JP2005031297A - 液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板 - Google Patents

液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板 Download PDF

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侑 小村
Akinori Sakurai
彰規 桜井
Yutaka Nagano
豊 永野
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Abstract

【課題】紫外線を反射及び吸収することにより装置の温度上昇を充分抑制でき、液晶の劣化を防止できる、低コストの投射型表示装置用の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板を提供すること。
【解決手段】光源からの光を変調して所定の画像を投射する投射型表示装置において前記光源からの光が入射する面に配置され液晶表示装置に埃が付着することを防止する透明基板24であって、高屈折率層と低屈折率層の6層から10層の交互多層膜から成り、この交互多層膜は、450nm〜650nmの波長範囲における反射率が0.5%以下、かつ、波長350nm以下の紫外線を最大限に反射するように最適設計され、しかも前記高屈折率誘電体層として350nm以下の紫外線を吸収する特性を有する誘電体物質を用いることにより、350nm以下に紫外線の遮蔽機能を増した反射防止膜26を設けた液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投射型表示装置において液晶表示装置の対向電極の外側に設けられる透明基板の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、投射型のカラー表示装置では、光源から発する光を赤(R)、緑(G)及び青(B)に分け、各色毎の液晶表示装置において変調し、得られた各光を合成して投射面に投射することによりカラー画像を得る。
【0003】
このような投射型表示装置では、できるだけ明るい画像を得ることが望ましいので、光源としては、高出力の超高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどが用いられる、しかし、これらの高出力ランプでは、可視光線の他に多量の赤外線や紫外線も放射する。これらの可視光線以外も光学系に入力すると光が熱に変わり光学系の温度を非常に高めてしまい不都合を生ずるという問題がある。
【0004】
そこで、紫外線フィルタやその補助フィルタを用いてできるだけ可視光線以外を除去することも知られている(特許文献1参照)が、これでも充分でない。
【0005】
また、液晶表示装置の入力側基板に塵などが付着することを防止するためにその前に防塵ガラスを設けることが多いが、この防塵ガラスの光入力側に、同一の光学的膜厚の高屈折率層と低屈折率層を繰り返し積層した誘電体多層膜により構成される紫外線反射膜を設けることも知られている(特許文献2参照)。しかしこれでも、紫外線が可視光と共に入力して温度上昇が生ずるという問題点があった。
【0006】
また、液晶プロジェクタにおいて、強い紫外線光源が用いられる結果、有機高分子から成る液晶物質は紫外線照射によって分子の結合が不安定になり、表示不良や表示品質の低下を招くという問題もある。また、近年の液晶プロジェクタは小型化、低コスト化が著しく、部品点数の削減が求められている。
【0007】
また従来の紫外線反射膜は、短い波長を設計波長に選ぶ必要があり、各層の膜厚が極めて薄くなってくるため、膜厚制御が難しいうえ、充分な紫外線反射特性を得るためには積層数を少なくとも15〜20層以上というように極めて多くしなければならず、低コスト化の要求を満たし得ないという問題もあった。
【0008】
なお、液晶プロジェクタ装置において、液晶パネルを構成する透明基板をサファイア基板により構成することも知られている(特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】特開2001−264729号公報
【0010】
【特許文献2】特開2003−140125号公報(請求項6)
【0011】
【特許文献3】特開平11−337919号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような従来の投射型の表示装置の問題点にかんがみてなされたもので、350nm以下の紫外線を反射及び吸収することにより装置の温度上昇を充分抑制でき、液晶の劣化を防止する、低コストの投射型表示装置用の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1によれば、光源からの光を変調して所定の画像を投射する投射型表示装置において前記光源からの光が入射する面に配置され液晶表示装置に埃が付着することを防止する透明基板であって、高屈折率層と低屈折率層の6層から10層の交互多層膜から成り、この交互多層膜は、450nm〜650nmの波長範囲における反射率が0.5%以下、かつ、波長350nm以下の紫外線を最大限に反射するように最適設計され、しかも前記高屈折率誘電体層として350nm以下の紫外線を吸収する特性を有する誘電体物質を用いることにより、350nm以下に紫外線の遮蔽機能を増した反射防止膜を設けたことを特徴とする液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板を提供する。
【0014】
本発明の請求項2によれば、前記透明基板は、石英ガラスにより構成されることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板を提供する。
【0015】
本発明の請求項3によれば、前記反射防止膜は、高屈折率層と低屈折率層の8層の交互多層膜から成り、これらの8層の厚さを前記透明基板側から、d1、d2、d3,d4,d5,d6,d7,d8とし、前記高屈折率層の屈折率をnh、前記低屈折率層の屈折率をnlとするとき、上記屈折率の範囲を、1.35≦nl≦1.50、1.90≦nh≦2.45、nl−0.1≦ns≦nh、第1乃至第8の各層の光学的膜厚を、0.01λ≦d1≦0.04λ、0.17λ≦d2≦0.23λ、0.07λ≦d3≦0.12λ、0.08λ≦d4≦0.14λ、0.18λ≦d5≦0.28λ、0.02λ≦d6≦0.07λ、0.16λ≦d7≦0.22λ、0.22λ≦d8≦0.30λを満す膜構成とすることを特徴とする請求項2記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板を提供する。
【0016】
本発明の請求項4によれば、前記高屈折率層を構成する誘電体物質は、TiO、Nbのいずれか1種あるいは両者の混合物を主成分とするものであり、前記低屈折率層を構成する誘電体物質は、SiO、MgFのいずれかを主成分とするものであることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板を提供する。
【0017】
本発明の請求項5によれば、前記透明基板は、サファイアにより構成されることを特徴とする請求項3記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板を提供する。
【0018】
本発明の請求項6によれば、前記反射防止膜は、高屈折率層と低屈折率層の8層の交互多層膜から成り、これらの8層の光学的膜厚を前記防塵透明基板側から、d1、d2、d3,d4,d5,d6,d7,d8とし、前記高屈折率層の屈折率をnh、前記低屈折率層の屈折率をnlとするとき、上記屈折率の範囲を、1.35≦nl≦1.50、1.90≦nh≦2.45、nl−0.1≦ns≦nh、第1乃至第8の各層の光学的膜厚を、0.01λ≦d1≦0.04λ、0.10λ≦d2≦0.14λ、0.07λ≦d3≦0.12λ、0.08λ≦d4≦0.14λ、0.18λ≦d5≦0.28λ、0.02λ≦d6≦0.07λ、0.16λ≦d7≦0.22λ、0.22λ≦d8≦0.30λを満す膜構成とすることを特徴とする請求項5記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板を提供する。
【0019】
本発明の請求項7によれば、前記高屈折率層を構成する誘電体物質は、TiO、Nbのいずれか1種あるいは両者の混合物を主成分とするものであり、前記低屈折率層を構成する誘電体物質は、SiO、MgFのいずれかを主成分とするものであることを特徴とする請求項6記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0021】
図1は、本発明による投射型表示装置の全体構成を示す図であり、図2はその各色の変調を行なう液晶表示装置の断面構造を示す図である。キセノンランプなどの高出力の光源11から発射された光は反射鏡12により反射され、フィルタ13やレンズ14を通って全反射ミラー15aで反射され、ダイクロイックミラー16a,16b及び全反射ミラー15bで各々、青色光(B)、緑色光(G)、赤色光(R)に分けられる。青色光と赤色光は全反射ミラー15c,15dで反射されて、これらの3色光は、各々、集光レンズ17b,17g,17rで集光され、液晶表示装置18b,18g,18rで各色毎に変調され、合成プリズム20で光合成されて、カラー画像として投射される。
【0022】
<第1の実施形態>
図1に示した液晶表示装置18b,18g,18rの各々(以下18と表す)は、図2に示すように、基本的には間に注入された液晶22を挟んで対向電極23a,23bにより画像が形成されるが、この透明基板の外側に、透明基板に直接、塵などが付着することを防ぐための防塵用の透明基板24が設けられる。透明基板24は、この実施形態では石英ガラスにより製造される。
【0023】
透明基板24の外側(光入射側)には、後述する反射防止膜としての膜体26が設けられる。この膜体26は、図3に示すように、透明基板24上に、高屈折率の誘電体物質層と低屈折率の誘電体物質層が交互に例えば8層、積層された構造となっている。
【0024】
透明基板24から順に、第1層31、第2層32、第3層33、第4層34、第5層35、第6層36、第7層37、第8層38が設けられる。第1層31、第3層33、第5層35、第7層37が高屈折率誘電体層であり、第2層32、第4層34、第6層36、第8層38が低屈折率誘電体層である。高屈折率誘電体物質層としては屈折率nd=2.30の酸化チタン(TiO)を用い、低屈折率誘電体物質層としては、屈折率nd=1.46の二酸化珪素(SiO)を用いる。
【0025】
(実施例1)
成膜法としては、五酸化チタン(Ti)と二酸化珪素(SiO)を蒸着剤として、使用し、酸素ガスを反応ガスとする反応性真空蒸着法を用いた。石英ガラス基板上に、高屈折率誘電体物質層として屈折率nd=2.30の酸化チタン(TiO)を用い、低屈折率誘電体物質層として屈折率nd=1.46の二酸化珪素(SiO)を用い、表1に示すような膜圧の交互多層膜を製作した。なお、設計波長λは520nmとした。
【0026】
【表1】
Figure 2005031297
【0027】
この膜体26の反射特性の測定結果を図4に示した。図4において、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は反射率(%)を表す。また、上記膜体26の透過率特性の測定結果を図5に示す。図5において横軸は波長(nm)を示し、縦軸は透過率(%)を示す。
【0028】
図4によれば、この膜体では430nm以上の領域において反射率が低くなっており、可視域450nmから650nmの領域で反射率が0.5%以下であることがわかる。また、図5によれば、この膜体では、波長350nmより短波長の紫外線の透過率を大幅に減らすことができた。
【0029】
石英ガラス基板の透過率は図6に示すように、90%以上の一様に高い透過率の特性を有しており、このような特性を有する石英ガラス基板に上記膜体を設けることによって所望の特性の光を得ることができる。
【0030】
(実施例2)
成膜法としては、金属ニオブとポリシリコンをターゲットとして使用し、アルゴン(Ar)ガスをスパッタリングガスとし、酸素ガスを反応ガスとする反応マグネトロンスパッタリング法を用いた。この成膜法により、石英ガラス基板上に高屈折率誘電体層として五酸化ニオブ(Nb)(屈折率nd=2.34)、低屈折率誘電体層として二酸化珪素(SiO)(屈折率nd=1.46)を用い、設計中心波長λ=520nmの表2に示す光学的膜厚の膜体を製作した。
【0031】
【表2】
Figure 2005031297
【0032】
この膜体の反射特性の測定結果を図7に示す。同図において、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は反射率(%)を表す。また、上記膜体26の透過率特性の測定結果を図8に示す。同図において横軸は波長(nm)を示し、縦軸は透過率(%)を示す。
【0033】
この実施例の膜体においても、可視領域である450から650nmの範囲で、反射率を0.5%以下にすることができ、また、波長350nmより短波長の領域において紫外線の透過率を大幅に減らすことができた。
【0034】
防塵透明基板として、石英ガラス基板を用いるとき、波長450nmから650nmの範囲の反射防止性能を、反射率0.5%以下にし、波長350nm以下の紫外線カット特性を最大にするようにし、設計中心波長λを波長500nmから550nmの範囲にあって、8層構造の膜体とする。この膜体は、基板側から空気側へ高屈折率誘電体物質層と低屈折率の誘電体物質層を交互に重ねる。
【0035】
高屈折率誘電体物質層の屈折率をnh、低屈折率誘電体物質層の屈折率をnl、防塵透明基板の屈折率をnsとし、基板側から空気側へ重ねる、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8の各層の光学的膜厚を、d1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8とする。
【0036】
このとき、上記屈折率の範囲を、1.35≦nl≦1.50、1.90≦nh≦2.45、nl−0.1≦ns≦nh、第1乃至第8の各層の光学的膜厚を、0.01λ≦d1≦0.04λ、0.17λ≦d2≦0.23λ、0.07λ≦d3≦0.12λ、0.08λ≦d4≦0.14λ、0.18λ≦d5≦0.28λ、0.02λ≦d6≦0.07λ、0.16λ≦d7≦0.22λ、0.22λ≦d8≦0.30λを満す膜構成が好ましいことがわかった。ここで基板と反射防止膜との密着性を向上させるために、基板側と第1層の高屈折率層の間にSiO層を光学的特性に影響を与えない厚さで付加することは差し支えない。
【0037】
上記各層の範囲は、目標の光学特性が得られる各層の光学膜厚を最適化するソフトウェアを使用して、多層膜設計を行なった結果から導き出した。
【0038】
380nm以下の紫外線を吸収する特性を有する高屈折率の誘電体物質としては、TiO、Nbのいずれか一種あるいは両者の混合物がもっとも望ましい。しかし、これらとZrO、La、Pr,Pr11、Taなど他の物質との混合物であってもよい。これら他の物質との混合物では、紫外線吸収特性を維持するためにTiO,Nbの割合は50%以上が必要である。またこれらTiO,Nbは、その成膜法によっては酸素不足の状態であるTiOx(1.8<x<2.0)やNbOx(4.5<x<5.0)となる場合がありこのような場合も本発明に含まれる。
【0039】
低屈折率層を構成する誘電体物質としてはSiO、MgFのいずれかを主成分とするものを用いる。
【0040】
上記第1の実施形態の説明では、高屈折率誘電体物質層と低屈折率誘電体物質層の膜を8層に構成した場合について説明した。しかし本発明ではこれに限られず、一般的には6から10層により交互多層膜を構成すればよい。交互多層膜が10層を超えると生産性が悪くなり、6層を下回ると350nm以下の近紫外域の紫外線をカットする機能が充分でない。ただし、6層未満であってもTiO、Nbなどの紫外線吸収特性を有する物質を用いることにより、紫外線はある程度遮蔽されるので、必要に応じて4層でも使用できる。
【0041】
本発明のこの実施形態によれば、非常に優れた材質の石英ガラス基板に本発明による反射防止膜を施すことにより防塵ガラス用として石英ガラス基板の欠点である350nmより短波長の紫外線透過率を大幅に減らすことができる。また、本発明の反射防止膜により、可視域の反射防止特性を有し、かつ紫外線カットフィルタ特性の2つの特性を併せ持つ反射防止膜を安価に製造することが可能である。更に、通常の紫外線カットフィルタと併用すれば更に紫外線カット機能を増加させることが可能である。
【0042】
<第2の実施形態>
防塵透明基板としてサファイア基板を用いる本発明の第2の実施形態について説明する。
【0043】
(実施例3)
成膜法として五酸化チタン(Ti)と二酸化珪素(SiO)を蒸着剤として使用し、酸素ガスを反応ガスとする反応性真空蒸着法を用いた。サファイア基板上に高屈折率誘電体物質層として酸化チタン(TiO)(屈折率nd=2.30)、低屈折率誘電体物質層として二酸化珪素(SiO)(屈折率nd=1.46)から成る設計中心波長λ=520nmの8層構成の交互多層膜による膜体を製作した。これらの各層の膜厚は表3に示すとおりである。
【0044】
【表3】
Figure 2005031297
【0045】
このようにして製作された膜体の反射特性の測定結果を図9に示した。同図において、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は反射率(%)を表す。また、上記膜体の透過率特性の測定結果を図10に示す。図10において横軸は波長(nm)を示し、縦軸は透過率(%)を示す。
【0046】
図9によれば、この膜体では420nm程度以上の領域において反射率が低くなっており、可視域450nmから650nmの領域で反射率が0.5%以下となっていることがわかる。また、図10によれば、この膜体では、波長350nmより短波長の紫外線の透過率を大幅に減らすことができた。
【0047】
(実施例4)
成膜法として金属ニオブとポリシリコンをターゲットとして用い、アルゴン(Ar)ガスをスパッタリングガスとし、酸素ガスを反応ガスとする反応マグネトロンスパッタリング法を用いた。サファイア基板上に高屈折率誘電体物質層として五酸化ニオブ(Nb)(屈折率nd=2.34)低屈折率誘電体物質層として二酸化珪素(SiO)(屈折率nd=1.47)を用い、設計中心波長λ=520nmで各層の厚さが表4に示す交互多層膜の膜体を製作した。
【0048】
【表4】
Figure 2005031297
【0049】
このようにして製作された膜体の反射特性の測定結果を図11に示した。同図において、横軸は波長(nm)を示し、縦軸は反射率(%)を表す。また、上記膜体の透過率特性の測定結果を図12に示す。図12において横軸は波長(nm)を示し、縦軸は透過率(%)を示す。
【0050】
図11によれば、この膜体では425nm程度以上の領域において反射率が低くなっており、可視域450nmから650nmの領域で反射率が0.5%以下となっていることがわかる。また、図12によれば、この膜体では、波長350nmより短波長の紫外線の透過率を大幅に減らすことができた。
【0051】
防塵透明基板として、サファイア基板を用いるとき、波長450nmから650nmの範囲の反射防止性能を、反射率0.5%以下にし、波長350nm以下の紫外線カット特性を最大にするようにし、設計中心波長λを波長500nmから550nmの範囲にあって、8層構造の膜体とする。この膜体は、基板側から空気側へ高屈折率誘電体物質層と低屈折率の誘電体物質層を交互に重ねる。
【0052】
高屈折率誘電体物質層の屈折率をnh、低屈折率誘電体物質層の屈折率をnl、防塵透明基板の屈折率をnsとし、基板側から空気側へ重ねる、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8の各層の光学的膜厚を、d1、d2、d3、d4、d5、d6、d7、d8とする。
【0053】
このとき、上記屈折率の範囲を、1.35≦nl≦1.50、1.90≦nh≦2.45、nl−0.1≦ns≦nh、第1乃至第8の各層の光学的膜厚を、0.01λ≦d1≦0.04λ、0.10λ≦d2≦0.14λ、0.07λ≦d3≦0.12λ、0.08λ≦d4≦0.14λ、0.18λ≦d5≦0.28λ、0.02λ≦d6≦0.07λ、0.16λ≦d7≦0.22λ、0.22λ≦d8≦0.30λを満す膜構成が好ましいことがわかった。ここで基板と反射防止膜との密着性を向上させるために、基板側と第1層の高屈折率誘電体層の間にSiO層を光学的特性に影響を与えない厚さで付加することは差し支えない。
【0054】
上記各層の範囲は、目標の光学特性が得られる各層の光学膜厚を最適化するソフトウェアを使用して、多層膜設計を行なった結果から導き出した。
【0055】
上記第2の実施形態の説明では、高屈折率誘電体物質層と低屈折率誘電体物質層の膜を8層に構成した場合について説明した。しかし本発明ではこれに限られず、一般的には6から10層により交互多層膜を構成すればよい。層数の限定理由及び4層でも使用可能な点は、第1の実施形態と同様である。
【0056】
380nm以下の紫外線を吸収する特性を有する高屈折率の物質としては、TiO、Nbのいずれか一種あるいは両者の混合物がもっとも望ましい。しかし、これらとZrO、La、Pr,Pr11、Taなど他の物質との混合物であってもよい。これら他の物質との混合物では、紫外線吸収特性を維持するためにTiO,Nbの割合は50%以上が必要である。またこれらTiO,Nbは、その成膜法によっては酸素不足の状態であるTiOx(1.8<x<2.0)やNbOx(4.5<x<5.0)となる場合がありこのような場合も本発明に含まれる。
【0057】
低屈折率層を構成する誘電体物質としてはSiO、MgFのいずれかを主成分とするものを用いる。
【0058】
本発明のこの実施形態によれば、透明基板としてサファイア基板を用いているので熱伝導性が良好であり、たとえ熱が生じても放熱することができ、温度上昇をある程度抑えることができる効果がある。また、サファイア基板に本発明による反射防止膜を施すことにより350nmより短波長の紫外線透過率を大幅に減ずることが可能となる。本発明の反射防止膜により可視域の反射防止特性を有し、かつ紫外線カットフィルタ特性の2特性を併せ持つ反射防止膜を安価に製造することができる。
【0059】
本発明は可視域における反射防止膜をベースとしながら、最適な膜構成とすること、及び380nm以下に吸収を有する物質を、高屈折率層に用いること、により、可視域での反射防止特性を持ち(投射光の損失が小さく)、少ない積層数で充分な紫外線カットを実現することができた。
【0060】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、紫外線を反射及び吸収することにより装置の温度上昇を充分抑制でき、液晶の劣化を防止できる、低コストの投射型表示装置用の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板を得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による防塵透明基板を用いる投射型表示装置の構成例を示す図。
【図2】本発明による防塵透明基板の断面を示す図。
【図3】本発明による反射防止膜の構造を示す図。
【図4】本発明の実施例1の反射特性の測定結果を示す図。
【図5】本発明の実施例1の透過特性の測定結果を示す図。
【図6】本発明に透明基板として用いる石英ガラスの透過特性を示す図。
【図7】本発明の実施例2の反射特性の測定結果を示す図。
【図8】本発明の実施例2の透過特性の測定結果を示す図。
【図9】本発明の実施例3の反射特性の測定結果を示す図。
【図10】本発明の実施例3の透過特性の測定結果を示す図。
【図11】本発明の実施例4の反射特性の測定結果を示す図。
【図12】本発明の実施例4の透過特性の測定結果を示す図。
【符号の説明】
11・・・光源、12・・・反射鏡、13・・・フィルタ、14・・・レンズ、15a,15b,15c,15d・・・全反射ミラー、16a,16b・・・ダイクロイックミラー、17b,17g,17r・・・集光レンズ、18b,18g,18r・・・液晶表示装置、20・・・合成プリズム、22・・・液晶、23a,23b・・・対向電極、24・・・透明基板、26・・・膜体、31・・・第1層、32・・・第2層、33・・・第3層、34・・・第4層、35・・・第5層、36・・・第6層、37・・・第7層、38・・・第8層。

Claims (7)

  1. 光源からの光を変調して所定の画像を投射する投射型表示装置において前記光源からの光が入射する面に配置され液晶表示装置に埃が付着することを防止する透明基板であって、
    高屈折率層と低屈折率層の6層から10層の交互多層膜から成り、この交互多層膜は、450nm〜650nmの波長範囲における反射率が0.5%以下、かつ、波長350nm以下の紫外線を最大限に反射するように最適設計され、しかも前記高屈折率誘電体層として350nm以下の紫外線を吸収する特性を有する誘電体物質を用いることにより、350nm以下に紫外線の遮蔽機能を増した反射防止膜を設けたことを特徴とする液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板。
  2. 前記透明基板は、石英ガラスにより構成されることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板。
  3. 前記反射防止膜は、高屈折率層と低屈折率層の8層の交互多層膜から成り、これらの8層の厚さを前記透明基板側から、d1、d2、d3,d4,d5,d6,d7,d8とし、前記高屈折率層の屈折率をnh、前記低屈折率層の屈折率をnlとするとき、
    上記屈折率の範囲を、1.35≦nl≦1.50、1.90≦nh≦2.45、nl−0.1≦ns≦nh、第1乃至第8の各層の光学的膜厚を、0.01λ≦d1≦0.04λ、0.17λ≦d2≦0.23λ、0.07λ≦d3≦0.12λ、0.08λ≦d4≦0.14λ、0.18λ≦d5≦0.28λ、0.02λ≦d6≦0.07λ、0.16λ≦d7≦0.22λ、0.22λ≦d8≦0.30λを満す膜構成とすることを特徴とする請求項2記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板。
  4. 前記高屈折率層を構成する誘電体物質は、TiO、Nbのいずれか1種あるいは両者の混合物を主成分とするものであり、前記低屈折率層を構成する誘電体物質は、SiO、MgFのいずれかを主成分とするものであることを特徴とする請求項3記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板。
  5. 前記透明基板は、サファイアにより構成されることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板。
  6. 前記反射防止膜は、高屈折率層と低屈折率層の8層の交互多層膜から成り、これらの8層の光学的膜厚を前記透明基板側から、d1、d2、d3,d4,d5,d6,d7,d8とし、前記高屈折率層の屈折率をnh、前記低屈折率層の屈折率をnlとするとき、
    上記屈折率の範囲を、1.35≦nl≦1.50、1.90≦nh≦2.45、nl−0.1≦ns≦nh、第1乃至第8の各層の光学的膜厚を、0.01λ≦d1≦0.04λ、0.10λ≦d2≦0.14λ、0.07λ≦d3≦0.12λ、0.08λ≦d4≦0.14λ、0.18λ≦d5≦0.28λ、0.02λ≦d6≦0.07λ、0.16λ≦d7≦0.22λ、0.22λ≦d8≦0.30λを満す膜構成とすることを特徴とする請求項5記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板。
  7. 前記高屈折率層を構成する誘電体物質は、TiO、Nbのいずれか1種あるいは両者の混合物を主成分とするものであり、前記低屈折率層を構成する誘電体物質は、SiO、MgFのいずれかを主成分とするものであることを特徴とする請求項6記載の液晶表示装置の反射防止膜付き透明基板。
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