JP2002257523A - 超精密形状測定方法及びその装置 - Google Patents
超精密形状測定方法及びその装置Info
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Abstract
干渉法のような基準面を使用せずに、光路の安定性を利
用し、高い精度で測定することができるとともに、装置
を小型化することが可能な超精密形状測定方法及びその
装置を提供する。 【解決手段】 測定系4と被測定物8のそれぞれの基準
位置を設定した後、測定系の光源から出射された収束光
を被測定面上の各点へ照射し、その入射光とその点での
反射光の光軸とが重なるように測定系と被測定物の双方
の位置と角度を微調整し、光源から被測定面までの距離
を測定し、測定系と被測定物の基準位置からの位置と角
度の偏差から被測定面の各点における法線ベクトルを測
定し、法線ベクトルから表面の各点での傾きを算出し、
任意の点での傾きを補間し、その傾きを測定領域にわた
って積分することによって表面形状を算出する。
Description
法及びその装置に係わり、更に詳しくは放射光やX線用
の非球面高精度ミラー等の光学素子を含め高精度に加工
された表面形状の計測評価に使用し、あるいは修正加工
をする場合の理想形状からの偏差の測定に用いる超精密
形状測定方法及びその装置に関するものである。
測定することは、超精密加工法の開発、超精密装置の高
精度化にとって益々重要になってきている。特に、放射
光やX線用の非球面高精度ミラー等の光学素子の場合、
その反射面形状の理想形状からの偏差が装置システムの
分解能、解像度、精度に大きく影響を及ぼすことにな
る。
法として、光干渉法が最も精度の高い測定方法として一
般的に使用されている。しかし、この光干渉法では、比
較となる基準面が必要であり、基準面以上の形状精度を
持つ高精度表面の形状測定は不可能である。また、3次
元座標測定器は、ステージの直線運動精度が測定精度を
決めるが、一般的にリニアガイドはミクロンオーダある
いはサブミクロンオーダの精度が限界であるので、ナノ
メータオーダの形状測定には利用できない。
大型の加速器が各所で稼動している。シンクロトロン放
射光は、その偏光性や平行性に優れ、特に非常に幅広い
波長域において従来にない高い強度をもっており、工学
分野での最先端の微細加工、分析等に利用され、医学分
野でも治療に使用されるようになってきた。この放射光
は、殆どの場合において放射光をそのまま使うのではな
く、光学系で制御して使用している。そのため、放射光
を有効に利用するためには、精度の高い集光ミラーが必
要である。例えば、紫外線集光用ミラーは、100mm
角、曲率半径5600mmの溶融石英製凹面鏡で、表面
粗さ1nm、形状精度10nm/100mmが要求され
ている。ところが現在の最高水準のミラーを用いたとし
ても、その形状精度から、焦点位置が40mmの範囲に
広がってしまい、放射光を十分に有効利用できてない。
そのため、ミラーを更に高精度に加工する必要がある
が、その前提として形状を超高精度に測定する必要があ
る。
数値制御EEM(Elastic EmissionMachining)を開発
しており、加工域全体にわたって10nm以下の精度で
加工できる手法を提供している。また、前述の紫外線集
光用ミラーの形状を高精度に測定をする手法も既に提案
している。この形状測定法は、固定保持したミラーの理
想的な曲率半径位置にレーザ光源、光検出器及び距離測
定器を備えた測定系を、XYZステージと2軸ゴニオメ
ータからなる駆動系上に配し、該光源から発したレーザ
光をミラーの表面で反射させ、この反射光を光検出器で
受光し、これを測定系の角度を変えてミラーの各点にわ
たり繰り返すものである。この際、ミラーの被測定面上
の点への入射光とその点での反射光とが重なるように光
源の位置、角度を調整するとともに、光源からのミラー
の測定点までの距離を正確に一致させると、その点の法
線ベクトルは光線のベクトルと等しくなるので、光線ベ
クトルを駆動系の調整量から正確に導出することで、ミ
ラーの各点での法線ベクトルを割り出すことができる。
この法線ベクトルから被測定面上の各点における傾きを
求め、その間の傾きを補間した後、その傾きを積分する
ことにより、被測定面の表面形状を求めるのである。
クトルを利用した形状測定法は、高精度な球面ミラーを
固定した上で測定系を焦点近傍に配置し、該測定系のみ
を変位させて被測定面の各点の法線ベクトルを測定する
ものであり、そのため球面ミラー以外の被測定対象では
測定系の直線変位距離が大きくなって位置精度が出せな
いので、実質的に高精度な球面ミラーのみしか測定でき
なかった。また、前述の球面ミラーでも曲率半径が56
00mmであるので、該ミラーと測定系はそれだけ離し
た位置に精度良く設置しなければならず、そのため測定
装置が大型になるとともに、ベース台の温度変化による
伸縮等も考慮しなければならず、また数kmの曲率半径
を有するミラーの測定は事実上不可能であり、汎用的な
ものではなかった。
しようとするところは、任意の表面形状を有する被測定
面形状を、光干渉法のような基準面を使用せずに、光路
の安定性を利用し、高い精度で測定することができると
ともに、装置を小型化することが可能な超精密形状測定
方法及びその装置を提供する点にある。
決のために、測定系と被測定物のそれぞれの基準位置を
設定した後、測定系の光源から出射された収束光を被測
定面上の各点へ照射し、その入射光とその点での反射光
の光軸とが重なるように測定系と被測定物の双方の位置
と角度を微調整するとともに、光源から被測定面までの
距離を測定し、測定系と被測定物の基準位置からの位置
と角度の偏差から被測定物表面の各点における法線ベク
トルを測定し、該法線ベクトルから表面の各点での傾き
を算出するとともに、任意の点での傾きを補間し、その
傾きを測定領域にわたって積分することによって表面形
状を算出してなる超精密形状測定方法を確立した。
おいて、平行移動駆動を最小にし、主に回転駆動によっ
て入射光とその点での反射光の光軸とが重なるように微
調整してなる請求項1記載の超精密形状測定方法。
のエンコーダ付き移動テーブルと2軸のエンコーダ付き
ゴニオメータからなる測定側駆動系と、少なくとも2軸
のエンコーダ付きゴニオメータからなる被測定物側駆動
系とを間隔を設けて配設し、前記測定側駆動系には光
源、光軸位置検出器及び光源から被測定面までの距離を
測定する測長器を備えた測定系が保持され、また前記被
測定物側駆動系には試料ホルダーを介して被測定物が保
持され、光源から出射された収束光を被測定面上の各点
へ照射し、その入射光とその点での反射光の光軸とが重
なるように測定系と被測定物の双方の位置と角度を微調
整し、前記各駆動系の制御機能を備えた演算装置が、各
駆動系より各軸の基準位置からの偏差を取得するととも
に、被測定面上の光の入射位置を算出し、被測定面の各
点における法線ベクトルを求め、該法線ベクトルから表
面の各点での傾きを算出するとともに、任意の点での傾
きを補間し、その傾きを測定領域にわたって積分して表
面形状を算出してなる超精密形状測定装置を構成した。
割フォトダイオードを用いて、光軸の微小変位を検出し
てなることが好ましい。
向を変えるハーフミラーと、シリンドリカルレンズと、
4分割フォトダイオードからなる検出器で構成し、シリ
ンドリカルレンズを通した光の光軸に直交する面のスポ
ット形状が光軸に沿って変化する特性を使って、光源か
ら被測定面までの距離が一定になるように、前記各駆動
系を調整してなることも好ましい。
面に基づき更に詳細に説明する。本発明は、均一な屈折
率の媒質中を通過する光の光路安定性を利用し、被測定
面の各点の法線ベクトルを、各点での入射光と反射光と
が重なるように調節することで測定し、各点の面の傾き
を求め、それを補間し、積分することにより、表面形状
を高精度で測定する方法である。
基づき以下に説明する。本形状測定装置は、共通のベー
ス台1上に5軸の測定側駆動系2と少なくとも2軸の被
測定物側駆動系3とを設け、前記測定側駆動系2には光
源6、光軸位置検出器7及び光源6から被測定物8まで
の距離を測定する測長器9を備えた測定系4が保持さ
れ、また前記被測定物側駆動系3には試料ホルダー5を
介して被測定物8が保持されている。測定側駆動系2
は、3軸のエンコーダ付き移動テーブル10(x,y,
z)と2軸のエンコーダ付きゴニオメータ11(θ,
φ)で構成されている。また、前記被測定物側駆動系3
も同様に2軸のエンコーダ付きゴニオメータ12(α,
β)で構成されている。尚、本実施形態では、被測定物
8の初期セッティングを容易にするために、前記ゴニオ
メータ11は、前記同様な3軸のエンコーダ付き移動テ
ーブル上に設けている。
から出射したレーザ光をオプチカルアイソレータを通過
させた後、光ファイバー14で導き、コリメーターレン
ズ15で集光させ(開き角23°)、集光点にピンホー
ル16を置いて光源6とした。ここで、法線ベクトル測
定の座標系は,検出器7を原点とし、X軸回りをφ、Z
軸周りをθと定義した。前記ピンホール16、コリメー
ターレンズ15、光ファイバー14は、Z軸方向と光軸
方向を一致させるため3点支持調整機構を介し、ピエゾ
アクチュエータとマイクロメータヘッドにより、X,Y
平面上で0.1μm以下の微調整が可能な2軸のテーブ
ル上に固定されている(図示せず)。また、ピンホール
位置のZ方向の調整のためX,Yステージ全体が上下で
きるようにガイドレールを設け、手動で任意の位置に固
定することができる(図示せず)。ビームスプリッター
17と1/4波長板18は一体化し、Y方向に正確に移
動できるようにダブルV溝をガイドにした。また、1/
4波長板18は、偏向面を45°回転させた位置で固定
し、直線偏光の光を円偏光に変換する。
スプリッター17により90°曲げられ、1/4波長板
18を通過した後、集光レンズ19を通る。集光レンズ
19は、Y方向に調整できるようにガイドとスケールを
設けた簡単に位置決めが行えるようにした。その後、被
測定面20で反射し、集光レンズ19を通ってビームス
プリッター17を直進し、ハーフミラー21を通り検出
器7で受光することによって法線測定を行うのである。
一方、ハーフミラーで21分割された光は、シリンドリ
カルレンズ22を通して検出器23で受光され、ピンホ
ール16から被測定面20までの距離の変化を測定す
る。尚、前記ピンホール16と検出器7から被測定面2
0までの光学的距離は正確に一致させている。ここで、
前記光軸位置検出器7と検出器23とは、4分割フォト
ダイオード(QPD)を用いた。
化を測定する検出器23は、光軸をZ軸方向へ配向させ
て測定系4に取り付けている。ビームスプリッター17
からのビームは、ハーフミラー21により一方は検出器
7へ、他方は検出器23へ1:1で分割される。検出器
23側へ分割されたビームは、シリンドリカルレンズ2
2を通って検出器23上で結像される。検出器23は、
前記ピンホール16の調整と同じ機構を有するX,Y,
Z方向に調整できる機構と一体化したホルダーに装着し
ている。検出器23のZ方向の調整は、リニアーガイド
とマイクロメータヘッドにより位置決めできるようにな
っている。つまり、前記検出器23とそれを微調整する
機構を含めて測長器9を構成している。
率の一様媒質内における光路の安定性を利用するため、
レーザのコントローラ24を除き全体を恒温室25内に
置き、内部温度を±0.5℃以下に保ち、光路にわたっ
て0.02℃以下の温度安定性を確保している。更に、
本実施形態では、光路に沿って熱伝導性の高い銅パイプ
26を配設している。
先ず、光源から出射された光線を被測定面20のある点
で反射させ、その点での入射光と反射光の光軸が重なる
ように、QPD(検出器7)を使って光源6の位置
(x,y,z)と角度(θ,φ)を調整すると、その点
での被測定面20の法線ベクトルは、入射光線のベクト
ルと一致する。このときの検出器7を原点とし、光線が
入射した被測定面20の点を基準位置とする。次に、測
定系4の角度を僅かに角度を変化させて光線が入射する
被測定面20の点の位置を僅かにずらせる。この場合、
被測定面20で反射した反射光は入射光とは重ならず、
僅かにずれるので、再度入射光と反射光の光軸が重なる
ように調整し、調整した(x,y,z)と(θ,φ)の
値から、新たな点での法線ベクトルが求まる。この操作
を測定領域にわたって繰り返し実行し、被測定面20の
各点での法線ベクトルを測定する。また、光源6と被測
定面20までの距離が測定されていれば、法線ベクトル
から被測定面20の各点での傾きが求まり、適当な関数
で補間した後、測定領域にわたって積分することで表面
形状が測定できることになる。
(0,0,0)は最初の測定点とし、そのときの法線ベ
クトルと光線ベクトルが一致した時の光源6(実際は検
出器7)の位置調整用座標系のY軸を一致させ、座標値
をO(x0,y0、z0)、X軸回りとZ軸回りの角度を
(0,0)とする。点P′(x,y,z)での測定にお
けるO′(x1,y1、z1)、(θ1,φ1)は、各ベク
トルを一致させたときの光源位置及び角度を表してい
る。このようにして、被測定面20上の各点における面
の傾きと光源位置を求める。しかし、この面の傾きは特
定の点でしか測定されてないので、それを適当な関数、
例えばスプライン関数で補間し、任意の点での面の傾き
を計算できるようにし、その傾きを積分することによ
り、被測定面20の表面形状をパーソナルコンピュータ
等の演算装置で計算して求めるのである。ここで、光源
6(検出器7)から被測定面20までの距離が測定され
ていれば、あるいは基準座標を決めたときの光源6(検
出器7)から被測定面20までの距離を各測定において
一定に保つことにより、光線が照射された被測定面20
上の測定点の座標が特定できる。本発明では、被測定面
20の測定点の位置の測定精度に対する要求は比較的低
くても良く、1μm以下を確保できれば問題なく実施で
きる。また、ゴニオメータの各軸の精度は、1.8×1
0-7rad以下の絶対精度を有することを確認している。
学系を図3に示している。測定系における座標は、ビー
ム進行方向をY軸、水平及び垂直方向をX、Z軸として
いる。直線偏光された平行光がピンホール16を通るこ
とによりフラウンフォーファー回折が起こり光が広がっ
ていき、その後、ビームスプリッター17で90°曲げ
られ、円偏光に変換するための1/4波長板18を通
し、集光レンズ19に達する。ピンホール16から集光
レンズ19までの距離をa′とする。集光レンズ19を
出た光は光路長b+2cのところで結像するように集光
レンズ19を配置するとともに、被測定面20は、b+
cの場所に配置する。被測定面20で反射した光はc点
で一端結像し、再び同じ集光レンズ19を、1/4波長
板18を通って直線偏光に変換し、波面が90°回転す
ることにより、ビームスプリッター17を直進して光位
置検出器7上に結像させる。検出器7は、図4に示すよ
うに、4分割フォトダイオードで構成されX,Z座標の
各象限に分割セル7A〜7Dを配置している。被測定面
20の法泉ベクトルが変化すると光てこの原理によって
検出器7上のピンホール像の位置が変位する。ピンホー
ル像のX,Z方向の変位量に応じて各分割セル7A〜7
D毎に出力変化VA,VB,VC,VDとして現れ、それぞ
れの加減算により水平,垂直方向の位置変化量としてV
1=(VA+VB)−(VC+VD)、V2=(VA+VD)−
(VB+VC)が得られる。法線ベクトルの変化量と検出
器7上の位置変位量の関係は、a′,a,b,c,の値
により決定される。法線ベクトルの測定分解能は,検出
器7の位置変位検出感度によって決定される。検出器7
だけの測定系だと被測定面20のうねりや曲率を持った
面を測定する場合、ピンホール16から被測定面20ま
での距離が変化して光てこのレバーアームが変化すると
ともに、結像位置が変化し、正確な法線ベクトルの測定
ができない可能性がある。そこで、ピンホール16から
被測定面20までの距離を正確に測定するための測長器
9(検出器23等)を使用する。
離を正確に測定するためには、結像位置を測定する何ら
かの光の状態が変化するような光学系を用いれば良い。
図5に結像位置を測定するための光学系を示している。
図3に示すように、検出器7の前にハーフミラー21を
置いて光を分割させ、シリンドリカルレンズ22を用い
て結象させる。図5(a)に示すように、4分割フォト
ダイオードからなる検出器23上では、被測定面20ま
での距離が短くなれば、光の断面形状が垂直方向に長い
楕円形状に、距離が長くなれば水平方向に長い楕円形状
になり(図5(b)参照)、検出器7と同じ方法で光の
断面形状の変化、つまり結像位置の変化をV3,V4の変
化として測定することができる。この検出器23の場
合、4分割フォトダイオードの配置はX,Z軸に対して
45°傾ける必要がある。
まり集光レンズ19の焦点距離をf 1、シリンドリカル
レンズ22による焦点距離とf1による焦点からの距離
をせれぞれf2、hとし、シリンドリカルレンズ22に
よる焦点の距離をe、シリンドリカルレンズ22を通っ
た光が真円になる場所からf1による焦点位置への距離
をgとすると、次の数1の関係になる。
Δhは、次の数2で表される。
上では像が真円にならず楕円になる。f2によって曲げ
られる方向と、f2に作用されない方向との光の形状の
長さの比をKとすれば、次の数3で表される。
結像位置測定の感度を表し、f2を小さくすれば感度を
大きくすることができる。
向を超精密に測定し、その傾きを計算、補間し、次に積
分することにより表面の形状を求めるものである。従っ
て、被測定面の形状が任意の形状、例えば凹面、凸面、
非球面、回転楕円体、トロイダル形状等の数式で表され
る形状だけでなく任意の形状で、尚且つ被測定面の大き
さに関係なく測定できるのである。また、人工的に造ら
れた基準面等を一切使用しない方法である。この測定精
度は、法線の方向の測定精度が支配しているため、この
法線方向の測定精度を向上させることにより、直径10
0mmの自由曲面を1nm以下の精度で測定することが
できる。
は、屈折率のゆらぎの無い空間における光の光路の安定
性を利用し、任意の座標点から出射した光線を被測定物
の表面の任意の点で反射させ、反射光の位置が出射した
座標点と同じ場所になるように、2軸のゴニオメータと
3軸の移動テーブルを調整することにより行うことで、
その点における法線を測定することができる。被測定物
の形状で、例えば平面を測定する場合等、法線の方向が
ある方向に平行に近いような場合、3軸の移動テーブル
の内のどれかの軸を被測定物の長さ分移動させなければ
ならない。この場合、移動テーブルの精度が測定精度を
悪化させる。幾何学的に移動できるテーブルは製作が不
可能である。
動テーブルの移動量を最小限にするために、被測定物を
光路と直角平面上で2軸回転を行えば高精度化を達成で
きる。また、被想定物の表面の曲率に応じて回転軸と被
測定物の曲率半径を近づけることにより、殆ど測定系と
試料系の合計4軸のゴニオメータの回転だけで入反射光
路の同一化を達成することが可能となる。つまり、直線
駆動よりも回転駆動の方が遥かに高い精度で制御でき、
それを利用して測定精度を高めることが、本発明の基本
原理である。
なく、光と光路の安定性を利用して、被測定物の表面の
任意の点の法線を超精密に測定し、その点の傾きを計
算、補間し積分することにより、どのような形状も超精
密に測定する方法である。法線の超精密測定には、入反
射同一光路による法線測定を行うことも本発明の特徴で
ある。この測定方法は、4軸のゴニオメータと3軸の移
動テーブルを使用することにより達成することができ
る。
る。
ルダーにセットして初期座標、即ち原点を決定する。そ
れから、被測定面である球面の曲率中心に光源を配置す
る。光源から出射した光線を被測定面の原点で反射さ
せ、反射光が出射した位置と同一になるように、測定系
側の2軸のゴニオメータ(θ,φ)と3軸の移動テーブ
ル(x,y,z)を調整する。
し、その時の被測定面の法線ベクトルと光線ベクトルが
一致するように、2軸のゴニオメータ(θ,φ)と3軸
の移動テーブル(x,y,z)を調整する。このとき、
被測定面と光源間の距離が変わらないように検出器23
を用い、法線ベクトルと光線ベクトルのずれ(入反射光
を同一化)を調整するのは、検出器7を用いる。ずれを
調整したときの苦言の位置(x,y,z)と角度(θ,
φ)の値から、法線ベクトルを求める。
の点での法線ベクトルを測定し,その点での被測定面の
傾きを計算し、その傾きを補間し積分して表面形状を求
めるのである。
んだ場合であり、図7(a)は初期座標を設定して測定
系の光源6(検出器7)と被測定面20の基準位置を決
めた状態である。それから、図7(b)に示すように、
光源6から出射した入射光の角度をΔθだけ変化させる
と、反射光のスポット像は検出器23上で変位する。そ
れを光源6をX軸方向へΔxだけ変位させるとともに、
θ軸を微調整して検出器23の中心に結像するように調
整する。この場合、被測定面20が球面であるので、そ
の曲率中心に検出器23を配置しておけば、検出器23
を平行移動させる距離は極僅かであるので、リニアガイ
ドよる誤差は少なく、高精度に法線ベクトルを測定する
ことができる。
同様に、試料をホルダーにセットして初期座標、即ち原
点を決定する。
ルは、球面と同様に測定することはできるが、移動テー
ブル(x,y,z)の移動量が大きくなり、平行移動テ
ーブルの運動精度が、法線ベクトルの測定精度を悪くす
る。そこで、平行移動量を最小限にするために、被測定
物駆動系に光軸と直角な2軸ゴニオメータ(α,β)を
配置し、その上に設けたホルダーに試料をセットすれ
ば、高精度な法線ベクトルの測定が実現できる。これ
は、平行移動よりも回転の方が精度を出しやすいからで
ある。
は、被測定面の曲率に応じて、回転軸と被測定面までの
距離を被測定面の曲率に近づけることで、平行移動テー
ブルを殆ど動かすことなく(θ,φ)、(α,β)の4
軸のゴニオメータの回転だけで、入反射光路を一致さ
せ、高精度に法線ベクトルを測定できる。その他は、前
記同様である。
んだ場合であり、図8(a)は初期座標を決定した状態
を示している。そして、図8(b)は、被測定面20の
異なる点を照射する場合に、被測定物8を固定したまま
測定系のみをX軸方向に変化させた場合を示している。
この場合、X軸のリニアガイドに誤差が生じていると、
光源6(検出器7)から出射した入射光は被測定面20
で反射され、その反射光は入射光とは異なる方向に向く
ので、それを検出器7の中心に正確に結像するようにθ
軸をθerrだけ調整することになるが、このθerrが被測
定面20の偏差によるものなのか、X軸のリニアガイド
の誤差によるものなのか判断できない。そこで、本発明
では、先ず測定系を測定側駆動系2のθ軸を調整すると
ともに、被測定物8を被測定物側駆動系3のα軸を調整
し、つまりこれら2軸を同じ角度αだけ変化させること
により、被測定面20からの反射光は略正確に検出器7
で受光でき、その僅かの中心からのずれをXYZ軸のリ
ニアガイドに沿って調整するのである。この場合は、測
定系の調整における平行移動量は極僅かであるから、高
精度に法線ベクトルを測定することができるのである。
同様にして、本発明は、平面に限らず、非球面や楕円
面、その他任意の表面を有する被測定物の形状を高精度
に測定できるのである。
形状を実際に測定した結果を示している。図9の結果
は、同じ測定を同一対象に対して4回繰り返したもので
あり、形状誤差10nm、スロープエラー2×10-7ra
d以下の再現性を達成できたことを示している。また、
図10は、試料表面のA−A線とB−B線を本発明の形
状測定装置で測定して理想曲面(0レベル)からの形状
誤差を求め(加工前)、それに基づいて表面の加工量を
求め、それに応じて数値制御EEMによって加工した後
の理想曲面からの形状誤差を測定した結果(EEM加工
後)を併せて示したものである。本発明は、表面形状を
高精度に測定できるのみならず、各測定点での理想曲面
からの形状誤差のデータを取得でき、このデータを超精
密加工に利用できるのである。更に、本発明は、ミラー
における光線追跡に必要な法線ベクトルを直接測定する
ものであるため、形状精度もさることながら、集光ミラ
ーによる放射光の集光計算用のデータとしても使用でき
ることは大きな特徴である。
本来の形状を変化させずに保持することができる試料ホ
ルダー5を図11及び図12に基づいて説明する。被測
定物を保持する場合、被測定物に局部応力を加えると、
その応力による歪みが表面の形状変化として現れる。本
発明は、そのような極僅かな形状変化をも測定してすま
うほどの精度を有しているので、被測定物の表面に形状
変化を生じさせないように保持し、しかも形状測定中に
全く移動しないように保持しなければならない。図11
は、被測定物側駆動系3に試料ホルダー5を装着した状
態を示し、図12(a)は試料ホルダー5の平面図、
(b)はその断面図を示したものである。試料ホルダー
5は、アルミ製の保持枠27に、背面に周囲を残して凹
部29を段状に形成した厚さ10mmのアルミ製表面板
28をOリング30を介して気密接合し、表面板28に
は4mmピッチで直径1mmの穴31を100×300
mmの範囲に形成し、直径6mmのホース32で保持枠
27と表面板28との間に形成された空間をダイヤフラ
ム式真空ポンプで排気できるようにし、更に表面板28
の表面に微小連続孔のあいた厚さ500μmのテフロン
(登録商標)シート33を積層した構造となっている。
ここで、前記テフロンシート32は、商品名「ゴアテッ
クス」(米国、W.L.ゴア・アンド・アソシエーツ社の商
標)を用いた。このゴアテックスは、通気性のある素材
であるが、水は通さない程度の微細孔を有するものであ
り、弾力性のあるガスケットとしても使用されているも
のである。
33に接合した状態で、内部を排気してテフロンシート
33を介して被測定物の背面前面を一様な吸引力で吸着
して保持するのである。被測定物を平面に静置した場合
と、前述の試料ホルダー5で垂直に保持した場合とで、
表面状態を干渉計(Zygo)で観察した結果、どちらの干
渉縞も見分けが全くつかなかった。このことは、前述の
試料ホルダー5によって被測定物を表面形状に全く影響
を与えずに保持できたことを意味している。また、この
試料ホルダー5に、切りっ放しのアルミ板(50×50
mm)、チャック面がきさげ面となっている銅製ミラー
(80×250mm、厚さ25mm)、チャック面は砂
かけ状態となっているガラス(BK7)製平面ミラー
(50×200mm、厚さ30mm)を吸着させたが、
全く問題なく保持することができた。尚、前述の銅製ミ
ラーや平面ミラーは、普通の真空チャックでは全く固定
不可能なものである。
方法及びその装置によれば、球凹面形状は勿論のこと、
これまで1nm以下の精度で光学的に測定することが不
可能であった凸面、非球面、回転楕円体、トロイダル形
状等の数式で表される形状だけでなく任意の表面形状を
有する被測定面形状を、光干渉法のような基準面を使用
せずに、光路の安定性を利用し、高精度で測定すること
ができるとともに、被測定面の大きさに関係なく表面形
状を短時間に測定することができ、更に測定装置を小型
化することができるといった優れた効果を有している。
できるのみならず、各測定点での理想曲面からの形状誤
差のデータを取得でき、このデータを超精密加工に利用
できるのである。更に、本発明は、ミラーにおける光線
追跡に必要な法線ベクトルを直接測定するものであるた
め、形状精度もさることながら、集光ミラーによる放射
光の集光計算用のデータとしても使用できる。
る。
器で反射光を受光した様子を示す説明図である。
分割フォトダイオードを用いた検出器で反射光を受光し
た様子を示す説明図、(b)はシリンドリカルレンズを
通った光の光軸に直交する面のスポット形状が光軸に沿
って変化する様子を示した説明図である。
の配置図である。
(a)は初期位置を設定した状態の説明図、(b)は光
源の方向を変化させた場合の理想曲面からの偏差によっ
て反射光がずれる様子を示した説明図である。
は初期位置を設定した状態の説明図、(b)は被測定物
を固定し、光源の方向を変化させた場合の入射光と反射
光の様子と測定系の平行移動量との関係を示した説明
図、(c)は被測定物を回転変位させ、光源の方向を変
化させた場合の入射光と反射光の様子と測定系の平行移
動量との関係を示した説明図である。
面からの形状誤差を求め、それに基づいて表面をEEM
加工した結果の理想曲面からの形状誤差を測定した結果
を示すグラフである。
す側面図である。
(b)は断面図を示している。
Claims (5)
- 【請求項1】 測定系と被測定物のそれぞれの基準位置
を設定した後、測定系の光源から出射された収束光を被
測定面上の各点へ照射し、その入射光とその点での反射
光の光軸とが重なるように測定系と被測定物の双方の位
置と角度を微調整するとともに、光源から被測定面まで
の距離を測定し、測定系と被測定物の基準位置からの位
置と角度の偏差から被測定物表面の各点における法線ベ
クトルを測定し、該法線ベクトルから表面の各点での傾
きを算出するとともに、任意の点での傾きを補間し、そ
の傾きを測定領域にわたって積分することによって表面
形状を算出してなることを特徴とする超精密形状測定方
法。 - 【請求項2】 前記測定系と被測定物の微調整におい
て、平行移動駆動を最小にし、主に回転駆動によって入
射光とその点での反射光の光軸とが重なるように微調整
してなる請求項1記載の超精密形状測定方法。 - 【請求項3】 共通のベース台上に3軸のエンコーダ付
き移動テーブルと2軸のエンコーダ付きゴニオメータか
らなる測定側駆動系と、少なくとも2軸のエンコーダ付
きゴニオメータからなる被測定物側駆動系とを間隔を設
けて配設し、前記測定側駆動系には光源、光軸位置検出
器及び光源から被測定面までの距離を測定する測長器を
備えた測定系が保持され、また前記被測定物側駆動系に
は試料ホルダーを介して被測定物が保持され、光源から
出射された収束光を被測定面上の各点へ照射し、その入
射光とその点での反射光の光軸とが重なるように測定系
と被測定物の双方の位置と角度を微調整し、前記各駆動
系の制御機能を備えた演算装置が、各駆動系より各軸の
基準位置からの偏差を取得するとともに、被測定面上の
光の入射位置を算出し、被測定面の各点における法線ベ
クトルを求め、該法線ベクトルから表面の各点での傾き
を算出するとともに、任意の点での傾きを補間し、その
傾きを測定領域にわたって積分して表面形状を算出して
なることを特徴とする超精密形状測定装置。 - 【請求項4】 前記光軸位置検出器として、4分割フォ
トダイオードを用いて、光軸の微小変位を検出してなる
請求項3記載の超精密形状測定装置。 - 【請求項5】 前記測長器は、反射光を分割して方向を
変えるハーフミラーと、シリンドリカルレンズと、4分
割フォトダイオードからなる検出器で構成し、シリンド
リカルレンズを通した光の光軸に直交する面のスポット
形状が光軸に沿って変化する特性を使って、光源から被
測定面までの距離が一定になるように、前記各駆動系を
調整してなる請求項3又は4記載の超精密形状測定装
置。
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