ光学的膜厚で繰り返し積層
    された繰り返し交互層を有する誘電体多層膜が形成され
    た多層膜カットフィルターにおいて、 前記高屈折率層の光学的膜厚をH、前記低屈折率層の光
    学的膜厚をLとした場合に、前記繰り返し交互層におけ
    るH/L又はL/Hの比が1.2〜2.0の範囲である
    ことを特徴とする多層膜カットフィルター。
  2. 【請求項2】 蒸着源より飛来する高屈折率層を形成す
    る粒子と低屈折率層を形成する粒子とを交互に光透過性
    基板の上に繰り返し成膜すると共に、同時にモニタ基板
    上にも成膜し、このモニタ基板上に成膜された層の光学
    的膜厚を測定しながら膜厚制御を行う多層膜カットフィ
    ルターの製造方法において、 前記蒸着源と前記光透過性基板との間に補正板を介在さ
    せ、前記光透過性基板に堆積される層の膜厚/前記モニ
    タ基板に堆積される層の膜厚との比をツーリング係数と
    した場合に、前記ツーリング係数を0.6〜0.85の
    範囲とすることを特徴とする多層膜カットフィルターの
    製造方法。
JP2001052090A 2001-02-27 2001-02-27 多層膜カットフィルター及びその製造方法 Pending JP2002258035A (ja)

Priority Applications (8)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001052090A JP2002258035A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 多層膜カットフィルター及びその製造方法
PCT/JP2002/001457 WO2002069000A1 (fr) 2001-02-27 2002-02-20 Filtre a film multicouche et procede de production de celui-ci, filtre eliminateur d'uv, verre etanche aux poussieres, panneau d'affichage et unite d'affichage du type a projection
EP02700616A EP1376162A4 (en) 2001-02-27 2002-02-20 MULTILAYER FILM FILTER AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME, UV ELIMINATION FILTER, DUST-SEALED GLASS, DISPLAY PANEL, AND PROJECTION TYPE DISPLAY UNIT
CN028004167A CN1216302C (zh) 2001-02-27 2002-02-20 多层膜截止滤波器及其制造方法
KR1020027014313A KR100572554B1 (ko) 2001-02-27 2002-02-20 다층막 컷 필터 및 그 제조 방법, uv 컷 필터, 방진 유리, 표시 패널 및 투사형 표시 장치
US10/469,130 US7172294B2 (en) 2001-02-27 2002-02-20 Multi-layer film cut filter and production method therefor, UV cut filter, dustproof glass, display panel and projection type display unit
TW091103467A TW552566B (en) 2001-02-27 2002-02-26 Multi-layer film cut filter and production method of the same, UV cut filter, dustproof glass, display panel and projection type display device
HK04101722A HK1058970A1 (en) 2001-02-27 2004-03-09 Multi-layer film cut filter and production method therefor

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001052090A JP2002258035A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 多層膜カットフィルター及びその製造方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007214437A Division JP2008033341A (ja) 2007-08-21 2007-08-21 多層膜カットフィルターの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002258035A true JP2002258035A (ja) 2002-09-11

Family

ID=18912775

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001052090A Pending JP2002258035A (ja) 2001-02-27 2001-02-27 多層膜カットフィルター及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002258035A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100403902B1 (ko) * 2001-03-21 2003-11-03 한독옵텍 주식회사 자외선 차폐용 다층박막 안경렌즈
JP2008033341A (ja) * 2007-08-21 2008-02-14 Seiko Epson Corp 多層膜カットフィルターの製造方法
JP2008112033A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Canon Electronics Inc 光学フィルタ
JP2010245533A (ja) * 2009-04-02 2010-10-28 Samsung Corning Precision Glass Co Ltd 太陽電池用多層薄膜構造
JP2015099357A (ja) * 2013-11-18 2015-05-28 エバーディスプレイ オプトロニクス(シャンハイ) リミテッド 表示パネル及びその製造方法
CN117721421A (zh) * 2024-02-07 2024-03-19 成都国泰真空设备有限公司 消除低温下成膜分光曲线分层现象的装置及方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100403902B1 (ko) * 2001-03-21 2003-11-03 한독옵텍 주식회사 자외선 차폐용 다층박막 안경렌즈
JP2008112033A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Canon Electronics Inc 光学フィルタ
JP2008033341A (ja) * 2007-08-21 2008-02-14 Seiko Epson Corp 多層膜カットフィルターの製造方法
JP2010245533A (ja) * 2009-04-02 2010-10-28 Samsung Corning Precision Glass Co Ltd 太陽電池用多層薄膜構造
JP2015099357A (ja) * 2013-11-18 2015-05-28 エバーディスプレイ オプトロニクス(シャンハイ) リミテッド 表示パネル及びその製造方法
CN117721421A (zh) * 2024-02-07 2024-03-19 成都国泰真空设备有限公司 消除低温下成膜分光曲线分层现象的装置及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7172294B2 (en) Multi-layer film cut filter and production method therefor, UV cut filter, dustproof glass, display panel and projection type display unit
US5715103A (en) Neutral density (ND) filter
EP0626597B1 (en) Ultraviolet resistive coated mirror and method of fabrication
US7440204B2 (en) ND filter of optical film laminate type with carbon film coating
JP4481720B2 (ja) Ndフィルタ及び光量絞り装置
JP2008015234A (ja) 光学多層膜、光学素子、バンドパスフィルタ、光学多層膜製造方法および光学素子製造方法
JP2002258035A (ja) 多層膜カットフィルター及びその製造方法
JP2003140125A (ja) 投射型表示装置、表示パネル及び防塵ガラス
US7963676B2 (en) Reflector window for use in a light lamp
JP2003107242A (ja) Uvカットフィルタ
WO2004113974A1 (ja) 偏光子および偏光分離素子
JP2008033341A (ja) 多層膜カットフィルターの製造方法
JP2005031297A (ja) 液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板
JPH052101A (ja) 光学部品
JP2004317738A (ja) 紫外光遮蔽素子とその製造方法及び光学装置
US7985489B2 (en) Temperature-resistant layered system
US7710645B2 (en) Selective reflecting for laser projector
JP2004295015A (ja) Ndフィルタ及びその製造方法
JP6999719B2 (ja) 偏光素子及び液晶プロジェクター
JP2815951B2 (ja) 反射防止膜
JP2004062136A (ja) 色調補正フィルタ
JP2815949B2 (ja) 反射防止膜
JPS5997105A (ja) 干渉型偏光子
JP2000171630A (ja) 光学多層薄膜の形成方法
JP2668828B2 (ja) ショートアーク放電灯

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070626

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070822

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071023

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071221

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080430